JP2008048372A - 音響信号の明瞭度、弁別性能向上技術 - Google Patents

音響信号の明瞭度、弁別性能向上技術 Download PDF

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Abstract

【課題】簡潔な回路構成によって音響機器、音響信号の弁別性能の向上を容易にし、高品位な音響信号、音響機器を安価に提供する事を目的とする。
【解決手段】聴感上違和感の少ない2種類の高調波発生回路を縦続接続する事、および高調波信号生成時に聴感上違和感のある原音響信号と立ち上がり時間が等しい小レベルの高調波を非対称差動演算する事で 高調波成分にハース効果を誘発させる。生成した高調波信号は聴感上有害な可聴帯域内高調波成分を高域成分濾過回路により低減し原音響信号と加算する事で音響機器、音響信号の弁別性能を向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は電子音響装置及び電気情報通信に関するものであり、特定的には音響信号の品質復元に必要な高調波発生器及び方法に関するものである。
高調波発生器を利用した音響信号の品質改善技術では米国、アフェックス・システムズ・リミテッド社の技術(特許文献1参照)が開示されている。
高調波発生器に類似の信号を使用する音響信号の音質改善技術では日本、フィデリックス社の技術(特許文献2参照)が開示されている。
音響信号に位相歪を発生させた結果として生じる高調波を利用した信号補正回路として、日本の角元純一氏の技術(特許文献3参照)が開示されている。
本発明に類似の明瞭度改善技術としては米国、BBE・Sound・Inc社のBBE Optima(非特許文献1参照)と呼ばれる高調波加算技術が存在する。
音響信号に高調波信号を付加する事で聴感上好ましく聞こえる原理はハース効果(HAAS Effect)として周知されている。
ハース効果(HAAS Effect)は音響信号の遅延と加算による高調波発生が理論の基底となっている。作曲や楽曲の録音で使用するユニゾン奏法や音声遅延器の使用は楽曲中の高調波を増大させ楽曲に広がり感や豊かさを与える事が知られている。
ハース効果(HAAS Effect)の原理はハース効果の発見以前、電子音響装置及び電気情報通信が実現する以前より実用化され、建築音響の分野ではフラッターエコーの付加技術として寺院やホールでの明瞭度改善の為に使用されている。
特開平7−140979 特開平9−307385 特開平8−307184 BBE・Sound・Inc社 日本語ホームページ、BBE Optima技術資料
個人用コンピューターや携帯電話機の普及による音響信号の不可逆性圧縮記録再生媒体の普及やDVD等、広帯域、高品位記録再生媒体の普及によって音響信号の品質に極端な二極化が生じている、本発明はこれら二極化した音響信号を聴取した場合の違和感を改善する為に不可逆性圧縮記録再生媒体の再生時における音響信号の明瞭度を改善する装置を安価に提供するものである。
アナログ回路、ディジタル信号処理のいずれで実現した場合でも、組み込み用弁別性能改善回路を極めて安価に提供可能な為、携帯電話機、補聴器への応用を期待するものである。
本発明の基本原理であるハース効果(HAAS Effect)は建築音響の世界、作曲や楽曲の録音で音響信号に広がり感を与える事が確認されている、この事からホームシアター機器やディジタル映像機器における安価で小型、簡便な広がり感強調装置や方向感強調装置を提供するものである。
聴感雑音レベルを増加させることなく効果的に音響機器、音響信号の弁別性能を向上させる為、高域可聴限の高調波信号および微小レベルの可聴帯域内高調波信号を原音響信号に加算する。図1によると、回路2での位相反転を補償する位相反転器(1)、振幅制限と連動し生成する高調波信号の振幅およびスペクトルを制御する高調波発生1回路(2)、非対称振幅制限および原音響信号と高調波発生1回路からの出力を非対称差動演算する事で聴感上有用な高調波を生成する事および聴感上有害な可聴帯域内高調波信号を減衰させる高調波発生2回路(3)、生成した高調波成分と原音響信号を加算する加算回路(5)加算回路による位相反転を補償する位相反転器(4)により音響信号の明瞭度改善および弁別性能の向上を実現する。高調波発生1回路(2)で可聴帯域内周波数の強調を行う理由は可聴帯域内周波数の強調をラウドネス補償と近似する形で行う事で最終的な音響出力の可聴帯域内周波数特性を大きく変化させずにラウドネス補償と類似の明瞭度改善が可能である事を発明者が実験にて確認した為である。
従来の技術で音響信号より発生させる高調波信号を使用して音響信号の明瞭度を向上させる場合、聴感上の違和感を防止する目的および自然音における高調波発生原理を模倣する目的から、音響信号と付加する高調波信号の位相に遅延等の時間関数を与える回路を使用する。または発生する高調波信号と音響信号の位相が特定の時間関数となる特異な高調波発生法を使用する。これら従来の技術は高調波信号に時間関数を与える必要性や特異な高調波発生法に起因する高調波信号の大きさから、実用的な回路にまとめた場合は比較的規模の大きな回路を必要とした。また高調波信号に類似の信号を使用して音響信号の品位を向上させる場合は、音響信号と付加する信号の位相に更に複雑な時間関数を与えて聴感上の違和感を防止している。
Figure 2008048372
数1は音響信号f(t)をフーリエ級数に展開した物で、この数式は広く周知されている。時間をt、角速度をω、A、Bが振幅を表現している。正弦項と余弦項が数式中に無限に存在する事から明らかな様に、音響信号と加算する高調波信号や類似の信号との間で時間関数を制御する事は最終的な音響信号で発生する高調波信号の種類を制御する事と等価とみなす事が出来る。本発明では聴感上有害な高調波を発生しないソフトクリップ回路(高調波発生1回路)と偶数次高調波発生回路(高調波発生2回路)を従属接続する事、および原音響信号と高調波信号との非対称差動演算を行う事で原音響信号と高調波信号との間に波形の立ち上がり時間が等しい高調波成分が存在する場合は聴感上有害な小レベルのこれらの除去を行う事で聴感上有用な偶数次高調波信号を効果的に生成している。これらの操作により特別な時間関数の操作を行う事無く生成される高調波信号を聴感上違和感の無いものにしている。
安価で小型、簡便な事を優先し回路を実現する手段としては図1のアナログ演算器の使用が最良と考えられる。携帯電話機やディジタル家電の様な全ディジタル処理での応用時も本回路構成を応用すれば加算処理、減算処理、ダイオードの係数乗算、回路2における周波数特性の強調に必要な乗算処理の4種類を組み合わせる事で実現可能な為、最良の構成と考えられる。
大胆な音質変更が求められる録音用効果機器や細かな調整が要求されるホームシアター機器には図3の様に高調波のスペクトル調整機能や入力音響信号との加算比の調整機能追加が最良の形態と考えられる。
図1を参照
回路2、回路3は乗算器に置き換えが可能であるが、安価で簡潔な回路を実現する為に乗算器等の特殊部品を使用せずアナログ演算器とダイオード、キャパシター、レジスターの汎用部品で構成した実施例である。 図1の回路動作概要をブロック図としたものである。 録音用効果機器や高品位ホームシアター機器への応用例である。
符号の説明
1 位相反転1回路
2 スペクトル制御および高調波発生1回路
3 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過回路
4 位相反転2回路
5 原音響信号、生成高調波加算回路
6 位相反転1回路のブロック図表記
7 スペクトル制御および高調波発生1回路のブロック図表記
8 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過回路のブロック図表記
9 位相反転2回路のブロック図表記
10 原音響信号と生成高調波加算回路のブロック図表記
11 RMS変換回路のブロック図表記
12 微分処理、積分処理による包絡線形状調整回路のブロック図表記
13 乗算による入力音響信号のスペクトル制御および高調波発生1回路のブロック図表記
14 高調波発生1信号の加算量調整回路のブロック図表記
15 差動演算および高調波発生2信号の加算量調整と振幅制限量調整回路のブロック図表記
16 高調波発生2信号の可聴限高周波濾過器の遮断周波数調整回路のブロック図表記
17 原音響信号と生成高調波加算量調整回路のブロック図表記
本発明は電子音響装置及び電気情報通信に関するものであり、特定的には音響信号の品質復元に必要な高調波発生器及び方法に関するものである。
高調波発生器を利用した音響信号の品質改善技術では米国、アフェックス・システムズ・リミテッドの技術(特許文献1参照)が開示されている。
高調波発生器に類似の信号を使用する音響信号の音質改善技術では日本国、有限会社フィデリックスの技術(特許文献2参照)が開示されている。
原音響信号より生成した複数の高調波信号を利用した音質改善技術として日本国、日本ビクター株式会社の技術(特許文献3参照)が開示されている。
本発明に類似の明瞭度改善技術としては米国、BBE・Sound・IncのBBE Optima(非特許文献1参照)と呼ばれる高調波加算技術が存在する。
音響信号に高調波信号を付加する事で聴感上好ましく聞こえる原理はハース効果(HAAS Effect)として周知されている。
ハース効果は音響信号の遅延と加算による高調波発生が理論の基底となっている。作曲や楽曲の録音で使用するユニゾン奏法や音声遅延器の使用は楽曲中の高調波を増大させ楽曲に拡がり感や豊かさを与える事が知られている。
ハース効果の原理はハース効果の発見以前、電子音響装置及び電気情報通信が実現する以前より実用化され、建築音響の分野ではフラッターエコーの付加技術として寺院やホールでの明瞭度改善の為に使用されている。
特開平7−140979 特開平9−307385 特開平7−231497 BBE・Sound・Inc社 日本語ホームページ、BBE Optima技術資料
個人用コンピューターや携帯電話機の普及による音響信号の不可逆性圧縮記録再生媒体の普及やDVD等、広帯域、高品位記録再生媒体の普及によって音響信号の品質に極端な二極化が生じている。
個人用コンピューターの発達は大型の録音スタジオと高額な録音機器や多くの演奏家、多様な楽器を1台の個人用コンピューターの中で管理、運用が可能な環境を実現した。しかしコンピューターを利用したオールイン・ワン・スタジオで安価な楽曲制作を指標した場合、電子楽器やサンプリング音源の使用が必然となる。楽曲制作においては電子楽器やサンプリング音源の様に空気振動の録音が不要な場合であっても、あえてスタジオ内に拡声してからマイクロフォンで録音する事で各種ニュアンスを記録する事が日常的に行われている。ドラムセット等で生音の録音が可能な環境においては音質やテンションの問題からサンプリングドラムは敬遠される傾向にある。本発明は以上の様な二極化した音響信号を聴取した場合の違和感を改善する為、不可逆性圧縮記録再生媒体の再生音やサンプリング音を自然音(生音)に近似させる目的で明瞭度を改善する装置を安価に提供するものである。
図1を基本とした構成はアナログ回路、ディジタル信号処理のいずれで実現した場合でも、組み込み用弁別性能改善回路を極めて安価に実現可能な為、携帯電話機、補聴器への応用を期待するものである。
本発明は試作音響機器において従来製品と異なる拡がり感強調効果が得られる事を多くの第三者が確認している。この事からホームシアター機器やディジタル映像機器における拡がり感強調装置や方向感強調装置への応用を期待するものである。
聴感雑音レベルを増加させることなく効果的に音響機器、音響信号の明瞭度改善および弁別性能を向上させる為、高域可聴限の高調波信号および微小レベルの可聴帯域内高調波信号を原音響信号に加算する。図1では、回路2での位相反転を補償する位相反転1回路(1)、振幅制限と連動し生成する高調波信号の振幅およびスペクトルを制御する高調波発生1回路(2)、非対称振幅制限および原音響信号と高調波発生1回路からの出力を非対称差動演算する事で聴感上有用な高調波を生成する事および聴感上有害な可聴帯域内高調波信号を減衰させる高調波発生2回路(3)、生成した高調波成分と原音響信号を加算する加算回路(5)、加算回路による位相反転を補償する位相反転2回路(4)により音響信号の明瞭度改善および弁別性能の向上を実現する。
図4は図1を基本に回路定数を与えたものでTL074等の標準クアド演算器を使用出来る様に位相反転回路を削減し、更に評価回路として使用する事を想定し新たにVR1(21)を追加した実用回路である。求める結果が弁別性能の向上なのか明瞭度の向上なのかで原音響信号と高調波信号の加算比が異なる為、VR1(21)で最適値を決定する。回路規模の拡大を容認出来る場合は図5の様に入力信号のフォルマント等、弁別要素の検出を行いVCAやFETを制御して原音響信号と高調波信号の加算比を変更する構成も考えられる。
次に本発明の動作原理と設計の基本となっているハース効果について説明する。ハース効果とは特定の遅延時間を与えた遅延音と原音響信号をそれぞれに独立した地点から再生した場合、聴覚は音量の増大を認識しつつも原音響信号を発音原として認識するという聴覚生理現象の総称で先行音効果とも呼ばれる。遅延音と原音響信号との遅延時間の関係は諸説があるが30msec前後を閾値とする事が多い。この場合、聴取点での遅延音と原音響信号との遅延時間が30msec以上であれば聴覚は独立した音源として認識し、遅延時間が30msec未満であれば原音響信号の音量が増大して聴取される。音響関連の分野で解説される事の多いハース効果はマルチチャンネル・サラウンドやSR(Sound Reinforcements)における音像定位に関するものであり遅延時間が30msec未満の現象である。本発明に利用するハース効果も遅延時間が30msec未満のものであるが、一般的にはフランジング効果やショート・ディレイ、くし型フィルター等と呼ばれる領域を利用している。
従来の技術で音響信号より発生させる高調波信号を使用して音響信号の明瞭度を向上させる場合、聴感上の違和感を防止する目的および自然音における高調波発生原理を模倣する目的から、音響信号と付加する高調波信号の位相に遅延等の時間関数を与える回路を使用する。または発生する高調波信号と音響信号の位相が特定の時間関数となる特異な高調波発生法を使用する。これら従来の技術は高調波信号に時間関数を与える必要性や特異な高調波発生法に起因する高調波信号の大きさから、実用的な回路にまとめた場合は比較的規模の大きな回路を必要とした。また高調波信号に類似の信号を使用して音響信号の品位を向上させる場合は、音響信号と付加する信号の位相に更に複雑な時間関数を与えて聴感上の違和感を防止している。
Figure 2008048372
数1は任意の音響信号f(t)をフーリエ級数に展開した物で、この数式は周知されている。時間をt、角速度をω、A、Bが振幅を表現している。正弦項と余弦項が数式中に無限に存在する事から明らかな様に、音響信号と加算する高調波信号や類似の信号との間で時間関数を制御する事は最終的な音響信号で発生する高調波信号の種類を制御する事と等価とみなす事が出来る。本発明では聴感上有害な高調波を発生しないソフトクリップ回路(高調波発生1回路)と偶数次高調波発生回路(高調波発生2回路)を従属接続する事、および原音響信号と高調波信号との非対称差動演算を行う事で高調波信号による原音響信号へのマスキングを回避し聴感上有用な高調波信号を効率的に生成している。これらの結果として原音響信号と高調波信号の位相関係が最適に制御され特別な時間関数の操作を行う事無く生成される高調波信号を聴感上違和感の無いものにする事が可能となっている。
安価で小型、簡便な事を優先し回路を実現する手段としては図1のアナログ演算器の使用が最良であり生成される高調波の次数と実現するコストから考えても有利である。又、携帯電話機やディジタル家電の様な全ディジタル処理での応用時も本回路構成を応用すれば、原音響信号からn次までの高調波を生成する為の事前オーバー・サンプリング処理、加算処理、減算処理、ダイオードの係数乗算、回路2における周波数特性の強調に必要な乗算処理、を組み合わせる事で実現可能な為、最良の構成と考えられる。
大胆な音質変更や自然音における高調波成分の復元が求められる録音用効果機器、ホームシアター機器でのディスクリート・サラウンドにおける音色変化を伴わない方向感強調、薄型テレビ等に利用される各種ステレオ・サラウンドでの後方、上下方向のファントム強調には図3の様に高調波のスペクトル調整機能や入力音響信号との加算比の調整機能追加が最良の形態と考えられる。
本発明の実用回路である図4では以下の過程によって弁別性能の向上と明瞭度の向上を同一の波形応答で実現する。図4に図7の波形が入力される場合、A点の信号波形は図7であり雑音波形が付加される以前の信号波形は図6である。B点の信号は利得1の位相反回路(18)を通過するので図8の様に位相が反転する。高調波発生1回路(19)の最大出力は入力される音響信号の振幅に依存せず負帰還回路に挿入した2本のダイオードの順方向電圧で規定される為、高調波発生2回路(20)の負入力であるC点は最大1.2V程度に固定される。この動作は適切な可聴帯域内強調を同時に行う事で図9の様に雑音波形の振幅のみが圧縮された波形となる。一方、高調波発生2回路(20)の正入力にはA点と同じ原音響信号が入力するので最大値は3V程度になる、非対称差動演算は正負同位相成分である原音響信号成分のみを除去し高調波発生1回路(19)により発生した低次奇数次高調波信号から高次偶数次高調波信号を生成する。高次偶数次高調波信号は遮断周波数を上限可聴帯域とした高周波濾過器を通過する為、出力であるD点は図10の様な波形を出力する。この出力は原音響信号の振幅が最大1.2V周辺を境界に移相動作が始まり、原音響信号の振幅が最大3.0V程度の場合は図11の様に入力信号の雑音振幅を効果的に低減する事が出来る。
これら一連の動作は弁別性能を低下させる雑音波形を抑圧するのみで無くフランジング効果を誘発する為、ステレオ感の強調や明瞭度改善効果を得る事が可能である。フランジング効果を利用した明瞭度改善装置は古くより周知されており、モノラル音源にフランジング効果を与え原音響信号と加算処理、減算処理を行う事でステレオ感を創出する装置やステレオ信号にフランジング効果音を付加して明瞭度を改善する音響機器が内外各社から発売されている。しかし従来の機器では可聴帯域内へのフランジング効果生成によって結果を得ており高い明瞭度や拡がり感の改善を期待した場合、くし型フィルター特性が直接聴取され不快に感じる事が多い。本発明では可聴帯域外成分でありながら聴感上重要とされる高調波成分と原音響信号間でのフランジング効果生成、可聴帯域外成分を高域ラウドネス補償に類似した形で付加する事、結果として出力波形ではゼロクロス点に微分値を加算、減算が可能な事、以上の過程で生成した高調波信号を原音響信号の振幅関数として制御する事等によってくし型フィルター特性の直接聴取を回避し自然音に類似な高調波生成と微弱音における明瞭度向上を実現している。
図12はA点に入力する波形が図7と同じスペクトルを持ちながら振幅が最大1.2V未満に低下した場合の波形と、この時のC点の波形比較を表している、原音響信号であるA点の振幅よりも高調波発生1回路(19)の振幅が大きくなる為、D点の波形は図7の波形を入力した場合と比べて偶数次高調波成分が移相する。図13では図10中の偶数次高調波信号が180度移相した波形と近似している、この事から図4のE点に含まれる偶数次高調波信号は原音響信号の振幅関数として0度から180度の間で移相する応答に近似すると理解出来る。高調波信号の移相動作は入力信号の振幅関数として制御される事およびフランジング効果によって生成する高調波成分が聴感上ハーモニーとして知覚する偶数次高調波成分主体である事から原音響信号の明瞭度を効果的に改善する。図14は明瞭度が向上した聴取フォルマントである、原音響信号の振幅が最大1.2V未満では弁別性能を低下させる雑音波形の相殺は行われず、聴取フォルマントの微分成分が上昇する事で相対的にマスキング・レベルを低下させている。
図15、図16は図1の応用例であるが原音響信号と生成高調波を加算する回路35を差動加算とする事で生成高調波信号付加時の位相を反転している。この場合、図4において原音響信号とその振幅関数として生成される偶数次高調波信号間での移相動作が反転した状態になる。従って図15、図16では原音響信号の大振幅時に微分成分が強調される。図15、図16では弁別性能を向上させる為に原音響信号の微分値を強調する事で雑音成分に対するマスキング・レベルを相対的に低下させている。
高調波信号の付加によって音響信号の明瞭度や聴感を向上させる発明の多くでは図17の様に自然なスペクトルが生成される、これに対し本発明では図18の様に原音響信号の高域上限が上昇する他、生成される高調波信号と原音響信号のスペクトル上の接続点は視覚上不自然に生成する。
図19はDSDによって記録されたドラムセットのスペクトル例である、DSDによる記録では自然音スペクトルに比較してサンプリング周波数が十分に高い為、記録系に非直線要素がなければ記録されるスペクトルは自然音に近似する。図20はDSD再生した図19をCDRによるリニアPCMで再記録したスペクトルである。この場合は高域遮断周波数が20kHz以上になるので聴感上大きな音色の変化は認められない、しかしDSDで記録されたオリジナルデータに比較して全体的な拡がり感や個々の楽器の浮遊感が欠落する。
図21は市販されている代表的な明瞭度、聴感向上機器で図20を処理した場合のスペクトルである。リニアPCMによって失われた高周波成分が生成されているがスペクトルが図19と大幅に異なっている。聴感上は全体的な拡がり感が復元されるが個々の楽器の浮遊感がオリジナルデータと異なったニュアンスとなっている。
図22は本発明(図16)によって図20を処理した場合のスペクトルである。リニアPCMによって失われた高周波成分が生成されているがスペクトルが図21と大幅に異なっている。スペクトルの大まかな形状が図19に近似するが15kHzから20kHzに図19では存在しないピークが発生する為、聴感上は全体的な拡がり感や個々の楽器の浮遊感が忠実に復元されるが高音域が上昇してしまう。問題となる場合は処理後15kHzから20kHzのピークを押さえる様な緩やかなノッチ回路の追加やイコライザーアンプで等価する事で対策可能である。しかし聴感が低下する領域での問題であり使用者の好みにより判断が大きく分かれる部分である。
図23、図24は請求項4、請求項5および請求項10、請求項11への応用例である、実現する回路が大掛かりになる為、ブロック図表記とし更に2つのブロック図に分離した。ステレオ音源からマルチチャンネル・サラウンドに類似したファントム情報を生成する技術は内外各社より考案、特許され多くの製品が実用化されている。
実用化されている方式の多くは頭部伝達関数(Head Related Transfer Function)補正値と呼ばれる各種フィルター(頭部伝達関数の逆特性)を用いてマルチチャンネル・サラウンドでのファントム情報を制御している。例えばファントムを正面に定位させる場合の周波数特性が可聴帯域内でフラットな場合、後方にファントムを定位させる為には図25の様な周波数特性が必要になる。これが頭部伝達関数補正値の1例であり特性中支配的な周波数帯域を特にディレクショナルバンドと呼んでいる。
これはダミーヘッドによる集音とバイノーラル再生を使用する事でステレオヘッドフォンからの再生音が後方や上方、下方に定位する原理と全く同一である。尚、頭部伝達関数および補正値については古くより周知されており周波数特性の詳細も専門書中に見出す事が出来る。
図23、図24の構成を用いたファントム制御においても頭部伝達関数補正値を用いるが周波数スイ−プ入力においては出力信号のスペクトルは可聴帯域内で変動せず図26の様に頭部伝達関数補正値のイメージが可聴帯域外に転写された様な形状になる。この動作は回路50に本発明を利用している事から音響信号への適用時は可聴帯域外スペクトルの動的移相成分から生成するビートによって頭部伝達関数補正値に類似した振幅変動が可聴帯域内に発生する。
図24では回路44、回路47によりファントムを後方定位させる為の遅延処理を行なう、聴感が低下する可聴帯域外のイメージを操作する事でファントムを制御する為に必用な回路である。回路45、回路48は上方定位、下方定位それぞれの頭部伝達関数補正値実現に必要な濾過器である。回路46、回路49は回路44、回路47同様に聴感が低下する可聴帯域外のイメージを強調する為に必要な処理である。2つの信号は独立して回路50で処理された後、リアスピーカー上方定位成分、リアスピーカー下方定位成分として出力する。フロントスピーカーへの定位成分はそれぞれの頭部伝達関数補正値実現に必要な濾過器を通過後、リアスピーカー定位成分と同様の理由から必用な強調処理を行い回路50で処理後、回路55の加算回路へ接続される。回路55では周波数スイ−プでの特性が可聴帯域内でフラットとなる様に加算比を調整する事で周波数スイ−プ入力時のディレクショナルバンドの変化を除去する。
図24の回路を図23の様に組み合わせる事で一般的なステレオ音源からマルチチャンネル・サラウンドに類似したファントム情報生成が可能となる。2つの回路57を連動制御する事、およびサラウンド情報であるそれぞれのUFS、LFS、URS、LRSを適宜混合する事で信号の種類に応じた最適のファントムを生成する。
高調波信号の付加によって音響信号の明瞭度や聴感を向上させる発明は多数存在するが、その多くは原音響信号の帯域拡大を意図したものであり楽音の様な複合音への適用が主な利用である。従来技術では原音響信号と生成した高調波成分のスペクトル上の接続点を視覚上自然に処理する事に注力するあまり、電子楽器等で多用されるサンプリング音に利用した場合は信号スペクトルおよび聴感が自然音と大幅に異なったものとなってしまった。又、古くから使用されているオーラル・エキサイターやフェイズ・エキサイターでも自然音と大幅に異なるスペクトルを再現する為、ノッチやチューン、ドライブ等の聴感補正機能によって補償を行っている。これに対し本発明によって処理された信号のスペクトルは自然音が持つ高調波スペクトルと類似し可聴帯域内のスペクトル形状が可聴帯域外に2次から3次にわたって繰り返す形状となるので楽器等のサンプリング音再生時に利用する意義が極めて大きい。この発明によって処理されたサンプリングドラムと生ドラムをDSDの様な広帯域、高忠実度録音法で記録、比較再生した場合、聴感上で生ドラムの判別が不可能なほど高品位に復元が可能である。
回路2、回路3は乗算器に置き換えが可能であるが、安価で簡潔な回路を実現する為に乗算器等の特殊部品を使用せずアナログ演算器とダイオード、キャパシター、レジスターの汎用部品で構成した実施例である。 図1の回路動作概要をブロック図としたものである。 録音用効果機器や高品位ホームシアター機器への応用例である。 実用回路例の詳細である。 入力音響信号に応じて高調波信号の加算比を適応調整する回路動作概要をブロック図としたものである。 弁別性の高いフォルマント波形例である。 雑音波形が付加され弁別性が低下したフォルマント波形例である。 図7の反転波形である。 図8の波形にソフトクリップ回路(19)での処理を行った波形である。 図9の波形に、高調波発生2回路(20)による非対称差動演算処理と高周波濾過を行った波形である。 弁別性の低下を改善し出力される波形である。 図4に入力される原音響信号が最大1.2V未満である時の原音響信号とソフトクリップ回路(19)出力との比較概要図である。 図4に入力される原音響信号が最大1.2V未満である時の偶数次高調波発生回路(20)の出力波形概要図である。 図4に入力される原音響信号が最大1.2V未満である時のE点波形である。 図1の原音響信号と生成高調波信号の位相を反転した実施例1である。この回路構成では弁別性能向上の為の原音響信号に対する雑音相殺は行われない。 図1の原音響信号と生成高調波信号の位相を反転した実施例2である。この回路構成では弁別性能向上の為の原音響信号に対する雑音相殺は行われない。図15との相違点は生成する偶数次高調波信号の位相であり聴感上は図15に比較して柔らかな音となる。 高調波信号の付加によって音響信号の明瞭度や聴感を向上させる機器の一般的な周波数スイープ入力に対するスペクトル応答である。 本発明(図16)利用時の周波数スイープ入力に対するスペクトル応答である。 DSDによって記録されたドラムセットのスペクトル例である。 図19をリニアPCMで再記録したスペクトルである。 代表的な明瞭度、聴感向上機器で図20を処理した場合のスペクトルである。 本発明(図16)によって図20を処理した場合のスペクトルである。 ディレクショナルバンドを操作せずにファントム制御を行う回路例1Aである。 ディレクショナルバンドを操作せずにファントム制御を行う回路例1Bである。 ファントム後方正面定位時の頭部伝達関数補正特性例である。 図23、図24の組み合わせで実現したファントム制御回路での周波数スイープ入力に対するスペクトル応答である。
符号の説明
1 位相反転1回路
2 スペクトル制御および高調波発生1回路
3 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過回路
4 位相反転2回路
5 原音響信号、生成高調波加算回路
6 位相反転1回路のブロック図表記
7 スペクトル制御および高調波発生1回路のブロック図表記
8 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過回路のブロック図表記
9 位相反転2回路のブロック図表記
10 原音響信号と生成高調波加算回路のブロック図表記
11 RMS変換回路のブロック図表記
12 微分処理、積分処理による包絡線形状調整回路のブロック図表記
13 乗算による入力音響信号のスペクトル制御および高調波発生1回路のブロック図表記
14 高調波発生1回路出力の加算量調整回路のブロック図表記
15 差動演算および高調波発生2回路出力の加算量調整と振幅制限量調整回路のブロック図表記
16 高調波発生2回路出力の可聴限高周波濾過器遮断周波数調整回路のブロック図表記
17 原音響信号と生成高調波加算量調整回路のブロック図表記
18 位相反転実動回路
19 スペクトル制御および高調波発生1実動回路
20 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過実動回路
21 生成高調波加算比調整用抵抗
22 原音響信号、生成高調波加算実動回路
23 帯域濾過、フォルマント強調回路のブロック図表記
24 電圧制御抵抗制御電圧発生回路のブロック図表記
25 VCA、FET等電圧制御抵抗のブロック図表記
26 図4、A点の波形
27 図4、B点の波形
28 図4、C点の波形
29 図4、D点の波形
30 図4、E点の波形
31 図7の原信号波形
32 図7の波形振幅を最大1.2V未満に低下した時のD点の波形
33 図7の波形振幅を最大1.2V未満に低下した時のE点の波形
34 図7の波形振幅を最大1.2V未満に低下した時のA点の波形
35 原音響信号、生成高調波反転加算回路
36 差動演算、反転高調波発生2、奇数次高調波増幅および可聴限高周波濾過回路
37 差動演算、高調波発生2、奇数次高調波増幅および可聴限高周波濾過回路
38 原音響信号と生成された高周波成分の視覚上のスペクトルを重視したスペクトル応答例
39 原音響信号と生成された高周波成分の聴感を重視したスペクトル応答例
40 自然音(DSDによる音源)におけるスペクトル例
41 MP3等の不可逆性圧縮やCD等のリニアPCM記録におけるスペクトル例
42 波形41に図17の伝達関数を適用した応答例
43 波形41に図18の伝達関数を適用した応答例
44 後方定位に必要なハース効果生成用移相器1(約20μsec)のブロック図表記
45 頭部伝達関数補正値1(後方上部定位)用濾過器のブロック図表記
46 可聴帯域外成分生成に必要な頭部伝達関数補正値1に類似の高域強調回路のブロック図表記
47 後方定位に必要なハース効果生成用移相器2(約50μsec)のブロック図表記
48 頭部伝達関数補正値2(後方下部定位)用濾過器のブロック図表記
49 可聴帯域外成分生成に必要な頭部伝達関数補正値2に類似の高域減衰回路のブロック図表記
50 図4の回路モジュールのブロック図表記
51 頭部伝達関数補正値3(前方上部定位)用濾過器のブロック図表記
52 可聴帯域外成分生成に必要な頭部伝達関数補正値3に類似の高域強調回路のブロック図表記
53 頭部伝達関数補正値4(前方下部定位)用濾過器のブロック図表記
54 可聴帯域外成分生成に必要な頭部伝達関数補正値4に類似の高域減衰回路のブロック図表記
55 原音響信号、ファントム成分差動加算回路
56 図24の回路モジュールのブロック図表記
57 図24の回路モジュール出力加算およびパノラミング処理回路のブロック図表記
58 後方正面での頭部伝達関数補正特性例
59 図24における周波数スイープ応答
A 図4の回路への入力波形
B 回路18の出力波形
C 回路19の出力波形
D 回路20の出力波形
E 回路22の出力波形
本発明は電子音響装置及び電気情報通信に関するものであり、特定的には音響信号の品質復元に必要な高調波発生器及び方法に関するものである。
高調波発生器を利用した音響信号の品質改善技術では米国、アフェックス・システムズ・リミテッド社の技術(特許文献1参照)が開示されている。
高調波発生器に類似の信号を使用する音響信号の音質改善技術では日本、フィデリックス社の技術(特許文献2参照)が開示されている。
音響信号に位相歪を発生させた結果として生じる高調波を利用した信号補正回路として、日本の角元純一氏の技術(特許文献3参照)が開示されている。
本発明に類似の明瞭度改善技術としては米国、BBE・Sound・Inc社のBBE Optima(非特許文献1参照)と呼ばれる高調波加算技術が存在する。
音響信号に高調波信号を付加する事で聴感上好ましく聞こえる原理はハース効果(HAAS Effect)として周知されている。
ハース効果(HAAS Effect)は音響信号の遅延と加算による高調波発生が理論の基底となっている。作曲や楽曲の録音で使用するユニゾン奏法や音声遅延器の使用は楽曲中の高調波を増大させ楽曲に広がり感や豊かさを与える事が知られている。
ハース効果(HAAS Effect)の原理はハース効果の発見以前、電子音響装置及び電気情報通信が実現する以前より実用化され、建築音響の分野ではフラッターエコーの付加技術として寺院やホールでの明瞭度改善の為に使用されている。
特開平7−140979 特開平9−307385 特開平8−307184 BBE・Sound・Inc社日本語ホームページ、BBE Optima技術資料
個人用コンピューターや携帯電話機の普及による音響信号の不可逆性圧縮記録再生媒体の普及やDVD等、広帯域、高品位記録再生媒体の普及によって音響信号の品質に極端な二極化が生じている、本発明はこれら二極化した音響信号を聴取した場合の違和感を改善する為に不可逆性圧縮記録再生媒体の再生時における音響信号の明瞭度を改善する装置を安価に提供するものである。
アナログ回路、ディジタル信号処理のいずれで実現した場合でも、組み込み用弁別性能改善回路を極めて安価に提供可能な為、携帯電話機、補聴器への応用を期待するものである。
本発明の基本原理であるハース効果(HAAS Effect)は建築音響の世界、作曲や楽曲の録音で音響信号に広がり感を与える事が確認されている、この事からホームシアター機器やディジタル映像機器における安価で小型、簡便な広がり感強調装置や方向感強調装置を提供するものである。
聴感雑音レベルを増加させることなく効果的に音響機器、音響信号の弁別性能を向上させる為、高域可聴限の高調波信号および微小レベルの可聴帯域内高調波信号を原音響信号に加算する。図1によると、回路2での位相反転を補償する位相反転器(1)、振幅制限と連動し生成する高調波信号の振幅およびスペクトルを制御する高調波発生1回路(2)、非対称振幅制限および原音響信号と高調波発生1回路からの出力を非対称差動演算する事で聴感上有用な高調波を生成する事および聴感上有害な可聴帯域内高調波信号を減衰させる高調波発生2回路(3)、生成した高調波成分と原音響信号を加算する加算回路(5)加算回路による位相反転を補償する位相反転器(4)により音響信号の明瞭度改善および弁別性能の向上を実現する。高調波発生1回路(2)で可聴帯域内周波数の強調を行う理由は可聴帯域内周波数の強調をラウドネス補償と近似する形で行う事で最終的な音響出力の可聴帯域内周波数特性を大きく変化させずにラウドネス補償と類似の明瞭度改善が可能である事を発明者が実験にて確認した為である。
従来の技術で音響信号より発生させる高調波信号を使用して音響信号の明瞭度を向上させる場合、聴感上の違和感を防止する目的および自然音における高調波発生原理を模倣する目的から、音響信号と付加する高調波信号の位相に遅延等の時間関数を与える回路を使用する。または発生する高調波信号と音響信号の位相が特定の時間関数となる特異な高調波発生法を使用する。これら従来の技術は高調波信号に時間関数を与える必要性や特異な高調波発生法に起因する高調波信号の大きさから、実用的な回路にまとめた場合は比較的規模の大きな回路を必要とした。また高調波信号に類似の信号を使用して音響信号の品位を向上させる場合は、音響信号と付加する信号の位相に更に複雑な時間関数を与えて聴感上の違和感を防止している。
Figure 2008048372
数1は音響信号f(t)をフーリエ級数に展開した物で、この数式は広く周知されている。時間をt、角速度をω、A、Bが振幅を表現している。正弦項と余弦項が数式中に無限に存在する事から明らかな様に、音響信号と加算する高調波信号や類似の信号との間で時間関数を制御する事は最終的な音響信号で発生する高調波信号の種類を制御する事と等価とみなす事が出来る。本発明では聴感上有害な高調波を発生しないソフトクリップ回路(高調波発生1回路)と偶数次高調波発生回路(高調波発生2回路)を従属接続する事、および原音響信号と高調波信号との非対称差動演算を行う事で原音響信号と高調波信号との間に波形の立ち上がり時間が等しい高調波成分が存在する場合は聴感上有害な小レベルのこれらの除去を行う事で聴感上有用な偶数次高調波信号を効果的に生成している。これらの操作により特別な時間関数の操作を行う事無く生成される高調波信号を聴感上違和感の無いものにしている。
安価で小型、簡便な事を優先し回路を実現する手段としては図1のアナログ演算器の使用が最良と考えられる。携帯電話機やディジタル家電の様な全ディジタル処理での応用時も本回路構成を応用すれば加算処理、減算処理、ダイオードの係数乗算、回路2における周波数特性の強調に必要な乗算処理の4種類を組み合わせる事で実現可能な為、最良の構成と考えられる。
大胆な音質変更が求められる録音用効果機器や細かな調整が要求されるホームシアター機器には図3の様に高調波のスペクトル調整機能や入力音響信号との加算比の調整機能追加が最良の形態と考えられる。
図1を参照
回路2、回路3は乗算器に置き換えが可能であるが、安価で簡潔な回路を実現する為に乗算器等の特殊部品を使用せずアナログ演算器とダイオード、キャパシター、レジスターの汎用部品で構成した実施例である。 図1の回路動作概要をブロック図としたものである。 録音用効果機器や高品位ホームシアター機器への応用例である。
符号の説明
1 位相反転1回路
2 スペクトル制御および高調波発生1回路
3 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過回路
4 位相反転2回路
5 原音響信号、生成高調波加算回路
6 位相反転1回路のブロック図表記
7 スペクトル制御および高調波発生1回路のブロック図表記
8 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過回路のブロック図表記
9 位相反転2回路のブロック図表記
10 原音響信号と生成高調波加算回路のブロック図表記
11 RMS変換回路のブロック図表記
12 微分処理、積分処理による包絡線形状調整回路のブロック図表記
13 乗算による入力音響信号のスペクトル制御および高調波発生1回路のブロ ック図表記
14 高調波発生1信号の加算量調整回路のブロック図表記
15 差動演算および高調波発生2信号の加算量調整と振幅制限量調整回路のブ ロック図表記
16 高調波発生2信号の可聴限高周波濾過器の遮断周波数調整回路のブロック 図表記
17 原音響信号と生成高調波加算量調整回路のブロック図表記
本発明は電子音響装置及び電気情報通信に関するものであり、特定的には音響信号の品質復元に必要な高調波発生器及び方法に関するものである。
高調波発生器を利用した音響信号の品質改善技術では米国、アフェックス・システムズ・リミテッド社の技術(特許文献1参照)が開示されている。
高調波発生器に類似の信号を使用する音響信号の音質改善技術では日本、フィデリックス社の技術(特許文献2参照)が開示されている。
本発明に類似の明瞭度改善技術としては米国、BBE・Sound・Inc社のBBE Optima(非特許文献1参照)と呼ばれる高調波加算技術が存在する。
音響信号に高調波信号を付加する事で聴感上好ましく聞こえる原理はハース効果(HAAS Effect)として周知されている。
ハース効果(HAAS Effect)は音響信号の遅延と加算による高調波発生が理論の基底となっている。作曲や楽曲の録音で使用するユニゾン奏法や音声遅延器の使用は楽曲中の高調波を増大させ楽曲に広がり感や豊かさを与える事が知られている。
ハース効果(HAAS Effect)の原理はハース効果の発見以前、電子音響装置及び電気情報通信が実現する以前より実用化され、建築音響の分野ではフラッターエコーの付加技術として寺院やホールでの人の声の拡大、即ち弁別性能の向上や各種明瞭度改善の為に使用されている。
特開平7−140979 特開平9−307385 BBE・Sound・Inc社 日本語ホームページ、BBE Optima技術資料
個人用コンピューターや携帯電話機の普及による音響信号の不可逆性圧縮記録再生媒体の普及やDVD等、広帯域、高品位記録再生媒体の普及によって音響信号の品質に極端な二極化が生じている、本発明はこれらを比較聴取した場合に経験される混濁感を改善し弁別性能を向上させながら明瞭度を改善する装置を安価に提供するものである。
アナログ回路、ディジタル信号処理のいずれで実現した場合でも、組み込み用弁別性能改善回路を極めて安価に提供可能な為、携帯電話機、補聴器への応用を期待するものである。
本発明の基本原理であるハース効果(HAAS Effect)は建築音響の世界、作曲や楽曲の録音で音響信号に広がり感を与える事が確認されている、この事からホームシアター機器やディジタル映像機器における安価で小型、簡便な広がり感強調装置や方向感強調装置を提供するものである。
聴感雑音レベルを増加させることなく効果的に音響機器、音響信号の弁別性能を向上させる為、高域可聴限の高調波信号および微小レベルの可聴帯域内高調波信号を原音響信号の振幅関数として移相しながら加算する。
図1によると、回路2での位相反転を補償する位相反転器(1)、振幅制限と連動し生成する高調波信号の振幅およびスペクトルを制御する高調波発生1回路(2)、非対称振幅制限および原音響信号と高調波発生1回路からの出力を非対称差動演算する事で高調波信号を原音響信号の振幅関数として移相させハース効果を誘発させる事および聴感上有害な可聴帯域内高調波信号を減衰させる高調波発生2回路(3)、生成した高調波成分と原音響信号を加算する加算回路(5)加算回路による位相反転を補償する位相反転器(4)により音響信号の弁別性能の向上を実現する。
高調波発生1回路(2)で可聴帯域内周波数の強調を行う理由は可聴帯域内周波数の強調をラウドネス補償と近似する形で行う事で最終的な音響出力の可聴帯域内周波数特性を大きく変化させずにラウドネス補償と類似の明瞭度改善が可能である事、即ち音質や音色の変化を伴わない弁別性能向上を発明者が実験にて確認した為である。
従来の技術で音響信号より発生させる高調波信号を使用して音響信号の明瞭度を向上させる場合、聴感上の違和感を防止する目的および自然音における高調波発生原理を模倣する目的から、音響信号と付加する高調波信号の位相に遅延等の時間関数を与える回路を使用する。または発生する高調波信号と音響信号の位相が特定の時間関数となる特異な高調波発生法を使用する。これら従来の技術は高調波信号に時間関数を与える必要性や特異な高調波発生法に起因する高調波信号の大きさから、実用的な回路にまとめた場合は比較的規模の大きな回路を必要とする。
また高調波信号に類似の信号を使用して音響信号の品位を向上させる場合は、音響信号と付加する信号の位相に更に複雑な時間関数を与えて聴感上の違和感を防止している。しかしこれら従来技術は遅延手段を用いるにも関わらずハース効果を誘発する事は不可能である為、弁別性能の向上は行われない。
Figure 2008048372
数1は音響信号f(t)をフーリエ級数に展開した物で、この数式は広く周知されている。時間をt、角速度をω、A、Bが振幅を表現している。正弦項と余弦項が数式中に無限に存在する事から明らかな様に、音響信号と加算する高調波信号や類似の信号との間で時間関数を制御する事は最終的な音響信号で発生する高調波信号の種類を制御する事と等価とみなす事が出来る。本発明では聴感上有害な高調波を発生しないソフトクリップ回路(高調波発生1回路)と偶数次高調波発生回路(高調波発生2回路)を従属接続する事、および原音響信号と高調波信号との非対称差動演算を行う事で原音響信号と高調波信号との間に波形の立ち上がり時間が等しい高調波成分が存在する場合は聴感上有害な小レベルのこれらの除去を行う事で聴感上有用な偶数次高調波信号を効果的に生成する。
同時に偶数次高調波発生回路(高調波発生2回路)の非対称差動演算は原音響信号の振幅関数として移相した偶数次高調波を生成する。ハース効果による信号弁別は通常、遅延時間30msec以上で知覚されるものの、条件によっては1msec以下の遅延領域での弁別も確認されている、本発明による遅延時間(移相量)は高域濾過器の遮断周波数(6dB/oct特性)以上においては数十μ/secの遅延でありハース効果とは無縁と考えられる移相量である。しかし遮断特性がマイナス20dB/dec(6dB/oct特性)であるため数msecの移相領域は識別可能な音量となる。又、移相が原音響信号の振幅関数となっている事から数十μ/secの移相領域においてはカクテルパーティー効果によってハース効果による信号弁別が可能となっている。
安価で小型、簡便な事を優先し回路を実現する手段としては図1のアナログ演算器の使用が最良と考えられる。携帯電話機やディジタル家電の様な全ディジタル処理での応用時も本回路構成を応用すれば加算処理、減算処理、ダイオードの係数乗算、回路2における周波数特性の強調に必要な乗算処理の4種類を組み合わせる事で実現可能な為、最良の構成と考えられる。
大胆な音質変更が求められる録音用効果機器や細かな調整が要求されるホームシアター機器には図3の様に高調波のスペクトル調整機能や入力音響信号との加算比の調整機能追加が最良の形態と考えられる。
図1を参照
回路2、回路3は乗算器に置き換えが可能であるが、安価で簡潔な回路を実現する為に乗算器等の特殊部品を使用せずアナログ演算器とダイオード、キャパシター、レジスターの汎用部品で構成した実施例である。 図1の回路動作概要をブロック図としたものである。 録音用効果機器や高品位ホームシアター機器への応用例である。
符号の説明
1 位相反転1回路
2 スペクトル制御および高調波発生1回路
3 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過回路
4 位相反転2回路
5 原音響信号、生成高調波加算回路
6 位相反転1回路のブロック図表記
7 スペクトル制御および高調波発生1回路のブロック図表記
8 差動演算、高調波発生2および可聴限高周波濾過回路のブロック図表記
9 位相反転2回路のブロック図表記
10 原音響信号と生成高調波加算回路のブロック図表記
11 RMS変換回路のブロック図表記
12 微分処理、積分処理による包絡線形状調整回路のブロック図表記
13 乗算による入力音響信号のスペクトル制御および高調波発生1回路のブロック図表記
14 高調波発生1信号の加算量調整回路のブロック図表記
15 差動演算および高調波発生2信号の加算量調整と振幅制限量調整回路のブロック図表記
16 高調波発生2信号の可聴限高周波濾過器の遮断周波数調整回路のブロック図表記
17 原音響信号と生成高調波加算量調整回路のブロック図表記

Claims (6)

  1. 音響信号の伝送、増幅、再生の各過程において、伝送帯域制限や雑音レベル増加に伴う原音響信号の明瞭度低下を補償する手段として、原音響信号より生成した2種類の高調波群を原音響信号に付加する事で原音響信号の聴感雑音レベルを増加することなく、使用する音響機器の弁別性能を向上させる事を特徴とする音響機器付加回路および装置。
  2. 図1の回路構成をとり、その回路動作が、ソフトクリップ回路と偶数次高調波発生回路を従属接続する事および原音響信号と非対称差動演算を行う事で音響信号の明瞭度改善および弁別性能の向上を行う事を特徴とする音響機器付加回路および装置。
  3. 請求項2の回路構成を用いた結果として、音響信号の明瞭度改善、弁別性能向上の為に原音響信号より生成した可聴帯域外信号スペクトルが、奇数次可聴帯域外高調波信号よりも偶数次可聴帯域外高調波信号が多く含有する様制御される事を特徴とする音響機器付加回路および装置。
  4. 請求項2の回路構成を用いた結果として、音響信号の伝送、増幅、再生の各過程において、ディレクショナルバンドを強調する事無く音響信号の発音源方向を制御する事を特徴とする音響機器付加回路および装置。
  5. 請求項2の回路構成を用いた結果として、音響信号の再生過程において、ディレクショナルバンドを強調する事無く、使用されるラウドスピーカーの指向性能を改善する、もしくは制御する事を特徴とする音響機器付加回路および装置。
  6. 請求項2の回路構成を用いた結果として、携帯電話機や家庭用コンピューター等、音響信号の不可逆性圧縮記録再生媒体における音響信号再生時の弁別性能低下を顕著に改善する事を特徴とする音響機器付加回路および装置。
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