JP2008046769A - 画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】静止画像データから、画像のピクセルに対応する相対アドレスを要素とする配列よりなる同時生起確率行列を作成する。作成した同時生起確率行列から平均値を取る等の手法にて閾値を生成し、同時生起確率行列と比較する。閾値に達した行列要素に対応する画素は背景であると判断し、配列要素を構成する相対アドレスを用いてフラグを構成するビットマップの該当箇所のフラグを下ろす。
【選択図】図1
Description
より詳細には、監視カメラが所定の監視場所を撮像して得られた映像から、不審物や不審者を検出するための技術に関する。
このような監視カメラにおいては、監視対象となる場所が多くなるにつれ、24時間監視者がモニタを監視し続けることは困難である。また、監視カメラに接続されるビデオレコーダにおいても、必要最低限の映像のみ記録する等、実稼働時間を短縮する必要に迫られている。
このため、機械が入力画像から不審物或は不審者を検出する技術の確立が求められている。
例えば銀行のATM等においては、人体を検出するセンサさえあれば比較的容易に上述のような要求を満たすことができる。
ところが、海辺のような、遠くの景色から不審船等を検出する場合は、このようなセンサは使用できない。
映像中に物体が進入すると、映像データ中におけるその物体の部分は、明るさが変わる。したがって、映像内で輝度値に差異がある領域を差異領域として検出することで、物体の検知が可能になる。ところが、海、砂漠、草原、空等の自然の風景の場合、検知対象である物体以外の水、砂、草、雲なども動いている。このため、これらを直前の画像データと比較して異なっているとして、誤って検知してしまう、という問題があった。
特許文献1には、現在の時刻に撮影された画像と、過去に撮影された画像との差分値を作成し、閾値処理によって二値化する。その際に、過去の差分値の累積結果を基に閾値を変動させた背景画像を作成する。こうして、背景画像中に存在する木や水面による揺らぎの誤検出の低減を試みている。
しかしながら、この技術では、木の揺らぎ等による輝度値の変化が大きいときには、閾値が大きくなりすぎる場合が十分考えられる。そのような場合、肝心の侵入者等が進入してきたときに検出漏れが生じてしまう虞がある。
更に、本発明では同時生起確率行列に基づく判別として、従来技術とは異なり、予め撮影して保持している行列データとの比較を行わず、得られた行列から閾値を算出し、その閾値を基に背景か否かの判別を行う。この判別手法自体が従来技術にはない新しいアプローチである。
また、本発明は従来技術の同種の装置と比較すると演算量や予め必要とする記憶装置の記憶容量も少なく済む。
したがって、従来技術と比べると、演算量が極めて少なく、また必要とする記憶容量も少なく済み、海の波や空の雲などの自然現象も誤認識せずに背景と認識できる、優れた画像処理装置を提供できる。
図1(a)において、画像処理装置101は撮像カメラ102から得られる画像データから不審物の存在の有無を検出し、不審物の有無を知らせる二値信号(アラーム出力)か、または所定の処理を施した画像信号を出力するものである。撮像カメラ102は例えばCCD撮像素子等からなる、画像信号を出力する周知のカメラである。出力される画像信号は、例えばHDD等の大容量ストレージや、通信回線等で他のホスト装置へ送出される。
画像処理装置101は主にマイクロコンピュータよりなる。マイクロコンピュータを構成するCPU103、ROM104、RAM105とバス106は、撮像カメラ102から得られる画像データに所定の処理を行って、出力インターフェース107を通じて所定の信号等を出力する。
撮像カメラ102から得られる画像信号は、一旦静止画像として画像保存部112に保持される。
特徴量算出部113は画像保存部112内の静止画像データから、特徴量データを作成する。これは後述する同時生起確率行列によって作成される、画像データの相対アドレスよりなる配列データである。
画素判定部114は、特徴量算出部113にて作成された配列データを基に、静止画像データ中の不審物を特定するビットマップデータを作成する。
画素集合決定部115は、作成されたビットマップデータから、静止画像データ中に占める不審物と思しき画像部分の総面積と、中心座標を算出する。
遠くの海辺の不審物を察知するためには、カメラの倍率を上げなければならない。カメラの倍率を上げることは、撮影角度が小さくなることを意味し、このためにカメラを往復駆動する必要が生じる。
カメラを往復駆動する、ということは、直前の静止画像と現在の静止画像とを比較して、画像データ同士の相違点から不審物等を見つける、という手法が取り辛い。本実施形態にかかる発明は、このような背景事情に基づいている。
図3はRAM105の内部に格納されているデータを図示するものである。
図3(a)は、RAM105の入力画像ビットマップデータ保存領域202に格納されている、入力画像ビットマップデータである。つまり、撮像カメラ102にて撮影された静止画像データそのものである。各々のピクセルは例えば0〜255迄の輝度を表すデータである。図3(a)では、海302と空303と不審物である船304が写っている。
図3(b)は、RAM105の画像フラグビットマップデータ領域204に格納される、画像フラグビットマップデータである。後述する処理にて、入力画像ビットマップデータから不審物の領域を検出したものである。この図では、船304に相当する領域のビットが立っている。
図3(c)は、画像フラグビットマップデータの一部を拡大したものである。各ピクセルは1ビットよりなり、ビットが立っていれば(ビットの値が1であれば)、そこは不審物と思しきピクセルを示し、ビットが下りていれば(ビットの値が0であれば)、そこは背景と思しきピクセルを示す。
図4(a)において、配列データ401は同時生起確率行列をベースとする、可変長の配列データの集合体である。同時生起確率行列は、縦kと横lがそれぞれ0〜255迄の256個の要素よりなる正方行列である。この縦kと横lは画像データの輝度に相当する。この行列上の各々の要素に立方体が積み上がっている。この立方体は一つに画像データの1ピクセルを示す相対アドレスが格納されている。
同様に、(k、l)[2]とは、k行l列の行列要素よりなる配列データの、2番目の配列要素である。
配列データ(k、l)は5個の配列要素を持ち、(k、l)[5]まで存在している。
図4(a)の(k、l−1)[1]とは、k番目の行でl−1番目の列の行列要素よりなる配列データの、1番目の配列要素である。
同様に、(k、l−5)[1]とは、k行l−5列の行列要素よりなる配列データの、1番目の配列要素である。
同様に、(k−3、l)[1]とは、k−3行l列の行列要素よりなる配列データの、1番目の配列要素である。
このように積み上がっている立方体には、入力画像ビットマップデータ領域202に格納されている画像データの、1ピクセルを示す相対アドレスがそれぞれ格納されている。
なお、この同時生起確率行列をベースとする配列データの詳細な作成方法は、後述する。
入力画像ビットマップデータ領域202中の、広い面積を示す背景部分は、同時生起確率行列を構成する配列データ領域203の、要素の多い箇所に集中する。その、集中している部分の配列要素として格納されている画像データの相対アドレスが、画像フラグビットマップデータ領域204の背景部分の相対アドレスに該当し、その箇所のフラグを下ろすこととなる。
図5においては、入力画像ビットマップデータ領域202の一部を示す画像の、点線で囲んだ部分、すなわち空の一部分に該当する画像データが、配列データ領域203の、積み上がっている立方体にそれぞれ対応している。つまり、これら立方体をなす配列変数には、その要素として画像データ中の点線部分にて囲まれたピクセルの相対アドレスが格納されている。そして、それら相対アドレスは画像フラグビットマップデータ領域204の該当箇所のフラグを1から0へ下ろす。
図6は、同時生起確率行列の概要を説明するための図である。
図6(a)において、P1とP2は画像データ中の任意の二つのピクセルである。ピクセルP1からピクセルP2へは、距離rと角度θだけ離れている。このrとθを相対位置関数δとする。δ=(r,θ)と表す。
図6(b)において、δ1=(1,0°)である場合、ピクセルP1に対してピクセルP2は隣り合う次のピクセルを指し示す。
図6(c)において、δ1=(1,90°)である場合、ピクセルP1に対してピクセルP2は隣り合う真上のピクセルを指し示す。
同時生起確率行列は、この一定の相対位置関数δだけ離れている二点のピクセルの輝度の組み合わせを、輝度を要素数とする正方行列に加算する仕組みである。
図7(a)において、4×4の16ピクセルよりなる画像データ内の各ピクセルは、0〜3迄の4段階の輝度を有する。
図7(b)は、4段階の輝度よりなる4×4の正方行列である同時生起確率行列である。ここで、相対位置関数δ=(r,θ)=(1,0°)の関係にて、図7(a)の画像データから同時生起確率行列を作成する手順を以下に示す。
図7(a)の(x,y)=(0,0)をピクセルP1とすると、ピクセルP2は(x,y)=(1,0)となる。このとき、ピクセルP1の輝度iは0、ピクセルP2の輝度jは0である。したがって、(i,j)=(0,0)に1を加える。更に、往復カウントを行うので、(i,j)=(0,0)に1を加える。
図7(a)の(x,y)=(1,0)をピクセルP1とすると、ピクセルP2は(x,y)=(2,0)となる。このとき、ピクセルP1の輝度iは0、ピクセルP2の輝度jは1である。したがって、(i,j)=(0,1)に1を加える。更に、往復カウントを行うので、(i,j)=(1,0)に1を加える。
以上のように、相対位置関数δだけ離れている各ピクセルの輝度の組み合わせに相当する行列の要素をカウントアップする動作を、全てのピクセルに対して行う。つまり、この正方行列は、二つのピクセルの輝度の組み合わせの出現回数を示す、カウンタの行列である。
なお、往復カウントをするか否かは設計者の任意である。
但し、本実施形態は従来より周知の同時生起確率行列の取り扱いとは異なるアプローチを取っている。
従来技術では、同時生起確率行列は例えば特許文献2にて開示されているように、製造工程中に良品と不良品とを比較するための手法として使われている。予め良品を撮影して同時生起確率行列を保持しておき、製造ラインに流れてきた製品を撮影する。撮影画像データから同時生起確率行列を作成し、これを保持している良品の行列と比較して、相違点から製品の傷や汚れ等の異常を判別する。これが、従来より良く知られている同時生起確率行列の利用である。
本実施形態は、この同時生起確率行列に対して、所定の閾値を用いて各行列要素を比較する。そして、閾値以上の行列要素は、画像データ内にて広い面積を占める領域、すなわち背景であるものと判断する。そして、背景に該当する画像データ内の領域を除外する。
このために、行列要素を配列データとし、配列の要素に画像データ内のピクセルの相対アドレスを格納する必要がある。
全ての処理が終わった後に、画像フラグデータ内にてフラグが下りていない部分が、画像データ内にて背景とは異なる輝度を示す狭い部分、つまり不審物を示す領域であると判断する。
イメージとしては、図4(b)のガウス曲面を、閾値を示すxy平面と平行の平面にて真横に切断するようなものだと思って頂ければよいだろう。閾値平面によって切断された、つまり閾値平面に触れた行列要素に該当する画像データの相対アドレスは、背景である。
処理を開始すると(S801)、最初に同時生起確率行列を作成する際のルールである、相対位置関数δを設定する(S802)。次に、入力画像ビットマップデータの検討対象アドレスaを、画像データの先頭に設定する(S803)。つまり、アドレスaは入力画像ビットマップデータ内の相対アドレスであり、この処理にて相対アドレスの初期値を与える。
次に、相対アドレスaから相対位置関数δだけ離れている地点にピクセルが存在するか否かを検証する(S804)。例えば、相対位置関数δ=(1,0°)の場合、相対アドレスaが入力画像ビットマップデータの右端であれば、相対アドレスb=δ(a)は存在しない。
相対アドレスb=δ(a)があれば、相対アドレスaの輝度をkに代入し、相対アドレスbの輝度をlに代入する。そして、配列データ領域203内の行列要素(k,l)の配列に、相対アドレスaを追加する(S805)。つまり、図4(a)の、立方体を一つ積み上げて、そこに相対アドレスaを格納する。なお、ステップS804にて、b=δ(a)がない場合は、同時生起確率行列の追加処理ができないので、ステップS805の処理を飛ばす。
次に、相対アドレスaを一つ進める(S806)。次に、相対アドレスaが存在するか否かを検証する(S807)。あれば、再びステップS804から処理を繰り返す。なければ、それは入力画像ビットマップデータの終端であり、同時生起確率行列の処理が終わったので、次の処理に進む。
閾値を得たら、配列データ領域203内の、評価対象とする行列要素の初期値を設定する(S909)。
次に、行列要素の要素数と閾値を比較する(S910)。もし、要素数が閾値以上であれば、その行列要素に属する配列要素内の、入力画像ビットマップデータの相対アドレスに対応する画像フラグビットマップデータ領域204内の該当アドレスのフラグを下ろす(S911)。つまり、そこは背景である、という判断である。もし、要素数が閾値未満であれば、何もしない。つまり、そこは不審物である、という判断である。
そして、評価対象となる行列要素を一つ進める(S912)。
次に、評価対象となる行列要素があるか否か検証する(S913)。あれば、再び評価を行う(S910)。なければそれは処理の終わりを意味する。
最後に、画像フラグビットマップデータ領域204内に残っている、フラグが立っている領域、つまり不審物を示す領域の面積と中心座標を算出して(S914)、終了する(S915)。
図8において、ステップS808、そして図9において、ステップS909、S910、S911、S912及びS913よりなる処理は、図1(b)の画素判定部114の処理に相当する。つまり、不審物のアドレスを決定する処理である。
図9において、ステップS914よりなる処理は、図1(b)の画素集合決定部115の処理に相当する。つまり、不審物のアドレスの数をカウントし、不審物のアドレスを示す領域の中心を算出する処理である。
図10は、第2の実施形態にかかる画像処理装置にて用いる相対位置関数δを示す概略図である。
本実施形態では、画像処理装置の内部の構成は、第1の実施の形態で説明した図1のブロック図で示した構成と殆ど変わらないが、相対位置関数δを複数取り、それに基づいて複数の同時生起確率行列を作成する構成とする。
先に説明した第1の実施形態では、相対位置関数δ=(1,0°)を例に説明した。ところで、従来技術においても同時生起確率行列を複数の相対位置関数δにて取ることは周知である。これは、一定の模様よりなる画像データの特徴をより正確に数値化するための措置である。
図10において、あるピクセルの近傍にあるピクセルだけでも8つのピクセルが存在することがわかる。
δ1は距離が1であり、角度が0°である。
δ2は距離が√2であり、角度が45°である。
以下同様に、δ3=(1,90°)、δ4=(√2,135°)、δ5=(1,180°)、δ6=(√2,225°)、δ7=(1,270°)、δ8=(√2,315°)となる。
すなわち、8つの相対位置関数δ1〜δ8が作成し得る。
これら8つの相対位置関数δ1〜δ8を用いて、8つの同時生起確率行列を作成することができる。
処理を開始すると(S1101)、最初にカウンタ変数iを0に初期化する(S1102)。次に、同時生起確率行列を作成する際のルールである、相対位置関数δ(i)の存在を確認する(S1103)。
δ(i)があればこれを設定し(S1104)、これに基づいて同時生起確率行列に基づく特徴量算出処理を行う(S1105)。次に、得られた同時生起確率行列の配列データを用いて、画素判定処理を行う(S1106)。
ここで、ステップS1105は、図8のステップS803、S804、S805、S806そしてS807に等しい。
また、ステップS1106は、図8のステップS808と、図9のステップS909、S910、S911、S912そしてS913に等しい。
次に、入力画像ビットマップデータの検討対象アドレスaを、画像データの先頭に設定する(S803)。つまり、アドレスaは入力画像ビットマップデータ内の相対アドレスであり、この処理にて相対アドレスの初期値を与える。
つまり、ステップS1105及びS1106は、図8の点線で囲むサブルーチンR822と等しい。これが、同時生起確率行列よりなる配列データを作成し、そこから画像フラグビットマップデータ領域204にて不審物の画素を判定する処理である。
全ての相対位置関数δ(i)についてi個の画像フラグビットマップデータが得られたら、これらを統合演算する(S1108)。演算は全てのビットの論理積でも、全てのビットを加算して適当な閾値と比較するのでもよい。この演算処理によって、不審物領域の決定の精度が増す。
最後に不審物領域の面積と中心座標を算出して(S1109)、終了する(S1110)。
本実施形態の画像処理装置101は、主にマイクロコンピュータ上で稼動するソフトウェアよりなる。
静止画像データが画像処理装置101に入力されると、これをRAM105内の入力画像ビットマップデータ領域202に展開する。その後、同時生起確率行列のアルゴリズムにて配列データを配列データ領域203に作成する。次に、得られた配列データから閾値を算出し、この閾値を満たす数の行列に該当する画像のピクセルを、背景であるものと判断する。背景と判断された画像のピクセルの相対アドレスを、配列データから読み出して、画像フラグビットマップデータ領域204内の、該当アドレスのフラグを下ろす。
以上の処理により、静止画像データから生成した同時生起確率行列から、背景とそれ以外の部分とを判別することができる。
図12は、撮像カメラ102によって撮影された静止画像の一例である。
図3(a)の画像と比較して頂きたい。図3では船である不審物304が写っているが、図12では岸辺1202と、その上に灯台1203が写っている。これらが不審物ではないことは明らかであるが、第1の実施形態のままではこれらを不審物と誤認してしまう可能性が高い。なぜなら、これらは画像データ全体から見たらその占める面積が少ないので、背景と認識されないからである。そこで、このように不審物と誤認されるであろう箇所を、予め同時生起確率行列の作成処理の対象から外す処理が必要になる。
本実施形態にかかる画像処理装置1301は、本稼動させる前に、撮影した静止画像データに基づいて、画像データ中の特定領域を予め不審物を判定する対象から外す処理を行う。このために、図1(b)に示される第1の実施形態と比較すると、処理領域設定部1302と、表示装置1303と、入力装置1304が新たに設けられている。
表示装置1303は例えば周知のLCDディスプレイである。入力装置1304は例えば周知のマウスである。
処理領域設定部1302は、画素判定部1314から得られた結果に基づき、不審物と思しき領域を画像保存部112に保持されている画像データとオーバーラップさせて、表示装置1303へ表示する。使用者は入力装置1304を操作して、表示装置1303に表示されている静止画像と、その上にオーバーラップされた状態にて表示されている除外領域を修正する。
以上のようにして、処理領域設定部1302によって特徴量算出部1313に設定された除外領域は、特徴量算出部1313において行われる同時生起確率行列の演算の対象外となる。
図12を例にするならば、岸辺1202と灯台1203を囲むような除外領域が処理領域設定部1302にて作成され、特徴量算出部1313に保持される。特徴量算出部1313は、画像データの各ピクセルのうち、除外領域に該当するものは同時生起確率行列の演算を行わず、強制的に背景とみなす。
図13(b)は、第4の実施形態にかかる画像処理装置の全体ブロック図である。図13(b)に示す画像処理装置1311は、第3の実施形態における図13(a)の画像処理装置1301とほぼ同じである。図13(b)において、図13(a)と機能を共通にしている部分は同一符号を付し、詳細な説明は略す。
本実施形態にかかる画像処理装置1311は、図13(a)と同様に、本稼動させる前に、撮影した静止画像データに基づいて、画像データ中の特定領域を予め不審物を判定する対象から外す処理を行う。第3の実施形態と異なる点は、操作者による除外領域の修正処理を行わず、自動で設定する点にある。このために、図13(a)に示される第3の実施形態と比較すると、表示装置1303と、入力装置1304がない。また、処理領域設定部1303は、画素集合決定部1315に接続されている。
処理領域設定部1303は、画素集合決定部1315から得られた結果を、除外領域とみなし、特徴量算出部1313に設定する。
設定された除外領域は、特徴量算出部1313において行われる同時生起確率行列の演算の対象外となる。
図14(a)は本実施形態における撮像カメラの外観図を示す。また、図14(b)は、図14(a)における撮像カメラと画像処理装置との組み合わせを示すブロック図を示す。
図14(a)において、撮像カメラ102は広い範囲を監視するために、旋回装置1402に設置され、左右に回転駆動される。
図14(b)において、旋回装置1402の内部には撮像カメラ102を回転駆動させるためのモータ1403と、モータのシャフト1404に取り付けられ、撮像カメラ102と共に回転駆動される角度検出器1405が設けられている。角度検出器1405は例えば光学検出や磁気検出等によるタコジェネレータ等が挙げられる。
角度検出器1405の検出信号は画像処理装置101の主要構成部分をなすマイクロコンピュータのバス106に入力され、予め設定された所定の角度毎に、撮像カメラ102から得られる静止画像をRAM105に取り込み、前述の処理を行う。
また、第2及び第4の実施形態においては、撮像カメラ102の撮影角度毎に除外領域の設定を予め行うこととなる。
(1)マイクロコンピュータによる実装の代わりに、プログラマブル・ロジック・デバイス(Programmable Logic Device:PLD)を用いてもよい。
(2)前述の第3及び第4の実施形態においては、処理領域設定部1302及び1303にて設定した除外領域を特徴量算出部1313に反映させていた。この代わりに、除外領域を画素集合決定部1315に反映させても、同等の効果が得られる。すなわち、除外領域に該当する部分は背景であるものとみなし、画像フラグビットマップデータ領域204内の該当部分のフラグを下ろす。
(3)図2において、RAM105内部では入力画像ビットマップデータ領域202と画像フラグビットマップデータ領域204は異なる領域として記述されているが、これを一体化することもできる。
例えば、画像データを構成するピクセル毎に、輝度データとフラグデータを格納する構造体を構成する。こうすれば、ピクセル毎の絶対アドレスを直接配列データ401に格納することができるので、相対アドレスを変換する演算処理が不要になる。
(4)配列データ領域203にて構成される同時生起確率行列を表現する手法は様々なものが考えられる。例えば、リレーショナルデータベースを用いたり、非特許文献1にて周知のインタプリタ言語処理系であるperl等にて実装されている、連想配列を用いて実現できる。
また、本実施形態では判別のための技術として、同時生起確率行列を用いて判別を行う。このため、海や空など、自然現象によって生じる変化があっても、これを含めて一定の特徴を有する背景と判別することができる。
更に、本実施形態では同時生起確率行列に基づく判別として、従来技術とは異なり、予め撮影して保持している行列データとの比較を行わず、得られた行列から閾値を算出し、その閾値を基に背景か否かの判別を行う。この判別手法自体が従来技術にはない新しいアプローチである。また、従来技術にある同時生起確率行列同士の比較と比べて演算量が少ないことは容易にわかるだろう。更に、同時生起確率行列同士の比較と比べると、同時生起確率行列を予め保持する必要がないことから、予め必要とする記憶装置の記憶容量も少なく済むことも容易にわかるだろう。
したがって、本実施形態の画像処理装置を撮像カメラと組み合わせることによって、従来技術と比べると、演算量が極めて少なく、また必要とする記憶容量も少なく済み、海の波や空の雲などの自然現象も誤認識せずに背景と認識できる、優れた監視装置を提供できる。
Claims (4)
- 入力画像データが保存される画像保存部と、
前記画像保存部中の入力画像データから同時生起確率行列を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量算出部によって得られた同時生起確率行列を所定の閾値と比較して、背景か否かを決定する画素判定部と、
前記画素判定部によって得られた判定結果に基づいて、不審物等の存在の有無を出力する画素集合決定部と
よりなることを特徴とする画像処理装置。 - 前記特徴量算出部は、前記画像保存部中の入力画像データを構成する各ピクセルを示すアドレスを要素とする配列にて、同時生起確率行列を構成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 入力画像データの各ピクセルを、所定の相対位置関数にて評価するステップと、
評価ステップにて同時生起確率行列の該当する行列要素に、当該ピクセルのアドレスを格納するステップと、
作成を終了した前記同時生起確率行列を、所定の閾値にて比較するステップと、
前記比較の結果、背景か否かを判定するステップと
よりなることを特徴とする画像処理方法。 - 少なくとも一つ以上の相対位置関数を用意する機能と、
前記少なくとも一つ以上の相対位置関数を用いて、入力画像データの各ピクセルのアドレスを要素とする配列データを構成する同時生起確率行列を作成する機能と、
前記作成した同時生起確率行列を閾値と比較し、閾値に達する行列要素に含まれる入力画像データのピクセルを背景と判定する機能と
よりなることを特徴とする画像処理プログラム。
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JPH09251533A (ja) * | 1996-03-18 | 1997-09-22 | Babcock Hitachi Kk | 画像領域の抽出方法 |
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