JP2008039305A - 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムおよび蒸発器用散水装置 - Google Patents

建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムおよび蒸発器用散水装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008039305A
JP2008039305A JP2006215112A JP2006215112A JP2008039305A JP 2008039305 A JP2008039305 A JP 2008039305A JP 2006215112 A JP2006215112 A JP 2006215112A JP 2006215112 A JP2006215112 A JP 2006215112A JP 2008039305 A JP2008039305 A JP 2008039305A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot water
heat
tank
evaporator
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006215112A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeji Taira
繁治 平良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2006215112A priority Critical patent/JP2008039305A/ja
Publication of JP2008039305A publication Critical patent/JP2008039305A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B30/00Energy efficient heating, ventilation or air conditioning [HVAC]
    • Y02B30/12Hot water central heating systems using heat pumps

Abstract

【課題】ヒートポンプの特性を生かす温水循環暖房システムを提供する。
【解決手段】温水循環暖房システムは、温水を循環させて暖房を行うシステムであって、温水を溜めるタンク40と、蒸発器14により外気から熱を奪いタンク40内の温水を加熱するヒートポンプ10と、建物内に配置され温水の持つ熱を室内空気に放熱させるラジエータと、屋内暖房用循環ポンプ51と、給湯用熱交換器41と、加熱水散布装置とを備える。給湯用熱交換器41は、タンク40内に配置され、給水源から取り入れた水とタンク40内の温水との間で熱交換をさせ、水を加熱して建物の給湯配管に供給する。加熱水散布装置は、給湯用熱交換器から給湯配管に供給される加熱水を、蒸発器14に散布する。
【選択図】図1

Description

本発明は、温水循環暖房システムや蒸発器用散水装置、特に、建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムに関する。
従来から、ボイラーや電気ヒータにより温水を生成し、その温水を建物内の各室に設けられたラジエータに循環させて建物の暖房を行う温水循環暖房システムが、ヨーロッパ等の寒冷地を中心に普及している。例えば、特許文献1に開示されている空調システムでは、冷温水を供給する冷温水供給手段が住宅の屋外や地下に設置され、各室に設けられている熱交換器や床暖房装置に温水が供給され、室内の暖房を行うことができるようになっている。
特開平10−266351号公報
建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムで、温水を生成するための熱源としてヒートポンプを採用することを検討するとき、ボイラーや電気ヒータなどと較べたときのヒートポンプのメリットである熱効率の高さを生かすべきであるが、これまで実際にヒートポンプを温水循環暖房システムの熱源として採用したものはない。そして、本願の発明者は、従来のボイラーなどを熱源とする温水循環暖房システムにおいて、単にボイラーをヒートポンプに置き換えただけでは、熱効率に秀でるヒートポンプの特性を十分に生かすことができないだろうと認識している。
また、ヒートポンプは、蒸発器に霜がついた場合にはデフロストを実施する必要がある。このデフロストについても、できるだけ熱効率が下がらない方法で実施することが望まれる。
本発明の課題は、熱効率に秀でるヒートポンプの特性を十分に生かすことができる温水循環暖房システム等を提供することにある。
第1発明に係る温水循環暖房システムは、建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムであって、温水を溜めるタンクと、蒸気圧縮式のヒートポンプと、ラジエータと、循環ポンプと、給湯用熱交換器と、加熱水散布装置とを備えている。ヒートポンプは、蒸発器により外気から熱を奪い、タンク内の温水に熱を供給する。ラジエータは、建物内に配置され、温水の持つ熱を建物内の空気に放熱させる。循環ポンプは、タンクからラジエータへと温水を流し、ラジエータで放熱を行った温水を再びタンクへと戻す。給湯用熱交換器は、タンク内に配置され、給水源から取り入れた水とタンク内の温水との間で熱交換をさせ、水を加熱して建物の給湯配管に供給する。加熱水散布装置は、給湯用熱交換器から給湯配管に供給される加熱水を、ヒートポンプの蒸発器の外表面に散布する。なお、タンクに溜めて循環ポンプによりラジエータとの間で循環させる温水は、液体であればよく、水(H2O)でなくてもよい。
ここでは、ヒートポンプの作動によってタンク内の温水が加熱される。これにより、タンクには、例えば70℃といった高温の温水が溜められる。この高温の温水を循環ポンプの作動によって建物内にあるラジエータに送ると、温水の熱が建物内の空気に移動し、居室などが暖房される。そして、温度が下がった温水が、再びタンクに戻ることになる。この温度が下がった温水は、ヒートポンプの作動で再び高温にされる。一方、タンク内には給湯用熱交換器が配備され、給水源から取り入れられた水が、給湯用熱交換器を通るときにタンク内の温水から熱を奪い、加熱水となって建物の給湯配管に流れていく。この給湯配管に流れた加熱水は、シャワーや浴槽などに供給されることになる。また、給湯配管に流れた加熱水は、加熱水散布装置により、ヒートポンプの蒸発器の外表面に散布される。この散布は、所定条件のときに行われるものであってもよいし、定期的に行われるものであってもよい。
ところで、ヒートポンプの特性として、一般に、加熱対象の温度変化範囲が広いほどヒートポンプの熱効率が向上することが挙げられる。例えば、タンクの温水について、40℃の温水を70℃まで加熱する場合のヒートポンプの熱効率よりも、10℃の温水を70℃まで加熱する場合のヒートポンプの熱効率のほうが、かなり大きくなる(図7および図8参照)。
これに鑑み、この温水循環暖房システムでは、建物内のラジエータに送って暖房を行うためにタンクに溜めている温水の熱を奪って、その熱を給湯に利用している。具体的には、タンク内に給湯用熱交換器を設置し、水道などの給水源からの水が給湯用熱交換器を通るときにタンク内の温水の熱を奪うように構成している。これにより、タンク内の温水の温度が下がるため、その温度から例えば70℃まで温水を加熱するヒートポンプは、非常に高い熱効率で温水の加熱を行うことができるようになる。これにより、省エネルギー化を図ることができる。さらに、従来、ガスなどを燃焼させて給湯を行っていたとすると、ここでは、ガス給湯機が不要になるとともにガス使用量も低減され、その分の給湯に係る仕事を熱効率の高いヒートポンプで受け持つことになるため、さらなる省エネルギー化が達成できる。
また、ここでは、給湯配管に流れた加熱水を利用して、加熱水散布装置によりヒートポンプの蒸発器の外表面に加熱水を散布する構成を採用しているため、ヒートポンプの冷凍サイクルを逆転させて蒸発器を放熱器として作用させるデフロスト運転を行ってヒートポンプの熱効率を悪化させたり別の電気ヒータなどによって蒸発器に付いた霜を溶かして電気消費量を上げたりする省エネルギーに反した方法を採らなくてもよくなる。これにより、さらなる省エネルギー化を図ることができる。
第2発明に係る温水循環暖房システムは、第1発明の温水循環暖房システムであって、加熱水散布装置は、加熱水を定期的に蒸発器に散布する。
第3発明に係る温水循環暖房システムは、第1発明の温水循環暖房システムであって、加熱水散布装置は、加熱水の一部を蒸発器に散布する。
第4発明に係る温水循環暖房システムは、第1発明の温水循環暖房システムであって、加熱水散布装置は、蒸発器に霜取りが必要なときに、加熱水を蒸発器に散布する。
ここでは、蒸発器の霜取りが不要なときには加熱水の散布が行われないため、タンク内の温水の熱が無駄に消費されてしまうことが抑えられる。
第5発明に係る温水循環暖房システムは、第1〜第4のいずれかの温水循環暖房システムであって、ヒートポンプは、二酸化炭素を冷媒とする。
これまで、ヒートポンプ内の冷凍サイクルにおいて熱エネルギーを運ぶ媒体(冷媒)としてフルオロカーボンが広く使われているが、今後は、二酸化炭素を冷媒として採用する傾向が出てきている。しかし、一般に、フルオロカーボンを冷媒とする場合に較べて、二酸化炭素を冷媒とする場合には、加熱対象の加熱前の温度が比較的高くなってくると、熱効率の落ち込みが激しくなる。ここでは、外気条件や加熱後の温水の温度によっても差が出るが、例えば加熱前の温水の温度が50℃ぐらいの場合、ハイドロクロロフルオロカーボンの1つであるR410Aと呼ばれる冷媒に較べ、二酸化炭素を冷媒として使うときには、熱効率(COP)が半分近くに落ち込んでしまうこともある。したがって、第1〜第4発明は、二酸化炭素を冷媒とするヒートポンプを採用する温水循環暖房システムにおいて、特に有用となる。
第6発明に係る温水循環暖房システムは、第1〜第4発明のいずれかの温水循環暖房システムであって、ヒートポンプは、冷媒として、フロン系冷媒を用いる。フロン系冷媒は、例えば、HFC系冷媒であるR410Aと称される冷媒、R407Cと称される冷媒、R32と称される冷媒などである。
第7発明に係る温水循環暖房システムは、第1〜第4発明のいずれかの温水循環暖房システムであって、ヒートポンプは、冷媒として、フロン系冷媒であってGWPが200以下の冷媒を用いる。GWPは、地球温暖化係数(Global Warming Potential)であり、二酸化炭素を基準にした値で温室効果ガスが100年間に及ぼす温暖化の効果を示すものである。
第8発明に係る温水循環暖房システムは、第1〜第4発明のいずれかの温水循環暖房システムであって、ヒートポンプは、冷媒として、自然系冷媒であるHC系冷媒を用いる。自然系冷媒であるHC系冷媒は、例えば、プロパンやブタンである。
第9発明に係る蒸発器用散水装置は、蒸発器を有するヒートポンプによってタンク内に溜められ建物において使用される温水を加熱するシステムに含まれる。この蒸発器用散水装置は、加熱水通路と、散水部とを備えている。加熱水通路は、タンクの内部に配置された給湯用熱交換器において、給水源から取り入れられタンク内の温水から熱を奪って加熱された加熱水を、蒸発器へと導く。散水部は、加熱水通路により蒸発器の近くに導かれた加熱水を、蒸発器に向けて散水する。
ここでは、給湯用熱交換器により生成される加熱水を利用して、加熱水散水装置によりヒートポンプの蒸発器に加熱水を散水する構成を採用しているため、ヒートポンプの冷凍サイクルを逆転させて蒸発器を放熱器として作用させるデフロスト運転を行ってヒートポンプの熱効率を悪化させたり別の電気ヒータなどによって蒸発器に付いた霜を溶かして電気消費量を上げたりする省エネルギーに反した方法を採らなくてもよくなる。これにより、省エネルギー化を図ることができる。
第10発明に係る蒸発器用散水装置は、第9発明の装置であって、給湯用熱交換器は、伝熱管として、ステンレス管を用いている。
第11発明に係る蒸発器用散水装置は、第9発明の装置であって、給湯用熱交換器は、伝熱管として、銅管を用いている。
第12発明に係る蒸発器用散水装置は、第9発明の装置であって、給湯用熱交換器は、加熱水を建物の給湯配管に供給するものである。そして、加熱水通路は、給湯配管とは別に設けられている。
第13発明に係る蒸発器用散水装置は、第12発明の装置であって、給湯配管および加熱水配管は、それぞれ、開閉弁を有している。
第1〜第3発明によれば、タンク内の温水の温度が下がってヒートポンプの熱効率が上がり、省エネルギー化を図ることができるとともに、タンク内の給湯用熱交換器を介してタンク内の温水の熱により暖められた加熱水をヒートポンプの蒸発器に散布できるように構成したため、ヒートポンプの蒸発器に霜取りが必要な場合にタンク内の温水の熱を利用して霜を溶かすことができるようになり、さらなる省エネルギー化を図ることができる。
第4発明によれば、タンク内の温水の熱が無駄に消費されてしまうことが抑えられる。
第9発明によれば、給湯用熱交換器により生成される加熱水を利用してヒートポンプの蒸発器の霜を溶かすことが可能になるため、省エネルギー化を図ることができる。
<温水循環暖房システムの主要構成>
本発明の一実施形態に係る温水循環暖房システムの構成を、図1〜図3に示す。温水循環暖房システムは、建物において温水を循環させて暖房を行うとともに給湯機能を持つシステムであって、温水を溜めるタンク40と、居室内ラジエータ61a,62aと、トイレ内放熱器69b,69c,69eと、屋内暖房用循環ポンプ51と、温水を加熱するための蒸気圧縮式のヒートポンプ10と、温水加熱用循環ポンプ25と、給湯用熱交換器41と、加熱水散布装置75と、コントロールユニット20とを備えている。
居室内ラジエータ61a,62aは、建物の居室61,62に配置され、温水の持つ熱を居室61,62の室内空気に放熱させる。
トイレ内放熱器69b,69c,69eは、建物のトイレ69に配置され、温水の持つ熱をトイレ69内で放熱させる。
屋内暖房用循環ポンプ51は、タンク40から居室内ラジエータ61a,62aおよびトイレ内放熱器69b,69c,69eへと温水を流し、居室内ラジエータ61a,62aおよびトイレ内放熱器69b,69c,69eで放熱を行った温水を再びタンク40へと戻す。タンク40を出た温水は、居室内ラジエータ61a,62aを流れた後、トイレ内放熱器69b,69c,69eを流れて、タンク40へと戻る。
ヒートポンプ10は、圧縮機11、放熱器12、膨張弁13および蒸発器14を有し、蒸発器14により外気から熱を奪い、放熱器12から放出する熱によってタンク40から流れてくる温水を加熱する。
温水加熱用循環ポンプ25は、タンク40からヒートポンプ10の放熱器12へと温水を流し、ヒートポンプ10の放熱器12から再びタンク40へと温水を戻す。
給湯用熱交換器41は、タンク40内に配置され、給水源から取り入れた水とタンク40内の温水との間で熱交換をさせ、水を加熱して建物の給湯配管72に供給する。給湯用熱交換器41で加熱され給湯配管72に供給される水を、以下、加熱水と称する。なお、給水源から取り入れられ給湯配管72に供給される水と、タンク40内の温水とは、互いに混ざり合うことはない。
加熱水散布装置75は、給湯用熱交換器41から給湯配管72に供給される加熱水を、ヒートポンプ10の蒸発器14の外表面に散布する装置である。
なお、タンク40に溜められ、屋内暖房用循環ポンプ51や温水加熱用循環ポンプ25により閉じたループを循環する温水は、ここでは普通の水を用いているが、液体であればよく、必ずしも水(H2O)でなくてもよい。屋内暖房用循環ポンプ51や温水加熱用循環ポンプ25の動力を低減でき、循環ルートとなる配管52,31などのサイズを水(H2O)よりも小さくすることができる液体があれば、その液体を用いることが望ましい。
<温水循環暖房システムの概略動作>
温水循環暖房システムでは、温水加熱用循環ポンプ25の作動によりタンク40からヒートポンプ10の放熱器12に流れてくる温水を、ヒートポンプ10の作動により放熱器12から放出される熱を使って加熱する。これにより、ヒートポンプ10からタンク40へは、約70℃の高温の温水が戻される。一方、タンク40内の温水は、屋内暖房用循環ポンプ51の作動により、居室61,62にある居室内ラジエータ61a,62aやトイレ69にあるトイレ内放熱器69b,69c,69eに送られる。温水の熱は、居室61,62の室内空気やトイレ内放熱器69b,69c,69eの周囲に移動し、居室61,62が暖房され、トイレ69においてもトイレタンク69a内の洗浄水や便座69dなどが暖められる。そして、約10℃〜20℃に温度が下がった温水が、再びタンク40に戻されてくる。この温度が下がった温水は、ヒートポンプ10の作動によって再び高温にされる。
このように、ここでは、配管31で接続されるタンク40とヒートポンプ10とを循環する第1のループと、配管52で接続されるタンク40と居室内ラジエータ61a,62aやトイレ内放熱器69b,69c,69eとを循環する第2のループとが形成されており、それぞれのループを温水が循環する。これにより、ヒートポンプ10の作動によって屋外から集めた熱や圧縮機11の作動により生じた熱が、タンク40に溜められた温水を介して、最終的には居室61,62の室内空気やトイレ69の各部に移動することになる。
また、タンク40内には給湯用熱交換器41が配備されており、給水源から取り入れられた水が、給湯用熱交換器41を通るときにタンク40内の温水から熱を奪って加熱水となり、建物の給湯配管72に流れていく。この給湯配管72に流れた加熱水は、シャワー73や浴槽74などで使用されることになる。さらに、給湯配管72に流れた加熱水の一部は、加熱水散布装置75により、ヒートポンプ10の蒸発器14の外表面に散布される。この散布は、ヒートポンプ10の蒸発器14に霜がつく所定条件のときに、定期的に行われる。
<タンク40の詳細構成>
タンク40は、屋内に設置されている。タンク40には、複数の異なる高さ位置において温水の温度を計測する目的で、複数の温度センサ(サーミスタ)40a〜40eが設けられている。タンク40内の温水は、自然と、上部が高温、下部が低温となる。ヒートポンプ10で加熱された高温の温水は、図1に示すように、タンク40の高さ方向の中央付近に戻される。ヒートポンプ10へは、タンク40の下部から低温の温水が向かうことになる。一方、居室61,62にある居室内ラジエータ61a,62aなどへは、タンク40の上部や中央部から温水が向かうことになり、トイレ内放熱器69b,69c,69eから戻ってくる低温の温水は、タンク40の下部や中央部に戻される。
また、タンク40には、上述の給湯用熱交換器41のほかに、ヒートポンプ10の加熱能力が足りない場合に使用するブースターヒータ42が配備されている。このブースターヒータ42は、電気ヒータであり、後述する総合コントローラ29がタンク40内の温水の温度を上げる必要があり且つヒートポンプ10の加熱能力だけでは所望の温水の温度上昇が見込めないと判断したときに作動して、タンク40内の温水をヒートポンプ10とともに加熱する。
<ヒートポンプ10の詳細構成>
ヒートポンプ10は、屋外に設置されており、冷媒配管15により接続され冷凍サイクルを構成する圧縮機11、放熱器12、膨張弁(電動膨張弁)13および蒸発器14と、蒸発器14に外気を当てるためのファン17と、ヒートポンプ制御ユニット19とを備えている。冷凍サイクル内を流れる冷媒として、ヒートポンプ10では、二酸化炭素(以下、CO2冷媒と称する)を採用している。このため、ヒートポンプ10では、CO2冷媒が放熱器12において超臨界状態となる。冷凍サイクルにおいて、CO2冷媒は、圧縮機11で臨界圧力を超える圧力まで圧縮され(図8のA点からB点への移行を参照)、放熱器12で冷却されて段々と温度が下がり超臨界状態から液体状態に移行し(図8のB点からC点への移行を参照)、膨張弁13で減圧され(図8のC点からD点への移行を参照)、蒸発器14で蒸発して気体となって再び圧縮機11に吸入される(図8のD点からA点への移行を参照)。
放熱器12は、タンク40から延びる配管31と接続される伝熱管と、冷媒配管15と接続されCO2冷媒が流れる伝熱管とから構成されており、一方の伝熱管が他方の伝熱管の外周面に螺旋状に巻き付けられる。これにより、放熱器12では、圧縮されて高圧高温となっている臨界状態のCO2冷媒と、タンク40から流れてきた低温の温水との間で熱交換が行われ、CO2冷媒から温水へと熱が移動し、温水が加熱される。
<暖房のためのラジエータ等の屋内放熱器の詳細構成>
居室内ラジエータ61a,62aは、図2に示すように、建物の居室61,62に配置され、タンク40から流れてきた温水の持つ熱を居室61,62の室内空気に放熱させる役割を果たす。ここでは、2つの居室内ラジエータ61a,62aを例示しているが、数量を限定する趣旨ではない。また、居室内ラジエータ61a,62aの形態も、窓際に配置されるものであってもよいし、床下に埋め込まれるものであってもよい。さらに、居室内ラジエータ61a,62aは、ここでは直列に配置しているが、並列に配置してもよい。
トイレ内放熱器69b,69c,69eは、トイレタンク内放熱部69bと、便座内放熱部69eと、トイレ内ラジエータ69cとから成り、トイレ69の各部において温水の熱を取り込む。トイレタンク内放熱部69bは、トイレ69において洗浄水を溜めるトイレタンク69aの内部に設けられており、温水の持つ熱をトイレタンク69a内の洗浄水に放熱させる。便座内放熱部69eは、トイレ69の便座69dの内部に設けられており、温水の持つ熱を便座69dに放熱させる。トイレ内ラジエータ69cは、温水の持つ熱をトイレ69の中の空気に放熱させる。
また、タンク40、居室内ラジエータ61a,62aおよびトイレ内放熱器69b,69c,69eを結んでループを形成させる配管52には、暖房温水往き温度センサ52a、暖房温水戻り温度センサ52b、温水流量調整弁53,54,55が設けられている。
<給湯機能に関する詳細構成>
(通常給湯に関する構成)
タンク40に配備されている給湯用熱交換器41は、伝熱管として銅管あるいはステンレス管を使用する水熱交換器であって、図3に示すように、給水源(水道)から延びる給水配管71と、シャワー73や浴槽74に湯を供給するための給湯配管72とが接続されている。給水配管71は、常温の水を、給湯用熱交換器41の下端に入れる。給水配管71より給湯用熱交換器41に入った常温水は、上に移動しながらタンク40内の温水から熱を奪い、加熱された高温の加熱水となって給湯配管72へと排出される。給水配管71には給水配管温度センサ71aが、給湯配管72には給湯配管温度センサ72aが、それぞれ設けられている。例えば、給水配管温度センサ71aは5℃という水道水の温度を検出し、給湯配管温度センサ72aは45℃という加熱水の温度を検出する。また、給湯配管72には、電磁弁である給湯用バルブ(開閉操作弁)72aが設置されている。
なお、図示を省略しているが、シャワー73や浴槽74に供給される加熱水は、混合弁により水道水と混ぜられ、温度調整されてシャワー73や浴槽74に送られる。
(デフロストのための給湯利用構成)
上述の加熱水散布装置75は、給湯用熱交換器41で加熱されて給湯配管72に供給された加熱水を、屋外のヒートポンプ10の蒸発器14のほうへ導き、蒸発器14の表面に散布する。この加熱水散布装置75は、給湯配管72から分岐して屋外に延びる散布用配管76と、散布用配管76の途中に設けられるデフロスト用バルブ(開閉操作弁)77と、散布用配管76の先端部分に設けられ蒸発器14に向けて加熱水を散布するデフロスト用ノズル78とから構成されている。後述するが、加熱水散布装置75は、蒸発器14の霜取りが必要なときに、加熱水の一部を、所定周期で蒸発器14に向けて散布する。デフロスト用バルブ77は、上述の給湯用バルブ72aと同じく電磁弁であり、総合コントローラ29の指令に基づいて蒸発器14への散水が必要なときに開けられる。
<コントロールユニット20の詳細構成>
総合コントローラ29は、図1および図4に示すように、ヒートポンプ10に付随する機器およびタンク40に付随する機器を、外部から入力される信号に基づいて制御する。総合コントローラ29は、三方弁21,22や温水加熱用循環ポンプ25とともにケーシングの中に収められ、1つのコントロールユニット20を形成している(図1参照)。
三方弁21,22は、タンク40の高さ方向のどの部分から温水を引き出して居室内ラジエータ61a,62aなどへ送り出すかや、トイレ内放熱器69b,69c,69eから戻ってくる低温の温水をタンク40の高さ方向のどの部分へ戻すかを調整するために設けられている。これらの三方弁21,22は、総合コントローラ29からの指示によって作動する。
総合コントローラ29は、三方弁21,22のほか、ブースターヒータ42、ヒートポンプ制御ユニット19、屋内暖房用循環ポンプ51、温水加熱用循環ポンプ25、温水流量調整弁53〜55、デフロスト用バルブ77、などを制御する。また、総合コントローラ29は、暖房温水往き温度センサ52a、暖房温水戻り温度センサ52b、タンク40の温度センサ40a〜40e、給水配管温度センサ71a、給湯配管温度センサ72aなどから計測結果の信号を受けるとともに、居室61,62などに配備されたリモコン/サーモスタット91から室内温度や室内設定温度の情報などを受ける。
<躯体蓄熱を利用した省エネ制御について>
この温水循環暖房システムは、煉瓦や石といった蓄熱性の高い材料で外壁などが構成されている住宅等の建物に設置する場合に備え、総合コントローラ29に、躯体蓄熱利用省エネルギー制御(以下、躯体蓄熱利用省エネ制御と称す)を持たせている。この躯体蓄熱利用省エネ制御を使う場合には、極めて高いレベルの省エネルギー運転を行わせることができる。
図5および図6に、躯体蓄熱利用省エネ制御の簡略化した制御フローを示す。ここでは、この制御フローに基づいて、躯体蓄熱利用省エネ制御について説明を行う。
ステップS11では、まず、暖房温水戻り温度センサ52bの計測値である暖房温水戻り温度Tinが第1設定温度T1よりも大きいかについて判定する。第1設定温度T1は、水道水の温度などを基準に決めることが考えられるが、例えば、20℃にセットされる。ステップS11で「No」という判定をした場合には、ステップS12以降に進まない。これは、十分に温度が低下した温水がタンク40に戻っており、ヒートポンプ10の熱効率を高く保つことができると判断されるからである。ステップS11で「Yes」という判定をした場合には、ステップS12に進む。
ステップS12では、リモコン/サーモスタット91から受信した室内温度Trmが第2設定温度T2よりも大きいかについて判定する。第2設定温度T2は、例えば、リモコン/サーモスタット91から受信しているユーザーによる室内設定温度より少し高い温度にセットされる。ステップS12で「No」という判定をした場合には、ステップS13以降に進まず、ステップS11に戻る。これは、室内温度がユーザーの設定温度を下回っているような場合にヒートポンプ10の能力を落とすと、さらに室内温度が下がってしまうためである。ステップS12で「Yes」という判定をした場合には、ステップS13に進む。
ステップS13では、ヒートポンプ10の圧縮機11がインバータ圧縮機であるか定速圧縮機であるかを判定する。インバータ圧縮機の場合には、ステップS14に進み、インバータの周波数を設定可能な最小の周波数にセットする。一方、定速圧縮機の場合には、ステップS15に進み、圧縮機11の運転を停止する。さらに、ステップS14,S15に続き、ステップS16において、温水流量調整弁53の開度を小さくして、タンク40と居室内ラジエータ61a,62aやトイレ内放熱器69b,69c,69eとの間を循環する暖房のための温水の量を、ゼロ、あるいはゼロに近づける。このように循環量を絞ることにより、圧縮機11が消費するエネルギー量が小さくなる。しかし、タンク40から居室内ラジエータ61a,62aへと送り出される温水の量も少なくなるため、タンク40内の温水の温度はそれほど低下しない。また、蓄熱性の高い建物であれば、躯体も含めて建物内が一度暖まってしまえば、ヒートポンプ10の能力を落としても、しばらくは暖かさが保たれる。
ステップS16の後、ステップS17に移行する。ステップS17では、室内温度Trmが第3設定温度T3を下回っていないかについて判定する。第3設定温度T3は、第2設定温度T2よりも低い温度であり、通常は、リモコン/サーモスタット91から受信しているユーザーによる室内設定温度より少し低い温度にセットされる。ステップS16で「No」という判定をした場合には、次のステップS18に進まない。これは、ヒートポンプ10の能力を上げなくても、躯体に蓄積されている熱によって建物内の暖かさを保つことができるからである。
ステップS17で「Yes」という判定をした場合には、ステップS18でタイマーをスタートさせて、ステップS19に進む。ステップS19では、室内温度Trmが第3設定温度よりも大きくなっているかについて判定する。ステップS19で「Yes」と判定した場合には、ステップS17に戻る。ステップS19で「No」と判定した場合には、ステップS20に進み、タイマースタート後に一定時間が経過したかについて判定する。ステップS20で「No」と判定した場合には、ステップS19に戻る。ステップS17の後、再び室内温度Trmが第3設定温度T3よりも大きくなっていれば、ヒートポンプ10の能力を上げる必要がなく、室内温度Trmが一定時間継続して第3設定温度T3よりも小さい場合にだけヒートポンプ10の能力を上げるようにすることが望まれるため、これらのステップS18〜S20の処理が行われている。
室内温度Trmが第3設定温度T3よりも小さい状態が一定時間継続している場合には、ステップS20で「Yes」と判定され、ステップS21に進む。ステップS21では、ステップS14あるいはステップS15とステップS16とで行った処理をキャンセルする。すなわち、ステップS21では、圧縮機11が定速圧縮機の場合には圧縮機11の運転を再開させ、圧縮機11がインバータ圧縮機の場合には、圧縮機11の周波数を通常の制御に従わせるようにし、設定可能な最小の周波数にセットしていたステップS14の処理を解除する。また、ステップS21では、温水流量調整弁53の開度を大きくする。これにより、第3設定温度T3よりも小さくなっていた室内温度Trmは、徐々に上昇していくことになる。
<ヒートポンプ10のデフロスト運転について>
上述のように、加熱水散布装置75は、給湯用熱交換器41でタンク40内の温水の熱を奪って給湯配管72に供給された加熱水を、屋外のヒートポンプ10の蒸発器14のほうへ導き、蒸発器14の表面に散布する。この散布は、蒸発器14の霜取りが必要なときに、ヒートポンプ制御ユニット19と信号の送受信を行う総合コントローラ29からの指示により、デフロスト用バルブ77が開閉することで、所定周期で実施される。これにより、蒸発器14に付いた霜が溶かされ、ヒートポンプ10の熱効率が向上する。
なお、霜取りが必要なときの考え方については、従来のフルオロカーボンを冷媒として用いる冷凍サイクルにおける考え方と同じである。
<温水循環暖房システムの特徴>
(1)
本システムでは、タンク40の温水を温水加熱用循環ポンプ25によってヒートポンプ10へと導き、ヒートポンプ10で加熱した温水を再びタンク40へと戻す構成を採り、ヒートポンプ10を屋外に、タンク40を屋内に設置している。このため、タンク40が屋外の冷たい空気に曝されず、タンク40内の温水の温度低下が抑えられるとともに、ヒートポンプ10で屋外の空気(外気)から熱を汲み上げることができるようになっている。したがって、本システムでは、効率よく大量の高温度の温水をタンク40に確保することができている。
(2)
本システムでは、ヒートポンプ10やタンク40に付随する各機器(三方弁21,22、ブースターヒータ42、ヒートポンプ制御ユニット19、圧縮機11、膨張弁13、屋内暖房用循環ポンプ51、温水加熱用循環ポンプ25、温水流量調整弁53〜55、デフロスト用バルブ77、など)を、居室61,62などに配備されたリモコン/サーモスタット91から受信する室内温度や室内設定温度の情報、タンク40の温度センサ40a〜40eからの情報、などに基づいて、総合コントローラ29が制御している。これにより、ヒートポンプ10を最適に運転させることができている。
(3)
居室61,62等の室内温度が上がってくると、建物の躯体温度も上昇し、温水循環暖房システムの能力を小さくしても居室61,62の室内温度を維持することができる状態に移る。
これに鑑み、圧縮機11が定速圧縮機であるとき、本システムでは、図5および図6の制御フローに示すように、居室内ラジエータ61a,62aからタンク40へと戻ってくる温水の温度Tinが第1設定温度T1よりも高く、且つ、居室61,62の室内温度Trmが第2設定温度T2よりも高い場合に、圧縮機11を止めてヒートポンプ10の運転を停止させるようにしている。これにより、省エネルギー化を図ることができている。また、ヒートポンプ10の運転を止め続けていると、躯体の蓄熱があったとしても、だんだんと居室61,62の室内温度Trmが下がってくるため、室内温度Trmが第3設定温度T3を一定時間継続して下回ったときには、ヒートポンプ10の圧縮機11の運転を再開させている。これにより、省エネルギー化を図りつつ、居室61,62の室内温度Trmが下がりすぎないようにすることができている。
同様に、圧縮機11がインバータ圧縮機であるとき、本システムでは、図5および図6の制御フローに示すように、居室内ラジエータ61a,62aからタンク40へと戻ってくる温水の温度Tinが第1設定温度T1よりも高く、且つ、居室61,62の室内温度Trmが第2設定温度T2よりも高い場合に、圧縮機11のインバータの周波数を設定可能な最小の周波数にセットしてヒートポンプ10の能力を落とすようにしている。これにより、省エネルギー化を図ることができている。また、ヒートポンプ10の能力を低く抑え続けていると、躯体の蓄熱があったとしても、だんだんと居室61,62の室内温度Trmが下がってくるため、室内温度Trmが第3設定温度T3を一定時間継続して下回ったときには、圧縮機11のインバータの周波数を通常制御に従う状態に戻している。これにより、省エネルギー化を図りつつ、居室61,62の室内温度Trmが下がりすぎないようにすることができている。
なお、上記の本システムの特徴は、一度暖まれば冷めにくい躯体蓄熱量の大きな住宅等の建物において、特に有効となる。
(4)
ヒートポンプの特性として、一般に、加熱対象の温度変化範囲が広いほどヒートポンプの熱効率が向上することが挙げられる。これを本システムに当てはめると、例えば、タンク40の温水について、40℃の温水を70℃まで加熱する場合のヒートポンプ10の熱効率よりも、10℃の温水を70℃まで加熱する場合のヒートポンプ10の熱効率のほうが、かなり大きくなる(図7および図8参照)。
図7に示すように、40℃の温水を70℃まで加熱する場合には、圧縮機11の仕事量に相当するH1に対して蒸発器14によって外気から取り込まれる分に相当するH3が比較的小さな値となっているのに較べ、図8に示すように、10℃の温水を70℃まで加熱する場合には、圧縮機11の仕事量に相当するH1に対して蒸発器14によって外気から取り込まれる分に相当するH2が比較的大きな値となっている。前者の場合、圧縮機11に供給する電気エネルギーを生成するときの発電効率まで考慮すると、消費エネルギーの1.0倍未満の熱しか発生しないことになるが、後者の場合、消費エネルギーの1.2〜1.4倍の熱を発生することになる。
このように、ヒートポンプ、特に、CO2冷媒を採用する本システムのヒートポンプ10においては、タンク40から放熱器12へと流れてくる加熱前の温水の温度を下げることが、熱効率の向上に大きく寄与することになる。
これに鑑み、本システムでは、居室ではないトイレ69にも放熱器(トイレ内放熱器69b,69c,69e)を配備し、タンク40を出た温水が居室内ラジエータ61a,62aを流れた後に、少なくともいずれかのトイレ内放熱器69b,69c,69eを流れるように構成している。これにより、例えば、70℃で居室内ラジエータ61a,62aに入り40℃で居室内ラジエータ61a,62aを出た温水が、トイレ内放熱器69b,69c,69eを通ることによって温度を下げ、タンク40に戻るときに例えば10℃まで温度が下がった状態になる。すなわち、タンク40に戻る温水の温度が非常に小さくなり、その温度から例えば70℃まで温水を加熱するヒートポンプ10は、非常に高い熱効率で温水の加熱を行うことができるようになっている。
また、本システムでは、従来において暖房システムとは別に設置していたトイレ69内の電気ヒータなどを省略することができる。そして、その分のトイレ69内の加熱仕事を電気ヒータよりも熱効率の高いヒートポンプ10で受け持つことにしているため、さらなる省エネルギー化を達成することができている。
なお、トイレ内放熱器69b,69c,69eとして、トイレ内ラジエータ69cだけではなく、洗浄水を溜めるトイレタンク69aの内部に設けられるトイレタンク内放熱部69bや、便座69dの内部に設けられる便座内放熱部69eを配備して、温水の温度の低下を促進させる工夫をしているため、必然的にタンク40に戻る温水の温度が非常に小さくなっている。
(5)
加熱対象の温度変化範囲が広いほど熱効率が向上するというヒートポンプの特性に鑑み、本システムでは、さらに、タンク40内に給湯用熱交換器41を設置するという構成を採っている。これにより、ガス給湯機などの別の給湯機を不要にするとともに、ヒートポンプ10が高い熱効率を保つようになっている。
すなわち、本システムでは、居室61,62の居室内ラジエータ61a,62aに送って暖房を行うためにタンク40に溜めている温水の熱を奪って、その熱を給湯に利用している。具体的には、タンク40内に給湯用熱交換器41を設置し、給水源からの水が給湯用熱交換器41を通るときにタンク40内の温水の熱を奪うように構成している。これにより、タンク40内の温水の温度が下がり、その温度から例えば70℃まで温水を加熱するヒートポンプ10は、非常に高い熱効率で温水の加熱を行うことができるようになっている。
(6)
さらに、本システムでは、タンク40内の給湯用熱交換器41から給湯配管72に排出(供給)された加熱水の一部を利用して、加熱水散布装置75によりヒートポンプ10の蒸発器14の外表面に加熱水を散布する構成を採用している。加熱水は、少なくとも40℃以上になるため、蒸発器14についた霜を溶かすことができる。
このように、タンク40内の熱を利用して生成された加熱水によって蒸発器14の霜取りを行うようにしているため、従来のように冷凍サイクルを逆転させて蒸発器14を放熱器として作用させるデフロスト運転を行ってヒートポンプ10の熱効率を悪化させたり、別の電気ヒータなどによって蒸発器14に付いた霜を溶かして電気消費量を上げたりすることがなくなる。このため、本システムでは、さらなる省エネルギー化が達成できている。
なお、蒸発器14の霜取りが不要なときには、総合コントローラ29から加熱水散布の指示が出されない。このため、タンク40内の温水の熱が無駄に消費されてしまうことはない。
<変形例>
(A)
上記の温水循環暖房システムでは、居室ではないトイレ69にも放熱器(トイレ内放熱器69b,69c,69e)を配備し、タンク40を出た温水が居室内ラジエータ61a,62aを流れた後に、少なくともいずれかのトイレ内放熱器69b,69c,69eを流れるように構成しているが、この構成に代えて以下のような構成を採っても、ヒートポンプ10を高い熱効率で稼働させることができる。
ここでは、図9に示すように、タンク40を出た温水が居室内ラジエータ61a,62aを流れた後に、窓枠放熱器61b,62bを流れ、そこからタンク40に戻されるように屋内の温水循環経路を形成している。窓枠放熱器61b,62bは、建物の窓65,66の窓枠に形成され、温水の持つ熱を窓65,66の近傍の空気(窓65,66の屋内側の空気や窓65,66の屋外側の空気)に放熱させるものである。窓枠放熱器61b,62bは、窓枠の内部に収納された配管であってもよいし、ガラス窓の保持と温水の流路とを兼用する窓枠自身であってもよい。温水循環暖房システムの他の構成については、図1,図3および図4に示す上述の構成と同じである。
この温水循環暖房システムにおいても、ヒートポンプ10の作動によってタンク40内の温水が加熱され、この温水が屋内暖房用循環ポンプ51の作動によって居室61,62にある居室内ラジエータ61a,62aや窓枠放熱器61b,62bに送られる。すると、温水の熱が居室61,62の室内空気や窓枠放熱器61b,62bの周囲の空気に移動し、居室61,62が暖房される。そして、温度が下がった温水は、再びタンク40に戻る。この温度が下がった温水は、ヒートポンプ10の作動で再び高温にされる。
そして、建物の窓65,66の窓枠に窓枠放熱器61b,62bを設置し、タンク40を出た温水が居室内ラジエータ61a,62aを流れた後に窓枠放熱器61b,62bを流れるように構成しているため、例えば、70℃で居室内ラジエータ61a,62aに入り40℃で居室内ラジエータ61a,62aを出た温水が、窓枠放熱器61b,62bを通ることによってさらに温度を下げ、タンク40に戻るときには例えば10℃まで温度が下がった状態になる。すると、タンク40に戻る温水の温度が非常に小さくなり、その温度から例えば70℃まで温水を加熱するヒートポンプ10は、非常に高い熱効率で温水の加熱を行うことができるようになる。
さらに、本システムの場合、従来は窓65,66から降りてきていた冷気の温度が、窓枠放熱器61b,62bから放出される熱によって緩和され、居室61,62の中の温度低下が抑えられたり、居室61,62の中の各部における温度偏差が抑えられたりするという有用な効果も得られる。
(B)
上記の温水循環暖房システムでは、ヒートポンプ10の冷媒としてCO2冷媒を用いているが、本発明は、R410A,R407C,R32などのHFC系のフロン系冷媒を用いる温水循環暖房システムにおいても、GWP(Global Warming Potential)が200以下のフロン系冷媒を用いる温水循環暖房システムにおいても、プロパンやブタンといったHC系の自然系冷媒を用いる温水循環暖房システムにおいても、有効である。
本発明の一実施形態に係る温水循環暖房システムの構成の一部を示す図。 温水循環暖房システムの構成の一部を示す図。 温水循環暖房システムの構成の一部を示す図。 温水循環暖房システムの制御ブロック図。 躯体蓄熱利用省エネルギー制御のフローを示す図。 躯体蓄熱利用省エネルギー制御のフローを示す図。 暖房に供された温水のタンク40への戻り温度が高い場合のヒートポンプサイクルを示す図(T−h線図)。 暖房に供された温水のタンク40への戻り温度が低い場合のヒートポンプサイクルを示す図(T−h線図)。 変形例(A)の温水循環暖房システムの構成の一部を示す図。
符号の説明
10 ヒートポンプ
14 蒸発器
40 タンク
41 給湯用熱交換器
51 屋内暖房用循環ポンプ(循環ポンプ)
61a,62a 居室内ラジエータ(ラジエータ)
69c トイレ内ラジエータ(ラジエータ)
75 加熱水散布装置

Claims (13)

  1. 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムであって、
    温水を溜めるタンク(40)と、
    蒸発器(14)により外気から熱を奪い前記タンク内の温水に熱を供給する、蒸気圧縮式のヒートポンプ(10)と、
    前記建物内に配置され、温水の持つ熱を前記建物内の空気に放熱させるラジエータ(61a,62a,69c)と、
    前記タンクから前記ラジエータへと温水を流し、前記ラジエータで放熱を行った温水を再び前記タンクへと戻す循環ポンプ(51)と、
    前記タンク内に配置され、給水源から取り入れた水と前記タンク内の温水との間で熱交換をさせ、前記水を加熱して建物の給湯配管に供給する給湯用熱交換器(41)と、
    前記給湯用熱交換器から前記給湯配管に供給される加熱水を前記ヒートポンプの蒸発器の外表面に散布する加熱水散布装置(75)と、
    を備えた温水循環暖房システム。
  2. 前記加熱水散布装置は、前記加熱水を定期的に前記蒸発器に散布する、
    請求項1に記載の温水循環暖房システム。
  3. 前記加熱水散布装置は、前記加熱水の一部を前記蒸発器に散布する、
    請求項1に記載の温水循環暖房システム。
  4. 前記加熱水散布装置は、前記蒸発器に霜取りが必要なときに前記加熱水を前記蒸発器に散布する、
    請求項1に記載の温水循環暖房システム。
  5. 前記ヒートポンプは、二酸化炭素を冷媒とする、
    請求項1から4のいずれかに記載の温水循環暖房システム。
  6. 前記ヒートポンプは、冷媒として、フロン系冷媒を用いる、
    請求項1から4のいずれかに記載の温水循環暖房システム。
  7. 前記ヒートポンプは、冷媒として、フロン系冷媒であってGWPが200以下の冷媒を用いる、
    請求項1から4のいずれかに記載の温水循環暖房システム。
  8. 前記ヒートポンプは、冷媒として、自然系冷媒であるHC系冷媒を用いる、
    請求項1から4のいずれかに記載の温水循環暖房システム。
  9. 蒸発器を有するヒートポンプ(10)によって、タンク(40)内に溜められ建物において使用される温水を加熱するシステムに含まれる蒸発器用散水装置(75)であって、
    前記タンクの内部に配置された給湯用熱交換器(41)において、給水源から取り入れられ、前記タンク内の温水から熱を奪って加熱された加熱水を、前記蒸発器へと導く加熱水通路(76)と、
    前記加熱水通路により前記蒸発器の近くに導かれた加熱水を、前記蒸発器に向けて散水する散水部(78)と、
    を備えた蒸発器用散水装置。
  10. 前記給湯用熱交換器は、伝熱管として、ステンレス管を用いている、
    請求項9に記載の蒸発器用散水装置。
  11. 前記給湯用熱交換器は、伝熱管として、銅管を用いている、
    請求項9に記載の蒸発器用散水装置。
  12. 前記給湯用熱交換器は、加熱水を建物の給湯配管(72)に供給するものであり、
    前記加熱水通路は、前記給湯配管とは別に設けられている、
    請求項9に記載の蒸発器用散水装置。
  13. 前記給湯配管および前記加熱水配管は、それぞれ、開閉弁(72a,77)を有している、
    請求項12に記載の蒸発器用散水装置。
JP2006215112A 2006-08-07 2006-08-07 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムおよび蒸発器用散水装置 Pending JP2008039305A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006215112A JP2008039305A (ja) 2006-08-07 2006-08-07 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムおよび蒸発器用散水装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006215112A JP2008039305A (ja) 2006-08-07 2006-08-07 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムおよび蒸発器用散水装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008039305A true JP2008039305A (ja) 2008-02-21

Family

ID=39174522

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006215112A Pending JP2008039305A (ja) 2006-08-07 2006-08-07 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムおよび蒸発器用散水装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008039305A (ja)

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100971112B1 (ko) * 2009-08-11 2010-07-20 주식회사 시스웍스 전기히터 복합형 히트펌프
EP2299202A2 (en) 2009-09-17 2011-03-23 Panasonic Corporation Heat pump type hot-water heater
EP2530399A2 (en) 2011-05-31 2012-12-05 Panasonic Corporation Heat pump hydronic heater
EP2589884A2 (en) 2011-08-26 2013-05-08 Panasonic Corporation Heat pump hot water apparatus
EP2626640A2 (en) 2012-02-07 2013-08-14 Panasonic Corporation Heat pump hydronic heater
CN104154691A (zh) * 2014-04-26 2014-11-19 江西省沃普思电气股份有限公司 一种风冷冷热水机组的多功能辅助系统
CN106152230A (zh) * 2015-03-17 2016-11-23 哈尔滨工大金涛科技股份有限公司 降低热网回水温度的大温差换热方法与装置
WO2019124230A1 (ja) * 2017-12-18 2019-06-27 ダイキン工業株式会社 温水製造装置
CN111492183A (zh) * 2017-12-18 2020-08-04 大金工业株式会社 热水制造装置
US11365335B2 (en) 2017-12-18 2022-06-21 Daikin Industries, Ltd. Composition comprising refrigerant, use thereof, refrigerating machine having same, and method for operating said refrigerating machine
US11435118B2 (en) 2017-12-18 2022-09-06 Daikin Industries, Ltd. Heat source unit and refrigeration cycle apparatus
US11441819B2 (en) 2017-12-18 2022-09-13 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration cycle apparatus
US11441802B2 (en) 2017-12-18 2022-09-13 Daikin Industries, Ltd. Air conditioning apparatus
US11492527B2 (en) 2017-12-18 2022-11-08 Daikin Industries, Ltd. Composition containing refrigerant, use of said composition, refrigerator having said composition, and method for operating said refrigerator
US11493244B2 (en) 2017-12-18 2022-11-08 Daikin Industries, Ltd. Air-conditioning unit
US11506425B2 (en) 2017-12-18 2022-11-22 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration cycle apparatus
US11549695B2 (en) 2017-12-18 2023-01-10 Daikin Industries, Ltd. Heat exchange unit
US11549041B2 (en) 2017-12-18 2023-01-10 Daikin Industries, Ltd. Composition containing refrigerant, use of said composition, refrigerator having said composition, and method for operating said refrigerator
US11820933B2 (en) 2017-12-18 2023-11-21 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration cycle apparatus
US11906207B2 (en) 2017-12-18 2024-02-20 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration apparatus

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100971112B1 (ko) * 2009-08-11 2010-07-20 주식회사 시스웍스 전기히터 복합형 히트펌프
EP2299202A2 (en) 2009-09-17 2011-03-23 Panasonic Corporation Heat pump type hot-water heater
EP2530399A2 (en) 2011-05-31 2012-12-05 Panasonic Corporation Heat pump hydronic heater
EP2589884A2 (en) 2011-08-26 2013-05-08 Panasonic Corporation Heat pump hot water apparatus
EP2626640A2 (en) 2012-02-07 2013-08-14 Panasonic Corporation Heat pump hydronic heater
CN104154691A (zh) * 2014-04-26 2014-11-19 江西省沃普思电气股份有限公司 一种风冷冷热水机组的多功能辅助系统
CN106152230A (zh) * 2015-03-17 2016-11-23 哈尔滨工大金涛科技股份有限公司 降低热网回水温度的大温差换热方法与装置
WO2019124230A1 (ja) * 2017-12-18 2019-06-27 ダイキン工業株式会社 温水製造装置
CN111492183A (zh) * 2017-12-18 2020-08-04 大金工业株式会社 热水制造装置
JPWO2019124230A1 (ja) * 2017-12-18 2021-01-07 ダイキン工業株式会社 温水製造装置
US11365335B2 (en) 2017-12-18 2022-06-21 Daikin Industries, Ltd. Composition comprising refrigerant, use thereof, refrigerating machine having same, and method for operating said refrigerating machine
US11435118B2 (en) 2017-12-18 2022-09-06 Daikin Industries, Ltd. Heat source unit and refrigeration cycle apparatus
US11441819B2 (en) 2017-12-18 2022-09-13 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration cycle apparatus
US11441802B2 (en) 2017-12-18 2022-09-13 Daikin Industries, Ltd. Air conditioning apparatus
US11492527B2 (en) 2017-12-18 2022-11-08 Daikin Industries, Ltd. Composition containing refrigerant, use of said composition, refrigerator having said composition, and method for operating said refrigerator
US11493244B2 (en) 2017-12-18 2022-11-08 Daikin Industries, Ltd. Air-conditioning unit
US11506425B2 (en) 2017-12-18 2022-11-22 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration cycle apparatus
US11535781B2 (en) 2017-12-18 2022-12-27 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration cycle apparatus
US11549695B2 (en) 2017-12-18 2023-01-10 Daikin Industries, Ltd. Heat exchange unit
US11549041B2 (en) 2017-12-18 2023-01-10 Daikin Industries, Ltd. Composition containing refrigerant, use of said composition, refrigerator having said composition, and method for operating said refrigerator
JP7231834B2 (ja) 2017-12-18 2023-03-02 ダイキン工業株式会社 温水製造装置
US11820933B2 (en) 2017-12-18 2023-11-21 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration cycle apparatus
US11906207B2 (en) 2017-12-18 2024-02-20 Daikin Industries, Ltd. Refrigeration apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4743039B2 (ja) 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システム
JP2008039305A (ja) 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システムおよび蒸発器用散水装置
JP3876911B2 (ja) 給湯装置
CN101479535B (zh) 空气调和装置
CN103874892B (zh) 空气调节装置
JP2007322077A (ja) ヒートポンプ給湯床暖房装置
JP6548088B2 (ja) 冷暖房システム
JP2008032376A (ja) ヒートポンプ液体加熱エアコン、或いは機器
JP2008232576A (ja) 給湯装置
CN206973923U (zh) 一种采暖制冷一体机
CN103874893A (zh) 空气调节装置
KR20110121862A (ko) 버블젯을 이용한 루프형 히트파이프가 적용된 제상모듈
CA2962291C (en) Micro environmental control system
US20140020637A1 (en) Apparatus for using cast-off heat to warm water from household water heater
JP2008170015A (ja) 貯湯槽付き冷凍サイクル装置
JP2010002156A (ja) ヒートポンプ式空気調和装置
JP2018066515A (ja) ヒートポンプ温水暖房システムの制御方法
JP2011163654A (ja) 給湯空調機
JP2012225596A (ja) 暖房用ヒートポンプシステム
JP2008064444A (ja) 建物において温水を循環させて暖房を行う温水循環暖房システム
JP2008082664A (ja) 温水循環暖房システム
JP2001021283A (ja) 冷凍装置
JP4419475B2 (ja) 暖房システム及び住宅
JP2009133541A (ja) ヒートポンプシステム
KR100746894B1 (ko) 히트 펌프 급탕 장치