JP2008038638A - 液体噴射式レーザー光推進装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ターゲットへのレーザー光照射によりアブレーションを発生させ、周囲の液を飛散し噴射して推進力を得るに際して、最低限の液体消費でより高い推力効果を得ることができ、しかも安定して連続作動可能な液体噴射式レーザー光推進装置とする。
【解決手段】一定液位を保つ液槽2と、本体側壁の外部に開口する砲筒口8を備えた射出砲筒部7との間を連通する連通路6に、液槽への液体の流れを阻止する逆止弁3を設ける。砲筒口は液槽から一定液圧を受けるが、液体の表面張力と逆止弁で流出しないようにする。射出砲筒部の砲筒口と対向する部分にターゲット部材9を設け、外部からターゲット部材にレーザー光Lを照射する。それによりターゲット部材でアブレーションを生じ、その爆発力によって周囲の液体を飛散させ、砲筒口から外部に液体を噴射して、推進力を発生させる。液体の飛散による液位低下により、液槽の液体は逆止弁を押し開き、砲筒に液体を再度充填する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ターゲットにレーザーを照射するときに生じる溶発(アブレーション)により周囲の液体を飛散させ、液体を噴射して推進力を得る液体噴射式レーザー光推進装置に関する。
従来よりターゲットにレーザーを照射するときに生じる溶発(アブレーション)の力を利用して推進力を得るレーザー光推進装置が研究されており、例えば各種マイクロマシンの動力源として、或いは微少物体の移動手段として、更に大型化したものにおいてはロケットエンジンとしての利用が期待され、特に大気環境において広汎な応用法を見いだすと考えられている。
[水を推進剤としたレーザー推進の原理]
図3にはレーザー推進法の原理的メカニズムを示す。図3(a)において、パルス・レーザーLの照射によってターゲットTの表面に生じたアブレーション(溶発)Aで、レーザー光線の進行方向と同じ方向に向かってターゲットに推力Fが生まれる。それに対して図3(b)に示すように、ターゲットTの表面にその面に接した透明物質Cがある場合、レーザー・パルスは透明物質Cを透過でき、ターゲットTの表面を溶発するので、透明物質にもレーザー光線の進行方向と反対方向に運動量が与えられることになる。透明物質が射出される時にはターゲットは透明物質がない場合よりも強い推力を得る。このようなターゲットは“エキゾチック・ターゲット”と呼ばれる。
上記の原理により、ターゲットに水を位置させると、前記ターゲットのアブレーションによって周囲の水が爆発的に飛散するため、この水を噴射させて推進力を得ることができる。矢部とそのグループによる理論的、試験的研究によって、水推進剤を用いたレーザー光推進法の、エキゾチック・ターゲットに関するレーザー・パルス・エネルギー対運動量交換係数Cmの関係が示されている。図4にはその研究結果を示す。この図では、水平横座標はレーザー・パルスの強度に1つのパルスの持続時間を掛け合わせた量を示している。いわゆる水推進剤を使ったエキゾチック・ターゲットの場合、レーザー・パルス・エネルギーはある量から減少すると、Cmは増加する傾向であることをこの図は示している。したがって、ここで実験していた条件よりも水量を減少させた状態に最大の推力/推進パワーの値があると考えられる。
[水射出砲式レーザー推進法について]
最も安価でどこででも手に入る水は透明推進剤として理想的である。図5に示されるように、矢部等は、連続的な推進剤の供給メカニズムを持つタンク・タイプ推進機を試験した。このタイプの推進機では水は一対の薄い板D、Tで挟まれている。レーザー・ガンに面している板DにはレーザーLの照射を受け入れる孔Hが開いており、水は表面張力により漏れないように設定される。アブレーションのためには水の層を背面から挟んでいるもう一つの板Tはアブレーションが生じる金属板、たとえばアルミニウム等の板が用いられる。2枚の板は水タンクの中でその間に水が常に供給されるような位置に設置される。
このタイプの推進器の主な問題は推進効率が限定されていることである。レーザー・パルス照射によってアブレーションAが生じる時に、アブレーションの爆発により板の近傍で発生した圧力は挟まれた水の中で四方に分散するからである。したがって、水を前方に射出し、前方の板の孔から水を垂直方向に射出する圧力は、発生した圧力の一部でしかなくなる。
このようなタイプの推進法で運動量交換係数を増大するためには、水推進剤で満たされたターゲットTの周りは堅い壁で囲まれていて、レーザー照射入口としての孔Hおよび推進剤射出のための孔は一つに限られていなければならない。この目的のためにはアブレーションで発生した圧力を一方向のみにすべて利用するため、射出砲型推進機が採用されなければならない。しかし、レーザー・パルスで惹起した反復爆発の間に、必要な量の推進剤をいかに射出砲筒内に迅速確実に注入するかという新らたな問題が生じる。
なお、外部から照射されるレーザー光をエネルギー源として、ノズルに供給する水をレーザー光で照射することにより高温高圧のプラズマガスを発生させ、推進力を得る技術は特許文献1に記載され、レーザーアブレーションの推進力を飛行機に用いることは特許文献2に記載され、また、その推進力を微少体内船に用いることは特許文献3に記載されている。
特開2002−195151号公報 特開2003−184733号公報 特開2003−305126号公報
図6には振り子型の射出砲式推進機を示し、これは単一パルス発射試験のために用いることができる。即ち、中空筒状のアクリル射出砲筒Sの裏面側に長さYの振り子Uの表面を密着させる。振り子Uの表面はアブレーション可能な材料からなり、射出砲筒Sの内部に水Wを振り子Uの表面に接するように位置させる。この水Wに対してレーザーLを図示するように照射すると、振り子Uはアブレーションの力により押されて振り子の支点を中心に回転後退する。その後退速度を検出することにより運動量を計測することができ、レーザパルスのエネルギーとによって運動量交換係数Cmを求めることができる。実験の結果を図7と図8に示す。この図に示すように、Cmとレーザー・パルス・エネルギー及び水量はこの範囲内では逆比例関係にあることがわかる。
上記のような単一パルス発射試験の結果、推進機の設計方針が明確となった。それは、最小限の水量を最大限の速度で射出砲式推進機に注入しなければならないことである。同時に、水推進剤は射出砲筒の底部に適切に止め置かれなければならない。
このように、将来、最低限の水消費でより高い推力効果を得るという推進剤の経済のためには、水射出砲の最適設計と効率的推進剤供給装置の実現が不可欠であり、これを各種機器のエンジンやエネルギー源として用いるには、この装置を安定して作動させることが重要である。
したがって本発明は、ターゲット上の液体にレーザー光を照射することにより発生するアブレーションの力によって周囲の液体を飛散させ、これを噴出して推進力を得るに際して、最低限の液体消費でより高い推力効果を得ることができることを主たる課題とし、その課題を解決できる装置において更に安定して作動させることができる液体噴出式レーザー光推進装置を提供することを目的としている。
本発明は水等の液体を推進剤としたレーザー光推進において、レーザー・パルスの一定のエネルギーに対して最適な量の推進剤を発射筒内に最も速く、かつ確実に移送して静止させることを目的として、レーザーでのアブレーション(溶発)を生じさせるターゲットを底部に設置した円筒状、もしくはこれに類する形状でターゲットの反対側に射出砲筒部を持ち、ターゲット近辺に液体推進剤供給用の移送口を有し、他はすべて剛性の高い壁面で囲まれた推進剤の射出筒、および、この射出筒に適量の推進剤を迅速に供給できる調圧機構と、推進剤が射出筒を満たした場合に、この推進剤の液面の表面張力によって推進剤が射出筒に止まれるような調圧式微小逆止弁とからなる、レーザー推進のための液体推進剤の連続供給機構を持つ推進機の構造及び構成とした。
また、上記調圧機構は、水頭式タンクによる水頭の高さを調整して、水の移送のための一定の圧力を作り出すものでもよく、油圧のアキュムレータ式の蓄圧器と、この内圧を作り出す圧力ポンプとの組み合わせでも良い。圧力の大きさと逆止弁を作動させるバネの強さは、一定のレーザー・パルスの発振周波数でのパルスとパルスの間の時間内にレーザー・パルスのエネルギーで最大の推力が得られる量の水を蓄水槽から逆止弁を通して射出砲筒内を満たす分のみ移送でき、かつ、射出砲筒口での水の表面張力で水が射出砲口から噴出しない程度の大きさとする。射出砲筒内面と砲筒口は水の表面張力を極力最大にするために、疎水性の材料もしくは表面塗装を施すことが望ましい。
本発明は上記のような考え方に基づき、より具体的には次のような手法を採用している。即ち本発明に係る水噴出式レーザー光推進装置は、液体を貯留する液槽と、外部に開口する砲筒口を備えた射出砲筒部と、前記液槽と前記射出砲筒部とを連通する連通路と、前記連通路において前記射出砲筒部から液槽への逆流を阻止する逆止弁と、前記射出砲筒部におけ前記砲筒口に対向して剛性の高い本体に設けたターゲット部材とを備え、前記液体の表面張力により前記砲筒口を塞いだ状態で、該砲筒口に外部からレーザー光を前記ターゲット部材に照射してアブレーションを発生させることにより、周囲の液体を飛散させ前記砲筒口から射出させて推進力を発生し、前記液体の飛散除去により低下した射出砲筒部の液圧により、逆止弁を開いて液槽の液体を前記砲筒口に供給する作動を繰り返すことを特徴とする。
また、本発明に係る他の液体噴射式レーザー光推進装置は、前記液体噴射式レーザー光推進装置において、前記液槽は一定液圧を保つ液槽であり、前記砲筒口は液圧に抗して液体を砲筒口内に保持するよう、液体の表面張力と逆止弁のバネ力が働く所定の位置に開口し、前記逆止弁は前記液体の外部への飛散による液圧低下に応じて、液槽から液圧低下分の液体を、次のレーザー光照射前に射出砲筒部に供給するように設定したものであることを特徴とする。
また、本発明に係る他の液体噴射式レーザー光推進装置は、前記液体噴射式レーザー光推進装置において、前記液槽はポンプにより加圧されて一定圧を保つ蓄圧液槽であることを特徴とする。
また、本発明に係る他の液体噴射式レーザー光推進装置は、前記液体噴射式レーザー光推進装置において、前記射出砲筒部内面及び砲筒口は液体の表面張力を大きくする疎液性の材料、または疎液性の表面塗装或いは表面処理を行ったものであることを特徴とする。
本発明は上記のように構成したので、ターゲット上の液体にレーザー光を照射することにより発生するアブレーションの力を推進力として利用するに際して、最低限の液体消費でより高い推力効果を得ることができ、しかも安定して作動させることができる液体噴射式レーザー光推進装置とすることができる。
本発明は液体噴射式レーザー光推進装置において、ターゲット上の液体にレーザー光を照射することにより発生するアブレーションにより周囲の液体を飛散させ、これを推進力とするに際して、最低限の液体消費でより高い推力効果を得ることができ、しかも安定して作動させるという課題を、液体を貯留する液槽と、水平方向外部に開口する砲筒口を備えた射出砲筒部と、前記液槽と前記射出砲筒部とを連通する連通路と、前記連通路において前記射出砲筒部から液槽への逆流を阻止する逆止弁と、前記射出砲筒部におけ前記砲筒口に対向して剛性の高い本体に設けたターゲット部材とを備え、前記液体の表面張力により前記砲筒口を塞いだ状態で、該砲筒口に外部からレーザー光を前記ターゲット部材に照射してアブレーションを発生させることにより、周囲の液体を飛散させ前記砲筒口から射出させて推進力を発生し、前記液体の飛散により低下した射出砲筒部の液位により、逆止弁を開いて液槽の液体を前記砲筒口に供給する作動を繰り返すことにより実現した。
推進剤の連続供給推進機構のプロトタイプ機の設計の前に単純な推進剤連続供給機構を開発した。図9に示す例においては、内部に隔壁21を備えたシリンダ状の射出砲筒22の側部に水導入孔23を備えており、この水導入孔23には図示されない貯水槽が接続し、その貯水槽から水頭圧力等によって連続的に所定圧力の水が供給されるようになっている。なお、以下の説明において、本発明は水を用いるものとして説明するが、アブレーションにより飛散するならば種々の液体を用いることができる。
射出砲筒22内において、隔壁21と底壁24との間には、底壁24で支持された圧縮スプリング25を備え、それにより射出砲筒22内に摺動自在に配置された、後述するような逆止弁として機能するターゲット部材26の底部27を押圧している。ターゲット部材26の隔壁21側はテーパ状に縮径しており、その先端面28は隔壁21の中心に設けた孔29の開口部30に、スプリング25の押圧力によって密着可能となっている。このとき、孔29の直径φは任意に設定することができる。
ターゲット部材26は先端がテーパ状に縮径していることにより、ターゲット部材26の先端周囲には、射出砲筒22の内周面との間に、水供給室31が形成される。射出砲筒内においてターゲット部材26の背後にストッパー32を備え、その設置位置により後述するようにターゲット部材26が後退するときの制限位置を設定することができる。射出砲筒22の先端には砲筒口33を備え、図示されていないレーザー光源からパルス状のレーザーを隔壁21の孔28内を通り、ターゲット部材25の先端面28に照射可能としている。
上記のような水噴射式レーザー光推進装置20においては、最初に図9(a)のようにターゲット部材26がスプリング25により押圧されて、その先端面28により孔29の開口部30を閉じており、この状態で水供給室31に水導入孔23を介して貯水槽から水が供給可能となっており、且つターゲット部材26の先端面28に接する孔21内において、その表面張力により維持されて所定量の水34が存在するとき、同図(b)のようにレーザー光Lを照射すると、同図(c)のようにターゲット26の先端面28においてアブレーション(溶発)Aが生じ、その爆発によって水34が高速で飛散する。
このとき飛散する水は、ターゲット部材26を押しながら孔29から砲筒口33側に噴出し、それにより射出砲筒22は推進力を与えられる。ターゲット部材26が水34の噴出によりスプリング25に抗して押し込まれるが、ストッパ32で所定位置に止められ、推進力を維持することができる。このときターゲット部材26の先端面28は孔29の開口30を解放するので、水の飛散により圧力が低下してターゲット部材26がスプリング25により押し戻されて開口30を閉じようとするとき、ターゲット部材26の先端周囲の水供給室31からこの開口30を経て孔29内に水が流入する。
それにより図9(d)のように、ターゲット部材26の先端面28が開口30を閉じるとき、前記図9(a)と同様に水34が先端面28に接しながらその表面張力で図示する状態に保持される。以降は同様の作動によりパルス的なレーザー光によるアブレーションと水の噴射及び、その後の貯水槽からの水供給がなされて継続的に作動し、射出砲筒22は連続的に推進力を受けることができるようになる。
更に前記と同様の手法により、図10に示すような水推進剤連続供給機構が考えられた。この水噴射式レーザー光推進装置40においては、射出砲筒部41内にターゲット部材42を設け、スプリング43により開口45側に押圧している。またシリンダ50内にはピストン51を設け、スプリング54により図中右側に押圧している。ピストン51には通孔53を設け、この通孔53に逆止弁52を設けており、ピストン51が図中右側に移動するとき逆止弁52が閉じ、逆方向への移動時には解放するようにしている。ピストン51の図中左側には水供給路55を介して貯水槽から水を連続的に供給可能としている。
ピストン51の図中右側のシリンダ室58は、連通管56の連通路59を介して、ターゲット部材42の図中右側の貯水部49に連通している。連通路59には逆止弁57を設けており、この逆止弁57により、シリンダ室58から貯水部49方向への水の流れのみを可能としている。ターゲット部材42に固定したロッド44と、ピストン51に固定したロッド48は、それぞれレバー46の各端部に回動自在に連結し、レバー46は支点47において揺動自在に支持している。
上記のような概要構成からなる水噴射式レーザー光推進装置40においては、図示するように貯水部49にその表面張力により水が貯水されている状態で、砲筒口45からレーザー光Lをターゲット部材42の表面に照射すると、そのアブレーションにより貯水部49の水が飛散し、ターゲット部材42がスプリング43により押圧されているとともに、逆止弁57が閉じているので、飛散する水は砲筒口45から外部に噴射し、それにより装置全体に推進力が発生する。
このときターゲット部材42が図中左側に押されるため、ロッド44はターゲット部材42と共に図中左側に移動し、レバー46を揺動してピストン51のロッド48を図中右側に移動する。それによりピストン51は図中右側に移動し、逆止弁52を閉じた状態でシリンダ室58の水を押し出し、連通路59の逆止弁57を押し開いて貯水部49に水を所定量供給する。ターゲット部材42において水の飛散による力が減少すると、スプリング43により再び図示の状態に戻り、その力でロッド44、レバー46、ロッド48を介してピストン51をスプリング54に抗して図中左側に移動する。このとき通孔53の逆止弁52は解放するので、ピストン51の図中左側の水は右側のシリンダ室58に移動して、最終的に図10の元の状態に戻る。このような作動を継続することにより水噴射式レーザー光推進装置40は連続的に推進力を発生させることができる。
図9及び図10に示すような水噴射式レーザー光推進装置においては、水の爆発の衝撃を和らげ、そして射出砲筒部に注入する水推進剤を所定量供給することができる機構が得られた。しかしながらこれらの機構の問題点は、予定した水量を予想される高い頻度の爆発の周波数にもかかわらず、どのように射出砲筒部内に正確に入れ、所定位置に置いておくか、という点である。推進剤の量は射出砲筒部に至る注入室のスペースの大きさをどう設計するかによって調整することはできる。このときにおいても、予定量の水を注入するダイナミクスは正確に分析されなければならない。さもないと、水の移送速度が速すぎたとき、注入した水が射出砲筒部内に留まることが出来なくなり、水推進剤がレーザーによる起爆の前に砲口から出てきてしまうことがあり得る。これらの方式では、水の移送速度や加速度はレーザーによる起爆と溶発の状況に左右され、制御が困難と考えられた。
そこで本発明者等は更に検討を重ね、図1に示すような水噴射式レーザー光推進装置のための水推進剤の連続供給装置を開発した。この装置は前記のような複雑な機構を用いることなく、安定した作動を行うことができることを実験により確認した。図1に示す水噴射式レーザー光推進装置1においては、水槽2の下部の通孔3に逆止弁4を設け、スプリング5により閉鎖方向に付勢している。水槽2はこの逆止弁4を解放するとき、水槽2内の水を連通路の一部を構成する通孔3から垂直な連通路6を介して側壁に設けた射出砲筒部7に供給可能としている。射出砲筒部7は水平に配置され、射出砲筒部7の砲筒口8は外部に解放し、その砲筒口8の反対側における剛性の高い本体の面にはターゲット部材9を設けている。逆止弁4を付勢するスプリング5の力は、水槽2の水頭H1と射出砲筒部7の水頭H2の差によって、水槽2から射出砲筒部7に流出する方向の力に対抗し、更に僅かの力で逆止弁4を閉じるように設定する。
上記のような装置において、図1(a)に示す状態では水槽2内の水が連通路6を介して射出砲筒部7に至り、逆止弁4が閉じられている状態で、砲筒口8の表面張力により図示する状態が維持されている。この状態において砲筒口8の正面側からターゲット部材9にレーザー光Lを照射すると、ターゲット部材9の表面でアブレーションが発生し、その周囲の水は高速で飛散する。そのとき飛散する水は、一部連通路6内にも入り込み、周囲の壁に力を及ぼすが、それらの量は少なく、また連通路6及び噴射砲筒部7等の壁は剛性が高いため、主として砲筒口8から外部に飛散し、推進力を発生する。その後、射出砲筒部7部分の水が外部に飛散すると、前記水頭差によって水槽2内の水は逆止弁4をスプリング5に抗して解放し、連通路6を介して再び図1(a)のように射出砲筒部7を満たし、砲筒口8部分において表面張力によりその状態が維持される。この作動を繰り返すことにより、連続的に推進力を発生させることができる。
上記のような装置においては、水圧の調節が容易となり、水の移送速度と加速度が細かく精密に設定できる。図2は図1に示された概念による推進剤連続供給機構を持つ2つの試験装置を示す。(a)は2mm 口径であり、(b)は1mm 口径であって、(a−1)及び(b−1)は試験装置の写真であり、(a−2)及び(b−2)はそれらの模式図である。これらの試験装置において、2mm口径装置においてはシリンダー状の外形を有し、1mm口径のものは長方形の外形を備える。同図(a)に見られるように、2mm口径の砲筒はボルトヘッド直上に位置している。これらの装置による、連続パルス発射試験のビデオ画像の分析が行われた。2mm口径装置ではその射出砲筒部(φ2×10mm→31.4μリットル)に貯められる水量は1mm口径(φ1×3mm→2.4μリットル)のものよりも遙かに大きい。ビデオ画像によれば、2mm口径砲から噴出する水は量が遙かに多いが、図2に示されるように、その速度は1mm口径砲からの噴出よりはるかに遅い。このプロトタイプ装置を最大20Hzパルス周波数まで試験し、その性能が確かめられた。また、目視観察によれば、この機構は順調に作動した。
上記のような本発明による液体噴射式レーザー光推進装置は、従来から提案されている各種マイクロマシンの動力源、微少物体の移動手段、大型化したものにおいてはロケットエンジン等の種々の分野で利用することができる。
本発明の実施例の概要図であり(a)は水を噴射していない状態を示し(b)は水を噴射し、その後逆止弁が解放した状態を示す。 本発明の実験例を示す図である。 レーザー光によるアブレーションを説明する図である。 先に報告されている研究結果を示すグラフである。 従来提案されている水噴射式レーザー光推進装置の例を示す図である。 単一パルス発射試験のために用いる振り子型の射出砲式推進機の説明図である。 同射出砲式推進機の実験結果を示す図である。 同射出砲式推進機の他の実験結果を示す図である。 本発明者等が予め検討した液体噴射式レーザー光推進装置の説明図である。 本発明者等が予め検討した他の液体噴射式レーザー光推進装置の説明図である。
符号の説明
1 水噴射式レーザー光推進装置
2 水槽
3 通孔
4 逆止弁
5 スプリング
6 連通路
7 射出砲筒部
8 砲筒口
9 ターゲット部材

Claims (4)

  1. 液体を貯留する液槽と、
    外部に開口する砲筒口を備えた射出砲筒部と、
    前記液槽と前記射出砲筒部とを連通する連通路と、
    前記連通路において前記射出砲筒部から液槽への逆流を阻止する逆止弁と、
    前記射出砲筒部におけ前記砲筒口に対向して剛性の高い本体に設けたターゲット部材とを備え、
    前記液体の表面張力により前記砲筒口を塞いだ状態で、該砲筒口に外部からレーザー光を前記ターゲット部材に照射してアブレーションを発生させることにより、周囲の液体を飛散させ前記砲筒口から射出させて推進力を発生し、前記液体の除去により低下した射出砲筒部の液圧により、逆止弁を開いて液槽の液体を前記砲筒口に供給する作動を繰り返すことを特徴とする液体噴射式レーザー光推進装置。
  2. 前記液槽は一定液圧を保つ液槽であり、
    前記砲筒口は液圧に抗して液体を砲筒口内に保持するよう、液体の表面張力と逆止弁のバネ力が働く所定の位置に開口し、
    前記逆止弁は前記液体の外部への飛散による液圧低下に応じて、液槽から液圧低下分の液体を、次のレーザー光照射前に射出砲筒部に供給するように設定したものであることを特徴とする請求項1記載の液体噴射式レーザー光推進装置。
  3. 前記液槽はポンプにより加圧されて一定圧を保つ蓄圧液槽であることを特徴とする請求項1記載の液体噴射式レーザー光推進装置。
  4. 前記射出砲筒部内面及び砲筒口は液体の表面張力を大きくする疎液性の材料、または疎液性の表面塗装或いは表面処理を行ったものであることを特徴とする請求項1記載の液体噴射式レーザー光推進装置。
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