JP2008037143A - 把駐力試験方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな把駐力を持つアンカーについても、大容量のウインチを用いることなく、安全にかつ経済的に実施できる把駐力試験方法及びその装置を提供する。
【解決手段】フロート30と台船20のそれぞれに滑車31、21を設置し、少なくとも1つの係留装置10に係留ライン12を介して前記フロート30と結合し、前記フロート30上の滑車31と前記台船20上の滑車21に引き付け鋼索22を通し、さらにその引き付け鋼索の一端部をチャック手段6を介してクレーン船のクレーンフック41に結合し、前記引き付け鋼索を尺取り式に引き上げることにより前記係留装置10に所望の張力を付加する。
【選択図】図6
【解決手段】フロート30と台船20のそれぞれに滑車31、21を設置し、少なくとも1つの係留装置10に係留ライン12を介して前記フロート30と結合し、前記フロート30上の滑車31と前記台船20上の滑車21に引き付け鋼索22を通し、さらにその引き付け鋼索の一端部をチャック手段6を介してクレーン船のクレーンフック41に結合し、前記引き付け鋼索を尺取り式に引き上げることにより前記係留装置10に所望の張力を付加する。
【選択図】図6
Description
本発明は、アンカーの把駐力試験を安全にかつ経済的に実施可能な把駐力試験方法及び装置に関する。
海洋に浮遊する浮体を固定する方法は通常アンカーが使用される。JIS型アンカーの場合、把駐力係数は底質を砂と仮定すると2程度である。従って、アンカーの水中重量の2倍が把駐力である。例えば、10トン(空中重量)のJIS型アンカーでは26.1トンの把駐力が得られる。但し、最大把駐力を超えた力が働くと、移動する際に爪がひっくりかえり不安定となり把駐力が激減する欠点がある。従って軽易な場合を除いてほとんど使用されない。
一方、重力式のコンクリートアンカー(シンカーとも呼ばれる)の場合、把駐力係数は3.0である(砂と仮定した場合)。例えば、10トン(空中重量)の場合、把駐力は16.4トンである。コンクリートアンカーの場合は最大把駐力を超えても単に移動するだけであり、把駐力は維持されるので安定であるという長所を有する。日本での大半の使用実績はこの重力式のコンクリートアンカーである。
また、石油掘削用に使用された実績を有する海洋構造物アンカーは把駐力係数が50以上である。例えば、10トン(空中重量)の場合、把駐力は550トンである。但し、所定の把駐力を負荷し計画値を満足することを試験で確認する必要があるが、従来はこれを実施する簡便な方法がないため、このような高把駐力を有する特殊アンカーの把駐力試験を実施したという事実は把握していない。また、把駐力試験に関する先行文献も見当たらない。
従来においては、例えば図8に示すようにウインチを使用した把駐力試験方法がとられていた。この把駐力試験方法は、アンカー100のワイヤ101をバージ102上に設置されたテンションドラム103を介してウインチ104で巻き上げ、アンカー100が所定の把駐力を有するかどうかを確認するものである。
従来は、上記のように種々の形式のアンカーについてその把駐力を確認するためウインチを使用していた。しかし、大きな引張力を持つウインチは少なく、またその費用(レンタル料など)も高額になるため、本来はその把駐力を確認したい大きな把駐能力を持つアンカーについて把駐力試験が困難であった(例えば20トン以上の把駐力)。
本発明は、大きな把駐力を持つアンカーについても、大容量のウインチを用いることなく、安全にかつ経済的に実施できる把駐力試験方法及びその装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る把駐力試験方法は、フロートと台船のそれぞれに滑車を設置し、少なくとも1つの係留装置に係留ラインを介して前記フロートと結合し、前記フロート上の滑車と前記台船上の滑車に引き付け鋼索を通し、さらにその引き付け鋼索の一端部をチャック手段を介してクレーン船のクレーンフックに結合し、前記引き付け鋼索を尺取り式に引き上げることにより前記係留装置に所望の張力を付加することを特徴とするものである。
本発明によれば、台船上の滑車と、係留装置に係留ラインを介して結合されたフロート上の滑車とが引き付け鋼索により結合されているため、この引き付け鋼索の一端部をクレーン船のクレーンフックにより引き上げることにより、フロートを台船に接近させることができる。その際、チャック手段によって引き付け鋼索の把持と解放を繰り返すことにより引き付け鋼索を尺取り式に引き上げることにより係留装置に所望の張力を付加することができる。そして、クレーン船の負担する引張力は係留装置に付加すべき張力を滑車の個数で割った値となるので、滑車の個数を増加することで大きな把駐力を持つアンカーについても安全にかつ経済的に把駐力試験を実施することができる。
また、前記引き付け鋼索を尺取り式に引き上げるためには前記チャック手段を2つ使用するのがよい。この場合、前記2つのチャック手段のうち1つは前記台船上に設置され、他の1つは前記クレーン船のクレーンフックに吊り下げられる鋼索に取り付けられたワイヤストッパからなるものが好ましい。台船上に設置されるチャック手段は必ずしもワイヤストッパでなくてもよく、油圧等を用いたワイヤ把持装置でもかまわない。
また、前記フロートと前記台船のそれぞれに係留ラインを介して係留装置を結合するものである。
これにより、前後の係留装置に同時に所望の張力を付加することができる。
これにより、前後の係留装置に同時に所望の張力を付加することができる。
本発明に係る把駐力試験装置は、滑車を設置したフロートと、滑車を設置した台船と、少なくとも1つの係留装置と前記フロートを結合する係留ラインと、前記フロート上の滑車と前記台船上の滑車とを結合し前記台船上に設置されたチャック手段を介して引き出される引き付け鋼索と、前記引き付け鋼索の一端部が結合されるクレーン船とを備えたことを特徴とする。
この試験装置によって、前述の把駐力試験を安全にかつ経済的に実施することができる。
この試験装置によって、前述の把駐力試験を安全にかつ経済的に実施することができる。
また、前記チャック手段は2つのワイヤストッパからなり、1つは前記台船上に設置され、他の1つは前記クレーン船のクレーンフックに吊り下げられる鋼索に取り付けられているものである。
2つのワイヤストッパにより交互に引き付け鋼索の把持と解放を繰り返すことにより、引き付け鋼索を尺取り式に引き上げることができる。
2つのワイヤストッパにより交互に引き付け鋼索の把持と解放を繰り返すことにより、引き付け鋼索を尺取り式に引き上げることができる。
また、前記フロートと前記台船は、それぞれ係留装置に結合するための係留ラインを備えているものである。
これにより、前後の係留装置に同時に所望の張力を付加することができる。
これにより、前後の係留装置に同時に所望の張力を付加することができる。
以下、石油掘削セミサブリグ等で使用されている例えば120トンの高把駐力アンカーについて、本発明の把駐力試験を実施した方法について図面を参照して説明する。
図1〜図5は本発明の実施形態による把駐力試験方法を示す概要図である。また、図6は本発明の把駐力試験装置の要部の概略構成図、図7は図6に示すワイヤストッパの平面図(a)と正面図(b)である。
図1〜図5は本発明の実施形態による把駐力試験方法を示す概要図である。また、図6は本発明の把駐力試験装置の要部の概略構成図、図7は図6に示すワイヤストッパの平面図(a)と正面図(b)である。
1.事前作業
図1に試験対象となる係留装置(a)及びその張力付加前の設置状況(b)を示す。係留装置10は全く同じものが前部(船首側)と後部(船尾側)に配置されている。前部及び後部の係留装置10は、この例ではアンカー(例えば6.1トンのブルースアンカー)1と、2個の各10トンのシンカー2、3と、係留ブイ4とが所要の径及び長さの錨鎖5で結合された構成となっている。そして、アンカー1、シンカー2、3、及び係留ブイ4の位置をGPSで計測する。
図1に試験対象となる係留装置(a)及びその張力付加前の設置状況(b)を示す。係留装置10は全く同じものが前部(船首側)と後部(船尾側)に配置されている。前部及び後部の係留装置10は、この例ではアンカー(例えば6.1トンのブルースアンカー)1と、2個の各10トンのシンカー2、3と、係留ブイ4とが所要の径及び長さの錨鎖5で結合された構成となっている。そして、アンカー1、シンカー2、3、及び係留ブイ4の位置をGPSで計測する。
2.岸壁作業
岸壁作業は、図2に示すように前部係留ライン11と後部係留ライン12を作り、さらに図6に示すように台船20上の滑車21とフロート30上の滑車31とに引き付け鋼索22を通す作業を行う。なお図2において、前部・後部係留ライン11、12は一部平面図を付記してある。滑車21、31はこの例では2枚ずつの鋼製滑車を2つ使用して台船20とフロート30上に1つずつ分けて設置している。引き付け鋼索22の一端は台船20上のアイ23にワイヤ等で結合し、他端(自由端)はチャック手段6として例えばワイヤストッパ6aに通して止める。ワイヤストッパ6aの本体はワイヤ等で台船20上に結合されている。また、図6に示すようにクレーン船のクレーンフック41に引き付け鋼索22の端部を結合するために、第2のワイヤストッパ6bを備えた吊り下げ鋼索24を使用するのが好ましい。なお、図2には台船20の図示は省略している。
前部係留ライン11は、上記の前部係留装置10と台船20とを結合するためのものであり、所要の径及び長さの鋼索と繊維索(例えばナイロン索)を接続し、かつマーカブイ13を備えた構成となっている。
後部係留ライン12は、後部係留装置10とフロート30とを結合するためのものであり、所要の径及び長さの鋼索と繊維索(例えばナイロン索)を接続した構成となっている。また、後部係留ライン12は、台船20上でフロート30のボラード32に端部を結合する(図6参照)。
岸壁作業は、図2に示すように前部係留ライン11と後部係留ライン12を作り、さらに図6に示すように台船20上の滑車21とフロート30上の滑車31とに引き付け鋼索22を通す作業を行う。なお図2において、前部・後部係留ライン11、12は一部平面図を付記してある。滑車21、31はこの例では2枚ずつの鋼製滑車を2つ使用して台船20とフロート30上に1つずつ分けて設置している。引き付け鋼索22の一端は台船20上のアイ23にワイヤ等で結合し、他端(自由端)はチャック手段6として例えばワイヤストッパ6aに通して止める。ワイヤストッパ6aの本体はワイヤ等で台船20上に結合されている。また、図6に示すようにクレーン船のクレーンフック41に引き付け鋼索22の端部を結合するために、第2のワイヤストッパ6bを備えた吊り下げ鋼索24を使用するのが好ましい。なお、図2には台船20の図示は省略している。
前部係留ライン11は、上記の前部係留装置10と台船20とを結合するためのものであり、所要の径及び長さの鋼索と繊維索(例えばナイロン索)を接続し、かつマーカブイ13を備えた構成となっている。
後部係留ライン12は、後部係留装置10とフロート30とを結合するためのものであり、所要の径及び長さの鋼索と繊維索(例えばナイロン索)を接続した構成となっている。また、後部係留ライン12は、台船20上でフロート30のボラード32に端部を結合する(図6参照)。
3.洋上前作業
図示は省略するが、フロート30を搭載した台船20とクレーン船40(図4参照)を前部係留装置10の係留ブイ(前部ブイという)4付近に移動させる。また、クレーン船40は現地でアンカーを打つ。
図示は省略するが、フロート30を搭載した台船20とクレーン船40(図4参照)を前部係留装置10の係留ブイ(前部ブイという)4付近に移動させる。また、クレーン船40は現地でアンカーを打つ。
4.洋上作業:前部
この作業ではまず、図3(a)に示すように前部係留ライン11の先端部の錨鎖(φ90mm×5m)11aを前部ブイ4と結合する。次に、後端部の引き付け繊維索(φ40mm×170m)11bを手繰り寄せ、台船20とクレーン船(図示せず)を係留対象船舶(図示せず)の中央部に移動させながら、順次前部係留ライン11を海上に降ろす。最後にマーカブイ13を海上に下ろし、繊維索11bの端部を台船20上のボラード26に固縛する(図6参照)。そして、繊維索11bを延ばしながら、台船20及びクレーン船を後部係留装置10の係留ブイ(後部ブイという)4付近に移動させる。
この作業ではまず、図3(a)に示すように前部係留ライン11の先端部の錨鎖(φ90mm×5m)11aを前部ブイ4と結合する。次に、後端部の引き付け繊維索(φ40mm×170m)11bを手繰り寄せ、台船20とクレーン船(図示せず)を係留対象船舶(図示せず)の中央部に移動させながら、順次前部係留ライン11を海上に降ろす。最後にマーカブイ13を海上に下ろし、繊維索11bの端部を台船20上のボラード26に固縛する(図6参照)。そして、繊維索11bを延ばしながら、台船20及びクレーン船を後部係留装置10の係留ブイ(後部ブイという)4付近に移動させる。
5.洋上作業:後部
この作業ではまず、図3(b)に示すように後部係留ライン12の先端部の錨鎖(φ90mm×5m)12aを後部ブイ4と結合する。次に、クレーン船を中央部に移動させながら、順次後部係留ライン12を海上に降ろす。最後に、フロート30を台船20から海上に降ろす(図6参照)。なお、後部係留ライン12の後端部の鋼索(φ48mm×23m)12bは上記岸壁作業において端部がフロート30上のボラード32に結合済みとなっている。
この作業ではまず、図3(b)に示すように後部係留ライン12の先端部の錨鎖(φ90mm×5m)12aを後部ブイ4と結合する。次に、クレーン船を中央部に移動させながら、順次後部係留ライン12を海上に降ろす。最後に、フロート30を台船20から海上に降ろす(図6参照)。なお、後部係留ライン12の後端部の鋼索(φ48mm×23m)12bは上記岸壁作業において端部がフロート30上のボラード32に結合済みとなっている。
6.洋上作業A
中央部での洋上作業Aではまず、図4(a)に示すようにフロート30上の滑車31と台船20上の滑車21間の引き付け鋼索(φ32mm×200m)22のセット状況を確認する。次に、前部係留ライン11の上記繊維索11bの端部をクレーン船40のワーピングエンドにセットする。そして、引き付け鋼索22を延ばしながら、かつ繊維索11bを巻き取りながら、台船30とクレー船40を中央部に移動させる。ついで、繊維索11bをクレーン船40のワーピングエンドで能力一杯まで巻き取り、マーカブイ13を台船20上に引き上げる。さらに、マーカブイ13付き鋼索(φ32mm×30m)11cを巻き上げ、その後図6に示すように鋼索11d(φ47.5mm×100m)の端部を台船20上のボラード28に巻き付ける(引っ掛ける)。
中央部での洋上作業Aではまず、図4(a)に示すようにフロート30上の滑車31と台船20上の滑車21間の引き付け鋼索(φ32mm×200m)22のセット状況を確認する。次に、前部係留ライン11の上記繊維索11bの端部をクレーン船40のワーピングエンドにセットする。そして、引き付け鋼索22を延ばしながら、かつ繊維索11bを巻き取りながら、台船30とクレー船40を中央部に移動させる。ついで、繊維索11bをクレーン船40のワーピングエンドで能力一杯まで巻き取り、マーカブイ13を台船20上に引き上げる。さらに、マーカブイ13付き鋼索(φ32mm×30m)11cを巻き上げ、その後図6に示すように鋼索11d(φ47.5mm×100m)の端部を台船20上のボラード28に巻き付ける(引っ掛ける)。
7.洋上作業B
この作業Bではまず、図4(b)に示すように上記引き付け鋼索22の端部を台船20上の方向転換滑車27に通して垂直方向に転換し、一端に輪を作ってその輪をクレーン船40のクレーンフック41に引っ掛けるか、あるいは図6に示すようにクレーンフック41に吊り下げた吊り下げ鋼索24の第2のワイヤストッパ6bに引き付け鋼索22の端部を通して仮止めし、クレーン42で引き付け鋼索22を引き上げる。なおこのとき、第1のワイヤストッパ6aにおける仮止めは解除しておく。ついで、引き付け鋼索22をクレーン42の引き代が無くなるまで、あるいはクレーン42の張力ゲージ(図示せず)が例えば30トンになるまで尺取り式に引き上げる。すなわち、引き付け鋼索22を第1のワイヤストッパ6aで仮止め(把持)し、クレーンフック41を下ろし引き付け鋼索22の端部を適当な位置でクリップ止め輪を作り、この新たな輪にクレーンフック41を引っ掛けるか、あるいは第2のワイヤストッパ6bの仮止め(把持)を一旦解除し、クレーンフック41を下ろした後、引き付け鋼索22の端部を適当な位置で再度仮止めする。
上記作業を繰り返して引き付け鋼索22を尺取り式に引き上げ、クレーン42の張力ゲージが30トンになれば終了する。なお、クレーン船40は100トンのクレーン船を使用した。本例では120トンの把駐力を予定しているので、フロート30及び台船20上の滑車31、21として4枚の鋼製滑車を使い、引き付け鋼索22は4本としている。従って、クレーンの引き上げ力は120/4で30トンである。
この作業Bではまず、図4(b)に示すように上記引き付け鋼索22の端部を台船20上の方向転換滑車27に通して垂直方向に転換し、一端に輪を作ってその輪をクレーン船40のクレーンフック41に引っ掛けるか、あるいは図6に示すようにクレーンフック41に吊り下げた吊り下げ鋼索24の第2のワイヤストッパ6bに引き付け鋼索22の端部を通して仮止めし、クレーン42で引き付け鋼索22を引き上げる。なおこのとき、第1のワイヤストッパ6aにおける仮止めは解除しておく。ついで、引き付け鋼索22をクレーン42の引き代が無くなるまで、あるいはクレーン42の張力ゲージ(図示せず)が例えば30トンになるまで尺取り式に引き上げる。すなわち、引き付け鋼索22を第1のワイヤストッパ6aで仮止め(把持)し、クレーンフック41を下ろし引き付け鋼索22の端部を適当な位置でクリップ止め輪を作り、この新たな輪にクレーンフック41を引っ掛けるか、あるいは第2のワイヤストッパ6bの仮止め(把持)を一旦解除し、クレーンフック41を下ろした後、引き付け鋼索22の端部を適当な位置で再度仮止めする。
上記作業を繰り返して引き付け鋼索22を尺取り式に引き上げ、クレーン42の張力ゲージが30トンになれば終了する。なお、クレーン船40は100トンのクレーン船を使用した。本例では120トンの把駐力を予定しているので、フロート30及び台船20上の滑車31、21として4枚の鋼製滑車を使い、引き付け鋼索22は4本としている。従って、クレーンの引き上げ力は120/4で30トンである。
チャック手段6を構成する第1及び第2のワイヤストッパ6a、6bは、図7に示すような構成となっている。鋼索22をケーシング61に通し、楔62を打ち込んで鋼索22を楔止め(把持)するようになっている。その後、ケーシングカバー63及びフラッパー64をシャックル65とコッターピン66で結合することによって楔62が外れないよう楔部を堅固に固定する構成となっている。図7において、67はヒンジピン、68はフラッパーピン、69はシャックル部である。
図6に示す場合で張力付加の手順を説明すると、第2のワイヤストッパ25の楔は固く打ち込まれ鋼索22を強く固持している。一方、第1のワイヤストッパ24は楔部は外してあり鋼索22は自由に移動できる。この状態でクレーン42のフック41を上方一杯(約20m)に引き上げる。この作業でフロート30は20/4で約5m台船20に接近する。
次に、第1のワイヤストッパ24の楔を固く打ち込み鋼索22を強く固持する。このワイヤストッパ24は台船30上に溶接されたアイピースにワイヤで固縛されているので緩むことはない。そしてこの状態でクレーン42のフック41を台船上1mに引き下げる。次に、第2のワイヤストッパ25の楔部は外し、余分な鋼索22の端部は台船20上に展開する。その後、第2のワイヤストッパ25を再び鋼索22に取り付け、楔を固く打ち込み鋼索22を強く固持する。
次に、第1のワイヤストッパ24は楔部を外し鋼索22が自由に移動できるようにする。この状態でクレーン42のフック41を上方一杯(約20m)に引き上げる。これにより、この作業でフロート30は20/4で更に約5m台船20に接近する。
上記の作業を8回繰り返すと、5×8mで約40m、フロート30は台船20に接近することになる。
次に、第1のワイヤストッパ24の楔を固く打ち込み鋼索22を強く固持する。このワイヤストッパ24は台船30上に溶接されたアイピースにワイヤで固縛されているので緩むことはない。そしてこの状態でクレーン42のフック41を台船上1mに引き下げる。次に、第2のワイヤストッパ25の楔部は外し、余分な鋼索22の端部は台船20上に展開する。その後、第2のワイヤストッパ25を再び鋼索22に取り付け、楔を固く打ち込み鋼索22を強く固持する。
次に、第1のワイヤストッパ24は楔部を外し鋼索22が自由に移動できるようにする。この状態でクレーン42のフック41を上方一杯(約20m)に引き上げる。これにより、この作業でフロート30は20/4で更に約5m台船20に接近する。
上記の作業を8回繰り返すと、5×8mで約40m、フロート30は台船20に接近することになる。
8.設置完了状態
前部・後部係留装置10の各係留ブイ4の位置をGPSで計測し、所定の範囲に収まっていれば終了する。その後、上記の作業を反対に実施し、係留ブイ4を開放する。そして係留ブイ4の位置をGPSで計測する。以上により全作業が終了する。前部・後部係留装置10の設置完了状態を図5に示す。各係留装置10は120トンの把駐力を持つ。なお、アンカー1のドラッグ距離は約8m、食い込み深さは約6mであった。
前部・後部係留装置10の各係留ブイ4の位置をGPSで計測し、所定の範囲に収まっていれば終了する。その後、上記の作業を反対に実施し、係留ブイ4を開放する。そして係留ブイ4の位置をGPSで計測する。以上により全作業が終了する。前部・後部係留装置10の設置完了状態を図5に示す。各係留装置10は120トンの把駐力を持つ。なお、アンカー1のドラッグ距離は約8m、食い込み深さは約6mであった。
本実施形態によれば、長尺の鋼索は容易に製作できるので、滑車21、31の枚数を増やすだけで容易に大きな把駐力を得ることができる。例えば、滑車21、31のの枚数を4枚ずつ8枚とすれば、把駐力30×8=240トンを得ることができる。その際、引張り長さ40mは変化なしとして、40×8+α=350m程度の鋼索が必要となる。また、当然のことであるがワイヤストッパ6a、6bによる鋼索の把持と解放の作業は倍の16回となる。
また、クレーン船による引き上げ力を100トンとしても、56mm鋼索を使用し、かつ56mm用滑車とワイヤストッパは強度上安全なものを使用し、滑車枚数を8枚として100×8=800トン程度の把駐力が確認可能となる。この場合、特殊アンカーの重量は800/50×2=32トン(空中重量、但し把駐力の安全率は2.0とする)である。従って、このような高把駐力のアンカーでも全て200トンのクレーン船で操作できることになる。
よって、大きな把駐力を持つアンカーについても、大容量のウインチを用いることなく、安全にかつ経済的に把駐力試験を実施することができる。
また、クレーン船による引き上げ力を100トンとしても、56mm鋼索を使用し、かつ56mm用滑車とワイヤストッパは強度上安全なものを使用し、滑車枚数を8枚として100×8=800トン程度の把駐力が確認可能となる。この場合、特殊アンカーの重量は800/50×2=32トン(空中重量、但し把駐力の安全率は2.0とする)である。従って、このような高把駐力のアンカーでも全て200トンのクレーン船で操作できることになる。
よって、大きな把駐力を持つアンカーについても、大容量のウインチを用いることなく、安全にかつ経済的に把駐力試験を実施することができる。
本実施形態では、前部・後部の係留装置10の把駐力試験について説明したが、係留装置は1つであっても本発明を適用することができる。また、係留装置はアンカーと重力式コンクリートアンカー(シンカー)の複合形式のみならず、アンカー単独、シンカー単独のものでもよい。また、少なくとも台船20上に設置されるチャック手段6は楔止め方式のワイヤストッパに限られるものではなく、例えば油圧等を利用した把持装置でもよい。大荷重に耐えワイヤの着脱が容易なものであれば、より便利である。
さらにまた、本発明は浮体式係留岸壁の係留や、浮体式防波・消波堤の係留、浮体式魚礁の係留、あるいは曳航力試験などにも利用することができる。
1 アンカー、2 シンカー、3 シンカー、4 係留ブイ、5 錨鎖、6 チャック手段、6a 第1のワイヤストッパ、6b 第2のワイヤストッパ、10 係留装置、11 前部係留ライン、12 後部係留ライン、13 マーカブイ、20 台船、21 滑車、22 引き付け鋼索、23 アイ、24 吊り下げ鋼索、25 方向転換滑車、26 ボラード、30 フロート、31 滑車、32 ボラード、40 クレーン船、41 クレーンフック、42 クレーン。
Claims (7)
- フロートと台船のそれぞれに滑車を設置し、少なくとも1つの係留装置に係留ラインを介して前記フロートと結合し、前記フロート上の滑車と前記台船上の滑車に引き付け鋼索を通し、さらにその引き付け鋼索の一端部をチャック手段を介してクレーン船のクレーンフックに結合し、前記引き付け鋼索を尺取り式に引き上げることにより前記係留装置に所望の張力を付加することを特徴とする把駐力試験方法。
- 前記チャック手段を2つ使用することを特徴とする請求項1記載の把駐力試験方法。
- 前記2つのチャック手段のうち1つは前記台船上に設置され、他の1つは前記クレーン船のクレーンフックに吊り下げられる鋼索に取り付けられたワイヤストッパからなることを特徴とする請求項2記載の把駐力試験方法。
- 前記フロートと前記台船のそれぞれに係留ラインを介して係留装置を結合することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の把駐力試験方法。
- 滑車を設置したフロートと、滑車を設置した台船と、少なくとも1つの係留装置と前記フロートを結合する係留ラインと、前記フロート上の滑車と前記台船上の滑車とを結合し前記台船上に設置されたチャック手段を介して引き出される引き付け鋼索と、前記引き付け鋼索の一端部が結合されるクレーン船とを備えたことを特徴とする把駐力試験装置。
- 前記チャック手段は2つのワイヤストッパからなり、1つは前記台船上に設置され、他の1つは前記クレーン船のクレーンフックに吊り下げられる鋼索に取り付けられていることを特徴とする請求項5記載の把駐力試験装置。
- 前記フロートと前記台船は、それぞれ係留装置に結合するための係留ラインを備えていることを特徴とする請求項5または6記載の把駐力試験装置。
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2006
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