JP2008035819A - プロモーターアッセイ方法に用いる容器、該容器を含むプレートおよびそれらを用いるプロモーターアッセイ方法 - Google Patents

プロモーターアッセイ方法に用いる容器、該容器を含むプレートおよびそれらを用いるプロモーターアッセイ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熟練した技術を必要とせず、微生物間のコンタミネーションや測定誤差を生じず、簡便かつ短時間でプロモーターアッセイ方法を行うことができる容器、複数の該容器を含むプレート、該プレートを用いるプロモーターアッセイ方法を提供すること。
【解決手段】 被検試料中に特定の物質が存在するか否かを判定するための組換え微生物を用いるプロモーターアッセイ方法に用いる容器であって、該容器内部に収容された該組換え微生物と、該組換え微生物を該容器内部に密閉する膜部とを備え、ここに該組換え微生物が微生物遺伝子のプロモーター領域をレポーター遺伝子に作動可能に連結したポリヌクレオチドを含むベクターによって形質転換されている容器、2以上の該容器を含むプレート、ならびに該容器およびプレートを用いるプロモーターアッセイ方法。
【選択図】図1

Description

本発明は微生物を利用するプロモーターアッセイ方法に用いる容器に関し、詳細には、特定の物質により活性化されるプロモーター領域に連結したレポーター遺伝子を保有する微生物が内部に密閉されたプロモーターアッセイ用の容器、複数の該容器を含むプレート、それらを用いるプロモーターアッセイ方法に関する。
被検試料中の特定の物質を組換え微生物のプロモーター活性によって検出するプロモーターアッセイ方法が知られている(特許文献1)。この方法は、特定の物質により活性化されるプロモーター領域に作動可能に連結したレポーター遺伝子を保有するベクターで形質転換した微生物と被検試料とを容器にそれぞれ加えて接触させる。該被検試料中にプロモーター領域を活性化させる物質が含まれている場合には、プロモーター領域が活性化され、それと作動可能に連結しているレポーター遺伝子の発現を誘導する。したがって、そのレポーター遺伝子の発現を検出することにより、被検試料に特定の物質が存在することが示される。かかるプロモーターアッセイは、物質が微量に存在する場合にも検出が可能で、比較的短時間のうちに検出が可能で、繊細な機器を取り扱う必要もなく、検査に要するコスト面においても優れたアッセイである。
しかしながら、プロモーターアッセイ方法においては、組換え微生物、培地、被検試料や、場合によっては酵素基質などを容器に調製する操作が必要である。また、多種の異なるプロモーター遺伝子で形質転換した多種類の微生物を使用し、物質と接触させた場合の個々のプロモーター遺伝子の活性の結果を比較することによって物質を検出する場合もある。そのため、かかる操作は、時間を要し、手間がかかり、熟練した技術を備える技術者を必要とし、また、異なる種類の微生物を使用するために微生物間のコンタミネーションも起こり易い。さらに、実験区間の操作の時間的差異に起因して、測定誤差が生じる可能性もある。
一方、プロモーターアッセイ方法の対象になり得る被検物質は食品、河川または湖沼等の環境水および下水、家庭排水/工業排水、土壌など多岐にわたり、研究室のみならず、食品加工/検査場、河川などの被検物質の採取現場において簡便にアッセイすることができればその利便性は大きく拡大する。
このような状況から、熟練した技術者による研究室内の操作に限定されず、いずれの場所においても簡便に行うことができ、コンタミネーションや測定誤差も発生することなく被検試料をアッセイすることに対する要望が存在していた。
Barelle CJ, Manson CL, MacCallum DM, Odds FC, Gow Na, Brown AJ.: GFP as a quantitative reporter of gene regulation in Candida albicans. Yeast 2004 Mar; 21(4):333-40.
本発明は、熟練した技術を必要とせず、微生物のコンタミネーションや測定誤差を生じず、簡便かつ短時間でプロモーターアッセイ方法を行うことができる容器、複数の該容器を含むプレート、該容器またはプレートを用いるプロモーターアッセイ方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題に鑑みて鋭意検討した結果、形質転換した微生物を保存状態で内部に密閉した容器を用い、またかかる複数の容器を含むプレートを用いることによりかかる課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 被検試料液中に特定の物質が存在するか否かを判定するための組換え微生物を用いるプロモーターアッセイ方法に用いる容器であって、
該容器内部に収容された該組換え微生物と、該組換え微生物を該容器内部に密閉する膜部とを備え、ここに該組換え微生物が微生物遺伝子のプロモーター領域をレポーター遺伝子に作動可能に連結したポリヌクレオチドを含むベクターによって形質転換されている容器;
[2] 該判定を、該特定の物質により活性化されるプロモーターに連結したレポーター遺伝子のmRNAへの転写量を調べることにより行う[1]記載の容器;
[3] 該膜部を2以上に分離するように該膜部と隣接して位置する遮蔽部を備え、該組換え微生物が該膜部と該遮蔽部とによって容器内部に密閉される[1]または[2]記載の容器;
[4] 該膜部の上部に2以上の開口部を備えた遮蔽部を有し、前記開口部の少なくとも1が注射器の先端を着脱自在に嵌合できるように構成されている、該組換え微生物が該膜部と該遮蔽部とによって容器内部に密閉される[1]または[2]記載の容器;
[5] 該膜部の少なくとも一部が疎水性であり、該組換え微生物が該膜部と該遮蔽部とによって容器内部に密閉される[3]または[4]記載の容器;
[6] 該組換え微生物が乾燥状態で収容される[1]ないし[5]のいずれか1に記載の容器;
[7] 該組換え微生物が容器内面に化学的に固定化されて収容される[1]ないし[5]のいずれか1に記載の容器;
[8] 該組換え微生物が酵母(Saccharomyces cerevisiae)である[1]ないし[7]のいずれか1に記載の容器;
[9] 底面が略透明である[1]ないし[8]のいずれか1に記載の容器;
[10] 該膜部が、収容された微生物は通過することはできないが、被検試料を含む水性液は通過することができる材料からなる[1]ないし[9]のいずれか1に記載の容器;
[11] 該膜部がフィルタからなる[1]ないし[10]のいずれか1に記載の容器;
[12] 該フィルタのポアサイズが180μm以下である[11]記載の容器;
[13] 該フィルタのポアサイズが50μm以下である[11]記載の容器;
[14] 該フィルタのポアサイズが10μm以下である[11]記載の容器;
[15] さらに、該容器内部を密閉するように容器の開口部に設けられた剥離可能なシールを備える[1]ないし[14]のいずれか1に記載の容器;
[16] さらに、作用極および対極を有する電極からなる酸素電極を該容器内部に備え、該作用極および該対極からの信号を出力する外部接触子を備える[1]ないし[15]のいずれか1に記載の容器;
[17] さらに、容器の開口部を密閉する蓋を有する[1ないし16のいずれか1に記載の容器;
[18] [1]ないし[17]のいずれか1に記載の容器を2以上備え、そのうち1以上の容器に第1のプロモーター領域を含む組換え微生物が収容され、残りの容器に第2のプロモーター領域を含む組換え微生物が収容された、被検試料中に特定の物質が存在するか否かを判定するための組換え微生物を用いるプロモーターアッセイ方法に用いるプレート;
[19] 該第1または第2のプロモーター領域を含む組換え微生物の少なくとも1種が、特定の物質の不存在下において一定のレベルのプロモーター活性を発現する[18]記載のプレート;
[20] さらに、該容器内部を密閉するように容器の開口部に設けられた剥離可能なシールを備える[18]または[19]記載のプレート;
[21] 被検試料液中に特定の物質が存在するか否かを判定するためのプロモーターアッセイ方法であって、
1)培地を[1]ないし[20]のいずれか1に記載の容器またはプレートの容器に加えて組換え微生物を賦活させ、
2)被検試料液を該容器または該プレートの容器に注入して、該組換え微生物と該被検試料液とを一定時間接触させ、ついで
3)該組換え微生物のレポーター遺伝子の発現を測定する
ことを含むプロモーターアッセイ方法;
[22] 該容器または該プレートの容器の膜部のポアサイズ以上のポアサイズを有する1または複数の膜部を通して濾過した被検試料液を、該容器または該プレートの容器に注入する[21]記載のプロモーターアッセイ方法;
[23] レポーター遺伝子の発現を容器の下方から測定する、[21]または[22]記載のプロモーターアッセイ方法;および
[24] レポーター遺伝子の発現を、蛍光、発光、比色、酸素濃度および二酸化炭素濃度よりなる群から選択される指標によって測定する[21]ないし[23]のいずれか1に記載のプロモーターアッセイ方法;
を提供する。
本願の特許請求の範囲および明細書中において「微生物」という場合は、天然に存在する野生株または野生型株、例えばヒト、マウスその他の哺乳類由来の動物細胞および動物細胞の樹立株、植物細胞および植物細胞の樹立株、魚類、線虫等の細胞、昆虫細胞、酵母等の真菌細胞、および大腸菌等の細菌細胞をいう。また、「組換え微生物」という場合は、遺伝子操作技術により異種の遺伝子で形質転換された微生物をいう。
また、本願の特許請求の範囲および明細書中において「プロモーター活性が一定濃度の物質の存在下に上昇する」とは、当該微生物の生育が重度に阻害される状態または死滅する状態のいずれでもない濃度の物質が存在する下で、プロモーター活性が物質の存在により上昇することをいう。
本願の請求項1に係る発明によれば、組換え微生物を調製して容器に入れる時間および手間を省略することができ、外部の微生物のコンタミネーションを排除することができ、繊細な機器を使用することおよび熟練した技術者による操作を必要とせず、いずれの場所においても簡便にアッセイすることができる。
本願の請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明と比較して、プロモーターの活性化をレポーター遺伝子のmRNAへの転写レベルで判定することができるため、より正確にプロモーターの活性化をアッセイすることができる。
本願の請求項3に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、2以上の分離した膜部が存在し、1の膜部から被検試料を含む液(被検試料液)を容器内部に注入しつつ他の膜部から容器内部の空気が排出されるため、スムースに被検試料液を容器内部に流入させることができる。
本願の請求項4に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、1の開口部に嵌合する注射器により、膜部を通して被検試料液を圧入できるため、よりスムースに被検試料液を容器内部に流入させることができる。
本願の請求項5に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、膜部が被検試料液などに濡れて容器内部の空気の排出が妨げられることを防止することができるため、よりスムースに被検試料液を容器内部に流入させることができる。
本願の請求項6に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、長期間にわたって微生物を生存した状態で収容できるため、本発明の容器を有効に使用し得る期間を延長することができる。
本願の請求項7に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、組換え微生物をより均一かつ安定した状態で容器内部に保存することができるため、より精度の高いアッセイをすることができる。
本願の請求項8に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、生物学的にヒトにより近い真核生物である酵母を用いるため、ヒトに対する物質の影響と類似する影響をアッセイすることができる。
本願の請求項9に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、レポーター遺伝子の発現が光学的現象を引き起こす場合にかかる現象を直接的に検出できるため、より簡便かつ正確にアッセイすることができる。
本願の請求項10に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、アッセイするまで微生物を容器内に収容することができ、また、被検試料液に含まれる夾雑物を除去しつつ被検試料を微生物と接触させることができるため、より正確にアッセイすることができる。
本願の請求項11に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、より均一に被検試料中の夾雑物を除去することができるため、より正確にアッセイすることができる。
本願の請求項12ないし14に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、組換え微生物を容器内により確実に収容しつつ、被検試料液中の除去すべき夾雑物のサイズを制御することができるため、より正確にアッセイすることができる。
本願の請求項15に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、アッセイに使用するまでに容器内部に夾雑物が進入することが防止され、また、膜部の破損が防止されるため、より正確にアッセイすることができる。
本願の請求項16に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、組換え微生物の生菌数を酸素消費により測定しながら、生菌数およびレポーター遺伝子の発現の関数からプロモーターの活性化を調べることができるため、より正確にアッセイすることができる。
本願の請求項17に係る発明によれば、前記の請求項に係る発明と比較して、アッセイの間にも容器内部に夾雑物が浸入することが防止され、また、膜部の破損が防止されるため、より正確にアッセイすることができる。また、酸素消費を測定する場合には、外部からの酸素の流入を防止することができるため、より正確に酸素消費を測定することができる。
本願の請求項18に係る発明によれば、同時に多数の被検試料を複数種のプロモーターに対する影響によってアッセイすることができるため、正確かつハイスループットなアッセイをすることができる。
本願の請求項19に係る発明によれば、請求項18に記載の発明と比較して、検出上限の限界濃度を超える物質が被検試料中に存在する場合と物質が存在しない場合とを同時に区別できるため、より正確にアッセイすることができる。
本願の請求項20に係る発明によれば、請求項18または19に記載の発明と比較して、アッセイに使用するまでに容器内部に夾雑物が進入することが防止され、また、膜部の破損が防止されるため、より正確にアッセイすることができる。
本願の請求項21に係る発明によれば、組換え微生物を調製して容器に入れる時間および手間を省略することができ、外部の微生物のコンタミネーションを排除することができ、繊細な機器を使用することおよび熟練した技術者による操作を必要とせず、いずれの場所においても簡便にアッセイすることができ、また賦活化する前に組換え微生物が被検試料液と接触することが防止されるため、より正確かつハイスループットなアッセイをすることができる。
本願の請求項22に係る発明によれば、請求項21に記載の発明と比較して、被検試料中の夾雑物による膜部の目詰まりが防止されるため、より効率的にアッセイすることができる。
本願の請求項23および24に係る発明によれば、請求項21または22に記載の発明と比較して、従来の測定機器を使用してレポーター遺伝子の発現を測定できるため、より簡便にアッセイすることができる。
以下、本発明の1つの態様における容器、プレートおよびアッセイ方法について、図面に参照しつつ詳細に説明する。
本発明は、第1の態様において、プロモーターアッセイ方法に用いる、図1に示すような容器(1)を提供する。
本発明の容器を用いてアッセイする被検試料は、通常、河川・湖沼等の環境水および下水、排水から供給される検体試料水、あるいは廃棄物処理場の浸出水、土壌、農産物、食品、食品加工物などから採取される試料であり、これらの被検試料には、農薬、医薬品、染料、塗料、接着剤等の産業用途を有し、環境に放出され得る物質や、それから生物学的もしくは化学的な分解、または焼却などの物理的な分解により非意図的に生成される物質であって、毒性を有することが懸念されるものが含まれる。これらのアッセイすべき物質の毒性作用として、内分泌撹乱作用、変異原性、発がん性、遺伝毒性、生態毒性、免疫毒性、細胞機能障害毒性などが知られている。被検試料は、液体の場合はそのまま、または水などの溶媒に溶解または分散させて被検試料液を調製した後に、本発明の容器の上方から膜部を通して容器内部に注入する。また、被検試料が多量の夾雑物を含む場合には、そのまま容器に加えると膜部が目詰まりする可能性がある。したがって、被検試料液の状態から目詰まりが予想される場合には、容器に注入する前に、その容器の膜部のポアサイズ以上のポアサイズを有する少なくとも1のメンブレンなどを通して濾過することより、夾雑物を濾別しておくことが好ましい。
本発明において被検対象となり得る物質のうち、化学物質としては、例えば(1)ベンゾ(a)ピレン、(2)ビスフェノールA、(3)フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)、(4)2,5-ジクロロフェノール、(5)2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、(6)ホルムアルデヒド、(7)塩化メチル水銀、(8)4-ニトロキノリン-N-オキサイド、(9)4-ノニルフェノール、(10)ペンタクロロフェノール、(11)メタ亜ひ酸ナトリウム、(12)チウラム、(13)塩化トリブチルすず(IV)、(14)2,4,5-トリクロロフェノール、(15)トリップ-P-2, 酢酸塩、(16)パラコート、(17)塩化カドミウム、(18)γ-ヘキサクロロシクロへキサン、(19)マラソン、(20)マンネブ、(21)塩化ニッケル(II)、(22)二クロム酸カリウム、(23)塩化トリフェニルすず(IV)、(24)フェノール、(25)ベンチオカーブ、(26)ヘキサクロロフェン、(27)トリクロサン、(28)塩化水銀、(29)硫酸銅(II)、(30)シアン化カリウム、(31)ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
本発明の容器(1)に含まれる組換え微生物(2)は、特定の物質と接触すると活性化される微生物遺伝子のプロモーターと、それに作動可能に連結したレポーター遺伝子とを保有するベクターで形質転換した生物細胞であり、例えばヒト、マウス、ラット、サルなどの哺乳類由来の動物細胞および動物細胞の樹立株、植物細胞および植物細胞の樹立株、これまでバイオアッセイに用いられている魚類、線虫などの細胞、昆虫細胞、酵母などの真菌細胞、および大腸菌などの細菌細胞などが含まれる。これらの中でも、乾燥状態で長期間保存が可能な、例えば大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、酵母(Saccharomyces cerevisiae)などが好ましく、真核生物である酵母が特に好ましい。
組換え微生物が保有するプロモーターが活性化されるとレポーター遺伝子が発現するため、そのレポーター遺伝子の発現産物(mRNAへの転写量およびタンパク質の発現量など)を検出することにより、被検試料中に特定の物質が存在するか否かをアッセイすることができる(プロモーターアッセイ方法)。かかる物質により活性化されるプロモーターは、公共のデータベース(例えば、ドイツのMIPS:Munich Information Center for Protein Sequence、米国のSGD:Saccharomyces Genome Database)に開示されており、インターネットを介して知ることができ、例えば、YBR072W、YCR102C、YCR107Wなどの酵母プロモーター領域が含まれる。
また、本発明に使用するプロモーターとしては、上記プロモーター領域のヌクレオチド配列において1ないし数個のヌクレオチドが欠失、置換および/または付加されたヌクレオチド配列からなり、かつ、上記のプロモーター領域と同様の特定の物質によって活性化される、酵母またはその他の生物由来のプロモーター領域が含まれる。
また、本発明に使用するプロモーターとしては、上記のプロモーター領域のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を有し、かつ、上記のプロモーター領域と同様の特定の物質によって活性化される、酵母またはその他の生物由来のプロモーター領域が含まれる。
ここにストリンジェントな条件とは、上記のプロモーター領域に対して高い相同性を有する他の核酸配列が特異的にハイブリダイズすることができる条件を意味し、このような条件下であれば特に限定されるものではないが、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編、John Wiley & Sons, Inc. (1995), セクション2、4および6に見出すことができる。さらなるストリンジェントな条件は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Sambrookら、Cold Spring Harbor Press (1989), 第7、9および11章に記載されている。
本発明において好ましいストリンジェントな条件の例としては、約42℃にて約3×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中のハイブリダイゼーション(または約42℃にて約4×SSCおよび約50%ホルムアミド中のハイブリダイゼーション)につづく、約42℃にて約2×SSC中の1回以上の洗浄が挙げられる。
さらに、本発明に使用するプロモーターとしては、上記のプロモーター領域のヌクレオチド配列に対して高い相同性を有し、かつ、上記のプロモーター領域と同様の特定の物質によって活性化される、酵母またはその他の生物由来のプロモーター領域が含まれ、例えば上記のプロモーター領域のヌクレオチド配列に対して、少なくとも85%以上、好ましくは87%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは93%以上、よりさらに好ましくは95%以上、なおよりさらに好ましくは97%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するプロモーター領域も含まれる。
また、本発明に使用するレポーター遺伝子としては、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、オキシゲナーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アセチルトランスフェラーゼなどをコードする遺伝子が含まれる。
プロモーターおよびレポーター遺伝子は作動可能に連結して、微生物形質転換用のベクターを構築する。特定の微生物の形質転換に使用するベクター、およびプロモーターにレポーター遺伝子を作動可能に連結する方法は、当業者によく知られている(例えばR.W.オールド、S.B.プリムローズ 遺伝子操作の原理 原書第5版, 培風館, pp138-165, pp.234-263, 2000を参照)。また、かかるベクターには、ターミネーター、エンハンサー、薬剤耐性遺伝子などの、より有効にプロモーターアッセイを行うことができ、または微生物の遺伝子操作をより簡便に行うことができる種々の因子を含ませることができる。このようにして、構築したベクターは、当業者によく知られた方法によって微生物に導入する(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編、John Wiley & Sons, Inc. (1995)およびMolecular Cloning: A Laboratory Manual, Sambrookら、Cold Spring Harbor Press (1989)を参照)。
プロモーターの活性化は、微生物におけるレポーター遺伝子の発現、すなわちレポーター遺伝子のmRNAへの転写、タンパク質への翻訳により測定することができる。
組換え微生物は、通常、凍結乾燥法またはL−乾燥法などの手法により乾燥した状態とした後に、本発明の容器内部に収容し得る。特に、ミストデシカンス、20%スキムミルク、または20%グリセリンを含有するミューラーヒントン培地を分散媒として用いる凍結乾燥法およびL−乾燥法で乾燥した組換え微生物は、長期間生存した状態で本発明の容器に保存することができる。また、組換え微生物が酵母(Saccharomyces cerevisiae)である場合には、Reed, G.およびNagodawithana, T.W. (1991) Yeast Technology, 第2版, pp.261-314, Van Nostrand Reinhold, New York、国際公開番号WO 02/062966および特表2005-523032に記載された方法を用いて乾燥酵母を調製し得る。被検試料を含む液(被検試料液)を、またはかかる液を注入する前に適当な培地を容器に入れると、保存状態にあった微生物が賦活化され、賦活化した状態で被検試料に含まれる物質に対してプロモーターが反応する。あるいは、より均一かつ再現性よくプロモーターアッセイを行い得るように、組換え微生物は、容器の内面に化学的結合を介して固定化してもよい。
本発明の容器内部に組換え微生物(2)を密閉する膜部(3)は、通常、収容した後に微生物が容器外部に放出されないように密閉しつつ、容器内部(4)への被検試料液の浸入は許容する材料からなる。また、膜部は、被検試料液に含まれる比較的大きなサイズの夾雑物が容器内部へ入るのを防ぐ役割を果たす。膜部(3)は、容器の開口部(5)より下方に容器内部(4)の空間断面を横切って位置する。容器上方から被検試料液を加える際、液が膜部を通過するのに時間がかかる場合がある。このような場合には、被検試料液が膜部上方に貯溜した状態で容器を遠心分離することにより試料液を容器内部に注入することができる。
別の形態において、膜部(3)は、その膜部と隣接して位置する遮蔽部(6)により2以上に分離されていてもよい。かかる遮蔽部(6)は、被検試料液および空気の通過を許容しないいずれの材料からなるものでもよく、例えば下記に説明する容器本体(10)と同じ材料からなるものや、膜部(3)に接着剤などを含浸して固化させたものとすることができる。該遮蔽部により膜部(3)が2以上に分離された形態においては、その1の膜部を通して被検試料液を容器内部に注入すると、他の膜部を通して容器内部の空気が外部に放出されるため、被検試料液がよりスムースに容器内部に注入される。したがって、空気が外部に放出される膜部は、培地または被検試料液などによって濡れにくいように疎水性であることが好ましい。かかる場合において、遮蔽部(6)は、被検試料液を容器の上方から1の膜部へより容易に注入し得るように、図1〜3に示すような形状とすることができる。
また、別の形態において、遮蔽部(6)は、図5に示すように膜部(3)の上方に2以上の開口部(5)を形成するような形状にし、その開口部の少なくとも1を注射器(20)の先端を着脱自在に嵌合できるように構成することもできる。この形態においては、膜部またはフィルタが目詰まりを引き起こし易く、被検試料液をスムースに容器内部に注入できない場合でも、被検試料液を入れた注射器の先端を遮蔽部の開口部(5)に嵌合して注入することにより、被検試料液を圧入することができる。また、図5に示す
膜部(3)は、容器内部の微生物の通過は許容せず、被検試料液の通過を許容するものであればよいが、好ましくは、Isopore(登録商標)、ナイロンメンブレン・フィルタ(Nylon Membrane Filters)、ナイロンネット・フィルタ(Nylon Net Filters)(以上、Millipore Corp.)などのフィルタからなり、該フィルタのポアサイズは、理論上、被検試料液が自然に落下する約580μm、振動が加わることにより落下する、通常約387μm以下、約290μm以下、また、微生物の保持を考慮すると約180μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、なおより好ましくは5μm以下、さらにより好ましくは3μm以下、最も好ましくは1μm以下である。
なお、被検試料液の通過を許容するフィルタのポアサイズ(空隙の最大直径)は、以下の理論に従って計算することができる。
1)半径Rのポア径のフィルタの両側が粘性率μの流体で満たされており、膜の両側に圧力差δpがあるとすると、フィルタを通り過ぎる流体の体積(流量Q)はQ=(R/3μ)δpと計算される。μ〜1×10−3Pa・sec(20℃)(注射器の場合)
2)フィルタの片側だけに流体があり、圧力差がかかっている場合に、流体がフィルタを通り抜けないようにする圧力を表面張力のみとすると、水の界面がポア径と同じ程度の球面状に膨らんでいると仮定し、表面張力γによる圧力は
δp=γ(2/R)、この圧力差が静水圧ρghとつり合って流体の流れを留めていると考えると R〜2γ/ρgh となる。(ρ:密度、g:重力加速度)
3)よって、常温で水深が5cmの時に水が透過するフィルタのポア径は、
R〜2γ/ρgh=2×72[dyne/cm]/(1[g/cm]×980[cm/s]×5[cm])〜0.029[cm]=290[μm]、すなわちポアサイズ(2R)は580μmと計算される。また、フィルタが疎水性加工されている場合は、表面張力による以上の静止圧となると考えられるため、ポアサイズは、上記計算値より大きくなり、親水性素材の場合は逆に上記計算値より小さくなる。
上述の理論計算によれば、溶液の深さが5cmの場合、ポアサイズが580μm以下の場合は被検試料液が透過しないこととなるが、これは静圧の理論値であるので、振動などで1.5×g(g:重力加速度)かかった場合を想定すると580μm/1.5で387μm以下、2×gを想定すると290μm以下、素材の影響も考慮し、通常約250μm以下を採用すれば被検試料液の透過としては最適と考えられる。一方、保存中に乾燥酵母がこぼれなければよいので、乾燥状態では複数の酵母が固まった塊で存在するので、50μm以下であればよく、酵母の大きさは10μmであるので、組換酵母を環境へ放出することを厳密に防ぐ目的ではフィルタは10μm以下が望ましい。したがって、本発明のフィルタのポアサイズは、2×gの振動が加わる場合の計算値290μm以下と塊状の酵素の大きさ50μmとのほぼ中間が望ましく、両方の効果と取扱い易さを考慮して約180μm以下が望ましい。
また、別の形態において、本発明の容器は、開口部(5)に、上述した組換え微生物、膜部、遮蔽部、または、後述する酸素電極などを容器内部に密閉する剥離可能なシール(7)を設置してもよい。このシールは、容器内部に収容される組換え微生物を水分などから保護してその生存期間を延長するとともに、膜部を保護する役割を果たし、かかる機能を有するいずれの材料からなるものであってもよい。シールは、容器から剥離し得るように容器開口部に接着されている。
また、別の形態において、本発明の容器は、被検試料中の物質に対する組換え微生物のプロモーターの活性化を被検試料液中の溶存酸素濃度の変化により測定し得るように、酸素電極(8)を設置することもできる。かかる酸素電極(8)は作用極(8a)と対極(8b)、および所望により参照極(8c)とからなり、これら電極からの信号を容器の外部に出力するための外部接触子(9a、b、c)が、容器本体(10)を横切って位置する。この形態において、本発明の容器は、図示しない信号処理装置に電気的に接続し、電極からの電気信号に基づいて被検試料液中の溶存酸素量を測定することができる。
本発明の容器本体(10)は、上述の組換え微生物と被検試料液とを接触させ、組換え微生物のレポーター遺伝子の発現を測定し得るものであればいずれの形状、材料からなるものであってもよいが、ポリスチレン、ガラス含有ポリプロピレン、ポリプロピレンなどの透明または半透明の材料からなり、図1および2に示すような縦に細長い有底円柱形状のほか、弾丸形状のものとすることができる。容器本体(10)の大きさは、より少量の被検試料でもアッセイが十分に可能なサイズであり、通常50μl〜50mlの容積を有する。また、容器本体の形状は、図5に示すように、広範囲の容量の被検試料液を適用することができるように、開口部側の容積が底部側の容積よりも大きくなる形状とすることができる。
さらに、本発明の容器は蓋(11)を備えていてもよい。かかる蓋は、容器本体から分離していても、または図示するようなヒンジにより容器本体と連結していてもよい。容器が剥離可能なシール(7)を含む形態においては、前記のシールを剥離した後にも蓋を閉めて容器内部を密閉することができる。また、前記の溶存酸素量を測定する場合には、蓋を閉めて外部から流入する酸素が被検試料液に溶解することを防止することができるため、正確に溶存酸素量を測定することができる。
これら組換え微生物の作製方法、乾燥状態で保存する方法、容器内面への微生物の固定化方法、膜部の製造方法、膜部を容器内に形成する方法、剥離可能なシールの形成および接着方法、電極および接触子を形成する方法、ならびに容器本体の製造方法は、公知の方法により行うことができる。
本発明は、第2の態様において、図6に示すような2以上の上述の容器(1)からなるプロモーターアッセイ方法に用いるプレート(12)を提供する。プレートに用いる容器本体、組換え微生物、膜部、遮蔽部、剥離可能なシール、酸素電極および蓋は、上述したものと同じである。なお、図6においては12の容器を含むプレートを示す。
本発明のプレートは、連結した2以上の容器(1)からなる。容器(1)を連結する部分(13)は、各々の容器内部の状態が外から観察し得るように透明または半透明が好ましく、容器本体の材料と同じまたは異なる材料からなる。
本発明のプレートは2以上の容器をいずれの配置で含むものであってもよいが、好ましくは図示するようなマトリックス状に配置された容器を含み、より好ましくは市販されている大部分のプレートリーダーなどの機器に適合可能な開口径、間隔、数の容器を含む。かかるプレートは、マイクロプレートの公知の方法により製造することができる。該プレート(12)は、各容器の開口部を覆う1の剥離可能なシール(7)で覆って、アッセイに使用するまでに容器内部に夾雑物が進入することが防止され、また、膜部の破損が防止されるため、より正確にアッセイすることができる。2以上の容器(ウェル)には、異なるプロモーター領域を保有する組換え微生物を含ませることができる。
本発明は、第3の形態において、上述した容器またはプレートを用いるプロモーターアッセイ方法を提供する。プロモーターアッセイ方法は、上述した容器またはプレートの容器に保存されている組換え微生物に適当な培地を加えて賦活させ;被検試料が液体の場合はそのままで、または水などの溶媒に溶解または分散させて被検試料液を調製した後;容器またはプレートの容器の上方から膜部を通して被検試料液を容器内部に注入し;攪拌、振盪または静置して組換え微生物と被検試料液とを一定時間接触させ;ついで、該組換え微生物のプロモーターの活性化を、レポーター遺伝子の発現により測定する工程からなり、被検試料中に特定の物質が存在するか否かを判定する。
レポーター遺伝子の発現は、mRNAの転写量または転写量の変化(RT−PCR、ノザンブロッティング、サザンブロッティング法)や、レポーター遺伝子の発現によるマーカータンパク質の発現量または発現量の変化(ELISA法、ウェスタンブロッティング法)を指標に用いる。
また、プレートを用いた多重アッセイにおいては、複数の容器に対して同時に操作を行い得るため、異なるプロモーター領域を保有する複数種の組換え微生物に対して1種の被検試料を平行してアッセイすることができる。また、1のプロモーター領域を保有する1種の組換え微生物に対して複数種の被検試料を平行してアッセイすることもできる。あるいは、異なるプロモーター領域を保有する複数種の組換え微生物に対して複数の被検試料を個別に平行してアッセイすることもできる。
1種の組換え微生物のみを利用するプロモーターアッセイ方法において用いるプロモーターは、被検試料に応答する遺伝子のプロモーターであることに加えて、そのプロモーター自体が被検試料の不存在下においてもプロモーター活性を一定レベルで発現するプロモーターとすることができる。このように1種の組換え微生物を用いるプロモーターアッセイ方法において、ある種の公知のプロモーターを保有する組換え微生物を用いた場合、検出上限の限界濃度を超える物質が被検試料中に存在するとプロモーター活性のレベル、すなわちレポーター遺伝子の発現量は低下または消失する。しかし、その被検試料を検出上限の限界濃度以下の濃度の物質を含む試料まで希釈し、物質不存在下のプロモーター活性を超えるレベルで発現する場合には、その被検試料が特定の物質を含有することをより高い精度で予想することができる。
また、複数種の組換え微生物を利用するプロモーターアッセイ方法においては、そのうちの少なくとも1種の組換え微生物は物質の不存在下においてもプロモーター活性を一定レベルで発現するプロモーターを保有するものとすることができる。また、組換え微生物の組み合わせは、被検試料中に存在することが疑われる物質に特異的に応答する公知のプロモーターを保有する微生物の組が好ましい。
本発明において用いる「物質の不存在下においてもプロモーター活性を一定レベルで発現する組換え微生物」とは、物質に応答する遺伝子のプロモーター下流に連結したマーカー遺伝子が物質の存在いかんにかかわらず、検出限界以上のレベルで恒常的に発現している微生物を意味する。このような組換え微生物の例としては、前記に例示したプロモーターを保有する組換え酵母が挙げられる。
また、「物質の不存在下においてもプロモーター活性を一定レベルで発現する組換え微生物」として、生育状態を変化させることにより物質を負荷しない状態でレポーター遺伝子が物質の存在いかんにかかわらず、検出限界以上のレベルで恒常的に発現させるような処理、例えば培養液の組成を変化させるような処理を行ったものも用いることができる。したがって、本発明においては、前述の容器内部に培養液の乾燥粉末を含ませることもできる。
さらに、本発明は、別の形態において、本発明の容器またはプレートを用いて、特定の物質およびその濃度に対する特定のプロモーターの応答の関係を調べることにより作成するデータベースも提供する。データベース作成の具体的な手法は、特開2004−248634(DNAマイクロアレイ法を用いる毒性物質の同定方法)に詳細に記載されている。
本発明のプロモーターアッセイ方法を行う一態様を説明する。
物質の不存在下においてもプロモーター活性を一定レベルで発現する組換え微生物を少なくとも1種含む、物質に対して応答を示す1種の組換え微生物または異なる応答を示す2種以上の組換え微生物を収容した容器または複数の容器を含むプレートを作製する。その際、1種の組換え微生物のみを用いる場合、該微生物は特定の物質の不存在下においてプロモーター活性を一定レベルで発現し、特定の物質の存在下では不存在下とは異なるプロモーター活性を発現するプロモーター、すなわち物質に対して応答するプロモーターで形質転換した微生物を用いる。
個々の容器に、分析したい物質が入っている被検試料液を加え、個々の組換え微生物の応答を、マーカータンパク質に対応した専用の装置で測定する。測定の際の微生物培養条件、物質同定手法等の詳細は、特開2004−248634(DNAマイクロアレイ法を用いる毒性物質の同定方法)に記載されている。
この形態において、「物質の不存在下においてプロモーター活性を一定レベルで発現する組換え微生物」のプロモーター活性が低下または消失した場合、加えた被検試料にはある物質が、微生物を(a)その生育が重度に阻害される状態、あるいは(b)微生物が死滅する状態、に至らしめるレベルで存在していると考えられる。そこで、その場合は、新たに被検試料の希釈系列を調製し、該プロモーター活性が消失しない試料の濃度を特定し、それを新たな被検試料として容器またはプレートに加えてアッセイを行う。新たな被検試料を用いて行うアッセイ方法には、被検試料中に物質が存在するか否かを検定するための通常の方法を用いることができる。例えば、レポーター遺伝子からのmRNAの転写量または転写量の変化(RT−PCR、ノザンブロッティング、サザンブロッティング法)や、レポーター遺伝子の発現によるマーカータンパク質の発現量または発現量の変化(ELISA法、ウェスタンブロッティング法)を指標に用いる方法であり、これにはプロモーターアッセイ法が含まれる。
本発明は環境中に存在する物質を高感度で検出するバイオアッセイに使用する機器および方法の分野に属する。本発明の機器および方法は、熟練した技術を必要とせず、微生物のコンタミネーションや測定誤差を生じず、簡便かつ短時間に行い得る物質のプロモーターアッセイに利用することができる。
本発明の1の形態の容器の断面図を示す。 本発明の別の形態の容器の断面図を示す。 図1の容器の上面図を示す。 本発明の別の形態の容器の断面図を示す。 本発明の別の形態の容器の断面図を示す。 本発明の別の形態のプレートの斜視図を示す。
符号の説明
1 容器
2 乾燥状態の微生物
3 膜部
4 容器内部
5 容器開口部
6 遮蔽部
7 シール
8a 酸素電極(作用電極)
8b 酸素電極(対極)
8c 酸素電極(参照極)
9a 外部接触子(作用電極用)
9b 外部接触子(対極用)
9c 外部接触子(参照極用)
10 容器本体
11 蓋
12 プレート
13 複数の容器を連結する部分
20 注射器

Claims (24)

  1. 被検試料液中に特定の物質が存在するか否かを判定するための組換え微生物を用いるプロモーターアッセイ方法に用いる容器であって、
    該容器内部に収容された該組換え微生物と、該組換え微生物を該容器内部に密閉する膜部とを備え、ここに該組換え微生物が微生物遺伝子のプロモーター領域をレポーター遺伝子に作動可能に連結したポリヌクレオチドを含むベクターによって形質転換されている容器。
  2. 該判定を、該特定の物質により活性化されるプロモーターに連結したレポーター遺伝子のmRNAへの転写量を調べることにより行う請求項1記載の容器。
  3. 該膜部を2以上に分離するように該膜部と隣接して位置する遮蔽部を備え、該組換え微生物が該膜部と該遮蔽部とによって容器内部に密閉される請求項1または2記載の容器。
  4. 該膜部の上部に2以上の開口部を備えた遮蔽部を有し、前記開口部の少なくとも1が注射器の先端を着脱自在に嵌合できるように構成されている、該組換え微生物が該膜部と該遮蔽部とによって容器内部に密閉される請求項1または2記載の容器。
  5. 該膜部の少なくとも一部が疎水性であり、該組換え微生物が該膜部と該遮蔽部とによって容器内部に密閉される請求項3または4記載の容器。
  6. 該組換え微生物が乾燥状態で収容される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の容器。
  7. 該組換え微生物が容器内面に化学的に固定化されて収容される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の容器。
  8. 該組換え微生物が酵母(Saccharomyces cerevisiae)である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の容器。
  9. 底面が略透明である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の容器。
  10. 該膜部が、収容された微生物は通過することはできないが、被検試料を含む水性液は通過することができる材料からなる請求項1ないし9のいずれか1項に記載の容器。
  11. 該膜部がフィルタからなる請求項1ないし10のいずれか1項に記載の容器。
  12. 該フィルタのポアサイズが180μm以下である請求項11記載の容器。
  13. 該フィルタのポアサイズが50μm以下である請求項11記載の容器。
  14. 該フィルタのポアサイズが10μm以下である請求項11記載の容器。
  15. さらに、該容器内部を密閉するように容器の開口部に設けられた剥離可能なシールを備える請求項1ないし14のいずれか1項に記載の容器。
  16. さらに、作用極および対極を有する電極からなる酸素電極を該容器内部に備え、該作用極および該対極からの信号を出力する外部接触子を備える請求項1ないし15のいずれか1項に記載の容器。
  17. さらに、容器の開口部を密閉する蓋を有する請求項1ないし16のいずれか1項に記載の容器。
  18. 請求項1ないし17のいずれか1項に記載の容器を2以上備え、そのうち1以上の容器に第1のプロモーター領域を含む組換え微生物が収容され、残りの容器に第2のプロモーター領域を含む組換え微生物が収容された、被検試料中に特定の物質が存在するか否かを判定するための組換え微生物を用いるプロモーターアッセイ方法に用いるプレート。
  19. 該第1または第2のプロモーター領域を含む組換え微生物の少なくとも1種が、特定の物質の不存在下において一定のレベルのプロモーター活性を発現する請求項18記載のプレート。
  20. さらに、該容器内部を密閉するように容器の開口部に設けられた剥離可能なシールを備える請求項18または19記載のプレート。
  21. 被検試料液中に特定の物質が存在するか否かを判定するためのプロモーターアッセイ方法であって、
    1)培地を請求項1ないし20のいずれか1項に記載の容器またはプレートの容器に加えて組換え微生物を賦活させ、
    2)被検試料液を該容器または該プレートの容器に注入して、該組換え微生物と該被検試料液とを一定時間接触させ、ついで
    3)該組換え微生物のレポーター遺伝子の発現を測定する
    ことを含むプロモーターアッセイ方法。
  22. 該容器または該プレートの容器の膜部のポアサイズ以上のポアサイズを有する1または複数の膜部を通して濾過した被検試料液を、該容器または該プレートの容器に注入する請求項21記載のプロモーターアッセイ方法。
  23. レポーター遺伝子の発現を容器の下方から測定する、請求項21または22記載のプロモーターアッセイ方法。
  24. レポーター遺伝子の発現を、蛍光、発光、比色、酸素濃度および二酸化炭素濃度よりなる群から選択される指標によって測定する請求項21ないし23のいずれか1項に記載のプロモーターアッセイ方法。
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JPH1137969A (ja) * 1997-07-24 1999-02-12 Toshiba Corp 異常水質検出装置
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