JP2008031300A - 活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク、並びにこれを用いた画像形成方法および記録物 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、溶剤系インクでは、プラスチックなどの非吸水性の被記録媒体への印字適性はあるが、溶剤を乾燥させる必要があるため、乾燥に時間がかかるだけでなく、有機溶剤を揮発させるため、排気設備や、溶剤回収機構を設けなければならないという欠点があった。
そのため、酸素により重合の阻害を受けないカチオン重合を用いたインクが開示されている。例えば、特許文献5、6には、オキシラン、オキセタンを有する活性エネルギー線硬化型組成物が開示されているが、硬化性が十分ではなく、脆く、密着性も不十分であった。また、特許文献7には、オキシラン、オキセタン、ビニルエーテルを有する活性エネルギー線硬化型組成物が開示されているが、硬化性は比較的良好であるが、脆く、密着性も不十分であり、また、臭気が発生するため、ビニルエーテルを用いずに高感度化させる素材の開発が望まれていた。
また、活性エネルギー線硬化型のインクに用いる多官能のオキシラン、オキセタンは十分な吐出安定性を付与することが困難であった。特許文献8には二つのオキセタン基を有する低級アルキルエーテルを含有するインクジェット記録用インクも開示されているが、連続して印刷しているうちにノズルに詰まりが生じて吐出不良が起こり、低駆動力の安価なプリントヘッドでの吐出安定性は不十分であった。十分な吐出安定性を付与するためには吐出力が高い特殊なプリントヘッドが必要となり、プリント装置が大掛かりなものになってしまうという難点があった。インクジェットプリンタにおけるインク吐出性の向上させるインクとしては、例えば、特許文献9には、光反応性のモノマーを有する樹脂液と着色剤とを有するインクであって、該樹脂液の粘度を低く調整したものが開示される。しかしながら、このインクは、感度が低く、硬化時の収縮が起こり易いという欠点があった。
本発明では、「吐出安定性」とはノズル詰まりによる吐出不良が起こることなく安定して吐出され続けられることをいう。
[1]下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク。
[5]更にオキシラン環含有化合物、オキセタン環含有化合物のいずれかを含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク。
[6]更に少なくとも1種の重合開始剤および少なくとも1種の光増感剤を含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク。
[7]25℃での粘度が2〜20mPa・sであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク。
[9][1]〜[7]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクを用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、前記画像記録工程において前記被記録材に記録された画像に活性エネルギー線を照射して硬化させる画像硬化工程とを含むことを特徴とする[8]項に記載の画像形成方法。
[10]前記活性エネルギー線の照射光源が発光ダイオード又は半導体レーザであることを特徴とする[9]項に記載の画像形成方法。
[11]前記活性エネルギー線の中心波長が365±20nmであることを特徴とする[9]又は[10]項に記載の画像形成方法。
[12]前記画像硬化工程により硬化した画像の厚みが2〜30μmであることを特徴とする[9]〜[11]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[13][1]〜[7]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクを用いて形成されたことを特徴とする記録物。
本発明によれば、硬化性と吐出安定性に優れ、硬化後に折り曲げても脆性破壊の生じない活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクを提供することができる。また、そのような活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法及び記録物を提供することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクは、下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクである。
一般式(II)中、Bで表される2価の連結基は、前記一般式(I)におけるBと同様であり、好ましい範囲も同様である。
更に、一般式(I)又は(II)で表される化合物は下記一般式(III)で表される化合物であることが好ましい。
3−メチル−3−オキセタンメタノール204.3gとピリジン500mLを氷浴中で攪拌し、ここへp−トルエンスルホニルクロリド419.4gを少量ずつ分割投入した。氷浴中で3時間攪拌した後、反応液に水2Lを加えて晶析した。白色固体をろ過し、ピリジンの臭気がなくなるまで水洗した後、乾燥した。収量471.9g(92%)であった。
水素化ナトリウム90gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1L中に氷冷下で懸濁し、3−メチル−3−オキセタンメタノール153.2gのDMF溶液(500mL)を滴下した。30分攪拌した後、先ほど得たトシル体の白色固体384.5gを少量ずつ分割投入した。30分攪拌した後、室温に昇温し6時間攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、残留物を減圧蒸留にて精製した。約4mmHgにて94℃〜98℃の留分として210.0gの化合物I−2を得た。収率75%であった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ):4.52(dd,4H),4.38(dd,4H),3.56(s,4H),1.34(s,6H).
化合物I−2の25℃における粘度をRE80型粘度計(商品名、東機産業社製)を用いて測定したところ、5.2mPa・sであった。
水素化ナトリウム90gをDMF250mL中に氷冷下で懸濁し、3−エチル−3−オキセタンメタノール34.8gのDMF溶液(50mL)を滴下した。30分攪拌した後、化合物I−2の合成例で合成したトシル体の白色固体76.9gを少量ずつ分割投入した。30分攪拌した後、室温に昇温し6時間攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、46.2gの化合物I−3を得た。収率77%であった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ):4.55(dd,2H),4.50(dd,2H),4.41(dd,2H),4.38(d,2H),3.61(s,2H),3.56(s,2H),1.77(q,2H),1.34(s,3H),0.88(t,3H).
化合物I−2の25℃における粘度をRE80型粘度計(商品名、東機産業社製)を用いて測定したところ、7.1mPa・sであった。
本発明で用いられる一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物は、単独で用いるだけでなく複数混合して用いても、他のカチオン重合性化合物と混合して用いてもよい。一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物と他のカチオン重合性化合物の総量は、インク組成物の総量に対して70質量%以上99質量%以下が好ましく、75質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下が最も好ましい。
一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物の重合性化合物の総量に対する割合としては、任意に設定できるが、硬化性や粘度、硬化物の物性の観点から5質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上90質量%以下がより好ましく、15質量%以上80質量%以下が特に好ましい。
カチオン重合性化合物としては、公知のカチオン重合性化合物を用いられ、スチレン誘導体、ビニルエーテルの他に、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、ラクタム、ラクトンなどが用いられる。中でも、オキシラン、オキセタン、ビニルエーテルまたはスチレン誘導体が好ましく用いられ、特にオキシラン、オキセタンが好ましい。
また、オキシラン環含有化合物(オキシラン化合物、即ちエポキシ化合物)及びオキセタン環含有化合物(オキセタン化合物)は、前記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物の他に一つを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。硬化速度と硬化度を向上させる観点から、それぞれ少なくとも1種のオキセタン化合物とオキシラン化合物とを併用することが好ましい。この場合、オキシラン化合物とオキセタン化合物の比率はそれぞれ10:90〜70:30が好ましく用いられる。この間に設定すると硬化性と硬化速度のバランスの良いインク組成物が得られる。
オキシラン化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシドなどが挙げられる。芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのオキシラン化合物のなかでも、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
本発明におけるオキセタン化合物としては、オキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526、同2001−310937、同2003−341217の各公報に記載されるような、公知オキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましく、上述したように、なかでもインク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個または2個有する化合物を使用することが好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
Ra2は、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が、アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が、N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。
Ra5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、又は、C(CH3)2を表す。
Ra6は、炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基を表し、nは0〜2000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基であり、mは0〜100の整数である。
また本発明では更に硬化度を付与するためにビニルエーテル基を有する化合物を含有させてもよい。この場合、ビニルエーテル基を有する化合物は、硬化物の表面物性やインク組成物の溶解性の調整の観点からインク組成物中に1質量%〜20質量%の範囲で存在することができる。
本発明で用いられる単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また本発明では更にスチレン誘導体を含有させてもよい。この場合、スチレン誘導体としては、公知の化合物が用いられるが、ビニル基上の電子密度を向上させる観点から芳香環のp位およびo位の少なくとも一方が電子供与性官能基で置換されているスチレン誘導体が好ましく用いられる。ここで電子供与性官能基とは、Hammett則の置換基定数σ値が負となるものをいい、このような官能基としては、アミノ基、水酸基、アルコキシ基、アルキル基、などが挙げられる。中でも、重合中に活性末端と反応しにくいことから、アルコキシ基、アルキル基、ジメチルアミノ基が好ましく用いられる。
[重合開始剤]
本発明で好ましく用いられる重合開始剤は、光カチオン重合開始剤である。光カチオン重合開始剤とは、活性光線又は放射線の照射により酸を発生してカチオン重合を開始する化合物をいい、公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
光カチオン重合開始剤は、以下に挙げるものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本光カチオン重合開始剤のインク組成物中の含量は0.1〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。光カチオン重合開始剤の含量が0.1%以下になると酸の発生量が低下するため硬化性が低下する恐れがあり、また光カチオン重合開始剤の含量が20%以上になると硬化物の脆性や残存開始剤による酸の発生が問題となる場合があり、それぞれ好ましくない。
さらに米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
X-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4 -、PF6 -、SbF6 -や以下に示す基などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
Rc1における有機基として炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
なお、一般式(b1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(b1)で表される化合物のR201〜R203のうち少なくともひとつが、一般式(b1)で表される他の化合物のR201〜R203の少なくともひとつと直接、又は、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
化合物(b1−2)は、式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐または環状の2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基である。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
R201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
Rx及びRyは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
R204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
R204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
本発明に用いうる光カチオン重合開始剤の特に好ましいものの具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
特開2002−122994号公報、段落番号〔0037〕乃至〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用しうる。
本発明においては、光カチオン重合開始剤による重合を効果的に進行させるために、カチオン性重合以外の重合の進行を禁止する重合禁止剤を併用することが好ましい。
適当な重合禁止剤としてはフェノール系水酸基含有化合物およびキノン類、N−オキシド化合物類、ピペリジン 1−オキシル フリーラジカル化合物類、ピロリジン 1−オキシル フリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、及びカチオン染料類からなる群より選択される化合物である。好ましい重合禁止剤としてはハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、レゾルシノール、カテコール、t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよびその誘導体、ジ−t−ブチルニトロキシド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシドおよびその誘導体等、ピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン 1−オキシル フリーラジカル、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、エチルバイオレット及びビクトリアピュアブルーBOH等が挙げられる。重合禁止剤の添加量は、組成物の全固形分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
本発明においては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、光増感剤を添加することが好ましい。好ましい光増感剤としては、以下の化合物類に属する増感色素であり、かつ350nm〜450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−または−S−を表す。また、Wは一般式(IX)に示したものと同義である。
式(XI)中、A2は硫黄原子またはNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子または−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。
本発明のインク組成物には、可視画像を形成させるために着色剤を好ましく添加することができる。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の色材、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、重合性化合物に溶解し得る染料であれば、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できる。本発明において、画像または文字を形成するためには、本発明のインク組成物は、顔料又は油溶性染料を着色剤として含むものとすることが好ましい。
これらの着色剤はインク組成物中、0.5〜20質量%添加されることが好ましく、1〜15質量%がより好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。
〔顔料〕
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger、「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆるシルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆるジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆるチタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆるチタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズ(商品名)などの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物中における顔料の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザ回折・散乱法、動的光散乱法、透過型電子顕微鏡による計数法により測定することができる。本発明においては、透過型電子顕微鏡による計数法により得られた値を採用する。
顔料はインク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
次に、本発明における着色剤として好ましく使用される染料について述べる。
染料としては、従来公知の化合物(染料)から適宜選択して使用することができる。具体的には、特開2002−114930号公報の段落[0023]〜[0089]に記載されている染料などが挙げられる。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基及びこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]〜[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いても良い。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]〜[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]〜[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いても良い。
本発明における染料の酸化電位の値(Eox)は、当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年,Interscience Publishers社刊)や、A.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年、John Wiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
以下に、本発明のインク組成物に、必要に応じて含有可能な種々の添加剤について述べる。
〔紫外線吸収剤〕
得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成分の0.01〜10質量%程度である。
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の0.001〜1質量%程度である。
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許文献に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の0.001〜5質量%程度である。
本発明のインク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の0.001〜1.0質量%程度である。
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
インク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、スチレン系重合体、アクリル系重合体、環状エーテル重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、スチレン系モノマー、アクリル系のモノマー、環状エーテルの共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、「環状エーテル基含有モノマー」、「ビニルエーテル基含有モノマー」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の0.01〜10.0質量%程度である。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の0.001〜5.0質量%程度である。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録に適用する場合、吐出する際のインク温度を15〜90℃の範囲でほぼ一定温度に保持し、そのときの粘度が1〜20mPa・sとなるようにすることが好ましく、より好ましくは2〜12mPa・s、更に好ましくは2〜10mPa・sである。上記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。なお、25℃でのインク粘度は、好ましくは1〜50mPa・s、より好ましくは2〜20mPa・s、更に好ましくは2〜12mPa・sである。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。インクジェット記録方式には特に制限はなく、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出する電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出する音響型インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、発生した圧力を利用するサーマル型インクジェット方式、等のいずれであってもよい。なお、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
前記のうち、ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)のインクジェット記録用インクとして好適である。
本発明のインク組成物は、該インク組成物を吐出するインクジェット記録によって被記録材に画像を記録する画像記録工程を含む画像形成方法や、本発明のインク組成物を用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、前記画像記録工程において前記被記録材に記録された画像に活性エネルギー線(活性線)を照射して硬化させる画像硬化工程とを含む画像形成方法に用いることができる。
即ち、本発明の画像記録方法は、インクジェット記録によって画像を形成する画像記録工程のみを含む方法であってもよいし、これに画像硬化工程を組み合わせた方法であってもよい。更には、画像記録工程においてインクジェット記録以外の方法で画像を記録し、これに画像硬化工程を組み合わせた方法であってもよい。
前記画像硬化工程においては、インク組成物の有する感応波長に対応する波長領域の活性エネルギー線を発する光源を用いて重合硬化を促進する露光処理を行なうことができる。光源、露光時間および光量は、本発明に係る重合性化合物の重合硬化の程度に応じて適宜選択すればよい。
画像硬化工程において硬化した画像の厚みは、2〜30μmであることが好ましい。ここで、「画像の厚み」とは、インク組成物により形成された画像を硬化した硬化物の厚みのことである。該画像の厚みが2〜30μmであることで、低濃度から高濃度の画像を表現することができる。
本発明では、LED又は半導体レーザを光源として用いることが好ましい。LED又は半導体レーザは小型であることが特徴である。特にLEDは長寿命であり、発熱量が少なく、消費電力が小さい上、オゾンが発生しない、電源を入れると即時使用可能であるという長所を有する。また、365nm±20nmの光源がコスト面でメリットがあり、既存の光重合開始系を使用できる。
メタルハライドランプを用いる場合、ランプは10〜1000W/cm2のものを使用し、メディア面で1mW/cm2〜100W/cm2の照度であることが好ましい。また露光エネルギーは、0.1mJ/cm2〜100J/cm2であることが好ましい。
また、高圧放電を用いる水銀灯、メタルハライドランプ等では放電にともない、オゾンが発生するため、排気手段を有することが好ましい。排気手段は、インク吐出時に発生するインクミストの回収を兼ねるべく配置してあることが好適である。
ラジカル重合により硬化させる場合、酸素により重合が阻害されるため、酸素濃度の低い状態、すなわち窒素等のガス雰囲気下で露光させることにより低エネルギーで硬化させることができる。
これら、硬化させるための光等のエネルギーがインク吐出ノズルに照射されると、ノズル面表面に付着したインクミスト等が固化し、インク吐出の妨げとなる可能性があるため、ノズルへの照射を最小限にとどめるため、遮光等の措置を施すことが好ましい。具体的には、ノズルプレートへの照射を防止する隔壁を設ける、あるいは迷光を低減するべくメディアへの入射角を限定するための手段を設ける等が好適である。
インクを保持する手段としては、公知のインクカートリッジに充填することが好ましく、特開平5−16377号公報に開示されるように変形可能な容器に収納し、タンクとなすことも可能である。また特開平5−16382号公報に開示されるように、サブタンクを有するとインクをヘッドへの供給が更に安定する。また特開平8−174860号公報に開示されるように、インク供給室の圧力が低下した場合に、弁の移動によりインクを供給する態様のカートリッジを用いることも可能である。これらのインク保持手段でヘッド内のメニスカスを適切にたもつための負圧付与方法としては、インク保持手段の高さすなわち水頭圧による方法、またインク流路中にもうけたフィルタの毛細管力による方法、また、ポンプ等により圧力を制御する方法、また、特開昭50−74341号公報に開示されるようにインクをインク吸収体に保持し、この毛細管力により負圧を付与する方法等が適切である。
インクをこれらインク保持手段からヘッドに供給する方法として、ヘッドユニットに直接保持手段を連結する方法でもよいし、チューブ等の流路により連結する方法でもよい。これらインク保持手段および流路は、インクに対して良好な濡れ性を持つような素材であること、もしくは表面処理が施されていることが好ましい。
画像を形成するうえで、メディア上でのインク着弾径は10〜500μmの間にあることが好適であり、このためには吐出時のインク滴の直径は5〜250μmであることが好ましく、このときのノズル径は15〜100μmであることが好ましい。画像を形成するためには1インチあたりの画素数が50〜2400dpiであることが好ましく、そのためには、ヘッドのノズル密度は10〜2400dpiであることが好ましい。ここで、ヘッドのノズル密度は低くとも、メディアの搬送方向に対して傾ける、あるいは複数のヘッドユニットを相対的にずらして配置することにより、ノズル間隔の大きいヘッドで高密度の着弾を実現することが可能である。また上記のようにヘッドもしくはメディアの往復移動により、低ノズルピッチでヘッドが移動するごとにメディアを所定量搬送させ、インク滴を異なる位置に着弾させることにより、高密度の画像記録を実現することができる。
メディアへのインク打滴量としては、良好な階調を表現するためには0.05〜25g/m2の間で任意量に制御できることが好適であり、これを実現するためにヘッドからの吐出インク滴の大きさ、およびまたは数量を制御することが好ましい。
ヘッドとメディアの間隔に関しては、広すぎるとヘッド又はメディアの移動に伴う空気の流れでインク滴の飛翔が乱れ、着弾位置精度が低下する。逆に間隔が狭いと、メディアの凹凸、搬送機構に起因する振動等によりヘッドとメディアが接触する危険性があり、0.5〜2mm程度に維持されることが好ましい。
インクは単色であってもよいし、シアン、マゼンタ、イエローのカラーであってもよいし、さらにブラックを加えた4色、あるいはさらに特色と呼ばれるこれら以外の特定色のインクを用いてもよい。色材は、染料であってもよいし、顔料であってもよい。これらのインクの打滴順は、明度の低い順に着弾するように打滴させてもよいし、明度の高い順に着弾させてもよいし、画像記録品質上好適な順に打滴させることが好ましい。記録するべき画像信号は、たとえば特開平6−210905号公報に記載されるように、良好な色再現を得るべく信号処理を施すことが好ましい。
本発明のインク組成物は、公知の被記録材に好適に記録等を行うことができる。
本発明のインク組成物を適用しうる被記録材としては、特に制限はなく、通常の普通紙、非コート紙、コート紙、インクジェット専用紙、電子写真共用紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、OPS(延伸ポリスチレン)フィルム、OPP(延伸ポリプロピレン)フィルム、ONy(二軸延伸ナイロン)フィルム、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム等を挙げることができる。その他、被記録材として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類、布帛、陶磁器等も被記録材として使用可能である。被記録材に関しては、特開2001−181549号公報、特開2001−279141号の段落番号(0228)〜(0246)に記載されているものも用いることができる。
まず、表1に示す顔料と分散剤をボールミルに入れて、直径0.6mmのジルコンビーズを使用して、16時間分散して顔料分散体を得た。顔料分散体中の顔料粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で任意の粒子100個について粒子長軸の長さを測定し、その個数平均を示した。測定結果を表1に示す。
以下の成分を撹拌混合し、5.0μmのメンブランフィルターでろ過してシアンインク試料100を得た。
<試料100インク組成物成分>
・モノマーA:下記式の脂環式エポキシ基含有化合物 70g
(セロキサイド3000、商品名、ダイセル・ユーシービー製)
・モノマーB:ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル 30g
(アロンオキセタンOXT−221、商品名、東亜合成製)
・顔料分散体:表1の顔料分散体−1 10g
・光重合開始剤:(4−イソブチルフェニル)4−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファートとプロピレンカーボネートとの混合物 6.0g
(Irgacure 250、商品名、チバスペシャリティーケミカルズ製)
・増感剤:9,10−ジブトキシアントラセン 3.0g
・界面活性剤:BYK307(商品名、BYK Chemie社製) 0.2g
試料100におけるモノマーAとモノマーBの一部を表2に示すように変更したこと以外は試料100と同様にしてシアンインク試料101〜112を作製した。
1.インク液の粘度
上記のインク液の温度25℃における粘度をRE80型粘度計(商品名、東機産業社製)にて測定した。
2.印字、露光テスト
実施例及び比較例で得られたインクをピエゾ方式のヘッド(東芝テックプリントヘッドCA−3(商品名))を用いて打滴を行った。ヘッドは25.4mmあたり150のノズル密度で、318ノズルを有しており、これを2個ノズル列方向にノズル間隔の1/2ずらして固定することにより、メディア上にはノズル配列方向に25.4mmあたり300滴打滴される。
ヘッドからのインク吐出は、ヘッドに付与されるピエゾ駆動信号により制御され、一滴あたり6〜42plの吐出が可能であって、本実施例ではヘッドの下1mmの位置でメディアが搬送されながらヘッドより打滴される。搬送速度は50〜200mm/sの範囲で設定可能である。またピエゾ駆動周波数は最大4.6kHzまでが可能であって、これらの設定により打滴量を制御することができる。本実施例では、搬送速度90mm/s、駆動周波数1.9kHzとすることにより、24plにインク吐出量を制御し10g/m2の打滴を行い、7cm×12cmのベタ印字画像を得た。
メディアとの距離および搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01〜15J/cm2の間で調整することができる。本実施例では搬送速度により露光エネルギーを調整した。
これら露光パワー、露光エネルギーの測定にはウシオ電機製スペクトロラディオメータURS−40D(商品名)を用い、波長220nm〜400nmの間を積分した値を用いた。
本実施例ではメディアとして厚み100μm、8cm×15cmのPETフィルムを使用し、印字及び露光テストは23℃、R.H.60%の環境で実施した。硬化した画像の厚みはいずれも9μmであった。
露光直後の印字サンプルにカラー/モノクロ兼用紙C2(商品名、富士ゼロックスオフィスサプライ製)を重ね、圧力ローラー(50kg/cm2)を通したときの色材の紙への転写の程度により次のように評価した。評価結果を表3に示す。
○:まったく転写せず。
△:一部転写する。
×:ほとんど全量転写する。
上記2.の印字条件と同様の条件で、メディアをインクジェットペーパー(富士写真フイルム製、「画彩」光沢仕上げ)に換えて格子状の線画(ノズルチェックパターン)を1時間印刷した。印刷開始時と連続1時間印刷後の格子画像とを比較観察して、連続1時間印刷後に詰まったか又は飛び方向が大きくずれたノズル数を測定した。プリンタヘッドノズルの不良吐出%は、全ノズル数(318個)に対する吐出不良のノズル数で計算し、ノズルからの吐出不良(ノズル詰まり)を評価した。評価結果を表3に示す。
○:プリンタヘッドノズルの0%以上5%以下が吐出されなかった。
△:プリンタヘッドノズルの5%を超え20%以下が吐出されなかった。
×:プリンタヘッドノズルの20%を超えて吐出されなかった。
各インクで最も低エネルギーで全く転写しなかった印字サンプルを23℃、相対湿度60%の条件下で1日保管した後に画面中央部分を手で180°に折り曲げて硬化膜の割れの有無を観察し、次のように評価した。評価結果を表3に示す。なお、試料100〜102については折り曲げ試験を行っていない。
○:変化無し
△:折り曲げ部分の記録体にわずかに割れが生じる。
×:折り曲げ部分で記録体の硬化膜が剥離する
これに対し、本発明のインク組成物は、硬化性を保ちつつ(露光量を増加させることなく)、かつ折り曲げ耐性を保ったまま、吐出安定性を大幅に改善できることがわかった。すなわち、1時間印刷し続けてもノズル詰まりによる吐出不良はほとんど起こらず、安定して吐出し続けられることがわかった。
さらに、前記一般式(I)で表される化合物に加えて単官能のオキセタン化合物を含有させた本発明の試料104〜106、108、110及び112は、露光エネルギーが低くても硬化性に優れ、しかも折り曲げ耐性および吐出安定性に優れることがわかった。
Claims (13)
- 前記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物の25℃における粘度が1〜10mPa・sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク。
- 更にオキシラン環含有化合物、オキセタン環含有化合物のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク。
- 更に少なくとも1種の重合開始剤および少なくとも1種の光増感剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク。
- 25℃での粘度が2〜20mPa・sであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクを吐出するインクジェット記録によって画像を記録する画像記録工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクを用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、前記画像記録工程において前記被記録材に記録された画像に活性エネルギー線を照射して硬化させる画像硬化工程とを含むことを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
- 前記活性エネルギー線の照射光源が発光ダイオード又は半導体レーザであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
- 前記活性エネルギー線の中心波長が365±20nmであることを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成方法。
- 前記画像硬化工程により硬化した画像の厚みが2〜30μmであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インクを用いて形成されたことを特徴とする記録物。
Priority Applications (1)
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