JP2008030281A - ポリエステル系樹脂フィルム - Google Patents
ポリエステル系樹脂フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008030281A JP2008030281A JP2006205693A JP2006205693A JP2008030281A JP 2008030281 A JP2008030281 A JP 2008030281A JP 2006205693 A JP2006205693 A JP 2006205693A JP 2006205693 A JP2006205693 A JP 2006205693A JP 2008030281 A JP2008030281 A JP 2008030281A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyester resin
- layer
- film
- orientation
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
Abstract
【課題】 強度、透明性、耐熱性、バリア性等を失うことなく、良好な引き裂き性と接着性を具備した、包装用フィルムやテープ用フィルムとして、或いはPTP包装や飲料のパックの開封口として、またはガムやキャンディの外装材として有用なポリエステル延伸フィルムを安価に提供するもの。
【解決手段】 結晶性ポリエステル系樹脂80〜99重量%と当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂20〜1%との混合物からなる配向を有する層と、実質的に配向を有しない層とが積層されて成り、突刺強度が2.0N以上8.0N以下である手切れ性に優れた2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 結晶性ポリエステル系樹脂80〜99重量%と当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂20〜1%との混合物からなる配向を有する層と、実質的に配向を有しない層とが積層されて成り、突刺強度が2.0N以上8.0N以下である手切れ性に優れた2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明はポリエステル延伸フィルムに関する。更に詳しくは、ポリエステル延伸フィルムの優れた特性である耐熱性、保香性、耐水性等を失うことなく実用面の特性を維持し、特に接着性に優れ、更に良好な引き裂き性を具備した包装用フィルムとして有用なポリエステル延伸フィルムに関するものである。
従来から、切断性の優れたフィルムとしては、セロファンが知られている。セロファンは、その優れた透明性と易切断性、ひねり性等の特性により各種包装材料、粘着テープ用として重用されている。しかし、一方ではセロファンは吸湿性を有するため特性が季節により変動し一定の品質のものを常に供給することは困難であった。また、ポリエチレンテレフタレートをベースフィルムとした包装用袋や粘着テープなどは、延伸されたポリエチレンテレフタレートフタレートフィルムの強靱性、耐熱性、耐水性、透明性などの優れた特性の良さを買われて用いられているが、これらの優れた特性を有する反面、切断しにくく、包装用袋の口を引き裂き難い欠点や、粘着テープが切りにくい欠点、及びひねり固定性が劣るためにひねり包装用に用いることができない等の欠点があった。
上記問題を解決する方法として、一軸方向に配向させたポリエステルフィルムや、ジエチレングリコール成分などを共重合させたもの、低分子量のポリエステル樹脂を用いるもの、或いはポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有し、かつ全厚みに対し5%以上、60%以下の厚みのポリエステル樹脂層(B)を積層した未延伸積層フィルムを少なくとも一軸延伸後にポリエステル樹脂層(A)の融点より10℃低い温度以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点未満の温度で熱処理することを特徴とする引き裂き性とひねり性を付与したポリエステルフィルムの製造方法などが提案されている〔特許文献1〜3参照〕。
特公昭55−8551号公報
特公昭56−50692号公報
特許第3561919号公報
しかしながら、上記従来技術において一軸方向に配向させる方法は、配向方向へは直線的に容易に切れるが配向方向以外には切れ難く、またジエチレングリコール成分などを多量に共重合させる方法は、共重合によりポリエチレンテレフタレート本来の特性が失われるという欠点を有している。また、低分子量のポリエステル樹脂を用いる方法は、延伸工程での膜破れのトラブルが発生しやすくなり実用的でなかった。
またポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有し、かつ全厚みに対し5%以上、60%以下の厚みのポリエステル樹脂層(B)を積層した未延伸積層フィルムを少なくとも一軸延伸後にポリエステル樹脂層(A)の融点より10℃低い温度以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点未満の温度で熱処理することを特徴とする引き裂き性とひねり性を付与したポリエステルフィルムは、融点の高いポリエステル樹脂層(B)が易引き裂き性を有しない為に、充分な易引き裂き性を得る為にはポリエステル樹脂層(B)の厚みを薄くせざるを得ず、製膜性やフィルム強度との両立が困難であった。
或いは、易裂き性を改善する方法としてエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルA60〜95重量%と、芳香族ジカルボン酸を50モル%以上含有するジカルボン酸成分と、炭素数3〜10のグリコールを50モル%以上含有するグリコール成分からなるポリエステルB40〜5重量%とからなり、ポリエステルBがポリエステルA中に島状に分散し、引張強度20〜35kgf/mm2、乾熱収縮率3%以下(160℃×15分)、ヘイズ5%以下である長手方向及び/又は幅方向に引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムや熱可塑性ポリエステル樹脂(P1という)とポリアミド樹脂(P2という)との重量比50〜95/50〜5の混合物からなる2軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルム長手方向断面上に観察されるP2の分散粒子断面のフィルム長手方向の長さの数平均値をLM(μm )、フィルムの巾方向断面上に観察されるP2の分散粒子断面のフィルム巾方向の長さの数平均値をLT(μm )、さらにフィルムの巾方向断面上に観察されるP2の分散粒子の個数をN(個/10μm2)とするとき、次の式(1)〜(3)を満足することを特徴とする長手方向及び巾方向の双方に引裂直進性を有する2軸配向ポリエステルフィルムなどが提案されている(特許文献4〜5参照)。
0.1≦LT≦5.0 (1)
0.3≦LM/LT<3.0 (2)
N≧10 (3)
特開平9−255797公報
特開平8−208950公報
0.1≦LT≦5.0 (1)
0.3≦LM/LT<3.0 (2)
N≧10 (3)
しかしながら、特許文献4或いは5に挙げられるポリエステルフィルムは、引き裂きの直進性には優れているものの、これらのフィルムを用いた袋の開封にはノッチや切り欠き、又はハサミ等が必要であり、易開封性を有するフィルムではなかった。
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、特にノッチや切り欠きに頼ることのない易切断性(易開封性とも言う)に注目し、これらの特性を有し、さらにポリエステルフィルムの優れた特性である耐熱性、防湿性、透明性、保香性等を合わせて有する積層フィルムを提供しようとするものである。
本発明者らは上記課題を解決する為、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、結晶性ポリエステル系樹脂80〜99重量%と当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂20〜1%との混合物からなる配向を有する層と、実質的に配向を有しない層とが積層されて成り、突刺強度が2.0N以上8.0N以下であることを特徴とする2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムである。
この場合において、前記ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂がポリエステル系以外の樹脂であることが好適である。
またこの場合において、前記配向を有する層と、実質的に配向を有しない層との比率が3/7〜7/3であることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂がポリエステル系樹脂以外の高分子樹脂であることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記配向を有する層が両外層に積層されて成ることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記2軸延伸ポリエステテルフィルムの少なくとも片方の面にバリアー層が積層されて成ることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの少なくとも片方の面に接着剤を介してシーラント層が積層されて成ることが好適である。
本発明によるポリエステル系樹脂フィルムは、耐熱性、耐寒性、防湿性、透明性、保香性等のポリエステル本来の特性を有しながらも、手切れ性に優れた積層フィルムである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に於けるポリエステル系樹脂フィルムは、結晶性ポリエステル系樹脂80〜99重量%と当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂20〜1%との混合物からなる配向を有する層と、実質的に配向を有しない層とが積層されて成り、突刺強度が2.0N以上8.0N以下であることを特徴とする2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムである。
本発明に於けるポリエステル系樹脂フィルムは、結晶性ポリエステル系樹脂80〜99重量%と当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂20〜1%との混合物からなる配向を有する層と、実質的に配向を有しない層とが積層されて成り、突刺強度が2.0N以上8.0N以下であることを特徴とする2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムである。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、あるいはそれらの構成成分を主成分とする共重合体等が挙げられる。
好ましくは、その結晶性ポリエステル樹脂全体に対し、90mol%以上がテレフタル酸を主たる酸成分とし、90mol%以上がエチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、更に好ましくはテレフタル酸が95mol%以上、エチレングリコールが95mol%以上からなる結晶性ポリエステル樹脂を、混合に用いる結晶性ポリエステル樹脂全体に対して90重量%以上含むことであり、より好ましくはテレフタル酸が98mol%以上、エチレングリコールが97mol%以上からなる結晶性ポリエステル樹脂を結晶性ポリエステル樹脂全体に対して95重量%以上含有することである。
テレフタル酸及び、又はエチレングリコールの含有量が90mol%未満の場合、結晶性が低下してフィルムの剛性を確保することが困難となり、製膜性、加工性が悪化する為好ましくない。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1等の単独重合体の他、エチレン−プロピレン、エチレン−ブテン、プロピレン−ブテン、エチレン−4−メチルペンテン−1、或いはエチレン−プロピレン−ブテン等の共重合体が挙げられる。
又はポリアミド系樹脂としては、例えばε−カプロラクタムを主原料としたナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミド樹脂としては3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。具体的には、ラクタム類としては、先に示したε−カプロラクタムの他にエナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタムが挙げられる。ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸を挙げることができる。また、二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸2,2,4−トリメチルアジピン酸を挙げることができる。更にジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、メタキシリレンジアミン等を挙げることができる。そしてこれらを重縮合して得られる重合体、またはこれらの共重合体、例えばナイロン6、7、11、12、6−6、6−9、6−11、6−12、MXD6、6・6−6、6・12、6・MXD6等を用いることができる。
これらの内、ナイロン6、MXD6が成形性の点で好ましく、特にMXD6はポリエステル系樹脂と混合した際に透明性の悪化が少ない為好ましい。
その他、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体やポリアミド−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリアミド−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリアミド−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体等のポリアミド系エラストマーを用いることができる。
その他ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂としてポリエステル−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエステル−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体等のポリエステル系エラストマーなどを上げることができる。
しかしながら、ブロック共重合ポリエステルを用いた場合、結晶性ポリエステルとブロック共重合ポリエステルが溶融混練中にエステル交換反応により均一化し、本発明の目的である「結晶性ポリエステルと非相溶樹脂混合物」ではなく、コポリマー成分の著しく低い「ブロック共重合ポリエステル」となってしまう為、好ましくない。
本発明に於いて、結晶性ポリエステル系樹脂と当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂の混合比は、結晶性ポリエステル系樹脂80〜99重量%に対して当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂20〜1%であり、好ましくは結晶性ポリエステル系樹脂85〜97重量%に対して当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂15〜3%であり、より好ましくは
結晶性ポリエステル系樹脂88〜95重量%に対して当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂12〜5%である。
結晶性ポリエステル系樹脂88〜95重量%に対して当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂12〜5%である。
ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂の割合が20%を超えた場合、ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂の特性が強く現れ、結晶性ポリエステルとしての特性である耐熱性、耐寒性、防湿性、透明性、保香性等の特性が悪化する為好ましくない。また1%未満の場合、本発明の目的である優れた手切れ性を発現させることが困難となり好ましくない。
また、実質的に配向を有しない層に用いられるポリエステル樹脂としては、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−ネオペンチルグリコール共重合体、或いはテレフタル酸−エチレングリコール−シクロヘキサンジメタノール等のテレフタル酸およびエチレングリコールを主成分とし、他の酸成分および/または他のグリコール成分を共重合成分として含有するポリエステルが好ましい。
例えば、酸成分としては、脂肪族の二塩基酸(例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸)や芳香族の二塩基酸(例えば、ジフェニルジカルボン酸、5−第3ブチルイソフタル酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸)が用いられる。グリコール成分としては、脂肪族ジオール(例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール)または芳香族ジオール(例えば、キシリレングリコール、ビス(4−β−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体)が用いられる。
本発明に於いて、実質的に配向を有しない層に用いられるポリエステル樹脂の融点は、配向を有する層に用いられる結晶性ポリエステル樹脂の融点より15℃以上低いことが好ましく、より好ましくは20℃以上低いことである。
本発明に於いて、実質的に配向を有しない層としては、配向を有する層を延伸後に積層する方法、延伸後に融解して配向を消失させる方法等が挙げられるが、延伸後に融解して配向を消失させる方法が好ましく、好ましくは延伸後に、実質的に配向を有しない層に用いられるポリエステル樹脂の融点−3℃以上、より好ましくは実質的に配向を有しない層に用いられるポリエステル樹脂の融点−1℃以上の温度で熱処理することである。
本発明の2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが良好な手切れ性を発現し、且つ安定的に生産を行なう為には、実質的に配向を有しない層と、配向を有する層とが必要である。分子配向の程度については、複屈折率の測定、IR分析における吸光度の測定などの公知の方法によって確認できるが、簡便的には、引き裂く際の抵抗力、及びその異方性の程度や、鉛筆等を突き刺す際の強度で判定することができるが複屈折率の測定による方法が最も好ましい。
本発明の屈折率の測定にはアッベ屈折計を用いて測定することが好ましい。アッベ屈折計は測定する方向に屈折率の異なる層が積層されている場合、最も屈折率の低い層の屈折を示すという特性を有している。従って、本発明の実質的に配向を有しない層と、配向を有する層との積層体を測定した場合、縦及び横方向の測定値Nx及びNyは配向を有しない層の屈折率を示す。このことよりアッベ屈折率計を用いて複屈折を測定し、例えば未延伸原反と測定値を比較することにより延伸後のフィルムの配向の有無を判断することができる。
なお、本発明に用いられるポリエステル樹脂の固有粘度は、好ましくは0.55〜1.3dl/gであり、さらに好ましくは0.60〜0.75dl/gである。これらの範囲内の固有粘度より選ばれたポリエステル樹脂が、製膜性、加工性から好ましく、また、積層構成とする際には各層の固有粘度が近い事が好ましく、固有粘度差を0.3以下にすることが好ましい。
本発明に於いて、フィルムの突き刺し強度は2.0N以上8.0N以下であり、好ましくは2.5N以上6.0N以下であり、さらに好ましくは3.0N以上5.0N以下である。8.0Nを超えた場合、フィルムの強度が強くなり、手で引き裂くことが困難となり好ましくない。
また、突刺強度が2.0N未満の場合は、フィルムが脆くなる為、製膜時や加工時により一層の注意が必要となり、例えばスリットや継ぎ足しの際の張力の変動やフィルムのズレにより破断の原因となりうる為好ましくない。
本発明に於いて、突刺強度を調節する方法としては、配向を有する層と実質的に配向を有しない層との比率、配向を有している層へ添加する非相溶樹脂の種類及び添加する割合、配向を有している層の結晶化度や、実質的に配向がない層の分子配向度、更にはそれぞれの層を構成するポリエステル樹脂の分子量等による方法を用いることができる。
本発明に於いて突刺強度を調節するに好ましい方法としては、配向を有する層と実質的に配向を有しない層との比率及び非相溶樹脂の種類及び添加する割合である。これらは調節及び管理が容易であり、工業的に本発明品を提供するにあたって優れた方法である。
尚、本発明に於いて、配向を有する層と、実質的に配向を有しない層との比率が3/7〜7/3であることが好ましく、より好ましくは配向を有する層が両外層に位置する1.5/7/1.5〜3.5/3/3.5の比率である。
本発明に於ける配向を有する層はポリエステルフィルムの特徴となる耐熱性、防湿性、透明性、保香性等を具備する層であり、3割未満の比率となった場合これら特性を満足させることが困難となる。また、実質的に配向を有しない層はフィルムに易引き裂き性を付与する層であり、3割未満の比率となった場合、易引き裂き性が不充分なものとなる。
更に好ましくは配向を有する層と、実質的に配向を有しない層との比率が4/6〜6/4であり、より好ましくは両外層を配向を有する層とする2/6/2〜3/4/3である。
配向を有する層を両外層に均等に積層することにより、フィルムのカールや変形、又製膜、加工時のロールへの粘着が防止できる為好ましい。
本発明の延伸フィルムの厚みは本発明の目的とする用途である包装用袋などで使用されるフィルム厚みは12μから35μであるが、特に限定されるものではない。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の各種添加材、例えば滑剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。
本発明により、シーラント層(LLDPEフィルム、LDPEフィルム等)とラミネートした後にも優れた手切れ性が得られる理由は以下の通りであると考えられる。即ち、配向を有する層に含まれた非相溶樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の界面の接着性は非常に弱く、引き裂こうとフィルムを引っ張った際にフィルム中の結晶性ポリエステルと非相溶樹脂が剥離を起こし、フィルム中に無数のボイド(空洞)が発生する、これらボイドがノッチの役割となりそこから切れ出す。
次に本発明フィルムの製造方法の一例を説明する。
配向を有する層、実質的に配向を有しない層に用いるポリエステル樹脂、及びポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂を水分が50ppm以下となるようにそれぞれ乾燥する。それぞれの樹脂を混合して、それぞれ別の2台の押出機に供給し、結晶性ポリエステル樹脂の融点より20℃以上高い温度で溶融押し出しし、マルチマニホールド方式により積層し、配向を有する層処方/実質的に配向を有しない層処方/配向を有する層処方からなる2種3層として押し出し、冷却固化させて未延伸積層シートを成形する。
このようにして得られた未延伸積層シートを結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度+10℃以上、且つガラス転移温度+30℃又は冷結晶化温度−20℃の低い方の温度以下の範囲の温度で縦方向に3〜5倍延伸し、結晶化が進行しないよう、すぐにガラス転移温度以下、好ましくは20〜40℃に冷却する。
次いで、縦方向の延伸温度以上、結晶性ポリエステル樹脂の冷結晶化温度−10℃以下の範囲の温度で横方向に3.5〜4.5倍延伸する。
2軸延伸後のフィルムを、実質的に配向を有しない層に用いられるポリエステル樹脂の融点−3℃以上、配向を有する層の融点−20℃以下の温度で熱処理を行なう。尚、この際の温度は本発明に用いられる、ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂の融点より高いことが好ましい。
また、熱処理の際に弛緩処理を行なう事が、後の印刷、ラミネーション等の加工の最に寸法変化が無くなる為好ましい。
以上の工程により、配向を有する層結晶化が進行し、強度、剛性を有しつつ、ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂が融解或いは軟化した際に延伸応力の緩和の為にポリエステル樹脂との界面の凝集強度が著しく低下することで手切れ性のきっかけを与えることとなる。
又、実質的に配向を有しない層は優れた易切断性を有しつつ、剛性を有する層であるという、手切れ性に優れた易引き裂き性2軸延伸ポリエステルフィルムが得られる。
次に実施例、及び比較例を用いて本発明を具体的に説明する。実施例および比較例における評価の方法については(a)、(b)及び(c)の方法で行った。
(a)突刺強度:食品衛生法の規定に従い次のように測定した
試料を円筒状冶具に固定し、試料面に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を50mm/minの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した。
試料を円筒状冶具に固定し、試料面に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を50mm/minの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した。
(b)手切れ性:官能テストで行なった。
資料の作成:ドライラミネートにて「当該ポリエステルフィルム/ポリエステル−ウレタン系接着剤/25μm−CPP」構成となる積層体を作成した。
ポリエステル−ウレタン系接着剤:東洋インキ社製TM590/CAT56
25μm−CPP:東洋紡績社製P1128−25μm
ポリエステル−ウレタン系接着剤:東洋インキ社製TM590/CAT56
25μm−CPP:東洋紡績社製P1128−25μm
次いで、得られた積層体をヒートシールにより製袋し、長手方向15cm×幅方向10cmとなる4方シール袋を作成した。この際のヒートシールの温度160℃、圧力2kg/cm2、時間は1秒であった。
評価:得られた4方シール袋のシール部分を手で切断した時の開封性で評価した。尚、袋を両手で持つ際には、3mm程度の間隔を持ち、長手方向、幅方向の両方で行った。
○:爪を立てることなく容易に開封できる
△:爪を立てることで容易に開封できる
×:爪を立てても容易に開封できない
○:爪を立てることなく容易に開封できる
△:爪を立てることで容易に開封できる
×:爪を立てても容易に開封できない
(c)無配向層の有無:アッベ屈折率計を用いて判断した。
長手方向、及び幅方向の屈折率Nx、Nyを求めた。無配向の指標として
[1]NxまたはNyが1.580以下
[2]NxとNyの差の絶対値が0.005以下
の両方を満たす場合無配向層を有するものとした。
長手方向、及び幅方向の屈折率Nx、Nyを求めた。無配向の指標として
[1]NxまたはNyが1.580以下
[2]NxとNyの差の絶対値が0.005以下
の両方を満たす場合無配向層を有するものとした。
(実施例1)
結晶性ポリエステル樹脂として、テレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡績社製ポリエステルRE553、PES−Aと記す)を用いた。該ポリエチレンテレフタレート樹脂は融点が255℃、極限粘度0.64dl/gであった。
結晶性ポリエステル樹脂として、テレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡績社製ポリエステルRE553、PES−Aと記す)を用いた。該ポリエチレンテレフタレート樹脂は融点が255℃、極限粘度0.64dl/gであった。
ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂として低密度ポリエチレン(住友化学社製低密度ポリエチレンL705)、及びエチレン−アクリル酸(ダウ・ケミカル社製エチレン−アクリル酸コポリマーPRIMACOR3440)を用いた。
実質的に配向を有しない層に用いるポリエステル樹脂として、テレフタル酸及びイソフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂(東洋紡績社製ポリエステルRN103、PES−Bと記す)を用いた。該ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂は融点が231℃、極限粘度0.64dl/gであった。
先ず、PES−Aと低密度ポリエチレン、EAA樹脂を6/2/2となるように調整し、2軸押出し機を用いて溶融混合した後ストランド状に押出し、事前混合ペレット(MB−Aと記す)を得た。
両外層にPES−A75重量%、MB−A25重量%を混合し用いた。中間層としてPES−Bを用いた。おのおの285℃の温度で別々の押出し機により溶融し、滞留時間約3分にてこの溶融体をマルチマニホールドダイで合流させた後に押出し、30℃に調温した冷却ドラムで急冷して、外層/中間層/外層の構成となる3層の未延伸積層シートを得た。
該未延伸積層シートを縦方向に100℃で3.5倍、次いで横方向に110℃で4.3倍に延伸した後、2.5%の弛緩を行ないつつ235℃の温度で熱処理を行ない、層比率が1/2/1である14μmのフィルムを得た。
(実施例2)
両外層にPES−A90重量%、MB−A10重量%を混合し用いた以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
両外層にPES−A90重量%、MB−A10重量%を混合し用いた以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
(実施例3)
ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂としてMXD6ナイロン(東洋紡績社製T600)を用い、PES−AとMXD6ナイロンを6/4となるように調整し、2軸押出し機を用いて溶融混合した後ストランド状に押出し、事前混合ペレット(MB−Bと記す)を作成した。
ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂としてMXD6ナイロン(東洋紡績社製T600)を用い、PES−AとMXD6ナイロンを6/4となるように調整し、2軸押出し機を用いて溶融混合した後ストランド状に押出し、事前混合ペレット(MB−Bと記す)を作成した。
両外層にPES−A90重量%、MB−B10重量%を混合し用いた以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
(実施例4)
(実施例4)
中間層として、酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコール70mol%、ネオペンチルグリコール30mol%からなる共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績社製共重合ポリエステルSR173、PES−Cと記す)を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。尚、該共重合ポリエステル樹脂は極限粘度0.74dl/gであった。
(実施例5)
両外層と中間層の比率を3/4/3とした以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
両外層と中間層の比率を3/4/3とした以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
(比較例1)
両外層にPES−A40重量%、MB−A60重量%を混合し用いた以外は実施例1と同様にして押し出したところ、縦延伸工程で原反に厚みムラが生じ、横延伸ができなかった。
両外層にPES−A40重量%、MB−A60重量%を混合し用いた以外は実施例1と同様にして押し出したところ、縦延伸工程で原反に厚みムラが生じ、横延伸ができなかった。
(比較例2)
両外層にPES−Aのみを用いた以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
両外層にPES−Aのみを用いた以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
(比較例3)
中間層にPES−Aのみを用いた以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
中間層にPES−Aのみを用いた以外は実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。
(比較例4)
層比を1.5/7/1.5とした以外は、比較例2と同様に両外層にPES−Aのみを用いて厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムは単体では手切れ性が優れていたが、ラミネートして得た積層体は手切れ性が無かった。
層比を1.5/7/1.5とした以外は、比較例2と同様に両外層にPES−Aのみを用いて厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムは単体では手切れ性が優れていたが、ラミネートして得た積層体は手切れ性が無かった。
実施例1〜5、比較例1〜4で得られたフィルムの評価結果を表1、2に示す。
実施例1〜5、比較例1〜4より明らかなように、結晶性ポリエステル系樹脂80〜99重量%と当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂20〜1%との混合物からなる配向を有する層と、実質的に配向を有しない層とが積層されて成り、突刺強度が2.0N以上8.0N以下である手切れ性に優れた2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、優れた手切れ性を有することが解る。
本発明のポリエステル系樹脂フィルムは、優れた手切れ性と接着性を有し、包装袋用フィルムやテープ用フィルムとして、或いはPTP包装や飲料のパックの開封口として、またはガムやキャンディの外装材として幅広い用途分野に利用する事ができ、産業界に寄与する事が大である。
Claims (7)
- 結晶性ポリエステル系樹脂80〜99重量%と当該ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂20〜1%との混合物からなる配向を有する層と、実質的に配向を有しない層とが積層されて成り、突刺強度が2.0N以上8.0N以下である2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム。
- 請求項1に記載の2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムであって、ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂がポリエステル系以外の樹脂であることを特徴とする2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム。
- 請求項1或いは2に記載の2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムであって、配向を有する層と、実質的に配向を有しない層との比率が3/7〜7/3であることを特徴とする2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム。
- 請求項1、2或いは3に記載の2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムであって、ポリエステル系樹脂に非相溶な樹脂がポリエステル系樹脂以外の高分子樹脂であることを特徴とする2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム。
- 請求項1、2、3或いは4に記載の2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムであって、配向を有する層が両外層に積層されて成ることを特徴とする手切れ性に優れた2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム。
- 請求項1、2、3、4或いは5に記載の2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの少なくとも片方の面にバリアー層が積層されて成ることを特徴とする手切れ性に優れた2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム積層体。
- 請求項1、2、3、4或いは5に記載の2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの少なくとも片方の面に接着剤を介してシーラント層が積層されて成ることを特徴とする手切れ性に優れた2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006205693A JP2008030281A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | ポリエステル系樹脂フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006205693A JP2008030281A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | ポリエステル系樹脂フィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008030281A true JP2008030281A (ja) | 2008-02-14 |
Family
ID=39120199
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006205693A Withdrawn JP2008030281A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | ポリエステル系樹脂フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008030281A (ja) |
-
2006
- 2006-07-28 JP JP2006205693A patent/JP2008030281A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2059390B1 (en) | Multilayered aliphatic polyester film | |
JP6350276B2 (ja) | 二軸配向ポリアミド系樹脂フィルム | |
JP6237644B2 (ja) | ラップフィルム | |
EP3636695A1 (en) | Biaxially oriented polyester film | |
JPWO2017170333A1 (ja) | 電池包装用積層体 | |
JP6036702B2 (ja) | 二軸配向ポリアミド系樹脂フィルム、およびその製造方法 | |
JP2010269557A (ja) | 二軸延伸ポリアミド積層フィルム | |
US7943230B2 (en) | Easy tear biaxially stretched polyester based film | |
JP4839680B2 (ja) | 接着性に優れた二軸延伸ポリエステル系フィルム | |
TW201035166A (en) | Heat-shrinkable film | |
JP3193565B2 (ja) | ポリエステル系多層シート及び容器 | |
EP3636694A1 (en) | Biaxially oriented polyester film | |
JP2008030281A (ja) | ポリエステル系樹脂フィルム | |
JP2023015849A (ja) | 真空断熱材外装用積層体 | |
JP2009154294A (ja) | ポリアミド系積層2軸延伸フィルム | |
JP2006341422A (ja) | 接着性に優れたポリエステル系樹脂フィルム | |
JP4967504B2 (ja) | 二軸延伸ポリエステル系フィルム積層体 | |
JP2006341423A (ja) | 接着性に優れたポリエステル系樹脂フィルム | |
JP4842505B2 (ja) | 引き裂き性の良好なポリエステル系樹脂フィルム | |
KR20170038327A (ko) | 냉간 성형용 공압출 필름 | |
JP4626180B2 (ja) | ポリエステルフィルム及びそれを用いた包装材 | |
JPH11320673A (ja) | 同時2軸延伸フィルムの製造方法 | |
JP2023112745A (ja) | 生分解性積層フィルム | |
WO2006087795A1 (ja) | 引き裂き性の良好なポリエステル系樹脂フィルム | |
JP5946376B2 (ja) | ポリアミド系樹脂積層フィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090708 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20110526 |