JP2008026824A - 光学補償フィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表示品位が高く、応答速度が速く、動画適性が高い、高透過率のOCB方式液晶表示装置、及びそれに用いられる光学補償フィルム、偏光板の提供。
【解決手段】支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビング処理を施し、該表面に液晶化合物を含む塗布液を塗布し、前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定することにより、光学異方性層が形成された光学補償フィルムであって、前記配向膜の表面上をラビングした方向と、前記液晶化合物の配向方向とのなす角度が、±0.5°未満であり、消光度が、0.002以上、0.010以下である光学補償フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学補償フィルムの製造方法、それによって作製された光学補償フィルム、該光学補償フィルムを用いた偏光板、及び該偏光板を有する液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)は、CRT(Cathode Ray Tube)と比較して、薄型、軽量、低消費電力との大きな利点を有する。
液晶表示装置は、液晶セル、及び該液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する。
また、液晶セルは、棒状液晶性化合物(液晶性分子)、それを封入するための2枚の基板、及び棒状液晶性化合物に電圧を加えるための電極層からなる。
また、封入した棒状液晶性化合物を配向させるため、二枚の基板には配向膜が設けられる。
また、液晶セルに表示される画像の着色を除去するため、液晶セルと偏光板との間に光学補償フィルム(位相差板)を設けることが多い。
偏光板(偏光膜)と、光学補償フィルムとの積層体は、楕円偏光板として機能する。また、光学補償フィルムに、液晶セルの視野角を拡大する機能を付与する場合もある。光学補償フィルムとしては、延伸複屈折フィルムが従来から使用されている。
延伸複屈折フィルムに代えて、ディスコティック液晶性化合物を含む光学異方性層を有する光学補償フィルムを使用することも提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。このディスコティック液晶性化合物は、一般に大きな複屈折率を有する。また、ディスコティック液晶性化合物には、多様な配向形態がある。
従って、ディスコティック液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償フィルムを製造することができる。
棒状液晶性化合物を、液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献5、6参照)。
このような液晶表示装置では、棒状液晶性化合物が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。
そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ベンド配向モードには、一般的な液晶モード(TNモード、STNモード)と比較すると、視野角が広く、応答速度が速いとの特徴がある。
しかし、CRTと比較すると、さらに改良が必要である。ベンド配向モードの液晶表示装置をさらに改良するため、一般的な液晶モードと同様に光学補償フィルムを用いることが考えられる。
しかし、従来の延伸複屈折フィルムからなる光学補償フィルムは、ベンド配向モードの液晶表示装置では、光学補償機能が不十分であった。
前述したように、延伸複屈折フィルムに代えて、ディスコティック液晶性化合物を含む光学的異方性層と支持体とを有する光学補償フィルムを使用することが提案されている。
さらに、ディスコティック液晶性化合物を含む光学補償フィルムを使用したベンド配向モードの液晶表示装置も提案されている(例えば、特許文献7、8参照)。ディスコティック液晶性化合物を含む光学補償フィルムを使用することで、ベンド配向モードの液晶表示装置の視野角は著しく改善される。
ところで、ベンド配向モードにディスコティック化合物を含む光学補償フィルムを適用する場合、当該光学補償フィルムを形成するディスコティック液晶性化合物の配向方向は、フィルムの長辺又は短辺と平行又は垂直の位置関係ではなく、フィルムの長辺又は短辺と実質的に45°をなす角度である。
したがって、長尺フィルムで連続的に生産する場合、ディスコティック液晶性化合物の配向方向も、フィルム搬送方向から実質的に45°をなす角度である。
このように、フィルムの搬送方向と平行でない方向にラビングを行って、ディスコティック液晶性化合物を配向させようとした場合、外的な要因で配向の方向が所望の方向とずれることが生じ、結果として光漏れが生じるという問題があった。
特開平6−214116号公報 米国特許第5583679号明細書 米国特許第5646703号明細書 独国特許出願公開第3911620号明細書 米国特許第4583825号明細書 米国特許第5410422号明細書 特開平9−197397号公報 国際公開第96/37804号パンフレット
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、液晶表示装置、特に応答速度が速く、動画適性のあるOCB方式液晶表示装置に対して優れた光学補償機能を有する光学補償フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、偏光機能を有するとともに、液晶表示装置、特に、応答速度が速く、動画適性の高いOCB方式液晶表示装置に対して、優れた光学補償機能を有し、さらに液晶表示装置の薄型化にも寄与し得る偏光板を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、表示品位の高い画像を表示し得る液晶表示装置、特に応答速度が速く動画適性のある、高透過率のOCB方式液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、上記ずれの外的要因として乾燥工程における乾燥風に着目し、乾燥風の温度と膜面風速との間にある関係を満たしていれば、ラビング方向とディスコティック液晶性化合物の配向方向にずれを生じない状態で固定化させることができ、結果として、光漏れを防ぐことができるという知見である。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビング処理を施し、該表面に液晶化合物を含む塗布液を塗布し、前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定することにより、光学異方性層が形成された光学補償フィルムであって、
前記配向膜の表面上をラビングした方向と、前記液晶化合物の配向方向とのなす角度が±0.5°未満であり、消光度が0.002以上、0.010以下であることを特徴とする光学保障フィルムである。
<2> 下記の工程:
(1)支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビング処理を施す工程;
(2)液晶化合物を含む塗布液を、前記ラビング処理された配向膜の表面上に塗布する工程;
(3)前記塗布された塗布液からなる液晶化合物層を乾燥するのと同時に、又は乾燥した後に、液晶化合物を配向させ、その配向を固定して液晶化合物層を形成する工程;
を少なくとも含む光学補償フィルムの製造方法によって製造された光学補償フィルムであって、
前記液晶化合物を配向させる温度をT(℃)、前記液晶化合物を配向させる際の液晶化合物層の表面における膜面風速を、V(m/sec)としたときに、以下の式(1)及び式(2)を満たす請求項1に記載の光学補償フィルムである。ただし、下記式(1)中、Tisoは該液晶化合物を含む塗布液の等方相転移温度(℃)である。
(Tiso−10)≦T≦(Tiso−1)・・・・・・・・・・・・・式(1)
−0.1T+14≦V≦−0.14T+22・・・・・・・・・・・・・・・・・式(2)
<3> 液晶化合物が、ディスコティック液晶化合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学補償フィルムである。
<4> 支持体が、セルロースアセテートフィルムである前記<1>から<3>のいずれかに記載の光学補償フィルムである。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学補償フィルムと、偏光子とからなることを特徴とする偏光板である。
<6> 液晶セルと、前記<5>に記載の偏光板とを有することを特徴とする液晶表示装置である。
<7> 液晶セルが、VA方式、OCB方式、又はECB方式である前記<6>に記載の液晶表示装置である。
本発明によると、液晶表示装置、特に応答速度が速く、動画適性の高いOCB方式液晶表示装置に対して優れた光学補償機能を有する光学補償フィルム及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明は、偏光機能を有するとともに、液晶表示装置、特に、応答速度が速く、動画適性のあるOCB方式液晶表示装置に対して、優れた光学補償機能を有し、さらに液晶表示装置の薄型化にも寄与し得る偏光板を提供することができる。
さらに、本発明は、表示品位の高い画像を表示し得る液晶表示装置、特に応答速度が速く動画適性のある、高透過率のOCB方式液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明に係る光学補償フィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置について詳細に説明する。
なお、本実施形態の説明において、「45°」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。
また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、「可視光領域」とは、380〜780nmのことをいう。
さらに、屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
また、本実施形態の説明では、「偏光膜」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
また、本実施形態の説明において「分子対称軸」とは、分子が回転対称軸を有する場合は、当該対称軸を指すが、厳密な意味で、分子が回転対称性であることを要求するものではない。
一般的に、円盤状液晶性化合物において、分子対称軸は、円盤面の中心を貫く円盤面に対して垂直な軸と一致し、棒状液晶性化合物において、分子対称軸は、分子の長軸と一致する。
また、本明細書において、「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値、及び上限値として含む意味で使用するものとする。
(液晶表示装置の構成)
本発明の液晶表示装置は、好ましくは、ベンド配向モードの液晶表示装置である。以下、ベンド配向モードの液晶表示装置について説明する。
図1は、ベンド配向液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、ベンド配向液晶セルは、上基板14aと、下基板14bとの間に液晶性化合物11を封入した構造を有する。ベンド配向液晶セルに使用する液晶性化合物11は、一般に正の誘電率異方性を有する。
液晶セルの上基板14aと、下基板14bとは、それぞれ、配向膜12a,12bと、電極層13a,13bとを有する。
配向膜は棒状液晶性化合物11a〜11jを配向させる機能を有する。なお、RDは配向膜のラビング方向である。電極層は棒状液晶性化合物11a〜11jに電圧を印加する機能を有する。
ベンド配向液晶セルの印加電圧が低い時、図1のoffに示すように、液晶セルの上基板14a側の棒状液晶性化合物11a〜11eと、下基板14b側の棒状液晶性化合物11f〜11jとは、逆向きに(上下対称に)に配向する。
また、基板14a,14b近傍の棒状液晶性化合物11a,11b,11i,11jは、ほぼ水平方向に配向し、液晶セル中央部の棒状液晶性化合物11d〜11gは、ほぼ垂直方向に配向する。
一方、図1のonに示すように、印加電圧が高いと、基板14a,14b近傍の棒状液晶性化合物11a,11jは、ほぼ水平に配向したままである。
また、液晶セル中央部の棒状液晶性化合物11e,11fは、ほぼ垂直に配向したままである。
電圧の増加により配向が変化するのは、基板と液晶セル中央部との中間に位置する棒状液晶性化合物11b,11c,11d,11g,11h,11iであり、これらはoffの状態よりも垂直に配向する。
しかし、液晶セルの上基板14a側の棒状液晶性化合物11a〜11eと、下基板14b側の棒状液晶性化合物11f〜11jとが、逆向きに(上下対称に)に配向することは、offの状態と同様である。
(偏光板の構成)
図2は、本発明の偏光板を示す模式図である。
図2に示すように、本発明の偏光板は、ディスコティック液晶性化合物31a〜31eを含む第1の光学異方性層31、少なくとも1枚のセルロースアシレートフィルムを含む第2の光学異方性層33、及び偏光膜34の積層体からなる。
図2に示す偏光板は、第1の光学異方性層31と、第2の光学異方性層33との間に配向膜32を有する。
第1の光学異方性層31のディスコティック液晶性化合物31a〜31eは、平面分子である。
ディスコティック液晶性化合物31a〜31eは、分子中には、ただ一個の平面、すなわち円盤面を持つ。円盤面は、第2の光学異方性層33の面に対して傾斜している。
円盤面と、第2の光学異方性層面との間の角度(傾斜角)は、ディスコティック液晶性化合物と配向膜との距離が増加するに伴って増加している。なお、平均傾斜角は、15〜50°の範囲であることが好ましい。
図2に示すように傾斜角を変化させると、偏光板の視野角拡大機能が著しく向上する。
また、傾斜角を変化させた偏光板には、表示画像の反転、階調変化あるいは着色の発生を防止する機能もある。ディスコティック液晶性化合物31a〜31eの円盤面の法線NLを第2の光学異方性層33へ正射影した方向PLの平均は、配向膜32のラビング方向RDと反平行の関係になる。
本発明の好ましい態様は、ディスコティック液晶性化合物の円盤面の法線の第2の光学異方性層33への正射影の平均方向と、第2の光学異方性層33の面内遅相軸SAとの角度を実質的に45°にすることである。よって、偏光板の製造工程では、配向膜32のラビング方向RDと、第2の光学異方性層の面内遅相軸SAとの角度θが実質的に45゜になるように調節すればよい。
さらに、本発明では、第2の光学異方性層33の面内遅相軸SAと、偏光膜34の面内透過軸TAとが実質的に平行、又は実質的に垂直になるように、第2の光学異方性層33と、偏光膜とを配置する。
図2に示す偏光板では、一枚の第2の光学異方性層33を平行に配置している。第2の光学異方性層33の面内遅相軸SAは、原則として第2の光学異方性層33の延伸方向に相当する。また、偏光膜34の面内透過軸TAは、原則として偏光膜の延伸方向に垂直な方向に相当する。
図3は、本発明において好ましい、ベンド配向型液晶表示装置を示す模式図である。
図3に示すように、本発明の液晶表示装置は、ベンド配向液晶セル10と、液晶セルの両側に配置された一対の偏光板と、バックライトBLとからなる。
ベンド配向液晶セル10は、図1に示した液晶セルに相当する。
液晶セル10の上下のラビング方向RD2,RD3は、同一方向(平行)である。
前記偏光板は、液晶セル10側から、第1の光学異方性層31A(31B)、第2の光学異方性層33A(33B)、及び偏光膜34A(34B)がこの順に積層されている。
第1の光学異方性層31A,31Bのディスコティック液晶性化合物のラビング方向RD1,RD4は、対面する液晶セル10のラビング方向RD2,RD3とは反平行の関係にある。
前述したように、ディスコティック液晶性化合物のラビング方向RD1,RD4は、円盤面の法線を第2の光学異方性層33へ正射影した平均方向と反平行になる。
第2の光学異方性層33A(33B)の面内遅相軸SA1(SA2)、及び偏光膜34A(34B)の面内透過軸TA1(TA2)は、ディスコティック液晶性化合物のラビング方向RD1(RD4)と同一平面では実質的に45°の角度になる。
そして、二枚の偏光膜34A(34B)は、面内透過軸TA1(TA2)が互いに直交するよう(クロスニコル)に配置されている。
(光学補償フィルム)
本発明の光学補償フィルムは、少なくとも2層以上の積層構造をなし、支持体と、その支持体上に、配向膜を介して設けられた光学異方性層とを少なくとも有してなる。
また、本発明の光学補償フィルムは、以下の3つ工程により作製される。
(1)支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビング処理を施す工程
(2)液晶化合物を含む塗布液を、前記ラビング処理された配向膜の表面上に塗布して液晶化合物層を形成する工程
(3)前記液晶化合物層を所定方向から吹き付ける乾燥風によって乾燥するとともに、前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定して光学異方性層を形成する工程
<支持体>
本発明に用いる支持体は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。
支持体として使用可能なポリマーフィルムとしては、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、及びポリメチルメタクリレート等からなるポリマーフィルムが挙げられる。
市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、ARTON(商品名、日本合成ゴム(株)製)、及びゼオネックス(商品名、日本ゼオン(株)製)を用いてもよい。
それらの中でもセルロースエステルからなるフィルムが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルからなるフィルムがさらに好ましい。
ここで、低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)、又は4(セルロースブチレート)が好ましい。そしてその中でも、セルロースアセテートからなるフィルムが特に好ましい。また、セルロースアセテートプロピオネートや、セルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることもできる。
なお、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、国際公開WO00/26705号明細書に記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明において、支持体として用いることができる。
本発明の光学補償フィルムを、偏光板の保護フィルム、又は位相差フィルムとして使用する場合は、ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましく、57.0〜62.0%であることがより好ましい。
ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがより好ましい。
また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。
具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜1.65であることがより好ましく、1.0〜1.6であることが特に好ましい。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位及び6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。
支持体として用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。
2位、3位及び6位の置換度の合計に対する6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがより好ましく、32〜40%であることが特に好ましい。また、6位の置換度は0.88以上であることが好ましい。なお、各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号[0043]〜[0044]に記載の合成例1、段落番号[0048]〜[0049]に記載の合成例2、そして段落番号[0051]〜[0052]に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
支持体にセルロースアセテートフィルムを用いる場合は、レターデーション上昇剤を該セルロースアセテートフィルム中に含有させるのが好ましく、好ましい化合物例、及びその製造方法に関しては、特開2000−154261号公報、及び特開2000−111914号公報に記載されている。
<光学異方性層(液晶化合物層)>
本発明の光学異方性層(液晶化合物層)は、液晶性化合物を含む。光学異方性層(液晶化合物層)は、支持体の表面に直接形成してもよく、支持体上に配向膜等を形成し、その上に形成してもよい。
光学異方性層(液晶化合物層)に用いる液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物が好ましい。
光学異方性層のフィルム法線方向から測定したレターデーション値は、20〜40nmであることが好ましく、25〜40nmであることがさらに好ましい。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶性化合物を補償するように設計することが好ましい。液晶セル中の液晶性化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、p.411〜414に記載がある。
なお、本明細書では、光学異方性層の作製において、含有される液晶化合物の配向が固定されるまでは、「液晶化合物層」とし、該液晶化合物の配向が固定された後は、「光学異方性層」とした。
<<ディスコティック液晶化合物>>
ディスコティック液晶化合物には、ベンゼン誘導体(C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載)、トルキセン誘導体(C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載)、シクロヘキサン誘導体(B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載)及びアザクラウン系又はフェニルアセチレン系のマクロサイクル(J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)記載)が含まれる。
前記ディスコティック液晶化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
ディスコティック液晶化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。
例えば、低分子のディスコティック液晶化合物が熱又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。
ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されており、ディスコティック液晶化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。
ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。
そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。
従って、重合性基を有するディスコティック液晶化合物は、下記一般式(1)で表わされる化合物であることが好ましい。
式(1)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(又はQL)は、二価の連結基(L)と、重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
上記一般式(1)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及びS−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及びO−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好まし。前記アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例として、(L1〜L24)を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
上記一般式(1)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)は、不飽和重合性基又はエポキシ基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが最も好ましい。
また、上記一般式(1)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
ハイブリッド配向では、液晶化合物の分子対称軸と、支持体の面との角度が、光学異方性層の深さ方向で、かつ支持体の面からの距離の増加と共に増加又は減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。
さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。
角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
液晶化合物の分子対称軸の平均方向は、一般に液晶化合物もしくは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。
また、表面側(空気側)の液晶化合物の分子対称軸方向は、一般に、液晶化合物又は液晶化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
液晶化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、及びポリマーなどを挙げることができる。分子対称軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶化合物と添加剤との選択により調整できる。
液晶化合物と共に使用する可塑剤、界面活性剤、及び重合性モノマーは、液晶化合物と相溶性を有し、液晶化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
前記重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。
また、上記添加剤の添加量は、液晶化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が4以上のモノマーを混合して用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高めることができる。
液晶化合物としてディスコティック液晶化合物を用いる場合は、ディスコティック液晶化合物とある程度の相溶性を有し、ディスコティック液晶化合物に傾斜角の変化を与えられるポリマーを用いるのが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
ディスコティック液晶化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、ディスコティック液晶化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、50〜300℃が好ましく、50〜170℃がより好ましい。
以下に、一般式(1)で表される液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<配向膜>
本発明の光学補償フィルムは、支持体と光学異方性層との間に配向膜を有している。
本発明において、前記配向膜を有する場合には、架橋されたポリマーからなる層であるのが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。
上記配向膜は、官能基を有するポリマー、あるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱又はpH変化等により、ポリマー間で反応させて形成するか、又は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
架橋されたポリマーからなる配向膜は、通常、上記ポリマー、又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、支持体上に塗布した後、加熱等を行うことにより形成することができる。
後述のラビング工程において、配向膜の発塵を抑制するために、架橋度を上げておくことが好ましい。前記塗布液中に添加する架橋剤の量(Mb)に対して、架橋後に残存している架橋剤の量(Ma)の比率(Ma/Mb)を1から引いた値(1−(Ma/Mb))を架橋度と定義した場合、架橋度は50〜100%が好ましく、65〜100%がより好ましく、75〜100%が特に好ましい。
本発明において、前記配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。勿論双方の機能を有するポリマーを使用することもできる。
上記ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、さらにゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコール、又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85〜95%のものである。
重合度としては、100〜3,000の範囲が好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの(変性基として、例えば、COONa、Si(OX)、N(CH・Cl、C19COO、SO、Na、C1225等が導入される)、連鎖移動により変性したもの(変性基として、例えば、COONa、SH、C1225等が導入されている)、ブロック重合による変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、CONH、COOR、C等が導入される)等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。
重合度としては、100〜3,000の範囲が好ましい。これらの中で、鹸化度80〜100%の未変性又は変性ポリビニルアルコールが好ましく、より好ましくは、鹸化度85〜95%の未変性又はアルキルチオ変性ポリビニルアルコールである。
配向膜に用いる変性ポリビニルアルコールとして、下記一般式(2)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物が好ましい。
但し、下記一般式(2)において、Rは無置換のアルキル基、又はアクリロリル基、メタクリロイル基もしくはエポキシ基で置換されたアルキル基を表わし、Wはハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、Xは活性エステル、酸無水物又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、lは0、又は1を表わし、nは0〜4の整数を表わす。
また、配向膜に用いる変性ポリビニルアルコールとして、下記一般式(3)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物も好ましい。
但し、下記一般式(3)において、Xは活性エステル、酸無水物、又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、mは2〜24の整数を表わす。
前記一般式(2)、及び一般式(3)により表される化合物と反応させるために用いられるポリビニルアルコールとしては、上記変性されていないポリビニルアルコール、及び上記共重合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブロック重合による変性をしたもの等のポリビニルアルコールの変性物、を挙げることができる。
上記特定の変性ポリビニルアルコールの好ましい例としては、特開平8−338913号公報に詳しく記載されている。
配向膜にポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを使用する場合、硬膜度の観点から、含水率を制御することが好ましく、制御される含水率としては、0.4〜2.5%であることが好ましく、0.6〜1.6%であることがより好ましい。含水率は、市販のカールフィッシャー法の水分率測定器で測定することができる。
なお、配向膜は、10μm以下の膜厚であるのが好ましい。
<<遅相軸方向とラビング方向>>
液晶化合物層の遅相軸方向を測定する手段としては、KOBRA−21DH(王子計測機器(株)製)が挙げられる。
光学補償フィルムにおけるラビング方向は、偏光顕微鏡、例えば、エクリプスE600−Pol((株)Nikon製)で光学補償フィルム自体を観察し、配向膜と液晶化合物層の界面に焦点を合わせ、明暗のスジとフィルムの長手方向との角度差を調べることによって確認することができる。
このような光学顕微鏡で調べる場合には、偏光板の透過軸とフィルムの遅相軸をクロスニコルに配置し、明るさを徐々に変化させて調べることになるが、ラビング跡の微妙な角度変化を知るために、調べるサンプル数をある程度確保して行うことが望ましい。
<<配向温度>>
前記配向膜上に塗布された液晶化合物を配向させる際に加熱する温度は、液晶化合物を含む塗布液の等方相転移温度をTisoとしたとき、配向速度の観点から、(Tiso−10)〜Tiso℃が好ましく、(Tiso−8)〜(Tiso−1)℃がより好ましく、(Tiso−5)〜(Tiso−2)℃が特に好ましい。
<<膜面風速>>
配向温度を塗布液の等方相転移温度に近づけると、液晶化合物の配向方向が不安定になるという問題が起きるが、乾燥、配向時の液晶化合物層の表面の膜面風速V(m/sec)を、以下の式を満たすように制御することで、光学補償フィルムを安定に作製することができる。
−0.1T+14≦V≦−0.14T+22・・・・・・・・・・・・・・・・式(2)
ここで、前記膜面風速は、液晶化合物層を配向させる際に、液晶化合物に温度を与えるために当てる風の速度と定義される。
また、膜面風速の測定方法としては、アネモマスター風速計(MODEL−6162、日本カノマックス(株)製)のプローブ部を膜面上1cmの距離に、さらに風に対してプローブが直交する位置に配置し、30秒以上保持して安定した数値を読み取ることで実施することができる。
<<消光度>>
本発明において、消光度とは、光学補償フィルムによる光漏れを意味し、一般的には、クロスニコルに配置した2枚の偏光板間に、透過率が最小になるように光学補償フィルムを配置したときに測定される透過率である。具体的には、一方の偏光板は固定し、もう一方の偏光板と位相差膜をそれぞれ回転させて、最小になる透過率を測定することによって得られる。
例えば、光学補償フィルムを設置しない偏光板をパラニコルに配置し、その明るさを計測しておいてこれを分母とし、その後その間に光学補償フィルムを設置し、一方の偏光板は固定、光学補償フィルムともう一方の偏光板をそれぞれ回転させながら一番暗い光を測定、分子としてその割合を計算することによって得られる。このとき、2枚それぞれが独立して回転するので、1回転毎に光学補償フィルムと一方の偏光板を0.25°ずつずらしながら測定する。
また、測定する光学補償フィルムがOCB向けのような、光学補償フィルムのMD方向と遅相軸がずれた光学補償フィルムの場合には、2枚の偏光板をクロスニコル状態からずらした状態で計測する。
この計測には、例えば、Win6OD(大塚電子(株)製)が用いられる。また、透過率の測定波長には550nmを用い、パラニコル配置の偏光板の透過率を100%とした。
本発明に係る光学補償フィルムは、配向膜の表面上をラビングした方向と、前記液晶化合物の配向方向とのなす角度が±0.5°未満であることを前提として、消光度が、0.002以上、0.010以下である。
(OCBモードの液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。
ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4583825号明細書、及び米国特許第5410422号明細書に開示されている。
棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。
そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、液晶セルの中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、液晶セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
液晶セルのΔn×dの値は、50〜1,000nmであることが好ましく、500〜1,000nmであることがより好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(光学補償フィルムの作製)
<支持体の作製>
<<セルロースアセテートフィルムの作製>>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
[セルロースアセテート溶液組成]
・酢化度60.9%のセルロースアセテート・・・・・・・・・・・・・・100質量部
・トリフェニルフォスフェート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート・・・・・・・・・・・・・・・・・3.9質量部
・メチレンクロライド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45質量部
別のミキシングタンクに、酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター)4質量部、下記一般式(4)に示すレターデーション上昇剤25質量部、シリカ微粒子(平均粒径:20nm)0.5質量部、メチレンクロライド80質量部、及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液470質量部に、上記レターデーション上昇剤溶液18.5質量部を混合し、十分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤のセルロースアセテートに対する質量比は3.5%であった。
残留溶剤量が35質量%のフィルムをバンドから剥離した後、140℃の温度で、フィルムのテンターを用いて38%の延伸倍率で横延伸した後、クリップを外して130℃で45秒間乾燥させ、セルロースアセテートフィルム(支持体)を作製した。作製されたセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2質量%であり、膜厚は88μmであった。なお、作製された該支持体は、前記第2の光学異方性層として機能する。
<セルロースアセテートフィルムの鹸化処理>
作製したセルロースアセテートフィルムの一方の面に、1.5規定水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25mL/m塗布し、25℃で5秒間放置した後、流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。このようにして、セルロースアセテートフィルムの一方の表面のみを鹸化した。
<配向膜の形成>
セルロースアセテートフィルムの鹸化処理した面に、下記の組成の配向膜塗布液を#18のワイヤーバーコーターで31mL/m塗布した。その後、100℃の温風で120秒乾燥した。
次に、セルロースアセテートフィルムの延伸方向(遅相軸とほぼ垂直)に対して47゜の方向にラビング処理を実施した。
[配向膜塗布液組成]
・下記一般式(5)に示す変性ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・10質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・371質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5質量部
<光学異方性層の作製>
204.0質量部のメチルエチルケトンに、下記一般式(6)に示すディスコティック液晶化合物91質量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.5質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.2質量部、フルオロ脂肪族基含有ポリマー(メガファックF780、大日本インキ(株)製)を0.4質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液を調製した。
その後、前記塗布液を、配向膜つきセルロースアセテートフィルム上に#3.1のワイヤーバーで塗布し、133℃の恒温槽中で膜面風速3.0m/secの乾燥風を当てながら2分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。
次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射し、前記ディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、第2の光学異方性層(ディスコティック液晶層)を形成し、光学補償フィルムを作製した。
<等方相転移温度の測定>
前記塗布液をガラス板上に滴下し、偏光顕微鏡下で温度を上げながら観察したところ、138℃にて等方相へ転移した。これにより、この塗布液の等方相転移温度Tisoは138℃であることが分かった。
<レターデーションの測定、及び配向方向の測定>
作製した光学補償フィルムの光学特性を測定した。
波長546nmで測定した液晶化合物層のレターデーションは、32nmであった。
また、「KOBRA−21DH(王子計測機器(株)製)」を用いて、配向方向を測定し、エクリプスE600−Pol((株)Nikon製)を用いて、ラビング方向を読み取った際の、配向方向とラビング方向とがなす角度(ずれ)は、0.1°であった。
更に、Win6OD(大塚電子(株)製)を用いて、消光度を計測した。
(楕円偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した前記光学補償フィルムの第2の光学異方性層側を、前記偏光膜の一方の面に貼り付けた。このとき、前記第2の光学異方性層の遅相軸と前記偏光膜の透過軸とが平行になるように配置した。
その後、前述と同様に、一方の面を鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)の前記鹸化処理面側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記偏光膜の他方の面に貼り付けた。このようにして、楕円偏光板を作製した。
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた2枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを4.1μmに設定した。セルギャップにΔn(550)が0.1396の液晶性化合物(メルク社製、ZLI1132)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
(ベンド配向モード液晶表示装置の作製、及び評価)
液晶セルと偏光板2枚とを組み合わせて、図3に記載の液晶表示装置を作製した。液晶セルと2枚の偏光板との配置は、偏光板がそれぞれ、光学異方性層と液晶セルの基板が対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対抗する光学異方性層の配向方向とが反平行になるように配置した。
作製した液晶表示装置をバックライト上に配置し、ベンド配向液晶セルに55Hz矩形波で電圧を印加した。電圧を調整しながら輝度計(TOPCON製、BM−5)を用い、黒輝度(正面輝度)が最も小さくなる電圧を判定した。
次に、同様に輝度計を用い、画面中央での黒輝度と白輝度(正面輝度)を測定し、コントラストを算出した。さらに、電圧を変えて画面の上下左右方向の輝度を輝度計で測定し、階調反転の発生の有無を測定した。
また、分光輝度計(TOPCON製、SR−3)を用いて黒状態での色味測定を行った。
更に、測定機(ELDIM社製,EZ−CONTRAST)を用い、視野角測定を行った。以上の結果を表1に示す。なお、この視野角測定(コントラスト視野角)では、コントラストが10以上となる範囲を示した。
(実施例2〜12)
表1に記載の、配向温度、膜面風速、及び配向時間の各条件で、ディスコティック液晶化合物を配向させた以外は、実施例1と同様にして、光学補償フィルム、及びベンド配向液晶セルを作製し、正面輝度、画面の上下左右方向の輝度、視野角、及び消光度の測定を行った。各測定結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして、支持体を作製し、鹸化処理を施し、配向膜を塗布し、該配向膜上にラビング処理を行った。
<ディスコティック液晶層の作製>
204.0質量部のメチルエチルケトンに、実施例1に示すディスコティック液晶化合物91質量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製、数平均分子量40,000)1.0質量部、フルオロ脂肪族基含有ポリマー(メガファックF780、大日本インキ化学工業(株)製)を0.4質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液を調製した。
塗布液を配向膜つきセルロースアセテートフィルム上に#3.0のワイヤーバーで塗布し、125℃の恒温槽中で膜面風速4m/secの乾燥風を当てながら3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射しディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、ディスコティック液晶層を形成し、光学補償フィルムを作製した。
その塗布液を配向膜つきセルロースアセテートフィルム上に#3.0のワイヤーバーで塗布し、125℃の恒温槽中で、膜面風速3.0m/secの乾燥風を当てながら3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。
次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射しディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、ディスコティック液晶層を形成し、光学補償フィルムを作製した。
<等方相転移温度の測定>
前記塗布液をガラス板上に滴下し、偏光顕微鏡下で温度を上げながら観察したところ、137℃にて等方相へ転移した。これにより、この塗布液の等方相転移温度Tisoは、137℃であることが分かった。
<レターデーションの測定、及び配向方向の測定>
作製した光学補償フィルムの光学特性を測定した。波長546nmで測定した液晶化合物層のレターデーションは32nmであった。
また、「KOBRA−21DH(王子計測機器(株)製)」を用いて、配向方向を測定し、エクリプスE600−Pol((株)Nikon製)を用いて、ラビング方向を読み取った際の、配向方向とラビング方向とがなす角度(ずれ)は、1.6°であった。
実施例1と同様の方法で、楕円偏光板を作製し、OCBモードの液晶セルに組みあわせ、液晶表示装置を作製し、「正面コントラスト」、「コントラスト視野角(上下)」、及び「コントラスト視野角(左右)」の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2〜9)
表2に記載の、配向温度、膜面風速及び配向時間の各条件でディスコティック液晶化合物を配向させた以外は、比較例1と同様に光学補償フィルム、ベンド配向液晶セルを作成し、正面輝度、画面の上下左右方向の輝度、視野角、及び消光度の測定を行った。各測定結果を表2に示す。
表1に示すように、本発明の光学補償フィルムの製造方法によって作製された実施例1〜12では、配向させるときの温度を高く設定しているために、配向速度が速く、生産性が高い。さらに配向方向の安定性も高く、そのためにコントラスト、視野角等が優れた光学補償フィルムを得ることができる。
一方、表2に示すように、比較例1〜9では、配向させる温度が低く、膜面風速も強いので、配向方向の変化が見られる。そのために、正面コントラスト、視野角が悪化している。特に、比較例9では、等方相転移温度Tisoと略同じ温度(配向温度)で加熱したため、等方性相に転移してしまい、測定ができなかった。
なお、図4は、実施例1〜12、及び比較例1〜9における配向温度Tと、膜面風速Vとの関係を示すグラフである。図4に示すように、式(1):(Tiso−10)≦T≦(Tiso−1)、及び式(2):−0.1T+14≦V≦−0.14T+22によって規定される範囲内に、上記効果を示す実施例1〜12の殆どが含まれることが確認された。
本発明の偏光板は、特に、OCBモードにおける黒状態の視角補償をほぼ全ての波長において可能にし、さらに環境による表示品位変化を著しく低減させることができ、特に、黒表示時の斜め方向の光抜けが軽減され、視野角コントラストが著しく改善された液晶表示装置に好適に用いることができる。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルを光学的に補償し、コントラストの改善、及び視角方向に依存したカラーシフトを軽減でき、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに好適に使用することができる。
図1は、ベンド配向液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。 図2は、偏光板を示す模式図である。 図3は、本発明のベンド配向型液晶表示装置を示す模式図である。 図4は、実施例1〜12、及び比較例1〜9における、配向温度と、膜面風速との関係を示した散布図である。
符号の説明
10 ベンド配向液晶セル
11 液晶性化合物
11a〜11j 棒状液晶性分子
12a、12b 配向膜
13a、13b 電極層
14a 上基板
14b 下基板
31、31A、31B 第1の光学異方性層
31a〜31e ディスコティック化合物
32 配向膜
33、33A、33B 第2の光学異方性層
34、34A、34B 偏光膜
NL ディスコティック化合物の円盤面の法線
PL 円盤面の法線を第2の光学異方性層面へ正射影した方向
RD ラビング方向
SA 面内遅相軸
TA 面内透過軸
BL バックライト

Claims (7)

  1. 支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビング処理を施し、該表面に液晶化合物を含む塗布液を塗布し、前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定することにより、光学異方性層が形成された光学補償フィルムであって、
    前記配向膜の表面上をラビングした方向と、前記液晶化合物の配向方向とのなす角度が±0.5°未満であり、消光度が0.002以上、0.010以下であることを特徴とする光学補償フィルム。
  2. 下記の工程:
    (1)支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビング処理を施す工程;
    (2)液晶化合物を含む塗布液を、前記ラビング処理された配向膜の表面上に塗布する工程;
    (3)前記塗布された塗布液からなる液晶化合物層を乾燥するのと同時に、又は乾燥した後に、液晶化合物を配向させ、その配向を固定して液晶化合物層を形成する工程;
    を少なくとも含む光学補償フィルムの製造方法によって製造された光学補償フィルムであって、
    前記液晶化合物を配向させる温度をT(℃)、前記液晶化合物を配向させる際の液晶化合物層の表面における膜面風速を、V(m/sec)としたときに、以下の式(1)及び式(2)を満たす請求項1に記載の光学補償フィルム。
    (Tiso−10)≦T≦(Tiso−1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(1)
    −0.1T+14≦V≦−0.14T+22・・・・・・・・・・・・・・・・式(2)
    ただし、上記式(1)中、Tisoは該液晶化合物を含む塗布液の等方相転移温度(℃)である。
  3. 液晶化合物が、ディスコティック液晶化合物である請求項1から2のいずれかに記載の光学補償フィルム。
  4. 支持体が、セルロースアセテートフィルムである請求項1から3のいずれかに記載の光学補償フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の光学補償フィルムと、偏光子とからなることを特徴とする偏光板。
  6. 液晶セルと、請求項5に記載の偏光板とを有することを特徴とする液晶表示装置。
  7. 液晶セルが、VA方式、OCB方式、又はECB方式である請求項6に記載の液晶表示装置。
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