JP2008026765A - 管楽器演奏用アクチュエータ - Google Patents

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康裕 太田
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Abstract

【課題】騒音を発することなく好適に管楽器を演奏できる演奏用アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明の演奏用アクチュエータ20は、サックスフォン12のマウスピース14に取り付けられ、サックスフォン12を演奏するためのアクチュエータ20であって、外部から供給される空気をサックスフォン12のマウスピース14に供給する流路と、流路内を流れる空気の流量を調節する人工筋肉アクチュエータ60と、を有しており、人工筋肉アクチュエータ60は、電気信号を供給することで形状変化する人工筋肉64を備えており、その人工筋肉64の形状変化によって流路65の断面積を変更して前記空気の流量を調節する。
【選択図】図2

Description

本発明は、管楽器を演奏する演奏用アクチュエータに関する。
管楽器を演奏する演奏用アクチュエータとして、特許文献1の演奏用アクチュエータが知られている。この演奏用アクチュエータは、外部から供給される空気を管楽器のマウスピースに供給する流路と、その流路内を流れる空気の流量を調節する弁と、マウスピースの空気流入口に接触する可撓性の膜と、その膜を振動させる振動装置とを有している。
この演奏用アクチュエータを用いて管楽器を演奏するには、流量調節弁を開き、管楽器のマウスピースに空気を供給する。それと同時に、振動装置によって可撓性の膜を振動させる。マウスピースに供給された空気は、管楽器内を通って外部に放出される。その際、可撓性の膜が振動しているので、演奏用アクチュエータから管楽器内に供給される空気の圧力が、可撓性の膜の周波数と略同じ周波数で変動する。これによって、管楽器から好適な音色が発される。
また、この演奏用アクチュエータでは、流量調節弁の開度を調節することによって、管楽器内に流入する空気の流量を調節することができる。管楽器内に流入する空気の流量を調節すると、管楽器の音量を調節することができる。演奏中に、演奏する楽曲に合わせて流量調節弁の開度を調節することによって、人間が演奏するような抑揚のある音色で管楽器を演奏することができる。
特開2004−258443号公報
従来の演奏用アクチュエータでは、演奏中に流量調節弁の開度を調節することで管楽器の音量を調節する。このような演奏を行うときは、流量調節弁の開度を演奏する楽曲に合わせて正確に制御する必要がある。したがって、流量調節弁には電磁弁等の電気的に制御可能な弁が用いられていた。しかしながら、このような流量調節弁は、内部の部品が機械的に作動することで弁の開度を変更するため、流量調節弁を作動させると騒音が発生する。したがって、従来の演奏用アクチュエータによって管楽器を演奏すると、楽音と共に騒音が発せられるという問題があった。
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、騒音を発することなく好適に管楽器を演奏することができる演奏用アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明の演奏用アクチュエータは、外部から供給される空気を管楽器のマウスピースに供給する流路と、流路内を流れる空気の流量を調節する人工筋肉アクチュエータと、を有しており、人工筋肉アクチュエータは、電気信号を供給することで形状変化する人工筋肉を備えており、その人工筋肉の形状変化によって流路の断面積を変更して前記空気の流量を調節することを特徴とする。
この演奏用アクチュエータでは、マウスピースに供給する空気の流量を、人工筋肉アクチュエータによって調節する。人工筋肉アクチュエータは、電磁弁等に比べて作動時に発する作動音が極めて小さい。したがって、この演奏用アクチュエータによれば、騒音を発することなく好適に管楽器を演奏することができる。
また、本発明は、リードを備えたマウスピースを有する管楽器を好適に演奏することができる演奏用アクチュエータを提供する。この演奏用アクチュエータは、外部から供給される空気を管楽器のマウスピースに導く流路と、流路内を流れる空気の流量を調節する第1の人工筋肉アクチュエータと、リードに接触する第1の弾性部材と、第1の弾性部材をリードに向かって押圧する第2の人工筋肉アクチュエータとを有している。
この演奏用アクチュエータでは、第2の人工筋肉アクチュエータによって第1の弾性部材をマウスピースのリードに向かって押圧する。人工筋肉アクチュエータが弾性部材をリードに押圧する圧力を変化させることによって、管楽器の音色を変化させることができる。人工筋肉アクチュエータは騒音を発することなく作動するので、この演奏用アクチュエータによれば、騒音を発することなく好適に管楽器を演奏することができる。
上述の管楽器演奏用アクチュエータは、リードに対する第1の弾性部材の位置を変更する第3の人工筋肉アクチュエータをさらに有することが好ましい。
このような構成によれば、第3の人工筋肉アクチュエータによって第1の弾性部材がリードに押圧される位置を変更することで、管楽器の音色を変化させることができる。人工筋肉アクチュエータは騒音を発することなく作動するので、この演奏用アクチュエータによれば、騒音を発することなく好適に管楽器を演奏することができる。
上述の演奏用アクチュエータは、マウスピースの空気流入口近傍に配される第2の弾性部材と、第2の弾性部材を空気流入口近傍に接触する状態と接触しない状態とに切替える第4の人工筋肉アクチュエータとをさらに有することが好ましい。
このような構成によれば、第4の人工筋肉アクチュエータによって第2の弾性部材を空気流入口近傍に接触する状態と接触しない状態とに切替えることで、管楽器から歯切れの良い音を発することができる(いわゆるタンギングを行うことができる)。人工筋肉アクチュエータは騒音を発することなく作動するので、この演奏用アクチュエータによれば、騒音を発することなく好適に管楽器を演奏することができる。
また、本発明は、騒音を発することなく好適に管楽器を演奏することができる管楽器演奏装置を提供する。
この管楽器演奏装置は、上述した本発明の演奏用アクチュエータのいずれかと、管楽器のピストンを押圧する押圧部と、押圧部を駆動する第5の人工筋肉アクチュエータを有している。
この管楽器演奏装置によれば、第5の人工筋肉アクチュエータによって押圧部を管楽器のピストンに押圧することで、管楽器が発する音の音程を変更することができる。人工筋肉アクチュエータは騒音を発することなく作動するので、この管楽器演奏装置によれば、騒音を発することなく好適に管楽器を演奏することができる。
下記に詳細に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(形態1)管楽器演奏装置は、リードを備えた管楽器のマウスピースが取り付けられる演奏用アクチュエータと、管楽器のピストンを押圧する押圧部と、押圧部を駆動する第5の人工筋肉アクチュエータを備えている。
(形態2)演奏用アクチュエータは、外部から供給される空気を管楽器のマウスピースに供給する流路と、流路内を流れる空気の流量を調節する第1の人工筋肉アクチュエータと、リードに接触する第1の弾性部材と、第1の弾性部材をリードに向かって押圧する第2の人工筋肉アクチュエータと、リードに対する第1の弾性部材の位置を変更する第3の人工筋肉アクチュエータと、マウスピースの空気流入口近傍に配される第2の弾性部材と、第2の弾性部材を空気流入口近傍に接触する状態と接触しない状態とに切替える第4の人工筋肉アクチュエータとを有している。
(形態3)各人工筋肉アクチュエータは、電気信号を供給することによって形状変化する人工筋肉を備えており、その人工筋肉の形状変化によって作動する。
(形態4)上記人工筋肉は、誘電エラストマ、イオン導電性樹脂等の固体状の樹脂により形成されている。
本発明の一実施例に係るロボットについて図面を参照しながら説明する。図1に示すように、ロボット2は、多数の関節を有する人型ロボットである。ロボット2は、ロボット2の各部に制御指令値を出力する制御装置90(図2参照)を有している。ロボット2の口部には演奏用アクチュエータ20が搭載されている。ロボット2の右手部4及び左手部6によって、サックスフォン12が把持されている。サックスフォン12のマウスピース14は、口部に搭載された演奏用アクチュエータ20と接続されている。また、ロボット2には外部から加圧空気の供給を受ける空気供給管94が接続されている。ロボット2は、演奏用アクチュエータ20と、右手部4と、左手部6を作動させることによって、サックスフォン12を演奏する。
サックスフォン12は、内部に空気流路を有しており、空気流路の上流端にマウスピース14が接続されている。図2に示すように、マウスピース14は、マウスピース本体14aとリード14bによって構成されている。マウスピース本体14aとリード14bとの間には、空気流入口18が形成されている。空気流入口18からサックスフォン12の空気流路内に空気を送り込むと、サックスフォン12は鳴動する。また、サックスフォン12は、多数のピストン16を有している。各ピストン16を操作することで、サックスフォン12から発せられる音の音程を変更することができる。
演奏用アクチュエータ20は、ロボット2の口部に搭載されている。演奏用アクチュエータ20には、サックスフォン12のマウスピース14が接続されている。図2に示すように、演奏用アクチュエータ20は、制御装置90と電気的に接続されている。また、演奏用アクチュエータ20は、空気供給管94と接続されており、空気供給管94から加圧空気の供給を受ける。演奏用アクチュエータ20は、空気供給管94から供給された空気をサックスフォン12の空気流入口18からサックスフォン12の空気流路内に送り込む。演奏用アクチュエータ20は、ケース22と、タンギングアクチュエータ30と、リード押圧アクチュエータ40と、リード押圧位置変更アクチュエータ50と、エア圧力センサ80と、空気流量調節アクチュエータ60と、配管70と、レギュレータ92を有している。
レギュレータ92は、空気供給管94と配管70とに接続されている。レギュレータ92は、空気供給管94から加圧空気の供給を受ける。レギュレータ92は、供給された加圧空気の一部を排出することによって加圧空気の圧力を調整する。レギュレータ92で調圧された空気は配管70に流入する。
配管70は、レギュレータ92と空気流量調節アクチュエータ60とに接続されている。配管70には、レギュレータ92から空気が流入する。配管70に流入した空気は、空気流量調節アクチュエータ60内に流入する。
空気流量調節アクチュエータ60は、ケース22の貫通孔26の外側に配設されている。空気流量調節アクチュエータ60は、制御装置90と電気的に接続されている。図3に示すように、空気流量調節アクチュエータ60はケース62と、誘電エラストマ型樹脂の人工筋肉64によって構成されている。
図3に示すように、ケース62は中空構造をした略円盤状のケースであり、その両側面に貫通孔62a、62bが形成されている。貫通孔62aにはケース22の貫通孔26が接続されている。貫通孔62bには配管70が接続されている。ケース62の内部には人工筋肉64が配設されている。図示していないが、人工筋肉64には、2つの電極が配設されており、それらの電極は制御装置90と電気的に接続されている。また、人工筋肉64の中央には、貫通孔62a、貫通孔62bと連続する貫通孔64aが形成されている。貫通孔62a、貫通孔62b、貫通孔64aによって、空気流路65が形成されている。配管70から空気流量調節アクチュエータ60供給された空気は、空気流路65内を流れてケース22内に流入する。なお、空気流量調節アクチュエータ60とケース22の接続部、空気流量調節アクチュエータ60と配管70の接続部には、それぞれゴムパッキン66が配設されており、空気が漏れないようになっている。
制御装置90によって人工筋肉64の電極間に電圧を印加すると、人工筋肉64は膨張する。人工筋肉64の外周部はケース62によって囲まれているので、人工筋肉64は膨張することによって貫通孔64aが小さくなる方向(図3の矢印Aの方向)に変形する。これによって、貫通孔64aの断面積が減少し、空気流路65を流れる空気の流量が減少する。すなわち、人工筋肉64の電極間に印加する電圧を制御することによって、空気流路65を流れる空気の流量を調節することができる。
ケース22は箱型のケースであり、その側面22aには貫通孔26が形成されている。貫通孔26には空気流量調節アクチュエータ60が接続されており、空気流量調節アクチュエータ60から貫通孔26を通ってケース22内に空気が流入する。また、ケース22の側面22bには貫通孔24が形成されている。貫通孔24には、サックスフォン12のマウスピース14が固定されている。貫通孔24にマウスピース14が固定された状態では、マウスピース14がケース22の内部に収容される。貫通孔24にはゴムパッキンが配設されており、貫通孔24とマウスピース14との間から空気が漏れないようになっている。また、ケース22の内壁面には、タンギングアクチュエータ30と、リード押圧アクチュエータ40と、リード押圧位置変更アクチュエータ50と、エア圧力センサ80が取付けられている。これらの装置は、制御装置90と配線によって接続されており、これらの配線の取り出し部からもケース22内の空気が漏れないようになっている。すなわち、ケース22内は、マウスピース14の空気流入口18を除いて密閉されている。したがって、空気流量調節アクチュエータ60からケース22内に流入する空気は、マウスピース14の空気流入口18内に流入する。すなわち、レギュレータ92、配管70、空気流量調節アクチュエータ60の空気流路65、ケース22によって、空気供給管94から供給される空気をサックスフォン12のマウスピース14に供給する空気流路が形成されている。
リード押圧アクチュエータ40は、ケース22内の下面22c上であって、マウスピース14のリード14bと対向する位置に取り付けられている。リード押圧アクチュエータ40は図2の矢印Bの方向にスライド移動可能に取り付けられている。リード押圧アクチュエータ40の側面には、リード押圧位置変更アクチュエータ50のシャフトの先端が接続されている。リード押圧アクチュエータ40は、図4に示すようにケース42と、人工筋肉44と、シャフト46によって構成されている。
ケース42は有底円筒形であり、図2に示すように、その底面がケース22の下面22cと接触するようにケース22に取り付けられている。ケース42の内部には、誘電エラストマ型樹脂の人工筋肉44が配設されている。図示していないが、人工筋肉44には、2つの電極が配設されており、それらの電極は制御装置90と電気的に接続されている。人工筋肉44の上面44aの略中央には、シャフト46の基端が埋設されている。これによって、シャフト46は人工筋肉44の上面44aから突出した状態で固定されている。また、図2に示すようにリード押圧アクチュエータ40のシャフト46の先端には、弾性部材48が取り付けられている。これによって、弾性部材48は、サックスフォン12のリード14bに近接した位置に配置されている。
制御装置90によって人工筋肉44の電極間に電圧を印加すると、人工筋肉44は膨張する。人工筋肉44は、上面44aを除いた外周部がケース42に囲まれている。したがって、人工筋肉44は、上方向に膨張する。すると、シャフト46が人工筋肉64の膨張に伴って上方向に移動する。これによって、弾性部材48はリード14bに接触し、リード14bを押圧する。人工筋肉44に印加する電圧を制御することによってシャフト46からリード14bに作用する押圧力を制御することができる。本実施例では、リード押圧アクチュエータ40は、最大約20Nの押圧力で弾性部材48をリード14bに押圧することができる。
リード押圧位置変更アクチュエータ50は、ケース22の側面22a上であって、下面22cの近傍に固定されている。リード押圧位置変更アクチュエータ50も、図4に示すリード押圧アクチュエータ40と略同一の構成を有している。リード押圧位置変更アクチュエータ50のシャフトの先端は、図2に示すようにリード押圧アクチュエータ40の側面に接続されている。リード押圧位置変更アクチュエータ50は、制御装置90と電気的に接続されている。制御装置90によってリード押圧位置変更アクチュエータ50に電圧を印加すると、リード押圧位置変更アクチュエータ50のシャフトが図2の右方向に移動する。これによって、リード押圧アクチュエータ40及び弾性部材48も図2の右方向に移動する。リード押圧位置変更アクチュエータ50に印加する電圧を制御することで、リード押圧アクチュエータ40及び弾性部材48の矢印Bの方向の位置を制御することができる。これによって、弾性部材48がリード14bを押圧する位置を制御することができる。本実施例では、リード押圧位置変更アクチュエータ50は、約30mmの範囲内でリード押圧アクチュエータ40及び弾性部材48を移動させることができる。
タンギングアクチュエータ30は、ケース22の側面22b上であって、マウスピース14の空気流入口18と対向する位置に固定されている。タンギングアクチュエータ30も、図4に示すリード押圧アクチュエータ40と略同一の構成を有している。タンギングアクチュエータ30のシャフトの先端には、板状の弾性部材32が取り付けられている。タンギングアクチュエータ30は、制御装置90と電気的に接続されている。制御装置90によってタンギングアクチュエータ30に電圧を印加すると、タンギングアクチュエータ30のシャフトが図2の右方向に移動する。これによって、弾性部材32が図2の右方向に移動し、マウスピース14の空気流入口18近傍と接触する。タンギングアクチュエータ30に印加していた電圧を0に戻すと、弾性部材32は元の位置に戻り、マウスピース14と非接触となる。すなわち、タンギングアクチュエータ30に印加する電圧を制御することで、弾性部材32の矢印C方向の位置(図2参照)を制御し、弾性部材32をマウスピース14の空気流入口18近傍に接触させた状態と、接触させていない状態とに切り替えることができる。本実施例では、タンギングアクチュエータ30は、約7mmの範囲内で弾性部材32を移動させることができる。また、タンギングアクチュエータ30は、最大約16Hzの周波数で弾性部材32を移動させることができる。
エア圧力センサ80は、ケース22の側面22aに取り付けられている。エア圧力センサ80は、ケース22内の気圧を測定する。エア圧力センサ80は制御装置90と電気的に接続されており、エア圧力センサ80で測定された気圧データは制御装置90に入力される。
ロボット2の右手部4及び左手部6は、サックスフォン12を把持している。右手部4及び左手部6は、それぞれ5本の指部8を有している。各指部8の先端は、サックスフォン12のピストン16上に置かれている。各指部8は、人工筋肉アクチュエータを備えている。各指部8の人工筋肉アクチュエータも、図4に示すリード押圧アクチュエータ40と略同一の構成を有している。各指部8の人工筋肉アクチュエータは、制御装置90と電気的に接続されている。制御装置90によって各指部8の人工筋肉アクチュエータに電圧が印加されると、各指部8が動き、指部8が置かれているピストン16が押圧される。
ロボット2によってサックスフォン12を演奏するときには、空気供給管94から演奏用アクチュエータ20に空気を供給する。空気供給管94から演奏用アクチュエータ20に供給された空気は、レギュレータ92で調圧された後、配管70、空気流量調節アクチュエータ60を通ってケース22内に流入する。上述したように、ケース22内は、マウスピース14の空気流入口18を除いて密閉されている。したがって、ケース22内に流入した空気は、マウスピース14の空気流入口18からサックスフォン12の空気流路内に流入し、外部に排出される。これによって、サックスフォン12は鳴動する。
また、空気供給管94から演奏用アクチュエータ20に空気を供給するのと同時に、制御装置90を作動させる。制御装置90は、演奏する楽曲に応じて、各指部8の人工筋肉アクチュエータに印加する電圧を制御する。すると、各指部8が、演奏する楽曲に応じてサックスフォン12のピストン16を押圧する。これによって、サックスフォン12から楽曲に応じた音程の音が発せられる。すなわち、サックスフォン12によって楽曲が演奏される。また、各指部8は人工筋肉の形状変化によって作動するので、騒音を発することなくサックスフォン12のピストン16を押圧する。
また、制御装置90は、エア圧力センサ80が測定したケース22内の気圧データを読取る。そして、その気圧データと演奏する楽曲に基づいて、空気流量調節アクチュエータ60に印加する電圧を制御する。これによって、空気流量調節アクチュエータ60からケース22内に流入する空気の流量が調節される。すなわち、ケース22からサックスフォン12の空気流路内に流入する空気の流量が調節される。サックスフォン12の音量は、サックスフォン12の空気流路内に流入する空気の流量が多いと大きくなり、少ないと小さくなる。すなわち、サックスフォン12の空気流路内に流入する空気の流量を調節することによって、サックスフォン12の音量を調節することができる。制御装置90は、演奏する楽曲に応じて空気流量調節アクチュエータ60に印加する電圧を制御するので、サックスフォン12から、人間が演奏するような抑揚のある楽音が発せられる。また、空気流量調節アクチュエータ60は、人工筋肉64の形状変化によって作動するので、騒音を発することなく空気の流量を調節する。
また、制御装置90は、演奏する楽曲に応じて、リード押圧位置変更アクチュエータ50に印加する電圧を制御する。これによって、リード押圧アクチュエータ40が弾性部材48をリード14bに押圧する位置が制御される。また、制御装置90は、演奏する楽曲に応じて、リード押圧アクチュエータ40に印加する電圧を制御する。これによって、リード押圧アクチュエータ40が弾性部材48をリード14bに押圧する力が制御される。リード14bを押圧する位置と、リード14bを押圧する力は、サックスフォン12が発する音色に影響する。制御装置90は、演奏する楽曲に応じてリード押圧アクチュエータ40とリード押圧位置変更アクチュエータ50に印加する電圧を制御するので、サックスフォン12から楽曲に応じた好適な音色が発せられる。また、リード押圧アクチュエータ40とリード押圧位置変更アクチュエータ50は人工筋肉の形状変化によって作動するので、騒音を発することなく、リード14bを押さえる位置と、リード14bを押さえる力が制御される。
また、制御装置90は、演奏する楽曲に応じて、タンギングアクチュエータ30に印加する電圧を制御する。これによって、弾性部材32がマウスピース14の空気流入口18近傍と接触した状態と、接触していない状態とに切り替えられる。弾性部材32が、空気流入口18近傍と接触した状態と、接触していない状態とに切り替えられることで、サックスフォン12から歯切れの良い音が発せられる。また、弾性部材32の位置を周期的に変化させることによって、サックスフォン12からビブラートがかかった音を発することもできる。このように、弾性部材32の位置を変化させることで、サックスフォン12から特徴的な音色を発することができる。また、タンギングアクチュエータ30は人工筋肉の形状変化によって作動するので、騒音を発することなく弾性部材32の位置が制御される。
以上に説明したように、ロボット2では、空気流量調節アクチュエータ60、リード押圧アクチュエータ40、リード押圧位置変更アクチュエータ50、タンギングアクチュエータ30、指部8が、人工筋肉アクチュエータを用いて構成されている。人工筋肉アクチュエータは固体状の樹脂(誘電エラストマ製、イオン導電性樹脂製等)の人工筋肉の形状変化によって作動する。これらの人工筋肉は、作動速度がロボット2の各部を作動させるのに十分な速度で形状変化する。また、これらの人工筋肉は金属等に比べて柔軟である。したがって、人工筋肉アクチュエータの作動時には、ほとんど作動音を発しない。このため、ロボット2によれば、ほとんど騒音を発することなくサックスフォン12を好適に演奏することができる。また、人工筋肉は比較的軽量であるので、人工筋肉アクチュエータを用いることで、電磁弁、サーボモータ等を用いるときに比べ、ロボット2を小型化、軽量化することができる。
なお、上述の説明では、サックスフォン12を演奏する演奏用アクチュエータ20について説明したが、他の管楽器を演奏する演奏用アクチュエータに本発明を用いることもできる。たとえば、トランペット等の金管楽器を演奏する演奏用アクチュエータにおいて、マウスピースに供給する空気の流量を人工筋肉の形状変化によって調節しても良い。このような構成の演奏用アクチュエータによっても、騒音を発することなく金管楽器を好適に演奏することができる。また、可撓性の膜を振動させることによって金管楽器を演奏する演奏用アクチュエータにおいては、人工筋肉の形状変化によってその膜を振動させても良い。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
ロボット2の外観を示した図。 演奏用アクチュエータ20の構造を示した図。 空気流量調節アクチュエータ60の断面図。 リード押圧アクチュエータ40の斜視図。
符号の説明
2:ロボット
4:右手部
6:左手部
8:指部
12:サックスフォン
14:マウスピース
14a:マウスピース本体
14b:リード
16:ピストン
18:空気流入口
20:演奏用アクチュエータ
22:ケース
30:タンギングアクチュエータ
32:弾性部材
40:リード押圧アクチュエータ
42:ケース
44:人工筋肉
46:シャフト
48:弾性部材
50:リード押圧位置変更アクチュエータ
60:空気流量調節アクチュエータ
62:ケース
64:人工筋肉
65:空気流路
70:配管
80:エア圧力センサ
90:制御装置
92:レギュレータ
94:空気供給管

Claims (5)

  1. 管楽器のマウスピースに取り付けられ、その管楽器を演奏するためのアクチュエータであって、
    外部から供給される空気を管楽器のマウスピースに供給する流路と、
    流路内を流れる空気の流量を調節する人工筋肉アクチュエータと、を有しており、
    人工筋肉アクチュエータは、電気信号を供給することで形状変化する人工筋肉を備えており、その人工筋肉の形状変化によって流路の断面積を変更して前記空気の流量を調節することを特徴とする演奏用アクチュエータ。
  2. リードを備えた管楽器のマウスピースに取り付けられ、その管楽器を演奏するためのアクチュエータであって、
    外部から供給される空気を管楽器のマウスピースに導く流路と、
    流路内を流れる空気の流量を調節する第1の人工筋肉アクチュエータと、
    リードに接触する第1の弾性部材と、
    第1の弾性部材をリードに向かって押圧する第2の人工筋肉アクチュエータと、を有することを特徴とする演奏用アクチュエータ。
  3. リードに対する第1の弾性部材の位置を変更する第3の人工筋肉アクチュエータをさらに有することを特徴とする請求項2に記載の演奏用アクチュエータ。
  4. マウスピースの空気流入口近傍に配される第2の弾性部材と、
    第2の弾性部材を空気流入口近傍に接触する状態と接触しない状態とに切替える第4の人工筋肉アクチュエータとをさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の演奏用アクチュエータ。
  5. 管楽器を演奏する装置であって、
    請求項1〜4のいずれかに記載の演奏用アクチュエータと、管楽器のピストンを押圧する押圧部と、押圧部を駆動する第5の人工筋肉アクチュエータを有することを特徴とする管楽器演奏装置。
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