JP2008026594A - 近赤外用撮像レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的部品の精度要求が緩い屈折透過型光学系で、赤外線専用の特殊な光学材料を用いることなく、近赤外域での観測用途に適した広角で良好な収差性能を実現できるようにした近赤外用撮像レンズを提供する。
【解決手段】被写体側に負の屈折力を有する第1レンズ群GR1、像側に正の屈折力を有する第2レンズ群GR2を配置する。第1レンズ群GR1は、被写体側よりも像側の面の方が強い曲率とされた3枚以上の負レンズを有し、かつ、最も被写体側に石英ガラスよりなるレンズが配置されていることが好ましい。第2レンズ群GR2は、2枚以上の負レンズと4枚以上の正レンズとを有し、かつ、2枚以上の負レンズのうち1枚以上がd線に対する屈折率をNdとしてNd≧1.9の光学材料で構成され、4枚以上の正レンズのうち2枚以上がd線に対するアッベ数をνdとしてνd≧80の光学材料で構成されていることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】被写体側に負の屈折力を有する第1レンズ群GR1、像側に正の屈折力を有する第2レンズ群GR2を配置する。第1レンズ群GR1は、被写体側よりも像側の面の方が強い曲率とされた3枚以上の負レンズを有し、かつ、最も被写体側に石英ガラスよりなるレンズが配置されていることが好ましい。第2レンズ群GR2は、2枚以上の負レンズと4枚以上の正レンズとを有し、かつ、2枚以上の負レンズのうち1枚以上がd線に対する屈折率をNdとしてNd≧1.9の光学材料で構成され、4枚以上の正レンズのうち2枚以上がd線に対するアッベ数をνdとしてνd≧80の光学材料で構成されていることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、近赤外域(波長1.5μm〜2.0μm帯)の撮像に用いられる撮像レンズ、例えば人工衛星に搭載されて真空中(宇宙空間)で使用され、近赤外光による地球観測を行う観測装置に搭載される近赤外用撮像レンズに関する。
例えば地球観測用人工衛星に搭載される近赤外撮像用光学系として、1.5μm〜2.0μm帯を使用波長とするものが開発されている。一方、従来より、完全な赤外域、すなわち4μm以上の波長用の光学材料としては、例えばシリコンやゲルマニウムが知られているが、それらの光学材料は1.5μm〜2.0μm帯では光を通さない。1.5μm〜2.0μm帯の波長光によって撮影をする場合、通常の可視光用の光学材料を用いる。地球観測用の観測装置では、取り込んだ光線を解析するにあたり、波長スペクトルや偏光で光成分を分解するといった場合もある。この際、波長の違いによって撮影範囲にずれが生じると、受光素子1画素のズレでも地上での距離換算では数キロメートルにも及ぶ大きな誤差となってしまう。そのため、高い分解能を実現するためには極限までの倍率色収差の除去が必要である。
通常の光学材料のみで構成された透過型光学系では、例え対応波長域の上限と下限での色ズレを抑えたとしても、中間波長における色ズレが残る、いわゆる2次スペクトルの残存が大きな問題となる。従来、屈折透過型で構成された衛星搭載用光学系もあるが(特許文献1参照)、ZnS(ジンクサルファイド)やZnSe(ジンクセレン)など特殊な光学材料を使っており、全長も長く、かつ画角も狭い。また、設計波長域も1.0μm前後であり、1.5μm〜2.0μm帯用ではない。このため、スペクトル分析用途での衛星搭載用光学系では、被写体側の集光素子に凹面鏡を用いた反射屈折型光学系が使われることが多い(特許文献2参照)。
特開2003−232993号公報
特開2003−287684号公報
しかしながら、反射光学系の部品に要求される表面精度の厳しさは透過型光学系の比ではなく、このため研磨できる製造者が限られてしまう難がある。また、観測用途として広視野角のものが求められているが、周辺光量の低下を最小限に抑えて例えば半画角35°にも及ぶ広範囲の画像を取り込むことは反射型では困難である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、比較的部品の精度要求が緩い屈折透過型光学系で、赤外線専用の特殊な光学材料を用いることなく、近赤外域での観測用途に適した広角で良好な収差性能を実現できるようにした近赤外用撮像レンズを提供することにある。
本発明による近赤外用撮像レンズは、被写体側から順に、全体として負の屈折力を有する第1レンズ群と、全体として正の屈折力を有する第2レンズ群とを備え、第2レンズ群が、d線に対する屈折率をNdとして、Nd≧1.9の光学材料で構成される負レンズを1枚以上有するものである。
本発明による近赤外用撮像レンズでは、被写体側に負の屈折力を有する第1レンズ群、像側に正の屈折力を有する第2レンズ群を配置したことで、レトロフォーカス型のパワー配置を採りやすくなり、広角化に有利となる。また、Nd≧1.9を満たす可視光用の高屈折率材料からなる負レンズを第2レンズ群に1枚以上有していることで、赤外線専用の特殊な光学材料を用いることなく、諸収差の補正に有利となる。
そして、本発明による近赤外用撮像レンズではさらに、次の好ましい条件を適宜採用して満足することで、光学性能がより良好なものとされる。
そして、本発明による近赤外用撮像レンズではさらに、次の好ましい条件を適宜採用して満足することで、光学性能がより良好なものとされる。
本発明による近赤外用撮像レンズは、さらに、第2レンズ群中に、d線に対するアッベ数をνdとして、νd≧80の光学材料で構成される正レンズを2枚以上有していることが好ましい。このように第2レンズ群において、Nd≧1.9を満たす負レンズとνd≧80を満たす正レンズとを適切に組み合わせることで、特に色収差の補正に有利となる。
また、第1レンズ群の最も被写体側に、石英ガラスよりなるレンズが配置されていることが好ましい。最も被写体側のレンズを石英ガラスにより構成することで、人工衛星に搭載する場合において宇宙線が光学系内部に侵入することが防止され、宇宙線カット用の石英板フィルターなどを光学系前方に別途配置する必要が無くなる。
また、第1レンズ群および第2レンズ群に関し、以下の条件を満足することが好ましい。式中、fは全体の焦点距離、f1は第1レンズ群の焦点距離、f2は第2レンズ群の焦点距離とする。
−1.4<f1/f<−1.0 ……(1)
5.0<f2/f<15.0 ……(2)
これにより、各レンズ群のパワー配分が最適化され、小型化と収差補正にさらに有利な光学系が得られる。
−1.4<f1/f<−1.0 ……(1)
5.0<f2/f<15.0 ……(2)
これにより、各レンズ群のパワー配分が最適化され、小型化と収差補正にさらに有利な光学系が得られる。
本発明による近赤外用撮像レンズは、より具体的には、第1レンズ群が、被写体側よりも像側の面の方が強い曲率とされた3枚以上の負レンズを有し、かつ、最も被写体側に石英ガラスよりなるレンズが配置されていることが好ましい。また、第2レンズ群が、2枚以上の負レンズと4枚以上の正レンズとを有し、かつ、2枚以上の負レンズのうち1枚以上がd線に対する屈折率をNdとしてNd≧1.9の光学材料で構成され、4枚以上の正レンズのうち2枚以上がd線に対するアッベ数をνdとしてνd≧80の光学材料で構成されていることが好ましい。
本発明の近赤外用撮像レンズによれば、被写体側に負の屈折力を有する第1レンズ群、像側に正の屈折力を有する第2レンズ群を配置して広角化に有利なパワー配置とし、かつ、Nd≧1.9を満たす可視光用の高屈折率材料からなる負レンズを第2レンズ群に1枚以上有する構成にしたので、比較的部品の精度要求が緩い屈折透過型光学系で、赤外線専用の特殊な光学材料を用いることなく、近赤外域での観測用途に適した広角で良好な収差性能を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る近赤外用撮像レンズの一構成例を示している。この構成例は、後述の第1の数値実施例(図2)のレンズ構成に対応している。図1において、符号Riは、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。
図1は、本発明の一実施の形態に係る近赤外用撮像レンズの一構成例を示している。この構成例は、後述の第1の数値実施例(図2)のレンズ構成に対応している。図1において、符号Riは、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。
この近赤外用撮像レンズは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いた各種撮像装置に適用可能であり、特に、近赤外域(波長1.5μm〜2.0μm帯)の撮像に用いられる撮像レンズ、例えば人工衛星に搭載されて真空中(宇宙空間)で使用され、近赤外光による地球観測を行う観測装置に搭載されるものとして最適である。この近赤外用撮像レンズは、光軸Z1に沿って被写体側(物体側)から順に、第1レンズ群GR1と、第2レンズ群GR2とを備えている。開口絞りStは、第2レンズ群GR2の内部に配置されている。
この近赤外用撮像レンズの像面Simgには、図示しないCCD等の撮像素子が配置される。第2レンズ群GR2と撮像素子との間には、レンズを装着する装置側の構成に応じて、種々の光学部材GCが配置されている。光学部材GCとしては例えば、光束分岐(ビームスプリッタ)プリズムF1やカバーガラスF2などが配置される。
第1レンズ群GR1は、全体として負の屈折力を有している。第1レンズ群GR1は、被写体側よりも像側の面の方が強い曲率(曲率半径の絶対値が小さい)とされた3枚以上の負レンズを有し、かつ、最も被写体側に石英ガラスよりなるレンズが配置されていることが好ましい。図1の構成例では、第1レンズ群GR1が3枚の負レンズL11,L12,L13で構成され、最も被写体側の負レンズL11が石英ガラスで構成されている。図1の構成例では、被写体側から2つの負レンズL11,L12は被写体側に凸面を向けた負メニスカスレンズで構成され、3番目の負レンズL13は両凹レンズで構成されている。
第2レンズ群GR2は、全体として正の屈折力を有している。第2レンズ群GR2は、2枚以上の負レンズと4枚以上の正レンズとを有していることが好ましい。かつ、2枚以上の負レンズのうち1枚以上がd線に対する屈折率をNdとしてNd≧1.9の光学材料で構成されていることが好ましい。かつ、4枚以上の正レンズのうち2枚以上がd線に対するアッベ数をνdとしてνd≧80の光学材料で構成されていることが好ましい。図1の構成例では、第2レンズ群GR2が2枚の負レンズL23,L25と4枚の正レンズL21,L22,L24,L26とで構成されている。より具体的には、第2レンズ群GR2において、最も被写体側に両凸の単レンズからなる正レンズL21が配置され、続いて、開口絞りStを挟んで像側に正レンズL22および負レンズL23からなる第1の接合レンズが配置されている。続いて両凸の単レンズからなる正レンズL24を挟んで、正レンズL25および負レンズL26からなる第2の接合レンズが配置されている。第2レンズ群GR2では、開口絞りSt以降のレンズにおいて、1枚以上の負レンズがNd≧1.9の光学材料で構成され、2枚以上の正レンズがνd≧80の光学材料で構成されていることが、より好ましい。
この近赤外用撮像レンズは、第1レンズ群GR1および第2レンズ群GR2に関し、以下の条件を満足することが好ましい。式中、fは全体の焦点距離、f1は第1レンズ群GR1の焦点距離、f2は第2レンズ群GR2の焦点距離を示す。
−1.4<f1/f<−1.0 ……(1)
5.0<f2/f<15.0 ……(2)
−1.4<f1/f<−1.0 ……(1)
5.0<f2/f<15.0 ……(2)
次に、この近赤外用撮像レンズを以上のような構成とする理由を、その作用および効果と共に説明する。
人工衛星搭載用光学系の場合、撮像素子がCCDやラインセンサーである場合が多い。これらは一般にたかだか数センチメートルの小さなものである。また、観測用途として波長に応じて光束を複数に分割するために、第2レンズ群GR2と撮像素子との間に光束分岐プリズムF1などを配置する場合が多い。光束分岐プリズムF1などを配置する都合上、撮像素子側の出射光束はほぼテレセントリックかつ長いバックフォーカスが必要となる。そのうえ観測用途としては、被写体側で半画角35°にも及ぶ広角化が求められており、それに対応するためには、ほぼ必然的に被写体側に比較的強い負のパワー群、撮像素子近辺に正のパワー群を配置した、いわゆる「レトロフォーカス型」の光学系となる。
第1レンズ群GR1で強い負のパワーを実現するためには1枚の負レンズでは不足であり、好ましくは少なくとも3枚の負レンズが必要となる。ただし、球面収差の発生や全反射の防止、ならびにケラレによる周辺光量の低下を防ぐためには、各面での最大光線入射角が一定値以下となる必要がある。このため、第1レンズ群GR1を構成するレンズはいずれも被写体側よりも撮像素子側の面の曲率を強くした構成とすることが好ましい。
また用途が人工衛星用である場合、宇宙線の光学系への侵入により、通常の光学ガラスでは経時変化による着色、すなわち透過率の減衰が見られる。これを防ぐため、第1レンズ群GR1の最も被写体側のレンズを宇宙線を通さない厚めの石英ガラスとすることで、宇宙線カット用の石英板フィルターなどを光学系前方に配置する手間を省くことができる。
続く第2レンズ群GR2は、第1レンズ群GR1で発散させた光束を撮像素子に結像する役割を担うので正のパワーを有することが必要となる。また、光束を分岐するための光束分岐プリズムF1などが後に続くこともあるため、バックフォーカスを極力長く、かつテレセントリックに近い状態で光束を射出することが望ましい。このため、第1レンズ群GR1とのパワー配分にはほぼ一定の比例に近い関係が成り立つ傾向にある。
屈折透過型、すなわちレンズのみにより1.6μm近辺での倍率色収差を高度に除去するためには、通常の可視光での色消し、すなわちd線(587.6nm)を基準とした、F線(486.1nm)〜C線(656.3nm)での色消しとは傾向が異なる。このため、現存する光学ガラスにおける部分分散での組み合わせを考えると、第2レンズ群GR2には、屈折率Nd≒1.92かつアッベ数νd≒19の材料よりなる高屈折率・高分散の負レンズと、一般に異常分散ガラスと呼ばれるNd≦1.5かつνd≧80の材料よりなる低屈折率・低分散の正レンズとで構成された接合レンズを用いるのが理想的となる。ただし、入射する光束が半画角35°にも及ぶ広角の場合、第2レンズ群GR2での光束は接合レンズの中央部を通らず、周辺部のみを通過する。このため、1枚の接合レンズだけでは、瞳上下方向に対して非対称な色収差が残存してしまう。これは2枚の接合レンズを向かい合わせで配置することで軽減できる。ただし、高屈折率硝材の複数枚使用は必ずしも必要ではない(後述の実施例2,3参照)。すなわち、第2レンズ群GR2において、νdが80以上の材料を用いた正レンズは2枚以上、Ndが1.9以上の材料を用いた負レンズは1枚以上、存在すればよい。理想的にはNd≧1.9の負レンズが2枚、νd≧80の正レンズが3枚よりなるのがベストといえる。
また、第2レンズ群GR2単体としての理想的なパワー配分を確保するためには、2つの接合レンズの間に分散の小さな正のパワーを持ったレンズL24を配置するのが最適である。これによって接合レンズにおける正レンズでの曲率を必要以上にきつくせずに済むようになる。
第1レンズ群GR1および第2レンズ群GR2の理想的なパワー配分を得るために、上述の条件式(1),(2)を満足することが好ましい。条件式(1),(2)を満足することで、小型化と収差補正にさらに有利となる。条件式(1)の下限または条件式(2)の上限のいずれかを越えると、各レンズ群のパワーが弱くなり全長が伸びるため、積載量が制限されている人工衛星搭載に不都合が生じる。また、条件式(1)の上限を上回ると歪曲が大きくなりすぎるので好ましくない。また、条件式(2)の下限を下回るとコマ収差が大きくなり、結像性能に撮像素子の1画素の大きさ以上のズレが生じるので好ましくない。
以上のようにして、本実施の形態に係る近赤外用撮像レンズによれば、広視野における収差、特に倍率色収差などの二次スペクトルを周辺部まで十分に抑えつつ、なおかつ比較的部品の精度要求が緩い屈折透過型で、近赤外(1.6μm近辺)での画像取り込みが可能な光学系を実現できる。また、全体として小型化が図れるため、地上環境観測用の人工衛星への搭載が容易となる。また、反射光学系では極めて高い加工技術を要するうえ、製造バラつきによる性能変動への影響が大きいが、本実施の形態では反射光学系を使わないため、製造者が限られるなどの工程管理上の制約もなくなり、コスト的にも有利となる。さらに、屈折透過型なので半画角35°といった広角であるにもかかわらず、反射光学系で生じるような周辺部でのケラレによる光量ロスもなく、光束分岐やスペクトル分解での画像解析にも最適である。
次に、本実施の形態に係る近赤外用撮像レンズの具体的な数値実施例について説明する。以下では、第1ないし第4の数値実施例をまとめて説明する。
図1に示した近赤外用撮像レンズの構成に対応する具体的なレンズデータを実施例1として、図2に示す。図2に示したレンズデータにおける面番号Siの欄には、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目(i=1〜21)の面の番号を示している。曲率半径Riの欄には、図1において付した符号Riに対応させて、物体側からi番目の面の曲率半径の値(mm)を示す。面間隔Diの欄についても、同様に物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸上の間隔(mm)を示す。Ndjの欄には、物体側からj番目(j=1〜11)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率の値を示す。νdjの欄には、物体側からj番目の光学要素のd線に対するアッベ数の値を示す。
なお、この近赤外用撮像レンズは宇宙空間で使用されることを想定しており、各レンズ間の媒質は真空で、その大気に対する相対屈折率は「Nd≒0.99973」としている。
なお、この近赤外用撮像レンズは宇宙空間で使用されることを想定しており、各レンズ間の媒質は真空で、その大気に対する相対屈折率は「Nd≒0.99973」としている。
なお、屈折率Ndjの数値欄において網掛けして強調表示している部分は、その部分のレンズが、上述のNd≧1.9の条件を満たしていることを示している。同様に、アッベ数νdjの数値欄において網掛けして強調表示している部分は、その部分のレンズが、上述のνd≧80の条件を満たしていることを示している。この実施例1に係る近赤外用撮像レンズは、第2レンズ群GR2において2枚の負レンズL23,L25がNd≧1.9の条件を満たしている。また、第2レンズ群GR2において3枚の正レンズL22,L24,L26がνd≧80の条件を満たしている。
以上の実施例1のレンズデータと同様にして、実施例2ないし実施例4に係る近赤外用撮像レンズの具体的なレンズデータをそれぞれ、図3ないし図5に示す。なお、実施例2ないし実施例4に係る近赤外用撮像レンズのレンズ断面は、実施例1に係る近赤外用撮像レンズの構成と類似しているので、図示を省略する。
図3に示したように、実施例2に係る近赤外用撮像レンズは、第2レンズ群GR2において1枚の負レンズL25がNd≧1.9の条件を満たしている。また、第2レンズ群GR2において3枚の正レンズL22,L24,L26がνd≧80の条件を満たしている。同様に、実施例3に係る近赤外用撮像レンズは、図4に示したように第2レンズ群GR2において、1枚の負レンズL23がNd≧1.9の条件を満たすと共に、3枚の正レンズL22,L24,L26がνd≧80の条件を満たしている。また、実施例4に係る近赤外用撮像レンズは、図5に示したように第2レンズ群GR2において、2枚の負レンズL23,L25がNd≧1.9の条件を満たすと共に、2枚の正レンズL22,L26がνd≧80の条件を満たしている。
なお、各実施例共に、第1レンズ群GR1の最も被写体側の負レンズL11は石英ガラスとなっている。また、カバーガラスF2はシリコン材料を用いている。
図6には、上述の各条件式に関する値を各実施例についてまとめて示す。図6から分かるように、各実施例の値が、各条件式の数値範囲内となっている。
図7(A)〜図7(D)はそれぞれ、実施例1に係る近赤外用撮像レンズにおける球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、および倍率色収差を示している。各収差図には、波長1600nmを基準波長とした収差を示す。球面収差図、および倍率色収差図には、波長1550nmおよび波長1650nmについての収差も示す。非点収差図において、実線はサジタル方向、破線はタンジェンシャル方向の収差を示す。FNO.はF値、ωは半画角を示す。また、図8は実施例1に係る近赤外用撮像レンズにおける各画角での横収差(コマ収差)を示している。特に図8の(1)〜(3)はタンジェンシャル方向での収差を示し、図8の(4),(5)はサジタル方向での収差を示す。
同様にして、実施例2に係る近赤外用撮像レンズにおける諸収差を図9(A)〜図9(D)および図10に示す。また、実施例3に係る近赤外用撮像レンズにおける諸収差を図11(A)〜図11(D)および図12に示す。実施例4に係る近赤外用撮像レンズにおける諸収差を図13(A)〜図13(D)および図14に示す。
以上の各数値データおよび各収差図から分かるように、各実施例について、屈折透過型光学系で、赤外線専用の特殊な光学材料を用いることなく、近赤外域での観測用途に適した広角で良好な収差性能を実現できている。
なお、本発明は、上記実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
GR1…第1レンズ群、GR2…第2レンズ群、GRF…光学部材、St…開口絞り、Ri…物体側から第i番目のレンズ面の曲率半径、Di…物体側から第i番目と第i+1番目のレンズ面との面間隔、Z1…光軸。
Claims (5)
- 被写体側から順に、全体として負の屈折力を有する第1レンズ群と、全体として正の屈折力を有する第2レンズ群とを備え、
前記第2レンズ群は、
d線に対する屈折率をNdとして、
Nd≧1.9の光学材料で構成される負レンズを1枚以上有する
ことを特徴とする近赤外用撮像レンズ。 - さらに、前記第2レンズ群中に、d線に対するアッベ数をνdとして、
νd≧80の光学材料で構成される正レンズを2枚以上有する
ことを特徴とする請求項1に記載の近赤外用撮像レンズ。 - 前記第1レンズ群の最も被写体側に、石英ガラスよりなるレンズが配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外用撮像レンズ。 - 前記第1レンズ群は、被写体側よりも像側の面の方が強い曲率とされた3枚以上の負レンズを有し、かつ、最も被写体側に石英ガラスよりなるレンズが配置され、
前記第2レンズ群は、2枚以上の負レンズと4枚以上の正レンズとを有し、かつ、前記2枚以上の負レンズのうち1枚以上がd線に対する屈折率をNdとしてNd≧1.9の光学材料で構成され、前記4枚以上の正レンズのうち2枚以上がd線に対するアッベ数をνdとしてνd≧80の光学材料で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の近赤外用撮像レンズ。 - 前記第1レンズ群および前記第2レンズ群に関し、以下の条件を満足する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の近赤外用撮像レンズ。
−1.4<f1/f<−1.0 ……(1)
5.0<f2/f<15.0 ……(2)
ただし、
f:全体の焦点距離
f1:第1レンズ群の焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
とする。
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2006
- 2006-07-21 JP JP2006199078A patent/JP2008026594A/ja active Pending
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