JP2008021606A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】セルの劣化しない運転範囲に制限されることなく燃料電池スタックの出力制御を行い、システム起動時の性能向上を実現する。
【解決手段】燃料電池システム(10)は、燃料ガスと酸化ガスとを電気化学反応させて発電するセルを一つ以上含む燃料電池スタック(20)と、燃料電池スタック(20)の出力電圧及び出力電流を制御するコントローラ(50)とを有する。コントローラ(50)は、システム起動時のセルの劣化量を検出し、所定の許容劣化量を超えない範囲でセルの転極を許容しつつ燃料電池スタック(20)から引き出すことのできる最大出力電流を上限として燃料電池スタック(20)の出力電流及び出力電圧を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は燃料電池システムに関し、特に、燃料電池システム起動時の出力制御に関するものである。
近年、環境問題に対する取り組みの一環として、低公害車の開発が進められており、その中の一つに燃料電池スタックを車載電源とする燃料電池車両がある。燃料電池スタックは、電解質膜の一方の面にアノード極を配置し、他方の面にカソード極を配置してなる膜−電極接合体に燃料ガス及び酸化ガスを供給することで電気化学反応を起こし、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換システムである。なかでも、固体高分子膜を電解質として用いる固体高分子電解質型燃料電池スタックは、低コストでコンパクト化が容易であり、しかも高い出力密度を有することから、車載電力源としての用途が期待されている。
燃料電池システムを起動させる際、特に運転を長時間休止させた後に発電を行う際に電解質膜が乾燥したり、或いは電極触媒が被毒されて活性度が低下したりすることがある。このような場合、起動開始時には定格起電力を出力することができないだけでなく、セルの中には、発電性能が低く、過負荷での運転を強要されることにより、アノード電極とカソード電極とが転極してしまうものも生じる。転極したセルでは、アノード電極にてカーボンの酸化反応が生じる場合があるので、電極触媒の劣化、電極触媒の溶出、電解質膜の破損によるクロスリーク等を引き起こし、出力低下を招く原因となる。また、転極が生じたセルは、正常なセルよりも電圧が低下するので、燃料電池スタック全体の性能低下を招く。
かかる問題点に鑑み、特開2005−71626号公報には、燃料電池システムの起動時に起動時間を短縮するため、セル電圧が−0.207Vを下回らない範囲で燃料電池スタックの出力電流を最大にする方法が提案されている。
特開2005−71626号公報
しかし、上記従来技術では、セルが劣化しない運転範囲、つまり、セルが転極しない運転範囲に出力電流の最大値が制限されるので、燃料電池スタックの運転可能範囲が極めて制限的であり、起動時間を短縮するには限界がある。
そこで、本発明は、セルの劣化しない運転範囲に制限されることなく燃料電池スタックの出力制御を行い、システム起動時の性能向上を実現できる燃料電池システムを提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガスと酸化ガスとを電気化学反応させて発電するセルを一つ以上含む燃料電池スタックと、セルが受ける劣化量を検出する劣化検出手段と、所定の許容劣化量を超えない範囲でセルの転極を許容しつつ燃料電池スタックから引き出すことのできる最大出力電流を設定する出力設定手段と、燃料電池スタックの起動時に出力設定手段により設定された最大出力電流を上限として燃料電池スタックの出力電圧及び出力電流を制御する制御手段と、を備える。
所定の許容劣化量を超えない範囲でセルの転極を許容しつつ燃料電池スタックから引き出すことのできる最大出力電流を上限として燃料電池スタックの出力電圧及び出力電流を制御することで、セルの劣化しない運転範囲に制限されることなく燃料電池スタックの出力制御を実施することが可能となり、システム起動時の性能向上を実現できる。
ここで、劣化検出手段は、セルの発電状態(セル電圧、セル電流、及びセル温度)に基づいてシステム起動時にセルが受ける劣化量を検出するための手段であり、例えば、システム全体を制御するコントローラの演算機能(図2:ステップ204)によって実現される。
出力設定手段は、所定の許容劣化量を超えない範囲でセルの転極を許容しつつ燃料電池スタックから引き出すことのできる最大出力電流を算出するための手段であり、例えば、システム全体を制御するコントローラの演算機能(図2:ステップ206)によって実現される。
燃料電池スタックの出力電圧及び出力電流を制御する制御手段は、例えば、システム全体を制御するコントローラ、燃料電池スタックの出力電圧を調整するDC/DCコンバータ、燃料電池スタックに反応ガスを供給する手段(燃料ガス供給装置、酸化ガス供給装置)等により構成される。
上述の劣化検出手段、出力設定手段、及び制御手段は、単一のハードウェアによって実現されてもよく、又は複数のハードウェアの協働によって実現されてもよい。
尚、許容劣化量とは、燃料電池スタックの使用寿命が全うされることが予想される平均使用期間の間に燃料電池スタックが受けることのできる総劣化量を総起動回数で除した平均値をいう。
燃料電池システムは、燃料電池スタックを起動するときのセルの劣化量を積算した劣化量積算値を記憶する記憶手段を更に備えてもよい。劣化量積算値を記憶することで、燃料電池スタックの使用寿命を把握できる。
また、燃料電池システムは、劣化量積算値が所定の閾値を超えたときに警報を発する警報装置を更に備えてもよい。これにより、ユーザにメンテナンスの時期を報知することができる。
本発明によれば、所定の許容劣化量を超えない範囲でセルの転極を許容しつつ燃料電池スタックから引き出すことのできる最大出力電流を上限として燃料電池スタックの出力電圧及び出力電流を制御することで、セルの劣化しない運転範囲に制限されることなく燃料電池スタックの出力制御を実施することが可能となり、システム起動時間の短縮、起動後の性能向上を実現できる。
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は燃料電池車両の車載発電システムとして機能する燃料電池システム10の主要構成を示している。燃料電池システム10は、一つ又は複数のセルが直列に積層されてなる燃料電池スタック20を有する。燃料電池スタック20は、例えば、固体高分子型燃料電池スタックであり、燃料ガス供給装置31からアノード極に燃料ガス(水素ガス)の供給を受けるとともに、酸化ガス供給装置32からカソード極に酸化ガス(空気)の供給を受けて発電する。
燃料電池スタック20では、アノード極において(1)式の酸化反応が生じ、カソード極において(2)式の還元反応が生じる。燃料電池スタック20全体としては(3)式の起電反応が生じる。
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
ここで、燃料ガス供給装置31は、例えば、水素ガスを貯蔵する水素タンクや、メタノールなどの原燃料を水素リッチガスに改質する改質器などである。酸化ガス供給装置32は、例えば、大気から取り込んだエアを加圧するエアコンプレッサである。
燃料電池スタック20には、セルの発電状態を検出するためのセンサ類として、各セル電圧を検出するための電圧センサ41、燃料電池スタック20の出力電流(セル電流)を検出するための電流センサ42、セル温度を検出するための温度センサ43が設置されている。温度センサ43は、例えば、燃料電池スタック20内部を循環する冷媒の温度を検出することにより、セル温度を検出する。これらセンサ類の検出信号は、コントローラ50に出力される。
燃料電池スタック20の出力端子には、トラクションインバータ62とDC/DCコンバータ60とが並列に接続されている。トラクションインバータ62には、車両走行推進力を得るためのトラクションモータ63が接続されている。トラクションモータ63は、例えば、三相動機モータ等の電動モータである。DC/DCコンバータ60には、燃料電池スタック20の発電電力又は車両制動時の回生エネルギーを蓄電するための二次電池61が接続されている。
トラクションインバータ62は、例えば、6個のパワートランジスタにより構成される3相ブリッジ回路を備えており、燃料電池スタック20又は二次電池61から供給される直流電力をパワートランジスタのスイッチング動作によって交流電力(三相交流)に変換し、トラクションモータ63に供給する。
二次電池61は、電力の蓄電及び放電が可能な蓄電装置であり、ブレーキ回生時の回生エネルギー貯蔵源、燃料電池車両の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネルギーバッファとして機能する。二次電池61としては、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池等が好適である。尚、二次電池61に替えて、キャパシタ(電気二重層コンデンサ、電解コンデンサ)などの蓄電装置をDC/DCコンバータ60に接続してもよい。
DC/DCコンバータ60は、燃料電池車両がトラクションモータ63により力行走行するときには二次電池61の出力電圧を昇圧してトラクションインバータ62に直流電力を供給する一方、燃料電池車両がトラクションモータ63により回生制動するときには回生した直流電圧を降圧して二次電池61を充電する。DC/DCコンバータ60は、燃料電池スタック20の余剰発電力を蓄電するために燃料電池スタック20の出力電圧を降圧して二次電池61を充電する機能も有する。
コントローラ50は、中央処理装置(CPU)、記憶装置(ROM,RAM)、入出力インタフェースなどを備える制御ユニット(ECU)である。コントローラ50は、メモリ51に格納された各種制御プログラムやデータ(例えば、劣化マップデータ71、劣化量積算値72など)に基づいて燃料電池システム10を制御する(劣化マップデータ71、及び劣化量積算値72の詳細については後述する。)。メモリ51は、EEPROM等の不揮発性メモリ、又は電源バックアップされた揮発性メモリ等から成る記憶手段である。
例えば、コントローラ50は、アクセル開度や車速などを基にシステム全体の要求電力(車両走行電力と補機電力との総和)を求め、燃料電池スタック20と二次電池61の出力電力の配分を決定し、燃料電池スタック20の発電量が目標電力に一致するように燃料ガス供給装置31と酸化ガス供給装置32を制御して燃料電池スタック20への反応ガス供給量を調整するとともに、DC/DCコンバータ60を制御して二次電池61の出力電圧を調整することにより、燃料電池スタック20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)を調整する。更に、コントローラ50は、アクセル開度に応じた目標車速が得られるように例えば、スイッチング指令として、U相、V相、及びW相の各交流電圧指令値をトラクションインバータ62に出力し、トラクションモータ63の出力トルク及び回転数を制御する。
警報装置52は、燃料電池スタック20の使用寿命が残り僅かである場合に、ユーザに警告を発し、メンテナンスを促すための手段である。警報装置52としては、スピーカに警報音を出力するものや、ディスプレイに警報画面を表示したり、或いはメーターパネル内に装備された警報ランプの点灯表示により警報したりするもの等を適用できる。
ここで、システム起動時における燃料電池システム10の出力制御方法について概説する。例えば、燃料電池スタック20の平均使用期間をX年とし、一日あたりの平均起動回数をN回とすると、燃料電池スタック20の寿命が尽きるまでに予想され得る総起動回数は、365×N×X回となる。燃料電池スタック20の寿命が尽きた時点で許容される性能低下量に見合う総劣化量をΣDとすると、一回あたりの起動で許容される許容劣化量δDは、ΣD/(365×N×X)となる。これは、一回あたりの起動時に燃料電池スタック20が受ける劣化量がδD以下であるならば、例え、転極するセルが生じたとしても、想定範囲内の性能低下量で使用寿命を全うできることを意味している。そこで、一回あたりの起動時に燃料電池スタック20が受ける劣化量をδD以下に制限しつつ、許容劣化量δDの範囲内で燃料電池スタック20から引き出すことのできる最大出力電流を上限として燃料電池スタック20の出力制御を実施することで、燃料電池スタック20の受けるダメージを使用寿命の観点から許容され得る範囲内に制限しつつ、低温始動時間の短縮、始動後の出力性能の向上を実現できる。
劣化マップデータ71は、例えば、セル電圧Vと劣化量Dとの関係を示すV−Dマップデータ、セル電流Iと劣化量Dとの関係を示すI−Dマップデータ、セル温度Tと劣化量Dとの関係を示すT−Dマップデータなどから成る。尚、これら全てのマップデータは必須ではなく、例えば、何れか一つのマップデータと、当該マップデータと他のマップデータとの関係を示す数式などで代用してもよい。劣化マップデータ71は、システム起動時において、燃料電池スタック20が単位時間あたりに受ける劣化量(劣化速度)を求めるために用いられる。劣化速度を起動時間で時間積分した値が一回の起動時に燃料電池スタック20が受ける劣化量である。
劣化量積分値72は、システム起動時に燃料電池スタック20が受ける劣化量の積算値である。例えば、燃料電池システム10をM回起動し、それぞれの起動時に燃料電池スタック20が受ける劣化量をD,D,…,Dとすると、劣化量積分値72は、D+D+…+Dにより求めることができる。
次に、図2を参照しながらシステム起動時の燃料電池スタック20の出力制御方法について説明する。
コントローラ50は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられ、システム起動指示が入力されたことを検出すると(ステップ201)、電圧センサ41、電流センサ42、及び温度センサ43の出力信号を基に、セル電圧、セル電流、及びセル温度を検出する(ステップ202)。
そして、コントローラ50は、劣化マップデータ71を参照して、システム起動時のセル電圧、セル電流、及びセル温度を基にセルの劣化速度を求める(ステップ203)。一般的な傾向として、セル電流及びセル温度が一定ならば、セル電圧が大きいほど劣化速度は小さい。セル電圧及びセル温度が一定ならば、セル電流が大きいほど劣化速度は大きい。セル電圧及びセル電流が一定ならば、セル温度が大きいほど劣化速度は大きい。
コントローラ50は、劣化速度を起動時間で時間積分することにより、システム起動時に燃料電池スタック20が受ける劣化量を算出する(ステップ204)。ここで、起動時間とは、起動指示が入力されてから通常運転に至るまでに要する所要時間をいう。セル温度が最適温度範囲(例えば、固体高分子型燃料電池では、0℃〜80℃程度)に達し、セルが適度に活性化された状態(正常に発電できる状態)を以って起動処理を完了し、通常運転に移行する。
そして、コントローラ50は、ステップ204で求めた劣化量が一回あたりの許容劣化量δDを超えているか否かを判定する(ステップ205)。
ステップ204で求めた劣化量が一回あたりの許容劣化量δDを超えてない場合には(ステップ205;NO)、コントローラ50は、許容劣化量δDの範囲内でセルの転極を許容しつつ燃料電池スタック20から引き出すことのできる最大出力電流を算出する(ステップ206)。セルの活性状態が不十分な間は、コントローラ50は、この最大出力電流を上限として燃料電池スタック20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)を制御する。
そして、コントローラ50は、セル温度が所定値以上に達したか否かを判定する(ステップ207)。所定値とは、電池運転に最適な温度範囲をいう。セル温度が所定値未満の場合には(ステップ207;NO)、セルの活性状態が不十分であり、正常に発電できる状態でないので、コントローラ50は、ステップ202の処理に戻る。
セル温度が所定値以上の場合には(ステップ207;YES)、セルの活性状態は十分であり、正常に発電できる状態にあるので、コントローラ50は、ステップ212の処理に移行する。
一方、ステップ204で求めた劣化量が一回あたりの許容劣化量δDを超えている場合には(ステップ205;YES)、コントローラ50は、逆電位から回復させるための回復処理を実行する(ステップ208)。例えば、セル電圧が−0.207Vを下回ると、アノード極においてカーボンの酸化反応(C+2HO→CO+4H+4e)が生じ得る。すると、触媒を担持するカーボンが消失し、触媒部分で構成されている3相界面(カーボン(電子の通路)、高分子電解質膜(プロトンの通路)、ガス(水素ガスの通路)から成る3相界面)が消失する。これにより、アノード極における発電反応を進行させる触媒のサイト数が減少して、結果として燃料電池スタック20の性能が低下してしまう。更に、セル電圧が−0.207Vを下回ると、カソード電極においてカーボンの酸化反応による腐食が生じ、触媒同士のシンタリングが顕著になる可能性がある。このような状態を回避するため、回復処理では、例えば、反応ガスの供給圧を昇圧する、反応ガスの流量を増量する、セル電流を漸減させる、などの処理が実施される。
そして、コントローラ50は、電圧センサ41の出力値を監視し、転極したセルが逆電位から復帰したか否かを判定する(ステップ209)。
逆電位から復帰してない場合には(ステップ209;NO)、コントローラ50は、セル温度が所定値以上に達したか否かを判定する(ステップ210)。セル温度が所定値未満の場合には(ステップ210;NO)、セルの活性状態が不十分であり、正常に発電できる状態でないので、コントローラ50は、ステップ208の処理に戻り、引き続き回復処理を実行する。
セル温度が所定値以上の場合には(ステップ210;YES)、セルの活性状態は十分であり、正常に発電できる状態にあるので、コントローラ50は、ステップ212の処理に移行する。
転極したセルが逆電位から復帰した場合には(ステップ209;YES)、コントローラ50は、セル温度が所定値以上に達したか否かを判定する(ステップ211)。セル温度が所定値未満の場合には(ステップ211;NO)、セルの活性状態が不十分であり、正常に発電できる状態でないので、コントローラ50は、ステップ202の処理に戻り、引き続き起動処理を実行する。
セル温度が所定値以上の場合には(ステップ211;YES)、セルの活性状態は十分であり、正常に発電できる状態にあるので、コントローラ50は、起動処理を完了し、ステップ204で求めた劣化量を劣化積算値72に加算する(ステップ212)。
そして、コントローラ50は、劣化積算値72が所定の閾値を超えたか否かを判定する(ステップ213)。所定の閾値とは、燃料電池スタック20の使用寿命が近いことをユーザに警報する目安となる値であり、例えば、30%程度の性能低下に対応する劣化量などを用いることができる(この場合、100kWの定格出力性能を有する燃料電池スタックの出力性能が70kWに低下した時点で警報が発せられる。)。
劣化積算値72が所定の閾値を下回っている場合には(ステップ213;NO)、コントローラ50は、通常運転に移行する(ステップ214)。通常運転では、コントローラ50は、要求負荷に見合う電力が出力されるように燃料電池スタック20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)を制御する。尚、通常運転では、コントローラ50は、ステップ206で算出した最大出力電流に制限されることなく、燃料電池スタック20の出力制御を実施できる。
劣化積算値72が所定の閾値を越えている場合には(ステップ213;YES)、コントローラ50は、警報装置52を作動させ、ユーザに警報を発する(ステップ215)。これにより、ユーザは燃料電池スタック20をメンテナンスする時期を的確に把握できる。
本実施形態によれば、許容劣化量δDを超えない範囲でセルの転極を許容しつつ燃料電池スタック20から引き出すことのできる最大出力電流を上限として燃料電池スタック20の出力電圧及び出力電流を制御することで、セルの劣化しない運転範囲に制限されることなく燃料電池スタック20の出力制御を実施することが可能となり、システム起動時の性能向上を実現できる。また、劣化量積算値が所定の閾値を超えたときに警報を発することで、ユーザにメンテナンスの時期を報知することが可能となるので、保守管理に好適である。
本実施形態に係る燃料電池システムの主要構成図である。 燃料電池スタックの出力制御方法を示すフローチャートである。
符号の説明
10…燃料電池スタック 20…燃料電池 31…燃料ガス供給装置 32…酸化ガス供給装置 41…電圧センサ 42…電流センサ 43…温度センサ 50…コントローラ 51…メモリ 60…DC/DCコンバータ 61…二次電池 62…トラクションインバータ 63…トラクションモータ 71…劣化マップデータ 72…劣化量積算値

Claims (4)

  1. 燃料ガスと酸化ガスとを電気化学反応させて発電するセルを一つ以上含む燃料電池スタックと、
    前記セルが受ける劣化量を検出する劣化検出手段と、
    所定の許容劣化量を超えない範囲で前記セルの転極を許容しつつ前記燃料電池スタックから引き出すことのできる最大出力電流を設定する出力設定手段と、
    前記燃料電池スタック起動時に前記出力設定手段により設定された前記最大出力電流を上限として前記燃料電池スタックの出力電圧及び出力電流を制御する制御手段と、
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池スタックを起動するときの前記セルの劣化量を積算した劣化量積算値を記憶する記憶手段を更に備える、燃料電池スタック。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システムであって、
    前記劣化量積算値が所定の閾値を超えたときに警報を発する警報装置を更に備える、燃料電池スタック。
  4. 請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の燃料電池システムであって、
    前記劣化検出手段は、前記セルの電圧、電流、及び温度に基づいて前記セルの劣化量を検出する、燃料電池スタック。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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