JP2008020215A - 急性冠症候群およびその病態の検査方法並びに検査薬 - Google Patents

急性冠症候群およびその病態の検査方法並びに検査薬 Download PDF

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Abstract

【課題】急性冠症候群およびその病態の検査方法並びに検査薬を提供すること。特に、急性冠症候群の発症の予知および予測を可能とする検査方法並びに検査薬を提供することにより、急性冠症候群の発症の予防に有用な情報を提供すること。
【解決手段】血液検体中のPrevotella intermediaに対する抗体の量を測定することを特徴とする急性冠症候群およびその病態の検査方法。また、Prevotella intermediaに対する抗体と抗原抗体反応する物質を含む、急性冠症候群およびその病態の検査薬。
【選択図】なし

Description

本発明は、急性冠症候群およびその病態の検査方法並びに検査薬に関するものである。
急性冠症候群(以下ACS(Acute Cornary Syndrome))は、心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を供給している冠動脈にできた動脈硬化性の粥腫(コレステロールエステルを大量に含んだ脂質の塊で、プラークとも言う。)の突然の破裂により血栓が形成され、冠動脈の血流が減少あるいは途絶して起こる。ACSという呼び名は独立した疾患名ではなく、臨床的には不安定狭心症、急性心筋梗塞、心臓突然死などを指す。
急性冠症候群の致死率は35〜50%におよび、その大半は発症後1〜2時間以内に集中する究明の困難な疾患であり、発症防止も難しいことが知られている。
国内における心疾患の患者数は約167万人であり、癌に次いで2番目の年間約15万人が心疾患により死亡している。また、高血圧性疾患および虚血性心疾患の年間医療費は、平成10年度において、それぞれ2兆267億円と7,458億円であり、合計で2兆7,725億円(全医療費の約12%)と膨大な医療費が必要となっている。また、脳血管疾患の平成10年度の年間医療費は、1兆9,752億円であり、3者を併せた平成10年度の年間医療費は、4兆7,477億円(全医療費の約20%)を占めている。また、高齢化により、今後はさらに患者数が増加する傾向にある。
従来、狭心症や心筋梗塞などの疾患は冠動脈の粥腫による硬化(粥状硬化)を基盤として発生し、粥腫の増大につれ冠動脈内腔が徐々に狭められ、内腔が75%以上狭窄すると労作性の狭心症が起こるとされてきた。さらに粥腫が増大し、冠動脈内腔がほぼ閉塞したとき初めて、不安定狭心症や急性心筋梗塞が発症すると考えられてきた。しかし最近になって、動脈硬化の進行により冠動脈内腔が徐々に狭窄して、不安定狭心症や急性心筋梗塞などを発症させるのではないことが判明した。冠動脈の狭窄度が75%未満の病変でも、さらには冠動脈造影で軽度の狭窄しかないと判定された部位でも、粥腫が破れ、血栓による閉塞が起こり、その結果ACSが発症することがあった。
その理由は血管のリモデリングという変幻自在な形状変化にある。粥腫は血管の内側の膜(内膜)の中に蓄積するが、粥腫ができると血管は血流を維持しようとして粥腫を血管の外側に押しやり、血管自体が外方に拡大することで血管内腔を狭窄から守ろうとする。その結果、血管内腔は狭窄せずに、血管を外方に引き伸ばすような形状で粥腫が溜まりこむことがあることが分かった。この血管の形状変化をリモデリングといい、リモデリングの結果、診断のゴールデンスタンダードとされる冠動脈造影をしたときに、かりに粥腫があっても検査上正常冠動脈か、軽度狭窄の冠動脈と判定されてしまうことがある。冠動脈造影は血液が流れる部分を造影剤に置き換えて撮影するため、血液の流れが正常であれば、「狭窄度なし」と判定されてしまい、リモデリングの起こった血管に対して正確な判定は難しく、冠動脈造影で正常あるいは軽度の狭窄病変と判定されてもACSが発症してしまうこともある。
冠動脈疾患についての、一般的な診断や検査は、身体所見としてi)全身状態、ii)血圧、iii)呼吸・体温、iv)心臓の所見などがあり、血清学的検査として、H-FABP、ミオグロビン、Myosin Light Chain(MLC)、Cardiac Troponin I(cTnI)、Cardiac Troponin T(cTnT)、MB−CK、などがある。また、心電図検査、胸部X線検査、心エコー図検査、X線CT検査や核医学的検査などがある。
しかしながら、ACSの予知的な検査方法はないのが実状である。
一方、歯周病は、歯肉(歯ぐき)、歯根膜、歯槽骨(あごの骨)など、歯を支えている歯周組織の病気であり、歯周病は細菌によって引き起こされる感染症である。近年、動脈硬化や心筋梗塞等との関連性が報告されている。
歯周病は、まず歯肉が炎症を起こす歯肉炎から始まる。歯肉に炎症が起きて腫れると、歯と歯肉との間の溝(歯肉溝)が深くなり、歯周ポケットが形成される。歯周ポケットには歯垢がたまりやすく、かつ取り除きにくく、また、歯周ポケットの奥には酸素が届きにくいので、酸素を嫌う性質を持つ歯周病菌が繁殖しやすくなる。
歯肉炎を放っておくと炎症がセメント質や歯根膜まで広がり、歯周炎と呼ばれる段階になる。さらに進行すると炎症は歯槽骨にまで達し、骨が溶けていき、そして、ついには土台を失った歯が抜け落ちてしまう。
歯周病の主な原因菌として、Actinobacilus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Bacteroides forsythus、Treponema denticolaなどが報告されている。
また、近年、ある種のヒトの感染症と動脈硬化症との関連性についての報告がある。一つの可能性のある機序は、感染因子により血管内皮細胞の障害が惹起され、動脈硬化で見られる炎症性反応を部分的に引き起こすというものである。感染症の役割に関しては、Daneshらにより概説されており(非特許文献1参照)、Chlamydia pneumoniae、Helicobacter pylori、歯周病原性細菌、サイトメガウィルスなどの感染が心疾患に関係しているという報告がある。
歯周病を含めた口腔感染症が冠動脈疾患と関連性があるという調査研究がある。Mattilaらは心筋梗塞患者100人を対照者102人と比較評価を行っている(非特許文献2参照)。彼らは、う蝕、歯周炎、根尖病巣、歯冠周囲炎の程度を評価する総合歯科指数(total dental index:TDI)と、根尖病巣、垂直骨欠損、根分岐部病変の程度を評価するパントモグラフィック指数を用いて口腔健康状態を評価した。そして、年齢、社会階級、喫煙、血中脂質、糖尿病などについて統計的に補正した後、心筋梗塞患者は対照者と比較して口腔の健康状態が悪いことを報告した。
また、Mattilaらは、重度並びに軽度の心血管系疾患を持った214人(男性182人、女性32人)の被験者について7年間にわたる追跡調査を行い、口腔健康状態の評価としてTDIを測定した(非特許文献3参照)。彼らは、喫煙、糖尿病、高血圧、社会経済的状態、心筋梗塞の既往歴、体重、血中脂質などに関して統計的に補正した後、TDIを用いることによって、統計的に有意に冠動脈疾患の発症を予測できることを報告した。
上記のように、歯周病と心血管系疾患との関連性については、多くの横断的研究、ケースコントロールの研究、縦断的研究などの疫学調査から得られた所見により立証されている。
歯周病がアテローム(粥腫)形成に直接的に影響を及ぼしている可能性を示唆する知見としては、頚動脈、冠状動脈内のアテローム中にPorphyromonas gingivalisが発見されたこと、in vitroでP. gingivalisが血管内皮細胞の細胞内へ侵入することが確認され、その中で増殖している可能性が示唆されたこと、P. gingivalisが血小板凝集能を持つこと、などの報告がある(非特許文献4〜6参照)。
しかしながら、Prevotella intermediaに関しては、アテローム形成に関与するとする報告はない。
また、歯周病と冠動脈疾患との関連性は強く示唆されるものの、そのリスク因子としての有用性に関する報告もない。
急性冠症候群(ACS)およびその病態の検査方法としては、胸痛などの自覚症状の他、身体所見、血清学的検査、血管造影などの理学的検査方法が知られているが、確立した臨床学的指標は見出されていなかった。このため、ACSおよびその病態や、近い将来の病態の変化や臨床症状の変化を把握・予知することができる臨床化学的指標およびその検査方法並びに検査薬が求められていた。
本発明は、急性冠症候群およびその病態の検査方法並びに検査薬を提供することを目的とする。特に、急性冠症候群の発症の予知および予測を可能とする検査方法並びに検査薬を提供することにより、急性冠症候群の発症の予防に有用な情報を提供すること目的とする。
本発明の上記課題は、血液検体中のPrevotella intermediaに対する抗体価を測定することにより、達成された。詳細には、以下の<1>および<4>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>および<3>と共に以下に記載する。
<1> 血液検体中のPrevotella intermediaに対する抗体の量を測定することを特徴とする急性冠症候群およびその病態の検査方法、
<2> 前記抗体がIgG抗体である<1>に記載の検査方法、
<3> 前記抗体がImmunogulobulins(IgG抗体、IgA抗体およびIgM抗体)である<1>に記載の検査方法、
<4> Prevotella intermediaに対する抗体と抗原抗体反応する物質を含む、急性冠症候群およびその病態の検査薬。
本発明によれば、急性冠症候群およびその病態の検査方法および検査薬を提供することができる。特に、急性冠症候群の発症の予知および予測を可能とする検査方法および検査薬を提供することにより、急性冠症候群の発症予防を可能とすることが期待される。
本発明の急性冠症候群およびその病態の検査方法は、血液検体中のPrevotella intermediaに対する抗体の量を測定することを特徴とする。
また、本発明の急性冠症候群およびその病態の検査薬は、Prevotella intermediaに対する抗体と抗原抗体反応する物質を含むことを特徴とする。
本発明において、被験者より採取する血液検体は、全血、血漿、血清のいずれであっても良いが、血清を使用することが好ましい。血漿を使用する場合には、抗凝固剤としてEDTAやクエン酸ナトリウムなどを使用することができる。
また、採血後は氷冷下におき、血漿あるいは血清を得る場合、冷却下で遠心分離を行うことが好ましい。
本発明において、急性冠症候群およびその病態を検査するとは、自覚症状や理学的検査方法等による検査成績がない場合においても、所望の精度で被験者が不安定狭心症、心筋梗塞等の急性冠症候群に羅患していることが分かることを指し、また、近い将来の病態の変化(重症化または回復)、臨床症状の変化(例えば不安定狭心症または心筋梗塞の発症など)を把握、または予知することができることをいう。
すなわち、本発明の急性冠症候群およびその病態の検査方法とは、急性冠症候群の発症を検査する方法に限られず、さらに急性冠症候群の予知診断を行うための検査方法である。特に、本発明の検査方法は、急性冠症候群の予知検査方法として好ましく使用できる。
急性冠症候群およびその病態の検査は、血液検体中のPrevotella intermediaに対する抗体の存在量について、一定の基準を設定し、測定した血液検体中の値を基準と比較、評価することで実施できる。
測定する抗Prevotella intermedia抗体は、IgG抗体でも良く、またImmunogloblins(IgS)でも良い。ここで、Immunogloblins(IgS)とは、IgG、IgAおよびIgM抗体を合わせた免疫グロブリンを意味する。
すなわち、本発明において、Prevotella intermediaに対するIgG抗体の存在量を測定することも可能であり、Prevotella intermediaに対するIgG抗体、IgA抗体およびIgM抗体の総量を測定することもできる。
基準の設定の仕方としては、臨床検査の分野でよく使用される95パーセントタイル値や、ROC曲線を用いて所望の検査精度から設定する方法などを挙げることができる。
また、前記の評価は、血液検体中のPrevotella intermediaに対する抗体の存在量の測定値単独で行う方法の他に、抗体存在量の測定値と、それ以外の指標、例えば公知の血液マーカーや、急性冠症候群の危険因子である高脂血症、高血圧症、虚血性心疾患既往歴の有無、急性冠症候群の既往歴の有無等の他のマーカーや、因子と関連付けて行う方法が例示できる。
これらの他の因子と関連づけて評価を行うことにより、より精度の高い検査方法となるため好ましい。
Prevotella intermediaに対する抗体の測定には、Prevotella intermediaに対する抗体と抗原抗体反応する物質が使用される。このような物質としてはPrevotella intermediaの菌体をそのままマイクロプレート等の支持体等に固定して使用することもできるし、Prevotella intermediaに特異的なタンパク質および/またはアミノ酸配列を有するペプチド等を抗原として使用することもできるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、測定方法は、公知の測定方法を使用すればよく、特に限定されない。Prevotella intermediaに対する抗体との抗原抗体反応を利用した測定方法としては、標識として赤血球、ラテックス、放射性同位元素、酵素、発光物質、蛍光物質、金属分子、金属ゲル、バクテリオファージなどを用いる標識免疫測定法を挙げることができる。
また、具体的には、以下の方法が例示できる。Prevotella intermediaの菌体を支持体上に固定し、これに血液検体として被験者血清を反応させた後、支持体上をリンスする。酵素等で標識された抗ヒトIgG抗体または抗ヒトIgS抗体と反応させ、リンスする。そして、酵素基質等を用いて発色させ、Prevotella intermediaに対する抗体の量を数値化することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(Privotella intermedia菌の培養)
Privotella intermedia菌ATCC25611株を、GAM寒天培地にて、嫌気培養し、寒天培地からPrevotella intermedia菌(以下、「Pi菌」と略す。)を釣菌し、PBSに懸濁した。
(標準液の作製)
下記に示す方法にてヒト血清40例を測定し、抗Pi抗体価の高い血清10例を混合し、38%硫安塩析した。pH7.0の緩衝液にて透析した後、Protein−Gカラムに、展開した。
pH2.7、0.1M グリシン−塩酸緩衝液にて、Protein−Gカラムに結合したIgG画分を溶出し、1M Tris−塩酸緩衝液を加えて、pHを7.0とし、標準液原液を得た。
(血液検体中の抗Prevotella interedia抗体価の測定)
PBSに懸濁したPi菌を、PBSにて希釈し、吸収波長600nmにて吸光度を0.6に調整した(Pi菌原液)。Pi菌原液を、PBSにて101倍希釈し、マイクロプレートの各wellに、100μLずつ分注した。
このマイクロプレートをシールした後、4℃にて一晩静置した。
一晩静置したマイクロプレートの各wellをPBSにて3回洗浄した後、2%BSA、5%ショ糖および0.1%アジ化ナトリウムを含むPBS(ブロッキング液)を、各wellに350μLずつ分注した。マイクロプレートをシールした後、37℃で4時間静置した後、密封できるアルミ袋に入れて密封し、4℃にて保存した(Pi菌結合プレート)。
標準液原液を、1%BSA、0.1%アジ化ナトリウム、5mM EDTA−Na2、5mM 塩化マグネシウムを含むpH7.0の0.1Mリン酸緩衝液(以下、「検体希釈液」と略す)にて適宜希釈し、標準曲線用標準液とした。
標準曲線用標準液および患者血清を、検体希釈液を用いて420倍希釈し、それぞれを、Pi菌結合プレートの各wellに100μLずつ加えた。マイクロプレートをシールした後、室温にて1時間、静置した。
0.05%tween−20を含むPBS(洗浄液)にて、マイクロプレートの各wellを6回洗浄した後、ぺルオキシダーザ標識抗ヒトIgG抗体あるいは、ぺルオキシダーザ標識抗ヒトImmunoglobulins(IgS)抗体を、各wellに、100μLずつ加えた。その後マイクロプレートをシールした後、室温にて1時間、静置した。洗浄液にて、マイクロプレートの各wellを8回洗浄し、酵素基質液として3,3‘,5,5’テトラメチルベンチジン塩酸塩を、各wellに100μLずつ加えた。マイクロプレートをシールした後、室温にて30分間、静置した。2N(規定)硫酸溶液を、各wellに100μLずつ加えた後、マイクロプレートリーダーを用いて、主波長450nm、副波長650nmにて、各wellの吸光度を測定した。
標準曲線用標準液の、抗Pi菌抗体価を横軸に、それぞれの吸光度を縦軸にプロットし、各プロットを滑らかに結んで、標準曲線を作成した。作成した標準曲線を用いて、各被験者血清の吸光度から、各被験者血清中の抗Pi菌・IgG抗体価および抗Pi菌・IgS抗体価を算出した。
(被験者血清の取得)
熊本大学医学部付属病院循環器科を受診した患者より、同意書を取得した後、各患者より血液を採取し、血清を得た(患者血清)(178名)。また、東亞合成(株)にて健康診断を受診し、異状の認められなかった従業員より血液を採血し、得られた血清を健常人血清として使用した(51名)。
(測定結果と解析結果)
<血液検体中抗Pi菌・IgG抗体価>
患者および健常人に関し、高脂血症(HL)の有無、高血圧の有無、虚血性心疾患(IHD)既往歴の有無、ACS既往歴の有無および、ACSの有無に関し血液検体中抗Pi菌・IgG抗体価の比較を行い、t検定およびF検定を行った。それぞれの結果を、表1から表10に示した。
なお、評価項目により被験者数に変動があるのは、その他のマーカー(高脂血症の有無等)についていずれの群に入れるかについて疑義のある被験者を除いたためである。
〔高脂血症(HL)と抗Pi菌・IgG抗体価〕
健常群、患者で高脂血症(HL)なし群および患者で高脂血症あり群の抗Pi菌・IgG抗体価と、その検定結果を表1および表2に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
〔高血圧と抗Pi菌・IgG抗体価〕
健常群、患者で高血圧でない群および患者で高血圧群の抗Pi菌・IgG抗体価と、その検定結果を表3および表4に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
〔虚血性心疾患(IHD)既往歴と抗Pi菌・IgG抗体価〕
健常群、患者で虚血性心疾患(Ischemic Heart Disease:IHD)既往歴なし群および患者で虚血性心疾患(IHD)既往歴あり群の抗Pi菌・IgG抗体価と、その検定結果を表5および表6に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
〔ACS既往歴と抗Pi菌・IgG抗体価〕
健常群、患者でACS既往歴なし群および患者でACS既往歴あり群の抗Pi菌・IgG抗体価と、その検定結果を表7および表8に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
〔ACSと抗Pi菌・IgG抗体価〕
健常群、患者でACSでない群および患者でACS群の抗Pi菌・IgG抗体価と、その検定結果を表9および表10に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
HLの有無、高血圧の有無での各群で比較した場合、いずれの群間においても有意差は認められなかった。
IHD既往歴の有無での各群を比較した場合、IHDの既往歴なし群とIHD既往歴あり群において、t検定でのp値が0.0686、健常群とIHD既往歴あり群において、t検定でのp値が0.0973となり、いずれの場合においても、IHD既往歴あり群が高値となる傾向が示唆された。
ACS既往歴の有無での各群を比較した場合、ACSの既往歴なし群とACS既往歴あり群において、t検定でのp値が0.0387で、危険率5%で有意差が認められた。また、健常群とACS既往歴あり群において、t検定でのp値が0.0617となり、健常群に比べ、ACS既往歴あり群が高値となる傾向が示唆された。
ACSの有無での各群を比較した場合、ACSなし群とACSあり群におけるt検定でのp値が0.0003で、健常群とACSあり群におけるt検定でのp値が0.0057となり、いずれの場合においても、危険率1%未満で有意差が認められた。
上記の結果から、脂肪の血管への沈着(高脂血症)、これに伴う高血圧、虚血性心疾患という動脈硬化性疾患への一連の進展の過程と照らし合わせると、動脈硬化性疾患の進展に伴って、抗Pi・IgG抗体価が上昇する傾向が認められた。
また、冠動脈狭窄率の検査を行った139例について、冠動脈狭窄率が50%以上ある群と50%未満であった群における血液検体中抗Pi菌・IgG抗体価の比較を表11に示した。t検定を行ったところ、p値は0.0470となり、5%未満の危険率で有意な差が確認された。つまり、動脈硬化進展に伴う冠動脈の狭窄と抗Pi菌・IgG抗体価は強い関連性があることが示された。
Figure 2008020215
<血液検体中抗Pi菌・IgS抗体価>
患者および健常人に関し、高脂血症(HL)の有無、高血圧の有無、虚血性心疾患(IHD)既往歴の有無、ACS既往歴の有無および、ACSの有無に関し血液検体中抗Pi菌・IgG抗体価の比較を行い、t検定およびF検定を行った。それぞれの結果を、表12から表21および図7から図12に示した。
〔高脂血症(HL)と抗Pi菌・IgS抗体価〕
健常群、患者で高脂血症(HL)なし群および患者で高脂血症あり群の抗Pi菌・IgS抗体価と、その検定結果を表12および表13に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
〔高血圧と抗Pi菌・IgS抗体価〕
健常群、患者で高血圧でない群および患者で高血圧群の抗Pi菌・IgS抗体価と、その検定結果を表14および表15に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
〔虚血性心疾患(IHD)既往歴と抗Pi菌・IgS抗体価〕
健常群、患者で虚血性心疾患(Ischemic Heart Disease:IHD)既往歴なし群および患者で虚血性心疾患(IHD)既往歴あり群の抗Pi菌・IgS抗体価と、その検定結果を表16および表17に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
〔ACS既往歴と抗Pi菌・IgS抗体価〕
健常群、患者でACS既往歴なし群および患者でACS既往歴あり群の抗Pi菌・IgS抗体価と、その検定結果を表18および表19に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
〔ACSと抗Pi菌・IgS抗体価〕
健常群、患者でACSでない群および患者でACS群の抗Pi菌・IgS抗体価と、その検定結果を表19および表20に示す。
Figure 2008020215
Figure 2008020215
高脂血症(HL)の有無での各群の比較においては、有意差は認められなかった。
高血圧の有無および虚血性心疾患(IHD)既往歴の有無について各群で比較した場合、いずれの群間においても有意差は認められなかったが、それぞれの症状について、なし群とあり群におけるt検定におけるp値は、0.066および0.079であり、高脂血症、虚血性心疾患(IHD)あり群がなし群に比べ抗体価が高値である傾向が示された。
ACS既往歴の有無での各群を比較した場合、ACSの既往歴なし群とACS既往歴あり群において、t検定でのp値が0.016で、危険率5%で有意差が認められた。また、健常群とACS既往歴あり群において、t検定でのp値は、0.076となり、健常群に比べACS既往歴あり群が高値となる傾向が認められた。
さらに、ACSの有無での各群を比較した場合、ACSなし群とACSあり群におけるt検定でのp値が0.0003であり、また、健常群とACSあり群におけるt検定でのp値が0.0077となり、いずれの場合においても、危険率1%未満で有意差が認められた。すなわち、ACSと血液検体中の抗Pi菌・IgS抗体価には強い相関が認められ、ACSの検査方法として抗Pi菌・IgS抗体価を測定することがACSの検査方法として有用であることが明らかとなった。
脂肪の血管への沈着(高脂血症)、これに伴う高血圧、虚血性心疾患という動脈硬化性疾患への一連の進展の過程と照らし合わせると、動脈硬化性疾患の進展に伴って、抗Pi・IgS抗体価が上昇する傾向が認められた。
また、冠動脈狭窄率の検査を行った139例について、冠動脈狭窄率が50%以上ある群と50%未満であった群における血液検体中抗Pi菌・IgS抗体価の比較を表21に示した。t検定を行ったところ、0.0615となり、有意差は見出せなかったが、冠動脈内狭窄率が50%以上の群は、50%未満の群に比較して高値となる傾向が確認された。つまり、動脈硬化進展に伴う冠動脈の狭窄と抗Pi菌・IgS抗体価は強い関連性が示唆された。
Figure 2008020215
これらのことから、血液検体中の抗Pi菌抗体価として、IgG抗体およびIgS抗体の測定は、急性冠症候群(ACS)の予知に有効であることが判明した。
本発明によれば、血液検体中の抗Pi菌・IgG抗体、あるいは抗Pi菌・IgS抗体を測定することにより、急性冠症候群(ACS)の発症を予測することが可能であり、本発明は、臨床診断や治療法を決定するための検査方法として有用なものである。

Claims (4)

  1. 血液検体中のPrevotella intermediaに対する抗体の量を測定することを特徴とする急性冠症候群およびその病態の検査方法。
  2. 前記抗体がIgG抗体である請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記抗体がImmunogulobulins(IgG抗体、IgA抗体およびIgM抗体)である請求項1に記載の検査方法。
  4. Prevotella intermediaに対する抗体と抗原抗体反応する物質を含む、急性冠症候群およびその病態の検査薬。
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