JP2008016722A - 固体撮像装置及びデジタルカメラ - Google Patents

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Abstract

【課題】超微細画素においても形成でき、しかも、高感度を実現できる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】固体撮像装置の各画素13は、表面の受光領域18から入射した光を電荷に変換する光電変換部21を有する複数の受光セル14と、受光セル14の受光領域18に形成された光透過部材16とから構成される。各受光セル14は、N型不純物が添加されたシリコンからなる基板15を基礎として、光電変換層17、絶縁層23、金属層25及びフィルタ層33を備える。光透過部材16は、第1の平坦層16aと第2の平坦層16bとからなる2層構成になっている。第2の平坦層16bの横断面における面積(平面視での面積)は、第1の平坦層16aの横断面における面積よりも小さく、第2の平坦層16bが第1の平坦層16aの上面に積層された構成となるように受光セル14の受光領域18に形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、デジタルカメラ等に使用される固体撮像装置及び当該固体撮像装置を利用したデジタルカメラに関する。
図17は、従来の固体撮像装置における1画素に相当する部分の断面図である。
各画素913は、表面が受光領域918である受光セル914と、受光セル914の受光領域918の全面を覆うように形成されたマイクロレンズ916とから構成される。
受光セル914は、N型不純物が添加されたシリコンからなる基板915の上に、光電変換層917、絶縁層923、金属層925及びフィルタ層933を備える。
光電変換層917は、受光セル914に入射した光を電荷に変換する光電変換部921を有する。この光電変換層917は、基板915の一部にP型不純物をイオン注入してP型ウェル919を形成した上で、当該P型ウェル919の一部にN型不純物をイオン注入し、N型領域である光電変換部921を形成した層である。
絶縁層923は、光電変換層917と金属層925とを絶縁するために設けられ、受光セル914の平坦化のために形成された二酸化珪素927の層である。金属層925は、光電変換部921で変換された電荷を信号として取り出すための配線などを備え、例えば、CVD法などにより形成されている層である。なお、CVD法を利用して遮光膜929も形成され、遮光膜929の開口部931にCVD法などにより、受光セル914の平坦化のための二酸化珪素934が形成されている。
フィルタ層933は、入射光を、例えば、RGBに色分離する、顔料からなるフィルタ膜935と、受光セル914の表面を平坦化するための二酸化珪素937とを有する層である。なお、平坦化のために形成された二酸化珪素937の表面が、受光セル914の表面であって受光領域918に相当する。
入射光939は、受光セル914の上方からマイクロレンズ916に入射し当該マイクロレンズ916より集光されて、フィルタ膜935、開口部931を経て光電変換部921に到達する。
マイクロレンズ916は、図17に示すように円弧面(実際は球面である。)を有し、当該円弧面の曲率等はマイクロレンズ916に入射した光が光電変換部921で集中するように設計されている。
なお、マイクロレンズとして、例えば、同心円状に異なる屈折率をもつ複数の層からなり、中心部が最も屈折率が高く、周辺部になるにつれて順に屈折率が減少するように構成されたもの(例えば、特許文献1)や、厚さ分布型レンズと、ドーピングによって連続的に屈折率分布を持たせた分布屈折率型レンズとで構成したもの(例えば、特許文献2)等がある。
特開2000−39503号公報 特開平5−251673号公報
固体撮像装置については、従来から高解像度化や高感度化が進められ、さらに、画素の小型化が要望されている。しかしながら、マイクロレンズ916は、通常、リフロ成形により自己組織化を利用して形成しているため、マイクロメートルオーダーでの球面形状の形成が非常に困難になる。
また、発明者等が集光率についてシミュレーションを用いて検討した結果(解析モデル等は後述する。)、1画素を平面視した(受光セルの表面と直交する方向から見た)際の受光セル914のサイズが1.4(μm)×1.4(μm)の正方形状よりも小さくなると、マイクロレンズ916の曲面形状を光学的に理想の形状(実際のマイクロレンズの成形においては不可能である。)とした解析モデルで解析しても、固体撮像装置における光の集光率が約53%程度に低下することが分かった。
そこで、本発明は、超微細画素において精度良く形成でき、しかも、高感度を実現できる固体撮像装置及びデジタルカメラを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る固体撮像装置は、複数の受光セルの各表面に光透過部材を備え、前記光透過部材は、受光セル表面の受光領域よりも小さい面積の平坦層が1段以上載置された構成をしていることを特徴とする。
上記構造とすることで、1以上の層を積層した構成からなる屈折率分布によって、光の回折効果が生じ、結果的に受光領域で受光した光を集光させることが可能となる。特に、微細画素においては、従来のマイクロレンズと同等程度またはそれ以上の集光率を得ることが可能となる。
さらに、光透過部材は、例えば、半導体プロセスにより形成することができるので、微細画素になっても、マイクロレンズを形成する場合に比べて精度良く形成できる。
前記受光領域は、平面視において、一辺が2.1(μm)の正四角形の領域内に入る大きさであり、前記複数の受光セルは、等間隔で配列されていることを特徴とし、また、前記光透過部材は、前記平坦層を複数積層した形状をし、各平坦層における積層方向と直交する断面の面積は、上層になるに従って小さくなることを特徴としている。
一方、前記複数の平坦層は2層あり、下層の平坦層における積層方向と直交する断面の面積は、一辺が1.2(μm)の正方形の面積よりも小さく、上層の平坦層における積層方向と直交する断面の面積は、一辺1.0(μm)の正方形の面積よりも小さいことを特徴とし、或いは、複数に積層された各平坦層の厚みが略等しいことを特徴としている。
さらに、平坦層は、一定の屈折率を示す材料から構成され、前記各平坦層の屈折率が2種類以上あることを特徴とし、或いは、前記複数の受光セルは、所定色の光のみを透過させるフィルタ膜を複数種類備えると共に、各受光セルは、複数種類の内の1種類のフィルタ膜を備え、各光透過部材の厚みは、フィルタ膜の種類に対応して異なることを特徴としている。
また、前記複数の受光セルの平坦層の軸心は、入射光方向に偏心していることを特徴とし、或いは、前記複数の受光セルが2次元状に配され、2次元状に配されている受光セルの内、略中央に位置する受光セルから離れた位置にある受光セルにおける平坦層の重心は、前記受光領域の中心位置から前記中央に位置する受光セルに近づく側にずれていることを特徴としている。
本発明に係る固体撮像装置は、光透過部材が受光領域より小さい面積の平坦層を1層積層した構造とすることで、回折効果を用いて入射光の集光を実現できる。さらに、光透過部材を、例えば、半導体プロセスにより形成すると、微細画素になっても、例えば、マイクロレンズよりも精度の高いものが得られる。
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
1.カメラシステムの構成
図1は、本発明に係るカメラシステムの構成を示す図である。
このカメラシステム1は、固体撮像装置3、垂直走査回路5、水平走査回路7、出力アンプ9、駆動回路11等を備える。
固体撮像装置3は、後述するが、MOS型のイメージセンサであり、複数の画素13を二次元状(行列状)、例えば、4行5列に配列してなる。各画素13は、受光量に相当する信号(電荷)を出力する。なお、言うまでもなく、画素13の二次元状の配列、さらには、4行5列の配列は一例である。
垂直走査回路5は、固体撮像装置3の各画素13を行毎に順次アクティブ状態とし、アクティブ状態となった1行分の画素13の信号を一斉に水平走査回路7に転送する。
水平走査回路7は、転送されてきた1行分の画素13の信号を順次出力アンプ9に出力する。出力アンプ9は、画素13の信号を増幅する。なお、駆動回路11は、垂直走査回路5、水平走査回路7、出力アンプ9を駆動動作させる。
2.画像撮像装置の構成
図2の(a)は、固体撮像装置における1画素の断面図であり、(b)は、固体撮像装置における1画素の平面図である。
固体撮像装置3の各画素13は、表面が受光領域18となった受光セル14と、受光セル14の受光領域18に形成された光透過部材16とから構成される。
各受光セル14は、基板15、光電変換層17、絶縁層23、金属層25及びフィルタ層33をこの順で備える。
基板15は、例えば、N型不純物が添加されたシリコンからなる。光電変換層17は、受光セル14に入射した光を電荷に変換するためのもので、光電変換部21を有する。光電変換層17は、基板15の一部にP型不純物をイオン注入してP型ウェル19を形成した上で、P型ウェル19の一部にN型不純物をイオン注入し、N型領域である光電変換部21を形成した層である。
絶縁層23は、光電変換層17と金属層25とを分離するため、そして受光セル14の受光領域18を最終的に平坦化し、配線を容易にするために設けられている。具体的には、当該絶縁層23はCVD法などにより形成された二酸化珪素27の層からなる。
金属層25は、垂直走査回路5からの配線や、光電変換部21に到達した光から変換された電荷である信号を水平走査回路7に転送する配線などが、例えば、CVD法などにより形成されている層であり、さらに、CVD法を利用して遮光膜29も形成されている。
なお、遮光膜29間の開口部31には、例えば、CVD法により、受光セル14の表面を最終的に平坦化するための二酸化珪素34が形成されている。また、垂直走査回路5等からの配線の図示は省略する。
フィルタ層33は、入射光を所定の光色、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)に色分離するフィルタ膜35と、受光セル14の受光領域18を平坦にするために形成された二酸化珪素37と有する層である。なお、受光セル14は、1つのフィルタ膜35を有し、また、前記フィルタ膜35は、R,G,B用の3種類ある。当該フィルタ膜35は、例えば、顔料から構成される。
入射光39は、受光セル14の受光領域18の上方から光透過部材16、フィルタ膜35、開口部31等を経て光電変換部21に到達する。
発明の特徴部分である光透過部材16は、図2の(a)に示すように、第1の平坦層16aと第2の平坦層16bとからなる2層構成になっている。つまり、光透過部材16は、第1の平坦層16aと、当該第1の平坦層16aよりも平面視において面積の小さい第2の平坦層16bとがこの順で積層された構成を有し、受光領域18に形成されている。
ここでの光透過部材16は、図2の(b)に示すように、第1の平坦層16a及び第2の平坦層16bが、平面視において、正四角形であって各角が丸くなった形状をしている。また、光透過部材16は、第1の平坦層16aの重心を通り受光セル14の受光領域18と直交する方向の仮想線分(以下、「軸心」とする。)と、第2の平坦層16bの軸心とが略一致し、且つ両平坦層16a,16bの軸心が受光領域18の略中心に位置している。
光透過部材16は、第1の平坦層16a及び第2の平坦層16bとも、同じ媒質で構成され、例えば、屈折率が1.46である二酸化珪素から構成されている。
3.製造方法
次に、本実施の形態で説明した固体撮像装置の製造工程について説明する。
固体撮像装置3は、先ず、半導体プロセスにより、複数の受光セル14を成形した後、光透過部材16を形成する。受光セル14は、従来の固体撮像装置の受光セル(914)と同じ工程で製造できるので、受光セル14の製造工程の説明は省略し、光透過部材16の製造工程について説明する。
光透過部材16の媒質として、例えば、二酸化珪素を用いると、半導体プロセスとエッチングプロセスとを利用して光透過部材16を形成することができる。つまり、光透過部材16は、所定の厚みの二酸化珪素層を成膜した後、光透過部材16の形状となるように二酸化珪素層の余分な部分をエッチングにより削除して得られる。
特に、光透過部材16が、第1の平坦層16aの上面に、この第1の平坦層16aよりも横断面(受光セルの表面と平行となる断面)の面積が小さい第2の平坦層16bを積み重ねた構成をしている場合(つまり、光透過部材16が2層の平坦層からなる場合)には、1回の二酸化珪素層の成膜工程と、2回のエッチング工程、もしくは2回の二酸化珪素層の成膜工程と、2回のエッチング工程から光透過部材16を容易に形成することができ、しかも、微細画素となっても低コストで精度良く形成することができる。
4.光強度分布について
図3は、第1の実施の形態に係る固体撮像装置と従来の固体撮像装置における光伝搬シミュレーションの結果図であり、図4は図3の結果図を基にして作成した模式図である。
また、図3の(a)と図4の(a)は、第1の実施の形態に係る固体撮像装置について、図3の(b)と図4の(b)は、従来の固体撮像装置について、それぞれ示している。
なお、シミュレーションの模式図である図3の(b)及び図4の(b)において、囲い部分は、固体撮像装置に入射した光の強度の高い部分を示している。また、第1の実施の形態に係る固体撮像装置を発明品と称し、従来技術であるマイクロレンズを用いた固体撮像装置を従来品と称する。
(1)解析モデル
発明品と従来品とは、各画素の表面に相当する部分が異なる。つまり、発明品では光透過部材を備え、従来品はマイクロレンズを備えている点で両者は異なり、受光セル部分の構成は同じである。
発明品及び従来品における解析に用いた受光セルのモデルは、1画素における受光セルのサイズが同じであり、平面視において、1.4×1.4(μm)の正方形状をしている。また、受光領域(受光セルの表面)と光電変換部21,921の受光面との距離は3.4(μm)で、光変換部の表面積は0.5×0.5(μm)の正方形状をしている。開口部の大きさは、0.6×0.6(μm)の略正方形状をしている。
次に、発明品における光透過部材16のサイズ及び形状は、第1の平坦層16aが一辺(図2の(b)における(a1+a2+a3)である。)が0.8(μm)で、厚さ(図2の(a)のd1である。)が0.15(μm)の略正四角柱であり、第2の平坦層16bが一辺(図2の(b)におけるa2である。)が0.5(μm)で、厚さ(図2の(a)のd2である。)が0.15(μm)の略正四角柱である。
一方、従来品におけるマイクロレンズのサイズ及び形状は、背景技術の欄で説明したように、半球状をしており、マイクロレンズの曲率は、マイクロレンズに入射した光が、光電変換部921で集光するように設定され、円弧面の半径が0.8(μm)で、高さが0.41(μm)である。
集光率は、図4の(a)及び図4の(b)に示す受光領域に相当する領域X1を通過した光の強さと、光電変換部21、921での光の強さの比率から算出する。
また、本解析モデルにおける入射光の波長は、緑色(G)に相当する530(nm)の光である。今後の、解析モデルにおける入射光は全て530(nm)としている。
(2)解析結果
先ず、発明品では、略光電変換部21,921で光の強度が高くなり、このときの集光率は65%である。一方の従来品では、略光電変換部で光の強度が高くなり、このときの集光率は53%である。
この結果から、本実施の形態に係る光透過部材16は、従来のマイクロレンズよりも集光特性が良いことが分かる。これは、光透過部材16が、受光セルのサイズが非常に小さくなった場合、光の回折現象により、光の進行方向を適切に制御できたからと考えられる。
なお、従来品は、マイクロレンズの球面を理想的な形状として、解析を行っており、実際にリフロ成形によって、受光セルの平面視におけるサイズが、一辺が1.4(μm)の正方形状よりも小さいマイクロレンズを形成すると、マイクロレンズの曲面の形状が理想的な形状でなくなり、集光率がさらに低下するものと考えられる。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、光透過部材16は、入射光をRGBのいずれかに色分離するフィルタ膜35の種類に関係なく、光透過部材16のサイズを一定にしていたが、フィルタ膜35の光色に対応して各光透過部材16のサイズを変えても良い。
以下、光透過部材のサイズが各フィルタ膜の種類によって異なる例として、光透過部材の厚さが異なる場合を第2の実施の形態として説明する。
図5は、第2の実施の形態に係る固体撮像装置における画素の断面図である。
第2の実施の形態に係る固体撮像装置103は、第1の実施の形態と同様に、複数の画素113B,113G,113Rからなる。各画素113B,113G,113Rは、3種類の光色、つまり、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれか一つの光色を透過させるフィルタ膜35R,35G,35Bを備え、各光透過部材116R,116G,116Bは、各フィルタ膜35R,35G,35Bに対応して、その厚さが設定されている。
つまり、光透過部材116R,116G,116Bの厚さは、フィルタ膜35R,35G,35Bを透過できる光色が、赤(R)、緑(G)、青(B)の順で、赤が最も厚くなっている。また、各光透過部材116R,116G,116Bは、第1の実施の形態と同様に、2つの平坦層116Ra,116Rb、116Ga,116Gb、116Ba,116Bbを2層に重ねた構成を有し、上下の各平坦層の厚さは略同じである。なお、第1の平坦層116Ra,116Ga,116Baの符号を「116(R,G,B)a」で、第2の平坦層116Rb,116Gb,116Bbの符号を「116(R,G,B)b」として表示する。
具体的に説明すると、フィルタ膜35Rを有する画素113Rでの光透過部材116Rの第1及び第2の平坦層116Ra,116Rbの厚さは0.22(μm)であり、フィルタ膜35Gを有する画素113Gでの光透過部材116Gの第1及び第2の平坦層116Ga,116Gbの厚さは0.19(μm)であり、フィルタ膜35Bを有する画素113Bでの光透過部材116Bの第1及び第2の平坦層116Ba,116Bbの厚さは、0.15(μm)である。
なお、光透過部材116R,116G,116Bは、第1の平坦層116(R,G,B)a及び第2の平坦層116(R,G,B)bが、平面視において、角が丸くなった略正四角形状(図2の(b)参照)をし、図5に示すように、第2の平坦層116(R,G,B)bが第1の平坦層106(R,G,B)aに積層された形状をしている。
また、第1の平坦層116(R,G,B)aの軸心と第2の平坦層116(R,G,B)bの軸心とが略一致し、且つこれらの軸心が受光領域18R,18G,18Bの略中心に位置している。
上記のように、例えば、光透過部材116Rを光透過部材116Bよりも厚く、光透過部材116Bを光透過部材116Gよりも厚くすることで、緑色光を受光する画素113G、青色光を受光する画素113B及び赤色光を受光する画素113Rにおいて焦点距離を等しくすることができ、各色光に対応する受光セル14の製造が容易になる。
なお、第1の実施の形態における光透過部材16と同じような形状とすることで、各色光に対応して、光電変換部21で光の強度の高くできる。これにより、高感度な固体撮像装置103を得ることができる。
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態の固体撮像装置3及び第2の実施の形態の固体撮像装置103は、複数の画素13,113を有し、各画素13,113の光透過部材16,116は、全画素中における画素13,113の位置に関係なく、つまり、中央に位置する画素13,113も、周縁近くに位置する画素13,113も、同じ形状の光透過部材16,116を受光セル14,14における受光領域18,18の同じ位置に備えている。
しかしながら、一般的に、固体撮像装置は複数の画素を2次元配列で構成されているため、広がり角を持つ入射光の場合、中央位置の画素と周縁位置の画素とでは入射角度が異なる。
第3の実施の形態では、画素の位置によって異なる入射角度に対応するように、光透過部材の形状を変化させたものである。
1.構成について
図6は、固体撮像装置に入射する光の概略を説明する図である。
同図に示すように、固体撮像装置203の略中心部分の画素213Yでは入射光は、固体撮像装置203の表面に対して直交する角度(法線である。)で入射するのに対して、周辺部分の画素213X,213Zでは、法線に対して20(°)以上、30(°)以下の範囲程度傾斜して入射する。
図7は、固体撮像装置における中央に位置する画素と、当該画素の両側であって周縁部付近の画素の断面図を示す図である。
第3の実施の形態における固体撮像装置213X,213Y,213Zの受光セル14は、第1及び第2の実施の形態で説明した各受光セル14と同じ構成であり、同じ符号を使用すると共に、これらの説明は省略する。
各受光セル14に形成されている光透過部材216X,216Y,216Z(以下、光透過部材の符号を、「216(X,Y,Z)」で示す。)は、第1の実施の形態と同じように、第1の平坦層216Xa,216Ya,216Za(以下、第1の平坦層の符号を、「216(X,Y,Z)a」で示す。)と、第2の平坦層216Xb,216Yb,216Zb(以下、第2の平坦層の符号を、「216(X,Y,Z)b」で示す。)との2層構造を有している。なお、各画素213X,213Y,213Zの符号も、213(X,Y,Z)で示す。
第3の実施の形態における光透過部材216(X,Y,Z)は、固体撮像装置203における画素の位置に対応して、受光領域18上に形成される位置及びその形状が異なる点で、第1の実施の形態と異なる。
つまり、図7では、光透過部材216X,216Zがある画素213X,213Zは、固体撮像装置203の中央位置からはずれており、この光透過部材216X,216Zの固体撮像装置203における位置に対応して、光透過部材216X,216Zの第1の平坦層216Xa,216Za及び第2の平坦層216Xb,216Zbの各層の形成位置が、受光領域18の中央位置から、固体撮像装置203の中心側(中央の画素213Yに近づく側)に偏っている。
具体的には、光透過部材216(X,Y,Z)は、各画素の位置に対応して、中央部に位置する画素213Yでは、光透過部材216Yの軸心が受光セル14の中心軸と略一致し、逆に、周縁周辺に位置する画素213X,213Zでは、光透過部材216X,216Zの軸心が受光セル14の中心軸から、固体撮像装置203の中央位置に近づく側(図7では画素213Y側)に偏り、第1の平坦層216Xa,216Za及び第2の平坦層216Xb,216Zbのそれぞれの軸心の位置が、中心側に近づいている。このときの第2の平坦層216Xa,216Zaの軸心の位置は、第1の平坦層216Xa,216Zaの軸心よりも固体撮像装置216の中央側(画素213Y側)に偏っている。
本第3の実施の形態では、光透過部材216X,216Zの受光セル14の中心軸に対する偏りは、光透過部材216X,216Zが形成されている画素213X,213Zが、中央位置の画素213Yから離れるに従って大きく、また、中央に位置する画素213Yを基準とする(中央に位置する画素がない場合には、中央の位置に対応する点を基準とする)点対称の関係にある2つの画素(例えば、213X,213Z)では、その偏り量は略同じである。
これによって、それぞれの光透過部材216(X,Y,Z)は、入射光の入射角度及び固体撮像装置203における画素213(X,Y,Z)の位置によって、光透過部材216(X,Y,Z)の形成位置及びその形状を最適化し、各画素213X,213Y,213Zにおける光電変換部21での集光率を高めることができる。
また、第1の実施の形態に係る固体撮像装置3の各光透過部材16は、その軸心が受光セル14の中心軸と同心上にあることから、第1の実施の形態に係る固体撮像装置3を「同心タイプ」と称し、第3の実施の形態に係る固体撮像装置203の各光透過部材216X,216Zは、画素213X,213Zの位置に対応して、その軸心が受光セル14の中心軸に対して偏心していることから、第3の実施の形態に係る固体撮像装置203を「偏心タイプ」と称する。
2.解析結果
次に、偏心タイプと同心タイプの画素に対して光の入射角が傾斜した場合に、各タイプでの集光率の違いについて、光伝搬シミュレーションにより解析した結果について説明する。
(1)解析モデル
解析に用いた固体撮像装置の画素モデルは、同心タイプの受光セル、偏心タイプの受光セルとも同構成であり、その解析モデルは、第1の実施の形態での4.光強度分布についての(1)解析モデルの欄で説明したモデルと同じである。
同心タイプと偏心タイプとの光透過部材は、第1の平坦層及び第2の平坦層とを有し、各タイプの平坦層とも略同じサイズを有している。両タイプで異なるのは、固体撮像装置における画素の位置に対応して、例えば、周縁部付近の画素では、当該画素の光透過部材216の軸心が受光セル14の中心線に対して偏心していることである。
なお、解析モデルの画素への光の入射角度は、受光セル14の受光領域18の法線に対して、10度傾斜している。
(2)解析結果
図8は、周縁に位置する画素における光伝搬シミュレーションの結果図であり、図9は、図8の結果図を基にして作成した模式図である。
なお、図9は、図4と同様に、囲い部分が固体撮像装置に入射した光の強度が強いことを示す。
先ず、同心タイプは、図8の(a)及び図9の(a)に示すように、光の強度の分布において、最も強くなる部分が、光電変換部21から外れ、横方向にズレているのが分かる。このため、光電変換部21での集光率も低く、22%であった。
一方、偏心タイプは、図8の(b)及び図9の(b)に示すように、光の強度の最も強くなる部分が、光電変換部216上に略一致しているのが分かる。このため、光電変換部21での集光率は、同心タイプよりも高く、62%となっている。
この結果から、各画素に対して光の入射角が傾斜するような場合には、第3の実施の形態に係る光透過部材216X,216Zのように、画素213X,213Zの位置、つまり画素213X,213Zへの光の入射角に対応して、光透過部材216X,216Zの形成位置及び形状を変化させることで、高感度の固体撮像装置203を得ることができる。
具体的には、光透過部材216X,216Zの軸心が受光セル14の中心軸から、固体撮像装置の中央(側)に位置する画素側にずれ、また、第1の平坦層216Xa,216Zaの上面に積層された第2の平坦層216Xb,216Zbの軸心の位置を、第1の平坦層216Xa,216Zaの軸心から固体撮像装置203の中央に近づくようにずれた(偏心した)形状とすることで、光透過部材216X,216Zに傾斜して光が入射した場合でも、光の入射時に入射方向を曲げることができ、結果的に高感度の固体撮像装置203を得ることができる。
以上、本発明を各実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記各実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例をさらに実施することができる。
1.受光セルのサイズについて
上記各実施の形態では、受光セルを平面視したときに、受光セルの形状は略正四角形状をし、その一辺が1.4(μm)である。しかしながら、本発明に係る受光セルのサイズは、受光セルを平面視したときに正方形状をしている場合、その一辺が1.4(μm)以下であれば良い。
図10は、セルサイズと集光率との関係を示す図である。
この図10は、図3で示したように、光伝搬シミュレーションによる結果であり、基本となった解析モデルは、図3で用いられたモデルと同じである。なお、図中のセルサイズは、平面視正四角形状の一辺の寸法である。
この図10から、セルサイズが約2.1(μm)より大きいと、従来のマイクロレンズを用いた方が、本発明に係る光透過部材を用いるよりも集光率が高くなっている。しかしながら、セルサイズが約2.1(μm)より小さいと、本発明に係る光透過部材を用いた方が、従来のマイクロレンズを用いるよりも集光率が高くなっているのが分かる。特に、セルサイズが1.4(μm)になると、光透過部材を用いた場合の集光率が60(%)を越え、マイクロレンズを用いた場合の集光率よりもよくなっているのが分かる。
これは、セルサイズが約2.1(μm)より小さくなると、回折現象が顕著に表れるためと考えられる。
2.光透過部材について
(1)媒質について
上記の各実施の形態では、光透過部材は、単一の媒質から構成されていたが、例えば、第1の平坦層と第2の平坦層とを別の媒質で構成しても良い。
以下、複数の媒質で光透過部材を構成した場合を変形例1として説明する。
図11は、変形例1に係る固体撮像装置における1画素の断面図である。
変形例1における固体撮像装置の一画素は、図11に示すように、第1の実施の形態等と同じように、受光セル14と、当該受光セル14の受光領域18に形成された光透過部材316とを備える。なお、受光セル14の構成等は、第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同じ符号を用い、その説明は省略する。
光透過部材316は、第1の実施の形態での光透過部材16と略同じ形状をしているが、第1の平坦層316aと第2の平坦層316bとで構成する材料の媒質が異なる点で、第1の実施の形態と異なる。
本変形例1では、第1の平坦層316a及び第2の平坦層316bは二酸化珪素で構成され、第1の平坦層316aにおける第1の屈折率が2.0で、第2の平坦層316bにおける第2の屈折率が1.46となっている。
このような光透過部材316では、両平坦層316a,316bの屈折率を上層・下層で変化させているので、両平坦層316a,316bの屈折率の差により、光電変換部21で高い集光率を得ることができる。
ここで、変形例1に係る光透過部材316bの製造方法について簡単に説明する。
まず、第1の平坦層316a用の層を、例えば、屈折率が2.0(第1の屈折率である。)の二酸化珪素で形成した後、当該層の面上に、屈折率が1.46(第2の屈折率である。)の二酸化珪素を第2の平坦層316b用の層として形成する。
そして、光透光部材316の形状になるように、上記で形成された両層についてエッチング加工すれば、変形例1に係る光透過部材316を得ることができる。この際、エッチング対象である媒質が異なるので、エッチンググレートの差を利用することができる。これにより、各平坦層316a,316bの厚みを精度良く加工でき、精度の良い光透過部材316を得ることができる。
なお、変形例1では、第1の平坦層及び第2の平坦層を二酸化珪素で構成しているが、他の材料、例えば、窒化珪素等で構成して屈折率が異なる媒質を用いても良い。さらには、第1の平坦層と第2の平坦層とで異なる材料からなる媒質を用いても良い。また、変形例1に記載の内容を、上記第1の実施の形態の他、第2及び第3の形態に適用しても良い。
(2)平坦層の形状
各実施の形態及び変形例1における平坦層は、図2の(b)に示すように、平面視したときに、角が丸い四角形状をしていたが、他の形状でも良い。他の形状をした平坦層を変形例2として説明する。
図12は、変形例2における光透過部材の平面図である。
光透過部材401は、図12の(a)に示すように、円形状をした平坦層、つまり、円状平坦層401a,401bで構成しても良いし、光透過部材403は、図12の(b)に示すように、正四角形状をした四角状平坦層403a,403bで構成しても良い。さらには、光透過部材405は、図12の(c)に示すように、(正)八角形をした平坦層、つまり、八角状平坦層405a,405bで構成しても良い。
ここで説明した光透過部材401,403,405は、第1の平坦層401a,403a,405aと第2の平坦層401b,403b,405bとの厚さについて特に説明していないが、第1の実施の形態で説明した光透過部材16と同様に、第1の平坦層401a,403a,405aと第2の平坦層401b,403b,405bとの厚みが略同じであっても良いし、第2の実施の形態で説明した光透過部材116R,116G,116Bと同様に、フィルタ膜35R,35G,35Bの色分離の光色に対応して、各平坦層の厚さを換えても良い。
この場合、第1の平坦層の厚さと第2の平坦層の厚さを等しくして、全体として所定の厚さとするようにしても良いし、さらには、第1の平坦層の厚さを一定にして、第2の平坦層でフィルタ膜の種類に合わせて厚さを調整しても良い。
さらに、ここで説明した光透過部材401,403,405は、第1の平坦層401a,403a,405aの軸心と第2の平坦層401b,403b,405bの軸心とが一致する形状であったが、第3の実施の形態(図7)で説明したように、光透過部材216(X,Y,Z)の第1の平坦層及び第2の平坦層の両層の軸心が、画素の位置に対応して、受光セル14の中心軸から、固体撮像装置の中心側へと別々に偏心していても(両層で偏心量が異なるように偏心していても)良いし、さらには、第3の実施の形態において、第2の平坦層だけが偏心していても良いし、また、第1の平坦層だけが偏心していても良い(図示省略)。
(3)形状
上記各実施の形態、変形例1及び変形例2における光透過部材は、2層の平坦層から構成していたが、例えば、3層以上で構成しても良い。この場合、光透過部材は、各層の平坦層の横断面積は、上層になるに従って小さくなっていれば良い。また、例えば、光透過部材は、2層の平坦層を備え、上層の平坦層の平面視の面積が受光領域の平面視の面積より小さければ良く、この場合、下層の平坦層のサイズが受光領域と同じ或いはそれより大きくても良い。
このような場合も、各層の平坦層の軸心が、第1の実施の形態と同様に一致させても良いし、第3の実施の形態と同様に、一致させなくても良い。さらには、各平坦層の厚さは、第1の実施の形態での各平坦層のように同じであっても良く、さらには、第2の実施の形態での各平坦層のようにフィルタ膜に対応して異なるようにしても良い。
なお、光透過部材を構成する平坦層は、2層から3層が好ましい。これは、光透過部材の成形が簡易であり、さらに高い集光率が得られるからである。
また、光透過部材は、1つの平坦層により構成しても良い。但し、この場合は、平坦層の横断面の面積が受光領域の面積より小さく、且つ、当該受光領域内に形成される必要がある。この場合、一つの平坦層の軸心が、受光領域の中心と一致させても良いし(第1及び第2の実施の形態参照)、一致させなくて偏っても良い(第3の実施の形態での第2の平坦層参照)。
(4)フィルタ膜
上記各実施の形態におけるフィルタ膜は、赤(R)、青(B)、緑(G)用の3種類であったが、例えば、補色フィルタとして赤の補色であるシアン(C)、緑の補色であるマゼンタ(M)、青の補色である黄(Y)用の補色フィルタ膜も用いても良い。
なお、一般的に補色フィルタを用いる場合、CMYと緑(G)を通して得た信号を用い、各受光セルに上記のいずれかが一定のパターンで割り当てられる。このようにすることで、各受光セルは、(原色)フィルタ膜によって色分離された色信号の輝度に応じて信号を生成し、固体撮像装置は、全ての受光セルにおける上記の信号を収集することで、1枚分の撮像データを生成することができる。
(5)受光領域について
各実施の形態及び変形例では、受光セルを平面視したときに、受光セル(及び受光領域)は略正方形状をしていたが、受光セル及び受光領域は、平面視において、正方形状に限定するものでなく、例えば、円形、(正)六角形等の(正)多角形であっても良いし、受光セルの表面形状と受光領域の形状とを必ずしも一致させる必要はない。
(6)寸法について
6−1.第1及び第2の平坦層の厚み
第1の実施の形態では、第1及び第2の平坦層の厚みを0.15(μm)としているが、本発明の平坦層の厚みは、0.15(μm)に限定するものではない。ここで、第1及び第2の平坦層の厚みについて説明する。
図13は、第1及び第2の平坦層の厚みと集光率との関係を示す図である。
なお、図13は、第1及び第2の平坦層の厚みが等しいモデルを用いての解析結果である。
第1及び第2の平坦層の厚みは、図13からわかるように、0.17(μm)が、今回の設計(モデル)において最適となっている。そして、この厚さのときに、焦点距離が、レンズ−光電変換部間の距離(図中では「PDレンズ間距離」で表している。)と略一致する。
一方、第1及び第2の平坦層の厚みが0.17(μm)よりも薄くなると、焦点距離がレンズ−光電変換部間距離よりも長くなり、逆に、0.17(μm)よりも厚くなると、焦点距離がレンズ−光電変換部間距離よりも短くなる。
特に、焦点距離がレンズ−光電変換部間距離よりも短くなりすぎると、他の画素に光が入ることにより混色を発生するおそれがある。しかし、焦点距離が少しでも変動すれば混色が起こるというものではなく、焦点距離が若干短くなるだけでは問題無いことが分かっている。
従って、第1の実施の形態で説明した第1及び第2の平坦層の厚みが0.15(μm)というのは、0.17(um)よりも若干焦点距離が長く、混色は起こらずに優れた集光特性をそのまま得られる。
このように、第1及び第2の平坦層の厚みは、最適な0.17(μm)の近傍であれば、優れた集光特性を得ることができ、特に第1及び第2の平坦層の厚みが、0.13(μm)以上、0.20(μm)以下の範囲であれば、混色を生じることなく、集光率は65(%)以上を確保でき、また、第1及び第2の平坦層の厚みが、0.10(μm)以上、0.26(μm)以下の範囲であれば、集光率は60(%)以上を確保できる。
6−2.平坦層のサイズ
第1の平坦層と第2の平坦層とのサイズと、集光率との関係について説明する。
図14は、第1の平坦層と第2の平坦層とのサイズ比率と、集光率との関係を示す図である。
なお、図14も、第1及び第2の平坦層の厚みが等しいモデルを用いての解析結果である。
同図より、第1の平坦層が1.0(μm)の場合に、平面視における、第2の平坦層のサイズにおける第1の平坦層のサイズの比率(以下、単に、「サイズ比率」という。)が、0.25以上、0.75以下の場合に、集光率が53(%)以上のレンズを得ることが可能となり、従来のマイクロレンズと比較して高い集光率を得ることが可能となる。さらに、サイズ比率が0.4以上の場合には、サイズ比率が0.4未満の場合と比較して混色が起こりにくく、信号の誤検出の問題が低減される。
したがって、平面視における第1及び第2の平坦層のサイズ比率は、混色及び集光率を考慮すると、0.4以上が好ましい。
また、図14に示すように、1辺の長さが3種類(図中では「1項目:1.2μm」等で示す。)の第1の平坦層のそれぞれについて、サイズ比率と集光率との関係を示している。これにより、第1の平坦層のサイズが0.8(μm)以上、1.2(μm)以下の場合には、第1の平坦層の1辺の長さが小さくなるほど、集光率が良くなることが分かる。逆を言うと、第1の平坦層の1辺の長さが1.2(μm)より大きくなると、集光率を53(%)以上にすることはできないことが分かる。
なお、ここでのサイズ比率が1.00とは、第1の平坦層と第2の平坦層の間に段差がない状態を言う。また、図14は、解析により求めた結果であり、第1の平坦層及び第2の平坦層とも、その厚みが0.15(μm)である。
6−3.光透過部材の軸心の偏心
第3の実施の形態では、光透過部材の第1の平坦層及び第2の平坦層の両層の軸心が、画素の位置に対応して、固体撮像装置の中心側へと偏心し、その偏心量は、固体撮像装置の中心から離れるほど大きい。ここで、偏心量について説明する。
図15は、画素の位置と感度との関係を示す図である。
図15には、光透過部材の軸心が偏心していない画素の固体撮像装置を作成し、中央を基準として、当該中央から端に離れた際の感度の変化(低下)を示している。図中には、設計上の感度特性(解析により求めた結果)と、実際の感度特性(実験値)の2種類の特性を示している。
同図に示すように、設計上の感度特性においては、画素が中央から離れるにしたがって、線形的に感度が低下する傾向にあるのに対し、実際の感度特性においては、画素が中央から離れるにしたがって、上に凸の2次方物線状に感度が変化する傾向にある。
特に、実際の固体撮像装置としては、対物レンズとして非球面レンズを用いる場合があり、セル面の端に近づく(中央から離れる)に従って、線形的に低下することは考えにくい。
従って、各画素への入射角に合わせて、光透過部材の軸心を偏心させれば良く、この際に、設計上の感度特性(線形的)を基準にしても良いし、実験を行うことで実際の感度特性(画素の位置が中央から所定位置まで離れるに従って偏心量を増やし、前記所定位置から端に至るまで偏心量を少なくする)を基準にしても良い。
なお、図中の実際の感度特性は、モデルの単位画素のサイズが2.2(μm)での解析結果である。
(7)その他
上記の各実施の形態及び上記の各変形では、光透過部材が露出していたが、固体撮像装置は、光透過部材を被覆する被覆部材を備えても良い。
以下、光透過部材を被覆する被覆部材を備える固体撮像装置を変形例3として、図面を参照しながら説明する。
図16は、変形例3に係る固体撮像装置における1画素の断面図である。
固体撮像装置の画素350は、図16に示すように、第1の実施の形態で説明した固体撮像装置3における光透過部材16に被覆部材355を設けたものである。この被覆部材355は、例えば、光透過部材16が窒化珪素(n=2)の場合に、窒化珪素よりも低い屈折率の媒質である二酸化珪素(n=1.46)で構成され、固体撮像装置350としてその表面を平坦化している。
このように光透過部材16を被覆する被覆部材355を設けることにより、ウエハからチップにダイシングする際に光透過部材16の複数層の段差部分の隙間にダイシングにより発生する異物の混入を防ぐことが可能となったり、ダイシングの振動により光透過部材16が破損するのを防ぐことが可能となったりする。
本発明は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの固体撮像装置に利用することができる。
第1の実施の形態に係るカメラシステムの構成を示す図である。 (a)は、固体撮像装置における1画素の断面図であり、(b)は、固体撮像装置における1画素の平面図である。 第1の実施の形態に係る固体撮像装置と従来の固体撮像装置における光伝搬シミュレーションの結果図である。 図3の結果図を基にして作成した模式図である。 第2の実施の形態に係る固体撮像装置における画素の断面図である。 固体撮像装置に入射する光の概略を説明する図である。 固体撮像装置における中央に位置する画素と、当該画素の両側であって周縁部付近の画素の断面図を示す図である。 周縁に位置する画素における光伝搬シミュレーションの結果図である。 図8の結果図を基にして作成した模式図である。 セルサイズと集光率との関係を示す図である。 変形例1に係る固体撮像装置における画素の断面図である。 変形例2における光透過部材の平面図である。 第1及び第2の平坦層の厚みと集光率との関係を示す図である。 第1の平坦層と第2の平坦層とのサイズ比率と、集光率との関係を示す図である。 画素の位置と感度との関係を示す図である。 変形例3に係る固体撮像装置における1画素の断面図である。 従来の固体撮像装置における1画素に相当する部分の断面図である。
符号の説明
1 カメラシステム
3 固体撮像装置
13 画素
14 受光セル
16 光透過部材
16a 第1の平坦層
16b 第2の平坦層

Claims (10)

  1. 複数の受光セルの各表面に光透過部材を備える固体撮像装置であって、
    前記光透過部材は、受光セル表面の受光領域よりも小さい面積の平坦層が1段以上載置された構成をしていることを特徴とする固体撮像装置。
  2. 前記受光領域は、平面視において、一辺が2.1μmの正四角形の領域内に入る大きさであり、前記複数の受光セルは、等間隔で配列されていることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
  3. 前記光透過部材は、前記平坦層を複数積層した形状をし、各平坦層における積層方向と直交する断面の面積は、上層になるに従って小さくなることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
  4. 前記複数の平坦層は2層あり、下層の平坦層における積層方向と直交する断面の面積は、一辺が1.2μmの正方形の面積よりも小さく、上層の平坦層における積層方向と直交する断面の面積は、一辺1.0μmの正方形の面積よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の固体撮像装置。
  5. 複数に積層された各平坦層の厚みが略等しいことを特徴とする請求項3又4に記載の固体撮像装置。
  6. 平坦層は、一定の屈折率を示す材料から構成され、前記各平坦層の屈折率が2種類以上あることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の固体撮像装置。
  7. 前記複数の受光セルは、所定色の光のみを透過させるフィルタ膜を複数種類備えると共に、各受光セルは、複数種類の内の1種類のフィルタ膜を備え、
    各光透過部材の厚みは、フィルタ膜の種類に対応して異なることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の固体撮像装置。
  8. 前記複数の受光セルの平坦層の軸心は、入射光方向に偏心していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
  9. 前記複数の受光セルが2次元状に配され、2次元状に配されている受光セルの内、略中央に位置する受光セルから離れた位置にある受光セルにおける平坦層の重心は、前記受光領域の中心位置から前記中央に位置する受光セルに近づく側にずれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体撮像装置を備えることを特徴とするデジタルカメラ。
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