JP2008016434A - メタルハライドランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 色度変化及びちらつきを抑制することができるメタルハライドランプを提供する。
【解決手段】
本発明のメタルハライドランプは、内部に放電空間14が形成された放電部11、放電部11の両端に形成された封止部12a、12bを有する気密容器1と、放電空間14に封入された、金属ハロゲン化物2と希ガスとを含み、水銀は本質的に含まない放電媒体と、基端側は封止部12a、12bに封着され、先端側は放電空間内で対向配置された一対の電極3a2、3b2とを具備し、金属ハロゲン化物2はヨウ化スカンジウムを含み、その封入量は0.1mg以上であり、電極3a2、3b2は酸化トリウムを含み、その含有量が0.1重量%以上、0.7重量%以下であることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車の前照灯等に使用されるメタルハライドランプに関するものである。
水銀を含まないメタルハライドランプ(以下、水銀フリーランプ)は、例えば、特開平11−238488号公報(以下、特許文献1)などにより、既に知られている。このメタルハライドランプは、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化スカンジウム、ヨウ化亜鉛等とキセノンを組み合わせることにより、水銀入りのメタルハライドランプ(以下、水銀入りランプ)と同等、又はそれ以上の特性を得ることができるようになっている。
一方、水銀フリーランプは、水銀入りランプと比較して、アークが細くなりやすい等のため、ちらつきが発生しやすいことが知られている。そこで、特開2006−66076号公報(以下、特許文献2)に記載のように、ちらつきに対して効果がある酸化トリウムを含むタングステン電極(以下、トリエーテッドタングステン電極)を水銀フリーランプの電極に用いることがある。
特開平11−238488号公報 特開2006−66076号公報 再表02−082500号公報
しかしながら、トリエーテッドタングステン電極を具備する水銀フリーランプにおいて、寿命中の色度変化およびちらつきが問題となっている。
発明者等が検討した結果、電極中の酸化トリウムとヨウ化スカンジウムとが反応することにより生じた遊離ヨウ素がこの問題の主な発生原因であり、特にヨウ化スカンジウムが0.1mg以上封入されているような場合に上記問題が発生しやすいことをつきとめた。しかしながら、現在開発されている水銀フリーランプにおいては、その程度のヨウ化スカンジウムは、ランプの明るさを高めるとともに、初期の発光色を白色に調整するために欠かすことはできない。そこで、さらに試験を行ったところ、酸化トリウムの含有量を適量にすることにより、ヨウ化スカンジウムが0.1mg以上封入されていても色度変化およびちらつきを抑制できることを見出したため、本発明を提案するに至った。
なお、再表02−082500号公報(以下、特許文献3)には、ヨウ化スカンジウムを含み、タングステン電極中の酸化トリウムの添加量が0.4質量%以下の範囲にある自動車前照灯用メタルハライドランプの発明がある。ただし、実施例からわかるようにこの発明は水銀入りランプを想定した発明である。水銀入りランプと水銀フリーランプとでは、構成が似ていてもその特性等は全く異なり、例えば、特許文献3にも色度変化の記載はあるが、その原因はスカンジウムとナトリウムの封入バランスの変化にあると考えら、遊離ヨウ素によるものではない。水銀入りランプの場合には、ヨウ素は水銀と結合してヨウ化水銀を生成し、遊離ヨウ素は発生しにくいためである。したがって、該特許文献に記載の発明と本発明とは全く異なるものである。
本発明の目的は、色度変化及びちらつきを抑制することができるメタルハライドランプを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のメタルハライドランプは、内部に放電空間が形成された放電部、該放電部の両端に形成された封止部を有する気密容器と、前記放電空間に封入された、金属ハロゲン化物と希ガスとを含み、水銀は本質的に含まない放電媒体と、基端側は前記封止部に封着され、先端側は前記放電空間内で対向配置された一対の電極とを具備するメタルハライドランプにおいて、前記金属ハロゲン化物はヨウ化スカンジウムを含み、その封入量は0.1mg以上であり、前記電極は酸化トリウムを含み、その含有量は0.1重量%以上、0.7重量%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、色度変化及びちらつきを抑制することができる。
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態のメタルハライドランプについて図面を参照して説明する。図1は、本発明のメタルハライドランプの第1の実施の形態について説明するための図である。
メタルハライドランプは、主要部として気密容器1を有する。気密容器1は、耐熱性と透光性を具備した石英ガラスからなる。気密容器1はランプ軸方向に細長い形状であって、その略中央部には略楕円形の放電部11が形成されている。放電部11の両端部には、板状の封止部12a、12bが形成されており、さらにその両端には、筒状の非封止部13a、13bが形成されている。
放電部11の内部には、軸方向において、中央部が略円柱状、その両端部がテーパ状の放電空間14が形成されている。この放電空間14の容積は、ショートアーク型の放電ランプでは0.1cc以下、自動車前照灯用として用途を指定する場合には、放電空間の容積は0.01cc〜0.04ccであるのが望ましい。
放電空間14には、金属ハロゲン化物2および希ガスとからなる放電媒体が封入されている。金属ハロゲン化物2は、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化スカンジウム(ScI)、ヨウ化亜鉛(ZnI)、臭化インジウム(InBr)で構成されている。その中で、ヨウ化スカンジウム(ScI)に関しては、全光束、発光色を改善する観点から0.1mg以上封入している。なお、ヨウ化スカンジウム以外の金属ハロゲン化物に結合されているハロゲンについては、上記に限定されるものではなく、臭素、塩素、または複数のハロゲンを組み合わせて使用してもよい。
希ガスとしては、始動直後の発光効率が高く、主に始動用ガスとして作用するキセノンが封入されている。キセノンの圧力は常温(25℃)において5atm以上、さらに好適には11〜20atmであるのが望ましい。なお、希ガスとしては、キセノンの他に、ネオン、アルゴン、クリプトンなどを使用したり、それらを組み合わせて使用したりしてもよい。
ここで、放電空間14には、本質的に水銀は含まれていない。この「本質的に水銀を含まない」とは、水銀を全く含まないか、または従来の水銀入りの放電ランプと比較してもほとんど封入されていないに等しい程度の量、例えば1mlあたり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀量が存在していても許容するものとする。
封止部12a、12bの内部には、マウント3a、3bが封止されている。
このマウント3a、3bは、金属箔3a1、3b1、電極3a2、3b2、コイル3a3、3b3、外部リード線3a4、3b4を一体的に構成してなる。
金属箔3a1、3b1、例えば、モリブデンからなる薄い金属板である。
電極3a2、3b2は、タングステンに酸化トリウムをドープしたトリエーテッドタングステン電極である。その基端側は金属箔3a1、3b1の放電部11側の端部にレーザ溶接によって接続されている。一方、先端側は放電空間14内で所定の電極間距離を保って、互いの先端同士が対向するように配置されている。ここで、所定の電極間距離としては、見た目上、すなわち実際の距離ではなく、ランプの外観上における測定距離がショートアーク形ランプでは5.0mm以下、自動車の前照灯に使用する場合は4.2mm程度であるのが望ましい。
ここで、本実施の形態では、電極3a2、3b2は、大径の先端部3a21、3b21と小径の軸部3a22、3b22とで構成された段付き状の電極である。先端部3a21、3b21は、放電空間14内にのみに配置され、直径R1が0.35mm以上、0.45mm以下、かつ軸方向長さLが1.0mm以上である。軸部3a22、3b22は、放電空間14および封止部12a、12b内に配置され、直径R2が0.30mm以上、0.35mm以下である。が、電極形状はこれに限定されず、例えば、直径Rが、0.33mm以上、0.40mm以下である直棒状の電極を使用してもよい。
コイル3a3、3b3は、例えば、ドープタングステンからなり、軸部3a22、3b22の軸周りに螺旋状に巻かれている。ここで、コイル3a3、3b3が巻かれている範囲は、金属箔3a1、3b1の端部から、放電部11の方向に3.0mm以内の範囲である。
外部リード線3a4、3b4は、例えば、モリブデンからなり、放電部11に対して反対側の金属箔3a1、3b1の端部に、溶接等により接続されている。そして、外部リード線3a4、3b4の他端側は、管軸に沿って封止部12a、12bの外部に延出している。なお、外部に延出した前端側のリード線3b4には、ニッケルからなるL字状のサポートワイヤ3cの一端が接続され、サポートワイヤ3cの他端は、後述するソケット6の方向に延出している。そして、管軸と平行するサポートワイヤ3cの部分には、セラミックからなる絶縁スリーブ4が被覆されている。
上記で構成された気密容器1の外側には、石英ガラスにチタン、セリウム、アルミニウム等の酸化物を添加することにより、紫外線を遮断性する作用を有する筒状の外管5が、管軸に沿って気密容器1と同心状に設けられている。それらの接続は、気密容器1両端の筒状の非封止部13a、13bと外管5の両端部を溶融することにより行なわれている。そして、気密容器1と外管5とにより形成された空間には、例えば、窒素やネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスを一種または混合して封入したりすることができる。
気密容器1を内部に覆った状態の外管5の非封止部13a側には、ソケット6が接続される。これらの接続は、非封止部13a付近の外管5の外周面に装着された金属バンド71を、ソケット3の気密容器1保持側の開口端に形成された4本の金属製の舌片72(図1では、2本を図示)により挟持することによって行なわれている。そして、接続をさらに強化するために、金属バンド71及び舌片72の接触点をレーザによって溶接している。なお、ソケット6の底部には底部端子8aが形成されており、リード線3a4と接続されている。また、ソケット6の側部には底部端子8bが形成されており、サポートワイヤ3cと接続されている。
これらで構成されたメタルハライドランプは、管軸が略水平の状態で配置され、底部端子8a、側部端子8bに点灯回路を接続することにより、安定時は約35W、始動時は安定時電力に対して2倍以上である約75Wで点灯される。
図2は、図1のメタルハライドランプの一仕様について説明するための図である。なお、以下の試験は特に言及しない限り寸法、材料等はこの仕様に基づいて行っている。
放電容器1:石英ガラス製、放電空間14の容積=0.025cc、内径A=2.5mm、外径B=6.2mm、長手方向の球体長C=7.8mm、
金属ハロゲン化物:ScI=0.14mg、NaI=0.22mg、ZnI=0.04mg、InBr=0.001mg、
希ガス:キセノン=13atm、
水銀:0mg、
金属箔3a1、3b1:モリブデン製、
電極3a2、3b2:トリエーテッドタングステン製、酸化トリウムの含有量=0.5重量%、先端径R1=0.40mm、基端径R2=0.30mm、先端長L=1.5mm、電極間距離D=3.7mm(見た目の電極間距離=4.2mm)、
外部リード線3a4、3b4:モリブデン製、直径=0.6mm、
気密容器1と外管との間の空間:窒素、圧力=0.1atm。
図3は、トリエーテッドタングステン電極中の酸化トリウムの含有量を変化させたときの色度変化について説明するための図である。なお、点灯条件は、自動車前照灯HID光源の規格であるJEL215に定められたEU120分モードの点滅サイクルである。
結果から、酸化トリウムの含有量が多いほど、色度変化しやすいことがわかる。また、図3の結果に基づいて、酸化トリウムの含有量による2000時間までの最大色度変化を示した図4を参照すれば、酸化トリウムの含有量が0.7重量%以下であれば色度変化を抑制可能なことが伺える。なお、色度x、yが0.015程度変化している1.0重量%以上のランプでは、点灯初期のランプと並べて点灯させると、目視において青みがかった発光色となっていることが明らかな程度であった。
この試験で発生した色度変化のメカニズムは以下のように推測される。
トリエーテッドタングステン電極を使用したメタルハライドランプでは、電極中のトリウムは放電に伴って消失し、酸素を放電空間に放出する。一方、点灯中のヨウ化スカンジウムはヨウ素とスカンジウムとに分かれており、そのスカンジウムの一部は放電空間中に放出された酸化トリウムの酸素と反応し、酸化スカンジウムを生成する。また、スカンジウムは放電容器を構成する石英ガラスと反応して消失する場合もある。これに対し、ヨウ化スカンジウムと結合していたヨウ素は、他の物質とほとんど反応することはなく、放電空間に残留する。これがいわゆる遊離ヨウ素である。遊離ヨウ素には、520nm前後の波長の光、すなわち緑系の光を吸収してしまう性質がある。そのため、ランプの発光から緑系の色を奪い、青や紫がかった色に変化させてしまう。なお、発明者の試験によりヨウ化スカンジウムの封入量が0.1mgよりも多くなった場合に、特に色度変化が大きくなることが確認されている。
このメカニズムによれば、色度変化を抑制するには、遊離ヨウ素の発生を減らすことが効果的であることがわかる。すなわち、ヨウ化スカンジウムや酸化トリウムの量を減らすことが考えられる。そこで、ヨウ化スカンジウムの封入量を減らしたところ、色度変化を抑制できる結果が得られた。が、同時に明るさや初期の発光色が悪化するという弊害が生じた。そのため、実用的なランプを実現するのは困難になり、ヨウ化スカンジウムの封入量を減らす手段は好適でないことが判明した。
これに対し、酸化トリウムの含有量を減らした場合、他の特性にもあまり影響を与えることなく、色度変化を抑制する効果が得られた。また、ヨウ化スカンジウムを0.1mg以上封入していてもその効果は十分なものであった。したがって、ヨウ化スカンジウムの封入量は0.1mg以上封入しつつ、酸化トリウムの含有量を減らすのが好適であり、その際の酸化トリウムの含有量は図3、4の結果を考慮して、0.7重量%以下にするのがよい。
ただし、酸化トリウムの含有量を少なくすると、トリエーテッドタングステンを用いる本来の目的であるちらつきの発生を長時間抑制できなくなってしまう。そこで、酸化トリウム含有量によるちらつきの発生の有無を測定した結果、0.1重量%以上含めば1500時間程度、0.3重量%以上含めば2000時間程度までちらつきを抑制できることが判明したため、酸化トリウムは、電極中に0.1重量%以上、さらに好適には0.3重量%以上含むようにすればよい。
なお、本発明によれば、図5に示したように、色度変化のみならず、寿命中のランプ電圧の変化も少なくなることがわかった。すなわち、酸化トリウムの含有量が少ないほど寿命中のランプ電圧の変化が少ないことがわかった。このような結果となった原因は定かではないが、遊離ヨウ素にはランプ電圧を上昇させる性質があるためと推測される。結果、本発明においては、寿命中に電極に流れる電流が少なくなったことが原因となるちらつきや立ち消えの発生を抑制することができる。
なお、本発明は以下のような構成と組み合わせると効果的である。
まず、電極温度が低くなるように設計された電極と組み合わせるのが望ましい。すなわち、電極温度が高いとトリウムが消失しやすくなって、放電空間中に酸素が放出されやすくなり、結果として遊離ヨウ素の発生量が増えるためである。本実施の形態で使用しているような段付き状の電極3a2、3b2においては、先端部3a21、3b21の直径R1(以下、先端径R1)、軸方向長さL(以下、先端長L)、および軸部3a22、3b22の直径R2(以下、軸径R2)が電極温度に影響を与えるため、これらを好適な範囲にするのがよい。
図6は、先端径R1及び先端長Lを変化させたときの1000時間点灯後の光束維持率について説明するための図、図7は、軸径R2を変化させたときの箔リークおよびちらつきの発生の有無について説明するための図である。試験条件は図3の試験と同じである。なお、図6においては電極軸径R2は0.30mm、図7においては先端径R1は0.35mm、先端長Lは1.5mmである。
結果から、先端径R1が大きいほど、また先端長Lが長いほど光束維持率が高く、特に先端径R1が0.35mm以上、先端長Lが1.0mm以上である場合には光束維持率が高くなっているのがわかる。一方、先端径R1が0.34mmの場合には光束維持率が低くなっているのがわかる。これは、遊離ヨウ素の発生によって光が吸収され、光束が低下したためであると考えられる。また、軸径R2が0.25mm以下では、ちらつきが発生しやすく、軸径R2が0.36mm以上では、箔リークが発生しやすいことがわかる。したがって、先端径R1は0.35mm以上、軸径R2は、0.3mm以上、0.35mm以下先端長Lは1.0mm以上であるのが望ましい。
また、図8に示すような直棒状の電極の場合においても同様に、電極温度が低くなるようにその直径R(以下、電極径R)を組み合わせるのがよい。
図9は、電極径Rを変化させたときの1000時間点灯後の光束維持率について説明するための図である。なお、試験条件は図3の試験と同じである。
結果から、電極径Rが0.33mm以上では光束維持率が高いが、電極径Rが0.30mmでは光束維持率が低いことがわかる。この原因も遊離ヨウ素による光の吸収であると考えられる。したがって、直棒状の場合は電極径Rが0.33mm以上であるのが望ましい。なお、直棒状の電極では、放電空間への突出長さL’によっても電極温度が変化するため、同時に1.7mm≦L’≦2.3mmを満たすのが望ましい。
ここで、電極3a2、3b2は電極温度が低い方が色度変化を抑制する上では好ましいが、電極温度が低くなりすぎると、ちらつきが発生したり、光束立ち上がりが遅くなってしまう。そこで、電極3a2、3b2は、始動直後(安定電力時の2倍以上の電力が供給されている時間帯)の電流密度が15A/mm以上になるような範囲内であるのが望ましい。この範囲は、段付き状の電極においては先端径R1を0.45mm以下、直棒状の電極においては先端径Rを0.40mm以下にすることで満たすことができる。
また、金属ハロゲン化物2の封入量と組み合わせればさらに効果的である。
図10は、金属ハロゲン化物の封入量Mを変化させたときのランプ電圧について説明するための図である。なお、試験条件は図3の試験と同じである。また、金属ハロゲン化物2は、ScI:NaI:ZnI:InBr=34.91:54.86:9.98:0.25の封入比を維持したまま、封入量Mを変化させている。
結果から、金属ハロゲン化物2の封入量Mが多いほど初期及び寿命中のランプ電圧が高くなることがわかる。しかし、封入量Mが0.024mg/μlの場合には、ランプ電圧の変化が寿命中に大きくなる傾向がある。これは、ヨウ化スカンジウムの封入量が多くなったことにより、遊離ヨウ素が発生しやすくなったことが原因と考えられる。一方、封入量Mが0.008mg/μlでは、初期のランプ電圧が低いため、電極の溶融などにより、初期にちらつきが生じやすくなる。したがって、金属ハロゲン化物2の封入量Mは、0.012mg/μl≦M≦0.020mg/μlであることが望ましい。
したがって、本実施の形態では、ヨウ化スカンジウムを0.1mg以上含み、水銀を含まないメタルハライドランプにおいて、電極3a2、3b2の酸化トリウムの含有量を0.1重量%以上、0.7重量%以下とすることにより、遊離ヨウ素の発生を低減できるため、色度変化およびちらつきの発生を抑制することができる。
また、電極3a2、3b2が段付き状である場合は、先端部3a21、3b21の直径R1を0.35mm≦R1≦0.45mm、軸部3a22、3b22の直径R2を0.30mm≦R2≦0.35mmとし、さらに先端部3a21、3b21の軸方向長さLを1.0mm≦Lとすることにより、電極温度を好適に保つことができるため、遊離ヨウ素の発生が抑制され、さらに色度変化およびちらつきの発生を抑制することができる。なお、電極3a2、3b2が直棒状である場合は、その直径Rを0.33mm≦R≦0.40mmにすれば、ほぼ同様の効果を得ることができる。
さらに、金属ハロゲン化物の封入量Mを0.012mg/μl≦M≦0.020mg/μlとすることにより、遊離ヨウ素の発生が抑制され、さらに色度変化およびちらつきの発生を抑制することができる。
本発明のメタルハライドランプの第1の実施の形態について説明するための図。 図1のメタルハライドランプの一仕様について説明するための図。 電極中の酸化トリウムの含有量を変化させたときの色度変化について説明するための図。 電極中の酸化トリウムの含有量を変化させたときの2000時間までの最大色度変化について説明するための図。 電極中の酸化トリウムの含有量を変化させたときのランプ電圧について説明するための図。 先端径R1及び先端長Lを変化させたときの1000時間点灯後の光束維持率について説明するための図。 軸径R2を変化させたときの箔リークおよびちらつきの発生の有無について説明するための図。 直棒状の電極仕様の場合について説明するための図。 電極径Rを変化させたときの1000時間点灯後の光束維持率について説明するための図。 金属ハロゲン化物の封入量Mを変化させたときのランプ電圧について説明するための図。
符号の説明
1 気密容器
11 放電部
12a、12b 封止部
13a、13b 非封止部
14 放電空間
2 金属ハロゲン化物
3a、3b マウント
3a1、3b1 金属箔
3a2、3b2 電極
3a3、3b3 コイル
3a4、3b4 外部リード線
3c サポートワイヤ
4 絶縁チューブ
5 外管
6 ソケット
71 金属バンド
72 舌片
8a 底部端子
8b 側部端子

Claims (4)

  1. 内部に放電空間が形成された放電部、該放電部の両端に形成された封止部を有する気密容器と、前記放電空間に封入された、金属ハロゲン化物と希ガスとを含み、水銀は本質的に含まない放電媒体と、基端側は前記封止部に封着され、先端側は前記放電空間内で対向配置された一対の電極とを具備するメタルハライドランプにおいて、
    前記金属ハロゲン化物はヨウ化スカンジウムを含み、その封入量は0.1mg以上であり、
    前記電極は酸化トリウムを含み、その含有量は0.1重量%以上、0.7重量%以下であることを特徴とするメタルハライドランプ。
  2. 前記電極は、大径の先端部と小径の軸部とからなり、前記先端部の直径をR1、前記軸部の直径をR2としたとき、0.35mm≦R1≦0.45mm、0.30mm≦R2≦0.35mmであり、かつ前記先端部の軸方向長さをLとしたとき、1.0mm≦Lであることを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
  3. 前記電極は、直棒状であり、その直径をRとしたとき、0.33mm≦R≦0.40mmであることを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
  4. 前記金属ハロゲン化物の封入量をMとしたとき、0.012mg/μl≦M≦0.020mg/μlであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一に記載のメタルハライドランプ。
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