JP2008016327A - 有機発光デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸着法で形成された補色層の機械強度が高く、高い層間密着性を有する有機発光デバイスを提供する。
【解決手段】透明基板と、光源の光の少なくとも一部を吸収して吸収波長と異なる波長分布を発する補色層と、ガスバリア層と、有機EL素子を含む発光素子であって、補色層が、蒸着法により透明基板上に不連続にパターニング形成され、補色層の上下の層が画素中で直接接合する部位を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、高精細かつ視認性に優れ、多色表示可能な有機エレクトロルミネセンス(以下有機ELという)ディスプレイや、カラー液晶表示器のバックライトその他の照明機器に使用する白色発光型の有機発光ダバイスに関する。
表示装置に適用される発光素子の一例として、有機化合物の薄膜積層構造を有する有機EL素子が知られている。有機EL素子は、薄膜の自発光型素子であり、低駆動電圧、高解像度、高視野角といった優れた特徴を有することから、それらの実用化に向けて様々な検討がなされている。
有機EL素子は、陽極と陰極の間に少なくとも有機発光層を備えた構造を有している。有機発光層は、陽極および陰極に電圧が印加されることによって生じる正孔および電子が再結合することで発光する機能を有する層である。有機EL素子は、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。より具体的には、例えば、以下に示すような構造が挙げられる。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
なお、上述の(1)〜(6)の構造を有する有機EL素子において、有機発光層または正孔注入層に陽極が接続され、有機発光層、電子輸送層または電子注入層に陰極が接続される。
有機EL素子は、有機発光層に添加する色素の種類により、青色、緑色、赤色発光することが知られている。フルカラーディスプレイを実現するためには、画素(ピクセル)として3原色の発光素子をサブピクセルに配すればよい。しかし、各色の発光素子の特性はそれぞれ異なるため、サブピクセルの形成とその駆動方法は複雑となり、コストアップの要因となっている。そこで、白色光からカラーフィルターで3原色を得ることが試みられている。そのため、カラーフィルター方式に用いることのできる多色または白色発光素子の実現が望まれている。
白色発光素子は、例えば、混合層タイプの発光層を含む2層以上の発光層を設け、2種以上のドーパントを含有させ、それにより2種以上の発光を得る方法、発光層のホスト材料(青緑色発光材料)に赤色発光材料を均一にドープする方法、青色発光層と緑色発光層を積層し、これに赤色系蛍光性化合物を添加する方法など種々の方法により検討されている。
上記方式においては、白色発光を得る為に、発光層を2層以上積層し、かつ異なる蛍光色素を複数ドープする方法、または発光層が単層でも異なる2種以上の蛍光色素を添加する方法が必要であった。しかし、前者の場合、層数を増やす必要があり、後者の場合、最適な白色発光を得る為には、エネルギーの低い赤色の蛍光色素を非常に低い濃度で制御する必要があった。そのため、両者とも製造上、層構成が複雑になる、あるいは制御性が困難であるなどの問題を抱えていた。
また、これらの方法で作製された白色発光素子では、素子に流す電流の大小および有機EL素子の劣化により、色が変化してしまうという問題を抱えていた。
近年、有機EL素子を用いて構成されるディスプレイのマルチカラー化またはフルカラー化の方法の一例として、有機EL素子から放射される近紫外光、青色光、青緑色光または白色光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の光を発光する、1種または複数種の色変換色素を含む色変換層を用いる色変換(CCM)方式が検討されてきている。色変換方式を用いる場合、光源の発光色が白色に限定されないため、光源の選択の自由度を高めることが可能となる。例えば、青色ないし青緑色で発光する有機EL素子を用い、波長分布変換により緑色及び赤色光を得ることができる。
色変換方式の有機発光デバイスの構造を図3に示す。図3の構成では、透明基板31の上に、3種のカラーフィルター層32(R,G,B)、3種の色変換層33(R,G,B)および平坦化層34が形成された色変換フィルターが形成されている。さらに、色変換フィルター上に、ガスバリア層35、その上に透明電極41、有機EL層42および反射電極43からなる有機EL素子が形成されて、有機発光デバイスを構成している。
色変換方式に用いられる色変換層33は、一般に、1種または複数種の蛍光色素(染料、顔料、および染料を樹脂中に別途分散させた顔料か粒子を含む)を樹脂中に分散させた構造を有し、該蛍光色素および樹脂の分散液を塗布・乾燥させるウェットプロセスによって形成されてきている。
しかしながら、このようなウェットプロセスで形成される色変換層33は、有機発光デバイスを構成する他の層に比較して極めて厚く、5μm〜十数μmの膜厚を有することが一般的である。さらに、複数種の色変換層33を用いる際には、それぞれの色変換層33の厚さが異なって段差を形成する可能性があり、この段差を補償するために平坦化層34を設けることが必要になる。
さらに、ウェットプロセスによって形成される色変換層33は完全に乾燥させることが困難であり、有機発光ダバイスの製造工程中および/または駆動中に色変換層33中に残存する水分が有機EL層42へと移動し、ダークエリアとも言われる非発光欠陥を発生するおそれがあり、これを防止するためにガスバリア層35を設けることが必要になる。
上記の問題点に関して、カラーフィルター層および色変換層をドライプロセスで形成することが検討されてきている(例えば、特許文献1ないし3参照。)。この方法によれば、ウェットプロセスで形成される厚い層に代えて、ドライプロセスで形成される薄い層を色変換層として使用することが可能となる。以下、ドライプロセスで形成される薄い層を補色層と呼び、ウェットプロセスで形成される厚い層を色変換層と呼んで区別することとする。薄い補色層を用いることにより、ガスバリア層の効果もあいまって補色層等の中に残存する可能性がある水分が、有機EL層へと透過してダークエリアを発生させることを防止することができる。さらに、補色層、ガスバリア層、および透明電極の屈折率を整合させることによって、有機EL素子からの発光をより高効率で利用することが可能となる。
特開2001−196175号公報 特開2002−175879号公報 特開2002−184575号公報
上記解決策においては、補色層は、具体的には有機物からなる色変換色素を蒸着法によって、100nm〜1μmの範囲の膜厚を有して、カラーフィルター層(存在する場合には平坦化層)上の全面にわたって形成される。したがって、ガスバリア層とカラーフィルター層(存在する場合には平坦化層)に挟まれた積層構造中に、有機物の蒸着膜が存在することになる。
一般に、有機物の蒸着膜は、機械的強度が小さく、さらにこれを挟むガスバリア層、カラーフィルター層あるいは平坦化層等とは異なる線膨張係数を有するため、該積層構造中では応力ストレスによって該蒸着膜の損傷が起こる。また、該蒸着膜は下地となるカラーフィルター層あるいは平坦化層等との密着性が小さく、補色層とガスバリア層、カラーフィルター層あるいは平坦化層等との間での機械的な剥離を引き起こす。これは、逐次積層構造を形成することによって構成する有機発光デバイスを製造する上で、歩留まりの低下や、駆動による画素欠陥の発生とこれによる寿命の低下を引き起こす原因となる。
上記問題を解決するために、本発明では、補色層を蒸着法によって形成する際に、表示する画像を構成する1画素内に貫通部を形成することにより、補色層を挟む上下の層が画素内の少なくとも一部において直接接合する部位を設けることを特徴とする。
即ち、本発明は、透明基板と、補色層と、有機EL素子を備えた有機発光デバイスであって、前記補色層は、蒸着法を用いて貫通部を画素内に有して形成され、前記有機EL素子が発する光の少なくとも一部を吸収して吸収波長と異なる波長分布の光を発し、前記補色層を挟む上下の層が前期貫通部で直接接合する部位を有することを特徴とする。
前記透明基板と補色層の間に、互いに分離して配列された1種以上のカラーフィルター層および/または第1平坦化層をさらに備えることが好ましい。
また、前記補色層と有機EL素子の間にガスバリア層および/または第2平坦化層をさらに備えることが好ましい。
これらの好ましい構成においては、前記補色層を挟む上下の層は、カラーフィルター層とガスバリア層、カラーフィルター層と第2平坦化層、第1平坦化層とガスバリア層あるいは第1平坦化層と第2平坦化層の組み合わせ等となる。
あるいは、有機発光デバイスを透明基板、補色層、ガスバリア層、有機EL素子を備えて構成し、前記補色層を挟む上下の層が前記透明基板とガスバリア層とする。
また、前記補色層とガスバリア層の間に第2平坦化層をさらに備え、前記補色層を挟む上下の層が前記透明基板と第2平坦化層とすることが好ましい。
また、前記補色層がマスクによるパターニングを用いた蒸着法で形成されていることが好ましい。
また、前記補色層が1種または複数種の色変換色素から成ることが好ましい。
このように蒸着膜を不連続に形成することにより、該蒸着膜とこれを挟むガスバリア層、カラーフィルター層、各平坦化層等との線膨張係数の差異による応力を緩和し、該蒸着膜の損傷が防止される。さらに、ガスバリア層、カラーフィルター層あるいは各平坦化層等の間に、画素内において直接接合される部分を持つ構造をとることによって、層間の密着性が確保され、剥離の問題が回避される。これにより、有機発光デバイスを歩留まりよく製造することが可能となり、さらに、駆動による画素欠陥の発生とこれによる寿命の低下を防止することができる。
このように有機発光デバイスを構成することによって、単一の発光層中に添加される1種類の蛍光色素により青色を含む発光を実現し、発光層で発光した青色を含む光を、蛍光色素を含む補色層で吸収、色変換させることにより赤色発光させることが可能になる。該赤色光のほかに、補色層を通過するけれども補色層の色変換色素によって吸収、色変換されない青色を含む透過光と、補色層がない部分を通過する青色を含む透過光が存在するため、これら青色を含む透過光と補色層によって吸収、色変換された赤色光とを合わせて、有機発光デバイス外部に白色光を放射するように設計を行うことが可能であり、白色発光を実現できる。
また、補色層が薄く形成されるため、従来型の色変換層とは異なり、透明電極および反射電極の断線または短絡などの故障を引き起こすような段差は緩和される。したがって、補色層の上に平坦化のための層を設けない構成も可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の構成例を示すための断面模式図で、透明基板11、カラーフィルター層12、第1平坦化層15、補色層13、ガスバリア層14、透明電極21、有機EL層22、反射電極23をこの順に形成する。補色層は、パターニングを伴うドライプロセスによって貫通部を有する不連続な膜として第1平坦化層の上に形成され、ガスバリア層と第1平坦化層が画素内の貫通部で直接接合される構造を有している。なお、透明電極21、有機EL層22、反射電極23が発光源となる有機EL素子を構成する。また、カラーフィルター層12R,12G,12Bはそれぞれ赤色カラーフィルター層、緑色カラーフィルター層、青色カラーフィルター層を表す。
補色層は、好ましくは第1平坦化層上に形成されるが、所望によりカラーフィルター層上に直接設けることも可能で有る。図2は、この構成例を示した断面模式図で、透明基板11の上に、3種のカラーフィルター層12(R,G,B)、補色層13、ガスバリア層14および有機EL素子が形成される。図1の例と同様に、有機EL素子は、透明電極21、有機EL層22および反射電極23から構成される。また、補色層13はパターニングを伴うドライプロセスによって、各カラーフィルター層上に不連続な膜として形成され、カラーフィルター層とガスバリア層が画素内の貫通部で直接接合される構造を有している。
さらに、カラーフィルター層を設けない構成とすることも可能であり、この場合には補色層は透明基板の上に直接配設される。画素内の貫通部で直接接合される2層は、補色層の直上に配設される層と透明基板との組み合わせとなり、補色層の直上に配設される層がガスバリア層の場合は、透明基板とガスバリア層の組合せ等となる。
このような層構造を形成することによって、単一の発光層中に添加される1種類の蛍光色素により青色を含む光を発光し、この光を蛍光色素を含む補色層で吸収、色変換させることにより、赤色発光させる。該赤色光のほかに、補色層を通過するけれども補色層の色変換色素によって吸収、色変換されない青色を含む透過光、並びに補色層がない部分を通過する青色を含む透過光が存在するため、これら青色を含む透過光と補色層によって吸収、色変換された赤色光とを合わせて素子外部に白色光を放射するように設計を行うことが可能であり、白色発光する有機発光デバイスを実現できる。
補色層は、50nm〜2μmの膜厚を、より好ましくは150nm〜600nmの範囲内の膜厚を有しており、マスクによるパターニングを伴う蒸着法によって、各画素の内部に貫通部を有する不連続な膜として形成される。補色層の上下に配設される2層が貫通部を介して直接接合することが可能となることから、蒸着法で形成される補色層の機械的な強度を補強し、また補色層および補色層の上下の層を合わせた密着力が向上する。貫通部の形成は、全画素に対して行うことが好ましいが、蒸着膜の強度を低下させない範囲で貫通部を形成する画素を適宜選択することは可能であり、大部分の画素に対して貫通部を形成していれば良い。
補色層13についてさらに詳細に説明する。補色層13は、色変換色素を有し、入射光(有機EL素子からの発光)の一部を吸収して波長分布変換を行い、入射光の非吸収分と変換光とを含む異なる波長分布を有する光を放出するための層である。好ましくは、補色層13は有機EL素子からの青色ないし青緑色光を、白色光に変換する。本発明における白色光とは、可視領域(400〜700nm)の波長成分を比視感度に応じた比率で含む光のみならず、該波長成分を均一には含んでいないが肉眼で白色に見える光をも含む。
色変換色素は、入射光を吸収して、異なる波長域の光を放射する色素であり、好ましくは光源が発する青色ないし青緑色の光を吸収して、所望の波長域の光(例えば、緑色または赤色)を放射する色素である。色変換色素としては、DCM−1(I)、DCM−2(II)、DCJTB(III)、4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(IV)、ナイルレッド(V)、プロパンジニトリルなどの赤色発光材料用の色素、赤色光を放射するローダミン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素、オキサジン系色素など、緑色光を放射するクマリン系色素、ナフタルイミド系色素など、当該技術で知られている任意のものを用いることができる。
Figure 2008016327
補色層13は、パターニングを伴うドライプロセスで形成される。具体的には、カラーフィルター層12等の上に、マスクによるパターニングを伴う蒸着法等により、波長分布変換を行う色変換色素を形成することによって、補色層13を不連続な膜として形成する。蒸着は通常の真空蒸着装置を利用して行うことができる。蒸着原料である色変換色素を蒸着させる際、蒸着原料を坩堝に入れて真空中で加熱、蒸発させるが、坩堝材質として、モリブデン、タングステン、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅などの金属類およびそれらを含む合金類、あるいは石英ガラス、窒化硼素、アルミナ、チタニアなどのセラミックや金属酸化物、金属窒化物などを利用できる。
蒸発させるための加熱方法として、電熱線による抵抗加熱方式や電子ビーム加熱方式などを利用できる。蒸着原料の加熱温度は、120℃以上、450℃以下が好ましい。120℃未満の場合は蒸発に時間が掛かり過ぎ、実用的でない。一方、450℃を越えると有機材料系原料では熱分解のおそれが生じてくる。蒸着させる色変換色素は1種であっても、複数種であってもよい。複数種の場合には、各材料の蒸発し易さを考慮し、各材料の蒸発源を分離して共蒸着する方法を取ることができる。材料毎に坩堝に入れ、各蒸発源の温度制御を行うことにより、補色層の組成比率を高精度に調合できる。
基板温度は、本発明の有機EL発光ディスプレイに使用される材料によって適宜決定されるが、材料の性質と製造工程の制約上、50℃ないし100℃が好適である。色変換色素蒸着時の真空蒸着装置内の圧力は、1×10−5Pa〜5×10−4Paの圧力に制御されることが好ましい。
本発明において使用する色変換色素の少なくとも1種は、有機EL素子の発光を吸収して、波長580nm以上の赤色光を発することができることが好ましい。あるいはまた、蒸着した色変換色素の結着性などの補色層13の特性を向上させるために、色変換色素と共に他の材料を共蒸着してもよい。色変換色素と共に共蒸着できる材料としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)またはトリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(Almq)のようなアルミニウム錯体、4,4´−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)、2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェンなどの材料を挙げることができる。
補色層13を蒸着法で形成する際にパターニング用に用いるマスクとしては、構成される有機EL発光ディスプレイの画面を肉眼で見た際に、マスクによって形成される不連続な蒸着膜が、色むらとして識別されないようにするためのパターンを有していることが必要である。このためには、図6に例示するように、幅5〜50μmのストライプ状の蒸着膜が幅5〜10μmの間隔を空けてカラーフィルター層12(存在する場合には第1平坦化層15)上に形成されるようなパターンを有するマスクが好ましい。マスクのパターンとしては、ストライプ状のみに限定されるものでない。上記の機能を有するパターンであれば、例えば、格子状〈図7〉や千鳥状〈図8〉のパターンも利用できる。
ここで、補色層13を蒸着法で形成する際に、マスクによるパターニングを伴わせなかった場合、補色層13はカラーフィルター層12(存在する場合には第1平坦化層15)上の全面にわたって形成されるため、ガスバリア層14とカラーフィルター層12(存在する場合には第1平坦化層15)に挟まれた積層構造中に、有機物の蒸着膜(補色層13)が存在することになる。一般に、有機物の蒸着膜は、機械的強度が小さく、さらに、これを挟むガスバリア層14とカラーフィルター層12(存在する場合には第1平坦化層15)とは異なる線膨張係数を有するため、積層構造中では応力ストレスによって蒸着膜の損傷が起こる。
また、該蒸着膜は、下地となるカラーフィルター層12(存在する場合には第1平坦化層15)との密着性が小さく、補色層13とガスバリア層14とカラーフィルター層12(存在する場合には第1平坦化層15)との間での機械的な剥離を引き起こす。これは、逐次積層構造を形成することによって構成する有機発光デバイスを製造する上で、歩留まりの低下や、駆動による画素欠陥の発生とこれによる寿命の低下を引き起こす原因となる。
本発明では、蒸着膜(補色層13)を不連続に形成することにより、蒸着膜(補色層13)とこれを挟む上下の層、例えばガスバリア層14とカラーフィルター層12(存在する場合には平坦化層15)との線膨張係数の差異による応力を緩和し、蒸着膜(補色層13)の損傷が防止される。さらに、ガスバリア層14がカラーフィルター層12(存在する場合には第1平坦化層15)に直接配設される部分を持つ構造をとることによって、層間の密着性が確保され、剥離の問題が回避される。これにより、有機ELディスプレイのパネルを歩留まりよく製造することが可能となり、さらに、駆動による画素欠陥の発生とこれによる寿命の低下を防止することができる。
補色層13の膜厚は、色変換色素の濃度消光の影響を抑えうる濃度で、十分にEL光を吸収できる量の色素を補色層13に含有させられるように決定されるため、色変換色素として用いる色素の濃度消光の起こしやすさとモル吸光係数によって、設定すべき膜厚は異なってくる。しかしながら、色変換色素/マトリクス樹脂の組成物を塗布し、乾燥するウェットプロセスによって膜形成される従来型の色変換層の一般的な膜厚である数μm〜十数μmと比較すれば格段に薄いことから、透明電極および反射電極の断線または短絡などの故障を引き起こすような段差を緩和した構造となっている。したがって、補色層の上に平坦化のための層を設けないことも可能となる。
なお、補色層13の膜厚が300nm以上となる場合には、補色層13の上に1〜2μmの第2平坦化層を設けることもできる。構成例を図4及び5に示す。図4は透明基板11、カラーフィルター12、第1平坦化層15、補色層13、第2平坦化層16、ガスバリア層14を形成しさらに有機EL素子を形成したものである。図5は、第1平坦化層を形成せずに、透明基板11、カラーフィルター12、補色層13、第2平坦化層16、ガスバリア層14を順に形成しさらに有機EL素子を形成したものである。このようにすることでガスバリア層の上平面の平坦性をさらに高めることができる。
有機EL素子からの光が第2平坦化層を通って外部へと放射される点から、第2平坦化層の材料は、優れた光透過性を有すること(波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の高い透過率を有すること。)が好ましい。
第2平坦化層16は、一般的には塗布法(スピンコート、ロールコート、ナイフコートなど)で形成される。その際、適用可能な材料としては、熱可塑性樹脂(ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体(ポリビニルブチラールなど)、ポリフェニレンエーテル、ノルボルネン系樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系樹脂)、非感光性の熱硬化型樹脂(アルキッド樹脂、芳香族スルフォンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、または光硬化型樹脂を用いることができる。
また、色変換色素/マトリクス樹脂の組成物の塗布・乾燥によって形成される従来型の色変換層においては、その層中に有機EL素子の劣化を引き起こす水分を包含するおそれがある。しかしながら、本発明の補色層はドライプロセスである蒸着法を用いて形成されるので、そのような水分を包含するおそれがなく、したがって、有機EL素子の劣化の原因となることもない。
ガスバリア層14は、カラーフィルター層12から有機EL層側への水分の透過を阻止するとともに、その上に形成される有機EL素子の透明電極21の形成プロセスから補色層13を保護するための層である。したがって、ガスバリア層14は、水分、酸素および低分子成分に対するバリア性を有する材料で形成される。
さらに、ガスバリア層14は、有機EL層22の発光を補色層13側に効率よく透過させるために、その発光波長域において透明であり、かつ(補色層13の屈折率)<(ガスバリア層14の屈折率)の関係を満たすことが好ましい。透明性に関して、ガスバリア層14は400〜800nmの範囲で50%以上の高い透過率を有することが好ましい。また、補色層13および透明電極21の代表的材料を考慮すると、ガスバリア層14の材料の屈折率は、1.9以上であることがより好ましく、2.2以下であることがさらに好ましい。ガスバリア層14として好適な材料は、SiN,SiNH,AlNなどを含む。
ガスバリア層14は、100nm〜2μm、より好ましくは100nm〜300nmの範囲内の膜厚を有して、補色層13上の全面にわたって形成される。
ガスバリア層14は、ドライプロセスであるスパッタ法またはCVD法を用いて形成することができる。スパッタ法は、高周波スパッタ法であっても、マグネトロンスパッタ法であってもよい。また、CVD法は、プラズマCVD法であることが好ましい。本工程におけるプラズマの発生手段としては、高周波電力(容量結合型または誘導結合型のいずれであってもよい)、ECR、へリコン波などの当該技術で知られている任意の手段を用いてもよい。また、高周波電力として、工業用周波数(13.56MHz)の電力に加えて、UHFまたはVHF領域の周波数の電力を用いることも可能である。本発明におけるSi源としては、SiH、SiHCl、SiCl、Si(OCなどを使用することができ、Al源としては、AlCl、Al(O−i−Cなどを使用することができる。また、本発明におけるN源としては、NHを使用することが便利である。
本発明に使用することができる有機EL素子は、一対の電極の間に有機EL層を挟持し、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じ、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有している。あるいはまた、正孔の注入および輸送の両方の機能を有する正孔注入輸送層、電子の注入および輸送の両方の機能を有する電子注入輸送層を用いてもよい。
具体的には、有機EL素子は下記のような層構成からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子輸送層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の層構成において、陽極および陰極は、それぞれ透明電極または反射電極のいずれかである。当該技術において、陽極を透明にすることが容易であることが知られており、本発明においても陽極を透明電極とし、陰極を反射電極として用いることが好ましい。透明電極は、有機EL層の発する光の領域において透明であることが好ましい。
前記有機EL層の各層の材料としては、公知のものが使用される。例えば、有機発光層として青色から青緑色の発光を得るためには、例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。
透明電極21としては、波長400〜800nmの光に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の高い透過率を有することが好ましい。透明電極21は、ITO(In−Sn酸化物)、NESA膜、Sn酸化物、IZO(In−Zn酸化物)、Zn酸化物、Zn−Al酸化物、Zn−Ga酸化物、または、これらの酸化物に対してF,Sbなどのドーパントを添加した導電性透明金属酸化物を用いて形成することができる。
透明電極21は、蒸着法、スパッタ法または化学的気相体積(CVD)法を用いて形成され、好ましくはスパッタ法を用いて形成される。また、後述するように複数の部分電極からなる透明電極21が必要になる場合には、導電性透明金属酸化物を全面にわたって均一に形成し、その後に所望のパターンを与えるようにエッチングを行って、複数の部分電極からなる透明電極21を形成してもよい。あるいはまた、所望の形状を与えるマスクを用いて複数の部分電極からなる透明電極21を形成してもよい。
透明電極21を陰極として用いる場合、有機EL層22との界面にバッファ層を設けて、電子注入効率を向上させることが好ましい。バッファ層の材料としては、Li,Na,KまたはCsなどのアルカリ金属、Ba,Srなどのアルカリ土類金属またはそれらを含む合金、希土類金属、あるいはそれらの金属フッ化物などを用いることができるが、それらに限定されるものではない。バッファ層の膜厚は、駆動電圧および透明性等を考慮して適宜選択することができるが、通常の場合には10nm以下であることが好ましい。
反射電極23は、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al,Ag,Mo,W,Ni,Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP,NiB,CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。反射電極23を陰極として用いてもよいし、陽極として用いてもよい。
反射電極23を陰極として用いる場合には、反射電極23と有機EL層22との界面に前述のバッファ層を設けて、有機EL層22に対する電子注入効率を向上させてもよい。あるいはまた、反射電極23を陰極として用いる場合、前述の高反射率金属、アモルファス合金、微結晶性合金に対して、仕事関数が小さい材料であるLi,Na,Kなどのアルカリ金属、Ca,Mg,Srなどのアルカリ土類金属を添加して合金化し、電子注入効率を向上させることができる。反射電極23を陽極として用いる場合には、反射電極23と有機EL層22との界面に導電性透明金属酸化物の層を設けて、有機EL層22に対する正孔注入効率を向上させてもよい。
反射電極23は、用いる材料に依存して、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)、スパッタ、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。後述するように、複数の部分電極からなる反射電極23が必要になる場合には、所望の形状を与えるマスクを用いて複数の部分電極からなる反射電極23を形成してもよい。あるいはまた、有機EL層22の積層前に、逆テーパー状の断面形状を有する分離隔壁(不図示)を形成し、それによって分離される複数の部分電極からなる反射電極23を形成してもよい。
有機EL素子中に複数の独立した発光部を形成するために、透明電極21および反射電極23のそれぞれは、平行なストライプ状の複数の部分から形成され、透明電極21を形成するストライプと反射電極23を形成するストライプとが互いに交差(好ましくは直交)するように形成することが好ましい。このようにすることで、有機EL素子はマトリクス駆動を行うことができる。すなわち、透明電極21の特定のストライプと、反射電極23の特定のストライプに電圧が印加された時に、それらのストライプが交差する部分において有機EL層22が発光する。
あるいはまた、一方の電極(たとえば、透明電極21)を、ストライプパターンを持たない一様な平面電極とし、および他方の電極(たとえば、反射電極23)を各発光部に対応するような複数の部分電極にパターニングしてもよい。その場合には、各発光部に対応する複数のスイッチング素子を設けて、各発光部に対応する前記の部分電極に1対1で接続して、いわゆるアクティブマトリクス駆動を行うことが可能になる。
透明基板11は可視光透過率に優れ、また、有機EL発光ディスプレイの形成プロセスにおいて、有機EL発光ディスプレイの性能低下を引き起こさないものであればよい。好ましい透明基板は、ガラス基板、およびポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などの樹脂で形成された剛直性の樹脂基板を含む。あるいはまた、ポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などから形成される可撓性フィルムを、基板として用いてもよい。ガラス、ならびにポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。ホウケイ酸ガラスまたは青板ガラス等が特に好ましいものである。
本発明におけるカラーフィルター層12は、入射光を分光して、所望される波長域の光のみを透過させる層である。図1、2の構成では赤色カラーフィルター層12R、緑色カラーフィルター層12Gおよび青色カラーフィルター層12Bの3種のカラーフィルター層を用いているが、必要に応じて1種、2種、または4種以上のカラーフィルター層を用いてもよい。
カラーフィルター層12は、所望の吸収を有する染料または顔料を高分子のマトリクス樹脂中に分散させたものであり、市販のフラットパネルディスプレイ用材料などの当該技術において知られている任意の材料、例えば、液晶用カラーフィルター材料(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製カラーモザイクなど)を用いて形成することができる。本発明におけるカラーフィルター層12は、所望される波長域の光を高い色純度で得るために、0.5〜5μm、より好ましくは1〜3μmの膜厚を有する。
本発明のカラーフィルター層12は、液体状材料(溶液または分散液)の塗布、光パターニング、現像液による不要部分の除去を含むウェットプロセスを用いて形成することが、必要とされる高精細度を実現する上で好ましい。ウェットプロセスによる形成終了後に、透明基板11およびカラーフィルター層12を高温加熱して、カラーフィルター層12中に残存する水分を十分に除去することが、有機EL発光ディスプレイ完成品の安定性を向上させるために好ましい。
図1、2には例示していないが、各カラーフィルター層12の間隙に、光を透過させないブラックマトリクスを形成してもよい。ブラックマトリクスは、カラーフィルター層12と同様に、市販のフラットパネルディスプレイ用材料などの当該技術において知られている任意の材料を用い、ウェットプロセスにて作製することができる。ブラックマトリクスは有機EL発光ディスプレイのコントラスト比を向上させることに加えて、カラーフィルター層12により形成される段差を低減させることにも有効である。
ブラックマトリクスを設ける場合には、ブラックマトリクスを先に形成してもよいし、カラーフィルター層12を先に形成してもよい。ここで、ブラックマトリクスの一部とカラーフィルター層12の一部とを重畳(オーバーラップ)させて、有機EL素子からの光が必ずカラーフィルター層12を通過して出射するようにしてもよい。ブラックマトリクスを形成する場合には、前述の水分除去のため、高温加熱工程は、全てのカラーフィルター層12およびブラックマトリクスの形成後に行うことが好ましい。
第1平坦化層15はカラーフィルター層12によってもたらされる段差を補償するための層である。また、有機EL素子からの光が第1平坦化層15を通って外部へと放射される点から、第1平坦化層15の材料は優れた光透過性を有すること、即ち波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の高い透過率を有することが好ましい。
第1平坦化層15は、一般的には塗布法(スピンコート、ロールコート、ナイフコートなど)で形成される。その際、適用可能な材料としては、熱可塑性樹脂(ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体(ポリビニルブチラールなど)、ポリフェニレンエーテル、ノルボルネン系樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系樹脂)、非感光性の熱硬化型樹脂(アルキッド樹脂、芳香族スルフォンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、または光硬化型樹脂を用いることができる。
第1平坦化層15を形成した後に、透明基板11、カラーフィルター層12および第1平坦化層15の積層体(存在する場合にはブラックマトリクスを含む)を高温加熱して、カラーフィルター層12および第1平坦化層15中に残存する水分を十分に除去することが、有機発光デバイスの安定性を向上させるために好ましい。あるいはまた、第1平坦化層15を形成する前にカラーフィルター層12(存在する場合にはブラックマトリクスを含む)を高温加熱して、カラーフィルター層12中の水分の除去を行い、さらに、第1平坦化層15の形成後に再び高温加熱して、第1平坦化層15中に残存する水分の除去を行ってもよい。
第1平坦化層15は、カラーフィルター層12とオーバーラップしていない領域において、0.5〜3μm、より好ましくは1〜2μmの膜厚を有して、複数種のカラーフィルター層によってもたらされる段差を補償し、平坦な上平面を提供することができる。
以下、有機発光デバイスの実施例を用いてさらに詳細に説明する。
以下、実施例1において、図1を参照することとする。なお、ブラックマトリクスは図示されていない。
厚さ0.7mmのガラス基板11を純水中で超音波洗浄し、乾燥させた後に、さらにUVオゾン洗浄した。洗浄済ガラス基板に対して、スピンコート法を用いてカラーモザイクCK−7800(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を塗布し、フォトリソグラフ法を用いてパターニングを行い、幅0.03mm、膜厚1μmの複数のストライプ状部分がピッチ0.11mmで配列されているブラックマトリクスを形成した。
引き続いて、赤色、緑色および青色の各カラーフィルター層を、それぞれカラーモザイクCR−7001、CG−7001、およびCB−7001を用いて形成した。それぞれのカラーフィルター層材料を塗布した後に、フォトリソグラフ法によるパターニングを行って、幅0.10mm、ガラス基板11上の膜厚1μmの複数のストライプ状部分がピッチ0.33mmで配列されている赤色カラーフィルター層12R、緑色カラーフィルター層12G,および青色カラーフィルター層12Bを形成した。この構造において、ブラックマトリクスの複数のストライプ状部分のそれぞれは、その両辺から0.01mmの領域において、カラーフィルター層12のいずれかにオーバーラップされた。
次に、透明保護コーティング剤NN810L(JSR製)をスピンコート法によって塗布し、フォトリソグラフ法を用いてパターニングを行い、カラーフィルター層12およびブラックマトリクスを覆う第1平坦化層15を形成した。ブラックマトリクスと接触する領域における平坦化層15の膜厚は1.5μmであった。
以上のようにして得られた第1平坦化層15以下の層を有する基板を、乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下。)下、30分間にわたって200℃に加熱して、残存する可能性のある水分を除去した。
次いで、第1平坦化層15を形成した基板を、真空蒸着装置内の上方にある抵抗加熱方式の熱板に装着すると共に、パターニング用のマスクを基板の下面に密接して据え付けた。他方、補色層の材料である色変換色素(DCM−1)をモリブデン製坩堝に入れ、真空蒸着装置内の下方の前記基板と向かい合う位置に設置し、坩堝の周囲に加熱用のシースヒーターを装着した。基板と坩堝との間隔は基板長さの4倍とした。そして、装置内を減圧し、比例制御式温度コントローラーを利用して基板を70℃に維持した。
装置内が1×10−4Paの圧力に達してから、色変換色素(DCM−1)を入れた坩堝を340℃に加熱し、0.3Å/sの蒸着速度にてDCM−1を蒸着し、膜厚200nmの補色層13を形成した。ここで、パターニング用のマスクとしては、幅50μmのストライプ状の蒸着膜が、幅10μmの間隔を空けて第1平坦化層15上に形成されるようなパターンを有する図6に示す形状のマスクを用いた。別途、ガラス基板上に同条件でDCM−1膜を形成し、屈折率を測定したところ、本実施例の補色層13が1.9の屈折率を有することが明らかとなった。
そして、プラズマCVD法を用いて膜厚300nmのSiNH膜を積層して、ガスバリア層14を得た。原料ガスとして100SCCMのSiH、500SCCMのNH、および200SCCMのNを用い、ガス圧を80Paとした。また、プラズマ発生用電力として、13.56MHzのRF電力を0.5kW印加した。
以上のように形成したガスバリア層の上に、有機EL素子を形成した。最初に、DCスパッタ法を用いて膜厚200nmのIZO膜を成膜した。ターゲットとして、In−Zn酸化物を用い、スパッタガスとしてOおよびArを用いた、次いで、シュウ酸水溶液をエッチング液として用いるフォトリソグラフ法によってパターニングを行い、透明電極21を得た。透明電極21は、カラーフィルター層12の上方に位置し、カラーフィルター層12のストライプと同一方向に伸びる複数のストライプ状部分(幅0.1mm、ピッチ0.11mm)から形成された。
次いで、絶縁性コーティング剤フォトニース(東レ株式会社製)を用いてポリイミド膜を形成し、フォトリソグラフ法を用いて、透明電極の各ストライプ状部分の上に幅0.1mm、長さ0.3mmの開口部(有機EL素子の発光部となる部分)が長さ方向のピッチ0.33mmで配置された絶縁膜を形成した。
引き続いて、反射電極分離隔壁の形成を行った。ネガ型フォトレジスト(ZPN1168(日本ゼオン製))をスピンコート法によって塗布し、プリベークを実施し、フォトマスクを用いて透明電極21のストライプと直交する方向に伸びるストライプ形状のパターンを焼き付け、110℃のホットプレート上で60秒間にわたってポストエクスポージャベークを行い、現像を行い、最後に160℃のホットプレート上で15分間にわたって加熱を行い、反射電極分離隔壁を形成した。得られた反射電極分離隔壁は、逆テーパー状の断面形状を有し、透明電極21のストライプと直交する方向に伸びる複数のストライプ形状部から構成された。
以上のように、反射電極分離隔壁を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層として膜厚100nmの銅フタロシアニン(CuPc)、正孔輸送層として膜厚20nmの4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、発光層として膜厚30nmのDPVBi、および電子注入層として膜厚20nmのAlqを積層して、有機EL層22を得た。
この後、真空を破ることなしに、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比)膜を堆積させ、幅0.30mm、ピッチ0.33mmの複数のストライプ形状の部分電極からなる反射電極23を得た。
こうして得られたデバイスを、グローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下。)下において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止して、有機発光デバイスを得た。
得られたデバイスを、輝度1000cd/mで白色(初期色度(CIE)、x=0.31、y=0.33)発光する条件にて5,000時間にわたって連続駆動したが、ダークエリアの発生は観測されなかった。
以下、実施例2において、図4を参照することとする。なお、ブラックマトリクスは図示されていない。
補色層13の膜厚を1μmとし、補色層13の形成後に第2平坦化層16を設けたことを除いて、実施例1と同様の手順を繰り返して有機発光デバイスを得た。ここで、第2平坦化層は、補色層13の形成後に、透明保護コーティング剤NN810L(JSR製)をスピンコート法によって膜厚1.5μmとなるよう塗布した。
得られたデバイスを、輝度1000cd/mで白色(初期色度(CIE)、x=0.31、y=0.33)発光する条件にて5,000時間にわたって連続駆動したが、ダークエリアの発生は観測されなかった。
以下、実施例3において、図2を参照することとする。なお、ブラックマトリクスは図示されていない。
第1平坦化層15を形成しなかったことを除いて、実施例1と同様の手順を繰り返して有機発光デバイスを得た。得られたデバイスを、輝度1000cd/mで白色(初期色度(CIE)、x=0.31、y=0.33)発光する条件にて5,000時間にわたって連続駆動したが、ダークエリアの発生は観測されなかった。
以下、実施例4において、図5を参照することとする。なお、ブラックマトリクスは図示されていない。
第1平坦化層15を形成しなかったことを除いて、実施例2と同様の手順を繰り返して有機発光デバイスを得た。得られたデバイスを、輝度1000cd/mで白色(初期色度(CIE)、x=0.31、y=0.33)発光する条件にて5,000時間にわたって連続駆動したが、ダークエリアの発生は観測されなかった。
(比較例1)
補色層13を形成する際にパターニング蒸着用のマスクを用いなかったことを除いて実施例1と同様の手順を繰り返して有機発光デバイスを得た。しかしながら、補色層13と第1平坦化層15との密着性が不良で、補色層13が部分的に剥離してしまう箇所があった。また、駆動に伴って補色層13の剥離に伴う部分的に非点灯画素の発生が観測された。
本発明の実施例1の有機発光デバイスの構造を示す模式的断面図である。 本発明の実施例3の有機発光デバイスの構造を示す模式的断面図である。 ウェットプロセスによって形成された色変換層をもつ、従来の色変換方式の有機発光デバイスの構造を示す模式的断面図である 本発明の実施例2の有機発光デバイスの構造を示す模式的断面図である。 本発明の実施例4の有機発光デバイスの構造を示す模式的断面図である。 補色層形成する際のパターニング用ストライプ状マスクの模式図である。 補色層形成する際のパターニング用格子状マスクの模式図である。 補色層形成する際のパターニング用千鳥状マスクの模式図である。
符号の説明
11 透明基板
12R、12G、12B カラーフィルター層
13 補色層
14 ガスバリア層
15 第1平坦化層
16 第2平坦化層
21 透明電極
22 有機EL層
23 反射電極
31 透明基板
32R、32G、32B カラーフィルター層
33R、33G、33B 色変換層
34 平坦化層
35 ガスバリア層
41 透明電極
42 有機EL層
43 反射電極

Claims (8)

  1. 透明基板と、補色層と、有機EL素子を備えた発光デバイスであって、
    前記補色層は、蒸着法を用いて貫通部を画素内に有して形成され、
    前記有機EL素子が発する光の少なくとも一部を吸収して吸収波長と異なる波長分布の光を発し、
    前記補色層を挟む上下の層が前記貫通部で直接接合する部位を有することを特徴とする有機発光デバイス。
  2. 前記透明基板と補色層の間に互いに分離して配列された1種以上のカラーフィルター層、および前記補色層と有機EL素子の間にガスバリア層をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光デバイス。
  3. 前記カラーフィルターと補色層の間に第1平坦化層をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の有機発光デバイス。
  4. 前記補色層とガスバリア層の間に第2平坦化層をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の有機発光デバイス。
  5. 前記補色層と有機EL素子の間にガスバリア層をさらに備え、前記補色層を挟む上下の層が前記透明基板とガスバリア層であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光デバイス。
  6. 前記補色層と有機EL層の間に第2平坦化層とガスバリア層をさらに備え、前記補色層を挟む上下の層が前記透明基板と第2平坦化層であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光デバイス。
  7. 前記補色層がマスクによるパターニングを用いた蒸着法で形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の有機発光デバイス。
  8. 前記補色層が1種または複数種の色変換色素から成ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の有機発光デバイス。
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