JP2008013420A - 熱線反射ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性を損なわずに曇りを除去(消散)することができ、少なくとも1,500〜2,500nmの波長域からなる近赤外線に対して優れた熱線反射性能を有すると共に、安価にかつ安定して供給可能な材料からなる薄膜を備えた熱線反射ガラスを提供する。
【解決手段】本発明の熱線反射ガラス1は、絶縁性と透明性とを兼ね備えた基材2、前記基材の一面を覆うように配され、パターン処理が施された透明性を備えた第一導電部3、前記基材及び前記第一導電部を覆うように配され、絶縁性と透明性とを兼ね備えた第一保護層4、並びに、前記第一保護層を覆うように配され、波長2000nmの近赤外線に対して30%以上の反射率を有するフッ素添加スズ膜からなる透明性を備えた第二導電部5、を少なくとも具備したことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱線反射ガラスに係り、より詳細には、曇り防止機能とともに、優れた透過率と熱線反射特性を兼ね備えた、熱線反射ガラスに関する。本発明に係る熱線反射ガラスは、自動車用リアガラスやフロントガラス、サイドガラス、サイドミラー、各種建造物の窓ガラス、各種用途の鏡、などに好適である。
従来、曇り防止機能を有するガラスとして、ガラス上に導電性ペーストや導電性樹脂により回路を形成して発熱体とし、この発熱体への通電に対する発熱によって、ガラスの表面温度を露点以上の温度に加熱し、室内蒸気による曇りを気化消散する技術が提案されている(たとえば、特許文献1、2を参照)。
ところが、このような曇り防止ガラスは、回路配線が見えるため視界を悪くするため、特に自動車などの用途に供するガラスとしては好ましくない。
また、赤外線の反射性能を備える熱線反射を行なうガラスとして、たとえば銀(Ag)やニッケル・クロム(Ni−Cr)等の金属膜を蒸着法等により樹脂フィルム上に形成し、この樹脂フィルムをガラス基材に貼り付けてなる形態のものが知られている。その際、高い熱線反射特性を確保するためには、金属膜をある程度の厚膜とする必要があった。この厚膜化はそのまま透過率の低下に繋がることから、高い透過率と優れた熱線反射性能とを兼ね備えた金属膜の実現は極めて困難であった。また、樹脂フィルム上に形成することから、製造コストを低く抑えられるという利点がある反面、200℃以上の高温雰囲気において使用できないという問題もあった。このような理由から、赤外線の反射性能を備える熱線反射ガラスは、電子レンジ用途には用いられていたが、200℃を超えるような高温雰囲気に曝される電子オーブン等の覗き窓用途には不向きであった。
一方、このような金属膜に代えて導電性を備えた透明酸化膜(以下、透明導電膜とも呼ぶ)を用いる形態も検討されている(たとえば、特許文献3を参照)。透明導電膜は、透明基材に導電性を付与するために、その片方の面または両方の面に形成される。透明基材の透明性を著しく損なわない構造とするために、透明導電膜としては、導電性金属酸化膜からなる薄膜が好適に用いられる。このような導電性金属酸化物としては、たとえばスズ添加酸化インジウム[Indium Tin Oxide(以下、ITOと略す。)]や酸化スズ[SnO(以下、TOとも呼ぶ。)]、フッ素添加スズ[Fluorine doped Tin Oxide(以下、FTOと略す。)]等が挙げられる。
このような透明導電膜は酸化物であるため、200℃以上の温度でも使用できるという長所を備えている。熱線反射性能はキャリアのプラズマ振動に起因するとされ、キャリア密度が高いほど優れた反射性能を示すことが知られている(たとえば、非特許文献1を参照)。
たとえば、スパッタ法により形成されたITO膜(市販品)は、キャリア密度が1.2×1021/cmと透明導電酸化物の中で最高性能を示し、特に1,500〜2,500nmの波長域からなる近赤外線に対する熱線反射性能に優れている。しかしながら、ITO膜は高価なインジウム(In)を含有するため低コスト化が図りにくいと共に、安定供給の面からも不安であった。
一方、CVD法により作製されたFTO膜(市販品)は、高価なInを含まないので安価に製造できるという利点を備えている。しかしながら、前述したITO膜とは異なり、このFTO膜は近赤外線に対して反射率が低いため、熱線反射性能については芳しくなかった。
一般に、電子オーブン等の覗き窓用途を想定した場合、室内蒸気によって曇らず、かつ、1,500〜15,000nmという広範囲な波長域において優れた熱線反射性能を有すると共に、安価にかつ安定して供給される材料からなる熱線反射ガラスが求められており、これに応える透明導電膜の開発が期待されていた。
特開平10−92224号公報 特開2001−23760号公報 特開平6−316441号公報 透明導電膜の技術、オーム社発行、p47−78、第3章
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透明性を損なわずに曇りを除去(消散)することができ、少なくとも1,500〜2,500nmの波長域からなる近赤外線に対して優れた熱線反射性能を有すると共に、安価にかつ安定して供給可能な材料からなる薄膜を備えた熱線反射ガラスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る熱線反射ガラスは、絶縁性と透明性とを兼ね備えた基材、前記基材の一面を覆うように配され、パターン処理が施された透明性を備えた第一導電部、前記基材及び前記第一導電部を覆うように配され、絶縁性と透明性とを兼ね備えた第一保護層、並びに、前記第一保護層を覆うように配され、波長2000nmの近赤外線に対して30%以上の反射率を有するフッ素添加スズ膜からなる透明性を備えた第二導電部、を少なくとも具備したことを特徴とする。
また、本発明に係る熱線反射ガラスは、前記第二導電部を覆うように、紫外線により励起される有機物の除去性と、透明性とを兼ね備えた第二保護層を、さらに具備したことを特徴としている。
また、本発明に係る熱線反射ガラスは、前記第二保護層は、酸化チタン膜、酸化シリコン膜、酸化亜鉛膜、フッ化マグネシウム膜から選択される単層構造又は積層構造をなすことを特徴としている。
また、本発明に係る熱線反射ガラスは、前記第二保護層が積層構造の場合、該積層構造を構成する各膜の厚さは、波長0.1〜0.3μmの紫外線に対して1/4波長をなすことを特徴とする。
また、本発明に係る熱線反射ガラスは、前記第二導電部は、0.2×1021/cm以上のキャリア密度を有することを特徴とすることを特徴としている。
本発明の熱線反射ガラスは、絶縁性と透明性とを兼ね備えた基材の一面を覆うように、パターン処理が施された透明性を備えた第一導電部、この基材及び第一導電部を覆うように、絶縁性と透明性とを兼ね備えた第一保護層、この第一保護層を覆うように、波長2000nmの近赤外線に対して30%以上の反射率を有するフッ素添加スズ膜(FTO膜)からなる透明性を備えた第二導電部、を少なくとも配した構成からなる。
かかる構成によると、本発明の熱線反射ガラスは、第一導電部が、可視域の光を効率良く透過するため視界を遮ることが無く、また、第一導電部への通電による発熱によって室内蒸気による曇りを気化消散することから、透明性を損なわずに曇りを除去することができる。また、本発明の熱線反射ガラスは、第二導電部が、従来の基材上にFTO膜(CVD法)を配してなる熱線反射ガラスに比べて、波長2000nmの近赤外線に対して30%以上の反射率を有することから、優れた熱線反射性能を備えることができる。しかも、この熱線反射ガラスは、高価なInを含まず、安価にかつ安定して供給可能な材料からなるFTO膜のみによって構成されているので、低コスト化とともに製造の安定性も図れる。したがって、本発明に係る熱線反射ガラスは、車載用ガラス又は窓ガラスなどに好適である。
以下、本発明に係る熱線反射ガラスについて図面に基づいて具体的に説明する。なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解するために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の第一の辞し形態に係る熱線反射ガラスを示す平面図であり、図2は、図1に示すI−I線に沿う断面図である。
本発明の第一の実施形態に係る熱線反射ガラス1は、図1及び図2に示すように、基材2と、第一導電部3と、第一保護層4と、第二導電部5と、を少なくとも備える。
基材2は、絶縁性と透明性とを兼ね備えた部材よりなり、たとえばガラス部材や樹脂シートが挙げられる。
第一導電部3は、透明性を備えた曇り防止用の発熱部材であり、基材2の一面を覆うように配され、所定のパターン処理が施されている。第一導電部3としては、たとえばフッ素添加スズ(FTO)を用いることができる。
第一導電部3の形成方法としては、第一導電部3の材料に応じて公知の方法を用いて行なえば良く、たとえばスパッタ法やCVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法などにより、フッ素添加スズ(FTO)などの酸化物半導体からなる薄膜を形成する。そして、第一導電部3は、厚過ぎると光透過性が劣り、一方、薄過ぎると導電性が劣ってしまうこととなるため、光透過性と導電性の両方を考慮して、0.05μm〜2.0μm程度の膜厚に形成するのが好ましい。
このように、透明性を備えた第一導電部3によって回路形成することにより、回路回線が視界を遮ること無く基材2の透明性を保持することができる。
第一保護層4は、絶縁性と透明性とを兼ね備えた部材よりなり、基材2及び第一導電部3を覆うように配されている。この第一保護層4に用いられる材料としては、具体的には、たとえば二酸化ケイ素(SiO)、アルミナ(Al)などが挙げられる。
第一保護層4の形成方法としては、たとえばCVD法(気相成長法)やディップコート法などが挙げられ、その膜厚は、0.01μm〜1.0μm程度に形成するのが好ましい。
第二導電部5は、透明性を備えた熱線反射用の部材であり、第一保護層4を覆うように配され、波長2000nmの近赤外線に対して30%以上の反射率を有するフッ素添加スズ(FTO)膜からなる。スズ添加酸化インジウムは、可視域の光に対しては70%を越える透過性を持つとともに、近赤外域の光はほとんど透過せず、70%を越える反射性を備えているので、可視域の光の透過性に優れ、かつ近赤外域の光の反射性に優れた熱線反射ガラスが得られる。また、第二導電部5は、0.2×1021/cm以上のキャリア密度を有すると望ましい。
このスズ添加酸化インジウムは、たとえばスプレー熱分解法(Spray Pyrolysis Deposition:以下、SPD法という)により形成することができる。SPD法は、加熱した基板に原料液をスプレー塗布することで、基板表面上で熱分解および化学反応を生じさせて成膜する方法であり、大気中での成膜が可能であるため、製造コスト低減の上で好適に用いられる成膜法である。また、第二導電部5の厚さは、厚過ぎると光透過性が劣ったものとなってしまうため、100nm〜1500nm程度が好ましい。
このように構成した熱線反射ガラスは、電気伝導性を有する透明導電体に通電することにより、この第一導電部は、いわゆるヒータとなって熱線反射ガラスを加熱することができるため、曇り止め防止作用を発揮することができる。しかも、外部からの日射エネルギーは室内に取り入れつつ、室内から室外に放射される熱線を遮蔽することができるので、室内環境が快適になり、暖房負荷も軽減されるという利点を有する。
また、この熱線反射ガラスを、たとえば自動車のフロントガラスに適用し、透明導電体を車外に向けて設置した場合は、近赤外線からなる熱線が、直接、透明導電体に入射することになり、透明導電体で反射されずに、一部、吸収された熱エネルギーは車外に放出され易いので、車内温度への影響が低減される。一方、透明導電体をガラス部材の内面側に設けると、例えば、自動車のフロントガラス等に適用した場合、ワイパー等により直接擦られなくなるので、透明導電体の摩滅の虞がなくなる。
次に、図3は、本発明の第二の実施形態に係る熱線反射ガラスを示す断面図である。
第二の実施形態に係る熱線反射ガラス11は、図3に示すように、基材2と、第一導電部3と、第一保護層4と、第二導電部5と、この第二導電部5を覆うように、さらに紫外線により励起される有機物の除去性と、透明性とを兼ね備えた第二保護層6を具備する。
第二保護層6としては、表面に付着した有機物を降雨により容易に洗い流す洗浄効果が期待できる透明膜、具体的に、たとえば酸化チタン膜、酸化シリコン膜、酸化亜鉛膜、フッ化マグネシウム膜から選択される単層構造又は積層構造をなしている。
また、第二保護層6の形成方法としては、第二保護層6の材料に応じて公知の方法を用いて行なえば良く、たとえばCVD法(気相成長法)やスプレーコート法などが挙げられ、その膜厚は、0.2μm〜2.0μm程度に形成するのが好ましい。
これにより、経時により有機物が第二保護層6の表面に付着しても、その表面に紫外線を照射すると、紫外線のエネルギーを利用して有機物の化学結合を切断するとともに、空気中の酸素を励起し励起酸素によって熱線反射ガラスに付着した有機物を分解するため、有機物などによる汚れを防止することができる。
TiO膜からなる第二保護層6も、スズ添加酸化インジウムやフッ素添加酸化スズと同様にスプレー熱分解法により形成することができるので、試料を成膜装置の外に取り出すことなく、原料化合物溶液を酸化チタン用に切り替えることにより引き続いて成膜できることから、製造時間の大幅な短縮が図れる。
また、第二保護層6は、積層構造の場合、該積層構造をなす各膜の厚さを、波長0.1〜0.3μmの紫外線に対して1/4波長をなすものとすると望ましい。
これにより、積層構造をなす第二保護層6が反射防止層として機能し、光透過性が向上すると共に、基材2面の反射が抑制されるものとなる。
また、FTO膜からなる第二導電部5は、0.2×1021/cm以上のキャリア密度を有することが望ましい。かかる構成によると、第二導電部5を設けない場合(基材2と第一導電部3と第一保護層4だけとした場合)に比べて、熱線反射ガラスを通過した直後の温度をおよそ50℃以上も低下させることができる。
また、前述した非特許文献1に記載されているように、キャリアのプラズマ振動による反射が始まる周波数(プラズマ周波数)は、キャリア密度と誘電率を含む次式で表される。
ここで、ωpはプラズマ周波数、nはキャリア密度、qはキャリアの電荷、εは誘電率、mはキャリアの有効質量である。
Figure 2008013420
本発明に係るFTO膜はキャリア密度が高いことから、プラズマ周波数は高く(周波数は短く)なる。ただし、上述した式からも明らかなように、膜の誘電率もプラズマ周波数を決める因子であることから、本発明に係るFTO膜が熱線反射特性に優れるということは、キャリア密度以外に膜の誘電率が小さいことも考えられる。
以下、本発明に係る熱線反射ガラスを作製し、その諸特性を評価した結果について説明するが、これら実験例は、本発明をより理解するために具体的になされたものであり、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
まず、基材2上に、第一導電部3及び第二導電部5として用いるFTO膜を形成するために、以下のようにして原料溶液を調整した。
<FTO原料溶液の調整>
FTO膜の原料となる溶液は、塩化スズ(IV)五水和物(SnCl・5HO、分子量:350.60)0.701gに対してエタノール30%水溶液10mlの割合で溶解し、これにフッ化アンモニウム0.592gの飽和水溶液を加え、個の混合物を超音波にて約20分かけて溶解することにより調整した。
(実験例1)
基材2として300mm角、板厚1.1mmの耐熱ガラス部材を準備し、その一面に、第一導電部3として上記FTO原料溶液を用いて、一方の縁部側から他方の縁部側に向かって当該基材2上に沿って蛇行するパターン処理が施されたFTO膜を設けた後、基材2及び第一導電部3を覆うように、第一保護層4として酸化シリコン層を配し、曇り防止用ガラスを作製した。この際、第一導電部3であるFTO膜は、SPD法(スプレー熱分解法)により形成し、パターン処理は、湿式エッチング法により行なった。また、第一保護層4であるSiO 層は、ゾルゲル法+ディップコート法により形成した。
次に、この曇り防止用ガラスを被処理体として、スプレー熱分解法により薄膜を形成する成膜装置にて、成膜時の被処理体の表面温度を、340℃を中心として290℃〜390℃の温度範囲で変動するように制御して、第二導電部5としてのFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス(試料A)を作製した。
成膜装置は、被処理体を載置する支持手段と、被処理体の一面に向けて上記FTO原料溶液からなるミストを噴霧する吐出手段と、被処理体を上方より加熱する第一加熱手段としての赤外線ランプと、被処理体を下方より加熱する第二加熱手段としてのホットプレートと、第一加熱手段を制御して被処理体の温度を所定の範囲内で変動させる制御手段を備えている。また、FTO膜の成膜条件は、以下の表1に示すとおりである。
Figure 2008013420
なお、赤外線ランプとしては、3相5kWの中波長赤外線ランプ(波長:2.5〜25μm、ランプ長:600mm)を8本、互いに平行に配置したものを、ホットプレートとしては、200V3相5.5kW、プレートの形状が400mm角のものを、それぞれ用いた。
そして、この被処理体の中央部及び四隅等、計8ヵ所に温度センサを取り付け、加温中における被処理体の表面の温度分布を測定し、その平均値を被処理体表面温度とした。
(実験例2)
また、前記曇り防止用ガラスを被処理体として、同成膜装置にて、成膜時の被処理体の表面温度を、350℃を中心として300℃〜400℃の温度範囲で変動するように制御して、第二導電部5としてのFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス(試料B)を作製した。その他の成膜条件は、実験例1と同様としてFTO膜を被処理体上に形成し、試料Bとした。
(実験例3)
また、前記曇り防止用ガラスを被処理体として、同成膜装置にて、成膜時の被処理体の表面温度を、380℃を中心として330℃〜430℃の温度範囲で変動するように制御して、第二導電部5としてのFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス(試料C)を作製した。その他の成膜条件は、実験例1と同様としてFTO膜を被処理体上に形成し、試料Cとした。
(実験例4)
また、前記曇り防止用ガラスを被処理体として、同成膜装置にて、成膜時の被処理体の表面温度を、420℃を中心として380℃〜460℃の温度範囲で変動するように制御して、第二導電部5としてのFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス(試料D)を作製した。その他の成膜条件は、実験例1と同様としてFTO膜を被処理体上に形成し、試料Dとした。
(実験例5)
また、前記曇り防止用ガラスを被処理体として、同成膜装置にて、成膜時の被処理体の表面温度を、380℃一定となるように固定して、第二導電部5としてのFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス(試料E)を作製した。その他の成膜条件は、実験例1と同様としてFTO膜を被処理体上に形成し、試料Eとした。
(比較例1)
また、前記曇り防止用ガラスを被処理体として、スパッタ法により形成されたITO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラスを試料Fとした。
(比較例2)
また、前記曇り防止用ガラスを被処理体として、CVD法により形成されたFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラスを試料Gとした。
そして、試料A〜Eについて、透明性を目視により確認した。
その結果、何れの場合も第一導電部が見えること無く透明であり、回路配線が視界を遮ることは無かった。
次に、図4は、試料A〜Gについて、200〜2400nmの波長範囲における光反射特性を調べた結果を表すグラフである。
図4より、以下の点が明らかとなった。
(1)第二導電部の成膜中に被処理体の温度を変動させてFTO膜を設けた試料A〜Dは、温度を一定に保持した試料Eに比べて、波長2,000nmにおける反射率が増加する。
(2)成膜中に被処理体の中心温度を低くするほど、波長2,000nmにおける反射率が著しく増加する(試料A〜D)。最も中心温度が高い試料Dであっても、CVD法により形成されたFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス(試料G)の2倍程度の反射率が得られる。試料Cでは、1,500nm以上の全域にわたって大幅に反射率が向上し、波長2,000nmにおける反射率は試料Gの4倍を超える。また、最も中心温度が低い試料Aや2番目に中心温度が低い試料Bの場合、スパッタ法により形成されたITO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス(試料F)をも上回る反射率が得られる。
図5は、熱線反射特性を評価するために用いた評価試験装置の概略を示す断面図であり、ランプ照射側にFTO膜の膜面を向け、基材として硼珪酸ガラスを用いた熱線反射ガラス(試料A〜E)を用意した。この熱線反射ガラスを挟んで、ランプと反対側には、カーボン板をアルミナ製の台上に外周域のみ支持されるように設けた。ガラス基材とカーボン板との間隔は20mmとした。温度センサを、図3に示す2箇所の位置α、βに取り付けて、各表面温度を試料Aと、被処理体としての曇り防止用ガラスについて(第二導電部としてのFTO膜を設けない場合に相当する)について測定した。なお、位置α、βは、ガラス基材とカーボン板の対向する側面の中央付近にそれぞれ位置している。
図6は、試料Aと熱線反射ガラスを用い、2箇所の位置α、βにおいて、表面温度を測定した結果を示すグラフである。位置αにおける測定結果についてはそれぞれ、全ての試料に対して加熱後30分の位置に●印を付した。同様に、位置βにおける測定結果については、全ての試料に対して加熱後30分の位置に○印を付した。
図6において、FTO膜と付記した曲線が「試料A」の場合、ガラス基板(膜なし)と付記した曲線が「熱線反射ガラス」の場合を、それぞれ示している。α点(位置α)の方がβ点(位置β)よりランプ近傍となるため、より高い温度まで上昇する傾向をもつ。特に、その傾向は、ガラス基板(膜なし)と付記した曲線の方が、FTO膜と付記した曲線の「試料A」より著しく高い。たとえば、ほぼ温度上昇が飽和したと見なすことができる、加熱後30分(横軸に点線で明示した時間)で比較すると、α点においては約70℃の低温化が図れたことが分かる。その効果は、β点でも確認され、約35℃も低温となることが確認できた。この結果より、本発明に係るFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス(試料A)は、優れた熱線反射特性を有することが明らかとなった。
表2には、図6の結果と、これと同様にして、他の各試料B〜Dについても、加熱後30分経過した時点におけるα点及びβ点の表面温度を調べた結果とを、まとめて示した。
Figure 2008013420
表2から、熱線反射特性は、試料A、試料B、試料C、試料Dの順に高いことが分かる。これは、図4の結果と照合すると、波長2,000nmにおける反射率が高い試料ほど熱線反射機能が優れることが読み取れる。
したがって、以上の結果から、本発明によれば、少なくとも1,500〜2,500nmの波長域からなる近赤外線に対して優れた熱線反射特性を有する熱線反射ガラスが得られることが確認された。
表3には、各試料A〜Dについて、ホール効果測定法によりキャリア密度[×1021/cm]と易動度[cm/V・sec] を測定した結果をまとめて示す。また、FE−SEMによる膜断面観察法により膜厚[nm]を測定し、これらの結果から算出したシート抵抗R[Ω/sq]も掲載した。さらに、透過率(全光線透過率)[%]とヘイズ率[%]についても記載した。
なお、比較のために、試料G[CVD法により形成されたFTO膜を被処理体上に設けてなる熱線反射ガラス]についても同様の評価を行い、表3に併記した。
Figure 2008013420
図7は、各試料A〜Eについてキャリア密度と温度の関係を示すグラフである。温度は加熱後30分の測定結果であり、全ての試料に対して●印がα点を、○印がβ点を、それぞれ表している。
図7及び表3の結果と、図6及び表2の結果とを併せて勘案すると、キャリア密度の大小が熱線反射機能に有効に働いていると推定される。つまり、キャリア密度の大きな試料ほど、優れた熱線反射特性を備えることができると考えられる。
さらに、試料Aを用い、第二導電部5としてのFTO膜上に、酸化チタン膜からなる第二保護層6を配し、曇り防止機能と汚れ防止機能とを備えた熱線反射ガラスを作製し、試料Hとした。この際、第二保護層6である酸化チタン膜は、ゾルゲル法+ディップコート法により形成した。そして、上記試料Aとこの試料Hとを屋外に、1〜200日間放置し、放置後の汚れ具合を目視によって、それぞれ確認した。汚れ具合の確認は、汚れが殆ど認められないものを◎、汚れはあるが洗剤で除去可能なものを○、汚れの除去が困難なものを×で評価し、表4に示した。
Figure 2008013420
その結果、第二導電部5としてFTO膜上に、酸化チタン膜からなる第二保護層6を配することにより、有機物などによる汚れを防止し、透明性を維持できることが分かる。
以上説明したように、本発明の熱線反射ガラスは、曇り防止機能を備え、かつ、熱線を反射できるため、自動車等の車両の窓ガラスやドアガラス、各種建造物の窓ガラスだけでなく、電子レンジやオーブンの窓ガラス、各種用途の鏡、などとしても利用することができる。
本発明の第一の実施形態に係る熱線反射ガラスを示す平面図である。 図1に示すI−I線に沿う断面図である。 本発明の第二の実施形態に係る熱線反射ガラスを示す断面図である。 試料A〜Gについて、200〜2400nmの波長範囲における光反射特性を調べた結果を示すグラフである。 熱線反射特性を評価するために用いた評価試験装置の概略を示す断面図である。 試料Aとガラス基板(膜なし)を用い、2箇所の位置α、βにおいて表面温度を測定した結果を表すグラフである。 試料A〜Eについてキャリア密度と温度の関係を示すグラフである。
符号の説明
1,11 熱線反射ガラス、2 基材、3 第一導電部、4 第一保護層、5 第二導電部、6 第二保護層。

Claims (5)

  1. 絶縁性と透明性とを兼ね備えた基材、
    前記基材の一面を覆うように配され、パターン処理が施された透明性を備えた第一導電部、
    前記基材及び前記第一導電部を覆うように配され、絶縁性と透明性とを兼ね備えた第一保護層、並びに、
    前記第一保護層を覆うように配され、波長2000nmの近赤外線に対して30%以上の反射率を有するフッ素添加スズ膜からなる透明性を備えた第二導電部、
    を少なくとも具備したことを特徴とする熱線反射ガラス。
  2. 前記第二導電部を覆うように、紫外線により励起される有機物の除去性と、透明性とを兼ね備えた第二保護層を、さらに具備したことを特徴とする請求項1に記載の熱線反射ガラス。
  3. 前記第二保護層は、酸化チタン膜、酸化シリコン膜、酸化亜鉛膜、フッ化マグネシウム膜から選択される単層構造又は積層構造をなすことを特徴とする請求項2に記載の熱線反射ガラス。
  4. 前記第二保護層が積層構造の場合、該積層構造を構成する各膜の厚さは、波長0.1〜0.3μmの紫外線に対して1/4波長をなすことを特徴とする請求項3に記載の熱線反射ガラス。
  5. 前記第二導電部は、0.2×1021/cm以上のキャリア密度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱線反射ガラス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010013345A (ja) * 2008-06-30 2010-01-21 Schott Ag 熱放射反射配列構造体、同製造方法、及び同利用方法
WO2012121035A1 (ja) * 2011-03-07 2012-09-13 日本電気硝子株式会社 熱線反射ガラス板
JP2016515950A (ja) * 2013-02-27 2016-06-02 サン−ゴバン グラス フランス 低放射率の多層で被覆された基材

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