JP2008013024A - 車両駆動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機の電動力を利用した運転領域を広くし、発電機の制御時定数より小さい外乱が加わった際に電動機やその取付元に振動が発生することを抑制し、電動機の電動力によって第2車軸を駆動している状態から駆動しない状態に切り換える際に過電流が発生することを防止する。
【解決手段】電動機12の停止制御時に、電動機界磁電流制御手段32により電動機12の界磁電流を低下させながら電動機電機子電流制御手段33により電動機12の電機子電流を制御し、後輪車軸9と電動機12との間のトルク差が電磁クラッチ14において略ゼロになったタイミングで、電動機12から後輪車軸9への駆動力の伝達を遮断するように電磁クラッチ14を開放制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両駆動制御装置に関する。
従来より、第1の駆動制御装置として、内燃機関の動力によって駆動される車軸(以下、第1車軸と表記)とは異なる車軸(以下、第2車軸と表記)を電動機の電動力によって駆動する場合、内燃機関の動力によって駆動される発電機の出力を電動機に供給し、逆に駆動しない場合には、発電機から電動機への出力供給を停止する装置が知られている(特許文献1参照)。また、第2の駆動制御装置として、第2車軸を電動機の電動力によって駆動している状態から駆動しない状態に切り換える際、発電機の発電状態に応じて電動機の界磁電流を低減率を変えながら低減させる装置が知られている(特許文献2参照)。なお、上記第2の駆動制御装置では、第2車軸と電動機との間の電動力伝達経路にクラッチが設けられており、電動機側のトルクと第2車軸側のトルクが略一致、即ち電動力がクラッチ部においてゼロとなるトルク状態においてクラッチを開放するようになっている。
特開平7−231508号公報 特許第3594024号公報
従来の駆動制御装置では、電動機の電動力によって第2車軸を駆動している時はクラッチが締結している状態にあり、クラッチが開放されるまでは電動機の回転数と第2車軸の回転数はほぼ同期する。また、クラッチ開放までの時間は、電動機の電動力によって第2車軸を駆動している状態から駆動しない状態に切り換えた時点から、クラッチ開放の条件である電動力がクラッチ部においてゼロとなるトルク状態になるまでの経過時間によって決まる。従って、第2車軸が高回転加速している状態において上記切り換え動作を行う場合には、クラッチが開放されるまでの間、電動機が過回転状態にならないように上記経過時間を考慮して電動機の電動力による第2車軸の駆動を早めに切り上げる必要がある。このため、従来の駆動制御装置によれば、電動機の電動力を利用した運転領域を広くすることが困難であった。
また、電動機の誘起電圧は回転数と界磁電流によって決まり、電動機の電機子電流は誘起電圧と発電電力によって決まる。このため、発電機の制御時定数より小さい外乱によって電動機の回転数が乱された場合には、電動機の誘起電圧及び電機子電流が乱れ、結果として、電動機の駆動トルクが乱れてしまう。従って、従来の駆動制御装置によれば、第2車軸から発電機の制御時定数より小さい外乱によって電動機の回転数が乱された場合、電動機やその取付元に振動を引き起こす可能性がある。
また、従来の駆動制御装置では、上記切り換え動作を行う際、電動機の駆動トルクが大きく、第2車軸側のトルクが微小である場合、電動機の駆動トルクは微小トルクになるまで低減されることになるが、電動機の駆動トルクを急激に微小トルクにするために界磁電流の低減率を大きくした場合には、電動機の誘起電圧もそれに伴い急激に下がり、この結果、発電機の電力が電機子電流として電動機に流れ込む。このため、従来の電動式車両駆動制御装置によれば、上記切り換え動作の際、過電流が発生することがあり、駆動トルクの制御性を上げることが難しい。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電動機の電動力を利用した運転領域を広くし、発電機の制御時定数より小さい外乱が加わった際に電動機やその取付元に振動が発生することを抑制し、電動機の電動力によって第2車軸を駆動している状態から駆動しない状態に切り換える際に過電流が発生することを防止する車両駆動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両駆動制御装置は、電動機の停止制御時に、電動機の界磁電流を低下させながら電動機の電機子電流を制御し、第2車軸と電動機との間のトルク差がクラッチにおいて略ゼロになったタイミングで、電動機から第2車軸への駆動力の伝達を遮断するようにクラッチを開放制御する。
本発明に係る車両駆動制御装置によれば、発電機の制御時定数より小さい外乱が加わった場合であっても、電動機の電機子電流を制御することにより電動機の駆動トルクを安定させることができるので、電動機やその取付元に振動が発生することを抑制できる。また、本発明に係る車両駆動制御装置によれば、電動機の電動力によって第2車軸を駆動している状態から駆動しない状態に切り換える際に、電動機の電機子電流を制御することにより発電機の電力が電機子電流として電動機に流れ込むことを抑制するので、過電流が発生することを防止できる。また、本発明に係る車両駆動制御装置によれば、クラッチ開放までの時間を短縮することができるので、電動機の電動力を利用した運転領域を広くすることができる。
本発明に係る駆動制御装置は、図1に示すような四輪駆動車両に適用することができる。以下、図面を参照して、本発明の一実施形態となる四輪駆動車両の構成と動作について詳しく説明する。
〔四輪駆動車両の構成〕
本発明の実施形態となる四輪駆動車両(以下、車両と略記)は、図1に示すように、車体1の前部側に回転可能な状態で軸支された前輪車軸2(第1車軸)と、前輪車軸2の両端部に取り付けられた前輪3a,3bと、前輪車軸2の中央部に設けられた差動式の動力伝達機構である前輪側ディファレンシャルギヤ(以下、前輪側DEFと表記)4とを備える。前輪3a,3bは、エンジン5の回転動力が、トルクコンバータ6と変速機機構7からなる自動変速機8により変速されて前輪側DEF4に伝達され、前輪側DEF4から前輪車軸2に伝達されることにより、車両の走行範囲全域において駆動される。即ち、エンジン5,自動変速機8,及び前輪側DEF4により構成される動力系は、前輪駆動車と同じ構成になっており、主駆動系を構成している。なお、自動変速機8は多段又は無段のどちらの形態であってもよい。
上記車両は、車体1の後部側に回転可能な状態で軸支された後輪車軸9(第2車軸)と、後輪車軸9の両端部に取り付けられた後輪10a,10bと、後輪車軸9の中央部に設けられた差動式の動力伝達機構である後輪側ディファレンシャルギヤ(以下、後輪側DEFと表記)11とを備える。前輪10a,10bは、電動機12の回転動力が、減速機13により減速されて電磁クラッチ14を介して後輪側DEF11に伝達され、後輪側DEF11から後輪車軸9に伝達されることにより、発進時から前輪3a,3bの駆動のみによる走行速度に達するまでの間や前輪3a,3bにスリップが発生した場合等、車両の走行範囲の一部領域において駆動される。即ち、電動機12,減速機13,電磁クラッチ14,及び後輪側DEF11により構成される動力系は従駆動系を構成している。なお、減速機13と電磁クラッチ14は後輪側DEF11と一体に設けてもよい。
上記車両のエンジンルーム内には、エンジン5と共に駆動専用発電機(以下、発電機と略記)15が配置されている。発電機15は、エンジン5のプーリ16と発電機15のプーリ17との間に1本のプーリベルト18を掛架させることにより、エンジン5に機械的に連結されている。発電機15は、エンジン5の回転動力を受けて作動し、車両の運転状態に応じた電力を発生する。発電機15を設けることにより、電動機12を駆動するための専用の大容量バッテリを車両に搭載する必要が無くなるので、車載スペースを有効活用することができる。また、エンジンによって前後輪を駆動する従来の機械式四輪駆動車両と比較して、プロペラシャフト等の大掛かり、且つ、高価な装置が不要になるので、従駆動系を簡単、且つ、安価に構成することができる。
上記電動機12は、固定子(界磁)に界磁巻線を備えた直流電動機により構成され、車両の後部座席からトランクルームに至る床下の狭いスペース、且つ、後輪側DEF11近傍に配置される。なお、本実施形態では、界磁巻線型の直流電動機により電動機12を構成したが、界磁巻線型の交流電動機により電動機12を構成してもよい。界磁巻線型の交流電動機により電動機12を構成する場合、交流電動機を駆動するためのインバータ装置(直流電力を交流電力に変換する変換器)が設けられ、発電機15から出力された直流電力は、インバータ装置の入力側(直流側)に直接入力される。電動機12を界磁巻線型の交流電動機により構成することにより、直流電動機よりも大きい駆動力を出力することができる。また、直流電動機よりも高い回転数を出力することができるので、直流電動機を用いた場合よりも大きい走行速度まで後輪車軸9を駆動することができる。
〔制御系の構成〕
上記車両は、制御系として、図1に示すように、エンジン制御部21,変速機制御部22,アンチロックブレーキシステム制御部23,及び四輪駆動制御部24を備え、各部は図示しない車内通信網によって電気的に接続されている。また、各部は、内部に記憶されている各種情報を車内通信網を介した信号伝送により共有することができる。エンジン制御部21は、エンジン5に搭載された絞り弁や燃料噴射弁等のエンジン機器の作動を制御することにより、エンジン5から出力される動力を制御する。変速機制御部22は、変速機機構7の作動を制御することにより自動変速機8から前輪側DEF4に伝達される動力を制御する。アンチロックブレーキシステム制御部23は、前輪3a,3b及び後輪10a,10bのブレーキ力を制御することによりブレーキペダルの強い踏み込みに伴い各車輪がロックすることを回避するアンチロックブレーキシステム(図示せず)の作動を制御する。
四輪駆動制御部24は、図2に示すように、発電機15の電圧調整器の作動を制御することによりバッテリ,車載電装用発電機,又は自己発電の発電電流の一部から発電機15の界磁巻線に供給される界磁電流を制御する発電機界磁電流制御手段31と、バッテリ又は車載電装用発電機から電動機12の界磁巻線に供給される界磁電流を制御する電動機界磁電流制御手段32と、ハーフブリッジ回路(スイッチ回路)を構成するスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の作動を制御することにより発電機15において発電された発電電力を電機子電流として電動機12に供給する電動機電機子電流制御手段33と、電動機12の電機子電流を検出する電流検出手段34と、電動機12の電圧を検出する電圧検出手段35と、電動機12の回転数を検出する回転数検出手段36と、車両の運転状態や電流検出手段34,電圧検出手段35,及び回転数検出手段36により検出された情報に従って発電機界磁電流制御手段31,電動機界磁電流制御手段32,及び電動機電機子電流制御手段33を協調制御する協調制御手段37を備える。
四輪駆動制御部24は、電磁クラッチ14の締結状態(完全締結、すべり締結,切離)を制御する機能を備える。また、四輪駆動制御部24には、エンジン制御部21から車両に対する運転者の要求値であるアクセル開度信号、変速機制御部22からシフトレバーの位置を示すA/Tシフト信号、及びアンチロックブレーキシステム制御部23から前輪3a,3b及び後輪10a,10bの車輪速度値を示す車輪速信号が入力され、四輪駆動制御部24は、入力信号に基づいて発電機15,電動機12,及び電磁クラッチ14の制御に必要な制御値を演算し、各制御対象に対して対応する制御値(制御信号)を出力する。
〔停止制御処理〕
このような構成を有する車両では、四輪駆動制御部24が以下に示す停止制御処理を実行することにより、発電機15の制御時定数より小さい外乱が加わった際に電動機12やその取付元に振動が発生することを抑制すると共に、電動機12の電動力によって後輪車軸9を駆動している状態から駆動しない状態に切り換える際に過電流が発生することを防止する。以下、図3及び図9に示すフローチャートを参照して、第1及び第2の実施形態となる停止制御処理を実行する際の四輪駆動制御部24の動作について説明する。なお、以下では、電動機12が正転状態にあるとして説明を進めるが、電動機12が逆転状態にある場合であっても同様の技術思想により停止制御処理を行うことができる。
〔第1の実施形態〕
図3に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオン状態で四輪駆動制御部24が発電機15,電動機12,及び電磁クラッチ14を制御し、四輪駆動制御を行っているタイミングで開始となり、停止制御処理はステップS1の処理に進む。
ステップS1の処理では、協調制御手段37が、四輪駆動制御部24への入力信号を参照して電動機12の停止指示がなされたか否かを判別し、電動機12の停止指示がなされたタイミング(図4に示す時刻T=T1)において停止制御処理をステップS2の処理に進める。
ステップS2の処理では、協調制御手段37が、現在(図4に示す時刻T=T1)の後輪車軸9側の駆動トルク値(図4(g)参照)を電磁クラッチ14を開放する駆動トルク目標値として算出する。これにより、ステップS2の処理は完了し、停止制御処理はステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、協調制御手段37が、電流検出手段34,電圧検出手段35,及び回転数検出手段36により検出された電動機12の電機子電流,電圧,及び回転数を用いて電動機12の誘起電圧を算出する。これにより、ステップS3の処理は完了し、停止制御処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、協調制御手段37が、ステップS2及びステップS3の処理により算出された駆動トルク目標値及び誘起電圧値を用いて発電機15の発電電力目標値と電動機12の界磁電流目標値及び電機子電流目標値を算出する。これにより、ステップS4の処理は完了し、停止制御処理はステップS5の処理に進む。
ステップS5の処理では、発電機界磁電流制御手段31が、発電機15の発電電力を下げるために、発電電力量がステップS4の処理により算出された発電電力目標値になるように発電機15の界磁電流を制御する(図4(b)参照)。これにより、ステップS5の処理は完了し、停止制御処理はステップS6の処理に進む。
ステップS6の処理では、電動機界磁電流制御手段32が、電動機12の界磁電流を下げるために、界磁電流がステップS4の処理により算出された界磁電流目標値になるように電動機12の界磁電流を制御する(図4(c)参照)。これにより、ステップS6の処理は完了し、停止制御処理はステップS7の処理に進む。
ステップS7の処理では、電動機電機子電流制御手段33が、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4のオン/オフ状態を制御することにより電動機12の電機子電流をステップS4の処理により算出された電機子電流目標値に制御する(図4(a)参照)。具体的には、電動機電機子電流制御手段33は、図5に示すように、スイッチSW1及びスイッチSW4をオフ状態に設定すると共に、スイッチSW2及びスイッチSW3のオン時間を短縮することにより、電動機12の電機子電流を減少させる。なお、電動機12が逆転状態にある場合、電動機電機子電流制御手段33は図6に示すようにスイッチSW1,SW2,SW3,SW4のオン/オフ状態を制御することにより電動機12の電機子電流を制御する。これにより、ステップS7の処理は完了し、停止制御処理はステップS8の処理に進む。
ステップS8の処理では、四輪駆動駆動制御部24が、後輪10a,10bの車輪速信号から算出された車軸トルクと、電流検出手段34,電圧検出手段35,及び回転数検出手段3により検出された電動機12の電機子電流,電圧,及び回転数から算出された電動機12のトルク値とを比較することにより電磁クラッチ14におけるトルク差を算出し、トルク差がゼロであるか否かを判別する。判別の結果、トルク差がゼロでない場合、四輪駆動駆動制御部24は停止制御処理をステップS2の処理に戻す。一方、トルク差がゼロである場合(図4(e),(g)参照)には、四輪駆動駆動制御部24は停止制御処理をステップS9の処理に進める。
ステップS9の処理では、四輪駆動駆動制御部24が、電磁クラッチ14を締結状態から開放状態に切り換える(図4(h)参照)。これにより、ステップS9の処理は完了し、停止制御処理はステップS10の処理に進む。
ステップS10の処理では、電動機電機子電流制御手段33が、電動機12の回転数が上昇することを防止するために、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4のオン/オフ状態を制御することにより電動機12の制動を制御する(図4(f)参照)。具体的には、電動機電機子電流制御手段33は、図7に示すように、スイッチSW1及びスイッチSW2をオフ状態に設定すると共に、スイッチSW3及びスイッチSW4をオン状態に設定することにより、電動機12に制動をかける。これにより、ステップS10の処理は完了し、停止制御処理はステップS11の処理に進む。
ステップS11の処理では、電動機電機子電流制御手段33が、回転数検出手段36の検出結果を参照して電動機12の回転数がゼロになったか否かを判別する。判別の結果、電動機12の回転数がゼロになっていない場合、電動機電機子電流制御手段33は停止制御処理をステップS10の処理に戻す。一方、電動機12の回転数がゼロになった場合には、電動機電機子電流制御手段33は停止制御処理をステップS12の処理に進める。
ステップS12の処理では、発電機界磁電流制御手段31が、発電機15の界磁電流をゼロに制御し、発電機15の発電動作を停止する。これにより、ステップS12の処理は完了し、停止制御処理はステップS13の処理に進む。
ステップS13の処理では、電動機界磁電流制御手段32が、電動機12の界磁電流をゼロに制御し、電動機12の駆動を停止する。これにより、ステップS13の処理は完了し、一連の停止制御処理は終了する。
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態となる停止制御処理では、電動機12の停止制御時に、電動機界磁電流制御手段32により電動機12の界磁電流を低下させながら電動機電機子電流制御手段33により電動機12の電機子電流を制御し、後輪車軸9と電動機12との間のトルク差が電磁クラッチ14において略ゼロになったタイミングで、電動機12から後輪車軸9への駆動力の伝達を遮断するように電磁クラッチ14を開放制御するので、発電機15の制御時定数より小さい外乱が加わった際に電動機12やその取付元に振動が発生することを抑制すると共に、電動機12の電動力によって後輪車軸9を駆動している状態から駆動しない状態に切り換える際に過電流が発生することを防止することができる。またこの結果、図4(h)と図8(h)の比較から明らかなようにクラッチ開放までの時間を短縮することができるので、電動機12の電動力を利用した運転領域を広くすることができる。
また、従来の停止制御処理では、図8(f)に示すように、クラッチ解放後、電動機12の回転数は負荷を失うために上昇するが、本発明の第1の実施形態となる停止制御処理では、クラッチ解放後、電動機電機子電流制御手段33がスイッチSW1,SW2,SW3,SW4のオン/オフ状態を制御することにより電動機12の制動を制御する。従って、本発明の第1の実施形態となる停止制御処理によれば、クラッチ解放後に電動機12の回転音がしたり、電動機12のベアリング摩耗等の劣化が生じることを防止できる。特に、電動機12が整流子(ブラシ)付き電動機により構成されている場合には、ブラシが劣化することを防止できる。
また、本発明の第1の実施形態となる停止制御処理では、電動機12の停止制御時に、電動機界磁電流制御手段32が電動機12の界磁電流を低下させると共に、発電機界磁電流制御手段31が発電機15の発電電力を低下させる。そしてこのような処理によれば、発電機15の余剰電力を低下させ、発電機15の出力電圧を許容電圧以下にすることができるので、発電機15が故障することを防止できる。また、本発明の第1の実施形態となる停止制御処理では、電動機12を構成する整流子の電圧及び電流が所定値以下になるように制御を行うので、整流子部における放電量を低減し、整流子部の放電に伴う整流子の損傷量又は劣化量を低減することができる。
〔第2の実施形態〕
図9に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオン状態で四輪駆動制御部24が発電機15,電動機12,及び電磁クラッチ14を制御し、四輪駆動制御を行っているタイミングで開始となり、停止制御処理はステップS21の処理に進む。なお、ステップS21〜ステップS33の処理は、上記ステップS1〜ステップS13の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略し、ステップS34の処理から説明を始める。
ステップS34の処理は、ステップS28の処理においてトルク差がゼロでないと判断されたタイミングで開始となり、四輪駆動制御部24が、発電機15の出力電圧が所定電圧と同じ若しくはそれ以上であるか否かを判別する。判別の結果、発電機15の出力電圧が所定電圧以下である場合、四輪駆動制御部24は停止制御処理をステップS22の処理に戻す。一方、発電機15の出力電圧が所定電圧と同じ若しくはそれ以上である場合には、四輪駆動制御部24は停止制御処理をステップS35の処理に進める。
ステップS35の処理では、電動機電機子電流制御手段33が、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御することにより、発電機15の発電電力を消費し、発電機15の出力電圧を低下させる。具体的には、電動機電機子電流制御手段33は、図5に示すように、スイッチSW1及びスイッチSW4をオフ状態に設定すると共に、スイッチSW2及びスイッチSW3のオン時間を長くすることにより、電動機12の電機子電流を増加させる。これにより、ステップS35の処理は完了し、停止制御処理はステップS34の処理に戻る。
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態となる停止制御処理では、四輪駆動制御部24が、発電機15の出力電圧が所定電圧と同じ若しくはそれ以上であるか否かを判別し、発電機15の出力電圧が所定電圧と同じ若しくはそれ以上である場合、電動機電機子電流制御手段33が、発電機15出力電圧が所定電圧以下になるように電動機12の電機子電流を制御するので、発電機15の許容電圧まで精度よく電圧を制御することができる。
なお、上記第2の実施形態となる停止制御処理において、電流検出手段34により検出された電流値が所定電流以上である場合や、電動機12の温度が所定温度以上である場合において、上記ステップS35の処理を行うようにしてもよい。また、ステップS34の処理における所定電圧や所定電流を電動機12の整流子の火花の大きさを制限する閾値に設定してもよい。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
本発明は、車両駆動制御装置に適用することができる。
本発明の一実施形態となる四輪駆動処理の構成を示すブロック図である。 図1に示す四輪駆動制御部の内部構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態となる停止制御処理の流れを示すフローチャート図である。 図3に示す停止制御処理を説明するためのタイミングチャート図である。 電動機が正転動作している際に電動機の電機子電流を電機子電流目標値に制御する場合のスイッチング回路の動作を示す図である。 電動機が逆転動作している際に電動機の電機子電流を電機子電流目標値に制御する場合のスイッチング回路の動作を示す図である。 電動機を制動制御する際のスイッチング回路の動作を示す図である。 従来の停止制御処理を説明するためのタイミングチャート図である。 本発明の第2の実施形態となる停止制御処理の流れを示すフローチャート図である。
符号の説明
1:車体
2:前輪車軸
3a,3b:前輪
4:前輪側ディファレンシャルギヤ(前輪側DEF)
5:エンジン
6:トルクコンバータ
7:変速機機構
8:自動変速機
9:後輪車軸
10a,10b:前輪
11:後輪側ディファレンシャルギヤ(後輪側DEF)
12:電動機
13:減速機
14:電磁クラッチ
15:駆動専用発電機
16,17:プーリ
18:プーリベルト
21:エンジン制御部
22:変速機制御部
23:アンチブレーキシステム制御部
24:四輪駆動制御部
31:発電機界磁電流制御手段
32:電動機界磁電流制御手段
33:電動機電機子電流制御手段
34:電流検出手段
35:電圧検出手段
36:回転数検出手段
37:協調制御手段
SW1,SW2,SW3,SW4:スイッチ

Claims (5)

  1. 第1車軸を駆動する内燃機関と、内燃機関により駆動される発電機の発電電力を利用して第2車軸を駆動する電動機と、電動機から第2車軸への駆動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両駆動制御装置であって、
    前記電動機の電機子電流を制御する電動機電機子電流制御手段と、
    前記電動機の界磁電流を制御する電動機界磁電流制御手段と、
    前記電動機の停止制御時に、前記電動機界磁電流制御手段により前記電動機の界磁電流を低下させながら前記電動機電機子電流制御手段により前記電動機の電機子電流を制御し、前記第2車軸と前記電動機との間のトルク差が前記クラッチにおいて略ゼロになったタイミングで、前記電動機から第2車軸への駆動力の伝達を遮断するようにクラッチを開放制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする車両駆動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両駆動制御装置であって、
    前記制御手段は、電動機から第2車軸への駆動力の伝達を遮断するようにクラッチを開放制御した後、前記電動機電機子電流制御手段により電動機の制動制御を行うことを特徴とする車両駆動制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両駆動制御装置であって、
    前記発電機の界磁電流を制御することにより発電機の発電電力を制御する発電機界磁電流制御手段を備え、前記制御手段は、前記電動機の停止制御時に、前記電動機界磁電流制御手段により前記電動機の界磁電流を低下させると共に前記発電機界磁電流制御手段により前記発電機の発電電力を低下させることを特徴とする車両駆動制御装置。
  4. 請求項3に記載の車両駆動制御装置であって、
    前記発電機と前記電動機電機子電流制御手段間の電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段の検出結果を参照して、前記発電機と前記電動機電機子電流制御手段間の電圧が所定電圧以下になるように、前記電動機電機子電流制御手段により電動機の電機子電流を制御することを特徴とする車両駆動制御装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の車両駆動制御装置であって、
    前記電動機は、整流子を備える電動機であり、前記制御手段は、電動機を構成する整流子の電流及び電圧が所定値以下になるように、電動機電機子電流制御手段と電動機界磁電流制御手段により電動機の電機子電流と界磁電流を制御することを特徴とする車両駆動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106004413A (zh) * 2016-06-24 2016-10-12 中国第汽车股份有限公司 四驱电动汽车动力系统及控制方法
CN106335401A (zh) * 2016-09-22 2017-01-18 东莞市港奇电子有限公司 一种电动车的电源管理方法
CN107813696A (zh) * 2016-09-14 2018-03-20 本田技研工业株式会社 混合动力车辆的振动降低装置

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