JP2008011169A - アンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広帯域で、且つ無指向性を実現したアンテナ装置を提供する。
【解決手段】本発明のアンテナ装置1は、アンテナ導体2の両面を挟み込むように、それぞれ比誘電率の異なる第1誘電体層3と第2誘電体層4とを配置することにより、共振点を複数存在させ、これにより広帯域で無指向性のアンテナ装置としたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のアンテナ装置1は、アンテナ導体2の両面を挟み込むように、それぞれ比誘電率の異なる第1誘電体層3と第2誘電体層4とを配置することにより、共振点を複数存在させ、これにより広帯域で無指向性のアンテナ装置としたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、誘電体を用いたアンテナ装置に係り、特に共振点を複数存在させることにより広帯域、且つ無指向性を実現したアンテナ装置に関する。
従来より、誘電体を使ったアンテナ装置の代表的なものとしてパッチアンテナが知られている。パッチアンテナは、小型で薄型の円偏波アンテナとして近年普及しつつあり、このパッチアンテナを適用した機器としては、例えば複数の衛星から到達した電波を受信して、自己の位置を計測するGPS(Global Positioning System)車載器がある。また、上述したGPS車載器と同様に、車内に置かれて使用される装置として、外部装置との間で送受信するETC(Electronic Toll Collection)車載器がある。
このパッチアンテナの基本構成は、図10(a)に示すように、誘電体層101の表面の中央領域にアンテナ導体102を形成したものであり、通常は図10(b)に示すように、導電性のグランド電極103のパターン上に誘電体層101を形成し、さらにその上にアンテナ導体102を形成している(特許文献1〜3参照)。
また、図10(c)に示すように、誘電体層101と比誘電率の異なる誘電体層104を設けることによって誘電体層を複数形成したものもある(特許文献4、5参照)。
このようなパッチアンテナでは、給電線を介してグランド電極103側からアンテナ導体102へ給電されており、アンテナ導体102は所望の周波数で共振するように構成されている。
特開2004−312364号公報
特開2003−110347号公報
特開2004−128600号公報
特開2003−283234号公報
特開2005−86801号公報
上述した従来例のパッチアンテナでは、図10(b)に示すように、グランド電極103が底面に形成されているために指向性アンテナとなっているが、近年需要の増している移動体通信に用いられるアンテナとしては無指向性であることが望ましく、また広帯域であることも求められている。
上述したパッチアンテナのような指向性アンテナを無指向性アンテナにするためには、送信出力をアンテナの表側と裏側の2つに分配する必要がある。しかし、分配回路を設置して送信出力を2つに分配した場合は、送信出力が半分になってしまうという問題点があった。
また、図10(a)、(b)に示すように、誘電体層101が一層だけでは広帯域にできないという問題点があった。
さらに、図10(c)に示すように、比誘電率の異なる誘電体層を複数備えることによって広帯域を実現することは可能であるが、比誘電率の異なる誘電体層を積層すると、それぞれの誘電体層の熱膨張率が異なるため、サイズの大きなアンテナ装置を製造しようとすると誘電体層の剥離や反りが発生してしまい製造が困難となり、信頼性も低下してしまうという問題点があった。
本発明の目的は、広帯域で、且つ無指向性のアンテナ装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明のアンテナ装置は、誘電体を用いたアンテナ装置であって、アンテナ導体の両面に、それぞれ比誘電率の異なる第1誘電体層と第2誘電体層とを、少なくとも一層づつ配置したことを特徴とする。
本発明のアンテナ装置によれば、それぞれ比誘電率の異なる第1誘電体層と第2誘電体層とによってアンテナ導体の両面を挟み込むようにしたので、共振点を複数存在させることができ、これにより広帯域で無指向性のアンテナ装置を実現することができる。
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
図1に示すように、本実施形態のアンテナ装置1は、アンテナ導体2と、このアンテナ導体2の両面を挟み込むようにして配置された第1誘電体層3及び第2誘電体層4とを備えている。
アンテナ導体2は、図示しない給電回路に給電線を介して接続され、所望の共振周波数で共振するように構成されている。これによって、アンテナ導体2は、給電線からの給電あるいは外部からの電磁波により共振周波数で共振することになる。
第1誘電体層3及び第2誘電体層4は、それぞれ異なる比誘電率の誘電体によって構成されている。このように比誘電率の異なる誘電体層を配置することにより、波長短縮効果によって共振点をずらすことが可能となる。この波長短縮効果は周波数が高くなるにつれて効果が小さくなり、逆に比誘電率を大きくすると効果が大きくなる。
また、本実施形態の第1誘電体層3及び第2誘電体層4は、後述するように、ガラスクロスに樹脂を浸透させて固めることにより形成されているが、他の手法により形成したものであってもよい。
次に、アンテナ導体2の形状を図2に基づいて説明する。図2はアンテナ導体2の平面的な配置を示した平面図である。図2に示すように、アンテナ導体2は、所望する共振周波数の電磁波を放射あるいは受信するために必要となるパターンに形成されている。
また、第1誘電体層3と第2誘電体層4との間には、アンテナ導体2と同一面上に四角形状のグランド電極5が形成されている。このように、アンテナ導体2と同一面上にグランド電極5を配置した場合は、グランド電極5をアンテナ導体2と同一プロセスで形成することができるので、製造プロセスの簡素化と工数の削減を図ることが可能となる。
さらに、アンテナ導体2に給電する給電点6が設けられている。この給電点6は、同軸ケーブルなどの給電線によって図示しない給電回路と接続されている。
このように構成された本実施形態のアンテナ装置1において、電波を送信する場合は、図示しない給電回路から給電線を通じて給電点6に高周波電流が供給され、この高周波電流によってアンテナ導体2が所望の共振周波数で共振して外部空間に電磁波を放射する。
一方、電波を受信する場合は、外部空間からの電磁波によってアンテナ導体2が所望の共振周波数で共振し、送信の場合と逆の動作によって電磁波が高周波電流に変換される。
このとき本実施形態のアンテナ装置1では、アンテナ導体2を第1誘電体層3と第2誘電体層4との間に挟み込むように配置するとともに、グランド電極5を第1誘電体層3と第2誘電体層4との間に配置しているため、アンテナ導体2から放射される電磁波は図3に示すようにアンテナ導体2の表面側と裏面側の両方向に放射され、無指向性アンテナとすることができる。
また、本実施形態のアンテナ装置1では、比誘電率の異なる第1誘電体層3と第2誘電体層4とを用いたことにより、共振点をずらすことができ、広帯域化を実現することができる。
ここで、誘電体層が1層のみの場合と比誘電率の異なる誘電体層を2層積層させた場合のリターンロス特性を図4に基づいて説明する。図4に示すように、誘電体層が1層のみの場合には共振点が1つだけであるのに対して、比誘電率の異なる誘電体層を2層積層させた場合にはそれぞれの誘電体層で共振点が異なるため、合成した特性曲線には異なる2つの共振点が存在することになり、1層のみの場合と比較して広帯域になっている。
また、本実施形態のアンテナ装置1では、アンテナ導体2を挟み込むようにして第1誘電体層3と第2誘電体層4とを設けたので、比誘電率の異なる誘電体層が直接積層されることがなく、これによって熱膨張率の違いによる誘電体層の剥離や反りを防止して大きなサイズのアンテナ装置を容易に作成することが可能となり、信頼性も向上させることができる。
このように本実施形態のアンテナ装置1では、それぞれ比誘電率の異なる第1誘電体層3と第2誘電体層4とによってアンテナ導体2の両面を挟み込むようにしたので、共振点を複数存在させることができ、これにより広帯域で無指向性のアンテナ装置を実現させることができる。さらに、誘電体層の剥離や反りを防止して大きなサイズのアンテナ装置を容易に作成することが可能となり、信頼性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、アンテナ導体2の両面に誘電体層をそれぞれ一層配置した例について示したが、誘電体層をそれぞれ2層以上の複数層とし、積層する誘電体層同士は比誘電率の近いものを用いるようにしてもよい。このように誘電体を多層にすると、ずれた共振点ができるため、結果として合成の帯域を広げることができる。
さらに、各誘電体層の比誘電率を調整して、さらに共振点を広げることにより、マルチバンド(多周波共振)化することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図5は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図5は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
図5に示すように、本実施形態のアンテナ装置21は、第1誘電体層3と第2誘電体層4との間に第3誘電体層22を配置するとともに、この第3誘電体層22の比誘電率を第1誘電体層3の比誘電率と第2誘電体層4の比誘電率との間の値に設定したことが第1の実施形態と異なっており、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
本実施形態のアンテナ装置21は、第2誘電体層4の上にアンテナ導体2のパターンを形成し、このアンテナ導体2のパターンをマスキングするようにして第3誘電体層22を形成し、さらにアンテナ導体2の部分はマスキングしたまま第3誘電体層22の上に接着剤を塗布して第1誘電体層3を貼り合わせることにより製造したものである。
また、第3誘電体層22の比誘電率は、第1誘電体層3の比誘電率と第2誘電体層4の比誘電率との間の値になるように設定されている。特に第1誘電体層3の比誘電率と第2誘電体層4の比誘電率の中間の値に設定することによって、第1誘電体層3と第2誘電体層4との間の熱膨張率の違いを緩和することができ、これによって第1誘電体層3と第2誘電体層4との間の剥離や反りを防止し、大きなサイズのアンテナ装置を容易に作成することが可能となり、信頼性を向上させることができる。
このように、本実施形態のアンテナ装置21では、第1誘電体層3と第2誘電体層4との間に第3誘電体層22を配置し、第3誘電体層22の比誘電率を第1誘電体層3の比誘電率と第2誘電体層4の比誘電率との間の値に設定したので、第1誘電体層3と第2誘電体層4との間の剥離や反りを防止し、大きなサイズのアンテナ装置を容易に作成することができ、信頼性を向上させることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。図6は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。図6は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
図6に示すように、本実施形態のアンテナ装置31は、第3誘電体層32を第1誘電体層3と第2誘電体層4との間だけではなく、第1誘電体層3とアンテナ導体2との間にも配置したことが第2の実施形態と異なっており、その他の構成は第2の実施形態と同様である。
ただし、図6ではアンテナ導体2と第1誘電体層3との間に第3誘電体層32を設けているが、アンテナ導体2と第2誘電体層4との間に第3誘電体層32を設けるようにしてもよい。
本実施形態のアンテナ装置31は、第2誘電体層4の上にアンテナ導体2のパターンを形成し、このアンテナ導体2のパターンをマスキングするようにして第3誘電体層32を形成していき、さらにアンテナ導体2の上部にまで形成したら、この第3誘電体層32の上に接着剤を塗布して第1誘電体層3を貼り合わせることによって製造したものである。
このように、本実施形態のアンテナ装置31では、第3誘電体層32を第1誘電体層3とアンテナ導体2との間、あるいは第2誘電体層4とアンテナ導体2との間のいずれかにも配置するようにしたので、第3誘電体層32の比誘電率を調整することによって、アンテナ装置31の特性を仕様に応じて調整することが可能となる。また、第3誘電体層32を設けたことにより、第2の実施形態に比べて熱膨張率の違いをより緩和することができ、第1誘電体層3と第2誘電体層4との間の剥離や反りをより確実に防止することが可能となる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。図7は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
次に、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。図7は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
図7に示すように、本実施形態のアンテナ装置41は、第1誘電体層3をアンテナ導体2の周囲にも形成したことが第2の実施形態と異なっており、その他の構成は第2の実施形態と同様である。
ただし、図7においては、第2誘電体層4を平板状に形成し、第1誘電体層3をアンテナ導体2の周囲に形成しているが、第1誘電体層3を平板状に形成し、第2誘電体層4をアンテナ導体2の周囲に形成するようにしてもよい。
本実施形態のアンテナ装置41は、第2誘電体層4の上にアンテナ導体2のパターンを形成し、このアンテナ導体2のパターンをマスキングするようにして第1誘電体層3を形成していき、さらに、アンテナ導体2の上部に第1誘電体層3を形成して製造したものである。
このように、本実施形態のアンテナ装置41では、第1誘電体層3、あるいは第2誘電体層4のいずれかをアンテナ導体2の周囲に形成するようにしたので、第2及び第3の実施形態のアンテナ装置と比較してコストを低減することが可能となる。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態を図面に基づいて説明する。図8は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
次に、本発明の第5の実施形態を図面に基づいて説明する。図8は本実施形態に係るアンテナ装置の構造を示す側面図である。
図8に示すように、本実施形態のアンテナ装置51は、第1誘電体層3と第2誘電体層4の外側に誘導導体52、53を配置したことが第4の実施形態と異なっており、その他の構成は第4の実施形態と同様である。
ただし、図8においては、第4の実施形態のアンテナ装置41に誘導導体52、53を配置した場合を示しているが、第1〜第3の実施形態で説明したアンテナ装置1、21、31に誘導導体52、53を配置するようにしてもよい。
誘導導体52、53は、銅や金、銀などからなり、これらの材料を誘電体層の表面にメッキすることで形成したものである。その他、ブリキ板を貼り付けて積層したものでもよいし、アルミ蒸着したものであってもよい。通常は銅メッキにすることで、最も低コストに形成することができる。また、誘導導体52、53は、他の導電体や外部回路などには接続されていない。
上記のような誘導導体を誘電体層の外側にそれぞれ配置することにより、誘導導体52、53はアンテナ導体2からのエネルギーを受けてアンテナとして機能することになる。そして、誘導導体52、53をアンテナ導体2よりも平面的に一回り小さくすることによって、高い周波数領域で共振して二次アンテナとして機能させることができる。
これにより、アンテナ装置51の帯域をさらに広げることができ、指向性もさらに強くすることができる。
このように、本実施形態のアンテナ装置51では、第1誘電体層3と第2誘電体層4の外側に誘導導体52、53を配置したので、帯域をさらに広げることができ、指向性もさらに強くすることができる。
次に、本実施形態のアンテナ装置の変形例を図9に基づいて説明する。図9はアンテナ装置の変形例を示す側面図である。
図9(a)に示すアンテナ装置61は、第2誘電体層4の外側にグランド電極62を配置したことが第5の実施形態のアンテナ装置51と異なっており、その他の構成は第5の実施形態と同様である。
このように、本実施形態ではグランド電極62を第2誘電体層4の外側に配置したことにより、指向性は上面方向に限定されている。
また、図9(b)に示すアンテナ装置71は、第1誘電体層3及び誘導導体52の外側に第4誘電体層72を配置したことが図9(a)の変形例と異なっており、その他の構成は図9(a)のアンテナ装置61と同様である。
このように、本実施形態では第4誘電体層72を第1誘電体層3及び誘導導体52の外側に配置したことにより、指向性は上面方向に限定されているものの、さらに広帯域となっている。
1、21、31、41、51、61、71 アンテナ装置
2、102 アンテナ導体
3 第1誘電体層
4 第2誘電体層
5 グランド電極
6 給電点
22、32 第3誘電体層
52、53 誘導導体
62、103 グランド電極
72 第4誘電体層
101、104 誘電体層
2、102 アンテナ導体
3 第1誘電体層
4 第2誘電体層
5 グランド電極
6 給電点
22、32 第3誘電体層
52、53 誘導導体
62、103 グランド電極
72 第4誘電体層
101、104 誘電体層
Claims (6)
- 誘電体を用いたアンテナ装置であって、
アンテナ導体の両面に、それぞれ比誘電率の異なる第1誘電体層と第2誘電体層とを、少なくとも一層づつ配置したことを特徴とするアンテナ装置。 - 前記第1誘電体層と前記第2誘電体層との間に第3誘電体層を配置し、前記第3誘電体層の比誘電率を前記第1誘電体層の比誘電率と前記第2誘電体層の比誘電率との間の値に設定したことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
- 前記第3誘電体層を、前記第1誘電体層と前記アンテナ導体との間、あるいは前記第2誘電体層と前記アンテナ導体との間の配置したことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
- 前記第1誘電体層と前記第2誘電体層との間に第3誘電体層を配置し、前記第3誘電体層の比誘電率を、前記第1誘電体層あるいは前記第2誘電体層のいずれかの比誘電率と同一としたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
- 前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の外側に誘導導体を配置したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
- 前記アンテナ導体と同一面上にグランド電極を配置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
Priority Applications (1)
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2006
- 2006-06-29 JP JP2006179507A patent/JP2008011169A/ja active Pending
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