JP2008010366A - 白金薄膜の製造方法 - Google Patents

白金薄膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008010366A
JP2008010366A JP2006181975A JP2006181975A JP2008010366A JP 2008010366 A JP2008010366 A JP 2008010366A JP 2006181975 A JP2006181975 A JP 2006181975A JP 2006181975 A JP2006181975 A JP 2006181975A JP 2008010366 A JP2008010366 A JP 2008010366A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
platinum
thin film
platinum thin
carbonyl complex
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006181975A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Inoue
博史 井上
Shinji Nohara
愼士 野原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Osaka Prefecture University PUC
Original Assignee
Osaka University NUC
Osaka Prefecture University PUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC, Osaka Prefecture University PUC filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2006181975A priority Critical patent/JP2008010366A/ja
Publication of JP2008010366A publication Critical patent/JP2008010366A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】露出しない白金をできるだけ少なくした白金薄膜の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】白金カルボニル錯体を有機溶媒に溶解させて白金カルボニル錯体溶液を得る工程と、該白金カルボニル錯体溶液を白金よりイオン化傾向の大きな金属基体上に塗布した後、有機溶媒を除去することで白金薄膜を得る工程とを含む白金薄膜の製造方法により上記課題を解決する。
【選択図】図2

Description

本発明は、白金薄膜の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、白金の使用量の低減可能な白金薄膜の製造方法に関する。本発明の方法は、燃料電池用触媒膜の製造方法に好適に使用できる。
近年、地球環境問題が大きくクローズアップされてきている。燃料電池は、その高いエネルギー変換効率が二酸化炭素の排出削減に寄与するだけでなく、地球規模において酸性雨の原因となり、かつ地域社会において大気汚染の原因となるNOx、SOx、塵埃等の排出がほとんどないクリーンな電池である。また、静粛性も高いという利点がある。そのため、21世紀に最適なエネルギー変換装置として期待され、一部実用化されつつある。
燃料電池には、様々な種類が存在するが、その内、固体高分子形燃料電池の構成を図1に示す。燃料電池は、通常、高分子固体電解質膜を一対の電極(酸素極及び水素極)で挟んだ構成を有している。図1中、参照番号1は高分子固体電解質膜としてのイオン交換膜を意味する。イオン交換膜1の両面には酸素極2及び水素極3が備えられている。酸素極2及び水素極3のそれぞれの電極方向の周縁には、ガスケット4と5をそれぞれ備えている。また、酸素極2及び水素極3は、それぞれ集電体6と7に担持されている。
ガスケット4には、酸素極2側に複数の凹部を備えたフレーム8の周縁が接触している。フレーム8と酸素極2との間に、上記凹部に対応する酸素極室9が形成されている。一方、ガスケット5には、水素極3側に複数の凹部を備えたフレーム10の周縁が接触している。フレーム10と水素極3との間に、上記凹部に対応する水素極室11が形成されている。
図1中、12は酸素ガス供給口、13は未反応酸素ガス及び生成水取出口、14は水素ガス供給口、15は未反応水素ガス取出口である。
ここで、酸素極2及び水素極3には、高い触媒活性を示す白金薄膜が通常使用されている。白金薄膜の製造方法としては、電着法、スパッタ法、白金錯体含浸−還元熱分解法、アルコール還元法、ホウ化水素還元法、酸化物気相還元法等の種々の方法が試みられている。
例えば、特開2006−85976号公報(特許文献1)では、白金のカルボニル錯体を還元雰囲気下で熱分解することにより、白金薄膜を形成する方法が報告されている。
特開2006−85976号公報
燃料電池の普及を妨げる一因として、その価格が高いことがよく挙げられている。価格が高い原因は、燃料電池を構成する個々の部材の価格が高いためである。特に、酸素極及び水素極に使用される白金薄膜は、貴金属の膜であり極めて高価である。また、燃料電池において、反応に寄与する白金は、白金薄膜の露出面に存在するもののみであることが知られており、露出しない白金をできるだけ少なくすることが望まれている。
また、燃料電池以外にも白金薄膜を使用する分野(例えば、宝飾分野、理化学機器分野等)において、白金をできるだけ少なくすることが望まれている。
本発明の発明者等は、燃料電池において、電極の活性を低下させる一酸化炭素による白金薄膜の被毒を、白金薄膜の製造に利用することで、白金薄膜の成長を抑制できるのでないかとの発想に基づいて、その発想を具体的に試した結果、意外にも、白金の使用量をできるだけ少なくしつつ、基体全面を覆う白金薄膜を提供できることを見い出すことで本発明に至った。
かくして本発明によれば、白金カルボニル錯体を有機溶媒に溶解させて白金カルボニル錯体溶液を得る工程と、該白金カルボニル錯体溶液を白金よりイオン化傾向の大きな金属基体上に塗布した後、有機溶媒を除去することで白金薄膜を得る工程とを含む白金薄膜の製造方法が提供される。
本発明によれば、白金の使用量を低減しつつ、容易に白金薄膜を形成できる。また、基体の表面を露出させずに、基体全面に白金薄膜を形成できる。
燃料電池の触媒として使用される白金は、一酸化炭素により被毒することで、触媒活性が低下することが知られている。本発明の白金薄膜の製造方法は、この被毒の現象を白金薄膜の製造に利用できるか否か検討した結果見出されている。すなわち、白金カルボニル錯体を有機溶媒に溶解させた溶液を、白金よりイオン化傾向の大きな金属基体上に塗布すると、酸化還元電位の差により、金属基体上に白金薄膜が形成される。形成された白金薄膜は、白金カルボニル錯体の分解により生じる一酸化炭素に被毒され、更なる白金薄膜の積層が妨げられる。つまり、塗膜の厚さを調整しなくても、白金の使用量を低減しつつ、自動的にほぼ均一な厚さの白金薄膜を得ることができる。
以下、本発明の白金薄膜の製造方法を具体的に説明する。
本発明の白金薄膜の製造方法は、白金カルボニル錯体を有機溶媒に溶解させて白金カルボニル錯体溶液を得る工程と、白金カルボニル錯体溶液を白金よりイオン化傾向の大きな金属基体上に塗布した後、有機溶媒を除去することで白金薄膜を得る工程とを含む。
まず、白金カルボニル錯体は、白金化合物の水溶液中の白金と一酸化炭素とを反応させることで通常得られる。白金化合物としては、水に溶解する白金化合物であれば特に限定されない。ここで、水に溶解する程度は、1mM以上であることが好ましい。例えば、K2PtCl6、Na2PtCl6、K2PtBr6、K2PtBr6、(NH42PtCl6、(NH42PtBr6、K2PtCl4、Na2PtCl4、K2PtBr4、K2PtBr4、(NH42PtCl4、(NH42PtBr4等のM2PtX6又はM2PtX4(Mはアルカリ金属、アンモニウム基又は水素であり、Xはハロゲン原子から選択される)で表される化合物が挙げられる。これら化合物以外に、Pt(NH32Cl4等が挙げられる。また、水に溶解しさえすれば、白金の有機化合物も使用可能である。
白金化合物の水溶液において、白金化合物の濃度は、白金薄膜を得ることができさえすれば特に限定されない。好ましい濃度は1〜10mMである。この濃度の範囲内であれば、水溶液の調製が容易であるという利点を有する。また、より好ましい濃度は2〜5mMである。ここで、白金化合物の基体表面あたりの濃度を低くすれば、島状の白金薄膜を得ることができる。このような白金薄膜は、白金の使用量を抑制しつつ、白金薄膜の表面に露出する白金量を多くできるので、例えば、白金を触媒として使用する分野で有用である。また、白金化合物の基体表面あたりの濃度を高くすることで、基体全面にわたって均一な白金薄膜を容易に形成できるので、例えば、宝飾分野のような基体表面の全面を覆うことが望まれる分野で有用である。
白金化合物の水溶液には、一酸化炭素が導入される。この導入により、水溶液中の白金と一酸化炭素とが反応して白金カルボニル錯体が形成される。一酸化炭素の導入方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、一酸化炭素ガスをバブリング(泡入)する方法が挙げられる。一酸化炭素の導入は、特に限定されないが、原料の利用効率を考慮すると、導入される一酸化炭素のモル数が水溶液中の白金のモル数以上になるように行うことが好ましい。例えば、一酸化炭素を10%以上含むガスを10分間以上バブリングすることが好ましい。
得られた白金カルボニル錯体は、通常、水溶液中に沈殿する。沈殿した白金カルボニル錯体は、単離してもよく、そのまま以降の工程で使用してもよい。
また、一酸化炭素の導入による白金カルボニル錯体の形成に代えて、Pt(CO)2Cl2のような公知の白金カルボニル錯体を使用してもよい。
次に、白金カルボニル錯体を有機溶媒に溶解させて白金カルボニル錯体溶液を得る。有機溶媒としては、白金カルボニル錯体を溶解することができさえすれば特に限定されない。例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、THFやDMSO等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、原料の使用効率を考慮すると、少なくとも白金カルボニル錯体を溶解しうる量であることが好ましい。例えば、有機溶媒としてアセトニトリルを使用する場合、錯体中の白金1ミリモルに対して、100ml以上使用することが好ましい。また、錯体溶液中の水と有機溶媒との体積比は、1:1以上であることが好ましい。更に、水が存在すると金属基体表面の不動態化や腐食が生じる場合があるため、水溶液から白金カルボニル錯体の沈殿物を単離し、沈殿物を有機溶媒にのみ溶解してもよい。
上記白金カルボニル錯体溶液の調製工程は、室温(約25℃)で行うことができるが、必要に応じて、10〜40℃の間に冷却又は加温しつつ行ってもよい。また、調製工程を行う際の雰囲気は、特に限定されない。
次いで、得られた白金カルボニル錯体溶液を白金よりイオン化傾向の大きな金属基体上に塗布する。金属基体としては、白金より大きなイオン化傾向を有しさえすれば、特に限定されない。具体的には、ニッケル、鉄、コバルト、アルミニウム、亜鉛、銅等が挙げられる。この内、容易に表面が不動態化されやすいニッケルが好ましい。金属基体の形状は、特に限定されず、白金薄膜の用途に応じて適宜選択できる。例えば、板状、粒子状等が挙げられる。
金属基体は、白金薄膜の形成前に、白金薄膜の形成を所望する表面において、その表面に形成される自然酸化膜のような不純物膜を除去しておくことが好ましい。除去方法としては、特に限定されないが、水素のような還元性ガスの雰囲気下で熱処理することが好ましい。更に、白金薄膜は、金属基体の所望の位置にのみ形成されるように、金属基体上に所望の位置が開口するマスクを予め形成した後、上記製造方法に付してもよい。
白金カルボニル錯体溶液の塗布方法としては、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。例えば、滴下法、浸漬法、スピンコート法、インクジェット法等が挙げられる。
次いで、得られた塗膜から有機溶媒を除去することで、ナノオーダーの実質的に均質な白金薄膜が得られる。有機溶媒の除去方法としては、水洗、乾燥等の方法が挙げられる。
得られた白金薄膜は、表面に白金が露出していることを望む用途に好適に使用できる。そのような用途として、燃料電池分野、宝飾分野、触媒分野、理化学機器分野等が挙げられる。この内、図1に示すごとき高分子固体形燃料電池の燃料極及び水素極における触媒膜として使用することが好ましい。
図1の燃料電池は、高分子固体電解質膜としてのイオン交換膜1を一対の電極(酸素極2及び水素極3)で挟んだ構成を有している。また、酸素極2及び水素極3は、それぞれ集電体6と7に担持されている。集電体は、通常、黒鉛、チタン、ステンレス等の良電導性かつ耐食性である材料からなる。
酸素極2及び水素極3は、例えば、炭素質材料表面に、白金よりイオン化傾向の大きな金属(上記金属基体に対応)を担持させた触媒基体に、白金カルボニル錯体溶液を塗布することにより得ることができる。
イオン交換膜としては、例えば、炭素繊維性の多孔性クロス基材上に、高分子固体電解質を少なくとも含むスラリーを塗布し、次いで焼成することにより得ることができる。
燃料電池の燃料である水素ガスには、天然ガス、石油改質で生成した水素ガス等を使用できる。水素ガス中には、他のガスができるだけ含まれていないことが好ましい。特に、一酸化炭素の含有量は、10ppm以下であることが好ましい。
ここで、本発明の白金薄膜は、白金よりイオン化傾向の大きな金属基体上に形成されているため、白金基体のみを使用する場合に比べて、白金薄膜の被毒を50%程度抑制できる。そのため、白金薄膜の触媒活性を長時間維持できる。
一方、酸素ガスは、理論量の1〜2倍量程度供給することが好ましい。酸素ガスは、空気を利用してもよい。一般に酸素濃度が高いほど、高い電流密度で電流を流すことができる。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例1
基体として、直径5mm、高さ10mmのNi円柱(ニラコ社製、純度99.9%)を用い、このNi円柱の円形の上面に白金薄膜を形成した。
なお、Ni円柱の円形の上面は、次の方法で鏡面処理に施した。すなわち、エメリーペーパー(#100〜2000)で約15分間研磨し、次いで粒径0.5μmのダイヤモンド粒子(Fujimi社製15121)及び2.5μmのダイヤモンド粒子を含むダイヤモンドペースト(SCAN−DIA社製)を用いて15分間研磨することで鏡面にした。次いで、粒径0.06μmのアルミナ(丸本工業社製)を用いて約15分間バフ研磨することでダイヤモンドペーストを除去し、超純水(電気伝導度18.3MΩcm-2、以下同じ)中で10分間超音波洗浄することでアルミナを除去した。
鏡面処理に付した後、Ni円柱を、電気炉中で、水素雰囲気下、500℃で1時間熱処理することで、上面の表面酸化物を除去した。除去後、Ni円柱をそのまま水素雰囲気中で室温(約25℃)まで放冷した。
次に、白金薄膜形成用の白金カルボニル錯体溶液は次のように調製した。すなわち、10mMのK2PtCl6(和光純薬工業社製163−02881、特級試薬)の水溶液2mlに、スターラーで攪拌しながら一酸化炭素ガスを10分間バブリング(泡入)することで、水溶液中に褐色の沈殿が生じた。この沈殿は白金カルボニル錯体である。次に、沈殿を含む水溶液に、アセトニトリル(CH3CN、和光純薬工業社製014−00386、特級試薬)を2ml加えることで、沈殿が溶解し、濃い紫色の溶液となった。更に、得られた溶液にArガスを20分間バブリングすることにより、溶存一酸化炭素を除去して、白金カルボニル錯体溶液を得た。K2PtCl6の水溶液形成用の水は超純水を用いた。
白金カルボニル錯体溶液20μlを、Ni円柱の上面に滴下し、5分間放置した。放置後、上面を超純水で洗浄し、次いで乾燥することで、上面全面に形成された白金薄膜を得た。
比較例1
白金カルボニル錯体溶液の代わりに、5mMのK2PtCl6(和光純薬工業社製163−02881、特級試薬)水−アセトニトリル混合溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして白金薄膜を得た。なお、混合溶液中の水とアセトニトリルの割合は1:1(体積比)とした。
比較例2
白金薄膜に代えて、直径5mm、高さ10mmの多結晶Ptディスク電極(日厚計測社製、純度99.9%)を用いた。
(白金薄膜の評価)
実施例1及び比較例1の白金薄膜のSEM写真を図2(a)及び(b)に、EDXによる表面組成分析の結果を表1に、XRDパターンを図3に、図3の要部拡大図を図4に示す。また、比較例2の多結晶白金、比較例1及び実施例1の白金薄膜の対流ボルタモグラムを図5〜7に、図5〜7のKoutecky−Levichプロットを図8〜10に、図5〜7のTafelプロットを図11に示す。
(SEM写真)
図2(a)及び(b)から、比較例1の白金薄膜は無数の粒子が凝集したものであるのに対して、実施例1の白金薄膜は粒子の凝集が認められず、Ni円柱の上面に均一に形成されていることがわかる。
(表面元素分析)
表1から実施例1のほうが白金の割合が低いことがわかる。白金薄膜の形成に使用した溶液中の白金量が、実施例1と比較例1とでは同じであるから、実施例1のように白金カルボニル錯体溶液を使用すれば、白金量を低減しつつ、Ni円柱の上面に均一な白金薄膜を形成できることがわかる。
(XRDパターン)
図3の要部拡大図である図4から、実施例1では、白金に帰属されるピークが得られなかった。このことは、実施例1の白金薄膜にニッケルが含まれていないこと(ニッケル合金でないこと)を意味すると推察される。一方、比較例1では、2θ=39.7°の白金(111)面のピークが、広角側である約40°にシフトしている。このシフトは、白金薄膜にニッケルが含まれていること(ニッケル合金であること)を意味すると推察される。比較例1の白金薄膜の組成は、Vegard式からPt92.2Ni7.8と算出できる。更に、Scherrerの式から、白金薄膜を構成する結晶子の大きさは、約5.3nmと算出できる。
(Koutecky-Levichプロット)
このプロットでは、直線部分の傾きにより反応電子数を算出できる。具体的には、図8〜10から傾きを算出し、それをKoutecky-Levich式に代入することで、反応電子数が実施例1、比較例1及び比較例2の全て4であることがわかる。よって、実施例1及び比較例1の白金薄膜は、多結晶白金の場合と同様、O2+4H++4e-→2H2Oで表される4電子反応機構で酸化還元反応が進行していると考えられる。
(Tafelプロット)
図11のプロットから、実施例1、比較例1及び比較例2の全てについて、高電位領域(約150mV以上(対Hg/Hg2SO4)の領域)及び低電位領域(約150mV未満(対Hg/Hg2SO4)の領域)にそれぞれ60mV/decadeと120mV/decadeの2つの直線が観察された。この2つの領域間の傾きの変化は、O2(ad)+e-→O- 2(ad)で表される反応を律速反応と仮定して次のように考えられる。低電位領域では白金上での酸化還元反応が生じていると考えられる。低電位領域から、電位を貴な方向に走査するにつれて、OH-のような吸着酸素種がより多く白金に吸着する。その結果、O2の吸着サイトがブロックされ、反応サイトが減少する。このことが直線の傾きが変化する原因であると考えられる。
また、実施例1と比較例1は、比較例2より約10mV正電位側に2つの直線がシフトしている。これは、実施例1と比較例1の白金薄膜が高い酸素還元活性を有していることを示している。ところで、表1の表面元素分析の結果から、実施例1の白金薄膜は、比較例1より量が少ないことが示されているので、白金薄膜の単位重量あたりの触媒活性は実施例1の方が高いことがわかる。
(測定方法)
実施例1及び比較例1の白金薄膜、比較例2の多結晶白金の各種性質の測定方法を下記する。
(SEM写真)
白金薄膜のSEM写真は、FE−SEM(日立製作所社製S−4500型)を用いた。SEMの加速電圧は15keVとした。
(表面組成分析)
表面組成分析は、FE−SEMに装備されたEDX(KEVEX社製QUANTUMDRY)を用いた。
(XRDパターン)
XRDパターンの測定には、X線回折装置(理学電機社製RINT−1100型)を使用した。X線源にはCuKα線(λ=0.1541nm)を用い、管電圧40kV、管電流20mA、又は管電圧50kV、管電流26mAの条件で測定した。具体的には、図3を前者の条件で、図4を後者の条件で測定した。
得られたXRDパターンの2θ=40°付近に現れる回折角を下記Vegardの式に代入することで白金薄膜の組成を求めた。なお、純白金と純ニッケルの(111)面の格子定数を、それぞれ3.923Åと3.524Åとした。
d=3.923(x/100)+3.524(1−x/100)
(上記式中、dは白金薄膜を構成する金属の格子定数、xは表面の白金濃度(モル%))
更に、2θ=40°付近に現れる回折角とピークの半値幅を下記Scherrerの式に代入することで白金薄膜を構成する結晶子のサイズを求めた。
hkl=Kλ/βcosθ
(上記式中、Dhklは結晶子のサイズ(nm)、Kは0.9、λは0.1541(nm)、βは半値幅(rad)、θは回折角(°))
(XPSスペクトル)
XPSスペクトルの測定には、ESCA−3200(島津製作所社製)を用いた。測定は、分析室の真空度が5.0×10−6MPa以下になったことを確認してから行った。X線源にはMgKα線(λ=1253.6eV)を用い、電圧8kV、電流30mAの条件で測定した。
(対流ボルタモグラム)
図12に示す回転電極用測定セルを用いて、対流ボルタモグラムを測定した。図中、21は作用極、22は対極、23は参照極、24はキャピラリー、25は酸素ガス供給口、26は酸素ガス排出口、27はモータ、28はポテンシオスタット、29は電解液、30は電極支持体を意味する。
実施例1と比較例1のニッケル円柱及び比較例2の白金円柱は、作用極21として使用した。作用極21は、熱収縮チューブ及び銀ペーストを用いて、白金薄膜が下側になるように、電極支持体30に取り付けた。更に、メタクリル酸メチルポリマー(和光純薬工業社製138−02735)のアセトン溶液を作用極21の側面に塗布し、アセトンを除去することで、作用極21の側面をポリマーで被覆した。この被覆は、作用極21と電極支持体30とをしっかり固定させると共に、作用極21の側面での反応を排除するために行った。対極には白金板を、参照極にはHg/Hg2SO4電極を用いた。
電解液29には、H2SO4(和光純薬工業社製特級試薬)を超純水で0.05Mに調製し、調整液に測定前に20分間Arガスを吹き込んだものを用いた。
ポテンシオスタット28には、コンピュータ制御のポテンシオスタットBASCV−50Wを用いた。
測定は、次のように行った。すなわち、作用極21を電解液29に浸け、各回転数(400、900、1600、2500、3600rpm)における電流及び電位を5回ずつ測定した。なお、測定順は3600、2500、1600、900及び400rpmの順に行い、次の測定への移行は、電流−電位曲線が安定するのを確認してから行った。測定は、−0.67〜0.4V(対Hg/Hg2SO4)まで正電位方向に走査して行った。また、測定中は、酸素ガスを流速20ml・min-1で導入し続け、各測定前に3分間酸素ガスバブリングを行った。
更に、0rpmでの測定も行い、得られた結果を、各回転数の結果から差し引くことで、対流ボルタモグラムを得た。0rpmでの測定の除算は、白金は、高電位領域で表面に酸化物が形成されてしまうため、この酸化物の影響を除くためである。
(Koutecky−Levichプロット)
以下の式に対流ボルタモグラムから得られた数値を代入することでプロットを作成した。
−1/i=−1/ik’+1/0.620nFAD2/3cν-1/6ω1/2
(上記式中、iは測定電流(mA)、ik’は拡散の影響の全くないときの電荷移動電流(mA)、nは反応電子数、Fは96485C・mol-1、Aは白金薄膜面積、Dは1.93×10-5cm2・s-1、cは1.26×10-3mol・cm-3、νは1.009×10-2cm2・s-1、ωは角速度(rad・s-1))
(Tafelプロット)
以下の式に対流ボルタモグラムから得られた数値を代入することで電荷移動電流を求め、これと電極電位Eとからプロットを作成した。
k=il×i/(il−i)
(上記式中、ikは電荷移動電流(mA)、ilは物質移動電流(mA)、iは測定電流(mA))
燃料電池の概略図である。 実施例1と比較例1のSEM写真である。 実施例1と比較例1のXRDパターンである。 図3の要部拡大図である。 比較例2の対流ボルタモグラムである。 比較例1の対流ボルタモグラムである。 実施例1の対流ボルタモグラムである。 比較例2のKoutecky−Levichプロットである。 比較例1のKoutecky−Levichプロットである。 実施例1のKoutecky−Levichプロットである。 実施例1、比較例1及び比較例2のTafelプロットである。 対流ボルタモグラムの測定装置の概略図である。
符号の説明
1 イオン交換膜
2 酸素極
3 水素極
4、5 ガスケット
6、7 集電体
8、10 フレーム
9 酸素極室
11 水素極室
12 12は酸素ガス供給口
13 未反応酸素ガス及び生成水取出口
14 水素ガス供給口
15 未反応水素ガス取出口
21 作用極
22 対極
23 参照極
24 キャピラリー
25 酸素ガス供給口
26 酸素ガス排出口
27 モータ
28 ポテンシオスタット
29 電解液
30 電極支持体

Claims (5)

  1. 白金カルボニル錯体を有機溶媒に溶解させて白金カルボニル錯体溶液を得る工程と、該白金カルボニル錯体溶液を白金よりイオン化傾向の大きな金属基体上に塗布した後、有機溶媒を除去することで白金薄膜を得る工程とを含む白金薄膜の製造方法。
  2. 前記白金カルボニル錯体が、白金化合物の水溶液中の白金と一酸化炭素とを反応させることで得られる請求項1に記載の白金薄膜の製造方法。
  3. 前記白金化合物が、M2PtX6又はM2PtX4(Mはアルカリ金属、アンモニウム基又は水素であり、Xはハロゲン原子である)である請求項2に記載の白金薄膜の製造方法。
  4. 前記有機溶媒がアセトニトリルであり、前記金属基体がニッケル基体である請求項1〜3のいずれか1つに記載の白金薄膜の製造方法。
  5. 前記白金薄膜が、固体高分子形燃料電池用触媒膜である請求項1〜4のいずれか1つに記載の白金薄膜の製造方法。
JP2006181975A 2006-06-30 2006-06-30 白金薄膜の製造方法 Pending JP2008010366A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006181975A JP2008010366A (ja) 2006-06-30 2006-06-30 白金薄膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006181975A JP2008010366A (ja) 2006-06-30 2006-06-30 白金薄膜の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008010366A true JP2008010366A (ja) 2008-01-17

Family

ID=39068371

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006181975A Pending JP2008010366A (ja) 2006-06-30 2006-06-30 白金薄膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008010366A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011136993A (ja) * 2009-12-31 2011-07-14 National Cheng Kung Univ 白金錯体、その製造方法と応用

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011136993A (ja) * 2009-12-31 2011-07-14 National Cheng Kung Univ 白金錯体、その製造方法と応用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Li et al. Advanced electrocatalysis for energy and environmental sustainability via water and nitrogen reactions
Chae et al. Templated fabrication of perfectly aligned metal-organic framework-supported iron-doped copper-cobalt selenide nanostructure on hollow carbon nanofibers for an efficient trifunctional electrode material
Du et al. Experimental and theoretical understanding on electrochemical activation processes of nickel selenide for excellent water-splitting performance: comparing the electrochemical performances with M–NiSe (M= Co, Cu, and V)
Sha et al. Hierarchical NiCo2O4 nanowire array supported on Ni foam for efficient urea electrooxidation in alkaline medium
Wang et al. Fabrication and evaluation of platinum/diamond composite electrodes for electrocatalysis: Preliminary studies of the oxygen-reduction reaction
Higgins et al. Titanium nitride–carbon nanotube core–shell composites as effective electrocatalyst supports for low temperature fuel cells
Hasan et al. Ni nanowire supported 3D flower-like Pd nanostructures as an efficient electrocatalyst for electrooxidation of ethanol in alkaline media
Li et al. Self-supported Pt nanoclusters via galvanic replacement from Cu 2 O nanocubes as efficient electrocatalysts
US11552303B2 (en) Methods, catalysts, and supports for electrochemical devices
CN101595584A (zh) 燃料电池电极用的纳米线负载催化剂
EP2638589A2 (en) Extended two dimensional metal nanotubes and nanowires useful as fuel cell catalysts and fuel cells containing the same
Muthurasu et al. Ruthenium nanoparticles integrated bimetallic metal–organic framework electrocatalysts for multifunctional electrode materials and practical water electrolysis in seawater
JP2020501875A (ja) 金属間化合物を含む触媒を製造する方法、及びその方法により製造される触媒
WO2013103420A2 (en) Membranes and catalysts for fuel cells, gas separation cells, electrolyzers and solar hydrogen applications
Ehsan et al. Morphologically controlled rapid fabrication of rhodium sulfide (Rh 2 S 3) thin films for superior and robust hydrogen evolution reaction
Ye et al. A novel three-dimensional gold catalyst prepared by simple pulse electrodeposition and its high electrochemical performance for hydrogen peroxide reduction
Yu et al. Engineering sulfide-phosphide based double catalysts on 3D nickel phosphides framework for electrolytic hydrogen evolution: activating short-range crystalline MoS2 with Ni5P4-Ni2P template
Xiao et al. Preparation of Pt hollow nanotubes with adjustable diameters for methanol electrooxidation
JP2009117287A (ja) 直接形アルコール燃料電池電極用触媒及びその電極用触媒の製法
KR101782001B1 (ko) 황이 도핑된 다공성 카본 촉매 및 이의 제조방법
CN113632266A (zh) 用于制备负载型贵金属-金属合金复合材料的方法和获得的负载型贵金属-金属合金复合材料
WO2012127540A1 (ja) 金属酸化物・白金複合触媒およびその製造方法
Abdel-Wahab et al. Sputtered Cu-doped NiO thin films as an efficient electrocatalyst for methanol oxidation
CN116099566A (zh) 铂掺杂改性钴基催化剂的制备方法
JP2008010366A (ja) 白金薄膜の製造方法