JP2008010304A - 複合電解質膜および燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な強度を有し破損しにくく、低抵抗でメタノール透過度の低い電解質膜を提供し、小型で安定した高い出力を供給することができる燃料電池を提供する。
【解決手段】この複合電解質膜1は、細孔2aを有する有機多孔質体から成る支持基板2と、支持基板2の一方の面に形成された厚さ方向の貫通孔3aを有する無機多孔質薄膜3とを備えている。有機多孔質体の細孔2aは、その開口の総面積が支持基板2の両面で異なっており、開口の面積が小さい側の面に無機多孔質薄膜3が形成されている。そして、このような支持基板2の細孔2a内に、プロトン伝導性を有する第1の電解質4が充填され、無機多孔質薄膜3の貫通孔3a内に、プロトン伝導性を有する第2の電解質5が充填されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合電解質膜、およびそれを備えた燃料電池に関する。
近年、電子技術の進歩により、電子機器の小型化、高性能化、ポータブル化が進んでおり、携帯用電子機器においては、使用される電池の高エネルギー密度化への要求が高まっている。そのため、軽量で小型でありながら高容量の二次電池が要求されている。
このような状況のもと、小型の燃料電池が注目を集めている。特に、メタノールを燃料として用いた直接メタノール型燃料電池(DMFC:direct methanol fuel cell)は、エネルギー密度の高いメタノールを燃料として使用し、メタノールから電極触媒上で直接電流を取り出すことができるため、有機燃料を改質して水素を作り出すための改質器が不要で小型化が可能であり、出力密度が高いので、携帯機器用の電源として有望視されている。
DMFCでは、燃料極においてメタノールが酸化分解され、二酸化炭素、プロトンおよび電子が生成される。一方、酸化剤極(空気極)では、空気から得られる酸素と、電解質膜を経て燃料極から供給されるプロトン、および燃料極から外部回路を通じて供給される電子によって水が生成される。また、この外部回路を通る電子によって電力が供給されることになる。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
しかしながら、このような構成の燃料電池では、電解質膜を通って燃料極から空気極へメタノールが透過してしまう結果、発電電位が低下することが問題になっている。すなわち、デュポン社のナフィオンに代表される高分子電解質膜の高いプロトン導電性は、含水状態のクラスターネットワークを通して発揮されるため、メタノールを使用する燃料電池においては、メタノールが水に混ざってクラスターネットワークを通り、カソードに拡散する現象(クロスオーバー)が生じる。そして、この現象が生じた場合には、供給された燃料と酸化剤とが直接反応してしまうため、エネルギーを電力として出力することができず、安定した高い出力を得ることができないという問題があった。
この問題を解決するため、電解質を多孔質膜に充填することで、電解質の膨潤を抑え、それによりメタノールのクロスオーバーを防止する技術が提案されている。(例えば、特許文献3、非特許文献1参照)。
特許第3413111号公報 WO2005/112172公報 特開2002−83612公報 東亞合成研究年報 TREND 2004 第7号 34〜36頁 細孔フィリング重合法による燃料電池用電解質膜の開発
しかしながら、前記した特許文献3や非特許文献1に記載された技術では、電解質が無機多孔質薄膜の孔部分に偏在するため、膜全体としてはインピーダンスが上昇してしまう。インピーダンスを下げるためには、できるだけ薄い膜が必要となるが、膜を薄くすると多孔質基材の強度が下がり、電解質の膨潤を十分に抑えることができなかった。
そこで、電解質が充填された無機多孔質薄膜を支持基板上に形成することが考えられる。支持基板は、十分に機械的強度が高く、さらにプロトン伝導性を有することが必要であるため、剛性の大きい有機多孔質基板の孔に電解質を充填したものが考えられる。
しかしながら、有機多孔質基板は表面の凹凸が大きく平坦性が十分でないため、表面に無機多孔質薄膜を精度よく形成することが難しかった。したがって、メタノールの透過を抑制することが難しいという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、十分な強度を有し破損しにくく、低抵抗(低インピーダンス)でメタノール透過度の低い電解質膜を提供することを目的とする。また、小型で性能が高く、安定した出力を供給することができる燃料電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の複合電解質膜は、細孔を有する有機多孔質体から成る支持基板と、前記支持基板の前記細孔内に充填されたプロトン伝導性を有する第1の電解質と、前記支持基板の一方の面に形成された、厚さ方向の貫通孔を有する無機多孔質薄膜と、前記無機多孔質薄膜の前記貫通孔内に充填されたプロトン伝導性を有する第2の電解質を有する複合電解質膜であり、前記支持基板の両面で前記細孔の開口の総面積が異なり、開口の総面積が小さい側の面に前記無機多孔質薄膜が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池は、燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極と前記酸化剤極との間に配置された電解質膜とを具備する燃料電池であって、電解質膜が、前記した本発明の複合電解質膜であることを特徴とする。
本発明によれば、支持基板の両面で有機多孔質体の有する細孔の開口の総面積が異なり、開口の総面積が小さく、より平坦性の高い側の面に無機多孔質薄膜が形成されているので、寸法精度が良好で破損のない無機多孔質薄膜を得ることができる。また、支持基板の反対側の面では、細孔の開口面積が十分に大きくとられているので、細孔に充填された電解質と電極(触媒層)との接触抵抗を低減することができる。したがって、電解質の膨潤による体積変化を良好に抑制し、高強度で破損しにくく、低抵抗でメタノール透過度の低い複合電解質膜を得ることができる。
また本発明によれば、このような複合電解質膜を備えているので、小型で性能が高く、安定した出力を供給可能な燃料電池を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態の複合電解質膜の構成を模式的に示す断面図である。実施形態の複合電解質膜1は、図1に示すように、細孔2aを有する有機多孔質体から成る支持基板2と、この支持基板2の一方の面に形成された、厚さ方向の貫通孔3aを有する無機多孔質薄膜3とを備えている。有機多孔質体の細孔2aは、その開口の面積の合計(総面積)が支持基板2の両面で異なっており、開口の総面積が小さい側の面(図では上面)に無機多孔質薄膜3が形成されている。そして、このような支持基板2の細孔2a内には、プロトン伝導性を有する第1の電解質4が充填されており、無機多孔質薄膜3の貫通孔3a内には、プロトン伝導性を有する第2の電解質5が充填されている。
無機多孔質薄膜3を支持する支持基板2は、有機多孔質体から構成される。有機多孔質体としては、剛性(機械的強度)が高く、後述する電解質の膨潤によって細孔2aが押し広げられることが少ない合成樹脂などの多孔質体が使用される。例えば、多孔質ポリイミドや多孔質ポリアミドイミドなどが挙げられる。
有機多孔質体から成る支持基板2の厚さは、3〜200μm、好ましくは4〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。細孔2aの直径は、0.01〜20μmであることが好ましく、0.1〜5μmの範囲がより好ましい。特に、これらの細孔2aの支持基板2の両面における開口の直径は、無機多孔質薄膜3が積層・形成されている側の面でより小さくなっており、3μm以下であることが好ましい。一方、反対側の面においては、細孔2aの開口の直径は0.1〜20μmであり、かつ無機多孔質薄膜3側の面より大きくなっている。そして、細孔2aの開口の総面積が面全体の面積に占める割合(以下、開口率と示す。)は、無機多孔質薄膜3が形成されている側の面で30%以下であることが好ましい。また、反対側の面における細孔2aの開口率は40%以上であることが好ましく、60〜90%であることがより好ましい。ここで、細孔2aの開口の直径は、細孔2aを囲む最小円の直径をいう。また、細孔2aの開口の面積は、顕微鏡で表面を拡大し、得られた画像を処理することにより、開口部とそれ以外の面積を求めることが可能である。
無機多孔質薄膜3は、厚さ方向に貫通する精密加工された多数の貫通孔3aを有する。この薄膜を構成する無機材料としては、アルミナ、シリカ(SiO)、ジルコニアなどの酸化物セラミック、窒化珪素などの窒化物セラミック、炭化ケイ素などの炭化物セラミックなどが挙げられる。シリカの使用が好ましい。無機多孔質薄膜3の厚さは、薄いことが好ましく、0.1〜20μm、より好ましくは0.2〜2μmとする。貫通孔3aの直径は0.01〜10μmであることが好ましく、特に1μm以下であることが好ましい。
無機多孔質薄膜3の貫通孔3aは、厚さ方向に沿って、すなわち主面に対して貫通して形成(好ましくは垂直方向に形成)されたものであればよく、断面形状は特に限定されない。円形、四角形、五角形、六角形などの断面形状が考えられる。また、異なる大きさ(直径)や異なる形状の孔を組み合わせてもよい。アスペクト比は1より大きく、垂直方向の深さが面方向の孔径よりも大きい貫通孔3aであることが好ましい。無機多孔質薄膜3が、垂直方向の深さが面方向の孔径よりも大きい貫通孔3aを有する場合には、充填された電解質5の膨潤を抑えメタノールの透過を抑制する効果が大きい。貫通孔3aの孔径が大きく面方向に大きく広がっている場合には、充填された電解質5が含水時に大きく膨潤するため、無機多孔質薄膜3による抑えこみの効果が低くなる。
このような無機多孔質薄膜3の貫通孔3aは、無機材料から成る薄膜の所定の位置にフォトリソグラフィにより精密に形成される。まず、有機多孔質体から成る支持基板2の所定の面(開口率の低い側の面)に、例えば、真空スパッタ法や反応スパッタ法などのスパッタ法、あるいはCVD法やPVD法などの蒸着法により、シリカ(SiO)などの無機材料の薄膜を形成する。次いで、この無機薄膜の上にフォトレジストを塗布し、次いで所定のパターンのマスクを用いて露光し、ベークした後、無機薄膜をエッチングし、最後にフォトレジストを剥離する。こうして、所定のパターンで精密に配列された多数の微細な貫通孔3aが形成される。
支持基板2の細孔2a内に充填される第1の電解質4としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸重合体などのフッ素系樹脂(米国デュポン社製のナフィオン、旭硝子社製のフレミオンなど)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂(ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリエーテルケトンスルホン酸など)などの有機高分子電解質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、ナフィオンなどのスルホン酸基を有するフッ素系樹脂の使用が好ましい。
また、無機多孔質薄膜3の貫通孔3aに充填される第2の電解質5としても、第1の電解質5と同様のものが挙げられる。第1の電解質4と第2の電解質5とは、同一のものでも異なるものでもよいが、充填作業の容易性などの点から、同一のものであることが好ましい。
有機多孔質体から成る支持基板2と無機多孔質薄膜3、および第1および第2の電解質4,5から成る複合電解質膜1の厚さは、特に制限はないが、3〜200μmであることが好ましい。より好ましくは4〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmとする。薄すぎると実用に耐える膜強度が得られず、厚すぎると電気抵抗が高くなり過ぎるため、燃料電池の隔膜として好ましくない。複合電解質膜1の膜厚は、支持基板2の厚さや無機多孔質薄膜3の厚さを適切に選択することにより調整することができる。
実施形態の複合電解質膜1においては、支持基板2を構成する有機多孔質体の細孔2aの開口面積が両面で異なり、より小さい側の面に無機多孔質薄膜3が形成されているので、寸法精度が良好で破損のない無機多孔質薄膜3を得ることができる。すなわち、支持基板2の開口面積が小さい側の面では、表面の凹凸が少なく平坦性が向上しているので、その上にスパッタ法やCDD法により連続的で欠損のない無機薄膜を精度良く形成することができるうえに、こうして形成された無機薄膜に、フォトリソグラフィにより貫通孔3aのパターンを精度良く形成することができる。また、支持基板2の反対側の面では、細孔2aの開口面積が十分に大きくなっているので、細孔2aに充填された電解質4と後述する電極の触媒との接触抵抗を低減することができる。
したがって、実施形態の複合電解質膜1によれば、高強度で破損しにくく、電解質4,5の膨潤による体積変化を抑えることができ、低抵抗でメタノール透過度の低いプロトン伝導性の複合膜を得ることができる。
次に、このような実施形態の複合電解質膜1を有する膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly )の構成を図2に示す。
実施形態のMEA6は、図2に示すように、燃料極触媒層7aと燃料極ガス拡散層7bからなる燃料極7と、空気極触媒層8aと空気極ガス拡散層8bからなる空気極8、および燃料極触媒層7aと空気極触媒層8aとの間に挟持された前記実施形態の複合電解質膜1とを備えている。なお、複合電解質膜1は、無機多孔質薄膜が燃料極7側に、すなわち燃料極触媒層7aに接合されていることが好ましいが、空気極8側に接合することも可能である。
燃料極触媒層7aおよび空気極触媒層8aに含有される触媒としては、例えば、白金族元素であるPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pdなどの単体金属、これらの白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。具体的には、燃料極触媒層7aとして、メタノールや一酸化炭素に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Moなどの合金を、空気極触媒層8aとして、白金やPt−Niなどの合金を用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンのような導電性担持体に、前記した触媒の微粒子を担持したカーボン担持触媒を使用してもよい。
燃料極触媒層7aに積層された燃料極ガス拡散層7bは、燃料極触媒層7aに燃料を均一に供給する役割を果たすとともに、燃料極触媒層7aの集電体としての機能をも兼ね備えている。一方、空気極触媒層8aに積層された空気極ガス拡散層8bは、空気極触媒層8aに酸化剤である空気を均一に供給する役割を果たすとともに、空気極触媒層8aの集電体としての機能をも兼ね備えている。
燃料極ガス拡散層7bおよび空気極ガス拡散層8bはいずれも導電性物質から構成されている。導電性物質としては、公知の材料を用いることができるが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために、多孔質のカーボン織布またはカーボンペーパの使用が好ましい。
このように構成されるMEA6は、燃料電池に設置され、燃料供給と空気供給により電力を発現する。燃料電池は、その形態から、アクティブ型燃料電池とパッシブ型燃料電池とに大きく分けられる。アクティブ型燃料電池では、メタノール水溶液からなる燃料について、その量が一定になるようにポンプで調整しながらMEA6の燃料極7へ供給する一方、空気極8に対しても空気をポンプで供給する方式が採られる。パッシブ型燃料電池では、MEA6の燃料極7に気化したメタノールを自然供給で送り、一方空気極8に対しても外部の空気を自然供給することで、ポンプなどの余計な機器を装備しない方式が採られる。本発明の実施形態の複合電解質膜1はそのいずれにも用いることができ、その使用を制限するものではない。
以下、実施形態のMEA6を備えたパッシブ方式の燃料電池について説明する。図3は、本発明に係る一実施形態の直接メタノール型燃料電池(DMFC)10の断面を模式的に示す図である。
この図に示すように、本発明に係る一実施形態の燃料電池10は、前記した膜電極接合体(MEA)を起電部として有している。MEAの燃料極ガス拡散層7bには、燃料極導電層11が積層され、空気極ガス拡散層8bには、空気極導電層12が積層されている。燃料極導電層11および空気極導電層12は、例えば、金などの導電性金属材料のメッシュなどの多孔質層で構成される。なお、燃料極導電層11および空気極導電層12は、周縁から燃料や酸化剤が漏れないように構成される。
実施形態の燃料電池10においては、矩形枠状を有する燃料極シール材13が、MEAの複合電解質膜1と燃料極導電層11との間に配置されるとともに、燃料極触媒層7aおよび燃料極ガス拡散層7bの周囲を囲んでいる。一方、矩形枠状を有する空気極シール材14が、複合電解質膜1と空気極導電層12との間に配置されるとともに、空気極触媒層8aおよび空気極ガス拡散層8bの周囲を囲んでいる。燃料極シール材13および空気極シール材14は、例えばゴム製のOリングなどで構成され、MEAからの燃料漏れおよび酸化剤漏れを防止している。なお、燃料極シール材13および空気極シール材14の形状は、矩形枠状に限られず、燃料電池10の外縁形に対応するように適宜に構成される。
そして、液体燃料Fを収容する液体燃料タンク15の開口部を覆うように気液分離膜16が配設され、この気液分離膜16上には、燃料電池10の外縁形に対応した形状の燃料極側フレーム17(ここでは矩形のフレーム)が配置され固定されている。ここで、燃料極側フレーム17は、電気絶縁材料で構成され、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような熱可塑性ポリエステル樹脂などで形成される。そして、この燃料極側フレーム17の一方の面に燃料極導電層11が接するように、燃料極導電層11および空気極導電層12を備えた上記MEAが配置されている。
液体燃料タンク15内に貯留される液体燃料Fは、濃度が50モル%を超えるメタノール水溶液、または純メタノールである。純メタノールの純度は、95重量%以上100重量%以下にすることが好ましい。後述する液体燃料Fの気化成分とは、液体燃料として液体のメタノールを使用した場合には、気化したメタノールを意味し、液体燃料としてメタノール水溶液を使用した場合には、メタノールの気化成分と水の気化成分からなる混合気を意味する。
燃料極導電層11、気液分離膜16および燃料極側フレーム17で囲まれた空間17aは、気液分離膜16を透過してきた液体燃料Fの気化成分を一時的に収容し、さらに気化成分における燃料の濃度分布を均一にする空間として機能する。なお、気液分離膜16は、それらの周縁から燃料などが漏れないように構成されている。
気液分離膜16は、シリコーンゴム、フッ素樹脂などの材料で構成され、液体燃料Fの気化成分と液体燃料Fとを分離し、気化成分を燃料極触媒層7a側に透過させるものである。
一方、空気極導電層12上には、燃料電池10の外縁形に対応した形状を有する空気極側フレーム18(ここでは矩形のフレーム)を介して、保湿層19が積層されている。また、保湿層19上には、酸化剤である空気を取り入れるための空気導入口20aが複数個形成された表面カバー層20が積層されている。この表面カバー層20は、MEAを含む積層体を加圧してその密着性を高める役割も果たしているため、例えば、SUS304のような金属で形成される。また、空気極側フレーム18は、上記した燃料極側フレーム17と同様に電気絶縁材料で構成され、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような熱可塑性ポリエステル樹脂などで形成される。
保湿層19は、空気極触媒層8aにおいて生成した水の一部を含浸して、水の蒸散を抑制する役割をなすとともに、空気極ガス拡散層8bに酸化剤である空気を均一に導入することにより、空気極触媒層8aへの空気の均一拡散を促す補助拡散層としての機能も有している。この保湿層19は、例えば、ポリエチレン多孔質膜などの材料で構成される。なお、浸透圧現象による空気極触媒層8a側から燃料極触媒層7a側への水の移動は、保湿層19上に設置された表面カバー層20における空気導入口20aの個数やサイズを変えて、開口部の面積などを調整することで制御することができる。
このように構成される本発明の実施形態の直接メタノール型の燃料電池10によれば、小型で性能が高く、安定した高い出力を供給することができる。
なお、上記した実施形態では、液体燃料に、メタノール水溶液、または純メタノールを使用した直接メタノール型の燃料電池について説明したが、液体燃料は、これらに限られるものではない。例えば、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、もしくはその他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が収容される。
また、所定の電池出力を得るために、図3に示した燃料電池10を複数個並設し、各燃料電池10を電気的に直列に接続して、燃料電池を構成することができる。このとき、例えば1つの液体燃料タンク15を共用するように構成することができる。
次に、本発明の複合電解質膜を有する燃料電池において優れた出力特性が得られることを、以下に示す実施例で説明する。
(実施例)
図1に示す複合電解質膜を、以下に示すようにして作製した。すなわち、厚さ20μmで空孔率45%の多孔質ポリイミド基板(宇部興産社製;上面の平均開口径が1μmで開口率20%、下面の平均開口径が3μmで開口率75%)の上面に、スパッタ法により厚さ0.5μmのシリカ薄膜を形成した。
このシリカ薄膜にフォトリソ法により貫通孔を形成し、開口径0.2μm、開口率40%の貫通孔のパターンを形成した。貫通孔の形成においては、シリカ薄膜の上にフォトレジストを塗布した後、所定のパターンのマスクを用いて露光し、ベークした後、シリカ薄膜をエッチングし、最後にフォトレジストを剥離した。こうして、多孔質ポリイミド基板の上面にシリカ多孔質薄膜が積層・形成された複合体膜を得た。
次いで、得られた複合体膜に、有機高分子電解質であるパーフルオロカーボンスルホン酸の溶液(ナフィオン溶液)を含浸させ、溶媒を蒸発させた。溶媒蒸発後の空隙を埋めるために、さらに数回含浸・乾燥を繰り返して、多孔質ポリイミド基板およびシリカ多孔質薄膜の空孔内にパーフルオロカーボンスルホン酸を完全に充填した。
こうして得られた複合電解質膜のメタノール透過性とプロトン伝導度をそれぞれ測定した。メタノール透過性の測定については、H型セルを用い、3mol/Lのメタノール水溶液を入れた容器と純水を入れた容器との間に、予め水で膨潤させておいた実施例の複合電解質膜を挟み、一定時間後に純水側に透過したメタノール量をガスクロマトグラフにより求めた。そして、メタノールの透過度(μmol/min・cm)を算出した。プロトン伝導度の測定は、含水状態で複合電解質膜の上下に電極を押し付け、1kHzの交流インピーダンスを測定することにより行った。これらの測定結果を表1に示す。
また、こうして得られた複合電解質膜の両面に、触媒層とガス拡散層から成る電極(空気極と燃料極)をそれぞれ貼り付け、図2に示す膜電極接合体(MEA)を作製した。すなわち、白金担持カーボンブラックに、パーフルオロカーボンスルホン酸溶液と水およびメトキシプロパノールを添加して得られたペーストを、複合電解質膜の多孔質ポリイミド基板側に塗布した後、常温で乾燥して触媒層を形成した。その上にガス拡散層である多孔質カーボンペーパを貼り付け、空気極を形成した。また、白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金微粒子を担持したカーボン粒子に、パーフルオロカーボンスルホン酸溶液と水およびメトキシプロパノールを添加して得られたペーストを、複合電解質膜のシリカ多孔質薄膜側に塗布した後、常温で乾燥して触媒層を形成した。その上にガス拡散層である多孔質カーボンペーパを貼り付け、燃料極を形成した。なお、電極面積は、空気極、燃料極ともに12cmとした。
次いで、こうして作製されたMEAを用いて、図3に示すパッシブ型燃料電池を作製した。そして、この燃料電池の液体燃料タンクに純メタノールを10ml注入し、温度25℃、相対湿度50%の環境の下、電流値を変化させて単位面積あたりの最大出力を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
比較例
上下両面ともに平均開口径が3μmで開口率75%の多孔質ポリイミド基板(厚さ20μm、空孔率45%)を用いた以外は実施例と同様にして、複合電解質膜を作製した。そして、この複合電解質膜のメタノール透過性およびプロトン伝導度を実施例と同様に測定した。また、得られた複合電解質膜を用いて実施例と同様にパッシブ型燃料電池を作製し、この燃料電池の最大出力を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2008010304
上記したように、実施例では、多孔質ポリイミド基板の開口径が小さくかつ開口率が低い側の面に、貫通孔を有するシリカ多孔質薄膜が良好に形成されているので、複合電解質膜におけるメタノールのクロスオーバーが低減された。その結果、このような複合電解質膜を有する燃料電池において、大きな最大出力値が得られた。また、多孔質ポリイミド基板の反対側の面では開口率が十分に高くなっているので、十分に高いプロトン伝導度が得られた。これに対して比較例では、開口径が大きく開口率が高い多孔質ポリイミド基板の面にシリカ多孔質薄膜が形成されているので、シリカ多孔質薄膜の貫通孔の一部に割れが発生し、メタノールのクロスオーバーが発生した。そのため、このような複合電解質膜を有する燃料電池において、最大出力の値が実施例に比べて大幅に小さくなった。
一実施形態の複合電解質膜の構成を模式的に示す断面図である。 実施形態の複合電解質膜を有する膜電極接合体(MEA)の構成を模式的に示す断面図である。 一実施形態の直接メタノール型燃料電池(DMFC)の構成を示す断面図である
符号の説明
1…複合電解質膜、2…支持基板、2a…細孔、3…無機多孔質薄膜、3a…貫通孔、4…第1の電解質、5…第2の電解質、7a…燃料極触媒層、7b…燃料極ガス拡散層、8a…空気極触媒層、8b…空気極ガス拡散層、6…膜電極接合体(MEA)、10…燃料電池、11…燃料極導電層、12…空気極導電層、13…燃料極シール材、14…空気極シール材、15…液体燃料タンク、16…気液分離膜、17、18…フレーム、19…保湿層、20…表面カバー層、20a…空気導入口。

Claims (7)

  1. 細孔を有する有機多孔質体から成る支持基板と、
    前記支持基板の前記細孔内に充填されたプロトン伝導性を有する第1の電解質と、
    前記支持基板の一方の面に形成された、厚さ方向の貫通孔を有する無機多孔質薄膜と、
    前記無機多孔質薄膜の前記貫通孔内に充填されたプロトン伝導性を有する第2の電解質を有する複合電解質膜であり、
    前記支持基板の両面で前記細孔の開口の総面積が異なり、開口の総面積が小さい側の面に前記無機多孔質薄膜が形成されていることを特徴とする複合電解質膜。
  2. 前記第1の電解質と前記第2の電解質とが同一のものであることを特徴とする請求項1記載の複合電解質膜。
  3. 前記有機多孔質体は、多孔質ポリイミドまたは多孔質ポリアミドイミドであることを特徴とする請求項1または2記載の複合電解質膜。
  4. 前記支持基板の前記無機多孔質薄膜が形成されている側の面における開口の総面積が、この面全体の面積の30%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の複合電解質膜。
  5. 前記無機多孔質薄膜の貫通孔は、該薄膜の厚さ方向の長さが面方向の孔径よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の複合電解質膜。
  6. 燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極と前記酸化剤極との間に配置された電解質膜とを具備する燃料電池であって、
    前記電解質膜は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の複合電解質膜であることを特徴とする燃料電池。
  7. 前記複合電解質膜は、前記無機多孔質薄膜が前記燃料極側に接合されていることを特徴とする請求項6記載の燃料電池。
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KR101499731B1 (ko) * 2008-11-24 2015-03-09 광주과학기술원 고분자 전해질막, 고분자 전해질막의 제조방법 및 고분자 전해질막을 구비하는 막-전극 접합체

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