JP2008008821A - 高速切削試験装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】小型の切削工具の切れ刃を内蔵した飛翔容器を,管路内で圧縮気体により加速させ,加工チャンバ内で切削過程を実現させる。切削過程で生成した切りくずは切削工具を内蔵した飛翔容器の中に格納する。切削終了後も管路内を飛翔しつづける切削工具と切りくずを内蔵した飛翔容器に対し飛翔方向から圧縮気体により減速力を負荷させて,衝撃吸収材などに衝突すること無しに飛翔容器を所定の個所で停止させる。
【選択図】図1
Description
上記のいずれの方法も,高速切削過程の切削力や切削温度は,固定している工具あるいは被削材の下部に力測定器や温度測定器を設置することで把握できる。
この中で,大きな設備を要せずに手軽に高速切削実験を行うためには,1.0MPa未満の圧縮気体を使用するのが良い。
そこで,小型の工具を圧縮気体で加速させる方法が適していると言える。
特に降伏強度が小さい被削材の場合は,この問題が顕著になる。
さらに,不連続切りくずを生成するような場合では,切削機構の解明に重要な切りくずを紛失してしまうという問題もある。
小型の切削工具の切れ刃を内蔵した飛翔容器には,切削過程で生成した切りくずをその内に格納する機能を有する。
これに付して,被削材下部に設置した力測定器や温度測定器により,高速切削過程の切削力や切削温度が把握できる。
加工チャンバ1,管路2,管路3は大気と隔離した機構となっており,内部の雰囲気を真空や特定の気体で特定の圧力に制御することができる機構となっている。
上記の電磁弁は,全て常時閉の仕様である。
高さ調整装置12の上には,切削力を測定する力測定器13を設置し,その上に被削材14を設置する。
切削温度は,例えば被削材14に熱電対を埋め込んでおき,切削時の熱起電力の変化から把握する.あるいは被削材14付近に切削点近傍及び切削仕上げ面に焦点を合わせることができる赤外線放射温度計等を設置し,その出力から切削温度を把握する。
管路2と管路3の間に配置された被削材14の近傍には,飛翔容器10が通過したことを検知するための,透過型あるいは回帰反射型あるいは拡散反射型の光電センサ16と17を設置する。
切削速度は,この受光量の変化を解析して把握する。
計測装置19に取り込まれた信号の一部は,弁4Cと弁5Cの開閉を自動制御する弁開閉制御装置20に取り込まれる。
なお弁開閉制御装置20には,予め開閉時間を手動で調節して設定できる調整機構を含ませておき,計測装置19からの信号が無くても,弁4Cを開けてから設定時間後に弁4Cを閉じ,また同様に設定時間後に弁5Cを開ける信号を送る機能を含ませる。
同様に,光電センサ16,光電センサ17,速度測定器18の光あるいは電磁波を管路内に投入するための穴あるいは切込み溝も,チャンバ1の中の管路2と管路3には設けてある。
まず,切削工具11を内蔵した飛翔容器10を,管路2に接続する飛翔容器装填口7より,管路2内に装填する。
真空引きの後,切削雰囲気を特定の気体に制御する場合は,弁1Aを開け,特定の気体を特定の圧力になるまで導入する。
加速用と減速用の安全弁4Bと5Bを開ける。
実験開始時点で,加速用の弁4Cを電子制御で開き,飛翔容器10に圧縮気体の圧力を一気に負荷させ,該飛翔容器10を加速させる。
概算過程では,簡単のために圧力損失,飛翔容器10に負荷する空気抵抗,飛翔容器10の表面と管路2や管路3の壁面との圧力の漏れや摩擦,切削力などを無視し,さらに弁4B,弁4C,弁5B,弁5Cの体積を無視して,飛翔容器10の運動方程式を解く。
弁4Cを開くと,飛翔容器10を加速するために飛翔容器10には圧力Paが負荷する。
したがって,飛翔容器10の移動距離がxの時,飛翔容器10は,a1=A×Pa/m ( >0 )なる加速度で飛翔し,弁4Cを開けてからの飛翔容器10の移動速度は,加速度を時間積分することにより概算できる。
飛翔容器10が被削材14に近づき,光電センサ16からの信号に基づく計測装置19の信号により弁開閉制御装置20が切削開始直前を検知したら,弁開閉制御装置20は弁4Cを閉じる信号を出し,弁4Cを自動的に閉じる。
この時,管路2と管路3とチャンバ1の圧力は均一となり,その圧力はP0=V4×P4/(V1+ V2 +V3)となり,飛翔容器10には加速あるいは減速させる圧力が等しく作用する。
弁4Cを開けてから所定時間経過した後,光電センサ17からの信号に基づく計測装置19からの信号により弁開閉制御装置20が切削終了を検知したら,弁開閉制御装置20は弁5Cを開ける信号を出し,飛翔容器10に圧力容器5Aから供給される圧縮気体の圧力により減速力を負荷させる。
弁5Cを開けた直後の,管路3内の圧力Pd0は,Pd0=(P5×V5+ P0×V3)/(V5+V3)である。
飛翔容器10を減速させるための圧力Pdは,飛翔容器10の移動距離に応じて増加し,Pd= (V3+ V5)×Pd0/(V2+V3+V5-A×x)となる。
その圧力P'aは,飛翔容器10の移動距離に応じて減少し,P'a= P0×(V1+V2)/(V1+A×x)である。
このようにして時間に対する飛翔容器10の装填位置からの移動距離と速度は,加速度を逐次時間積分することにより求めることができる。
減速力を受ける飛翔容器10は,弁4Cを開けてから所定時間経過した後,飛翔容器回収容器8の内で速度が0となり停止する。
図3は,管路2と管路3の断面図であり,それぞれの管路の内壁には複数の溝21が軸方向に沿って設けてある。
なお,図3では3本の溝を設けてあるが溝の本数はそれ以上でも構わない。
被削材14は基本的に直方体であり,被削材の材質は,金属,非鉄金属,ガラス,プラスチック,木材など何でも良い。
なお一般的に行われているように,真実切取り厚さを求めるために被削材14の切削面には予め段差を設けておいても良い。
飛翔容器10には,飛翔容器10が管路2と管路3の中で回転しながら飛翔することを防止するために,管路2と管路3に設けた溝21に合致する突起22が外周に設けてある。
突起22が溝21に係合しつつ管路内を移動するので,切削工具11が被削材14を回転せずに切削可能となる。
飛翔容器10は,空気抵抗を低減するための流線型のキャップ部10Aと工具を保持固定する工具設置部10Bの2分割で構成される。
工具設置部10Bの後端部には,圧縮気体の圧力を飛翔容器の軸中心部に集中させて推力を高めるためのほか,飛翔姿勢を安定させるための目的で,流線型の窪み10Dを設けてある。
キャップ部10Aの中には,切りくずを格納するための空間23が切削工具の切れ刃11Aの前方に設けてある。
飛翔容器10(キャップ部10Aと工具設置部10B)は,軽量化のため密度が小さくかつ剛性と強度のある硬質プラスチックあるいは樹脂と強化繊維や強化粒子から構成される複合材料などで成型するのが良い。
支柱11B部分を工具設置部10Bの中に挿入することで切削工具の切れ刃を飛翔容器10内に内蔵させる。
切削工具の切れ刃の材質は,高速度鋼,超硬合金,cBN,ダイヤモンド,あるいはコーティング皮膜を施したものなど,なんでも良い。
切削工具の切れ刃の形状は例えば図5や図6のように,主切れ刃のみの単一の切れ刃形状とすれば二次元切削過程を実験できる。
切削工具の切れ刃11Aは飛翔容器10からはみ出ないこと,またキャップ部10Aは,図7に示す被削材14の切取り厚さ24の高さ分だけ,飛翔容器10の内部に干渉することになるから,飛翔容器10の下部には,干渉防止の窪み10Cが入っている。
干渉防止の窪み10Cの深さは,キャップ部10Aが深く,工具設置部10Bが浅い。
さらにキャップ部10Aの下部には,切りくず25を切りくず格納空間23に導入するための穴10Eが設けてある。
切りくず25は,キャップ部10Aの切りくず導入口10Eより,キャップ部10A内に進入する。
ここで,切りくず格納空間23の容量は,切りくずを十分に格納できる空間が必要であり,これは切削距離(被削材14の長さ)から決定する必要がある。
このように切削終了後,切削工具の切れ刃11Aと切りくず25は,飛翔容器10と一体になって運動する。
切削終了後に飛翔容器10が圧縮気体供給装置5からの圧縮気体により減速力を受け,飛翔容器回収容器8の中で衝撃吸収材9などに衝突直前の位置または軽く衝突する位置に停止すれば,切りくず25と工具刃先部11Aを,切削過程以外の変形や損傷を受けずに,切削過程における変形あるいは損傷状態のままで回収することができる。
これより上記条件の場合,発射から約27ms後に切削過程が実現される。
切削時間は,約0.3msである。
その切削開始直前に弁4Cを閉じ,切削終了直後に弁5Cを開けば,飛翔容器10は発射から約56ms後に速度が0となる。
図11より,圧力容器5Aの圧力は圧力容器4Aの圧力の約1.1倍とすれば,飛翔容器10は移動距離6m,すなわち管路3の末端の飛翔容器回収容器8内で停止する。
図12は例として,上記の概略計算により求めた,加速用の圧力容器4Aの圧力に対する,飛翔容器10の最大速度すなわち切削速度と,減速用の圧力容器5Aの圧力の関係である。
1A 気体導入用電磁弁
1B 真空排気用電磁弁
1C 大気開放用電磁弁
2 飛翔容器加速用管路
3 飛翔容器減速用管路
4 飛翔容器加速用の圧縮気体供給装置
4A 圧力容器
4B 安全用ボールバルブ
4C 電磁あるいは空気制御の開閉弁
5 飛翔容器減速停止用の圧縮気体供給装置
5A 圧力容器
5B 安全用ボールバルブ
5C 電磁あるいは空気制御の開閉弁
6 真空排気装置
7 飛翔容器装填口
8 飛翔容器回収容器
9 衝撃吸収材
10 飛翔容器
10A キャップ部
10B 工具設置部
10C 被削材干渉防止の窪み
10D 飛翔容器の推進力を軸中心に集中させ安定して飛翔させるための流線型の窪み
10E 切りくず導入口
11 切削工具
11A 切削工具の切れ刃
11B 支柱
12 高さ調整装置
13 力測定器
14 被削材
15 温度測定器
16 光電センサ(切削開始直前を検知)
17 光電センサ(切削終了直後を検知)
18 速度測定器
19 計測装置
20 弁開閉制御装置
21 回転防止用溝
22 回転防止用突起
23 切りくず格納空間
24 切り取り厚さ
25 切りくず
Claims (16)
- 切削試験用の切れ刃を設置した飛翔体容器を被削材に飛翔させ、該披削材の一部を削る高速切削過程により切削試験を行う高速切削試験装置であって、
前記飛翔体容器に密に内接する第1の管路と、
該第1の管路の一端から該第1の管路に供給する圧縮気体を収納する第1圧力容器と、
該第1の管路の一端と該第1圧力容器の間に設けた第1開閉弁と、
前記飛翔体容器に密に内接する第2の管路と、
該第2の管路の一端から該第2の警語に供給する圧縮気体を収納する第2圧力容器と、
該第2の管路の一端と該第2圧力容器の間に設けた第2開閉弁とからなり、
該第2の管路と該第2の管路を同一直線上に配置し、前記被削材は該第1の管路の他端と該第2の管路の他端の間に配置し、該第1限閉弁を作動させた後、該第2開閉弁を作動させる構成としたことを特徴とする高速切削試験装置。 - 請求項1記載の高速切削試験装置において、前記第1圧力容器又は前記第1圧力容器に収納する圧縮気体の圧力を調整する手段を設け、前記飛翔体容器が前記第2の管路の出側において停止するよう前記圧縮気体の圧力を調整することを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、該第1の管路の他端と該第2の管路の他端は接続され前記被削材を収容し大気から隔離するチャンバを設けたことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項3記載の高速切削試験装置において、該チャンバに接続され該チャンバを真空排気する真空排気装置を設けたことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項3記載の高速切削試験装置において、該チャンバに接続され該チャンバを大気開放する大気開放弁を設けたことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項3記載の高速切削試験装具において、該チャンバに接続され該チャンバに特定の気体を導入する気体導入弁を設けたことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、該第1の管路の他端と該第2の管路の他端の間に、前記被削材の近傍に飛翔してきた前記飛翔体容器を検出する検出器を設置し、該検出器の出力により前記第1開閉弁を閉じることを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、該第1の管路の他端と該第2の管路の他端の間に、前記被削材の近傍に飛翔してきた前記飛翔体容器を検出する検出器を設置し、該検出器の出力により前記第2開閉弁を開くことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、前記被削材の前方又は後方に飛翔してきた前記飛翔体容器を検出する検出器を設置し、該検出器の出力により前記第1開閉弁を閉じることを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、前記被削材の前方又は後方に飛翔してきた前記飛翔体容器を検出する検出器を設置し、該検出器の出力により前記第2開閉弁を開くことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、前記被削材の前方に飛翔してきた前記飛翔体容器を検出する第1検出器を設置し、該第1検出器の出力により前記第1開閉弁を閉じるとともに、前記被削材の後方に飛翔してきた前記飛翔体容器を検出する第2検出器を設置し、該第2検出器の出力により前記第2開閉弁を開くことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、前記被削材は該第1の管路の他端と該第2の管路の他端の間に配置されたステージの上に設置され、削られる前記被削材の厚さの調整は、前記ステージの高さを制御することにより行う構成としたことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、前記飛翔体容器の飛翔方向前部に切りくず収納空間を有するキャップ部を設けたことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項12記載の高速切削試験装置において、前記切削工具刃先と前記キャップ部の間に前記被削材を導入する導入口を設けたことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項12記載の高速切削試験装置において、前記キャップ部に切り取る前記被削材の干渉を防止する窪みを設けたことを特徴とする高速切削試験装置。
- 請求項1記載の高速切削試験装置において、前記第2の管路の一端に飛翔容器回収容器を設け、該飛翔容器回収容器の断面積を前記第2の管路の断面積より大きくしたことを特徴とする高速切削試験装置。
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