JP2008001749A - カーボンナノ−樹脂複合成形品の製造方法 - Google Patents

カーボンナノ−樹脂複合成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い強度のカーボンナノ−樹脂複合成形品を提供することを課題とする。
【解決手段】図(a)に示すように、未黒鉛化カーボンナノ材料21と樹脂材料22とを準備する。そして、(b)に示すように、未黒鉛化カーボンナノ材料21に酸処理を施す。この酸処理は図1で説明した酸化還流処理装置10又は同等の装置、設備で実施する。酸処理を施すと未黒鉛化カーボンナノ材料21は(c)に示すように、酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料23になる。次に、(d)に示すように、酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料23と樹脂材料22とを混合する。続いて、(e)で混合物を可塑化し、(f)で射出し、(g)に示すようなカーボンナノ樹脂複合成形品24を得る。
【効果】酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料は濡れ性が良く、樹脂と良好に結合するため、極めて高い強度の複合成形品を得ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明はカーボンナノ−樹脂複合成形品の製造方法に関する。
樹脂にカーボンナノ材料を含有させることで樹脂組成物を得る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−12939公報(図1)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図8は従来の技術の基本構成を説明する図であり、カーボン含有樹脂組成物1は、平均直径が1〜45nmで平均アスペクト比が5以上であるカーボンナノチューブ2を含む樹脂3で構成される。
特許文献1には、カーボンナノチューブ2に既に加えられている処理についての説明は記載されていない。
そこで、樹脂に含有するカーボンナノ材料に、予め施す処理技術が提案されている文献を参照する(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−176244公報(段落番号[0007]、段落番号[0021]、段落番号[0024])
特許文献2の段落番号[0007]第8行に「6.繊維径が1〜500nmである前記1乃至3のいずれかに記載の気相法炭素繊維。」、段落番号[0024]に「本発明の方法で得られる炭素繊維は分岐度が高く、強固なネットワークを形成しやすいので、樹脂等のマトリックス中に少量添加するだけで導電性、熱伝導性が向上する。・・・以下省略・・・」及び段落番号[0021]に「このようにして得られた炭素繊維は、揮発分除去及び黒鉛化のために熱処理を行うことが好ましい。・・・以下省略・・・」の記載がある。
これらの記載から、樹脂マトリックスに添加するカーボンナノ材料は、黒鉛化処理することが望ましいことが分かる。
そこで、本発明者等は、黒鉛化処理済みのカーボンナノ材料を樹脂材料に混合して複合成形品を得る実験を行った。実験の条件及び結果は次の通りである。
○複合材料:樹脂とカーボンナノ材料との混合材料
・樹脂材料:ポリカーボネート(略称:PC)又はポリアミド12(略称:PA12)
・カーボンナノ材料:黒鉛化カーボンナノ材料
・混合割合:黒鉛化カーボンナノ材料が0、5又10質量%で残部が樹脂材料。
○混練:混合混練機で60分間混練。
○射出成形:
・金型キャビティの大きさ:76mm×10mm×2mm
・射出機の種類:横型射出成形機
・射出圧力:176MPa
・加熱筒の温度:220〜240℃
・射出速度:30mm/秒
○試験片の大きさ:76mm×10mm×2mm
○引張試験機:島津製作所製試験機(AUTOGRAPH AG−250KNIS)
引張試験機で得た引張強さを以下にグラフで示す。
図9は黒鉛化カーボンナノ材料の添加割合と引張強さの関係を示すグラフである。
PC樹脂のみで試験片を作製したときには、引張強さは58、0MPaであった。
95質量%のPC樹脂に5質量%の黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製したときには、引張強さは58.4MPaであった。
90質量%のPC樹脂に10質量%の黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製したときには、引張強さは58.2MPaであった。
強度向上を目的にカーボンナノ材料を添加したわけであるが、グラフから明らかなように強度向上が殆ど認められなかった。
また、PA12樹脂のみで試験片を作製したときには、引張強さは38.3MPaであった。
95質量%のPA12樹脂に5質量%の黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製したときには、引張強さは42.3MPaであった。
90質量%のPA12樹脂に10質量%の黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製したときには、引張強さは43.8MPaであった。
ところで、カーボンナノ材料は極めて高価な材料である。このように高価なカーボンナノ材料を混合した割には強度の向上効果が小さすぎる。高価なカーボンナノ材料の有効活用を図る上で、より高い強度の成形品を得ることができる技術が求められる。
本発明は、高い強度のカーボンナノ−樹脂複合成形品を提供することを課題とする。
先ず本発明者等は、走査電子顕微鏡(SEM)で、黒鉛化カーボンナノ材料の表面を観察した。すると、黒鉛化カーボンナノ材料の表面は、平滑であることが認められた。平滑であるため、樹脂との濡れ性が低下していると推測することができる。濡れ性が低下すれば樹脂とカーボンナノ材料との結合が不十分になり、強度向上の妨げになると考えることができる。
この知見から、薬液で処理を施すことで、黒鉛化カーボンナノ材料の表面を粗面にすることを試みることにした。
図1は酸化還流処理装置の原理図であり、酸化還流処理装置10は、加熱機能付き電磁撹拌機11と、この電磁撹拌機11に載せるフラスコ12と、このフラスコ12に投入する磁石回転子13と、フラスコ12の口14に設けた冷却器15と、この冷却器15から延ばしたチューブ16と、このチューブ16の先端に接続する容器17、この容器17に貯留する水18とからなる。
フラスコ12に、酸とカーボンナノ材料との混合物19を入れる。電磁撹拌機11を作動させると、混合物19が加熱される。同時に、電磁作用で磁石回転子13が水平に回転する。この磁石回転子13が混合物19を撹拌する。
混合物19の一部が蒸発して上昇するが、この蒸発物質の大部分は冷却器15で冷却され、液化してフラスコ12へ戻る。蒸発物質の一部がチューブ16を介して容器17に至り、水18に吸収される。
酸化還流処理装置10は、通常の酸化処理よりも強い酸化処理を行うことができる装置である。すなわち、酸を暖めることで活性化させる。このときに、酸が蒸発して無くならないように、冷却器15でフラスコ12へ戻す(還流する)ことを特徴とする。
以上に説明した装置を用いて、次の要領でカーボンナノ材料を酸化還流処理した。
・処理装置:図1に示す酸化還流処理装置10
・カーボンナノ材料:黒鉛化カーボンナノ材料 6g
・酸の組成:硝酸原液:硫酸原液=1:1
・酸の量:500ml(ミリリットル)
・処理時間:12時間
酸化還流処理したカーボンナノ材料10質量%を、PA12樹脂90質量%に混合して試験片を作製した。この試験片の引張強さは48.0MPaであった。
図2は酸処理の有無を比較するグラフである。先ず、図9において、PA12でカーボンナノ材料が10質量%では、引張強さは48.0MPaであった。これを「酸処理無」として棒グラフ化した。
その隣に、酸化還元処理した試験片から得た48.0MPaを「酸処理有り」として図示した。
両方とも、10質量%の黒鉛化カーボンナノ材料をPA12樹脂に混合したが、酸処理を施すことで、43.8MPaが48.0MPaに増加した。約10%の強度向上が達成できた。しかし、高価なカーボンナノ材料を使用するため、さらなる強度向上が望まれる。
そこで、本発明者等は、カーボンナノ材料の表面を処理する技術を種々検討するかたわら、黒鉛化処理する前のカーボンナノ材料を走査電子顕微鏡で観察した。黒鉛化処理する前のカーボンナノ材料は、表面が粗面であることが認められた。
黒鉛化処理前のカーボンナノ材料は強度が低く、補強材料としては全く注目されていなかった。しかし、表面が粗面であることから、濡れ性は高く、樹脂との十分な結合が見込める。
そこで、酸処理と黒鉛化処理前のカーボン材料を使用することの2つを組み合わせることで、飛躍的な強度向上が達成できるのではないかと、考えるようになった。
以上の知見から黒鉛化処理前のカーボンナノ材料に酸処理を施し、この材料を樹脂に混合したところ、詳細な実験結果は後述するが、飛躍的に高い強度を得ることができた。そこで、本発明は次のようにまとめることができる。
請求項1の発明は、樹脂材料にカーボンナノ材料を混合してなる複合材料を射出して成形品を得る複合成形品の製造方法において、前記カーボンナノ材料には、黒鉛化処理前の材料に酸処理を施した、酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料を用いることを特徴とする。
請求項2の発明では、酸処理は、0.01〜6.0モル/リットルの濃度の酸で実施することを特徴とする。
請求項3の発明では、酸処理は、1.0〜3.0モル/リットルの濃度の酸で実施することを特徴とする。
請求項1に係る発明では、カーボンナノ材料は酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料を採用した。酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料は濡れ性が良く、樹脂と良好に結合するため、極めて高い強度の複合成形品を得ることができる。
請求項2に係る発明では、酸処理は、0.01〜6.0モル/リットルの濃度の酸で実施する。0.01〜6.0モル/リットルの濃度の酸で未黒鉛化カーボンナノ材料を処理すると、高い強度の複合成形品を得ることができる。
請求項3に係る発明では、酸処理は、1.0〜3.0モル/リットルの濃度の酸で実施する。1.0〜3.0モル/リットルの濃度の酸で未黒鉛化カーボンナノ材料を処理すると、極めて高い強度の複合成形品を得ることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図3は本発明に係るカーボンナノ−樹脂複合成形品の製造フロー図である。
(a)に示すように、未黒鉛化カーボンナノ材料21と樹脂材料22とを準備する。そして、(b)に示すように、未黒鉛化カーボンナノ材料21に酸処理を施す。この酸処理は図1で説明した酸化還流処理装置10又は同等の装置、設備で実施する。酸処理を施すと未黒鉛化カーボンナノ材料21は(c)に示すように、酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料23になる。
次に、(d)に示すように、酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料23と樹脂材料22とを混合する。続いて、(e)で混合物を可塑化し、(f)で射出し、(g)に示すようなカーボンナノ−樹脂複合成形品24を得る。
以上に述べた(d)〜(f)を実施するに当たって、好適な射出機構を次図で説明する。
図4は本発明に係るカーボンナノ−樹脂複合成形品の製造に用いる射出機構の一例を示す図であり、樹脂の射出機構には各種あるが、その一つが予備可塑化(一般にプリプラと呼ぶ)方式の射出機構である。
プリプラ式射出機構30は、可塑化筒体31に可塑化スクリュー32を内蔵した可塑化部33と、射出筒34にプランジャ35を内蔵し、このプランジャ35を射出ラム36で前後進させるようにした射出部37とからなり、予め可塑化部33で可塑化処理した材料を、射出部37で射出することができる射出機である。
そして、可塑化筒体31の基部に混合装置40を装備する。
混合装置40は、樹脂材料22の投入口41並びに酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料23の投入口42を備えた蓋43を有するホッパ形状の容器44と、この容器44に貼り付けたヒータ45・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)と、これらのヒータ45・・・に被せた保温材46と、容器44の内部温度を計測するために容器44に設けた温度センサ47と、容器44内の材料を撹拌して混合する撹拌手段50とからなる。
容器44の材質は、耐食性を考慮すると、炭素鋼よりはステンレス鋼が好ましい。
攪拌手段50は、蓋43から下げた回転軸51と、この回転軸51を回す電動機52と、回転軸51に取付けた攪拌羽根53とからなる。
なお、混合装置40は、可塑化筒体31に取付けないで、別の場所に配置し、予め混合した材料を可塑化筒体31に投入するようにしても良い。
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
○複合材料:
・樹脂材料の種類:ポリアミド12(PA12)又はポリカーボネート(PC)
・樹脂材料の形態:平均粒径が200μmである粉末
・カーボンナノ材料:酸処理を施していない未黒鉛化カーボンナノ材料、又は酸処理を施した未黒鉛化カーボンナノ材料
・酸処理:酸濃度が2.67モル/リットルの強酸で、12時間処理。
・混合割合:次表に示す。
○混練:混合混練機で60分間混練。
○射出成形:
・金型キャビティの大きさ:76mm×10mm×2mm
・射出機の種類:横型射出成形機
・射出圧力:176MPa
・加熱筒の温度:220〜240℃
・射出速度:30mm/秒
○試験片の大きさ:76mm×10mm×2mm
○引張試験機:島津製作所製試験機(AUTOGRAPH AG−250KNIS)
引張試験機で得た引張強さを以下に示す。
なお、PA12樹脂に対する表とPC樹脂に対する表とは別々に作成した。
Figure 2008001749
試料1では、PA12樹脂のみで試験片を作製した。このときには、引張強さは38、3MPaであった。
試料2では、95質量%のPA12樹脂に5質量%の未酸化処理の未黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製した。このときには、引張強さは49.5MPaであった。
試料3では、95質量%のPA12樹脂に5質量%の酸化処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製した。このときには、引張強さは50.5MPaであった。
試料4では、90質量%のPA12樹脂に10質量%の未酸化処理の未黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製した。このときには、引張強さは53.8MPaであった。
試料5では、90質量%のPA12樹脂に10質量%の酸化処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製した。このときには、引張強さは56.2MPaであった。
表中に示した引張強さを見易くするためにグラフ化する。
図5はPA12に対する未黒鉛化カーボンナノ材料の添加率と引張強さの関係を示すグラフである。
破線グラフは、従来技術を参考までに加えて。すなわち、黒鉛化カーボンナノ材料をPA12に添加した場合であって、引張強さは38.3〜43.8MPaである。
その上に描いた、細線実線グラフは、試料2、4を表した。すなわち、酸処理を施さない未黒鉛化カーボンナノ材料をPA12に添加した。未黒鉛化カーボンを採用したので、強度は向上した。
一番上に描いた、太線実線グラフは、試料3、5を表した。すなわち、酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料をPA12に添加した。酸処理済み未黒鉛化カーボンを採用したので、強度は更に向上した。
Figure 2008001749
試料6では、PC樹脂のみで試験片を作製した。このときには、引張強さは50、8MPaであった。
試料7では、95質量%のPC樹脂に5質量%の未酸化処理の未黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製した。このときには、引張強さは64.8MPaであった。
試料8では、95質量%のPC樹脂に5質量%の酸化処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製した。このときには、引張強さは67.0MPaであった。
試料9では、90質量%のPC樹脂に10質量%の未酸化処理の未黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製した。このときには、引張強さは66.1MPaであった。
試料10では、90質量%のPC樹脂に10質量%の酸化処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料を混合して試験片を作製した。このときには、引張強さは70.9MPaであった。
表中に示した引張強さを見易くするためにグラフ化する。
図6はPCに対する未黒鉛化カーボンナノ材料の添加率と引張強さの関係を示すグラフである。
破線グラフは、従来技術を参考までに加えて。すなわち、黒鉛化カーボンナノ材料をPCに添加した場合であって、引張強さは58.0〜58.2MPaである。
その上に描いた、細線実線グラフは、試料7、9を表した。すなわち、酸処理を施さない未黒鉛化カーボンナノ材料をPCに添加した。未黒鉛化カーボンを採用したので、強度は向上した。
一番上に描いた、太線実線グラフは、試料8、10を表した。すなわち、酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料をPCに添加した。酸処理済み未黒鉛化カーボンを採用したので、強度は更に向上した。
図5及び図6から、黒鉛化カーボンナノ材料よりも、未黒鉛化カーボンナノ材料の方が強度向上効果が高い。そして、未黒鉛化カーボンナノ材料では、酸化処理を施さないものより、酸化処理を施した方が強度向上効果が高いことが、判明した。
そこで、酸化処理の好適条件を調べる追加実験を実施した。
○酸化処理:
・処理装置:図1に示す酸化還流処理装置10
・カーボンナノ材料:未黒鉛化カーボンナノ材料 6g
・酸濃度:下記表に示す。
・酸の量:500ml(ミリリットル)
・処理時間:12時間
○複合材料:
・樹脂材料の種類:ポリアミド12(PA12)
・カーボンナノ材料:酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料
・混合割合:酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料10質量%+PA12樹脂90質量%
○混練:混合混練機で60分間混練。
○射出成形:
・金型キャビティの大きさ:76mm×10mm×2mm
・射出機の種類:横型射出成形機
・射出圧力:176MPa
・加熱筒の温度:220〜240℃
・射出速度:30mm/秒
○試験片の大きさ:76mm×10mm×2mm
○引張試験機:島津製作所製試験機(AUTOGRAPH AG−250KNIS)
Figure 2008001749
表中に示した引張強さを見易くするためにグラフ化する。
図7は酸濃度と引張強さの関係を示すグラフであり、横軸が対数目盛で、縦軸が等分目盛の片対数グラフを使用した。
酸濃度が2.67モル/リットルまでは、酸濃度に比例して成形品の引張強さが増加する。しかし、酸濃度が2.67モル/リットル以上では、成形品の引張強さが減少する。
横軸に平行に描いた、53.8の横線は試料11、すなわち酸処理を施さない未黒鉛化カーボンナノ材料を用いて製作した試験片の強度である。0.01〜6モル/リットルの範囲であれば、54MPaの強さが得られ、53.8MPa以上であるから、酸処理効果が得られる。
そこで、酸処理は、0.01〜6.0モル/リットルの濃度の酸で実施することが望ましい。
横軸に平行に描いた、55.7の横線は試料14の引張強さに相当する。この55.7MPaは、上述の53.8MPaより十分に大きい。このような55.7MPaは1.0〜3.3モル/リットルで得られる。3.3より小さな3.0モル/リットルであれば55.7MPaを十分に超える。
そこで、さらに望ましくは、酸処理は、1.0〜3.0モル/リットルの濃度の酸で実施する。
尚、樹脂材料は、実験で用いたポリアミド12(PA12)やポリカーボネート(PC)の他、ポリアセタール(POM)であってもよく、構造材料として実用化されている材料であれば種類は問わない。
本発明は、カーボンナノ−樹脂複合成形品の製造方法に好適である。
酸化還流処理装置の原理図である。 酸処理の有無を比較するグラフである。 従来の技術の基本構成を説明する図である。 本発明に係るカーボンナノ−樹脂複合成形品の製造に用いる射出機構の一例を示す図である。 PA12に対する未黒鉛化カーボンナノ材料の添加率と引張強さの関係を示すグラフである。 PCに対する未黒鉛化カーボンナノ材料の添加率と引張強さの関係を示すグラフでである。 酸濃度と引張強さの関係を示すグラフである。 従来の技術の基本構成を説明する図である。 黒鉛化カーボンナノ材料の添加割合と引張強さの関係を示すグラフである。
符号の説明
10…酸化還流処理装置、22…樹脂材料、23…酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料、24…カーボンナノ−樹脂複合成形品、30…プリプラ式射出機構。

Claims (3)

  1. 樹脂材料にカーボンナノ材料を混合してなる複合材料を射出して成形品を得る複合成形品の製造方法において、前記カーボンナノ材料には、黒鉛化処理前の材料に酸処理を施した、酸処理済み未黒鉛化カーボンナノ材料を用いることを特徴とするカーボンナノ−樹脂複合成形品の製造方法。
  2. 前記酸処理は、0.01〜6.0モル/リットルの濃度の酸で実施することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ−樹脂複合成形品の製造方法。
  3. 前記酸処理は、1.0〜3.0モル/リットルの濃度の酸で実施することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ−樹脂複合成形品の製造方法。
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