JP2007533300A - 新規のcxcl8アンタゴニスト - Google Patents

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Abstract

ケモカインCXCL8(インターロイキン−8としても知られている)の新規アンタゴニストは、C末端領域に位置する塩基性アミノ酸の非保存的置換の特異的組み合わせを有する突然変異体の産生によって得られる。本発明に従って調製される化合物は、in vivoでのCXCL8活性の遮断に利用することができ、これによりCXCL8関連疾患の治療又は予防に用いる治療用組成物を提供する。

Description

本発明は、ケモカインCXCL8の新規アンタゴニストの構造及び特性に関する。
ケモカインは、小さな分泌される炎症促進性のタンパク質であり、それは血液から負傷部位への白血球の指向性移動を媒介する。このタンパク質ファミリーを特徴づける保存されたシステインの位置によって、そのケモカインファミリーは、一連の膜受容体に結合するC、C−C、C−X−C及びC−X3−Cケモカインに、構造的に分類することができる(Baggiolini M 他, 1997; Fernandez EJ 及び Lolis E, 2002)。
全てヘプタヘリカルGタンパク質共役化受容体であるこれらの膜タンパク質は、ケモカインが標的細胞上で生体活性を発揮するのを可能にする。その標的細胞は、それらの状態及び/又はタイプに応じて、受容体の特異的な組み合わせを示す。ケモカインの生理学的作用は、同時相互作用の複合的且つ統合的なシステムから生じる:受容体はしばしばオーバラップするリガンド特異性を有するので、単一の受容体が種々異なるケモカインと結合することができ、同様に単一のケモカインが種々異なる受容体と結合することができる。
通常ケモカインは負傷部位で産生され、そして白血球の移動及び活性化を引き起こし、炎症プロセス、免疫プロセス、恒常性プロセス、造血プロセス、及び脈管形成プロセスにおいて基本的な役割を果たす。従って、これらの分子は、そのようなプロセスに関係する疾患の治療的介入に対して、好適な標的候補であると考えられている。ケモカイン又はその受容体を阻害することで、過剰な白血球の成熟、漸増及び活性化、並びに新脈管形成又は動脈硬化に関係するその他の病的変性を軽減することができる(Baggiolini M, 2001; Loetscher P 及び Clark-Lewis I, 2001; Godessart N 及び Kunkel SL, 2001)。
構造と活性の関係についての研究により、ケモカインは、それらの受容体と相互作用する2つの主な部位を有することが示された。2つの主な部位は、フレキシブルなアミノ末端領域及び2番目のシステインに続く構造的に強固なループである。ケモカインはループ領域を用いて受容体とドッキング(dock)すると考えられており、そしてこの接触が、受容体の活性化を引き起こすアミノ末端領域の結合を容易にすると信じられている。このアミノ末端領域の重要性は、天然ケモカイン及びこのドメインが修飾され又は短縮された合成ケモカインを試験することによっても実証された。タンパク質分解性消化、突然変異誘発又はアミノ酸の化学的修飾によるこのプロセシングは、これらの分子を活性化又は不活性化することができ、アゴニスト活性及び/又はアンタゴニスト活性を有する化合物を生み出すことができる。従って、アミノ末端領域において特異的な修飾を有するケモカインは、炎症性疾患及び自己免疫疾患に対する治療可能性を有している(Schwarz 及び Wells, 1999)。
ケモカインは、他の細胞シグナル伝達の可溶性分子(インターロイキン、成長因子)と同様に、細胞受容体だけでなくグリコサミノグリカン(GAGs)とも生理学的に重要な相互作用を有するが、それらの親和性は多様である。これらの負に荷電した分子は、二糖繰り返し配列(例えば、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びヒアルロン酸など)により形成され、細胞表面上、細胞外マトリックス中、又は循環系中に自然に現れる。それらは、単離された形態で又はセリン残基でのGAGsの翻訳後付加を経てタンパク質に結合した状態(プロテオグリカン、又はPGs)で、存在することができる。
ケモカインは、それらの配列の短い部分に密集する塩基性残基(主にアルギニン及びリジン)を有しており、この目的に適しているが、そのようなモチーフは、ケモカイン毎又は高い相同性を示すケモカインのグループ毎で、異なった様式の構造をとる。GAG結合部位のいくつかは、例えばBBXBモチーフ(ここでBは塩基性残基を、そしてXは他の任意の残基を表す)又はその他の配列などの、特異的な共通配列と関連づけられていた(Kuschert G 他, 1999; Proudfoot A 他, 2001; Proudfoot A 他, 2003)。
GAGs−ケモカインの相互作用の主な結果は、ケモカインの凝集のようである。その状態ではタンパク質分解からの保護が可能となるだけでなく、それにより循環系中のケモカインの勾配生成放出を調整でき、その結果として受容体へのそれらの提示を調整することが可能となる(Hoogewerf AJ 他, 1997; Kuschert G 他, 1999)。GAGsとの相互作用及びこれらの勾配形成は、多くのケモカインについて明確に実証されており、そしてその相対的親和性が測定されている。このため、そのような相互作用の調節も、炎症疾患の治療的アプローチとなりうることが示唆されてきた(Ali S 他, 2001; Patel D 他, 2001)。
当業界において既知の、GAGs−ケモカインの相互作用を基礎として治療的効果を得る手段としては、内因性GAGsとケモカインとの相互作用を調節するGAGsアナログの産生(国際公開第94/20512号)、GAGsを取り除くためのヘパラナーゼの使用(国際公開第97/11684号)、ケモカイン−GAGs複合体の投与(国際公開第99/62535号)、GAGs結合ドメインのポリマーによる修飾(国際公開第02/04015号)、又はGAG結合活性に関わる残基の置換(国際公開第02/28419号,国際公開第03/051921号)が含まれる。
いくつかのケモカインについては広範囲の研究がなされてきたが、限られた類似性を有するケモカインとの配列の相同性に基づいて又は既知のGAGs結合タンパク質モチーフに基づいて、GAG結合を弱めるためにどの特異的塩基性残基を非保存的置換により修飾すべきかを予測することは不可能であることが十分に立証されている。なぜなら、ケモカインタンパク質ファミリーの間にはGAG結合ドメインの著しい構造的多様性があるからである(Lortat-Jacob H 他, 2002)。
ケモカインの中でも、CXCL8(インターロイキン−8、IL−8、単球由来好中球走化性因子、MDNCF、好中球活性化タンパク質1、NAP−1、リンパ球由来好中球活性化因子、LYNAP、好中球活性化因子、NAF、顆粒球走化性タンパク質1、GCP−1、エモクタキン、としても知られている)は、好中球だけでなくリンパ球、単球、内皮細胞、及び線維芽細胞においてもその活性を発揮する、有力な走化性炎症媒介因子として知られている(Mukaida N, 2003; Shi Q 他, 2001; Zeilhofer HU 及び Schorr W, 2000; Atta-ur-Rahman H 及び Siddiqui RA, 1999)。
CXCL8は多種多様な炎症性の刺激:サイトカイン、微生物生成物、環境変化(例えば、低酸素、アシドーシス、高血糖、高浸透圧、高細胞密度(high cell density)、高熱、放射線、化学療法剤、又は再かん流)、に応答して様々なタイプの細胞から産生される。CXCL8は遊走を促進し(motogenic)、分裂を促進し、そして脈管形成を誘導することも示されており、CXCL8がヒトの腫瘍進行において重要な役割を果たしていることを示唆している。
その受容体(CXCR2及びCXCR1)を活性化することで、CXCL8は、例えば宿主防御機構などの多くの病態生理学的プロセスに関係するいくつかの細胞内イベントを媒介する。CXCL8は、CXCR2/CXCR1の脱感作、内部化、及び再利用を導くシグナル伝達プロセスを活性化する。
これらの生体機能の発見は、CXCL8が、例えば慢性炎症や癌などの様々な病理学的条件の重要な媒介物であることを示唆しており、その作用の遮断を治療上の目的で使用し得ることを暗に意味している。文献において、CXCL8由来の突然変異体又はペプチドを含む、CXCL8阻害分子の多くの例が提供されている(国際公開第91/08231号, 国際公開第93/11159号, 国際公開第96/09062号; Moser他, 1993)。
CXCL8−GAGsの相互作用については、切断された又は1アミノ酸置換を有するCXCL8突然変異体によっても研究されてきた。それにより、例えば特定の組織における保持(Frevert C他, 2003; Frevert C他, 2002)や受容体/ヘパリン結合(Goger B他, 2002; Spillmann D他, 1998; Kuschert GS,他, 1998; Kuschert GS他, 1997; Hoogewerf AJ他, 1997; Skelton N他, 1999; Dias-Baruffi M他, 1998; Witt D及びLander A, 1994; Webb L他, 1993)などの、CXCL8の特性におけるそれらの関与が特徴づけられ、CXCL8の20'sループ及びC−末端領域中のGAG結合モチーフが同定された。しかし、これらのアプローチでは、in vivoでCXCL8に対しアンタゴニスト作用を有するCXCL8変異体は同定されなかった。
驚いたことに、ヒトCXCL8のカルボキシル末端における塩基性残基の特異的組み合わせを置換することで、CXCL8アンタゴニストを産生できることが見出された。非保存的置換(例えば、アラニンに置換)によりこれらの塩基性残基を排除することで、in vivoでCXCL8に対しアンタゴニスト活性を有するCXCL8突然変異配列が産生される。本発明に従って調製された化合物は、CXCL8結合細胞上でCXCL8活性の遮断に用いることができ、それによってCXCL8関連疾患、特に自己免疫疾患、炎症性疾患、又は感染性疾患の治療に用いる治療用化合物が提供される。
本発明は更に、CXCL8突然変異配列をコードする核酸、並びにそれらを発現するためのベクター及び宿主細胞及びそれらの調製方法を提供する。
本発明のCXCL8アンタゴニストは、様々な代替形態で提供することができる。例えば、その活性突然変異体、CXCL8以外のタンパク質に属するアミノ酸配列を含有する融合タンパク質、及びそれらをコードする核酸の形態における対応する分子、それらを発現する宿主細胞、活性画分、前駆体、塩、誘導体、複合体又は抱合体である。
ここに記載されたCXCL8突然変異配列を含むポリペプチドは、精製された調剤品として供給でき、そして医薬として有用である。特に、CXCL8−1B3(SEQ ID NO:4)、又はCXCL−2B3(SEQ ID NO:6)を含むポリペプチドは医薬として有用である。
本発明は更に、ここに記載されたCXCL8アンタゴニストを活性成分として含む医薬組成物、及びCXCL8関連の疾患、特に自己免疫疾患、炎症性疾患、又は感染性疾患の治療に対して有用な組成物を調製するためのそれらの使用を包含する。
ここに記載されたCXCL8アンタゴニストは、自己免疫疾患、炎症性疾患及び感染性疾患の治療方法において更に有用である。このような方法は、本発明のCXCL8アンタゴニストを有効量投与することを含む。
本発明のその他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明から明らかである。
本発明の主な目的は、ヒト成熟CXCL8ポリペプチドの突然変異配列を含むCXCL8の新規アンタゴニストを提供することであり、そのポリペプチドの少なくとも2つの塩基性残基であるリジン64及びリジン67がアラニン、グリシン、セリン、トレオニン、プロリン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、又はアスパラギンに置換されることを特徴とする。実施例に示される好ましい突然変異体と同一方法での追加的突然変異が可能な3番目の塩基性残基は、より近接したもの(アルギニン60及びアルギニン68)の中から選ぶことができる。
とりわけ、アラニンに置換された塩基性残基の特異的組み合わせを有する組み換えCXCL8突然変異配列は、CXCL8アンタゴニストとしての活性がある。これらの突然変異体はCXCL8−1B3(SEQ ID NO:4)又はCXCL8−2B3(SEQ ID NO:6)の配列を有し、アルギニン60−リジン64−リジン67及びリジン64−リジン67−アルギニン68がそれぞれアラニンに突然変異している。
本発明に従って調製されたCXCL8突然変異体は、in vivoでのCXCL8活性の遮断に使用でき、これにより過剰の又は無秩序なCXCL8産生による、特に自己免疫疾患、感染性疾患、又は炎症性疾患といったCXCL8関連疾患の治療に使用する治療用組成物が提供される。
塩基性残基の特定の組み合わせを置換するアミノ酸は、好ましくはアラニン又はグリシンのような非極性の小さなアミノ酸であるが、GAG結合に不適合な電荷及びディメンションを有し且つ同時にタンパク質の他の特性にほとんど干渉しないことを条件に、他のアミノ酸も適切である。置換に適切なアミノ酸は、セリン、トレオニン、プロリン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、又はアスパラギンである。
本発明の更なる対象は、従来技術の技術的教示を受け上記に開示したCXCL8アンタゴニストに基づいて産生可能な代替活性分子であり、それは医薬組成物の活性成分として使用できる。
「活性の」という用語は、このような代替化合物が本発明のCXCL8突然変異配列のアンタゴニスト特性を保持し、又はさらに増強すべきことを意味する。つまり、それは、例えば腹膜細胞漸増などのin vivoでのCXCL8活性に拮抗すべきである。
上記のCXCL8アンタゴニストの特性、及びここでCXCL8アンタゴニストとしてCXCL8−1B3又はCXCL8−2B3を用いて例示したCXCL8アンタゴニスト特性は、活性突然変異体において保持され、又はさらに増強されうる。当業界で既知の手段により決定されそして下記実施例で開示されるように、本発明で特徴づけられたのと同一の生体活性を同程度又はより高レベルで示す場合には、この分子のカテゴリーは、1又は数個のアミノ酸残基が付加、削除、又は置換されたその配列の天然アナログ又は合成アナログを含む。
天然アナログとは、例えば、本発明で示した位置が突然変異した、マウスなどの他の生物のCXCL8配列を意味する。人工アナログとは、部位特異的突然変異誘発技術、コーディングDNA配列レベルのコンビナトリアル技術(例えばDNAシャッフリング、ファージ表示/選択など)により、又はコンピュータ支援設計研究、若しくはこれに適したその他既知の技術によって産生されたペプチド及びポリペプチドを意味し、該技術は、実質的に同一の突然変異型又は短縮型ペプチド又はポリペプチドの有限集合を提供する。これらの代替分子は、従来技術又は下記実施例に示す教示内容を用いて、当業者により規定通りに獲得しそして試験することができる。
例えば、特異的人工突然変異体は、受容体結合に影響することが知られているアミノ末端領域に、付加、削除、又は置換される1又は数個のアミノ酸を有することができる。特に、これらの突然変異は、保存されたCXCモチーフ(図1)の直前のアミノ末端領域に位置する、成熟ヒトCXCL8の最初の6アミノ酸の1又は数個のアミノ酸に関与するだろう。
本発明によれば、これらの活性突然変異体における好ましい変化は、一般に「保存的」置換又は「安全な」置換として知られており、非塩基性残基が関与している。保存的アミノ酸置換は十分な類似化学特性を有したアミノ酸を用いており、これによりその分子の構造及び生体機能が保たれる。上記配列のアミノ酸の挿入及び削除がそれらの機能を変化させずに可能であること、特に、挿入又は削除が数個のアミノ酸、例えば10個未満、好ましくは3個未満のアミノ酸にしか関与せず、且つタンパク質又はペプチドの機能的コンホメーションに重要なアミノ酸を除去又は置換しない場合に可能であることも明らかである。
文献では、天然タンパク質の配列及び/又は構造に関する統計的及び物理化学的研究を基礎とする保存的アミノ酸置換の選択を可能とする多くのモデルが提供されている(Rogov SI及びNekrasov AN, 2001)。タンパク質デザイン実験により、特異的アミノ酸サブセットを使用することで折畳み可能で活性なタンパク質を産生できることが示され、タンパク質構造においてより容易に適応可能なアミノ酸「同義」置換の分類に役立った(Murphy LR他、2000)。置換に対して同義なアミノ酸基及びより好ましい同義基を、表Iで明示する。
本発明のCXCL8アンタゴニストの特異的変異体は、開示したCXCL8突然変異体のペプチド模倣体(ペプチドミメティクスとも呼ばれる)の形態で得ることができ、そのペプチド模倣体では、アミノ酸側鎖レベル、アミノ酸対掌性レベル、及び/又はペプチド骨格レベルで、ペプチド又はポリペプチドの性質が化学的に改変された。これらの改変は、改善された調製、改善された有効性及び/又は改善された薬物動態的特徴を有するアンタゴニストの提供を意図している。
例えば、被験者への注入後にペプチドがペプチダーゼによって容易に開裂されることが問題である場合、特に感受性の高いペプチド結合を非開裂性ペプチド模倣体に置換することで、より安定なペプチドを提供し、そして治療薬としてより有用なものにすることができる。同様に、L−アミノ酸残基の置換は、ペプチドのタンパク質分解に対する感受性をより小さくし、最終的にペプチドをペプチドというよりも有機化合物により類似させるための標準的な方法である。アミノ末端保護基としては、例えばt−ブチルオキシカルボニル、アセチル、テイル、スクシニル、メトキシスクシニル、スベリル、アジピル、アゼライル、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル、メトキシアジピル、メトキシスベリル、及び2,4−ジニトロフェニルも有用である。有効性を増大させ、活性を延長し、精製を容易にし、及び/又は半減期を増大させる、多くの他の修飾については、当業界で知られている(国際公開第02/10195号; Villain M 他, 2001)。
ペプチド模倣体中に含まれるアミノ酸誘導体の好ましい別の「同義」基を、表IIにおいて明示する。アミノ酸誘導体の一例としては、アミノイソ酪酸(Aib)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−COOH、インドリン−2−カルボン酸、4−ジフルオロ−プロリン、L−チアゾリジン−4−カルボン酸、L−ホモプロリン、3,4−デヒドロ−プロリン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、シクロヘキシル−グリシン、及びフェニル−グリシン、も挙げられる。
「アミノ酸誘導体」は、遺伝的にコードされる20種の天然アミノ酸の1つ以外のアミノ酸又はアミノ酸様化学物質を意味する。特に、アミノ酸誘導体は、直鎖状、分枝鎖状又は環状の置換型アルキル部分又は非置換型アルキル部分を含むことができ、そして1又は複数のヘテロ原子を含むことができる。アミノ酸誘導体は、de novoで生成でき、又は商業的供給元(Calbiochem-Novabiochem AG, Switzerland; Bachem, USA)から得ることができる。
ペプチド模倣体及び非ペプチド模倣体の合成技術及び開発技術は当業界で知られている(Hruby VJ及びBalse PM, 2000; Golebiowski A他、2001)。タンパク質の構造及び機能を調査し及び/又は改良するための、in vitro及びin vivoでの翻訳システムを用いて非天然型アミノ酸をタンパク質中に組み入れる種々の方法が、文献に開示されている(Dougherty DA, 2000)。
本発明のCXCL8アンタゴニストのさらに特異的な変異体は、上記のアミノ酸配列の1つとヒト成熟CXCL8以外のタンパク質配列に属するアミノ酸配列を含むものである。この異種の後者配列は、アンタゴニスト活性を著しく損なうことなく、又はGAG結合特性を改良することなく、付加的な特性を提供するはずである。このような付加的特性の例としては、より容易な精製手順、体液中でより長く持続する半減期、付加的な結合部分、内部タンパク質分解消化による成熟、又は細胞外局在がある。この後者の特徴は、上記に含まれる融合タンパク質又はキメラタンパク質からなる特異的群を明らかにするために特に重要である。なぜなら、この後者の特徴は、本発明でCXCL8アンタゴニストと定義された分子が、これらのポリペプチドの分離及び精製が容易な空間だけでなく、CXCL8とその受容体が自然に相互作用する空間への局在をも可能にするからである。
その化学部分、リガンド、及びリンカーの設計、並びに、融合タンパク質の構築、精製、検出及び使用のための方法及びストラテジーについては、文献において幅広く論議されている(Nilsson J他、1997;「Applications of chimeric genes and hybrid proteins」Methods Enzymol. 第326-328巻、Academic Press, 2000; 国際公開第01/77137号)。本発明のアンタゴニストの産生に使用可能な付加的タンパク質配列は、膜結合タンパク質の細胞外ドメイン、免疫グロブリン定常領域(Fc領域)、多量体化ドメイン、シグナルペプチド、輸送シグナル含有タンパク質、及びタグ配列(例えばヒスチジンタグ)の中から選択される。本発明のCXCL8突然変異体に融合させるこれらの配列の1又は複数の選択は、その物質の特定の使用及び/又は精製プロトコルに対して有効である。
例えば、循環系中で組み換えタンパク質の安定性及び効力を改善することが知られている免疫グロブリンドメイン定常領域にこの配列を連結することにより、CXCL8−1B3又はCXCL8−2B3を含む融合タンパク質を獲得することができる。その得られた融合タンパク質を、その融合タンパク質を培地中に分泌するための適切な発現ベクターを用いて、哺乳動物細胞(例えばCHO又はHEK293細胞など)により直接的に発現させることができる。好ましい構成においては、ヒトCXCL8シグナル配列(又は、その他の適切なシグナル配列)をコードする核酸配列をその5’末端に融合し且つヒト免疫グロブリンラムダ重鎖IgG1(NCBI Acc. No. CAA75302)の定常領域(セグメント243−476)をコードする核酸配列をその3’末端に融合した発現ベクターに、成熟CXCL8−1B3又は成熟CXCL8−2B3をコードする核酸配列をクローニングすることができる。その得られたベクターはCHO又はHEK293細胞系の形質転換に使用することができ、そしてN末端にCXCL8−1B3又はCXCL8−2B3を有し且つC末端にIgG1配列を有する組み換え融合タンパク質を安定的に発現し、分泌するクローンを選抜することができる。またこのクローンは、生産を増やす目的及び培地から組み換え融合タンパク質を精製する目的で用いることができる。あるいは、ヒト免疫グロブリンラムダ重鎖IgG1の定常領域とCCL2−P8Aをコードする核酸の位置を逆にすることができ、そして、その結果得られるタンパク質を発現させ、なおもヒトCXCL8シグナル配列又はその他の適切なシグナル配列を用いて分泌させることができる。
本発明のCXCL8アンタゴニストとして働くCXCL8突然変異配列は、所望の使用方法及び/又は産生方法に照らして好ましいその他別の形態、例えば活性画分、前駆体、塩、誘導体、抱合体又は複合体として存在することができる。
「画分」という用語は、化合物自身のポリペプチド鎖の任意のフラグメントを指し、それは単独であるか又はそれに結合する関連分子若しくは残基、例えば糖残基又はリン酸残基との組み合わせである。そのような分子は、通常一次配列を変化させない他の修飾、例えばin vivo又はin vitroでのペプチドの化学的誘導(アセチル化又はカルボキシル化)などからも生じさせることができ、それらは、ペプチドの合成及びプロセシングにおける又は更なるプロセシング段階におけるペプチドのリン酸化(ホスホチロシン、ホスホセリン、又はホスホスレオニン残基の導入)又はグリコシル化(グリコシル化に影響を及ぼす酵素、例えば、哺乳動物のグリコシル化酵素又は脱グリコシル化酵素にペプチドをさらすことによる)のパターンを改変することによって作製される。
「前駆体」とは、細胞又は身体への投与の前後に、代謝的及び酵素的プロセシングによって、本発明の化合物に変換することができる化合物である。
ここでの「塩」という用語は、本発明のペプチド、ポリペプチド、又はそのアナログのカルボキシル基の塩及びアミノ基の酸付加塩の両方を指す。カルボキシル基の塩は当業界で知られた手段によって形成することができ、例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄又は亜鉛の塩などの無機塩、及びトリエタノールアミン、アルギニン又はリジン、ピペリジン、プロカインなどの、例えばアミンなどと形成する有機性塩基との塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸又は硫酸などの無機酸との塩、及び例えば酢酸又はシュウ酸などの有機酸との塩が挙げられる。このような塩はどれも、本発明のペプチド及びポリペプチド、又はそれらのアナログと実質的に類似の活性を有するはずである。
ここで用いられる「誘導体」という用語は、アミノ酸部分の側鎖上の又はアミノ末端基上若しくはカルボキシ末端基上の官能基から、既知の方法に従って調製できる誘導体を指す。そのような誘導体としては、例えばカルボキシル基のエステル若しくは脂肪族アミド、及び遊離アミノ基のN−アシル誘導体又は遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体などが挙げられ、例えばアルカノイル基又はアロイル基などのようなアシル基と形成する。
受容体若しくは他のタンパク質との相互作用(放射性標識又は蛍光標識、ビオチン)、治療効力(細胞毒性薬)、又は薬物送達効力に関する物質例えばポリエチレングリコール及び他の天然ポリマー若しくは合成ポリマーなどの改善、に関する当業界で知られた分子及び方法を用いて、上記のホモ二量体形成ケモカインの絶対的単量体変異体の有用な抱合体又は複合体を生成することができる(Harris JM 及び Chess RB, 2003; Greenwald RB 他, 2003; Pillai 0 及び Panchagnula R, 2001)。内側位置又は末端位置における適切な残基の部位特異的な修飾を経て、これらの代替CXCL8アンタゴニストを産生することができる。ポリマーを付着しやすい側鎖(すなわち、官能基を有するアミノ酸、例えばリジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、ヒスチジンなどの側鎖)を有するものであれば、残基を付着に使用することができる。あるいは、これらの部位の残基を、ポリマー付着しやすい側鎖を有する異なるアミノ酸に置換することができる(例えば、PEG化を可能にするシステイン)。また、遺伝的にコードされたアミノ酸側鎖を、ポリマー付着のために化学的に修飾することもでき、あるいは、適切な側鎖官能基を有する非天然アミノ酸を用いることもできる。ポリマー付着は、そのアンタゴニストの特異的位置に天然に存在するアミノ酸側鎖に、又はそのアンタゴニストの特異的位置に天然に存在するアミノ酸に置換する天然の又は非天然のアミノ酸側鎖に起こり得るだけでなく、標的位置におけるアミノ酸側鎖に付着する炭水化物又は他の化学部分にも起こり得る。
これらの目的に適したポリマーは生体適合性がある。つまり、それらは生体系に対して非毒性であり、多くのこのようなポリマーが知られている。このようなポリマーは疎水の若しくは親水の性質を有し、生分解性、非生分解性、又はこれらの組み合わせであることができる。これらのポリマーとしては、天然ポリマー(例えばコラーゲン、ゼラチン、セルロース、ヒアルロン酸)、及び合成ポリマー(例えばポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物)が挙げられる。疎水性非分解性ポリマーの例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、及びポリメチルメタクリレートが挙げられる。親水性非分解性ポリマーの例としては、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリビニルアルコール、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、及びこれらの共重合体が挙げられる。好ましいポリマーは、連続繰り返し単位としてエチレンオキシドを含み、例えばポリエチレングリコール(PEG)などである。
好ましい付着法では、ペプチド合成と化学的連結反応との組み合わせが用いられる。有利には、水溶性ポリマーの付着は生分解性リンカーを介して、特にタンパク質のアミノ末端領域で行われる。このような修飾が作用すると、タンパク質は前駆体(例えば「プロドラッグ」)の形態で提供され、リンカーが分解されるとポリマー修飾を伴わずにタンパク質を放出する。
本発明のアンタゴニストは当業界で知られた任意の手順によって調製でき、組み換えDNA関連技術及び化学合成技術が含まれる。
本発明の別の対象は、上記CXCL8ケモカインのアンタゴニストをコードする核酸配列を含む核酸分子であり、その核酸配列には実質的に同一のヌクレオチド配列、例えば2つの試験されたCXCL8突然変異体のコード配列(SEQ ID:3及び5)などが含まれる。これらの配列は、分泌前に削除される天然CXCL8シグナル配列もコードしている。
「実質的に同一のヌクレオチド配列」は、遺伝子コードの縮重によって、所与のアミノ酸配列を同様にコードする他の全ての核酸配列を含む。
本発明の更に別の対象は、上記核酸を含む発現ベクター、かかるベクターを形質転換した宿主細胞、及び上記アンタゴニストを調製する方法であり、この調製方法にはこれらの形質転換された細胞の培養及び発現したタンパク質の回収が含まれる。アンタゴニストを、細胞外ペプチド、輸送シグナルペプチド又はシグナルペプチドを含有するタンパク質との融合タンパク質として、そのベクターにより発現させると、CXCL8アンタゴニストを細胞外空間に分泌させることができ、そして更なる処理を考慮した場合にCXCL8アンタゴニストをより容易に回収し且つ培養細胞から精製することができ、あるいはその細胞を直接使用し若しくは投与することができる。実施例では、そのような発現ベクター並びに宿主細胞及びその調製方法について説明する。
本発明のこれらの他の対象は、ここで開示されたものと、一般的な分子生物学的技術の知識とを組み合わせることにより達成することができる。多くの書物及び文献では、ベクター及び原核宿主細胞又は真核宿主細胞を使用した組換えタンパク質のクローニング方法及び産生方法について教示されており、例えばOxford University Press発行のシリーズ「A Practical Approach」中の幾つかの表題がそうである(「DNA Cloning 2: Expression Systems」, 1995; 「DNA Cloning 4: Mammalian Systems」, 1996;「Protein Expression」, 1999;「Protein Purification Techniques」, 2001)。
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、適切なエピソーム又は非相同的/相同的な組み込みベクターに挿入し連結することができ、それは任意の適切な手段によって適切な宿主細胞に導入され(例えば、形質転換、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接的マイクロインジェクションなど)、それらを形質転換することができる。特定のプラスミド又はウイルスベクターの選択において重要な要素としては:ベクターを含有しない受容細胞からベクターを含有する受容細胞を認識し及び選抜することの容易性;特定の宿主細胞における所望のベクターのコピー数;及び異なる種の宿主細胞間でそのベクターを「シャトル」できることが望ましいか否かということ、が挙げられる。
そのベクターは、転写開始/終止調節配列の制御下で、原核又は真核宿主細胞において、本発明のアンタゴニストを含む単離タンパク質又は融合タンパク質の発現を可能にするはずである。そのような調節配列は、その細胞中で構成的に活性であるか又は誘導性であるかで選択される。次いで、そのような細胞において実質的に富化された細胞株を単離することで、安定な細胞株を提供することができる。
真核生物宿主(例えば酵母、昆虫又は哺乳動物細胞)の場合、宿主の性質に応じて、種々異なる転写調節配列及び翻訳調節配列を用いることができる。これらの調節配列は、例えばアデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、又はシミアン・ウイルスなどのウイルス源から得ることができる。ここで、その調節シグナルは高発現レベルを有する特定遺伝子と連関されている。例としては、ヘルペス・ウイルスのTKプロモーター、SV40初期プロモーター、酵母gal4遺伝子プロモーターなどである。抑制及び活性化を可能にする転写開始調節シグナルを選択することで、遺伝子の発現を調節することができる。発現ベクターを含有する宿主細胞の選択を可能にする1又は2以上のマーカーをも導入することで、導入DNAによって安定的に形質転換された細胞を選択することができる。マーカーは、栄養要求性宿主に対する光合成栄養や、例えば抗生物質、銅などの重金属などの殺生剤への耐性、などを提供することもできる。選択マーカー遺伝子は、発現されるべきDNA遺伝子配列に直接的に連結するか、又は、同時トランスフェクションによって同一の細胞中に導入することができる。本発明のタンパク質を最適に合成するためには、付加的な要素が必要であることもある。
宿主細胞は、原核生物細胞又は真核生物細胞のいずれであってもよい。好ましくは真核生物宿主であり、ヒト、サル、マウス及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの例えば哺乳動物細胞である。なぜなら、それらにより正確な折りたたみ又は正確な部位でのグリコシル化を含むタンパク質分子の翻訳後修飾が提供されるからである。酵母細胞も、グリコシル化を含む翻訳後ペプチド修飾を行うことができる。多くの組み換えDNAストラテジーが存在し、それは強力プロモーター配列及び大量コピー数プラスミドを利用することにより、酵母における所望のタンパク質の産生に利用することができる。酵母は、クローニングされた哺乳動物の遺伝子産物中のリーダー配列を認識し、リーダー配列を有するペプチド(即ち、プレペプチド)を分泌する。
組み換えタンパク質の長期間多収量産生のためには、安定的な発現が好ましい。例えば、ウイルス性複製起点及び/又は内在性の発現要素及び選択マーカー遺伝子を、同一の又は別のベクター上に含みうる発現ベクターを用いて、対象のポリペプチドを安定的に発現する細胞株を形質転換することが可能である。ベクター導入後、細胞を選択培地に移す前に、富栄養培地で1〜2日の間、細胞を生育することができる。選択マーカーの目的は選抜条件に対する抵抗性を与えることであり、その存在により、導入された配列を首尾よく発現する細胞の増殖及び回収が可能となる。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に好適な組織培養技術を用いて増殖させることができる。次いで、そのような細胞の中で実質的に富化された細胞株を単離することで、安定な細胞株を提供することができる。
発現用の宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は当業界で知られており、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を含む。不死化細胞株には、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、HeLa細胞、子供ハムスター腎臓細胞(BHK)、サル腎臓細胞(COS)、C127、3T3、BHK、HEK293、ボウズ(Bowes)メラノーマ細胞及びヒト肝細胞癌(例えばHepG2)細胞及び多数のその他の細胞株が含まれるが、これだけに限られない。バキュロウイルス系については、バキュロウイルス/昆虫細胞発現系用の材料が、特にInvitrogenからキットの形態で商業的に入手可能である。
化学合成技術の例としては、固相合成法及び液相合成法がある。固相合成法に関しては、例えば、合成されるべきペプチドのカルボキシ末端に対応するアミノ酸が、有機溶剤中で不溶性の支持体に結合され、そして、適切な保護基で保護されたアミノ基と側鎖官能基とを有するアミノ酸が1つずつ、カルボキシ末端からアミノ末端まで順々に縮合する1反応と、樹脂に結合したアミノ酸又はペプチドのアミノ基の保護基が放出される1反応とが交互に繰り返すことにより、ペプチド鎖が伸長する。固相合成法は、使用される保護基のタイプに応じて、tBoc法とFmoc法とに大きく分類される。典型的に使用される保護基としては、アミノ基に対しては、tBoc(t-ブトキシカルボニル)、CL−Z(2−クロロベンジルオキシカルボニル)、Br−Z(2−ブロモベンジルオキシカルボニル)、Bzl(ベンジル)、Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)、Mbh(4,4’−ジメトキシジベンズヒドリル)、Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)、Trt(トリチル)、Tos(トシル)、Z(ベンジルオキシカルボニル)及びCl2−Bzl(2,6−ジクロロベンジル)が挙げられ;グアニジノ基に対しては、NO2(ニトロ)及びPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)が挙げられ;そして、ヒドロキシル基に対してはtBu(t−ブチル)が挙げられる。所望のペプチドの合成後、それは脱保護反応にかけられ、固体支持体から切り出される。このようなペプチド切断反応は、Boc法に対してはフッ化水素又はトリフルオロメタンスルホン酸を用いて実施することができ、そしてFmoc法に対してはTFAを用いて実施することができる。合成ケモカインについては文献において完全に記載されている(Dawson PE 他, 1994; Brown A 他, 1996)。
本発明の天然、合成又は組換えアンタゴニストの精製は、これを目的とする任意の既知の方法、即ち、抽出、沈殿、クロマトグラフィー、電気泳動などを伴う任意の慣用手順の1つによって行うことができる。本発明のタンパク質の精製に優先して使用できる更なる精製手順は、モノクローナル抗体又は親和性基を用いるアフィニティークロマトグラフィーである。それらは標的タンパク質に結合し、カラム内に含有されるゲルマトリックス上で生成及び固定化される。タンパク質を含有する不純な調製物をカラムに通過させる。タンパク質はヘパリン又は特異的抗体によってカラムに結合する一方、不純物は通過する。洗浄後、pH又はイオン強度の変化によって、タンパク質はゲルから溶出される。あるいは、HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)を使用することができる。溶出は、タンパク質の精製で一般的に使用される水−アセトニトリルを基剤とする溶媒を用いて実施することができる
本発明の別の対象は、CXCL8アンタゴニストの精製された調製物である。精製された調製物とは、ここで使用されているように、アンタゴニストを少なくとも1%(乾燥重量で)、好ましくは少なくとも5%含む調製物を指す。
本発明の別の対象は、CXCL8アンタゴニスト(タンパク質の形態及び上記のそれらの代替形態、並びにその関連するペプチド模倣体、細胞及び核酸)の薬としての使用、特に、例えば自己免疫疾患、炎症性疾患、又は感染性疾患などのCXCL8関連疾患の治療又は予防のための医薬組成物の製造における活性成分としての使用である。このような医薬組成物の調製方法は、医薬として許容される担体とCXCL8アンタゴニストの混合を含む。
医薬組成物は、医薬として許容される担体、生物学的に適合可能な賦形剤及び動物への投与に適切な添加物(例えば、生理食塩水)を、活性成分としての本発明のCXCL8アンタゴニストと組み合わせて含有することができ、最終的には、医薬に使用可能な調製物に活性化合物を入れる工程を容易にする助剤(賦形剤、安定化剤、補助剤又は希釈剤のような)を含む。医薬組成物は、投与形態の要件を満たす任意の許容可能な方法で処方することができる。例えば、薬物送達のための生体材料及び他のポリマーの使用、並びに特定の投与形態を有効にするための異なる技術及びモデルについては、文献に開示されている(Luo B 及び Prestwich GD, 2001; Cleland JL 他, 2001)。
「有効量」は、疾患の経過及び重症度に影響を及ぼし、このような病状を低減又は緩和するのに十分な活性成分の量を指す。有効量は、投与経路及び患者の症状に依存するだろう。
「医薬として許容される」とは、活性成分の生体活性効果を妨害せず、投与する宿主に対して毒性を有さない任意の担体を包含することを意図されている。例えば、非経口投与のためには、例えば生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルブミン及びリンガー溶液などの賦形剤の中に、上記活性成分を注入用の単位投与形態で配合することができる。担体はまた、澱粉、セルロース、滑石、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、及び石油起源、動物起源、植物起源又は合成起源の油(落花生油、大豆油、鉱物油、ごま油)を含む種々の油からも選択することができる。
活性成分の血中濃度を所望の濃度にするために、当業者は任意の許容される投与形態を使用しそして決定することができる。例えば、投与は、皮下投与、静脈内投与、皮内投与、筋肉内投与、腹膜内投与、鼻内投与、経皮投与、経口投与、直腸投与、又は口腔投与などの様々な非経口投与によることができる。所定の程度でポリペプチドを長期に投与するため、蓄積注入、浸透圧ポンプなどを含む持続放出製剤又は放出制御製剤で、本発明の医薬組成物を投与することもでき、好ましくは、1回の投与を正確な用量とするのに適した単位用量形態で投与する。
非経口投与は、ボーラス注入又は長期段階的灌流によることができる。非経口投与のための調製物は、滅菌の水性又は非水性溶液、懸濁液、及び乳液を含み、当業界で知られた助剤又は賦形剤を含有してもよく、そして決まりきった方法に従って調製することができる。さらに、適切な油性注入用懸濁液として、その活性化合物の懸濁液を投与することができる。適切な親油性溶媒又は賦形剤としては、例えばゴマ油などの脂肪油、又は例えばゴマ油などの合成脂肪酸エステル、又は例えばオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステルが挙げられる。懸濁液の粘度を増加させる物質を含有できる水性注入懸濁液としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/又はデキストランが挙げられる。任意に、懸濁液は安定化剤を含有することができる。医薬組成物は注入投与用の適切な溶液を含み、約0.01〜99.99パーセント、好ましくは約20〜75パーセントの活性化合物を賦形剤と共に含有する。
投与される用量は、受容者の年齢、性別、健康状態、及び体重、もしあれば併用治療の種類、治療頻度、及び所望する効果の性質に依存するだろうことが理解される。当業者によって理解されそして決定可能であるように、用量は個々の被験者に対して調整されるだろう。各治療に必要とされる総用量は、複数回投与又は単回投与によって投与することができる。本発明の医薬組成物は、単独で投与することができ、又はその病気を対象とした若しくはその病気の他の症状を対象とした他の治療と共同して投与することができる。通常、活性成分の1日投与量は、1日につき体重1キログラムで0.01〜100ミリグラムの間で構成される。通常、分割投与又は徐放性製剤で与えられる用量が1日につき1キログラムあたり1〜40ミリグラムであるのが、所望の効果を得るのに有効である。2回目又はその後の投与は、個体に投与した初回又は前回の用量と同量か、それよりも少ないか、若しくはそれよりも多い用量で行うことができる。
本発明のCXCL8アンタゴニストの有効量の投与を含む、CXCL8関連疾患の治療方法又は予防方法も、本発明の別の対象である。
「CXCL8関連疾患」という文言は、過剰の又は無秩序なCXCL8産生に起因する任意の疾患を指し、それは大規模な好中球浸潤/T細胞浸潤又は新生血管成長を引き起こす。そして、ここでCXCL8アンタゴニストを投与することで有益な効果を提供することができる。このような慢性疾患、急性疾患、又は遺伝性疾患の非包括的リストとしては:過剰増殖性疾患、自己−/免疫疾患、炎症性疾患、細菌性/真菌性//原虫性/ウイルス性感染症、心臓性疾患及び脈管疾患、が挙げられる。このような疾患の特定の例としては:平滑筋腫、膵腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、脈管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、癌、新形成、癌腫、乾癬、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、喘息、閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性疾患、発作、敗血性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性菌敗血、毒素性ショック症候群、心臓性及び腎性再かん流障害、糸球体腎炎、血栓症、移植片対宿主反応、アルツハイマー病、同種移植の拒絶反応、マラリア、再狭窄、血管形成、アテローム性動脈硬化、骨粗しょう症、がある。
本発明のCXCL8アンタゴニスト及び関連する試薬の治療への応用は、動物細胞、動物組織及び動物モデルを使用したin vivo又はin vitroの試験によって評価(安全性、薬物動態及び効能に関して)することができる(Coleman R 他, 2001; Li A, 2001; Methods Mol. Biol 第138巻, "Chemokines Protocols", Proudfoot A 他編, Humana Press Inc., 2000; Methods Enzym ol, 第287巻 及び 第288巻, Academic Press, 1997)。
本発明を特定の実施態様に関連して説明してきたが、この説明の内容は、特許請求の範囲の意味及び目的を逸脱することなしに、当業者によって考えられ得るあらゆる変更又は置き換えを含む。
下記実施例によって本発明を以下に説明する。これらの実施例は、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。実施例では、下記に特定した図面を引用する。
実施例1:CXCL8突然変異配列の調製と特徴づけ
材料及び方法
ヒトCXCL8突然変異体の発現
S.セレビシア(S.cerevisiae)Matα−ファクターpre−proシグナルペプチドによりクローニングタンパク質の分泌を可能とするpPIC9Kベクター(Invitrogen)を用いて、成熟ヒトCXCL8及びCXCL8突然変異体を酵母ピチア・パストリス(Pichia pastoris)において発現させた。
ヒトCXCL8(IL-8 ; NCBI Acc. N° P10145 及び M23344)、特に前駆体分子のセグメント28−99に対応しそして72アミノ酸残基を含む成熟形態、をコードするDNA配列の「メガプライマー」PCR突然変異誘発(Sarkar G 及び Sommer S, 1990)によりCXCL8突然変異体を作製した。
その突然変異体を配列決定により確認した。ヒトCXCL8(SEQ ID NO:1),CXCL8−1B3(SEQ ID NO:3),及びCXCL8−2B3(SEQ ID NO:5)のコード配列を含むpPIC9Kを基礎としたベクターを、エレクトロポレーションによるピチア・パストリス(Pichia pastoris)(GS115−His’株)への形質転換に使用した。His+形質転換体を最小培地で選択し、そして1mg/mlのGeneticin(G418)抵抗性のものをスクリーニングした。振盪フラスコ中での0.5%メタノールによる小規模誘導により、G418抵抗性クローンについて組み換えCXCL8変異体の分泌を分析し、そしてクーマシーブルー染色SDS−PAGEにより分析した。
培地の上清を除去して、溶液のpHを酢酸で4.5に調整し、そして水希釈でその伝導率を20mSにすることにより、組み換えタンパク質の精製を行った。その溶液を、20mMの酢酸ナトリウム(pH4.5)中で前もって平衡にしたHiLoad S 26/10カラムにかけ、そして同一の緩衝液中で直線的な0−2M NaCl勾配を用いてタンパク質を溶出した。組み換えタンパク質を含む画分をプールして、2回交換した1%酢酸に対して透析をし、そして最後に0.1%トリフルオロ酢酸に対して透析をして、その後凍結乾燥させた。そのタンパク質の真正性を質量分析によって検証した。
腹膜細胞漸増
8〜12週の雌Balb/Cマウス(フランス、ジャンヴィエ)を、標準的な12時間明/暗周期で、食物及び水を自由に摂取できる標準的な動物拘束条件の下で飼育した。200μlの生理食塩水(滅菌したLPS非含有NaCl0.9%(w/v))、又は1回の注入につき10μgのCXCL8若しくはその突然変異体いずれかを含むこの溶液を、3匹のマウスから構成される群に腹膜内注入した。CXCL8誘導腹膜細胞の走化性に対するCXCL8突然変異体の阻害効果を調査研究するため、CXCL8を腹膜内注入する30分前にこれらの分子を腹膜内に投与した。全ての分子を上記の濃度及びバッファー中で投与した。
細胞漸増を評価するための腹膜洗浄を、下記の通り、ケモカイン又はケモカイン突然変異体の最後の注入の4時間後に行った。プレキシガラス箱中のCO2濃度の上昇による窒息によってマウスを屠殺した。皮膚を70%エタノールで消毒した。皮膚の外側の層を剥がし、腹膜を露出させた。腹膜腔を5mlの氷冷PBSで3回洗浄し、流動体を氷上の15mlポリスチレンFalconチューブ(Becton Dickinson)中にプールした。各洗浄では腹膜腔の軽いマッサージを付随して行った。洗浄液を425×gで遠心して、その上清を廃棄し、そしてその得られた細胞ペレットを穏やかに複数回ピペッティングすることで1mlのPBSに再懸濁した。10μlの細胞懸濁液を90μlのトリパンブルーで染色し、4つの範囲の各1mm2をカウントすることによって、ノイバウエル血球計で総細胞数を数えた。ノイバウエル血球計に付随する使用法により、4つのカウントの平均を計算して、希釈係数である10を掛け、そして再び10を掛けることにより、μlあたりの細胞数を得た。最終的な総計値に1000(1mlに等しい)を掛けることにより、回収した総細胞数を導きだした。
結果
成熟ヒトCXCL8を2つの突然変異型で発現させ、非ヘパリン結合変異体の配列及び特性を同定した。突然変異の標的は、成熟ヒトCXCL8のC末端における塩基残基の特異的組み合わせであり(SEQ ID NO:2)、アルギニン60−リジン64−リジン67(CXCL8−1B3;SEQ ID NO:4)又はリジン64−リジン67−アルギニン68(CXCL8−2B3;SEQ ID NO:6)いずれもをアラニンに突然変異させた。この領域に位置する残基は、受容体結合に関与するものと空間的に離れていることを別にすれば、ヘパリン結合に関与することが知られていた。それらの突然変異の効果は1残基レベルでは研究されていたが、任意の特異的なCXCL8アンタゴニスト活性との関連においては研究されていなかった(Frevert C 他, 2003; Kuschert G 他, 2002)。
その突然変異体のin vivoでの走化性調節能力について腹膜細胞漸増系で試験し、CXCL8のGAG結合部位の破壊によってin vivoでのCXCL8誘導細胞漸増に影響を与える分子が生じるかを調べた。
どちらのCXCL8突然変異体も、親ケモカインで処理したマウスから回収した細胞における増加と比較しても、基準を超える顕著な増加を誘導しなかった(図2A)。しかし、腹膜細胞走化性モデルにおいては、どちらの分子も高度な有意性をもってCXCL8媒介細胞漸増に拮抗する能力を有していた。
最後に、CXCL8−1B3及びCXCL8−2B3はそれ自身漸増特性を示さないが、腹膜への細胞漸増に関して、同量(10μg/マウス)を事前に投与した場合にはCXCL8に対して著しいアンタゴニスト活性を示す。従って、CXCL8のC末端領域における特異的塩基性残基の組み合わせ置換により、in vivoでのCXCL8誘導性細胞漸増を阻害する能力を有するCXCL8アンタゴニストが産生される。
Figure 2007533300
Figure 2007533300
Figure 2007533300
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成熟ヒCXCL8のアミノ酸配列(CXCL8;SEQ ID NO:2)、及びこれらの配列に基づいて産生された突然変異体のアミノ酸配列、CXCL8−1B3(SEQ ID NO:4)及びCXCL8−2B3(SEQ ID NO:6)。それらを、実施例に記載のように発現させ、そして試験した(突然変異させたアミノ酸には下線が引かれている;成熟ヒト配列に基づいて番号付けをしている)。CXCL8配列中の塩基性アミノ酸のクラスターは枠で囲まれている。 A)グラフは、in vivoでの腹膜細胞漸増モデルにおけるCXCL8とCXCL8突然変異体の効果について要約している。4時間後における基準との比較(データは平均総細胞数±標準偏差として表した;1群当たりのマウスn=3匹)。B)グラフは、腹膜腔中のCXCL8誘導細胞漸増におけるCXCL8突然変異体の阻害効果について要約している(データは平均総細胞数±標準偏差として表した;1群当たりのマウスn=3匹。p<0.05*,p<0. 001***)。

Claims (20)

  1. ヒト成熟CXCL8ポリペプチドのリジン64及びリジン67の少なくとも2つの塩基性残基がアラニン、グリシン、セリン、トレオニン、プロリン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、又はアスパラギンに置換されることを特徴とする、ヒト成熟CXCL8ポリペプチド(SEQ ID NO:2)の突然変異配列を含んでなるCXCL8アンタゴニスト。
  2. 3番目の塩基性残基がアラニン、グリシン、セリン、トレオニン、プロリン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、又はアスパラギンに置換されることを特徴とする、請求項1に記載のCXCL8アンタゴニスト。
  3. 前記突然変異配列がCXCL8−1B3(SEQ ID NO:4)、又はCXCL8−2B3(SEQ ID NO:6)であることを特徴とする、請求項2に記載のCXCL8アンタゴニスト。
  4. 前記アンタゴニストが、1又は数個のアミノ酸を付加、削除、若しくは置換した活性突然変異体であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニスト。
  5. 前記活性突然変異体において付加、削除、又は置換された1又は数個のアミノ酸が成熟ヒトCXCL8のアミノ末端領域中の最初の6アミノ酸に属している、請求項4に記載のCXCL8アンタゴニスト。
  6. 前記アンタゴニストが、ヒト成熟CXCL8以外のタンパク質配列に属するアミノ酸配列を含んでなることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニスト。
  7. 前記アンタゴニストが下記のタンパク質配列:膜結合タンパク質の細胞外ドメイン、免疫グロブリン定常領域(Fc領域)、多量体化ドメイン、シグナルペプチド、輸送シグナル含有タンパク質、及びタグ配列、の1又は複数に属するアミノ酸配列を含んでなることを特徴とする、請求項6に記載のアンタゴニスト。
  8. 前記アンタゴニストが、活性画分、前駆体、塩、誘導体、抱合体又は複合体の形態であることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニスト。
  9. 前記抱合体又は複合体を、放射性標識、ビオチン、蛍光標識、細胞障害性薬剤、又は薬物送達剤の中から選ばれる分子と形成することを特徴とする請求項8に記載のアンタゴニスト。
  10. 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニストをコードするDNA配列又は当該DNA配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子。
  11. 請求項10に記載のDNA分子を含んでなる発現ベクター。
  12. 請求項11に記載のベクターを形質転換した宿主細胞。
  13. 請求項12に記載の形質転換細胞の培養及び発現されたタンパク質の回収を含んでなる、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニストの調製方法。
  14. 請求項1〜請求項9に記載のCXCL8アンタゴニスト、又は請求項10若しくは請求項11に記載の核酸の少なくとも1%を含む精製された調製物。
  15. 請求項1〜請求項9に記載のCXCL8アンタゴニスト、請求項10若しくは請求項11に記載のDNA、又は請求項12に記載の細胞の、薬としての使用。
  16. CXCL8関連疾患の治療又は予防のための医薬組成物中の活性成分としての、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニストの使用。
  17. 活性成分として請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニストを含んでなる医薬組成物。
  18. 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニスト、又は請求項10若しくは請求項11に記載の細胞を、医薬として許容される担体と混合することを含んでなる、CXCL8関連疾患の治療又は予防のための医薬組成物の調製方法。
  19. 自己免疫疾患、炎症性疾患又は感染性疾患用の薬を製造するための、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニストの使用。
  20. 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のCXCL8アンタゴニスト、請求項10若しくは請求項11に記載のDNA、又は請求項12に記載の細胞を有効量投与することを含んでなる、CXCL8関連疾患の治療又は予防方法。
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