JP2007532649A - (4−アルキルピペラジニル)(フェニル)メタノン - Google Patents

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    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia

Abstract

本発明は、ヒトなどの哺乳類のアルツハイマー病の少なくともひとつの症状を処置するための治療方法であって、βアミロイドペプチド病原体哺乳類細胞の毒性を考慮し、且つ後に誘引される病理学的な経路の阻害を希求するような方法を提供し、この方法には、このような治療を必要とする哺乳類への、ベンゾイルピペラジン誘導体(薬学的に許容されるそれらの塩を含む)の有効量を投与するステップが含まれる。
【選択図】図1

Description

〔関連する出願の参照〕
本出願は、35 U.S.C. 119(e)に則り、U.S. Provisional Application Serial No. 60/562,643(2004年04月15日出願)の優先権を主張する。
アルツハイマー病(AD)は、年長者が罹るもっとも広く知られた認知症(dementia)であり、六十五歳以上のヒトの約10%が罹患し、八十歳以上では40%にも及ぶ。遺伝性(家族性)ADは、この病気の早期発症型(早発型)であり、アミロイド蛋白前駆体(amyloid protein precursor; APP)遺伝子の種々の変異を伴うものであって、ADの症例全体の5%に過ぎない。孤発性ADとも呼ばれるこの病気の晩期発症型(遅発型)は、ADの症例の95%以上を占めており、未だにその原因が捉えられていない。様々な危険因子が認定され、嫌疑がかけられている。これらの危険因子には、apoE遺伝子のε4アレル、社会経済的状況、もしくは既往歴が含まれているが、この病気の発症もしくは進行との因果関係は未だ確立していないままとなっている。
臨床的には、ADは認知プロセスおよび記憶改変の進行性且つ不可逆的な悪化として特徴づけられ、また、通常は抑鬱を含む非認知性症候を伴う(Robert et al., Alzheimer's Disease: from molecular biology to therapy, R. Becker et al., eds., (1996) at 487-493)。アルツハイマー病(AD)の神経病態は、組織学的には、老人斑の沈着を伴う脳内のβ-アミロイド(Aβ)ペプチド量の増加(Nikaido et al. (1970) Trans Am. Neurol. Assoc. 95: 47-50)、ならびに、タウ蛋白の過剰燐酸化に因る神経原線維変化(neurofibrillary tangles; NFT)の発現(Kosik et al., (1986) PNAS USA 83: 4044-8)、として特徴づけられる。Aβは、膜酵素であるβ-セクレターゼおよびγ-セクレターゼによる、β-アミロイド前駆体蛋白質(β-APP)の蛋白分解的開裂反応(proteolytic cleavage)によって生成される。もっとも普通に観察されるAβは、アミノ酸長40のAβ1-40型、もしくはアミノ酸数42のAβ1-42型であり、Aβ1-42型はAβ1-40型よりも強い神経毒性を持つと報告されている。Aβの関与する神経毒性に関する理解が、最近の十年で飛躍的に高まったにもかかわらず、Aβ1-42をターゲットとしない治療のありかたによって、この病気の進行を成功裡に緩和できていることが示されている。むしろ、現在の治療のありかたは、Aβの産生の阻害剤、Aβのオリゴマー化および原線維化(fibrillization)を抑制する化合物、抗炎症剤、コレステロール合成阻害剤、抗酸化剤、神経修復因子、およびワクチンを含む、ADの研究に基づいている(Selkoe, D. J. (1999) Nature, 399, A23-31; Emilien, G., et al. (2000) Arch. Neurol., 57, 454-459; Klein, W. L. (2002) Neurochem. Internat., 41, 345-52; Helmuth, L. (2002) Science, 297 (5585), 1260-21)。
本発明は、例えば、グルタマート、または、Aβ1-42、Aβ1-40、もしくはAβ1-43のようなβ-アミロイドが哺乳類のニューロンに損傷を与える能力を、阻害もしくは抑制することによって、アルツハイマー病を処置する方法を提供する。したがって本発明は、アルツハイマー病の徴候が観られるもしくはアルツハイマー病を患う哺乳類の処置方法であって、以下の構造式Iの化合物
Figure 2007532649
(ここで、式中の、
a) R1、R2、およびR3が、独立に、H、OH基、ハロ基、(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルコキシ基、(C3-C6)シクロアルキル基、(C3-C6)シクロアルキル((C1-C6)アルキル)基、(C2-C6)アルケニル基、(C2-C6)アルキニル基、(C1-C6)アルカノイル基、ハロ(C1-C6)アルキル基、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルコキシカルボニル基、(C1-C6)アルキルチオ基、チオ(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルカノイルオキシ基、またはN(R6)(R7)であって、さらにここで、R6およびR7は、独立に、H、O、(C1-C6)アルキル基、(C3-C6)シクロアルキル基、(C3-C6)シクロアルキル(C1-C6)アルキル基、フェニル基、もしくはベンジル基であるか、あるいは、R6とR7とが、それらが結合しているNと共になって、任意に1〜2個のS、N(R6)、もしくは過酸化物ではないOをその環に含むような五員環または六員環を形成するものであるか、;あるいは、R1とR2とが共にメチレンジオキシ基となっており、
b) YとZとが共になって、=O、-O(CH2)mO-、もしくは-(CH2)m-を形成する(ここでmは2〜4の数である)か、あるいは、YがHであってZがOR9もしくはSR9(ここでR9は、Hもしくは(C1-C4)アルキル基である)であり、
c) Xが、(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルコキシ基、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル基、(C3-C12)アルケニル基、(C2-C6)アルキニル基、カルボキシ基、(C1-C6)アルコキシカルボニル基、チオ(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルキルチオ基、(C3-C12)ヘテロシクロ基、(C3-C12)ヘテロシクロアルキル(C1-C6)アルキル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基であって、任意に、1個、2個、もしくは3個のR1で置換されている)、
および、薬学的に許容されうるこれらの化合物の塩、の有効量を前記哺乳類に投与する方法を提供する。
好ましくは、R1、R2、もしくはR3のうちの少なくともひとつがHでは無く、例えば、R1、R2、もしくはR3のうちのひとつ、二つ、または三つがHでは無い。
好ましくは、R1は、(C1-C6)アルコキシ基であり、例えば(C1-C3)アルコキシ基であって、好ましくは4位に在る。
好ましくは、R1およびR2は、(C1-C6)アルコキシ基であり、例えば(C1-C3)アルコキシ基であって、好ましくは3位と4位に在る。
好ましくは、R1、R2、およびR3は、(C1-C6)アルコキシ基であり、例えば(C1-C3)アルコキシ基であって、好ましくは2位、3位、および/もしくは4位に在るか、あるいは、R1、R2、およびR3のうちの二つがメチレンジオキシ基となっている。
好ましくは、ZとYとが共になって=O(オキソ基)となる。
好ましくは、Xが、(C1-C6)アルキル基であり、例えば(C1-C3)アルキル基(CH3、もしくはCH2CH3など)であるか、あるいは、Xが、CH[(C1-C6)アルキル][CO2Q]基であって、ここでQは、H、もしくは(C1-C6)アルキル基である。
好ましくは、Xが、(C3-C12)ヘテロシクロ基である。
また、本発明は、構造式Iの化合物、もしくは薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される希釈剤もしくは担体と組み合わせたかたちとして含み、上述したひとつもしくは複数の抗AD薬の種類のうちの、ひとつもしくは複数の抗AD薬を任意に含むことができ、且つ、安定剤、保存料、および吸収制御剤を任意に含むことができるような、剤型単位などの薬学的組成物も提供する。
加えて本発明は、ADもしくはADの徴候に関連するか、あるいは、哺乳類の神経細胞(ニューロン)に対するβ-アミロイドペプチドおよび/もしくはグルタマートといった病原体の毒性に関連するような、ヒトなどの哺乳類の病態もしくは徴候を予防または処置するための治療方法であって、毒性の阻害を目的とするか、もしくは後発の病理学的な経路の下方調節(down-modulation)を目的として、構造式Iの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の有効量をこのような治療を要する哺乳類に投与するステップを含むような治療方法も提供する。
したがって本発明は、脳虚血などのグルタマート神経系伝達亢進、AIDSに関連する認知症、脳梗塞、脳もしくは脊髄の外傷、などといったものを含んだ神経病態を処置する治療方法も提供する。
本発明は、(例えば、ADを患うもしくはADの徴候のある哺乳類に用いるような)投薬治療に用いるための構造式Iの化合物を提供し、さらに、AD患者などのヒトといった哺乳類に観られる少なくともひとつのADの徴候を処置する上で有用である医薬を製造するための構造式Iの化合物の使用方法も提供する。
また、本発明は、構造式Iの新規な化合物も提供し、さらに、構造式(I)の化合物もしくはその塩を調製する上で有用であるような、ここに開示したプロセスおよび中間生成物も提供する。これには、C(Y)(Z)基が、R1、R2、もしくはR3の炭素原子に結合しているか、または、ピペラジンもしくはホモピペラジンのCH2基に結合しているようなアナログ(類縁体)が含まれる。構造式Iの化合物の多くは、構造式Iの化合物の調製にあたっての中間生成物としても有用である。
局所麻酔薬が、スナネズミ(gerbils)の脳虚血において、生体内で神経保護作用特性を呈すること(Fujitani et al. (1994), Neurosci. Lett., 179: 91-4、Chen et al., (1998) Brain Res., 4: 16、Adachi et al., (1999) Brit. J. Anaesth, 83:472)、ならびに、海馬ニューロンの一過性低酸素血症(hypoxic episode)において、生体外で神経保護作用特性を呈すること(Lucas et al., (1989) J. Neurosci. Methods, 28: 47、Liuet al., (1997) Anesthesiology, 87: 1470、Raley-Susman et al., (2001) J. Neurophysiol. 86: 2715-26)、が示されている。付随して、プロカインおよびリドカインが、NMDA受容体の活性を抑制する作用(Nishizawa et al., (2002) Anesth. Analg., 94: 325-30)、スナネズミの海馬における酸欠に因る細胞内カルシウム濃度の上昇の鎮静作用(Liuet al., (1997) Anesthesiology, 87: 1470)、ならびに、スナネズミの脳虚血に因る細胞外濃度の上昇の阻害作用(Fujitani et al., 1994, 上述したもの)を有することが示されている。
プロカインからp-アミノ安息香酸およびジエチルアミノエタノールへの代謝速度は高速ではあるが、血中に種々のエステラーゼが存在することから身体中のプロカインの存在の持続時間が短いこと、さらにはその局所麻酔作用についても説明をつけることができる。この局所麻酔作用が、この分子を慢性疾患に治療に対して使用する試みの契機となっている。この考察を承けて、安定であって生物学的に活性であるアナログを同定し、且つ、この活性をつくりだしている共通する化学構造を識別するために、天然化合物のデータベースの、プロカインを基本構造としたスクリーニングを行った。したがって本発明は、哺乳類細胞と接触した際に神経保護特性を呈するような(4-アルキル-ピペラジン-1-イル)-フェニルメタノン誘導体の、同定、設計、合成、および薬学的活性について指向するものである。特に、本発明は、β-アミロイドに起因する毒性に対する神経保護特性を有する(4-アルキル-ピペラジン-1-イル)-フェニルメタノン誘導体を提供する。
図1に示したように、4-エチルピペラジン-1-イル-(2,3,4-トリメトキシフェニル)-メタノン (SP008)が、局所麻酔薬であるプロカインから誘導される共通の下位構造である。この下位構造は、従来より精神機能の喪失(失神)や精神機能の減退を回復させるために用いられてきたキク科(Asteraceae genus)の植物から単離された分子(SP015、SP016、SP017)に共通するものである。プロカインおよびSP天然化合物と同様に、SP008も、アミロイドペプチドAβ1-42、および保存されたAβ1-42に起因するラット褐色細胞腫PC12細胞におけるATP欠乏に対して強い神経保護特性を示し、これは、ミトコンドリア部位が活性を有するということを示唆している。また、プロカインおよびSP008は、グルタマートがCP12細胞に及ぼす神経毒作用も阻害した。その阻害作用は、Aβ1-42ペプチドが神経細胞内のグルタマート神経系の破壊的な機能亢進を齎すとの記述に関連して観察された「抗アミロイド」作用についての説明となりうる。加えて、プロカインは、シグマ-1(σ1)受容体リガンドであることが発見されている(IC50値 = 4.3μM)。その受容体は、ミトコンドリアの機能を保護し、また、機能低下に抗する作用を有するということが示されている。化学的相同性からも、SP008のこのような薬学的プロファイルが示唆される。こういった理由により、SP008と構造式Iを有するそのアナログは、ADの処置に使うことが可能であると考えられる。
本明細書中においては、「アルツハイマー病の処置」("treatment of Alzheimer's disease")という語は、少なくともひとつのADの徴候を呈する患者、もしくはADが進行しそうな被験者のADの進行を抑制することを含み、さらに、ADの進行を止めることもしくは遅延させること、または、少なくともひとつのADの徴候を軽減することもしくは緩和すること、を含む。また、任意の神経病態に関して用いている「処置」("treatment")という語も、同様に定義される。
特に別に定めない限りは、以下の定義を用いる。即ち、ハロ基とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、もしくはヨード基である。アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基などは、直鎖と分鎖の双方を意味するが、「プロピル基」("propyl")のような個々の基については直鎖基のみを含み、分鎖異性体は「イソプロピル基」("isopropyl")のように特に分けて呼ぶ。アリール基とは、フェニル基、もしくは、少なくともひとつの芳香環を有し約九個〜十個の環員原子を持つオルト縮合系二環炭素環基を意味する。ヘテロアリール基とは、炭素原子と、過酸化物ではない酸素原子、硫黄原子、ならびに、R6が存在しないかまたは上述したものであるようなN(R6)、からそれぞれ選択された1〜4個のヘテロ原子と、から成る五個もしくは六個の環員原子を有する単環芳香環の環員炭素原子を介して結合する基のことを包摂し、さらにまた、これらから誘導された約八個〜十個の環員原子を有するオルト縮合系二環複素環基も包摂し、特に、ベンゼン誘導体、または、プロピレン、トリメチレン、もしくはテトラメチレン二価基がベンゼン誘導体に縮合したもののことを指す。
本発明に係る不斉原子を有する化合物は、光学活性体およびラセミ体を有し、またこれらを単離できることを、当業者は正しく理解できる。化合物の中には、多形性を示すものもある。本発明は、ここに記載した有用な特性を示すような、本発明に係る化合物の、いずれかのラセミ体、光学活性体、多形体、もしくは立体異性体、またはこれらの混合物をも含み、また、光学活性体を調製する方法(例えば、再結晶の技法、光学活性な出発物質からの合成、不斉合成、もしくはキラル固定相を用いたクロマトグラフィーによる分離、によってラセミ体を分割する方法)は当該技術分野において公知であり、また、ここに記載した標準試験法もしくは当該技術分野で公知である他の類似の試験法を用いて活性を測定する方法も当該技術分野において公知である、ということを理解されたい。
以下に列挙する好ましい特異値は、図示される基(ラジカル)、置換基、および範囲についてのみのものではあるが、これは他の定義値、または基および置換基の範囲を定義する範囲内の他の値を排除するものではない。
特に、(C1-C6)アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、3-ペンチル基、もしくはヘキシル基とすることができる。(C3-C12)シクロアルキル基は、単環系、二環系、三環系とすることができ、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基を含み、さらに種々のテルペン構造およびテルペノイド構造をも含む。(C3-C12)シクロアルキル(C1-C6)アルキル基は、前述したシクロアルキル基を含み、また、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2-シクロプロピルエチル基、2-シクロブチルエチル基、2-シクロペンチルエチル基、もしくは2-シクロヘキシルエチル基、とすることができる。ヘテロシクロアルキル基および(ヘテロシクロアルキル)アルキル基は、シクロアルキル環系が単環系、二環系、もしくは三環系であって、任意に、2〜12個の環員炭素原子に加えて1〜2個のS、過酸化物ではないO、もしくはN(R6)を含み、例えば、モルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、インダニル基、1,3-ジチアン-2-イル基(1,3-dithian-2-yl)およびこれらの類似物であるようなものであって、さらには、シクロアルキル環系が任意に1〜3個の二重結合もしくはエポキシ部分を含み、任意に1〜3個のOH基、(C1-C6)アルカノイルオキシ基、(CO)、(C1-C6)アルキル基、もしくは(C2-C6)アルキニル基を含むような、前述のシクロアルキル基を含む。(C1-C6)アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、ペントキシ基、3-ペントキシ基、もしくはヘキシルオキシ基とすることができる。(C2-C6)アルケニル基は、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、もしくは5-ヘキセニル基とすることができる。(C2-C6)アルキニル基は、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基、もしくは5-ヘキシニル基とすることができる。(C1-C6)アルカノイル基は、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、もしくはブタノイル基とすることができる。ハロ(C1-C6)アルキル基は、ヨードメチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2-クロロエチル基、2-フルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、もしくはペンタフルオロエチル基とすることができる。ヒドロキシ(C1-C6)アルキル基は、1〜2個のOH基で置換したアルキル基とすることができ、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基、3,4-ジヒドロキシブチル基、1-ヒドロキシペンチル基、5-ヒドロキシペンチル基、1-ヒドロキシヘキシル基、もしくは6-ヒドロキシヘキシル基とすることができる。(C1-C6)アルコキシカルボニル基は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、もしくはヘキシルオキシカルボニル基とすることができる。(C1-C6)アルキルチオ基は、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、ペンチルチオ基、もしくはヘキシルチオ基とすることができる。(C2-C6)アルカノイルオキシ基は、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、もしくはヘキサノイルオキシ基とすることができる。アリール基は、フェニル基、インデニル基、インダニル基、もしくはナフチル基とすることができる。また、ヘテロアリール基は、フリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、トリアジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、ピロリル基、ピラジニル基、テトラゾリル基、ピリジル基(もしくはそのN-オキシド)、チエニル基、ピリミジニル基(もしくはそのN-オキシド)、1H-インドリル基、イソキノリル基(もしくはそのN-オキシド)、またはキノリル基(もしくはそのN-オキシド)、とすることができる。
構造式Iの化合物は、下記のスキームAに示したようにして調製することができる。
〔スキームA〕
Figure 2007532649
SOCl2、もしくは(C(O)Cl)2に対して反応性であって例えばヒドロキシ基を含んだ基またはチオ基を含んだ基などであるようなフェニル基上の基R1、R2、および/もしくはR3は、除去可能である保護基(例えばエトキシエチル基、THP基、(C1-C4)シリル基など)を使って保護することができる。保護されたOH基もしくはヒドロキシアルキル基は、有機合成分野で公知である手法を使って、脱保護し、ハロ基、CN基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、およびアルカノイル基へと転換することができる。保護されたアミノ基は、当該技術分野で公知である手法を使って、脱保護し、N(R6)(R7)へと転換することができる。必要であれば、こうした転換を行う間に、C=O基を保護および/もしくは還元して、その後に脱保護してC=O基へと再酸化することもできる。例えば、I. T. Harrison,Compendium of Organic Synthetic Reactions, Wiley-Interscience, N.Y.(1971)、L. F. Fieser et al., Reagents for Organic Synthesis, John Wiley & Sons, Inc., N.Y. (1967)、およびU.S. Pat. No. 5,411,965を参照のこと。
したがって、上記の構造式I中のR1、R2、もしくはR3についての特異値は、H、(C2-C4)アルキル基、N(R6)(R7)、(C2-C4)アルコキシ基、もしくは(C3-C6)ヘテロシクロアルキル基である。
N(R6)(R7)の特異値は、アミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、もしくはプロピルアミノ基であり、したがってR3の特異値はNH2基である。
本発明に係る好ましい化合物は、SP008(図1)である。
化合物が、安定な無毒の酸性塩もしくは塩基性塩(acid or base salts)を形成するために充分な塩基性または酸性であるような場合には、化合物を塩として投与することが適切なことがある。薬学的に許容される塩の例としては、生理学的に許容されるアニオンを形成する酸から形成された有機酸付加塩があり、例えば、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、枸櫞酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、琥珀酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α-ケトグルタル酸塩、およびα-グリセロ燐酸塩がある。適切な無機塩も形成することができ、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、および炭酸塩が含まれる。
薬学的に許容される塩は、例えば、アミンのような充分に塩基性である化合物と、生理学的に許容されるアニオンを与える適切な酸との反応、といった当該技術分野の標準的な公知手法を用いて得ることができる。アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、もしくはリチウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムもしくはマグネシウム)、または亜鉛の塩も調製することができる。
構造式Iの化合物は、薬学的組成物として処方して、ヒトの患者などの哺乳類に投与することができ、また、選択した投与経路(即ち、経口投与、あるいは、静脈内、筋肉内、局部内、もしくは皮下の経路による非経口的投与、または、吸入もしくは吹送(ガス吸入)による非経口的投与)に応じた種々の形状で投与することができる。
したがって、本発明に係る化合物は、例えば、不活性な希釈剤もしくは摂食可能な担体といった、薬学的に許容される媒体(vehicle)と組み合わせて、全身に経口投与することができる。これらは、ハードゼラチンカプセルもしくはソフトゼラチンカプセル中に、粉末、粒状、もしくは懸濁液として包むことができ、あるいは、打錠して錠剤にすることもできる。経口治療の投与を行うために、活性化合物をひとつもしくは複数の賦形剤と組み合わせて、経口摂取可能な、錠剤、口内錠(buccal tablets)、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース、およびこれらの類似物、といった形態として使用することができる。このような組成物および調合剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。組成物および調合剤の比率は、当然のことながら変更することができ、好ましくは所与の剤型単位の重量の約2%〜約60%とすることもできる。このような治療において有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な投与量が得られるようなものとする。
また、錠剤、トローチ、丸薬、カプセル、およびそれらの類似物は、以下を含むこともできる。 即ち、トラガカントゴム、アラビアゴム(acasia)、コーンスターチ、もしくはゼラチンなどの糊剤、ならびに、リン酸水素カルシウムなどの賦形剤、ならびに、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、アルギニン酸およびそれらの類似物などの崩壊剤(disintegrating agent)、ならびに、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤(lubricant)。さらにまた、蔗糖、果糖、乳糖、もしくはアスパルテームなどの甘味料、または、ペパーミント、冬緑油、もしくはチェリーフレーバーなどの香料を添加することもできる。剤型単位がカプセルである場合には、上述した物質を添加した上で、植物油もしくはポリエチレングリコールなどの液体担体を含むこともできる。その他さまざまな物質を、コーティングとして、あるいは固形剤型単位の物理的形状を変更するために使うことができる。一例として、錠剤、丸薬、もしくはカプセルを、ゼラチン、ワックス、シェラック、もしくは糖類、ならびにそれらの類似物でコートすることができる。シロップもしくはエリキシル剤は、活性化合物、甘味料としての蔗糖もしくは果糖、保存料としてのメチルパラベンもしくはプロピルパラベン、着色料、ならびに、チェリーフレーバーもしくはオレンジフレーバーなどの香料、を含むことができる。当然のことながら、任意の剤型単位を調製するにあたって使用する任意の物質は、薬学的に許容されるものであって、使用する量において実質的に無毒であるものとするべきである。加えて、活性化合物は、徐放性製剤、またはパッチ、輸液ポンプ、もしくは移植型デポーなどの装置に組み込むことができる。
また、活性化合物は、静脈内もしくは腹腔内に、輸液もしくは注射して投与することもできる。活性化合物もしくはその塩の溶液は、水で調製することができ、任意に無毒性界面活性剤を混合することもできる。また、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびそれらの混合物、ならびに油といったものの中で、分散液を調製することもできる。通常の条件下での保存および使用においては、これらの製剤には微生物の生長を妨げるための保存料が含まれる。
注射、輸液、もしくは吸入に適した薬学的調剤は、滅菌水溶液もしくは分散液を含むことができる。活性成分を含んだ滅菌粉末を調製することができ、これは、滅菌済注射として、または滅菌済の輸液もしくは分散液として、即座に調製できるようにするために用いられ、また、任意にリポソーム内に包むこともできる。すべての場合において、最終的な剤型は、滅菌され、滑沢性とされ、製造および貯蔵の条件下で安定であるようにするべきである。液体担体もしくは媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール類など)、植物油、無毒性グリセリンエステル類、ならびにこれらの適切な混合物、を含むような溶媒もしくは分散液とすることができる。例えば、リポソームを用いた処方によって、もしくは分散液の場合に必要とする粒子径を維持することによって、もしくは界面活性剤の使用によって、適切な流動性を保つことができる。例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、およびそれらの類似物などの、種々の抗真菌剤ならびに抗菌剤によって、微生物の活動を抑えることができる。多くの場合には、例えば糖類、緩衝物(バッファー)、もしくは塩化ナトリウムであるような等張化剤を含むことが好ましい。例えば、モノステアリン酸アルミニウム、セルロースエーテル類、およびゼラチンであるような吸収遅延剤を用いることによって、注入可能な組成物の吸収を引き伸ばすことが可能である。
上で列挙した種々の他の成分を(必要であれば滅菌濾過してから)加えた適切な溶液に、活性化合物の必要量を併せることによって、滅菌済の注射液を調製することができる。滅菌粉末を用いて滅菌済の注射液の調製を行う場合には、活性成分の粉末に、予め滅菌濾過した溶液に含まれる所望の任意の添加成分を足したものが得られるような、真空乾燥および凍結乾燥の技法を用いる方法が好ましい。
局部への投与のために、本発明に係る化合物は、純粋な形態(則ち液体)として与えることができる。しかしながら、皮膚への投与においては、皮膚科学的に許容される担体(固体もしくは液体とすることができる)と組み合わせた組成物または構成物として投与することが一般的には望ましい。
有用な固体担体は、滑石(タルク)、粘土、セルロース微細結晶、シリカ、アルミナなどといった細粒状固体を含む。有用な液体担体には、水、アルコール類もしくはグリコール類、または水-アルコール/グリコール混合液、が含まれ、これに本発明に係る化合物の有効量を溶解もしくは分散することができ、また、任意に無毒性界面活性剤を添加することもできる。香料のような佐剤、および付加的な抗微生物剤を、所定の使用方法のための特質を最大限にするために添加することができる。得られる液体組成物は、包帯および他の手当用品に含浸させて、吸収性パッドから投与することができ、あるいは、ポンプ型スプレーもしくはエアロゾルスプレーを用いて、患部に噴霧して投与することもできる。
また、合成ポリマー類、脂肪酸類、脂肪酸塩類および脂肪酸エステル類、脂肪アルコール類、修飾セルロース類、または修飾無機物質などの濃縮剤(thickeners)を液体担体として使用して、使用者の皮膚に直接塗布するための、薄く塗り拡げることができるようなペースト、ジェル、軟膏、石鹸、およびそれらの類似物を形成することができる。
構造式Iの化合物を皮膚に投与する上で使用することができる有用な皮膚科学的組成物の例は当該技術分野において公知であり、例えば、Jacquet et al.(U.S. Pat. No. 4,608,392)、Geria(U.S. Pat. No. 4,992,478)、Smith et al.(U.S. Pat. No. 4,559,157)、およびWortzman(U.S. Pat. No. 4,820,508)を参照のこと。
構造式Iの化合物の有効な投与量は、この化合物の生体外での活性と、動物実験による生体内の活性とを比較して定量することができる。マウスおよび他の動物における有効な投与量からのヒトへの外挿の方法については当該技術分野において公知であり、例えばU.S. Pat. No. 4,938,949を参照のこと。
構造式Iの化合物をローションなどの液状組成物にする場合の濃度は、一般的には約0.1〜25wt%とし、好ましくは約0.5〜10wt% とする。ゲルもしくは粉末のような半固体または固体の組成物にした場合の濃度は、約0.1〜5wt%とし、好ましくは約0.5〜2.5wt%
とする。化合物もしくは活性を持つ塩、またはそれらの誘導体の、処置における必要使用量は、選択した特定の塩によってのみ調節されるわけではなく、投与の経路、処置される症状の性質、ならびに、患者の年齢および症状に応じても調整することができ、最終的にはかかりつけの医師もしくは臨床医の裁量で決めることになる。
しかしながら、全般的には、適切な投与量は、体重に対して約0.5mg/kg〜約100mg/kgの範囲と考えられ、例えば、体重に対して一日あたり約10mg/kg〜約75mg/kgの範囲、則ち患者の体重キログラムに対して一日あたり3〜約50mg、好ましくは6〜90mg/kg/dayの範囲、最も好ましくは15〜60mg/kg/dayの範囲とする。
化合物は、好ましくは剤型単位で投与され、例えば、ほぼ1〜3gの剤型単位に対して活性成分を5mg、好ましくは10〜1000mg、最も好ましくは50〜500mg含む。
理想的には、活性成分は、活性成分の血漿中濃度のピークが約0.5〜約75μMの範囲となるように投与されるべきであり、好ましくは約1〜50μMの範囲、最も好ましくは約2〜約30μMの範囲である。例えば、活性成分の0.05〜5%溶液に、任意に生理食塩水を加えたものを、静脈注射によって投与することができる。例えば、約0.5〜3gの構造式Iの化合物を、例えば0.9%のNaClおよび5〜10%のグルコースを含むような約125〜500mlの静注溶液に溶かすことができる。このような溶液は、数時間以上に亘って点滴することができ、また任意に、他の抗ウイルス薬、抗生物質などと組み合わせることもできる。また、活性成分を、約1〜100mgの活性成分を含んだボーラス(巨丸薬; bolus)として経口投与することもできる。約0.01〜5.0mg/kg/hrの活性成分を与える継続的な注入によって、または、約0.4〜15mg/kgの活性成分を含む間歇的な注射によって、望ましい血中濃度を維持することができる。
好ましくは、単独の投与、または、例えば一日につき二回、三回、もしくは四回以上の投与となるように適切な間隔をとった分割投与によって、望ましい投与量を与えることができる。分割された投与をさらに分割することもでき、例えば、気腹装置からの複数回の吸入、もしくは眼への複数の滴下による投与といった、多数の不均一な間隔をとった投与とすることもできる。
本発明に係る化合物の抗ウイルス薬としての能力は、当該技術において公知である薬理学的モデルを用いるか、もしくは後述する試験法を用いて、定量することができる。
以下の記述は、ヒトの治療のためもしくは予防のために使用される構造式Iの化合物を含んだ代表的な薬学的投与形態を示す。

(i) 錠剤 1 mg/錠
SP008 100.0
乳糖 77.5
ポビドン 15.0
クロスカルメロースナトリウム 12.0
微細結晶セルロース 92.5
ステアリン酸マグネシウム 3.0
300.0

(ii) 錠剤 2 mg/錠
SP008 20.0
微細結晶セルロース 410.0
デンプン 50.0
デンプングリコール酸ナトリウム 15.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0
500.0

(iii) カプセル mg/カプセル
SP008 10.0
コロイド二酸化珪素 1.5
乳糖 465.5
アルファ化デンプン 120.0
ステアリン酸マグネシウム 3.0
600.0

(iv) 注射液 1 (1mg/ml) mg/ml
SP008(遊離塩基) 1.0
リン酸水素二ナトリウム 12.0
リン酸二水素ナトリウム 0.7
塩化ナトリウム 4.5
1.0N 水酸化ナトリウム水溶液 適量
(pH 7.0〜7.5として調製)
注射用水 1mL程度

(v) 注射液 2 (10mg/ml) mg/ml
SP008(遊離塩基) 10.0
リン酸二水素ナトリウム 0.3
リン酸水素二ナトリウム 1.1
ポリエチレングリコール400 200.0
01N 水酸化ナトリウム水溶液 適量
(pH 7.0〜7.5として調製)
注射用水 1mL程度

(vi) エアロゾル mg/缶
SP008 20.0
オレイン酸 10.0
トリクロロモノフルオロメタン 5,000.0
ジクロロジフルオロメタン 10,000.0
ジクロロテトラフルオロエタン 5,000.0
本発明について、後述する詳細な実施例を参照してさらに記述する。実施例においては、Aβ1-42ペプチドはAmerican Peptide Co.(Sunnyvale, CA)から購入した。プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロカインアミド、抗酸化剤であるtert-ブチル-フェニルニトロン(PBN)、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト(拮抗体)である(+)-MK801、ライアノジン(ryanodine)、およびテトロドトキシン(tetrodotoxine; TTX)は、Sigma(St. Louis, MO)から購入した。プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロカインアミド SP015、SP016、およびSP017の構造を図1に示した。SP008は、Taros, Inc.(Marburg, Germany)で後述するように合成された。細胞培養供給器はGIBCO(Grand Island, NY)から購入し、また細胞培養プラスチック容器はComing(Corning, NY)およびPackard BioSciences Co.(Meriden, CT)から購入した。RNA STAT-60は、TEL-TEST, Inc.(Friendswood, TX)から入手した。TaqMan(R)逆転写剤、ランダムヘキサマー、およびSYBR(R) Green PCR Master Mixは、Applied Biosystems(Foster City, CA)から入手した。
〔方法論〕
〔A. プロカイン誘導体のインシリコスクリーニング〕
Interbioscreen Databaseで、ISIS software(Information Systems, Inc., San Leandro, CA)を用いて、天然に産生する物質からプロカイン構造を含む化合物をスクリーニングした。同定された、酢酸=7-アセトキシ-3-(4-ベンゾイル-ピペラジン-1-イル-メチル)-5-ヒドロキシ-4a,8-ジメチル-2-オキソ-ドデカヒドロ-アズレノ[6,5-b]フラン-4-イルエステル acetic acid 7-acetoxy-3-(4-benzoyl-piperazin-1-yl-methyl)-5-hydroxy-4a,8-dimethyl-2-oxo-dodecahydro-azuleno[6,5-b]furan-4-yl ester(SP015)、酢酸=5-アセトキシ-3-(4-ベンゾイル-ピペラジン-1-イル-メチル)-4-ヒドロキシ-4a,8-ジメチル-2-オキソ-ドデカヒドロ-アズレノ[6,5-b]フラン-7-イルエステル acetic acid 5-acetoxy-3-(4-benzoyl-piperazin-1-yl-methyl)-4-hydroxy-4a,8-dimethyl-2-oxo-dodecahydro-azuleno[6,5-b]furan-7-yl ester(SP016)、および、3-(4-ベンゾイル-ピペラジン-1-イル-メチル)-6,6a-エポキシ-6,9-ジメチル-3a,4,5,6,6a,7,9a,9b-オクタヒドロ-3H-アズレノ[4,5-b]フラン-2-オン 3-(4-benzoyl-piperazin-1-yl-methyl)-6,6a-epoxy-6,9-dimethyl-3a,4,5,6,6a,7,9a,9b-octahydro-3H-azuleno[4,5-b]furan-2-one(SP017)化合物を、Interbioscreen(Moscow, Russia)から購入した(図1)。
〔B. 細胞培養および処置〕
PC12細胞(ラット褐色細胞腫)(ATCC, Manassas, VA)を、グルタミン酸を含まないRPMI 1640培地(ウシ血清 10%、ウマ血清5%、およびCO25%を含む)で培養した。これらの細胞は、ニューロン表現型の分化誘導によって、可逆的にNGFに応答した。PC12細胞を、プロカイン、プロカインアミド、リドカイン、テトラカイン、SP015、SP016、SP017、もしくはSP008の濃度を高めながら(1μM、10μM、および100μM)、九十六ウェルプレート内で24時間培養した(ひとつのウェルあたりの細胞数 5×104)。Aβ1-42を4℃で一晩インキュベートした後で細胞に加えて、24時間の期間の最終濃度が、0.1μM、1μM、もしくは10μMになるようにした。
1-42に起因する神経毒性におけるNMDA受容体の役割を検証するために、細胞培地に対して、Aβ1-42 を与える直前に、(+)-MK801を濃度を高めながら加えた。4時間後に、MTTアッセイを用いて細胞生存率を測定した。グルタマートに起因する興奮毒性における、プロカインおよびSP008の作用を測定するために、PC12細胞を、0.3μM、1μM、3μM、10μM、および30μM のプロカインもしくはSP008で24時間に亘り前処理した後、グルタマートにさらに24時間曝露した。その後、細胞生存率をMTTアッセイで測定した。Aβ1-42に起因する神経毒性におけるナトリウムチャネルの役割を解析するために、PC12細胞にナトリウムチャネル阻害剤であるTTXを3μM、30μM、もしくは300μM与えて4時間培養した後に、Aβ1-42 を与えた。24時間後にMTTアッセイで細胞生存率を測定した。Aβ1-42の毒性にともなう酸化ストレス(oxidative stress)を、10μM、100μM、もしくは500μMのPBNの存在下でPC12細胞を24時間培養することによって解析した。その後に培地にAβ1-42を加えた。24時間後にMTTアッセイで細胞生存率を測定した。
〔C. 細胞生存率の定量〕
Aβの細胞毒性を、公知の方法(Lecanu et al. (2004) Steroids, 69: 1-16)に従い、臭化3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)を用いたアッセイ(Trevigen, Gaithersburg, MD)を使って解析した。要約すると、100μlの培地で培養した細胞に10μlのMTT溶液を加えた。上述した文献と同一の条件下で4時間培養した後、100μlの洗浄剤を加えて、細胞を37℃で一晩培養した。600nmおよび690nmで青く発色したことを、Victor spectrophotometer(EGG-Wallac, Gaithersburg, MD)を用いて測定した。Aβ1-42の作用を、 (DO600 - DO690) で表した。実験した化合物の保護作用を比較するために、Aβ1-42と共に観察されたMTTのシグナルの減少を、NADPHジアホラーゼの活性を阻害した結果によるものを100%と見做して考え、また、実験した化合物の作用をこの比率の増減によって示した。
〔D. ATP測定〕
公知の方法(Lecanu et al., 上述したもの)と同様にして、ATPLite-MTM(商標)アッセイ(Packard BioSciences Co.)を使用し、ATP濃度を測定した。要約すると、細胞をblack 96-well View PlateTM(商標)で培養し、TopCount NXTTM(商標)counter(PackardBioSciences Co.)でATP濃度を製造者の薦めに従って測定した。Aβ1-42の作用は任意単位で表した。ATPの回復における実験した化合物の保護作用ポテンシャルを比較するために、Aβ1-42に起因するATP濃度の減少は、還元によるものが100%であると見做して考え、また、実験した化合物の作用をこの比率の変化によって示した。
〔E. 遊離ラジカルの生成〕
蛍光プローブであるジヒドロキシジクロロフルオレセインジアセタート(di-hydroxy di-chlorofluorescein diacetate; 2,7-DCF)(Molecular Probes, Eugene, OR)を用いて、公知の方法(Lecanu et al., 上述したもの)で遊離ラジカルの生成を測定することによって酸化ストレスを解析した。これらの実験のために、ポリリシンで被覆したマイクロプレート上で細胞を培養した。細胞をRPMI 1640培地と共に一度洗浄した後、培地を100μlのRPMI 1640に交換した。細胞を暗室に置いて、室温で50μM 2,7-DCF 100μlで45分間培養した後、Victor multilabel counter(EGG-Wallac, Gaithersburg, MD)を用いて蛍光(励起波長λ=485nm 、放出波長λ=535nm)を測定した。
〔F. 放射性リガンド結合実験〕
Jurkat細胞に発現させたヒト組換え体シグマ-1受容体(human recombinant sigma-1 receptor)を用いて、放射性リガンド結合実験を行った。3.0E-10Mから1.0E-05Mへとプロカインの濃度を高めながら、特異的シグマ-1受容体リガンドである[3H]-(+)-ペンタゾシンを8nMで加え、22℃で120分間培養して、プロカインのIC50値およびHill係数 nH を求めた。
〔G. リアルタイムRT-PCR定量法(Q-PCR)〕
六ウェルプレートで18時間培養したPC12細胞をプロカインの濃度を高めながら、示した時間をかけて処理した。処理後、細胞を1μMのAβ1-42に24時間曝露した。培養の終わりに、製造者の指示に従ってRNASTAT-60(Tel-Test, Inc., Friendswood, TX)を用いて、細胞のtotal RNAを抽出した。ABI Prism 7700 sequence detection system(Perkin-Elmer/Applied Biosystems, Foster, City, CA)を用いたQ-PCR法によって、HMG-CoA還元酵素mRNAを定量した。RT反応(逆転写酵素反応)を、公知の方法(Xu et al. (2003) J. Pharmacol. Ther., 307: 1148-57)に従って、それぞれの反応についてTaqMan(R) Reverse Transcription Reagentsに、1μgのtotal RNAと、プライマーとしてランダムヘキサマーとを併せて用いた。ラットのHMG-CoA還元酵素mRNAをQ-PCR法によって定量するために、プライマーおよびプローブの選択のために構成されたPE/AB Primer Express softwareを使用して、プライマーをGenBank Accession Number BC 019782に従って設計した。フォワードプライマーは、 5'-GAC TGT GGT TTG TGA AGC TGT CAT-3' (24 ヌクレオチド; 配列表の配列番号1)であり、逆転写プライマーは、 5'-AAT ACT TCT CTC ACC ACC TTG GCT-3' (24 ヌクレオチド; 配列表の配列番号2)であった。これらのプライマーは、BioSynthesis, Inc.(Lewisville, TX)が合成した。10μlのSYBR(R) Green PCR Master Mixおよび1μlのプライマー混合液(各5μM)に、2μlのcDNAを溶いたものを含んだ20μlの反応混合液中で、反応を行った。以下のサイクルの条件を用いた。即ち、初期ステップとして50℃で2分間および95℃で10分間、を行った後に、95℃で15秒間および60℃で1分間、を40サイクル行った。AmpliTaq Goldポリメラーゼは、95℃で10分間置いて活性化した。同時に18S RNAを増幅し、内部対照として用いた。プライマーダイマーなどの非特異的PCR産物による汚染を除くために、サイクルプロトコルの後に、すべての最終PCR産物に対して融解曲線分析を行った。また、ゲノムDNAの汚染を除くために、それぞれのサンプルに対してRT反応を起こさないPCR反応も行った。PCR産物を回収し、3%(w/v)アガロース/TAE電気泳動ゲル上で泳動させて産物の大きさを確認した。18S RNAおよびサンプルのCt値(threshold cycle values)をPE/AB computer softwareを用いて算出した。反応が最大の指数増殖期にあったところでCtを定量した。依存的転写量を x = 2ΔΔCt として計算し、ここで、 ΔΔCt = ΔE - ΔC であり、また ΔE = Ctexperiment - Ct18S 、 ΔC - Ctcontrol - Ct18S である。
〔H. 統計解析〕
データは、 平均値±標準偏差(mean±SD) で示した。得られたデータをone-way ANOVAおよび比較のために用いたDunnett's testによって、実験群間で評価した。p<0.05 のときに有意な差であったとした。
〔実施例1. SP008の合成〕
〔1. 物質および方法〕
溶媒を標準的な方法で精製した。MSを、VG Tribid, Varian CH7(EI)上で記録した。薄層クロマトグラフィー(TLC)分析を層の厚さ0.2mmのシリカゲル 60 F254上で行った。NMR分光法は、Bruker
AMX300を用いた。すべての共鳴はppm単位で取得し、残留溶媒のシグナル(CDCl3 :7.25ppm)を参照した。
〔2. 塩化2,3,4-トリメトキシベンゾイル〕
2,3,4-トリメトキシ安息香酸(5.00g、23.6mmol)を、無水トルエン(2mL)に溶かした。触媒量のN,N-ジメチルホルムアミド(二滴)を加えた。この混合液に、蓚酸クロリド(4.27g、33.6mmol)のトルエン(11mL)溶液を滴下して加えた。室温で攪拌を3.5時間に亘って続けた。余剰の試薬と溶媒を、真空で除去した(産物の収量:5.13g、94%)。
1H NMR(CDCl3) δ7.82(D, 1h, 9Hz)、6.68(d, 1H, 9Hz)、3.89(s, 3H)、3.80(s, 1H)、MS(El) m/z 230(M+), 212, 195, 179, 152。
〔3. 4-エチル-1-(2,3,4-トリメトキシベンゾイル)-ピペラジン SP008〕
粗生成した塩化2,3,4-トリメトキシベンゾイル(0.93g、4.0mmol)を無水ジクロロメタン(40mL)に溶かした溶液に、0℃のN-エチルピペラジン(0.92g、8.1mmol)を滴下して加えた。攪拌を30分間に亘って続けた。混合液をNH4Cl飽和水溶液で洗った。水層を、ジクロロメタンで二回抽出した。有機層を併せて、塩水で洗い、無水(MgSO4)で洗って、濃縮した。粗生成物をエーテル/石油エーテルから再結晶して、SP008を固体として得た(0.63g、51%)。
1H NMR(CDC13) δ6.88(D, 1H, 8.5Hz)、6.62(d, 1H, 8.5Hz)、3.83(s, 3H)、3.81(s,3H)、3.80(s, 3H)、3.76(m, 2H)、3.25(m, 2H)、2.43(m, 4H)、2.35(q, 2H, 7Hz)、1.02(t, 3H, 7Hz); MS (El) m/z 308(M+), 237, 195, 97。
〔実施例2. PC12細胞中の、Aβ1-42の神経毒性の、MTTアッセイ、ATP測定、および遊離ラジカルの生成による解析(図2)〕
1-42は、PC12細胞の生存率(p<0.001)(図2A)と、細胞内ATP濃度(p<0.001)(図2B)との、用量依存的な減少を誘発する。用量依存的な相関は、遊離ラジカルの生成においても観察され、濃度1μMおよび10μMのAβ1-42によって、酸化ストレスの有意な増大が誘発された(それぞれ、p<0.01、およびp<0.001)(図2C)。
〔実施例3. Aβ1-42に濃度を高めながら曝露させたPC12細胞の細胞生存率およびATP量へのSP008の作用〕
10μMのSP008は、Aβ1-42に因るATP貯蔵量の欠乏には保護作用を示さなかったが、その一方、0.1μMのAβ1-42に起因する細胞毒性に対しては、保護作用を示した(p<0.01, n=6)(図3A)。矛盾することに、1μMおよび100μMのSP008では、0.1μMのAβ1-42に起因するNADPHジアホラーゼの阻害を低減しなかったが(図3A)、その一方でATPの減少を抑止した(p<0.05)(図13D)。MTTアッセイを使った解析から、SP008は、1μM(p<0.05)、10μM(p<0.01)、および100μM(p<0.001)で用いた際に、1μMのAβ1-42に対して神経保護作用を示すことがわかった。この作用は、用量依存的なATP維持を伴った(図3E)。
SP008は、濃度10μMおよび100μMで投与されると、10μMのAβ1-42に起因するPC12細胞内の毒性に対して、神経保護作用を呈した。この作用は、10μM(p<0.05, n=6)と100μM(p<0.01, n=6)の双方の濃度で、統計的に有意であった(図3C)。SP008が示したこの作用は、用量依存的なATP量の回復を伴ったが、100μMのSP008の作用のみが統計的に有意であった(p<0.01,
n=6; 図3F)。
〔実施例4. PC12細胞におけるグルタマート起因の興奮毒性へのプロカインおよびSP008の作用〕
100μM のグルタマートは、PC12細胞の生存率を劇的に下げた(p<0.001, n=6; 図4)。プロカインは、このグルタマート起因の神経毒性を二相性的に抑制した。0.3μMと10μMにおいて、二つの最大の作用効果が得られた(対照群と比較して p<0.001, n=6)。また、SP008も二相性の作用を示し、保護作用のピークはグルタマートの濃度が3μMのときであって(対照群と比較してp<0.001, n=6)、それ以上の濃度のグルタマートが存在した場合には神経保護作用が減退した。SP008の神経保護作用は、同一の濃度におけるプロカインの作用よりも重みがあった(p<0.001, n=6)。
〔考察〕
これまでの数十年を通して、ADに関連するコリン作動性神経系(cholinergic network)の機能障害の改善が科学コミュニティにおける主要な論点となっている。これを契機として、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AchEI)が、タクリンを筆頭とした治療分類として創設されることになった。有望な臨床データにもかかわらず、タクリンの有用な作用効果は控えめなものであり、また、ガランタミン(galantamine)およびドネペジル(donezepil)に代表される新世代のAchEIは、症候の遅延について、タクリン以上には改善できていない。この1〜2年間程度の短期の遅延は、患者とその関係者にとってはかけがえのないものではあるけれども、おそらくはコリン作動性のニューロンの進行性変性(progressive degeneration)に因るものであって、AchEIの使用を制限するものとなってしまう。ADによって損なわれた患者のコリン作動性神経伝達を改善することが実際的な価値と必要性を有しているとは言え、これはこの病気の進行を食い止めるもしくは回復に向かわせるには、至って不充分であるのは確かなことである。近年、グルタマート作動性NMDAサブタイプ受容体のアンタゴニストであるメマンチン(memantine)が承認されて米国市場にリリースされてはいるが、AD薬の開発においては大きな進展がなされていないと言える。本発明は、プロカインを出発点としたデータベースのスクリーニングによって得られた天然化合物の相同系統から誘導された新しい種類の化合物を与えるものである。これらの分子は、ラット褐色細胞腫であるPC12細胞を、Aβ1-42の神経毒性から保護することができる。
副腎皮質ホルモンであるコルチゾールは、ニューロン死の増大、感情の変化、および抑鬱の誘発によってADの進行をさらに悪化させると言われており、また、Xu et al.は、プロカイン由来の調合薬が、ストレスに起因するラットのコルチコステロン亢進(hypercorticosteronism)を低減すると最近に報告していて(J. Pharmacol. Exp. Ther., 307: 1148 (2003))、そこでプロカインによるADの処置へのアプローチを興味深いものであると述べている。しかしながらプロカインは、p-アミノ安息香酸およびジエチルアミノエタノールへと高速で分解してしまうため、ADの治療に使うことは難しい。SP015、SP016およびSP017は、プロカインを下位構造として天然化合物データベースをスクリーニングすることによって得られ(図1)、また、これらの化合物はキク科植物(Asteraceae family)のInula britanica(ホソバオグルマ)およびArtemisia glabella由来である。特に、ヨモギ属(Artemisia genus)の植物は、伝統的に精神機能の喪失もしくは減退の回復薬として用いられているものである(Wake et al., (2000) J. Ethnopharmacol. 69: 105-14)。
プロカインは、Aβ1-42に起因するATP産生の減少を部分的に回復することができ、このことはミトコンドリアの呼吸鎖(respiratory
chain)における活性を示唆している。ミトコンドリアの機能に対し、SP017はスクリーニングされた天然化合物の内で最大の保護作用を呈し(ミトコンドリアジアホラーセの活性の変化を根拠とする)、その作用範囲はAβ1-42の毒性を30〜70%阻害するものとなった。興味深いことに、SP015とSP016は化学的な類似性が高いにもかかわらず、SP016は1μMを投与しても、低濃度(0.1μM)のAβ1-42に対してのみ有意な効果を示しただけであったが、その一方で、SP015の1μMの投与は、実験したうちでの最高濃度のAβ1-42に対しても重みのある保護作用を示した。驚くべきことに、Aβ1-42曝露後のPC12細胞の生存率へのこれらの種々の化合物の作用は、ATP成分の復元において観察された作用とは完全には一致しない。特に、SP015は、1μMおよび10μMの濃度で10μMのAβ1-42に対してのみ神経保護作用を呈したが、その一方でSP016ではまったく作用効果が得られなかった。このような明らかな不一致からは、細胞内ATP貯蔵量の維持が、保護作用特性を呈するプロカインおよびプロカイン誘導体による機構だけに因るものではない、ということが示唆される。
SP015、SP016、およびSP017の化学構造には、4-エチル-1-ベンゾイル-ピペラジン下位構造が共通している。Aβ1-42に対してのSP015およびSP017で得られた神経保護作用と、SP015、SP016、およびSP017に起因した細胞内ATP貯蔵量の維持からは、本明細書中で開示されたこれらの天然化合物の「抗アミロイド」作用を、この共通下位構造の少なくとも一部が担っているのではないか、という仮説が導かれる。この下位構造を修飾して、4-エチル-1-(2,3,4-トリメトキシベンゾイル)-ピペラジン化合物(SP008)を誘導した。そして、この化合物は、二つのステップを踏んで調製することが可能である。
SP008は、Aβ1-42に対して有意な神経保護作用を示し、また、上位二つの濃度のAβ1-42に対してプロカインよりも有効であった。SP008は、10μMのAβ1-42に対する、興味深い投薬効果の相関を示し、このことからは、一連の天然化合物のうちで最も有効であるSP017に較べて、高濃度での毒性が薄いことが予測された。PC12細胞の生存率に対するSP008の有益な効果については、SP008がAβ1-42に起因する細胞内ATP貯蔵量の欠乏を抑止する能力を10μMのAβ1-42に対してさえも示したことによってさらに確認することができた。プロカインと同様に、SP008は、0.3μMといった低濃度での投与においてさえもPC12細胞中のグルタマートに起因する神経毒性を劇的に低下させた。このことは、SP008のAβ1-42に対する神経保護作用とおそらくは矛盾しない。
NMDA受容体を遮断する可能性についても明らかにする必要はあるが、これらのデータからは、NMDAアンタゴニストであってADの処置に使われているメマンチンと共通する薬学的機構をSP008が有している、ということが示唆される。加えて、SP008はプロカインと共通する構造を有しているので、プロカインの活性の機構のうちのいくらかについても共通して有していると考えられる。
すべての公報、特許、および特許文献は、ここでの参照により開示に含まれ、参照によって個々に開示に含まれる。本発明は、さまざまな特定の形態および技術、ならびに好ましい形態および技術を参照しながら記載されている。しかしながら、本発明の本質および範囲の内において、多数の変種および変形を実施することができるということを理解されたい。
図1は、プロカインとプロカイン誘導体のいくつかの化学構造式である。SP015、SP016、およびSP017は、天然化合物データベースの、プロカインおよびプロカインアミドを下位構造としたスクリーニングによって同定された。 図2(のパネルA〜C)は、ラット褐色細胞腫PC12細胞上でのAβ1-42の作用を示すグラフである。細胞生存率は、MTTアッセイ(A)、細胞内ATP濃度(B)とで評価した。遊離ラジカル生成へのAβ1-42の影響を、蛍光プローブ 2,7-DCF を使って分析した(C)。PC12細胞を、Aβ1-42にその濃度を高めながら曝露させ(C = 対照群)、曝露から24時間後に種々のパラメーターを分析した。統計的解析は、one-way ANOVAを用いた後にDunnett's testを使って行った。Mean±SD、n=6。特に別に定めない限り、対照群と比較して * p<0.05、 *** p<0.001 。 図3(のパネルA〜F)は、PC12細胞の細胞生存率とAβ1-42に起因するATP欠乏とに関する、プロカインおよびSP008の作用を示すグラフである。PC12細胞は、プロカインもしくはSP008を濃度を高めながら加えて24時間に亘って前培養を行い、その後にAβ1-42にその濃度を高めながら24時間に亘り曝露させた。細胞生存率をMTTアッセイで評価し(A、B、C)、また、遊離ラジカル生成を蛍光プローブ2,7-DCF を使って測定した(D、E、F)。細胞生存率の結果を、NADPH-ジアホラーゼの活性の阻害率として表し、100%の阻害が、Aβ1-42について観察される効果に対応するということにした。統計的解析は、one-way ANOVAを用いた後にDunnett's testを使って行った。Mean±SD、n=6。特に別に定めない限り、媒体のみ投与した群(vehicle群)と比較して * p<0.05、 ** p<0.001 。 図4は、PC12細胞の、グルタマートに起因する細胞死に対する、プロカインおよびSP008の神経保護作用を示すグラフである。PC12細胞は、プロカインもしくはSP008を濃度を高めながら加えて24時間に亘って前培養を行い、その後に100μM グルタマートに24時間に亘り曝露させた。細胞生存率はMTTアッセイによって評価した。統計的解析は、one-way ANOVAを用いた後にDunnett's testを使って行った。Mean±SD、n=6。0μMと比較して、 ** p<0.01。対照群と比較して、 *** p<0.001 。

Claims (27)

  1. アルツハイマー病に罹った疑いのあるもしくは罹った哺乳類を処置するための方法であって、前記哺乳類に以下の構造式Iの化合物
    Figure 2007532649
    (ここで、式中の
    a) R1、R2、およびR3が、独立に、H、OH基、ハロ基、(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルコキシ基、(C3-C6)シクロアルキル基、(C3-C6)シクロアルキル((C1-C6)アルキル)基、(C2-C6)アルケニル基、(C2-C6)アルキニル基、(C1-C6)アルカノイル基、ハロ(C1-C6)アルキル基、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルコキシカルボニル基、(C1-C6)アルキルチオ基、チオ(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルカノイルオキシ基、またはN(R6)(R7)であって、さらにここで、R6およびR7は、独立に、H、O、(C1-C6)アルキル基、(C3-C6)シクロアルキル基、(C3-C6)シクロアルキル(C1-C6)アルキル基、フェニル基、もしくはベンジル基であるか、あるいは、R6とR7とが、それらが結合しているNと共になって、任意に1〜2個のS、N(R6)、もしくは過酸化物ではないOを含むような五員環または六員環を形成するものであるか、;あるいは、R1とR2とが共にメチレンジオキシ基となっており、
    b) YとZとが共になって、=O、-O(CH2)mO-、もしくは-(CH2)m-を形成する(ここでmは2〜4の数である)か、あるいは、YがHであってZがOR9もしくはSR9(ここでR9は、Hもしくは(C1-C4)アルキル基である)であり、
    c) Xが、(C1-C6)アルキル基、(C1-C6)アルコキシ基、ヒドロキシル(C1-C6)アルキル基、(C3-C12)アルケニル基、(C2-C6)アルキニル基、カルボキシ基、(C1-C6)アルコキシカルボニル基、チオ(C1-C6)アルキル基、(C3-C12)ヘテロシクロ基、(C3-C12)ヘテロシクロアルキル(C1-C6)アルキル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基であって、任意に、1個、2個、もしくは3個のR1で置換されているというものである)、ならびに、それらの薬学的に許容される塩の有効量を投与することによる方法であることを特徴とする、方法。
  2. 前記量が、Aβペプチドに起因する神経毒性を阻害する上で有効な量であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記量が、Aβ1-42神経毒性を阻害する上で有効な量であることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載の方法。
  4. 前記量が、グルタマートに起因する前記哺乳類内の神経毒性を阻害する上で有効な量であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記量が、前記哺乳類内の神経細胞中のATP量を維持する上で有効な量であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記細胞が、生体外で接触されることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 前記細胞が、生体内で接触されることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  8. 構造式Iの前記化合物が、ヒトに投与されることを特徴とする、請求項1〜5または7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記ヒトが、ADの初期段階にあることを特徴とする、請求項8記載の方法。
  10. 前記ヒトが、AD患者であることを特徴とする、請求項8記載の方法。
  11. R1、R2、もしくはR3が、N(R6)(R7)であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. R2が、(C1-C6)アルコキシ基であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. R3が、(C1-C6)アルコキシ基であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. R1、R2、およびR3が、(C1-C3)アルコキシ基であることを特徴とする、請求項1〜10または12〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. YとZとが共になって=Oとなっていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. YがHであり、ZがOHであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  17. Xが、(C1-C6)アルキル基であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. Xが、CH3であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 構造式Iの前記化合物が、経口投与されることを特徴とする、請求項1〜5または請求項7〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 構造式Iの前記化合物が、非経口投与されることを特徴とする、請求項1〜5または請求項7〜18のいずれか一項に記載の方法。
  21. 構造式(I)の前記化合物が、薬学的に許容される担体と組み合わせて投与されることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記担体が、液体、懸濁液、もしくはゲルであることを特徴とする、請求項21記載の方法。
  23. 前記担体が、固体であることを特徴とする、請求項21記載の方法。
  24. 構造式Iの前記化合物が、[(2,3,4-トリメトキシ)フェニル]-[4-エチルピペラジン-1-イル]メタノンであることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 薬学的に許容される担体と組み合わせた構造式(I)の化合物を含むことを特徴とする、組成物。
  26. グルタマート神経系もしくは経路の伝達亢進を含んだ神経障害を処置する治療方法であって、前記神経障害の徴候の観られるもしくは前記神経障害を患う哺乳類に、構造式(I)の化合物の有効量を投与するステップを含むことを特徴とする、治療方法。
  27. ADの少なくともひとつの症状を処置する医薬を調製するための、構造式(I)の化合物の使用方法。
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