JP2007529522A - HIVgp41由来ペプチドの部位特異的化学修飾 - Google Patents

HIVgp41由来ペプチドの部位特異的化学修飾 Download PDF

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Abstract

HIV gp41由来ペプチドを部位特異的に化学修飾するための方法を提供する。この方法では、合成の間に、HIV gp41由来ペプチドの1つ以上のアミン基が化学的保護剤によってブロックされるように選択され、また1つ以上のアミン基が無保護となるように選択されて、アミン反応性官能基と反応するように遊離のままである。得られたHIV gp41由来ペプチドは、HIV gp41由来ペプチドの1つ以上の遊離(無保護)アミン基にポリマーを共有結合させることにより、HIV gp41由来ペプチドとポリマーからなる実質的に均一なコンジュゲートを製造するために使用することができる。

Description

本発明は、HIV gp41由来のペプチドを部位特異的に化学修飾するための方法に関する。本方法では、ペプチド合成の間に、化学的保護剤により化学的に保護されたアミン基を有する1つ以上のアミノ酸が付加され、合成ペプチドの選択した1つ以上の遊離アミン基が化学的に反応するように無保護(「遊離」)のままである。その後、得られた合成ペプチドをアミン反応性ポリマーと共有結合させると、HIV gp41由来ペプチドに該ポリマーがこの合成ペプチドの選択した特定部位で共有結合されている、実質的に均一なコンジュゲートが形成される。
HIVが細胞に、細胞膜とウイルス膜との間で融合が生じる過程を介して、感染しうることは、現在よく知られている。この過程の一般的に受け入れられているモデルは、ウイルスエンベロープの糖タンパク質複合体 (gp120/gp41)が、標的細胞の膜上にある細胞表面受容体と相互作用するというものである。gp120の細胞受容体(例えば、CCR-5またはCXCR-4などのケモカイン共同受容体と組み合わされたCD4)への結合の後、gp120/gp41複合体の高次構造変化が引き起こされ、かかる変化はgp41の標的細胞膜への挿入を可能にし、膜融合を媒介する。
gp41のアミノ酸配列、および様々なHIV株間のその変異は、よく知られている。図1は、一般に受け入れられているgp41の機能ドメインの模式図である(アミノ酸配列番号は、HIV株によって多少変化しうることに注意されたい)。融合ペプチド(膜融合ドメイン)は、標的細胞膜への挿入およびその破壊に関与すると考えられる。膜貫通ドメイン(膜貫通型アンカー配列を含む)は、このタンパク質のC末端に配置されている。融合ペプチドと膜貫通型アンカーとの間には、ヘプタッドリピート(heptad repeat: HR)領域として知られる、2つの明確に区別される領域が存在し、各領域は複数のヘプタッドを有する。HR1領域を含むアミノ酸配列およびHR2領域を含むアミノ酸配列はそれぞれ、HIV-1エンベロープタンパク質において高度に保存されている領域である。HR1領域(HR2領域よりも該タンパク質のN末端に近い)は、一般的に、配列番号1のアミノ酸残基またはその多型を含むものとして記載されている(例えば、図2を参照のこと)。HR2領域は、一般的に、配列番号2のアミノ酸残基またはその多型を含むものとして記載されている(例えば、図3を参照のこと)。図1にさらに示されるように、HR領域は複数の7アミノ酸残基のストレッチつまり「ヘプタッド」(「a」〜「g」と呼ばれる各ヘプタッド中の7アミノ酸)を有し、その際、第1位置(「a」)および第4位置(「d」)には疎水性残基が、第5位置(「e」)および第7位置(「g」)にはしばしば荷電残基が圧倒的に多く、「a」位置および「d」位置のアミノ酸は、オリゴマーの状態および鎖の配向性に影響を及ぼす重要な決定要因である。
HIV gp41のHR1領域(「HR1ペプチド」)またはHR2領域(「HR2ペプチド」)のいずれかの天然配列に由来するペプチドは、in vitroアッセイおよびin vivo臨床研究の両方において、宿主細胞へのHIVの伝播を阻害することが発見された。例えば、DP178 (T20、エンフュヴァタイド(enfuvirtide)、およびFuzeon(登録商標)としても知られる;配列番号3)、T651 (配列番号4)、T649 (配列番号5)に代表されるようなHR2ペプチドは、それぞれ0.5 ng/ml (HIV-1LAIに対するEC50)、5 ng/ml (IC50;HIV-1 IIIB)、および2 ng/ml (IC50;HIV-1 IIIB)の効力で標的細胞への感染を妨げる。HIV gp41に由来するペプチドの生物学的活性を、例えば該ペプチドのらせん構造を安定化させることによって、改善するための取り組みがなされている。また、HIV gp41に由来するペプチドの薬理学的特性を改善するための様々な取り組みもなされている。
ペプチド、タンパク質、および小分子のような薬物の薬物動態および薬物力学 (すなわち、薬物挙動)を改善するために、ポリマーが広範に用いられている。医薬用途に最も広く用いられるポリマーはポリエチレングリコール (「PEG」)である。「PEG化」とは、薬物を化学的に改変して、(PEGと相互作用し、それとコンジュゲートさせるために利用可能な部位が薬物にどのくらいの数あるかによって)1つ以上のPEG分子をこの薬物に共有結合(「カップリング」)させる工程のことである。薬物のPEG化に関連する改善された薬理学的および生物学的特性は、製薬の分野において周知である。例えばPEG化は、以下を含むがこれらに限定されない方法によって、治療効果を増大させることができる。例えば、タンパク質分解酵素による分解を減少させ、それによって薬物濃度を増加させる;薬物(これにPEGが結合される)のサイズを大きくし、それによって薬物の体内分布を改善する;および、所望により抗原エピトープを遮蔽して免疫原性を減少させる;などである。治療効果を増大させることによって、治療効果を達成するために必要とされる薬物の服用回数および/または量を減少させることができる。
PEGは、線状ポリエーテルとして、下記の一般構造:
HO-(CH2-CH2O)n-CH2CH2-OH
を有し、ここで、nは一般的に約10〜約2000の範囲でありうる。
分枝状ポリエーテルとしてのPEGは、下記の一般構造:
Figure 2007529522
を有し、ここで、TはPEG分子同士を連結するリンカーまたは分子架橋であり、Zは化学反応性部分を有する官能基である。
PEG誘導体(PEGおよびPEG誘導体は当該技術分野において「PEG」として知られている)を形成させる際の多くのPEG修飾は、末端基(「官能基」)に特定され、薬物にPEG分子を共有結合させるために用いられる化学反応性官能基が付加されるか、または改変される。様々なPEG誘導体が当該技術分野において周知である。PEGを薬物にカップリングさせるためには、通常、PEG分子の官能基を、化学的に反応性となるように活性化する必要がある。官能基の種類および特異性は、PEG分子が結合されるべき薬物の化学反応性基の選択に基づく。タンパク質およびペプチドの場合、最も一般的には、化学反応性基はアミノ酸上に存在し、かかるアミノ酸は、遊離の化学反応性基を含む側鎖を有する内部アミノ酸(例えば、リシン、システイン、グルタミン酸、セリン、スレオニンなどが挙げられるが、これらに限定されない)、N末端アミノ酸(遊離の化学反応性基として、N末端アミン基または側鎖アミン基を有する)、C末端アミノ酸(遊離の化学反応性基として、C末端カルボン酸、または側鎖アミン基を有する)、およびそれらの組合せ、からなる群から選択される。PEGにカップリングされるペプチドの部位のうち、最も多く選択される部位は、ペプチドのN末端アミノ酸のN末端アミン基(「αアミン」)、およびリシン(ペプチドのN末端アミノ酸またはC末端アミノ酸ではないアミノ酸配列内に見出されるリシン)のεアミン基 (「εアミン」)、またはリシンがN末端アミノ酸またはC末端アミノ酸としてペプチド中に存在する場合のリシンのεアミン基である。
しかし、この標準的なPEG化のためのストラテジーには問題が生じる。リシンはタンパク質中の最も普通に見られるアミノ酸の1つである。HIV gp41に関しては、HR1領域およびHR2領域のアミノ酸配列に多くのリシン残基が存在する(例えば、図1〜3を参照のこと)。HIV gp41由来ペプチドであるT20 (配列番号1)に関しては、例えば、36アミノ酸残基のペプチド中に2つの内部リシン残基が存在する。したがって、アミノ酸配列中の複数のリシン残基(すなわち、アミン反応性官能基を有する活性型PEGとの反応に利用される複数の側鎖アミン(εアミン))およびαアミンのため、アミン反応性官能基を有する活性型PEGが共有結合でカップリングしうる部位が複数存在することとなる。このようなペプチドの標準的PEG化の結果は、結合したPEG分子の数および結合部位が異なる数種のコンジュゲートの集団から成る不均一混合物である。こうした合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの不均一性は、しばしば望ましくない結果をもたらす。それは、ペプチドのPEG化に関連した薬理学的および/または生物学的特性が、(a)ペプチドに結合しているPEG分子の数、および(b)PEGが結合しているペプチド上の部位の位置、などの要因に左右されるからである。例えば、PEG化ヒト成長ホルモン放出因子のin vitro生物学的活性は、PEG化の部位とその数の両方に関係していた。さらに、標準的なPEG化の場合、(所望のPEG分子数および所望の結合部位を有する)ペプチド−ポリマーコンジュゲートの化学種を不均一混合物から、当該技術分野で公知である従来の分離技術を用いて選別することは、可能であるにしても、非常に困難である。このような分離の試みは、所望の化学種のペプチド−ポリマーコンジュゲートを製造するのに必要とされる費用、時間および試薬を増大させる。PEG化すべきペプチドのアミノ酸配列中に複数のリシン残基が存在するということは、部位特異的にPEG化する方法(リシン残基を、遊離アミンを有する側鎖を欠く、リシン以外のアミノ酸と置換することを含む)を開発するといった課題として受け止められる。
かくして、HIV gp41由来ペプチド(そのアミノ酸配列中に側鎖アミンを有する1つ以上の内部アミノ酸残基を含む)とポリマーから成るコンジュゲートを形成させるには、化学的保護剤により化学的に保護された側鎖アミンを有する1つ以上の選択されたアミノ酸、および利用可能な、保護されていない遊離アミンを有する1つ以上のアミノ酸を含む合成ペプチドが製造されるような、合成ペプチドの部位特異的修飾が必要とされる。こうして、合成およびコンジュゲーションを実施する人が選択したとおりに、ポリマーを、合成ペプチド上の1つ以上の特定部位にのみ共有結合でカップリングさせることが可能である。さらに、コンジュゲートすべきポリマーが分枝状である場合には、ポリマーに共有結合でカップリングされる遊離アミンを1つのみ選択し、同一の合成ペプチド分子への同一のポリマー分子の複数の分枝の結合(および同一の合成ペプチド分子の架橋結合)を回避するような、合成ペプチドの部位特異的修飾が必要とされる。より詳細には、アミン反応性官能基を有するポリマーへのカップリングに利用できる、2つ以上の化学反応性(「遊離」)アミン基を含むHIV gp41由来ペプチドにおいては、1つ以上の選択したアミン基を化学的に保護し、ポリマーへの共有結合カップリングに利用することができる無保護の遊離アミン基を残しておくことが望ましい。さらに、合成ペプチドの1つ以上の選択した部位(すなわち、1つ以上の選択したアミノ酸位置)に部位特異的様式でPEGをカップリングさせたHIV gp41由来ペプチドを提供することが有利であるだろう。
発明の概要
本発明は、HIV gp41由来ペプチドの合成の間に、このペプチドの部位特異的化学修飾を行うための方法に関する。この方法において合成されるペプチドは側鎖アミンを有するアミノ酸を1つ以上含む。この方法は、ペプチドまたはその断片に、化学的保護剤(後続のアミン反応性官能基との化学反応から側鎖アミンを保護する)と化学的に反応させた側鎖アミンを有するように選択される少なくとも1つのアミノ酸と、アミン反応性官能基と反応させるための無保護の遊離アミン(この遊離アミンは、N末端アミン、側鎖アミン、およびそれらの組合せからなる群より選択される)を有する少なくとも1つのアミノ酸と、を合成の間に組み込む工程を包含する。また、この方法によって、側鎖アミンを含むアミノ酸を1つ以上有する単離されたHIV gp41由来ペプチドが得られ、ここで、少なくとも1つのアミノ酸は、化学的保護剤(後続のアミン反応性官能基との化学反応から側鎖アミンを保護する)と化学的に反応させた側鎖アミンを有し、そして合成ペプチドの少なくとも1つのアミノ酸は、アミン反応性官能基と反応させるための無保護の遊離アミン(この遊離アミンは、N末端アミン、側鎖アミン、およびそれらの組合せからなる群より選択される)を有する。
本発明は、HIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る実質的に均一なコンジュゲートを製造するための方法に関する。この方法において、HIV gp41由来ペプチドは、合成の間にそのアミノ酸配列に組み込まれた、化学的保護剤でブロックされた側鎖アミンを有するように選択される1つ以上のアミノ酸を有し、それによって、遊離アミンを含む特定の部位(合成ペプチドのアミノ酸位置)においてのみ、合成ペプチドをポリマーと共有結合させる場合に、合成ペプチドの所望した(選択した)ブロックされていない遊離アミン基のみが、アミン反応性官能基を含むポリマーとの反応に利用されるようになる。本発明はまた、本発明による方法に従って製造されるHIV gp41由来ペプチドとポリマーからなる実質的に均一なコンジュゲートに関する。
本発明はまた、HIV gp41由来ペプチドの部位特異的PEG化を行うための方法に関する。この方法において、PEGは、HIV gp41由来ペプチドと部位特異的に共有結合される。より詳細には、HIV gp41由来ペプチドは、合成の間に、選択したアミノ酸位置でそのアミノ酸配列に組み込まれた、PEGのアミン反応性官能基との化学反応から化学的保護剤によってPEG化の間ブロックされている1つ以上のアミン基 (例えば、1つ以上のαアミンまたはεアミン)を有し、それによって、PEGに共有結合させるべき合成ペプチドの(化学修飾を介して)選択したアミノ酸位置に遊離アミン基のみが、PEG化に利用できる状態で残される。本発明の方法を用いて、PEGにコンジュゲートされた1つ以上(部位特異的化学修飾方法の実施の際に選択される)のアミン基を含むPEG化HIV gp41由来ペプチドを含む実質的に均一な組成物が提供される。
本発明の方法はさらに、(「脱保護」工程において)化学的保護剤を除去することをさらに含むことができ、その結果、本発明方法の実施の際に(例えば、化学的保護の使用により)選択される、合成ペプチドの特定の部位においてのみポリマーとコンジュゲートされたHIV gp41由来ペプチドから成る実質的に均一なコンジュゲートが得られる。このコンジュゲートは、(ポリマーにコンジュゲートされていない合成ペプチドの抗HIV活性と比べて)実質的な抗HIV活性を保持する。本発明はまた、HIV感染(好ましくは、HIV-1感染)を治療するための方法を提供する。この方法は、HIVに感染した個体に、ポリマーに部位特異的に結合された(例えば、コンジュゲートされた) HIV gp41由来の合成ペプチドから成る実質的に均一なコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含む。好ましくは、医薬組成物は標的細胞へのHIV伝播を阻害するのに有効な量、および/または標的細胞へのHIVのgp41媒介融合を阻害するのに有効な量である。また、細胞へのHIV伝播を阻害するための方法を提供する。この方法は、細胞の存在下でウイルスに、HIVによる細胞感染を阻害するのに有効な量の、本発明によるポリマーと合成ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲートを接触させることを含む。さらに、細胞へのHIV伝播を阻害するための方法を提供する。この方法は、HIVによる細胞感染を阻害するのに有効な量の、本発明によるポリマーと合成ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲートをウイルスおよび細胞に加えることを含む。また、HIVの融合(例えば、HIVによる標的細胞の感染の間に、HIV gp41がウイルス膜と細胞膜の間の融合を媒介するプロセス)を阻害するための方法を提供する。この方法は、細胞の存在下においてウイルスに、HIV融合を阻害するのに有効な量の、本発明によるポリマーと合成ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲートを接触させることを包含する。これらの方法を用いて、HIVに感染した個体を治療することができる。
本発明はまた、本明細書中に記載するような、HIV感染の治療(例えば、HIVの伝播を阻害する方法、HIV融合を阻害する方法、またはHIV感染を治療する方法)において用いるための医薬の製造における、本発明による方法によって製造されたポリマーと合成ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲートの使用を提供する。この医薬は好ましくは、本発明によるポリマーと合成ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲートを、製薬上許容される担体と共に含む医薬組成物の形態である。
本発明の上記記載、特徴、および利点は、添付した図面を参照しながら読むとき、以下の発明の詳細な説明において明らかとなろう。
発明の詳細な説明
定義
「個体」という用語は、本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
「標的細胞」という用語は、本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、HIVに感染することが可能である細胞を意味する。好ましくは、この細胞は1個または複数のヒト細胞であり、より好ましくは、膜融合を含むプロセスを介してHIVに感染することが可能なヒト細胞である。
「製薬上許容される担体」という用語は、本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、担体が加えられる活性成分(例えば、本発明によるポリマーと合成ペプチドとのコンジュゲート)の生物学的活性を著しく変化させない担体媒体を意味する。製薬上許容される担体としては、限定するものではないが、水、緩衝水、食塩水、0.3%グリシン、水性アルコール、等張水性溶液の1種以上が挙げられ、さらに、グリセロール、油、塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアンモニウムなど)、ホスホン酸塩、炭酸エステル、脂肪酸、糖類(例えば、マンニトール)、多糖類、賦形剤、ならびに保存剤および/または安定剤(貯蔵寿命を延ばすため、または組成物の製造および分配に必要かつ好適なため)などの1種以上の物質を含みうる。好ましくは、製薬上許容される担体は、静脈内、筋肉内、皮下または非経口的投与に適しているものである。
「アミノ酸」という用語は、本明細書および特許請求の範囲において、本発明に用いられる合成ペプチドについていう場合、少なくとも1つの遊離アミン基と少なくとも1つの遊離カルボキシル基を有する分子をいう。アミノ酸は、2つ以上の遊離アミン基または2つ以上の遊離カルボキシル基を有していても、さらにアミン基またはカルボキシル基以外の遊離化学反応基(例えば、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基など)を1つ以上含んでいてもよい。アミノ酸は、天然のアミノ酸(例えば、L-アミノ酸)、非天然のアミノ酸(例えば、D-アミノ酸)、合成アミノ酸、修飾アミノ酸、アミノ酸誘導体、アミノ酸前駆体、および同類置換体でありうる。当業者は、ペプチドに組み込まれるアミノ酸の選択が、一部には、抗ウイルスペプチドに要求される特定の物理的、化学的または生物学的特性に依存することを認識しているだろう。このような特性は、一部には、構造および機能(例えば、抗ウイルス活性;本明細書中により詳細に記載する)を決定することによって決定される。例えば、当業者は、本明細書中の記載から、合成ペプチドのアミノ酸が1つ以上の天然の(L)-アミノ酸および非天然の(D)-アミノ酸から構成しうることを知っている。好適なアミノ酸を用いて、好適なアミノ酸以外のアミノ酸は除外してもよい。
「同類置換」とは、本発明で用いる合成ペプチドのアミノ酸配列に関して、その生物学的活性が実質的に変化しないような、合成ペプチド配列中の1つ以上のアミノ酸置換を意味する (例えば、置換前のペプチドがHIV gp41媒介融合をナノモル範囲の濃度で阻害する場合、置換後のHIV gp41媒介融合の阻害が、依然としてナノモル範囲で認められる) ために本明細書および特許請求の範囲で以後用いる用語である。当該技術分野で公知であるように、「同類置換」は上記機能によって定義され、置き換えられるアミノ酸と実質的に同一の電荷、大きさ、親水性、および/または芳香族性を有するアミノ酸の置換を含む。このような置換は当業者に公知であり、グリシン-アラニン-バリン;イソロイシン-ロイシン;トリプトファン-チロシン;アスパラギン酸-グルタミン酸;アルギニン-リシン;アスパラギン-グルタミン;およびセリン-スレオニンが挙げられるが、これらに限定されない。特に本発明に関して、同類置換は、遊離アミン基(例えば、εアミン)を提供するための、リシンのオルニチンによる置換をも含むことが当該技術分野で知られている。HIV gp41由来のペプチドについては、このような置換はまた、HIVの様々な分岐株、実験室株、臨床分離株のいずれか1つ以上に見出されるgp41の関連HR領域(HR1またはHR2)中の様々なアミノ酸位置における多型を含み、これらは公開されているデータベースから容易に利用することができ、当該技術分野にて周知である(実例として図2および3もまた参照のこと)。
「ポリマー」という用語は、本願の明細書および特許請求の範囲で用いる場合、以下のポリマー分子を意味する:(a)薬物にコンジュゲートされたとき薬理学的および/または生物学的特性を改善するために医薬用途において用いられる(従って、実質的に非毒性であり、かつ実質的に水溶性である);(b)そのままで、および/または化学的に反応性となるように活性化した後で、薬物−ポリマーコンジュゲートを形成するために薬物(例えば、合成ペプチド)の遊離アミンと共有結合させるために用いることができる、1つ以上の官能基を有する。後者に関しては、ポリマーは合成ペプチドと共有結合させるためのアミン反応性官能基を有することが好ましい。ポリマーとしては、ポリリシンもしくはポリ(D-L-アラニン)-ポリ(L-リシン)、またはポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいポリオールは、水溶性のポリ(アルキレンオキシド)ポリマーを含み、直鎖または分枝鎖を有しうる。「ポリオール」という用語は、好ましくは水溶性ポリアルコールであり、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、PPGを含むコポリマー(例えば、エチレングリコール/PPG)、PEGを含むコポリマー(例えば、PEG/PPG)、mPEG (モノメトキシ-ポリ(エチレン)グリコール)などが挙げられるが、これらに限定されない。ポリオールは、ホモポリマーとコポリマーの両方を含み、さらに当業者に公知であるように、分枝構造または線状構造を含む構造を有しうる。好ましくは、個体へのin vivo適用に用いる場合、ポリマーは実質的に非毒性である。好ましい実施形態において、ポリマーは約200ダルトン〜約40,000ダルトンの範囲の分子量を有する;より好ましい実施形態において、ポリマーは、約400ダルトン〜約10,000ダルトンの範囲の分子量を有する。本発明に用いるのに好ましいポリマーはポリエチレングリコール(「PEG」)を含み、本発明に用いるのにより好ましいポリマーは、約400ダルトン以上で約20,000ダルトン以下の分子量範囲を有するポリエチレングリコールを含む。本明細書中で先に記載したとおり、様々な形態のPEGが存在し、これらは一般的に、薬物にPEG分子を共有結合させるために用いられる末端基または化学反応性の官能基が異なっている。様々なPEGが当該技術分野で周知である。本発明による合成ペプチドの1つ以上の無保護アミン基に結合させるために用いられる好ましいPEGは、化学反応性基(例えば、「官能基」)を有し、これを用いて、PEGを1つ以上の無保護アミン基に共有結合させることができる。PEGとしては、限定するものではないが、以下が挙げられる:PEG-トレシレート、ヘテロ2官能性PEG、PEGジクロロトリアジン、PEGスクシンイミジルカーボネート、PEGベンゾトリアゾールカーボネート、PEGp-ニトロフェニルカーボネート、PEGトリクロロフェニルカーボネート、PEGカルボニルイミダゾール、PEGスクシンイミジルスクシネート、mPEGスクシンイミジルプロピオネート、mPEGスクシンイミジルブタノエート、PEGブチルアルデヒド、mPEG-プロピオンアルデヒド、PEGアルデヒド、PEG-アセトアルデヒド、PEGアセトアルデヒドジエチルアセタール、PEGカルボン酸、mPEGフェニルエーテルスクシンイミジルカーボネート、mPEGベンズアミドスクシンイミジルカーボネート、PEGチオエステル、線状PEG、分枝状PEG、および線状フォーク型PEG。好ましいポリマーを本発明で使用して、好ましいポリマー以外のポリマーを除外してもよい。
「合成ペプチド」および「HIV gp41由来ペプチド」という用語は、本明細書および特許請求の範囲において、本発明で用いるペプチドに関して同義的に用いられ、(a)約15アミノ酸以上で約60アミノ酸以下の長さのアミノ酸配列からなり、HIV (より好ましくはHIV-1)のgp41のHR1領域またはHR2領域のいずれかに含まれるアミノ酸配列の少なくとも一部(好ましくは、少なくとも9個連続したアミノ酸)を含み、かつ(b)標的細胞へのHIV伝播を(好ましくは、HIV-1 gp41のHR領域と複合体を形成して、HIV-1と標的細胞との融合を阻害することによって)阻害することができる(抗ウイルス活性をin vitroおよび/またはin vivoで評価することによって測定でき、これについては本明細書中でより詳細に記載する)ペプチドを意味する。より好ましくは、本発明で用いる合成ペプチドは、28アミノ酸以上で約51アミノ酸以下の長さ、さらに好ましくは約36アミノ酸以上で約51アミノ酸以下の長さの配列からなる。「単離された」という用語は、合成ペプチドに関して用いる場合、ペプチド自体の一体的構造の部分とならない成分が実質的に存在しないこと意味し、例えば、生物学的、生化学的、または化学的方法により化学合成、製造、または修飾される場合には、化学前駆体または他の化学物質が実質的に存在しないことを意味する。合成ペプチドはそのアミノ酸配列中に、1つ以上の同類置換および/またはHIV gp41の関連領域の配列に見出される1つ以上の多型を含むことができ、あるいは、らせん構造を安定化させるおよび/またはオリゴマー形成に影響を及ぼすために付加される1つ以上のアミノ酸置換を含むことができる;ただし、該ペプチドはHIV-1に対して実質的な抗ウイルス活性 (例えば、ピコモル〜マイクロモル範囲のIC50) を保持する必要がある。以下は、本発明に従ってポリマーに部位特異的にコンジュゲートさせることができるHIV gp41由来ペプチドの実例である。しかし、好ましい合成ペプチドを本発明で用いて、好ましい合成ペプチド以外の合成ペプチドを除外してもよい。当業者には明らかであるように、また本明細書中の教示からも明らかであるように、合成ペプチドのアミノ酸配列中のリシンは、遊離アミン基(例えば、εアミン)を含む側鎖を有する別の(天然型または非天然型)アミノ酸と置換することができる。オルニチンは、リシンの置換に用いることができるこのようなアミノ酸の例である。
好ましくは、本発明に従って、HIV-1 gp41のHR1領域に由来する配列を含む合成ペプチドを使用する場合、その合成ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列中の少なくとも15アミノ酸残基の連続配列、またはその多型を含む。というのは、HR1領域のこの部分の重要な決定因子(例えば、アミノ酸の一文字表記で表して、NNLLRAIEAQQHLLQLTVWG IKQLQARI LAVERYLKD(配列番号1のアミノ酸残基18〜アミノ酸残基54))が、構造や本明細書中に記載する生化学的および抗ウイルス的パラメーターに影響を及ぼすことがわかったからである。HR1領域のこの部分の内部に2個のリシン残基が存在し、それらの1個以上を、本発明に従ってポリマーへの部位特異的カップリングに用いることができることに留意されたい。HIV gp41のHR-1領域に由来する合成ペプチドであって、この領域の天然の配列に見出されるアミノ酸を含む合成ペプチドの好ましい例は、配列番号6のアミノ酸配列を有するものとして示される。HIV gp41のHR-1領域に由来する合成ペプチドであって、この領域の天然の配列に見出されるアミノ酸を含む合成ペプチドの別の例は、配列番号7〜22のアミノ酸配列を有するものとして示され、配列番号6〜22のいずれか1つ以上に対して少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含むことができる。より好ましくは、本発明に従って使用する場合、HIV gp41のHR1領域に由来する合成ペプチドは、(例えば、配列番号1のアミノ酸配列と比較して)1つ以上のアミノ酸置換を含み、かかる置換は好ましくは、合成ペプチドが三量体(例えば、3分子の合成ペプチドからなる三量体)に自己集合することを可能にする(U.S. 20040076637として公開された同時継続中の出願に詳述される)。HIV gp41のHR-1領域に由来する合成ペプチドであって、合成ペプチドが三量体に自己集合することを可能とする1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む合成ペプチドの例は、配列番号23〜36のアミノ酸配列を有するものとして示され、配列番号23〜36のいずれか1つ以上に対して少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含むことができる。このような合成ペプチドは、HR1領域のこの部分の内部に1個以上のリシン残基を有することに注目すべきであり、本発明による部位特異的化学修飾において、リシン残基の1つ以上を無保護のまま残すように選択してもよいし(すなわち、その側鎖の反応性基を、化学的保護剤と結合させるために選択しない)、あるいは、化学的に保護されるように選択してもよい。
好ましくは、本発明に従って、HIV-1 gp41のHR2領域に由来する配列を含む合成ペプチドを使用する場合、合成ペプチドは、配列番号2の少なくともアミノ酸残基43〜51の連続配列(例えば、QQEKNEQEL)、またはその多型を含む。というのは、HR2領域のこの部分における重要な決定因子が、本明細書中に記載する生化学的および抗ウイルス的パラメーターに影響を及ぼすことが見出されたからである。この配列中に1個の内部リシン残基が存在することに注目すべきである。HR2領域に由来する合成ペプチドの例としては、配列番号3、4、5、37〜63、および175で示されるアミノ酸配列を有するペプチドが挙げられるが、これらに限定されず、配列番号3、4、5、37〜63、および175のうちのいずれか1つ以上に対して少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含むことができる。このような合成ペプチドは、1個以上の内部リシン残基(および/または配列番号34、39、48、および175の場合にはカルボキシ末端にリシン残基)を有することに注目すべきであり、本発明による部位特異的化学修飾において、リシン残基の1個以上を無保護のまま残すように選択してもよいし、あるいは、化学的に保護されるように選択してもよい。より好ましくは、本発明に従って使用する場合、HIV gp41のHR2領域に由来する合成ペプチドは、(例えば、配列番号2のアミノ酸配列の関連部分と比べて)1つ以上のアミノ酸置換を含み、かかる置換は好ましくは、合成ペプチドのらせん性および/またはらせんの安定性(「らせん安定型ペプチド」)を促進して、改善された生物学的活性を付与する(同時継続中のPCT/US04/42918出願に詳述される)。このようならせん安定型合成ペプチドの例は、配列番号64〜92、および113〜174のアミノ酸配列を有するものとして示され、配列番号64〜92および113〜174のいずれか1つ以上に対して少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含むことができる。改善されたらせん性を示し、かつHIV gp41のHR2領域に由来するペプチドの別の例としては、配列番号93〜95を挙げることができる。このようならせん安定型ペプチドは、1個以上の内部リシン残基(いくつかの場合には、合成ペプチドのアミノ酸配列の25%以内)を有することに注目すべきであり、これらのリシン残基の1個以上を、本発明による部位特異的化学修飾において、無保護のまま残すように選択してもよいし、あるいは、化学的に保護されるように選択してもよい。
本発明による別の好ましい実施形態において、合成ペプチドは、HIV-1、HIV-2、およびSIV融合タンパク質(例えば、米国特許第6,258,782号を参照のこと)のうちの1つ以上に由来するアミノ酸配列を含む「ハイブリッド」ペプチドを含むことができる。ハイブリッド合成ペプチドの例は、配列番号96〜112のアミノ酸配列を有するものとして示され、配列番号96〜112のいずれか1つ以上に対して少なくとも95%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列をさらに含むことができる。ハイブリッド合成ペプチドのこのような例は、少なくとも2個の内部リシン残基を有することに注目すべきであり、リシン残基の1個以上を、本発明による部位特異的化学修飾において、無保護のまま残すように選択してもよいし、あるいは、化学的に保護されるように選択してもよい。
「同一性パーセント」という用語は、本発明に従って用いる配列に関して本明細書および特許請求の範囲にて用いる場合、当該配列(「比較配列」)が記載された配列または基準配列 (「基準配列」)と比較されることを意味し、同一性パーセントは以下の式:
同一性%=[1−(xC/yR)]×100
によって決定される。式中、xCは、比較配列と基準配列との間でアライメントされた長さにわたる、基準配列と比較配列との間の相違点の数であり、その際、相違点は、(a)比較配列と比べて、対応してアライメントされる塩基またはアミノ酸を有しない基準配列中の各塩基またはアミノ酸、(b)基準配列中の各ギャップ、および(c)基準配列中のアライメントされた塩基またはアミノ酸と相違する比較配列中の各アライメントされた塩基またはアミノ酸、により構成される;そしてyRは、比較配列の長さにわたる基準配列中の塩基またはアミノ酸の数である(アライメントの結果として基準配列中に生じたギャップはいずれも1塩基または1アミノ酸として計数に含める)。所定の2つの配列間のアライメントを行うための方法およびソフトウェアは、当該技術分野において周知である。従って、例えば、基準配列を配列番号1〜175のいずれか1つによる合成ペプチドとし、基準配列と比較される比較配列をHIV gp41由来ペプチドとして、配列番号1〜175のアミノ酸配列のいずれか1つ以上に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を決定することができる。
「化学的保護剤」という用語は、本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、(a)アミノ酸の遊離アミンと化学的に反応し、それによって、アミン反応性の官能基を有するポリマーとの反応から該アミンを保護する(「化学的に保護する」);(b)アミノ酸からtBU (t-ブチル)、Fmoc (9-フルオレニルメトキシカルボニル)、Boc (tert-ブチルオキシカルボニル)、またはtrt (トリフェニルメチル(トリチル))を除去するための、当業者に公知の脱保護工程に耐えることができる(例えば、それが化学的に保護しているアミンと化学的に反応したままである);および(c)それが化学的に反応しているアミノ酸のアミンからその後除去され、その結果、アミンが、アミン反応性官能基との化学反応のために無保護の遊離状態となる、化学成分を意味する。より詳細には、化学的保護剤は、そのような脱保護のために当該技術分野にて一般的に用いられている試薬(例えば、20%ピペリジン、2%DBU (1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン)、50%〜90%トリフルオロ酢酸、第四級アミン(フッ化テトラブチルアンモニウムなど)、または無機塩基(炭酸カリウムなど)の1種以上が挙げられる)を用いた、ペプチドからのFmocまたはBocの除去に耐えることができる。例えば、本明細書中でより詳細に述べるように、化学的保護剤は、その除去が望まれるまで安定した(アミン基と反応した)状態のままにすることができ、その後化学的保護剤を後続の別の脱保護工程(例えば、2%ヒドラジンまたは他の好適な試薬を使用)で除去して、遊離アミンを生成させる。このような化学的保護剤は当該技術分野において公知であり、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル (「Dde」)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル (ivDde)、アリルオキシカルボニル (「Alloc」)、ベンジルオキシカルボニル (「Cbz」)、および2-クロロベンジルオキシカルボニル (「2-Cl-Z」)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、合成ペプチドにおいて、化学的保護剤と反応する遊離アミン基は、N末端アミノ酸のN末端アミン、(N末端アミノ酸、C末端アミノ酸、もしくは内部アミノ酸であろうとなかろうと)アミノ酸の側鎖のアミン基(例えば、εアミン)、またはそれらの組合せであり、これは部位特異的化学修飾によって決定される。好ましい実施形態において、化学的保護剤はアミン塩基に安定であり、これに対してFmoc、Boc、tBu、trtなどはアミン塩基に不安定である。
「実質的に均一」という用語は、本発明により製造されたポリマーに結合しているHIV gp41由来ペプチドからなるコンジュゲートに関して本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、製造されたコンジュゲートの少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が、本発明の方法に従って、採用した直交保護ストラテジー(orthogonal protection strategy)(本明細書の実施例5で詳細に説明する)により意図されたとおりに(すなわち、単一の化学種として)、ポリマーに部位特異的に結合された合成ペプチドを含むことを意味する。コンジュゲートは、分離技術(当該技術分野で公知のクロマトグラフィー技術を含むが、これに限定されない)を用いてさらに精製することができる。
本発明は、HIV gp41由来ペプチドを部位特異的に化学修飾するための方法を提供し、また、化学的に保護された少なくとも1つの側鎖アミンを含み、かつアミン反応性官能基と反応させるための少なくとも1つの無保護の遊離アミン(例えば、N末端アミノ酸のαアミン、1つ以上の側鎖アミン、またはそれらの組合せ)を含む、単離されたHIV gp41由来ペプチドを提供する。その後、単離されたHIV gp41由来ペプチドは、部位特異的位置(すなわち、遊離アミンを有する、合成ペプチドの特定のアミノ酸位置)において、ポリマーとコンジュゲート(共有結合)させることができる。この位置は、ポリマーと結合するように(計画的に、化学的保護剤でアミンを保護しないことによって)選択される。従って、合成ペプチドへのポリマーの結合は、アミン反応性官能基を有するポリマーとの化学反応に利用することができる合成ペプチドの1つ以上の遊離アミン基を介して行われる。こうして、例えば、1つのポリマー分子を、遊離アミンを有するように選択されたアミノ酸に共有結合させると、ポリマーとHIV gp41由来ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲートが得られる。限定ではなく例示のために、以下の概略図は、本発明による方法、本発明の方法によって製造され単離されたHIV gp41由来ペプチド、およびT20 (配列番号3)として知られる典型的なHIV gp41由来ペプチドを用いた、本発明によるポリマー−合成ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲートを示す。
概略図1:合成後にN末端で修飾されていない合成ペプチドは、アミン反応性官能基を有するポリマーへの結合に利用可能な3個の遊離アミン(「NH2」)基を有する。すなわち、N末端アミノ酸のαアミンと、それぞれεアミンを含む側鎖を有する2つの内部リシン残基(説明を容易にするため、K1およびK2と表記)である。
Figure 2007529522
概略図2:概略図1に示した合成ペプチドは、合成ペプチドに結合させるためのアミン反応性官能基を有するポリマー
Figure 2007529522
にコンジュゲートされる。コンジュゲート形成方法からは、以下のようなコンジュゲートの不均一集団が得られる。
Figure 2007529522
概略図3:説明のために、内部リシン残基「K1」の遊離アミンのみが、アミン反応性官能基との化学反応のために遊離となるように選択される。最初に、化学的保護剤(「X」)により保護されたアミン基(ポリマーとの反応からブロックされることが望まれる)を有するアミノ酸を組み込むために合成ペプチドを合成し、化学的に保護された側鎖アミンを有する少なくとも1つのアミノ酸を有する単離されたHIV gp41由来ペプチドを形成させる(概略図3A);次に、そのようなHIV gp41由来ペプチドの、遊離アミンを有するアミノ酸(リシン残基 K1)にのみポリマーをコンジュゲートさせる(概略図3B);続いて、化学的保護剤を、それが化学的に反応しているアミノ酸より除去すると、実質的に均一なコンジュゲートが得られる(概略図3C)。
Figure 2007529522
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきでない。
合成ペプチドは一般的に、ペプチド合成機で標準的な固相合成技術および標準的なFmocペプチド化学または別の標準的なペプチド化学を用いて、線状合成により合成することができ、また合成されている。したがって、本実施例で説明する断片の合成において示されるように、固相合成または他の標準的なペプチド化学を用いて合成ペプチドを合成することができ、その場合、化学的に保護されたアミノ酸(例えば、本実施例に記載するように化学的に保護された側鎖アミンを有するアミノ酸)を、そのアミノ酸がアミノ酸鎖に組み込まれる合成箇所で、所望されるアミノ酸位置に付加することによって、合成ペプチドを製造することができる(本明細書の実施例6に示す)。しかし、好ましい実施形態では、部位特異的化学修飾を受けるHIV gp41由来ペプチドは、本明細書の実施例5で詳しく説明されるような、断片縮合法(例えば、図4〜6を参照)を用いて合成される。簡潔に説明すると、2つ以上の断片(各断片が合成ペプチドのそれぞれの部分に見られるアミノ酸配列を含む)を合成する。断片合成の際に、所望する場合、化学的保護剤で化学的に保護された遊離アミン(例えば、側鎖アミン)を有するアミノ酸を組み込むことができる。次に、適切なアミノ酸配列を有する合成ペプチドが得られるような方法および順序で、断片同士を組み立てる(一緒に共有結合させる)。T20 (配列番号3)は、以前に詳述されたように (例えば、米国特許第6,015,881号を参照)、断片縮合法によって合成された。簡潔に述べると、図4に要約されるように、合成ペプチドへと組み立てるべき断片を最初に合成する。配列番号3の最初の16アミノ酸を含む断片を標準的な固相合成(超酸感受性樹脂を使用)により、N末端をアセチル化する一方でC末端にはヒドロキシル基(-OH)を有するように合成した。配列番号3のアミノ酸17〜26を含む断片を、N末端にFmoc、C末端に-OHを有するように、標準的な固相合成で合成した。配列番号3のアミノ酸27〜35を含む断片は、N末端にFmoc、C末端に-OHを有するように、標準的な固相合成によって合成した。図4に示すように、配列番号3のアミノ酸27〜35を含む断片を、液相中でアミノ酸36に化学結合させると、C末端アミド化を有するアミノ酸27〜36を含む断片が得られる。配列番号3のアミノ酸17〜26の断片を、(N末端アミノ酸27からFmocを除去した後に)配列番号3のアミノ酸27〜36の断片と化学結合させた。得られた配列番号3のアミノ酸17〜36を有するアミノ酸配列を、(N末端アミノ酸17からFmocを除去した後に) 配列番号3のアミノ酸1〜16を含む断片に化学結合させると、配列番号3のアミノ酸配列を含む合成ペプチドが形成された。合成ペプチドを、トリフルオロ酢酸/ジチオスレイトール/水(容積%:90/5/5)のカクテルを用いて、30℃で5〜6時間、撹拌しながら脱保護工程を行って、脱保護/脱カルボキシル化した(各断片の合成中に用いたtBU、trt、およびBocを除去するため)。次に、合成ペプチドを逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製した。ペプチドの正体をエレクトロスプレー質量分析により確認した。
HIV gp41由来ペプチドを部位特異的に化学修飾するための方法の1つの実施形態を説明する。この方法は、(a)1つ以上の内部アミノ酸の化学的に保護された側鎖アミン基を有する単離されたHIV gp41由来ペプチド、および(b) HIV gp41由来ペプチドとポリマーからなる実質的に均一なコンジュゲート、を製造するために使用することができる。より詳細には、合成の間に合成ペプチド(または断片組み立て方法を用いた場合にはその断片)に次のアミノ酸が組み込まれる。すなわち、後続のアミン反応性官能基との化学反応から化学的保護剤によってブロックされた側鎖アミンを有する1つ以上のアミノ酸;および、アミン反応性官能基と化学反応させるための無保護の遊離アミン(例えば、N末端αアミン、1つ以上のεアミン、およびそれらの組合せからなる群から選択される)を有する1つ以上のアミノ酸である。次に、部位特異的に化学修飾する本方法によって製造した単離された合成ペプチドは、実質的に均一なコンジュゲートを製造するために、合成ペプチドの無保護(「遊離」)アミン基とポリマーのアミン反応性官能基との化学反応によって、ポリマーに共有結合させることができる。この説明的実施形態では、T20 (配列番号3)を典型的な合成ペプチドとして選択し、アミノ酸位置18のリシン残基(「K18」) (側鎖アミンを有するアミノ酸)を部位特異的化学修飾によって化学的に保護されるように選択し、アミノ酸位置28のリシン残基(「K28」)を遊離アミンを有する内部アミノ酸として残した。続いて、遊離アミンをポリマーのアミン反応性官能基と化学反応させることにより、合成ペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸位置28のリシンを介して、合成ペプチドにポリマーを共有結合させることができる。図5を参照すると、T20 (配列番号3)は、本明細書の実施例1で先に記載した断片縮合法を用いて合成された。
簡潔に述べると、図5に要約されるように、配列番号3の最初の16アミノ酸を含む断片を標準的な固相合成によって合成したが、その際、アミノ酸残基1(「Y」)のN末端アミンはアセチル化(「Ac」)される。配列番号3のアミノ酸17〜26を含む断片を、アミノ酸残基18としてFmoc-Lys-(ivDde)を用いて標準的な固相合成によって合成し、それにより、化学的保護剤ivDde (図5中の「X」)が、K18のεアミン基を後続のアミン反応性官能基との反応からブロックするようにした。配列番号3のアミノ酸27〜35を含む断片を標準的な固相合成によって合成し、液相においてアミノ酸36と化学的に結合させて、配列番号3のアミノ酸27〜36を含む断片を形成させた。配列番号3のアミノ酸17〜26を含む断片(ivDdeで保護されたK18を含む)を、配列番号3のアミノ酸27〜36の断片(遊離εアミンを有する位置28のリシン(「K28」)を含む)と化学的に結合させた。得られた配列番号3のアミノ酸17〜36を含むアミノ酸配列を、配列番号3のアミノ酸1〜16を含む断片と組み合わせることにより、配列番号3のアミノ酸配列を有し、かつ化学的保護剤で化学的に保護された(後続のアミン反応性官能基との化学反応からブロックされた)側鎖アミン基を有する少なくとも1つのアミノ酸を含む、単離されたHIV gp41由来ペプチドを形成させた。合成ペプチド(配列番号3)を脱保護して、本明細書の実施例1に詳細に記載したように、標準的な固相合成で用いた保護基trt、Boc、およびtBu を除去し(しかしK18は化学的に保護されたままである)、脱カルボキシル化してから、逆相高速液体クロマトグラフィーを用いて精製した。次に、単離されたHIV gp41由来ペプチドを、配列番号3のK28の遊離εアミンにポリマーを部位特異的に結合させるために用いた。
HIV gp41由来ペプチドとポリマーからなる実質的に均一なコンジュゲートを製造するために、mPEGスクシンイミジルプロピオネート(「mPEG-SPA」)をT20(配列番号3)にコンジュゲートさせるための典型的なポリマーとして選択した。K18のεアミン基にivDdeを有するT20 (配列番号3) (9.0 mg, 2.0μmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)(0.3 ml)に溶解した。この反応物にジイソプロピルエチルアミン (DIEA) (10μl)を加え、次いでDMF (1ml)中のmPEG-SPA (平均分子量、5000ダルトン(「5K」);20 mg, 4.0μmol)を加えた。この混合物を室温にて撹拌し、PEG化が完了するまで反応物をHPLCによって追跡した。化学的保護剤ivDdeをK18のεアミン基から除去するために、ヒドラジン(40μl)を反応物に添加して反応混合物中3%(v/v)ヒドラジンとした。撹拌をさらに30分間継続するか、またはHPLCが脱保護の完了を示すまで撹拌を継続した。反応混合物を水(6.5ml)で希釈し、DMFの最終濃度を20%とし、その後シリンジフィルター(0.45μm, 2ml)を通して濾過した。HPLC精製を、ポリスチレン/ジビニルベンゼンカラム(PRLP-S, 300A, 10μm, 250*21.2mm)で、溶離剤としてアセトニトリル-水-0.1%トリフルオロ酢酸緩衝液を用いて行った。回収した画分を、UVおよびELS検出器の両方を用いてHPLCによって調べた。純粋な画分を合わせてプールし、2日間凍結乾燥させた。所望のコンジュゲート(5K-PEG-T20(K28にて結合)からなる実質的に均一なコンジュゲート)を、凍結乾燥後に綿毛のような白色の固体(5.5mg)として得た。
本実施形態の別の変形においては、配列番号1のN末端アミノ酸のαアミンを、アセチル化する代わりに、Fmoc基で保護した。合成ペプチドを合成し、ポリマーにコンジュゲートさせる方法は、実施例2に記載したとおりに行った。かくして、得られた実質的に均一なコンジュゲートは、コンジュゲートのT20 (配列番号3)がN末端アミノ酸(Y)に遊離αアミンを含むことを除いて、5K-PEG-T20(K28にて結合)からなるものであった。
HIV gp41由来ペプチドを部位特異的に化学修飾するための方法の別の実施形態を説明する。この方法は、(a) 化学的に保護された側鎖アミンを有する1つ以上の内部アミノ酸を有する単離されたHIV gp41由来ペプチド、および(b) HIV gp41由来ペプチドとポリマーからなる実質的に均一なコンジュゲート、を製造するために使用することができる。この説明的実施形態では、T20 (配列番号3)を典型的な合成ペプチドとして選択し、アミノ酸位置28のリシン残基(「K28」)を、部位特異的化学修飾によって化学的に保護されるように選択し、内部アミノ酸としてのアミノ酸位置18のリシン残基(「K18」)を、後続のポリマーとの結合(リシン側鎖アミンとポリマーのアミン反応性官能基との反応による)のために遊離のままにしておいた。図6を参照すると、T20 (配列番号3)は、本質的に本明細書の実施例1に記載したとおりに、断片縮合法を用いて合成された。簡潔に述べると、図6に要約されるように、最初の16アミノ酸を含む配列番号3の断片を標準的な固相合成により合成したが、その際、アミノ酸残基1 (Tyr)のN末端アミンはアセチル化(「Ac」)される。アミノ酸17〜26を含む配列番号3の断片を標準的な固相合成により合成した。アミノ酸27〜35を含む配列番号3の断片を、アミノ酸残基28としてFmoc-Lys-(ivDde) (「K28」)を用いて標準的な固相合成により合成することにより、化学的保護剤ivDde (図6中の「X」)が、K28のεアミン基を後続のアミン反応性官能基との化学反応からブロックするようにした。後者の断片を液相においてアミノ酸36に結合させて、配列番号3のアミノ酸27〜36を有する断片を形成させた。アミノ酸17〜26を有する断片(遊離εアミンを有するK18を含む)をアミノ酸27〜36の断片(ivDdeで保護されたK28を含む)と組み合わせた。得られたアミノ酸17〜36を有するアミノ酸配列を、アミノ酸1〜16を含む断片と組み合わせて、配列番号3のアミノ酸配列を含む合成ペプチドを形成させた。合成ペプチド(配列番号3)を脱保護し、本明細書の実施例1に詳細に記載したとおりに、標準的な固相合成に用いた保護基(trt、Boc、およびtBu)を除去し(しかしK28は化学的に保護されたままである)、脱カルボキシル化し、その後、逆相高速液体クロマトグラフィーを用いて精製した。次に、単離されたHIV gp41由来ペプチドを、配列番号3のK18の遊離εアミンにポリマーを部位特異的に結合させるために用いた。
mPEGスクシンイミジルプロピオネート(「mPEG-SPA」)を、T20 (配列番号3)にコンジュゲートさせるための典型的なポリマーとして選択した。K28のεアミン基にivDdeを有するT20 (配列番号3) (19.7 mg, 4.4μmol)をDMF (0.5 ml)に溶解した。この反応物にDIEA (20μl)を加え、次いでDMF (1ml)中のmPEG-SPA (平均分子量、5000ダルトン(「5K」);50 mg, 10μmol)を加えた。この混合物を室温にて撹拌し、反応をPEG化が完了するまでHPLCによって追跡した。化学的保護剤ivDdeをK28のεアミン基から除去するために、ヒドラジン(45μl)を反応物に添加して反応混合物中3%(v/v)ヒドラジンとした。撹拌をさらに30分間(またはHPLCが脱保護の完了を示すまで)継続した。反応混合物を水(6.5ml)で希釈してDMFの最終濃度を20%とし、その後シリンジフィルター (0.45μm, 2ml)を通して濾過した。HPLC精製を、ポリスチレン/ジビニルベンゼンカラム(PRLP-S, 300A, 10μm, 250*21.2mm)で、溶離剤としてアセトニトリル-水-0.1%トリフルオロ酢酸緩衝液を用いて行った。回収した画分を、UVおよびELSの両方の検出器を用いてHPLCによって調べた。純粋な画分を合わせてプールし、2日間凍結乾燥させた。所望のコンジュゲート(5K-PEG-T20(K18にて結合)からなる実質的に均一なコンジュゲート)を、凍結乾燥後に綿毛のような白色の固体(10.4mg)として得た。
本実施形態の別の変形においては、配列番号1のN末端アミノ酸のαアミンを、アセチル化する代わりに、Fmoc基で保護した。合成ペプチドを合成し、ポリマーにコンジュゲートさせる方法は、実施例3に記載したとおりに行った。かくして、得られたコンジュゲートは、コンジュゲートのT20 (配列番号3)がN末端アミノ酸(Y)に遊離αアミンを含むことを除いて、5K-PEG-T20(K18にて結合)からなる実質的に均一なコンジュゲートを含んでいた。
本実施例では次のことを説明する:(a)本発明により製造された実質的に均一なコンジュゲートの抗ウイルス活性を測定する方法;および(b) HIV gp41由来ペプチドに共有結合されたポリマーからなる実質的に均一なコンジュゲートを製造するための、本発明による部位特異的化学修飾の必要性。抗ウイルス効果を示すためにin vitroアッセイを用いる場合、in vitroアッセイで示された合成ペプチドの抗ウイルス効果が、in vivoでの合成ペプチドの抗ウイルス効果と相関していることに注目することが重要である。本発明により製造された合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの抗ウイルス活性 (例えば、1つの指標は標的細胞へのHIVの伝播を阻害する能力である) を測定する場合には、HIV gp41のいずれかのHR領域に由来する合成ペプチドを用いて得られたデータによって、in vivoで観察される抗ウイルス活性を予告することが示されているin vitroアッセイを使用する。より詳細には、in vitro感染力アッセイ(「Magi-CCR5感染力アッセイ」;例えば、米国特許第6,258,782号を参照)を用いて観察された抗ウイルス活性は、同一のHIV gp41由来ペプチドについてin vivoで観察された抗ウイルス活性と適度に相関することが明らかにされている。この点をさらに強調するために、T20 (配列番号3)およびT1249 (配列番号96)はそれぞれ、in vitro感染力アッセイおよびヒト臨床試験の両方において、HIVに対して強力な抗ウイルス活性を示した。
感染力アッセイは、指示細胞系MAGIまたはCCR5発現誘導体cMAGIを用いて、感染性ウイルス力価の減少について調べる。両細胞系は、HIV-LTRによって駆動されるβ-ガラクトシダーゼレポーター遺伝子の発現をトランス活性化するHIV-1 tatの能力を利用している。β-galレポーターは核内に局在するように改変されており、感染から数日以内に著しい核染色としてX-gal基質により検出することができる。従って、染色前に1ラウンドのみ感染させる場合、染色された核の数は、チャレンジ接種物中の感染性ビリオンの数に等しいと解釈しうる。感染細胞はCCDイメージャーを用いて計数し、一次分離株と実験室適応分離株はどちらも、ウイルス投与量とイメージャーにより視覚化された感染細胞の数との間で直線関係を示す。MAGIアッセイおよびcMAGIアッセイにおいて、感染性力価の50%減少(Vn/Vo = 0.5) は有意であり、抗ウイルス活性を評価するための一次カットオフ値を提供する(「IC50」は感染性ウイルス力価の50%減少をもたらす希釈度として定義される)。感染性力価の90%減少に相当する、Vn/Vo = 0.1の二次カットオフについても評価する(「IC90」)。抗ウイルス活性について試験した実質的に均一なコンジュゲートは、様々な濃度に希釈し、48ウェルマイクロタイタープレートの1ウェルあたり約1500〜2000個の感染細胞を生じるように調整したHIV接種物に対して2回または3回反復して試験した。実質的に均一なコンジュゲート(それぞれの希釈物中)をcMAGIまたはMAGI細胞に加え、続いてウイルス接種物を加え、24時間後、感染および細胞−細胞融合の阻害剤(例えば、T20)を加えて、第2ラウンドのHIV感染および細胞−細胞ウイルス広がりを防止する。細胞をさらに2日間培養し、その後固定し、X-gal基質により染色してHIV感染細胞を検出した。各対照および実質的に均一なコンジュゲート希釈物について感染細胞の数をCCDイメージャーで測定し、その後IC50およびIC90を算出する(一般的にはμg/mlで表される)。
本実施例においては、本明細書中に記載した方法によって別個に製造した数種の実質的に均一なコンジュゲートを、表1に示すような抗ウイルス活性について分析した。これらのコンジュゲートは以下のように識別される。「コンジュゲートA」は、N末端アミンに部位特異的にコンジュゲートされた2K PEGを有する配列番号3のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、K18およびK28の両方の側鎖アミンは合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートB」は、K18に部位特異的にコンジュゲートされた2K PEGを有する配列番号3のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、N末端アミンおよびK28の側鎖アミンは合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートC」は、K28に部位特異的にコンジュゲートされた2K PEGを有する配列番号3のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、N末端アミンおよびK18の側鎖アミンは合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートD」は、N末端アミンに部位特異的にコンジュゲートされた5K PEGを有する配列番号3のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、K18およびK28の両方の側鎖アミンは、合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートE」は、K18に部位特異的にコンジュゲートされた5K PEGを有する配列番号3のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、N末端アミンおよびK28の側鎖アミンは、合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートF」は、K28に部位特異的にコンジュゲートされた5K PEGを有する配列番号3のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、N末端アミンおよびK18の側鎖アミンは合成の間化学的に保護されていた)。
Figure 2007529522
この比較から、平均サイズ2K (2,000ダルトン)のポリマーが、K18 (少なくとも5倍低い活性を有する)またはK28(少なくとも10倍低い活性を有する)に結合されるのに対して、N末端アミンに結合される場合には、合成ペプチドの抗ウイルス活性が最もよく保存されることが明らかである。同様に、5Kポリマーが、K18 (約5倍低い活性)またはK28 (約7倍低い活性)に結合されるのに対して、N末端アミンに結合される場合には、合成ペプチドの抗ウイルス活性が最もよく保存されることが明らかである。さらに、本実施例から次のような結論を導き出すことができる。つまり、本発明による部位特異的化学修飾方法は、ポリマーを合成ペプチドの選択したアミノ酸に部位特異的に結合させるために使用することができ、その結果、望ましいレベルの生物学的活性(例えば、本実施例では、望ましい抗ウイルス活性は0.02μg/ml未満のIC50により示される)を有するペプチド-ポリマーコンジュゲートの実質的に均一なコンジュゲート(例えば、表1の「コンジュゲートA」)を製造する一方で、標準的なPEG化を用いて、望ましいレベルの生物学的活性を欠く複数種の合成ペプチド-ポリマーコンジュゲート(例えば、表1の「コンジュゲートA」と「コンジュゲートB」と「コンジュゲートC」の混合物)を製造することを回避することができる。
本実施例では、HIV gp41由来ペプチドを部位特異的に化学修飾するための方法についてのさらなる実施形態を説明する。この方法では、合成の間に合成ペプチドに次のアミノ酸が組み込まれる:後続のアミン反応性官能基との化学反応から化学的保護剤によってブロックされた側鎖アミンを有する1つ以上のアミノ酸;およびアミン反応性官能基と化学反応させるための無保護の遊離アミン(例えば、N末端αアミン、1つ以上のεアミン、およびその組合せからなる群から選択される)を有する1つ以上のアミノ酸。その後、得られた単離されたHIV gp41由来ペプチドをポリマーにコンジュゲートさせて、ポリマーとHIV gp-41由来ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲートを製造することができる。
HIV gp41由来ペプチドを合成するための断片縮合法に関する実施例1の教示に基づいて、当業者には明らかなように、断片を組み立てるこの方法は、本発明による方法において、配列番号3〜175に示される配列を有するいくつかの合成ペプチドのために使用することができ、また使用されている。一般的に述べると、典型的には3つの断片、すなわち、「N末端断片」(通常は、合成ペプチドのアミノ末端の10〜20個のアミノ酸からなる)、「C末端断片」(通常は、合成ペプチドのカルボキシ末端の10〜20個のアミノ酸からなる)、および「中間断片」(通常は、合成ペプチドのN末端断片とC末端断片との間に見出される10〜20個のアミノ酸からなる)を合成し(例えば、図3を参照)、次にこれらの断片を組み立てて完全な合成ペプチドとする。しかし、特定の合成ペプチドの長さ、アミノ酸配列、アミノ酸配列中の側鎖アミンを有するアミノ酸の数および位置に応じて、2つから4つの断片を合成し、その後組み立てて、特定の合成ペプチドの合成を完了させてもよい。
例えば、T1249 (配列番号96)を本発明による部位特異的化学修飾方法において用いた。本実施例では、合成ペプチドを、次の3つの断片を用いる断片縮合法によって合成した:アミノ酸1〜12からなり、かつアミノ酸位置7にリシン(「K7」)およびアセチル化N末端アミノ酸を含むN末端断片;アミノ酸13〜26からなり、かつアミノ酸位置21にリシン(「K21」)を含む中間断片;アミノ酸27〜36からなり、かつアミノ酸位置28にリシン(「K28」)およびアミノ酸位置31にリシン(「K31」)を含むC末端断片 (アミノ酸位置の番号付けは、配列番号96(すなわち、組み立てられた合成ペプチド)のそれぞれの位置に対応する)。いくつかの本発明による単離されたHIV gp41由来ペプチドを別個に製造した:(a) K7、K21、K28、およびK31に化学的保護剤を含む配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチド(後続のポリマーとのコンジュゲーションのためにN末端アミンのみを遊離のままにしておいた);(b) N末端アミン、K21、K28、およびK31に化学的保護剤を含む配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチド(後続のポリマーとのコンジュゲーションのためにK7 側鎖アミンのみを遊離のままにしておいた);(c) N末端アミン、K7、K28、およびK31に化学的保護剤を含む配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチド(後続のポリマーとのコンジュゲーションのためにK21側鎖アミンのみを遊離のままにしておいた);(d) N末端アミン、K7、K21、およびK31に化学的保護剤を含む配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチド(後続のポリマーとのコンジュゲーションのためにK28側鎖アミンのみを遊離のままにしておいた);ならびに(e) N末端アミン、K7、K21、およびK28に化学的保護剤を含む配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチド(後続のポリマーとのコンジュゲーションのためにK31側鎖アミンのみを遊離のままにしておいた)。
数種の実質的に均一なコンジュゲートは、配列番号96のアミノ酸配列を有するこれらの単離されたHIV gp41由来ペプチドから、本明細書に記載した部位特異的化学修飾方法によって、平均2Kダルトン(「2K」)から平均20Kダルトン(「20K」)までの様々なサイズのPEGを用いて、別々に製造した。表2は、これらの実質的に均一なコンジュゲート(以下のように識別される)のいくつかの抗ウイルス活性を示す。「コンジュゲートA」は、N末端アミンに部位特異的にコンジュゲートされた2K PEGを有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、K7、K21、K28、およびK31の側鎖アミンは合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートB」は、K7に部位特異的にコンジュゲートされた2K PEG を有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、N末端アミン、ならびにK21、K28、およびK31の側鎖アミンは合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートC」は、K21に部位特異的にコンジュゲートされた2K PEGを有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、N末端アミン、ならびにK7、K28、およびK31は合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートD」は、K28に部位特異的にコンジュゲートされた2K PEG を有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、N末端アミン、ならびにK7、K21、およびK31の側鎖アミンは合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートE」は、K31に部位特異的にコンジュゲートされた2K PEGを有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである(従って、N末端アミン、ならびにK7、K21、およびK28の側鎖アミンは合成の間化学的に保護されていた)。「コンジュゲートF」は、N末端アミンに部位特異的にコンジュゲートされた5K PEGを有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである。「コンジュゲートG」は、K7に部位特異的にコンジュゲートされた5K PEGを有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである。「コンジュゲートH」は、K21に部位特異的にコンジュゲートされた5K PEGを有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである。「コンジュゲートI」は、K28に部位特異的にコンジュゲートされた5K PEGを有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである。「コンジュゲートJ」は、K31に部位特異的にコンジュゲートされた5K PEGを有する配列番号96のアミノ酸配列を有する合成ペプチドである。
Figure 2007529522
本実施例から、また、平均サイズ2K(2000ダルトン)のPEGを用いた結果を検討して、次のような結論を導き出すことができる。すなわち、本発明による部位特異的化学修飾方法は、ポリマーを合成ペプチドの選択したアミノ酸に部位特異的に結合させるために使用することができ、その結果、望ましいレベルの生物学的活性(例えば、本実施例では、望ましい抗ウイルス活性は0.01μg/ml未満のIC50により示される)を有する実質的に均一なコンジュゲート(例えば、表2の「コンジュゲートA」、「コンジュゲートB」、および「コンジュゲートD」)を製造する一方で、標準的なPEG化を用いて、そのような望ましいレベルの生物学的活性を欠く複数種の合成ペプチド-ポリマーコンジュゲート(例えば、表2のコンジュゲートA〜Eの混合物)を製造することを回避することができる。
別の例として、配列番号174のアミノ酸配列を有する合成ペプチドを、本発明による部位特異的化学修飾方法に用いた。本実施例では、アミノ酸位置30にリシン(「K30」)およびアミノ酸位置39にリシン(「K39」;C末端アミノ酸;アミノ酸位置の番号付けは配列番号174の位置に対応する)を含む合成ペプチドを、N末端アミノ酸のN末端アミンおよびK30の側鎖アミンに化学的保護剤を用いて(後続のポリマーとのコンジュゲーションのためにK39の側鎖アミンのみを遊離のままにしておいた)、直鎖合成により合成した。単離されたHIV gp41由来ペプチドから、平均サイズ2Kのポリマー、平均サイズ5Kのポリマー、および平均サイズ20Kのポリマーを用いて、実質的に均一なコンジュゲートを別々に製造した。例えば、合成ペプチド単独(ポリマーに結合されていない)が、所望レベルの生物学的活性(例えば、0.02μg/ml以下のIC50により示される抗ウイルス活性)を示したのに対して、平均サイズ2Kのポリマーを有する実質的に均一なコンジュゲートは、約0.02μg/mlにほぼ等しい生物学的活性を示した。平均サイズ5Kまたは20Kのポリマーを有する実質的に均一なコンジュゲートは、0.1μg/mlよりもかなり高い(すなわち、本実施例で望まれる生物学的活性の範囲外の)生物学的活性を示した。
本発明は、ポリマーを部位特異的に結合させたHIV gp41由来ペプチドからなる実質的に均一なコンジュゲート(「合成ペプチド−ポリマーコンジュゲート」)を提供する。このような合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの抗ウイルス活性は、標的細胞へのHIVの伝播を阻害するための方法に利用することができる。この方法は、HIVによる細胞感染を阻害する(より好ましくは、ウイルスと標的細胞とのHIV介在融合を阻害する)のに有効な量の本発明による合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートをウイルスおよび細胞に加えることを含む。この方法を用いて、HIVに感染した個体を(治療的に)処置することができ、また、(例えば、薬物使用または高リスクの性行為を介して)HIVに新たに曝露された、もしくは曝露されるリスクが高い個体を(予防的に)処置することができる。従って、例えばHIV-1に感染した個体の場合、合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの有効量は、処置すべき個体におけるHIVウイルスの負荷量を(それ自体でおよび/または投薬レジメンと組み合わせて)減少させるのに十分な用量である。当業者には公知であるように、HIVウイルスの負荷量を測定するための標準方法がいくつか存在し、かかる方法としては、末梢血単核細胞の定量的培養物による方法、および血漿HIV RNAの測定による方法が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートは、単回投与で、断続的に、定期的に、または連続的に投与することができ、それは主治医が例えばウイルス負荷量をモニタリングすることによって決定しうる。合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートを含む製剤、および合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートを形成する際に用いたポリマーと合成ペプチドの組成などの要因、ならびに製薬上許容される担体をさらに含むか否か、および製薬上許容される担体の性質に応じて、本発明による合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートは数日から数週間、またはことによるともっと長い周期で投与することができる。さらに、本発明による合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートは、HIVの治療に用いられる他の抗ウイルス薬と組み合わせて用いる場合、または治療レジメンにおいて用いる場合(例えば、同時に用いるか、または1つの薬物と別の薬物を周期的に交互に用いる場合)、抗ウイルス療法に用いることができる。他の抗ウイルス薬としては、例えば、当技術分野でよく知られているような、他のHIV侵入阻害剤(例えば、CCR5阻害剤、レトロサイクリン(retrocyclin)など)、HIVインテグラーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤(例えば、ヌクレオシドまたは非ヌクレオシド)、プロテアーゼ阻害剤、ウイルス特異的転写阻害剤、ウイルスプロセッシング阻害剤、HIV成熟阻害剤、ウリジンリン酸化酵素の阻害剤、HIVワクチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
例えば、1つの好ましい実施形態では、1つ以上の抗ウイルス剤を本発明による合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートと組み合わせて治療に使用し、それによって治療効率を高め、またウイルスが抗ウイルス薬に耐性となるのを低減させることができる。このような組合せ物は、現在承認されているか、今後承認される抗ウイルス剤(HIV感染を治療するのに有用)の有効量を用いて調製できる。このような抗ウイルス剤としては、アバカビル、AZT、デラビリジン(delaviridine)、ddC、ddI、エファビレンツ、FTC、(+)および(-)FTC、リバーセット(Reverset)、GS 840、HBY097、3TC、ネビラピン、d4T、FLT、エムトリシタビン、アンプレニビル(amprenivir)、CGP-73547、CGP-61755、DMP-450、インジナビル、ネルフィナビル、PNU-140690、リトナビル、サキナビル、テリナビル、テノホビル、アデホビル、アタザナビル、ロピナビル、VX 478、PRO-542、ならびにベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体(例えば、PA-457)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明による合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートと組み合わせて用いることができる、上記例示的な抗ウイルス剤の有効用量は当該技術分野において公知である。このような組合せは、当業者には明らかであるように、投与経路および望まれる薬理効果に応じて、1つ以上の経路で連続的にまたは同時に投与しうる、いくつかの抗ウイルス剤を含むことができる。
投与される本発明の合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの有効用量は、当業者に周知の手法(例えば、効力、生物学的半減期、生物学的利用能、および毒性を測定すること)によって決定できる。好ましい実施形態において、合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの有効な用量範囲は、当業者には周知のルーチンなin vitroおよびin vivo研究からのデータを用いて、当業者により決定される。例えば、本明細書中に記載されるような、抗ウイルス活性のin vitro感染力アッセイによって、当業者は、ある量のウイルス感染を防ぐのに必要な合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの平均阻止濃度(IC)(例えば、50%阻止、IC50;または90%阻止、IC90)を決定することが可能である。その後、1つ以上の標準的なモデル動物から得られた薬物動態データを用いて当業者が適切な用量を決定し、それにより、予め決められたIC値に等しいかまたはそれを上回る合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの最小血漿濃度(C[min])が得られるようにする。用量範囲は一般的に、選択した投与経路および該用量の製剤に左右されるが、本発明による合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの典型的な用量範囲は、体重1kgあたり0.1μg〜10mgの範囲、好ましくは体重1kgあたり約0.1〜100μgの用量範囲、より好ましくは約10mg〜約250mgの合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートの用量でありうる。
本発明の合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートは、標的細胞(HIVに感染しうる細胞)への活性薬剤の送達を可能にするどのような手段によっても個体に投与することができる。従って、本発明の合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートは、任意の適切な手法(経口、非経口的(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内もしくは皮下注射または注入、皮内もしくは移植)、鼻腔内、肺、膣、直腸、舌下または局所投与経路を含む)によって投与することができ、各投与経路に適した剤形に製剤化しうる。具体的な投与経路は例えば、個体の治療歴(投与により生じる認知または予測される副作用を含む)、および投与されるコンジュゲートの製剤(例えば、合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートを構成するポリマーおよび合成ペプチドの性質)によって決まる。最も好ましくは、注射(例えば、静脈内または皮下手段を用いるもの)による投与であるが、連続注入(例えば、除放性装置またはミニポンプ(例えば浸透圧ポンプ)などを用いる)による投与もありうる。本発明による合成ペプチド−ポリマーコンジュゲートは製薬上許容される担体をさらに含むことができ、また、所望される製剤、送達部位、投与方法、投与計画、および医療従事者には公知の他の要因にさらに依存しうる。
本発明の特定の実施形態についての上記説明は、例示のために詳述されたものである。こうした説明および例示から、当業者であれば、現在の知識を用いて、本発明の基本的概念から逸脱することなく、様々な用途に本発明を容易に改変しかつ/または適合させることが可能である。それ故に、このような改変および/または適合は、添付した特許請求の範囲内に含まれるものとする。
gp41の他の機能的領域と共にヘプタッドリピート1領域(HR1)およびヘプタッドリピート2領域(HR2)を示す、HIV-1 gp41の模式図である。HR1およびHR2に相当する典型的なアミノ酸配列、およびアミノ酸位置の番号付けを、説明のために、HIVIIIB株のgp160に関連して示す。 様々な実験室株および臨床分離株から決定されたHIV-1 gp41のHR1領域に含まれる配列を、限定ではなく例として、比較して示す。図中、アミノ酸配列のいくつかの変異(例えば、多型)が例示され、一文字アミノ酸コードで示される。 様々な実験室株および臨床分離株から決定されたHIV-1 gp41のHR2領域に含まれる配列を、限定ではなく例として、比較して示す。図中、アミノ酸配列のいくつかの変異(例えば、多型)が例示され、一文字アミノ酸コードで示される。 断片縮合法を用いたHIV gp41由来ペプチドの合成を示す模式図である。数字は、合成されたHIV gp41由来ペプチドに関するそれぞれのアミノ酸位置を表す;「K」は、合成ペプチドの配列の内部にあるか、または合成ペプチドの合成に用いられた断片の内部にあるリシンを表す;「Ac」は、N末端のアセチル化を表す;そして「NH」は、C末端のアミド化を表す。 本発明による、修飾したHIV gp41由来ペプチド、およびポリマーと合成ペプチドのコンジュゲートの合成を示す模式図である。数字は、合成されたHIV gp41由来ペプチドに関するそれぞれのアミノ酸位置を表す;「K」は、合成ペプチドの配列の内部にあるか、または合成ペプチドの合成に用いられた断片の内部にあるリシンを表す;「Ac」はN末端のアセチル化を表す;「NH」はC末端のアミド化を表す;「X」は化学的保護剤を表し、この化学的保護剤は、さらなる化学反応からアミノ酸側鎖を選択的にブロックするために、選択されたアミノ酸のεアミンに結合している;そして「I」(特殊記号)はポリマーを表し、このポリマーは遊離アミン基との化学結合に対して特異性を有し、部位特異的化学修飾において化学的保護剤に結合していないアミノ酸の遊離アミンにコンジュゲートするようになる。次のものが製造される:化学的保護剤で化学的に保護された少なくとも1つのアミン基(例えば、アミノ酸位置18のリシン残基のεアミン)を有する単離されたHIV gp41由来ペプチド;およびHIV gp41由来ペプチドとポリマーからなる実質的に均一なコンジュゲート(ポリマーは合成ペプチドに部位特異的に(例えば、アミノ酸位置28のリシン残基のεアミンに)コンジュゲートされている)。 本発明による、修飾されたHIV gp41由来ペプチド、およびポリマーと合成ペプチドのコンジュゲートの合成を示す模式図である。数字は、合成されたHIV gp41由来ペプチドに関するそれぞれのアミノ酸位置を表す;「K」は、合成ペプチドの配列の内部にあるか、または合成ペプチドの合成に用いられた断片の内部にあるリシンを表す;「Ac」は、N末端のアセチル化を表す;「NH」は、C末端のアミド化を表す;「X」は、化学的保護剤を表し、この化学的保護剤は、さらなる化学反応からアミノ酸側鎖を選択的にブロックするためにεアミンに結合している;そして「I」(特殊記号)はポリマーを表し、このポリマーは部位特異的化学修飾において化学的保護剤に結合していないアミノ酸のアミンにコンジュゲートされる。次のものが製造される:化学的保護剤で化学的に保護された少なくとも1つのアミン基(例えば、アミノ酸位置28のリシン残基のεアミン)を有する単離されたHIV gp41由来ペプチド;およびHIV gp41由来ペプチドとポリマーからなる実質的に均一なコンジュゲート(ポリマーは合成ペプチドに部位特異的に(例えば、アミノ酸位置18のリシン残基のεアミンに)コンジュゲートされている)。

Claims (34)

  1. HIV gp41由来のペプチドを合成する間に、該ペプチドを部位特異的に化学修飾するための方法であって、合成されるペプチドが側鎖アミンを有するアミノ酸を1つ以上含むものであり、合成の間に、該ペプチドまたはその断片に、
    (a)後続のアミン反応性官能基との化学反応から側鎖アミンを保護する化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンを有するように選択される少なくとも1つのアミノ酸;および
    (b)アミン反応性官能基と反応させるための、N末端アミン、側鎖アミン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、無保護の遊離アミンを有する少なくとも1つのアミノ酸;
    を組み込む工程を含んでなる、上記方法。
  2. HIV gp41由来のペプチドが、2つ以上の断片を共有結合させて合成ペプチドを製造することにより合成され、該断片の少なくとも1つに、化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンを有するアミノ酸が組み込まれる、請求項1に記載の方法。
  3. HIV gp41由来のペプチドが、配列番号1〜175のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号1〜175のいずれか1つ以上に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項1に記載の方法。
  4. 化学的保護剤が、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル、アリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、および2-クロロベンジルオキシカルボニルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンを有するアミノ酸がリシンである、請求項1、2、3、または4に記載の方法。
  6. 化学的保護剤と化学反応させる側鎖アミンがεアミンである、請求項1、2、3、または4に記載の方法。
  7. 側鎖アミンを有する1つ以上のアミノ酸を含む単離されたHIV gp41由来のペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸が、後続のアミン反応性官能基との化学反応から側鎖アミンを保護する化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンを有し、該ペプチドの少なくとも1つのアミノ酸が、アミン反応性官能基と反応させるための無保護の遊離アミンを有し、該遊離アミンがN末端アミン、側鎖アミン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、上記HIV gp41由来のペプチド。
  8. 前記ペプチドが、配列番号1〜175のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号1〜175のいずれか1つ以上に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項7に記載のHIV gp41由来のペプチド。
  9. 化学的保護剤が、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル、アリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、および2-クロロベンジルオキシカルボニルからなる群から選択される、請求項7に記載のHIV gp41由来のペプチド。
  10. 化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンを有するアミノ酸がリシンである、請求項7、8、または9に記載のHIV gp41由来のペプチド。
  11. 化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンがεアミンである、請求項7、8、または9に記載のHIV gp41由来のペプチド。
  12. HIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る、実質的に均一なコンジュゲートを製造するための方法であって、
    (a)側鎖アミンを含むアミノ酸を1つ以上有するHIV gp41由来ペプチドを合成する工程、ただし、少なくとも1つのアミノ酸が、後続のアミン反応性官能基との化学反応から側鎖アミンを保護する化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンを有するように選択され、該ペプチドの少なくとも1つのアミノ酸が、アミン反応性官能基と反応させるための無保護の遊離アミンを有し、該遊離アミンがN末端アミン、側鎖アミン、およびそれらの組合せからなる群から選択されること;および
    (b)ポリマーのアミン反応性官能基をHIV gp41由来ペプチドの遊離アミン基と化学反応させることによって、該ポリマーをHIV gp41由来ペプチドに共有結合させる工程、その際、該ポリマーは遊離アミンを有する1つ以上のアミノ酸とのみ共有結合し、化学的保護剤によって保護された少なくとも1つのアミノ酸とは共有結合せず、それにより、実質的に均一なコンジュゲートが得られること;
    を含む、上記方法。
  13. 前記コンジュゲートが、2つ以上のポリマー分子に共有結合されたHIV gp41由来ペプチドから成り、各ポリマー分子がHIV gp41由来ペプチドの1つのアミノ酸に結合される、請求項12に記載の方法。
  14. 実質的に均一なコンジュゲートから化学的保護剤を除去する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  15. HIV gp41由来のペプチドが、2つ以上の断片を共有結合させて合成ペプチドを製造することにより合成され、該断片の少なくとも1つに、化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンを有するアミノ酸が組み込まれる、請求項12に記載の方法。
  16. HIV gp41由来のペプチドが、配列番号1〜175のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号1〜175のいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項12に記載の方法。
  17. 化学的保護剤が、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル、アリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、および2-クロロベンジルオキシカルボニルからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  18. 前記ポリマーがポリエチレングリコールからなる、請求項12に記載の方法。
  19. 化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンを有するアミノ酸がリシンである、請求項12、13、14、15、16、17、または18に記載の方法。
  20. 化学的保護剤と化学反応させた側鎖アミンがεアミンである、請求項12、13、14、15、16、17、または18に記載の方法。
  21. 請求項12、13、14、15、16、17、または18に記載の方法により製造される、HIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る実質的に均一なコンジュゲート。
  22. 製薬上許容される担体をさらに含む、HIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る請求項21に記載の実質的に均一なコンジュゲート。
  23. HIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る請求項21に記載の実質的に均一なコンジュゲートの、HIV感染の治療における活性治療物質としての使用。
  24. HIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る請求項22に記載の実質的に均一なコンジュゲートの、HIV感染の治療における活性治療物質としての使用。
  25. 前記実質的に均一なコンジュゲートが、HIV感染治療のための1つ以上のさらなる抗ウイルス剤を含む治療レジメンの一部として用いられる、請求項23または24のいずれかに記載のHIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る実質的に均一なコンジュゲートの使用。
  26. HIV治療を含む治療に用いるための医薬の製造における、請求項21に記載のHIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る実質的に均一なコンジュゲートの使用。
  27. 請求項21に記載のHIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る実質的に均一なコンジュゲートを含む医薬組成物。
  28. 請求項22に記載のHIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る実質的に均一なコンジュゲートを含む医薬組成物。
  29. HIVによる細胞感染を阻害するのに有効な量の、請求項21に記載のHIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る実質的に均一なコンジュゲートを、該ウイルスおよび細胞に加えることを含む、細胞へのHIV伝播を阻害するための方法。
  30. HIVによる細胞感染を阻害するのに有効な量の、請求項27に記載の医薬組成物を、該ウイルスおよび細胞に加えることを含む、細胞へのHIV伝播を阻害するための方法。
  31. 実質的に均一なコンジュゲートを治療レジメンの一成分として加える、請求項29に記載の方法。
  32. 医薬組成物を治療レジメンの一成分として加える、請求項30に記載の方法。
  33. HIV融合を阻害するのに有効な量の、請求項21に記載のHIV gp41由来ペプチドとポリマーから成る実質的に均一なコンジュゲートを、細胞の存在下において該ウイルスと接触させることを含む、HIV融合を阻害するための方法。
  34. HIV融合を阻害するのに有効な量の、請求項27に記載の医薬組成物を、細胞の存在下において該ウイルスと接触させることを含む、HIV融合を阻害するための方法。
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