JP2007527925A - 粗カンデサルタンシレキセチルの調製 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1つのC1〜C4アルコール及び第一の部分の水の存在下で、水非混和性溶媒中のトリチルカンデサルタンシレキセチルの溶液を加熱すること;その溶液を第二の部分の水と混合して二相系を得ること;及びカンデサルタンシレキセチルを回収すること、を含んで成る、カンデサルタンシレキセチルを調製するための方法。

Description

本出願は、2005年1月14日付けで出願された米国特許仮出願第60/643,937号(本明細書中で引用文献により組み込まれる)の利益を主張する。
本発明は、粗カンデサルタンシレキセチルを調製するための方法を包含する。
カンデサルタンは、強力で、長時間作用性の、選択的なAT1サブタイプのアンジオテンシンII受容体のアンタゴニストである。カンデサルタンは、特に循環器系疾患、例えば高血圧疾患、心臓疾患(例えば、心肥大、心不全、心筋梗塞など)、脳卒中、大脳の脳卒中、及び腎炎の治療のための有用な治療剤である。カンデサルタンは、高い効能に関する要求を満たすが、経口投与の場合十分に吸収されない。そのため、プロドラッグであるカンデサルタンシレキセチルが開発された。消化管からの吸収の間に、カンデサルタンシレキセチルは急速に且つ完全にカンデサルタンへと加水分解される。
カルデサルタンの化学名は:2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸であり、一方カンデサルタンシレキセチルは、(±)−1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチル−2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’ビフェニル]−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸塩である。カンデサルタンシレキセチルは、ホワイトからオフホワイトの粉末であり、水及びメタノールにやや溶けにくい。カンデサルタンシレキセチルはその分子のエステル部分に不斉中心を含むが、ラセミ混合物として売られている。
Figure 2007527925
カンデサルタンは、ペプチド(アンジオテンシンII)を阻害することにより、血管収縮を妨げる重要な役割を果たす。このペプチドは、アンジオテンシン変換酵素(ACE、キニナーゼII)により触媒される反応において、アンジオテンシンIから形成される。アンジオテンシンIIは、水分補給(hydration)、ナトリウム摂取及び他の生理的変動に関するヒトの状態の変動に関わらず、一定の血圧を維持すること、並びに腎臓によるナトリウム排泄を阻害する調整任務を遂行すること、ノルエフェドリンの再取り込みを阻害すること、及びアルドステロンの生合成を刺激することを助ける。アンジオテンシンIIは、血管収縮、アルドステロンの合成及び放出の促進、心刺激、及びナトリウムの腎臓における再吸収を引き起こす、レニン・アンジオテンシン系の主な昇圧剤である。カンデサルタンは、多くの組織、例えば血管平滑筋及び副腎におけるアンジオテンシンIIのAT1受容体への結合を選択的に妨害することにより、アンジオテンシンIIの血管収縮物質及びアルドステロンの分泌作用を妨害する。AT1受容体に結合するアンジオテンシンIIを阻害することにより、カンデサルタンはAT1受容体により介在される血管収縮を妨害する。アンジオテンシンIIによる血管収縮を妨害することは、高血圧の患者に有益であることが見出されてきた。米国食料医薬品局は、単独又は他の抗高血圧剤との併用における、高血圧を処置するためのカンデサルタンを承認した。
カンデサルタンシレキセチルを調製する方法は、米国特許第5,196,444号に開示されている。そこでは、カンデサルタンシレキセチルは、トリチルカンデサルタンのシクロヘキシル1−ヨードエチル炭酸塩及び塩酸との反応により生成される。カンデサルタンシレキセチルは、酢酸エチル及び水を用いた抽出により、その反応混合物から回収される。
米国特許第5,578,733号(「‘733特許」)は、実質的に無水条件下でカンデサルタンシレキセチルを調製する方法を開示する。‘733特許は、無水条件下では「出発のN保護テトラゾリル化合物が酸性条件下で加水分解を受けやすい部分構造を有している場合でも、分解反応が著しく阻害され、それにより対象のテトラゾリル化合物の高い反応収率が保証される」(‘733特許、12欄、ll.33−39)ので、水性条件より実質的に無水条件下でカンデサルタンシレキセチルを調製する方が好ましいことを開示する。
カンデサルタンシレキセチルの治療有効性は、その生成物の追加の効果的な合成経路に対する必要性を生み出した。この必要性に対応するために、本発明はカンデサルタンシレキセチルを調製するための方法を提供する。
発明の概要
1つの実施態様においては、本発明は:少なくとも1つのC1〜C4アルコール及び第一の部分の水の存在下で、水非混和性溶媒中のトリチルカンデサルタンシレキセチルの溶液を加熱すること;その溶液を第二の部分の水と混合して二相系を得ること;及びカンデサルタンシレキセチルを回収すること、を含んで成る、カンデサルタンシレキセチルを調製するための方法を包含する。
好ましくは、C1〜C4アルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、又は2−ブタノールである。より好ましくは、C1〜C4アルコールはメタノールである。好ましくは、C1〜C4アルコールは、約4ml/g〜約12ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する。より好ましくは、C1〜C4アルコールは、約6ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する。
好ましくは、水非混和性溶媒は、C1~4ハロ炭化水素、C6~10芳香族炭化水素、直鎖又は環状C2~5アルキルエーテル、C1~6エステル、C3~5ケトン、C1~5アミド、又は炭酸塩のうちの少なくとも1つである。より好ましくは、水非混和性溶媒は、塩化メチレン、酢酸エチル、又はトルエンである。最も好ましくは、水非混和性溶媒は、トルエンである。好ましくは、水非混和性溶媒は、約1ml/g〜約6ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する。より好ましくは、水非混和性溶媒は、約3ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量である。
好ましくは、第一の部分の水は、トリチルカンデサルタンシレキセチルの1モルあたり少なくとも約0.5モルの量において存在する。より好ましくは、第一の部分の水は、約2モル当量のトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する。
好ましくは、第二の部分の水は、約0.5ml/g〜約5mL/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する。より好ましくは、第二の部分の水は、約4ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量で添加される。
発明の詳細な説明
本発明は、カンデサルタンシレキセチルを調製するための方法を包含する。本発明の方法は、溶媒の蒸留を有利に回避する。蒸留は、温度感受性であるカンデサルタンシレキセチルの分解を引き起こし、その結果カンデサルタンシレキセチルの収率を減少させ得る。従って、蒸留は工業規模の製造において望ましくない。
1つの実施態様においては、カンデサルタンシレキセチルを調製するための方法は:少なくとも1つのC1〜C4アルコール及び第一の部分の水の存在下で水非混和性溶媒中のトリチルカンデサルタンシレキセチルの溶液を加熱すること;その溶液を第二の部分の水と混合して二相系を得ること;及びカンデサルタンシレキセチルを回収すること、を含んで成る。
水非混和性溶媒は、トリチルカンデサルタンシレキセチルを溶解することができる。適切な水非混和性溶媒としては、C1~4ハロ炭化水素、C6~10芳香族炭化水素、直鎖又は環状C2~5アルキルエーテル、C3~5ケトン、C1~5アミド、又は炭酸塩のうちの少なくとも1つが挙げられるが、それらに限定されない。好ましい溶媒としては、塩化メチレン、酢酸エチル、又はトルエンが挙げられ、最も好ましくは、水非混和性溶媒はトルエンである。好ましくは、水非混和性溶媒は、約1ml/g〜約6ml/g、より好ましくは約3ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する。
トリチルカンデサルタンシレキセチルを脱保護することのできる任意のアルコールを用いることができる。適切なC1〜C4アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、又は2−ブタノールのうちの少なくとも1つが挙げられるが、それらに限定されない。好ましいアルコールはメタノールである。アルコールは、反応を促進するのに十分な任意の量であることができる。好ましくは、アルコールは、約4ml/g〜約12ml/g、より好ましくは約6ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量である。
第一の部分の水は、トリチルカンデサルタンシレキセチルの1モルあたり少なくとも約0.5モル、好ましくはトリチルカンデサルタンシレキセチルの1モルあたり約2モルの量で添加される。
トリチルカンデサルタンシレキセチルを脱保護し、カンデサルタンシレキセチルを形成するのに十分な任意の時間、任意の温度でこの溶液を加熱することができる。好ましくは、約40℃以上の温度、より好ましくはおよそ還流温度で、この溶液を加熱する。溶液を加熱する時間は、例えば温度、溶媒の体積、又は試薬の量に依存して変わり得る。脱保護の後、この溶液をろ過して、任意の残留している固体を取り除くことができる。
第二の部分の水を添加して、水相及び有機相を形成し、次にそれらを分離する。水相を形成するのに十分な任意の量の水を添加することができる。この体積の水を1段階で全て添加するか、又は別々のアリコートで添加することができる。好ましくは、第一の部分の水は、約0.5ml/g〜約5ml/g、より好ましくは約1ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する。好ましくは、第二の部分の水は、約0.5ml/g〜約5ml/g、より好ましくは約4ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する。好ましくは、水の総量は、約4ml/g〜約6ml/g、より好ましくは約5ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルである。
1つの実施態様において、この水相を複数の部分の水非混和性溶媒で抽出することができる。抽出後、カンデサルタンシレキセチルを有機相から回収する。
有機相からのカンデサルタンシレキセチルの回収は、濾過、蒸発、又は一般的に用いられる他の任意の方法によることができる。更に、当業界で知られた任意の方法、例えばカラムクロマトグラフィー又は結晶化により、カンデサルタンシレキセチルを精製することができる。
カンデサルタンシレキセチルの回収は、二相系の有機相からであることができる。更に、カンデサルタンシレキセチルを連続向流、並流、又は横流抽出において二相系を分離することにより回収し、カンデサルタンシレキセチルを得ることができる。
カンデサルタンシレキセチルは、室温で単離することができる。好ましくは、カンデサルタンシレキセチルを含む相を冷却する。より好ましくは、カンデサルタンシレキセチルを含む相を、約−10℃〜約10℃の温度、最も好ましくは約0℃で冷却する。
特定の好ましい実施態様との関連で本発明を説明してきたが、明細書を考慮することにより、当業者には他の実施態様が明らかとなるだろう。カンデサルタンシレキセチルの調製方法を詳細に記載した下記の実施例を参照することにより、本発明は更に明らかにされる。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更(材料及び方法の双方)を実施できることが、当業者には明らかであろう。
実施例1
トリチルカンデサルタンシレキセチル(70g、82mmol)、トルエン(210ml)、メタノール(420ml)、及び水(3.5ml)の溶液を、約4.5時間還流した。この透明な溶液を冷却して、濾過し、そしてろ液を反応器に戻した。水(350ml、5ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチル)を添加し、そしてこの溶液を2、3分間撹拌し、混合を止めた後に2つの液相を得た。下相(トルエン、225.5g)を容器に回収し、一方上相は反応器に残した。トルエン(70ml、1mg/gのトリチルカンデサルタンシレキセチル)を上相に添加し、そしてこの溶液を2、3分間撹拌し、混合を止めた後に2つの液相を得た。
メタノール−水の相(底に存在)を取り除いて反応器を空にし、このトルエン相(80g)を第一のトルエン相に添加し、そしてこの一まとめにした相を反応器に戻した。反応器を0℃まで冷却して、16時間撹拌し、そして濾過した。固体をトルエン(1ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチル)で洗い、無水ベースで43.5gを得た。収率:86重量%。
実施例2
トリチルカンデサルタンシレキセチル(TCS、70g、82mmol)、トルエン(210mL)、メタノール(420mL)及び水(3.5ml)の溶液を約4時間還流した。この透明な溶液を冷却し、濾過した。ろ液を反応器に戻し、2倍量の水を添加した(140mL)。この溶液を2、3分間撹拌し、混合を止めた後に2つの液相を得た。下相(トルエン、220.5g)を容器に回収し、一方上相は反応器に残した。1倍量のトルエン(70ml)及び1倍量の水(70mL)を上相に添加した。この溶液を2、3分間撹拌し、混合を止めた後に2つの液相を得た。
メタノール−水の相(底に存在)を取り除いて反応器を空にし、このトルエン相(52g)を第一のトルエン相に添加し、そして混合相を反応器に戻した。反応器を0℃まで冷却して、17時間撹拌し、そして濾過した。固体を1倍量のトルエンで洗い、無水ベースで47.5gを得た。収率:94重量%。
実施例3
トリチルカンデサルタンシレキセチル(TCS、50g、59mmol)、トルエン(150mL)、メタノール(300mL)及び水(2.5ml)の溶液を約4.5時間還流した。この透明な溶液を冷却し、濾過した。ろ液を反応器に戻し、2倍量の水を添加した(100mL)。この溶液を2、3分間撹拌し、混合を止めた後に2つの液相を得た。下相(トルエン、147g)を容器に回収し、一方上相は反応器に残した。3倍量のトルエン(150ml)を上相に添加した。この溶液を2、3分間撹拌し、混合を止めた後に2つの液相を得た。
メタノール−水の相(底に存在)を取り除いて反応器を空にし、このトルエン相(140g)を第一のトルエン相に添加し、そして混合相を反応器に戻した。反応器を0℃まで冷却して、24時間撹拌し、そして濾過した。固体を1倍量のトルエンで洗い、無水ベースで27.9gを得た。収率:83重量%。

Claims (14)

  1. a.少なくとも1つのC1〜C4アルコール及び第一の部分の水の存在下で、水非混和性溶媒中のトリチルカンデサルタンシレキセチルの溶液を加熱すること;
    b.当該溶液を第二の部分の水と混合して二相系を得ること;及び
    c.カンデサルタンシレキセチルを回収すること
    を含んで成る、カンデサルタンシレキセチルを調製するための方法。
  2. 1〜C4アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、又は2−ブタノールである、請求項1に記載の方法。
  3. 1〜C4アルコールがメタノールである、請求項1に記載の方法。
  4. 1〜C4アルコールが、約4ml/g〜約12ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する、請求項1に記載の方法。
  5. 1〜C4アルコールが、約6ml/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する、請求項1に記載の方法。
  6. 水非混和性溶媒が、ハロ炭化水素、C6~10芳香族炭化水素、直鎖又は環状C2~5アルキルエーテル、エステル、C3~5ケトン、C1~5アミド、又は炭酸塩のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
  7. 水非混和性溶媒が、塩化メチレン、酢酸エチル、又はトルエンである、請求項1に記載の方法。
  8. 水非混和性溶媒がトルエンである、請求項1に記載の方法。
  9. 水非混和性溶媒が、約1mL/g〜約6mL/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する、請求項1に記載の方法。
  10. 水非混和性溶媒が、約3mL/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量である、請求項1に記載の方法。
  11. 第一の部分の水が、トリチルカンデサルタンシレキセチルの1モルあたり少なくとも約0.5モルの量において存在する、請求項1に記載の方法。
  12. 第一の部分の水が、約2モル当量のトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する、請求項1に記載の方法。
  13. 第二の部分の水が、約0.5mL/g〜約5mL/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量において存在する、請求項1に記載の方法。
  14. 第二の部分の水が、約4mL/gのトリチルカンデサルタンシレキセチルの量で添加される、請求項1に記載の方法。
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