JP2007527167A - 媒体アクセス制御アクション・テーブルを使った無線パケット処理の方法および装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、パケット送信に付随する遅延を低減する方法および無線通信装置を提供する。媒体アクセス制御(MAC)機能は、HW(ハードウェア)部分と(SW)ソフトウェア部分とに分割される。選択されたMAC機能は、処理のためにソフトウェアMAC層に送られるのではなく、ハードウェアMAC層で直接実行される。どんなアクションがHW MACで使用可能にされているかに基づいて、機能をHW MACまたはSW MACのどちらかで実行する柔軟性がある。これは、解決策の設計変更および絶えず変化する標準要件に対応することができる。MAC機能の一部のHW MACへの割り振りは、特に、リアルタイム機能を実行するときの遅延の低減を可能にする。
Description
本発明は、一般に、無線通信システムに関し、より詳細には、時間感度およびサービス品質(QoS)に対処するためにデータ・パケットを処理するシステムおよび方法に関する。
情報の通信に関連する技術が、この数十年にわたって急速に進化してきた。例えば、最近20年間にわたって、無線通信技術は、もともとは新商品とみなされていた製品を提供することから、モバイル通信のための基本手段である製品を提供することに移行している。おそらく、これらの無線技術のうちで最も有力なものは、セルラ電話のシステムおよび製品であった。セルラ技術が出現して既存の有線通信システムに移動式延長を提供し、ユーザに、従来の回路交換無線パスを使ったユビキタスなカバレッジを提供した。しかしながら、より最近では、無線通信技術は、ほぼあらゆる通信領域において有線接続に取って代わり始めている。例えば、無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)が、家庭でもオフィスでも、従来の有線ネットワークに代わるものとして急速に普及しつつある。
1990年頃、IEEE802標準委員会は、1Mbpsおよび2Mbpsのデータ転送速度で2.4GHz無許可周波数帯において動作する無線設備およびネットワーク用の世界標準を策定するために、802.11無線ローカル・エリア・ネットワーク標準ワーキンググループを結成した。この標準の導入後、米国において、802.11標準の様々なバージョンが、急速に、WLANネットワークおよび装置の標準化の基礎を形成した。同様の取り組みが、欧州でも、HIPERLAN標準をめぐって徐々に発展してきた。
消費者は、当然ながら、無線技術を使って利用可能なサービスと有線サービスを使って利用可能なサービスとを比較することになる。イーサネットや非同期転送モード(ATM)プロトコルなどを使った有線サービスは、中でも特に、ネットワークを介して音声およびビデオ・データを配信する機能を提供する。これらのサービスは異なる要件を有する。例えば、音声データは、データ・サービスに必要なパケット誤り信頼性を必要としないが、過剰な遅延を許容することはできない。ビデオ・データは、一般に、音声よりも多くの遅延を被ることがあるが、遅延ジッタに対する耐性は比較的低い。これらの遅延およびパケット誤り率の考慮事項は、コネクション型サービスによって最も適切にサポートされることがあり、その場合、パラメータは、各接続の開始時に折衝され、設定される。異なるタイプのデータに加えて、今日の有線システムの多くは、差別化されたサービス品質(QoS)レベルを提供するサービスもサポートする。
一般に、QoSという用語は、特定のアプリケーションをサポートするトラフィック・フローを記述する、定性的、定量的トラフィック特性(例えば、スループット、サービス間隔、パケット・サイズ、遅延、ジッタ、優先順位、タイプなど)の組を指す。有線システムにおいては、データ転送速度が非常に高く、物理層の誤り率が非常に低いため、QoS問題は無視されてもよい。しかしながら、無線システムは、限られた帯域幅を用いて非常に高いパケット当たりのオーバーヘッドを課し、そのために、同じことは、802.11WLANなどの無線システムには当てはまらない。例えば、無線システムにおける利用可能データ転送速度の相当な割合が、パケットのフラグメント化、フレーム間の間隔およびMACレベルの肯定応答(acknowledgement)によって消費される。加えて、重いトラフィック負荷が衝突とバックオフとを増大させ、そのため、フレーム配信時間がさらに増大する。また、頻繁な再送信も、ほぼ数十から数百ミリ秒程度の予測不能な遅延を生じさせ、保留中のフレームの送信がブロックされることもある。音声およびビデオ送信を伴うほとんどのマルチメディア・サービスの品質は、遅延が一定レベルを上回って増大すると劇的に劣化する。これは、無線通信システムにおけるこれらの種類のサービスの提供に関連する大きな障害である。
したがって、例えば、音声、ビデオその他の遅延に敏感なサービスを提供するために、遅延を低減させ、QoS問題に対処する機構を提供する無線通信システムおよび方法を開発することが望ましいはずである。
本発明によるシステムおよび方法は、MAC機能の一部をMAC層のハードウェア部分に、MAC機能の一部をMAC層のソフトウェア部分に割り振る無線通信システムを提供することによって、上記その他の必要に対処する。例えば、より大きいQoS関連の時間感度を有する受信パケットに対する応答は、遅延を低減するために、完全にMAC層のハードウェア部分内で識別され、処理され得る。これに対して、あまり時間に敏感ではないMAC処理ステップは、MAC層のソフトウェア部分で実行され得る。
本発明の1つの例示的実施形態によれば、媒体アクセス制御(MAC)層においてデータ・パケットを処理する方法は、データ・パケットを受け取ること、データ・パケットを受信チェーンのMAC層のハードウェア部分に送ること、受信チェーンのMAC層のハードウェア部分において、受け取られたデータ・パケットに関連付けられたパケット・タイプを決定すること、パケット・タイプに基づいて、送信チェーンのMAC層のハードウェア部分を選択的にトリガすること、および、そうではなく、応答の生成のために、受信チェーンの上記MAC層のソフトウェア部分に指示を送ることを含み得る。
本発明の別の例示的実施形態によれば、無線通信装置は、データ・パケットを受け取る受信機と、ハードウェア部分およびソフトウェア部分を備え、そのハードウェア部分において、受け取られたデータ・パケットに関連付けられたパケット・タイプが決定される媒体アクセス・コントローラ(MAC)と、MACのハードウェア部分にある、選択されたパケット・タイプのためのハードウェア処理機能が格納されている受信アクション・テーブルとを含むことができ、受け取られたデータ・パケットのパケット・タイプが選択されたパケット・タイプの1つである場合、関連付けられたハードウェア処理機能が実行され、そうでない場合、上記MACのソフトウェア部分に指示が与えられる。
添付の図面は、本発明の例示的実施形態を示すものである。
以下の本発明の詳細な説明では、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同じ、または類似の要素を識別する。また、以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。そうではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
本考察での若干の状況を示すために、まず、図1を参照してWLANシステムの例が説明される。しかしながら、本発明がWLANシステムにおける実装だけに限定されないことを、当分野の技術者は理解するであろう。図1において、有線ネットワーク10(イーサネット・ネットワークなど)は、ファイル・サーバ12と、ファイル・サーバ12に接続されたワークステーション14とを備える。典型的な有線ネットワークは、多数の固定されたワークステーション14にサービス提供するが、図1には、簡単にするために1つだけが示されていることを、当分野の技術者は理解するであろう。また、有線ネットワーク10は、ルータ18を介してWLAN16にも接続される。ルータ18は、WLAN16のアクセス・ポイント(AP)を有線ネットワークと相互接続し、有線ネットワークを介してアクセス・ポイントは、例えば、ファイル・サーバ12と通信を行うことができる。図1のWLANシステムの例には、それぞれがそれぞれのAPを有する、3つのセル20、22および23(基本サービス・セット(BSS)または基本サービス・エリア(BSA)とも呼ばれるが示されているが、WLAN16には、より多くの、またはより少ないセルが設けられてもよいことも、やはり、当分野の技術者は理解するであろう。各セル内において、それぞれのAPは、無線接続を介していくつかの無線局(W)にサービス提供する。
本発明の例示的実施形態によれば、APとそれぞれの無線局Wの間の信号伝送は、802.11標準の1つによる無線通信信号を使って行われる。しかしながら、本発明はそれに限定されるものではなく、他の形式および標準による信号通信で実施されてもよいことを当分野の技術者は理解するであろう。前述のように、802.11標準へのQoS機能の導入は、MAC層においてフレーム交換シーケンスの間にさらに時間に敏感な機能が実行される結果を生じる。QoS関連フレーム交換シグナリングの時間に敏感な性質を説明するために、図2に示すフレーム交換シーケンスの例を考察する。
図2では、APと第1の無線局Wの間のフレーム交換シーケンスが、第1の送信機会(TXOP1)の間に起こる。APは、短いフレーム間間隔(SIFS)によって無線局Wからの肯定応答から隔てられたQoSデータを送信する。TXOP1の最後のフレームで、無線局WによってQoSヌル・メッセージが送信される。別の無線局Wに別の送信機会を許可するために、APは、メッセージQoS CF Pollを使用する。次いで、TXOP2の間に、この別の無線局WはAPにこの別の無線局WのQoSデータ・フレームを送信し、それらのフレームはAPによって同様に肯定応答される。この例は、すべてのデータ・フレーム送信が受信局によって肯定応答されることを示しているが、802.11eは、MACレベルの肯定応答をオプションとすることを許容しており、すなわち、局は、着信フレーム中のACKポリシ・フィールドに基づいて正しく受け取られたフレームを確認する必要がない。これは、SIFS期間が満了した後、次のパケットが送信可能になっている必要があることを意味するため、そのようなシステムにおけるデータ・パケットの送受信に関連付けられた時間制約条件をさらに厳しくする。一般に、無線プロトコルに対するQoS関連の変更は、(1)データ・パケット受信時、フィールドが抽出される必要があり、データ・パケットにさらなるソフトウェア処理が行われる必要があり、または時間に敏感な応答が返送される必要があるとき、および(2)データ・パケット送信時、いくつかのフィールドがデータ・パケットに挿入される必要があり、または何らかの追跡アクションが講じられる必要のあるときに、MAC層処理に時間感度を導入している。
本発明の例示的実施形態によれば、上記その他のQoS関連無線プロトコルに関連付けられた時間感度は、ハードウェアとソフトウェアの間でMACレベル機能を区分することによって実現され得る。例えば、本発明の例示的実施形態によれば、この区分化は、ハードウェア中のレジスタ・インターフェースによって実現され得る。その一部が図2に示されている現在送信用に定義されている様々なタイプのMACパケット、ならびに、将来、様々な標準でより多くのパケット・タイプが追加されるであろうという期待のために、本発明によるMACハードウェアは、各パケット・タイプの時間に敏感な性質の要件を扱い、ソフトウェアによって指定されるようにその要件を満たすように設計される。本明細書で使用される場合、「パケット・タイプ」という用語は、パケット・タイプ、パケット・サブタイプおよびパケット・タイプ/サブタイプの組み合わせを含むものであることに留意されたい。特に、本発明の例示的実施形態は、MACハードウェアに、本明細書でRxアクション・テーブルおよびTxアクション・テーブルと呼ばれる2つの表を設ける。
これら2つの表のハイレベル実装の例が図3に示されている。図3には、物理層と、ハードウェア(HW)MAC層とソフトウェア(SW)MAC層の間の対話の例が示されている。送信チェーン30と受信チェーン32の両方が示されており、これらは、単一のMACコントローラに統合されてもよい。Rxアクション・テーブル34は、受信チェーン32に関連付けられたHW MAC層内に含まれ、Txアクション・テーブル36は、送信チェーン30に関連付けられたHW MAC層内に含まれることに留意されたい。次に、このMACアーキテクチャの処理フローの例が、図4の流れ図を参照して説明される。
図4では、まず、ステップ50で、物理層の受信モジュール38によってデータ・パケットが受け取られる。次いで、ステップ52で、データ・パケットは、受信チェーン32のHW MAC層に送られる。ステップ54で、HW MAC層は、データ・パケットを検証し、ヘッダ情報などから、どんなタイプのデータ・パケットが受け取られたか決定する。ステップ56で、Rxアクション・テーブル34は、そのパケット・タイプに基づき、受け取られたデータ・パケットに応答してどんなアクションを取るべきか決定する。パケット・タイプが、より高速な応答が求められていることを示す場合、トリガが、受信チェーン32のHW MAC層から送信チェーン30のHW MAC層に直接送られてもよい。このパスは、MAC層のソフトウェア部分を迂回するため、結果として生じる応答はより高速になり、より少ない遅延が生じることになる。以下に、データ・パケット・タイプおよび対応するアクションの例が示される。Rxアクション・テーブル32によって高速な応答が指示されない場合、ステップ58で、受信チェーン32のソフトウェア(SW)MAC層に指示が送られ、パケットが処理され、ソフトウェア(SW)MACで生成された応答が送信チェーン30に送られる。
以上、本発明による、MAC層でデータ・パケットを処理する例示的実施形態を説明したが、次に、Rxアクション・テーブル34とTxアクション・テーブル36のいくつかのさらに詳細な例が示される。受信チェーン32のHW MAC層は、(QoSフレームのための)ACKポリシと共に、この特定のパケットに取られ得るアクションの組を決定する機構である、着信パケットの宛先アドレスを決定するアドレス・フィルタを含む。着信パケットは、例えば、(1)この特定の無線局のユニキャスト・アドレスを有するパケット、(2)他の無線局のユニキャスト・アドレスを有するパケット、(3)この特定の無線局がそのメンバであるマルチキャスト・グループ・アドレスを有するパケット、(4)この特定の無線局がそのメンバでないマルチキャスト・グループ・アドレスを有するパケット、および(5)ブロードキャスト・アドレスを有するパケットという宛先タイプの1つとして類別されてもよい。受け取られたフレームは、それらの様々な宛先アドレス・タイプに基づいて、様々に処理される。例えば、着信フレームがこの特定の無線局に向けられたものであり、この特定の局だけのためのものである場合(すなわち、ユニキャスト・アドレスを有する場合)、受信側無線局Wは、送信側無線局WにACKフレームを返すべきである。代替として、着信フレームの宛先アドレスが、このフレームが対象としているマルチキャスト・グループのメンバである場合、受信側無線局Wは、ACKフレームで応答すべきではなく、代わりに、SW MAC層に対して指示されるべきである。同じ機構は、ブロードキャスト宛先アドレスを有する着信フレームを処理するためにも設けられるべきである。
他方、着信フレームの宛先アドレスが、その無線局がメンバではないマルチキャスト・アドレスである場合、このフレームは、HW MAC層で除去されるべきであり、SW MAC層に指示されるべきではない。着信フレームの宛先アドレス・タイプを考察することに加えて、本発明の例示的実施形態によるRxアクション・テーブルは、例えば、着信QoSフレームにACKポリシ・フィールドが存在するかどうかに従って索引付けされてもよい。
着信データ・パケットの上記その他の類別に基づいて、Rxアクション・テーブル34は、決定されたパケット・タイプに関連付けられたアクションを出力するように索引付けされ得る。そのようなアクションは、Rxアクション・テーブル入力語にビット・フィールドとして表されてもよく、例えば、以下のアクションを含む。
1.事前にプログラムされている制御パケット(着信CF Pollフレームの場合にはデータ・パケット)の送信をトリガする。このアクションは、例えば、着信パケットが、CF Poll+データ、PS Poll、データ/ACKおよびRTS CTSシーケンスのタイプの1つであるときに実行されてもよい。
2.特定の数のデータ・パケット・バイトが受け取られた後で割込みをトリガする。このアクションは、例えば、新しいフレーム・タイプが標準に導入される場合にトリガされてもよい。SW MAC層は、たいがいは時間重視で、新しいフレーム・タイプに作用することができるように動作することが必要になる。よって、この新しいフレーム・タイプが受け取られたときに、SW MACは、例えば、構成可能なバイト数が受け取られた後で、Rxアクション・テーブルにおいてこの割込みを使用可能にすることができる。
3.DCF媒体アクセス規則に従ってパケットの送信をトリガする。各フレームは、それらがホストから受け取られるときにHW MACにおいて待ち行列に入れられてもよい。HW MAC層は、DCFプロトコルに従った後で、フレーム送信を処理する。これは、SW MACの作業負荷を低減させ、MAC層処理に関連付けられるプロセッサ・サイクル数を低減させる。
4.メモリに着信パケットを書き込み、ソフトウェアがこのパケットを処理するための割込みを生成する。このアクションは、HW MAC層が、さらに、フレームを、SW MAC層がアクセスすることのできるメモリ装置にも書き込むことを示す宛先アドレス・フィルタ結果に基づいてトリガされてもよい。
5.着信パケットにCRC検査を行う。いくつかの試験的事例では、着信パケットへのCRC検査に先行することが望ましいこともある。Rxアクション・テーブルにCRC検査あり/なしのトリガを設けることは、そのような事例を処理する効率のよい機構を提供する。
6.TXOPホルダ・アドレスを更新する。このアクションは、例えば、着信フレームがCF Pollフレームであるときにトリガされてもよい。
7.着信パケットの期間IDでNAVを更新する。このアクションは、Rxアクション・テーブルにおいて多くのタイプの着信パケットについてトリガされることになる。しかしながら、例示的802.11e標準に関連付けられた仮想搬送波感知アルゴリズムは、すべてのパケット・タイプに作用する必要はなく、例えば、PS Pollフレームでは、期間IDフィールドが定義されていない。このために、HW MAC層は、一般に期間Idが位置する場所である、PS Pollフレームの第3および第4のバイトでNAVを更新すべきではない。NAVは、CF期間の最中のビーコンにおいてこのフィールドが受け取られた場合、残りのCF期間値で更新されるべきである。
8.ビーコン・パケットでは、Rxアクション・テーブルにおいていくつかの異なるアクションが指示されてもよい。例えば、ビーコンは、BSSID、SSIDおよび/または機能情報に基づく除去されたビーコンとすることもでき、TSFはビーコン中のBSS/IBSS更新基準に従って更新されてもよく、あるいは、NAVは、ビーコンがCFPを開始する場合に更新されてもよい。
同様に、Txアクション・テーブル36も、パケット・タイプ/アクションによって編成され得る。パケット・タイプ/サブタイプに基づき、Txアクション・テーブル36は、決定されたパケット・タイプに関連付けられたアクションを出力するように索引付けされ得る。そのようなアクションは、Txアクション・テーブル入力語中のビット・フィールドとして表されてもよく、例えば、以下に示すようなアクションを含むことができる。
1.送信されるべきパケットのCRCを挿入する。このアクションは、例えば、CRCが意図的に変形されているフレームを受け取ることによって受信側無線局のCRCモジュールを検査することが望ましいときに、試験目的で、行われてもよい。このオプションを使用して、送信側無線局のためのHW MACのCRC生成モジュールが使用不可にされてもよい。
2.発信元MACアドレス/BSSIDを挿入する。Txアクション・テーブルにおいてこのアクションを使用可能にすることは、発信フレームのためのSW MACにおけるオーバーヘッドの低減をもたらし得る。このアクションは、受信チェーンのHW MACによってトリガされる自動応答フレームにも、送信側と受信側のアドレスが交換される必要のある場合にも使用され得る。
3.フラグメント化パラメータに基づいてパケットをフラグメント化する。フラグメント化関連のパラメータは、HW MACに提供されてもよく、その場合、HW MACは、SW MAC層からの支援なしで、パケットのフラグメント化を処理することができる。
4.パケット送信後のSIFS時間に指定された応答を期待する。これは、HW MAC Rxが、フレーム送信直後に、着信フレームの受信状態マシンを用意する必要があるときに、SW MACによってHW MACに指示されてもよい。
5.パケットを送信するとすぐに、(1つまたは複数の)割込みを生成する。この割込みアクションは、以前にプログラムされたパケットがHW MACによって試行されているかどうかを知り、その試行のフィードバック/結果を提供するために、SW MACによってTxアクション・テーブルにおいて可能にされてもよい。
6.ビーコンにタイムスタンプおよび/またはDTIMカウントを挿入する。このアクションは、Txアクション・テーブルがSW MAC層から送信用パケットを受け取るたびにトリガされてもよい。
802.11e標準を参照する上記の例は、単なる例示にすぎず、本発明は、他の標準に従って動作する通信システムにも適用され得ることを当分野の技術者は理解するであろう。802.11および/または802.11eの動作に関心のある読者は、両方とも、参照によって明示的に本明細書に組み込まれる、情報技術のためのIEEE標準、第11部、無線LAN/MACおよび物理層(PHY)規格、ANSI/IEEE802.11(1999)と、情報技術のためのIEEE標準、第11部、無線LAN/MACおよび物理層(PHY)規格への補足案、サービス品質(サービス品質)のためのMAC機能拡張、ANSI/IEEE802.11e/D4.0、1999年11月とを参照されたい。
本発明によるハードウェアとソフトウェアの間でのMAC機能の割り振りは、任意の無線通信システムまたは装置において施され得る。本発明をさらに説明するために、図5に、PDA装置における組み込み式無線LANチップに関する例が示されている。図5には、汎用マイクロプロセッサ62、少なくとも1つのメモリ・ユニット64、HW MACユニット66およびSDIOインターフェース・ユニット68を含む、MACコントローラ60(ASICチップ)の例が示されている。DMAコントローラ、他の入出力ポート、電力変換器、追加のメモリ装置など、他の機能ブロックが含まれてもよいが、考察を簡単にするためにこれら4つの機能ブロックだけが示されていることを、当分野の技術者は理解するであろう。HW MAC ASIC66は、送信機および受信機(不図示)と通信を行い、前述のRxアクション・テーブルおよびTxアクション・テーブルを含む。本発明の例示的実施形態によれば、HW MAC ASICチップ66によって受け取られ、迅速な応答および/またはその他のハードウェア・アクションに指定されるようにRxアクション・テーブルで識別されているパケット・タイプは、ハードウェア ASICチップ66内で処理される。例えば、HW MAC ASICチップ66がCF Pollパケットを受け取る場合、そのRxアクション・テーブルは、プロセスのこの部分において汎用マイクロプロセッサ62を関与させることなく、メモリ64から自動的な、事前に格納された応答が検索され、送信のために送信機に送られるよう指定してもよい。Rxアクション・テーブルにおける着信パケットに一定のHW MACアクションを実行するという指示にもかかわらず、汎用マイクロプロセッサ62によって処理され、例えば、SDIOインターフェース68を介して無線PDA装置に出力されるべきペイロード・データもあり得る。
本発明によるRxアクション・テーブルのより詳細な例が、図6として示されている。図6では、各行は、MACによって受け取られ得る様々なパケット・タイプを指定している。各列は、HW MACが実行することのできるアクションを表している。この表は、HW MACにおいて64ビット・レジスタに変換されてもよく、その場合、HW MACは、例えば、着信パケットの02〜07ビット上で索引付けする。HW MACは、これらのビットを使って、着信パケットにどんな種類のアドレス・タイプが関連付けられているか決定し、次いで、対応するRxアクション・テーブル・ビットに指定されている対応するアクションを取る。64ビット・レジスタは、(必要とされるアクションに対応する)ビット・グループが「自己にユニキャスト」アドレス・クラスに割り振られ、他のビットが「自己にマルチキャスト」アドレス・クラスに割り振られ、着信フレーム受信側アドレスの「その他にマルチキャスト」、ブロードキャストおよび「その他にユニキャスト」アドレス・クラスでも同様であるように設計されてもよい。この例による図6の特殊アクション列に関連付けられる機能が以下の表1に示されている。
前述の例示的実施形態は、あらゆる点において、本発明を限定するものではなく、本発明を例示するためのものである。よって、本発明は、当分野の技術者によれば、本明細書に含まれる記述から導き出され得る詳細な実装の多くの変形形態を可能とするものである。図6のRxアクション・テーブルの例から、SW MAC層は、初期設定時のHW MACにおける(1つまたは複数の)特定の機能を使用可能にすることが分かる。したがって、様々なアーキテクチャに適合させるために、HW MAC層において特定のオプションが使用不可にされ、または使用可能にされてもよい。使用不可とされる場合には、その機能は、SW MACで実行され、または除去されることになる。よって、本発明のRx/Txアクション・テーブルの提供は、通信標準の頻繁な変更に関して、ASICなどにおいて柔軟性を提供するものである。そのようなすべての変形および改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲および精神に含まれるべきものとみなされる。本出願の記述で使用されるどんな要素、動作、または指示も、そういうものとして明示的に記述されない限り、本発明にとって決定的に重要であり、または不可欠であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される際、冠詞「a」では、1つまたは複数の項目を含むものである。
Claims (16)
- 媒体アクセス制御(MAC)層においてデータ・パケットを処理する方法であって、データ・パケットを受け取るステップと、前記データ・パケットを、受信チェーンの前記MAC層のハードウェア部分に送るステップと、前記受信チェーンの前記MAC層の前記ハードウェア部分で、前記受け取られたデータ・パケットに関連付けられたパケット・タイプを決定するステップと、前記パケット・タイプに基づいて、送信チェーンの前記MAC層のハードウェア部分に直接、選択的に指示を送るステップと、あるいは、前記応答の生成のために前記受信チェーンの前記MAC層のソフトウェア部分に指示を送るステップとを含む方法。
- 前記データ・パケットの前記タイプ/サブタイプに基づいて選択的に前記応答を送る前記ステップは、前記パケット・タイプが、CF Poll、PS Poll、データ/管理ACKおよびRTS CTSのうちの1つである場合には、前記送信チェーンの前記MAC層の前記ハードウェア部分に前記応答を送るステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記パケット・タイプを決定する前記ステップは、アドレス・フィルタを使って前記データ・パケットの宛先アドレスを決定するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記MAC層の前記ハードウェア部分に直接、選択的に応答を送る前記ステップは、前記受信チェーンの前記MAC層の前記ハードウェア部分に受信アクション・テーブルを設けるステップをさらに含み、前記受信アクション・テーブルは、前記応答を出力するために前記パケット・タイプを使って索引付けされる請求項1に記載の方法。
- 前記MAC層の前記ハードウェア部分は特定用途向け集積回路(ASIC)に実装される請求項1に記載の方法。
- 前記MAC層のソフトウェア部分は汎用マイクロプロセッサに実装される請求項1に記載の方法。
- 送信のために、前記MAC層の前記ソフトウェア部分から、別のデータ・パケットを受け取るステップと、前記送信チェーンの前記MAC層の前記ハードウェア部分に、前記MAC層の前記ハードウェア部分が選択されたパケット・タイプおよび宛先アドレス・タイプに関して実行すべき機能を出力するために、前記パケット・タイプを使って送信アクション・テーブルが索引付けされるステップと、前記別のデータ・パケットのパケット・タイプに基づいて前記機能を選択的に実行するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記機能は、前記別のデータ・パケットのための巡回冗長検査(CRC)を挿入するステップをさらに含む請求項7に記載の方法。
- 前記MACの前記ハードウェア部分に対する直接の前記応答として、所定数のバイトが受け取られた後で割込みを送るステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
- データ・パケットを受け取る手段と、ハードウェア部分およびソフトウェア部分を備え、前記MACの前記ハードウェア部分において、前記受け取られたデータ・パケットに関連付けられたパケット・タイプが決定される媒体アクセス・コントローラ(MAC)と、前記MACの前記ハードウェア部分にある、選択されたパケット・タイプのためのハードウェア処理機能が格納されている受信アクション・テーブルとを備える無線通信装置であって、前記受け取られたデータ・パケットの前記パケット・タイプが前記選択されたパケット・タイプの1つである場合、関連付けられたハードウェア処理機能が実行され、そうでない場合、応答指示が前記MACの前記ソフトウェア部分に送られる装置。
- 前記パケット・タイプがCF Poll、PS Poll、データ/管理ACKおよびRTS CTSの1つである場合、前記MACの前記ハードウェア部分を介して直接応答を送る請求項10に記載の装置。
- 前記MACの前記ハードウェア部分に、前記データ・パケットの宛先アドレスを決定するアドレス・フィルタをさらに備える請求項10に記載の装置。
- 前記MACの前記ハードウェア部分は特定用途向け集積回路(ASIC)に実装される請求項10に記載の装置。
- 前記MACの前記ソフトウェア部分は汎用マイクロプロセッサに実装される請求項10に記載の装置。
- 前記MACの前記ハードウェア部分に送信アクション・テーブルをさらに備え、前記送信アクション・テーブルは、前記MAC層の前記ハードウェア部分が選択されたパケット・タイプ/サブタイプに関して実行すべき機能を出力するために、前記パケット・タイプを使って索引付けされ、前記MACの前記ハードウェア部分は、装置によって送信のために別のデータ・パケットが送られるときに、パケット・タイプに基づいて前記機能を選択的に実行する請求項10に記載の装置。
- 前記機能は、前記別のデータ・パケットのための巡回冗長検査(CRC)を挿入することをさらに含む請求項15に記載の装置。
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