JP2007520253A - オリフィス制御サンプリング針 - Google Patents

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Abstract

【課題】骨髄サンプリング装置を再配置する必要なく、複数の部位から選択的にサンプリングする骨髄サンプリング装置を提供する。
【解決手段】骨髄サンプリング装置であって、先端側の組織刺入先端および複数の孔を備えた側壁を有する外側カニューレを含む。内側カニューレが外側カニューレ内に配置されている。内側カニューレは、少なくとも1つの孔を備えた側壁を有する。内側カニューレと外側カニューレとの選択的な相対運動により、この装置が複数の骨髄サンプリングモードになり、外側カニューレを再配置しなくても、内側カニューレの側壁の少なくとも1つの孔を外側カニューレの側壁の異なる孔に整合させて、骨髄を、外側カニューレの側壁の外部の異なる径方向位置及び長手方向位置から内側カニューレの内腔内に吸引することができる。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、サンプリング装置およびサンプリング処置に関し、詳細には、骨髄サンプリング装置を再配置する必要なく、複数の部位から選択的にサンプリングする骨髄サンプリング装置に関する。
発明の背景
骨髄サンプリングは、様々な種類の血球に影響を及ぼす様々な状態を診断するため、一定の癌の進行具合を調べる診断のため、および移植および/または移植片の準備のために骨髄を採取するために広く行われている。骨髄が最も良くサンプリングされる部位は、腸骨として知られる骨盤を通っている。殆どの人では、この骨の一部は、下背から容易にアクセス可能であり、通常は脊椎の両側の浅い凹みによって確認できる。他の吸引部位には、骨盤骨の前部、鼠径部近傍、および胸骨が含まれる。
骨髄吸引処置では通常、骨髄吸引針を皮膚および軟組織を介して骨皮質内に刺入し、骨髄を含む海綿骨内に至るようにする。骨髄吸引針が海綿骨に達したら、シリンジまたは他の流体吸引装置を装置の基端部に取り付けて、針の先端部から骨髄を吸引する。
吸引を始めてすぐに、またサンプルが十分に採取される前に、針先端部の直近における骨髄が全て吸引されてしまうため、吸引を続けても血漿と体液しか吸引できなくなる。十分な量の骨髄サンプルを得るには、大抵は、針を何回も再配置しなければならない。残念なことに、針を頻繁に再配置すると、サンプリング部位が損傷され、患者が痛みや不快感を感じる。
従って、より効率的に骨髄サンプルを得ることができ、かつこれに伴う患者の痛みや不快感を最小限にした骨髄吸引/採取装置が要望されている。
発明の概要
本発明は、外側カニューレおよび内側カニューレを有する骨髄サンプリング装置に関する。外側カニューレは、組織刺入先端を備えた閉じた先端部、および内腔を画定している側壁を備え、この側壁には、径方向および長手方向に離間した複数の孔が形成されている。これらの孔はそれぞれ、外側カニューレの内腔に流体を連通している。内側カニューレも同様に、内腔を画定している側壁を備え、外側カニューレと内側カニューレが互いに対して選択的に移動可能となるように、外側カニューレ内に配置され係合できるように適合されている。内側カニューレは、その側壁に形成された少なくとも1つの孔を有する。
内側カニューレと外側カニューレとの選択的な相対運動により、この装置が複数の骨髄サンプリングモードになるように構成されており、外側カニューレの位置を変更しなくても、内側カニューレの側壁の少なくとも1つの孔を外側カニューレの側壁の異なる孔に整合させて、骨髄を、外側カニューレの側壁の外部の異なる径方向位置及び長手方向位置から内側カニューレの内腔内に吸引することができる。従って、内側カニューレと外側カニューレとの選択的な相対運動により、内側カニューレの孔と外側カニューレの別の孔とを整合させて、吸引孔の位置を変更することができる。本発明により、サンプリング装置を再配置しなくても、サンプリング領域の様々な位置から骨髄サンプルを医師が吸引することができるため、本発明は、流体サンプリング処置(例えば、骨髄サンプリング)に有利である。第1の吸引孔に近接した部位から骨髄を全て吸引したら、医師は、装置を操作して有効でない吸引孔を閉じて別の部位に第2の吸引孔を開け、装置を再配置することなくサンプリング位置を変更することができる。
内側カニューレと外側カニューレとの選択的な相対運動は、回転運動、平行移動、または回転運動と平行移動の組み合わせとすることができる。一実施形態では、内側カニューレと外側カニューレとの選択的な相対運動を自動化することができる。内側カニューレと外側カニューレにマークを設けて、内側カニューレの少なくとも1つの孔が外側カニューレの選択された孔に整合して吸引孔が形成された時に、これを表示することもできる。
別の実施形態では、第2の内側カニューレを内側カニューレと外側カニューレとの間に配置することができる。さらなる自由が第2の内側カニューレにより得られ、吸引孔の開閉を制御するための医師の選択肢が増える。第2の内側カニューレは、側壁に少なくとも1つの孔を有するか、或いは孔のない中実の外壁を有することができる。第2の内側カニューレが、内側カニューレおよび外側カニューレに対して移動すると、この運動により、内側カニューレと外側カニューレとの間の吸引孔が開閉される。
さらに別の実施形態では、第2の内側カニューレは、装置に近接した部位に液体を送達するための通路となり得る溝を、その外壁に備えることができる。この溝により、医師が、生理食塩水、薬物、および/または生理活性液などの液体を供給することができる。
発明の詳細な説明
本発明は、患者の体内で骨髄サンプリング装置を再配置することなく、異なった部位からのサンプルの吸引を可能にする複数の骨髄サンプリングモードにすることができる、骨髄サンプリング装置に関する。所望の骨髄サンプリングモードは、骨髄の多いサンプリング部位に近い装置の位置に、有効な吸引孔が選択的に形成されるように、サンプリングカニューレの特定の孔を選択的に開閉して達成される。
図1‐図3に示されているように、本発明の骨髄サンプリング装置10は、外側カニューレ組立体12、およびその外側カニューレ12内に配置可能で、外側カニューレ12に対して移動可能な内側カニューレ組立体14を含む。外側カニューレ組立体は、組織刺入先端18を有する細長いカニューレ16を含む。複数の孔20が、外側カニューレ16の壁部に形成され、外側カニューレ16の内腔22(図2Bおよび図2C)内まで延びている。内側カニューレ組立体14は、内腔28につながった1または複数の孔26を有する内側カニューレ24を含む。サンプリング装置10は、内側カニューレ24の1または複数の孔26が外側カニューレ16の孔20のうちの1つに整合してサンプル(例えば、骨髄)の採取が可能な複数の骨髄サンプリングモードにすることができる。
装置10は、この装置を再配置することなく異なった部位からサンプルを吸引できるため、特に有利である。例えば、外科医は、第1の吸引孔に近接した部分の採取可能な骨髄細胞を採取し、その部分に採取可能な骨髄細胞がなくなったら、内側カニューレ組立体と外側カニューレ組立体を互いに選択的に移動させて、第1の吸引孔を閉じ、第2の吸引孔を開けることができる。第2の吸引孔に切り替えることで、サンプリング針の再配置により患者にさらなる不快感を与えることなく、多量のサンプルを採取することができる。
装置10の組立分解図を例示する図3をさらに参照すると、外側カニューレ組立体12は、先端部分30、基端部分32、および側壁に複数の孔20が設けられているカニューレシャフト16を含む。上記したように、先端部分30は先端側に、軟組織および骨に刺入可能な組織刺入先端18を有する。組織刺入先端18は、様々な構造にすることができるが、例示的な実施形態では、頂点で1つになる3つの三角形の表面から形成することができる。当業者であれば、組織刺入先端は、実質的にあらゆる代替の構造にすることができるが、閉じた刺入先端とするのが好ましいことを理解できよう。
カニューレシャフト16は、側壁に複数の孔20が設けられている中空の細長い部材である。それぞれの孔は内腔28に連通している。カニューレシャフト16の外径は、過度の不快感や組織の損傷がなく患者の組織に刺入可能な大きさにすべきである。さらに、カニューレシャフト16の内径は、内側カニューレ組立体14のカニューレシャフト24を受容できる十分な大きさにすべきである。例示的な実施形態では、カニューレシャフト16の外径は、約0.7mm〜6mmの範囲、より好ましくは約2mm〜4mmの範囲である。カニューレシャフト16の内径は、約0.5mm〜5.5mmの範囲、より好ましくは約1.0mm〜3.5mmの範囲にすることができる。
カニューレシャフト16の側壁の孔20は、骨髄細胞の入口となるものであり、骨髄細胞が装置内に吸引される時に骨髄細胞の損傷を制限する十分な寸法を有するべきである。加えて、孔の大きさが適切であれば、装置の目詰まりも軽減される。孔20は、好ましくは約0.5mm2〜8mm2の範囲の開口面積を有し、孔が円形の場合、その直径は、約0.5mm〜3mmの範囲にすることができる。孔20は円形として例示されているが、当業者であれば、不整形、楕円形、長方形、三角形、または骨髄細胞が移動できる他の任意の形状などにできることを理解できよう。
カニューレシャフト16の孔20が形成されている部分が、そのカニューレシャフト16のアクティブ領域34を画定している。孔20は、カニューレシャフト16の全長に亘って延在しても良いし、図3に例示されているように、アクティブ領域34をカニューレシャフト16の先端部分に限定しても良い。一実施形態では、アクティブ領域34は、カニューレシャフト16の先端から約3cm〜10cm、より好ましくは約4cm〜約7cm、基端方向に延びている。
アクティブ領域34における孔20はそれぞれ、骨髄細胞をサンプリングするための潜在的な吸引孔である。カニューレシャフト16における孔20の数は、好ましくは1〜20の範囲、より好ましくは約2〜12の範囲である。吸引孔は、任意の孔20を内側カニューレシャフト24の孔26に整合させて形成することができるが、一度に開ける吸引孔の合計数は約1〜8が好ましい。
外側カニューレシャフト16の側壁の孔20は、カニューレシャフト16に沿って様々なパターンで、径方向および長手方向に互いに離間させることができる。一実施形態では、カニューレシャフト16の孔20は、アクティブ領域34に均等に分布させるのが好ましい。単なる例示目的で、図1‐図3に直線パターンの孔が例示され、図5‐図7に螺旋パターンの孔が例示されている。さらに、孔間の距離は様々にすることができるが、孔同士は約2mm〜10mmの距離、より好ましくは約5mmの距離、離間させるべきである。当業者であれば、他のパターンを用いて装置10に有用なサンプリングの選択肢を付与できることを理解できよう。
引き続き図1‐図3を参照されたい。外側カニューレ組立体12の基端部分32は、ハンドル36を含むのが好ましい。ハンドル36は、実質的にあらゆる形状および大きさにすることができるが、把持し易い形状の硬質本体から形成するのが好ましい。図3に示されている例示的なハンドルは、概ね長方形であって、外側カニューレ組立体12の長手方向軸(L)を横断する方向に設けられている。
外側カニューレ組立体12の基端部分は、内腔22へのアクセスを可能にするポート40を備えた、基端側を向いた合せ面38を有することもできる。後述するように、合せ面38は、2つのカニューレ組立体を互いに結合する時に、内側カニューレ組立体14の一部を案内することができる。
一実施形態では、ポート40は、その中に内側カニューレ組立体14を挿入し易いように、実質的にテーパ型または漏斗型である。加えて、ポート40のテーパは、外側カニューレ組立体12と内側カニューレ組立体14が締り嵌めするように、内側カニューレ組立体14の一部と協働するように構成することができる。内側カニューレ組立体と外側カニューレ組立体の相対運動を可能にする他の結合構造も可能である。例えば、内側カニューレと外側カニューレを、互いに対する平行移動は防止するが、回転運動は可能にするスナップフィット結合にすることもできる。さらに、内側カニューレ組立体14または外側カニューレ組立体12に溝を形成して、互いに対する平行移動のみが可能となる「さねはぎ」結合構造も可能である。
内側カニューレ組立体14は、同様に図1‐図3に示されているように、基端部分42、先端部分44、およびそれらの部分の間に延在する細長いカニューレシャフト24を有する。カニューレシャフト24は、中空であって、内腔28に流体を連通する少なくとも1つの孔26を、その側壁に有する。
カニューレシャフト24に形成された1または複数の孔26は、カニューレシャフト16の1または複数の孔20に選択的に整合して吸引孔をなし、骨髄サンプルおよび/または他の流体を装置の外部(孔20の近傍)から内腔28内に移送できるように構成されている。次いで、後述するように、カニューレシャフト24の基端部分42を通してサンプルを吸引することができる。一実施形態では、内側カニューレシャフト24は、2つ以上の孔26を有することができ、内側カニューレシャフト24と外側カニューレシャフト16を互いに選択的に相対運動させて、1または複数の吸引孔を形成することができる。図3に、2つ以上の孔26を備えた内側カニューレシャフト24が例示されている。
別の実施形態では、内側カニューレシャフト24は、孔20よりも大きくすることができる唯1つの孔26を有することができる。この孔20は、内側カニューレまたは外側カニューレを選択的に移動させて、外側カニューレシャフト16の1または複数の孔20に整合させることができる。図4A‐図4Cに、外側カニューレシャフト16の複数の孔20に整合し得る、唯1つの大きな細長い孔26を備えた内側カニューレシャフト24が例示されている。
使用の際は、吸引流量および/または吸引圧力を調節することができる。例えば、内側カニューレシャフト24の1または複数の孔26が、外側カニューレシャフト16の孔20に完全に整合した状態では、吸引孔の流量が最大となる。流量を減少させるために、孔26と孔20との整合を部分的にすることができる。内側カニューレシャフト24の1または複数の孔26は、吸引する流量を調節し易いように様々な形状にすることができる。例示的な一実施形態では、孔26を三角形にして、外側カニューレシャフト16の孔20が三角形の孔26の頂点に整合した時に、吸引が最小となるようにすることができる。孔20が三角形の孔26の中心に整合すると、吸引流量が最大となる。当業者であれば、様々な他の孔26により流量調節が可能であることを理解できよう。例えば、外側カニューレシャフト16の孔20に整合可能な、徐々に大きくなる一連の孔26を用いて、吸引流量を徐々に増減することができる。
いずれの場合も、当業者であれば、外側カニューレシャフト16の孔20の位置によって、内側カニューレシャフト24の1または複数の孔26の形状および大きさを様々にできることも理解できよう。内側カニューレシャフト24の側壁の孔26の数に関係なく、このような孔は、外側カニューレシャフト16の孔20と同じ最小サイズの制限を有するのが好ましい。つまり、孔26は、約2mm2を超える断面積を有するべきである。
図1‐図4Cに示されているように、内側カニューレシャフト24の先端部分44は、外側カニューレ組立体12内に適合するように構成されている。一実施形態では、内側カニューレシャフト24の先端部分44の最先端は、開口を備えるか、或いは尖っていない閉じた先端とすることができる。当業者であれば、内側カニューレシャフト24の先端部分44を、外側カニューレ組立体12内に適合する様々な構造にできることを理解できよう。
内側カニューレシャフト24の外径は、外側カニューレシャフト16の内腔22内に比較的密着した遊合可能な状態で適合するのに好適な寸法を有するのが好ましい。つまり、内側カニューレシャフト24は、外側カニューレ組立体12に対して自由に移動できるが、外側カニューレシャフト16の内壁と内側カニューレシャフト24の外壁との間の空間を、流体が殆どまたは全く通過できないようにする。内側カニューレシャフト24の内径は、いかなる血球も損傷することなく、骨髄や他の体液が通過するのに十分な大きさを有するようにすべきである。例示的な実施形態では、内側カニューレシャフト24の内径は、約1.0mm〜3.5mmの範囲である。
内側カニューレ組立体14はさらに、外側カニューレ組立体12の基端部分32に結合するように適合され、かつ吸引装置(不図示)に連結できる基端部分42も含む。内側カニューレ組立体14の基端部分42は、概ね円筒状にするのが好ましい。最基端部分50は、好ましくはインターロッキングまたは締り嵌めによって、外側カニューレ組立体12のポート40内に結合するように適合されている。当業者であれば、内側カニューレ組立体14の基端部分42と外側カニューレ組立体12の基端部分32を、様々な代替の技術を用いて互いに結合させることができることを理解できよう。内側カニューレ組立体14の基端部分42はまた、ハンドル状の装置となっていて、使用者が把持して内側カニューレ組立体14と外側カニューレ組立体12との選択的な相対運動を行い易い。このようなハンドルは、図3に示されているウイング構造52などの、内側カニューレ組立体12の基端部42を使用者が把持できる任意のデザインにすることができる。
内側カニューレ組立体14の基端部分42はまた、内側カニューレ組立体14の内腔28に流体を連通するコネクタ54部分を含む。コネクタ部分54は、吸引源(不図示)に結合できるようにするのが好ましい。コネクタ部分54はまた、シリンジまたは同様の医療装置に形成されたねじ山またはホースに係合できるように、好ましくはコネクタ部分54の外面に、ねじ山56を設けることができる。
本発明の装置はさらに、内側カニューレシャフト24の孔26および外側カニューレシャフト16の孔20が位置する部分を示し、これらの孔を整合させるのに役立つ表示58も含むことができる。図2Aに示されているように、表示58は、使用者が孔26および孔20の径方向の位置を確認できるように、内側カニューレ組立体14および外側カニューレ組立体12の両方の基端面に設けることができる。内側カニューレと外側カニューレの表示58が整合すると、内側カニューレ24の孔26と外側カニューレ16の孔20が同じ径方向位置を有する。孔の長手方向の整合を確認するために、内側カニューレと外側カニューレに補足的な表示を設けることができる。このような表示には、溝、色、凹部、またはマークとして用いることができる他の任意の構造が含まれ得る。
本発明の装置は、次のように使用することができる。患者の適切な準備および麻酔を行ったら、外側カニューレ組立体を所望の採取部位に挿入する。挿入に先立って、内側カニューレ組立体を外側カニューレ組立体に結合して、装置の強度および剛性を高くすることができる。別法では、挿入した後に、これらの組立体を結合することができる。いずれの場合も、次に、内側カニューレ組立体を吸引源に接続することができる。内側カニューレ組立体を外側カニューレ組立体に対して移動させて、外側カニューレの少なくとも1つの孔に内側カニューレの少なくとも1つの孔を整合させ、これにより有効な吸引孔を形成する。次いで、負圧をかけて、吸引孔の近傍のサンプル(例えば、骨髄)がなくなるまで、吸引孔を通して吸引を続ける。次いで、内側カニューレを外側カニューレに対して移動させて、内側カニューレの少なくとも1つの孔を外側カニューレの1または複数の別の孔に整合させ、これにより新しい吸引孔を形成する。当業者であれば、内側カニューレの移動を、平行移動、回転運動、またはこれらの組み合わせとすることができることを理解できよう。このような運動は、手動または自動で行うことができる。次いで、外側カニューレを所定角度(例えば、45度)回転させてこの外側カニューレを割出し、再び外側の孔に整合するように内側カニューレを移動させて、サンプリング位置を変更することができる。
本発明のさらなる態様では、内側カニューレと外側カニューレの選択的な相対運動を電子的または電子機械的に制御するコンピュータおよび/または電子/機械インターフェイスを本装置に設けて、この装置を自動化することができる。当業者であれば、吸引するサンプルの量および/または特定の吸引孔からの吸引時間に基づいて、フィードバック制御できることを理解できよう。
本発明のさらに別の実施形態では、骨髄サンプリング装置10’(図5‐図7)は、外側カニューレ組立体12内に配設された第2の内側カニューレ60をさらに含む。第2の内側カニューレ60は、内側カニューレ組立体14内に配置することができる。別法では、第2の内側カニューレ60は、内側カニューレ組立体14と外側カニューレ組立体12との間に配置することができる。いずれの実施形態でも、第2の内側カニューレ60が、吸引孔の開閉制御にさらなる自由を与えている。例えば、第1の内側カニューレ24と外側カニューレ16との相対位置により複数の吸引孔が形成され、その1つの吸引孔の近接の骨髄細胞が欠乏した場合に、第2の内側カニューレ60が特に有用となる。吸引中に有効でない吸引孔から不所望の血漿を吸引しないように、第2の内側カニューレ60を移動させて不所望の吸引孔を閉止することができる。
さらに、図5‐図7を参照すると、外側カニューレ組立体12内に第2の内側カニューレ60が配置された骨髄サンプリング装置10’が例示されている。具体的には、第2の内側カニューレ60は、図6Bおよび図6Cに例示されているように、第1の内側カニューレ24内に配置され、基端部62および先端部64を有する。例示的な実施形態では、第2の内側カニューレ60は、第1の内側カニューレシャフト24内に適合する大きさの円筒本体を含み、内側カニューレシャフト24よりも短い長さを有する。さらなる実施形態では、第2の内側カニューレ60は、孔のない中実の側壁、開口した基端部、および開口した先端部を有することができる。別法では、第2の内側カニューレ60が第1の内側カニューレ内に配置された場合に、第2の内側カニューレ60の先端部よりも先端側の吸引孔からの全ての吸引を遮断できるように、第2の内側カニューレ60の基端部または先端部の一方を閉じることができる。
使用の際は、第2の内側カニューレ60を他のカニューレシャフト16および24に対して選択的に移動させて、第1の内側カニューレ24と外側カニューレ16との間に形成された少なくとも1つの吸引孔を、第2の内側カニューレ60の側壁によって開口または閉止することができる。図6Bおよび図6Cに示されているように、第2の内側カニューレ60を、第1の内側カニューレ24の基端部から挿入し、第2の内側カニューレ60の側壁が不所望の吸引孔を遮断するまで、長手方向に進めることができる。次いで、第2の内側カニューレを長手方向に移動させて、または第2の内側カニューレを軸回転させて(第2の内側カニューレ60の側壁に孔66がある場合)吸引孔を再び開けることができる。
本発明の別の実施形態では、本装置10は、外側カニューレ組立体12の外部に処理剤を送達するために、一方のカニューレシャフトの側壁に形成された溝(不図示)を有することができる。この溝は、カニューレの任意の位置に設けることができるが、好適な実施形態では、処理剤を送達するための溝は、外側カニューレ組立体12にじかに隣接したカニューレの壁部に設けられる。いずれの場合も、処理剤は、採取した流体を置換するため、および/または治癒を促進するために、サンプリング部位に送達するのが好ましい。処理剤には、生理食塩水、薬物、および生理活性物質が含まれ得る。
当業者であれば、上記した実施形態に基づいた本発明のさらなる特徴および利点を理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除き、上記した特定の説明および図面に限定されるものではない。ここで言及した全ての刊行物および参照文献は、参照することを以ってその全てを明示的に本明細書の一部とする。
〔実施の態様〕
(1)骨髄サンプリング装置であって、
組織刺入先端を備えた閉じた先端部および内腔を画定している側壁を有する外側カニューレであって、前記側壁には、径方向および長手方向に離間した複数の孔が形成されており、前記各孔が前記外側カニューレの前記内腔に連通している、前記外側カニューレと、
内腔を画定している側壁を有する内側カニューレであって、前記外側カニューレと前記内側カニューレが互いに対して選択的に移動可能となるように前記外側カニューレ内に配置され係合できるように適合されている、前記内側カニューレと、
前記内側カニューレの前記側壁に形成された少なくとも1つの孔と、を含み、
前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動により、前記骨髄サンプリング装置が複数の骨髄サンプリングモードになるように構成されており、前記外側カニューレを再配置しなくても、前記内側カニューレの前記側壁の前記少なくとも1つの孔を前記外側カニューレの前記側壁の異なる孔に整合させて、骨髄を、前記外側カニューレの前記側壁の外部の異なる径方向位置及び長手方向位置から前記内側カニューレの前記内腔内に吸引することができる、骨髄サンプリング装置。
(2) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレの前記少なくとも1つの孔と前記外側カニューレの前記孔の1つとの整合により、直径が0.5mm〜3mmの範囲の吸引孔が形成される、骨髄サンプリング装置。
(3) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレの前記少なくとも1つの孔と前記外側カニューレの前記孔の1つとの整合により、開口面積が0.5mm2〜8mm2の範囲の吸引孔が形成される、骨髄サンプリング装置。
(4) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記外側カニューレの直径が0.7mm〜6mmの範囲である、骨髄サンプリング装置。
(5) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレの先端部が閉じている、骨髄サンプリング装置。
(6) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレが、その側壁に複数の孔を備えており、これらの孔がそれぞれ、前記側壁の異なった径方向位置および長手方向位置に分布している、骨髄サンプリング装置。
(7) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記外側カニューレの前記側壁の孔間の最小距離が少なくとも5mmである、骨髄サンプリング装置。
(8) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動が回転運動である、骨髄サンプリング装置。
(9) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動が平行移動である、骨髄サンプリング装置。
(10) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動が回転運動と平行移動の組み合わせである、骨髄サンプリング装置。
(11) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレの基端部が吸引装置に接続できるように適合されている、骨髄サンプリング装置。
(12) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間に配置される第2の内側カニューレをさらに含む、骨髄サンプリング装置。
(13) 実施態様12に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記第2の内側カニューレが、側壁に孔が形成されていない中実の外壁を有する、骨髄サンプリング装置。
(14) 実施態様13に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記第2の内側カニューレが、前記内側カニューレおよび前記外側カニューレに対して選択的に移動可能であって、これにより、前記内側カニューレの前記少なくとも1つの孔と前記外側カニューレの前記孔の1つとの整合によって前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間に形成される少なくとも1つの吸引孔の遮断または開放が可能である、骨髄サンプリング装置。
(15) 実施態様12に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記第2の内側カニューレが、その外側の側壁に形成された溝を備えており、この溝が処理剤を送達するための通路となる、骨髄サンプリング装置。
(16) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動が自動化されている、骨髄サンプリング装置。
(17) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記外側カニューレの側壁に形成された前記孔が螺旋パターンをなしている、骨髄サンプリング装置。
(18) 実施態様1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
前記内側カニューレの前記少なくとも1つの孔が前記外側カニューレの前記孔の1つに整合して吸引孔が形成された時に、これを確認できる表示が前記内側カニューレおよび前記外側カニューレに設けられている、骨髄サンプリング装置。
本発明に従ったオリフィス制御サンプリング針の一実施形態の斜視図である。 図1に示されている装置の平面図である。 図2Aの線B‐Bに沿って見た断面図である。 図2Bに示されている装置の先端部の詳細図である。 図1のオリフィス制御サンプリング針の組立分解図である。 本発明の別の実施形態に従った内側カニューレの側面図である。 図4Aに示されている内側カニューレの平面図である。 図4Aに示されている内側カニューレの先端部の詳細図である。 本発明に従ったオリフィス制御サンプリング針の別の実施形態の斜視図である。 図5に示されている装置の平面図である。 図6Aの線B‐Bに沿って見た断面図である。 図6Aに示されている装置の先端部の拡大図である。 図5に示されているオリフィス制御サンプリング針の組立分解図である。

Claims (18)

  1. 骨髄サンプリング装置であって、
    組織刺入先端を備えた閉じた先端部および内腔を画定している側壁を有する外側カニューレであって、前記側壁には、径方向および長手方向に離間した複数の孔が形成されており、前記各孔が前記外側カニューレの前記内腔に連通している、前記外側カニューレと、
    内腔を画定している側壁を有する内側カニューレであって、前記外側カニューレと前記内側カニューレが互いに対して選択的に移動可能となるように前記外側カニューレ内に配置され係合できるように適合されている、前記内側カニューレと、
    前記内側カニューレの前記側壁に形成された少なくとも1つの孔と、を含み、
    前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動により、前記骨髄サンプリング装置が複数の骨髄サンプリングモードになるように構成されており、前記外側カニューレを再配置しなくても、前記内側カニューレの前記側壁の前記少なくとも1つの孔を前記外側カニューレの前記側壁の異なる孔に整合させて、骨髄を、前記外側カニューレの前記側壁の外部の異なる径方向位置及び長手方向位置から前記内側カニューレの前記内腔内に吸引することができる、骨髄サンプリング装置。
  2. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレの前記少なくとも1つの孔と前記外側カニューレの前記孔の1つとの整合により、直径が0.5mm〜3mmの範囲の吸引孔が形成される、骨髄サンプリング装置。
  3. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレの前記少なくとも1つの孔と前記外側カニューレの前記孔の1つとの整合により、開口面積が0.5mm2〜8mm2の範囲の吸引孔が形成される、骨髄サンプリング装置。
  4. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記外側カニューレの直径が0.7mm〜6mmの範囲である、骨髄サンプリング装置。
  5. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレの先端部が閉じている、骨髄サンプリング装置。
  6. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレが、その側壁に複数の孔を備えており、これらの孔がそれぞれ、前記側壁の異なった径方向位置および長手方向位置に分布している、骨髄サンプリング装置。
  7. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記外側カニューレの前記側壁の孔間の最小距離が少なくとも5mmである、骨髄サンプリング装置。
  8. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動が回転運動である、骨髄サンプリング装置。
  9. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動が平行移動である、骨髄サンプリング装置。
  10. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動が回転運動と平行移動の組み合わせである、骨髄サンプリング装置。
  11. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレの基端部が吸引装置に接続できるように適合されている、骨髄サンプリング装置。
  12. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間に配置される第2の内側カニューレをさらに含む、骨髄サンプリング装置。
  13. 請求項12に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記第2の内側カニューレが、側壁に孔が形成されていない中実の外壁を有する、骨髄サンプリング装置。
  14. 請求項13に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記第2の内側カニューレが、前記内側カニューレおよび前記外側カニューレに対して選択的に移動可能であって、これにより、前記内側カニューレの前記少なくとも1つの孔と前記外側カニューレの前記孔の1つとの整合によって前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間に形成される少なくとも1つの吸引孔の遮断または開放が可能である、骨髄サンプリング装置。
  15. 請求項12に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記第2の内側カニューレが、その外側の側壁に形成された溝を備えており、この溝が処理剤を送達するための通路となる、骨髄サンプリング装置。
  16. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレと前記外側カニューレとの間の選択的な相対運動が自動化されている、骨髄サンプリング装置。
  17. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記外側カニューレの側壁に形成された前記孔が螺旋パターンをなしている、骨髄サンプリング装置。
  18. 請求項1に記載の骨髄サンプリング装置であって、
    前記内側カニューレの前記少なくとも1つの孔が前記外側カニューレの前記孔の1つに整合して吸引孔が形成された時に、これを確認できる表示が前記内側カニューレおよび前記外側カニューレに設けられている、骨髄サンプリング装置。
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