JP2007516338A - モノシクロパラフィン含有量が大きく、マルチシクロパラフィン含有量が低い潤滑基礎油 - Google Patents

モノシクロパラフィン含有量が大きく、マルチシクロパラフィン含有量が低い潤滑基礎油 Download PDF

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Abstract

少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より小さく、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が10より大きく、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が15より大きい、潤滑基礎油の組成物。

Description

本発明は、a)芳香族含有量が低く、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が高く、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が大きい潤滑基礎油;及びb)本発明の潤滑基礎油を製造する方法;に関する。
自動車、ディーゼルエンジン、天然ガスエンジン、車軸、トランスミッション、及び工業的用途を含めた種々の用途で用いられる完成潤滑剤及びグリースは、二種類の一般的成分、潤滑基礎油及び添加剤からなる。潤滑基礎油は、これらの完成潤滑剤の主要成分であり、完成潤滑剤の性質に著しい影響を与える。一般に、わずかな潤滑基礎油を用いて、個々の潤滑基礎油及び個々の添加剤の混合物を変化させることにより極めて多種類の完成潤滑剤を製造している。
従来法の高度に飽和した潤滑基礎油は、シクロパラフィンの含有量が非常に低いか、又はシクロパラフィンが存在する場合、そのシクロパラフィンのかなりの量がマルチシクロパラフィンであった。或る量のシクロパラフィンは、潤滑基礎油に添加剤可溶性及びエラストマー相容性を与えるので望ましい。マルチシクロパラフィンは、それらが粘度指数を低下し、酸化安定性を低下し、ノアック(Noack)揮発性を増大するのでモノシクロパラフィンより望ましくない。
シクロパラフィンの含有量が非常に低い高度に飽和した潤滑基礎油の例は、EPA1114124、EPA1114127、EPA1114131、EPA776959、EPA668342、及びEPA1029029に記載されているようなフィッシャー・トロプシュ法から作られた基礎油及びポリαオレフィンである。フィッシャー・トロプシュ・ワックスから作られた従来法のシクロパラフィン高含有潤滑基礎油は、WO 02/064710に記載されている。WO 02/064710の基礎油の例は非常に低い流動点を有し、モノシクロパラフィン対マルチシクロパラフィンの比は15より小さかった。WO 02/064710の潤滑基礎油の粘度指数は140より小さかった。ノアック揮発性は、6〜14重量%であった。WO 02/064710の潤滑基礎油は、低い流動点を達成するため甚だしく脱蝋されており、そのことは、甚だしく脱蝋されていない油と比較して、低い収率を生じていたであろう。
WO 02/064710で基礎油を作るのに用いられているワックス供給物は、少なくとも60以上の炭素原子を有する化合物と、少なくとも30の炭素原子を有する化合物との重量比が0.20より大きい。これらのワックス供給物は、少なくとも60以上の炭素原子を有する化合物と、少なくとも30の炭素原子を有する化合物との重量比が一層低い供給物ほど豊富ではない。WO 02/064710の方法は、ワックス供給物を最初水素化分解/水素化異性化し、次に実質的な流動点低下工程を必要としていた。これら二つの工程の各々で、潤滑基礎油収率の減少が起きていた。これを実証するため、WO 02/064710の例1では、370℃より高い沸点を有する化合物から370℃より低い沸点を有する化合物への転化率は、水素化分解/水素化異性化工程で55重量%であった。次の流動点低下工程は、370℃より高い沸点を有する生成物の収率を更に低下することになるであろう。370℃(700°F)より低い沸点を有する化合物は、それらの粘度が低いため、潤滑基礎油としては回収されないのが典型的である。大きな転化率による収率の低下のため、その方法は、少なくとも60以上の炭素原子を有する化合物と、少なくとも30の炭素原子を有する化合物との大きな比を有する供給物を必要とする。
殆どのフィッシャー・トロプシュ法により作られた潤滑基礎油又はポリαオレフィンは、それらの飽和物含有量が高く、シクロパラフィン含有量が低いため、良くない添加剤可溶性を示すことがある。完成潤滑剤を作るのに用いられる添加剤は、極性官能基を有するのが典型的であり、従って、それらは、潤滑基礎油には不溶性であるか又はほんの僅かしか溶解しないことがある。シクロパラフィンの含有量が低い高度に飽和した潤滑基礎油では、添加剤可溶性が良くない問題に対し、合成エステルのような種々の共溶媒が現在用いられている。しかし、これらの合成エステルは非常に高価であり、従って、合成エステルを含有する、許容可能な添加剤可溶性を有する、潤滑基礎油の混合物も高価になる。これらの混合物の価格が高いため、特定の小さな市場でのシクロパラフィンの含有量が低い高度に飽和した潤滑基礎油の使用は現在限られている。
米国特許出願20030088133には、1)アルキル化シクロパラフィンと、2)高度にパラフィン性のフィッシャー・トロプシュ誘導潤滑基礎油から構成された潤滑基礎油の混合物が、高度にパラフィン性のフィッシャー・トロプシュ誘導潤滑基礎油の添加剤可溶性を改良することが教示されている。この出願の混合物で用いられているアルキル化シクロパラフィンから構成された潤滑基礎油は、高い(30重量%より高い)含有量で芳香族も含有する傾向が非常にあり、そのためフィッシャー・トロプシュ誘導潤滑基礎油との得られた混合物は、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子を0.30より大きい重量%で含有するであろう。芳香族含有量が高いと、粘度指数及び酸化安定性の低下を起こすであろう。
望ましいことは、芳香族の量が非常に少なく、モノシクロパラフィンの量が多く、マルチシクロパラフィンを殆ど又は全く含まず、中程度の低い流動点を有し、大きな収率で製造することができ、良好な添加剤可溶性及びエラストマー相容性を与えることができるような潤滑基礎油である。これらの品質を有し、良好な酸化安定性、大きな粘度指数、低いノアック(Noack)揮発性、及び良好な低温特性も有する基礎油も望まれている。本発明は、これらの潤滑基礎油を与える。
望ましいことは、上に詳述した希望の性質を有し、少なくとも60以上の炭素原子を有する化合物と、少なくとも30個の炭素原子を有する化合物との重量比が少なくとも0.2であるワックス供給物に限定されない潤滑基礎油を製造する方法である。同じく望ましいことは、370℃より高い(700°F+)沸点を有する生成物を、370℃より低い(700°F−)沸点を有する生成物への転化が一層低く、従って、潤滑基礎油の一層大きな収率を与える単一の水素化異性化脱蝋工程により達成することができる希望の性質を有する潤滑基礎油を製造する方法である。
(本発明の概要)
本発明は、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より低く、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が10より大きく、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が15より大きい潤滑基礎油の組成物に関する。
本発明は、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より低く、モノシクロパラフィンを有する全ての分子の重量%が10より大きく、マルチシクロパラフィンを有する全ての分子の重量%が0.1より低い潤滑基礎油の組成物にも関する。
本発明は、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より低く、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が、100℃での動粘性率(cSt)×3より大きく、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が15より大きい潤滑基礎油の組成物に関する。
芳香族の量が非常に低いことが、潤滑基礎油に優れた酸化安定性及び大きな粘度指数を与える。少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の量が多いことは、改良された添加剤可溶性及びエラストマー相容性を潤滑基礎油に与える。モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が非常に高い(即ち、モノシクロパラフィンを含有する分子の重量%が高く、マルチシクロパラフィンを含有する分子を殆ど又は全く含まない)ことは、シクロパラフィンの組成物を最適にする。マルチシクロパラフィン含有分子は、それらが、潤滑基礎油の粘度指数、酸化安定性、及びノアック揮発性を劇的に低下するので、余り望ましくない。
本発明は、潤滑基礎油を製造する方法において、a)シンガスにフィッシャー・トロプシュ合成を行って生成物流を与える工程;b)前記生成物流から、窒素及び硫黄合計量が約30ppmより少なく、酸素が約1重量%より少ない実質的にパラフィン系のワックス供給物を分離する工程;c)前記実質的にパラフィン系のワックス供給物を、貴金属水素化成分を有する形状選択性中間気孔孔径分子篩を用いて水素化異性化脱蝋することにより脱蝋し、然も、前記水素化異性化温度が約315℃(600°F)〜約399℃(750°F)であり、それにより異性化油を生成する工程;d)前記異性化油を水素化仕上げし、それにより少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が小さく、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が大きく、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が大きい潤滑基礎油を生成する工程;を有する潤滑基礎油の製造方法にも関する。
本発明の方法を用いることにより、良好な添加剤可溶性、及び良好なエラストマー相容性、優れた酸化安定性、及び低い揮発性を有する潤滑基礎油が高収率で製造される。本発明の潤滑基礎油は、自動車トランスミッション流体及びマルチグレードエンジンオイルを含めた高品質完成潤滑剤を、好ましくはエステル共溶媒又は粘度指数改良剤を全く添加することなく調製するのに用いることができる。
本発明は、流動点低下、及びフィッシャー・トロプシュ・ワックスから製造された潤滑基礎油中の全シクロパラフィンを増大することに焦点を当てた従来法の欠点を解決するものである。水素化異性化脱蝋を用いて非常に低い流動点を有する基礎油を製造することは、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が大きい油をもたらすが、同様にマルチシクロパラフィンを含有する分子の重量%を高くする犠牲を払ってのことである。マルチシクロパラフィン含有分子の重量%が大きいと、酸化安定性及び粘度指数を低下する。一層低い流動点を得るためには、水素化異性化脱蝋の厳しさが増大するので、潤滑基礎油の収率も著しく減少する。溶媒脱蝋を用いてフィッシャー・トロプシュ・ワックスから非常に低い流動点を有する基礎油を生成させることは、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が一層低い油をもたらす。潤滑基礎油の添加剤可溶性及びエラストマー相容性を改良するためには、或る大きな量のシクロパラフィンが望ましい。
本発明は、実質的にパラフィン系のワックス供給物から製造された潤滑基礎油の粘度指数を増大する方法に焦点を当てた従来法の欠点を解決するものであり、この場合実質的にパラフィン系のワックス供給物は、窒素及び硫黄合計量が約30ppmより小さく、酸素含有量が約1重量%より低い。従来法で、高粘度指数を有する潤滑基礎油は、実質的な量の溶媒脱蝋を含ませることにより得られており、それが生ずる全シクロパラフィンの量は、水素化異性化脱蝋に比較して減少している。従来法の高粘度指数は、T90−T10が40〜150℃の比較的狭い沸点範囲のフィッシャー・トロプシュ供給物を用いた方法によっても得られていた。本発明は、狭い沸点範囲及び広い沸点分布の両方を有するフィッシャー・トロプシュ供給物を用いて高粘度指数を有する潤滑基礎油を生ずる。
この潤滑基礎油中の芳香族の量が非常に少ないことは、優れた酸化安定性及び高い粘度指数を与える。少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の量が多いことは、改良された添加剤可溶性及びエラストマー相容性を潤滑基礎油に与える。モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が非常に高い(即ち、モノシクロパラフィンを含有する分子の重量%が高く、マルチシクロパラフィンを含有する分子を殆ど又は全く含まない)ことは、シクロパラフィンの組成物を最適にする。マルチシクロパラフィン含有分子は、それらが、潤滑基礎油の粘度指数、酸化安定性、及びノアック揮発性を劇的に低下するので、余り望ましくない。
本発明は:a)窒素及び硫黄合計量が約30ppmより少なく、酸素が約1重量%より少なく、直鎖パラフィンが約75質量%より多く、油が10重量%より少なく、少なくとも60個以上の炭素原子を有する化合物と、少なくとも30個の炭素原子を有する化合物との重量比が0.18より小さく、660°F〜1200°FのT90沸点範囲を有する実質的にパラフィン系のワックス供給物を生成させる手段;b)前記実質的にパラフィン系のワックス供給物を、貴金属水素化成分を含む形状選択性中間気孔孔径分子篩を用いて水素化異性化脱蝋するための手段で、前記水素化異性化温度が約315℃(600°F)〜約399℃(750°F)であり、異性化油を生成する手段;及びc)前記異性化油を水素化仕上げし、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が小さく、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が大きく、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が大きい潤滑基礎油を生成する手段;を含む潤滑基礎油製造プラントにも関する。
(本発明の詳細な記述)
本発明以前に製造された芳香族含有量の非常に低い潤滑基礎油は、シクロパラフィン含有量が非常に低いか、又は、大きなシクロパラフィン含有量を持つが、かなりのレベルのマルチシクロパラフィンを含み、且つ/又は非常に低い流動点を持っていた。10重量%より多くのシクロパラフィンを含み、芳香族含有量の低い潤滑基礎油中のモノシクロパラフィン対マルチシクロパラフィン比で知られている最も高いものは13:1であった。この高い比を持つ潤滑基礎油は、WO 02/064710の例3の基礎油であった。この例の基礎油の流動点は、極めて低く、−45℃で、甚だしく脱蝋されていたことを示していた。基礎油の流動点を低くする激しい脱蝋は、一層適度な流動点へ脱蝋された潤滑基礎油と比較して、無視できない不利な収率で行われている。
シクロパラフィンを含有する潤滑基礎油は、シクロパラフィンが添加剤可溶性及びエラストマー相容性をこれらの油に与えるので、望ましい。モノシクロパラフィン対マルチシクロパラフィンの比が非常に高い(即ち、モノシクロパラフィンが多く、マルチシクロパラフィンが殆ど又は全く含まれない)潤滑基礎油も、望ましい。なぜなら、マルチシクロパラフィンは酸化安定性を低下し、粘度指数を減少し、ノアック揮発性を増大するからである。マルチシクロパラフィンの効果のモデルは、V.J.ガットー(Gatto)その他、「水素化分解した基礎原料及びポリαオレフィンの物理的性質及び酸化防止反応性に対する化学構造の影響」(The influence of Chemical Structure on the Physical Properties and Antioxidant Response of Hydrocracked Base Stocks and Polyalphaolefins)、J. Synthetic Lubrication, 19-1, April (2002), pp. 3-18に与えられている。
本発明により、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が非常に低く、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が大きく、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が大きい(即ち、モノシクロパラフィンを含有する分子の重量%が高く、マルチシクロパラフィンを含有する分子の重量%が非常に低い)潤滑基礎油が製造される。好ましい態様として、それらは中程度の(moderate)流動点も有するであろう。中程度の流動点は、ここに定義する基礎油流動因子(Base Oil Pour Factor)より大きい流動点対100℃での動粘性率比を有する油を製造することにより達成される。これらの基礎油は、a)フィッシャー・トロプシュ合成を行って生成物流を与える工程;b)前記生成物流から、窒素及び硫黄合計量が約30ppmより少なく、酸素が約1重量%より少ない実質的にパラフィン系のワックス供給物を分離する工程;c)前記実質的にパラフィン系のワックス供給物を、貴金属水素化成分を含む形状選択性中間気孔孔径分子篩を用いて水素化異性化脱蝋することにより脱蝋し、それにより異性化油を生成する工程;及びd)前記異性化油を水素化仕上げし、それにより少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より小さく、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が10より大きく、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が大きい(15より大きい)潤滑基礎油を生成する工程;を含む方法を用いて高収率で得ることができる。
別法として、上記方法の工程d)は:d)前記異性化油を水素化仕上げし、それにより、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より小さく、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が、100℃での動粘性率(cSt)×3より大きく、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が15より大きい潤滑基礎油を生成する;と変更してもよい。
第二の別法として、上記方法の工程d)は:c)前記異性化油を水素化仕上げし、それにより、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より小さく、モノシクロパラフィン含有する分子の重量%が10より大きく、マルチシクロパラフィン含有分子の重量%が0.1より小さい潤滑基礎油を生成する;と変更してもよい。
動粘性率(kinematic viscosity)は、重力の下で流体の流れに対する抵抗力の尺度である。多くの潤滑基礎油、それから作られた完成潤滑剤、及び装備の正しい操作は、用いられる流体の適切な粘性に依存する。動粘性率はASTM D445−01により決定される。それらの結果はセンチストークス(cSt)で報告されている。本発明の潤滑基礎油の動粘性率は、約2cSt〜約20cSt、好ましくは約2cSt〜約12cStである。
流動点は、慎重に制御した条件下で試料が流動し始める温度の測定値である。流動点はASTM D5950-02に記載されているようにして決定することができる。それらの結果を℃で報告する。多くの商業的潤滑基礎油は、流動点についての仕様を持っている。潤滑基礎油が低い流動点を有する場合、それらは、他の良好な低温特性、例えば、低い曇り点、低い低温フィルター閉塞点、及び低温クラッキング粘度を持つ傾向がある。曇り点は、流動点を補足する測定値であり、潤滑基礎油の試料が慎重に特定化した条件下で曇りを発生し始める温度として表される。曇り点は、例えば、ASTM D5773−95により決定することができる。約35℃より低い流動・曇り点範囲を有する潤滑基礎油も望ましい。一層高い流動・曇り点範囲では、曇り点仕様に適合させるためには非常に低い流動点まで潤滑基礎油を処理する必要がある。本発明の潤滑基礎油の流動・曇り点の範囲は、一般に35℃より低く、好ましくは約25℃より低く、一層好ましくは約10℃より低い。曇り点は、一般に+30〜−30℃の範囲内にある。
TGAノアック及び同様な方法により測定したエンジンオイルのノアック揮発性は、乗用車エンジンの油消費量と関連があることが判明している。低い揮発性のための厳格な必要条件は、例えば、欧州のACEA A−3及びB−3及び北アメリカのSAE J300−01及びILSAC GF−3のような幾つかの最近のエンジンオイル仕様の重要な特徴である。自動車エンジンオイルで使用するために開発されたどのような新規な潤滑基礎油でも、現在の慣用的グループI又はグループII軽質中性油以下のノアック揮発性を持つべきである。本発明の潤滑基礎油のノアック揮発性は非常に低く、一般に次の式により計算される量よりも非常に低い:
ノアック揮発性、重量%=1000×(100℃での動粘性率)−2.7
好ましい態様として、ノアック揮発性は次の式により計算された量よりも低い。
ノアック揮発性、重量%=900×(100℃での動粘性率)−2.8
ノアック揮発性は、空気の一定の流れを60分間流通させた試験坩堝中で大気圧より20mmHg低い圧力(2.67kPa;26.7ミリバール)及び250℃で油を加熱した時に失われる重量%で表された油の質量として定義されている(ASTM D5800)。ノアック揮発性を計算するための一層慣用的方法及びASTM D5800と良く関連した方法は、ASTM D−6375−99による熱重量分析試験(TGA)を用いることによるものである。TGAノアック揮発性は、別に述べない限り、本明細書全体に亙って用いられている。
本発明の潤滑基礎油は、他の基礎油と混合してそれらの性質(例えば、粘度指数、酸化安定性、流動点、硫黄含有量、牽引係数、又はノアック揮発性)を改良するか又は修正してもよい。本発明の潤滑基礎油と混合することができる基礎油の例は、慣用的グループI基礎油、慣用的グループII基礎油、慣用的グループIII基礎油、その他のGTL基礎油、異性化石油ワックス、ポリαオレフィン、ポリ内部オレフィン、フィッシャー・トロプシュ誘導供給物からのオリゴマー化オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、燐酸エステル、アルキル化芳香族、アルキル化シクロパラフィン、及びそれらの混合物が含まれる。
(ワックス供給物:)
本発明の潤滑基礎油を製造するのに用いられるワックス供給物は、窒素及び硫黄合計量が約30ppmより少ない、実質的にパラフィン系のものである。酸素のレベルは、約1重量%より少なく、好ましくは0.6重量%より少なく、一層好ましくは0.2重量%より少ない。殆どの場合、実質的にパラフィン系のワックス供給物中の酸素のレベルは、0.01〜0.90重量%になるであろう。供給物の油含有量は、ASTM D721により決定して、10重量%より低いであろう。本発明の目的から、実質的にパラフィン系とは、ASTM D5442によるガスクロマトグラフィー分析により直鎖パラフィンが約75質量%より多いものとして定義する。
窒素の決定:窒素は、実質的にパラフィン系のワックス供給物を溶融し、然る後、ASTM D4629−96による酸化燃焼及び化学ルミネッセンス検出により測定される。
硫黄の決定:硫黄は、実質的にパラフィン系のワックス供給物を溶融し、然る後、ASTM 5453−00による紫外線蛍光により測定される。試験方法は、US6,503,956に更に記載されている。
酸素の決定:酸素は、中性子活性化分析により測定される。
本発明で有用なワックス供給物は、343℃(650°F)より高い沸点を有するかなりのフラクションを有する。ワックス供給物のASTM D6352によるT90沸点は、好ましくは349℃(660°F)〜649℃(1200°F)、一層好ましくは482℃(900°F)〜649℃(1200°F)、最も好ましくは538℃(1000°F)〜649℃(1200°F)である。T90とは、供給物の90重量%が一層低い沸点を有するようになる温度である。
ワックス供給物は、少なくとも60個の炭素原子を有する分子対少なくとも30個の炭素原子を有する分子の重量比が0.18より小さいのが好ましい。少なくとも60個の炭素原子を有する分子対少なくとも30個の炭素原子を有する分子の重量比は:1)ASTM D6352を用いて疑似的蒸留によりフィッシャー・トロプシュ・ワックスの沸点分布を測定し;2)ASTM D6352−98の表1に公表されたn−パラフィンの沸点を用いて前記沸点を炭素数による重量%分布に変換し;3)炭素数30以上の供給物の重量%を合計し;4)炭素数60以上の供給物の重量%を合計し;5)炭素数30以上の供給物の合計重量%で、炭素数60以上の供給物の合計重量%を割る;ことにより決定される。本発明の他の好ましい態様では、少なくとも60個の炭素原子を有する分子対少なくとも30個の炭素原子を有する分子の重量比が0.15より小さく、或は0.10より小さいフィッシャー・トロプシュ・ワックスを用いる。
本発明の方法で有用なワックス供給物の沸点範囲分布は、かなり変化することがある。例えば、ASTM D6352で決定されるT90沸点とT10沸点との差は、95℃より大きく、160℃より大きく、200℃より大きく、或は225℃より大きいことさえある。
フィッシャー・トロプシュ合成及びフィッシャー・トロプシュ・ワックス
この方法のための好ましいワックス供給物は、フィッシャー・トロプシュ・ワックスである。フィッシャー・トロプシュワックスは、フィッシャー・トロプシュ・合成の生成物である。フィッシャー・トロプシュ合成中、水素と一酸化炭素との混合物を含む合成ガス〔シンガス(syngas)〕を、フィッシャー・トロプシュ触媒と、適当な温度及び圧力反応条件で接触させることにより、液体及びガス状炭化水素を形成する。フィッシャー・トロプシュ反応は、約150〜約370℃(約300〜約700°F)、好ましくは約205〜約230℃(約400〜約550°F)の温度、約0.7〜約41バール(約10〜約600psia)、好ましくは2〜21バール(30〜300psia)の圧力、及び約100〜約10,000cc/g/時、好ましくは300〜3,000cc/g/時の触媒空間速度で行うのが典型的である。
フィッシャー・トロプシュ合成からの生成物はC〜C200+の炭化水素範囲にあり、大部分はC〜C100+の範囲にある。フィッシャー・トロプシュ合成は重合反応として見ることができる。重合反応速度論を適用することにより、アンダーソン・シュルツ・フローリィ(Anderson-Shultz-Flory)(ASF)分布と呼ばれる全生成物分布を、簡単な一つのパラメーター式で書くことができる:
Wn=(1−α)×n×αn−1
式中、Wnは、炭素数nを有する生成物の重量分率であり、αは、ASF鎖成長確率である。αの値が大きい程、平均鎖長は長くなる。本発明のフィッシャー・トロプシュ・ワックスのC20+フラクションのASF鎖成長確率は、約0.85〜約0.915である。
フィッシャー・トロプシュ反応は、例えば、一つ以上の触媒床を有する固定床反応器、スラリー反応器、流動床反応器、又は異なった型の反応器の組合せのような種々の型の反応器で行うことができる。そのような反応方法及び反応器は、よく知られており、文献に報告されている。本発明の実施で好ましいスラリー・フィッシャー・トロプシュ法は、強い発熱合成反応に対しては優れた熱(及び質量)移動特性を用い、コバルト触媒を用いた時、比較的大きな分子量のパラフィン系炭化水素を生ずることができる。スラリー法では、水素と一酸化炭素との混合物を含むシンガスを、反応条件で液体である合成反応の炭化水素生成物を含むスラリー液体中に分散懸濁した粒状フィッシャー・トロプシュ型炭化水素合成触媒を含有するスラリーを通って第三相として気泡として通す。水素対一酸化炭素のモル比は、約0.5〜約4の広い範囲内にあってもよいが、約0.7〜約2.75の範囲内にあるのが一層典型的であり、好ましくは約0.7〜約2.5の範囲にある。特に好ましいフィッシャー・トロプシュ法は、全ての目的から参考のためここに完全に入れるEP 0609079に教示されている。
適当なフィッシャー・トロプシュ触媒は、Fe、Ni、Co、Ru及びReのような一種類以上の第VIII族触媒金属を含み、コバルトが好ましい。更に、適当な触媒は、促進剤を含んでいてもよい。例えば、好ましいフィッシャー・トロプシュ触媒は、適当な無機担体材料、好ましくは一種類以上の耐火性金属酸化物を含む担体材料の上に、効果的な量のコバルト、及びRe、Ru、Pt、Fe、Ni、Th、Zr、Hf、U、Mg及びLaの一種類以上を含有する。一般に、触媒中に存在するコバルトの量は、全触媒組成物の約1〜約50重量%である。それら触媒は、ThO、La、MgO、及びTiOのような塩基性酸化物促進剤、ZrOのような促進剤、貴金属(Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Ir)、貨幣金属(Cu、Ag、Au)、及びFe、Mn、Ni、及びReのような他の遷移金属を含有することもできる。適当な担体材料には、アルミナ、シリカ、マグネシア、及びチタニア、又はそれらの混合物が含まれる。コバルト含有触媒のために好ましい担体はチタニアからなる。有用な触媒及びそれらの製造は既知であり、米国特許第4,568,663号明細書に例示されているが、それは、触媒選択に関し、例示と見るべきであり、それを限定するものではない。
(水素化異性化脱蝋)
本発明により、実質的にパラフィン系のワックス供給物を、希望のシクロパラフィン組成及び中程度の流動点を有する潤滑基礎油を生成するのに充分な条件で水素化異性化脱蝋することにより脱蝋する。一般に本発明の水素化異性化脱蝋のための条件は、ワックス供給物中の約700℃より高い沸点を有する化合物から約700℃より低い沸点を有する化合物への転化率は、約10重量%〜50重量%、好ましくは15重量%〜45重量%に維持される。水素化異性化脱蝋は、分岐鎖を分子構造の中へ選択的に加えることにより潤滑基礎油のコールドフロー性を改良することを目的とする。水素化異性化脱蝋により、理想的には、ワックス状供給物から非ワックス状イソパラフィンへの高い転化率レベルが、同時にクラッキングによる転化を最小限にしながら、達成されるであろう。
水素化異性化は、形状選択性中間気孔孔径分子篩を用いて行われる、本発明で有用な水素化異性化触媒は、耐火性酸化物担体上に、形状選択性中間気孔孔径分子篩及び触媒活性金属水素化成分を含む。ここで用いられる用語「中間気孔孔径」とは、多孔質無機酸化物がか焼された形態になっている時、約3.9〜約7.1Åの範囲の結晶学的自由直径を意味する。本発明の実施で用いられる形状選択性中間気孔孔径分子篩は、一般に1−D 10−、11−、又は12−員環分子篩である。本発明で最も好ましい分子篩は、1−D 10−員環の種類のものであり、ここで、10−(又は11−、又は12−)員環分子篩とは、酸素によって結合された10(又は11、又は12)個の四面体配位原子(T−原子)を有する。1−D分子篩の場合、10員環(又はそれ以上の)気孔は、互いに平行であり、相互に結合していない。しかし、中間気孔孔径分子篩の一層広い定義に当て嵌まるが、8員環を有する交差気孔を含む1−D 10員環分子篩も、本発明の分子篩の定義に包含される。1−D、2−D、3−Dのようなゼオライト内部通路の分類は、R.M.バレル(Barrer)により、F.R.ロドリゲス(Rodrigues)、L.D.ロールマン(Rollman)、及びC.ナッカチェ(Naccache)編集、「ゼオライト、科学及び技術」(Zeolites, Science and Technology)、NATO ASIシリーズ、(1984)に記載されており、その分類を参考のため全体的に組み込んである(特に75頁参照)。
水素化異性化脱蝋で用いられる好ましい形状選択性中間気孔孔径分子篩は、燐酸アルミニウムに基づくものであり、例えば、SAPO−11、SAPO−31、及びSAPO−41である。SAPO−11及びSAPO−31が一層好ましく、SAPO−11が特に好ましい。SM−3は、特に好ましい形状選択性中間気孔孔径SAPOであり、それは、SAPO−11分子篩の結晶構造内に入る結晶構造を有する。SM−3の製造及びその独特の特性は、米国特許第4,943,424号及び第5,158,665号明細書に記載されている。また、水素化異性化脱蝋のために用いられる好ましい形状選択性中間気孔孔径分子篩は、ゼオライト、例えば、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−57、SSZ−32、オフレタイト(offretite)、及びフェリエライト(ferrierite)である。SSZ−32及びZSM−23が一層好ましい。
好ましい中間気孔孔径分子篩は、チャンネルの選択された結晶学的自由直径、選択された結晶子粒径(選択されたチャンネル長さに相当する)、及び選択された酸性度を特徴とする。分子篩のチャンネルの望ましい結晶学的自由直径は、約3.9〜約7.1Åの範囲のにあり、7.1以下の最大結晶学的自由直径及び3.9Å以上の最小結晶学的自由直径を有する。好ましい最大結晶学的自由直径は、7.1Å以下であり、最小結晶学的自由直径は、4.0Å以上である。最も好ましくは、最大結晶学的自由直径は6.5以下であり、最小結晶学的自由直径は4.0Å以上である。分子篩のチャンネルの結晶学的自由直径は、Ch.ベルロッチェル(Baerlocher)、W.M.マイエル(Meier)、及びD.H.オルソン(Olson)による「ゼオライト骨格型図解」(Atlas of Zeolite Framework Types)第5改訂版(2001)、エルセビール(Elsevier)、第10頁〜第15頁に公表されており、これは参考のため全体的にここに入れてある。
分子篩のチャンネルの結晶学的自由直径が分からないならば、分子篩の有効気孔孔径は、標準的吸着法及び最小運動直径が知られている炭化水素化合物を用いて測定することができる。ブレック(Breck)、「ゼオライト分子篩」(Zeolite Molecular Sieves)、1974年(特に第8章);アンダーソン(Anderson)その他、J. Catalysis, 58, 114 (1979);及び米国特許第4,440,871号明細書;参照。それらの関連する部分は、参考のためここに入れてある。気孔孔径を決定するため吸着測定を行う場合、標準的方法を用いる。もし、約10分未満で分子篩に平衡吸着値の少なくとも95%に到達しないならば、排除されるものとして特定の分子を考えるのが便利であろう(p/p=0.5;25℃)。中間気孔孔径分子篩は、5.3〜6.5の運動直径を有する分子を殆ど障害なく通すのが典型的であろう。
本発明で有用な好ましい水素化異性化脱蝋触媒は、管状反応器中に入れた場合、その0.5gが、370℃、1200psigの圧力、160ml/分の水素流、及び1ml/時の供給物速度でヘキサデカンの少なくとも50%を転化する充分な活性度を有する。触媒は、40%以上の異性化選択性も示す〔異性化選択性は、次のようにして決定される:直鎖ヘキサデカン(n−C16)を他の物質へ96%転化させる条件で用いた時、100×(生成物中の分岐したC16重量%)/(生成物中の分岐したC16重量%+生成物中のC13−重量%)〕。
本発明で有用な水素化異性化脱蝋触媒は、触媒活性をもつ水素化貴金属を含む。触媒活性水素化金属が存在すると、生成物の改良、特に粘度指数及び安定性をもたらす。貴金属、白金及びパラジウムが特に好ましく、白金が最も好ましい。もし白金及び/又はパラジウムを用いた場合、活性水素化金属の全量は、全触媒の0.1〜5重量%の範囲にあるのが典型的であり、通常0.1〜2重量%の範囲にあり、10重量%を越えない。
耐火性酸化物担体は、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、マグネシア、チタニア、及びそれらの組合せを含めた、触媒のために慣用的に用いられている酸化物担体から選択することができる。
水素化異性化脱蝋のための条件は、用いる供給物、用いる触媒、触媒が硫化されているか否か、希望の収率、及び潤滑基礎油の希望の性質に依存する。本発明の水素化異性化工程を行うことができる条件には、約315℃〜約399℃(約600°F〜約750°F)、好ましくは約315℃〜約371℃(約600°F〜約700°F)の温度、約15〜3000psig、好ましくは100〜2500psigの圧力が含まれる。これに関連して、水素化異性化脱蝋圧力とは、水素化異性化反応器中での水素分圧を指すが、水素分圧は、全圧力と実質的に同じ(又は殆ど同じ)である。接触中の液体空間時速は、一般に約0.1〜20時−1、好ましくは約0.1〜約5時−1である。水素化対炭化水素比は、炭化水素1モル当たり約1.0〜約50モルのH、一層好ましくは炭化水素1モル当たり約10〜約20モルのHの範囲に入る。水素化異性化を行うのに適した条件は、米国特許第5,282,958号及び第5,135,638号明細書(これらの内容は参考のため全体的にここに入れてある)に記載されている。
水素は、水素化異性化脱蝋工程中、反応領域内に典型的には約0.5〜30MSCF/bbl(1000標準立方フィート/バレル)、好ましくは約1〜約10 MSCF/bblの水素対供給物比で存在する。一般に水素は、生成物から分離され、反応領域へ再循環されるであろう。
(水素化処理(hydrotreating)及び水素化仕上げ(hydrofinishing))
水素化処理は、通常遊離水素を存在させて行われる接触法(catalytic process)を指し、その場合、主な目的は、砒素、アルミニウム、およコバルトのような種々の金属汚染物;硫黄及窒素のようなヘテロ原子;酸素化物;又は供給原料からの芳香族;の除去である。一般に水素化処理操作では、炭化水素分子のクラッキング、即ち大きな炭化水素分子の小さな炭化水素分子への破断を最小限にし、不飽和炭化水素が完全に又は部分的に水素化される。本発明の方法へのワックス供給物は、水素化異性化脱蝋する前に水素化処理されるのが好ましい。
水素化処理操作を遂行するのに用いられる触媒は、当分野でよく知られている。例えば、水素化処理、水素化分解、及びそれらの工程の各々で用いられる典型的な触媒についての一般的記述については、米国特許第4,347,121号及び第4,810,357号明細書(それらの内容は参考のため全体的にここに入れてある)を参照されたい。適当な触媒には、アルミナ又は珪酸質マトリックス上の白金又はパラジウムのような第VIIIA族〔「純粋及び応用化学国際連合」(International Union of Pure and Applied Chemistry)の1975年規則に従う〕からの貴金属、アルミナ又は珪酸質マトリックス上のニッケル・モリブデン、又はニッケル・錫のような第VIII族及び第VIB族が含まれる。米国特許第3,852,207号明細書には、適当な貴金属触媒及び穏やかな条件が記載されている。他の適当な触媒も、例えば、米国特許第4,157,294号及び第3,904,513号明細書に記載されている。ニッケル・モリブデンのような非貴金属水素化金属は、通常酸化物として最終的触媒組成物中に存在するが、それらの還元型又は硫化型として、そのような硫化物化合物が特定の含有される金属から容易に形成される場合には、通常用いられる。好ましい非貴金属触媒組成物は、対応する酸化物として決定して、約5重量%を超え、好ましくは約5〜約40重量%のモリブデン及び/又はタングステン、少なくとも約0.5重量%、一般に約1〜約15重量%のニッケル及び/又はコバルトを含有する。白金のような貴金属を含有する触媒は、0.01%を超える金属、好ましくは0.1〜1.0%の金属を含有する。貴金属の組合せを用いてもよく、例えば、白金とパラジウムとの混合物を用いてもよい。
典型的な水素化処理条件は、広い範囲に亙って変化する。一般に、全LHSVは、約0.25〜2.0、好ましくは約0.5〜1.5である。水素分圧は200psiaより大きく、好ましくは約500psia〜約2000psiaの範囲にある。水素再循環速度は、典型的には50 SCF/Bblより大きく、好ましくは1000〜5000 SCF/Bblである。反応器中の温度は、約150℃〜約400℃(約300°F〜約750°F)の範囲であり、好ましくは230℃〜385℃(450°F〜725°F)の範囲にある。
水素化処理は、本発明の潤滑基礎油製造方法の水素化異性化脱蝋に続く工程として用いられる。この工程は、ここでは水素化仕上げと呼ばれ、微量の芳香族、オレフィン、着色物質、及び溶媒を除去することにより、生成物の酸化安定性、UV安定性、及び外観を改良することを目的としている。本明細書で用いられている用語、UV安定性とは、UV光及び酸素に露出した時の潤滑基礎油又は完成潤滑剤の安定性を指す。紫外線及び空気に曝した時に、通常綿状物又は曇りとして見える、目に見える析出物が形成されるか、又は暗い色が発生した場合に不安定性が示される。水素化仕上についての一般的記述は、米国特許第3,852,207号及び第4,673,487号明細書に見出すことができる。これらの不純物を除去するための粘土処理は、別の最終的処理工程である。
(精留:)
場合により、本発明の方法は、水素化異性化脱蝋する前に実質的にパラフィン系のワックス供給物を精留すること、即ち、潤滑基礎油の精留を含んでいてもよい。実質的にパラフィン系のワックス供給物又は潤滑基礎油を蒸留物留分へ精留することは、一般に大気圧又は真空蒸留により或は大気圧蒸留と真空蒸留との組合せにより達成される。大気圧蒸留は、ナフサ及び中間蒸留物のような軽質蒸留物留分を、約315℃〜約399℃(約600°F〜約750°F)の初期沸点を有する塔底留分から分離するために用いるのが典型的である。一層高い温度では、炭化水素の熱分解が行われ、装置の汚染及び重質留分の収率を低下させる結果になる。真空蒸留は、潤滑基礎油留分のような高沸点材料を異なった沸点範囲の留分へ分離するために用いるのが典型的である。潤滑基礎油を異なった沸点範囲の留分へ精留することにより、潤滑基礎油を製造するプラントで二種類以上の等級の、又は粘度の潤滑基礎油を生成することができる。
(溶媒脱蝋:)
場合により、水素化異性化脱蝋後の潤滑基礎油から少量の残留ワックス分子を除去するために、溶媒脱蝋を用いてもよい。溶媒脱蝋は、潤滑基礎油を、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、又はトルエンのような溶媒中に溶解することにより行うか、又は「石油化学技術」(Chemical Technology of Petroleum)第3版〔ウィルアム・グルース(William Gruse)及びドナルド・ステベンス(Donald Stevens)、マクグロー・ヒル出版社(McGrad-Hill Book Co., Inc.)、ニューヨーク、1960〕第566頁〜第570頁に論じられているように、ワックス分子を沈澱させることにより行う。米国特許第4,477,333号、第3,773,650号、及び第3,775,288号明細書も参照されたい。
(潤滑基礎油炭化水素組成物:)
本発明の潤滑基礎油は、溶離カラムクロマトグラフィー、ASTM D2549−02により決定して、95重量%より多い飽和物を有する。オレフィンは、長期C13核磁気共鳴分光分析(NMR)により検出できる量よりも少ない量で存在する。少なくとも一つの芳香族官能基を有する分子は、HPLC−UVにより0.3重量%より少ない量で存在し、低いレベルの芳香族を測定するように修正したASTM D5292−99により確認される。好ましい態様として、少なくとも一つの芳香族官能基を有する分子は、0.10重量%より少なく、好ましくは0.05重量%より少なく、一層好ましくは0.01重量%より少ない量で存在する。硫黄は、ASTM D5453−00による紫外線蛍光により決定して、25ppmより少ないく、一層好ましくは1ppmより少ない量で存在する。
HPLC−UVによる芳香族測定:
本発明の潤滑基礎油中の少なくとも一つの芳香族官能基を有する分子の低い含有量を測定するのに用いられた方法は、HPケム・ステーション(Chem-station)にインターフェースされたHP1050ダイオード・アレーUV−Vis検出器と結合されたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)1050シリーズ第四グラジエント(Quaternary Gradient)高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)装置を用いている。高度に飽和した潤滑基礎油中の個々の芳香族の種類の同定は、それらのUVスペクトルパターン及びそれらの溶離時間に基づき行われた。この分析で用いられたアミノカラムは、芳香族分子を、殆どのそれらの環数(一層正確には二重結合の数)に基づいて区別する。例えば、一つの芳香族環含有量分子は最初に溶離し、次に多環芳香族を、1分子当たりの二重結合の数が増大する順序で溶離するであろう。同様な二重結合特性を有する芳香族については、環にアルキル置換基だけを有するものが、ナフテン系置換基を有するものよりも早く溶離する。
種々の基礎油芳香族炭化水素を、それらのUV吸収スペクトルにより明確に同定することは、それらの電子遷移ピークが、環系上のアルキル及びナフテン置換量の程度に依存して、純粋化合物類似モデルに対し全て赤色側へ移行している事を認識して達成される。この深色移行は、芳香族環中のπ−電子のアルキル基による非局在化により起こされることがよく知られている。殆ど置換されていない芳香族化合物は潤滑剤範囲で沸騰するので、或る程度の赤色側への移行は予想されており、同定された基本的芳香族基の全てについて観察された。
溶離する芳香族化合物の定量は、夫々の一般的種類の化合物について最適にされた波長から得られたクロマトグラムを、その芳香族についての適当な保持時間窓に亙って積分することにより行われた。芳香族の夫々の種類についての保持時間窓の範囲は、溶離する化合物の個々の吸収スペクトルを異なった時間で手動で評価し、それらを、モデル化合物吸収スペクトルに対するそれらの定性的類似性に基づき適当な芳香族の種類に割り当てることにより決定した。殆ど例外なく、高度に飽和したAPIグループII及びIII潤滑基礎油で5種類だけの芳香族化合物が観察された。
HPLC−UV較正:
芳香族化合物のそれらの種類を非常に低い含有量でさえも同定するためにHPLC−UVを用いる。多環芳香族は、単環芳香族よりも10〜200倍強く吸収するのが典型的である。アルキル置換も、約20%吸収に影響を与えた。従って、種々の種類の芳香族物質を分離し、同定し、どのくらい効果的にそれらが吸収するのかを知るために、HPLCを用いることは重要である。
5つの種類の芳香族化合物を同定した。極大保持アルキル−1−環芳香族ナフテンと極小保持アルキルナフテンとの間に僅かな重複の例外はあるが、全ての種類の芳香族化合物が基線法で分析された。272nmでの同時溶離1−環及び2−環芳香族についての積分限界を、垂直降下法により行なった。夫々の一般的種類の芳香族についての波長依存性応答因子を、置換芳香族類似物に最も近いスペクトルピーク吸光度に基づいて、ベールの法則によるプロットを純粋モデル化合物混合物を用いて作ることにより先ず決定した。
例えば、基礎油中のアルキル−シクロヘキシルベンゼン分子は、272nmで明確なピーク吸光度を示し、それは非置換テトラリンモデル化合物が268nmで行う同じ(禁制)遷移に相当している。基礎油試料中のアルキル−1−環芳香族ナフテン類の濃度は、272nmでのそのモル吸光係数応答因子が、ベールの法則によるプロットから計算して、268nmでのテトラリンのモル吸光係数にほぼ等しいと仮定することにより計算した。芳香族の重量%濃度は、夫々の種類の芳香族についての平均分子量が、全基礎油試料についての平均分子量にほぼ等しいと仮定して計算した。
この較正法は、徹底HPLCクロマトグラフィーにより潤滑基礎油から直接1−環芳香族を分離することにより更に改良された。直接これらの芳香族を用いた較正により、モデル化合物に伴われる仮定及び不確実性が除外された。予想された通り、分離された芳香族試料は、モデル化合物よりも、それが一層高度に置換されていたため、一層低い応答因子を持っていた。
一層特別に、HPLC−UV法を正確に較正するため、ウォーターズ(Waters)準分取HPLC装置を用いて潤滑基礎油の主要部から置換ベンゼン芳香族を分離した。10gの試料をn−ヘキサン中に1:1に希釈し、5cm×22.4mm内径ガードを有するアミノ結合シリカカラムに注入し、次にカリフォルニア州エメリービルのライニン・インストルーメンツ(Rainin Instruments)により製造された8〜12μのアミノ結合シリカ粒子の2本の25cm×22.4mm内径カラムに注入した。移動相としてn−ヘキサンを18ml/分の流量で用いた。カラム溶離は、265nm及び295nmに設定された二波長UV検出器からの検出器応答に基づき分留した。飽和物フラクションを、265nm吸光度が、単環芳香族溶離の開始の信号になる0.01吸光度単位の変化を示すまで収集した。単環芳香族フラクションを、二環芳香族の溶離が開始されたことを示す265nmと295nmとの吸光度比が2.0に減少するまで収集した。単環芳香族フラクションの精製及び分離を、HPLCカラムに過剰導入することにより得られた「終端部(tailing)」飽和物フラクションからモノ芳香族フラクションを再びクロマトグラフィーにかけて分率することにより行なった。
この精製芳香族「標準物」は、非置換テトラリンに対し、アルキル置換がモル吸光係数応答因子を約20%減少させたことを示していた。
NMRによる芳香族の確認:
精製したモノ芳香族標準物中の少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%を、長期炭素13NMR分析により確認した。NMRはHPLC−UVよりも一層容易に較正することができた。なぜなら、それは単に芳香族炭素を測定するだけであり、そのため応答が分析される芳香族の種類には左右されないからである。NMRの結果を、高度に飽和した潤滑基礎油中の芳香族の95〜99%が単環芳香族であることを知ることにより、芳香族炭素%から芳香族分子%へ変換した(HPLC−UV及びD2007によるものと一致している)。
芳香族を0.2%の芳香族分子まで正確に測定するためには、強力な長期の良好な基線分析が必要であった。
特に、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の低い含有量をNMRで正確に測定するために、500:1の最小炭素感度を与えるように標準D5292−99法を修正した(ASTM標準実施法E386による)。10〜12mmノロラック(Nalorac)プローブを有する400〜500MHz NMRで15時間の操作を用いた。基線の形を決定し、一致して積分するために、アコーン(Acorn)PC積分ソフトウェアーを用いた。人口物が脂肪族ピークの映像を形成しないように、実験中に一度キャリヤー周波数を芳香族領域へ変化させた。キャリヤースペクトルの両側のスペクトルを取ることにより、解像力が著しく改良された。
FIMSによるシクロパラフィン分布:
パラフィンは、シクロパラフィンよりも酸化に対し一層安定であると考えられ、従って一層望ましい。モノシクロパラフィンは、マルチシクロパラフィンよりも酸化に対し一層安定であると考えられる。しかし、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が潤滑基礎油中非常に低い場合には、添加剤可溶性は低く、エラストマー相容性が悪くなる。これらの性質を有する基礎油の例は、ポリαオレフィン及びシクロパラフィンが約5%より少ないフィッシャー・トロプシュ基礎油である。完成潤滑剤のこれらの性質を改良するため、エステルのような高価な共溶媒を屡々添加しなければならない。モノシクロパラフィン含有分子重量%が大きく、マルチシクロパラフィン含有分子重量%が低い本発明の潤滑基礎油により、それらが良好な添加剤可溶性及びエラストマー相容性の外に、大きな酸化安定性及び大きな粘度指数を有することが達成されている。
本発明の潤滑基礎油中の飽和物(n−パラフィン、イソパラフィン、及びシクロパラフィン)の分布は、電界イオン化質量分光分析(FIMS)により決定される。FIMSスペクトルは、VG 70VSE質量分光計で得られた。試料は固体プローブを通して導入し、それを50℃/分の速度で約40℃から500℃へ加熱した。質量分光計を、5秒/ディケードの速度でm/z40からm/z1000まで走査した。得られた質量スペクトルを、一つの「平均」スペクトルを生ずるように総計した。各スペクトルは、PC−マススペック(MassSpec)からのソフトウェアーパッケージを用いて補正したC13であった。FIMSイオン化効率を、殆ど純粋な分岐鎖パラフィン及び高度にナフティン系の芳香族を含まない基礎原料との混合物を用いて評価した。これらの基礎油のイソパラフィン及びシクロパラフィンのイオン化効率は本質的に同じであった。イソパラフィン及びシクロパラフィンは、本発明の潤滑基礎油中で飽和物の99.9%より多くの部分を占める。
本発明の潤滑基礎油は、FIMSにより、パラフィン及び異なった数の環を含むシクロパラフィンにより特徴付けられている。モノシクロパラフィンは一つの環を含み、ジシクロパラフィンは二つの環を含み、トリシクロパラフィンは三つの環を含み、テトラシクロパラフィンは四つの環を含み、ペンタシクロパラフィンは五つの環を含み、ヘキサシクロパラフィンは六つの環を含む。二つ以上の環を有するシクロパラフィンは、本発明でマルチシクロパラフィンと呼ばれている。
一つの態様として、本発明の潤滑基礎油は、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が10より大きく、好ましくは15より大きく、一層好ましくは20より大きい。それらは、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が15より大きく、好ましくは50より大きく、一層好ましくは100より大きい。本発明の最も好ましい潤滑基礎油は、モノシクロパラフィン含有分子重量%が10より大きく、マルチシクロパラフィン含有分子重量%が0.1より小さく、マルチシクロパラフィンを含有する分子を含まないことさえある。この態様では、潤滑基礎油は、100℃で、約2cSt〜約20cStの動粘性率、好ましくは約2cSt〜約12cSt、最も好ましくは約3.5cSt〜約12cStの動粘性率を持っていてもよい。
本発明の別の態様として、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%と、本発明の潤滑基礎油の動粘性率との間に或る関係が存在する。即ち、100℃での動粘性率(cSt)が大きくなる程、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の量が多くなったものが得られる。好ましい態様として、潤滑基礎油は、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が、動粘性率(cSt)×3より大きく、好ましくは15より大きく、一層好ましくは20より大きく;そしてモノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が15より大きく、好ましくは50より大きく、一層好ましくは100より大きい。潤滑基礎油は、100℃で約2cSt〜約20cSt、好ましくは約2cSt〜約12cStの動粘性率を有する。これらの基礎油の例は、100℃で約2cSt〜約3.3cStの動粘性率をもっていてもよく、非常に高いが、10重量%よりは低い少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%を有する。
低いレベルの芳香族を測定するために用いられた修正ASTM D5292−99及びHPLC−UV試験方法、及び飽和物を特徴付けるために用いたFIMS試験方法は、1999年3月16日、ヒューストンで開催された1999AlChE春季国際会議(The 1999 AlChE Spring National Meeting)で与えられたD.C.クラマー(Kramer)その他による「グループII及びIII基礎油組成物のVI及び酸化安定性に与える影響」(Influence of Group II & III Base Oil Composition on VI and Oxidation Stability)(その内容は全体的にここに入れてある)に記載されている。
本発明のワックス供給物は、本質的にオレフィンを含まないが、基礎油処理技術は、「クラッキング」反応によりオレフィンを導入することがあり、特に高温では導入されることがある。熱又はUV光の存在下で、オレフィンは重合し、一層大きな分子量の生成物を形成し、それが基礎油を着色するか、又は沈澱物を生ずることがある。一般に、オレフィンは、本発明の方法中、水素化仕上げ又は粘土処理により除去することができる。
(基礎油流動因子(Base Oil Pour Factor))
好ましい態様として、本発明の潤滑基礎油は、流動点(℃)対100℃での動粘性率(cSt)の比が、前記潤滑基礎油の基礎油流動因子よりも大きい。基礎油流動因子は、100℃での動粘性率の関数であり、次の式により計算される: 基礎油流動因子=7.35×Ln(100℃での動粘性率)−18
式中、Ln(動粘性率)は100℃で測定されたセンチストークス(cSt)での動粘性率の底「e」の自然対数である。流動点を測定するために用いられる試験方法は、ASTM D5950−02である。流動点は、1°刻みで決定される。動粘性率を測定するために用いた試験方法は、ASTM D445−01である。我々はこの式のプロットを図1に示す。
本発明の好ましい態様での流動点と動粘性率とのこの関係は、夫々の油の粘度についての℃での流動点の好ましい下限をも定めている。本発明の潤滑基礎油の好ましい例として、100℃で与えられた動粘性率での流動点の下限=基礎油流動因子×100℃での動粘性率である。従って、好ましい2.5cSt潤滑基礎油の下限流動点は、−28℃になり、好ましい4.5cSt潤滑基礎油については−31℃になり、好ましい6.5cSt潤滑基礎油については−28℃になり、好ましい10cSt潤滑基礎油については−11℃になるであろう。中程度に低い流動点を選択することにより、大きな収率で生成することができる過剰脱蝋されていない油が得られる。殆どの場合、本発明の潤滑基礎油の流動点は、−35℃〜+10℃であろう。
好ましい態様として、流動点対100℃での動粘性率の比が大きいと、中程度に低い範囲以内に流動点を制御し、従って、厳しい脱蝋は不必要になる。従来法のシクロパラフィン含有量が大きく、非常に低い流動点を有する潤滑基礎油を生成するのに必要な厳しい脱蝋は、モノシクロパラフィン対マルチシクロパラフィンの比を減少させ、恐らく最も重要なことは、生成する潤滑基礎油及び完成潤滑剤の全収率を減少させることである。
基礎油流動因子と、希望するシクロパラフィン組成物との間の関係は、必ずしも異なった製造方法によって作られる基礎油の間には存在しない。本発明の潤滑基礎油の夫々の希望の性質は、特定の製造方法について関係が決定できるようになるまで独立に選択されるべきである。
本発明の基礎油は、慣用的流動点降下剤の添加に都合よく応答する。この都合のよい相互作用により、不利な収率を与える非常に低い流動点までそれらを過剰に脱蝋する必要はない。流動点降下剤を添加することにより、それらを生成物に混合して、自動車エンジンオイルのような良好な低温特性についての厳しい必要条件を満たすようにすることができる。
(他の潤滑基礎油の性質)
粘度指数:
本発明の潤滑基礎油の粘度指数は高いであろう。好ましい態様として、それらは28×Ln(100℃での動粘性率)+95より大きな粘度指数を有するであろう。例えば、4.5cSt油は、137より大きな粘度指数を有し、6.5cSt油は、147より大きい粘度指数を有するであろう。別の好ましい態様として、粘度指数は28×Ln(100℃での動粘性率)+110より大きいであろう。粘度指数を測定するのに用いられた試験方法は、ASTM D2270−93(1998)である。
アニリン点:
潤滑基礎油のアニリン点は、アニリンと油との混合物が分離する温度である。ASTM D611−01bは、アニリン点を測定するために用いられる方法である。それは、油と接触している、添加剤及びエラストマーのような物質に対する油の溶解性の大略の指示を与える。アニリン点が低い程、油の溶解性が大きくなる。少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より低い従来法の潤滑基礎油は、窒素及び硫黄合計量が約30ppmより少ない実質的にパラフィン系のワックス供給物及び水素化異性化脱蝋から製造され、高いアニリン点を有する傾向があり、従って、添加剤可溶性及びエラストマー相容性が悪い。本発明の潤滑基礎油中の少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の量が多いことは、アニリン点を低下し、それにより添加剤可溶性及びエラストマー相容性を改良する。本発明の潤滑基礎油のアニリン点は、潤滑基礎油の100℃での動粘性率(cSt)によって変化する傾向を持つであろう。
好ましい態様として、本発明の潤滑基礎油のアニリン点は、100℃での動粘性率の関数より低いであろう。好ましくは、アニリン点についての関数は次のように表される:
アニリン点、°F≦36×Ln(100℃での動粘性率)+200
この式のプロットは図2に示されている。
酸化安定性:
本発明の潤滑基礎油中の芳香族及びマルチシクロパラフィンが極めて低いことにより、それらの酸化安定性は、殆どの潤滑基礎油の安定性を越えている。
潤滑基礎油の安定性を測定する便利な方法は、スタンゲランド(Stangeland)その他による米国特許第3,852,207号明細書に記載されているような、オキシデーター(Oxidator)BN試験を用いることによるものである。オキシデーターBN試験は、ドルンテ(Dornte)型酸素吸収装置により酸化に対する抵抗性を測定する。R.W.ドルンテ「ホワイトオイルの酸化」(Oxidation of White Oils)、Industrial and Engineering Chemistry, Vol. 28, p. 26 (1936)参照。通常、条件は、340°Fの純粋酸素の1気圧である。結果は、100gの油により1000mlのOが吸収される時間で報告されている。オキシデーターBN試験では、油100g当たり0.8mlの触媒が用いられ、添加剤パッケージがその油の中に含まれている。触媒はケロセン中に可溶性金属ナフテン酸塩を入れた混合物である。可溶性金属ナフテン酸塩のその混合物は、用いられたクランクケースオイルの平均金属分析値に類似している。触媒中の金属含有量は次の通りである:銅=6,927ppm;鉄=4,083ppm;鉛=80,208ppm;マンガン=350ppm;錫=3,565ppm。添加剤パッケージは、油100g当たり80mMのビスポリプロピレンフェニルジチオ燐酸亜鉛であるか、又は約1.1gのOLOA260である。オキシデーターBN試験は、類似させた用途での潤滑基礎油の応答性を測定する。値が大きい程、或は1リットルの酸素を吸収する時間が長い程、良好な酸化安定性を示している。オキシデーターBNは、7時間より長くなるべきであると慣用的に考えられている。本発明の場合、オキシデーターBN値は、約30時間より長く、好ましくは約40時間より長いであろう。
OLOAは、シェブロン・オロナイト(Chevron Oronite)の登録商標名であるオロナイト・リューブリケイティング・オイル・アディティブ(Oronite Lubricating Oil Additive)の頭文字である。
ノアック揮発性:
本発明の潤滑基礎油の別の重要な性質は、低いノアック揮発性である。ノアック揮発性は、空気の一定の流れを60分間流通させた試験坩堝中で大気圧より20mmHg低い圧力(2.67kPa;26.7ミリバール)及び250℃で油を加熱した時に失われる重量%で表された油の質量として定義されている(ASTM D5800)。ノアック揮発性を計算するための一層慣用的方法及びASTM D5800と良く関連した方法は、ASTM D6375−99aによる熱重量分析試験(TGA)を用いることによるものである。TGAノアック揮発性は、別に述べない限り、本明細書全体に亙って用いられている。
好ましい態様として、本発明の潤滑基礎油は、次の式により計算された量よりも小さいノアック揮発性を有する:
ノアック揮発性、重量%=1000×(100℃での動粘性率)−2.7
好ましくは、次の式により計算された量よりも少ない:
ノアック揮発性、重量%=900×(100℃での動粘性率)−2.8
これらの式のプロットは図3に示されている。
CCS粘度:
本発明の潤滑基礎油は、低温及び高剪断の下で優れた粘度測定特性も有し、それらをマルチグレードエンジンオイルで非常に有用なものにしている。低温クランキング・シュミレータ装置粘度(CCS VIS)は、低温及び高剪断下での潤滑基礎油の粘度測定特性を測定するために用いられる試験である。CCS VISを決定する試験方法は、ASTM D5293−02である。結果をセンチポアズ、cPで報告する。CCS VISは、低温エンジン・スタートと関連があることが判明している。最大CCS VISについての仕様は、2001年6月に改訂されたSAE J300による自動車エンジンオイルについて定められている。本発明の潤滑基礎油で−35℃で測定されたCCS VISは低く、次の式により計算された値よりも低いのが好ましい:
CCS VIS(−35℃)、cP=38×(100℃での動粘性率)
次の式により計算されたる値よりも低いのが一層好ましい:
CCS VIS(−35℃)、cP=38×(100℃での動粘性率)2.8
これらの式のプロットは、図4に示されている。
エラストマー相容性:
潤滑基礎油は、使用中に密封材、ガスケット、及び他の装置部品と直接接触するようになる。元の装置製造業者及び基準設定機関は、完成潤滑剤の異なった種類に対しエラストマー相容性の仕様を設定している。エラストマー相容性試験の例は、CEC L−39−T−96及びASTM D4289−03である。「工業的油圧流体用途のためのエラストマー密封材の相容性を決定する標準試験方法及び指示限界」(Standard Test Method and Suggested Limits of Determining the Compatibility of Elastomer Seals for Industrial Hydraulic Fluid Applicaions)と題するASTM基準が、現在開発されつつある。エラストマー相容性試験手順は、既知の体積のゴム試料を潤滑基礎油又は完成潤滑剤中に、一定の温度及び試験時間条件で吊るすことを含んでいる。次にその試験が終わった時に、起きた膨潤%を決定するために体積の第二測定を行う。破断時伸び及び抗張力の変化について付加的測定を行なってもよい。ゴムの種類及び用途により、試験温度はかなり変化することがある。好ましい態様として、本発明の潤滑基礎油は、次のものを含めた膨大な数の種類のエラストマーとの相容性を有するが、それらに限定されるものではない:ネオプレン、ニトリル(アクリロニトリルブタジエン)、水素化ニトリル、ポリアクリレート、エチレン・アクリル、シリコーン、クロルスルホン化ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エピクロロヒドリン、フルオロカーボン、ペルフルオロエーテル、及びPTFE。
本出願で引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、夫々個々の刊行物、特許出願、又は特許の開示が、特に夫々参考のため全体的に組込まれていることが示されているのと同じ程度に、参考のため全体的にここに入れてある。
次の実施例は、本発明を更に明瞭にするために含まれているが、本発明の範囲に対する限定と見做すべきではない。
(フィッシャー・トロプシュ・ワックス)
Fe系フィッシャー・トロプシュ合成触媒を用いて製造された水素化処理フィッシャー・トロプシュ・ワックスの二つの市販の試料(WOW8684及びNGQ9989)及びCo系フィッシャー・トロプシュ合成触媒を用いて製造された三つの水素化処理フィッシャー・トロプシュ・ワックスの試料(WOW8782、WOW9107、及びWOW9237)を分析し、表Iに示す性質を有することが判明した。
Figure 2007516338
フィッシャー・トロプシュ・ワックス供給物は、アルミナ結合剤を用いたPt/SSZ−32触媒又はPt/SAPO−11により水素化異性化された。実験条件は、344〜368℃(652〜695°F)、0.6〜1.0のLHSV、300psig又は1000psigの反応器圧力、及び6〜7MSCF/bblの1回通過水素速度であった。試料の大部分について、反応器流出物は、同じく1000psigの第二反応器へ直接送られ、その反応器には、シリカ・アルミナ上のPt/Pd水素化仕上げ触媒が入っていた。その反応器での条件は、450°Fの温度及び1.0のLHSVであった。水素化仕上げされなかったこれらの試料は、次の性質の表に示してある。
650°Fより高い温度で沸騰する生成物を、大気圧又は真空蒸留により精留し、異なった粘度等級の留出物フラクションを生成させた。本発明の潤滑基礎油として有用な特定の留出物フラクション及び比較試料についての試験データーを次の例で示す。
(潤滑基礎油)
例1、例2、及び比較例3
100℃で3.0cStより低いの動粘性率を有する三つの潤滑基礎油を、フィッシャー・トロプシュ・ワックスを水素化異性化脱蝋し、異性化油を異なった留出物フラクションに精留することにより製造した。これら試料の性質を表IIに示す。
Figure 2007516338
例1及び例2は、それらの、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が低く、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が高く、モノシクロパラフィン含有分子重量%とマルチシクロパラフィン含有分子重量%との比が非常に高い。例1は、それの、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子が10重量%より多いが、それが有する少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%は100℃での動粘性率×3より大きい。例1も、流動点対100℃での動粘性率の比が大きく、本発明の好ましい潤滑基礎油の性質を満足する。更に、例1と例2のアニリン点は、36×Ln(100℃での動粘性率)+200 によって与えられる線よりも下に入る。比較例3は、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が僅かに一層低い。比較例3も、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が余り望ましいものではなく、流動点対動粘性率比も低く余り好ましくない。これらの例は、100℃での動粘性率が2〜約3.3cStである本発明の低粘度潤滑基礎油が、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子が10重量%より低くなることがあるが、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が、100℃での動粘性率の3倍より大きいことを実証している。
例4、例5、例6、及び例7
100℃で4.0〜5.0cStの動粘性率を有する四つの潤滑基礎油を、フィッシャー・トロプシュ・ワックスを水素化異性化脱蝋し、その異性化油を種々の留出物フラクションに精留することにより製造した。これら試料の性質を表IIIに示す。
Figure 2007516338
例4、5、6、及び7は、全て本発明の潤滑基礎油の望ましい性質をもっていた。例4及び7は、例外的に40時間より長い大きな酸化安定性をもっていた。例4及び7も低いアニリン点を持ち、それは望ましい添加剤可溶性及びエラストマー相容性を与えるであろう。
例8、比較例9、例10、及び例11
100℃で6.0〜7.0の動粘性率を有する4種類の潤滑基礎油を、フィッシャー・トロプシュ・ワックスを水素化異性化脱蝋し、その異性化油を種々の留出物フラクションに精留することにより製造した。それらの試料の性質を表IVに示す。
Figure 2007516338
例8、10、及び11は、本発明の潤滑基礎油の例である。比較例9は、モノシクロパラフィン含有分子対マルチシクロパラフィン含有分子比が小さい。この比較例では、非常に低い流動点を有する基礎油を生ずるように水素化異性化脱蝋を行なったが、不利な収率を与え、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比に悪影響を与える傾向があった。比較例9も、他の同様な粘度の油よりも高いノアック揮発性をもっていた。例8、10、及び11は、全て38×Ln(100℃での動粘性率)2.8で計算された値よりも遥かに低い−35℃でのCCS VISをもっていた。
例12、比較例13、例14、及び例15
100℃で7.0〜8.0cStの動粘性率を有する4種類の潤滑基礎油を、フィッシャー・トロプシュ・ワックスを水素化異性化脱蝋し、その異性化油を種々の留出物フラクションに精留することにより製造した。それらの試料の性質を表Vに示す。
Figure 2007516338
例14は、28*Ln(Vis100)+110より大きいな、特別に大きい粘度指数及び特に低い−35℃でのCCS VISを有する本発明の潤滑基礎油である。例12及び15も、本発明の性質を満足するが、例15は、式:CCS VIS(−35℃)=38×(100℃での動粘性率);で計算した値より低い、−35℃でのCCS 粘度の一層好ましい範囲を満足しなかった。比較例13は、モノシクロパラフィン含有分子の重量%と、マルチシクロパラフィン含有分子の重量%との比が小さいことにより、本発明の性質を満足しなかった。このことは、この例で低い流動点へ水素化異性化脱蝋を行なった結果として起きたのであろうが、それは一層多いマルチシクロパラフィンを形成する結果になった。
例16
100℃で9.5〜10.0cStの動粘性率を有する潤滑基礎油を、フィッシャー・トロプシュ・ワックスを水素化異性化脱蝋し、その異性化油を種々の留出物フラクションに精留することにより製造した。この試料の性質を表VIに示す。
Figure 2007516338
例16は、大きな酸化安定性、低いアニリン点、及び低いノアック揮発性を含めた本発明の潤滑基礎油の性質を満足していた。ノアック揮発性は、次の式により計算された値よりも小さい:
ノアック揮発性、重量%=900×(100℃での動粘性率)−2.8
比較例17(実験951−15)
水素化処理したフィッシャー・トロプシュ・ワックス(表VII)を0.3%のPt及び35%のカタパル(Catapal)アルミナ結合剤を含むPt/SSZ−32触媒上で異性化した。実験条件は、560°Fの水素化異性化温度、1.0のLHSV、300psigの反応器圧力、及び6MSCF/bblの一回通過水素速度であった。反応器流出物流は、同じく300psigの第二反応器へ直接送り、その反応器には、シリカ・アルミナ上のPt/Pd水素化仕上げ触媒が入っていた。その反応器中の条件は、450°Fの温度及び1.0のLHSVであった。転化率及び収率のみならず、水素化異性化ストリッパー塔底油の性質を、表VIIIに与える。
表VII
水素化処理したフィッシャー・トロプシュ・ワックスの検査
比重、API 40.3
窒素、ppm 1.6
硫黄、ppm 2

Sim. Dist.,重量%、°F
IBP/5 512/591
10/30 637/708
50 764
70/90 827/911
95/FBP 941/1047
表VIII
560°F、1LHSV、300psig、及び6MSCF/bbl H
でのPt/SSZ−32上でのFTワックスの異性化
転化率<650°F、重量% 15.9
転化率<700°F、重量% 14.1

収率、重量%
C1−C2 0.11
C3−C4 1.44
C5−180°F 1.89
180−290°F 2.13
290−650°F 21.62
650°F+ 73.19

ストリッパー塔底油
収率、供給物の重量% 75.9

Sim. Dist.,LV%、°F
IBP/5 588/662
30/50 779/838
95/99 1070/1142

流動点、℃ +25
ストリッパー塔底油を、MEK/トルエンを用いて−15℃で溶媒脱蝋した。ワックス含有量は33.9重量%で、油収率は65.7重量%であった。その方法への供給物に基づき、溶媒脱蝋した650°F+油収率は、49.9重量%であった。この潤滑基礎油についての検査結果は、下の表IXに与える。
Figure 2007516338
比較例17は、穏やかな水素化異性化脱蝋及び続く溶媒脱蝋が、生成した少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%を非常に低くしたことを実証している。水素化異性化温度は、約600°F〜約750°Fの希望の範囲よりもかなり低くかった。この油のオキシデーターBN及び粘度指数は非常に高かったが、それは、少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が一層高い本発明の潤滑基礎油に伴われる好ましい添加剤可溶性及びエラストマー相容性を持たなかったであろう。この例は、基礎油流動因子が、本発明の潤滑基礎油の性質を満足する油に屡々伴われているが、本発明の潤滑基礎油を特徴付けるのに、他の判断基準(少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%、及びモノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比、或はモノシクロパラフィン含有分子重量%が高く、マルチシクロパラフィン含有分子重量%が低いこと)とは独立に用いることができないことも指摘している。
比較例18(実験952−12)
n−C32供給物(アルドリッヒから購入された物)を、0.3%のPt及び35%のカタパルアルミナ結合剤を含むPt/SSZ−32触媒上で異性化した。実験条件は、580°Fの水素化異性化温度、1.0のLHSV、1000psigの反応器圧力、及び7MSCF/bblの一回通過水素速度であった。反応器流出物は、同じく1000psigの第二反応器へ直接送り、その反応器には、シリカ・アルミナ上のPt/Pd水素化仕上げ触媒が入っていた。その反応器中の条件は、450°Fの温度及び1.0のLHSVであった。転化率及び収率を、表Xに与える。
Figure 2007516338
実験952−12からの水素化異性化ストリッパー塔底油は、+20℃の流動点をもっていた。ストリッパー塔底油は、−15℃でMEK/トルエンを用いて溶媒脱蝋された。ワックス含有量は31.5重量%、油収率は68.2重量%であった。その方法への供給物に基づく溶媒脱蝋された650°F+油収率は、45.4重量%であった。この油の検査結果を表XIに要約する。
比較例19(実験FSL9497)
実験FSL9497は、n−C28供給物(アルドリッヒから購入された物)から、35重量%のカタパルアルミナで結合されたPt/SSZ−32触媒(0.3重量%のPt)を用いて潤滑基礎油を生成した。実験は、1000psig、0.8のLHSV、及び7MSCF/bblの一回通過Hで行われた。反応器水素化異性化温度は、575°Fであった。反応器からの流出物は、次に450°FでPd/SiO−Al水素化仕上げ触媒上に通し、温度以外は異性化反応器中と同じ条件を用いた。600°F+生成物の収率は71.5重量%であった。ワックスの600°F−沸点範囲物質への転化率は、28.5重量%であった。700°F未満の転化率は33.6重量%であった。実験からの塔底油フラクション(75.2重量%)は、743°Fで分留され、89.2重量%の塔底油を与えた(全供給物に基づき67.1重量%)。
水素化異性化ストリッパー塔底油は、+3℃の流動点をもっていた。これらの塔底油を、次に−15℃で溶媒脱蝋し、84.2重量%の溶媒脱蝋された油(全供給物に基づき56.5重量%)及び15.7重量%のワックスを与えた。この油の検査結果を表XIに示す。
Figure 2007516338
比較例18も比較例19も、それらが少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が非常に低いので、本発明の性質を満足しない。これらの低いシクロパラフィン含有量を有する基礎油は、いずれも本発明の基礎油と同じ位低いアニリン点をもっていなかった。特に、それらは両方とも、36×Ln(100℃での動粘性率)+200より大きかった。これらの油は、本発明の基礎油よりも低い添加剤可溶化及び望ましくないエラストマー相容性をもつと予想されるであろう。水素化異性化温度は、約600°F〜750°Fの好ましい範囲より低く、それは、これらの比較例の両方でシクロパラフィンの量を低くする働きをしたであろう。
比較例20及び比較例21
二種類の市販のグループIII潤滑基礎油をワックス状石油供給物を用いて製造した。そのワックス状石油供給物は、約30ppmより大きい窒素及び硫黄合計量をもち、約0.1より少ない酸素重量%をもっていた。供給物を約343℃(650°F)〜約385℃(725°F)の水素化異性化脱蝋温度でPd/SSZ−32を用いて水素化異性化脱蝋により脱蝋した。それらは両方とも水素化仕上げをした。これら二つの試料の性質を表XIIに示す。
Figure 2007516338
これらの二つの比較試料は、慣用的ワックス石油供給物を用いて製造した潤滑基礎油では、それら供給物が高いレベルで硫黄及び窒素を含有する場合、如何に少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が高くなるかを実証している。それらは、少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%も低い。しかし、それらは両方とも、モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が非常に低く、本発明の潤滑基礎油の15より大きい望ましい比より遥かに低く、余り望ましくない。結局、それらは本発明の潤滑基礎油と同様なアニリン点を有するが、それらは、式:VI=28×Ln(100℃での動粘性率)+95;によって定義される希望のレベルより低い粘度指数を有する。
図1は、基礎油流動点因子を計算するための式: 基礎油流動因子=7.35×Ln(100℃での動粘性率)−18〔式中、Ln(100℃での動粘性率)は、100℃での動粘性率(cSt)の「e」を底とする自然対数である。〕を与える、100℃での動粘性率(cSt)に対し、流動点(℃)/100℃での動粘性率(cSt)をプロットしたグラフを例示した図である。 図2は、動粘性率に基づき好ましいアニリン点上限を計算するための式: アニリン点(°F)=36×Ln(100℃での動粘性率)+200〔式中、Ln(100℃での動粘性率)は、100℃での動粘性率(cSt)の「e」を底とする自然対数である。〕を与える、100℃での動粘性率(cSt)に対し、アニリン点(°F)をプロットしたグラフを例示した図である。 図3は、動粘性率に基づき好ましいノアック揮発性を計算するための式: ノアック揮発性(重量%)=1000×(100℃での動粘性率、cSt)−2.7〔式中、100℃での動粘性率は、−2.7の累乗にされている。〕及び ノアック揮発性(重量%)=900×(100℃での動粘性率、cSt)−2.8〔式中、100℃での動粘性率は、−2.8の累乗にされている。〕を与える、100℃での動粘性率(cSt)に対し、TGAノアック(重量%)をプロットしたグラフを例示した図である。 図4は、動粘性率に基づき好ましいCCS VIS(−35℃)上限を計算するための式: CCS VIS(−35℃)(cP)=38×(100℃での動粘性率)〔式中、100℃での動粘性率(cSt)は、3の累乗にされている。〕及び CCS VIS(−35℃)(cP)=38×(100℃での動粘性率)2.8〔式中、100℃での動粘性率(cSt)は、2.8の累乗にされている。〕を与える、100℃での動粘性率(cSt)に対し、−35℃でのCCS VIS(cP)をプロットしたグラフを例示した図である。

Claims (35)

  1. フィッシャー・トロプシュ・ワックスから製造された潤滑基礎油において、
    a)少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より小さく;
    b)少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が10より大きく;
    c)モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が15より大きい;
    ことを含む、潤滑基礎油。
  2. 次の式:
    基礎油流動因子=7.35×Ln(100℃での動粘性率)−18
    により計算された基礎油流動因子より大きい、流動点(℃)対100℃での動粘性率比を更に含む、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  3. 少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.10より小さい、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  4. 少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.05より小さい、請求項3に記載の潤滑基礎油。
  5. 少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が15より大きい、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  6. 少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が20より大きい、請求項5に記載の潤滑基礎油。
  7. 比が50より大きい、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  8. 比が100より大きい、請求項7に記載の潤滑基礎油。
  9. 更に、28×Ln(100℃での動粘性率)+95より大きい粘度指数を含む、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  10. 粘度指数が、28×Ln(100℃での動粘性率)+110より大きい、請求項9に記載の潤滑基礎油。
  11. 次の式:
    アニリン点(°F)=36×Ln(100℃での動粘性率)+200
    により計算された量に等しいか又はそれより小さなアニリン点を更に含む、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  12. 次の式:
    ノアック揮発性(重量%)=1000×(100℃での動粘性率)−2.7
    により計算された量より小さいノアック揮発性を含む、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  13. ノアック揮発性が、次の式:
    ノアック揮発性(重量%)=900×(100℃での動粘性率)−2.8
    により計算された量より小さい、請求項12に記載の潤滑基礎油。
  14. 次の式:
    CCS VIS(−35℃)=38×(100℃での動粘性率)(cP)
    により計算された量より小さい、−35℃でのCCS粘度を含む、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  15. −35℃でのCCS粘度が、次の式:
    CCS VIS(−35℃)=38×(100℃での動粘性率)2.8(cP)
    により計算された量より小さい、請求項14に記載の潤滑基礎油。
  16. 100℃での動粘性率が、約2cSt〜約20cStである、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  17. 100℃での動粘性率が、約3.5cSt〜約12cStである、請求項16に記載の潤滑基礎油。
  18. 更に、慣用的グループI基礎油、慣用的グループII基礎油、慣用的グループIII基礎油、その他のGTL基礎油、異性化石油ワックス、ポリαオレフィン、ポリ内部オレフィン、フィッシャー・トロプシュ誘導供給物からのオリゴマー化オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、燐酸エステル、アルキル化芳香族、アルキル化シクロパラフィン、及びそれらの混合物からなる群から選択された付加的基礎油を含む、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  19. 次の式:
    CCS VIS(−35℃)、cP=38×(100℃での動粘性率)
    により計算された量より小さい、−35℃でのCCS粘度を含む、請求項1に記載の潤滑基礎油。
  20. −35℃でのCCS粘度が、次の式:
    CCS VIS(−35℃)、cP=38×(100℃での動粘性率)2.8
    により計算された量より小さい、請求項19に記載の潤滑基礎油。
  21. a)シンガスにフィッシャー・トロプシュ合成を行って生成物流を与える工程;
    b)前記生成物流から、窒素及び硫黄合計量が約30ppmより少なく、酸素が約1重量%より少ない実質的にパラフィン系のワックス供給物を分離する工程;
    c)前記実質的にパラフィン系のワックス供給物を、貴金属水素化成分を含む形状選択性中間気孔孔径分子篩を用いて水素化異性化脱蝋することにより脱蝋し、然も、前記水素化異性化温度が約315℃(600°F)〜約399℃(750°F)であり、それにより異性化油を生成する工程;及び
    d)前記異性化油を水素化仕上げし、それにより
    i.少なくとも一つの芳香族官能基を有する全ての分子の重量%が0.30より小さく;
    ii.少なくとも一つのシクロパラフィン官能基を有する全ての分子の重量%が10より大きく;そして
    iii.モノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%の比が15より大きい;
    潤滑基礎油を生成する工程;
    を含む、潤滑基礎油製造方法。
  22. 実質的にパラフィン系のワックス供給物が、少なくとも60個以上の炭素原子を有する分子と、少なくとも30個の炭素原子を有する分子との重量比が0.10より小さく、349℃(660°F)〜649℃(1200°F)のT90沸点を有する、請求項21に記載の方法。
  23. T90沸点が、482℃(900°F)〜649℃(1200°F)である、請求項22に記載の方法。
  24. 実質的にパラフィン系のワックス供給物が、0.01〜0.90重量%の酸素重量%を有する、請求項21に記載の方法。
  25. 実質的にパラフィン系のワックス供給物が、160℃より高いT90とT10との沸点差を有する、請求項21に記載の方法。
  26. 形状選択性中間気孔孔径分子篩が、SAPO−11、SAPO−31、SAPO−41、SM−3、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−57、SSZ−32、オフレタイト、フェリエライト、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  27. 形状選択性中間気孔孔径分子篩が、SAPO−11、SSZ−32、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 貴金属水素化成分が、白金、パラジウム、又はそれらの混合物である。請求項21に記載の方法。
  29. 水素化異性化脱蝋中、ワックス供給物中の約370℃(700°F)より高い沸点を有する化合物から、約370℃(700°F)より低い沸点を有する化合物への転化を、15重量%〜45重量%の間維持する。請求項21に記載の方法。
  30. 水素化異性化脱蝋する前に、実質的にパラフィン系のワックス供給物を水素化処理することを更に含む、請求項21に記載の方法。
  31. 更に、潤滑基礎油を精留することを含む、請求項21に記載の方法。
  32. 潤滑基礎油が、50より大きいモノシクロパラフィン対マルチシクロパラフィン比を有する、請求項21に記載の方法。
  33. 潤滑基礎油が、次の式:
    基礎油流動因子=7.35×Ln(100℃での希望のフラクションの動粘性率)−18
    により計算された基礎油流動因子より大きい、流動点対100℃での動粘性率比を有する、請求項21に記載の潤滑基礎油。
  34. 更に、慣用的グループI基礎油、慣用的グループII基礎油、慣用的グループIII基礎油、その他のGTL基礎油、異性化石油ワックス、ポリαオレフィン、ポリ内部オレフィン、フィッシャー・トロプシュ誘導供給物からのオリゴマー化オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、燐酸エステル、アルキル化芳香族、アルキル化シクロパラフィン、及びそれらの混合物からなる群から選択された付加的基礎油と、潤滑基礎油とを混合物することを含む、請求項21に記載の方法。
  35. a.実質的にパラフィン系のワックス供給物で、
    i.窒素及び硫黄合計量が約30ppmより少なく、
    ii.酸素が約1重量%より少なく、
    iii.直鎖パラフィンが約75質量%より多く、
    iv.油が10重量%より少なく、
    v.少なくとも60個以上の炭素原子を有する化合物と、少なくとも30個の炭素原子を有する化合物との重量比が0.18より小さく、そして
    vi.660°F〜1200°FのT90沸点、
    を有するワックス供給物を生成する手段、
    b.前記実質的にパラフィン系のワックス供給物を、貴金属水素化成分を含む形状選択性中間気孔孔径分子篩を用いて水素化異性化脱蝋し、然も、前記水素化異性化温度が約315℃(600°F)〜約399℃(750°F)であり、異性化油を生成する手段、及び
    c.前記異性化油を水素化仕上げし、
    i.0.30より小さい芳香族重量%;
    ii.10より大きいシクロパラフィン全重量%;及び
    iii.15より大きいモノシクロパラフィン含有分子重量%対マルチシクロパラフィン含有分子重量%比;
    を有する潤滑基礎油を生成させる手段;
    を含む、潤滑基礎油製造プラント。
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