JP2007510735A - Cd44グリコフォームに対する抗体およびその使用 - Google Patents

Cd44グリコフォームに対する抗体およびその使用 Download PDF

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Abstract

CD44およびCD44の特定の変異体およびグリコフォームに対する抗体またはその抗原結合部分を提供する。抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、CD44および/またはCD44の特定の変異体および/またはグリコフォームのCD44のリガンドとの結合を調節する。

Description

関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、参照により全体が本開示に含まれる、2003年11月7日出願の米国特許出願公開第60/518,353号に基づく優先権の利益を主張する。
本発明は、さまざまな型のCD44分子を認識する抗体、ならびにCD44の検出およびCD44の機能の調節におけるその使用に関する。
公的支援
本明細書に記載の研究は、一部が、米国国立衛生研究所からの助成金(助成番号HL60528,Robert Sacksteinへ授与)から資金提供を受けた。したがって米国政府は本発明に一定の権利を有するであろう。
リンパ球の組織特異的遊走は、標的組織内皮との接着相互作用を調節する細胞膜接着分子の発現に決定的に依存する。接着分子のセレクチンファミリ−は、内皮細胞上での白血球のtetheringおよびローリング相互作用を媒介するレクチンから成る。白血球(L−セレクチン)または内皮(P−およびE−セレクチン)のいずれかでのその発現は、白血球を「減速」するのに役立ち、血液中の細胞がケモカイン/サイトカインシグナルに反応することを可能にする。このように始動され、細胞は組織部位へ強固に接着しおよび組織部位内へ血管外遊出する。この主な血管内ブレ−キ機構は、白血球および/または内皮細胞上で発現されるそれぞれシアリル化およびフコシル化されたリガンドに対するセレクチンのCA2+依存性結合活性によって調節される。セレクチン媒介相互作用は、傷害の部位での白血球の迅速および効率的な動員についてだけでなく、例えば、末梢リンパ節へのリンパ球ホ−ミング(非特許文献1)ヒト皮膚ホ−ミングT細胞の皮膚走化性(非特許文献2および3)、および造血前駆細胞(HPC)の骨髄への進入で示されるような、定常状態での組織特異的ホ−ミングについても決定的に重要である。
CD44は、グリコサミノグリカンのヒアルロン酸(HA)に対する、広く分布する細胞表面糖タンパク質受容体である。造血細胞E−セレクチン/L−セレクチンリガンド(HCELL)は、HECA−452反応性シアリル化、フコシル化N−グリカンを含む、CD44のグリコフォームである。HCELLは、L−セレクチンおよびE−セレクチンの両方に対するリガンドである(非特許文献4および5)。CD44は大部分の造血細胞、ケラチン生成細胞、軟骨細胞、多数の上皮細胞型、および一部の内皮および神経細胞を含む、多様な細胞型上で発現される。CD44は、細胞−細胞凝集、細胞周囲マトリクスの保持、マトリクス−細胞および細胞−マトリクスシグナル伝達、ヒアルロン酸の受容体−媒介内部移行/分解、および細胞遊走を含むさまざまな細胞機能に関与することが知られている。CD44のさまざまな機能は、ヒアルロン酸との接着相互作用に依存する。一部のCD44機能は、硫酸化および/またはグリコシル化といったCD44タンパク質の翻訳後修飾によって影響されるかまたは誘導される。
Kansas, G. S. Blood. 88: 3259-3287, 1996 Picker et al. Am. J. Pathol. 136: 1053-1068、 1990 Berg et al. J. Exp. Med. 174: 1461-1466, 1991 Dimitroff et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA、 97(25): 13841-46, 2000 Dimitroff et al., J. Cell Biol., 153 (6): 1277-1286, 2001
本発明は、CD44分子の一つ以上の機能を調節できる抗体の発見に一部が基づく。CD44分子は、さまざまなリガンドと相互作用して、白血球の接着相互作用を媒介する。例えば、CD44はヒアルロン酸と相互作用する。CD44のHCELLグリコフォームは、L−セレクチンおよびE−セレクチンと相互作用する。発見された抗体は、ヒアルロン酸、E−セレクチン、およびL−セレクチンといったCD44リガンドの一つ以上に対するCD44の結合を増加または減少できる。一部の場合には、その抗体はCD44(例えば、CD44のグリコフォーム、例えばHCELL)の一つのリガンドへの結合を増加させ、およびCD44(例えば、CD44のグリコフォーム、例えばHCELL)の別のリガンドへの結合を減少させる。
本発明は、特に、CD44のHCELLグリコフォームといったCD44の特定の変異体を含むCD44に結合する抗体またはその抗原結合部分を提供する。抗CD44抗体、またはその一部は、ヒトCD44の特定の変異体と、高い親和性および特異性で結合し、したがって診断薬、予防薬、または治療薬としてin vivoおよびin vitroで使用できる。抗CD44抗体、またはその一部は、CD44の活性および/または、例えばCD44のHCELLグリコフォームといったCD44の特定のグリコフォームの活性を調節する。したがって、本発明は、抗体およびその医薬組成物、およびそのような抗体および部分を作製するための核酸、組換え発現ベクターおよび宿主細胞を提供する。CD44および/またはCD44の特定のグリコフォーム、例えば、HCELLを検出するために、または、例えば造血細胞、HCELL発現細胞、または癌といったCD44発現細胞を選択または除去するためにin vitroまたはin vivoのいずれかで本発明の抗体を使用する方法もまた、本発明によって包含される。本明細書で考察される通り、抗体は「ヒト化」し、またはさまざまな方法で修飾することができる(例えば、抗体の機能、安定性、生物学的利用能または活性スペクトルを改善するためにといった、Fc部分における、または他の構造的性質における変化)。抗体はin vitroで得ることができる(例えば、ファ−ジディスプレイ技術を用いて)。
抗体またはその抗原結合部分は、一つ以上の特定の型のCD44、好ましくはヒトCD44、例えば、CD44のグリコフォーム、例えばヒトHCELLと、高い親和性および特異性で結合する。例えば、一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、一つ以上の特定の型のヒトCD44と、少なくとも10−1、好ましくは10−1ないし1010−1、または約10−1の親和定数で結合する。好ましくは、抗体またはその抗原結合部分は、CD44および/またはCD44のグリコフォームの活性を調節する。例えば、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のリガンドとの相互作用を調節する、例えば、抗体は、CD44のヒアルロン酸、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの結合を阻害または促進する。好ましくは、抗体は、CD44の細胞外ドメイン、例えば、一つ以上の特定の型のCD44の細胞外ドメインと相互作用し、例えば結合する。
ヒトCD44は、一部の成熟白血球の表面に発現される。例えば、HCELLは、ヒト造血細胞のCD34部分集合、例えば、造血幹細胞、および胚性幹細胞、および癌幹細胞上に発現される。本発明の抗体は、CD44を発現する細胞の表面に結合する。したがって、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分は、CD44および/またはCD44の特定のグリコフォーム、例えばHCELLを発現している生細胞を標的化するために用いることができる。
「HCELL」とは、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドを与えるグリコシル化を含むCD44分子をいう。HCELLは、L−セレクチン結合活性、E−セレクチン結合活性、または両方を有する。
したがって、本発明は、例えばHCELLのようなE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンド活性を有するCD44のグリコフォームを含むCD44に結合する、単離抗体またはその抗原結合部分に関するものであり、抗体またはその抗原結合部分が下記の特性の一つ以上を含むことを特徴とする:(a)抗体またはその抗原結合部分は、セレクチンリガンド活性を与えるCD44のグリコシル化を含むC44に特異的に結合する;(b)抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するCD44またはHCELLの結合を調節する;(c)抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する;(d)抗体またはその抗原結合部分は、L−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。
一実施形態では、抗体または抗原結合部位は、ヒアルロン酸に対するCD44の結合を調節する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するCD44の結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を阻害する。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。
別の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、L−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、L−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、L−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を調節し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を促進し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を促進し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を阻害し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を阻害し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44の非HCELLグリコフォームに特異的に結合しない。
別の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を調節し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を促進し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を促進し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を阻害し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を阻害し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44の非HCELLグリコフォームに特異的に結合しない。
別の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を調節し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を促進し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を促進し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分HCELLのE−セレクチンへのおよびL−セレクチンへの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44の非HCELLグリコフォームに特異的に結合しない。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を調節し、E−セレクチンに対するHCELLの結合を調節し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのヒアルロン酸、E−セレクチン、およびL−セレクチンへの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのヒアルロン酸およびE−セレクチンへの結合を促進し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を促進し、さらにHCELLのE−セレクチンおよびL−セレクチンへの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのヒアルロン酸、E−セレクチンおよびL−セレクチンへの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのヒアルロン酸およびE−セレクチンへの結合を阻害し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を阻害し、さらにHCELLのE−セレクチンおよびL−セレクチンへの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのヒアルロン酸およびL−セレクチンへの結合を阻害し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのヒアルロン酸およびL−セレクチンへの結合を促進し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44の非HCELLグリコフォームに特異的に結合しない。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLと少なくとも10−1、好ましくは少なくとも10−1、10−1、または1010−1の親和性で結合する。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのその任意のリガンド(例えばヒアルロン酸、L−セレクチンまたはE−セレクチン)への結合を、対照に対して少なくとも10%阻害する。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのその任意のリガンド(例えば、ヒアルロン酸、L−セレクチンまたはE−セレクチン)への結合を、対照(例えば、抗体の非存在時のHCELL結合)に対して少なくとも10%促進する。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HECA−452が結合するCD44上のエピト−プへの結合について競合しない。別の実施形態では、抗体はHECA−452が結合するエピト−プへの結合について競合する。
一実施形態では、抗体または抗原結合部分はCD44の糖エピト−プに結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のセレクチン結合糖エピト−プ(例えば、HCELL特異的糖エピトープ)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のタンパクエピトープに結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のタンパク質および糖エピト−プに結合する。
抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナルまたはポリクロ−ナルのいずれであってもよい。一実施形態では、抗体はマウスモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体はヒト化されている。一実施形態では、抗体はキメラ抗体、非免疫化抗体(deimmunized antibody)、またはヒト抗体である。一実施形態では、抗体はIgGであるかまたはIgGに由来する。一実施形態では、抗体はさらに標識を含む。一実施形態では、抗体は毒素を含む。一実施形態では、抗体は補体媒介細胞傷害性または抗原依存性細胞傷害性を媒介できる。
別の実施態様では、本発明は、HCELL糖タンパク質に特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合部分に関するものであり、抗体またはその抗原結合部分がHCELLの変性型(例えば、SDS変性型HCELL、例えば、ウェスタンブロットにおいてニトロセルロースに結合したSDS変性型HCELL)に結合することを特徴とする。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLの天然型(例えば、HCELL発現(HCELL)細胞の表面上に発現した、例えばKGla細胞;CD34造血幹細胞、胚性幹細胞、癌幹細胞といった原始成人肝細胞)にも特異的に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44の非HCELLグリコフォームに特異的に結合しない。一実施形態では、抗体は、HCELLと少なくとも10−1の親和性で結合する。
抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナルまたはポリクロ−ナルであってよい。一実施形態では、抗体はマウスモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体はヒト化されている。一実施形態では、抗体はキメラ抗体、非免疫化抗体、またはヒト抗体である。一実施形態では、抗体はIgGであるかまたはIgGに由来する。一実施形態では、抗体はさらに標識を含む。一実施形態では、抗体は毒素を含む。一実施形態では、抗体は補体媒介細胞傷害性または抗原依存性細胞傷害性を媒介できる。
別の実施態様では、本発明は、CD44に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分に関するものであり、抗体またはその抗原結合部分がヒアルロン酸に対するCD44の結合を促進することを特徴とする。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するCD44の結合を、少なくとも2、5または10倍促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のHCELLグリコフォームに特異的に結合しない。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、少なくとも10−1の親和性でCD44に結合する。抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナルまたはポリクローナルであってよい。一実施形態では、抗体はマウスモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体はヒト化されている。一実施形態では、抗体はキメラ抗体、非免疫化抗体、またはヒト抗体である。一実施形態では、抗体はIgGであるかまたはIgGに由来する。一実施形態では、抗体はさらに標識を含む。一実施形態では、抗体は毒素を含む。一実施形態では、抗体は補体媒介細胞傷害性または抗原依存性細胞傷害性を媒介できる。
別の実施態様では、本発明は、CD44に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分に関するものであり、抗体またはその抗原結合部分がCD44のヒアルロン酸との結合を阻害することを特徴とする。別の実施形態では、抗体はヒアルロン酸への結合を促進する。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、対照に対して少なくとも10%、15%、20%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44と少なくとも10−6−1の親和性で結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のL−セレクチンへの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のE−セレクチンへの結合を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のL−セレクチンへの結合を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のE−セレクチンへの結合を促進する。
抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナルまたはポリクローナルであってよい。一実施形態では、抗体はマウスモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体はヒト化されている。一実施形態では、抗体はキメラ抗体、非免疫化抗体、またはヒト抗体である。一実施形態では、抗体はIgGであるかまたはIgGに由来する。一実施形態では、抗体はさらに標識を含む。一実施形態では、抗体は毒素を含む。一実施形態では、抗体は補体媒介細胞傷害性または抗原依存性細胞傷害性を媒介できる。
別の実施態様では、本発明は、HCELL糖タンパク質に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分に関するものであり、その抗体は、任意の動物(例えば、ラット、ウサギ、ハムスター、ニワトリ等)を、HCELL糖タンパク質を含む試料で免疫化し、さらにHCELLに特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分をその動物から単離することによって作製される。一実施形態では、試料はHCELLを発現する細胞を含む。一実施形態では、試料は、HCELLを発現するCD34細胞といったヒト幹細胞を含む。一実施形態では、試料は、KGla細胞またはKGla細胞のサブラインの細胞を含む。一実施形態では、試料は細胞から取得したHCELLを含む。
別の実施態様では、本発明は、CD44に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分に関するものであり、その抗体は、例えば、HCELLをKG1a細胞から精製し;精製されたHCELLをマウスへ注射し;HCELLに結合するモノクローナル抗体をマウスから取得する;工程を含む方法によって作製される。一実施形態では、本方法は、下記の1以上の工程によってモノクローナル抗体を取得することをさらに含む:マウスから一連のモノクローナル抗体を作製し;KGla細胞に結合するモノクローナル抗体をスクリーニングし;KGla細胞に結合する抗体を特定し;前記特定された抗体を、CD44発現細胞への結合に関してスクリーニングし;さらにCD44細胞に結合する抗体を選択する。一実施形態では、本方法は、特定された抗体が無傷のまたは変性したCD44に結合するか否かを決定することをさらに含む(例えば、ウェスタンブロットにおいて)。一実施形態では、本方法は、無傷のまたは変性したCD44に結合する抗体を選択することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、抗体による、ヒアルロン酸、E−セレクチンおよびL−セレクチンといったリガンドの1以上とのCD44の相互作用の調節を評価する工程をさらに含む。
別の実施態様では、本発明は、HCELL糖タンパク質に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分に関するものであり、その抗体またはその抗原結合部分は、下記の特性を含む:(a)抗体が、KG1a細胞系の細胞、またはCD34細胞または癌幹細胞(例えば、白血病)といったヒト幹細胞に特異的に結合する;(b)抗体が、下記の造血幹細胞株の細胞とは実質的に結合しない:Jurkatおよび赤血球型白血病細胞。
抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれであってもよい。一実施形態では、抗体はマウスモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体はヒト化されている。一実施形態では、抗体はキメラ抗体、非免疫化抗体、またはヒト抗体である。一実施形態では、抗体はIgGであるかまたはIgGに由来する。一実施形態では、抗体はさらに標識を含む。一実施形態では、抗体は毒素を含む。一実施形態では、抗体は補体媒介細胞傷害性または抗原依存性細胞傷害性を媒介できる。
別の実施態様では、本発明は、HCELL糖タンパク質に特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分に関するものであり、その抗体またはその抗原結合部分は、造血幹細胞のin vivoでの生着を促進する。
抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれであってもよい。一実施形態では、抗体はマウスモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体はヒト化されている。一実施形態では、抗体はキメラ抗体、非免疫化抗体、またはヒト抗体である。一実施形態では、抗体はIgGであるかまたはIgGに由来する。一実施形態では、抗体はさらに標識を含む。一実施形態では、抗体は毒素を含む。一実施形態では、抗体は補体媒介細胞傷害性または抗原依存性細胞傷害性を媒介できる。
一実施態様では、本発明は、ヒトHCELL糖タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分に関する。
抗体またはその抗原結合部分は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれであってもよい。一実施形態では、抗体はマウスモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体はヒト化されている。一実施形態では、抗体はキメラ抗体、非免疫化抗体、またはヒト抗体である。一実施形態では、抗体はIgGであるかまたはIgGに由来する。
一実施形態では、抗体はさらに標識を含む。一実施形態では、抗体は毒素を含む。一実施形態では、抗体は補体媒介細胞傷害性または抗原依存性細胞傷害性を媒介できる。
抗CD44抗体は、単一特異性、例えば、モノクローナル抗体またはその抗原結合部分であってよい。抗体は完全長でもよく(例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA(例えば、IgAl、IgA2)、IgDお、よびIgEであるが、好ましくはIgG)、または抗原結合部分(例えば、Fab、F(ab’)またはscFv部分、または一つ以上のCDR)のみを含んでいてもよい。抗体またはその抗原結合部分は、二つの免疫グロブリン重鎖および二つの免疫グロブリン軽鎖を含むことができ、または一本鎖抗体であってよい。抗体は、必要に応じて、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、エプシロンまたはミュー定常領域遺伝子から選択された定常領域を含んでいてよい。一実施形態では、抗CD44抗体は、実質的にヒト抗体由来の重鎖および軽鎖定常領域、例えば、ヒトIgG1定常領域、その部分、または共通配列を含む。
抗CD44抗体の任意の組み合わせ、例えば、CD44の異なる領域に結合する二つ以上の抗体、例えば、CD44の細胞外ドメイン上の二つの異なるエピトープに結合する抗体は本発明の範囲内にある。
一部の実施形態では、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、一つ以上の免疫グロブリン軽鎖または重鎖(または、好ましくは、一つ以上の免疫グロブリン軽鎖および一つ以上の免疫グロブリン重鎖)を含む。好ましくは、各免疫グロブリンは、少なくとも一つ以上、二つおよび、好ましくは、三つの、非ヒトまたはヒト抗CD44軽鎖または重鎖可変領域由来のCDRとそれぞれ実質的に同一のCDRを含む軽鎖または重鎖可変領域を含む。好ましい一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、同一の非ヒトまたはヒト抗CD44抗体由来の6つのCDRをすべて含む。
抗CD44抗体またはその抗原結合部分の免疫グロブリン軽鎖または重鎖は、ヒトまたは非ヒト、例えばげっ歯類の、抗体中に存在する軽鎖または重鎖可変フレームワーク由来の軽鎖または重鎖可変フレームワーク配列をさらに含んでいてよい。
本明細書に記載の抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、例えば、非誘導体化型または非結合型で、単独で使用でき、対象に投与でき、またはin vitroで使用できる。別の実施形態では、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、誘導体化してよく、または、別の分子、典型的には標識または治療薬(例えば、細胞傷害性物質または細胞分裂阻害剤)に結合させてもよい。その分子は、例えば、別のペプチド、タンパク質(例えば組換えウイルス粒子の例えばウイルス外被タンパク質を含む)、非ペプチド化合物、同位体、などであってよい。抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、1以上の他の分子と、例えば、化学結合、遺伝子融合、非共有会合などによって、機能的に結合できる。例えば、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、蛍光標識、生物活性な酵素標識、放射性同位体(例えば、放射性イオン)、核磁気共鳴活性標識、発光標識または発色団といった標識に結合させてよい。別の実施形態では、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、治療剤、例えば、細胞傷害性部分、例えば、治療薬、放射性同位体、植物、真菌、または細菌起源の分子、または生物タンパク質(例えば、タンパク質毒素)または粒子(例えば、組換えウイルス粒子、例えば、ウイルス外被タンパク質を介して)、またはその混合物に結合させてよい。治療剤は、細胞内で活性な薬物、または、例えば本明細書に記載の短距離高エネルギーα−放射体を含む短距離放射線放射体といった他の物質であってもよい。一部の好ましい実施形態では、抗CD44抗体またはその抗原結合部分を、植物または細菌起源の分子(またはその誘導体)に結合させてよい。放射性同位体は、α−、β−、またはγ−放射体、またはβ−およびγ−放射体であろう。治療剤として有用な放射性同位体は、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、およびロジウム(188Rh)を含む。例えば診断薬における使用のために標識として有用である放射性同位体は、ヨウ素(131Iまたは125I)、インジウム(111In)、テクネチウム(99mTc)、リン(32P)、炭素(14C)、およびトリチウム(H)、または上に列挙した治療用同位体のうちの一つを含む。抗CD44抗体またはその抗原結合部分を、抗炎症剤または免疫抑制剤に結合させてもよい。抗CD44抗体またはその抗原結合部分を別の抗体に結合させて、例えば、二重特異性または多重特異性抗体を形成してもよい。
別の実施態様では、本発明は、抗HCELL抗体を作製する方法に関する。その方法は例えば:HCELL糖タンパク質を含む試料で動物を免疫し、さらにHCELLに特異的に結合する抗体を動物から単離することを含む。本方法は、抗体による、HCELLのヒアルロン酸、E−セレクチン、およびL−セレクチンのうち一つ以上との相互作用の調節を評価することをさらに含んでいてよい。試料は、例えば、HCELLを発現している細胞、またはHCELLを発現している細胞由来の膜調製物である。
さらに別の実施態様では、本発明は、抗HCELL抗体を作製する方法に関するものであり、その方法は、例えば、HCELLをHCELL発現細胞(例えば、KGla細胞)から精製し;精製されたHCELLを動物に注射し;動物由来の細胞から一連の抗体を作製し;さらにHCELLに結合するモノクローナル抗体を単離する;工程を含む。
一実施形態では、本発明は、CD44に特異的に結合する抗体を特定する方法に関するものであり、その方法は:CD44抗原を提供し;抗体を発現するファージディスプレイライブラリを提供し;CD44抗原に特異的に結合する、ライブラリ中に存在するメンバーを特定し;さらに特定されたメンバーから核酸分子を単離する;工程を含み、核酸分子が、CD44抗原に特異的に結合する抗体をコードする。本方法は、哺乳細胞中で抗体を発現させ;さらに抗体によるCD44のCD44リガンドとの相互作用の調節を評価する;工程をさらに含んでいてよい。一実施形態では、CD44−ヒアルロン酸相互作用の調節(例えば、阻害、促進)が評価される。一実施形態では、CD44−E−セレクチン相互作用の調節(例えば、阻害、促進)が評価される。一実施形態では、CD44−L−セレクチン相互作用の調節(例えば、阻害、促進)が評価される。
一実施態様では、本発明は、HCELLに結合する抗体またはその抗原結合部分を評価する方法に関する。本方法は、例えば:HCELL抗原を提供し;試料に、抗体またはその抗原結合部分を接触させ;さらに抗体またはその抗原結合部分のHCELL抗原との結合を評価する;工程を含む。本方法は、HCELLのヒアルロン酸、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンとの相互作用を評価することをさらに含んでいてよい。
別の実施態様では、本発明は、試料中のHCELLを検出する方法に関する。本方法は、例えば:試料を提供し;試料に、本明細書に記載の抗HCELL抗体またはその抗原結合部分を接触させ;さらに抗HCELL抗体またはその抗原結合部分を検出する;工程を含む。一実施形態では、抗HCELL抗体またはその抗原結合部分は標識されている(例えば、蛍光標識、生物活性な酵素標識、放射性同位体、発光標識または発色団で標識されている)。
別の実施態様では、本発明は、HCELL発現細胞の活性を調節する方法に関する。本方法は、例えば、HCELL発現細胞に、抗体またはその抗原結合部分(例えば、細胞の活性を調節するのに十分な量の本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を接触させ、それによってHCELL発現細胞の活性を調節することを含む。一実施形態では、調節は活性を促進することである。一実施形態では、調節は活性を阻害することである。一実施形態では、活性はセレクチンへの結合である。一実施形態では、活性はE−セレクチンへの結合である。一実施形態では、活性はL−セレクチンへの結合である。一実施形態では、活性はヒアルロン酸との結合である。
一実施形態では、抗CD44抗体は、CD44のCD44リガンドとの相互作用を阻害する。一実施形態では、抗CD44抗体は、CD44のCD44リガンドとの相互作用を促進しまたは増強する。CD44の活性(例えば、CD44とCD44リガンドとの間の結合相互作用)を阻害する抗体を使用して、例えば、白血球を介した炎症性および/または自己免疫性反応を阻害し、それによって炎症性および/または自己免疫性疾患を治療することができる。
本方法は、例えばin vitroまたはex vivoで、培養細胞において使用できる。例えば、細胞は培地中においてin vitroで培養することができ、さらに接触工程は、抗CD44抗体またはその部分を培地に添加することによって実施することができる。ex vivoで処理された細胞は、接触工程の後、対象に再注入してもよい。本方法は、対象中に存在する細胞において、in vivo(例えば、治療用または予防用)プロトコールの一部として実行できる。
別の実施態様では、本発明は、HCELL発現細胞の二つ以上の活性を調節する方法に関する。本方法は例えば、HCELL発現細胞に、抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を接触させ、それによってHCELL発現細胞の活性を調節することを含む。一実施形態では、調節は活性を促進することを含む。一実施形態では、調節は活性を阻害することを含む。一実施形態では、調節は、活性を促進することおよび活性を阻害することを含む。活性は、E−セレクチン、L−セレクチンおよび/またはヒアルロン酸との結合を含む。
別の実施態様では、本発明は対象中のHCELL活性を調節する方法に関する。本方法は、例えば:HCELL活性の調節が必要である対象を特定し;さらに抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与する工程を含む。
別の実施態様では、本発明は造血細胞の部分集団を単離する方法に関する。本方法は、例えば:造血細胞を含む細胞集団を提供し;抗HCELL抗体またはその抗原結合部分をHCELL発現細胞に結合させる条件下で、細胞に抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を接触させ;抗HCELL抗体またはその抗原結合部分に結合しない細胞を除去し、それによって造血細胞の部分集団を単離する;工程を含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44の一つ以上の非HCELL型を含む。
別の実施態様では、本発明は、造血細胞(例えば血液形成能力を有する細胞)の集団を濃縮する方法に関する。本方法は、例えば:造血細胞の集団を提供し;抗HCELL抗体またはその抗原結合部分をHCELL発現細胞に結合させる条件下で、細胞に抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を接触させ;抗HCELL抗体またはその抗原結合部分に結合しない細胞を除去し、それによって血液形成能力のような機能的活性を有する造血細胞の集団を濃縮する;工程を含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のHCELL型とのみ結合する。一実施形態では、抗HCELL抗体またはその抗原結合部分は、固相またはビーズ(例えば電磁ビーズ)上に固定化される。一実施形態では、本方法は、抗HCELL抗体またはその部分に結合する細胞を回収することをさらに含む。本方法は、細胞を対象に投与することをさらに含んでいてよい。対象に投与する前に、(例えば、凍結によって)細胞を保存することができる。
別の実施態様では、本発明は、対象での造血幹細胞の生着(engraftment)を促進する方法に関する。本方法は、例えば:抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与することを含み、抗体またはその抗原結合部分がHCELL−セレクチン相互作用を促進し、それによって、対象での造血幹細胞の生着を促進する(例えば、癌または他の造血性疾患の造血幹細胞移植を施行した患者を治療するために)。一実施形態では、抗体またはその抗原部分は、HCELL−セレクチン相互作用(例えば、HCELL−E−セレクチン相互作用、および/またはHCELL−L−セレクチン相互作用)を促進する。一実施形態では、抗HCELL抗体またはその抗原結合部分は、CD44のヒアルロン酸または他のCD44リガンド(例えば、フィブロネクチン)との結合を促進し;このような場合において、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のHCELLグリコフォームを認識してもよく認識しなくてもよい。抗体は、血管アクセス(例えばIV)によって、筋肉注射により、皮下注射により、または体内組織/腔に投与できる。
別の実施態様では、本発明は以下の方法によって単離された造血幹細胞に関するものであり、その方法は:造血細胞の集団を提供し;抗HCELL抗体またはその抗原結合部分をHCELL発現細胞に結合させる条件下で、細胞に抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分と)を接触させ;抗HCELL抗体またはその抗原結合部分に結合しない細胞を除去し、抗HCELL抗体またはその抗原結合部分に結合する細胞を単離する;工程を含む。
本明細書に記載の抗体および抗原結合部分は、例えば、HCELL−セレクチン相互作用を特徴とする疾患およびHCELL/CD44−ヒアルロン酸相互作用を特徴とする疾患などの疾患を治療または予防するする方法において使用できる。これら疾患は、例えば、造血性疾患、癌、癌関連疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、血管疾患(虚血性−再灌流損傷、アテローム性動脈硬化症)および不妊を含む。本方法は、対象へ、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分、好ましくは抗CD44抗体またはその抗原結合部分を、これら疾患の治療または予防に有効な量で投与することを含む。
治療または予防できる造血性疾患の例は、造血性癌関連疾患(例えば造血性癌に関連した造血幹細胞移植および非造血性癌に関連した幹細胞移植のための造血性癌の治療において)、貧血、好中球減少症、および他の骨髄不全状態を含む造血性疾患(例えば、再生不良性貧血)を含むが、これらに限定されない。
治療または予防できる炎症性および自己免疫性疾患の例は、皮膚炎(例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎)、皮膚感染(例えば、皮膚の細菌性、ウイルス性、真菌性または寄生性感染)、尋常性天疱瘡、移植片対宿主疾患(例えば、急性皮膚移植片対宿主疾患)、乾癬、薬剤関連過敏反応、紫外線誘発損傷、および座瘡を含むが、これらに限定されない。本明細書に記載の方法によって治療できる他の炎症性疾患は、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群、喘息、気管支炎および嚢胞性線維症といった肺疾患;関節炎(例えばリューマチ性関節炎)といった関節の炎症性疾患;炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎といった消化管の炎症性疾患;脳脊髄炎および多発性硬化症といった神経系の炎症性疾患;内分泌系の炎症性疾患(例えば、グレーブス病、橋本病);多臓器炎症性疾患(例えば、全身性エリテマトーデス);および肝炎(例えば、ウイルス性慢性肝炎)、再灌流損傷(例えば心筋の)、腎炎、膵炎、動脈閉塞(例えば網膜の)および/または脈管炎といった腎、血管、および肝疾患を含む。炎症性疾患は急性であっても慢性であってもよく、および好ましくは白血球を媒介とする。一部の実施形態では、炎症性疾患は慢性的な炎症と関連し、例えば、疾患は、乾癬、サルコイドーシスおよびリューマチ性関節炎といった炎症性腸疾患である。一実施形態では、疾患は関節炎である。
一実施形態では、本明細書に記載の抗体およびその抗原結合部分は、組織再生が目的とされる疾患(例えば、卒中、糖尿病、肝疾患、肺疾患、熱傷)を治療するために、幹細胞(例えば、神経、肝、腎、心筋、筋肉、およびその他の組織を再生する能力を有する幹細胞)を投与する方法に使用される。
治療または予防できる癌の例は、黒色腫、基底細胞および扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、白血病およびリンパ腫(例えば、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄球性白血病、ホジキン病、非ホジキン性リンパ腫、バーキットリンパ腫、および菌状息肉腫)といった骨髄異形成症候群皮膚癌を含むが、これらに限定されない。また、腫瘍性疾患、および乳房、肺、腎臓、子宮、前立腺、膀胱、卵巣、結腸の腺癌といった充実性腫瘍疾患;脂肪肉腫、滑膜肉腫、横紋筋肉腫、ユーイング腫瘍、神経上皮腫といった肉腫;および網膜芽腫、ウィルムス腫瘍、および中皮腫といった他の腫瘍も含まれる。一実施形態では、癌関連疾患は、造血性癌、例えば急性リンパ球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、疾患は癌であり、癌はHCELL発現癌である。
一実施形態では、対象は、疾患、例えば、造血性疾患、癌関連疾患、癌、炎症性疾患、自己免疫性疾患、または不妊を予防するために治療される。対象は、それら疾患のリスクを有する者、例えば、該疾患に罹患した親戚を持つ対象、例えば、祖父母、親、おじ、おば、兄弟姉妹、または子供のうち一人以上が疾患に罹患しているかまたは罹患したことがある対象、または、疾患のリスクに関連した遺伝形質を有する対象であってよい。対象は、哺乳類、例えば、霊長類、好ましくは、高等霊長類、例えば、ヒト(例えば、本明細書に記載の疾患のリスクを有する患者)であってよい。CD44抗体またはその部分は、全身的に(例えば、経口的に、非経口的に、皮下注射で、静脈内に、直腸内に、筋肉注射で、腹腔内に、鼻腔内に、経皮的に、または吸入または腔内装置によって)、局所的に、または鼻、喉および気管支といった粘膜への塗布によって、対象に投与できる。
一実施態様では、本発明は、HCELL−セレクチン相互作用を特徴とする疾患を治療する方法に関する。本方法は、例えば:HCELL−セレクチン相互作用を調節する抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)、またはその抗原結合部分を対象に投与し、それによって疾患を治療:を含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、一つ以上のHCELL−セレクチン相互作用を促進する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、一つ以上のHCELL−セレクチン相互作用を阻害する。一実施形態では、疾患は、造血性疾患、炎症性ないし自己免疫性疾患、または癌関連疾患、アテローム性動脈硬化症および他の血管疾患である。
一実施形態では、疾患は造血性疾患である。一実施形態では、疾患は炎症性または自己免疫性疾患、例えば、皮膚の炎症性または自己免疫性疾患、例えば、急性皮膚移植片対宿主疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎または接触性皮膚炎、および熱傷である。
一実施形態では、疾患は、癌、例えば、乳房、結腸または卵巣の癌である。
別の実施態様では、本発明はHCELL/CD44−ヒアルロン酸相互作用を特徴とする疾患を治療する方法に関する。本方法は、例えば:HCELL/CD44−ヒアルロン酸相互作用を調節する抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって疾患を治療:を含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELL/CD44−ヒアルロン酸相互作用を促進する。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELL/CD44−ヒアルロン酸相互作用を阻害する。一実施形態では、疾患は造血性疾患、炎症性疾患、癌関連疾患、または自己免疫性疾患である。
一実施形態では、炎症性疾患は関節炎である。一実施形態では、疾患は移植片対宿主疾患である。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELL/CD44−ヒアルロン酸相互作用を促進する。一実施形態では、疾患は、免疫反応の向上が望まれる疾患、例えば、感染、抗腫瘍反応である。一実施形態では、疾患は、造血幹細胞移植を必要とする造血性疾患である。一実施形態では、疾患は組織再生を必要とする疾患(例えば、神経変性疾患、卒中、心疾患、肺疾患、傷の治癒)である。
別の実施態様では、本発明は、造血性癌を特徴付ける方法に関する。本方法は、例えば:抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)の癌との結合を評価し、それによって癌を特徴付け:を含む。一実施形態では、癌は造血性癌(例えば、リンパ腫、または白血病)である。
本発明はまた、細胞、例えば、癌細胞、または白血球を殺滅、または除去する方法に関する。本発明の方法は、細胞または近傍細胞を、細胞を除去または殺滅するために十分な量、本明細書に記載の抗CD44抗体と、接触させることを含む。
別の実施態様では、本発明は、対象中のCD44発現癌、例えば、HCELL発現癌、を治療する方法に関する。本方法は、例えば:抗CD44抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって癌を治療:を含む。一実施形態では、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、CD44のCD44リガンドとの相互作用を阻害する。一実施形態では、抗体はさらに標識を含む。一実施形態では、抗体は毒素を含む。一実施形態では、抗体は補体媒介細胞傷害性または抗原依存性細胞傷害性を媒介できる。一実施形態では、本方法は対象へ追加的な物質を投与することを含む。例えば、本方法は、第2の抗体またはその抗原結合部分、化学療法剤、または細胞傷害性物質を含んでいてよい。一実施形態では、癌は黒色腫、乳房、卵巣、結腸、または脳の癌である。
別の実施態様では、本発明は、対象中の癌に対する免疫反応を増加させる方法に関する。本方法は、例えば:抗CD44抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって癌への免疫反応を増加:を含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のCD44リガンド(例えば、ヒアルロン酸)との相互作用を促進する。一実施形態では、本方法は対象へ追加的な物質を投与することを含む。例えば、本方法は、第2の抗体またはその抗原結合部分、化学療法剤、細胞傷害性物質、または免疫調節剤(例えば、組換えサイトカイン)を投与することを含んでいてよい。一実施形態では、癌は黒色腫、乳房、卵巣、結腸、または脳の癌である。
別の実施態様では、本発明は対象中の造血性癌を治療する方法に関する。本方法は、例えば:抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって癌を治療することを含む。一実施形態では、癌はHCELL発現癌(例えば、HCELLリンパ腫および/またはHCELL白血病)である。一実施形態では、抗体はHCELLのHCELLリガンド(例えば、L−セレクチンまたはE−セレクチン)との相互作用を阻害する。一実施形態では、抗体は標識、例えば放射性同位体、または細胞傷害性成分(例えば毒素)に結合する。一実施形態では、本方法は追加的な物質を対象に投与することを含む。例えば、本方法は、第2の抗体またはその抗原結合部分、化学療法剤、または細胞傷害性物質を投与することを含んでいてよい。
さらに別の実施態様では、本発明は、炎症性または血管性または自己免疫性の疾患を治療する方法に関する。本方法は、例えば:抗CD44抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって疾患を治療することを含む。一実施形態では、抗体はCD44のCD44リガンドとの相互作用を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は:CD44のヒアルロン酸との相互作用;HCELLのL−セレクチンとの相互作用;およびHCELLのE−セレクチンとの相互作用:のうち一つ以上を阻害する。一実施形態では、疾患は皮膚の炎症性または自己免疫性疾患(例えば、急性皮膚移植片対宿主疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、または接触性皮膚炎)である。一実施形態では、本方法は追加的な物質を対象に投与することを含む。例えば、本方法は、第2の抗体またはその抗原結合部分、細胞傷害性物質、または抗炎症剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤または糖質コルチコステロイド)、または免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン)を投与することを含んでいてよい。
別の実施態様では、本発明は、炎症性または自己免疫性疾患を治療する方法に関する。本方法は、例えば:抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって疾患を治療することを含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのHCELLリガンドとの相互作用を阻害する。一実施形態では、本方法は追加的な物質を対象に投与することを含む。例えば、本方法は、第2の抗体またはその抗原結合部分、細胞傷害性物質、または抗炎症剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤または糖質コルチコステロイド)、または免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン)を投与することを含んでいてよい。一実施形態では、疾患は関節炎である。一実施形態では、疾患は移植片対宿主疾患である。
別の実施態様では、本発明は感染性疾患を治療する方法に関する。本方法は、例えば:抗CD44抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって疾患を治療することを含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、CD44のCD44リガンドとの相互作用を促進する。別の実施形態では、それは、CD44のそのリガンドまたは複数のリガンドとの相互作用を促進する。一実施形態では、本方法は追加的な物質を対象に投与することを含む。例えば、本方法は、第2の抗体またはその抗原結合部分、細胞傷害性物質、抗炎症剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤または糖質コルチコステロイド)、または免疫調節剤を投与することを含んでいてよい。
一実施形態では、感染性疾患は、インフルエンザウイルスの感染である。治療できる他のウイルス性感染は、下記のウイルスのうち一つ以上の感染を含む:ヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、天然痘、ヒトパピロマウイルス類、アデノウイルス類、ライノウイルス類、コロナウイルス類、単純ヘルペスウイルス類、呼吸器合胞体ウイルス類、狂犬病およびコクサッキーウイルス。
別の実施態様では、本発明は、感染性疾患を治療する方法に関する。本方法は、例えば:抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって疾患を治療することを含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELLのHCELLリガンドとの相互作用を促進する。一実施形態では、本方法は追加的な物質を対象に投与することを含む。例えば、本方法は、第2の抗体またはその抗原結合部分、細胞傷害性物質、抗炎症剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤または糖質コルチコステロイド)、または免疫調節剤を投与することを含んでいてよい。
別の実施態様では、本発明は、対象中の避妊を調節する方法に関する。本方法は、例えば:抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって対象における避妊を調節することを含む。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELL−セレクチン相互作用(例えば、妊娠を予防し、および/または着床の可能性を減少させるために)を阻害する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、HCELL−セレクチン相互作用(例えば、受胎を刺激し、および/または着床の可能性を増加させるために)を促進する。一実施形態では、本方法は第2剤(例えば、ホルモン)を対象に投与することを含む。
別の実施態様では、本発明は、哺乳類の対象中で、胚の着床を調節する方法に関する。本方法は、例えば:抗HCELL抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を対象に投与し、それによって対象中の胚の着床を調節することを含む。一実施形態では、抗HCELL抗体またはその抗原結合部分は、HCELL−L−セレクチン相互作用を(例えば、胚の着床を予防し、およびそれによって妊娠を予防するために)阻害する。抗体またはその抗原結合部分を、一つ以上の追加的な物質、例えば、着床の可能性を減少させる物質と共に投与してよい。
別の実施態様では、本発明は、HCELL−セレクチン相互作用を調節する抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分);およびHCELL−セレクチン相互作用を特徴とする疾患のリスクを有する対象に抗体を投与するための指示書:を含むキットに関する。一部の実施形態では、キットは抗体および医薬品として許容されるキャリヤを含む医薬組成物を含んでいてよい。
別の実施態様では、本発明は、HCELL糖タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体または抗原結合部分)を含むキットに関するものであり、抗体またはその抗原結合部分が、下記の特性のうち一つ以上を有する:(a)抗体またはその抗原結合部分が、CD44の非HCELLグリコフォームに特異的に結合しない;(b)抗体またはその抗原結合部分が、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を調節する;(c)抗体またはその抗原結合部分がE−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する;(d)抗体またはその抗原結合部分がL−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。キットは、指示書、例えば、例えば本明細書に記載の疾患を治療する方法において使用するための指示書をさらに含んでいてよい。
別の実施態様では、本発明は、CD44に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分);およびCD44−ヒアルロン酸相互作用を特徴とする疾患のリスクを有する対象に抗体を投与するための指示書;を含むキットに関する。一部の実施形態では、キットは、抗体および医薬品として許容されるキャリヤを含む医薬組成物を含んでいてよい。
別の実施態様では、本発明は、CD44に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合部分)を含むキットに関するものであり、抗体またはその抗原結合部分がヒアルロン酸に対するCD44の結合を調節する(例えば、ヒアルロン酸に対するCD44の結合を増加または減少させる)。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、L−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。キットは、指示書、例えば、例えば本明細書に記載の疾患を治療する方法において使用するための指示書をさらに含んでいてよい。
別の実施態様では、本発明は医薬品として許容されるキャリヤ、賦形剤または安定剤、および少なくとも一つ以上の本明細書に記載の抗CD44抗体(またはその部分)を含む組成物、例えば、医薬組成物を提供する。好ましい実施形態では、抗体は、標識または治療剤に結合している。一実施形態では、組成物、例えば、医薬組成物は、二つ以上の上記の抗CD44抗体の組み合わせを含む。抗CD44抗体と薬剤、例えば、治療剤との組み合わせもまた本発明の範囲内である。
本発明はまた、本明細書に記載の抗体の重鎖および軽鎖をコードする核酸配列に関する。例えば、本発明は、本明細書に記載の抗CD44抗体分子の重鎖および軽鎖可変領域をそれぞれコードする第1および第2の核酸に関する。別の実施態様では、本発明は、本発明の核酸を含む宿主細胞およびベクターに関する。
別の実施態様では、本発明は、抗CD44抗体またはその抗原結合部分を作製する方法に関する。本方法は:重鎖可変領域をコードする第1の核酸を提供し;軽鎖可変領域をコードする第2の核酸を提供し;さらに、該軽鎖および重鎖可変領域が発現されさらに組み立てられる条件下で、該第1および第2の核酸を宿主細胞に導入する;工程を含む。
第1および第2の核酸は、結合していても結合していなくてもよい、例えば、それぞれ同一または異なるベクター上に発現させてもよい。宿主細胞は、真核細胞、例えば、哺乳細胞、昆虫細胞、酵母細胞、または原核細胞、例えば、大腸菌であってよい。例えば、哺乳細胞は培養された細胞または細胞株であってもよい。例示的な哺乳細胞は、リンパ球性細胞株(例えばNS0)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS細胞、卵母細胞、およびトランスジェニック動物由来の細胞、例えば、哺乳類の上皮細胞を含む。例えば、本明細書に記載の抗体をコードする核酸は、トランスジェニック動物中に発現することができる。一実施形態では、核酸は組織特異的プロモーター(例えば、哺乳類に特異的なプロモーター)の制御下に配置され、さらに、抗体はトランスジェニック動物において産生される。例えば、抗体分子はトランスジェニックウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギまたはげっ歯類といった、トランスジェニック動物の乳に分泌される。
本発明の方法、例えば治療または予防法は、例えば、疾患の症状またはマーカー、例えば、腫瘍の大きさ;癌マーカーの値、新病変の出現率、新しい疾患に関連する症状の出現;軟組織塊の大きさ、例えば減少または安定化;生活の質、例えば、疾患に関連する疼痛量、例えば、骨痛;または臨床結果に関連した任意の他のパラメータにおける変化(例えば、増加または減少)に関して、対象を監視する工程をさらに含んでいてよい。対象は、下記の期間のうち一つ以上にわたって監視できる:治療の開始前;治療中;または一つ以上の治療要素が投与された後。監視は、同一のCD44抗体またはその部分によるさらなる治療、または追加的な物質による追加的な治療の必要性を評価するために使用できる。一般に、上記のパラメータのうち一つ以上の低下は、対象の改善された状態を示す。もっとも、血清ヘモグロビン値の場合は、その上昇は対象の改善された状態と関連している。
CD44抗体またはその部分は、単独で結合されていない形態で使用でき、それによって、CD44発現細胞を、例えば、補体媒介細胞溶解および/またはエフェクター細胞媒介細胞殺滅といった、抗体依存性細胞殺滅メカニズムによって、除去または殺滅することができる。他の実施形態では、抗CD44抗体またはその部分は、(抗体コンジュゲートのように)物質に結合させてよく、そのような物質として、例えば、細胞傷害性物質または細胞傷害性部分、例えば、治療剤、放射線放出化合物、植物、真菌、または細菌起源の分子、または生物タンパク質(例えば、タンパク質毒素)または粒子(例えば、組換えウイルス粒子、例えば、ウイルス外被タンパク質を介して)が挙げられる。例えば、抗CD44抗体、またはその部分は、α−、β−、またはγ−放射体、またはβ−およびγ−放射体といった放射性同位体に結合させてもよい。放射性同位体の例は、ヨウ素(131Iまたは125I)、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、またはビスマス(212Biまたは213Bi)を含む。代替的に、抗CD44抗体またはその抗原結合部分を、生物タンパク質、植物または細菌起源の分子(またはその誘導体)に結合させてもよい。
本発明の方法および組成物は、他の治療法と組み合わせて使用できる。一実施形態では、本発明の方法は、該疾患を治療または予防するのに有効な量で、細胞傷害性物質と組み合わせて、本明細書に記載の抗CD44抗体またはその部分を対象に投与することを含む。抗体および細胞傷害性物質は、同時または連続的に投与してよい。他の実施形態では、本発明の方法および組成物は、外科的および/または放射線処置と組み合わせて使用される。さらに別の実施形態では、本方法は、免疫調節剤、例えばIL−1、2、4、6、または12、またはインターフェロンアルファまたはガンマ、またはGM−CSFといった免疫細胞増殖因子と組み合わせて使用できる。他の実施形態では、本方法は、抗炎症治療または免疫抑制治療と組み合わせて使用される。抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン等)、COX−2阻害剤類(例えば、ロフェコキシブ、およびセレコクシブ);ロイコトリエン合成阻害剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ステロイド化学誘導体、炎症性サイトカインアンタゴニスト、および免疫反応の調節に関与する分子に対する抗体(例えば、抗CD3抗体、抗CD4抗体)を含む。免疫抑制剤は、シクロスポリン、FK−506、デキサメタゾン、およびアザチオプリンを含む。
別の実施態様では、本発明は、in vitroの試料(例えば、生体試料、例えば、血清、精液または尿または組織生検、例えば、骨髄)中におけるCD44タンパク質の存在を検出する方法に関する。対象となる方法は、本明細書に記載の疾患を評価(例えば、診断または病期診断)するのに使用できる。本方法は:(i)抗CD44抗体とCD44タンパク質の相互反応を生じさせる条件下で、試料(および必要に応じて参照、例えば、対照試料)に、本明細書に記載の抗CD44抗体またはその部分を接触させ;さらに(ii)抗CD44抗体と試料(および必要に応じて、参照、例えば対照、試料)との間の複合体の形成を検出する;工程を含む。複合体の形成はCD44タンパク質の存在を示し、さらに本明細書に記載の治療の適切性または必要性を示す。例えば、試料において参照試料、例えば対照試料と比較した、複合体形成の統計的に有意な変化は、試料中のCD44の存在を示す。
さらに別の実施態様では、本発明は、CD44タンパク質の存在をin vitro(例えば、生体試料、例えば、血清、精液または尿、または組織生検、例えば、骨髄)で検出する方法に関する。その方法は、本明細書に記載の疾患を評価(例えば、診断または病期診断)するのに使用できる。本方法は:(i)抗CD44抗体とCD44タンパク質との相互反応を生じさせる条件下で、試料(および必要に応じて、参照、例えば対照試料)に、本明細書に記載のような抗CD44抗体またはその部分を接触させ;さらに(ii)抗CD44抗体とCD44タンパク質(および必要に応じて、参照、例えば、対照、試料)との間の複合体の形成を検出する;工程を含む。複合体の形成は、CD44タンパク質の存在を示唆し、さらに本明細書中に記載の治療への適性または必要性を示唆する。例えば、基準試料、または対象のベースラインに対して、対象での複合体の形成の統計的に有意な変化は、CD44の存在を示唆する。
さらに別の実施態様では、本発明はCD44の存在をin vivo(例えば、対象中のin vivoイメージング)で検出する方法を提供する。本方法は、対象、例えば、哺乳類、例えば、霊長類、例えば、ヒトにおいて、本明細書に記載の疾患を評価(例えば診断または病期診断)するのに使用できる。本方法は:(i)抗CD44抗体(またはその部分)とCD44タンパク質との相互作用を生じさせる条件下で、抗CD44抗体(またはその抗原結合部分)を対象に投与し;さらに(ii)抗体またはタンパク質とCD44との間の複合体の形成を検出する;工程を含む。参照、例えば、対照対象または対象のベースラインに対する、対象における複合体の形成における統計的に有意な変化は、CD44の存在を示す。
他の実施形態では、本明細書に記載の疾患を診断または病期診断する方法を提供する。本方法は:(i)疾患に罹患している、または罹患するリスクを有する対象を特定し;(ii)疾患に罹患した組織または細胞の試料を取得し;(iii)結合物質とCD44タンパク質との相互作用を発生させる条件下で、該試料または対照試料に、本明細書に記載の抗CD44抗体を接触させ;さらに(iv)複合体の形成を検出する;工程を含む。参照試料、例えば対照試料に対する、抗体(またはその部分)との間での複合体の形成における統計的に有意な変化は、疾患または疾患の病期診断を示す。
好ましくは、in vivoおよびin vitro診断方法で使用される抗CD44抗体またはその部分は、検出可能な物質で直接的または間接的に標識され、結合されたまたは結合されていない結合物質(binding agent)の検出を容易にする。適当な検出可能な物質は、さまざまな生物活性な酵素、補欠分子族、蛍光物質、化学発光物質、常磁性(例えば核磁気共鳴活性標識)物質、および放射性物質を含む。一部の実施形態では、抗CD44抗体またはその部分は、放射性イオン、例えば、インジウム(111In)、ヨウ素(131Iまたは125I)、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、硫黄(35S)、炭素(14C)、トリチウム(H)、ロジウム(188Rh)、テクネチウム(99mTc)、プラセオジム、またはリン(32P)に結合する。
本発明の他の特徴および利点は下記の詳細な説明および請求項により、一層明らかになるであろう。
本発明は、特に、CD44またはCD44の特定のグリコフォーム、例えば、CD44のHCELLグリコフォームに対する、抗体またはその抗原結合部分を提供する。抗CD44抗体は、CD44、例えば、CD44の特定のグリコフォーム(例えば、HCELL)の、リガンド、例えば、L−セレクチン、E−セレクチン、またはヒアルロン酸への結合を調節できる。(a)ヒアルロン酸への結合、(b)L−セレクチンへの結合、および(c)E−セレクチンへの結合のうち一つ以上を調節する抗CD44(例えば、抗HCELL抗体)は、in vitroおよびin vivoでさまざまな用途に用いることができる。加えて、本発明は、CD44グリコフォームを有する細胞の部分集団を定義する、CD44上のフコ−スおよび/またはシアル酸といったグリコシル化を認識する抗体を提供する。例えば、HCELLに特異的に結合する抗体は、HCELL発現造血前駆細胞(HPC)をHPCの集団から単離するのに用いることができる。この方法でのHPCの濃縮は、非濃縮集団よりも高い生着可能性を有するHPC集団を生じることができる。HCELLがHCELLリガンド(例えば、L−セレクチンまたはE−セレクチン)に結合する能力を促進または増大する抗HCELL抗体もまた、HPCの生着可能性を高めることができる。別の一実施形態では、抗CD44、例えば、抗HCELL抗体またはその抗原結合部分は、再生治療のために損傷組織への幹細胞のホ−ミングを促進するのに用いることができる。別の一実施形態では、抗CD44、例えば、抗HCELL抗体は、CD44(例えば、HCELL)発現癌、例えば、HCELL発現白血病、リンパ腫、および骨髄異形成症候群を診断、評価、および/または治療するのに用いることができる。抗CD44、例えば、抗HCELL抗体は、他のL−セレクチンおよびE−セレクチン依存性過程に用いることができる。例えば、その抗体は、避妊、および受精後の胚の着床中に起こる、L−セレクチン相互作用を阻害または促進するのに用いることができる。
CD44のCD44リガンドとの相互作用を阻害する抗CD44抗体は、例えば、急性および慢性の炎症性および自己免疫性疾患(例えば、乾癬、アトピー−性皮膚炎、または関節炎)を治療するために、CD44発現細胞のその標的との接触を遮断することによって、CD44発現細胞の活性を遮断するのに用いることができる。CD44−CD44リガンド相互作用を促進する抗CD44抗体は、免疫反応を増強するため(例えば、感染症を治療するため)に用いることができる。
本発明をより容易に理解するために、一部の用語をまず定義する。詳細な説明の全体を通じて追加の定義が示される。
ここで用いられる「CD44」は、哺乳類CD44、好ましくはヒトCD44をいう。CD44(別名HCAM、Pgp−1およびHermes抗原)は、リンパ球、造血前駆細胞、および非造血細胞上で発現される多型細胞膜貫通型糖タンパク質である。ヒトCD44は、CD44S、CD44H、HCELL、CD44R1、CD44R2を含むいくつかのタンパク質産物を含み、Screaton、 G. R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89 (24), 12160-12164 (1992)(ゲノム配列)に開示されるCD44核酸の選択的にスプライシングされたmRNA変異体によってコードされる。CD44の語はまた、CD44のさまざまなグリコフォームもいう。CD44の語はまた、Screaton, G. R., et al., (Proc. Natl. Acad.Sci.U.S.A. 89 (24), 12160-12164(1992))に開示された核酸配列と、ストリンジェントな条件下、例えば高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列も称する。
ヒトCD44をコードする遺伝子は、20個のエクソンから成る(以前の文献では19個のエクソン、エクソン6Aおよび6Bは6および7として再分類され、計20個のエクソンとなっている)。ヒト第11染色体の短腕上に位置する単一の遺伝子がCD44をコードするが、20個のエクソンのうち12個の選択的スプライシングから生じる複数のmRNA転写物が同定されている。CD44の標準的なおよび最も優勢な型(CD44sと称する)は、エクソン1〜5、16〜18、および20によってコードされるタンパク質から成る。この型は造血細胞上で最も優勢な型であり、および別名CD44Hという。CD44sは、細胞外ドメイン(エクソン1〜5および16)、高度に保存された膜貫通ドメイン(エクソン18)、および細胞質ドメイン(エクソン20)を示す。ヒトCD44sの1482BPのオープン・リーディング・フレームmRNAは、37KDA以下のポリペプチド鎖の翻訳を結果として生じる。N−結合型およびO−結合型糖鎖の翻訳後付加は、SDS−PAGEによって推定される最終的なCD44タンパク質の、85KDA以下の分子量に寄与する。
CD44(CD44H)の標準的なまたは造血アイソフォームは、アミノ酸(aa)270個以下の細胞外ドメインから成る1型膜貫通分子である(20aaのリーダー配列、21AAの膜貫通ドメインおよび72aaの細胞質ドメインを含む)。アミノ末端の180個以下のAAは哺乳類種間で保存されている(85%以下の相同性)。この領域は、6個の保存されたシステイン、およびNグリコシル化のための6個の保存された共通部位を含む。N−グリコシル化のための5個の保存された共通部位は、CD44のアミノ末端の120aa中に位置する。5つの部位すべてが、マウスおよびヒト細胞株で利用されているように見える。いくつかの研究は、細胞特異的N−グリコシル化がCD44のHA結合機能を調節できることを示している。細胞株および正常B細胞は、異なるHA結合状態に伴って、N−グリコシル化に差を示した。特に、HA結合細胞に由来するCD44は、非HA結合細胞に由来するものより少ないグリコシル化を有した。加えて、シアル酸の除去(細胞表面からおよびCD44−Ig融合タンパク質からの両方)はHA結合を促進する。
対照的に、非保存領域(aa183ないし256)は、哺乳類種間で35%以下の類似性しか示さない。この領域は、CD44の多数の糖修飾のための可能な部位、および、CD44遺伝子の可変エクソンに由来する追加のアミノ酸配列の挿入を可能にする選択的スプライシングの部位を含む。
HCELLポリペプチドは、(標準型またはスプライス変異体の)CD44のアミノ酸配列を含み、グリコシル化されるため、E−セレクチンおよび/または、L−セレクチンと相互作用する。例えば、HCELLポリペプチドは、モノクローナル抗体HECA−452(ATCC番号:HB−11485)の結合特異性を有する抗体と相互作用するポリペプチドであってよい。HECA−452は、抗原と関連した皮膚のリンパ球を認識する。HECA−452のHCELLとの結合は、N−グリコシダーゼ−F、シアリダーゼまたはフコシダーゼ処理後に、減少する。さらに、HCELL活性、例えばE−セレクチンおよびL−セレクチンの結合もまた、N−グリコシダーゼ−F、シアリダーゼ、またはフコシダーゼ処理の直後に減少し、HCELL機能におけるシアルフコシル化されたN結合型グリカンの重要性を示す。対照的に、CD44のシアル化は、ヒアルロン酸に対するCD44の結合を阻害するが、CD44のHCELLグリコフォームはヒアルロン酸結合を保持する。さらに、ヒアルロン酸に結合するCD44は、硫酸化によって増加するが、HCELLのE−セレクチンおよびL−セレクチン活性には硫酸化は必要でない。
一実施形態では、CD44ポリペプチドは、CD44(CD44H)の標準的または造血アイソフォームである。代替的に、CD44ポリペプチドは、R1(CD44R1)またはR2イソフォーム(CD44R2)といったスプライスされたイソフォームでもよい。他の実施形態では、CD44はHCELLポリペプチド、例えば国際特許公報第WO02/44342号に記載のポリペプチドであってよい。他の実施形態では、CD44ポリペプチドは公知の異形体またはグリコフォームである。
CD44のリガンドは、ヒアルロン酸、E−セレクチン、L−セレクチン、フィブロネクチン、およびコラーゲンを含む。
「抗CD44抗体」は、CD44、好ましくはヒトCD44、と相互作用する(例えば、結合する)抗体である。好ましくは、抗CD44抗体は、CD44の細胞外ドメイン、例えば、ヒトCD44の細胞外ドメイン、例えば、エクソン1〜17のうち一つ以上のよってコードされたタンパク質の部分と、相互作用、例えば結合する抗体である。抗CD44抗体は、エピトープ、例えば立体構造または直線状エピトープに結合してもよい。
好ましい実施形態では、相互作用、例えば結合、は、高い親和性(例えば、少なくとも10−1、好ましくは10−1ないし1010−1、または約10−1の親和定数)および特異性で発生する。一部の実施形態では、抗CD44抗体は、細胞、例えばCD44発現細胞(例えば、造血前駆体細胞またはリンパ球)を処理、例えば除去または殺滅する。一実施形態では、抗CD44抗体は、細胞中でおよび/または該細胞に近接する血管内皮細胞中で発現したCD44に結合し、吸収されてもよい。それら実施形態では抗CD44抗体は、細胞の第2の部分、例えば標識剤を標的化するために使用できる。他の実施形態では、抗CD44抗体は、CD44の細胞外ドメインとの結合直後に、細胞および/またはそれに近接する細胞を、宿主媒介殺滅、例えば補体またはADCC媒介殺滅を媒介してもよい。細胞は、抗CD44抗体によって、細胞またはそれに近接する細胞と直接結合することによって、殺滅できる。
ここで用いられる用語「治療する」または「治療」は、抗CD44抗体またはその抗原結合部分の対象、例えば患者への適用または投与、または、対象例えば患者から単離された組織または細胞への適用または投与の後、患者に戻されるものと定義される。抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、単独でまたはと第2剤と組み合わせて投与できる。対象は、疾患(例えば本明細書に記載の疾患)、疾患の症状または疾患の素因を有する患者であってよい。治療は、疾患、疾患の症状または疾患の素因を、治癒、治療、軽減、緩和、修正、救済、是正、改善、軽減、向上するまたは影響を及ぼすことである。
ここで用いられる、疾患を治療するために有効な抗CD44抗体の量、または「治療的効果量」は、細胞(例えば、造血細胞、白血球、癌細胞(例えば、CD44発現細胞)を治療する際、または本明細書に記載の疾患を有する患者を延命、治癒、軽減、救済または向上する際に、これら治療が行われない場合に予想される以上に、対象への単回または複数の投与によって有効となる抗体の量をいう。治療は、対象またはドナーの細胞を抗体でex vivoで操作し、対象に再導入する実施形態を含んでいてよい。
ここで用いられる、疾患を予防するために有効な抗CD44抗体の量、または抗体の「予防的効果量」は、疾患の発生または再発を予防または遅延させ、またはその症状を治療する際に、単回または複数回の投与によって有効となる抗CD44抗体(例えば本明細書に記載の抗CD44抗体)の量をいう。
用語「促進する」、「誘導する」、「阻害する」、「増強する」、「上昇させる」、「増加する」、「減少する」等、例えば、二つの状態の量的な差を示す用語は、その二つの状態の間の差、例えば統計的または臨床的に有意な差をいう。
ここで用いられる用語「特異的結合」は:(1)CD44、例えばヒトCD44タンパク質および/またはCD44の特定のグリコフォームと少なくとも1×10−1の親和性で結合し;さらに(2)好ましくはCD44、例えばヒトCD44タンパク質)と、CD44以外の非特異的抗原(例えばBSA、カゼイン)に結合するための親和性よりも少なくとも2倍、50倍、100倍、1000倍、またはそれ以上の親和性で結合する;抗体の特性を称する。
ここで用いられる用語「抗体」は、少なくとも一つ以上、および好ましくは二つの重鎖(H)可変領域(本明細書中でVHと略される)、および少なくとも一つ以上および二つの好ましくは軽鎖(L)可変領域(本明細書中でVLと略される)をいう。VHおよびVL領域は、「補体決定領域」(「CDR」)と呼ばれる超可変性領域へとさらに分割でき、より保存された「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれる領域が組み込まれている。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、厳密に定義されてきた(参照により本開示に含まれるKabat, E.A., et al.(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、 およびChothia,C. et al.(1987) J. Mol. Biol. 196:901-917を参照)。好ましくは、各VHおよびVLはアミノ末端からカルボキシル末端まで下記の順序で配置される三つのCDRおよび四つのFRから成る:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
抗体のVHまたはVLは、重鎖または軽鎖定常領域のすべてまたは一部をさらに含んでいてよい。一実施形態では、抗体は二つの免疫グロブリン重鎖および二つの免疫グロブリン軽鎖から成る四量体であり、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖は相互接続、例えばジスルフィド結合される。重鎖定常領域は三つのドメイン、CH1、CH2およびCH3から成る。軽鎖定常領域は一つのドメインCLから成る。重鎖および軽鎖可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、典型的には、免疫系のさまざまな細胞(例えばエフェクター細胞)および、伝統的な補体系の第1成分(Clq)を含む抗体の宿主組織または因子との結合を媒介する。用語「抗体」は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM型(およびそれらの亜型)の完全な免疫グロブリンを含み、免疫グロブリンの軽鎖はカッパ型またはラムダ型であってよい。
ここで用いられる用語「免疫グロブリン」は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされた一つ以上のポリペプチドから成るタンパク質である。認識されたヒト免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、エプシロンおよびミュー定常領域の遺伝子、および無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。完全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25Kdまたは214アミノ酸)は、NH2末端(約110アミノ酸)における可変領域遺伝子およびCOOH末端におけるとカッパまたはラムダ定常領域の遺伝子によってコードされる。完全長免疫グロブリン「重鎖」(約50Kdまたは446アミノ酸)は、同様に、可変領域遺伝子(約116アミノ酸)、および他の上記の定常領域遺伝子のうち一つ、例えば(約330アミノ酸をコードする)ガンマによってコードされる。用語「免疫グロブリン」は、非ヒトソース由来、例えば非ヒト抗体由来、例えばマウス免疫グロブリンまたはその他の非ヒト免疫グロブリン由来、共通配列由来のCDR、またはファージディスプレイによって産生された配列由来、または多様性を産生する任意の他の方法からのCDR;を含み;および、非ヒトフレームワークよりも抗原性の低いフレームワーク、例えば、非ヒト免疫グロブリン由来のCDRの場合、ヒトCDRを取り出した非ヒトフレームワークよりも抗原性の低いフレームワーク:を有する免疫グロブリンを含む。免疫グロブリンのフレームワークは、ヒト、ヒト化された非ヒト、例えば、ヒト中で抗原性を減少するよう修飾されたマウスフレームワーク、または合成フレームワーク、例えば共通配列であってよい。
ここで用いられる、「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体のクラス(例えば、IgMまたはIgG1)をいう。
ここで用いられる、抗体の「抗原結合部分」(または、単に「抗体部分」または「部分」)という用語は、CD44(例えばヒトCD44)に特異的に結合する抗体の部分、例えば、一つ以上の免疫グロブリン鎖が完全長ではないが、CD44(例えばヒトCD44)に特異的に結合する分子をいう。抗体の「抗原結合部分」という用語中に包含された結合部分の例は、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインから成る一価部分であるFab部分;(ii)ヒンジ領域のジスルフィド架橋によって結合された二つのFab部分を含む二価部分である、F(ab’)部分;(iii)VHおよびCH1ドメインから成るFd部分;(iv)抗体の単腕のVLおよびVHドメインから成るdAb部分(Ward et al. (1989) Nature341: 544-546);および(vi)特異的結合のために十分なフレームワークを有する単離された相補性決定領域(CDR)、例えば、可変領域の抗原結合部分を含む。軽鎖可変領域の抗原結合部分および重鎖可変領域の抗原結合部分、例えば、Fv部分の二つのドメイン、VLおよびVHは、組換え手法を使用して、VLおよびVHを、VLおよびVHの領域対が一価分子を形成する一本鎖タンパク質にできる合成リンカーで接合できる。(一本鎖Fv(scFv)として公知である、例えば、Bird et al. (1988) Science242: 423-426;およびHusotonet al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci.米国85:5879-5883を参照。)このような一本鎖抗体は、抗体の「抗原結合部分」という用語中に包含されるよう意図されている。これら抗体部分は、当業者に公知の従来技術を使用することで取得され、および、完全な抗体と同じ方法でこの部分は実用目的でスクリーニングされる。
用語「単一特異性抗体」は、特定の目標、例えばエピトープに対して、単一の結合特異性および親和性を示す抗体をいう。この用語は「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」を含み、これらはここで用いられるように、単一の分子組成物の抗体またはその部分の調製をいう。
ここで用いられる用語「組換え」抗体は、宿主細胞に遺伝子導入された組換え発現ベクターを使用して発現された抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリから単離された抗体、ヒト免疫グロブリンに関して遺伝子導入された動物(例えばマウス)から単離された抗体、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作成または単離された抗体といった、組換え手段によって調製、発現、作成、または単離された抗体をいう。このような組換え抗体は、ヒト化された、CDR移植された、キメラ、in vitroで産生された(例えば、ファージディスプレイによって)抗体を含み、および、必要に応じてヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列から取得した定常領域を含んでいてもよい。
本明細書中で使用される用語「実質的に同一」(または「実質的相同物」)は、本明細書中において、第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列と同一または同等の(例えば、類似の側鎖、例えば、保存されたアミノ酸置換をもった)アミノ酸残基またはヌクレオチドを十分な数だけ含み、その結果、第1および第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列が類似の活性を持つ、第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列のことを称するように用いられる。抗体の場合、第2の抗体は、この抗体の同一の特異性を持ち、この抗体の少なくとも50%の親和性を持つ。
二つの配列間の「相同性」の計算は、下記の通り実行できる。配列を最適な比較のために整列させる。(例えば、最適整列のために、ギャップを第1および第2のアミノ酸または核酸配列のうち一つまたは両方に導入でき、非相同配列は比較目的において無視できる)。好ましい実施形態では、比較目的で整列させた参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、より一層好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が、第2の配列の対応位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められる場合、分子は当該位置において同一である。(ここで用いられるように、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と同等である)。二つの配列間の同一性割合(%)は、これらの配列が共有する同一位置の数の関数であり、二つの配列の最適な整列のために導入する必要があるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮している。
二つの配列の間の配列の比較および相同性割合(%)の決定は、数学アルゴリズムを使用して達成できる。好ましい実施形態では、二つのアミノ酸配列の間の相同性割合(%)は、NeedlemanおよびWunsch(1970), J.Mol. Biol. 48: 444-453、すなわち、Blossum62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれか、および16、14、12、10、8、6または4のギャップ重み、および1、2、3、4、5、または6の長さ重みを使用して、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み入れられたアルゴリズムを使用して求められる。さらに別の好ましい実施形態ではでは、二つのヌクレオチド配列間の相同性割合(%)は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを使用し、NWSgapdna.CMPマトリクス、およびギャップ重み40、50、60、70または80、および1、2、3、4、5または6の長さ重みを使用して決定される。特に好ましいパラメータの組(および、分子が本発明の相同性限度内にあるかを決定するのにどのパラメータを適用すべきか、当業者が定かでない場合に使用されるべき組)は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、およびフレームシフトギャップペナルティ5の得点マトリクスを持つBlossum62である。
ここで用いられる用語「低ストリンジェント、中ストリンジェント、高ストリンジェントまたは超高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件について記載する。ハイブリダイゼーション反応を実行するための指針は、参照により本明細書に含まれるCurent Protocol in Molecular Biology., John Wiley & Sons, N.Y. (1989),6.3.1-6.3.6に見ることができる。水系方法および非水系方法はこの参照に記載されており、およびいずれかを使用できる。本明細書で言及される特定のハイブリダーゼーション条件は下記の通りである:1)45℃の6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中での低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の後、少なくとも50℃の0.2XSSC、0.1%SDS中で2回洗浄(低ストリンジェントな条件の場合、洗浄温度は55℃まで上昇させてもよい);2)45℃で6XSSC中での中ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の後、約45℃の0.2XSSC、0.1%SDS中で1回以上洗浄;3)45℃の6XSSC中の高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の後、65℃の0.2XSSC、0.1%SDS中で1回以上洗浄;および好ましくは、4)超高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、65℃の0.5Mリン酸ナトリウム、65℃の7%SDS中の後、65℃の0.2XSSC、0.1%SDS中で洗浄。超高ストリンジェントな条件(4)が、好ましい条件であり、他に指定のない限り使用されるべき条件である。
本発明の抗体およびその抗原結合部分は、付加的な保存アミノ酸置換または非必須アミノ酸置換を有していてよく、これらはポリペプチド機能に実質的に影響を与えないことが理解される。特定の置換が許容されるか否か、すなわち、結合活性のような目的の生物学的特性に悪影響を与えないか否かは、Bowie,JU et alら (1990) Science 247:1306-1310に記載のとおり決定できる。「保存アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を持つアミノ酸残基によって置換される置換である。同様の側鎖を持つアミノ酸残基のファミリーは本分野において定義されてきた。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、極性無電荷側鎖、(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分鎖側鎖、(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を持つアミノ酸を含む。
「非必須」アミノ酸残基は、生物活性を阻害することなく、またはより好ましくは生物活性を実質的に改変することなく、結合物質、例えば抗体の野生型配列から改変することができる残基であり、一方で「必須」アミノ酸残基はこのような変化を引き起こす。
抗CD44抗体
多数の型の抗CD44抗体またはその抗原結合部分が、本発明の方法において有用である。一実施形態では、抗CD44抗体はCD44のHCELLグリコフォームを特異的に認識する。本抗体はまた、下記の特徴の一つ以上を有する:(a)抗体またはその抗原結合部分は、CD44のHCELLグリコフォームに特異的に結合しない;(b)抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するHCELLの結合を調節する;(c)抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する;(d)抗体またはその抗原結合部分は、L−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。「調節する」とは、結合を促進または阻害することを称する。
抗体は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA1、IgA2、IgD、またはIgEを含むさまざまなアイソタイプであってよい。好ましくは、抗体はIgGアイソタイプ、例えば、IgG1である。抗体分子は完全長であってよく(例えば、IgG1またはIgG4抗体)、または抗原結合部分(例えば、FaB、F(ab’)、Fvまたは一本鎖Fv部分)のみを含むものであってもよい。これらは、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体、および前記のものの抗原結合部分を含む。
モノクローナルまたはポリクロ−ナル抗CD44抗体を本発明の方法に用いることができる。加えて、CD44を認識する任意の試薬(例えば、ファ−ジミド)を本発明の方法に用いることができる。好ましくは、抗体または他の試薬は、CD44の細胞外ドメイン(すなわち、細胞外に位置するCD44のエピト−プ)に結合する。
本分野で公知である手法を用いて、CD44に対する別のモノクローナル抗体を作製できる。モノクローナル抗体は、従来のモノクローナル抗体方法論、例えば、Kohler and Milstein, Nature256:495(1975)の標準的な体細胞ハイブリダイゼ−ション法を含む、さまざまな手法によって作製できる。一般的に、Harlow,E. and Lane, D.(1988) Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,NYを参照。
本発明の目的に有用な免疫原は、CD44(例えば、ヒトCD44保持細胞(例えば、KG1a細胞、リンパ球、CD34+造血細胞);CD44発現細胞の膜画分;単離または精製されたCD44、例えば、ヒトCD44タンパク質(例えば、生化学的に単離されたCD44、またはその一部、例えば、CD44の細胞外ドメイン、またはCD44−Igキメラといった、免疫グロブリン産物とCD44の一部の結合によって作製されたCD44の分泌型)を含む。
一実施形態では、抗CD44(例えば、抗HCELL)抗体は、ファ−ジディスプレイライブラリを用いて同定される。典型的な抗体ディスプレイライブラリは、VHドメインおよびVLドメインを含むポリペプチドを提示す「る。抗体ライブラリはいくつかの過程によって構築できる(例えば、de Haard et al.(1999) J. Biol. Chem 274:18218-30; Hoogenboom et al.(1998)Immunotechnology4:1-20.およびHoogenboom et al.(2000) Immunol Today 21: 371-8を参照。
ディスプレイファ−ジでは、ポリペプチド成分(すなわち、抗体)は典型的には、バクテリオファ−ジの外被タンパク質に融合され、外被タンパク質に融合されたポリペプチド成分をコードする核酸の翻訳により生じる。その結合は、可塑性のペプチドリンカー、プロテアーゼ部位、または終止コドンの阻害の結果として組み込まれたアミノ酸を含んでいてよい。ファージディスプレイは、例えば、Ladner et al., 米国特許第5,223,409号明細書; Smith(1985) Science228:1315-1317; 国際公開第92/18619号;第91/17271号;第92/20791号;第92/15679号;第93/01288号;第92/01047号;第92/09690号; 第90/02809号パンフレット; de Haard et al.(1999) J. Biol. Chem 274:18218-30;Hoogenboom et al.(1998) Immunotechnology 4:1-20; Hoogenboom et al.(2000) Immunol Today2:371-8; Fuchs et al.(1991) Bio/technology9: 1370-1372; Hay et al. (1992) Hum Antibod Hybridomas 3: 81-85; Huse et al.(1989) Science246:1275-1281; Griffiths et al.(1993) EMBO J 12: 725-734; Hawkins et al.(1992) J Mol Bio 226:889-896;Clackson et al.(1991) Nature352:624-628; Gram et al.(1992) PNAS89:3576-3580; Garrard et al.(1991) Bio/Technology9:1373-1377; Rebar et al.(1996) Methods Enzymol. 267:129-49; Hoogenboom et al.(1991) Nuc Acid Res 19: 4133-4137; およびBarbas et al.(1991) PNAS88 :7978-7982に記載されている。
ファージディスプレイ系は、繊維状ファージ(ファージF1、FD、およびM13)および他のバクテリオファージ(例えばT7バクテリオファージおよびラムダファージについて開発されている;例えば、Santini(1998) J. Mol. Biol. 282: 125-135; Rosenberg et al.(1996) Innovations6: 1-6; Houshmet al.(1999) Anal Biochem 268: 363-370を参照)。繊維状ファージディスプレイ系は典型的には遺伝子IIIタンパク質といったより少ない外被タンパク質、および主要な外被タンパク質である遺伝子VIIIタンパク質との融合を用いるが、しかし、遺伝子VIタンパク質、遺伝子VIIタンパク質、遺伝子IXタンパク質といった他の外被タンパク質またはそのドメインとの融合もまた用いられている(例えば、国際公開第00/71694号パンフレットを参照)。
抗体ライブラリにおいて抗CD44抗体を同定するために、ファージミド系を利用できる。ファージミド系では、例えば、遺伝子IIIに融合したポリペプチド成分をコードする核酸が、プラスミド上に与えられる。そのプラスミドは、プラスミドを有する細菌細胞が、ヘルパーファージ、例えばM13K01に感染する際に、プラスミドがバクテリオファージ粒子に組み込まれるように、ファ−ジ複製起点を含む。ヘルパーファージは、遺伝子IIIおよび、ファージ複製および組立に必要な他のファージ遺伝子の完全なコピーを提供する。ヘルパーファージは、野生型起点を有するプラスミドとは対照的に、ヘルパーファージゲノムがファージ粒子に効率的に組み込まれないように欠陥のある起点を有する。
本発明において有用である抗CD44抗体またはその一部はまた、目的抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNAを用いて形質転換された宿主細胞によって産生される組換え抗体であってよい。組換え抗体は、公知の遺伝子組換え技術によって作製できる。例えば、組換え抗体は、目的抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードする、ヌクレオチド配列、例えばCDNAまたはゲノムDNAをクローニングすることによって作製できる。それらのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、両方の遺伝子が自身の転写および翻訳発現調節配列と調節可能に結合するように、発現ベクターに挿入される。発現ベクターおよび発現調節配列は、使用する発現宿主細胞と適合するように選択される。典型的には、両方の遺伝子は同一の発現ベクターに挿入される。原核または真核宿主細胞を使用できる。
真核細胞は、原核細胞よりも適切に折り畳まれさらに免疫学的に活性である抗体を組み立ておよび分泌する可能性が高いため、真核宿主細胞における発現が好ましい。しかし、不適当な折り畳みのために不活性である産生された任意の抗体は、公知の方法にしたがって再生可能である(Kim and Baldwin, "Specific Intermediates in theFolding Reactions of Small Proteins and the Mechanism of Protein Folding”, Ann. Rev. Biochem. 51, pp. 459-89(1982))。宿主細胞が完全な抗体の一部、例えば軽鎖二量体または重鎖二量体を産生することが可能であり、それらはまた本発明に記載の抗体の相同物でもある。
上記の手順の改変が本発明において有用であることが理解される。例えば、宿主細胞を、抗体の軽鎖または重鎖のいずれか(しかし両方ではない)をコードするDNAを用いて形質転換することが好ましい可能性がある。CD44結合に必要でない軽鎖および重鎖のいずれかまたは両方をコードするDNAの一部または全部を除去するために、組換えDNA技術もまた使用でき、例えば特定のアミノ酸を除去することによって、例えば定常領域を改変することができる。そのような切断DNA分子から発現された分子は、本発明の方法において有用である。加えて、一方の重鎖および一方の軽鎖が抗CD44抗体であり、および他方の重鎖および軽鎖がCD44以外の抗原またはCD44の別のエピトープに特異的である二官能性抗体を作製できる。
本分野で公知である組換えDNA法を用いてキメラ抗体を作製できる。例えば、マウス(または別の種)モノクローナル抗体分子のFc定常領域をコードする遺伝子を、制限酵素で消化してマウスFcをコードする領域を除去し、さらにヒトFc定常領域をコードする遺伝子の同等の部分で置換する(Robinson et al., 国際特許広報PCT/US86/02269号明細書; Akira, et al., 欧州特許出願公開第184、187号明細書; Taniguchi, M., 欧州特許出願公開第171、496号明細書;Morrison et al., 欧州特許出願公開第173、494号明細書; Neuberger et al., 国際公開第86/01533号パンフレット; Cabilly et al., 米国特許第4、816、567号明細書; Cabilly et al., 欧州特許出願公開第125、023号明細書; Better et al. (1988 Science240: 1041-1043); Liu et al.(1987) PNAS84:3439-3443; Liu et al., 1987、 J. Immunol. 139:3521-3526; Sun et al.(1987) PNAS 84: 214-218; Nishimura et al., 1987、Canc. Res. 47:999-1005; Wood et al. (1985) Nature314:446-449; および Shaw et al.,1988, J. Natl Cancer Inst. 80:1553-1559を参照)。
抗体または免疫グロブリン鎖は、本分野で公知である方法によってヒト化することができる。マウス抗体が一旦得られれば、可変領域を配列決定できる。CDRおよびフレームワーク残基の位置を決定できる(参照により本開示に含まれるKabat, E.A., et al.(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、 およびChothia,C. et al.(1987) J. Mol. Biol. 196:901-917を参照)。軽鎖および重鎖可変領域は、必要に応じて、対応する定常領域にライゲーションできる。
マウス抗CD44抗体(または任意の他の動物で産生された抗CD44抗体)は、本分野で認められた方法を用いて配列決定できる。ヒト化またはCDR移植された抗体分子または免疫グロブリンは、免疫グロブリン鎖のCDRのうち1つ、2つ、またはすべてが置換され得るCDR移植またはCDR置換によって作製できる。例えば、すべて明示的に参照により本開示に含まれる、米国特許第5、225、539号明細書; Jones et al. 1986 Nature321:552-525; Verhoeyan et al.1988 Science 239:1534; Beidler et al. 1988 J. Immunol. 141:4053-4060; Winter米国特許第5,225,539号明細書を参照。さらに、 ヒト化 ポリクロ−ナル 抗体 もまた本明細書で提供される。
WINTERは、本発明のヒト化抗体を作製するために用いることができるCDR移植法を記載し(英国特許出願公開第2188638A号明細書、1987年3月26日出願;WINTER米国特許第5,225,539号明細書)、その内容は明示的に参照により本開示に含まれる。特定のヒト抗体のすべてのCDRを、非ヒトCDRの少なくとも一部で置換でき、またはCDRの一部だけを非ヒトCDRで置換できる。予定される抗原へのヒト化抗体の結合に必要な数のCDRのみを置換すればよい。
ヒト化抗体は、抗原結合に直接には関与しないFv可変領域の配列を、ヒトFv可変領域の同等の配列と置換することによって作製できる。ヒト化抗体を作製するための一般的な方法は、Morrison,S. L., 1985, Science 229:1202-1207によって、Oi et al.,1986、 BioTechniques4:214によって、およびQueenet al. 米国特許第5、585、089号、第5,693,761号および第5,693,762号明細書によって提供され、そのすべての内容は参照により本開示に含まれる。それらの方法は、重鎖または軽鎖の少なくとも一つに由来する免疫グロブリンF可変領域の全部または一部をコードする核酸配列を単離し、操作し、さらに発現させることを含む。そのような核酸の起源は本分野者によく知られており、および、例えば、上記の通り、予定される標的に対する抗体を産生するハイブリドーマから得ることができる。ヒト化抗体、またはその一部をコードする組換えDNAは、次いで適当な発現ベクターへクローニングできる。
特定のアミノ酸が置換、欠失、または付加されているヒト化抗体もまた本発明の範囲内にある。特に、好ましいヒト化抗体は、抗原への結合を改善するように、アミノ酸置換をフレームワーク領域中に有する。例えば、ヒト化免疫グロブリン鎖の、選択された少数の受容体フレームワーク残基を、対応するドナーアミノ酸で置換できる。置換の好ましい位置は、CDRに隣接するかまたはCDRと相互作用が可能であるアミノ酸残基を含む(例えば、米国特許第5,585,089号明細書を参照)。ドナー由来のアミノ酸を選択するための基準は、参照により本開示に含まれる米国特許第5,585,089号明細書、例えば米国特許第5、585,089号明細書の12〜16段に記載される。受容体フレームワークは、成熟ヒト抗体フレームワーク配列または共通配列であってよい。加えて、Fc部分、または補体固定およびADCCといった抗体機能を与える他の領域への変化は本発明の範囲内にある。
ここで用いられる「共通配列」の語は、関連配列のファミリー中で最も高頻度に存在するアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成される配列をいう(例えば、Winnaker,From Genes to Clones (Verlagsgesellschaft, Weinheim, Germany 1987を参照)。タンパク質のファミリーでは、共通配列中の各位置は、ファミリー中でその位置に最も高頻度に存在するアミノ酸で占められる。2個のアミノ酸が等しい頻度で存在する場合は、どちらも共通配列に含めることができる。「共通フレームワーク」とは、共通免疫グロブリン配列中のフレームワーク領域をいう。抗体をヒト化するための他の手法は、1992年12月23日発行のPadlan et al. 欧州特許第519596A1号明細書に記載されている。
抗CD44抗体、またはその抗原部分はまた、ヒトT細胞エピトープの特異的除去、すなわち参照により本開示に含まれる国際公開第98/52976号および第00/34317号パンフレットに開示される方法による「非免疫化」によって改変することができる。要約すると、抗CD44抗体のマウス重鎖および軽鎖可変領域を、MHCクラスIIに結合するペプチドに関して分析できる;これらのペプチドは、潜在的なT細胞エピトープを表す(国際公開第98/52976号および第00/34317号パンフレットで定義される通り)。潜在的なT細胞エピトープの検出のために、国際公開第98/52976号および第00/34317号パンフレットに記載の通り、「ペプチド・スレッディング」というコンピューターモデリング手法を適用することができ、および加えてヒトMHCクラスII結合ペプチドのデータベースをマウスVおよびV配列中に存在するモチーフに関して検索できる。これらのモチーフは、18の主なMHCクラスIIDRアロタイプのどれにも結合し、したがって、潜在的なT細胞エピトープを構成する。検出された潜在的T細胞エピトープは、可変領域中の少数のアミノ酸残基を置換することによって、または好ましくは1個のアミノ酸の置換によって、消去できる。可能な限り保存的置換が行われ、ヒト生殖細胞系列抗体配列においてこの位置で共通するアミノ酸をしばしば使用できるがそれに限らない。ヒト生殖細胞系列配列は、Tomlinson, I. M. et al. (1992) J.Mol. Biol. 227:776-798; CooK、 G. P. et al. (1995) Immunol. Today Vol. 16 (5):237-242; Chothia,D. et al. (1992) J. Mol. Bio. 227: 799-817に開示される。V BASEディレクトリはヒト免疫グロブリン可変領域配列の包括的なディレクトリを提供する(Tomlinson,I.M. et al. MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UKにより編纂)。その後、抗CD44抗体の非免疫化されたVおよびVLが、マウスVおよびV遺伝子の突然変異誘発によって構築される。突然変異誘発された可変配列を、必要に応じて、ヒト定常領域、例えば、ヒトIgG1またはκ定常領域と融合させてもよい。
抗体アッセイ
抗CD44抗体を、CD44活性を調節する能力、例えば結合活性についてアッセイすることができる。抗CD44抗体の活性を測定するために、CD44結合または細胞結合についてのアッセイを実施できる。アンタゴニストまたはアゴニスト抗体についてのスクリーニング(例えば、高処理量スクリーニング)は:(a)一つ以上の型の基質タンパク質(例えば、CD44)またはペプチドを固相担体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)に結合させ;(b)基質をブロック剤(標準的なブロック剤が知られている)に曝露し;さらに(c)基質をCD44リガンド(例えば、ヒアルロン酸、L−セレクチン、E−セレクチン)および被験抗体に曝露することによって実施できる。代替的に、CD44リガンドを固相担体に結合させてもよく、およびCD44を添加しおよびヒアルロン酸、L−セレクチン、またはE−セレクチンへの結合に関して試験できる)。
反応の成分は典型的には緩衝溶液中に提供され、反応は、そのアッセイ法の直線範囲である、特定温度(温度は例えば、4℃から室温(約23℃)から生理的温度(約37℃)まで変動し得る)およびある時間にわたって進められる。反応はいくつかの方法で停止でき(例えば、担体を緩衝溶液で数回洗浄することによって)、さらに結合を測定できる(例えば、放射性タグを測定するための、標準的手法が利用可能である)。アンタゴニスト抗体は、抗体の非存在下でCD44リガンドがCD44に結合する程度と比較して、CD44リガンドがCD44に結合できる程度を低下させる物質として特定される。アゴニストは、抗体の非存在下でCD44リガンドがCD44に結合する程度と比較して、CD44リガンドがCD44に結合する程度を高める。
本発明の任意の方法に関して、適当な制御を実施できる。例えば、上記の方法は、被験抗体(それぞれ、実験的および制御的コントロールパラダイムを表す)の存在下および非存在下で行うことができる。代替的に、被験抗体および対照(例えば、変性またはか非特異的抗体といった、生物学的に不活性な抗体)を使用できる。
また、細胞ベースの系で、CD44−リガンド相互作用も検出することができる。これら方法は、例えば、CD44タンパク質を発現する細胞を被験抗体と接触させ、および単離した分子または他の細胞上に発現したかのいずれかとして、リガンドへの結合を阻害する被験抗体の能力を評価することによって実施できる。細胞は、自然にまたは遺伝子工学の結果どちらであれ、CD44および/またはCD44リガンドを発現するかまたは結合する(例えば、提示する)任意の生物学的細胞であってよい。例えば、細胞は、マウス、イヌ、ヒツジ、ブタ、またはヒト細胞といった哺乳細胞であってよい。細胞は非哺乳類細胞(例えばショウジョウバエ細胞)であってもよい。
上記のとおり、実行された検出法は、抗CD44抗体が、他の分子または部分、例えばCD44リガンド、と単に結合し、またはそうでなければ関連するCD44の抗体の能力を阻害するのか、または増加するのかを明らかにすることができる。例えば、抗体が、基質または細胞の成分に結合するヒアルロン酸の能力を阻害するか、または増加するかを決定できる。これらの方法は、放射性同位体または酵素標識といったマーカーで、CD44またはCD44リガンドのいずれかを標識することによって実施することができ、その結果リガンド含有部分が検出できる。適当な標識は、本分野で公知であり、例えば、125I、35S、14C、またはHを含む(放射発光の直接計数またはシンチレーション計数で検出可能)。酵素標識は、ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびルシフェラーゼを含み、これらは標識酵素の適当な基質が産物に変換されたか否かを決定することによって検出される。蛍光標識も使用できる。蛍光プローブを使用することで(任意の二つの分子の間の)相互作用を検出するもう一つの方法は、蛍光(共鳴)エネルギー伝達(FETまたはFRET)による。(例えば、Lakowicz et alら,米国特許第5,631,169号明細書およびStavrianopoulos et al.,米国特許第4,868,103号明細書を参照。)第1の、すなわち「ドナー」分子上の蛍光プローブ標識は、第2の、すなわち「受容体」上の蛍光標識によって吸収される蛍光エネルギーを放出し、受容体は吸収されたエネルギーによって蛍光を発する(二つ分子上の標識は異なり、およびしたがって、区別可能な波長を発光する)。交互に、「ドナー」タンパク質は、トリプトファン残基の自然蛍光エネルギーを単に利用できる。標識間のエネルギー伝達効率はそれらを離している距離に関連するため、分子間の空間的関係が評価できる。二つの分子が互いに結合する場合は、受容体分子からの放出は最大となり;放出は容易に(例えば、蛍光光度計で)で測定することができる。
上記のとおり、抗体の活性は、CD44またはCD44リガンドが固体担体に結合する検出法において評価できる。より一般的には、CD44関連の結合を評価する場合はいつでも、結合パートナーのうち一つを、固相(例えば、マイクロタイタープレート、試験管(例えば、微小遠心管)またはカラム)に固定する。非固定結合パートナーは、(本明細書中で論じた任意の標識を含む)検出可能な標識で、直接的または間接的のいずれかで標識することができ、および結合は、標識を検出することによって評価できる。希望の場合は、阻害活性をもつ抗CD44抗体を、ヒアルロン酸をタンパク質に架橋するか、またはCD44リガンドをグルタチオン−S−トランスフェラーゼと融合し;融合タンパク質を担体(例えば、グルタチオン・セファロース・ビーズ(ミズーリ州、セントルイス、シグマケミカル)またはグルタチオン被誘導体化されたマイクロタイタープレート)に吸収し;固定された融合タンパク質を潜在的な結合パートナー(例えば、潜在的な抗CD44アンタゴニスト抗体)に曝露して非結合物質を洗い流し;および結合した物質を検出することによって、特定できる。曝露は複合体形成に有用な条件(例えば、生理的に許容される条件)下で起こるべきである。代替的に、マトリクスから複合体を分離でき、およびヒアルロン酸結合のレベルは、標準的手法を使用することで決定できる。
CD44またはCD44と相互作用する分子(例えば、CD44基質)、相互作用し得る分子(例えば、潜在的な阻害剤)も、マトリクス上でビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジンを使用して固定できる。例えば、ビオチン化したCD44またはそれに結合する分子は、ビオチン−NHS(N水酸基スクシニミド)から、本分野で公知の手法を用いて(例えば、イリノイ州ロックフォードのピアスケミカル社が販売するビオチン化キットを使用して)調製し、さらにアビジンまたはストレプトアビジンでコートした96ウェルプレート(ピアス・ケミカル)のウェル中で固定できる。CD44またはCD44リガンドが固定される厳密な方法にかかわらず、CD44は潜在的な結合パートナーに曝露されて、すべての未反応成分が除去され(例えば、任意の複合体を保持する条件下で;洗浄することによって);および残存する複合体が(標識または抗体によって)検出される(例えば、この検出法では、CD44に特異的に結合する抗体が使用される)。幾分労働集約的であるものの、CD44(またはCD44含有タンパク質複合体)を検出する工程は、酵素結合検出法でも実施でき、該検出法は、CD44またはその標的分子に関連する酵素活性に依存する。
結合アッセイ法を液相で行う場合、反応産物(例えば、ヒアルロン酸含有複合体)は、非反応性成分から、例えば:分画遠心分離(例えば、RivasおよびMinton, Trends Biochem. Sci.: 284-287, 1997を参照);クロマトグラフィー(ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー);電気泳動(例えば、Ausubel et al., Eds. Current Protocols in molecular biology 1999, J. Wiley & Sons, ニューヨークを参照);および免疫沈降反応(例えば、上記Ausubelに記載のとおり)によって、分離できる。FETが利用されている場合(上記参照)、さらなる精製は必要ではない。剪断応力の条件下で細胞接着性を測定する検出法を使用して、CD44、例えばHCELLの、リガンドとの生理学的相互作用を促進または阻害する物質を特定できる。細胞接着性を測定する検出法が実施できる。CD44を発現する細胞、例えばHCELLは、固相、例えばガラス、プラスチックまたは膜上に固定されたCD44のリガンド、例えばHCELL、(例えば、ヒアルロン酸、L−セレクチン、E−セレクチン)を提供し、さらに固相を被験細胞の懸濁液を含有する流体試料と接触させることによって特定できる。代替的に、CD44リガンド発現細胞が供給され、固定されたCD44を含有する固相に接触させることができる。剪断応力下で流体試料を移動させることによって、試料が膜の表面を横切って流れるよう意図している。流れるリガンドおよび固定されたリガンド中の流体試料間の相互作用は、剪断流の生理学的レベルによる静的インキュベーション、静的条件および静的ならびに剪断条件の連続適用、および超生理学的剪断レベルまでの、広範に定義された流体条件下で検査できる。例えば、剪断流条件は、0.1ダイン/cmを上回る剪断応力である。代替的に、剪断流条件は少なくとも2ダイン/cmの剪断応力である。さらに剪断流条件は、少なくとも9.0ダイン/cmの剪断応力である。一部の実施態様では、生理学的剪断応力が表面で達成されるよう、流体は膜を横切って移動する。次に、固相と細胞との相互作用が決定される。このような検出法は、抗CD44抗体(例えば、CD44の結合相互作用に対する促進または阻害活性を有する)の存在下で接着性を比較するために、実施できる。セレクチン結合活性は、好ましくは、上記のとおり剪断条件下で測定される。
細胞と固相との相互作用は、例えばローリング、堅い接着または特異的相互作用であってよい。一部の実施態様では、特異的相互作用は親和係数によって決定される。例えば、特異的相互作用は、0.1mMないし0.7mMの範囲にあるKを有する相互作用である。好ましくは、Kは1mMより大きい。細胞/薬剤相互作用、または交互に細胞/固相相互作用は、例えば、顕微鏡下の目視検査、色検査法、蛍光光度法によって、フローサイトメトリによって、または平行板型フローチャンバー検出法を使用して、決定することができる。代替的に、相互作用は、細胞、CD44、CD44リガンド、または抗体を、蛍光標識、ビオチン、アルカリホスファターゼ、ホースラディシュ・ペルオキシダーゼまたはベータ−ガラクトシダーゼといった酵素、放射性同位体または本分野において公知の他の標識を使用して、分析される。標識は、被験細胞集団を抗体へ接触させる前または後に、細胞、CD44ポリペプチド、CD44リガンド、または抗体に添加することができる。次に膜または固相は、顕微鏡法によって、または分光光度法またはX線写真分析によって視覚化を受けて、固相のセレクチンポリペプチドと相互作用する数を定量化できる。
例示的な剪断ベースの一検出法は、Stamper−Woodruff検出法とも呼ばれ、下記の通り実行される。被験細胞を、細胞遠心分離によってスライド上に載せ、次に、アイソタイプ対照または被験抗体(例えば被験抗CD44抗体)でインキュベートする。E−セレクチン保持細胞またはL−セレクチン保持細胞(例えば、E−セレクチンを遺伝子導入されたCHOまたはL−セレクチン保持リンパ球)を、被験細胞の上方に載せ、回転剪断をスライドに加える。L−セレクチン保持細胞またはE−セレクチン保持細胞に結合する能力は、30分の剪断の後に測定される。第2の種類の検出法は、平行板アプローチを使用する。この検出法では、(基質として、チャンバの床に載置された)E−セレクチンまたはL−セレクチンと接触する細胞の量、基質上を移動する細胞の速度(速度が低いほど、接着性はよい)、および剪断抵抗(分離を達成するために必要な剪断レベル)が測定される。E−セレクチンまたはL−セレクチンへの結合を測定するために、被験細胞を基質として載せることができ、およびE−セレクチンまたはL−セレクチンのいずれかを保持する細胞はフロー条件下でチャンバに挿入できる。同様に、アイソタイプ対照抗体または被験抗体のいずれかとインキュベートした被験細胞と接触するセレクチン保持細胞の量が測定される。被験細胞と接触するか、または被験細胞上で転がる細胞の総数を測定できる。被験細胞上のセレクチン保持細胞の速度を測定できる。よりみとめられる速度が低いほど、接着性はよりよい。また、剪断抵抗(分離を達成するために必要な剪断レベル)を測定することができる。これらのパラメータのそれぞれは、CD44結合活性に対するアゴニストまたはアンタゴニストとしての抗CD44抗体を特定しおよび/または特徴付けるために使用できる。例えば、アンタゴニストは、アイソタイプ対照よりも剪断時の分離のための抵抗を下げるか、またはアイソタイプより速い速度を細胞に与えるか、またはセレクチンまたはHAと接触する細胞の総数を減少させる抗体であってよい。アンタゴニストに対して、反対のことがいえるであろう。
CD44のHAへの結合を決定する他の例示的な検出法は、HA−FITC(フローサイトメトリで測定される)の結合および、プレート上に沈着したHAへの被験細胞の結合を評価する検出法を含む。 HA−FITCへの結合は、フローサイトメトリで測定された、対照アイソタイプ抗体でインキュベートされるか、またはHA−FITCへの曝露前の被験抗体でインキュベートされるかいずれかの被験細胞の蛍光強度の変化の定量を可能にする。プレートの上のHAとの結合は、絶対数(例えば対照または被験抗体でのインキュベーションの前および後にHAに結合する被験細胞の数)として測定でき、または、平行プレート検出法におけるフロー条件下での細胞に対する抗体の効果が測定できる。後者の条件下では、HAと接触する細胞の数、HA上を移動する細胞の速度(速度が低いほど、接着性は良い)、およびアイソタイプ対照または被験抗体とインキュベートした細胞に対する剪断抵抗(分離を達成するために必要な剪断レベル)が測定される。E−セレクチンまたはL−セレクチンへの結合を測定するために、E−セレクチンおよびL−セレクチンの水溶性剤形(例えばE−セレクチンIgおよびL−セレクチンIg構造であって、これら分子がヒトIgのFc部に結合する)を使用できる。被験細胞に結合するE−セレクチンまたはL−セレクチンの量(アイソタイプ合致対照または被験mAbとインキュベートした)は、セレクチン分子またはその複数の分子の結合レベルを検出するために、抗ヒトIg−FITC試薬を使用し、フローサイトメトリによって測定できる。
誘導体化された抗体
抗CD44の抗体またはその抗原結合部分を、別の機能分子(例えば、別のペプチドかタンパク質)に誘導体化させるかまたは結合させることができる。したがって、本発明の抗体および抗体部分は、免疫接着性分子を含む、本明細書に記載の抗体の誘導体化された型および他の修飾された型を含むことを意図している。例えば、本発明の抗体または抗体部分を、(化学結合、遺伝子融合、非共有会合またはその他によって)他の抗体、検出可能な物質、細胞傷害性物質、医薬品および/または抗体または抗体部分の(磁気ビーズ、ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグといった)他の分子との結合を媒介できるタンパク質またはペプチドといった、他の一つ以上の分子部分に機能的に結合させてもよい。
誘導体化された抗体のうち1種は、二つ以上の抗体(同種または異なる種類の、例えば二重特異性抗体を作製するために)を架橋することによって作製できる。適当な架橋剤は、ヘテロ二官能性の架橋剤であり、適当なスペーサ(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)によって分離された二つの明確な反応基を有するか、またはホモ二官能性(例えば、スベリン酸ジサクシンイミジル)である。このようなリンカーは、イリノイ州、ロックフォードのピアスケミカル社から入手可能である。
本発明の抗体または抗体部分を誘導体化(または標識)することができる有用な検出可能な物質は、蛍光化合物、さまざまな酵素、補欠分子族、蛍光体、生物発光性の材料、蛍光発光金属原子、例えばユーロピウム(Eu)、および他のアンタナイド、および放射性物質(下記)を含む。例示的な、検出可能な蛍光剤は、フルオレセイン、フルオレセイン・イソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアラニン−1−ナフタレンスルホニル塩化物、フィコエリトリン等を含む。抗体はまた、アルカリホスファターゼ、ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼ等といった、検出可能な酵素によって誘導体化してもよい。抗体が検出可能な酵素によって誘導体化される場合、抗体は、検出可能な反応産物を生成するため、酵素が使用する追加の試薬を添加することによって検出される。例えば、検出可能な物質ホースラディシュ・ペルオキシダーゼが存在する場合、過酸化水素およびジアミノベンジジンを添加すると有色の反応産物が生成され、これを検出できる。抗体はまた、補欠分子族(例えば、磁気ビーズ、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン)によって誘導体化されてもよい。(例えば抗体は、ビオチンで誘導体化し、さらにアビジンまたはストレプトアビジン結合の間接的測定によって検出してもよい。適当な蛍光体の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセイン・イソチオシアネート、ローダミン、フルオレセイン、塩化ダンシルまたは藻紅素を含み;蛍光体の例はルミノールを含み;および、生物発光性物質の例はルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを含む。
標識抗体は、例えば、診断的におよび/または実験的に、(i)親和性クロマトグラフィーまたは免疫沈降といった標準的手法によって所定の抗原を単離したり;(ii)タンパク質発現の存在量およびパターンを評価するために、所定の抗原(例えば、細胞溶解物または細胞上清中)を検出したり;(iii)臨床試験手順の一部として、例えば所定の治療計画の有効性を測定するために、タンパク質レベルを監視するなど、さまざまな場合に使用できる。
抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、別の分子部分(「抗体コンジュゲート」)、典型的には標識または治療(例えば、細胞傷害性または細胞増殖抑制)物質または部分に結合していてもよい。
放射性同位体は、診断または治療的用途に使用できる。抗CD44に結合可能な放射性同位体は、α−、β−またはγ−放射体、またはβ−またはγ−放射体を含むが、これらに制限されない。このような放射性同位体は、ヨウ素(131Iまたは125I)、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(186Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)、インジウム(111In)、テクネチウム(99mTc)、リン(32P)、ロジウム(188Rh)、硫黄(35S)、炭素(14C)、トリチウム(H)、クロム(51Cr)、塩素(36Cl)、コバルト(57または58Co)、鉄(59Fe)、セレニウム(75Se)、またはガリウム(67Ga)を含むが、これらに限定されない。治療剤として有用な放射性同位体は、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、アスタチン(211At)、レニウム(86Re)、ビスマス(212Biまたは213Bi)およびロジウム(188Rh)を含む。標識として、例えば診断のための使用に有用な放射性同位体は、ヨウ素(131Iまたは125I)、インジウム(111In)、テクネチウム(99mTc)、リン(32P)、炭素(14C)、およびトリチウム(H)、または上記に記載の一つ以上の治療用同位体を含む。
本発明は、放射線標識された抗CD44抗体およびその抗原結合部分、およびそれを標識する方法を提供する。抗体を標識する公知の方法が使用できる。例えば、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、キレート剤、例えば1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’−N’’、N’’’、テトラ四酢酸(DOTA)と接触して、結合された抗体を産生できる。次に、結合された抗体またはその抗原結合部分は、放射性同位体で放射線標識し、それによって標識された抗CD44抗体または抗原結合部分を作成できる。
上記のとおり、抗体または抗原結合部分は治療剤に結合させることができる。本発明のコンジュゲートは、所定の生物学的反応を修飾するために使用できる。治療剤は、伝統的な化学治療剤に制限されていると解釈されるものではない。例えば治療剤は、目的の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドでもよい。このようなタンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、プソイドモナス菌体外毒素、ジフテリア毒素、またはその成分といった毒素;腫瘍壊死因子、インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲン・アクチベータといったタンパク質;または、例えば、リンフォカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または他の増殖因子といった生物反応修飾物質を含む。同様に、治療剤は、ウイルス粒子、例えば組換えウイルス粒子であってもよく、該粒子は、本発明の抗CD44抗体分子に結合(例えば、化学リンカーを介して)または融合(例えば、ウイルス性外被タンパク質を介して)される。
核酸、ベクターおよび宿主細胞
本発明の別の実施態様は、本発明の抗体および抗原結合部分の組換え発現に使用できる単離された核酸、ベクターおよび宿主細胞組成物に関する。一実施形態では、抗CD44抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖可変領域をそれぞれコードするヌクレオチド配列を含有する第1および第2の単離された核酸を提供する。
別の実施態様では、本発明は、本発明の核酸、例えば第1および第2の核酸、を含有する宿主細胞およびベクター(例えば、組換え発現ベクター)に関する。
原核生物または真核生物の宿主細胞を使用してもよい。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、ここでは互換的に使用される。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫または潜在的子孫のこともいう。突然変異または環境の影響のいずれかに起因する後継世代において一定の変更が起こり得るため、このような子孫は、実際、親細胞と同一でないかもしれないが、それでもここで用いられる用語の範囲の中に含まれる。宿主細胞は、任意の原核生物、例えば、大腸菌といった細菌性細胞、真核細胞、例えば昆虫細胞、酵母菌、または好ましくは哺乳細胞(例えば培養細胞または細胞株)であってよい。他の適当な宿主細胞は、当業者に公知である。
抗CD44抗体またはその抗原結合部分を発現させる好ましい哺乳宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)、リンパ球細胞株、およびCOS細胞を含む。
別の実施態様では本発明は、ベクター、例えば、組換え発現ベクターに関する。本発明の組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞中の抗体またはその抗原結合部分の発現のために設計できる。例えば、本発明のポリペプチドは、大腸菌、昆虫細胞(例えばバキュロ・ウイルス発現ベクターを使用)、酵母菌または哺乳細胞中に、発現させることができる。適当な宿主細胞については、Goeddel, (1990) Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、カリフォルニア州サンディエゴのアカデミックプレス社において、さらに詳述されている。代替的に、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、in vitroで転写しおよび翻訳することができる。
原核細胞中のタンパク質の発現は、大腸菌中で、融合または非融合タンパク質のいずれかの発現を指示する、構造性または誘導性のプロモーターを含むベクターによって、最も高頻度に行われる。融合ベクターは、多数のアミノ酸をベクター中でコードされた抗体、通常は組換え抗体の定常領域に添加する。
抗体鎖遺伝子のほかに、本発明の組換え発現ベクターは、能動的に結合されおよび宿主細胞中の抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を担持する。
医薬組成物
別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体分子を含む、医薬品として許容されるキャリヤとともに処方される組成物、例えば、医薬品として許容される組成物を提供する。
ここで用いられる「医薬品として許容されるキャリヤ」は生理学的適合性をもつ、任意のおよびすべての溶剤、分散媒、アイソトニックおよび吸収遅延剤等を含む。キャリヤは、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、直腸下、脊髄内または表皮内投与(例えば、注射または注入による)に適するであろう。本発明の組成物はさまざまな剤形をとり得る。これらは、例えば、溶液(例えば注射および注入可能な液体)、分散液または懸濁液、リポソームおよび座薬といった、液体、半固体および固体の剤形を含む。好ましい剤形は、意図された投与形態および治療適用に依存する。典型的な好ましい組成物は、注射可能または注入可能な液体の剤形である。好ましい投与形態は、非経口(例えば静脈内、皮下、腹膜内、筋肉内)である。好ましい実施形態では、抗体は静脈注入または注射によって投与される。別の好ましい実施形態では、抗体は筋肉内または皮下注射によって投与される。
本明細書中で使用されるような、「非経口投与」および「非経口的に投与された」は、腸内および局所投与以外の、通常は注射による投与形態を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心内、皮内、腹膜内、被膜下、経気管内、皮下、表皮化、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内、硬膜外および胸骨内の注射および注入を含むが、制限はない。
治療組成物は、製造および保存状態下において、典型的に無菌でありおよび安定である必要がある。組成物は、液体、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または他の高い抗体濃度に適した規則構造として処方できる。無菌の注射可能な溶液は、必要量の活性化合物(すなわち、抗体または抗体部分)を、上記に列挙される成分の一つまたは組み合わせを含む適当な溶剤中に導入し、続いて無菌濾過することによって調製できる。一般に、分散液は、活性化合物を、上に列挙されたものから塩基性分散媒および上記一覧のうち他の必要な成分を含有する無菌媒体に導入することによって調製される。無菌の注射可能溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は真空乾燥、および以前に無菌濾過した溶液から有効成分および任意の追加的な目的成分を産生する凍結乾燥である。溶液の適当な流動性は、例えば、レシチンといったコーティングの使用によって、分散液の場合は所要の粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持できる。注射可能組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅らせる物質、例えばモノステアリン酸およびゼラチンを含めることによって、もたらすことができる。
本発明の抗体および抗体部分は、本分野において公知のさまざまな方法によって投与できる。熟練者によって理解されるように、投与の経路および/または形態は目的とする結果により異なるであろう。
ある実施形態では、本発明の抗体または抗体部分は、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用キャリヤとともに、経口投与してもよい。また、化合物(および所望の場合、他の成分)を、硬質または軟質のゼラチンカプセルに封入するか、錠剤に打錠するか、または対象の食事に直接組み入れてもよい。経口薬剤投与の場合、化合物に賦形剤を組み込み、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース等の剤形で使用してもよい。非経口投与以外によって本発明の化合物を投与するためには、不活化を防ぐ物質で化合物を被覆するか、またはそのような化合物と同時投与することが必要かもしれない。治療組成物は、本分野で公知の医療デバイスとともに投与できる。
投薬計画は、最適な目的反応(例えば治療反応)を提供するように調節される。例えば、丸薬を単回投与してもよく、いくつかの分割された投与量を経時的に投与してもよく、または投与量を治療状況の緊急性によって示唆されるように比例的に増減させてもよい。非経口用の単位剤形の組成物を処方することは、投与の容易さおよび投与量の均一性のために特に有利である。ここで用いられる単位投与剤形は、治療する対象への単位投与量として適した物理的に不連続の単位をいい;各単位は必要な医薬品キャリヤと関連して目的治療効果をもたらすように計算された所定の活性化合物を含む。本発明の単位投与剤形の詳細は、(a)活性化合物の固有特性および達成されるべき特定の効果、および(b)個体における感度に対処するためにそのような活性化合物を配合する分野に本来備わっている制限によって決定され、さらにそれらに直接依存している。
本発明の抗体または抗体部分の治療的または予防的効果量の例示的および非限定的な範囲は、0.1−20mg/kg、より好ましくは1−10mg/kgである。どの特定の対象に対しても、特定の投薬計画は、個体の必要性および組成物を投与するまたはその投与を監督する者の専門的な判断力にしたがって経時調節されるべきであり、およびここで規定される投与量範囲は単に例示的なものであり、特許請求された組成物の範囲および実施を制限するものでないことをさらに理解するべきである。
本発明の医薬組成物は、「治療的効果量」または「予防的効果量」の本発明の抗体または抗体部分を含んでいてもよい。「治療的効果量」とは、所要の投与量および所要の期間において、目的の治療結果を達成するために有効な量をいう。抗体または抗体部分の治療的効果量は、個体の病状、年令、性別および体重といった因子、および個体中で目的の反応を明らかに示す抗体または抗体部分の能力に応じて異なるであろう。治療的効果量はまた、抗体または抗体部分の任意の毒性または有害作用よりも治療的に有益な効果のほうが上回る量である。好ましくは、「治療的効果量」は、測定可能なパラメータ、例えば腫瘍成長率を、未治療の対象に対して、少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、およびさらに一層好ましくは少なくとも約80%阻害する。測定可能なパラメータを阻害する化合物の能力は、ヒトにおける有効性を予測する動物モデルシステムで評価できる。代替的に、組成物のこの特性は、熟練した当業者に公知の検出法によって、化合物のin vitroでの調節能力を評価できる。
「予防的効果量」とは、必要な投与量および期間において、目的の予防結果を達成するために有効な量をいう。典型的には、予防的投与量は、疾患の発症前または早期に対象に対して使用されるため、予防的効果量は、治療的効果量よりも少量であろう。
また、抗CD44抗体またはその抗原結合部分を含むキットも、本発明の範囲内にある。キットは:使用説明書;他の試薬、例えば標識、治療剤、キレート剤またはその他結合に有用な物質、標識または治療剤に対する抗体、または放射線防護組成物;投与用の抗体を調製する装置または他の物質;医薬品として許容されるキャリヤ;および対象に投与用の装置または他の物質:のうち一つ以上の要素を含む。使用説明書は、in vitro、例えば試料中、例えば生検または患者由来の細胞中で、またはin vivoで抗CD44抗体を検出するための、抗CD44抗体(または、その抗原結合部分)の示唆される投与量および/または投与形態を含む、治療用途に対する指示を含んでいてよい。指示は、例えば造血性疾患の患者への、提案された投与量および/または投与形態を含む治療用途に対する指示を含んでいてよい。他の指示は、抗体のキレート剤、標識または治療剤との結合に関して、または結合された抗体(例えば、未反応のコンジュゲート化合物由来)の精製に対する指示を含んでいてよい。上記のとおり、キットは標識、例えば本明細書に記載の任意の標識を含んでいてよい。上記のとおり、キットは治療剤、例えば本明細書に記載の治療剤を含んでいてよい。キットは、標識または治療剤を抗体にキレート化またはその他結合するために有用な試薬、例えば本明細書中で論じた試薬、を含んでいてよい。一部の用途では、抗体は、他の成分、例えば、キレート剤または標識または治療剤、例えば放射性同位体と反応するであろう。このような場合キットは、完成産物を開始物質または反応中間物から分離するために使用する、反応を行う反応槽または分離装置、例えばクロマトグラフィーカラムのうち一つ以上を含んでいてよい。
キットは、診断または治療剤、例えば本明細書に記載の診断または治療剤といった一つ以上の追加的な試薬、および/または一つ以上の別々の医薬調製物中に適宜処方された一つ以上の追加的な抗CD44抗体(またはその部分)をさらに含んでいてよい。
本発明の使用
抗体およびその抗原結合部分には、in vitroおよびin vivoでの診断、治療および、予防的用途がある。例えば、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、細胞を抗CD44抗体またはその抗原結合部分(例えば本明細書に記載の抗CD44抗体またはその抗原結合部分)に、細胞の活性を調節(例えば、ヒアルロン酸、E−セレクチン、またはL−セレクチンといったCD44リガンドへの結合を調節)または除去または殺滅するために十分な量、接触させる工程を含む方法において使用できる。これらの抗体およびその抗原結合部分は、培地内の細胞(例えば、in vitroまたはex vivo)中、または対象(例えば、in vivo)中に、造血性疾患、炎症性疾患、癌関連疾患、および自己免疫性疾患といったさまざまな疾患を治療および/または診断するために、投与できる。in vitroの実施形態の場合、細胞、例えば造血細胞は培地中でin vitroで培養でき、接触工程は抗CD抗体またはその部分を培地に添加することによって、達成できる。これらの操作は、(幹細胞といった)細胞の抗体とのインキュベーションを含み、このインキュベーションは、CD44/HCELLに対し、細胞のex vivo(拡張)での成長を促進し、またはこのような細胞のヒアルロン酸、L−セレクチン、およびE−セレクチンといったCD44/HCELLリガンドとの結合能を増加させることによって該細胞のin vivoでのホーミング効率を高めることを目的としている。
in vivoの実施形態の場合、接触工程は、対象中で達成され、対象へとおよび抗CD44抗体またはその部分を、抗体または部分の細胞との結合、および細胞の処理、例えば調節、殺滅または除去の両方を可能にする有効条件下で、投与することを含む。
抗体およびその抗原結合部分は、CD44(例えば、HCELL)を商業使用のために精製するために使用できる。
ここで用いられる用語「対象」は、ヒトおよび非ヒト動物を含むよう意図する。本発明の用語「非ヒト動物」は、すべての脊椎動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、鶏、両生類、爬虫類などといった哺乳動物および非哺乳動物を含む。
一実施形態では、対象はヒト対象である。
造血に関する適用
本明細書に記載の抗CD44抗体およびその抗原結合部分および方法は、例えば、造血細胞の精製、濃縮、および特徴付けに使用できる。抗CD44抗体およびその抗原結合部分、および該抗CD44抗体およびその抗原結合部分を使用する方法は、造血性癌関連疾患(例えば、造血性癌の治療において、例えば造血性癌と関連した造血肝細胞移植に対して、および非造血性癌と関連した造血幹細胞移植に対して)、貧血、好中球減少症、およびその他他の骨髄機能不全状態を含む、造血性疾患(例えば、再生不良性貧血)の治療においても使用できる。
CD44発現細胞を検出する方法は、例えば造血細胞の集団を特徴付けるために使用できる。抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、CD44発現細胞を、例えば血液または骨髄試料から単離するために使用できる。CD44のHCELLグリコフォームに結合する抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、造血前駆体細胞といった、HCELL発現細胞を単離するために使用できる。HCELL(例えば、HCELL発現細胞中に存在するHCELL)に結合する抗体は、例えば骨髄移植のための骨髄処理中に、HCELL造血前駆体細胞を濃縮化するために使用でき、したがって骨髄にホーミングしおよび血液細胞を形成する高い能力を有する細胞の集団を濃縮するために使用できる。L−セレクチンまたはE−セレクチン結合といった、HCELL機能を阻害する抗体および抗原結合部分は、in vivoでの、移植、および/または造血前駆体細胞の血液形成能を促進するために使用できる。さらに、これらの抗体は、非造血および造血幹細胞の両方の拡大を達成するためにHCELL機能を阻害するために使用でき、再生療法のための成人幹細胞の組織へのホーミングおよび移植を促進するために使用できる。
本明細書に記載の抗CD44抗体およびその抗原結合部分および方法は、in vivoで造血細胞の移植を促進する方法において使用できる。HCELLとL−セレクチンまたはE−セレクチンとの相互作用を阻害する抗体およびその部分は、例えば、血球新生部位または組織負傷(再生療法)部位への造血前駆体細胞の接着を促進でき、それによって移植を促進する。促進された移植は、骨髄除去および骨髄移植を必要とする任意の疾患の治療において、例えば、癌、免疫不全疾患、および他の造血性疾患、または熱傷における皮膚、または虚血性障害後の心臓もしくは神経系組織における非骨髄部位の組織損傷の治療のために、望ましい。
炎症性または自己免疫性疾患
抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、炎症性または自己免疫性疾患を治療する方法において使用できる。例えば、CD44発現白血球のCD44リガンドとの結合を阻害する抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、CD44発現白血球炎症部位への接着を減少することによって、免疫反応を低下させることができる。また、抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、免疫反応の増強が望ましい状況において、例えば、感染体への反応を促進するために、使用できる。例えば、CD44−ヒアルロン酸結合相互作用といった、CD44の活性を阻害する抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、CD44発現白血球の接着を刺激するために使用できる。
炎症性および自己免疫疾患の例は、皮膚炎(例えば接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎)、皮膚感染(例えば皮膚の細菌性、ウイルス性、真菌性または寄生性の感染)、尋常性天疱瘡、移植片対宿主疾患、乾癬、薬剤関連の超過敏反応、紫外線に誘発された負傷および座瘡を含む、皮膚の炎症性および自己免疫性疾患を含むがこれに制限されない。本明細書に記載の方法によって治療できる他の炎症性疾患は、急性肺障害、急性呼吸窮迫症候群、喘息、気管支炎および嚢胞性繊維症といった肺疾患を含む。本明細書に記載の方法によって治療できる炎症性疾患は、関節炎(例えばリウマチ様関節炎)といった関節の炎症性疾患;炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎といった腸の炎症性疾患;脳脊髄炎、多発性硬化症といった神経系の炎症性疾患;内分泌系の炎症性疾患(例えば、グレーブス病、橋本病);多臓器炎症性疾患(例えば全身性紅斑性狼瘡);および肝炎(例えばウイルス性慢性肝炎)、再潅流傷害(例えば心筋)、腎炎、膵炎、動脈閉塞(例えば網膜)および/または脈管といった腎臓、血管、肝臓の疾患を含む。炎症性疾患は、急性でもまたは慢性でもよく、好ましくは、白血球によって媒介される。一部の実施形態では、炎症性疾患は慢性炎症に関連し、例えば疾患は、乾癬、類肉腫症、およびリウマチ様関節炎といった炎症性腸疾患である。

抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、例えば、癌を治療し、予防しおよび診断する方法で使用できる。例えば、抗CD44抗体または抗原結合部分は細胞傷害性部分(例えば毒素または放射性同位体)に結合でき、CD44発現癌細胞の成長を除去または減少させるために使用できる。抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、さまざまな造血性癌におけるCD44の発現を特徴付けるために使用できる。CD44活性を増加(例えばCD44のCD44リガンドとの結合を増加)させる抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、癌細胞への免疫反応性を、例えば癌の免疫療法において増強するためにも使用できる。
ここで用いられる用語「癌」は、組織病理学的型または侵襲性の段階にかかわらず、すべての種類の癌性の成長または発癌過程、転移性の組織、悪性に変成した細胞、組織、または器官を含むことを意味している。治療または防止できる癌の例は、CD44発現癌(例えば、HCELL発現癌、例えばHCELL発現急性のリンパ球性白血病またはHCELL発現急性骨髄性白血病)を含むが、これらに限定されない。治療または予防できる他の癌は、黒色腫といった皮膚の癌、基底細胞および扁平上皮癌、カポシ肉腫、白血病、およびリンパ腫(例えば、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄白血病、急性骨髄性白血病、ホジキン疾患、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、および菌状息肉腫)を含むが、これらに限定されない。また、腫瘍性疾患、および乳房、肺、腎臓、子宮、前立腺、膀胱、卵巣、結腸の腺癌といった充実性腫瘍疾患;脂肪肉腫、滑膜肉腫、横紋筋肉腫、ユーイング腫瘍、神経上皮腫など肉腫;および網膜芽腫、ウィルムス腫瘍および中皮腫といった他の腫瘍もまた含まれる。最も好ましい癌は、乳房、卵巣、結腸および黒色腫であり、それぞれの場合ヒアルロン酸とのCD44の相互作用は成長および転移に役割を果たしている。
避妊および妊娠障害
抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、避妊法に使用できる。例えば、HCELLによってL−セレクチンの結合を阻害する抗体は、セレクチン依存性(例えばL−セレクチン依存性)胚移植の間に発生する相互作用を阻害するために使用できる。抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、妊娠を促進するためにも使用できる。例えば、HCELLのセレクチン類(例えばL−セレクチン)との相互作用を阻害する抗体は、胚の移植を促進するために使用できる。
抗体分子およびその部分を投与する方法は上記に説明されている。使用される分子の適当な投与量は、対象の年齢および体重および使用される特定の薬剤に依存するであろう。抗体分子は、リガンド結合のための競合剤として、望ましくない相互作用を阻害または減少させるか、または望ましい相互作用を増加させるために使用できる。
一実施形態では、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、in vivoで細胞を殺滅または除去するために使用できる。例えば、抗CD44抗体またはその部分は、本明細書に記載の疾患を治療または予防するために使用できる。抗体(またはその部分)は、自己使用されるか、または第2剤、例えば、細胞傷害性物質、放射性同位体、またはタンパク質、例えば、タンパク質毒素またはウイルスタンパク質に結合できる。この方法は:抗体またはその部分を単独で、または細胞傷害性物質に結合させて、このような治療を必要とする対象に投与:を含む。
本発明の抗体およびその抗原結合部分は、さまざまな治療剤、例えば細胞傷害性部分、例えば、治療剤、放射性同位体、植物、真菌、細菌起源の分子、または生物学的タンパク質(例えばタンパク質毒素)または粒子、(例えば組換えウイルス粒子、例えばウイルス性外被タンパク質媒介で)、またはこれらの混合物)を送出するために使用してもよい。治療剤は、例えば、本明細書中に記載される短距離高エネルギーα放射体を含む、短距離放射体といった、細胞内活性薬剤または他の物質であってよい。一部の好ましい実施形態では、抗CD44抗体またはその抗原結合部分は、植物または細菌起源(またはその誘導体)の分子に結合できる。
併用治療
本明細書に記載の抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、他の治療法と組み合わせて使用してもよい。例えば、併用治療は、例えば、一つ以上の追加的な治療剤、例えば、一つ以上の抗ガン剤、細胞傷害性または細胞増殖抑制物質、抗炎症剤、免疫抑制剤、ホルモン治療、ワクチン、および/または他の治療法、とともに処方され、および/またはともに投与される、本発明の組成物を含んでいてよい。抗CD44抗体およびその抗原結合部分と組み合わせて投与できる抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン等)、COX−2抑制剤(例えば、ロフェコキシブおよびセレコクシブ);ロイコトリエン合成阻害剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ステロイド化学誘導体、糖質コルチコステロイド、ステロイド化学誘導体、炎症性サイトカインアンタゴニスト、および免疫反応の抑制に関与する分子に対する抗体(例えば、抗CD3抗体、抗CD4抗体)を含む。抗CD44抗体およびその抗原結合部分と組み合わせて投与できる薬剤は、シクロスポリン、FK−506、デキサメサゾン、およびアザチオプリンを含む。他の実施形態では、抗CD44抗体およびその抗原結合部分は、外科、放射、低温外科手術、および/または熱治療法を含む、他の治療様式と組み合わせて投与される。このような併用治療は、投与された治療剤をより少ない投与量で有利に利用してもよく、したがってさまざまな単−治療法に関連する考えられる毒性または合併症を避けることができる。
ここで用いられる「組み合わせて」投与されるは、二つ(以上)の異なる治療薬が、ある対象の疾患への罹患の過程で、対象に送達されること、例えば、二つ以上の治療が、対象がその疾患と診断された後でかつ、疾患が治癒または消失される前に送達されることを意味する。他の実施形態では、一つ以上の治療薬が、疾患のリスクを有する対象に送達され、および例えば、一つ以上の追加的な治療薬が、対象がまだリスクを有する間、例えば移植レシピエントに投与可能である。一部の実施形態では、第2の送達が開始するときに一つの治療薬の送達がまだ生じており、その結果重複がおこる。本明細書中においてこのことは、「同時」または「送達」とよばれることがある。他の実施形態では、一つの治療薬の送達は、他方の治療薬の送達が始まる前に終了する。いずれの場合においても、一部の実施形態では、治療薬は、組み合わせた投与のためにより効果的である。例えば、第2の治療薬は、第2の治療薬が第1の治療薬の非存在下で投与された場合にみとめられであろうものよりもより有効であり、例えば、少量の第2の治療薬によって同等な効果がみとめられ、または第2の治療薬は症状を大幅に低減し、または第1の治療薬に関して類似の状況がみとめられる。一部の実施形態では、送達は、症状または他の疾患に関連するパラメータの減少が、一つの治療薬が他方の非存在下で送達された際にみとめられると思われるよりもより大きいものである。二つの治療薬の効果は、部分的に追加的、完全に追加的、または追加的を上回ることがあり得る。送達は、第1の治療薬の効果が、第2の治療薬が送達されるときに依然として検出可能であろう。
診断的使用
一実施態様では本発明はCD44タンパク質の存在を、in vitro(例えば、組織生検といった、例えば骨髄由来の生物学的試料において)、またはin vivo(例えば、対象中のin vivoイメージング)で検出する診断法を提供する。本方法は:(i)試料に抗CD44抗体または部分を接触させ、または抗CD44抗体またはその部分を対象に投与し;(必要に応じて)(ii)参照試料、例えば、対照試料(例えば、血漿、組織、生検といった対照生物学的試料)に接触させ;さらに(iii)抗CD44抗体またはその部分と、試料または対象、または対照試料または対象との間の複合体の形成を検出すること:を含み、対象試料または対照と相対的な、試料または対照中の複合体の形成における変化、例えば統計学的に有意な変化は、試料中のCD44、例えばHCELLの存在を示す。
好ましくは、抗CD44抗体(または、その部分)は、検出可能な物質で直接的または間接的に標識され、結合または非結合の抗体の検出を容易にする。適当な検出可能な物質は、上記のとおり、および下記にさらに記載するように、さまざまな酵素、補欠分子族、蛍光体、蛍光物質および放射性物質を含む。
抗CD44抗体またはその部分とCD44との間の複合体の形成は、CD44抗体に結合した抗体(または抗体部分)または結合していない抗体(または抗体)のいずれかを測定するかまたは視覚化することによって検出できる。従来の検出分析法、例えば酵素免疫吸着測定法(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)または組織免疫組織学測定法を使用できる。抗CD44の存在は、抗CD44抗体または部分の標識の代わりに、試料中において、検出可能な物質で標識された標準物質および標識されていない抗CD44抗体または部分を利用する競争免疫学的アッセイ法によって測定できる。この検出法では、生物学的試料、標識された標準物質およびCD44結合物質が結合され、および非標識抗体に結合した標識物質の量が決定される。試料中のCD44の量は、CD44結合物質に結合した標準物質の量と反比例する。
HCELLに対するモノクローナル抗体を惹起するために、KGla−RS細胞(KGla細胞のサブライン)から取得した精製されたHCELLを、Balb/cマウスに注入し、さらにモノクローナル抗体を標準方法で開発した。これらmAbはフローサイトメトリ(FACS)によって、KGla−RS細胞に対してスクリーニングした。KGla−RS細胞に対して反応するモノクローナル抗体を拡大させ、他の造血細胞株および正常な造血細胞由来のCD44を認識するmAbの能力をFACSによって測定した。KGla−RSと反応し、さらにウェスタンブロット解析によってCD44を検出したすべてのmAbを、造血細胞株および正常血球との反応性のパターンおよび抗体が機能的能力を有するか否かによって、グループに細分化した。惹起されたmAbの多数は、CD44のHCELLグリコフォーム(HCELL特異性mAb)のみを特定するが、多くがHCELL特異性の修飾なしにCD44を認識する。惹起されたmAbはすべて、(1)E−セレクチンまたはL−セレクチンリガンドとしてのHCELLの機能を阻害する、(2)E−セレクチンまたはL−セレクチンリガンドとしてのHCELLの機能を増強する、(3)HCELLのヒアルロン酸(HA)への結合を抑制する、または(4)HCELLのヒアルロン酸(HA)への結合を増強するか否かを決定するために試験した。HA結合に影響し、さらにセレクチンリガンド活性にも影響するいくつかのmAbを特定した。(1)HCELLのセレクチンおよびHAとの結合機能を促進または阻害する能力を有し(機能阻害および機能増強mAb)、および(2)CD44のHCELLグリコフォームを発現するヒト造血幹細胞の部分集団のみを認識する(HCELL特異mAb)mAbを単離した。
同等物
当業者であれば、本明細書に記載の具体的な実施形態の多くの同等物を、日常的な実験のみを使用して、認識し、確認できるであろう。このような同等物は、下記の請求項に包含されるよう意図されている。

Claims (50)

  1. 下記の特性の1以上を有することを特徴とする、CD44糖タンパク質に結合する単離抗体またはその抗原結合部分:
    (a)該抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するCD44の結合を調節する;
    (b)該抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する;
    (c)該抗体またはその抗原結合部分は、L−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。
  2. 前記特性(a)を有し、さらにヒアルロン酸に対するCD44の結合を促進することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  3. 前記特性(a)を有し、さらにヒアルロン酸に対するCD44の結合を阻害することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  4. 前記特性(b)を有し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を促進することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  5. 前記特性(b)を有し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  6. 前記特性(c)を有し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を促進することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  7. 前記特性(c)を有し、さらにL−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  8. 前記特性(a)および(b)を有することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  9. ヒアルロン酸に対するCD44の結合およびE−セレクチンに対するHCELLの結合を促進することを特徴とする請求項8記載の抗体またはその抗原結合部分。
  10. ヒアルロン酸に対するCD44の結合を促進し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害することを特徴とする請求項8記載の抗体またはその抗原結合部分。
  11. ヒアルロン酸に対するCD44の結合を阻害し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を阻害することを特徴とする請求項8記載の抗体またはその抗原結合部分。
  12. ヒアルロン酸に対するCD44の結合を促進し、さらにE−セレクチンに対するHCELLの結合を促進することを特徴とする請求項8記載の抗体またはその抗原結合部分。
  13. CD44の非HCELLグリコフォームに対して特異的に結合しないことを特徴とする請求項8記載の抗体またはその抗原結合部分。
  14. 前記特性(a)および(c)を有することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  15. CD44の非HCELLグリコフォームに対して特異的に結合しないことを特徴とする請求項14記載の抗体またはその抗原結合部分。
  16. 前記特性(b)および(c)を有することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  17. CD44の非HCELLグリコフォームに対して特異的に結合しないことを特徴とする請求項16記載の抗体またはその抗原結合部分。
  18. 前記特性(a)、(b)および(c)を有することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  19. CD44の非HCELLグリコフォームに対して特異的に結合しないことを特徴とする請求項2記載の抗体またはその抗原結合部分。
  20. 下記の特性の1以上を有することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分:
    (d)該抗体またはその抗原結合部分は、HECA−452が結合するCD44上のエピト−プに対する結合について競合しない;
    (e)該抗体またはその抗原結合部分は、HECA−452が結合するエピト−プに対する結合について競合する;
    (f)該抗体またはその抗原結合部分は、CD44上のシアリルルイスX/A決定基と重複するエピト−プに結合する。
  21. CD44の糖エピト−プに結合することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  22. CD44のセレクチン結合糖エピト−プに結合することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  23. CD44のタンパクエピトープに結合することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  24. CD44のタンパクエピトープおよび糖エピト−プに結合することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  25. HCELLの変性型に結合することを特徴とする、HCELL糖タンパク質に対して特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分。
  26. 下記の工程を含む方法によって作製されることを特徴とする、CD44に対して特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分:
    HCELLをKG1a細胞から精製し;
    前記精製されたHCELLをマウスに注射し;
    HCELLに結合するモノクローナル抗体をマウスから取得する。
  27. 造血幹細胞の生着をin vivoで促進することを特徴とする、HCELL糖タンパク質に対して特異的に結合する単離抗体またはその抗原結合部分。
  28. ヒトCD44またはHCELL糖タンパク質に特異的に結合することを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  29. 抗体がモノクローナルまたはポリクロ−ナル抗体であることを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  30. 抗体がヒト化されていることを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  31. 抗体がキメラ抗体、非免疫化(deimmunized)抗体またはヒト抗体であることを特徴とする請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分。
  32. 請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分、および医薬品として許容されるキャリヤを含む医薬組成物。
  33. HCELL発現細胞の活性を調節する方法であって、HCELL発現細胞に請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分を接触させ、それによってHCELL発現細胞の活性を調節することを含む方法。
  34. 対象においてHCELL活性を調節する方法であって:
    HCELL活性の調節が必要である対象を特定し;さらに
    請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分を前記対象に投与することを含む方法。
  35. 対象においてHCELL活性を調節する方法であって:
    HCELL活性の調節が必要である対象を特定し;
    前記対象由来の細胞集団を提供し;
    請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分を前記細胞集団中のHCELL発現細胞に結合させる条件下で、前記細胞に請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分を接触させ;
    前記細胞を対象に投与する;工程を含む方法。
  36. HCELL−セレクチン相互作用により特徴付けられる疾患を治療する方法であって:
    HCELL−セレクチン相互作用を調節する抗体またはその抗原結合部分を対象に投与し、それによって疾患を治療することを含む方法。
  37. 前記疾患が、造血性疾患、炎症性または自己免疫性疾患、血管性疾患または癌関連疾患であることを特徴とする請求項36記載の方法。
  38. 造血細胞の部分集団を単離する方法であって、
    造血細胞を含む細胞集団を提供し;
    抗HCELL抗体またはその抗原結合部分をHCELL発現細胞に結合させる条件下で、前記細胞に抗HCELL抗体またはその抗原結合部分を接触させ;
    前記抗HCELL抗体またはその抗原結合部分に結合しない細胞を除去し、それによって造血細胞の部分集団を単離する;工程を含む方法。
  39. 造血能力を有する細胞について造血細胞集団を濃縮する方法であって:
    造血細胞集団を提供し;
    抗HCELL抗体またはその抗原結合部分をHCELL発現細胞に結合させる条件下で、前記細胞に抗HCELL抗体またはその抗原結合部分を接触させ;
    前記抗HCELL抗体またはその抗原結合部分に結合しない細胞を除去し、それによって造血能力を有する細胞について造血細胞集団を濃縮する;工程を含む方法。
  40. 対象での造血幹細胞の生着を促進する方法であって、
    抗HCELL抗体またはその抗原結合部分を対象に投与する工程を含み、
    前記抗体またはその抗原結合部分がHCELL−セレクチン相互作用を促進し、それによって対象での造血幹細胞の生着を促進することを特徴とする方法。
  41. 造血性癌を特徴付ける方法であって、抗HCELL抗体の癌への結合を評価し、それによって癌を特徴付けることを含む方法。
  42. 対象においてCD44発現癌を治療する方法であって、
    抗CD44抗体またはその抗原結合部分を対象に投与し、それによって癌を治療することを含む方法。
  43. 対象において癌に対する免疫反応を増強する方法であって、
    抗CD44抗体またはその抗原結合部分を対象に投与し、それによって癌への免疫反応を増強することを含む方法。
  44. 対象において造血性癌を治療する方法であって、
    抗HCELL抗体またはその抗原結合部分を対象に投与し、それによって癌を治療することを含む方法。
  45. 炎症性もしくは自己免疫性疾患または血管性疾患を治療する方法であって、
    抗CD44抗体またはその抗原結合部分を対象に投与し、それによって疾患を治療することを含む方法。
  46. 炎症性または自己免疫性疾患を治療する方法であって、
    抗HCELL抗体またはその抗原結合部分を対象に投与し、それによって疾患を治療することを含む方法。
  47. 感染性疾患を治療する方法であって、
    抗HCELL抗体またはその抗原結合部分を対象に投与し、それによって疾患を治療することを含む方法。
  48. HCELL−セレクチン相互作用を調節する抗体またはその抗原結合部分;および
    HCELL−セレクチン相互作用により特徴付けられる疾患のリスクを有する対象に前記抗体またはその抗原結合部分を投与するための指示書;を含むキット。
  49. HCELL−セレクチン相互作用を調節する抗体またはその抗原結合部分;および
    下記工程:
    対象由来の細胞集団を提供し;
    請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分を前記細胞集団中のHCELL発現細胞に結合させる条件下で、前記細胞に請求項1記載の抗体またはその抗原結合部分を接触させ;
    前記細胞を対象に投与する;
    を含む方法において前記抗体またはその抗原結合部分を使用するための指示書;を含むキット。
  50. 下記の特性の1以上を有する、HCELL糖タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分を含むキット:
    (a)前記抗体またはその抗原結合部分はCD44に結合する;
    (b)前記抗体またはその抗原結合部分は、ヒアルロン酸に対するCD44の結合を調節する;
    (c)前記抗体またはその抗原結合部分は、E−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する:
    (d)前記抗体またはその抗原結合部分は、L−セレクチンに対するHCELLの結合を調節する。
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