JP2007505325A - 音響光学装置により安定化されたソリッドステート・レーザー・ジャイロ - Google Patents
音響光学装置により安定化されたソリッドステート・レーザー・ジャイロ Download PDFInfo
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Abstract
本発明の分野はソリッドステート・レーザー・ジャイロに関する。この技術に固有の主要な問題の一つは、このタイプのレーザー・ジャイロの光キャビティが生来非常に不安定なことである。この不安定性を減らすため、本発明は音響光学装置を用いて、キャビティ(1)内へ伝播方向に依存する制御された光学的損失を導入することを提案している。異なる構成の音響光学装置を用いた各種の装置が記述されている。これらの装置はとりわけモノリシック・キャビティを有するレーザー・ジャイロ、そして特にネオジムでドーピングされたYAGレーザー・ジャイロに適用される。
【選択図】 図6
【選択図】 図6
Description
本発明の分野は回転速度の測定に用いられるソリッドステート・レーザー・ジャイロに関する。このタイプの装置は特に航空の用途に用いられる。
約30年前に開発されたレーザー・ジャイロは今日、商業規模で広く使用されている。その動作原理は、回転運動により動かされる双方向リング・レーザー・キャビティの逆伝播モードと呼ばれる、反対方向に伝播する二つの光学伝送モードの間の周波数差Δνを生じるサニャック効果に基づいている。従来、該周波数差Δνは
Δν=4AΩ/λL
に等しい。ここで、LおよびAはそれぞれキャビティの長さおよび面積、λはサニャック効果を除いたレーザー放射の波長、およびΩは組立品の回転速度である。
Δν=4AΩ/λL
に等しい。ここで、LおよびAはそれぞれキャビティの長さおよび面積、λはサニャック効果を除いたレーザー放射の波長、およびΩは組立品の回転速度である。
二つの放射ビームのうなりのスペクトル解析により測定されるΔνの値は、Ωの値を非常に正確に決定するために用いられる。
レーザー・ジャイロはモード間の連結の影響を減らすのに必要とされる一定の回転速度を超えて、初めて正確に動作することが実証されている。この限度を下回る回転速度範囲は従来ブラインド・ゾーンと呼ばれる。
うなりを観察するための、従ってレーザー・ジャイロの動作のための条件は、二つの方向に放射される強さの安定性と相対的等価性である。これはモード間の競合現象のため、先験的に簡単に達成できることではなく、それは二つの逆伝播モードのうちの一つが他のモードを犠牲にして、適用できるゲインを独占する傾向がある可能性を意味する。
この問題は標準のレーザー・ジャイロにおいては、一般に室温で作用するヘリウム/ネオン混合物のガス状増幅媒体の使用により解決される。ガス混合体のゲイン曲線は原子の熱的揺れによるドップラー拡大を示す。所定の周波数モードにゲインを供給することのできる原子は、従ってその速度が問題のモードで、原子に共振を引き起こす遷移周波数においてドップラー偏移を生じさせるものである。(光の進路長さの圧電性調整により)ゲイン曲線の中心以外でレーザー放射を発生させることは、キャビティを伴う共振における原子が非ゼロの速度を有することを確実にする。従って、二つの方向の内の一つにおけるゲインに貢献できる原子は、反対方向におけるゲインに貢献できる原子とは反対の速度を有する。従って本システムは一つ一つが各々の方向の、二つの独立した増幅媒体があるかのように振舞う。モード間の競合がこのように消失しているため、安定なバランスのとれた双方向の放射が生じる(実際には、他の問題を軽減するため、二つの異なるネオン・アイソトープから成る混合体が用いられる。)
しかしながら、増幅媒体のガス状の性質はレーザー・ジャイロを作るときの技術的複雑さ(特に高度のガス純度が必要なため)、および使用中の早期の損耗(ガス漏れ、電極の劣化、高電圧がたびたび反転分布を構築する等)の元である。
現在、例えばヘリウム/ネオンガスの混合体の代わりに、ネオジム・ドーピングされたYAG(イットリウム−アルミニウム−ガーネット)結晶に基づく増幅媒体を用いた、可視又は赤外線に近い形で動作するソリッドステートのレーザー・ジャイロを製作することは可能であり、そのとき光学的ポンピングは赤外線近傍で動作するダイオード・レーザーにより備えられている。また増幅媒体として、半導体材料、結晶性のマトリックス、又は希土類(イルビウム、イッテルビウムなど)のクラスに属するイオンでドーピングされたガラスを使用することもまた可能である。従って、増幅媒体のガスの状態に固有の全ての問題は事実上、取り除かれる。しかしながら、そのような成果は非常に強いモード間の競合を引き起こす、ソリッドステート媒体のゲイン曲線の拡大の一様な性質のため、およびその中では「ビート状態」と呼ばれる、強さが平衡な双方向状態が一つの非常に不安定な特別の場合である、多くの様々な動作状態の存在のために、達成が非常に難しい〔非特許文献1、非特許文献2〕。この大きな物理的障害は、これまでソリッドステート・レーザー・ジャイロの発展を大いに制限してきた。
この障害を軽減するための一つの技術的解決策は、光学的損失を光のモードとその強さの伝播方向に依存するキャビティ内へ導入することにより、ソリッドステート・リング・レーザーにおける逆伝播モード間の競合の影響を弱めることである。その原理は二つの逆伝播モードの強さを通常の値に常に制御するように、弱い方のモードを他方を犠牲にして優先するため、二つの伝送されたモードの間の強さの差に従ってこれらの損失をフィードバック装置で変調することである。
1984年に、基本的に可変のファラデー効果を示す要素および偏光要素から成る光学組立品を用いて、該損失が得られるフィードバック装置が提案された(非特許文献3、非特許文献4、および非特許文献5、非特許文献6)。
このフィードバック装置の原理を図1に示す。それは三個のミラー11、12、13および増幅媒体19から成るリング・キャビティ1内へ、偏光要素71および、誘導コイル73で巻かれたファラデー効果を示す光学ロッド72から成る、逆伝播光モード5および6のルートに置かれた光学組立品を導入することにある。キャビティ1の出口において、該二つのモード5および6は測定用光ダイオード3に送られる。これらのビーム5および6の一部は二つの半反射板43を用いて取り出され、二つの光検出器42に送られる。これら二つの光検出器により出力された信号は、二つの逆伝播光モード5および6の光の強さの代表である。前記信号は二つの光モード間の光量の差に比例した電流を発生する電子フィードバック・モジュール4に送られる。この電流はそれぞれの逆伝播モード5および6に課される損失の値を決定する。ビームの内の一つが他方よりも高い光量を有する場合、その強さは出力ビームが同じ強さのレベルになるように、更に弱められる。従って、双方向の状態は強さにおいて安定する。
ソリッドステート・レーザー・ジャイロは、フィードバック装置のパラメータがシステムの力学に合う場合にのみ、本原理に従って動作することができる。フィードバック装置が正しい結果を与えるために、三つの条件が満たされなければならない。
・フィードバック装置によりキャビティ内へ導入された追加損失は、キャビティにおいて内在する損失と同じオーダーの大きさでなければならない。
・フィードバック装置の反応速度は、フィードバックが満足に動作するように放射モードの強さの変化速度よりも大きくなければならない。
・最後に、フィードバック装置のフィードバック性能は強さの変化を効果的に補正するため、キャビティ内において生じる効果が十分でなければならない。
・フィードバック装置によりキャビティ内へ導入された追加損失は、キャビティにおいて内在する損失と同じオーダーの大きさでなければならない。
・フィードバック装置の反応速度は、フィードバックが満足に動作するように放射モードの強さの変化速度よりも大きくなければならない。
・最後に、フィードバック装置のフィードバック性能は強さの変化を効果的に補正するため、キャビティ内において生じる効果が十分でなければならない。
マクスウェル−ブロックの式は逆伝播光モードの電界の複雑な振幅E1、2および、反転分布密度Nを確定するために使われる。これらは半ば従来的なモデルを用いて得られる(非特許文献1、非特許文献2)。
これらは、
で表わされる。ここで、
添字1および2は二つの逆伝播光モードの代表、
ωはサニャック効果を除いたレーザー放射周波数、
Q1、2は二つの伝播方向におけるキャビティの品質係数、
m1、2は二つの伝播方向におけるキャビティの後方散乱係数、
σは有効レーザー放射断面、
lは移動したゲイン媒体の長さ、
T=L/cはキャビティの各モードの推移時間、
k=2π/λは波動ベクトルのノルム、
Wはポンピング率、
T1は励磁レベルの寿命であり、
飽和パラメータaは
に等しい。
添字1および2は二つの逆伝播光モードの代表、
ωはサニャック効果を除いたレーザー放射周波数、
Q1、2は二つの伝播方向におけるキャビティの品質係数、
m1、2は二つの伝播方向におけるキャビティの後方散乱係数、
σは有効レーザー放射断面、
lは移動したゲイン媒体の長さ、
T=L/cはキャビティの各モードの推移時間、
k=2π/λは波動ベクトルのノルム、
Wはポンピング率、
T1は励磁レベルの寿命であり、
飽和パラメータaは
に等しい。
式1の右側は四つの項を含む。第一項はキャビティ内の損失による電界中の変化に相当し、第二項はキャビティ内にある散乱要素の存在における、一つのモードの他のモードへの後方散乱により引き起こされる電界中の変化に相当し、第三項はサニャック効果による電界中の変化に相当し、第四項は増幅媒体の存在による電界中の変化に相当する。この第四項は二つの要素を有し、一番目は誘導放出に相当し、二番目は増幅媒体中の反転分布格子の存在における一つのモードの他のモードへの後方散乱に相当する。
式2の右側は三つの項を含み、第一項は光学的ポンピングによる反転分布密度における変化に相当し、第二項は誘導放出による反転分布密度における変化に相当し、第三項は自発的な放射による反転分布密度における変化に相当する。
光モードの完全な回転後のキャビティによる平均損失Pcはその結果、
式1の右側の第一項により、Pc=ωT/2Q1、2となる。
式1の右側の第一項により、Pc=ωT/2Q1、2となる。
フィードバック装置PFにより導入される損失は、これらの平均損失Pcと同じオーダーの大きさでなければならない。
フィードバック装置の反応速度は前記フィードバック装置のバンド幅γにより特徴付けられてもよい。式1および2を用いて、回転速度よりも上まで安定な双方向の状態を確立するための十分な条件は次に示されることが実証されている。
γ>>ηω/[Q1、2(ΔνT1)2]
ここで、η=(W−Wthreshold)/Wであり、ηはしきい値Wthresholdよりも上の相対的ポンピング率に相当する(非特許文献3、非特許文献4、および非特許文献5、非特許文献6)。
γ>>ηω/[Q1、2(ΔνT1)2]
ここで、η=(W−Wthreshold)/Wであり、ηはしきい値Wthresholdよりも上の相対的ポンピング率に相当する(非特許文献3、非特許文献4、および非特許文献5、非特許文献6)。
一例を挙げれば、相対的ポンピング率η=10%、光周波数ω=18×1014、品質係数Q1、2=107、周波数差異Δν=15kHz、および励磁状態寿命T1=0.2msにおいて、バンド幅γは40kHzより大きくなければならない。
ループが正しく動作するために、次の関係もまた満足されなければならない。
(ΔνT1)2>>1
(ΔνT1)2>>1
従来、フィードバック装置のフィードバック性能qは以下の方法で定義される。
q=[(Q1−Q2)/(Q1+Q2)]/[(I2−I1)/(I2+I1)]
ここで、I1およびI2は二つの逆伝播モードの光量である。
q=[(Q1−Q2)/(Q1+Q2)]/[(I2−I1)/(I2+I1)]
ここで、I1およびI2は二つの逆伝播モードの光量である。
このタイプの適用において、パラメータqはフィードバック装置が正しく動作できるために1/(ΔνT1)2よりも大きくなければならないことが実証されている。
N.クラフツォフ、E.ラリオツェフ「ソリッドステート・リング・レーザーにおける自己変調振動および緩和プロセス」:N.Kravtsov,E.Lariotsev,「Self‐modulation oscillations and relaxations processes in solid‐state ring lasers」 クァンタム・エレクトロニクス24(10)、841〜856(1994):Quantum Electronics 24(10),841‐856(1994) A.V.ドツェンコ、E.G.ラリオンツェフ「ソリッドステート・リング・レーザーの特性改善のためのフィードバック回路の利用」:A.V.Dotsenko,E.G.Lariontsev,「Use of a feedback circuit for the improvement of the characteristics of a solid‐state ring laser」 ソビエト・ジャーナル・オブ・クァンタム・エレクトロニクス14(1)、117〜118(1984):Soviet Journal of Quantum Electronics 14(1),117‐118(1984) A.V.ドツェンコ、L.S.コミエンコ、N.V.クラフツォフ、E.G.ラリオンツェフ、O.E.ナニー、A.N.シェラエフ「ソリッドステート・リング・レーザーにおけるビート状態の安定化用フィードバック・ループの利用」:A.V.Dotsenko,L.S.Komienko,N.V.Kravtsov,E.G.Lariontsev,O.E.Nanii,A.N.Shelaev,「Use of a feedback loop for the stabilization of a beat regime in a solid‐state ring laser」 ソビエト・ジャーナル・オブ・クァンタム・エレクトロニクス16(1)、58〜63(1986):Soviet Journal of Quantum Electronics 16(1),58‐63(1986)) R.ロイ、P.A.シュルツ、A.ワルサー、「オプト・レター、12、 672(1987)」:R.Roy,P.A.Schulz and A.Walther,Opt.Lett.12, 672(1987) J.ニーブ、F.V.コワルスキー、「オプト・レター、16、 378(1991)」:J.Neev and F.V.Kowalski,Opt.Lett.16, 378(1991) W.A.クラークソン、A.B.ネイルソン、D.C.ハンナ、「リング・レーザーの音響光学的に誘起された一方向動作のメカニズムの説明」、オプト・レター、17、 601(1992):W.A.Clarkson,A.B.Neilson and D.C.Hanna,「Explanation of the mechanism for acousto−optically induced unidirectional operation of a ring laser」,Opt.Lett.17, 601(1992) W.A.クラークソン、A.B.ネイルソン、D.C.ハンナ、「音響光学的効果を通じたリング・レーザーの一方向動作」、IEEE J.Q.E 32、 311(1996);W.A.Clarkson,A.B.Neilson and D.C.Hanna,「Unidirectional operation of a ring laser via the acoustooptic effect」,IEEE J.Q.E 32, 311(1996)
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本発明の目的は、音波上での光波の回折現象を用いて、伝播方向に依存する光の損失を導入するためのフィードバックシステムを備えた、ソリッドステート・レーザー・ジャイロ用の安定装置を提案することである。この解決策は従来技術の装置に対して幾つかの著しい利点を有する。それは一つのタイプの構成部品がキャビティ内へ挿入される必要があるのみのため実施が簡単であり、また特別の配置は、それぞれの逆伝播モードの減衰が他とほとんど独立に制御されることを可能にする。
より正確には、本発明の対象は少なくとも三つのミラー、一つのソリッドステート増幅媒体、およびフィードバックシステムを含む、少なくとも光学リング・キャビティを備えたレーザー・ジャイロであり、該キャビティおよび増幅媒体は、二つの逆伝播光モードが前記光学キャビティ内でお互いに対し反対方向に伝播できるようなものであり、該フィードバックシステムが二つの逆伝播モードの強さを殆ど同じに保っているレーザー・ジャイロにおいて、該フィードバックシステムが少なくとも音響光学変調装置をキャビティ内に含み、前記変調装置が逆伝播光モードのルート上に置かれた少なくとも一つの光学的相互作用媒体と、該光学的相互作用媒体中において周期的な音波を発生する圧電変換器とを備えることを特徴とする。
本発明はあくまでも限定しない例を通じて与えられる以下の記載を読むことにより、また添付図からより良く理解され、他の利点も明らかになろう。
音響光学変調装置2は基本的に、図2に示すように光学的放射について透明な相互作用媒体21に対して設置される圧電ブロック22を備える。該圧電ブロックは相互作用媒体の機械的および光学的特性を修正する超音波を発生する。より正確には、光学的インデックスの周期的変調が媒体内に生み出され、それは従って光回折格子として挙動する。光のビームFが音響光学変調装置2を通過するとき、そのエネルギーの幾分かは回折により失われる。回折ビームDのエネルギーは、入射ビームがブラッグ入射角と呼ばれる、音波に対して非常に特別な方向を有するとき最大である。これらの二つの波の間の相互作用はフォトンとフォトンの間の弾性相互作用によりモデル化される。この相互作用はエネルギーおよび運動量の保存を含む。
回折ビームの特性を得るための通常の関係は、一般的に運動量保存の式における入射波に対する回折波の周波数偏移を無視することにより確立される。光モードの伝播方向に依存する損失は、従って問題が対称になるため実証できない。
この偏移が考慮に入れられる場合、二つの逆伝播モードのブラッグ条件は異なることが示されている(非特許文献7、および非特許文献8)。言い換えれば、回折損失は二つの逆伝播モードについて異なっている。この損失の差は小さいが、それは逆伝播光モードの制御用フィードバックシステムを確立するには十分である。
光波は従来、その波動ベクトルk、角周波数ω、および波長λにより特徴付けられる。
入射波が波動ベクトル
および波長λ0により特徴付けられる、正の方向として任意に取られる所与の方向に伝播したとすると、前記波は波動ベクトル
、
音波の伝播速度Vs、波長λs、および角周波数ωsにより特徴付けられる音波が伝播する光学インデックスnの相互作用媒体において、ブラッグ入射に相当する入射角
を有する。相互作用媒体内で、波動係数
の回折波は図3aに示す方向
に作られる。従って以下の式が得られる。
cは光の速度を表わし、
、
、
および
は関連する波動ベクトルのノルムを表わす。
音波の伝播速度Vs、波長λs、および角周波数ωsにより特徴付けられる音波が伝播する光学インデックスnの相互作用媒体において、ブラッグ入射に相当する入射角
および
は関連する波動ベクトルのノルムを表わす。
回折波は音波との相互作用において周波数偏移しているため
は
と異なり、その結果図3aに示すように入射角
は回折角
と異なるが、ここでその差は明確化のためにかなり誇張されている。
波動ベクトル
およびその波長λ0により特徴付けられる、負の方向として任意に取られた反対方向に伝播する入射波(図3b)については、引き続いて以下の方程式が見出される。
上記と同じ方法を用いて、続いて以下が得られる。
それは逆伝播波について等価な式を与える。
これらの二つの式は以下の単純化された形で書かれてもよい。
入射のブラッグ角との間の差は従って以下で与えられる。
回折波は入射波と異なる周波数を有するため、回折が最大である二つの方向は同一ではない。従って異なる損失を生じることを可能にする非相互的効果がある。
サニャック効果の存在において、二つの逆伝播波は類似の周波数を有し、従って上記の式が次のように書かれるように、
と置いてもよい。
この式は変調装置が等方性であるか否かにより、異なって表わすことができる。
変調装置がインデックスnの等方性の場合、
・考えられる角度は小さく、
・エネルギー保存は以下で表わされる。
・周波数は、それらの差が生じない項において同じになるよう類似である。従って
となる。
式4は従って次のように書き換えられることができる。
・考えられる角度は小さく、
・エネルギー保存は以下で表わされる。
式4は従って次のように書き換えられることができる。
従って、伝播方向に沿ってその回折が最大になる方向間の差異は、音波の速度と変調装置における光の速度との比率に依存する。
ゆえに、
および同様に
となる。
ゆえに、
従って、通常のブラッグ入射角、
は
と
の中間の入射角に相当する。
非等方性の変調装置の場合、方程式1、2、4は依然として有効である。しかしながら、角度は必ずしも小さくなく、エネルギー保存用の式は異なる。
一例として、通常の光学インデックスnoおよび特別な光学インデックスneの一軸結晶に関して、また音波と二つの入射波がインデックスneの特別な軸に沿って偏向させられ、そして回折波がインデックスnoの通常の軸に沿って線形に偏向させられる場合、エネルギーの保存は以下で与えられる。
これは以下に導く。
これは以下に導く。
式4は従って次のように再度書くことができる。
従って、変調装置は複屈折の一軸材料として挙動し、その回折が最大である入射角は異なり、通常の及び特別のインデックスに依存する。等方性の材料の場合のように、この差は波の伝播方向において同一でない損失の原因である。
上記の式は、単一の音響フォノンのみが弾性フォノン/フォノン散乱に含まれる場合に、一次の回折のために確立された。しかしながら、幾つかのフォノンを含む弾性散乱についても等価な式を確立することが可能である。
非等方性又は複屈折の媒体中における特別な共線的相互作用の場合、すなわち様々な波動ベクトルの全てがその中で同じ方向を持つ場合、逆伝播波の周波数における変化を計算することが可能である。
一例として非等方性変調装置の場合、通常のインデックスnoよりも小さく取られるインデックスneの特別な軸に沿って偏向した一つの音波と二つの入射波、およびインデックスnoの通常の軸に沿って線形に偏向した回折波について、エネルギーおよび運動量の保存は以下で表わされる。
ベクトルは図3aおよび3bに定義された線で明示されている。これは正の方向への波の伝播について以下に導く。
逆方向への波の伝播の場合は以下で与えられる。
それは以下に導く。
二つの方向の周波数は異なるため、ここでは再び非相互効果がある。
変調装置において前進(正)方向および逆(負)の方向に伝播している光波とともに長さlにわたって相互作用している、強さがIAの音波により導入される入射角に応じた損失
および
の表現は以下で与えられる。
ここで、sinc(A)は関数Aの基本サイン波であり、また
において、Mは性能指数である。ここで、
が与えられる。(ここでpは光弾性係数、ρは光学的相互作用材料の密度である。)
と仮定し、音響出力が低いままであると仮定すると、それは求められている適用における場合である。
図4aは入射角θ±の関数としての損失L±の一般的な形を示す。該損失はブラッグ入射角
に対して最大である。中央の高さにおける全幅
は以下の式で与えられる。
L−はL+と同じ形を有するが、それは入射角に関して偏移している。
本発明による装置の動作原理はこの効果に基づいている。与えられた入射角において、損失は従って伝播光モードの回転方向に関して異なる。入射角を変えることにより、損失はさまざまに変化し、従ってモードの強さを通常の値に制御できるようにする。曲線の偏移が大きい程、伝播方向におけるさまざまな損失をより多く生じることが可能である。
損失ΔL=L+−L−において正規化された差異は以下で与えられる。
角度
および
は
に近いため、一次に限られた展開は以下で与えられる。
すなわち、
ゆえに、
そこで、
この差はθi−θB=±0.415λs/lにおいて最大であり、従って
となる。
(非特許文献9および非特許文献10)。
(非特許文献9および非特許文献10)。
損失L±の中央高さにおける全幅は、
本システムは入射角
と
の差ΔθBと、
との比が大きい程、より敏感になる。従って、
となる。
最適化された変調装置は最大の可能な周波数で動作し、最大の可能な相互作用長さを有する。上記の比を増加させる高いインデックスの材料は、それらが一般に基本的な散乱を示すためケース・バイ・ケースで考慮されるべきである。
圧電ブロックにより送られた変調周波数fを変えることにより音波の波長λsを変化させることもまた可能である。変調装置の圧電ブロックに作用する周波数の変化は、回折がこの周波数の差に比例する量によって最大となる角度を変化させる。従って、変調装置に作用する周波数を変化させることは、それを回転させることと同じ効果を有する。―回折効率はそれゆえ変えられる。この場合、与えられた入射角に対し、損失は図4bに示すようにこの変調周波数の関数として変化する。従って、
となる。ここで、fB ±は最大の損失を与える周波数に相当する。この周波数で、変調装置における波の入射角はブラッグ入射角である。
ΔθBと
の角度範囲に相当する変化(Δfs)Bと
はそれぞれ以下の式を通じて関係付けられる。
上記で実証されるように、音響光学装置が二つの逆伝播波の進路上に設置されるとき、回折損失は伝播方向とともに変化する。二つの各々の光ビーム中へ異なる損失を導入するためのフィードバックシステムを確立するために、本発明による装置を使用する二つの方法がある。入射角を変えるか、または音響光学装置の周波数を変えるかのどちらでも可能である。入射角を変えるには回転で制御される機械装置を要する。その一方、周波数を変えるには純粋に電子的な手段が用いられる。従って弱い方の波を優先して、このように安定な双方向の放射を得るため、二つの逆伝播モードの強さI+とI−の間の差を感知できる制御回路を通じて、変調装置に作用する周波数を制御することが可能である。
一つの特に好適なケースを図5に示す。この場合、回折パターンの幅は
と
の差に類似している。作用する周波数に相当する、fBと等しい動作点は以下である限り理想的に設定される。
・損失が最小化され、
・この点の勾配が最大で、それは感度を最適化しシステムを線形化する。
・損失が最小化され、
・この点の勾配が最大で、それは感度を最適化しシステムを線形化する。
図5に示すように、あらゆる周波数変化は、大いに一つのモードにおいて損失を増加させ、また逆伝播モードにおいて損失を減少させる。
曲線がさほど偏移していないとき、損失の間の十分な差を得るため二つのうち一つの曲線の極値を超える必要があるゆえに、フィードバック制御を実施することは更に複雑である。極値を超えることはそのシステムを非線形にする。
変調装置に作用する信号の出力は小さく、そしてレーザーを始動させるため(Qスイッチ)、又は同相の光モードを遮断するために必要な出力よりも大幅に少ないことに注意されたい。この装置はまた音波の出力を修正することにより、損失の絶対値を容易に調整できる利点を有する。二つの逆伝播波は、音波の光モードまでの伝播に起因する遅れを減らすように、そこから音波が発生する変調装置の縁の出来るだけ近くを通過することが有利である。
各種の可能な実施形態が存在する。
周波数フィードバックに基づく第一の実施形態において、レーザー・ジャイロは図6に示すように別個の構成要素から作られる。キャビティは従ってリング内に配置されたミラーのセット(11、12、13、14)を備える。図6において、ミラーは直角な四隅に配置される。勿論、この配置は例として与えられており、当業者に知られている他の如何なる配置も適切であり得る。それはネオジムでドーピングされたYAG結晶、又は他の如何なるレーザー媒体であってもよい。それはまたフィードバック装置4により制御され、検出器42に接続された変調装置2を含む。変調装置2は光学的相互作用媒体21および圧電変換器22を備える。該変換器により生み出された音波は横方向又は長手方向の波であってもよい。二つの逆伝播光モード5および6はキャビティ内で伝播する。それらはレーザー・ジャイロが回転しているときに、サニャック効果により周波数が偏移する。これら二つのモードの一部はミラー13により伝送され、半反射板43を用いて光電性検出器3において再結合される。この光検出器による信号出力は、装置の回転速度の測定を可能にする。半反射板43はモード5および6の一部をフィードバック装置4に連結されている検出器42に伝送する。二つの検出器から出力された二つの強さの間の差はフィードバック・ループを制御する。音響光学変調装置は、その周波数がより低い強度のモードにおいて回折損失を減少させ、より高い強度のモードにおいて該損失を増加させるように変化する信号を供給される。
この配置の一つの代替の実施形態において、図7aおよび7bに示すように二つの波の強さを制御するために、キャビティ内に挿入された幾つかの変調装置を配置することは有利である。
この配置は装置が高い周波数で動作するときに有益である。これは損失が周波数と共に増加するためである。一定の値を超えると、光波と音波の間の相互作用の長さlは、圧電ブロックが正しい周波数で音波を発生するには益々小さい寸法を持つ必要があるため減少する。音波の発散もまた増加し、それゆえ相互作用の長さを減少させる原因となる。従って、変調装置の数を増加させることにより相互作用の長さは増加する(図7b)。
一つの有利な代替の実施形態は、図7aに示すように2つの圧電ブロックが変調装置のそれぞれの側に配置されているものである。任意に、該ブロックは音波同士の干渉を防ぐため偏倚している。この構造の利点は各々の音波が異なる波に優先度を与えるという事実にある。変調装置が二つの平行な音列を発生する理想的な場合において、その強さは各音波の出力を通じて制御される。相互作用媒体の製造における欠陥又は該ブロックの組立方法のために音列が平行でない場合、各変調装置はその差による損失が、同一か又は類似の音響出力において(絶対値で)同じになるように、従って異なる周波数で信号を供給される。適用される周波数は最適な損失を生じるように選ばれる。すなわち、第一のブロックは一つの波において大きな損失を生じ、反対方向に伝播する波において小さな損失を生じる一方で、第二のブロックはそれと反対の効果を有する。従って、各々の波における損失は別々に制御され、一方、一つの音響光学変調装置のみを有する装置では、光波において同時に作用することが必要である。
図8に示す二番目の実施形態において、別個の構成部品から作られたキャビティは例えばYAG(イットリウム−アルミニウム‐ガーネット)結晶の一つのブロックで製作されたモノリシックのキャビティに置き換えられる。結晶の一つの小面13は出力ミラーとして作用する一方で他の小面(11、12、14)は完全に反射し、それらの内の一つは光の線形の偏光を助けるように扱うことが可能である。音波はキャビティの片側において、例えば圧電ブロック22、又は当業者に知られている他のあらゆる手段を用いて直接発生してもよい。
しかしながら、このタイプの実施形態においては、それが差による損失を打ち消すであろうため、一回の完全な回転の間に波が音列と二回にわたり相互作用するのを防ぐことが必要である。この場合、ともに一回目は一方向へ、また二回目は他の方向への二回にわたり音列と遭遇する二つの波が同じ損失を経ること、および非相互の影響が失われることが容易に見られる。それゆえ音波は、例えばキャビティ内の一つ又は幾つかの開口23(図8)によって、または音波を吸収する他のあらゆる装置によって遮断される。
図9に示すように、圧電ブロックをキャビティの小面の一つに配置することもまた可能である。
この構成の一つの利点は、例えばヘリウム‐ネオン・レーザー・ジャイロ用に開発された多面体形状を採用することによる、三つの互いに直角の軸に沿った回転速度を感知できる、いわゆる三軸レーザー・ジャイロを生み出す可能性である。
Claims (14)
- 少なくとも三つのミラー(11、12、13)、一つのソリッドステート増幅媒体(19)、およびフィードバックシステム(4、42、43)を含む、少なくとも光学リング・キャビティ(1)を備えたレーザー・ジャイロであって、キャビティ(1)および増幅媒体(19)は、二つの逆伝播光モード(5、6)が前記光学キャビティ内でお互いに対し反対方向に伝播できるようなものであり、フィードバックシステムが二つの逆伝播モードの強さを殆ど同じに保っているレーザー・ジャイロにおいて、該フィードバックシステムが少なくとも音響光学変調装置(2)をキャビティ内に含み、前記変調装置が逆伝播光モードの進路上に置かれた少なくとも一つの光学的相互作用媒体(21)と、該光学的相互作用媒体中において周期的な音波を発生する圧電変換器(22)とを備えることを特徴とするレーザー・ジャイロ。
- フィードバックシステムが二つの逆伝播モードの強さに依存する可変周波数において、音波を発生するための電子的手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザー・ジャイロ。
- フィードバックシステムが少なくとも第一および第二の音響光学変調装置を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザー・ジャイロ。
- 第一の音波を発生する第一の電子的手段が第一の変調装置を制御し、第二の音波を発生する第二の電子的手段が第二の音響光学変調装置を制御することを特徴とする請求項3に記載のレーザー・ジャイロ。
- 前記第一の電子的手段および前記第二の電子的手段が異なる音響出力レベルを供給することを特徴とする請求項4に記載のレーザー・ジャイロ。
- 第一の音響光学変調装置において発生した音波が第一の周波数を有し、第二の音響光学変調装置において発生した音波が、第一の周波数と異なる第二の周波数を有することを特徴とする請求項4または5に記載のレーザー・ジャイロ。
- 第一の音響光学変調装置と第二の音響光学変調装置が、逆伝播光モードの両側において背中合わせに組み立てられていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のレーザー・ジャイロ。
- 増幅媒体(19)および光学的相互作用媒体(21)が一つの同じ媒体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のレーザー・ジャイロ。
- キャビティがモノリシックで、固体材料の中のみにおいて、キャビティ内部に伝播している逆伝播と呼ばれる逆伝播モードであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のレーザー・ジャイロ。
- 圧電変換器がモノリシック・キャビティの面の一つに組み立てられることを特徴とする請求項9に記載のレーザー・ジャイロ。
- 前記面が逆伝播光モード用の偏向ミラーとしても使われることを特徴とする請求項10に記載のレーザー・ジャイロ。
- モノリシック・キャビティが、逆伝播光モードと音波が一度のみ相互作用するように、音波を減衰する減衰手段を含むことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のレーザー・ジャイロ。
- 前記減衰手段がキャビティ内に作られた少なくとも一つの開口であり、前記開口が放射された音波の伝播方向に位置していることを特徴とする請求項12に記載のレーザー・ジャイロ。
- 前記レーザー・ジャイロが三軸であり、三つの互いに直角な軸に沿った回転速度を感知できることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のレーザー・ジャイロ。
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