JP2007503375A - Sapoモレキュラーシーブを触媒活性の損失から保護する方法 - Google Patents

Sapoモレキュラーシーブを触媒活性の損失から保護する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ、特にSAPOモレキュラーシーブの水分との接触から生じる触媒活性の損失を保護することを課題とする。
【解決手段】本発明の方法は、テンプレートを除去するための金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの加熱を含み、また、保存用に十分に乾燥した形態でモレキュラーシーブを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの触媒活性を保護する方法に関する。特に、本発明は、好ましくは製造工程において、適切にモレキュラーシーブを活性化することによってSAPOモレキュラーシーブの触媒活性を保護する方法に関する。
金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、基本的に、結晶あるいは半結晶体の分子構造内部で相互に結合した均質な気孔および空孔(empty cavities)のネットワークである気孔系を含む。これらの気孔および空孔は分子構造内で分子を補足する。補足された分子の大きさは、気孔および空孔の大きさ以下である。より大きな分子は、物理的に分子構造の中に入ることができない。
金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの気孔および空孔は、モレキュラーシーブ製造工程においてテンプレート材料を使用する結果として形成される。モレキュラーシーブそのものが形成されるあいだに、格子型化学構造が、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの製造で使用されるアルミナ、シリカ、リン成分から形成される。この格子型構造は基本的に、モレキュラーシーブ内部の気孔構造を形成する手段としてのテンプレート材料の作用を保持したまま、テンプレート材料を包み込む。結果として得られたモレキュラーシーブは、モレキュラーシーブのさまざまな特性に適合するために、あるいはより大きな粒子を形成するために、他の構成要素との結合が可能となる。
使用に適したモレキュラーシーブを作る上で、テンプレートは、周囲から分子を吸着するために、あるいは所望の生成物を形成する分子と反応するために、気孔および空孔が分子を補足するために開いているように除去されねばならない。分子が気孔構造内部、とりわけ時としてケージ称される一つ、またはそれ以上の空孔(empty cavities)内部に配置された触媒部位と接触し始めるとき、反応が生じる。
テンプレートは従来、テンプレートをか焼(calcining)または焼成する(burining)ことによって、モレキュラーシーブから除去される。か焼が好ましいが、溶離過程もまたテンプレート除去に用いることができる。テンプレートが除去されると、モレキュラーシーブは活性化され、または使用の準備が整ったとみなされる。活性モレキュラーシーブは、直近の(immediate)空孔(empty cavities)、あるいはケージ(cage)を含む気孔構造を持ち、いつでも使用できる状態にある。
活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ、とくにシリコアルミノフォスフェート(SAPO)モレキュラーシーブは、その微孔構造内部に触媒部位を有し、特に水分に敏感に反応することが知られている。一般に、活性化モレキュラーシーブを水分に有意に晒すことにより、SAPOモレキュラーシーブの触媒活性が非活性化することが知られている。残念ながら、水分の有害な作用から活性化SAPOモレキュラーシーブを保護する方法は限られている。
US6,316,683B1(Janssen他)は、モレキュラーシーブ内部の活性部位を水分との接触から遮断することによるSAPOモレキュラーシーブの触媒活性を保護する方法を開示している。テンプレート自体が遮蔽物として働くことが可能であり、あるいは、無水皮膜(blanket)がテンプレートを含まない活性化シーブの遮蔽物として働くことが可能である。活性部位を遮断することが望ましいのは、活性化SAPOモレキュラーシーブは水分に晒されると、触媒活性の損失が生じるからである。
US4,764,269(Edwards 他)は、水分との接触の結果として生じる非活性化からSAPO-37触媒を保護する方法を開示している。触媒を接触分解装置に入れるまで、モレキュラーシーブの有機テンプレート構成成分がSAPO-37モレキュラーシーブに保持されるような貯蔵条件下で、触媒は保持される。反応装置が400度から600度で操作され、再生装置が約600度から850度で操作されるようなFCC反応条件に触媒が晒されるとき、有機テンプレートはモレキュラーシーブの気孔構造から除去され、触媒は炭化水素の加熱分解のために活性化する。この操作に従えば、仮に水分との接触があったとしてもごくわずかである。
Mees他著「SAPO-34の水熱安定性の改良」(Chem.Commun.,2003,(1),44-45)の最初の発表は、2002年11月22日に予定原稿としてwebで行われ、シーブの酸性部位とNH3との可逆反応に基づいた、SAPO-34モレキュラーシーブを保護する方法を開示している。この方法は、可逆的方法で、H+−SAPO−34をNH4 +−SAPO−34に変換する。NH4 +−SAPO−34は、構造の完全性(integrity)と酸度を損なうことなく長時間にわたって強度の蒸気処理に耐えうるといわれている。
新規の大規模製造の場合、製造工程に金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを使用する商業生産設備は引き続き実施されており、水分との接触の結果としての触媒活性の損失からのモレキュラーシーブを保護することは、引き続きより一層大きな挑戦である。このような挑戦は、特に大規模な商業用触媒反応システムに有益であり、そこで使用されているモレキュラーシーブ材料の量は、典型的なパイロット規模の設備より数桁も大きい。このような大規模システムは、効率的に操作するためにモレキュラーシーブを、代表的には、最低10トンから500トンまで必要になる。従って、さらなる触媒活性の損失に対し金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを保護する方法が望まれている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ、特にSAPOモレキュラーシーブの水分との接触から生じる触媒活性の損失を保護することを課題とする。
一面において、本発明は、触媒活性の損失に対して、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの保護を補助する方法を提供する。これらの方法は、諸問題が発生するかなり初期の段階に関する場合、特に効果的である。とりわけ、本発明の方法は、モレキュラーシーブの製造段階で実施することが可能であることにおいて、きわめて有用である。モレキュラーシーブそれ自体は触媒的用途のために活性化することが可能であり、また、使用に先立って、保存または移送のために保護することが可能である。あるいは、モレキュラーシーブは、予め形成された触媒に製剤化することができる。予め形成された触媒は活性化して触媒を形成することができ、また活性化触媒は触媒の不活性化から保護される。活性化触媒の形態は、一般に、商業規模の設備にもっとも効果的な粒子サイズおよび硬度を提供するがゆえに、もっとも好ましい態様である。
一つの態様において、本発明は、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブをつくる方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む。a) 内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを提供する工程、 b) テンプレートを除去し活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを形成するために、第一温度で金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを加熱する工程、 c) 前記の活性化モレキュラーシーブを、225℃以上の第二温度で不活性気体と接触させ、ここで前記第二温度が、モレキュラーシーブが1.25重量%以下の水分を含むまで、50℃以上、好ましくは第一温度よりも100℃低いことを特徴とする工程。
好ましくは工程bで使用される前記雰囲気が空気である。他の好ましい態様において、工程bは、雰囲気組成の総重量に基づいて、1重量%以上の水蒸気を含む雰囲気の中で行われる。
他の好ましい態様においては、工程cにおいて、不活性気体は、0.075以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.025以下の相対水圧を有する。更に他の好ましい態様において、工程cで使用されるガスは、空気、窒素、ヘリウム、排煙、または、それらの組み合わせである。
前述のいかなる態様においても、工程bにおける温度は、400℃以上が好ましい。
上述のいかなる態様においても、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、シリコアルミノホスフォレートモレキュラーシーブである。また、上述の任意の態様のうち、個々の好しい態様においては、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、前記金属アルミノフォスフォレートモレキュラーシーブと結合剤とを含む製剤された触媒組成物の状態にある。都合のよいことには、前記結合剤は、例えば、アルミニウム、クロルヒドロールのように塩素原子を含む。
本発明によって調製されたモレキュラーシーブは、酸化物原料を1または2以上のオレフィンに変換するための触媒として有用である。従って、本発明はまた、以下を含む、酸化物原料を1または2以上のオレフィンに変換する工程に関連する。この工程は、(i)請求項1から9の任意の方法によって活性化モレキュラーシーブを調製する工程、(ii)活性化モレキュラーシーブを無水環境において保存する工程、(iii)活性化モレキュラーシーブを酸化物原料と接触させる工程、および、(iv)1または2以上のオレフィンを含む生成物を回収する工程が含まれる。
ある態様において、本発明はまた、水分との接触によって生じる触媒の不活性化から活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを保護する方法を提供する。この方法は、内部にテンプレートを保有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを提供することを含む。金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、テンプレートを除去するために、また、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの総量に基づいた、水含量1.25重量%以下の活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを形成するために、加熱される。
他の態様において、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを活性化および乾燥する方法が提供される。テンプレートは、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを活性化するために金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブから除去され、また、活性化された金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは乾燥されて活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを形成する。乾燥されたシーブは、好ましくは、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの総重量に基づき、1.25重量%以下の水含量を有する。
更に、その他の態様において、内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、テンプレートを除去し、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを活性化するために効果的な温度の蒸気で加熱される。活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの総量に基づき、非常にわずかな水含量、好ましくは1.25重量%以下の水含量を有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを形成するために有効な条件の環境において、ガスと接触させる。
また本発明においては、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを形成する方法が提供されている。ある態様において、内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブが提供される。金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、テンプレートを除去し、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを活性化するために効果的な条件のガスと接触される。次に、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブと接触させ、テンプレートを除去するために使用されるガスの温度よりも低い温度に冷却される。活性モレキュラーシーブが冷却される温度は、また、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの総重量に基づいて、1.25重量%以下の水含量を有する活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを形成するために有効である。
本発明の他の局面においては、製剤化された金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ触媒を作成する方法が提供される。好ましい態様において、SAPOモレキュラーシーブ、マトリクス材、および結合材は、スラリーを形成するために一緒に混ぜ合わされる。次に、水は、予め形成された金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ触媒を形成するためにスラリーから除去される。予め形成された金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ触媒を形成するために、ガス、蒸気を含むガス、または蒸気と接触される。活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ触媒は、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ触媒の総重量に基づき、1.25重量%以下の水含量まで乾燥される。
また本発明において、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを保存する方法が提供される。ある態様において、内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、テンプレートを除去し、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを活性化するために、効果的な条件で、水蒸気を含むガスと接触される。活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの総重量に基づき、1.25重量%以下の水含量を有する活性化触媒を形成するために効果的な条件でガスと接触される。そして活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、無水環境で保存される。本発明の他の態様において、活性化SAPOモレキュラーシーブは、150℃以上の温度で保存される。そのような温度においては、無水での保存環境は必要とされない。
本発明の様々な態様において、モレキュラーシーブまたは製剤化されたモレキュラーシーブを加熱および/または活性化すること、そして活性化シーブを冷却および/または乾燥することは、1または2以上の容器で行われる。好ましくは、活性化シーブの活性化、および冷却および/または乾燥は、同一の容器で行われる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
図面の簡単な説明
発明のある態様は、添付図において示されており、モレキュラーシーブから水分を除去することへの温度の効果を示している。
発明の詳細な説明
I.活性化モレキュラーシーブの水含量の最小化
本発明の背景技術において前述したように、モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの気孔構造からテンプレート材料を除去することによって活性化される。いったん活性化されると、分子は気孔構造に入ることが可能となる。活性化モレキュラーシーブが気孔構造内部に活性触媒部位を含む場合には、触媒部位は気孔構造に入る分子と接触し、その分子を化学生成物に触媒変換することができる。気孔構造に入る分子が水分子である場合には、またモレキュラーシーブが金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブである場合には、モレキュラーシーブは触媒的不活性化を受け易くなる。
本発明は、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブへ入り、または残存する傾向を持ち、触媒活性の著しい損失の原因となる水分子量を最小化する方法を提供している。本発明の方法は、触媒活性の損失を防ぐために、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを作成、保存、および使用する過程に適用することが可能である。この方法は、シリコアルミノフォスフェート(SAPO)モレキュラーシーブを、水分または水との接触による触媒活性の損失から保護することに、特に効果的である。
例えば、本発明の方法は、触媒として使用するためにモレキュラーシーブを活性化する方法に含まれる場合に、特に有益である。本発明の方法によれば、好ましくは加熱によって適切に活性化されたモレキュラーシーブは、最小限量の水を含み、そして長時間にわたり触媒の活性状態を維持する。
本発明のある態様によれば、内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの乾燥重量に基づき、約1.25重量%以下の水含量を有する活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを形成するために、テンプレートが加熱除去される。好ましくは、前記金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの総重量の基づいて、約1.0重量%以下の、より好ましくは約0.8重量%以下の、もっとも好ましくは約0.5重量%以下の水含量を有する活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを作成するため、テンプレートが加熱除去される。
好ましくは、モレキュラーシーブの水含量は、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの総重量に基づいて、0以上、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上である。
活性化材料の水含量は、好ましくは、約40mgの活性化材料のサンプルを用い、1時間以上600℃の温度で乾燥空気と接触させることによって活性化材料を加熱して決定する。
水含量は以下のように計算される。
Figure 2007503375
式中、Wは乾燥前の活性材料の重さであり、Wsは乾燥後に除去された水重量である。
ある態様において、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは225℃以上の温度の環境においてガスと接触することで望ましい水分範囲まで乾燥される。この乾燥または接触の工程は、触媒を活性化するための工程に続く冷却工程で行うことができる。好ましくは、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは250℃以上の、より好ましくは275℃以上の、もっとも好ましくは300℃以上の温度の、特に340℃以上の温度を有する環境でガスと接触させる。
本発明の他の態様において、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの乾燥は、乾燥ガスを用いた冷却により行われる。この冷却は、従来の焼成工程に続く。この焼成はテンプレートを除去し、触媒を活性化するために、従来の焼成温度で行われる。焼成は水蒸気、例えばスチームのような水蒸気の存在下で行われるのが好ましい。
乾燥または冷却工程は、望ましくは焼成または活性化工程の温度よりも約50℃以上低い温度で行われる。好ましくは、乾燥または冷却工程は、焼成または活性化工程の温度よりも約100℃以上低い温度で行われ、より好ましくは、焼成または活性化工程の温度よりも約150℃以上低い温度、もっとも好ましくは、焼成または活性化工程の温度よりも約200℃以上低い温度である。
本発明のある態様において、活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、相対的に乾燥した環境にあるガスと接触させることで、相対的に乾燥した状態で得られる。気体は、好ましくは、空気、窒素、ヘリウム、燃焼排ガス、およびそれらの組合せからなる群から選択され、また、気体が活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブと接触する環境は、水含量が実質的に低い。その環境の水含量は、好ましくはほとんど水分吸着が生じないくらいに十分低い相対水圧を有する。本発明における相対水圧(Pr)は、水の臨界温度(374℃)以下の所定の温度における飽和水圧(Po)で、実際の分圧(P)を割ったものとして定義される。この相対水圧は、活性化モレキュラーシーブが乾燥あるいは冷却される環境の湿気の量である。例えば、Pr=1は、100%の水飽和を意味し、また、Pr=0は、完全な乾燥を意味する。
本発明のある態様において、活性化モレキュラーシーブは、相対的に乾燥した状態において、約0.075以下の相対水圧を有する環境で気体と接触させることにより得られる。
好ましくは、活性化モレキュラーシーブは0.05以下の、より好ましくは0.025以下、最も好ましくは0.001以下の相対水圧の環境においてガスと接触させることにより加熱される。また、好ましくは、低水圧の環境でモレキュラーシーブが気体と接触する工程は、乾燥工程の一部として、また、とくに活性化触媒の保管庫あるいは移送コンテナへの装填に先立って行われる。
本発明の他の態様において、活性化モレキュラーシーブは、乾燥気体と接触することにより、相対的に乾燥した状態で得られる。乾燥または冷却工程で使用される乾燥気体は、従来から、モレキュラーシーブを乾燥するために使われている任意のガスでよい。そのような乾燥気体の例には、空気、窒素、ヘリウム、排煙(すなわち、水含量の少ない燃焼生成気体)、あるいはそれらの組合せが含まれる。乾燥した空気が好ましい。とくに、約0.075以下の、好ましくは約0.05以下の、より好ましくは約0.025以下の、最も好ましくは約0.001以下の相対水圧を有する乾燥気体が望ましい。
本発明の他の態様において、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、硬度を得るために活性化され、活性化モレキュラーシーブ触媒は、許容できる程度に乾燥している。触媒の硬度は、従来の方法を用いた消耗抵抗の測定によって決定することができる。そのような方法の一つは、周知のジェット・カップ・アトリション法(Jet Cup Attrition Method)である。これは、通例、ダビソン消耗指標、またはダビソン指標(DI)とも称される。例えば、米国特許U.S.5,547,564号および5,364,516号を参照されたい。本発明のモレキュラーシーブまたは触媒組成は、望ましくは移送または保存のあいだの物理的損傷に対して十分に保護を提供できる程度に硬く、また、好ましくは操作のあいだの物理的損傷に対して保護を提供する工程装置に導入するために十分に硬い。
ある局面において、本発明は、15以下のダビソン指標(Davison Index)を有する硬化した活性化モレキュラーシーブ触媒を得るために効果的な条件下において金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを加熱することを提供する。好ましくは、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは10以下の、より好ましくは5以下の、もっとも好ましくは3以下のダビソン指標を有する硬化した、活性化モレキュラーシーブ触媒を得るために効果的な条件下で加熱される。
一般に、ダビソン指標が低いほど、組成の硬度は増す。本発明においてダビソン指標は以下のように測定される。
結合剤材料を有するモレキュラーシーブの試料は、ミクロンの範囲の平均直径を測定するために分析される。次に、試料は毎分18リットルの気流を用いた、精密なオリフィス口径を有する硬化鋼のジェットカップ(jet cup) を使用した流動触媒損耗装置(Fluid Catalyst Attrition Apparatus)において、標準20分テストを受ける。硬度はテストのあいだに壊れた触媒粒子の総量の結果として測定される。テストのあいだに壊れた粒子の数が大きいほど、触媒は硬度が弱くなる。ダビソン指標は、以下のように計算される。
Figure 2007503375
II、モレキュラーシーブの種類
本発明は、水分子と接触することにより生じる不活性化から、任意のタイプの活性化触媒部位を包むモレキュラーシーブを保護することについて効果的である。モレキュラーシーブは多種の化学的、物理的、そして構造的諸特性を有する。モレキュラーシーブはIUPACゼオライト命名委員会の規定に従って、国際ゼオライト協会の構造委員会によって適切に分類されてきた。構造型は、構造を構成している四面体配置原子の結合形態と結合性を記述し、これらの材料の特性の抽出を行う。構造が確立されてきた構造型ゼオライトおよびゼオライト型モレキュラーシーブは、3文字のコードに割り当てられるとともに、『ゼオライト構造型』(第5版、エルゼヴィア、ロンドン 2001年)に記載される。この文献は、参照により完全に本発明に取込まれる。
結晶性モレキュラーシーブ材料はすべて、かどを共有したTO四面体の3次元、4連結の骨格構造を有し、ここでTは任意の四面体に配置されたイオンである。モレキュラーシーブは代表的には気孔を規定する輪の大きさを用いて記述され、ここでこの大きさは、輪におけるT原子の数に基づく。他の構造型特性には、ケージを形成する輪の配列、存在する場合には、チャネルの大きさ、およびケージ間の空間が含まれる。ヴァン・ベッカム(Van Bekkum)他『ゼオライトの科学と実際の紹介』(全面改訂増補第2版、137巻、1-67頁、エルゼヴィア・サイエンス B.V. アムステルダム 2001年)を参照のこと。
モレキュラーシーブの非限定的な例としては、小気孔モレキュラーシーブ、AEI、AFT、APC、ATN、ATT、ATV、AWW、BIK、CAS、CHA、CHI、DAC、DDR、EDI、ERI、GOO、KFI、LEV、LOV、LTA、MON、PAU、PHI、RHO、ROG、THOおよびその置換型、中気孔モレキュラーシーブ、AFO、AEL、EUO、HEU、FER、MEL、MFI、MTW、MTT、TONおよびその置換型、そして大気孔モレキュラーシーブ、EMT、FAUおよびその置換型が挙げられる。その他のモレキュラーシーブには、ANA、BEA、CFI、CLO、DON、GIS、LTL、MER、MOR、MWWおよびSODが含まれる。好ましいモレキュラーシーブ、特に、酸素化物を含む原料をオレフィンに変換するためのモレキュラーシーブの非限定的な具体例には、AEL、AFY、BEA、CHA、EDI、FAU、FER、GIS、LTA、LTL、MER、MFI、MOR、MTT、MWW、TAM、およびTONが含まれる。ある好ましい態様において、本発明のモレキュラーシーブは、AEI結合形態、またはCHI結合形態、あるいはこれらの組合せを、もっとも好ましくは、CHA結合形態を有する。
小、中、および大気孔モレキュラーシーブは、4員環から12員環、またはそれ以上の構造型を有する。代表的には、本発明で使用するモレキュラーシーブは、8、10、12員環構造と約3Åから15Åの範囲の平均気孔サイズを有する。より代表的には、モレキュラーシーブ、好ましくはシリコアルミノフォスフェート モレキュラーシーブは8員環、および3Åから約5Å、例えば3Åから約4.5Å、特に3.5Åから約4.2Åの範囲のような、約5Å未満の平均気孔サイズを有する。
本発明に用いられるモレキュラーシーブは、好ましくは、例えば金属含有アルミノフォスフェート(AIPO)のように〔AlO〕および〔PO〕四面体単位を含む分子構造を有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブである。ある態様において、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、例えばシリコアルミノフォスフェート(SAPO)のような、〔AlO〕、〔PO〕および〔SiO〕四面体単位を含む。これらのシリコン、アルミニウム、およびリンを基礎とするモレキュラーシーブおよびそれらの金属含有誘導体は、多数の刊行物において、詳細が記述されている。それらは、例えば、以下の刊行物である。米国特許US4,567,029号(MeAPOここでMeはMg,Mn,ZnまたはCo)、米国特許US4,440,871号(SAPO)、欧州特許出願EP-A-0 159 624号(ELAPSOここでELはAs,Be,B,Cr,Co,Ga,Ge,Fe,Li,Mg,Mn,TiまたはZn)、米国特許US4,554,143号(FeAPO)、米国特許US4,822,478号、4,683,217号、4,744,885号(FeAPSO)、欧州特許EP-A-0 158 975号および米国特許US4,935,216号(ZnAPSO)、欧州特許EP-A-0 161 489号(CoAPSO)、欧州特許EP-A-0 158 976号(ELAPO、ここでELはCo,Fe,Mg,Mn,TiまたはZn)、米国特許US4,310,440号(AIPO)、欧州特許EP-A-0 158 350号(SENAPSO)、米国特許US4,937,460号(LiAPSO)、米国特許US4,789,535号(LiAPO)、米国特許US4,992,250号(GeAPSO)、米国特許US4,888,167号(GeAPO)、米国特許US5,057,295号(BAPSO)、米国特許US4,738,837号(CrAPSO)、米国特許US4,759,919号および4,851,106号(CrAPO)、米国特許US4,758,419号、4,882,038号、5,434,326号および5,478,787号(MgAPSO)、米国特許US4,554,143号(FeAPO)、米国特許US4,894,213号(AsAPSO)、米国特許US4,913,888号(AsAPO)、米国特許US4,686,092号、4,846,956号および4,793,833号(MnAPSO)、米国特許US5,345,011号および6,156,931号(MnAPO)、米国特許US4,737,353号(BeAPSO)、米国特許US4,940,570号(BeAPO)、米国特許US4,801,309号、4,684,617号および4,880,520号(TiAPSO)、米国特許US4,500,651号、4,551,236号および4,605,492号(TiAPO)、米国特許US4,824,554号 、4,744,970号(CoAPSO)、米国特許US4,735,806号(GaAPSO)、欧州特許EP-A-0 293 937号(QAPSO、ここでQは構成酸化物単位〔QO〕)、および、米国特許US4,567,029号、4,686,093号、4,781,814号、4,793,984号、4,801,364号、4,853,197号、4,917,876号、4,952,384号、4,956,164号、4,956,165号、4,973,785号、5,241,093号、5,493,066号および5,675,050号。これらはすべて参照により本発明に完全に取込まれる。
他のモレキュラーシーブにはR.Szostak著『モレキュラーシーブハンドブック』(ノストランド・レインホールド ニューヨーク 1991年)に記述されたものが含まれ、これらは参照により本発明に完全に取込まれる。
より好ましいモレキュラーシーブはSAPOモレキュラーシーブ、および金属置換SAPOモレキュラーシーブである。適切な金属置換基は、元素周期表の第IA族のアルカリ金属、元素周期表の第IIA族のアルカリ土類金属、第IIIB族の希土類金属であり、これらには、次のランタニド系元素が含まれる。それらは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムである。更に、適切な金属置換基は、元素周期表のスカンジウムまたはイットリウム、元素周期表の第IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIBおよびIB族の遷移金属、および任意のこれら金属種の混合物である。ある態様において、金属は、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)およびジルコニウム(Zr)、そして、それらの混合物からなる群から選択される。金属原子は、例えば、〔MeO〕のような四面体単位を通し、モレキュラーシーの骨格に挿入されるとともに、金属置換基の原子価状態に応じて正味荷電を帯びることができる。例えば、ある態様において、金属置換基が、+2、+3、+4、+5または+6の原子価状態であるとき、四面体単位の正味荷電は−2から+2の間である。
ある態様において、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブは、無水ベースに基づき、以下の式によって表される。
mR:(MxAlyPz)O2
ここで、Rは一つ以上のテンプレート剤、好ましくは有機テンプレートを表す。mは、(MxAlyPz)O2の1モル当たりのRのモル数である。mは0から1、好ましくは0から0.5、もっとも好ましくは0から0.3の数値を有する。x、y、およびzは、四面体酸化物であるAI、 PおよびMのモル係数を表し、ここで、Mは、元素周期表の第IA、IIA、
IB、IIIB、IV、VB、VIB、VIIB、VIIIB族およびランタニドからなる群から選択された金属である。好ましくは、Mは、シリコン(Si)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)およびジルコニウム(Zr)からなる群から選択された1つまたは2以上の金属である。ある態様において、mは0.2以上であり、x、yおよびzは、0.01以上である。
別の態様において、mは0.1より大きく約1までであり、xは0より大きく約0.25まで、yは0.4から0.5の範囲であり、zは0.25から0.5の範囲である。より好ましくは、mは0.15から0.7まで、xは0.01から0.2まで、yは0.4から0.5まで、zは0.3から0.5までである。
モレキュラーシーブは、シリコアルミノフォスフェートまたは金属含有シリコアルミノフォスフェートの場合には、SAPOは代表的には約0.65以下、約0.40未満のような、例えば0.32未満、また、特に0.20未満のSi/Al比を有する。ある態様において、モレキュラーシーブは、約0.65から約0.10の範囲の、約0.40から約0.10のような、例えば約0.32から約0.10、また特に約0.32から0.15の範囲のSi/Al比を有する。
本発明において、有用なSAPOおよびAlPOモレキュラーシーブの非限定的な具体例には、SAPO-5、SAPO-8、SAPO-11、SAPO-16、SAPO-17、SAPO-18、SAPO-20、SAPO-31、SAPO-34、SAPO-35、SAPO-36、SAPO-37、SAPO-40、SAPO-41、SAPO-42、SAPO-44、SAPO-47、SAPO-56、AlPO-5、 AlPO-11、 AlPO-18、 AlPO-31、 AlPO-34、 AlPO-36、AlPO-37、AlPO-46およびそれらの金属含有モレキュラーシーブの1つまたは組合せが含まれる。これらのうち、特に有用なモレキュラーシーブは、SAPO-18、SAPO-34、SAPO-35、SAPO-44、SAPO-56、AlPO-18、 AlPO-34、およびそれらの金属含有誘導体の1つまたは組合せ、例えば、SAPO-18、SAPO-34、AlPO-34、AlPO-18およびそれらの金属含有誘導体の1つまたは組合せ、また、特にSAPO-34、AlPO-18およびそれらの金属含有誘導体を含む1つまたは組合せである。
ある態様において、モレキュラーシーブは、一つのモレキュラーシーブ組成内に2つ以上の異なった結晶性の相を有する連晶物質である。特に、連晶モレキュラーシーブは、米国特許出願公報2002-0165089号および国際公報WO98/15496号(1998年4月16日に公開)に掲載され、これらはともに参照により本発明に完全に取込まれる。例えば、SAPO-18、AlPO-18およびRUW-18はAEI構造型を有し、SAPO-34はCHA構造型を有する。従って、本発明において使用されるモレキュラーシーブは、AEIおよびCHA構造型の1つ以上の連晶相を含むこととなる。特に、ここでAEI構造型に対するCHA構造型の比率は、米国特許出願公報2002-016089号において開示されたDIFFaX法で決定されるように、1対1より大きい。
III、モレキュラーシーブ結晶の作成方法と製剤化されたモレキュラーシーブ触媒
A、モレキュラーシーブ結晶の作成
一般に、モレキュラーシーブ(すなわちモレキュラーシーブ結晶)は、1つまたは2以上のアルミニウム源、リン源、シリコン源、水および窒素含有有機化合物のようなテンプレート剤の熱水結晶化により合成される。代表的には、シリコンおよびアルミニウム源、またはシリコン、アルミニウムおよびリン源、水、および1つおよび2以上のテンプレート剤との組合せが、密封された圧力容器に置かれる。容器は、任意にポリテトラフルオロエチレンのような不活性プラスチックなどで囲まれており、結晶物質が形成されるまで、結晶化圧力と温度のもとで加熱される。次に、結晶物質は、ろ過、遠心分離、および/または、傾斜法によって回収される。
シリコン源の非限定的な具体例には、ケイ酸塩、例えばデグサ社(Degussa Inc.:ニューヨーク)から入手可能であるAerosil-200のようなヒュームド・シリカ、およびCAB-O-SIL M-5、例えばテトラメチル・オルトシリケート(tetramethylorthosilicate:TMOS)およびテトラエチル・オルトシリケート(tetraethylorthosilicate:TEOS)などテトラアルキル・オルトシリケート(tetraalkylorthosilicate)のような有機ケイ素化合物、例えばE.I.du Pont de Nemours社( ウィルミントン、デラウエア州 )から入手可能なLudox-HS-40ゾルのようなコロイドシリカまたはその水性懸濁液、ケイ酸(silicic acid)、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
アルミニウム源の非限定的な具体例には、例えばイソプロポキシドのようなアルミニウムアルコキシド、アルミニウムフォスフェート、アルミニウム水酸化物、アルミン酸ナトリウム、擬似ベーマイト、ギブサイト、および三塩化アルミニウム、またはそれらの任意の組合せが含まれる。利便性のよいアルミニウム源は、擬似ベーマイトであり、特にシリコアルミノフォスフェートモレキュラーシーブを製造するときは、これが便利である。
アルミニウム含有リン組成物も包含する、リン源の非限定的な具体例には、リン酸、トリエチル燐酸のような有機リン酸塩、およびAplO4、リン酸塩のような結晶質あるいは非晶質のアルミノフォスフェート、または、それらの組み合わせが含まれる。便利なリン源は、リン酸であり、特に、シリコアルミノフォスフェートを製造するときはこれが便利である。
一般に、テンプレート剤またはテンプレートは、元素周期律表の第15族の元素、特に窒素、リン、ヒ素、およびアンモニアを含む化合物を含む。典型的なテンプレートは、1から10の炭素原子、例えば1から8の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基のような、1以上のアルキルまたはアリール基も含む。好ましいテンプレートは、アミン、第4級アンモニウム化合物、およびそれらの組合せ窒素含有化合物である。適切な第4級アンモニウム化合物は、一般式Rで表される。ここでRは、水素またはヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビル基、好ましくは1から10の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基である。
テンプレートの非限定的な具体例には、例えば、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、テトラプロピルアンモニウム化合物、およびテトラブチルアンモニウム化合物、シクロヘキシルアミン、モルホリン、ジ−n−プロピルアミン(DPA)、トリプロピルアミン、トリエチルアミン(TEA)、トリエタノールアミン、ピペリジン、シクロヘキシルアミン、2−メチルピリジン、N,N-ジメチルベンジルアミン 、N,N- ジエチルエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、コリン、N,N’-ジメチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ (2,2,2)オクタン、N’,N’,N,N-テトラメチル(1,6)ヘキサンジアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-メチル-エタノールアミン、N-メチルピペリジン、3-メチル-ピペリジン、N-メチルヘキシルアミン、3-メチルピリジン、4-メチル-ピリジン、キヌクリジン、N,N’-ジメチル-1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン イオン、ジ-n-ブチルアミン、ネオペンチルアミン、ジ-n-ペンチルアミン、イソプロピルアミン、t-ブチル-アミン、エチレンジアミン、ピロリジンおよび2-イミダゾリドンのような化合物の塩を含むテトラアルキルアンモニウム化合物が含まれる。好ましくは、テンプレートはテトラエチルアンモニウム塩、シクロペンチルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、ピペリジン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリ-エチルヒドロキシエチルアミン、モルホリン、ジプロピルアミン(DPA)、ピリジン、イソプロピルアミン、それらの熱分解物、およびそれらの組合せから成る群から選択される。
最小量のシリコン、アルミニウム、任意にリン組成物、およびテンプレート剤を含む合成混合物のpHは、例えば5から8など、一般的に、2から10の範囲である。
一般に、前述の合成混合物は、容器内で密閉加熱され、好ましくは自然圧力の下で、例えば約100℃から約250℃のような約80℃から約250℃の、約150℃から約180℃のような例えば約125℃から約225℃の範囲の温度まで加熱される。
ある態様において、モレキュラーシーブ結晶粒子の合成は、他の、または、同じ構造型のモレキュラーシーブからの種粒子によって補助される。
結晶粒子を形成するために必要な時間は、通常、温度に依存し、即刻から数週間まで変化し得る。代表的には、結晶化時間は、約45分から約240時間のように、約30分からおよそ2週間、例えば、約1時間から約120時間である。熱水結晶化は、かき混ぜまたは攪拌の有無にかかわらず、行うことができる。
一旦、結晶性モレキュラーシーブ生成物が、通常スラリー状態において形成されると、当業者に周知の任意の標準技術、例えば遠心分離やろ過によって回収することができる。通例「ウェットフィルターケーキ(wet filter cake)」と称される回収された結晶性粒子は次に、触媒組成物に製剤される前に、水を用いるなどして洗浄され、その後、空気中などで乾燥することができる。または、ウェットフィルターケーキは、何らかの乾燥なしに、あるいは部分的乾燥のみ行って、触媒組成物に直接、製剤することができる。
B、 製剤化されたモレキュラーシーブ触媒の作成
1、 製剤化されたモレキュラーシーブ触媒の成分 (p20)
モレキュラーシーブ触媒生成物および代表的な結合剤およびマトリクス剤を含むモレキュラーシーブ触媒は、また、製剤化された触媒と称される。これは、モレキュラーシーブ結晶(テンプレートを含む)および液体、任意にマトリクス材料および/または結合剤を混合することにより作られ、スラリーを形成する。次に、モレキュラーシーブからテンプレートを完全に除去することなく、スラリーは乾燥される(すなわち液体は除去される)。この乾燥したモレキュラーシーブ触媒はテンプレートを含むために、それは活性化されてはおらず、また予め形成された触媒とみなされる。この形態における触媒は、水分や水との接触による触媒損失に対して耐性がある。しかしながら、予め形成された触媒は、使用前に活性化されなければならず、また本発明は、好ましくは更に加熱処理によって適切な活性化方法を提供し、活性化触媒内部の低い水含量を維持する。
スラリー形成に使われる液体は、モレキュラーシーブ触媒の製剤化において従来使用された任意の液体でよい。適切な液体の非限定的な具体例には、水、アルコール、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、または、それらの組合せが含まれる。水は、好ましい液体である。
マトリクス材料は、本発明の製剤化されたモレキュラーシーブ触媒を作成するために使用されるスラリーに任意に含まれる。そのような材料は、代表的には例えば再生の間、触媒組成物から熱を遮断することを補助するサーマルシンク(thermal sinks)のように、有効である。さらに、それらは触媒組成物を緻密にし、粉砕力および摩滅抵抗のような触媒強度を増大し、および特定の工程における変換速度を制御することのために作用することができる。非制限的なマトリクス材料の具体例には、1または2以上の次の物質を含む。希土類金属、チタニア、ジルコニア、マグネシア、トリア、ベリリア、石英、シリカまたはゾル、およびその混合物を含む金属酸化物である。例えば、シリカ・マグネシア、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、シリカ・アルミナ、およびシリカ・アルミナ・トリアである。
ある態様において、マトリクス材料は、モンモリロナイトおよびカオリン族に由来する自然粘土である。これらの自然粘土は、例えば、ディクシー(Dixie)、マクナミー(McNamee)、ジョージアおよびフロリダ粘土として知られるカオリンを含む。その他のマトリクス材料の非限定的な具体例には、ハロイサイト(halloysite)、カオリナイト(kaolinite)、ディッカイト(dickite)、ナックライト(nacrite)、およびアノーキサイト(anauxite)を含む。任意にマトリクス材料は、好ましくは任意の粘土が、スラリー成分として使用される以前に焼成され、酸処理され、および/または化学処理される。任意の焼成処理のもとで、マトリクス材料は、材料が予め触媒製剤に使用されていない限りは、依然、処女材料とみなされることになる。
特殊な様態において、マトリクス材料は、粘土または粘土タイプの組成物であり、好ましくは鉄またはチタニアの低い含有量を有する粘土または粘土タイプの組成であり、もっとも好ましくはマトリクス材料は、カオリンである。カオリンは、ポンピングが可能で、高い固形含量を有するスラリーを形成することがわかっている。カオリンは、新しい表面領域が少なく、またそれはその薄板(platelet)構造のために容易に圧縮する。
結合剤もまた、本発明の製剤化されたモレキュラーシーブ触媒を作成するために使用されるスラリーに任意に含まれる。そのような材料は、製剤化された触媒組成物を形成するために、モレキュラーシーブ結晶と他の材料とを結合する接着剤の役割を果たす。結合剤の非限定的な具体例には、水和アルミナ、シリカ、および/またはその他の無機酸化物ゾルなどのようなさまざまタイプの無機酸化物が含まれる。本発明のある態様において、結合剤はアルミナを含むゾルであり、好ましくは、アルミニウムクロロハイドレイトである。焼成に際して無機酸化物ゾルは無機酸化物マトリクス成分に変換されるが、それは、硬化したモレキュラーシーブ触媒組成物を形成する上で特に効果的である。例えば、加熱処理に続いて、アルミナゾルは、アルミニウム酸化物マトリクスに変換されることになる。
アルミニウムクロロハイドレイトは、塩化物対イオンを含むゾルに基づく水和アルミニウムであるが、アルミニウムクロロハイドロールとしても知られており、次の一般式を有する。
AlmOn(OH)0Clp・x(H2O)
ここで、mは1から20、nは1から8、oは5から40、pは2から15、およびxは0から30である。ある態様において、結合剤は、G.M.ウォルターマン他著『Stud.Surf.Sci and Catal 』76巻、105-144頁(エルゼヴィア、アムステルダム、1993年)において記述されているように、Al13O4(OH)24Cl7・12(H2O)であり、これは参照により、本発明に取込まれる。他の態様において、1つおよび2以上の結合剤は、アルミニウムオキシヒドロキシド、γ-アルミナ、ベーマイトおよび遷移アルミナ(例えば、α-アルミナ、β-アルミナ、γ-アルミナ、δ-アルミナ、ε-アルミナ、к-アルミナ、およびρ-アルミナ)、ギブサイト(gibbsite)、バイエライト(bayerite)、ノルドストランダイト(nordstrandite)、ドイエライト(doyelite)などのアルミニウムトリヒドロキシド、およびそれらの混合の1つおよび2以上の他の非限定的な具体例との組合せとして存在する。
他の態様において、結合剤は、主にアルミニウム酸化物を含み、任意にシリコンを含むアルミナゾルである。さらに他の態様において、結合剤は、ゾルまたはアルミニウムイオン溶液を調製するために、酸、好ましくは非ハロゲン酸を用いて、擬似ベーマイトのようなアルミナ水和物を処理することによって作られるゲル化されたアルミナである。市販されているコロイド状アルミナゾルの非限定的な具体例には、ナルコ(Nalco)ケミカル社(ナパービル、イリノイ州)から入手できるナルコ8676、およびナイアコルナノテクノロジー(Nyacol Nano Technology Inc.)社(ボストン、マサチューセッツ州)から入手できるナイアコルを含む。
結合剤がモレキュラーシーブ触媒の作成において使用されない場合、触媒は結合剤のない触媒と見なされる。結合剤が使用される場合、モレキュラーシーブ触媒を調製するために使用される結合剤の量は、結合剤、モレキュラーシーブ、および液体を除いた(すなわち乾燥後の)任意に含まれているマトリクス材料の総重量に基づいて、約2重量%から約30重量%までの範囲である。好ましくは、モレキュラーシーブ触媒を調製するために使用される結合剤の量は、結合剤、モレキュラーシーブ、および液体を除いた(すなわち乾燥後の)任意に含まれているマトリクス材料の総重量に基づいて、約5重量%から約20重量%の範囲であり、より好ましくは、約7重量%から約15重量%の範囲である。
2.モレキュラーシーブ触媒を用いたスラリーの作成
モレキュラーシーブ触媒は液体および任意のマトリクス剤および/またはスラリーを形成する従来の技術を使った結合剤と混合される。それらの成分は任意の順序で混合でき、混合物はスラリーを形成するために十分に攪拌される。攪拌が十分であればあるほど、スラリーの粘度はよくなる。
スラリーの混合は、好ましくは、任意の凝集体または大粒子をより小さなより均一な粒子に粉砕するために十分である。一般に、混合が強力であるほど、スラリーにおいて形成される触媒粒子は小さくなる。高剪断ミキサーを使用した混合が好ましい。一般に、高剪断ミキサーは、実験室スケールで約3,000rpm以上のスピードで回転することが可能である。
スラリーの固形粒子の大きさは、スラリーの粘度を計測することで間接的に決定できる。一般に、粘度が高いほど、スラリー中の固形粒子の大きさは小さい。スラリーの粘度は、混合が大粒子の粉砕に効果的でないために高すぎてはならず、また、乾燥が許容される粒子を形成をするために、低すぎてはならない。
ある態様において、スラリーは、10rpmの3号スピンドルを用いたブルックフィールドLV-DVE粘度計を使用して計測した場合、約100センチポイズ(cpi毎秒0.1パスカル)から約9,500センチポイズ(毎秒9.5パスカル)の粘度を有する。好ましくは、スラリーは、10rpmの3号スピンドルを用いたブルックフィールドLV-DVE粘度計を使用して計測した場合、約200センチポイズ(毎秒0.2パスカル)から約8,500センチポイズ(毎秒8.5パスカル)、より好ましくは、約350センチポイズ(毎秒0.375パスカル)から約8、000センチポイズ(毎秒8パスカル)の粘度を有する。
他の態様において、スラリーは、スラリーの総重量に基づいて、約10重量%から約75重量%の固形分を有する。好ましくは、スラリーは、スラリーの総重量に基づいて、約15重量%から約70重量%の、より好ましくは、約20重量%から約65重量%の固形分を有する。固形含量は、任意の従来の方法を使って計測することができる。しかし、CEM MAS 700マイクロウェーブマフル加熱炉は、本発明において記述する値と一致した結果を与えるため、特に好ましい。
ある態様において、製剤化されたモレキュラーシーブ触媒を作成するために使用されるスラリーは0:1から1:1の重量比で結合剤およびマトリクス材料を含む。好ましくは、モレキュラーシーブ触媒を作成するために使用されるスラリーは、1:15から1:2の、より好ましくは1:10から1:2の、もっとも好ましくは、1:6から1:1の重量比で結合剤およびマトリクス材料を含む。結合剤が使用されない場合においては、モレキュラーシーブ成分自体が結合剤の役割を果たす。
3.予め形成された触媒の作成
予め形成されたモレキュラーシーブ触媒を作るために、水はモレキュラーシーブ結晶を含むスラリーから除去される。好ましくは、スラリーは予め形成されたモレキュラーシーブ触媒組成物を生産する形成装置に供給される。形成装置は、噴霧乾燥機、ペレタイザー、押出機のような任意の従来の装置でよい。好ましい態様において、形成装置は、加熱または乾燥工程によってスラリーから水を除去する噴霧乾燥機である。好ましくは、形成装置は、スラリーから液体の大部分を除去するのに十分な温度で維持される。
噴霧乾燥機が形成(または乾燥)装置として使用される場合、代表的には、モレキュラーシーブ粒子のスラリー、および任意のマトリクス材料および/または結合剤は、乾燥した気体とともに噴霧乾燥機に送り込まれる。乾燥した気体はスラリーと接触し、予め形成されたモレキュラーシーブ触媒を作るために水を除去する働きをする。従来の乾燥条件が使用可能である。そのような条件は、約150℃から約550度の範囲の平均入口温度、および約100℃から約250℃の範囲の平均出口温度を含む。
噴霧乾燥の間に、スラリーは、スラリーを小さな水滴に分散するエアゾールスプレーのようなノズルを通り、噴霧化が生じる乾燥室に送られる。噴霧化は、スラリーを約100psiaから約1,000psia(約690kPaaから約6,895kPaa)範囲の圧力降下を伴う1つのノズルまたは複数のノズルを通って送り込むことで得られる。他の態様において、スラリーは噴霧化を伴いながら、あるいは、空気、水蒸気、排ガス、またはその他の任意の適切なガスなどの流動体への接触を伴いながら、1つのノズルまたは複数のノズルを通って送り込まれる。
さらにその他の態様において、予め形成された触媒を作成するために使用されるスラリーは、スラリーを小さな水滴に分散する糸車の周辺に向けられる。水滴の大きさは、スラリー粘度、表面張力、流速、圧力、および温度、ノズルの形状および容積、あるいは歯車の車輪の回転速度を含む1つおよび2以上のファクターによって制御される。次に、これらの水滴は、予め形成されたモレキュラーシーブ触媒組成物を形成するために噴霧乾燥機を通過する空気の並流または逆流中で乾燥される。従来の噴射乾燥工程の具体例は、米国特許US4,946,814号に記述されており、これは参照により本発明に取込まれる。
C. モレキュラーシーブおよび触媒の非活性化からの保護
本発明のモレキュラーシーブ材料は、モレキュラーシーブからテンプレートを除去し、活性化材料の水含量を最小化するために適切な活性化により保護される。モレキュラーシーブ結晶自体は、使用に先立つ触媒使用または保存、移送のために活性化することができる。しかし、シーブは代表的には製剤化された生成物として最も有用であるため、モレキュラーシーブは予め形成された触媒に製剤化され、次に活性化されることが好ましい。製剤化された生成物は一般に、商業スケールの設備に最も効果的な粒子の大きさおよび硬度を提供する。
活性化されたモレキュラーシーブ材料は、前述の材料の総重量に基づいて、低い水含量、好ましくは1.25重量%以下(例えば、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.8重量%以下、およびもっとも好ましくは0.5重量%以下)の水含量において、活性化された材料を維持することで、触媒の非活性化から保護される。これは、水の臨界温度以下の温度で、水が活性化されたモレキュラーシーブ剤に接触することを防ぐまたは制限することによって得られる。
本発明のある態様において、モレキュラーシーブ材料は加熱によってテンプレートを除去することで活性化される。ある好ましい態様において、加熱は、テンプレートの燃焼の結果として形成される水を除去するために十分に効果的である。好ましくは、モレキュラーシーブ材料は水の臨界温度より高い温度で加熱される。この温度において、加熱工程のあいだに形成された水は、モレキュラーシーブによって凝集または保持されない。好ましくは、テンプレートは水の臨界温度より高い温度で水蒸気と接触することによって除去される。
テンプレートの除去およびモレキュラーシーブ活性化のための加熱は、本発明において、一般に焼成として言及される。従来の焼成装置が使用可能である。そのような装置には、回転式か焼炉、流動床か焼炉、バッチオーブンなどが含まれる。焼成時間は、代表的には、モレキュラーシーブ組成物の硬度と温度の程度に依存する。
従来の焼成温度は、テンプレート材料を除去し、本発明のモレキュラーシーブ触媒を活性化するために効果的である。そのような温度は一般に、約400℃から約1、000℃、好ましくは約500℃から約800℃、もっとも好ましくは約550℃から約700℃の範囲である。
直ちに装置に充填するには一般に高すぎる温度になるために、例えば焼成による加熱活性化に続いて、活性化されたモレキュラーシーブは冷却される。好ましい態様において、活性化されたモレキュラーシーブは、水がモレキュラーシーブの気孔に入ることを防ぐために、気体に接触することにより、好ましく乾燥気体に接触することにより、冷却される。好ましくは、気体は乾燥気体であり、より好ましくは前記の通り、従来、乾燥モレキュラーシーブに用いられた乾燥、不活性気体(例えば、約0.075以下の、好ましくは約0.05以下の、より好ましくは約0.025以下の、最も好ましくは約0.001以下の相対水圧の、空気、窒素、ヘリウム、排ガス、またはそれらの組合せ)である。また、前述の通り、約225℃以上(例えば、望ましくは250℃以上、好ましくは275℃以上、より好ましくは300℃以上、そしてもっとも好ましくは340℃以上)の温度の環境において、気体と接触することによって活性化モレキュラーシーブが冷却されることが、好ましい。モレキュラーシーブ活性化およびこれに続く冷却または乾燥は、別々の加熱装置で、またはその装置の異なる部分ではあるが、同じ加熱装置で行われる。
活性化されたモレキュラーシーブ、すなわち金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを、水との接触による触媒の不活性化から保護する方法は、製剤化されたモレキュラーシーブ触媒を作成および活性化するための方法と同じく、モレキュラーシーブ粒子を作成および活性化するための方法に効果的に組み込むことができる。好ましい態様において、活性化されたモレキュラーシーブを保護する方法は、製剤化されたモレキュラーシーブ触媒を作成および活性化する方法に取込まれる。
ある態様において、製剤化された触媒は、金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ、マトリクス材料、およびスラリーを形成するための結合剤を一緒に混合することによって作られる。水は、予め形成されたモレキュラーシーブ触媒を形成するためにスラリーから除去される。所望により、予め形成された触媒は、後日活性化が生じるときまで保存することができる。予め形成された状態において、触媒は、一般に、水分との接触の結果としての不活性化に対して保護される。
ある態様において、予め形成された触媒は、テンプレート材料を除去するために、空気または空気および蒸気に接触することによって活性化される。活性化された触媒を不活性化から保護するために、有意でない水量が活性化された触媒によって保持されるような方法で、活性化された触媒は乾燥または冷却される。次に活性化された触媒は、所望により、長期間にわたり適切に保存することができる。好ましくは予め形成された触媒は、空気組成物の総重量に基づき、約1重量%以上の蒸気、より好ましくは約5重量%以上の、そしてもっとも好ましくは約10重量%以上の蒸気を含んでいる空気組成物と接触することによって活性化される。
IV.モレキュラーシーブまたは製剤化されたモレキュラーシーブ触媒の保存
活性化されたモレキュラーシーブは、触媒活性に実質的な損失がないように保存される。本発明に基づく触媒活性は、メタノール取り込み指数によって定義される。メタノール取り込み指数は、活性化されたモレキュラーシーブの最大メタノール吸着能(重量%)(すなわち、活性化後の初期のメタノール吸着能)に対する、計測時における活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブのメタノール吸着能(重量%)の比率として定義される。例えば、これは触媒活性の損失がない活性化されたモレキュラーシーブは1のメタノール取り込み指数を有することを意味し、一方、ほとんどないか、皆無かの触媒活性を有する活性化されたモレキュラーシーブは0のメタノール取り込み指数を有することになるということを意味する。
メタノール吸着能を計測する技術は、当業者に既知のものである。好ましい技術において、約5ミリグラムの試料が熱重量分析器(TGA)に導入される。この試料は、熱処理工程に置かれる。この工程は以下を含む。(1)空気中の気温上昇速度毎秒20℃で、室温を450℃まで加熱する工程、(2)空気中で450℃を40分間維持し、それから空気中で30度まで冷却する工程。試料が30℃に達した後は、空気フローは、0.09atmのメタノール分圧を有する窒素フローを含むメタノールに切り替えられる。試料は、180分間この窒素/メタノール混合物に接触させられる。メタノール吸着能は、180分後のメタノール蒸気との接触の増加分の重量パーセントである。
本発明のある態様において、活性化されたモレキュラーシーブ材料は、触媒活性が大きく損なわれる前に容器に充填される。望ましくは、容器に充填されたモレキュラーシーブ材料は、0.15以上のメタノール取り込み指数を有する。好ましくは、容器に充填されたモレキュラーシーブ材料は、0.4以上の、より好ましくは0.6以上の、そして最も好ましくは0.8以上のメタノール取り込み指数を有する。
本発明の他の態様において、低い水含量の活性化されたモレキュラーシーブ材料は225
℃以上の温度で容器に充填される。好ましくは、触媒は250℃以上の温度で、より好ましくは275℃以上の温度で、最も好ましくは300℃異常の温度で、そして特に340℃以上の温度で、容器に充填される。
さらに、本発明の別の態様において、容器は無水環境を提供する。そのような環境は、無水条件の下で容器に充填されたシーブを、気体または液体ブランケットで覆うことにより提供することができ、本発明において提供されるように、無水気体または液体ブランケットは制限された量を超える水を有さない。無水気体ブランケットは、真空条件下、または大気圧あるいはより大きな圧力条件の下で供給可能であり、望ましくは、約1.2容量パーセント以下の水を有し、好ましくは、約0.2容量パーセント以下の水、そしてより好ましくは、約0.02容量パーセント以下の水を有する。無水液体ブランケットは、望ましくは約200ppm以下の水、好ましくは約100ppm以下の水、より好ましくは、約50ppm以下の水を有する。無水環境は、活性化された材料の保存、移送または充填の間に、適用することができる。
無水気体ブランケットは、標準温度および圧力条件下での気体であり、どのような程度であってもモレキュラーシーブ構造に対して反応しない。気体は、好ましくは、窒素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、アルゴン、酸素、軽アルカン(特に、C1-C4アルカン、特にメタンおよびエタン)、シクロアルカンおよびそれらの混合、例えば空気からなる群から選択される。空気は、好ましい気体である。気体ブランケットは、条件が無水であるかぎり、たとえ気体が標準以上の圧力において液体になるとしても、真空および標準以上の圧力を含む任意の圧力においても維持することができる。
無水液体ブランケットは標準温度および圧力条件の下で液体であり、どのような程度であってもモレキュラーシーブ構造に対して反応しない。液体は、好ましくはアルカン、シクロアルカン、C6-C30芳香族、アルコール、特にC4分岐アルコールからなる群から選択される。
V.モレキュラーシーブの使用
前術のモレキュラーシーブは、例えば以下を含む様々な工程において有用である。すなわち、ナフサの軽質オレフィンへの供給(米国特許US6,300,537号)、またはより高い分子量(MW)を有する炭化水素のより低い分子量を有する炭化水素への供給などの加熱分解、例えば、重油および/または循環原料の水素化分解、例えば、キシレンのような芳香族化合物の異性化。例えば、ポリマー生成物を生産する1または2以上のオレフィンの重合、改質、水素化、脱水素化、例えば、直鎖パラフィンを除去する炭化水素などの脱ろう、例えば、その異性体を分離するアルキル芳香族化合物の吸収、例えば、ベンゼンおよびアルキルベンゼンのような芳香族炭化水素などの、任意にクメンを製造するプロピレンまたは長連鎖オレフィンを用いるアルキル化、例えば、芳香族およびポリアルキル芳香族化炭化水素の組合せのトランスアルキル化、脱アルキル化、水素化脱環化、例えば、ベンゼンおよびパラキシレンを作るトルエンの不均化、例えば、直鎖状および分枝状オレフィンなどのオリゴマー化、および脱水素環化である。
好ましい工程には、ナフサを高級芳香族化合物の混合物へ変換する工程、軽質オレフィンをガソリン、蒸留液、および潤滑剤に変換する工程、酸素化物をオレフィンに変換する工程、軽質パラフィンをオレフィンおよび/または芳香族化合物に変換する工程、および、アルコール、酸およびエステルへの変換のために不飽和炭化水素(エチレンおよび/またはアセチレン)をアルデヒドへ変換する工程が含まれる。
本発明のもっとも好ましい工程は、1または2以上のオレフィンへの原料の変換に関する工程である。代表的には原料は、脂肪族部分が1から約50の炭素原子、1から20の炭素原子のような、例えば、1から10の炭素原子、および特に1から4の炭素原子を含有するような1および2以上の脂肪族含有化合物を含む。
脂肪族含有化合物の非限定的な具体例には、メタノールおよびエタノールのようなアルコール類、メチルメルカプタンおよびエチルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン類、硫化メチルのような硫化アルキル、メチルアミンのようなアルキルアミン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテルのようなアルキルエーテル、塩化メチルおよび塩化エチルのようなハロゲン化アルキル、ジメチルケトン、ホルムアルデヒドのようなアルキルケトンおよび酢酸のような各種酸が含まれる。
本発明の工程の好ましい態様において、原料は、1および2以上の酸素化物、より具体的には、1以上の酸素原子を含む1および2以上の有機化合物を含む。本発明の工程のもっとも好ましい態様において、原料における酸素化物は、1および2以上のアルコール、好ましくはアルコールの脂肪族部分が1から20の炭素原子、好ましくは1から10の炭素原子、もっとも好ましくは1から4の炭素原子を有する脂肪族のアルコールである。本発明の工程における原料として有用なアルコールは、低級の直鎖および分枝状の脂肪族アルコールおよびそれらの不飽和対応物を含む。
酸素化物の非限定的な具体例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メチルエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ホルムアルデヒド、炭酸ジメチル塩、ジメチルケトン、酢酸およびそれらの混合が含まれる。
もっとも好ましい態様において、原料は、1および2以上のメタノール、エタノール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルまたはそれらの組合せから選択され、より好ましくは、メタノールおよびジメチルエーテルから選択され、また、もっとも好ましくは、メタノールである。
前術の各種の原料、特に酸素化物を含む原料、より特別には、アルコールを含む原料は、主として1および2以上のオレフィンに変換される。原料から製造されたオレフィンは、代表的には、2から30の炭素原子を有し、好ましくは2から8の炭素原子を、より好ましくは2から6の炭素原子、さらにより好ましくは2から4の炭素原子を有し、そしてもっとも好ましくはエチレンおよび/またはプロピレンである。
本発明の触媒組成物は、ガス−オレフィン(GTO)工程、または、代替的方法として、メタノール−オレフィン(MTO)工程において、特に有用である。この工程において、酸素化物原料は、最も好ましくはメタノール含有原料は、モレキュラーシーブ触媒組成物の存在下で1および2以上のオレフィンに、好ましくは主としてエチレンおよび/またはプロピレンに変換される。
メタノールのような酸素化物成分に加えて、原料は1および2以上の希釈剤を含むことができる。これらの希釈材は一般的に原料またはモレキュラーシーブ組成物に非反応性であり、典型的に原料の濃度を下げるために使用される。希釈剤の非限定的な具体例には、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、実質的に非反応性のパラフィン類(特に、メタン、エタンおよびプロパンなどのアルカン)、実質的に非反応性の芳香族化合物、およびそれらの混合が含まれる。もっとも好ましい希釈剤は、水および窒素であり、水を用いるのが特に好ましい。
希釈剤、例えば水は、液体または蒸気の形態、またはそれらの混合物のどちらの形態でも使用することができる。希釈剤は、反応槽に入る原料に直接、または反応槽に直接加える、またはモレキュラーシーブ触媒組成物と一緒に加えることのいずれもできる。
本工程は、約200℃から約1000℃の範囲のような、約250℃から約750℃を含む例えば約250℃から約800℃、利便性からは、約300℃から約650℃、代表的には約350℃から約600℃、および特に約350℃から約550℃のような広範囲の温度にわたって実施することができる。
同様に、本工程は、自然圧力を含む広範囲の圧力にわたって実施することができる。代表的には、本工程で採用される内部にいかなる希釈剤も含まない原料の分圧は、約5kPaaから約1Mpaaのような、約0.1kPaaから約5Mpaaの範囲、また、利便性からは約20kPaaから約500kPaaの範囲である。
触媒組成物におけるモレキュラーシーブの時間当たり、重量あたりのいかなる希釈剤をも排除した原料の総重量で定義される重量時間空間速度(WHSV)は、代表的には、約2hr−1から約3000 hr−1のような、約1hr−1から約5000 hr−1の範囲、例えば約5 hr−1から約1500 hr−1、および利便性からは約10 hr−1から約1000 hr−1の範囲である。ある態様において、WHSVは、20 hr−1より大きく、また、原料がメタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む場合は、約20 hr−1から約300 hr−1の範囲である。
工程が流動床において実施される場合は、反応槽系内の、特にライザー(riser)反応槽内の希釈剤および反応生成物を含む原料の表面気体速度(SGV)は、毎秒0.5m/sec以上のような、また1m/sec以上のような0.1m/sec以上であり、例えば、2m/sec以上であり、利便性からは3m/sec以上であり、および代表的には4m/sec以上である。例えば、米国特許出願09/708,753号(出願日2000年9月8日)を参照のこと。これは、参照により本発明に完全に取込まれる。
本発明の工程は、固定床工程として、またはより代表的には、連続流動床工程のような流動床工程(乱流床工程を含む)として、および特に連続高速流動床工程として、利便性よく実施される。
本工程は、高密度床または固定床反応域および/または連結された高速流動床反応域を有する複合反応槽、循環流動床反応槽、ライザー反応槽などのさまざまな触媒反応槽において行うことができる。適切な従来の反応槽の型は、例えば米国特許US4,076,796号、米国特許US6,287,522号(デュアルライザー)およびD.KuniiおよびO.Levenspiel著『流動工学』(Robert E.Krieger出版社、ニューヨーク、1977年)に記述されており、これらはすべて参照により本発明に完全に取込まれる。
好ましい反応槽の型は、一般に、F.A.Zens、D.F.Othmo著『ライザー反応槽、流動化と流体粒子システム』48〜59頁(レインホールド出版社、ニューヨーク、1960年)および米国特許US6,166,282号(高速流動床反応槽)および米国特許出願09/564,613号(出願日2000年5月4日)(多重ライザー反応槽)に記述されており、これらはすべて参照により本発明に完全に取込まれる。
ある実施上の態様において、本工程は、反応槽系、再生系、および回収系を利用した流動床工程または高速流動床工程として実施される。
そのような工程において、反応槽系は利便性から、1および2以上のライザー反応槽内に第一反応域を、および代表的には1および2以上のサイクロンを含む1つ以上の離脱容器内に第二反応域を有する流動床反応槽系を含む。ある態様において、1および2以上のライザー反応槽および離脱容器は単一の反応容器内に保持される。好ましくは1および2以上の酸素化物を、任意に1および2以上の希釈剤と共に包む新しい原料は、モレキュラーシーブ触媒組成物またはそのコークス型が導入される1および2以上のライザー反応槽に供給される。ある態様においては、ライザー反応槽に導入される前に、モレキュラーシーブ触媒組成物およびそのコークス型は、液体と、好ましくは水またはメタノール、および/または気体、例えば、窒素のような不活性気体と接触させられる。
ある態様において、液体および/または蒸気として反応槽系に供給される新しい原料の量は、含有される任意の希釈剤を含めた原料の総重量に基づき、0.1重量パーセントから約85重量パーセントの、例えば、約1重量パーセントから約75重量パーセント、より代表的には約5重量パーセントから約65重量パーセントの範囲である。液体および蒸気の原料は、同一の組成物とすることができ、また同一のまたは異なった希釈剤を用いた同一のまたは異なった原料の種々の割合を含むことができる。
反応槽系に入る原料は、好ましくは、部分的または全体が、第一反応槽域において、コークス触媒組成物とともに離脱容器(disengaging vessel)に入る気体状排出物に変換される。好ましい態様において、サイクロンが離脱容器内に設置され、コークス触媒組成物を離脱容器内で1または2以上のオレフィンを含む気体状排出物から分離する。サイクロンが好ましいが、離脱容器内の重力効果もまた、触媒組成物を気体状排出物から分離するために用いることができる。触媒組成物を気体状排出物から分離する他の方法には、プレート、キャップ、エルボーなどが含まれる。
ある態様において、離脱容器は、代表的には離脱容器の下部に、ストリップ(stripping)域を含む。ストリップ域において、コークス触媒組成物は、吸着された炭化水素を次に再生系に導入されるコークス触媒組成物から回収するために、気体、好ましくは、蒸気、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、または、不活性気体(例えば、アルゴン、好ましくは蒸気)の1つまたはそれらの組合せと接触させられる。
コークス触媒組成物は、離脱容器から取り出されて、再生系に導入される。再生系は、温度、圧力、および滞留時間について従来の再生条件の下で、コークス触媒組成物が、再生媒体好ましくは酸素を含む気体と接触する再生器を含む。
適切な再生媒体の非制限的な具体例には、1および2以上の酸素、O3、SO3、N2O、NO、NO2、N2O2、空気、窒素または二酸化炭素、酸素、および水で希釈した空気(米国特許US6,245,703号)、一酸化炭素および/または水素が含まれる。適切な再生条件は、コークス触媒組成物からコークスを燃焼できる、好ましくは、再生系に入るコークスモレキュラーシーブ触媒組成物の総重量に基づいて0.5重量%未満の水準である。例えば、再生装置の温度は、約300℃から約1000℃のような、約200℃から約1500℃、例えば、約450℃から約750℃、利便性からは約550℃から700℃の範囲である。再生装置の圧力は、約15psia(103kPaa)から約500psia(3448kPaa)、例えば、約20psia(138kPaa)から約250psia(1724kPaa)、約25psia(172kPaa)から約150psia(1034kPaa)を含み、また利便性からは約30psia (207kPaa)から約60psia(414kPaa)の範囲である。
再生器における触媒組成物の滞留時間は、約1分から数時間、例えば約1分から100分の範囲となり、再生気体の中の酸素の量は、気体の総量に基づいて、約0.01モルパーセントから約5モルパーセントの範囲である。
再生段階におけるコークスの燃焼は発熱反応であり、1つの態様において、再生系内の温度は、1バッチ、連続的、または半連続的方式、またはそれらの組合せで操作される再生容器へ冷却気体を供給することを含む当該技術分野の様々な技術によって制御されている。好ましい技術は、再生系から再生触媒組成物を取り出し、および冷却再生触媒組成物を形成するためにそれを触媒冷却器に通すことを含む。ある態様において、触媒冷却器は、再生系の内部または外部に設置される熱交換器である。再生系操作のその他の方法は、米国特許US6,290,9168号(水分の制御)に開示されており、それは参照により本発明に完全に取込まれる。
再生系から、好ましくは触媒冷却器から取出された再生触媒組成物は、新しいモレキュラーシーブ触媒組成物および/または再循環モレキュラーシーブ触媒組成物、および/または原料、および/または新しい気体または液体と混合されて、ライザー反応槽に戻される。ある態様において、再生系から取出された再生触媒組成物は、直接、好ましくは触媒冷却器に通した後に、ライザー反応槽に戻される。不活性気体、原料気体、蒸気などの担体は、再生触媒組成物の反応槽系への、好ましくは1および2以上のライザー反応槽への導入を促進するために、半連続的または連続的に用いることができる。
再生系から反応槽系への、再生触媒組成物または冷却再生触媒組成物の流れの制御によって、反応槽に入るモレキュラーシーブ触媒組成物のコークスの最適水準が維持される。Michael Louge著『実験技術、循環流動床』(Grace, Avidan,Knowlton編、Blackie 1997年、336頁−337頁)において、触媒組成物の流れを制御するための多くの技術が記述されており、それは参照により本発明に完全に取込まれる。
触媒組成物のコークスの水準は、変換工程からの触媒組成物の取出しによって、およびその炭素含有量を測定することによって測定される。再生後のモレキュラーシーブ触媒組成におけるコークスの代表的な水準は、モレキュラーシーブの重量に基づいて、約0.1重量%から約10重量パーセントのような、0.01重量パーセントから約15重量パーセント、例えば約0.2重量パーセントから約5重量パーセント、および利便性から約0.3重量パーセントから約2重量パーセントの範囲である。
気体状排出物は離脱装置系から取り出され、回収系を通過する。周知の回収系、技術および手順があり、それらは気体排出物からオレフィンを分離し、精製することに有用である。回収系は、一般に様々な分離、分画、および/または、蒸留塔、カラム、スプリッタ(splitter)、またはエチルベンゼン製造のような連続反応系(米国特許US5,476,978号)、およびアルデヒド、ケトンおよびエステル製造(米国特許US5,675,041号)のようなその他の誘導工程、および例えば各種のコンデンサー、熱交換器、冷却装置または冷蔵トレイン(train)、コンプレッサー、水切りドラムまたはポット、ポンプなどの他の関連設備の1または2以上、またはそれらの組合せを含む。
単独で、または組み合わせて使用されるこれらのタワー、カラム、スプリッタ、またはトレインの非限定的な例には、1または2以上の脱メタン装置(demethanizer)、好ましくは、高温脱メタン装置、脱エタン装置、脱プロパン装置、苛性洗浄液塔(caustic wash tower)および/またはクエンチタワー(quench tower)としてしばしば言及される洗浄塔、吸収装置、吸着装置、メンブレン、エチレン(C2)スプリッター、プロプレン(C3)スプリッタおよびブテン(C4)スプリッタが含まれる。
エチレン、プロピレン、および/またはブテンのようなオレフィン類の回収に有用な種々の回収系は、米国特許US5,960,643号 (二次リッチエチレン蒸気)、米国特許US5,019,143号、5,452,581号および5,082,481号(皮膜分離)、米国特許US5,672,197号(圧力依存吸着剤)、米国特許US6,069,288号(水素除去)、米国特許US5,904,880号(一段階における、水素および二酸化炭素への再生メタノール)、米国特許US5,927,063号(ガスタービンパワープラントへの再生メタノール)および米国特許US6,121,504号(直接生産物冷却)、米国特許US6,121,503号(超分割を使わない高純度オレフィン)、米国特許US6,293,998号(圧力スイング吸着法)に記述されており、これらは全て参照により本発明に完全に取込まれる。
例えば、オレフィンの精製などの、精製系を含むその他の回収系は、『Kark-Othmer化学技術事典』(第4版、9巻、John Wiley & Sons、1996年、249頁から271頁および894頁から899頁)に記述されており、これは参照により本発明に取込まれる。精製系は、また例えば米国特許US6,271,428号(ジオレフィン炭化水素ストリームの精製)、米国特許US6,293,999号(プロパンからのプロピレンの分離)、および米国特許出願09/689,363号 出願日2000年10月20日:水和化触媒を使用した浄化系)に記述され、これらは参照により本発明に取込まれる。
一般にほとんどの回収系に伴う問題は、好ましい主生産物に伴う追加生産物、副産物および/または不純物の製造、生成、蓄積である。好ましい主生産物であるエチレンおよびプロピレンのような軽質オレフィンは、代表的には重合プロセスのような誘導製造工程での使用のために精製される。従って、回収系のもっとも好ましい態様において、回収系はまた精製系を含む。例えば、特にMTO工程において生産される軽質オレフィンは低水準の副産物または不純物を除去する精製系を通される。
<実施例1>
VI.モレキュラーシーブに対する水分の作用の実施例
本発明の種々の態様は、以下の実施例に例示される。
実施例1
約40mgの触媒粒子を、微量天秤(従来の温度比重計分析器、TGA)の試料セルに取った。触媒を、約650℃の空気を用いて大気圧で4時間以上か焼し、次に乾燥不活性気体(水を含まない)雰囲気下で冷却し、吸着温度にした。不活性気体の流量速度は150scc/min(標準条件で)であり、TGAにおける圧力は119.7psia(825.3 kPa)であった。安定した重量が定められた後に、水は気化器を通じて制御された速度で乾燥不活性気体に注入された。これにより、制御された蒸気流速度(標準条件でのcc/min)が提供された。不活性気体の流量は、総流量速度が150scc/minを維持するような量まで下げられた。
触媒に流れる気体混合物における蒸気分圧Pは、以下のように計算された。
P=(蒸気流速/150)*119.7psia
蒸気が加えられた場合、TGAは、特定の蒸気分圧および温度で平衡吸着が始まると、緩慢な増加前の水吸着のために、最初に急速な増加を記録した。この吸着は、平衡吸着に至るまで約80分間実施された。水吸着が触媒の乾燥重量、すなわち蒸気以前の触媒の重量に基づき計測されるため、増量の重量%が、TGAに認められた。次に水注入速度が増大し、この増大した蒸気分圧で約80分間後に平衡吸着に到達した。水吸着実験は、表のデータに示したとおり、吸着等温線を提供する種々の蒸気分圧において行われた。結果は表に示される。188℃でP0=174.2psia (1201.1kPa)、212℃でP0=287.9psia (1985.0kPa)、216℃でP0=311.4psia (2147.1kPa)、および315℃でP0=1,532.1psia (10563.7kPa)に注目されたい。
Figure 2007503375
表のデータは、0.082以上の相対水圧、および216℃以下の温度での活性化SAPO-34モレキュラーシーブ触媒とガスとの接触が活性化触媒による実質的な水吸着を生じることを示している。
実施例2
約40mgの触媒粒子を、微量天秤(従来の温度比重計分析器、TGA)の試料セルに取った。触媒を、約650℃の空気を用いて、大気圧で4時間以上か焼し、次に、乾燥不活性気体(水を含まない)雰囲気下で冷却し、吸着温度180-184℃とした。不活性気体の流速は150scc/min(標準条件で)であり、TGAの圧力は119.7psia(825.3 kPa)であった。安定した重量が定められた後に、水を気化器を通じて制御速度で乾燥不活性気体に注入した。これにより、制御された蒸気流速(標準条件でのcc/min)が提供された。不活性気体流は、総流速が150scc/minに維持されるような量まで下げられた。触媒に流れ込む気体混合物における蒸気分圧Pは、以下のように計算された
P=(蒸気流速/150)*119.7psia
図に示したように、25.3 psia (177.4 kPa)の蒸気分圧を与えるために蒸気が加えられた場合、TGAは、特定の蒸気分圧で平衡吸着が始まると、緩慢な増加の前の水吸着のために、最初に急速な増加を記録した( Pt.1)。この吸着は、平衡吸着に至るまで約80分間実施された。水吸着が、触媒の乾燥重量、すなわち蒸気以前の触媒の重量に基づき計測されるため、増量の重量%が、TGAに認められた。次に、水注入速度は、49.9 psia(344.0kPa)の蒸気分圧を与えるために増加し、約80分後に平衡吸着に到達した(Pt.2)。69.7psia (480.6 kPa)に至る更なる蒸気分圧の増加は、追加的水吸着のために触媒重量の更なる増加を示した(Pt.3)。図は、水注入が停止され、乾燥不活性気体のみが150scc/minで流れていたとき、吸着された水のほとんどは触媒から除去されたことを示す。しかし、182℃で、100分間の乾燥気体パージの後であっても、なお1.6重量%の水が残っていた( Pt.4.)。乾燥実験の第二段階では、触媒試料は、乾燥気体の中で、約120分間、284℃まで更に加熱された。284℃での重さと182℃での重さとの精密比較は異なる浮力の程度のために正確に比較することができないために、試料は水の脱離の測定が完了するために冷却して182℃まで戻された。図は284℃での処理後に、吸着された水を完全に除去され得ることを示す( Pt.5)。
さて、本発明について十分に記述してきたので、本発明の本質と範囲とに逸脱することなく、本発明が広範な変数の範囲で遂行されることが、当事者により認識されるであろう。
モレキュラーシーブから水分を除去することへの温度の効果を示す図である。

Claims (17)

  1. 活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを作成する方法であって、以下の工程、
    a)内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブを提供する工程、
    b)テンプレートの除去および活性化金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブの形成のために、第1温度で金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブ加熱する工程、および
    c)前記活性化モレキュラーシーブを225℃以上の第2温度で不活性期待に接触させる工程であり、ここで前記第2温度がモレキュラーシーブが水含量1.25重量%以下になるまでの第1温度より50℃低く、好ましくは100℃低い工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記工程b)で使用される雰囲気が空気であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程b)が、雰囲気組成物の総重量に基づき、1重量%以上の蒸気を含む雰囲気の中で行われることを特徴とする請求項1また2に記載の方法。
  4. 前記工程a)の後に、内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブが、一定時間保存されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記工程a)の後であって、工程b)の前に、内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブが一定時間保存されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記工程a)の後に、内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブが、前記工程c)の接触が生じる他の場所に移送または送られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記工程a)の後であって、工程b)の前に、内部にテンプレートを有する金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブが、前記工程b)の加熱と工程c)の接触とが生じる他の場所に移送または送られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記工程c)において前記不活性気体が、0.075以下の、好ましくは0.05以下の、より好ましくは0.025以下の相対水圧を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記工程c)で使用される気体が、空気、窒素、ヘリウム、排煙、またはそれらの任意の組合せであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記工程b)における温度が400℃以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブが、シリコアルミノフォスフェートモレキュラーシーブであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブが、前記金属アルミノフォスフェートモレキュラーシーブおよび結合剤を含む製剤化された触媒組成物の中に存在することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記結合剤が塩素原子を含有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記結合剤がアルミニウムクロルヒドロールを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の方法によって調製された活性化モレキュラーシーブを、酸素化物原料を1または2以上のオレフィンに変換するための触媒として使用する方法。
  16. 酸素化物原料を1または2以上のオレフィンへ変換する方法であって、
    (i)請求項1から14のいずれか1項に記載の方法により活性化モレキュラーシーブを調製する工程、
    (ii)無水環境で前記活性化モレキュラーシーブを保存する工程、
    (iii)前記活性化モレキュラーシーブを酸素化物原料と接触する工程、および
    (iv)1または2以上のオレフィンを含む生成物を回収する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  17. 前記酸素化物原料が、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、またはそれらの混合物を含む原料であることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
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