JP2007502935A - 開口円板を有する燃料噴射装置とその製造方法 - Google Patents

Abstract

コイル群補助組立て体（３００）と弁群補助組立て体（２００）とを含むモジュール式燃料噴射装置に関し、コイル群補助組立て体は、独立して検査できる。弁群補助組立て体は、独立して検査でき、かつ第１の管端部と第２の管端部の間に延び、長手方向軸を有する管組立て体を含む。シート組立て体（２１８）は、フロー部（２１９）と、固定部（２１９Ｂ）を含む。フロー部は第１の長さで、第１の面と開口円板保持面（２１８Ｃ）の間で、長手方向軸に沿って延びる。フロー部は、フロー部を経て拡がるシート開口と、開口円板保持面に結合された開口円板（２２２）を備え、開口プレートは、フロー部に対し一定の空間方向で整列される。固定部は、第１の長さより長い第２の長さで、開口円板保持面から離れて、長手方向軸に沿って延びる。シート及び開口円板の少なくとも一方の弁補助組立て体内で、一定の空間方向及び寸法対称性を維持する方法を開示する。

Description

従来の燃料噴射装置のシートは、該シート及び開口円板を弁体内に配置し、該弁体の端子部を圧着して、該シート及び該開口円板を該弁体内に保持することで、弁体に取付け可能と考えられている。

しかし、シートの弁体に対する圧着は、シートの弁体における所望の位置に対する動きを引き起こす可能性がある。更に、シート、開口円板又は弁体は、弁体の終端部近傍の位置で歪む可能性もある。

弁体に対するシート位置の変動は、上記従来の燃料噴射装置の電機子と磁極片との間の作用空隙を変化させる可能性があり、それにより、所望の流量が変化する。

上記シートの歪みは、閉鎖部材とシートとの間に形成された封止面の完全性を変化させる可能性があり、それにより、上記燃料噴射装置の閉配置中の漏れにより、エミッションに影響を及ぼす場合がある。

上記シートおよび／又は上記開口円板の歪みは、燃料噴霧パターン及びターゲッティングを、エンジンのマニホールド内で又は吸気ポート内で不適当なものにする（例えば不十分な噴霧化又は不適切な噴霧パターン）可能性がある。

従って、従来の燃料噴射装置の潜在的な欠点を伴うことなく、上記シートを弁体に取付けることが望ましい。また、シートおよび／又は開口円板の長手方向軸に対する対称性を保持することが好ましい。

本発明は、一つの態様では、燃料噴射装置を提供する。この装置は、コイル群補助組立て体と、弁群補助組立て体を備える。コイル群補助組立て体は独立して検査可能であり、電磁コイルと、該コイルの一部を囲んでいるコイル容器と、容器上に配置された第１の取付け部とを含む。弁群補助組立て体も、独立して検査可能であり、第１の管端部と第２の管端部との間に延びる長手方向軸を有する管組立て体と、該組立て体内に配置され、閉鎖部材を有する電機子組立て体と、第２の管端部に隣接して、管組立て体内に配置されたシート組立て体とを含む。管組立て体は、上記第１の取付け部に隣接する第２の取付け部を有する。第１及び第２の取付け部は、第２の管端部近傍で、固定接続されている。シート組立て体は、フロー部と、固定部とを含む。該フロー部は、第１の長さで、第１の面と開口円板保持面との間で、長手方向軸に沿って延びている。フロー部は、開口プレートがフロー部に対し一定の空間方向に整列するように、そこを経て拡がっているシート開口と、口円板保持面に結合された開口円板とを有する。該固定部は、第１の長さよりも長い第２の長さで、開口円板保持面から離れて、長手方向軸に沿って拡がっている。

また別の態様では、本発明は、長手方向軸に沿って拡がる弁補助組立て体の弁体における、シートと開口円板の一定の空間方向を維持する方法を提供する。この方法は、シート及び開口円板を、弁補助組立て体の弁体内で一定の空間方向に配置し、一定の空間軸方向が±０．５％の公差内で維持されるようシートを弁体に溶接することで実現できる。

本明細書に組み込まれ、かつこの明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を説明するものであり、上述の全般的な説明及び以下に示す詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明するのに役立つ。

図１及び図２において、電磁作動燃料噴射装置１００は、内燃機関（図示せず）内で燃焼する一定量の燃料を供給する。燃料噴射装置１００は、第１の噴射装置端部２００Ａと第２の噴射装置端部との間で、長手方向軸に沿って延びており、弁群補助組立て体２００と、電力群補助組立て体３００とを含む。弁群補助組立て体２００は、流体処理機能、例えば燃料の流路の画定及び噴射装置１００を通る燃料の流れの阻止を行う。電力群補助組立て体３００は、電気的機能、例えば電気信号を噴射装置１００を通る燃料の流れを可能にする駆動力に変換する機能を実行する。

弁群補助組立て体２００は、第１の管組立て体端部２００Ａと第２の管組立て体端部２００Ｂの間で、長手方向軸Ａ−Ａに沿って延びる管組立て体を含む。この組立て体２０２は、少なくとも流入管２０４と、非磁性シェル２１０と、弁体２０６とを含み得る。流入管２０４は、第１の管組立て体端部２００Ａ近傍に、第１の流入管端部２０２Ａを持つ。流入管２２０は、流入管端部２０２Ａで漏斗状に開き、フランジ２０２Ｃ内に入り、Ｏリング１０を保持する。流入管２０４の第２の流入管端部２０２Ｂは、非磁性シェル２１０の第１のシェル端部２１０Ａに接続されている。非磁性シェル２１０の第２のシェル端部２１０Ｂは、弁体２０６の第１の弁体端部２０６Ａのほぼ横断面に接続する。弁体２０６の第２の弁体端部２０６Ｂは、第２の管組立て体端部２００Ｂに隣接して配置されている。流入管２０４は、深絞り工程又は回転工程により形成できる。磁極片は、流入管２０４の第２の流入管端部２０２Ｂで一体形成でき、又は図に示す如く、独立した磁極片２０８を、流入管２０４および非磁性シェル２１０の第１のシェル端部２１０Ａに接続できる。非磁性シェル２１０は、非磁性ステンレス鋼、例えば３００シリーズステンレス鋼や同様の構造及び磁気特性を有する他の材料を含み得る。

図１に示すように、流入管２０４は、溶接で磁極片２０８に取付けられている。磁極片２０８の外側面に磁極片肩部２０８Ａが形成されており、肩部は、コイル補助組立て体の巻枠の結合肩部２０８Ｂと共に、２つの補助組立て体を組み合わされるときの正の取付けストップとして作用する。磁極片２０８の長さが固定されているのに対し、流入管２０４の長さは作動要件により変化させ得る。流入管２０４を磁極片２０８とは別に形成することで、組立て体の工程中に、異なる流入管長を用いて、異なる長さの噴射装置を製造できる。流入管２０４は、磁極片２０８の内周面で磁極片２０８に取付け得る。別法として、一体の流入管及び磁極片を、非磁性シェル２１０の内周面に取付け得る。

電機子組立て体２１２は、管組立て体２０２内に配置されている。電機子組立て体２１２は、強磁性又は電機子部２１４を有する第１の電機子組立て体端部と、封止部を有する第２の電機子組立て体端部とを含む。電機子組立て体２１２は、磁性部分、即ち、「電機子」２１４が磁極片２０８に直面するよう、管組立て体２０２内に配置されている。封止部はシート２１８及びその封止面２１８Ａに対し移動可能な閉鎖部材２１６、例えば球状弁体を含む。閉鎖部材２１６は、図１に示す閉配置と開配置（図示せず）との間を移動する。閉配置では、閉鎖部材２１６は、封止面２１８Ａに接触係合し、開口部を通る流体の流れを防ぐ。開配置では、閉鎖部材２１６は、シート２１８から離れ、開口部を通る流体の流れを可能にする。電機子組立て体２１２は、強磁性又は電機子部２１４を閉鎖部材２１６に接続する、独立した中間部２２０を含み得る。中間部又は電機子管２２０は、様々な方法で製作でき、例えばプレートを丸めて溶接したシーム又は半加工品を深絞りしてシームレス管を形成できる。中間部２２０は、燃料噴射装置１００の磁気回路からの磁束漏れを低減するその能力に依存する。この能力は、中間部又は電機子管２２０を非磁性とし、それにより磁性部又は電機子２１４を、閉鎖部材２１６又はシート２１８の何れかから磁気的に分離するという事実から生じる。強磁性閉鎖部材２１６は、強磁性又は電機子２１４から分離したことで、磁束漏れが減り、磁気回路の効率を改善できる。電機子組立て体２１２が、電機子管２２０と、細長い開口部２２０Ａと、閉鎖部材２１６とを含むとよい。

上記電機子の応答を改善すべく衝撃面の摩耗及び各端部２０８Ｂ、２１４Ａ間の作用空隙の変動を低減するため、端部２０８Ｂと２１４Ａの少なくとも一方に表面処理を施し得る。表面処理は、被覆、めっき又は表面焼入れを含む。被覆又はめっきは、限定するものではないが、硬質クロムめっき、ニッケルめっき又はケロナイト被覆を含み得る。一方、表面焼入れは、限定するものではないが、窒化、浸炭、浸炭浸窒、青化法、加熱、フレーム、スパーク又は高周波焼入れを含む。

上記表面処理は、特に各端部２０８Ｂ及び２１４Ａ上に、耐摩耗物質からなる少なくとも１つの層を形成する。しかしこの層は、何れかの部分の周囲と径方向端面との間の接合部の間等、どこに鋭角があっても、本質的に厚くなる傾向がある。また、肥厚化影響は、端部の径方向外側端部で、不均一な接触面を生ずる。しかし、少なくとも一方の端部が、長手方向軸Ａ−Ａに対し斜めになった面を持つ端部２０８Ｂ及び２１４Ａの少なくとも一方に耐摩耗層を形成することで、両端部は、互いに実質的に結合接触することになる。

上記表面処理は、電機子組立て体２１２又は磁極片２０８の強磁性部の物理的又は磁気的特性に影響を及ぼす可能性があるため、適当な材料、例えばマスク、被覆や保護カバーが、表面処理時、各端部２０８Ｂ、２１４Ａ以外の領域を囲む。面処理の完了時、該材料が除去され、その結果表面処理の影響を受けなかった、予めマスクされた領域が残る。

電機子組立て体２１２を通る燃料の流れは、少なくとも１つの軸方向に延びる貫通孔２１４Ｂと、電機子組立て体２１２の壁を通る少なくとも１つの開口２２０Ａとで実現できる。形状を問わない開口２２０Ａは、気泡の通過を容易にすべく、非円形とし、例えば軸方向に細長くするとよい。例えばシートを管状に丸めることで形成される独立した中間部２２０の場合、開口２２０Ａは、丸められたシートの接触しない端部間に画定された、軸方向に延びるスリットであってよい。しかし、開口２２０Ａとスリットは、シートを貫通して延びる開口部を含むとよい。開口２２０Ａは、少なくとも１つの貫通孔２１４Ｂと、弁体２０６の内部との間を流体的に連通させる。従って上記開配置では、燃料は、貫通孔２１４Ｂから開口２２０Ａと弁体２０６の内部を経て、閉鎖部材２１６の周囲を通り、開口円板２２２の計量開口開口部を介して上記エンジン（図示せず）内へ流入する。

代替例として、閉鎖部材に直接接続された電機子部を有する２ピース電機子を使用できる。３ピース及び２ピース電機子組立て体の何れも置換可能であるが、３ピース電機子組立て体は、本発明による燃料噴射装置１００の上記磁気回路からの磁束漏れを低減する能力を持つ点で好ましい。３ピース電機子組立て体の電機子管２２０又は２２０Ａは、様々な方法で製作できること、例えばプレートを丸めて、溶接したそのシーム又は半加工品を深絞りして、シームレス管を形成可能である。

シート２１８は、管組立て体２０２の第２の端部に固定される。シート２１８は、フロー部２１９Ａと、固定部２１９Ｂとを含む。第２の長さが、少なくとも第１の長さＬ１に等しく、好ましくは、Ｌ１以上であるように、フロー部２１９Ａは第１の長さＬ１以上、概して長手方向軸Ａ−Ａに沿って延びており、かつ固定部２１９Ｂは、第２の長さＬ２以上、概して長手方向軸に沿って延びている。両部分とも、Ｌ１又はＬ２の何れか一方よりも長い第３の長さＬ３以上、概して長手方向軸に沿って延びる。

シート２１８のフロー部２１９Ａは、封止面２１８Ａと、好ましくは、軸Ａ−Ａ上に中心があり、かつそこを通って燃料が内燃機関（図示せず）内へ流入する開口部２１８Ｂとを画定する。封止面２１８Ａは、開口部２１８Ｂを囲む。開口部２１８Ｂは、開口円板保持面２１８Ｃと境を接している。弁体２０６の内部に面する封止面２１８Ａは、円錐台形状又は凹状とし、また仕上げ面を有してもよい。開口円板２２２は、シート２１８と共に用いて、特定の燃料噴霧パターン及びターゲッティングを得るための、少なくとも１つの正確な寸法及び方向付けの、開口２２２Ａを形成できる。正確な寸法と方向付けの開口２２２Ａは、開口円板２２２の中心軸上に配置でき、或いは好適には軸外に配置できる。また燃料噴射装置１００上の１つ以上の基準点に対し、如何なる望ましい角度構成でも方向付け可能である。ここでは、弁シート２１８と開口円板２２２は、何れも、例えばレーザ溶接、圧着及び摩擦溶接又は従来の溶接を含む、公知の従来の取付け方法で、弁体２０６に固着取付け可能である。開口円板２２２は、特定の燃料噴霧パターン及び燃料噴霧のターゲッティングを実現できるよう、一定の空間方向で、シート２１８の開口円板保持面２１８Ｃに仮付け溶接するとよい。

シート２１８の固定部２１９Ｂは、シート２１８及び開口円板２２２の少なくとも一方の上記長手方向軸に対する寸法対称性と、シート２１８と開口円板２２２の、シート２１８及び該シートが上記弁体に固定された後の、水平に維持されるべき円板保持面２１８Ｃの少なくとも一方に対する一定の空間方向性とを可能にする。固定部２１９Ｂは、適当な方法、例えば仮付け溶接や接合等により、弁体に取付け得る。好適には、固定部２１９Ｂは、シーム溶接部２１９Ｃが、弁体の内側面と、固定部２１９Ｂの外側面との間に、密封ラップ封止を形成するよう、長手方向軸周りの弁体の全周にわたり、外側面から弁体２０６の内側面を経て、固定部２１９Ｂの部分迄延びる連続レーザシーム溶接部２１９Ｃにより、弁体２０６の内側面に固定される。またシーム溶接部２１９Ｃは、開口円板保持面２１８Ｃから、第２の長さＬ２の約５０％の、長手方向軸に沿った略第４の長さＬ４を越える位置に中心を置くとよい。シーム溶接部２１９Ｃを、フロー部２１９Ｂからそのような位置に配置することで、封止面２１８Ａ、開口２１８Ｂ及び開口円板２２２から十分離れることになり、開口円板２２２及びシート２１８の弁体２０６への取付け前のシート２１８に対する固定配置は、±０．５％の公差内に収まり、かつ長手方向軸Ａ−Ａに関するシート２１８及び開口円板２２２の寸法対称性（即ち真円度、直角度又は歪みの定量化可能な寸法）は、シートが弁体内に固定される前の対応する寸法と比べ略１％以下になる。

閉鎖部材２１６を構成する球状弁体の場合、該弁体は、電機子組立て体２１２に対し、球状弁体の直径より小さい直径で接続できる。かかる接続は、反対側でシート２１８に接触する球状弁体の側となる。下方の電機子組立て体案内２２４は、シート２１８近傍で管組立て体２０２内に配置でき、球状弁体の径に滑動係合する。下方の電機子組立て体案内２２４は、軸Ａ−Ａに沿った電機子組立て体２１２の位置合わせを容易にする。

弾性部材２２６は、管組立て体２０２内に配置され、電機子組立て体２１２をシート２１８の方へ付勢する。また、フィルタ２３０と予加重調節器２３２とを備えるフィルタ組立て体２２８も、管組立て体２０２内に配置されている。フィルタ組立て体２２８は、第１のフィルタ組立て体端部２２８Ａと、第２のフィルタ組立て体端部２２８Ｂとを含む。フィルタ２３０は、フィルタ組立て体２２８の一方の端部に配置されており、また管組立て体２０２の第１の端部２００Ａ近傍で、かつ弾性部材２２６から離れて配置され、一方予加重調節器２３２は、管組立て体２０２の第２の端部に近接して配置されている。予加重調節器２３２は、弾性部材２２６にかみ合って、部材２２６の管組立て体２０２に対する付勢力を調節する。具体的には、予加重調節器２３２は、電力群補助組立て体３００の電源が断たれた際、噴射装置弁１００を閉じるべく、それに対抗して弾性部材２２６が作用する反作用部材を形成する。予加重調節器２３２の位置は、予加重調節器２３２の外側面と、管組立て体２０２の内側面との間への締り嵌めにより、流入管２０４に対して保持できる。従って、予加重調節器２３２の流入管２０４に対する位置は、電機子組立て体２１２の所定の動特性を設定するために使用できる。

弁群補助組立て体２００は、以下のように組立て得る。非磁性シェル２１０を、流入管２０４及び弁体２０６に接続する。フィルタ組立て体２２８を、管組立て体２０２の第１の端部２００Ａから軸Ａ−Ａに沿って挿入する。次に、弾性部材２２６及び（予め組立て済）電機子組立て体２１２を、弁体２０６の噴射装置出口端部２００Ｂから軸Ａ−Ａに沿って挿入する。調節管２３２、フィルタ組立て体２２８は、調節管２３２が、弾性部材２２６に予圧をかけ得るよう、所定の距離迄流入管２０４内に挿入できる。フィルタ組立て体２２８及び調節管２３２の、流入管２０４に対する位置決めは、例えば電機子組立て体２１２が、噴射動中に浮き上がったり跳ね上がったりしないよう、弾性部材２２６の動特性を調整するのに使用できる。そして、シート２１８及び開口円板２２２を、弁体２０６の第２の弁体端部２０６Ｂから軸Ａ−Ａに沿って挿入する。シート２１８及び開口円板２２２を、レーザ溶接、圧着、摩擦溶接、従来の溶接等の公知の取付け方法により互いに、又は弁体に対し固定取付けする。弁群補助組立て体２００の他の好ましい変形例は、２００２年４月２５日に発行された米国特許公報第２００２００４７０５４号に記載及び説明されており、同公報の全体を参照して本明細書に組み込む。

電力群補助組立て体３００は、電磁コイル３０２と、少なくとも１つの端子３０４と、コイル容器３０６と、外被３０８とを備える。電磁コイル３０２は、巻枠３１４に巻回され、巻枠３１４上の電気接触子３１６に電気的に接続可能な導線３０２Ａを持つ。電源投入時、コイル３０２は電機子組立て体２１２を開配置に動かす磁束を生じ、燃料が上記開口部を流れるのを可能にする。電磁コイル３０２の電源を断つと、弾性部材２２６が電機子組立て体２１２を上記閉配置に戻し、その結果燃料の流れを遮断する。磁束の戻り経路を形成する容器は、一般に電磁コイル３０２と、シリンダから軸Ａ−Ａの方へ拡がる磁束ワッシャ３１８とを囲む強磁性シリンダを含む。磁束ワッシャ３１８は、シリンダと一体形成でき、又はシリンダに単独で取付け得る。コイル容器３０６は、ホール、スロット又はコイル３０２に電源投入時に生じる渦電流を離散させる他の形状構成を含み得る。

外被３０８は、電磁コイル３０２、上記少なくとも１つの端子（この実施例では２つ）及びコイル容器３０６の相対的方向と位置を保持する。外被３０８は、端子３０４の一部が露出した電気ハーネス接続部３２０を含む。端子３０４と電気ハーネス接続部３２０は噴射装置１００を電磁コイル３０２に電流を供給する電源（図示せず）に容易に接続すべく、はめ合い接続、例えば自動車導線ハーネス（図示せず）の部分に嵌め込み得る。

好適な実施形態では、電磁コイル３０２で生じた磁束は、磁極片２０８、電機子組立て体２１２、弁体２０６、コイル容器３０６及び磁束ワッシャ３１８を含む回路を流れる。磁束は、磁性部分又は電機子２１４の同質材と、弁体２０６との間の寄生空隙の全域に広がり、電機子組立て体２１２内へ移動し、更に端部２０８Ｂと端部２１４Ａの間の作用空隙の全域に広がって磁極片２０８の方へ流れ、その結果閉鎖部材２１６をシート２１８から離して持ち上げる。図１に示す如く、磁極片２０８の衝突面２０８Ｂの幅は、磁性部分又は電機子２１４の衝突面２１４Ａの断面の幅より大きい。この小さい断面積は、電機子組立て体２１２の強磁性部２１４をより軽くし、同時に磁束飽和箇所を、磁極片２０８内ではなく、磁極片２０８と強磁性部２１４の間の作用空隙近傍に形成させる。更に電機子２１４の一部が電磁コイル３０２内にあるため、磁束密度が高く、より効率的な電磁コイルをもたらす。そして、強磁性閉鎖部材２１６は、電機子管２２０を経て、強磁性又は電機子部２１４と磁気的に分離されているので、磁気回路の磁束漏れは減少し、電磁コイル３０２の効率を改善できる。

コイル群補助組立て体３００は、以下の如く組立て得る。プラスチック巻枠３１４を、少なくとも１つの電気接触子３１６と共に成型する。電磁コイル３０２のための導線３０２Ａを、プラスチック巻枠３１４に巻回し、電気接触子３１６に接続する。そしてコイル容器３０６を、電磁コイル３０２及び巻枠３１４を覆って配置する。次に、予め適切な形状に湾曲させた端子３０４を、各電気接触子３２２に電気的に接続する。次いで外被３０８を、コイル／巻枠ユニット、コイル容器３０６及び端子３０４の相対的組立てを維持するように形成する。また、外被３０８は、噴射装置のための構造ケースを形成し、かつ所定の電気的及び熱的絶縁特性をもたらす。独立したカラーは、例えばボンディングにより接続でき、かつ噴射装置１００のための方向付け形状構成又は識別形状構成等の、特定用途用の特徴を与え得る。従って、外被３０８は、適当なカラーの付加により変更可能な普遍的な構成を実現できる。製造コストと在庫コストを低減すべく、上記コイル／巻枠ユニットは、異なる用途に対しても同じものとなし得る。従って、端子３０４及び外被３０８（又は、必要に応じカラー）は、特定の管組立て体２０２の長さ、取付け構成、電気接続等に適応するよう、寸法と形状を変更できる。

別法として、２ピース外被は、特定用途用の第１の外被部と、全ての用途用の第２の外被部とを可能にする。第１の外被部は、第２の外被部に接合でき、上記噴射装置のための電気的及び熱的絶縁体としての使用を可能にする。またコイル容器３０６の一部は、噴射装置が異なる長さの噴射装置端部を収容できるよう、外被３０８の一端部を越えて軸方向に延び得る。この延在部分にも、例えばＯリング１０等の封止部材を保持すべく、フランジ３０６Ａを形成できる。コイル群補助組立て体３００の他の好ましい実施形態は、２００２年４月２５日に発行された米国特許公報第２００２００４７０５４号明細書に開示されており、同公報の全体を参照して本明細書に組み込む。

弁群補助組立て体２００は、完全な燃料噴射装置１００を形成すべくコイル群補助組立て体３００に挿入できる。従って噴射装置１００は、互いに別々に組立て、かつ較正された検査装置（図示せず）を用いて検査し、その後、互いに接続して噴射装置１００を形成可能な、２つのモジュール式補助組立て体からなる。弁群補助組立て体２００とコイル群補助組立て体３００は、接着剤、溶接又は他の同様の取付け工程で、固定取付けできる。好適な実施形態では、外被３０８を貫通するホール３０８Ａは、コイル容器３０６を露出させ、コイル容器３０６を弁体２０６にレーザ溶接するのを可能にする。一体ユニットであり得る上記フィルタとリテーナは、管ユニットの第１の管組立て体端部２００Ａに接続できる。Ｏリングは、各々第１及び第２の噴射装置端部に取付け得る。

第１の噴射装置端部２００Ａは、内燃機関（図示せず）の燃料供給部に接続できる。Ｏリング１０は、燃料レール（図示せず）からの燃料が噴射装置１００と燃料レールの間の接続部で、Ｏリング１０が流体的に密な封止を形成した状態で、管組立て体２０２へ供給されるよう、燃料供給部に対し第１の噴射装置端部２００Ａを封止する。

持ち上げを設定する、即ち適当な噴射装置持ち上げ距離を保証するために利用可能な少なくとも４つの異なる方法がある。第１の方法では、下方案内２５７と弁体２０６との間で、弁体２０６内に挿入されるクラッシュリング又はワッシャを変形させる。第２の方法では、弁体２０６と非磁性シェル２１０との相対的軸方向位置を、これら２つの部材を共に付着される前に調整する。第３の方法では、非磁性シェル２１０と磁極片２０８との相対的軸方向位置を、これら２つの部材が共に付着される前に調整する。第４の及び好ましい方法では、リフトスリーブ２３４を、弁体２０６内で、軸方向にずらす。リフトスリーブ法を用いる場合、リフトスリーブ２３４の位置は、リフトスリーブ２３４を軸方向に動かすことで調整できる。持ち上げ距離は、検査プローブ（図示せず）を用いて測定できる。所望の持ち上げが一旦終了すると、スリーブを、例えばレーザ溶接により弁体２０６に溶接する。次に弁体２０６を、溶接、好適にはレーザ溶接で、流入管２０４組立て体に取付ける。そして組み上げた燃料群補助組立て体２００に、例えば漏れの検査を行う。

（ａ）コイル容器３０６、（ｂ）端子３０４を含む巻枠組立て体、（ｃ）磁束ワッシャ３１８及び（ｄ）外被３０８を含む上記電力群補助組立て体の準備は、上記燃料群補助組立て体とは独立して実行できる。

好ましい実施形態では、導線３０２Ａを、電気接続部３２２を有する予め形成した巻枠３１４に巻回し、巻枠組立て体を形成する。該組立て体を、予め形成したコイル容器３０６内に挿入する。磁極片２０８とコイル容器３０６との間に、磁束のための戻り経路を形成すべく、磁束ワッシャ３１８を巻枠組立て体に設ける。軸方向に延びる接続部を持ち、予め湾曲された端子３０４を、コイルの電気接触子３１６に結合し、ろう付け、はんだ付け又は好ましくは抵抗溶接する。ここで、部分的に組み上げた電力群組立て体を、鋳型（図示せず）内に配置する。その予め湾曲された形状により、端子３０４は、鋳型内に樹脂を注ぎ、又は注入すると、ハーネス接続３２０と共に正しい方向に配置される。別法として２つの別々の鋳型（図示せず）を、上述したような２ピース外被を形成するのに使用できる。組立てた電力群補助組立て体３００を検査スタンド上に載せ、コイルに電流を流している間に、磁束が飽和した際の電磁力、コイル抵抗及び電圧降下を測定する。

燃料群補助組立て体２００の電力群補助組立て体３００内への挿入は、燃料群補助組立て体２００の電力群補助組立て体３００に対する相対的回転方向の設定を含み得る。好ましい実施形態では、燃料群補助組立て体と電力群補助組立て体は、（その上の開口部を含む）開口円板２２２上の基準点と、噴射装置ハーネス接続３２０上の基準点との間の角度が、所定の角度に収まるように回転させ得る。相対的方向は、ロボットカメラ又はコンピュータ制御の画像装置を用いて、補助組立て体上の各々の所定の基準点を確かめ、位置合わせに必要な回転角を計算し、補助組立て体を方向付けて、補助組立て体が正しく方向付けられる迄他の状態等を検査して、設定できる。一旦所望の方向付けを終えると、補助組立て体を、共に挿入する。挿入作業は、２つの方法、即ち、「トップダウン」又は「ボトムアップ」の一方により実現できる。前者によれば、電力群補助組立て体３００を、燃料群補助組立て体２００の上部から下方へ滑り込ませ、後者によれば、電力群補助組立て体３００を、燃料群補助組立て体２００の底部から上方へ滑り込ませる。流入管２０４組立て体が、漏斗状に開いた第１の端部を含む場合には、ボトムアップ法が必要とされる。また、これらの状況において、該斗状に開いた第１の端部によって保持されているＯリング１０を、燃料群補助組立て体２００を電力群補助組立て体３００内に滑り込ませる前に、電力群補助組立て体３００の周りに配置できる。燃料群補助組立て体２００を電力群補助組立て体３００内に挿入した後、該２つの補助組立て体を、例えばレーザ溶接等の溶接で共に付着させる。好ましい実施形態では、外被３０８は、コイル容器３０６の一部を露出させる開口部３０８Ａを含む。該開口部３０８Ａは、コイル容器３０６を弁体２０６に溶接する溶接作業を可能にする。当然、他の方法や補助組立て体を互いに付着させる方法も使用できる。そして、上記燃料噴射装置の何れかの端部にＯリング１０を設け得る。

作動時、電磁コイル３０２に電流が流れ、その結果上記磁気回路に磁束を生ずる。該磁束は、電機子組立て体２１２を（好ましい実施形態に従い軸Ａ−Ａに沿って）一体化した磁極片２０８の方へ移動させ、上記作用空隙を閉じる。電機子組立て体２１２のこの動きは、閉鎖部材２１６をシート２１８から離し、燃料が、上記燃料レール（図示せず）から流入管２０４、貫通孔２１４Ｂ、開口２２０Ａ及び弁体２０６を経て、シート２１８と閉鎖部材２１６の間と、上記開口部を通り、最後に開口円板２２２を経て上記内燃機関（図示せず）内に流入することを可能にする。電磁コイル３０２の電流がなくなると、電機子組立て体２１２は、弾性部材２２６の付勢により移動し、シート２１８と共に閉鎖部材２１６に接触係合して、噴射装置１００を流れる燃料の流れを妨げる。

本発明を特定の実施形態を参照して開示してきたが、添付の特許請求の範囲に定義した本発明の範囲及び主旨を逸脱することなく、上記の実施形態に対する多数の変更例、代替例及び変形例が可能である。従って本発明は、記載した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の用語とその均等物により定義される全範囲を含むことを意図している。

好ましい実施形態による燃料噴射装置を示す図である。 図１の燃料噴射装置の出口端部の拡大図である。

符号の説明

１０ Ｏリング、１００ 燃料噴射装置、２００ 弁群補助組立て体、２００Ａ、２００Ｂ 噴射装置端部、２０２ 管組立て体、２０２Ａ、２０２Ｂ 流入管端部、２０４ 流入管、２０６ 弁体、２０８ 磁極片、２０８Ａ 磁極片肩部、２０８Ｂ 結合肩部、２１０ 非磁性シェル、２１０Ａ シェル端部、２１２ 電機子組立て体、２１４ 電機子部、２１４Ｂ 貫通孔、２１６ 閉鎖部材、２１８ シート、２１８Ａ 封止面、２１８Ｂ 開口部、２１８Ｃ 開口保持面、２１９Ａ フロー部、２１９Ｂ 固定部、２１９Ｃ 溶接部、２２０ 中間部、２２０Ａ 開口、２２２ 開口円板、２２４ 電機子組立て体案内、２２６ 弾性部材、２２８ フィルタ組立て体、２３０ フィルタ、２３２ 予加重調節器、２３４ リフトスリーブ、３００ 電力群補助組立て体、３０２ 電磁コイル、３０２Ａ 導線、３０４ 端子、３０６ コイル容器、３０６Ａ フランジ、３０８ 外被、３０８Ａ 開口部、３１４ 巻枠、３１６ 電気接触子、３１８ 磁束ワッシャ、３２０ ハーネス接続部、３２２ 電気接続部

Claims (27)

1. 独立して検査可能なコイル群補助組立て体と、独立して検査可能な弁群補助組立て体とを含み、
   前記コイル群補助組立て体は、電磁コイルと、該コイルの一部を囲むコイル容器と、該容器上に配置された第１の取付け部とを含み、
   前記弁群補助組立て体は、
   第１の管端部と第２の管端部との間に延びている長手方向軸を有し、第１の取付け部に隣接する第２の取付け部を有する管組立て体であって、第１及び第２の取付け部が、第２の管端部の近傍で固定接続されている管組立て体と、
   前記管組立て体内に配置され、閉鎖部材を有する電機子組立て体と、
   前記第２の管端部の近傍で、管組立て体内に配置されたシート組立て体とを含み、
   該シート組立て体は、
   第１の長さで、第１の面と開口円板保持面との間で、長手方向軸に沿って延びているフロー部であって、該フロー部を通って拡がるシート開口を有するフロー部と、
   前記開口プレートが、フロー部に対して一定の空間方向で整列されるように、開口円板保持面に結合された開口円板と、
   前記第１の長さよりも長い第２の長さで、開口円板保持面から離れて、長手方向軸に沿って延びている固定部と
   を含む燃料噴射装置。
2. 前記シート及び開口円板が、フロー部に対するその一定の空間方向を維持するように、フロー部の先端の位置に、管組立て体の外側面から固定部の外側面迄延びる少なくとも１つの溶接部を更に備える請求項１記載の装置。
3. 前記管組立て体とシートとの間に、密封された封止を形成すべく、フロー部の先端の位置に、管組立て体の外側面から固定部の外側面迄延びる少なくとも１つの溶接部を更に備える請求項１記載の装置。
4. 前記少なくとも１つの溶接部が施された後に、シートが、長手方向軸に関して寸法対称性を維持すべく、フロー部の先端の位置に、管組立て体の外側面から固定部の外側面迄延びる少なくとも１つの溶接部を更に備える請求項１記載の装置。
5. 前記少なくとも１つの溶接部が、長手方向軸に沿って、第２の長さの約５０％の長さで管組立て体の外側面に設けられた請求項１載の装置。
6. 前記管組立て体が、
   第１の端部と、弁体に結合された第２の端部とを有し、該第２の端部が、電機子の端部部分に直面する端部部分を有する流入管と、
   前記流入管の第１の端部近傍に配置されたフィルタと、
   前記流入管の第２の端部近傍に配置された一方の部分と、電機子のポケット内に配置された他方の部分とを有する弾性部材と、
   前記流入管内に配置され、閉鎖部材をシート開口を通る流れを妨げる位置の方へ付勢すべく、弾性部材の一方の部分に係合する調節管と
   を備える請求項５記載の装置。
7. 前記流入管、フィルタ、弾性部材、調節管、磁気コイル、弁体、電機子組立て体及びシートが、長手方向軸に関し対称的である請求項６記載の装置。
8. 前記電機子組立て体が電機子を閉鎖部材に接続する非磁性電機子管を備え、該電機子管が、電機子とシートとの間で磁束の流れを分断する請求項７記載の装置。
9. 前記閉鎖部材が、電機子管の直径より大きい直径を有する球状部材を備える請求項８記載の装置。
10. 前記流入管が、磁極片に結合された第１の管を更に備える請求項９記載の装置。
11. 前記フロー部が、
    前記長手方向軸の周りに配置された、第１及び第２の離間した平坦な面、第１及び第２の離間した面と、
    前記第１及び第２の離間した平坦な面の一方と境を接し、かつシート開口と隣接する封止面とを備える請求項１０記載の装置。
12. 前記固定部が、フロー部を取り巻き、かつ第２の長さよりも長い第３の長さにわたり第１の周辺部端と第２の周辺部端との間で、長手方向軸に沿って延びる周辺部を備える請求項１２記載の装置。
13. 前記シートは、該シートの第１の周辺部端に隣接する案内部材を更に備え、該部材は長手方向軸に沿った中央貫通開口部と、該開口部の周りに配置された複数の貫通開口部とを備えており、中央貫通開口部は、閉鎖部材がシート開口を通る燃料の流れを妨げる第１の位置と、シート開口を通る燃料の流れを可能にすべく閉鎖部材がシート開口から離れる第２の位置との間で、長手方向軸に沿って閉鎖部材を案内する請求項１３記載の装置。
14. 前記シートが、シートの第２の面に接続された開口円板を更に備え、該開口円板が、長手方向軸の周りに配置され、かつシート開口と流体的に連通している複数の貫通開口部を備える請求項１４記載の装置。
15. 前記電機子管が、長手方向軸に対し直角で、かつ電機子管の表面を通って延びる少なくとも１つの開口部を備える請求項１５記載の装置。
16. 前記電機子管が、電機子の第１の部分の外側面がはまり込む内側面を備え、電機子管の内側面が、電機子管の内側面から電機子の外側面迄延びる少なくとも１つの溶接部によって、電機子の外側面に接続された請求項１５記載の装置。
17. 前記電機子管が深絞り管を備える請求項１７記載の装置。
18. 前記電機子管が、長手方向軸に対する電機子の長さよりも長い、長手方向軸に対する長さを有する管を備える請求項１７記載の装置。
19. 前記電機子組立て体が、電機子部と管状部とを備え、該管状部が、少なくとも１つの溶接部により閉鎖部材に接続された請求項５記載の装置。
20. 前記磁極片及び電機子部が、長手方向軸に対し直角な各端面部を備え、該端面部の一方が、長手方向軸に対して傾斜した面を有し、該傾斜面が、該面上に形成された被覆を含む請求項２０記載の装置。
21. 前記コイル容器が、電磁コイルの一部を取り巻く第１の容器部と、弁体の一部を取り巻く第２の容器部とを備え、該第２の容器部が、封止部材を保持するためのフランジを有する請求項５記載の装置。
22. シート及び開口円板の、長手方向軸に沿って延びている弁補助組立て体内での一定の空間方向を維持する方法であって、
    前記シート及び開口円板を、一定の空間方向で、弁補助組立て体の弁体内に配置する工程と、
    前記一定の空間軸方向を±０．５％の公差内に維持すべく前記シートを前記弁体に溶接する工程とを含む方法。
23. 前記溶接工程が、シート及び開口円板の各長手方向軸に関する対称性が、長手方向軸に関するシートの任意の寸法変化の差が１％未満になるよう、フロー部の先端の位置における管組立て体の外側面から、固定部の外側面迄のレーザ溶接を行う工程を含む請求項２３記載の方法。
24. 前記レーザ溶接工程が、長手方向軸に沿ったシートのフロー部の長さの約５０％での、シートの固定部に連続溶接部を形成する工程を含む請求項２３記載の方法。
25. 前記レーザ溶接が、弁体の内側面と、固定部の周辺面との間に、密封ラップ溶接部を形成する工程を含む請求項２４記載の方法。
26. 前記シートを配置する工程が、
    第１の長さにわたって、第１及び第２の離間した概して平坦な面を有する前記フロー部を形成する工程であって、フロー部が、第１及び第２の離間した平坦な面の一方と境を接し、かつシート開口に隣接している封止面と、第１及び第２の平坦な面の他方上で、シート開口と接触する開口円板保持面とを有する工程と、
    前記開口円板の開口円板保持面に対する一定の空間方向で、開口円板を開口円板保持面に溶接する工程とを含む請求項２６記載の方法。
27. 前記設ける工程が、
    固定部を画定する周辺部を形成する工程であって、周辺部が、フロー部を取り巻き、かつ第１の長さより長い第２の長さにわたり、第１の周辺端部と第２の周辺端部との間で、長手方向軸に沿って延ばす工程と、
    シート組立て体を形成すべく、平坦な閉鎖案内部材を、前記シートの前記第１の周辺端部に接続する工程と、
    前記シート組立て体を、管組立て体内の所定の距離迄、管組立て体内に圧入する工程とを含む請求項２７記載の方法。
    
    

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