JP2007502863A - 認知障害の治療および認知改善の方法 - Google Patents

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Abstract

要約
アンフェタミン化合物で、認知障害が治療され、認知が向上する。ある態様において、該方法はI−アンフェタミン化合物を投与することを含む。別の態様において、この方法はl−メタンフェタミン化合物を投与することを含む。

Description

発明の詳細な説明
関連出願
本出願は、2004年3月2日に出願された米国出願第10/791,233号の一部継続出願であり、これは2003年5月23日に出願された米国出願第10/444,970号の一部継続出願であり、これは2002年5月2日に出願された米国出願第10/139,606号の一部継続出願であり、これは2001年10月31日に出願された米国出願第10/003,740号の一部継続出願であり、これは2000年11月1日に出願された米国仮出願第60/245,323号の恩恵を主張し、および2001年10月31日に出願された国際出願PCT/US01/45793に対する優先権を主張し、これは米国を指定し、かつ英語で公開された。本出願はまた、2003年5月23日に出願された米国仮出願第60/473,168号の恩恵を主張する。前述の出願の教示は本明細書に参照してその全体を援用する。
発明の分野
用語「記憶」は多くの異なるプロセスを包含し、かつ多くの異なる脳領域の機能を必要とする。総じて、ヒトの記憶は、例えば、意識想起に接近可能な事実および事象の、陳述想起、および非陳述想起、例えば、時間および場所に関して保存されていない技術および操作の手続き記憶、を提供する。近年の研究は、記憶の種々の要素の多くを理解するのに必要な情報を提供し、および関連する脳領域を同定してきた。新しく獲得された経験は、最初は種々の形態の妨害に感受性がある。しかしながら、経時的に新しい経験は妨害に対して耐性となる。この観察は、不安定で作動性の短期記憶が、より安定な長期記憶に固定されることを示すと解釈されてきた。
行動の研究は、ヒトの精神がある重要な時間間隔で記憶を固定することを見出している。記憶の固定の初期段階は、新しい考えまたは学習経験に供された後の最初の数分以内に生じる。次の段階は睡眠の間などのより長い時間にわたって生じる。学習経験が我々にとって継続している効力を有する場合、次の週などは記憶の固定のさらなる期間として役立つ。事実上、この段階において、記憶は短期保存から長期保存へ移行する。
さらに、種々のメカニズムが長期記憶の形成を説明するために提案されてきた。幅広い観察が、長期記憶の形成に関与する進化的に保存された分子メカニズムを提案している。これらはシナプス伝達物質の放出の増大、シナプス受容体の数の増大、受容体のKDの低下、前シナプスまたは後シナプス要素のいずれかにおける新しい記憶因子の合成、新しいシナプス結合の出現、前シナプス膜における活性領域の増加およびその他の多くを含む。シナプスの可塑性、脳におけるニューロン結合の強度における変化が長期記憶の保存の基礎となると考えられている。
記憶の固定、長期記憶における新しい情報を保存するプロセスは、精神遅滞、アルツハイマー病および鬱病を含む、種々の神経学的および精神障害において重大な役割を果たしているとも信じられている。実際に、長期記憶の喪失または障害はかかる疾患の重要な特徴であり、またその効果に対する有効な療法は現れていない。短期記憶および作動記憶は、一般には、かかる患者において有意に損なわれない。
従って、長期記憶の機能および/または性能を増強し、または長期記憶の機能および/または性能の低下を予防的に(例えば、神経保護治療として)防ぎ、または遅らせる方法および組成物が望ましいであろう。同様に、長期記憶の機能および/または性能を回復させるための方法および組成物が必要とされる。
ヒトにおける認知および記憶過程における障害は加齢による記憶障害、軽度の認知障害、アルツハイマー病、多発性硬化症、脳損傷、脳動脈瘤、脳卒中、精神分裂病、癲癇、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、化学療法(例えば、癌化学療法)、外傷性脳損傷、およびパーキンソン病などの、多数の状態または疾患で起こり得る。アトロピンまたはスコポラミンなどの、ムスカリン性コリン作動性受容体のアンタゴニストへの曝露の後、ヒトは認知および記憶過程に障害を経験し得る。臨床の管理戦略は、現在、あるとしても最小の、記憶および認知機能における改善を提供する。このように、認知および記憶過程における障害を患っているヒトの治療に対する新しい、改善されたおよび効果的な方法を開発する必要がある。
発明の概要
本発明は、記憶および/または認知機能に障害を有するヒトを治療する方法に関する。
ヒトは、記憶の固定(長期記憶における新しい情報を保存する過程)における障害、短期記憶過程における障害、作動記憶における障害、長期記憶における障害、陳述記憶における障害または手続き記憶における障害を有し得る。ヒトは、長期記憶の機能および性能を増強、予防および/または回復するために、例えば、ヒトで長期記憶における新しい情報を保存する過程(記憶の固定)を改善するために、もしくは短期記憶を改善し、または作動記憶を改善するためにアンフェタミンクラスの化合物(集合的に、本明細書中においては、「アンフェタミン化合物」という)で治療される。ヒトは、ムスカリン性コリン作動性受容体のアンタゴニストへの曝露の結果として記憶および/または認知機能における障害を有し得る。さらに詳しくは、本発明は、アンフェタミン化合物の特定のエナンチオマー(R)−(−)−アンフェタミン(l−アンフェタミン、レボ−アンフェタミン)または(R)−(−)−メタンフェタミン(l−メタンフェタミン、レボ−メタンフェタミン)が、記憶における障害および認知機能における障害を有するヒトを治療するのに有効であるという発見に関する。
ある態様において、本発明は、l−アンフェタミンおよびl−メタンフェタミンよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーを記憶の固定に障害を有するヒトに投与することを含む、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
別の態様において、本発明は、l−アンフェタミンおよびl−メタンフェタミンよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーを記憶の固定に障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該l−アンフェタミンはd−アンフェタミンに対して少なくとも約80モルパーセントのl−アンフェタミンであり、該l−メタンフェタミンはd−メタンフェタミンに対して少なくとも約80モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、l−アンフェタミンおよびl−メタンフェタミンよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーを記憶の固定に障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該l−アンフェタミンはd−アンフェタミンに対して少なくとも約90モルパーセントのl−アンフェタミンであり、該l−メタンフェタミンは、d−メタンフェタミンに対して少なくとも約90モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
本発明のさらなるの態様は、ヒトにおいて記憶の固定における障害の程度を評価すること;l−アンフェタミンおよびl−メタンフェタミンよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーをヒトに投与すること;ならびに、l−アンフェタミンおよびl−メタンフェタミンをヒトに投与した後に記憶の固定における改善を測定することを含む、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
なお別の態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約85モルパーセントのl−アンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
別の態様において、本発明は、ヒトにおける記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約80モルパーセントのl−アンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
本発明の別の態様は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約99モルパーセントのl−アンフェタミンであり、該l−アンフェタミンは少なくとも約0.01 mg用量の用量でヒトに投与される、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約90モルパーセントのl−アンフェタミンであり、該l−アンフェタミンは約0.01 mg用量から約125 mg用量の間の用量でヒトに投与される、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
さらなる態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約80モルパーセントのl−アンフェタミンであり、該l−アンフェタミンは少なくとも約0.01 mg用量の用量でヒトに投与される、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
さらなる態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは約80モルパーセントのl−アンフェタミンから約99モルパーセントのl−アンフェタミンの間である、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
なお別の態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量でアンフェタミンを記憶の固定に障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該アンフェタミンは約80モルパーセントのl−アンフェタミンから約99モルパーセントのl−アンフェタミンの間であり、該l−アンフェタミンは少なくとも約0.01 mg用量の用量でヒトに投与される、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
本発明の別の態様は、記憶の固定に障害を有するヒトにおいて記憶の固定も障害の程度を評価することおよびヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量でアンフェタミンをヒトに投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約80モルパーセントのl−アンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。アンフェタミンをヒトに投与した後の記憶の固定における改善を測定する。
さらなる態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約90モルパーセントのl−アンフェタミンであり、構造式:
を有する、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
なお別の態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約90モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
さらなる態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約85モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
本発明のさらなる態様は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約80モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約99モルパーセントのl−メタンフェタミンであり、ヒトに投与されるl−メタンフェタミンの用量は少なくとも約0.01 mg用量である、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
本発明の別の態様は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約90モルパーセントのl−メタンフェタミンであり、該l−メタンフェタミンは少なくとも約0.01 mg用量の用量でヒトに投与される、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約80モルパーセントのl−メタンフェタミンであり、ヒトに投与されるl−メタンフェタミンの用量は少なくとも約0.01 mg用量である、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
さらなる態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは約80モルパーセントのl−メタンフェタミンから約99モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
本発明のさらなる態様は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは約80モルパーセントのl−メタンフェタミンから約99モルパーセントのl−メタンフェタミンであり、該l−メタンフェタミンは少なくとも約0.01 mg用量の用量でヒトに投与される、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
本発明の別の態様は、記憶の固定に障害を有するヒトにおいて記憶の固定における障害の程度を評価することおよびヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量でヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約80モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。アンフェタミンをヒトに投与した後の記憶の固定における改善を測定する。
さらなる態様において、本発明は、ヒトにおいて記憶の固定を改善するのに有効な量で記憶の固定に障害を有するヒトにアンフェタミンを投与することを含み、ここで該アンフェタミンは少なくとも約90モルパーセントのl−メタンフェタミンであり、構造式:
を有する、ヒトにおいて記憶の固定を改善する方法を含む。
ある態様において、本発明は、患者において長期記憶を増強するのに十分な量で1つ以上のアンフェタミン化合物、薬学的に許容され得る担体、および記憶を増強するための処方の使用を記載する使用説明書(書面および/または絵入り)を含む医薬キットである。
別の態様において、本発明は、患者において長期記憶を増強するのに十分な量であるがCNSの刺激物としてのそのEC50よりも低い患者における濃度をもたらす、単一の経口投与処方として提供された1つ以上のアンフェタミン化合物を含む医薬製剤である。
なお別の態様において、本発明は、患者において長期記憶を増強するのに十分な量であるがCNSの刺激物としてのそのEC50よりも低い患者における濃度をもたらす量を投与するために、経皮パッチの形態で提供され、アンフェタミンの徐放用に処方された1つ以上のアンフェタミン化合物を含む医薬製剤である。
特定の態様において、本発明の医薬キットおよび製剤は、式I:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素、または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素、または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素、または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイル、およびスルホンアミドよりなる群から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す)
によって表されるアンフェタミン化合物の少なくとも一つ、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、代謝産物またはプロドラッグを含む。
ある態様において、R3は水素を表し、他方、他の態様においては、R3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの低級アルキル、ヒドロキシ、アミノ、またはカルボニルを表す。
ある態様において、R4は水素を表し、他方、他の態様においては、R4はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、シアノ、ニトロ、低級アルキル、および硫酸塩から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す。
ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2、およびR3の少なくとも一つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも二つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも三つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の四つ全ては水素を表す。
ある態様において、1つのR1は水素を表し、1つのR1はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの低級アルキルを表し、R2はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの低級アルキルを表し、R3およびR4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在は水素、または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素、またはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、および低級アルキルから選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも一つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも二つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在は独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
最も好ましい態様において、R1は、独立してかつ各存在について、水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は独立してかつ各存在について、水素を表す。
他の好ましい態様において、本発明の医薬キットおよび製剤は、式II:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素、または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素、または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素、または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイル、およびスルホンアミドからなる群から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表し;および
Lは非毒性の有機または無機酸である)
によって表される薬学的に許容され得る塩としての少なくとも一つのアンフェタミン化合物を含む。
ある態様において、R3は水素を表し、他方、他の態様において、R3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの低級アルキル、ヒドロキシ、アミノまたはカルボニルを表す。
ある態様において、R4は水素を表し、他方、他の態様において、R4はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、シアノ、ニトロ、低級アルキル、および硫酸塩から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す。
ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも一つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも二つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも三つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の四つ全ては水素を表す。
ある態様において、1つのR1は水素を表し、1つのR1はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの低級アルキルを表し、R2はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの低級アルキルを表し、R3およびR4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在は、水素、または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素、あるいはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、および低級アルキルから選択される、それが結合する環上の1から2の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも一つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも二つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在は独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
最も好ましい態様において、R1は、独立してかつ各存在について、水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は、独立してかつ各存在について、水素を表す。
他の好ましい態様において、本発明の医薬キットおよび製剤は、式III:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素、または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素、または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素、または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、例えば、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイルおよびスルホンアミドから選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表し;
R5は、各存在につき独立して、水素またはヒドロキシを表す)
によって表されるアンフェタミン代謝産物としての少なくとも一つのアンフェタミン化合物を含む。
ある態様において、R3は水素、他方、他の態様において、R3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの、低級アルキル、ヒドロキシ、アミノまたはカルボニルを表す。
ある態様において、R4は水素を表し、他方、他の態様において、R4はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、シアノ、ニトロ、低級アルキルおよび硫酸塩から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す。
ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも一つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも二つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも三つは水素を表す。ある態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の四つ全ては水素を表す。
ある態様において、1つのR1は水素であり、1つのR1はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの低級アルキルを表し、R2はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどの低級アルキルを表し、R3およびR4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在は水素、または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素、またはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、および低級アルキルから選択される、それが結合した環上の1から2の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも一つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも二つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在は独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある態様において、R1は、独立してかつ各存在につき、水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は、独立してかつ各存在につき水素を表す。
別の態様において、アンフェタミン化合物の代謝産物はp−ヒドロキシアンフェタミン、ベンジルメチルケトン、1−フェニルプロパン−2−オール、安息香酸、グリシン、馬尿酸、p−ヒドロキシノルエフェドリン、およびN−ヒドロキシルアンフェタミンから選択される。
キット、製剤、組成物および方法の特定の態様において、本発明は、少なくとも単一の種類のアンフェタミン化合物または少なくとも2つの異なる種のアンフェタミン化合物の混合物を含む医薬キットまたは製剤を特徴とする。アンフェタミン化合物の異なる種は互いに関して等しい量または異なる量で存在し得る。
キット、製剤、組成物および方法の別の態様において、本発明は、別のアンフェタミンのエナンチオマーに対して少なくとも約51パーセント(w/w(重量/重量)またはモルパーセント)、約60パーセント(w/wまたはモルパーセント)、約75パーセント(w/wまたはモルパーセント)、約80パーセント(w/wまたはモルパーセント)、約85パーセント(w/wまたはモルパーセント)、約95パーセント(w/wまたはモルパーセント)または約99パーセント(w/wまたはモルパーセント)の一つのアンフェタミンのエナンチオマー(例えば、d−アンフェタミンに対するl−アンフェタミンまたはd−メタンフェタミンに対するl−メタンフェタミン)を含む組成物を特徴とする。例えば、該方法で使用されるアンフェタミン組成物はd−アンフェタミンまたはd−メタンフェタミンに対して約80パーセント(w/wまたはモルパーセント)のl−アンフェタミンまたはl−メタンフェタミンであり得、ここでd−アンフェタミンまたはd−メタンフェタミンは約20パーセント(すなわち、残り)(w/wまたはモルパーセント)のアンフェタミンである。
別の態様において、本発明の方法は、約100パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のl−アンフェタミンまたはl−メタンフェタミンであるアンフェタミンを使用し、ここで該l−アンフェタミンは、組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約100モルパーセントのl−アンフェタミンを含む組成物であり、または該l−メタンフェタミンは組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約100モルパーセントのl−アンフェタミンを含む組成物として投与される。「約100パーセント」のl−アンフェタミンまたはl−メタンフェタミンであるアンフェタミンは、ほんの僅かの微量のd−アンフェタミンまたはd−メタンフェタミンを含有し得る。
ある好ましい態様において、特に(R)−(−)−アンフェタミン(l−アンフェタミン)またはl−メタンフェタミンを用いるものについて、キット、製剤、組成物および方法は、好ましくは、10パーセント(w/wもしくはモルパーセント)未満の(S)−(+)−アンフェタミン、さらにより好ましくは5パーセント(w/wもしくはモルパーセント)未満の、1パーセント(w/wもしくはモルパーセント)未満の、または0.5パーセント(w/wもしくはモルパーセント)未満の(S)−(+)−アンフェタミンを含有する(R)−(−)−アンフェタミンの組成物を用いる。
別の態様において、該方法で使用するアンフェタミンは、ヒトに投与される全組成物のパーセントであり得る。組成物のアンフェタミン成分はヒトに投与される全組成物の約50パーセント(w/w)、約60パーセント(w/w)、約75パーセント(w/w)、約80パーセント(w/w)、約85パーセント(w/w)、約90パーセント(w/w)、約95パーセント(w/w)および約100パーセント(w/w)であり得る。例えば、ヒトは、約80重量または容量パーセントのアンフェタミンおよび約20重量または容量パーセントの、各々、不活性な賦形剤を含む組成物を投与され得る。組成物のアンフェタミン成分はl−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、d−アンフェタミンおよびd−メタンフェタミンからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーを含む。
キット、製剤、組成物および方法のなお別の態様において、本発明は、標準化された性能テストによって評価した場合に統計学的に有意な量だけ患者において長期記憶を増強させるのに十分な量で提供された1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。
キット、製剤、組成物および方法のある態様において、本発明は、等しく有効な長期記憶増強用量のアンフェタミン化合物のジストーマーと比較して少なくとも2倍少ない、または少なくとも4倍少ないジストーマーを含む1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。
キット、製剤、組成物および方法のある態様において、本発明は、等しく有効な長期記憶増強用量の(S)−(+)−アンフェタミンと比較して、少なくとも2倍少ない、または少なくとも4倍少ない(R)−(−)−アンフェタミンを含むアンフェタミンを特徴とする。
キット、製剤、組成物および方法のある態様において、本発明は、Reyの聴覚性言語学習検査(RAVLT); Cambridge神経心理テスト自動化バッテリー(CANTAB); 小児の記憶スケール(CMS); 文脈上の記憶テスト(CMRT); Denmanの神経心理学記憶スケール; Fuldの物体記憶評価(FOME);Graham-Kendall のデザインについての記憶テスト; Guildの記憶テスト;学習と記憶のバッテリー(LAMB); 記憶評価臨床―自己評価スケール(MAC-S); 記憶評価スケール(MAS); Randtの記憶テスト;認識記憶テスト(RMT); Rivermead行動記憶テスト; Wechslerの記憶スケールのRussellバージョン(RWMS); 記憶と学習のテスト(TOMAL); Vermontの記憶スケール(VMS); Wechslerの記憶スケール; および記憶と学習の広範な評価(WRAML); 姓と名の関係(Youngjohn J.R., ら, Archives of Clinical Neuropsychology 6:287-300(1991)); 名前と顔の関係; Wechslerの記憶スケール改訂版;(Wechsler, D., Wechslerの記憶スケール改訂版手引書, NY, NY, The Psychological Corp.(1987)); California言語学習テスト第二版(Delis, D.C., ら, Californian言語学習テスト, 第二版, 成人版, 手引書, San Antonio, TX: The Psychological Corporation(2000)); 顔の認識(試料に対する遅延された非調和);認知薬物研究(CDR)コンピュータ化された評価バッテリー−Wesness; Buschkeの選択的注意テスト(Buschke, H., ら, Neurology 24:1019-1025(1974)); 電話をかけるテスト; および簡単な視空間記憶テスト改訂版の1つ以上などの標準化された性能テストによって評価した場合に統計学的に有意な量だけ患者において長期記憶を増強するのに十分な量で提供された1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。ある態様において、本発明の方法および医薬組成物は、RAVLTなどの単語想起テストによって評価した場合に長期記憶を増強させる(ヒトにおいて記憶の固定を改善するため)のに十分な量で提供された1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。
キット、製剤、組成物および方法のさらに別の態様において、本発明は、Providence認識記憶テストによって評価した場合に統計学的に有意な量だけ患者において長期記憶を増強させるのに十分な量で提供された1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。
さらなるの態様において、本発明は、本発明のアンフェタミンの化合物の投与によって多発性硬化症を有するヒトにおいて記憶障害を改良する方法である。該記憶障害および記憶の改善は確立された基準(例えば、Thornton, A.E., ら Neuropsychology 11:357-366(1997))を用いて評価され得る。これらの技術はBrown-Peterson の課題(Brown, J., Quarterly J. of Exp. Psychology 10:12-21(1958)); the Paced Auditory Serial Addition Test(PASAT)(Gronwall, D.M.A., Perceptual and Motor Skills 44:367-373 (1977));および、例えば、DeLuca, J.,ら, J. Clinical and Exp. Neuropsychology (2004)によって記載された課題を含む。
キット、製剤、組成物および方法の別の態様において、本発明は、サッカラート、硫酸塩またはアスパラギン酸塩の形態で供された1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。
ある態様において、本医薬製剤は可変の用量について処方され、好ましくは、例えば、少なくとも4時間にわたって、より好ましくは少なくとも8時間または16時間にもわたって持続性かつ増大させる用量を送達する。例えば、アンフェタミン化合物は制御された速度で薬物を放出する非吸収性の外皮内に含まれる。
ある段階的に上昇する用量処方において、アンフェタミン化合物は、それぞれが同一または異なるポリマーを含む複数の層、該複数の層において増大する用量のアンフェタミン化合物の用量を含む送達系で処方され、実施における該製剤は経時的に増大する用量のアンフェタミン化合物を送達する。
段階的に上昇する用量処方の他の態様において、アンフェタミン化合物は生分解性ポリマー、初期用量および最終用量に存在するアンフェタミン化合物の用量を含む送達系で処方され、該製剤は経時的に初期用量、次いで、最終用量を送達する。
段階的に上昇する用量の処方のなお他の態様において、アンフェタミン化合物は複数のビ−ズを含む送達系に処方され、各ビーズはアンフェタミン化合物を含みかつ溶解プロフィールを有し、その複数のビーズは、投与に際して、該持続性かつ増大する用量を少なくとも4時間にわたって送達するように用量および/または溶解プロフィールに関して変化させた集団である。
ある段階的に上昇する用量処方において、アンフェタミン化合物は送達系に処方され、ここで該アンフェタミン化合物は(i)薬物を制御された速度で放出する非吸収性の外皮内に含まれ、(ii)少なくとも2つの異なる溶解プロフィールに処方される。
キット、製剤、組成物および方法の別の態様において、本発明は、さらに、ニューロン成長因子、ニューロン生存因子、ニューロン栄養因子、コリン作動性モジュレーター、アドレナリン作動性モジュレーター、非アドレナリン作動性モジュレーター、ドーパミン作動性モジュレーター、グルタミン作動性モジュレーターまたはPKC、PKA、GABA、NMDA、カンナビノイド、AMPA、カイネート、ホスホジエステラーゼ(PDE)、CREBもしくは精神向性の経路を調節する薬剤を特徴とする。ある態様において、該調節は上述の経路の1つ以上の刺激である。他の態様において、該調節は上述の経路の1つ以上の拮抗作用である。キット、製剤、組成物および方法の更なる他の態様において、本発明は、さらにメチルフェニデートを特徴とする。
本発明の別の側面は、毒物曝露、脳損傷、脳動脈瘤、パーキンソン病、頭部外傷、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、脳卒中、精神分裂病、癲癇、多発性硬化症、精神遅滞、アルツハイマー病、年齢、加齢による記憶障害、軽度の認知障害、注意欠損障害、注意欠損過活動性障害、前交通動脈症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群(「線維筋痛」ともここでは言う)、化学療法、および外傷性脳損傷に関連する、不安、鬱病、加齢による記憶障害、最小の認知障害、健忘症、痴呆症、学習障害、記憶障害またはAIDS関連痴呆症に感受性のある、または患った動物の予防または治療用の医薬の製造におけるアンフェタミン化合物の医薬組成物の使用を特徴とし、アンフェタミン化合物は式I:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイル、およびスルホンアミドよりなる群から選択される、それが結合する環上の1から3の置換基を表す)
によって表されるか、薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、代謝産物またはプロドラッグである。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第2の存在は水素、または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素またはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、および低級アルキルから選択される、それが結合する環上の1から2の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも2つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在は独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第2の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
最も好ましい態様において、R1は、独立してかつ各存在につき、水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は、独立してかつ各存在につき水素を表す。
本発明の別の側面は、毒物曝露、脳損傷、脳動脈瘤、パーキンソン病、頭部外傷、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、脳卒中、精神分裂病、癲癇、多発性硬化症、精神遅滞、アルツハイマー病、年齢、注意欠損障害、注意欠損過活動性障害、前交通動脈症候群、加齢による記憶障害、軽度の認知障害、慢性疲労症候群、線維筋痛、化学療法、外傷性脳損傷、パーキンソン病またはAIDS関連痴呆症に関連する、不安、鬱病、加齢による記憶障害、最小の認知障害、健忘症、痴呆症、学習障害、記憶障害に感受性のあるまたは患った動物の予防または治療用の医薬の製造におけるアンフェタミン化合物の使用を特徴とし、アンフェタミン化合物は式II:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイル、およびスルホンアミドからなる群より選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表し;ならびに
Lは非毒性の有機または無機酸である)
によって表される。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第2の存在は水素または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素またはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロおよび低級アルキルから選択される、それが結合した環上の1から2の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも2つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在は独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表しおよびR4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第2の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
最も好ましい態様において、R1は、独立してかつ各存在につき、水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は、独立して各存在につき水素を表す。
本発明の別の側面は、毒物曝露、脳損傷、脳動脈瘤、パーキンソン病、頭部外傷、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、脳卒中、精神分裂病、癲癇、精神遅滞、アルツハイマー病、年齢、加齢による記憶障害、軽度の認知障害、注意欠損障害、注意欠損過活動性障害、多発性硬化症、前交通動脈症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、化学療法、外傷性脳損傷、パーキンソン病またはAIDS関連痴呆症に関連する、不安、鬱病、加齢による記憶障害、最小の認知障害、健忘症、痴呆症、学習障害、記憶障害に感受性のある、または患った動物の予防または治療用の医薬の製造におけるアンフェタミン化合物の使用を特徴とし、アンフェタミン化合物は式III:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基で置換された、置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は水素または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は存在しないか、または水素もしくは例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は例えば、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイルおよびスルホンアミドから選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す;
R5は各存在につき独立して、水素またはヒドロキシを表す)
によって表される。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在は水素、または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素またはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、および低級アルキルから選択される、それが結合した環上の1から2の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも2つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在は独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
最も好ましい態様において、R1は、独立してかつ各存在につき、水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は、独立してかつ各存在につき、水素を表す。
レボ‐アンフェタミン、l−アンフェタミンおよび(R)−(−)−アンフェタミンは本明細書中では相互交換可能として用いる。レボ‐メタンフェタミン、l−メタンフェタミンおよび(R)−(−)−メタンフェタミンは本明細書中では相互交換可能として用いる。
ある態様において、本発明の方法で用いる(R)−(−)−アンフェタミンは構造式:
を有する。
式IVは本明細書中ではC105、レボ−アンフェタミン硫酸塩またはl−硫酸アンフェタミンともいう。式IVは、分子式C18H28N2O4Sおよび368.50の分子量を有する。式IVのIUPAC化学名は(−)−1−メチル−2−硫酸フェニルエチルアミン(2:1)であり、CAS化学名は(−)−α−硫酸メチルフェネチルアミン(2:1)である。
別の態様において、本発明の方法で使用する(R)−(−)−アンフェタミンは構造式:
を有する。式Vは本明細書中ではSN522-HCl(塩酸塩)、レボ−メタンフェタミンHClまたはl−メタンフェタミンHClともいう。式Vは分子式C10H16NClを有する。
なお別の態様において、本発明の方法で使用する(R)−(−)−アンフェタミンは構造式:
を有する。式VIは本明細書中ではSN522、SN522の遊離塩基、レボ−メタンフェタミン、レボ−デスオキシエフェドリン、l−デスオキシエフェドリンまたはレブメタンフェタミンともいう。式VIは分子式C10H15Nおよび149.24の分子量を有する。
なお別の態様において、本発明の方法で使用するアンフェタミン化合物は本明細書中に記載されるアンフェタミン化合物の組み合わせであり得、例えば、式IV、Vおよび/またはVIを任意の組み合わせで使用し得る。例えば、軽度の認知障害、アルツハイマー病および認知機能(例えば、注意、遂行機能、反応時間、学習、情報処理、概念化、問題解決、言語の流暢さ)または記憶(例えば、記憶の固定、短期記憶、作動記憶、長期記憶、陳述記憶もしくは手続き記憶)の障害を有するヒトを、l−アンフェタミン(例えば、C105)およびl−メタンフェタミン(例えば、SN522、SN522-HCl)を、組み合わせて、または順次に用いて、治療し得る。
本発明の方法で使用されるアンフェタミン化合物(例えば、l−アンフェタミンおよび/またはl−メタンフェタミン)は、組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約99モル%、少なくとも約95モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約75モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約65モル%、または少なくとも約60モル%のl−アンフェタミン;または組成物におけるアンフェタミン含有量の総量に対して少なくとも約99モル%、少なくとも約95モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約75モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約65モル%、または少なくとも約60モル%のl−メタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され得る。
ある態様において、治療すされる動物は哺乳動物である。ある好ましい態様において、治療される動物はヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタまたはヤギである。
ある態様において、医薬組成物は経口投与用である。
ある他の態様において、医薬組成物は経皮パッチである。ある態様において、経皮パッチは1つ以上の浸透促進剤を含む。
ある態様において、医薬組成物は、アンフェタミン化合物のジストーマー(例えば、d−アンフェタミンに対するl−アンフェタミン)に対して少なくとも約51パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約60パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約75パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約80パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約85パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約95パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、または99パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のユートマーとして提供されたアンフェタミン化合物を特徴とする。別の態様において、ヒトを治療するのに使用されるアンフェタミンは約100%のl−アンフェタミン(w/wまたはモルパーセント)である。
ある態様において、医薬組成物は、可変用量にて処方され、好ましくは例えば、少なくとも4時間にわたって、より好ましくは少なくとも8時間にわたって、または16時間にもわたって、持続用量を送達する。例えば、アンフェタミン化合物は、制御された速度で薬物を放出する非吸収性の外皮内に含まれる。
ある態様において、医薬組成物は、標準化された性能テストによって評価した場合に統計学的に有意な量だけ患者における軽度の認知障害、アルツハイマー病を治療し、長期記憶、短期記憶、作動記憶、陳述記憶、手続き記憶あるいは注意、遂行機能、反応時間または学習などの認知過程を増強させるのに十分な量で提供されたアンフェタミン化合物(例えば、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン)を特徴とする。
ある態様において、医薬組成物は、Reyの聴覚性言語学習試験(RAVLT); Cambridge神経心理テスト自動化バッテリー(CANTAB); 小児記憶スケール(CMS); 文脈上の記憶テスト;連続認識記憶テスト(CMRT); Denmanの神経心理学記憶スケール; Fuldの物体記憶評価(FOME);Graham-Kendallのデザインについての記憶テスト; Guildの記憶テスト;学習と記憶のバッテリー(LAMB); 記憶評価臨床―自己評価スケール(MAC-S); 記憶評価スケール(MAS); Randtの記憶テスト;認識記憶テスト(RMT); Rivermeadの行動記憶テスト; Wechslerの記憶スケールのRussellバージョン(RWMS); 記憶と学習のテスト(TOMAL); Vermontの記憶スケール(VMS); Wechslerの記憶スケール;および記憶と学習の広範な評価(WRAML); 姓と名の関係(Youngjohn J.R., ら, Archives of Clinical Neuropsychology 6:287-300(1991)); 名前と顔の関係; Wechslerの記憶スケール改訂版;(Wechsler, D., Wechslerの記憶スケール改訂版手引書, NY, NY, The Psychological Corp.(1987)); California言語学習テスト第二版(Delis, D.C., ら, Californian言語学習テスト, 第二版, 成人版, 手引書, San Antonio, TX: The Psychological Corporation(2000)); 顔認識(試料に対する遅延された非調和);認知薬物研究(CDR) コンピュータ化された評価バッテリー−Wesness; Buschkeの選択的注意テスト(Buschke, H., ら, Neurology 24:1019-1025(1974)); 電話をかけるテスト;および簡単な視空間記憶テスト改訂版の1つ以上によって評価した場合に統計学的に有意な量だけ患者において長期記憶を増強させるのに十分な量で提供された、1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。
ある態様において、医薬組成物は、Rey聴覚性言語学習試験(RAVLT)などの単語想起テストによって評価した場合に統計学的に有意な量だけ患者において長期記憶を増強させるのに十分な量で提供された、1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。
ある態様において、医薬組成物は、サッカラート、硫酸塩またはアスパラギン酸塩の形態で提供された1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とする。
キット、製剤、組成物および方法の他の態様において、本発明はさらに、患者において長期記憶を増強するが、CNSの刺激物としてのそのEC50よりも低い患者における濃度をもたらすのに十分な量にて、単一の経口投与処方として提供されたアンフェタミン化合物を特徴とする。
キット、製剤、組成物および方法の他の態様において、本発明はさらに、記憶障害(記憶の固定における障害、短期記憶における障害、作動記憶における障害)を治療および/または予防するために提供されるアンフェタミン化合物を特徴とし、ここで該記憶障害は、毒物曝露、脳損傷、脳動脈瘤、パ−キンソン病、頭部外傷、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、脳卒中、精神分裂病、癲癇、精神遅滞、アルツハイマー病、年齢、加齢による記憶障害、軽度の認知障害、注意欠損障害、注意欠損過活動性障害、多発性硬化症、前交通動脈症候群またはAIDS関連痴呆症、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、外傷性脳損傷、または化学療法に関連する、不安、鬱病、加齢による記憶障害、最小の認知障害、健忘症、痴呆症、学習障害、記憶障害の1つ以上から生じる。
なお別の態様において、本発明は、記憶における障害(記憶の固定における障害、短期記憶における障害、作動記憶における障害)を有する閉経前、閉経期、または閉経後の女性を本発明のアンフェタミン化合物(l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)で治療する方法である。本発明のアンフェタミン化合物は、他の化合物、薬物または薬剤と同時にまたは順次に閉経前、閉経期または閉経後の女性に投与され得る。例えば、アンフェタミン化合物は、ステロイドホルモン置換療法および/または鬱病の治療(例えば、シタロプラム(Cipramil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、フルボキサミン(Faverin(登録商標))、パロキセチン(Seroxat(登録商標))、およびセルトラリン(Lustral(登録商標))などの選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を受けている閉経前、閉経期または閉経後の女性に投与され得る。
キット、製剤、組成物および方法の他の態様において、本発明はさらに正常個体において記憶を増強するために提供されたアンフェタミン化合物を特徴とする。
キット、製剤、組成物および方法のある好ましい態様において、本発明は1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とし、該アンフェタミン化合物は(R)−(−)−アンフェタミンである。
キット、製剤、組成物および方法のある好ましい態様において、本発明は、1つ以上のアンフェタミン化合物を特徴とし、該アンフェタミン化合物は(R)−(−)−メタンフェタミンである。
キット、製剤、組成物および方法のある態様において、本発明は、少なくとも約2.5 mgから約25 mg、約50 mg、約75 mg、約100 mgまたは約125 mgのアンフェタミン化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)および薬学的に許容され得る担体の単一の経口投与処方を特徴とする。
別の態様において、単一の投与処方は少なくとも約0.001 mg、約0.01 mg、約0.1 mg、約1 mg、約2 mg、約2.5 mg、約5 mg、約10 mg、約15 mg、約20 mg、約25 mg、約30 mg、約35 mg、約40 mg、約45 mg、約50 mg、約55 mg、約60 mg、約75 mg、約80 mg、約85 mg、約90 mg、約95 mg、約100 mg、約125 mg、約150 mg、約200 mg、約300 mg、約400 mg、約500 mg、約750 mg、または約1000 mgのアンフェタミン化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)である。特定の態様において、アンフェタミン化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)の用量は約5 mg用量と約50 mg用量の間;または1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間;または約1 mgから約100 mg用量の間;または約1 mgから約150 mg用量の間である。
なお別の態様において、本発明の方法はアンフェタミン化合物の複数用量を使用する。複数用量の各用量は少なくとも約0.001 mg、約0.01 mg、約0.1 mg、約1 mg、約2.5 mg、約5 mg、約10 mg、約15 mg、約20 mg、約25 mg、約30 mg、約35 mg、約40 mg、約45 mg、約50 mg、約55 mg、約60 mg、約75 mg、約80 mg、約85 mg、約90 mg、約95 mg、約100 mg、約125 mg、約150 mg、約200 mg、約300 mg、約400 mg、約500 mg、約750 mgまたは約1000 mgのアンフェタミン化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)である。複数用量は1日、数日、1週間、数週間、1ヶ月、数ヶ月または数年間の間投与され得る。
本発明のアンフェタミン化合物は急性(一時的にまたは短期間)または慢性的に(延長してまたは長期)ヒトへ投与され得る。例えば、本発明のアンフェタミン化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)は、アンフェタミンをヒトに1日1回、1日に複数回(例えば、2、3、4)、1日、数日、1週間、数週間、1ヶ月、数ヶ月または数年間投与することによってヒトを治療する方法で使用され得る。
キット、製剤、組成物および方法のなお別の態様において、本発明は、約0.001 mgから約125 mgの間;約0.001 mgから約250 mgの間;約0.001 mgから約500 mgの間;または約0.01 mgから約125 mgの間;または約0.1 mgから約125 mgの間;または約1 mgから約125 mgの間;または約1 mgから約250 mgの間;または約1 mgから約500 mgの間;または約1 mgから約1000 mgの間;または約2.5 mgから約25 mgの間、約50 mg、約75 mg、約100 mgまたは約125 mgのアンフェタミン化合物(l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522)のユートマー、および任意に、薬学的に許容され得る担体の単一の経口投与処方を特徴とする。
さらなる態様において、本発明の方法は、約0.001 mgから約500 mgの間のアンフェタミン化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)の複数用量を使用し、ここで該アンフェタミン化合物の複数用量の各々は約0.001 mgから約125 mgの間;または約0.001 mgから約250 mgの間;または約0.001 mgから約500 mgの間;または約0.01 mgから約125 mgの間;または約0.01 mgから約500 mgの間;または約0.1 mgから約125 mgの間;または約1 mgから約125 mgの間;または約1 mgと約100 mgの間;または約1 mgから約150 mg用量の間;または約1 mgと約500 mgの間;約5 mgと約50 mgの間;約2 mgと60 mgの間約2.5 mgから約25 mgの間、約50 mg、約75 mg、約100 mg、約125 mg、約250 mg、約500 mg、約750 mg、約1000 mgのアンフェタミン化合物(l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)のユートマー、および任意に、薬学的に許容され得る担体である。
さらなる態様において、本発明の方法は、1日当たり約0.0015 mg/kgから約2 mg/kgの間;約0.015 mg/kgから約2 mg/kgの間;または約0.07 mgから約0.7 mgまたは約0.14 mgから約0.7 mgの間;または約0.03 mgから約1.0 mgのアンフェタミン化合物(l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)の単一用量を使用する。
なお別の態様において、本発明の方法は約0.04 mg/kg、約0.07 mg/kg、約0.15 mg/kg、約0.20 mg/kg、約0.40 mg/kg、約0.65 mg/kg、約1 mg/kg、約1.50 mg/kg、約1.80 mg/kgまたは約3.5 mg/kgのl−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HClの単一用量を使用する。
さらなる態様において、本発明の方法はアンフェタミン化合物(l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)の複数用量を使用し、ここで該複数用量の各用量は約0.0015 mg/kgから約2 mg/kgの間;または約0.015 mg/kgから約2 mg/kgの間である。
なお別の態様において、本発明の方法は複数用量を使用し、ここで該複数用量の各用量は約0.04 mg/kg、約0.07 mg/kg、約0.15 mg/kg、約0.20 mg/kg、約0.40 mg/kg、約0.65 mg/kg、約1 mg/kg、約1.50 mg/kg、約1.80 mg/kgまたは約3.5 mg/kgのl−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HClである。
アンフェタミンが単一用量で投与されるか複数用量で投与されるかにかかわらず、本発明の方法で使用されるアンフェタミン化合物(l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl)の累積用量は約0.2 mgから約250 mgの間;または約1 mgから約1250 mgの間のアンフェタミン化合物である。特定の態様において、累積用量は約2 mg、約10 mg、約20 mg、約30 mg、約50 mg、約60 mg、約90 mg、約100 mg、約150 mg、約200 mg、約250 mg、約450 mg、約750 mg、約1000 mg、約1250 mg、約2500 mgまたは約5000 mgである。
ある態様において、本発明は、動物において記憶を増強する方法,動物(ヒト)において長期記憶を増強するか記憶の固定を改善するのに十分な量でアンフェタミン化合物の組成物を動物に投与することを含む記憶の固定における障害もしくは短期記憶における障害もしくは作動記憶における障害を有するヒトを治療する方法を特徴とし、ここで該組成物は、アンフェタミンのジストーマーに対して少なくとも約51パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約60パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約75パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約80パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約85パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約95パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約99パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のユートマーまたはそのアンフェタミン化合物のジストーマーに対して約100%(w/wまたはモルパーセント)の、式I:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素、または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイル、およびスルホンアミドよりなる群から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す)
によって表される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、代謝産物もしくはプロドラッグを含む。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在は水素または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素またはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、および低級アルキルから選択される、それが結合した環上の1から2の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも2つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在が独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
最も好ましい態様においては、R1は、独立してかつ各存在につき、水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は、独立してかつ各存在につき、水素を表す。
ある態様において、本発明は、動物(ヒト)において長期記憶を増強するか記憶の固定を改善するのに十分な量でアンフェタミン化合物の組成物を動物に投与することを含み、ここで該組成物はアンフェタミン化合物のジストーマーに対して少なくとも約51パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約60パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約75パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約80パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約85パーセント(w/wはもしくはモルパーセント)、約95パーセント(w/wもしくはモルパ−セン)、または約99パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のユ−トマ−を含み、ここで該アンフェタミン化合物は式II:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイル、およびスルホンアミドよりなる群から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表し;ならびに
Lは非毒性の有機または無機酸である)
によって表される薬学的に許容され得る塩である、動物において長期記憶を増強する方法または記憶の固定に障害を有するヒトを治療する方法を特徴とする。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在は水素、または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素またはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、および低級アルキルから選択される、それが結合する環上の1から2の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも2つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在は独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
最も好ましい態様において、R1は、独立してかつ各存在につき、水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は独立してかつ各存在につき、水素を表す。
ある態様において、本発明は、動物(ヒト)において長期記憶を増強するか記憶の固定を改善するのに十分な量でアンフェタミン化合物の組成物を動物に投与することを含み、ここで該組成物はアンフェタミン化合物のジストーマーに対して少なくとも約51パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約60パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約75パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約80パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約85パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約95パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、または約99パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のユートマーを含み、ここで該アンフェタミン化合物は式III:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、例えば、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイルおよびスルホンアミドから選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表し;
R5は、各存在につき独立して、水素またはヒドロキシを表す)
によって表されるアンフェタミン代謝産物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、またはプロドラックである、動物において記憶を増強する方法または記憶の固定に障害を有するヒトを治療する方法を特徴とする。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在は水素または低級アルキルを表し;R2は水素または低級アルキルを表し、R3は水素または低級アルキルを表し、R4は水素またはハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロおよび低級アルキルから選択される、それが結合した環上の1から2の置換基を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも2つは水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の双方の存在は独立して水素を表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
ある好ましい態様において、R1の1つの存在は水素を表し、R1の第二の存在はメチルを表し、R2はメチルを表し、R3は水素を表し、R4は水素を表す。
最も好ましい態様において、R1は、独立してかつ各存在につき水素を表し、R2はメチルを表し、R3およびR4は、独立してかつ各存在につき、水素を表す。
ある態様において、本発明は、例えば、本明細書中に記載し、好ましくは患者(好ましくはヒト)において記憶を増強するための単一の経口投与形態でまたは経皮パッチとして記憶を増強させるための処方の使用、ならびに任意に、起こりうる副作用および薬物−薬物または薬物−食品の相互作用の警告を記載する使用説明書(書面および/または絵入り)と組み合わせて提供された、アンフェタミン化合物の処方を含むキットを特徴とする。
本発明の別の側面は、(a)本発明のキット、製剤および組成物を製造すること;ならびに(b)治療された患者の記憶を増強するために本発明のキット、製剤および組成物を用いる利点をヘルスケア提供者に市販することを含む、医薬ビジネスを行う方法に関する。
本発明の別の側面は(a)本発明のキット、製剤および組成物を販売するための流通ネットワークを提供すること;ならびに、(b)治療された患者の記憶を増強するための本発明のキット、製剤および組成物を用いるために指示材料を患者または医師に提供することを含む、医薬ビジネスを行う方法に関する。
本発明のなお別の側面は、(a)患者のクラスにおいて記憶機能を増強させるためにアンフェタミン化合物の適宜の投薬量を決定すること;(b)動物における有効性および毒性につき、工程(a)で同定されたアンフェタミン化合物の1つ以上の処方の治療プロファイリングを行うこと;ならびに(c)許容され得る治療プロファイルを有するものとして、工程(b)で同定された処方を販売するための流通ネットワークを提供することを含む、医薬ビジネスを行う方法に関する。
例えば、本ビジネス方法は、製剤をヘルスケア提供者に市販するためのセールスグループを提供するさらなる工程を含み得る。
本発明の別の側面は、(a)患者のクラスにおいて記憶機能を増強させるためにアンフェタミン化合物の適宜の投薬量を決定すること;ならびに(b)第三者に、記憶を増強させるためのアンフェタミン化合物のさらなる開発および販売の権利の使用を許可することを含む、医薬ビジネスを行う方法に関する。
該方法のある態様において、患者のクラスは記憶障害を患っている。該方法の好ましい態様において、記憶障害は、毒物曝露、脳損傷、脳動脈瘤、パーキンソン病、頭部外傷、ハンチントン病、ピック病、クロイツェルフェルト−ヤコブ病、脳卒中、精神分裂病、癲癇、精神遅滞、アルツハイマー病、年齢、加齢による記憶障害、軽度の認知障害、注意欠損障害、注意欠損過活動性障害、多発性硬化症、前交通動脈症候群、AIDS関連痴呆症、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、外傷性脳損傷、化学療法に関連する、不安、鬱病、加齢による記憶障害、最小の認知障害、健忘症、痴呆症、学習障害、記憶障害の1つ以上から生じずる。該方法の他の好ましい態様において、患者のクラスは正常な個体である。
本発明の別の側面は、式I:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイルおよびスルホンアミドよりなる群から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す)
によって表されるアンフェタミン化合物のユートマー、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、代謝産物またはプロドラッグを25mg以下の量で含む固体の投与形態を特徴とする。
本発明の別の側面は、例えば、式II:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素または置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイルおよびスルホンアミドよりなる群から選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表し;ならびに
Lは非毒性の有機または無機酸である)
によって表される本発明の方法で使用されるアンフェタミン化合物のユートマーの薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、代謝産物またはプロドラッグを25mg以下の量で含む固体の投与形態を特徴とする。
本発明の別の側面は、式III:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は、水素または例えば、任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどの1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、もしくはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホン酸エステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイルおよびスルホンアミドから選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表し;
R5は、各存在につき独立して、水素またはヒドロキシを表す)
によって表されるアンフェタミン代謝産物のユートマー、その溶媒和物またはプロドラッグを約25mg以下の量で含む固体の投与形態を特徴とする。
別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをヒトに投与することを含み、該アンフェタミンは、アンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、ここで該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−アンフェタミンである、ヒトにおいて軽度の認知障害を治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをヒトに投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて軽度の認知障害を治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをヒトに投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−アンフェタミンであり、該アンフェタミンは1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間の用量で投与される、ヒトにおいて軽度の認知障害を治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをヒトに経口投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約95モルパーセントはl−アンフェタミンであり、該アンフェタミンは1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間の用量で投与される、ヒトにおいて軽度の認知障害を治療する方法である。
本発明の別の態様は、有効量のメタンフェタミンをヒトに投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該メタンフェタミンは1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間の用量で投与される、ヒトにおいて軽度の認知障害を治療する方法である。
本発明のさらなる態様は、有効量のメタンフェタミンをヒトに経口投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約95モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該メタンフェタミンは1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間の用量で投与される、ヒトにおいて軽度の認知障害を治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをヒトに投与することを含み、該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−アンフェタミンである、ヒトにおいてアルツハイマー病を治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをヒトに投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンである、ヒトにおいてアルツハイマー病を治療する方法である。
本発明の更なる態様は、有効量のアンフェタミンをヒトに投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−アンフェタミンであり、該アンフェタミンは1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間の用量で投与される、ヒトにおいてアルツハイマー病を治療する方法である。
本発明の別の態様は、有効量のアンフェタミンをヒトに経口投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約95モルパーセントはl−アンフェタミンであり、該アンフェタミンは1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間の用量で投与される、ヒトにおいてアルツハイマー病を治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをヒトに投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該メタンフェタミンは1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間の用量で投与される、ヒトにおいてアルツハイマー病を治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをヒトに経口投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約95モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該メタンフェタミンは1日当たり約2 mg用量と約60 mg用量の間の用量で投与される、ヒトにおいてアルツハイマー病を治療する方法である。
本発明の別の態様は、有効量のアンフェタミンをヒトに経口投与することを含み、ここで該アンフェタミンは組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約95モルパーセントのl−アンフェタミンである、ヒトにおいて軽度の認知障害を治療する方法である。
なおさらなる態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをヒトに経口投与することを含み、ここで該メタンフェタミンは組成物の総メタンフェタミン含有量に対して少なくとも約95モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいて軽度の認知障害を治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをヒトに経口投与することを含み、ここで該アンフェタミンは組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約95モルパーセントのl−アンフェタミンである、ヒトにおいてアルツハイマー病を治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをヒトに経口投与することを含み、ここで該メタンフェタミンは組成物の総メタンフェタミン含有量に対して少なくとも約95モルパーセントのl−メタンフェタミンである、ヒトにおいてアルツハイマー病を治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を多発性硬化症に関連する記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶障害についてヒトを治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を多発性硬化症に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を脳動脈瘤に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を精神遅滞に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンを軽度の認知障害に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントがl−アンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法を含む。
なお別の態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンを軽度の認知障害に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンを軽度の認知障害に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−アンフェタミンであり、該アンフェタミンは1日当たり約1 mg用量と約150 mg用量の間の用量で投与され、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法を含む。
さらなる態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンを軽度の認知障害に関連する認知機能の障害を有するヒトに経口投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−アンフェタミンであり、該アンフェタミンは1日当たり約1 mg用量と約150 mg用量の間の用量で投与され、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンを軽度の認知障害に関連する認知機能の障害を有するヒトに経口投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミンの少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該メタンフェタミンは1日当たり約1 mg用量と約150 mg用量の間の用量で投与され、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをアルツハイマー病に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをアルツハイマー病に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをアルツハイマー病に関連する認知機能の障害を有するヒトに経口投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約95モルパーセントはl−アンフェタミンであり、該アンフェタミンは1日当たり約1 mgと約150 mg用量の間の用量にて投与され、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをアルツハイマー病に関連する認知機能の障害を有するヒトに経口投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、該組成物の総メタンフェタミンおよびアンフェタミン含有量の少なくとも約95モルパーセントはl−メタンフェタミンであり、該メタンフェタミンは1日当たり少なくとも約1 mgと約150 mg用量の用量にて投与され、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンを軽度の認知障害に関連する認知機能の障害を有するヒトに経口投与することを含み、ここで該組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約95モルパーセントのl−アンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習において障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンを軽度の認知障害に関連する認知機能の障害を有するヒトに経口投与することを含み、ここで該メタンフェタミンは組成物の総メタンフェタミン含有量に対して少なくとも約95モルパーセントのl−メタンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習に障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをアルツハイマー病に関連する認知機能の障害を有するヒトに経口投与することを含み、ここで該アンフェタミンは組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約95モルパーセントのl−アンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをアルツハイマー病に関連する認知機能の障害を有するヒトに経口投与することを含み、ここで該メタンフェタミンは組成物の総メタンフェタミン含有量に対して少なくとも約95モルパーセントのl−メタンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を多発性硬化症に関連する記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶障害についてヒトを治療する方法である。
別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を多発性硬化症に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、脳動脈瘤に関連する認知機能の障害を有するヒトにl−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせからなる群から選択されたアンフェタミン組成物を投与することを含み、ここで該ヒトは記憶、注意および学習における障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
なお別の態様において、本発明は、精神遅滞に関連する認知機能の障害を有するヒトにl−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を投与することを含み、ここで該障害は記憶、注意および学習における障害ではない、ヒトにおいて認知機能における障害を治療する方法である。
別の態様において、本発明は、有効量のアンフェタミンをパーキンソン病に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該アンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、ここで該組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−アンフェタミンであり、ヒトは記憶、注意および学習において障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、有効量のメタンフェタミンをパーキンソン病に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該メタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、ここで該組成物のアンフェタミン含有量における総メタンフェタミンの少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンであって、ここでヒトは記憶、注意および学習に障害を有さない認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を慢性疲労症候群に関連する記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶障害についてヒトを治療する方法である。
別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を慢性疲労症候群に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を線維筋痛症候群に関連する記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶障害についてヒトを治療する方法である。
本発明のさらなる態様は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を線維筋痛症候群に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせを化学療法処置に関連する記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶障害についてヒトを治療する方法である。
さらなる態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を脳損傷に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここでヒトは記憶、注意および学習において障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
さらに別の態様において、本発明は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択されるアンフェタミン組成物を脳卒中に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここでヒトは記憶、注意および学習において障害を有さない、認知機能における障害についてヒトを治療する方法である。
別の態様において、本発明は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露前、曝露と同時および曝露後よりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストに対する曝露の結果としての記憶障害が少なくとも部分的に減弱される、記憶障害についてヒトを治療する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露の前、曝露と同時および曝露後よりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果としての認知障害が少なくとも部分的に減弱される、認知障害についてヒトを治療する方法を含む。
さらなる態様において、本発明は、アトロピンへのヒトの曝露前、曝露と同時または曝露後よりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、アトロピンへの曝露の結果としての記憶障害が少なくとも部分的に減弱される、記憶障害についてヒトを治療する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、スコポラミンへのヒトの曝露前、曝露と同時および曝露後よりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、スコポラミンへの曝露の結果としての記憶障害が少なくとも部分的に減弱される、記憶障害についてヒトを治療する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、アトロピンへのヒトの曝露前、曝露と同時および曝露後よりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、アトロピンへの曝露の結果としての認知障害が少なくとも部分的に減弱される、認知障害についてヒトを治療する方法を含む。
さらなる態様において、本発明は、スコポラミンへのヒトの曝露前、曝露と同時および曝露後よりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、スコポラミンへの曝露の結果としての認知障害が少なくとも部分的に減弱される、認知障害についてヒトを治療する方法を含む。
別の態様において、本発明は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露の結果である記憶障害の前、同時および後よりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、記憶障害が少なくとも部分的に減弱される、ヒトを治療する方法を含む。
本発明のさらなる態様は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露の結果である認知障害の前、同時または引き続いて、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、認知障害は少なくとも部分的に減弱される、ヒトを治療する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、アトロピンへのヒトの曝露の結果である記憶障害の前、同時または引き続いて、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、記憶障害が少なくとも部分的に減弱される、ヒトを治療する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、スコポラミンへのヒトの曝露の結果である記憶障害の前、同時または引き続いて、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、記憶障害が少なくとも部分的に減弱される、ヒトを治療する方法を含む。
本発明の実施は、特に指示のない限り、当業者の技能内にある、合成化学、有機化学、無機化学、有機金属化学、医薬化学および行動科学の従来技術を使用する。かかる技術は文献に記載されている。例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms And Structure by J. March (John Wiley and Sons, N.Y., 1992);The Chemist’s Companion;A Handbook Of Practical Data, Techniques, And References by A.J. GordonおよびR. A. Ford(Wiley, NY, 1972);Synthetic Methods Of Organomらlic And Inorganic Chemistry by W. A. HerrmannおよびBrauer (Georg Thieme Verlag, N.Y., 1996); Experimental Organic Chemistry by D. Todd (Prentice-Hall, N. J., 1979); Experimental Organic Chemistry: Standard And Microscale by L. M. Harwood (Blackwell Science, M.A., 1999); Experimental Analysis Of Behavior by I. H. IversenおよびK. A. Lattal (Elsevier, N.Y., 1991); A Practical Guide To Behavioral Research: Tools And Techniques by R. SommerおよびB. Sommer (Oxford University Press, N.Y., 2002); Advances In Drug Discovery Techniques by A. L. Harvey (Chichester, N.Y., 1998); Quantitative Calculations In Pharmaceutical Practice And Research by T. P. Hadjiioannou (VCH, N.Y., 1993); Drug Fate And Metabolism: Methods And Techniques by E. R. GarrettおよびJ. L. Hirtz (M. Dekker, N.Y., 1997); Behavioral Science Techniques: An Annotated Bibliography For Health Professionals by M. K. Tichy (Praeger Publishers, N.Y., 1975)参照。
本明細書中に記載された発明は、認知機能(例えば、注意、遂行機能、反応時間、学習情報処理、概念化、問題解決、言語の流暢さ)および記憶(例えば、記憶の固定、短期記憶、作動記憶、長期記憶、陳述記憶または手続き記憶)において障害を有するヒトを治療する方法を提供する。特許請求された発明の利点として、例えば、特に、長期間の状態または疾患を有した個体において、かつ臨床的管理戦略が実行するのが困難である場合、コスト的に有利で、かつ重篤な副作用無くして、認知機能または記憶において障害を罹ったヒトの治療が挙げられる。特に重要なもののうちには、習慣性かつ影響が強い副作用がかなり望ましくない、長期治療を必要とする疾患がある。特許請求する方法は、ヒトにおいて(本明細書中では「認知」ともいう)認知機能および記憶における障害を治療し、およびこの障害の重症度を低下させる有効な方法を提供する。
また、本明細書中に記載する発明は、認知機能における障害(例えば、注意における障害、用心深さにおける障害、覚醒における障害、および喚起における障害、遂行機能における障害、反応時間における障害、警戒における障害、情報処理における障害、概念化における障害、問題解決における障害、言語の流暢さにおける障害)および/または記憶プロセスにおける障害(例えば、記憶の固定における障害、短期記憶における障害、作動記憶における障害、陳述記憶における障害、手続き記憶における障害)を有する個体、特にヒト個体を治療する方法を提供する。この個体はムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果として認知または記憶プロセスに障害を有し得る。特許請求した方法は、例えば、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果として、または軽度認知障害、アルツハイマー病、多発性硬化症、精神遅滞、脳動脈瘤、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、化学療法、外傷性脳損傷、脳卒中またはパーキンソン病に関連するものとしての、ヒトにおける認知および記憶プロセスでの障害の開始または重症度を妨げ、低下させ、排除し、減弱させ、最小化し、または逆行させることによってヒトを治療する有効な方法を提供する。
加えて、本明細書中に記載した発明は、記憶または認知機能において障害を有さない被験体(本明細書中では「正常」被験体ともいう)において記憶および認知を向上する方法を提供する。
かくして、l−アンフェタミン(例えば、C105)またはl−メタンフェタミン(例えば、SN522、SN522−HCl)を用いた治療は認知および記憶における障害の進行を停止させ、逆行させまたは弱めることができ、それにより、中毒性、血圧および心拍の変化のような不都合な副作用無くして生活の質を向上させる。加えて、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーでの治療は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果としての認知および記憶プロセスでの障害の開始または進行を潜在的に妨げ、停止させ、逆行させ、減少させ、減弱させ、または最小化し、それにより、認知および記憶プロセスを実行し、形成し、維持する能力を増大させることができ、これは生活の質を向上させることができる。
任意に、同時係属米国特許出願第10/003,740号(公開番号:20020115725)および/または第10/139,606号(公開番号:20030119884)、および/または特許協力条約(PCT)出願番号:PCT/US01/45793(公開番号:WO 02/39998)および/またはそれに由来するいずれかの国内または地域的特許出願に開示されおよび/または特許請求されている方法、キット、組成物または他の対象は本発明の特許請求の範囲から排除される。例えば、米国特許出願第10/003,740号、および/または第10/139,606号、および/またはPCT/US01/45793に開示され、特許請求された状態または疾患についての記憶の固定、短期記憶、長期記憶、注意、学習および不安を治療する方法は、任意に、本発明における方法特許請求の範囲から排除される。米国特許出願第10/003,740号および/または第10/139,606号および/またはPCT/US01/45793および/またはそれに由来するいずれかの国内または地域的特許出願に開示されておらず、かつ/または特許請求されていない方法、キット、組成物または他の対象は本発明の特許請求の範囲から排除されない。
発明の詳細な説明
さて、本発明の工程としての、または本発明の部分の組み合わせとしての、本発明の特徴および他の詳細をより詳しく記載し、請求項において指摘する。本発明の特定の態様は説明として示し、発明を限定するものではないことが理解されよう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく種々の態様で使用することができる。
本発明は、アンフェタミンクラスの化合物(本明細書中では、集合的に「アンフェタミン化合物」という)を用いて認知または記憶機能および性能を増強させかつ/または回復させて、例えば、動物被験体において注意、遂行機能、反応時間、学習、短期記憶、作動記憶、長期記憶、陳述記憶または手続き記憶を改善することができるという発見に関する。さらに詳しくは、本発明は、アンフェタミン化合物の特定の立体異性体が治療的使用で最も効果的であるという発見に関する。本発明のアンフェタミン化合物(例えば、R−(−)−アンフェタミンおよびR−(−)−メタンフェタミン)はヒトにおいて認知プロセスおよび記憶(例えば、記憶の固定、長期記憶における新しい情報を貯蔵するプロセス)を改善する。
さらに、本発明は、アンフェタミン化合物を用いて、動物被験体において、注意持続期間、集中、遂行機能、反応時間または学習等の認知プロセスを増強しかつ/または回復させることができるという発見に関する。この化合物は正常個体の注意持続期間を向上し、ならびに注意持続期間および/または集中における欠損によって特徴付けられる個体(例えば、注意欠陥障害と診断された個体)の注意持続期間を改善するのに有用であり得る。注意深さの欠如は新しい情報を処理することの失敗に導きかねず、従って、かかる新しい情報を記憶に委ねる。また、集中の欠如は、以前に処理した情報を後に想起することにおける困難性に導きかねない。かくして、注意深さおよび/または集中の欠損は学習および記憶に影響し得る。記憶および学習の困難性に加えて、用心深さの欠如は多くの他の否定的な社会的結果および行動的結果を有する。従って、本アンフェタミン化合物を用いて、記憶、学習、注意深さまたは集中の少なくとも1つを増強させかつ/または回復させることができる。
特定の態様において、l−アンフェタミンまたはl−メタンフェタミンの組成物を用いて、アルツハイマー病または軽度認知障害を有するヒトにおいて認知および記憶プロセスにおける障害を治療する。
アンフェタミンは、血圧を軽く増加させ、食欲を減少させ得る神経系覚醒剤である。アンフェタミンの乱用は、依存性および恐らくは誘導された精神病を含めたひどい副作用を引き起こすことが示されている。アンフェタミンはアクテドロン;アクテミン;アデラル;アジパン;アケドロン;アロデン;アルファ‐メチル‐(±)‐ベンゼンエタンアミン;アルファ−メチルベンゼンエタンアミン;アルファ−メチルフェネチルアミン;アンフェタミン;アンフェート;アノレキシン;ベンゼバール;ベンゼドリン;ベンジルメチルカルビナミン;ベンゾロン;ベータミノプロピルベンゼン;ベータ−フェニルイソプロピルアミン;ビフェタミン;デスオキシノルエフェドリン;ジエタミン;DL−アンフェタミン;エラストノン;フェノプロミン;フィナム;イソアミン;イソミン;メコドリン;モノフォス;ミドリアル;ノルエフェドラン;ノビドリン;オベシン;オベシン;オベトロール;オクテドリン;オクテドリン;フェナミン;フェネドリン;フェネチルアミン、アルファ‐メチル‐;ペルコモン;プロファミナ;プロフェタミン;プロピサミン;ラセフェン;ラフェタミン;リナラト−ル;シンパミン;シンパテドリン;シンパチナ;シンパテドリン;およびウェッカミンと同義語である。
本発明では、部分的には、アンフェタミン化合物のユートマーが強化されたアンフェタミン組成物の使用が考えられる。特に、ヒトにおける記憶の固定を改善するための医薬製剤の使用は(R)−(−)−アンフェタミンまたはその誘導体を含む。(R)−(−)−アンフェタミン(l−アンフェタミン、レボ−アンフェタミン、C105)は、アンフェタミンの(S)−(+)エナンチオマー(d−アンフェタミン、デキソ−アンフェタミン)の用量の1/4の用量にて効果的である。加えて、(S)−(+)−アンフェタミンとは異なり、(R)−(−)−エナンチオマーは、習慣性があるとは示されておらず、活性を増大させる、血圧を増加させるまたは心拍を増加させるような望ましくない副作用を生じない。
特定の態様においては、本化合物のエナンチオマーの混合物、例えば、選択された化合物の双方のエナンチオマーを含有するラセミ混合物を使用することができ、例えば、各エナンチオマーは、等しい量で、または異なる量で存在する。特定の態様において、治療的製剤は本化合物の大部分が1つのエナンチオマーを提供するように強化することができる。1つの態様において、エナンチオマー的に強化した混合物はd−アンフェタミンに対して少なくとも約51w/wもしくはモルパーセント、約60w/wもしくはモルパーセント、約75w/wもしくはモルパーセント、約80w/wもしくはモルパーセント、約85w/wもしくはモルパーセント、約90w/wもしくはモルパーセント、約95w/wもしくはモルパーセントまたは約99w/wもしくはモルパーセントのl−アンフェタミンであるアンフェタミン化合物含むことができる。別の態様において、該方法で使用するアンフェタミン化合物は約100w/wもしくはモルパーセントのl−アンフェタミンである。好ましい態様において、処方で提供されるアンフェタミン化合物はアンフェタミン化合物のジストーマーに対して少なくとも約60パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のユートマーであり、より好ましくは少なくとも約75w/wもしくはモルパーセント、約80w/wもしくはモルパーセント、約85w/wもしくはモルパーセント、約90w/wもしくはモルパーセント、約95w/wもしくはモルパーセント、または約99w/wもしくはモルパーセントである。さらに、本発明は、注意持続期間および/または集中を増強し、または回復するために本化合物を用いることに基づく。注意持続期間に対する本化合物の効果は、情報を処理および/または想起する能力に対して二次的な結果を有することができ、従って、記憶および/または学習を増強することもできる。
また、アンフェタミン化合物は医薬塩の形態で、およびプロドラッグとして提供することもできる。
特定の態様において、この方法は、医薬製剤と一緒に、ニューロン成長因子、ニューロン生存因子、およびニューロン栄養因子の1つ以上を投与することを含む。加えて、あるいは別法として、本化合物はコリン作動性、アドレナリン作動性、非アドレナリン作動性、ドーパミン作動性、またはグルタミン作動性モジュレータと組み合わせて投与することができる。GABA、NMDA、カンナビノイド、AMPA、カイネート、ホスホジエステラーゼ(PDE)、PKA、PKC、CREBまたは向知性薬系を変調するように向けられた他の剤は認知機能の改善で重要であり得、本化合物と組み合わせて投与することができる。本化合物と共に投与される薬剤は、単一の医薬製剤として、例えば、双方の薬剤を含む丸剤または他の医薬として本化合物と一緒に処方することができ、あるいは別の医薬製剤として投与することができる。
別の側面において、本発明は、有効成分として、R−(−)アンフェタミンまたはその誘導体のエナンチオマー的に強化された調製品を含む医薬製剤を提供する。アンフェタミン化合物は、動物において記憶の固定を改善するのに十分な量で処方される。製剤および方法は、ヒトおよび/または動物被験体に有効なアンフェタミン化合物を用いる治療であり得る。ヒトに加えて、本発明を適用できる他の動物は、ペットとして、または商業的目的で育てた、愛玩動物および家畜双方まで拡大される。その例はイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタおよびヤギである。
本発明のさらに別の側面は、動物において学習および/または記憶欠陥の重症度を軽減し、またはこの欠陥が起こるのを予防的に妨げ、かくして、動物の学習能力および/または記憶容量を変化させるためのアンフェタミン化合物のエナンチオマー的に強化した製剤の使用に関する。その結果、本発明の化合物は、例えば、毒物曝露、脳損傷、脳動脈瘤、加齢による記憶障害、軽度認知障害、癲癇、子供における精神遅滞、およびパーキンソン病、アルツハイマー病、AIDS、頭部外傷、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、加齢による記憶障害、軽度認知障害、多発性硬化症、前交通動脈症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、化学療法、外傷性脳損傷、脳卒中またはパーキンソン病のような病気に由来する痴呆症による記憶障害を治療および/または予防するのに有用であろう。加えて、本発明の化合物は正常な個体において記憶を増強するのに有用であり得る。
また、本発明は、PKCおよび/またはPKA経路を模倣し、または刺激する薬剤とアンフェタミン化合物との併用に関する。
別の態様において、本発明は認知プロセスにおける障害を治療する方法である。認知は、本明細書中においては、認知プロセスまたは認知機能ともいう。標準的な認知テスト基準を用い、当業者であれば、個体
が認知プロセスで障害を有するか否か、認知障害の程度、および本明細書中に記載した方法による治療後の認知における改善を測定することができよう。
認知プロセスにおける障害は軽度認知障害、アルツハイマー病、多発性硬化症、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、化学療法、外傷性脳損傷、脳卒中またはパーキンソン病を有するヒトにおけるものであり得る。別の態様において、本発明の方法は、脳動脈瘤(例えば、前交通動脈脳動脈瘤)に関連した認知機能において障害を有するヒト、または精神遅滞に関連した認知機能における障害を有するヒトにおいて認知機能を改善するのに使用される。
本明細書中に記載された方法によって治療される認知機能における障害は、利用可能な感覚または影響的刺激、所定の時間における集中で最も適切または望ましい刺激の全体性を選択する容量またはプロセスである注意における障害であり得る(Kinchla, R. A., ら, Annu.Rev.Psychol.43:711−742(1992))。認知プロセスにおける障害は、決定を成すこと、計画、イニシアチブ、優先性の割り当て、配列決定、運動制御、情緒調節、阻害、問題解決、計画、衝動制御、目標の確立、行動の結果のモニタリング、および自己修正のような神経心理学的機能である遂行機能における障害であり得る(Elliott, R., Br. Med.Bull.65:49−59(2003))。認知障害は用心深さ、覚醒性、喚起、警戒、および反応時間情報処理、概念化、問題解決および/または言語の流暢さにおける障害であり得る。当業者であれば、個体における認知機能の障害を同定し、評価することができよう。
特定の態様において、認知プロセスにおける障害は、軽度認知障害またはアルツハイマー病を有するヒトにおいて本明細書中に記載した方法によって治療される。
定義
便宜のために、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用されるある用語をここに集める。
本明細書中で用いる場合、用語「アンフェタミン化合物」は、アンフェタミン、アンフェタミンのアナログ、エナンチオマー的にまたは異性体的に強化されたアンフェタミン、およびアンフェタミンのエナンチオマー的にまたは異性体的に強化されたアナログ、ならびにかかる化合物の薬学的に許容され得る塩、およびプロドラッグを含むことを意味する。特に、記憶における障害(記憶の固定における障害、短期記憶における障害、作動記憶における障害)を有するヒトに投与される本発明のアンフェタミン化合物、またはそのアナログは、式、II、III、IV、VおよびVIで与えられる構造を有する化合物を含む。
「l−アンフェタミン」および「d−アンフェタミン」に言及する場合に用いられるような用語「アンフェタミン」は、その塩、酸、エステル、アミド、カルバメート、シッフ塩基、プロドラッグ、およびその他の構造的および機能的誘導体を含めた式VIIを有する化合物を意味する。「アンフェタミン」はアンフェタミンの遊離塩基、塩、酸、エステル、アミド、カルバメート、シッフ塩基、プロドラッグおよび他の構造的および機能的誘導体、またはそのいずれかの組み合わせの形態であり得る。好ましい態様において、アンフェタミンは塩、酸、エステル、アミド、カルバメートおよびシッフ塩基を含めた式VIIによって表される化合物である。別の好ましい態様において、アンフェタミンはその塩および酸を含めた式VIIによって表される化合物である。さらに別の好ましい態様において、アンフェタミンは式VII:
の化合物である。
「l−メタンフェタミン」および「d−メタンフェタミン」に言及する場合に用いられるような用語「メタンフェタミン」は、その塩、酸、エステル、アミド、カルバメート、シッフ塩基、そのプロドラッグおよび他の構造的および機能的誘導体を含めた式VIIIを有する化合物を意味する。「メタンフェタミン」は、メタンフェタミンの遊離塩基、塩、酸、エステル、アミド、カルバメート、シッフ塩基、プロドラッグおよび他の構造的および機能的誘導体、またはそのいずれかの組み合わせの形態であり得る。好ましい態様においては、メタンフェタミンは、塩、酸、エステル、アミド、カルバメートおよびシッフ塩基を含めた式VIIIによって表される化合物である。別の好ましい態様において、メタンフェタミンはその塩および酸を含めた式VIIIによって表される化合物である。さらに別の好ましい態様において、メタンフェタミンは式VIII:
によって表される化合物である。
アンフェタミンのデキストロエナンチオマーは当該分野ではd、(+)、DまたはS異性体といわれ、一般式:
によって表される。
アンフェタミンのレボエナンチオマーは当該分野ではl、(−)、LまたはR異性体といわれ、一般式:
によって表される。
ラセミ混合物はd,lまたは(+,−)または(±)またはDLまたは(R)(S)ということができる。
用語「ED50」は、その最大応答または効果の50%を生じる薬物の用量を意味する。
本治療方法に関する、例えば、アンフェタミン化合物の「有効量」とは、所望の投与方法の一部として適用された場合に、臨床的に許容される標準に従って増強された記憶(記憶の固定、短期記憶、作動記憶、陳述記憶、または手続き記憶)をもたらす医薬製剤における活性剤の量をいう。
用語「LD50」は、テスト被検体の50%において致死的である薬物の用量を意味する。
本方法によって治療される「患者」または「被験体」は、ヒトまたは非ヒト動物いずれかを意味し得る。
用語「プロドラッグ」は、例えば、血液中での加水分解によってインビボにて迅速に本発明の治療的に活性な薬剤に変換される化合物を表す。プロドラッグを作成するための共通した方法は、生理的条件(酵素的または非酵素的)下で変換されて、所望の分子を明らかにする選択された部位を含めることである。徹底的な議論は、共に本明細書中に参照によって援用する、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S. Symposium SeriesおよびEdward B.Roche編,Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に提供される。
用語「治療指標」とは、LD50/ED50と定義される薬物の治療指標をいう。
「経皮パッチ」は、口の内部で見出されるような、粘膜を含めた、皮膚またはいずれかの適当な外部表面を介する薬物の患者への送達が可能なシステムを意味する。かかる送達システムは、一般には、柔軟なバッキング、接着剤および薬物保持マトリックス、接着剤およびマトリックスを保護するバッキング、および患者の皮膚上の全体を保持する接着剤を含む。皮膚との接触に際し、薬物保持マトリックスは薬物を皮膚まで送達し、次いで、薬物は皮膚を通って患者の系に入る。
用語「アドレナリン作動性」とは、アドレナリン(エピネフリン)に化学的に関連した神経伝達物質または神経モジュレータ、またはかかるアドレナリン作動性メディエーターを放出するニューロンをいう。その例はドーパミン、ノルエピネフリン、エピネフリンである。かかる薬剤は、アミノ酸チロシンに由来するカテコールアミンともいう。
用語「生体アミン」はカテコールアミン(例えば、ドーパミン、ノルエピネフリン、およびエピネフリン)およびセロトニンを含む神経伝達物質のクラスをいう。
用語「カテコールアミン」は、カテコール環(例えば、3,4−ジヒドロキシル化ベンゼン環)を有する神経伝達物質をいう。その例はドーパミン、ノルエピネフリン、およびエピネフリンである。
用語「コリン作動性」とは、コリンに化学的に関連する神経伝達物質または神経モジュレータ、またはかかるコリン作動性メディエーターを放出するニューロンをいう。
用語「ドーパミン作動性」とは、ドーパミンに化学的に関連した神経伝達物質または神経モジュレータ、またはかかるドーパミン作動性メディエーターを放出するニューロンをいう。
用語「ドーパミン」とは、当該分野で公知であるようにアドレナリン作動性神経伝達物質をいう。
本明細書中においては、用語「脂肪族基」とは直鎖、分岐鎖、または環状脂肪族炭化水素基をいい、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基のような飽和並びに不飽和の脂肪族基を含む。
用語「アルケニル」および「アルキニル」とは、各々、少なくとも1つの二重または三重結合を含む以外は、前述したアルキルと長さおよび可能な置換が類似した不飽和脂肪族基をいう。
本明細書中で用いる用語「アルコキシル」または「アルコキシ」とは、それに結合した酸素基を有する上で定義したアルキル基をいう。代表的なアルコキシ基としてメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は酸素によって共有結合された2つの炭化水素である。従って、そのアルキルをエーテルとするアルキルの置換は、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH2m−R8(式中、R8はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し;かつmはゼロまたは1から8の範囲の整数である)の1つによって表すことができるようにアルコキシルである、または似ている。
用語「アルキル」とは、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル−置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル−置換アルキル基を含めた飽和脂肪族基の部位をいう。好ましい態様において、直鎖または分岐鎖アルキルはその骨格に8以下、より好ましくは5以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてはC1−C8、分岐鎖についてはC3−C8)。同様に、好ましいシクロアルキルはその環構造に3から10個の炭素原子を有し、より好ましくは、環構造に5、6または7の炭素を有する。
さらに、明細書、実施例および特許請求の範囲を通じて用いられる用語「アルキル」(または「低級アルキル」)は「置換されていないアルキル」および「置換されたアルキル」を共に含むことを意図し、その後者は炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキル基をいう。かかる置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルのような)カルボニル、(チオエステル、チオアセトンまたはチオホルメートのような)チオカルボニル、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族またはヘテロ芳香族基を含むことができる。炭化水素鎖上の置換された基は、もし適切であれば、それ自体置換することができるのは当業者に理解されるであろう。例えば、置換されたアルキルの置換基は、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネートを含む)、およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレートおよびエステルを含む)、−CF3、−CNなどの置換されたおよび置換されていない形態を含むことができる。例示的な置換されたアルキルを以下に記載する。シクロアルキルは、さらに、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル−置換アルキル、−CF3、−CNなどで置換することができる。
炭素の数を特定するのでなければ、本明細書中で用いられる「低級アルキル」は、その骨格構造に1から8の炭素、より好ましくは1から5の炭素原子を有する以外は上で定義したアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は同様な鎖長を有する。本出願を通じて、好ましいアルキル基は低級アルキルである。好ましい態様において、アルキルとして本明細書中で指定した置換基は低級アルキルである。
用語「アルキルチオ」は、それに結合した硫黄基を有する、上で定義したアルキル基をいう。好ましい態様において、「アルキルチオ」基は−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、および−S−(CH2m−R8のうちの1つによって表され、ここでR8はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し; かつmはゼロ、または1から8の範囲の整数である。代表的なアルキルチオ基としてメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
用語「アミン」および「アミノ」は当該分野で認められており、置換されていないおよび置換されたアミン双方、例えば、一般式:
(式中、R9およびR10は、各々、独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2m−R8を表し、あるいはR9およびR10はそれらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4から8の原子を有する複素環を完成し;R8はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し; かつmはゼロ、または1から8の範囲の整数である)
によって表すことができる基をいう。好ましい態様において、R9およびR10は、各々、独立して、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2m−R8を表し、ここでR8はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し; かつmはゼロ、または1から8の範囲の整数である。かくして、本明細書中で用いる用語「アルキルアミン」とは、それに結合した置換されたまたは置換されていないアルキルを有する、上で定義したアミン基を意味し、すなわち、R9およびR10の少なくと別はアルキル基である。
用語「アミド」はアミノ−置換カルボニルとして当該分野で認められており、一般式:
(式中、R9、R10は上で定義した通りである)
によって表すことができる基を含む。アミドの好ましい態様は不安定であり得るイミドを含まないであろう。
本明細書中で用いる用語「アラルキル」とは、アリール基(例えば、芳香族またはヘテロ芳香族基)で置換されたアルキル基をいう。
本明細書中で用いる用語「アリール」はゼロから4のヘテロ原子を含むことができる5および6員の単環芳香族基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどを含む。環構造中にヘテロ原子を有するそれらのアリール基もまた「アリール複素環」、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」ということができる。芳香族環は、上述した置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族基、−CF3、−CNなどで1つ以上の環位置にて置換することができる。用語「アリール」は2以上の炭素が2つの隣接する環で共通する(この環は「融合した環」である)2以上の環を有する多環の環系も含み、ここに、この環の少なくと別は芳香族であり、例えば、他の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリルである。
本明細書中で用いる用語「炭素環」または「環状アルキル」とは、環の各原子が炭素である芳香族または非芳香族環をいう。
用語「カルボニル」は当該分野で認められており、一般式:
(式中、Xは結合であるか、または酸素または硫黄を表し、R11は水素、アルキル、アルケニル、−(CH2m−R8または薬学的に許容され得る金属もしくはアミン作動性対イオンを表し、R’11は水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2m−R8を表し、ここで、R8はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し;かつmはゼロ、または1から8の範囲の整数である)
によって表すことができる基を含む。Xが酸素であって、R11またはR’11が水素でない場合、この式は「エステル」を表す。Xが酸素であって、R11が上で定義した通りである場合、この基は本明細書中ではカルボキシル基をいい、特に、R11が水素である場合、この式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素であって、R’11が水素である場合、この式は「ホルメート」を表す。一般に、上記の式の酸素原子が硫黄によって置き換えられる場合、この式は「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄であって、R11またはR’11が水素でない場合、この式は「チオエステル」を表す。Xが硫黄であって、R11が水素である場合、この式は「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄であって、R’11が水素である場合、この式は「チオホルメート」を表す。他方、Xが結合であって、R11が水素でない場合、上記の式は「ケトン」基を表す。Xが結合であって、R11が水素である場合、上記の式は「アルデヒド」基を表す。
本明細書中で用いる用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外のいずれかの元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素および硫黄である。
用語「ヘテロシクリル」または「複素環基」とはその環構造が1から4のヘテロ原子を含む3から10員環構造、より好ましくは3から7員環をいう。複素環は多環でもあり得る。ヘテロシクリル基として、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンのようなラクタム、スルタム、スルトンなどが挙げられる。複素環は上述した置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族基、−CF3、−CNなどで1つ以上の位置にて置換できる。
用語「代謝産物」とは、患者等の生理学的媒体への化合物の導入に際して生じた活性のある誘導体をいう。本発明の方法で使用されるl−アンフェタミンおよびl−メタンフェタミンはl−デプレニルの投与から得られる代謝産物ではない。l−アンフェタミンまたはl−メタンフェタミンの経口投与は被検体(例えば、ヒト)によるl−アンフェタミンおよび/またはl−メタンフェタミンの摂取を意味し、l−デプレニルのような別の摂取された化合物の代謝産物ではない。認知機能または記憶に障害を持つヒトはアンフェタミンおよび/またはメタンフェタミンで治療され、ここでは、アンフェタミンおよび/またはメタンフェタミンは、組成物中のアンフェタミンおよび/またはメタンフェタミンの総含有量に対してl−アンフェタミンまたはl−メタンフェタミンにつきエナンチオマー的に強化されており、ここでは、l−アンフェタミンおよび/またはl−メタンフェタミンはl−デプレニルとして投与されず、またはヒトにおいてl−デプレニルの代謝の結果ではない。
本明細書中で用いるように、用語「ニトロ」は−NO2を意味し;用語「ハロゲン」は−F、−Cl、−Brまたは−Iを示し;用語「スルフヒドリル」は−SHを意味し;用語「ヒドロキシル」は−OHを意味し;用語「スルホニル」は−SO2−を意味する。
用語「ポリシクリル」または「多環基」とは、2以上の炭素が2つの隣接した環で共通しており、例えば、この環は「融合した環」である2以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)をいう。非隣接原子を通じて接合した環は「架橋した」環という。多環の環の各々は上述した置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族基、−CF3、−CNなどで置換することができる。
本明細書中で用いるフレーズ「保護基」は、潜在的に反応性の官能基を望まない化学的変換から保護する一時的な置換基を意味する。かかる保護基の例として、各々、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、およびアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが挙げられる。保護基の化学の分野はレビューされている(Greene,T.W.; Wuts,P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 第2版;Wiley; New York, 1991)。
本明細書中で用いる場合、用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容され得る置換基を含むと考えられる。広い側面においては、許容され得る置換基として、有機化合物の非環状および環状、分岐鎖および非分岐鎖、炭素環および複素環、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。例示的置換基として、例えば、上述したものが挙げられる。許容され得る置換基は適当な有機化合物のための1つ以上の同一または異なるものであり得る。本発明の目的では、窒素のようなヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子化を満足する本明細書中に記載された有機化合物の水素置換基および/またはいずれかの許容され得る置換基を有することができる。本発明は、有機化合物の許容され得る置換基によって断じて制限される意図のものではない。
「置換」または「で置換された」は、かかる置換は置換された原子および置換基の許容された原子価に従っており、置換の結果、例えば、転位、環化、脱離などによるような変換を自然発生的には受けない安定な化合物をもたらすという暗黙の条件を含むと理解されるであろう。
本明細書中で用いる用語「統計学的に有意な」は、得られた結果が確率の特定のレベルにて機会変動によらないようであることを意味する。有意性の2つの最も普通の特定のレベルは0.05(p=0.05)および0.01(p=0.01)である。0.05および0.01に等しい有意性のレベルは、誤差の確率が、各々、5/100および1/100であることを意味する。
用語「スルファモイル」は当該分野で認められており、一般式:
(式中、R9およびR10は上で定義した通りである)
によって表すことができる基を含む。
用語「スルフェート」は当該分野で認められており、一般式:
(式中、R41は電子対であるか、または金属もしくはアミン作動性対イオン、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールを表す)
によって表すことができる基を含む。
用語「スルホンアミド」は当該分野で認められており、一般式:
(式中、R9およびR’11は上で定義した通りである)
によって表すことができる基を含む。
用語「スルホネート」は当該分野で認められており、一般式:
(式中、R41は電子対であるか、または金属もしくはアミン作動性対イオン、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールを表す)
によって表すことができる基を含む。
本明細書中で用いる用語「スルホキシド」または「スルフィニル」とは、一般式:
(式中、R44は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキルまたはアリールよりなる群から選択される)
によって表すことができる基をいう。
本明細書中で用いる用語「スルホニル」とは、一般式:
(式中、R44は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールよりなる群から選択される)
によって表すことができる基をいう。
類似の置換をアルケニルおよびアルキニル基に対して行って、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル−置換アルケニルまたはアルキニルを生じさせることができる。
本明細書中で用いる場合、各表現、例えば、アルキル、m、nなどの定義は、それがいずれかの構造において1回を超えて起こる場合には、同一構造中の他の箇所でのその定義とは独立していることを意図する。
上述した化合物の考えられる同等物として、そうでなければそれに対応する、およびその同一の一般的特性(例えば、長期記憶を行う能力)を有する化合物が挙げられ、ここに、置換基の1つ以上の単純な変形がなされ、これは、化合物の効率に悪影響を与えない。一般には、本発明の化合物は、容易に入手できる出発物質、試薬および慣用的合成手法を用い、後に記載する方法によって、またはその修飾によって調製することができる。これらの反応において、それ自体が公知であるが、本明細書中では述べていない変種を使用するのも可能である。
本発明の目的では、化学元素は元素の周期表(Periodic Table of the Elements), CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 第67版, 1986−87, 内表紙に従って確認される。また、本発明の目的では、用語「炭化水素」は、少なくとも1つの水素および1つの炭素原子を有する全ての許容され得る化合物を含むと考えられる。広い側面においては、許容され得る炭化水素として、置換または非置換であり得る、非環状および環状、分岐および非分岐、炭素環および複素環の芳香族および非芳香族有機化合物が挙げられる。
本発明の例示的化合物
本発明の好ましい態様において、本明細書中に記載した組成物および方法で有用な化合物は式IX:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、H、あるいは例えば、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどのような1つ以上の置換基によって置換された、置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、H、あるいは例えば、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどのような1つ以上の置換基で置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルを表し;
R3はH、あるいは例えば、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどのような1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は存在しない、あるいは、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホネートエステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイル、スルホンアミド、およびホスホネートなどから選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す)
の構造を有する。
特定の態様において、R1の少なくとも1つの存在は水素を表す。特定の態様において、R1の双方の存在は水素を表す。他の態様において、R1の1つの存在はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどのような低級アルキルを表す。
特定の態様において、R2は水素を表し、他方、他の態様では、R2はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどのような低級アルキルを表す。
特定の態様において、R3は水素を表し、他方、他の態様においては、R3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどのような低級アルキル、ヒドロキシ、アミノまたはカルボニルを表す。
特定の態様において、R4は水素を表し、他方、他の態様においては、R4は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、シアノ、ニトロ、および低級アルキルから選択される、それが結合した環上の1から3の置換基を表す。
特定の態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも一つは水素を表す。特定の態様において、R4は存在せず、R1、R2およびR3の少なくとも2つは水素を表す。特定の態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の少なくとも3つは水素を表す。特定の態様において、R4は水素を表し、R1、R2およびR3の4つ全ては水素を表す。
上述したように、式IXの化合物の特定の態様はアミノまたはアルキルアミノなどのような塩基性官能基を含むことができ、かくして、遊離塩基形態で、または薬学的に許容され得る有機および無機酸に由来する薬学的に許容され得る塩形態で利用することができる。
式IXによって表される本化合物の薬学的に許容され得る塩として、例えば、非毒性有機または無機酸からの化合物の慣用的非毒性塩が挙げられる。例えば、かかる慣用的非毒性塩として塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するもの;および酢酸、2−アセトキシ安息香酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クロロ酢酸、クエン酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、イソチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パルミチン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸などの有機酸から調製された塩が挙げられる。
特に、式IVによって表されるl−アンフェタミンの硫酸塩(C105)、および式Vによって表されるl−メタンフェタミンの塩酸塩(SN522)は本明細書中に記載した方法で使用される。
特定の態様において、かかる塩は、一般式X:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1、R2、R3およびR4は上で定義した通りであり;
Lは非毒性の有機または無機酸である)
によって表される構造を有する。
特定の態様において、Lは以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、および硫酸から、あるいは以下の有機酸:2−アセトキシ安息香酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クロロ酢酸、クエン酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、イソチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パルミチン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸およびトルエンスルホン酸から選択される。
本発明の化合物は、さらに、主題のアンフェタミン化合物の代謝産物を含み、限定されるものではないが、以下の:p−ヒドロキシアンフェタミン、ベンジルメチルケトン、l−フェニルプロパン−2−オール、安息香酸、グリシン、馬尿酸、p−ヒドロキシノルエフェドリン、およびN−ヒドロキシルアンフェタミンを含む。
特定の態様において、これらの代謝産物は一般式XI:
(式中、原子価および安定性が許すように、
R1は、各存在につき独立して、水素、あるいは例えば、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどのような1つ以上の置換基によって置換された、置換されたもしくは置換されていない低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルを表し;
R2は、水素、あるいは例えば、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどのような1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R3は水素、あるいは例えば、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシなどのような1つ以上の置換基によって置換された、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルを表し;
R4は、例えば、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、エステル、ケトン、ホルミル、アミド、アシルアミノ、アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、スルホネートエステル、アミジノ、スルホニル、スルホキシド、スルファモイル、スルホンアミド、およびホスホネートなどから選択された、それが結合した環上の1から3の置換基を表し;
R5は、各存在につき独立して、水素またはヒドロキシを表す)
によって表される構造を有する。
ある態様において、この方法は、医薬製剤と共に、ニューロン成長因子、ニューロン生存因子、およびニューロン栄養因子の1つ以上を投与することを含む。加えて、あるいは別法として、本化合物はコリン作動性、アドレナリン作動性、ノルアドレナリン作動性、ドーパミン作動性、グルタミン作動性または他のモジュレータと組み合わせて投与することができる。GABA、NMDA、カンナビノイド、AMPA、カイネート、ホスホジエステラーゼ(PDE)、PKA、TKC、CREBまたは向神経系を変調するのに向けられた他の薬剤は、認知機能の向上に対して重要であり、本化合物と組み合わせて投与することができる。
本化合物と一緒に投与すべき薬剤は、単一の医薬製剤として、例えば、双方の薬剤を含めた丸剤または他の医薬として本化合物と共に処方することができ、あるいは別々の医薬製剤として投与することができる。
別の側面において、本発明は、有効成分としての、アンフェタミンまたはその誘導体を含む医薬製剤を提供する。本アンフェタミン化合物は、動物において、LTPを改善するのに十分な量にて処方される。本製剤および方法は、ヒトおよび/または動物被験体に効果的なアンフェタミン化合物を用いる処置であり得る。ヒトに加えて、本発明を適用できる他の動物被検体は、ペットとして、または商業的目的で育てた、愛玩動物および家畜双方まで拡大される。その例はイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタおよびヤギである。
本発明のさらに別の側面は、動物において認知、学習および/または記憶の欠陥の重症度を低下させ、またはこの欠陥の出現を予防的に妨げ、かくして、動物の認知、学習能力および/または記憶容量を変化させるためのアンフェタミン化合物の使用に関する。その結果、本発明の化合物は、例えば、毒物曝露、脳損傷、脳動脈瘤、加齢による記憶障害、軽度認知障害、癲癇、多発性硬化症、加齢による記憶障害、軽度認知障害、子供における精神遅滞、およびパーキンソン病、アルツハイマー病、AIDS、頭部外傷、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、前交通動脈症候群、低酸素症、心臓外科手術後、ダウン症候群、脳卒中のような病気に由来する痴呆症による、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果としての、認知障害または記憶障害を治療および/または予防するのに有用であろう。加えて、本発明の化合物は、正常な個体において認知または記憶を増強させるのに有用であり得る。
また、本発明は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストに曝露された個体において認知および記憶プロセスを改善するための、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、(登録商標STRATTERAまたはトモキセチンともいう)アトモキセチンおよび(登録商標PROVIGILともいう)モダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーでの治療に関する。
本明細書中に記載されるように、レボ−アンフェタミンおよびレボ−メタンフェタミンは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果である記憶における障害を低下させることが示されている。具体的には、レボ−アンフェタミンまたはレボ−メタンフェタミンは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果としての新しい長期記憶を形成する能力において障害を有するラットにおいて記憶を改善する。新しい長期記憶を形成する能力は記憶の固定のプロセスである(「Neuroscience: Exploring The Brain」, Bear, M.F.ら, Williams & Wilkins, Baltimore, Maryland, Ch.19,ページ517−545 (1996); McGaugh, J.L. Science 287:248−251 (2000))。
ヒト個体は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニスト(薬剤または薬物)への曝露の結果として認知および記憶プロセスに障害を有し得る。本発明の態様は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストに曝露されるであろうヒトでの記憶または認知における潜在的障害を低下させる方法を含む。本明細書中で用いる記憶または認知における「潜在的」障害とは、ムスカリン性コリン作動性受容体への曝露の結果としてヒトにおいて記憶または認知における低下した容量をもたらす、ヒトにおけるムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストの可能な効果をいう。
ある態様において、本発明は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露の結果である記憶および/または認知障害の前、同時および後よりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、記憶および/または認知障害が少なくとも部分的に減弱されることを含むヒトを治療する方法を含む。
アンフェタミン(例えば、l−アンフェタミン、d−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、d−メタンフェタミンまたはそのいずれかの組み合わせ)、スレオ−メチルフェニデート(例えば、d−スレオ−メチルフェニデート、l−スレオ−メチルフェニデート、またはそのいずれかの組み合わせ)、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモディフィニルは、本明細書中においては、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露の結果としての治療の方法に関して、「化合物」、「本発明の化合物」または「この方法で使用する化合物」という。
本明細書中で用いるように、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の「前」とは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの個体への曝露に先立っての時点(例えば、分、時間、日、週、月)において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与をいう。「先立って」は、「前」と相互交換的に用いる。例えば、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーは、個体がムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストに曝露される数時間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または12時間)、数日(例えば、約1、2、3、4、5、6、7日)または数週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8週)前に投与することができる。
別の態様において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露と同時に(本明細書中では「ほぼ同一時点において」または「の間に」ともいう)投与することができる。
本明細書中で用いる「同時に」とは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトへの曝露と、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの同時または続いてのヒトへの投与をいう。l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーの同時投与およびムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーおよびムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニスト双方を含む単一の処方;をヒトに投与することによって起こり得る。単一処方は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーの同時投与;およびムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露をもたらす。
加えて、あるいは別法として、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーは、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの処方、およびムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストの別の処方の順次の投与によってヒトに同時投与することができる。
l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも一つのメンバーの処方、およびムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストの別の処方の双方は、順次の投与によってヒトに同時投与することができる。この順次の投与は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与、引き続いての、ほぼ同時点でのムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露;あるいはムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストの曝露、引き続いての、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーのほぼ同時点におけるヒトへの投与であり得る。
さらに別の態様において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露の結果である記憶および/または認知の障害に引き続いて投与される。本明細書中で用いる「に引き続いて」とは、ヒトがムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストに曝露された後における、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーのヒトへの投与をいう。例えば、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストの個体への曝露に数時間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または12時間)、数日(例えば、約1、2、3、4、5、6、7日)、数週間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8週間)、数ヶ月(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11ヶ月)または数年(例えば、約1、2、3、4、5年)引き続いて投与することができる。
本発明のアンフェタミンは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの個体の曝露の前、同時または後に、個々に急性に(一時的にまたは短期間)または慢性に(延長されてまたは長期間)投与することができる。
本発明のこの方法で使用される化合物はムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストのヒトへの曝露の前、同時、後、またはそのいずれかの組み合わせ(例えば、前;前および同時;同時;同時および引き続いて;前および引き続いて;引き続いて)に投与することができる。
ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果である記憶および/または認知障害の前、同時および/またはそれに引き続いてのヒトへのl−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの引き続いての曝露の結果として起こり得る障害を防止し、低下させまたは少なくとも部分的に減弱させることができる。本明細書中で用いる「少なくとも部分的に減弱される」とは、化合物の投与の結果としての、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストに曝露されたヒトにおける記憶および/または認知障害の重症度、量または強度のいずれかの低下または減少をいう。
ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露は意図した曝露または意図しない曝露であり得る。意図した曝露は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストの個体への投与(例えば、自己投与)によるものであり得る。例えば、個体の意図した曝露はムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニスト(例えば、スコポラミン、アトロピン)の個体への適用(例えば、経皮)、注射(例えば、筋肉内、静脈内)または摂取(例えば、経口)を通じて投与することができる。ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの個体の意図しない曝露は、意図した曝露以外のいずれかの経路の曝露により得る。例えば、個体の意図しない曝露はムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの環境または空気で運ばれる曝露に由来し得る。
ある態様において、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストは外因性(個体の外部に由来するまたは外部で生じた)ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストである。別の態様において、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストは内因性(個体の内部に由来するまたは内部で生じた)ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストである。
別の態様において、本発明は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストの曝露の前、同時および引き続いてよりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果としての記憶障害が少なくとも部分的に減弱されることを含む記憶障害につきヒトを治療する方法を含む。
さらに別の態様において、本発明は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへのヒトの曝露の前、同時および引き続いてよりなる群から選択される1つ以上の時点において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーをヒトに投与することを含み、それにより、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果としての認知障害が少なくとも部分的に減弱されることを含む認知障害につきヒトを治療する方法を含む。
認知および/または記憶プロセス、および認知および/または記憶プロセスにおける障害は確立された技術によって評価または測定することができる。例えば、記憶は、当業者に公知の1つ以上のよく確立されたテストによって、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーでの個体の治療の前、同時または後に評価することができる。かかるテストとしてReyの聴覚性言語学習試験(RAVLT); Cambridge神経心理テスト自動化バッテリー(CANTAB);小児記憶スケール(CMS);文脈上の記憶テスト;連続認識記憶テスト(CMRT); Denman の神経心理学記憶スケール; Fuldの物体記憶評価(FOME); Graham−Kendallのデザインについての記憶テスト; Guildの記憶テスト;学習と記憶のバッテリー(LAMB);記憶評価臨床―自己評価スケール(MAC−S);記憶評価スケール(MAS); Randtの記憶テスト;認識記憶テスト(RMT); Rivermeadの行動記憶テスト; Wechslerの記憶スケールのRussellバージョン(RWMS); 記憶と学習のテスト(TOMAL); Vermontの記憶スケール(VMS); Wechslerの記憶スケール; 記憶と学習の広範な評価(WRAML); 姓と名の関係(Youngjohn J. R., ら, Archives of Clinical Neuropsychology 6: 287−300 (1991)); 名前と顔の関係; Wechslerの記憶スケール改訂版(Wechsler, D., Wechslerの記憶スケール改訂版手引書, NY, NY, The Psychological Corp. (1987)); California言語学習テスト第二版(Delis, D. C.,ら, Californian言語学習テスト, 第二版, 成人版, 手引書, San Antonio, TX: The psychological Corporation (2000)); 顔認識(試料に対応しない遅延); 認知薬物研究(CDR) コンピュータ化された評価バッテリー−Wesness; Buschke の選択的注意テスト(Buschke, H., ら, Neurology 24: 1019−1025 (1974)); 電話をかけるテスト; 簡単な視空間記憶テスト改訂版; および日常的注意のテスト(Perry, R.J., ら, Neuropsychologia 38: 252−271 (2000))を含む。
特別な態様において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与の前、間または後におけるヒトの記憶は、RAVLTのような言語想起テストによって評価し、または測定される。
ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストは、アセチルコリン(ACh)の作用をブロックし、減少させ、減弱させ、阻害し、妨げ、制限し、減らし、低下させ、限定し、またはそれと相互作用し、それにより、シナプス前およびシナプス後のニューロンの間のACh−媒介細胞シグナリングを破壊するいずれの物質も含む。アンタゴニストは、例えば、AChがシナプス後ニューロン上のムスカリン性受容体に結合するのを、AChのムスカリン性受容体への結合に続いてのシナプス後事象を媒介するのを妨げ、シナプス間隙におけるアセチルコリンエステラーゼによるAch分解に干渉し、またはシナプス前ニューロンからのAChの放出に干渉するように作用することによってAChの作用を邪魔することができる。例えば、ムスカリン性コリン作動性受容体とAch受容体との相互作用は、Achがシナプス後ニューロン上のGq蛋白質を活性化するのを妨げることができ、これは、今度は、ホスホリパーゼC(PLC)の活性化、および二次メッセンジャーのジアシルグリセロール(DAG)およびイノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)の引き続いての生成を妨げることができる。細胞内DAGを生成できないことは、記憶の形成に関与する物質のリン酸化のような引き続いての細胞事象を破壊できるプロテインキナーゼC(PKC)の活性化を妨げることができる。同様に、IP3を生成できないことは、記憶の細胞メカニズムであり得る(Malenka,R.C.,Science 285:1870−1874 (1999))、長期増強(LTP)のような引き続いての細胞事象を破壊できる内部貯蔵からのカルシウムの動員を妨げることができる。
加えて、あるいは別法として、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストは、シナプス前ニューロン上のGαi/o蛋白質をAChが活性化するのを妨げることができ、これは、今度は、アデニルシクラーゼの阻害を妨げることによるcAMPの増大したレベルに導くことができる。増大したcAMPレベルは、アルファ−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体のリン酸化およびLTPの調節のような引き続いての細胞事象を変調することができる環状AMP依存性プロテインキナーゼA(PKA)の活性化をもたらし得る。AMPA受容体のリン酸化はナトリウム(Na)イオンの流入を増加させることができ、それにより、細胞脱分極を増加させかつ/またはシナプスにおけるAMPA受容体の数を増加させる。
ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストは、上述した方法のいずれか1つ以上においてAChの作用を邪魔することができる。ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストはムスカリン性コリン作動性アンタゴニストともいわれる。
ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果として、個体は、認知および記憶プロセスにおける障害に導き得るシグナリング経路において欠陥または破壊を有し得る。本明細書中で用いる「ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストの結果として」とは、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの個体の曝露に続く認知および/または記憶プロセスにおける障害をいう。
ある態様において、該個体(本明細書中においては「被験体」ともいう)は記憶において障害を有する。記憶における障害は記憶の固定、長期記憶に新しい情報を貯蔵するプロセスにおける障害であり得る(「Neuroscience: Exploring The Brain」,Bear, M.F. ら, Williams & Wilkins, Baltimore, Maryland, Ch.19:ページ517-545 (1996); McGaugh, J.L. Science 287: 248−251 (2000))。別法として、あるいは加えて、記憶におけるこの障害は、短期記憶における障害または作動記憶における障害であり得る。短期記憶および作動記憶は、それにより、新しく獲得された情報が短期間維持され、新しく獲得された情報がさらなる情報処理のために利用可能となるプロセスである(「Neuroscience: Exploring The Brain」,Bear, M.F. ら, Williams & Wilkins, Baltimore, Maryland, Ch.19:ページ517-545 (1996); McGaugh, J.L. Science 287: 248-251 (2000); Beckar, J.T., ら, Brain and Cognition 41: 1-8 (1999))。
記憶における障害は事実および事象の記憶である陳述記憶における障害でもあり得る(「Neuroscience: Exploring The Brain」,Bear, M.F. ら, Williams & Wilkins, Baltimore, Maryland, Ch.19:ページ517-545 (1996); McGaugh, J.L. Science 287: 248−251 (2000); Tulving, E., ら, Science 247: 301-306 (1990); Squire, L.R., ら, Proc.Natl.Acad.Sci. 93:13515−13522 (1996))。記憶における障害は技能または挙動についての記憶である(「暗黙の知識」または「潜在的知識」ともいう)手続き記憶における障害でもあり得る(「Neuroscience: Exploring The Brain」,Bear, M.F. ら, Williams & Wilkins, Baltimore, Maryland, Ch.19:ページ517-545 (1996); McGaugh, J.L. Science 287: 248-251 (2000))。この障害は注意、獲得、検索または保持における障害でもあり得る。当業者であれば、個体での記憶における障害を同定し、評価することができよう。
特定の態様において、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果としての記憶の固定に障害を有するヒトに投与する。
別の態様において、個体は認知プロセスにおいて障害を有し得る(Carlson, N.R., Physiology of Behavior, Allyn and Bacon, Boston, MA(1986); Cognition on Cognition, Mehler J. ら編, Bradford Books (1995))。認知プロセスにおける障害は、利用可能な感覚または情緒的刺激、一定時間における集中に最も適当なまたは望ましい刺激の全体性を選択する容量またはプロセスである注意における障害であり得る(Kinchla, R.A., ら, Annu.Rev.Psychol.43:711-742 (1992))。認知プロセスにおけるこの障害は、決定を成すこと、計画、イニシアチブ、優先性の割り当て、配列決定、運動制御、情緒的調節、阻害、問題解決、計画、衝動制御、目標の確立、行動のモニタリング結果、および自己修正のような神経心理学的機能である遂行機能における障害であり得る(Elliott, R., Br. Med.Bull.65: 49−59 (2003))。この認知障害は用心深さ、覚醒性、喚起、警戒、反応時間、注意、情報処理、概念化、および言語の流暢さにおける障害であり得る。当業者であれば、個体での認知における障害を同定し、評価できるであろう。
本発明の態様において、個体での記憶または認知における障害は(本明細書中ではヒオスシンともいう)スコポラミンへの曝露の結果である。別の態様において、記憶または認知における障害はアトロピンへの曝露の結果であり得る。さらに別の態様において、個体での記憶または認知における障害はホマトロピンへの曝露の結果である。さらに別の態様において、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストはトリヘキシフェニジルである。例えば、スコポラミン、アトロピン、ホマトロピンおよびトリヘキシフェニジルによるムスカリン性コリン作動性受容体拮抗作用の結果、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーでの治療によって軽減し、減少し、減弱させ、逆行させ、妨げまたは低下させ得る記憶における障害(記憶の固定における障害、短期記憶における障害、作動記憶における障害)および/または認知(例えば用心深さ、遂行機能、喚起、覚醒性、注意、警戒、反応時間、情報処理、概念化、問題解決および言語の流暢さ)における障害をもたらし得る。
「l−スレオ−メチルフェニデート」および「d−スレオ−メチルフェニデート」に言及する場合に用いるような用語「スレオ−メチルフェニデート」は、その塩、酸、エステル、アミド、カルバメート、シッフ塩基、プロドラッグ、およびその他の構造的および機能的誘導体を含めた、式XIIによって表される化合物を意味する。好ましい態様において、スレオ−メチルフェニデートは塩、酸、エステル、アミド、カルバメートおよびシッフ塩基を含めた、式XIIによって表される化合物である。別の好ましい態様において、スレオ−メチルフェニデートは、その塩および酸を含めた、式XIIによって表される化合物である。さらに別の好ましい態様において、スレオ−メチルフェニデートは式XII:
によって表される化合物である。
スレオ−メチルフェニデートのデキストロエナンチオマーはd、(+)、またはDエナンチオマーといい、以下の構造式:
によって表される。
スレオ−メチルフェニデートのレボエナンチオマーはl、(−)、またはLエナンチオマーといい、以下の構造式:
によって表される。
d−スレオ−メチルフェニデートおよびl−スレオ−メチルフェニデートのラセミ混合物はd,l、(+,−)、(±)またはDLという。
本明細書中で用いる用語「メチルフェニデート」は、その塩、酸、エステル、アミド、カルバメート、シッフ塩基、プロドラッグ、およびその他の構造的および機能的誘導体を含めた、式XVによって表される化合物を意味する。好ましい態様において、メチルフェニデートは、塩、酸、エステル、アミド、カルバメートおよびシッフ塩基を含めた、式XVによって表される化合物である。別の好ましい態様において、メチルフェニデートは、その塩および酸を含めた、式XVによって表される化合物である。さらに別の好ましい態様において、メチルフェニデートは式XV:
によって表される化合物である。
本明細書中で用いる用語「アトモキセチン」は、その塩、酸、エステル、アミド、カルバメート、シッフ塩基、プロドラッグ、およびその他の構造的および機能的誘導体を含めた、式XVIによって表される化合物を意味する。好ましい態様において、アトモキセチンは、塩、酸、エステル、アミド、カルバメートおよびシッフ塩基を含めた、式XVIによって表される化合物である。別の好ましい態様において、アトモキセチンは、その塩および酸を含めた、式XVIによって表される化合物である。さらに別の好ましい態様において、アトモキセチンは式XVI:
によって表される化合物である。
本明細書中で用いる用語「モダフィニル」は、その塩、酸、エステル、アミド、カルバメート、シッフ塩基、プロドラッグ、およびその他の構造的および機能的誘導体を含めた、式XVIIによって表される化合物を意味する。好ましい態様において、モダフィニルは、塩、酸、エステル、アミド、カルバメートおよびシッフ塩基を含めた、式XVIIによって表される化合物である。別の好ましい態様において、モダフィニルは、その塩基および酸を含めた、式XVIIによって表される化合物である。さらに別の好ましい態様において、モダフィニルは式XVII:
によって表される化合物である。
このアンフェタミン、スレオ−メチルフェニデートおよびメチルフェニデート、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果としての記憶および/または認知に障害を有するヒトを治療する方法で使用される化合物は、別のエナンチオマーに対して少なくとも約51パーセント(w/w(重量/重量)もしくはモルパーセント)、約60パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約70パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約75パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約80パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約85パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約90パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約95パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、または約99パーセント(w/wもしくはモルパーセント)の1つのエナンチオマー(例えば、d−アンフェタミンに対するl−アンフェタミン;またはd−スレオ−メチルフェニデートに対するl−スレオ−メチルフェニデート)を含むことができる。例えば、本発明の方法で使用されるアンフェタミン化合物はl−アンフェタミンであり得、ここに、l−アンフェタミンは組成物の、各々、総アンフェタミンまたはメタンフェタミン含有量に対して少なくとも約80パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のl−アンフェタミンまたはl−メタンフェタミンを含む組成物の成分として投与される。同様に、本発明の方法で使用されるスレオ−メチルフェデート化合物はl−スレオ−メチルフェニデートであり得、ここに、l−スレオ−メチルフェニデートは組成物の総スレオ−メチルフェニデート含有量に対して少なくとも約80パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のl−スレオ−メチルフェニデートを含む組成物の成分として投与される。
別の態様において、使用されるアンフェタミン、スレオ−メチルフェニデートおよびメチルフェニデート化合物はd−アンフェタミンに対して約100パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のl−アンフェタミンであり;またはd−スレオ−メチルフェニデートに対してl−スレオ−メチルフェニデートは約100パーセント(w/wもしくはモルパーセント)である。「約100パーセント」のl−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたはl−スレオ−メチルフェニデートであるアンフェタミンまたはスレオ−メチルフェニデート化合物は、組成物の総含有量に対して約100パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のl−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたはl−スレオ−メチルフェニデートを含む組成物である。「約100パーセント」であるアンフェタミンまたはスレオ−メチルフェニデート化合物はd−アンフェタミン、d−スレオ−メチルフェニデートのようなわずかな量の他の成分を有することができる。
アトモキセチンおよびモダフィニルは個体に投与される全組成物の少なくとも約51パーセント(w/w(重量/重量)もしくはモルパーセント)、約60パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約70パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約75パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約80パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約85パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約90パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、約95パーセント(w/wもしくはモルパーセント)、または約99パーセント(w/wもしくはモルパーセント)であり得る。
さらに別の態様において、本発明の方法で使用されるアトモキセチンおよびモダフィニルは約100パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のアトモキセチン、または約100パーセント(w/wもしくはモルパーセント)のモダフィニルである。「約100パーセント」のアトモキセチンまたはモダフィニルであるアトモキセチンまたはモダフィニルは、わずかな量の他の化合物を含み得る。
本発明の方法で使用される化合物は遊離塩基であり得るか、あるいは薬学的に許容され得る酸との塩として存在できる。かかる塩の例として塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、またはラセミ混合物を含めたその混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸のようなアミノ酸との塩が挙げられる。
別の態様において、この方法で使用される化合物はヒトに投与される全組成物のあるパーセントであり得る。組成物のアンフェタミン、スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよび/またはモダフィニル成分は、ヒトに投与される全組成物の約50パーセント(w/w)、約60パーセント(w/w)、約75パーセント(w/w)、約80パーセント(w/w)、約85パーセント(w/w)、約90パーセント(w/w)、約95パーセント(w/w)および約100パーセント(w/w)であり得る。例えば、ヒトには、約80重量または容量パーセントのアンフェタミンおよび/またはスレオ−メチルフェニデート、および約20重量または容量パーセントの不活性賦形剤を各々含む組成物を投与することができる。同様に、ヒトには、約80重量または容量パーセントのモダフィニルおよび/またはアトモキセチン、および約20重量または容量パーセントの不活性賦形剤を各々含む組成物を投与することができる。同様に、ヒトには、約80重量または容量パーセントのアンフェタミン、スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよび/またはモダフィニル、および約20重量または容量パーセントの不活性賦形剤を各々含む組成物を投与することができる。
本発明の別の態様は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果として認知および/または記憶プロセスに障害を有するヒトにおいて認知および/または記憶プロセスにおける障害の程度を評価することに関する。ヒトへのl−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与の後における認知または記憶プロセスにおける障害は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与に続いて1つ以上の時点に測定することができる。
この方法は、さらに、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与前のヒトにおける記憶または認知の障害を、該化合物を投与した後におけるヒトでの記憶の障害と比較することを含むことができる。
特別な態様において、記憶は、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与に先立って評価し、次いで、RAVLTのような言語想起テストによって、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーの投与後に測定する(Rey, A. (1941), L’examen psychologique dans les cas d’encephalopathie traumatique. Archives de Psychologie, 28,21,Lezak,M.D.(1995), Neuropsychological Assessment (第3版),New York: Oxford University Press)。
さらに別の態様において、本発明は、ヒトにおいて損なわれた記憶および/または認知を改善する方法である。ヒトはムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストに曝露され、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果として、ヒトは記憶または認知において障害を有する。損なわれた記憶または損なわれた認知を持つヒトには、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを投与して、記憶および/または認知における障害を改善する。
本発明の方法において、ヒトには、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果である記憶および/または認知の障害と同時におよび/またはそれに引き続いてl−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを投与することができる。例えば、神経ガス攻撃が予測される、または神経ガス曝露の効果に反対作用させるためのアトロピンでの治療を受けているヒトは、アトロピンへのヒトの曝露と同時に、またはそれに引き続いて、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーで治療して、アトロピンへの曝露の結果としての記憶または認知における障害を妨げ、最小化し、軽減し、または改良することができる。
本発明の方法で使用される化合物は単一用量として、または複数用量として投与することができる。本発明の化合物の追加の用量は、必要に応じて、ヒトに投与して、認知および/または記憶を改善し、または認知および/または記憶における改善を維持することができる。認知および/または記憶は、記憶における改善の進行およびさらなる用量に対する必要性を調べるために、該化合物での治療の前、同時または後に評価し、測定することができる。
本発明の方法のある態様において、本発明の方法で使用される化合物(例えば、l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)は、該化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522−HCl、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の少なくとも約2.5mgから約25mg、約50mg、約75mg、約100mgまたは約125mg、および薬学的に許容され得る担体の単一経口投与処方として投与される。
別の態様において、単一投与処方は少なくとも約0.001mg、約0.01mg、約0.1mg、約1mg、約2.5mg、約5mg,約10mg,約15mg,約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg,約45mg、約50mg,約55mg,約60mg,約75mg、約80mg,約85mg,約90mg,約95mg、約100mg,約125mg、約150mg,約200mg,約300mg,約400mg,約500mg,約750mg、または約1000mgの該化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522−HCl、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)である。
さらに別の態様において、本発明の方法は該化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522−HCl、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の複数用量を使用する。複数用量の各用量は少なくとも約0.001mg、約0.01mg、約0.1mg、約1mg、約2.5mg、約5mg,約10mg,約15mg,約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg,約45mg、約50mg,約55mg,約60mg,約75mg、約80mg,約85mg,約90mg,約95mg、約100mg,約125mg、約150mg,約200mg,約300mg,約400mg,約500mg,約750mg、または約1000mgの該化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522−HCl、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)である。この複数用量は1日、数日、1週間、数週間、1ヶ月、数ヶ月または数年投与することができる。
本発明の方法で使用する化合物はヒトに急性的に(一時的にまたは短期間)または慢性的に(延長されたまたは長期間)投与することができる。例えば、本発明の化合物(例えば、l−アンフェタミン、C105、l−メタンフェタミン、SN522、SN522−HCl、l−スレオ−メチルフェニデート、d−スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)を、該化合物をヒトに1日1回、1日のうちに複数回(例えば、2、3、4)、1日、数日、1週間、数週間、1ヶ月、数ヶ月または数年間ヒトに投与することによってヒトを治療する方法で用いることができる。
本発明のさらに別の態様において、この方法は約0.001mgから約125mgの間;約0.001mgから約250mgの間;約0.001mgから500mgの間;約0.01mgから約125mgの間;約0.1mgから約125mgの間;約1mgから約125mgの間;約1mgから約250mgの間;約1mgから約500mgの間;または約1mgから約1000mgの間のこの方法で使用する化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)および、任意に、薬学的に許容され得る担体の単一経口投与処方を使用する。
さらなる態様において、本発明の方法は該化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の複数用量を使用し、ここで、該化合物の複数用量の各々は約0.001mgから約125mgの間;または約0.001mgから約250mgの間;または約0.001mgから約500mgの間;または約0.01mgから約125mgの間;または約0.1mgから約125mgの間;または約1mg;から約500mgの間;または約1mgから約125mgの間;または約1mgから約500mgの間;または約2.5mgから約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約250mg、約500mgもしくは約1000mgの間の該化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ−メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)および、任意に、薬学的に許容され得る担体である。
さらなる態様において、本発明の方法は約0.0015mg/kgから約2mg/kgの間;または約0.015mg/kgから約2mg/kgの間の該化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の単一用量を使用する。
なお別の態様において、本発明の方法は、約0.04mg/kg、約0.07mg/kg、約0.15mg/kg、約0.20mg/kg、約0.40mg/kg、約0.65mg/kg、約1mg/kg、約1.50mg/kg、約1.80mg/kgまたは約3.5mg/kgの該化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の単一用量を使用する。
さらなる態様において、本発明の方法は、該化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の複数用量を使用し、ここで、複数用量の各用量は約0.0015mg/kgから約2mg/kgの間;または0.015mg/kgから約2mg/kgの間である。
さらに別の態様において、本発明の方法は複数用量を使用し、ここで、複数用量の各用量は約0.04mg/kg、約0.07mg/kg、約0.15mg/kg、約0.20mg/kg、約0.40mg/kg、約0.65mg/kg、約1mg/kg、約1.50mg/kg、約1.80mg/kgまたは約3.5mg/kgの該化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)である。
該化合物を単一用量で投与するか複数用量で投与するかにかかわらず、本発明の方法で使用される該化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の累積用量は約0.2mgから約250mgの間;または約1mgから約1250mgの間の化合物である。特別な態様において、累積用量は約2mg,約10mg,約20mg、約30mg、約50m、約60mg,約90mg,約100mg,約150mg,約200mg,約250mg,約450mg、約750mg、約1000mg、約1250mg、約2500mg、または約5000mgである。
該化合物の複数用量または累積用量は用量または複数用量の任意の組み合わせにおける本発明の化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ−メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の任意の組み合わせであり得る。
個体に投与される該化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の量に言及する場合、「有効量」または「有効な量」は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果として記憶に障害を有する個体に投与する場合に、治療効果に十分な化合物の量または用量と定義される(例えば、記憶に障害を有する個体において記憶を向上させるのに十分な量;認知に障害を有する個体において認知を向上させるのに十分な量)。
本発明の方法は、経腸または非経口手段による本発明の化合物(例えば、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の投与によって達成することができる。具体的には、投与の経路は、化合物の経口摂取(例えば錠剤、カプセル形態)または注射(例えば筋肉内)であり得る。投与の他の手段は静脈内、動脈内、腹腔内、皮下経路または鼻腔内投与を含めて本発明に包含される。また、坐剤または経皮パッチも使用することができる。
本発明の方法で使用される化合物は単独で投与することができるか、あるいはヒトに同時投与することができる。同時投与は、個々の、または組み合わせた、該化合物(l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニル)の1つ以上の同時または順次の投与を含むことを意図する。本発明の化合物の同時または順次の投与は、投与の様式および投与のタイミングが、最小の副作用(例えば、嗜癖、心拍数の増加、血圧の上昇)にて、記憶(記憶の固定、短期記憶、作動記憶)または認知(例えば、注意、遂行機能、用心深さ、覚醒状態、覚醒、概念化、情報処理、問題解決、言語の流暢さ)における最大の向上をもたらすように行われる。複数の投与経路(例えば、経口、経皮、坐剤、筋肉内)を用いて、l-アンフェタミン、C105、l-メタンフェタミン、SN522、SN522-HCl、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチンおよびモダフィニルまたはその任意の組み合わせを投与することができることも考えられる。
個体に投与される投与量および頻度(単一または複数用量)は、ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の持続、および記憶における障害(例えば、記憶の固定における障害、短期記憶における障害、作動記憶における障害)または認知(例えば、注意、用心深さ、遂行機能、覚醒状態、覚醒、警戒、遂行機能、反応時間)における障害の重症度;ヒトの大きさ、年齢、性別、健康、体重、ボディマス指数および食事;記憶または認知における障害の症状の性質および程度、同時治療の種類(例えば、アトロピン、スコポラミン)、ムスカリン様コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露からの合併症、または治療されるヒトの他の健康関連問題を含めた種々の因子に応じて変化することができる。
他の治療方法または治療剤を、本発明の方法および本発明の方法で使用する化合物と組み合わせて用いることができる。確立された投薬量(例えば、頻度および持続)の調整および操作は、十分に、当業者の能力内のものである。
また、本発明は、PKCおよび/またはPKA経路を模倣または刺激する薬剤とアンフェタミン化合物との共同の使用にも関する。
A.アンフェタミン化合物の合成
後にさらに詳細に記載するように、本方法は、アンフェタミン化合物のユートマー、特に、R-(−)-アンフェタミン、またはその種々の異なる誘導体における体積測定的に強化された調製物を用いて実行できると考えられる。特定のアンフェタミン化合物の使用の適切性は、例えば、本明細書中に記載された薬物スクリーニングアッセイによって容易に決定することができる。
本アンフェタミン化合物、およびその誘導体は、公知の合成方法を使用することによって容易に調製することができる。当該分野で周知のように、これらのカップリング反応は比較的穏やかな条件下で行われ、広い範囲の「スペクテーター」機能性を許容する。組み合わせ様式でさらなる化合物を合成および試験して、本方法で使用され得るさらなるアンフェタミン化合物の同定を容易にすることができる。
アンフェタミンを合成し、アンフェタミンのエナンチオマーを分解するための多数の方法が当該分野で記載されている。例えば、Knollらに対する米国特許第5,075,338号;Tindallに対する米国特許第2,828,343号;Bryanに対する米国特許第3,458,576号;英国特許第GB2,122,617号;Florvallらに対する米国特許第3,996,381号;Croceら,1996,Gazz. Chim. Ital. 126: 107-109; Mastagliら, 1950, Pull. Soc. Chim. Fr. 1045-1047; Smithら 1988, J. Med. Chem. 31: 1558-1566; Bobranskiiら, 1941, J.Applied Chem. (U.S.S.R.)14: 410-414; Magidson, 1941, J. Gen. Chem. (U.S.S.R.) 11: 339-343参照。これらの刊行物の内容は本明細書中に参照によって援用される。
ある態様において、本アンフェタミン化合物は米国特許第5,075,338号に記載される方法に従って合成することができる。簡単に述べれば、一般式:
のアンフェタミン化合物号物は、式:
のケトンを式:R’’NH2のアミンと反応させ、単離無しで、または単離の後に形成されたケチミン中間体を還元することによって調製することができる。この還元は、例えば、(好ましくは、パラジウムまたはラネーニッケル触媒の存在下での)接触水素化によって、または錯体金属水素化物(例えば、ホウ化水素ナトリウム)を用いることによって、または慣用的還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウムまたはアマルガム化アルミニウム)の助けを借りて、それ自体公知である方法によって行うことができる。
R-(−)-アンフェタミンおよびS-(+)-アンフェタミンは、アンフェタミンのR-およびS-エナンチオマーのラセミ混合物の光学的分解によって得ることができる。かかる分解は、J. Jacques, A. ColletおよびS. Wilen, 「Enantiomers, Racemates and Resolutions」, Wiley, N.Y. (1981)に記載されたもの等の当業者に周知の任意の慣用的な分解方法によって達成することができる。例えば、分解は、キラルカラム上の分取クロマトグラフィーによって行ってもよい。適当な分解方法の別の例は、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸のようなキラル酸、またはN-アセチルロイシンのようなアミノ酸のN-アセチル誘導体とのジアステレオマー塩の形成、続いての、所望のRエナンチオマーのジアステレオマー塩を単離するための再結晶化である。
ある態様において、本R-(−)-アンフェタミンは、J. Med. Chem, 1988, 31: 1558:1570に記載された方法に従って分解してもよい。簡単に述べれば、ラセミアンフェタミンをD-(−)-酒石酸の熱エタノール溶液と組み合わせる。この溶液を室温まで冷却し、白色結晶を集め、エタノールからさらに2回再結晶化して、R-(−)-アンフェタミンのD−酒石酸の塩を得る。R-(−)-アンフェタミンを回収するためには、R-(−)-アンフェタミンのD−酒石酸塩を水中の水酸化ナトリウムで処理し、ジエチルエーテルで抽出する。
また、本発明の化合物はプロドラッグの形態で提供して、例えば、薬物が、消化管のような不利な環境を通過しつつ変化するのから保護することもできる。プロドラッグは、薬物と修飾物質の間で共有結合を形成することによって調製することができる。例えば、Balantら, Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinetics, 1990, 15(2), 143-153参照。結合は、通常、規定された環境、例えば、pH変化、または特異的酵素への曝露下で分解されるように設計される。薬物の修飾物質への共有結合は、変化したlogP値および/またはならびに新しい空間的立体配置等の新しい特性を持つ新しい分子を本質的に生成する。新しい分子は異なった溶解度特性を有し得、酵素消化に対する感受性は低くあり得る。プロドラッグの設計および調製についての一般的な言及については、本明細書中に参照によって援用される、Bundraard, Design of Prodrugs, Elsevier Science Pub. Co., N.Y. (1985)、およびProdrugs as Novel Drug Delivery Systems Symposium, 168. sup. th Annual Meeting, American Chemical Society, Atlantic City, N.J., T. HiguchiおよびV.Stella編, ACS Symposium Series 14, 1975参照。
アミン含有化合物のプロドラッグは当該分野で周知であり、例えば、薬物のアミン部分をカルボン酸、酸塩化物、クロロホルメート、または塩化スルホニル修飾物質等と反応させ、その結果、アミド、スルホンアミド、カルボキシアミド、カルバメート、シッフ塩基および同様な化合物が形成されることによって調製されてきた。例えば、本明細書中に援用される、Abuchowskiら, J. Biol. Chem. 1977, 252, 3578-358; Senterら, J. Org. Chem., 1990, 55, 2975-2978; Amsderryら, J. Org. Chem., 1990, 55, 5867-5877; Klotz, Clin. Pharmacokinetics, 1985, 10, 285-302参照。同様のプロトコルおよび他のプロトコルに従って、本発明の化合物のプロドラッグが形成され得る。
本発明の化合物、特に、種々の代表的なクラスの置換基を有するアンフェタミンアナログのライブラリーは組み合わせの化学的性質および他の平行合成スキームの影響を受けやすい(例えば、PCT WO 94/08051参照)。結果は、潜在的アンフェタミンアナログを同定するために、ならびに、鉛化合物の特異性、毒性および/または細胞傷害性−キネティックプロフィールを洗練するために、関連化合物の大きなライブラリー、例えば、上に表示した化合物の種々のライブラリーを迅速に高スループットアッセイでスクリーニングすることができるということである。
説明のために単純化すると、本発明の目的での組み合わせライブラリーは、所望の特性に関して、一緒にスクリーニングすることができる化学的に関連する化合物の混合物である。単一の反応における多くの関連化合物の調製は、実行する必要があるスクリーニングプロセスの数を大いに減少させ、単純化する。適当な物理的特性についてのスクリーニングは、慣用的方法によってなすことができる。
ライブラリーにおける多様性は、種々の異なるレベルで作り出すことができる。例えば、組み合わせ反応で用いる基質アリール基は、コアアリール部分に関して多様であり得、例えば、環構造の点で多様であり得、かつ/または他の置換基に関して変化させることができる。
本アンフェタミン化合物のような小さな有機分子のコンビナトーリアルライブラリーを作り出すために、種々の技術が当該分野で利用できる。例えば、Blondelleら,(1995) Trends Anal. Chem. 14: 83; Affymaxの米国特許第5,359,115号および第5,362,899号;Ellmanの米国特許第5,288,514号;StillらのPCT公開WO 94/08051;ArQuleの米国特許第5,736,412号および第5,712,171号;Chenらの(1994) JACS 116: 2661; Kerrら(1993) JACS 115: 252; PCT公開WO 92/10092、WO 93/09668およびWO 91/07087;およびLernerらのPCT公開WO 93/20242参照。従って、本アンフェタミン化合物のおよそ約100から1,000,000以上のダイバソーマー(diversomer)の種々のライブラリーを合成し、特定の活性または特性についてスクリーニングすることができる。
例示的態様において、候補アンフェタミン化合物ダイバソーマーのライブラリーは、StillらのPCT公開WO 94/08051に記載された技術に適合させたスキームを利用し、例えば、候補レギュレータの位置の1つに任意に位置する加水分解可能なまたは光分解可能な基、または合成中間体の置換基によってポリマービーズに連結させて、合成することができる。Stillらの技術に従い、ライブラリーはビーズの組の上で合成され、各ビーズはそのビーズ上の特定のダイバソーマーを同定するタグの組を含む。次いで、ビーズライブラリーを、アンフェタミン化合物が求められる細胞で「めっき」することができる。ダイバソーマーは、例えば、加水分解によってビーズから放出することができる。
上記および関連経路に関する多くの変形は、アンフェタミン化合物として試験することができる化合物の広く多様なライブラリーの合成を可能とする。
B.テスト剤に対する動物モデルの作製
出願人らは、以前、脳弓媒介記憶の固定を研究するための動物モデルを記載した。例えば、Taubenfieldら,前掲参照。脳弓損傷動物を薬物スクリーニングで用いて、例えば、記憶の固定を増強する本組成物の投与量を同定することができる。損傷哺乳動物は、記憶の固定を破壊する脳弓または関連脳構造を有し得る(例えば、鼻周囲皮質、扁桃、内側中隔核、青核(locus coeruleus)、海馬、乳頭体)。哺乳動物における損傷は、機械的または化学的破壊によって生じさせることができる。例えば、脳弓損傷は、外科的切除、電気分解、神経毒および他の化学的切除技術、または麻酔剤、例えば、テトロドトキシンまたはリドカインの注射によるような可逆的不活化によって引き起こして、一時的に脳弓における活性を阻止することができる。
さらに説明すると、采−脳弓(げっ歯類)および脳弓(霊長類)損傷は、定位切除によって生じさせることができる。特に、脳弓構造のニューロンは、例えば、横断または吸引(吸入)切除によって軸索切断される。脳弓の完全な横断はアドレナリン作動性、コリン作動性およびGABA作動性機能および電気的活性を破壊し、海馬形成において形態学的再組織化を誘導する。一般に、本方法で利用される脳弓横断は新皮質からの副海馬領域を分離しないであろう。それらの態様において、脳弓横断は、海馬形成によるプロセシングとは独立した副海馬領域によって行われ得る機能を破壊せず、よって、より複雑な海馬系の損傷に続いて見られる進行した健忘症を生じるとは予測されないであろう。
ある態様において、動物はラットであり得る。簡単に述べれば、動物を、例えば、ケタミン−キシラジン混合物の腹腔内注射で麻酔し、Kopf(登録商標)定位機器に位置させる。矢状切開を頭皮で行い、ブレグマから2.0mm後方および3.0mm側方に延びる開頭を行う。例えば、20ゲージ先端を備えた吸引デバイスを定位フレーム(Kopf(登録商標)機器)に設置し、采−脳弓を、動物の脳中の正しい定位に吸引先端を入れることによって吸引する。片側吸引損傷は、采脳弓を片側だけ完全に横断し、(任意に)海馬の背面先端ならびに重なる帯状束皮質を除去して、海馬標的に部分的脱神経を加えて、帯状束皮質を通じての吸引によって作成する。Gageら,(1983) Brain Res. 268: 27およびGageら(1986) Neuroscience 19: 241も参照。
別の例示的態様において、動物はサルであり得る。この動物を、例えば、イソフルラン(1.5から2.0%)で麻酔することができる。マンニトール(0.25g/kg、静脈内)での前処理に続き、Kordowerら(1990) J.Comp.Neurol.298:443に記載されたように、左脳弓の片側横断を行うことができる。簡単に述べれば、外科ドリルを用いて、前頭上矢状洞を露出させる傍矢状骨弁を作成する。硬膜を引き込み、自留開創器を用いて、大脳半球間裂を露出させる。脳梁を縦方向に切開する。モンロー孔のレベルにおいて、脳弓は、分離した2から3mm幅の白色繊維束として容易に可視化される。脳弓は、まず、ボール解剖器具を用いて横に切開することができる。次いで、脳弓の切断端部を吸引して、損傷の完全性を保証する。
さらに他の例示的態様において、脳弓損傷は興奮性毒性によって、または他の化学的手段、脳弓ニューロンの阻害または切除、または脳弓ニューロンによって神経支配されている。海馬の細胞によって作り出すことができる。ある好ましい態様において、脳弓損傷は、脳弓コリン作動性およびアドレナリン作動性ニューロンのような特別なニューロンのタイプの選択的破壊によって作り出される。
例えば、コリン作動性ニューロンによる海馬への求心性(afferant)脳弓シグナルはアトロピン遮断によって切除することができる。コリン作動性ニューロンの切除のための別の手段は192IgG−サポリン(192IgG-sap)、例えば、脳弓および海馬への脳室内注射の使用である。6-OHDAおよびイボテン酸のような薬剤を用いて、切除方法の一部として脳弓ドーパミンニューロンを選択的に破壊することができる。
ある態様において、動物はイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、類人猿、ラット、ウサギなどのような非ヒト哺乳動物である。別の態様において、動物は非ヒト霊長類である。さらに別の態様において、被検体はヒトである。
認知機能のための種々の試験、特に、学習および記憶テストがあり、これは損傷および正常動物を用いて行うことができる。学習および/または記憶テストとしては、例えば、(本明細書中においては「受動的回避テスト」ともいう)阻害回避テスト、前後関係恐怖条件付け、試料に対する視覚的な遅延された非調和、試料に対する空間的な遅延された非調和、視覚的区別、Barnes円状迷路、Morris水迷路、放射状アーム迷路テスト、Ray聴覚性言語学習試験、Wechsler論理的記憶テストおよびProvidence認識記憶テストを含む。
例示的阻害回避テストは、スライディングドアによって暗いチャンバーから分離することができる灯りをつけたチャンバーよりなる装置を利用する。訓練において、動物をある期間灯りのついたチャンバーにいれ、ドアを開ける。しばらく遅れて、動物を暗いチャンバーに移動させ−ステップ−スルー待ち時間−これを記録する。暗いチャンバーに入ると、ドアを閉じ、足ショックを送達する。試験を反復し、待ち時間を記録することによって、種々の時間間隔、例えば、24または48時間後に、経験の保持を決定する。このプロトコルは、受動的回避手順の多くの変形の1つである(レビューについては、Rush (1988) Behav. Neural. Biol. 50: 255参照)。
例示的迷路テスト態様は水迷路作動記憶テストである。一般には、この方法は円形水タンクよりなる装置を利用する。タンク中の水は、粉乳を加えることによって濁らせる。タンクの底にある移動可能なスタンドによって支持されるか透明なプレキシグラスプラットホームを水面の直下に沈める。通常、泳いでいるラットはプラットフォームの位置を知覚することができないが、何らかの記憶障害を患っていない限り、以前の経験および訓練からそれを思い出すことができる。プラットフォームの位置を捜し出すのに要した時間を測定し、待ち時間という。実験の間、天井の灯りなどのような全ての方向の手掛りは変えないままとする。より長い待ち時間は、一般に、その記憶に対して何らかの障害を持つラットで観察される。
別の記憶テストは瞬目条件付け試験を含み、これは、被検体の瞬目を刺激する軽い空気の吹付けに先行して白色騒音または定常的音色の投与を含む。
用いることができるさらに別の記憶テストは恐怖条件付け、例えば、「手掛り」および「前後関係」恐怖条件付けである。ある態様において、フリーズモニターは連続した刺激(音、ショック)を投与し、次いで、動物のショック誘導フリージングからの回復を測定する一連の待ち時間を記録する。
損傷動物についての別の記憶テストはホールボードテストであり、これは、テストの囲いの床における4隅配置で配置された(4つの)開いた穴を含む回転するホールボード装置を利用する。マウスは、その頭を穴に突っ込み、試行毎に報酬を含む「餌を付けた」穴から食物の報酬をとるように訓練する。遮蔽物の下に置くことによって接近できないようにした露出した穴ごとに食物の報酬(例えば、フルーツループ)がある。遮蔽物は報酬の匂いが穴から発散するようにするが、強化因子への接近は可能としない。個々の穴に餌を付けた場合、報酬は遮蔽物の頂部に置かれ、そこではそれに接近可能である。装置全体は、それが最も近い(例えば、嗅覚の)手掛りに頼るのを排除するように容易に回転することができるように、回転台に載せられる。スタートチューブを装置の中央に入れる。被検体をチューブから放ち、餌を付けた(「正しい」)穴を探検させる。
上で述べたように、脳弓損傷動物についてのある使用は、記憶の固定を調節する能力に関して、ならびに副作用および毒性に関してアンフェタミン化合物をテストするためのものである。一般に、本方法は、海馬への脳弓媒介シグナリングの少なくとも部分的破壊を生じるように操作された動物を利用し、この破壊は動物において記憶の固定および学習行動に影響する。この動物は、脳弓損傷の非存在下で哺乳動物において学習行動をもたらす学習または記憶方法で条件付ける。記憶の固定に対するアンタフェミン化合物の効果を評価するために、アンフェタミン化合物を動物に投与する。テスト剤の非存在に関する学習行動の増大が、投与された組み合わせが記憶の固定を増強することを示す。
薬学的研究で用いるために特に開発された別の記憶テストは、Providence認識記憶テストである。この試験は、長期陳述記憶の一つの絵の評価および一つの言語の評価よりなる。二つの様式の各々において、患者はコンピュタスクリーン上の刺激を見、その後に、二者択一の強制された選択フォーマットにおいてそれらの刺激を認識するよう求められる。絵の評価様式は、二つの部分:研究相および認識相よりなる。研究相においては、患者は3秒間ずつ、一連の120の絵を見る。彼らは、後にそれらを認識できるように、絵を見て、それを憶えるように告げられる。認識相においては、患者は一度に二つの絵を見、二つの絵のいずれを患者が研究相で見たかをボタンを押すことによって示すよう求められる。認識記憶試験は研究相の終わりから10分、1時間、および24時間後に起こる。言語の評価様式は二つの部分:研究相および認識相よりなる。研究相においては、患者は一度に1つずつ、一連の60の文を見る。患者は、のちにそれらを認識できるように、文を声に出して読み、それを思い出すよう求められる。各文は、患者がそれを声に出して読むのを完了するまで、コンピュ−タのスクリーン上に残っている。患者が単語を間違って読めば、試験官は正しい1つまたは複数の単語を供給する。認識相においては、患者は一度に二つの文を見、二つの文のうちいずれを患者が実験相で見たかをボタンを押すことによって示すよう求められる。認識記憶試験は、実験相の終わりから10分、1時間、および24時間後に起こる。
本発明の方法においては、学習行動の保持は、例えば、学習相の完了後少なくとも約12から24時間、14から22時間、16から20時間および/または18から19時間後に測定して、薬剤が記憶の固定を促進するか否かを決定し得る。特別な態様において、学習行動の保持は、学習相の完了から24時間後に決定することができる。
記憶の固定を実験するためのモデルに加え、行動に対するアンフェタミン化合物物の副作用を評価するためのモデルが利用されており、これは自発運動モデルを含む。例示的自発運動試験は、ケージの周りに置かれた光電セルビームの格子を備えた光電セル活性ケージよりなる装置を利用する。動物は、薬剤の投与にある時間先だって個々の活性ケージに入れられる。自発運動は、所定の時間の間、光電ビームの中断の数によって測定される。
本明細書中で用いる場合、「対照哺乳動物」は未処理損傷哺乳動物(すなわち、薬剤を受容しない、または評価されるものと同一ではない組み合わせを受容する損傷動物)、訓練された対照哺乳動物(すなわち、いかなる損傷もなく学習行動を示す訓練を受ける哺乳動物)および/または未訓練対照哺乳動物(すなわち、学習行動を示すための訓練を受けない、損傷を持つ、または損傷を持たない哺乳動物)であり得る。
C.アンフェタミン化合物の医薬製剤
別の側面において、本発明は、本アンフェタミン化合物を含む医薬製剤を提供する。本方法で用いるためのアンフェタミン化合物は、都合のよいことには、水、緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)またはその適切な混合物等の生物学的に許容され得、非発熱性かつ/または滅菌した媒体で投与用に処方できる。選択された媒体中での有効成分の最適な濃度は、行動科学者に周知の手順に従い、経験的に決定することができる。本明細書中で用いる場合、「生物学的に許容され得る媒体」は、医薬製剤の投与の所望の経路に適するであろうあらゆる溶媒、分散媒体等を含む。薬学的に活性のある物質のためのかかる媒体の使用は当該分野で公知である。任意の慣用的媒体または薬剤がアンフェタミン化合物の活性に適合しない場合を除き、本発明の医薬製剤でのその使用が考えられる。他のタンパク質を含めた適切なビヒクルおよびその処方は、例えば、書籍Remington’s Pharmaceutical Sciences(Remington’s Pharmaceuticals Sciences. Mack Publishing Company, Easton, Pa., USA 1985)に記載されている。これらのビヒクルは注射可能な「デポ処方」を含む。
本発明の医薬処方はまた、動物での使用、例えば家畜(livestock)または家畜(domestic animal)、例えばイヌの治療に適した獣医学的組成物、例えばアンフェタミン化合物の医薬製剤をも含み得る。
また、再充填可能または生分解性デバイスによって導入の方法が提供され得る。種々の緩効性ポリマーデバイスが開発され、薬物の制御された送達のために近年インビボでテストされている。生分解性ポリマーおよび非分解性ポリマーの双方を含めた種々の生物適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)を用いて、特定の標的部位においてアンフェタミン化合物の徐放のためのインプラントを形成することができる。本発明の実施に従い、患者において耐性に関して実質的に減少させる、または完全に補償するプログラムにおいてアンフェタミン化合物を投与する投与形態および方法が提供できることが見出された。耐性は、BrillによるPharmacology in Medicine, p.227 (1965)McGraw-Hillに定義されるように、薬物の投与に続く効果の減少として特徴付けられる。非常に短い時間にわたっての単一用量またはいくつかの用量に続いて耐性が生じれば、それを急性耐性と言う。薬物がより延長された時間にわたって投与され、明白な程度の耐性を示せば、それを慢性耐性と言う。医学文献は、GoodmanおよびGilmanによるThe Pharmacological Basis of Therapeutics, 第8版、p.72 (1990) Pergamon Press に例示されるように、多くの薬物の効果に対して耐性を獲得することができると報告しており、この文献はそれがいつ獲得されるかに基づいて耐性を急性または慢性として分類する。すなわち、急性耐性は、1用量の投与相の間に、または一日に生じ、慢性耐性は典型的には数週間、数ヶ月、および数年間の長期にわたる投与により獲得される。
ある態様において、特に、選択されたアンフェタミン化合物が患者において耐性、例えば、急性耐性を生じ得るものである場合、変動できる投与のための、好ましくは用量が段階的に上昇する方法で用いるための化合物を処方するのが望ましいであろう。好ましい態様において、本アンフェタミン化合物は、例えば、少なくとも4時間にわたって、より好ましくは少なくとも8時間または16時間にもわたって持続的かつ増大する用量を送達するように処方される。
ある態様において、代表的な投与形態は複数の小さな丸剤を含むヒドロゲルマトリックスを含む。ヒドロゲルマトリックスは多糖、寒天、アガロース、天然ゴム、アルギン酸ナトリウムを含むアルカリアルギネート、カラゲナン、フコイダン、フルセララン、ラミナリン(laminaran)、ヒプニア、アラビアゴム、ガッティゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンゴム、ペクチン、アミロペクチン、ゼラチンからなる群より選択されるような親水性ポリマーおよび親水性コロイドを含む。ヒドロゲルマトリックスは複数の(4から50のような)小さな丸剤を含み、小さな丸剤のそれぞれは100ngから、用量において0.5mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mgなどに上昇する、増大させる用量集団を含む。小さな丸剤は、薬物の適時の上昇する放出を提供するための、0.0mmから10mm厚さの放出速度制御壁を含む。代表的な壁形成物質としてはグリセリルトリストレアート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジパルミテート、グリセリルラウレート、グリセリルジデセノエートおよびグリセリルトリデセノエートからなる群より選択されるトリグリセリルエステルが挙げられる。他の壁形成物質は、ポリ酢酸フタル酸ビニル、メチルセルロースフタレート、および微孔性ビニルオレフィンを含む。小さな丸剤を製造するための手順は、本明細書中に参照によって援用される、米国特許第4,434,153号;第4,721,613号;第4,853,229号、第2,996,431号;第3,139,383号および第4,752,470号に開示されている。
ある態様において、薬物放出ビーズは溶解プロフールによって特徴付けられる。ここで、ビーズの0から20%は0から2時間以内に溶解を受けて薬物を放出し、20から40%は2から4時間以内に溶解を受けて薬物を放出し、40から60%は4から6時間以内に溶解を示して放出し、60から80%は6から8時間以内に、80から100%は8から10時間以内に溶解を示して放出する。薬物放出ビーズは薬物ならびに潤滑剤、抗酸化剤および緩衝剤を含めた薬学的に許容され得る組成物形成成分を含む中心組成物またはコアを含むことができる。ビーズは増大する用量、例えば1mg、2mg、5mgから高用量、ある好ましい態様では、15から100mgの高用量の薬物を含む。ビーズは、上で開示された溶解プロフィールを利用して選択され得る放出速度制御ポリマーで被覆される。ビーズの製造は、例えば、Liuら (1994) Inter.J.of Pharm., 112: 105-116; Liuら (1994) Inter.J. of Pharm.,112:117-124;Pharm. Sci., by Remington, 第14版 pp.1626-1628 (1970); Fincherら(1968) J. Pharm. Sci., 57: 1825-1835;および米国特許第4,083,949号から改良することができる。
本発明によって提供される別の例示的投与形態は、ポリマー基材上の前者の低用量から後者の高用量の被覆された1mgから15から600mgのアンフェタミン化合物の濃度グラジエントを含む。ポリマーは侵食性または非侵食性ポリマーであり得る。被覆された基材は投与形態の中央の後者の高用量から、基材の露出された外側端部の前者の低用量でそれ自体の周りに巻かれる。被覆された基材は、高用量から低用量で巻かれて、基材が伸ばされ、または侵食されるにつれて低用量から高用量の放出を提供する。例えば、1mgから600mgのアンフェタミンが、ポリペプチド、コラーゲン、ゼラチンまたはポリビニルアルコールのような侵食性ポリマー上に被覆され、この基材は高用量で上にまたは内包に同一中心で巻かれて、中央の位置に適合させ、次いで、低用量に向けて外側へ巻かれて、外側位置を形成する。操作において、投与形態は侵食し、長時間にわたって放出されるアンフェタミンの増大する用量を分配する。
本発明によって提供される別の投与形態は、多数の層を含み、ここで各層は増大する用量の薬物によって特徴付けられる。句「多数の層」は接触積層における2から6の層を示す。多数の層は連続して位置し、すなわち、一層ずつ順序よく、第一の露出された層、第五の層に接触された第六の層、および薬物非浸透性ポリマーを被覆したその露出表面の順である。第六の層は薬物非浸透性ポリマーで被覆して、第一の層から第六の層までのアンフェタミン化合物の放出を確実にする。第一の層は、例えば、1から50mgの薬物を含み、連続する各層は追加の1から50mgの薬物を含む。生分解性ポリマーは化学分解を受けて、可溶性モノマーまたは可溶性ポリマー単位を形成する。ポリマーの生分解は、通常、化学的または酵素的に触媒される加水分解を含む。第一の層が100ngを含む、第一の層および連続する層にわたって5から50重量%の各層における増大薬物負荷に許容され得る代表的な生分解性ポリマー。代表的な生分解性ポリマーは生分解性ポリ(アミド)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エステル)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物)、生分解性ポリ(デヒドロピラン)、およびポリ(ジオキシノン)よりなる群から選択されるメンバーを含む。このポリマーは、RosoffによるControlled Release of Drugs, Ch.2, pp. 53−95 (1989); および米国特許第3,811,444号;第3,962,414号;第4,066,747号;第4,070,347号;第4,079,038号;および第4,093,709号において当該分野で公知である。
さらに他の態様において、本発明は、孔を通じての拡散、流動によって、またはポリマーマトリックスの破裂によって薬物を放出するポリマーを含む投与形態を使用する。薬物送達ポリマー系は濃度グラジエントを含み、ここで該グラジエントは開始または最初の濃度から終濃度、つまりより高い濃度までの濃度の上昇である。投与形態は開始の用量における露出した表面および最終用量における離れた露出していない表面を含む。露出していない表面は、薬物の通過に対して不浸透性の薬学的に許容され得る物質で被覆される。投与形態の構造は、開始から最終の送達される用量まで上昇する薬物の流量増大送達を提供する。
図17はかかる態様を示し、ここでアンフェタミン化合物は、制御された速度で薬物を放出する非吸収性外皮内に含まれる。
投与形態マトリックスは、ポリマー技術で公知の手順によって作成することができる。ある製造において、3から5またはそれ以上の鋳造組成物が独立して調製され、ここで各鋳造組成物は、各組成物が低から高用量へ重ねられた、増大する用量の薬物を含む。これは、一緒になって、濃度グラジエントを有する単位ポリマーマトリックスを提供する一連の層を提供する。別の製造において、より高い用量をまず鋳造し、続いて減少する用量の層で薄層を作り、薬物濃度グラジエントを有するポリマーマトリックスを提供する。投与形態を供する例は、ポリエチレングリコールのような薬学的に許容され得る担体を既知用量のアンフェタミン化合物とブレンドし、それをオクタン酸第一スズのような架橋剤と共にシラスティック医薬グレードのエラストマーに加え、続いて、鋳型中で鋳造することを含む。この工程を連続する層のそれぞれについて繰り返す。この系は一時間固められ、投与形態が提供される。投与形態を製造するための代表的なポリマーは、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(アルギネート)、ポリ(アミド)、およびポリ(シリコーン)に代表されるようなオレフィンおよびビニルポリマー、縮合ポリマー、炭水化物ポリマー、およびケイ素ポリマーからなる群より選択されるメンバーを含む。該ポリマーおよび製造手順は Colemanらによる Polymers, Vol. 31, pp.1187-1230 (1990); Roerdinkらによる Drug Career Systems, Vol.9, pp.57-109 (1989); Leongらによる Adv. Drug Delivery Rev., Vol.1, pp.199-233 (1987); Roffら編、CRC Press発行Handbook of Common Polymers (1971); および米国特許第3,992,518号において公知である。
さらに他の態様において、本処方は1つ以上の異なるアンフェタミン化合物の異なるプロドラッグ形態の混合物であり得、各プロドラッグ形態は異なる加水分解速度、従って、活性化速度を有し、活性のあるアンフェタミン化合物の増大する血中濃度を提供する。
他の態様において、本処方は異なるアンフェタミン化合物の混合物であり得、各化合物は(腸または上皮を横切るような)異なる速度の吸着および/または血中半減期を有する。
本発明の用量上昇方法を用いて、もしあれば、急性耐性の発生を継続的に補償する送達方法を提供することによって、等式1:
式1
効果=f(t,C)
に従った薬物濃度(C)の関数としての時刻(t)における薬物の臨床効果(E)を考慮することによって、アンフェタミン化合物の治療効果の喪失を補償することができる。
加えて、1時間当たりのmgで表した薬物送達の速度(A)は薬物の濃度にクリアランスを掛け合わせたものに逆比例する。効果が時間と共に変化し、機能が表されるにつれ、本発明に従って、(A)は、治療効果が臨床的値に維持されることを確実にするように管理され得る。もし薬物からの効果が時間と共に減少することが臨床的に見出されれば、この減少は等式2によって表されるように直線状であり得る:
式2
効果(t)=効果(ini)−k効果*t
式中、効果(ini)は、薬物投与の開始において最初に観察された臨床効果であり、効果(t)は、時刻(t)時間に観察された効果であり、k効果は、一定の血漿濃度を維持しつつ時刻(t1)時間における臨床効果(E1)および時刻(t2)時間における臨床効果(E2)を測定し、続いて、(E1)から(E2)を引いたものを(t1)から(t2)を引いたもので割ることによって確認された比例定数である。一定の効果を維持するためには、(A)は等式3:
式3
A(t)=A(ini)+k効果*t
式中、A(ini)は治療の開始における一時間当たりのmgで表した初期薬物投入量であって、A(t)は時刻(t)時間における薬物投入量であり、k効果は上で示した比例定数である、に従って同一機能で調整しなければならない。もし治療効果が時間と共に指数関数的に減少することが判明すれば、この関係は等式4:
式4
効果(t)=効果(ini)*exp(−k効果*t)
式中、効果(ini)および効果(t)は前の定義と同じであり、k効果(またはk効果)は、一定の血漿濃度を維持しつつ時刻(t1)時間における臨床効果(E1)および時刻(t2)時間における臨床効果(E2)を測定し、続いて、(E1)の自然対数から(E2)の自然対数を引いたものを(t1)から(t2)を引いたもので割ることによって確認された速度定数(h-1)、時間の逆数の単位である、によって表される。一定の効果を維持するためには、(A)を等式5:
式5
A(t)=A(ini)*exp(k効果*t)
式中、A(ini)およびA(t)は前の定義と同じであり、k効果は上で示した速度定数(h-1)である、に従って調整しなければならない。該等式はHolfordら(1982) Pharmac. Ther., 16:143-166に示されている。
本発明の製剤は経口、非経口、局所または直腸で投与することができる。それらは、もちろん、各投与経路に適した形態によって投与される。例えば、それらは、錠剤またはカプセルの形態で、注射、注入、吸入、直腸坐剤または放出制御パッチによって投与される。経口および放出制御パッチ投与が好ましい。特別な態様において、l−アンフェタミンおよび/またはl−メタンフェタミンは経口でヒトに投与される。l−アンフェタミンおよび/またはl−メタンフェタミンの経口投与は、l−アンフェタミンおよび/またはl−メタンフェタミンはヒトによって摂取され、l−デプレニルのような別の摂取された化合物の代謝産物ではないことを意味する。
ある好ましい態様において、本治療剤は経皮パッチによって送達される。パッチは、一般には、一方に浸透性膜を有し、パッチを患者の皮膚の上の所定の位置に維持するためのある形態の接着剤も有する平坦な中空のデバイスであり、この膜は、薬物がパッチのレザバーから浸み出し、皮膚の中に浸透し、浸潤することができるように皮膚と接触している。パッチの外側は不浸透性の層の材料で形成され、膜側および外側はパッチの周囲で連結され、薬物および担体のためのレザバーを、二つの層の間で形成する。
パッチ技術は、有効成分の表皮との接触を一定に維持する能力に基づく。かなりの時間にわたって、かかる状態に保持された薬物分子は、結局は、血流に入っていく。かくして、パッチ技術は、皮膚を通って薬物分子を取り入れる人体の能力に頼っている。パッチ技術を用いる経皮薬物送達は、最近、喫煙者が止めるのを助ける努力におけるニコチンの送達、アンギナを患っている者へのニトログリセリンの送達、閉経後の婦人における交替ホルモンの送達等に適用されている。これらの慣用的薬物送達系はそこに取り込まれた薬物等の有効成分を含むパッチを含み、このパッチは、有効成分を皮膚の近くに密接に置くように、皮膚への付着のための接着剤も含む。例示的なパッチ技術は Ciba-Geigy Corporation および Alza Corporation から入手可能である。かかる経皮送達デバイスは本アンフェタミン化合物を用いた使用に容易に適合させることができる。
本アンフェタミンの皮膚を横切る流動は(a)抵抗(拡散係数)または(b)駆動力(角質層中の薬物の溶解度および、結果として、拡散についてのグラジエント)のいずれかを変化させることによって調節することができる。種々の方法を用いて本アンフェタミンによる皮膚浸透を増加させることができ、これは浸透促進剤、プロドラッグバージョン、余分なビヒクル、イオン導入法、音伝達および伝熱の使用を含む。多くの促進剤組成物が、これらの因子の一方または双方を変化させるために開発されている。例えば、米国特許第4,006,218号;第3,551,154号;および第3,472,931号参照。例えば、それらは、各々、角質層を通る局所適用薬物の吸収を促進するためのジメチルスルホシキド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)の使用を記載している。プロピレングリコールモノラウレートおよびメチルラウレートと共にジエチレングリコールモノエチルまたはモノメチルエーテルよりなる促進剤の組み合わせが米国特許第4,973,468号に開示されている。薬物の経皮送達用のグリセロールモノラウレートおよびエタノールよりなる二重促進剤が米国特許第4,820,720号に示されている。米国特許第5,006,342号はC2からC4アルカンジオールの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエーテルよりなる経皮薬物投与用の多数の促進剤を列挙しており、ここでエステル/エーテルの各脂肪酸/アルコール部分は約8から22の炭素原子のものである。米国特許第4,863,970号は、特定の量のオレイン酸、オレイルアルコール、およびオレイン酸のグリセロールエステル等の一つ以上の細胞エンベロープ無秩序化化合物;C2またはC3アルカノール;および水等の不活性の希釈剤を含有する浸透促進ビヒクルに含まれた活性のある浸透剤を含む局所適用用の浸透促進組成物を示す。他の例は、浸透促進剤としてのメントールの使用を開示する米国特許第4,933,184号;浸透促進剤としての植物油(大豆および/またはココヤシ油)の使用を開示する米国特許第229,130号;および浸透促進剤としてのユーカリプトールの使用を開示する米国特許第4,440,777号の教示に含まれる。
本明細書中で用いる句「非経口投与」および「非経口投与する」は、通常注射による腸および局所投与以外の投与の様式を意味し、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内、および胸骨内注射および注入を含む。
本明細書中で用いる句「全身投与」、「全身投与する」、「末梢投与」および「末梢投与する」は、化合物、薬物または他の物質が患者の系に入り、かくして代謝および同様の方法、例えば皮下投与に付されるように、化合物、薬物または他の物質を中枢神経系に直接投与する以外の投与を意味する。
これらの化合物は、経口、例えばスプレーによる鼻腔内、口内および舌下を含めた粉末、軟膏または点剤による直腸、膣内、非経口、槽内および局所を含めた任意の適切な投与経路によって治療のためにヒトおよび他の動物に投与することができる。
選択された投与経路にかかわらず、適切な水和形態で用いることができる本発明の化合物、および/または本発明の医薬組成物は、後に記載するように、または当業者に公知の他の慣用的方法によって薬学的に許容され得る投与形態に処方される。
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の投与レベルは、患者に対して毒性であることなく、特定の患者、組成物および投与の様式についての所望の治療応答を達成するのに有効な有効成分の量が得られるように変化させることができる。
選択された投与量レベルは、使用される本発明の特定の化合物、またはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与の経路、投与の時間、使用される特定の化合物の排出速度、治療の持続期間、使用される特定のアンフェタミン化合物と組み合わせて用いられる他の薬物、化合物および/または物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康および以前の病歴、および医療分野で周知の同様の因子を含む種々の因子に依存するであろう。
当該分野における通常の技能を有する医師または獣医は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要なものよりも低いレベルで、医薬組成物中で用いる本発明の化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることができよう。
一般に、本発明の化合物の適切な日用量が、治療効果を生じるのに効果的な最低の用量である化合物のその量であろう。かかる有効量は、一般には、上述の因子に依存するであろう。一般に、患者に対する本発明の化合物の静脈内、脳室内および皮下用量は一日当たり体重1キログラム(kg)につき約0.0001mgから約100mg;約0.0001mg/kgから約500mg/kg;または0.0001mg/kgから約1000mg/kgの範囲となろう。
所望により、活性のある化合物の有効な日用量は、任意に単位投与形態にて、日を通じて適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6またはそれ以上のサブ用量として投与されることができる。
用語「処置」は、予防、治療および治癒も含むことを意図する。
この処置を受ける患者は霊長類、特にヒトならびにウマ、ウシ、ブタおよびヒツジ等の他の哺乳動物;ならびに一般に家禽およびペットを含む、必要とする任意の動物である。
本発明の化合物はそれ自体で、または薬学的に許容され得る担体との混合物で投与することができ、また、刺激剤、抗鬱薬、神経伝達物質のモジュレータ、および抗痙攣薬等の他の精神活性な薬物と共に投与することもできる。かくして、組み合わせ療法は、後のものが投与されるときに、最初に投与されたものの治療効果が完全には消失しないような活性のある化合物の連続、同時および別々の投与を含む。
本発明の化合物は単独で投与することが可能であるが、化合物を医薬製剤(組成物)として投与するのが好ましい。本発明によるアンフェタミン化合物は、ヒトまたは動物医療で用いるための任意の便利な方法で投与用に処方することができる。
かくして、本発明のある側面は、一つ以上の薬学的に許容され得る担体(添加剤)および/または希釈剤と一緒に製剤化された、治療上有効量の上述の化合物の一つ以上を含む薬学的に許容され得る組成物を提供する。後に詳細に記載するように、以下の(1)経口投与、例えば、舌に適用するための水薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、ペースト;(2)例えば滅菌溶液または懸濁液としての、例えば皮下、筋肉内または静脈内注射による非経口投与;(3)例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏またはスプレーとしての局所適用;または(4)例えばペッサリー、クリームまたはフォームとしての膣内または直腸内に適合するものを含めた、本発明の医薬組成物は固体または液体形態の投与用に特別に製剤化することができる。しかし、ある態様においては、本化合物は単純に滅菌水に溶解または懸濁させることができる。
本明細書中で用いる句「薬学的に許容され得る担体」は、身体のある器官または一部から本レギュレータを身体の別の器官または部分まで運ぶまたは輸送するのに関与する、液状または固形のフィルター、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質等の薬学的に許容され得る物質、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し、患者に有害でない意味で「許容され得る」ものでなければならない。薬学的に許容され得る担体として働くことができる物質のいくつかの例としては(1)ラクトース、グルコースおよびスクロース等の糖;(2)トウモロコシ澱粉およびジャガイモ澱粉等の澱粉;(3)セルロース、ならびにナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース等のその誘導体;(4)粉状トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターおよび坐剤ワックス等の賦形剤;(9)落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油等の油;(10)プロピレングリコール等のグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびプロピレングリコール等のポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等のエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液溶液;ならびに(21)医薬製剤で使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。
上述のように、本発明のアンフェタミン化合物のある態様はアミノまたはアルキルアミノ等の塩基性官能基を含むことができ、かくして、薬学的に許容され得る酸と共に薬学的に許容され得る塩を形成することができる。この点に関して、用語「薬学的に許容され得る塩」とは、本発明の化合物の比較的非毒性の無機および有機酸付加塩をいう。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチュで、または本発明の精製された化合物をその遊離塩基形態で適当な有機または無機酸と別々に反応させ、かく形成された塩を単離することによって調製することができる。代表的な塩としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる;2-ヒドロキシエタンスルホネート、2-ナフタレンスルホネート、3-ヒドロキシン-2-ナフトエート、3-フェニルプロピオネート、アセテート、アジペート、アルギネート、アムソネート、アスパルテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ベシレート、バイカルボネート、バイスルフェート、バイタルトレート、ボレート、ブチレート、エデト酸カルシウム、カンフォレート、ショウノウスルフォネート、カムシレート、カルボネート、シトレート、クラブラリエート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エデテート、エジシレート、エストレート、エシレート、エタンスルホネート、フマレート、グルセプテート、グルコヘプタノエート、グルコネート、グルタメート、グリセロホスフェート、グリコリルアルサニレート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサノエート、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソチオネート、ラクテート、ラクトビオネート、ラウレート、ラウリルスルホネート、マレート、マレエート、マンデレート、メシレート、メタンスルホネート、メチルブロマイド、メチルニトレート、メチルスルフェート、ムケート、ナフチレート、ナプシレート、ニコチネート、ニトレート、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレエート、オキサレート、パルミテート、パモエート、パントテネート、ペクチネート、ペルスルフェート、ホスフェート、フホフェート/ジホスフェート、ピクレート、ピバレート、ポリガラクトウロネート、プロピオネート、p-トルエンスルホネート、サンシレート、ステアレート、セバセテート、スクシネート、スルフェート、スルホサリキュレート、スラメート、タンネート、タルトレート、テオクレート、チオシアネート、トシレート、トリエチオダイド、ウンデカノエート、およびバレレート塩等(例えば、Bergeら(1977) 「Pharmaceutical Salts」、 J.Pharm.Sci.66:1-19参照)。
ある態様において、本化合物の薬学的に許容され得る塩としては、例えば、非毒性有機または無機酸からの化合物の慣用的な非毒性塩が挙げられる。弱酸の塩が特に適している。例えば、かかる慣用的な非毒性塩としては塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、桂皮酸、グルコン酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸に由来するもの;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などのような有機酸から調製された塩が挙げられる。
他の場合において、本発明の化合物は1つ以上の酸性官能基を含んでもよく、かくして、薬学的に許容され得る塩基と共に薬学的に許容され得る塩を形成することができる。これらの例において用語「薬学的に許容され得る塩」とは、本発明の化合物の比較的非毒性の、無機および有機塩基付加塩をいう。これらの塩は、同様に、化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチュで、または精製された化合物をその遊離酸形態で、薬学的に許容され得る金属カチオンの水酸化物、カルボネートまたはバイカルボネートのような適切な塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容され得る有機第一級、第二級または第三級アミンと別々に反応させることによって、調製することができる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとして、はエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等が挙げられる(例えば、Bergeら, 前掲参照)。
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料剤、保存剤および抗酸化剤を組成物に存在させることができる。
薬学的に許容され得る抗酸化剤の例としては(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、二硫酸ナトリウム、メタ二硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール等のような油溶性抗酸化剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート試薬が挙げられる。
本発明の製剤としては、経口、鼻腔、(口内および舌下を含めた)局所、直腸、膣および/または非経口投与に適したものが挙げられる。この製剤は、便宜には、単一用量形態で提供されてもよく、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製されてもよい。担体物質と組み合わせて単一用量形態を生じることができる有効成分の量は治療される宿主、特定の投与の様式に依存して変化するであろう。担体物質と組み合わせて単一用量形態を生じさせることができる有効成分の量は、一般には、治療効果を生じる化合物のその量であろう。一般には、100パーセントのうち、この量は約1パーセントから約99パーセントの有効成分、好ましくは約5パーセントから約70パーセント、最も好ましくは約10パーセントから約30パーセントの範囲であろう。
これらの製剤または組成物を調製する方法は、本発明の化合物を担体、および任意に、1つ以上の補助的成分と会合させる工程を含む。一般には、製剤は、本発明の化合物を液状の担体、または微細に分割された固形の担体、または双方と均一かつ密接に会合させ、必要であれば、次いで生成物を賦形することによって調製される。
経口投与に適した本発明の製剤はカプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、(香味ベース、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いる)ロゼンジ、粉末、顆粒の形態で、または水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油型または油中水型液体エマルジョンとして、またはエリキシルまたはシロップ、または(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアのような不活性基剤を用いる)香錠として、および/またはマウスウォッシュ等としてあってもよく、各々が所定の量の有効成分としての本発明の化合物を含有する。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与してもよい。
経口投与用の本発明の固体投与形態(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒等)において、有効成分はクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム等の1つ以上の薬学的に許容され得る担体、および/または以下の(1)澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸等の充填剤またはエキステンダー;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルジネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア等の結合剤;(3)グリセロール等の湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤;(5)パラフィン等の溶解遅延剤;(6)第四アンモニウム化合物等の吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート等の湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイトクレイ等の吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物等の潤滑剤;および(10)着色剤のいずれかと混合される。カプセル、錠剤および丸剤の場合には、医薬組成物はまた、緩衝剤を含んでもよい。同様のタイプの固形組成物もまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いてソフトおよびハードゼラチンカプセル中で充填剤として使用してもよい。
錠剤を、任意に、1つ以上の補助的成分と共に、圧縮または成型することによって作成してもよい。圧縮錠剤は結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウムまたは架橋したナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤または分散剤を用いて調製してもよい。成型された錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を適当な機械で成型することによって作成することができる。
糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒等の本発明の医薬組成物の錠剤および他の固体投与形態は、任意に、腸溶コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングのようなコーティングおよび外皮で刻むか調製してもよい。それらは、例えば、所望の放出プロフィールを提供するための種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いてその中の有効成分の遅延または放出制御を提供するように製剤化してもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターを通じての濾過によって、または滅菌水、またはなんらかの他の滅菌注射可能媒体に使用直前に溶解させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を混合することによって滅菌してもよい。また、これらの組成物は、任意に、不透明化剤を含有してもよく、好ましくは胃腸管のある部分で、任意に、遅延された様式で有効成分のみを放出する組成物としてもよい。用いることができる包埋組成物の例はポリマー物質およびワックスを含む。また、有効成分は、適当には、1つ以上の前述の賦形剤とでマイクロカプセル化形態とすることができる。
本発明の化合物の経口投与用の液体投与形態としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。有効成分に加えて、液体投与形態は、例えば水または他の溶媒等の当該分野で一般に使用される不活性な希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、アメリカホドイモ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物等の可溶化剤および乳化剤を含んでもよい。
不活性な希釈剤以外に、経口組成物は湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤、香料剤および保存剤等の補助剤を含むこともできる。
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキサイド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物のような懸濁剤を含有してもよい。
直腸または膣投与用の本発明の医薬組成物の製剤は坐剤として提供してもよく、これは、本発明の1つ以上の化合物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチル酸塩を含む、1つ以上の適当な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製してもよく、これは、室温で固体であるが、体温で液体であり、従って直腸または膣腔で融解し、活性のあるアンフェタミン化合物を放出する。
膣投与に適した本発明の製剤は、当該分野において適当であることが公知であるかかる担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤も含む。
本発明の化合物の局所または経皮投与用の投与形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が挙げられる。活性のある化合物は薬学的に許容され得る担体と、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝液または高圧ガスと滅菌条件下で混合してもよい。
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性のある化合物に加えて、動物性および植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物等の賦形剤を含んでもよい。
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含有し得る。スプレーは、加えて、クロロフルオロハイドロカーボン等の慣用的高圧ガス、およびブタンおよびプロパンのような揮発性非置換炭化水素を含有してもよい。
ある態様において、本化合物は経皮パッチの一部として製剤化される。経皮パッチは、本発明の化合物の身体への制御された送達を提供するというさらなる利点を有する。かかる投与形態は、アンフェタミン化合物を適当な媒体に溶解または分散させることによって作成することができる。また、吸収促進剤を用いて、皮膚を通ってのアンフェタミン化合物の流動を増加させることもできる。かかる流動の速度は速度制御膜を提供することか、化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることのいずれかによって制御することができる。
アンフェタミンの「遊離塩基形態」は、アンフェタミンが酸と複合体化しない、例えば、アンモニア塩ではない形態に関する。かかる形態はパッチに取り込んでもよい。アンフェタミン化合物は、例えばパッチの薬物保持マトリックスの要素と複合体化してもよく、それ自体、アンフェタミン化合物は、パッチによって実際に保持される場合には、必ずしも遊離塩基の形態である訳ではないことが理解されよう。
パッチは、好ましくは、薬物不浸透性バッキング層を含む。経皮または薬用パッチで用いてもよい薬物不浸透性バッキング層の適当な例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、塩化ポリビニル、塩化ポリビニリデン、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)、酢酸ビニル塩化ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロースのフィルムまたはシート、その金属蒸気蒸着フィルムまたはそのシート、ゴムシートまたはフィルム、発泡合成樹脂シートまたはフィルム、不織布、織物、編物、紙およびホイルを含む。好ましい薬物不浸透性弾性バッキング材料はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、可塑化ポリ塩化ビニル、織布および不織布から選択される。不織ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephithalate)(PET)が特に好ましい。他のバッキングは当業者に容易に明らかであろう。
本発明の好ましい接着剤における用語「ブロック共重合体」は、一緒に末端で(tenninally)結合した2つ以上の化学的に類似しないポリマー構造よりなる高分子をいう(Block Copolymers:Overview and Critical Survey, Noshay およびMcGrath, 1977)。これらの類似しないポリマー構造、部分またはセグメントはブロック共重合体の「ブロック」を表す。ブロックは、一般には、A-B構造、A-B-A構造、マルチブロック-(A−B)n系で配置していてもよく、ここでAおよびBはブロック共重合体の化学的に区別されるポリマーセグメントである。
一般に、ブロック共重合体はA-B-A構造のものであるのが好ましく、特に、ここでAおよびBの一方はアクリルタイプのポリマーユニットである。本発明は、A-B-Cブロック共重合体等の3つ以上の異なるブロックを保有するブロック共重合体を用いて適用することもできるのが理解されよう。しかしながら、便宜のために、以後、ブロック共重合体への言及は、AおよびBサブユニットのみがあると仮定するが、かかる言及は、特に指示のない限り、2つを超える異なるサブユニットを有するブロック共重合体も包含することが理解されよう。
ブロック共重合体の特性はAブロックおよびBブロックの性質によってかなり大いに決定されることが理解されよう。ブロック共重合体は通常「ハード」および「ソフト」セグメント双方を保有する。「ハード」セグメントは、室温を超えるガラス転移温度(Tg)および/または融解温度(Tm)を有するポリマーであり、他方、「ソフト」セグメントは室温未満のTg(および恐らくはTm)を有するポリマーである。異なるセグメントは、異なる特性をブロック共重合体に付与すると考えられる。理論に拘束されることなく、別々のブロック共重合体ユニットのハードセグメントの会合の結果、ブロック共重合体内に物理的架橋がもたらされ、それにより、ブロック共重合体の粘着特性を促進すると考えられる。ブロック共重合体のハードセグメントがそのような物理的に近い会合を形成するのが特に好ましい。
本発明で有用なブロック共重合体は、好ましくは、アクリルブロック共重合体である。アクリルブロック共重合体においては、ブロック共重合体のブロックの少なくとも1つはアクリル酸ポリマー、またはアクリル酸誘導体のポリマーである。該ポリマーはちょうど1つの反復したモノマー種よりなってもよい。しかしながら、モノマー種の混合物を用いて、ブロックが本質的に共重合体であり得るようにブロックの各々を形成してもよいことが理解されよう。異なるモノマーの組み合わせの使用は、得られるブロック共重合体の種々の特性に影響し得る。特に、用いるモノマーの比率または性質の変動は、ブロック共重合体のソフトセグメントが1つより多いモノマー種よりなることが有利であるように、付着、付加および粘着等の特性が調節できるようにする。
アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートを重合して、ブロック共重合体のソフト部分を形成するのが好ましい。アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートは付加および接着の特性を提供すると考えられる。適当なアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートとしては、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレートおよびトリデシルメタクリレートが挙げられるが、他の適当なアクリレートおよびメタクリレートは同業者に容易に明らかであろう。アクリルブロック共重合体は少なくとも50重量%のアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート(コ)ポリマーを含むのが好ましい。
ソフトセグメントの成分の変動は、ブロック共重合体の全般手的な特性に影響するが、必須の特徴はソフトセグメントの架橋のままである。例えば、本質的には、ほぼ等しい割合のブチルアクリレートおよび/または2-エチルヘキシルアクリレートのいずれかと共にジアセトンアクリルアミドよりなるソフトセグメントは、よく効果を発揮し、約3:4:4の重量比は良好な結果を提供する。ジアセトンアクリルアミド、またはヒドロキシエチルメタクリレートまたは酢酸ビニル等の他の極性モノマーを、例えば、ソフトセグメントのモノマー混合物の50%w/wを超えずに、これが低下した接着に導き得るように存在させるのが好ましい。アクリレート成分は、一般には、より自由に変化させることができ、2-エチルヘキシルアクリレートおよびブチルアクリレート双方を一緒にまたは個々に観察される良好な結果が伴う。
上述したように、種々のモノマーの比率は、一般には、ほぼ等しいのが好ましい。接着剤では、これはソフトセグメントの50%以下の極性成分と共にあるのが好ましく、無極性部分は約85%w/wまで、好ましくは50と70%w/wの間を形成する。上の例において、これは約18%(3)極性に対して約72%(4+4)極性である。
一般に、用いるいずれの無極性モノマーも接着剤に対して酸性を付与しないのが特に好ましい。本発明の接着剤は好ましくは本質的には中性であり、これは、アンフェタミン化合物のいかなる不必要な変性も回避する。
限定的活性官能性、特に活性水素を持つものは、どのようにしてそれがその環境と化学的に相互作用するであろうかを考慮する必要なく、任意の所定の接着剤の製剤の広い使用を可能とするためには一般的に好ましい。かくして、反対に、一般的に化学的に不活性な接着剤が、要件の非存在下では好ましい。
上述のように、ブロック共重合体のハード部分として用いるのに適したポリマーは室温を超えるガラス転移温度を保有する。ハードセグメントポリマーを形成するのに用いるのに適当なモノマーとしては、スチレン、x-メチルスチレン、メチルメタクリレートおよびビニルピロリドンを含むが、他の適当なモノマーは当業者に容易に明らかであろう。スチレンおよびポリメチルメタクリレートは、ブロック共重合体のハードセグメントの形成で用いるのに適していることが判明した。ブロック共重合体のハード部分は、全ブロック共重合体の3から30%w/w、特に好ましくは5から15%w/wを形成するのが好ましい。
ブロック共重合体は、ソフト部分がある程度の化学的架橋を含む点でさらに特徴付けられる。かかる架橋は任意の適当な架橋剤によって行うことができる。架橋剤は、重合の間にソフトセグメントへの取り込みに適したモノマーの形態であるのが特に好ましい。好ましくは、架橋剤はモノマーの1分子当たりビニル基等の2つ以上のラジカル重合可能な基、初期重合の間に変化せず、それにより得られるブロック共重合体の架橋を可能にする傾向がある少なくとも1つのものを有する。
本発明で用いる適当な架橋剤としては、ジビニルベンゼン、メチレンビス-アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、またはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられるが、他の適当な架橋剤は当業者に容易に明らかであろう。好ましい架橋剤はテトラエチレングリコールジメタアクリレートである。架橋剤は約0.01から約0.6重量%の間のブロック共重合体を含むことが好ましく、約0.1から約0.4重量%であることが特に好ましい。
ブロック共重合体の、それらのモノマー構成要素からの製造方法は周知である。本発明のブロック共重合体部分は、段階成長、アニオン、カチオンおよびフリーラジカル方法等の任意の適当な方法によって製造してもよい(Block Copolymers, 前掲)。フリーラジカル方法は、溶媒およびモノマーを精製する必要がないので、アニオン重合等の他の方法よりも一般的に好ましい。
重合に適した開始剤としては、1分子当たり1つより多いペルオキシド部位を持つポリマーペルオキシドが挙げられる。反応条件の適切な選択は、一旦適当な開始剤が選択されたならば、当業者の十分に技能内のものである。
開始剤は、好ましくは、約0.005から約0.1重量%のブロック共重合体の量で用いられ、約0.01から約0.05重量%が特に好ましいが、選択されたこの量は、再度言うが、当業者の十分に技能内のものであることが理解されよう。特に、この量は混合物の瞬時のゲル化を引き起こす程多くはなく、また、重合を遅延させ、過剰の残存するモノマーを残す程低くもないことが好ましい。残存するモノマーの好ましいレベルは約2000ppm未満である。
また、開始剤の量は、開始剤それ自体およびモノマーの性質のような考慮に依存して、実質的に変化するであろうことも理解されよう。
ブロック共重合体は接着剤であり、好ましくは感圧接着剤である。感圧接着剤は、手での圧力により表面に適用することができ、熱、水または溶媒による活性化を必要としない。そのため、それらは本発明に従った使用に特に適当である。
ブロック共重合体は粘着性付与剤なしで用いてもよく、そのため特に有利である。しかしながら、必要とされるかまたは望ましければ、ブロック共重合体は粘着性付与剤と組み合わせて用いて、改良された付加を提供することもできることが理解されよう。適当な粘着性付与剤は周知であり、当業者に容易に明らかであろう。
理論に拘束されることなく、ハード部分との間の一般的に疎水性相互作用と組み合わせた共重合体のソフトセグメントの間の化学的架橋、またはハード部分の間の物理的架橋の組み合わせは「マトリックス様」構造をもたらすと考えられる。ハードセグメントの物理的架橋のみを有する共重合体はかかるマトリックスを形成できそうにない。ブロック共重合体の架橋の双方の形態の組み合わせは、良好な内部強度(凝集)および高い薬物貯蔵容量を提供すると考えられる。
より詳しくは、ハードセグメントは会合して「島」または節を形成し、ソフトセグメントはこれらの節から、およびそれらの間で放射状に延びると考えられる。
島の間の「海」における規定された物理的構造があり、そこでは、ソフトセグメントは架橋しており、従って、ソフトセグメントの広範に混ざり合う必要性はない。この結果、ブロック共重合体全体のより大きな凝集がもたらされる一方で、同時に、短くされたソフトセグメントの長さを可能とし、依然として島の間と同じ大きさの、またはより大きな距離を有し、それにより、良好な薬物貯蔵容量を可能とされる。
ブロック共重合体は、好ましくは、架橋がコーティングの後に適時に起こることができるように、溶媒が除去されるにつれ架橋され、これは好ましい方法である。
従って、ブロック共重合体は表面に容易にコートすることができるのみならず、完全な溶液はコーティングの前に一定期間貯蔵することもできる。従って、パッチの製造方法において、この方法は、好ましくは、溶液中の各ソフトセグメントのモノマー構成要素を重合し、次いで、ハードセグメントの構成要素を各得られた溶液に加え、得られた混合物を重合し、続いて、蒸発によるような任意の溶媒または溶媒系の除去によって架橋することを含む。任意の時間の間溶液を貯蔵するのであれば、ポリマーを沈殿しないようにすることが必要であり、これは、懸濁化剤または振盪によるような公知の手段によって達成してもよい。また、溶媒が蒸発するまで、実質的に架橋に供されないポリマーのタイプを選択することも必要であろう。
一般に、接着剤は、接着剤物質に混合するのが望ましい任意の薬剤とのような望ましくない反応/相互作用を回避するために、活性酸素を有する最小数の官能性を有するのが好ましい。これは好ましい制限であるにすぎず、当業者によって任意の接着剤も個々の要件に適するように仕立てることができるのは理解されよう。
ハードセグメントを形成するのに用いられる適当なモノマーとしては、スチレン、a-メチルスチレン、メチルメタクリレートおよびビニルピロリドンが挙げられ、ハードセグメントの好ましい割合は約5から約15%(w/w)の間である。特に、約30%を超える薬物をかかる系に負荷するのが可能であるので、WO 99/02141の化合物を用いるのが有利である。
かくして、本発明のパッチにおいては、必要な薬物の量を計算し、患者の体重に従った所定の薬物負荷を有する適切なパッチのサイズを決定するのが一般に可能であり、これは当業者によって容易に計算することができる。
ある態様において、イソプロピルミリステート(IPM)等の少量の可塑剤を混合する。これは、アンフェタミンを可溶化するのを助け、ならびに皮膚に対して接着剤をより粗くなくする利点を有する。約2から約25重量%の間のレベルが一般には有用であり、約3から約20%の間のレベルがより好ましく、約5から約15%のレベル、特に約10%が最も好ましい。また、他の可塑剤を用いてもよく、適当な可塑剤は当業者に容易に明らかであろう。
可塑剤は、一般には、接着性ポリマーに導入される油状物質の形態を取る。かかる油状物質の導入の効果は、接着剤の物理的構造を柔軟にし、他方、同時に、接着剤および皮膚の間の界面で作用し、それにより、接着剤を幾分弱め、剥離を低下させるのを助ける。
遊離塩基油は、アンフェタミン塩、または任意の他の適当な塩を、親水性溶媒、特に水、および有機溶媒の存在下で適当な塩基で塩基性化することによって得てもよい。例えば、ほぼ等しい割合の水および酢酸エチルはよく作用し、アンモニアは塩基性化剤として働く。次いで、水を除去し、調製物をさらなる水または他の水性調製物で洗浄し、その後にこの調製物を、例えば、酢酸エチルを除去した後にエーテルで適切に抽出することができる。調製物を、特に完了した後不活性な雰囲気下に保つのが好ましい。
一旦所定の用量を終了するのが望ましければ、本発明のパッチは任意の時点で患者から取り外すことができることが理解されるが、これは部分的に放出されたパッチの潜在的薬物乱用の機会を提供する不利を有し得る。アンフェタミンの乱用はかなり望ましくない。
ある態様において、パッチが所定の場所に放置でき、薬物のレベルが依然としてかなり低下するように、適用の後24時間以内に、約8時間まで送達することができるアンフェタミンの大部分を送達したように仕立てたパッチを用いるのが有利であり得る。薬物の送達プロフィールは、薬物の大部分が日の主要部分の間に送達され、患者がパッチを取り外すのを忘れた場合であっても、薬物は日の最後までに消耗に向けて移動し、薬物の量は迅速に降下しつつあるように、一次反応速度を有するのが有利である。
本発明のパッチは、経皮パッチの製造についての当該分野公知の任意の適当な方法で構築することができることが理解されよう。パッチは、単純に、接着剤、薬物およびバッキングを含むことができ、あるいはパッチの側面からの薬物の滲出を妨げるための縁をつけることを有するように、より複雑であってもよい。パッチは多層であってもよい。
眼用の処方、眼軟膏、粉末、溶液等もまた本発明の範囲内にあると考えられる。
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る滅菌等張水性または非水性溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射可能溶液または分散液に再構成できる滅菌粉末と組み合わせた本発明の1つ以上の化合物を含み、これは抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を、意図した受容者の血液もしくは懸濁化剤もしくは増粘剤と等張にする溶質を含有してもよい。
本発明の医薬組成物で使用できる適当な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような)ポリオール、およびその適当な混合物、オリーブ油等の植物油およびオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルを含む。適当な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング物質の使用によって、分散液の場合には必要な粒子径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
これらの組成物は保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤等の補助剤を含有してもよい。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などのような種々の抗菌剤および抗真菌剤を含めることによって確実にすることができる。また、組成物に糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を含めるのも望ましいであろう。加えて、注射可能な医薬形態の延長された吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン等の、吸収を遅らせる薬剤を含めることによってもたらしてもよい。
いくつかの場合において、薬物の効果を延長するためには、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、低い水溶解度を有する結晶性または非晶質物質の液体懸濁液の使用によって達成してもよい。このとき、薬物の吸収速度は、次には結晶のサイズおよび結晶形態に依存し得るその溶解速度に依存する。あるいは、非経口投与された薬物形態の遅延された吸収は、薬物を油ビヒクルに薬物を溶解または懸濁させることによって達成される。
注射可能な蓄積形態は、ポリラクチド-ポリグリコリド等の生分解性ポリマー中で本化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作成される。ポリマーに対する薬物の比率、および使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含む。また、蓄積注射可能な処方はまた、薬物を、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに捕獲することによっても調製される。
本発明の化合物を医薬としてヒトおよび動物に投与する場合、それらはそれ自体、あるいは例えば、薬学的に許容され得る担体と組み合わせた約0.1から約99.5%(より好ましくは、約0.5から約90%)の有効成分を含有する医薬組成物として与えることができる。
本発明の活性のある化合物の動物飼料への添加は、好ましくは、有効量の活性のある化合物を含有する適切な飼料プレミックスを調製し、該プレミックスを完全な分配に混合することによって達成される。
あるいは、有効成分を含有する中間濃縮物または飼料補充物を飼料にブレンドすることができる。かかる飼料プレミックスおよび完全な分配を調製し、投与することができる方法は、参考図書(「Applied Animal Nutrition」,W.H. Freedman and Co., San Francisco, U.S.A., 1969または「Livestock Feeds and Feeding」O and B Books, Corvallis, Ore.,U.S.A., 1977のような)に記載されている。
本発明の化合物の例示的使用
種々の態様において、本発明では、1つ以上のアンフェタミン化合物を利用する治療および予防の様式が考えられる。これらの薬剤は、記憶の固定の発生を増加させるか、または記憶の固定を弱める動物における欠陥の効果を減少させるか防止するのに有用であり得る。他の態様において、本発明の調製物は、単に、正常な記憶機能を増強するのに用いることができる。
種々の他の態様において、本発明では、1つ以上の本アンフェタミン化合物を利用して、生物において注意持続期間および/または焦点における欠陥を変化させる治療および予防の様式が考えられる。生物における注意持続期間の増強および/または回復は、陽性の行動、社会的および心理的結果を有する。加えて、注意持続期間の増強は記憶および学習を改善することができる。
ある態様において、本方法を用いて、減少した陳述記憶が、例えば、手法的記憶とは反対の徴候である障害を有する、またはそれを発生する危険性があると診断された患者を治療することができる。また、本方法を用いて、改善された陳述記憶が望まれる正常な個体を治療することもできる。
本発明に従って治療し得る記憶障害は多数の起源;機能的機構(不安、鬱病)、生理学的老化(加齢による記憶障害、軽度認知障害等)、薬物、または多発性硬化症、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、化学療法、外傷性脳損傷、脳卒中またはパーキンソン病に関連した解剖学的損傷(痴呆症)を有してもよい。かかる調製物が有用であり得る適用としては、学習障害、例えば毒物曝露による記憶障害、脳損傷、脳動脈瘤、年齢、精神分裂病、癲癇、子供における精神遅滞およびアルツハイマー病を含む老人性痴呆症が挙げられる。
ある態様において、本発明では、健忘症の治療が考えられる。健忘症は陳述記憶における具体的欠陥として記載される。記憶の忠実な暗号化は情報の登録、リハーサルおよび保持を必要とする。第一の2つの要素は、海馬および内側側頭葉構造を含むようである。保持または貯蔵は、ヘテロモード会合領域を含むようである。健忘症は貯蔵された記憶の喪失、または新しい記憶の形成の不能として経験し得る。貯蔵された記憶の喪失は逆向性健忘症として公知である。新しい記憶の形成の不能は、前向性健忘症として公知である。
記憶の問題の愁訴は共通している。弱い集中、弱い覚醒および弱い注意は、全て、記憶のプロセスをある程度破壊するであろう。従って、記憶の問題の主観的愁訴は真性の健忘症と区別されなければならない。これは、通常、より肉眼の評価において、かつ具体的な神経心理学的テストを通じて枕元でなされる。視覚的および言語的記憶における欠陥は、かかるテストを通じて分離され得る。健忘症においては、定義上、論理等の他の精神的容量の保存がある。上述の記憶の神経生物学的理論は、健忘症は比較的少ない病理生物学的変動を有するであろうと予測するであろう。臨床的には、健忘症の問題は、しばしば、他の点では健康な個体における突然の疾患の結果として出現する。
本方法によって治療し得る健忘症の例示的形態としては、短い持続期間の健忘症、アルコール性ブラックアウト、ヴェルニッケ−コルサコフ(早期)、部分複雑発作、一過性全健忘症、トリアゾラム(ハルシオン)のような投薬、および脳底動脈偏頭痛に関連する健忘症が挙げられる。また、本方法を用いて、震盪後等の、または単純ヘルペス脳炎の結果としてのより長い持続期間の健忘症を治療してもよい。
ある態様において、本発明では、前交通動脈症候群の治療が考えられる。この症候群は、前交通動脈瘤の生存者の間で一般的に見られ、しばしばより古い記憶のならびに知能および注意を相対的に残す、新しい記憶形成における特異的な欠損である前向性健忘症を含む。前交通動脈症候群はいくらかの人格の変化および作話症も含み得る。男性における前交通動脈症候群は、動脈瘤からの複合損傷および動脈瘤の外科的または血管内治療に従属的な、基底前脳領域(特に、内測中隔領域)における焦点損傷の結果であることの、解剖学的および臨床的証拠がかなりある。
加えて、本発明の化合物は正常な個体における記憶、特にヒトにおける記憶の固定を増強する。
以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、これは決して限定を意図しない。
実施例
本発明を一般的に記載してきたが、単に本発明のある側面および態様を説明する目的で含まれ、本発明の限定を意図しない以下の実施例を参照してより容易に理解されるであろう。
阻害回避(IA)課題(本明細書中では「受動的回避」ともいう)(Bammer, G., Neurosci & Biobev. Rev.6:247-296(1982))および自然物体認識(SOR)課題(Ennaceur,A.,ら,Psychopharmacol.109:321-330(1992);Ennaceur,A.,ら,Behav. Brain Res.33:197-207(1989))は、一貫し、かつ長期にわたる記憶を研究者に提供し得るよく研究された行動範例である。この範例は一つの訓練テストおよび一つの保持テストよりなる。訓練の前または後のいずれかに、テスト物質をラットに投与することができる。向上した記憶は、テスト物質投与の結果として、保持テストで明らかである。以下の実験の目的は、ラットにおいてIAおよびSOR記憶に対するアンフェタミンの効果を調べることであった。
一般的実験手順
阻害回避
阻害回避装置(Coulbourn Instruments)は、スライド式ギロチンドアによって連結させた明チャンバーおよび暗チャンバーよりなるものであった。暗区画の床は2.4mm直径のスチールロッドよりなり、それを通って、足ショックを一定電流の18極ショックスクランブラーによって動物に投与することができた。テスト装置を通気された音減衰キャビネットで囲い、Graphic State(登録商標)Notation Software (バージョン1.013)およびHewlett Packard Pavilion コンピュ−タによって制御した。訓練は10秒間明チャンバーに入れたラットを含み、その後、スライド式ドアを開き、ラットに暗チャンバーに到達させた。暗チャンバーに入れてから2秒のち、連続した0.46mA足ショックを、床グリッドを通して2秒間送達した。動物を、次いで、装置から取り出し、ホームケージに戻した。訓練から24時間の後、動物に保持テストを受けさせた。保持テストは、足ショックを送達しなかった以外は訓練と同一であった。暗チャンバーに入る待ち時間を記憶し、次いで、動物をホームケージに戻した。データはGraphic State(登録商標)Notation softwareによって集め、適切なデータシート上に記録した。
自然物体認識
物体認識テスト用の装置はプレキシグラスのオープンフィールド活動チャンバーよりなり、30×30cmの面積である。チャンバー上方の壁にビデオカメラを設置した。3つのプラスチック物体を実験用の刺激として提供した。物体の2つは相互に同一であり、第3のものは異なった。ラットを連続した3日間オープンフィールドボックスに個々に慣れさせた。慣れセッションは6分間持続させた。慣れの最終日から24時間後に、訓練セッションを行い、ここで2つの同一物体を後壁から10cmのオープンフィールドボックスに入れた。動物を該ボックスに入れ、4分の間自由に探索させた。訓練セッションから24時間後に、保持テストを行った。保持テストの間、ラットを、訓練セッションの間に用いた慣れた物体の一つ、および前にラットが見なかった新しい物体を備えた同一の活動ボックスに戻した。ラットに該ボックスおよび物体を4分の間探索させた。テストを各日同一時刻に行い、オフライン分析のためにビデオテープに撮った。2つの識別指標D1およびD2を計算して、認識記憶の強度を測定した。D1は新しい物体を探索するのに費やされた時間の量から慣れた物体を探索するのに費やされた時間の量を差し引いたものを反映し、D2はD1を総探索時間で割ったものを反映する。
活動モニタリング
活動モニタリングはプレキシグラスオープンフィールドボックス中で行った。活動レベルは、左から右、および後ろから前にケージを横切る赤外光ビームのグリッドによって測定した。動物の位置は赤外光ビーム中の中断によって検出した。一般的行動および活動レベルはココンピュ−タ化モニタリングシステムによって10分の間記録した。分析された行動としては、限定されるものではないが;水平活動、運動した合計距離、運動時間、運動の数、後ろ足で立った数、型にはまった運動の数、および急速に費やした時間が挙げられる。データはVersa Max(バージョン1.83)コンピュータソフトウエアおよびHewlett Packard Pavilionコンピュータを用いてオンライン収集した。
尾軽打
尾軽打無痛テストでは、動物を尾軽打モニターの頂部に置き、綿タオルで所定の位置に軽く保持した。動物の尾を2つのセンサーの間で、かつ放射熱ワイヤーの頂部の上にある浅い溝に入れた。尾軽打モニターを活性化し、動物がその尾を溝から出して熱源をはじく待ち時間を記録した。動物はテスト後ただちにホームケージに戻した。
脳弓損傷
ラットをネンブタール(55mg/kg)で麻酔し、手術の準備をした。ラットを定位装置に入れ、正中切開を行い、頭皮を収縮させて頭蓋を露出させた。頭蓋を洗浄し、滅菌生理食塩水および綿棒を用いて乾燥し、4つの定位的に決定した穴を以下の座標にて頭蓋にドリルで開けた:ブレグマから0.3および0.8mm後方、かつ中線から0.5および0.7mm外側。電極(テフロン被覆ワイヤー、直径125μm)を脳の中に4.6mmの深さまで下ろし、1.0mAの直流を、電極を介して10秒間の持続期間で通じた。次いで、電極を取り出し、創傷を縫合した。動物を定位装置から取り出し、十分に覚醒するまで手術後ケアおよびモニタリングを受けさせた。ラットを行動テストに先立って7日間の間回復させた。動物の健康状態を回復期間の間、日ベースでチェックした。
実施例1:用量反応テスト
(S)-(+)-アンフェタミンの阻害回避に対する効果
この実験では、IA課題で訓練する30分前に、ラットに3つの異なる用量の(S)-(+)-アンフェタミンを注射した。図1から分かるように、約2mg/kgの用量のアンフェタミンは課題の保持を向上し、他方、約0.25、約0.50および約1.0mg/kgの用量は効果を有しなかった。この結果を確認するために、第2の実験を行った。ラットに約2.0mg/kgのアンフェタミンを注射し、IA課題で訓練した。図2から分かるように、この用量の(S)-(+)-アンフェタミンは課題の保持を有意に向上した。不対t検定は、この増強が統計的に有意であることを示した。(p<0.01)。
阻害回避に対する(R)-(−)-アンフェタミン(C105)の効果
C105を用いて行う最初の実験は用量反応実験であり、ここで異なる用量のC105(約0.4、0.5、約0.75、1.0および約2.0mg/kg)を、阻害回避課題での訓練に1時間先立ってラットに投与した。課題についての保持を24時間後にテストした。データに関して片側ANOVAを行い、結果は用量レベルの群の間で統計的に有意な差を明らかにした (F(5,59)=3.368,p<0.01)。引き続くこの後の分析(Student Newman Keuls)は、1.0mg/kg群が生理食塩水注射対照よりも有意に良好に機能したことを示した(p<0.05)。また、0.5mg/kg用量は動物の動作の増強において効果的なように見えたが、この傾向は統計的有意性に到達しなかった。標的用量として0.5mg/kgを用いてこの実験を引き続いて繰り返して、この結果を確認した (9.1.4節参照)。用量反応データは個々に表3に掲げる。
阻害回避に対する(R)-(−)-アンフェタミン(C105)の効果
この実験においては、10匹のラットの4つの群に、IA課題に関して訓練するのに1時間先立って異なる用量(0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kgまたは4.0mg/kg)のアンフェタミンのR-(−)エナンチオマーを注射した。実験は24時間の保持間隔および0.46mAショック強度で行った。図8から分かるように、(S)-(+)-アンフェタミンで得られたのと同じ向上した保持効果にはかなり低い用量の(R)-(−)-アンフェタミンが必要である。(図1と比較されたし)。0.5kg/mgを超えて用量を増加させると、この用量で得られた保持結果をさらに向上することなく、おそらくは飽和効果を示す。
阻害回避に対する(R)-(−)-アンフェタミン(C105)の効果
0.5mg/kgよりも低いC105の用量が動作を増強させるか否かを調べるために、訓練に1時間先立って、ラットに0.1、0.25または0.5mg/kgのC105を注射した。保持を24時間後にテストした。この実験は、0.5mg/kgよりも低いC105の用量がラットの記憶力増強性能を向上するのに効果的ではないことを明らかにした。対照的に、0.5mg/kg用量は課題に対する動作を有意に増強させた。(F(3,39)=67450,p<0.0477)。これらのデータは個々に表4に示す。
実施例2:有効性の時間経過
この実験では、薬物投与の時間を変えて、最適な訓練前薬物投与時間を決定した。図3は、訓練前0から2時間の間でラットに投与した場合に(S)-(+)-アンフェタミン(2.0mg/kg)が効果的であることを示す。
実施例3:長期保持
この実験を行って、実験2で観察された増強された保持が長く続くか否かを判断した。ラットに、第1の保持テストから1週間後に第2の保持テストを受けさせた。その間に、更なる訓練または薬物を動物に投与しなかった。図4は、前の週に(S)-(+)-アンフェタミンを受容したラットが、ビヒクル溶液の対照注射を受けたラットよりも有意に良好に動作したことを示す (F(4,47)=3.688,p<0.01)。
実施例4:損傷動物に対する効果
損傷動物に対する(S)-(+)-アンフェタミンの効果
上述した実験の知見はこの化合物についての最も効果的な用量および投与の時間を同定するので、重要である。さらに、結果は、正常なラットにおいて(S)-(+)-アンフェタミンが記憶を向上し、この向上が長期に持続することを示す。次の実験において、本発明者らは、健忘症のラットの動作がd-アンフェタミンの投与によって改善し得るか否かを調べた。この実験において、対照ラットおよび脳弓の損傷を有するラットに生理食塩水またはd-アンフェタミン(2.0mg/kg)のいずれかの注射を受けさせ、一時間後にIA課題についてテストした。
図5が示すように、(S)-(+)-アンフェタミンは正常なラットの動作を劇的に増強させ、加えて、脳弓損傷ラットの動作を改善したように見えた。片側ANOVAは、4つの群の性能の間に有意な差があることを示した(F(3,36)=8.687,p<0.002)。スチューデント−ニューマン−ケルズのこの後のテストは、(S)-(+)-アンフェタミンを受けた正常ラットの動作は全ての他の実験群に関して有意に増強されたことをまず明らかにした(p<0.05)。加えて、(S)-(+)-アンフェタミンを受けた脳弓動物の動作が正常な生理食塩水注射動物とは有意に異ならなかった。これらの結果は、アンフェタミンが正常なラットにおいて記憶を増強でき、脳が損傷した健忘症のラットにおいて有益な効果を有することを示す。
損傷動物に対する(R)-(−)-アンフェタミンの効果
脳弓の両側損傷を持つラットを阻害回避課題についてテストした。テストに1時間先立って、全てのラットにテスト(0.5、1.0、2.0および4.0mg/kg)または対照品を注射した。片側ANOVAは、用量の有意な主要効果があったことを示した(F(4,45)=15580,p<0.0316)。1.0mg/kgの用量のC105が、脳弓損傷動物の動作を改善するのに最も効果的であるように見えた。この実験からのデータを図12に示し、表7に個々に掲げる。
脳弓の損傷を持つラットを物体認識課題についてもテストした。ラットには訓練セッション直後にC105(1.0mg/kg)または生理食塩水の腹腔内注射を受けさせ、24時間後に保持についてテストした。図13から分かるように、対照と比較した場合、脳弓の損傷はこの課題の動作に対して有害な効果を有した。C105の投与は、D1において識別性能の改善に向かう傾向を生じ(p=0.0685)、D2における動作をわずかに改善した。
実施例5:記憶の固定の刺激に対する(R)-(−)対(S)-(+)アンフェタミンエナンチオマーの効果
記憶の固定の刺激および運動刺激に対する(R)-(−)-アンフェタミンおよび(S)−(+)アンフェタミンエナンチオマーの効果を比較した。アンフェタミンの(R)-(−)エナンチオマーを図面中ではC105という。
阻害回避に対する(S)-(+)-アンフェタミンの効果
実験を行い、ここで、異なる用量の(S)-(+)-アンフェタミンを阻害回避課題についての訓練の1時間前にラットに投与し、生理食塩水を注射したラットの対照群と比較した。この課題についての保持を0.46mAショック強度で24時間後にテストした。この実験の結果を個々に表1および2に示し、2.0mg/kgの用量で投与した場合に、(S)-(+)-アンフェタミンが動作を増強させるように見えることを示した。該実験を、引き続いて、2.0mg/kgのテスト品用量を用いて数回反復した。これらの実験からの結果を図6に示し、(S)-(+)-アンフェタミンが阻害回避課題についての記憶を有意に増強したことを示す(t(76)=3.416,p<0.001)。これらの結果は、以前の研究と合致し、記憶増強薬物としての(S)-(+)-アンフェタミンの有効性を証明するのを助ける。
阻害回避に対する(R)-(−)-アンフェタミン(C105)の効果
用量反応テストからの結果を確認するために、(R)-(−)-アンフェタミンを用いた第2の実験を行った。IA課題に関して訓練する1時間前に、18匹のラットに0.5mg/kgの用量の(R)-(−)-アンフェタミンを注射した。(R)-(−)アンフェタミン処理ラットを生理食塩水を注射した対照ラットと比較した。実験は24時間保持間隔および0.46mAショック強度で行った。図9でわかるように、この用量の(R)-(−)-アンフェタミンはこの課題の保持を有意に向上した。不対t検定は、この増強が統計学的に有意であることを示した(p<0.002)。
上述の実験から得られた結果に基づき、いくつかのさらなる実験を行い、阻害回避に対する0.5mg/kg用量のC105の効果を調べた。図10に示され、および表5に個々に示されたデータは、全てのかかる実験の要約を表す。これらの実験の結果は、阻害回避課題によって測定された記憶増強効果を明瞭に示す。訓練から1時間前にC105(0.5mg/kg)を注射したラットは、24時間保持テストに関して対照動物よりも有意に良好に動作した(t(132)=3.438,p<0.0008)。
物体認識に対する(R)-(−)-アンフェタミン(C105)の効果
認識記憶に対するC105の効果を調べるために、ラットを自然物体認識課題に関して訓練した。訓練セッションの直後に、正常なラットに0.5mg/kgのC105を注射し、24時間後に保持につきテストした。実験の結果は、C105が認識記憶を有意に向上したことを示す。訓練セッション直後にテスト品の注射を受けたラットは、それらが新しい物体を保持テストの間に探すより多くの時間を費やしたので、それらの生理食塩水注射対照よりも有意に良好に動作した。慣れた物体と新しい物体との間の識別を反映する識別指標D1およびD2は共にC105処理動物において有意に高かった[各々、(t(51)=3.526,p<0.0147)および(t(51)=2.197,p<0.0024)]。これらの結果は特に興味深い。というのは、認識記憶は、それにより、被験体が、刺激が以前に経験されたことに気がつくプロセスだからである。このプロセスは、入ってくる刺激が同定され、記憶に貯蔵された以前遭遇した刺激の表示と比較されることを要する。認識記憶は毎日の生活の間に用いられ、認識記憶の失敗は、間違いなく、健忘症患者によって遭遇される問題に寄与する。この実験からの結果を図13に示し、個々のデータを表8に示す。
ここで(R)-(−)-アンフェタミン(C105)で得られた結果を(S)-(+)-アンフェタミンで得られたものと比較するのは興味深い。(S)-(+)-アンフェタミンは2.0mg/kgの用量で記憶増強効果を有し、他方、(R)-(−)-アンフェタミンは0.5mg/kgの用量で同一課題に対する記憶増強効果を有した。これらの2つの化合物の間の最終的な用量反応関係実験は行わなかったが、C105はラットにおいてこの特別な課題についてのより強い記憶増強剤であるようである。しかしながら、2つの化合物の最大効率は同一であることに注意すべきである。
実施例6:運動刺激に対する(R)-(−)対(S)-(+)-アンフェタミンの効果
活動レベルに対する(S)-(+)-アンフェタミンの効果
上述の結果についての比較点を提供するために、第2の実験を行い、ここで活動テストに先立ち、2mg/kgの(S)-(+)-アンフェタミンをラットに注射した。この実験についての結果を図7に示す。結果は、(S)-(+)-アンフェタミンが全10分のセッションで自発運動の明瞭かつ有意な増強を生じたことを示した。合計距離の変数に対する有意な主要効果(F(9,70)=1514000,p<0.0001);運動の数(F(9,70)=45.89,p<0.0001);運動時間(F(9,70)=53.07,p<0.0001);後ろ足で立つ(F(9,70)=49.47,t<0.0001)、型にはまった運動(F(9,70)=24.65,p<0.0001)および休止時間(F(9,70)=44.34,p<0.0001)が観察された。時間または時間-薬物相互作用の有意な効果は観察されなかった。
活動レベルに対する(R)-(−)-アンフェタミン(C105)の効果
この実験において、0.5mg/kgの(R)-(−)-アンフェタミン(C105)をラットに注射し、生理食塩水を注射したラットの対照群と比較した。(R)-(−)-アンフェタミン注射から1時間後、ラットの活動を10分間モニタリングした。図14で分かるように、(R)-(−)-アンフェタミンでの処置は、対照群と比較して、ラットの活動レベルに対して有意な効果は有さなかった。
このデータは、(S)-(+)-アンフェタミン処理ラットで観察された運動刺激性効果を生じることなく、(R)-(R)-アンフェタミンが向上した記憶の固定を提供できることを示す(図7と比較されたし)。(S)-(+)-対(R)-(−)-アンフェタミンで得られた結果の比較は、記憶を増強するのに等しく効果的な用量で、(S)-(+)-アンフェタミンが(R)-(−)-アンフェタミンよりも大きな運動効果を生じることを示す。この観察は、(S)-(+)-アンフェタミンが、上昇した運動応答を生じることにおいて、(R)-(−)-アンフェタミンよりも4から10倍の間、より強いことを繰り返し示した以前の研究と合致する。
実施例7:尾軽打
尾軽打無痛データを図16に示し、個々のデータを表12に示す。テストに1時間先立っての1.0、2.0、4.0または8.0mg/kgのC105の投与の結果、種々の程度の無痛がもたらされた。1.0および2.0mg/kgは無痛特性を有さず、他方、4.0および8.0は有した。統計的有意性が4.0mg/kgの用量で観察された(F(4,39)=43.18,p<0.0117)。この実験は、治療用量の(R)−(−)−アンフェタミンが、尾軽打痛覚脱失メーターによって測定して、無痛に対して効果を有さないことを示す。
実施例8:訓練後投与
上で得られた結果はC105が記憶を増強することを示唆する証拠を提供するが、これらの結果は非記憶喪失因子による可能性がある。薬物を訓練に先立って投与したので、学習または獲得プロセスは薬物投与によって影響された可能性がある。この理由で、訓練後実験を行い、そこでは、C105を訓練セッション直後にラットに投与した。訓練セッション後の薬物の注射は、主として、薬物が訓練時にボード上になかったので、獲得よりはむしろ記憶の固定に影響する。この実験の結果は図11に示し、個々に表6に示す。図11から分かるように、0.5mg/kgのC105の訓練後投与は阻害回避課題に対する性能を有意に増強した(t(26)=2.160,p<0.0402)。この結果は、従って、C105が選択的に記憶の固定を増強することによって働くという強い証拠を提供する。
表1:阻害回避に対するS-(+)‐アンフェタミンの異なる用量の効果

データは、各動物についての秒で表した装置の暗い側に入る待ち時間として表す(処置群当たり10匹動物)。データはランクの順である。
表2:阻害回避に対するS-(+)‐アンフェタミン(2.0mg/kg)の効果の概要

データは、各動物についての秒で表した装置の暗い側に入る待ち時間として表す(処置群当たり39匹の動物)。データはランクの順である。
表3:阻害回避に対するC105の異なる用量の効果

データは各動物につき秒で表した装置の暗い側に入る待ち時間として表す(処置群当たり10匹の動物)。データはランクの順である。
表4:阻害回避に対する低用量のC105の効果

データは、各動物につき秒で表した装置の暗い側に入る待ち時間として表す(処置群当たり10匹の動物)。データはランクの順である。
表5:阻害回避に対するC105(0.5mg/kg)または生理食塩水の効果の概要
データは、各動物につき秒で表した装置の暗い側に入る待ち時間として表す。この表は、C105を用いて行った全ての実験から集めたデータを反映する。生理食塩水(n=77)および薬物条件(n=57)における動物の数は異なる。なぜならば、いくつかの実験において、過剰の対照動物について行ったからである。データはランクの順である。
表6:阻害回避に対するC105の訓練後投与の効果

データは、各動物につき秒で表した装置の暗い側に入る待ち時間として表す(処置群当たり14匹の動物)。データはランクの順である。
表7:対照および脳弓損傷ラットにおける阻害回避に対するC105の効果

データは、各動物につき秒で表した装置の暗い側に入る待ち時間として表す(処置群当たり10匹の動物)。データはランクの順である。
*手術の最中に動物が死に、データが利用できない。
**これらの被検体のデータは、これらがアウトライアーであり、2より多いSDが平均から離れているため分析から除外される。
表8:自然物体認識、対照データ、識別指標D1に対するC105の効果

* C105中の1つの被検体のデータは、アウトライアーであり、2より大きいSDが平均から離れているため除外される。データはランクの順である。
表9:自然物体認識、脳弓データ、識別指標D1に対するC105の効果

* 手術の最中に動物が死に、データが採集できない。
** これら2匹の動物のデータはビデオテープに記録されていない。
データはランクの順である。
表10:自然物体認識、対照データ、識別指標D2に対するC105の効果

データは、2より大きいSDが平均から離れているので除外される。
データはランクの順である。
表11:自然物体認識、脳弓データ、識別指標D2に対するC105の効果

* 手術の最中に動物が死に、データが採集できない。
** これら2匹の動物のデータはビデオテープに記録されていない。
データはランクの順である。
表12:尾軽打無痛に対するC105の効果

* この被検体についてのデータは採集されなかった。
データはランクの順である。
実施例9:D−アンフェタミン、L−アンフェタミンおよびL−メタンフェタミンの比較
材料および方法
動物
到着時に250から350グラムの間の体重であるCharles River Laboratoriesから入手したオスLong−Evansラット(3〜5ヶ月の年齢)をこれらの実験における対照として供した。ラットをトウモロコシの穂軸ベッドを備えたプラスチックケージにケージ当たり2匹を収容した。ラットを12/12明暗サイクルで維持し、食物および水を自由に摂食させた。
薬物
l−メタンフェタミン(SN522)、l−アンフェタミン(C105)およびd−アンフェタミンを生理食塩水に溶解させ、1ml/kg体重の用量にて腹腔内(i.p.)注射を介してラットに投与した。
実験1:受動的回避テスト
受動回避装置(Coulbourn Instruments)は、スライド式ギロチンドアによって接合された、明チャンバーおよび暗チャンバーよりなるものであった。暗区画の床は、2.4mm直径のスチールロッドよりなり、それを通じて、一定の電流18極ショックスクランブラーによって足ショックを動物に与えることができた。テスト装置は通気音減弱キャビネットに包み、Graphic StateTM Software (バージョン1.013)およびHewlett Packard Pavilion computerによって制御した。
訓練は、ラットを、頭をドアから離して面するようにして明チャンバーの内側に入れることを含んだ。10秒後、スライド式ドアを開き、暗チャンバーに入る待ち時間を記録した(100秒最大)。ラットが暗チャンバーに入ると、それが連続した100秒の間に明チャンバーに戻るまで、または最大5回の足ショックを受けるまで、金属グリット床を通じて連続足ショック(0.4mA)を受けさせた。
保持テストは24時間後に行った。ラットを、頭をドアから離すように直面させ明チャンバーに入れた。10秒後に、ドアを開け、ラットが暗チャンバーに接触できるようにした。保持テストの間には足ショックを与えなかった。暗チャンバーに入る待ち時間を記録し(900秒最大)、記憶の尺度として用いた。
この実験においては、訓練直後に、ラットを生理食塩水(対照/ビヒクル)、SN522(0.25および0.5mg/kg)、C105(0.5および1.0mg/kg)またはd−アンフェタミン(1.0および2.0 md/kg)を注射した(ip)。保持は訓練から24時間後にテストした。
本実験からの結果は図20に示され、これは、三つの薬物の異なる用量がその能力の点で異なることを示す。図20は、阻害回避における訓練の直後に投与されたd−アンフェタミン、C105およびSN522の比較を示す。データは、訓練から24時間後のテストについての平均(±SEM)ステップ−スルー待ち時間(秒)を示す。訓練直後に、動物の別々の群(各処置群につきn=10)を、ビヒクル(0.9%生理食塩水)、d−アンフェタミン(1.0、または2.0mg/kg)、C105(0.5または1.0mg/kg)またはSN522(0.25または0.5 md/kg)で注射した(ip)。データは、Kaplan−Meier生存解析内でCox回帰を用いて分析した(p<0.05)。
Kaplan Meier生存解析は、0.5mg/kgのC105、2.0md/kgのd−アンフェタミンおよび0.5mg/kgのSN522の用量はこの課題についての性能を有意に改善したことを示す(各々、p値=0.007、0.0004、および0.03)。かくして、l−メタンフェタミンおよびl−アンフェタミンは記憶の固定を有意に改善する。
実施例10:l−メタンフェタミンおよび記憶
材料および方法
動物
到着時に250から350グラムの間の体重のCharles River Laboratoriesから入手した雄Long−Evansラット(3〜5ヶ月の年齢)をこれらの実験において被検体として供した。ラットを、トウモロコシ穂軸敷き藁を備えたプラスチックケージ中にケージ当たり2匹にてラットを収容した。ラットを12/12明暗サイクルに維持し、食物および水は自由に接触させた。
薬物
・ l−メタンフェタミン(SN522)を生理食塩水に溶解させ、1ml/kg体重用量にて、腹腔内(i.p.)注射を介してラットに投与した。
結果および考察
実験1:受動回避
受動回避装置(Coulbourn Instruments)は、スライド式ギロチンドアによって接合された、明チャンバーおよび暗チャンバーよりなるものであった。暗区画のドアは2.4mm直径のスチールロッドよりなり、それを通って、一定電流18極ショックスクランブラーによって、足ショックを動物に与えることができた。テスト装置は通気音減弱キャビネットに包み、Graphic StateTMソフトウエア(バージョン1.013)およびHewlett Packard Pavilionコンピュ−タによって制御した。
訓練は、ラットを、頭をドアから離すように直面させて明チャンバーの内側に入れることを含んだ。10秒後に、スライド式ドアを開け、暗チャンバーに入る待ち時間を記録した(100秒最大)。ラットが暗チャンバーに入ると、それが明チャンバーに戻るまで、金属グリッド床を通じてそれに連続的足ショック(0.4mA)を受けさせた。事象のこの系列をラットが連続した100秒の間明チャンバーに止まるまで、または最大5回の足ショックを受けるまで、継続した。
保持テストは24時間後に行った。ラットを、頭をドアから離れるように直面させて明チャンバーに入れた。10秒後に、スライド式ドアを開け、ラットを暗チャンバーに接触させた。維持テストの間に足ショックを与えなかった。暗チャンバーに入り待ち時間を記録し(900秒最大)、記憶の尺度として用いた。
この実験では、受動回避課題の強化に対するSN522の効果を調べた。訓練セッションの直後に、ラットに生理食塩水(対照、薬物無しまたはゼロ)または6つの異なる用量(0、0.10、0.25、5.0、0.75または1.0mg/kg、i.p.)のSN522を注射した。課題についての保持は24時間後にテストした。
この実験からの結果は図21に示す。図21は、阻害回避における、訓練直後に投与されたSN522の効果を示す。データは、訓練から24時間後のテストについての平均(±SEM)ステップ−スルー待ち時間(秒)を示す。動物の別々の群(棒線内部に示された各処置群における動物の数)にビヒクル(0.9%生理食塩水)または5用量の内の一つのSNN522(0.1、0.25、0.5、0.75または1.0mg/kg)を注射した。データは、Kaplan−Meier生存解析内のcox回帰を用いて分析した(p<0.05)。
SN522に応答してのステップ−スルー待ち時間は逆U字形の用量反応曲線である。cox回帰でのKaplan Meier生存分析により、用量0.25、0.5および0.75mg/kgにおける生理食塩水群に対する記憶性能における有意な改善が確認された(p<0.05)。
実験2:水迷路
水迷路テスト(Morris, R., J. Neurosci Methods 11:47−60(1984))は、直径180cmおよび高さ60cmの大きさである亜鉛メッキした白色に塗ったスチールプールで行った。このプールには透明なプレキシグラスで作成された取外可能な円形プラットフォーム(直径10cm)が備えてあった。このプールには水(26℃)をプラットフォームの表面を1cm越えるレベルまで満たした。非毒性白色塗料を水に加えてプラットフォームの外観を不明瞭とした。プールを概念的に4つの四分区画に分け、プラットフォームをプール壁から30cmのNW四分区画位置させた。プールの2つの辺を囲うカーテンに付着させた大きな幾何学的形状によって、および棚付ユニット、シンク、および眼に見える壁上のポスターによって、外迷路手掛りを供した。
訓練手順は、4つの異なる出発点の内1つにおいて、ラットの頭をプールの壁と面するようにして、ラットを水に入れることを含んだ。ラットに、60秒間、隠れたプラットフォームを捜し当てさせた。もしラットが60秒以内にプラットフォームを見つけなければ、それを穏やかにプラットフォームまで導いた。各トライアルの最後にプラットフォームで費やした15秒後に、ラットをプールから引き上げ、生理食塩水またはSN522(0.25および0.5mg/kg,i.p.)を注射した。ラットを乾燥し、そのホームケージに戻した。一つのトライアルは10日間毎日行った。プラットフォームに到達する待ち時間(逃避待ち時間)を各訓練トライアル日に記録した。
ANOVAは、対照に対して0.25mg/kg SN522投与動物における獲得速度における有意な増強を示す(図22;F1,17=10.245,p<0.005)。
図22は水迷路課題の獲得に対するSN522の効果を示す。データは3つの別々のラットの群(各処置群につきn=10)による隠れたプラットフォームを突き止める平均(±SEM)待ち時間である。動物には各日に単一の学習トライアルを与えた。学習トライアルの直後に、ビヒクル(生理食塩水)またはSN522(0.25または0.5mg/kg)を腹腔内投与した。データは、全ての群が逃避待ち時間の減少によって示される10訓練日の間にプラットフォームを見出す学習をしたが、各トライアル後に0.25mg/kg SN522で処理した動物は、生理食塩水処理群におけるラットよりもより迅速にプラットフォームを見出す学習をしたことを示す。
対照(生理食塩水)群およびより高い用量のSN522を投与した群の間の比較は、いずれの統計学的差も明らかにしなかった(p>0.05)。これらのデータにより、SN522は記憶喪失プロセスに対して優れた効果を有することが確認される。
図23は、自動運動ディテクターによって測定された活動レベルに対するSN522の効果を示す。データは、開放された視野の周りのビーム中断を追跡する、活動モニターシステムによって測定した、SN522(0.25、0.5、2.5および5.0mg/kg、ip)で処理した4つの別々のラットの群(群当たりn=7または8)の平均活動(±SEM)である。データは、ビヒクル(0.9%生理食塩水)で処理した対照群からのパーセント変化として示す。データは、l−メタンフェタミン(SN522)の用量が記憶プロセスに対してかなりの効果を有し、運動行動において変化が生じないか、中程度の変化しか生じないことを示す(0.25および0.5mg/kg)。治療用量を10倍超えるSN522の用量は、活動のわずかな増加を生じたにすぎなかった。かくして、l−メタンフェタミンは全くまたは最小の副作用しか有さない。
実験3:移動活動
活動モニタリングは、30×30cmの大きさであるプレキシグラス開放視野ボックス中で行った。活動レベルは、ケージを左から右および後ろから前に移動する赤外光ビームのグリットを介して測定した。ケージ内の動物の位置は赤外光ビーム中の中断によって検出した。光ビーム状態の情報を集め、コンピュータ化された活動モニタリングシステム(Versa Max System, Accuscan Instruments)によって迅速に分析した。
SN522が移動または探求活動に対してなんらかの悪影響を有するか否かを判断するために、ラットに生理食塩水または0.25、0.5、2.5および5.0mg/kgのSN522を注射し、その後直ちに、活動モニタリングチャンバーに3時間入れた。データは、Versa Max(バージョン1.83)コンピュ−タソフトウエアおよびHewlett Packard Pavilionコンピュ−タを用いてオンラインで収集した。分析された行動は;水平方向活動、移動した合計距離、運動時間、運動の数、後ろ足で立った数、型にはまった運動の数、および静止に費やした時間を含んだ。
図24は、自動運動ディテクターによって測定された活動レベルに対するd−アンフェタミンの効果を示す。データは、d−アンフェタミン硫酸(0.25、0.5、2.5および5.0mg/kg,ip)で処理した4つの別々のラットの群(群当たりn=7または8)のSN522平均活動(±SEM)である。データは、ビヒクル(0.9%生理食塩水)で処理した対照群からのパーセント変化として示す。データは、非常に低い用量のd−アンフェタミンさえが活動に際して効果を有することを示す。これらの効果は、テストした最低用量(0.25mg/kg)においてさえ有意であり、より高い用量においては活動がかなり増加し、全てpは0.05であった。
図24で分かるように(データは生理食塩水対照に対するパーセント増加として示される)、低用量SN522は、記憶アッセイにおいて効果的であった用量(0.25mg/kg、p>0.05)において活動の増加をもたらさずわずかにより高い用量において活動の中程度の増加を生じたに過なかった(0.5mg/kg; F8,112=2.303, p=0.028)。比較的高い用量のSN522(2.5および5.0mg/kg)は生理食塩水対照に対して活動の小さいが有意な増加をもたらした(0.25mg/kg; F8,112=10.936, P<0.001; 5.0mg/kg; F8,112=8.749, p<0.001)。しかしながら、同様な用量のd−アンフェタミンによって生じた活動と比較すると、SN522の投与後における活動レベルの増加は最小であり、これは、SN522からの最小の副作用を示す。
実験4:無痛の尾軽打テスト
尾軽打応答は、放射熱エレメントおよび尾運動を検出するための2つの光ビームセンサーを備えた放射熱尾軽打モニター(Accuscan Instruments モレルTFS)を用いて評価した。
SN522がいずれかの無痛特性を有するか否かを判断するために、ラット(処理群当たりn=10)に生理食塩水またはSN522(0.25、0.5、2.5および5.0mg/kg,i.p.)を注射し、4つの時点:注射の直前、および尾軽打応答用の薬物投与後の再度15、30および60分にテストした(D’Amour, F.E.,ら, J. Pharmacol. Exp. Ther. 72: 174-179 (1941))。尾軽打をテストするために、動物を尾軽打モニターの頂部に置き、綿タオルで所定の位置に穏やかに保持した。動物の尾を、2つのセンサーの間であって、放射熱ワイヤーの頂部上方にある浅い溝に入れた。加熱エレメントを活性化し、溝から、かつ熱源から離れるようにその尾を軽打する動物についての待ち時間をセンサーの活性化を介して自動的に記録した。熱源の強度は、動物が3〜4秒内にその尾を軽打するように調整した。10秒のカットオフを課して、組織の損傷を回避した。テストの直後に動物をそのホームケージに戻した。
5つの薬物処理および4つのテスト間隔に対するANOVAの結果は、尾軽打待ち時間においていずれの差も明らかにしなかった。かくして、SN522は、このテストにおいて疼痛感度を変化させない。
実施例11:l−メタンフェタミンは記憶障害を有する被験体において記憶を改善する
材料および方法
動物
250から350グラムの間の体重であるCharles River Laboratoriesから入手した雄Long−Evansラット(3〜5ヶ月の年齢)を、これらの実験で被験体として供した。ラットを、トウモロコシ穂軸敷藁を備えたプラスチックケージにケージ当たり2匹を収容し、12/12明暗サイクルで維持し、食物および水は自由に接触させた。
薬物
l−メタンフェタミン(SN522)を生理食塩水に溶解させ、1ml/kg体重の用量にて、ラットに腹腔内(i.p.)注射を介して投与した。
受動回避テスト
受動回避装置(Coulbourn Instruments)は、スライド式ギロチンドアによって接合された、明チャンバーおよび暗チャンバーよりなるものであった。暗区画の床は2.4mm直径のスチールロッドよりなり、それを通じて、定電流18極ショックスクランブラーによって足ショックを動物に与えることができた。テスト装置は通気音減弱キャビネットに包み、Graphic StateTMソフトウエア(バージョン1.013)およびHewlett Packard Pavilionコンピュ−タによって制御した。
訓練は、ラットを、頭をドアから離して直面させて明チャンバーの内部に入れることを含んだ。10秒後、スライド式ドアを開け、暗チャンバーに入る待ち時間を記録した(100秒最大)。ラットが暗チャンバーに入ると、それが明チャンバーに戻るまで、金属グリット床を通じて連続的な足ショック(0.4mA)を受けた。ラットが明チャンバー中に連続した100秒の間止まるまで、または最大5つの足ショックを受けるまで、事象のこの配列を継続した。
保持テストは24時間後に行った。ラットを、頭をドアから離して直面させて明チャンバーに入れた。10秒後、ドアを開け、ラットを暗チャンバーに接触させた。保持テストの間には、足ショックは与えなかった。暗チャンバーに入る待ち時間を記録し(900秒最大)、これを記憶の尺度として用いた。
l−メタンフェタミン(SN522)が記憶欠陥(本明細書中では、「記憶障害」ともいう)を逆行させるか否か判断させるために、訓練の30分前に、別々の群のラットにスコポラミン塩酸塩(0.75mg/kg,i.p.)を注射した。次いで、ラットを受動回避課題につき訓練し、その直後に、生理食塩水またはSN522(0.12、0.25、0.5および1.0mg/kg,i.p.)いずれかを注射した。訓練から24時間後に保持をテストした。
結果および考察
図32は、特に、スコポラミンへの曝露の結果としての記憶欠陥に対するSN522の効果を示す(各群における動物の数は棒線内部に示す)。示されたデータは、訓練から24時間後における平均(±SEM)ステップ−スルー待ち時間(秒)を示す。Kaplan Meier生存解析は、SN522がスコポラミン注射動物において障害を軽減するのに効果的であることを示した(logランク統計c2(6)=14.73p=0.02)。
図32に示すように、0.25、0.5および1.0mg/kg SN522を受けたスコポラミン処理ラットは、スコポラミンおよび生理食塩水で処理した動物よりも有意に良好に行動した(各々、p値=0.01、0.04および0.007)。生理食塩水の注射を受けた対照ラット、および0.25、0.5および1.0mg/kg用量のSN522の注射を受けたスコポラミン処理ラットの間には有意な差はなかった(p>0.05)。
これらの結果は、l−メタンフェタミンが記憶障害を持つ被験体において記憶を改善することを示す。
実施例12:L−アンフェタミンは記憶障害を持つ被験体において記憶を改善する
材料および方法
動物
250から350グラムの間の体重であって、Charles River Laboratoriesから入手した雄Long−Evansラット(3〜5ヶ月の年齢)を、これらの実験において被験体として供した。ラットを、トウモロコシ穂軸敷藁を備えたプラスチックケージにケージ当たり2匹収容し、12/12明暗サイクルで維持し、食物および水に自由に接触させた。
薬物
l−アンフェタミン(C105)を生理食塩水に溶解させ、1ml/kg体重の用量にて、腹腔内(i.p.)注射を介してラットに投与した。
受動回避テスト
l−アンフェタミン(C105)が(本明細書中においては「記憶障害」ともいう)記憶欠陥を逆行させるか否かを判断するために、別々の動物の群(各処理群における動物の数は棒線内部に示す)に、訓練に30分先立って、ビヒクル(0.9%生理食塩水;SAL)またはスコポラミン(0.75mg/kg)を注射した。次いで、ラットを受動回避課題で訓練し、その後直ちに、生理食塩水(SAL)またはC105(0.12、0.25、0.5および1.0mg/kg,i.p.)を注射し、追加の群を陽性対照としてフィゾスチグミン(0.075mg/kg,i.p.)で処理した。保持は訓練から24時間後に訓練した。Kaplan−Meier生存解析内でCox回帰を用いてデータを分析した。
結果および考察
図33は、特に、スコポラミンへの曝露の結果としての、記憶欠陥に対するl−アンフェタミン(C105)の効果を示す。示されたデータは、訓練から24時間後における平均(±SEM)ステップ−スルー待ち時間(秒)を表す。Kaplan Meier生存解析は、C105が、スコポラミン注射動物において障害を軽減することにおいて効果的であることを示した(logランク統計C2(6)=14.73p=0.02)。図33に示すように、1.0mg/kgのC105を受けたスコポラミン処理ラットが、スコポラミンおよび生理食塩水で処理した動物よりも有意に良好に行動した(p>0.05)。生理食塩水のみで処理したラット、および1.0mg/kgのC105を受けたスコポラミン処理ラットの間には有意な差があった(p>0.05)。
これらの結果は、l−アンフェタミンが記憶障害を有する被験体において記憶を改善することを示す。
実施例13:ヒトにおける(R)−(−)−アンフェタミンの実験
16(n=16)の健康な成人男性/女性被験体、年齢20〜72は、実験の一部をなした。被検体はボランティアデータベースから選択した同意書が通知された後に、実験関連手法を行った。
図18は、投与後6時間までの、(R)−(−)−アンフェタミンについての血清レベルの形態における薬物動態学測定を示す。用量曲線の用量部分においては、簡単な視覚空間記憶テスト(Brief Visuospatial Memory Test)(BVMT)およびRey聴覚性言語学習試験(RAVLT)のテストを行い、p<0.01を有する対照と比較して、統計学的に有意に高いことが観察された。より高いBVMTおよびRAVLTスコアは記憶、特に記憶の固定における改善を示す。他方、3時間後、例えば、用量曲線の上昇アーム後に配慮認識記憶テスト(絵)を用いて患者を評価し、PRMTスコア(単語および絵双方)は共に対照から統計学的に有意であると観察された。これらの実験は、(R)−(−)−アンフェタミンが患者において記憶を増強でき、血漿曲線の上昇部分の間により効果的であることを示す。
図19は、(R)−(−)−アンフェタミンでの急性投与についての用量反応曲線を示す。例えば、p値によって示される統計学的に有意な差がプレセボおよび一日当たり約30mgおよび約45mgの投与量の間で観察された。特に、30分において:プラセボ対約30mgにつきp=0.004、およびプラセボ対45mgにつきp=0.03。24時間において、プラセボ対30mgにつきp=0.002、およびプラセボ対45mgにつきp=0.05。
実施例14:l−アンフェタミンでのヒトにおける記憶の改善
l−アンフェタミン(C105)の2つの相1のランダム化二重盲検プラセボ制御臨床試験を正常な健康成人男性および女性被験体で行った。最初の試験は35.1歳(21から49歳の範囲)の平均年齢を有する8人の白人被験体(男性3人および女性5人)で行い、第二の試験は65.4歳の平均年齢(60〜72歳の範囲)の8人の白人被験体(男性1人および女性7人)で行った。
実験は、C105の最大許容用量(MTD)および用量制限副作用を同定し、定量的記憶スコアに対するC105の効果を評価し、C105投与に続いての認識される中枢神経系(CNS)効果を評価し、心血管系に対するC105の効果を評価し、C105の用量、許容性、安全性および薬理学的効果の間の関係を探求し、およびC105の薬物動態学(PK)を規定する意図であった。
各相1実験では5つの処理期間があった。各処理期間は持続した一週間であり、C105(5mg,15mg,30mg,45mg)またはプラセボでの処理の2連続日(「処理期間」)、続いてのC105またはプレセボなくしての5連続日(「ウォッシュアウト期間」)よりなるものであった。この設計は、プラセボ用量を系列にランダムに挿入した上昇用量安全性設計である。各被験体にC105用量(5mg、15mg、30mg、45mg)の一つの単一用量をランダムに投与するかあるいは2連続処理日の各処理期間の間にランダムに割り当てた用量のプラセボを投与した。各引き続いての処理群は、患者が4つのC105用量(5mg、15mg、30mg、45mg)の各々、または単一のプラセボ処理を受けて、5週処理期間を完了するまで、いずれの用量のC105(またはプラセボ)も以前には投与されていなかった。安全性データは次の用量レベルに進む前に各用量後にレビューした。
Rey聴覚性言語学習試験(RAVLT), Rey,A.(1941).L’examen psychologique dans les cas d’encephalopathie traumatique. Archiaves du Psycholojie, 28,21,Lezak,M.D.(1995). Neuropsychological Assessment (第三版). New York:Oxford University Press)を、患者がC105またはプラセボを受けると2連続日の各々の間に行った。RAVLTはウォッシュアウト期間の間に行わなかった。
単語想起についてのRAVLT評価は、5つの処理期間の各々の間にC105またはプラセボ処理に続いて2つの異なる時点で行った。最初のRAVLT評価は各処理期間において処理の初日に行い、これは、2つの部分よりなるものであった。15の名詞を調査者が患者に声を出して読み、続いて、干渉または注意を乱す試験を行い、これに続いて15の名詞の自由な想起テストを行った。更なる30分の遅延期間の後15の名詞の最初の組を想起し、また50の単語の認識テストを完了するように被験体に再度要求した。第二のRAVLT評価は各処理期間において2日目に行い、これは、前日に与えた想起テストおよび50の単語の認識テストの反復よりなるものであった。第二のRAVLT評価は最初のRAVLT評価から24時間(±2時間)後に単語想起を見積もり、これは、調査者による名詞への別の曝露よりならなかったが、むしろ24時間早く被験体に与えられた名詞の想起よりなるものであった。
安全性および許容性評価は実質的徴候、ECG、Holterモニタリング、実験室テスト、身体的調査および有害事象変化であった。系列的血液および尿試料は、C105血漿濃度の引き続いての測定および薬物動態学パラメータの計算のために、投与から24時間後まで収集した。
C105は、5〜45mgの範囲の単一経口用量にて投与した場合によく許容された。報告された有害な事象は些細なものであった。最も頻繁に報告された有害な事象は目眩、頭痛、不眠症、洞性頻拍、上室性頻拍および無唾液症であった。報告された有害な事象は一般には重症度は低く、治療の必要性なくして解決された。ひどい有害な事象は報告されず、有害な事象のため実験を中断した被験体はなかった。身体的調査、実験室的テスト、重要な徴候、12リードECGまたはHolter記録についてのC105投与に関して臨床的に重要な知見はなかった。
各患者については、RAVLTデータは、全ての用量群が30分においてプラセボよりも高い平均値を有することを示した。2つの最高用量(30mgおよび45mg)はプラセボテストと比較して最大の改善(最大値)を呈した。30分において観察された利点は24時間において維持されており、30分における対応する結果と比較して、単語の想起された数は各用量につき24時間においてわずかに低かった。想起スコアは、プラセボ用量が投与された場合に想起されたほぼ7〜8単語と比較して、45mg用量の投与に続いてはほぼ10単語であった。
図25は、全ての被験体について30分および24時間RAVLT記憶スコアのプールされた統計学的解析を示す。このスコアは、処理後30分および24時間双方において、C105に関してRAVLTスコアの総じての統計学的に有意な(p<0.05)改善を示した。加えて、30mgおよび45mg用量のC105で観察されたRAVLTスコアの改善は、投与後30分および24時間双方におけるプラセボと比較すると、Wilcoxon有符号ランク検定に基づいて統計学的に有意であった(p<0.05)。差もまた、24時間想起スコアについての5mg用量でやはり有意であった(p=0.0559)。C105のいずれかの用量でのそれらの最良のスコアに対する各個々の被験体のプラセボスコアの比較は、(双方の条件下で完全なRAVLTスコアを有する1人のヒトを除いて)全ての被験体についてのRAVLT記憶性能はC105処理に続いて改善された(図26参照)。
これらのデータは、l−アンフェタミン(C105)が記憶、特に記憶の固定を増強することを示す。
実施例15:l−アンフェタミン投与後における認知プロセスの改善
コンピュ−タ化認識スクリーニングツール(HeadMinder,Inc.(New York,NY))を、認知機能の評価およびある期間にわたる追跡で使用した(その全教示をここに引用してその全体を援用する、Erlanger, D.M.,ら,J. Head Trauma Rehabil. 17: 458-476 (2002); US2003/0073885A1 (2003); WO 01/54650 (2001); WO 01/72217 (2001); WO 01/54559 (2001))。
被験体における軽度認知障害は、慣用的な神経精神医学テストパラメータ−Wechsler記憶スケールからの論理的記憶IIサブスケールにて年齢−および教育−調整カットオフ未満のスコアリングに基づいて診断した。単一のテストスコアを用いて、軽度認知障害を持つ被験体を定義した。加えて、本実験で用いた被験体は臨床痴呆症評点、スケールによると0.5よりも高いスコアとはならなかった。0.5の臨床痴呆症評点を持つ何人かの被検体は被験体アルツハイマー病を有し得る。本実験に応じた何人かの被験体はいくつかの認識評価のアルツハイマー病範囲のスコアであった。かくして、軽度認知障害を有すると分類された何人かの被験体は、現実には、初期アルツハイマー病を有するであろう。軽度認知障害および初期アルツハイマー病を有するヒトの集団において、神経精神医学テストは、典型的には、連続(鐘形曲線)を測定し、定義は異常な集団について比較的任意な活動ポイントである−典型的には、年齢および教育について調整したノルム未満の1または1.5未満の標準偏差。
被験体によって完了された9つのテストのバッテリーは2つの「ウォームアップ」課題を含んだ。残りの7つのサブテストは、学習および記憶、注意、反応時間、および遂行機能のような認識能力を評価するために含めた。
テスト因子およびサブテスト記載
キーボード熟達−ウォームアップ課題
・キーボード熟達1
緑色のボールがスクリーン上に出現する。被験体はボールが赤に変わるまでできる限り速くスペースバーを押す。
・キーボード熟達2
0〜9の数字が出現する。被験体はキーボード上のスクリーンに出現する数をできる限り迅速に押す。
学習および記憶
・記憶キャビネット1
被験体は3学習試験にわたってキャビネット中に置かれた9つの身近な物体の設置を学習する。
・記憶キャビネット2−遅延した記憶
間に入った課題に続き、記憶キャビネットの1つの想起試験を被験体に与える。
以下に実験で使用した記憶cabinetを示す:
注意および遂行機能
・応答指令1−単純な注意(低要求課題)
数字を示す。1が示されれば被験体は「1」のキーを押し、0が示されれば「0」を押す。以下にこの課題の模式図を示す:
・応答指令2−応答逆転(高要求課題)
数字が一度に1つ示される。0が示されれば被験体は「1」キーを押し、1が示されれば「0」のキーを押す、以下にこの課題の模式図を示す:
補助的テスト
被験体は自分の指を、各々がスクリーン上のボックスを現す4つのキーに乗せる。
・視覚−運動スピード1
ボックスは一度に1つがライトアップされる。被験体はできる限り素早く対応するキーを押す。
・視覚−運動スピード2
指令がスクリーンの中央に現われる。被験体はできる限り素早く対応するキーを押す(例えば、「上方右側」は中央に現われる)。
・視覚−運動スピード3
指令が誤った位置にスクリーン上で示される。被験体は指令の位置を無視しつつ、各指令に従ったキーを押す(例えば、「上方右側」が下方右に現われる)。
被験体
13人の患者(年齢64〜88歳、平均年齢77歳)がこの実験を完了した。1人の被験体はプロトコルに合致できなかったので、分析には含めなかった。l−アンフェタミン処理群においては、5人の女性および3人の男性がいた。プラセボ群は1人の女性および4人の男性を含んだ。性別は入力、最適な調整容量、およびウォッシュアウトにおいて認識性能に影響を有しなかった。全ての参加者は白人であった。群はテスト時に年齢(F=4.44,DF=1,11,p=0.05)およびわずかな教育の差(F=4.2,DF=1,11,p=0.06)が異なった。群は実験またはウォッシュアウト評価に含めるにつきスクリーニング時にいずれの認識テスト変数に関して有意に異ならなかった。
被験体はl−アンフェタミンまたはプラセボのいずれかを受容するようにランダムに割り当てた。l−アンフェタミンで処理した被験体(n=8)は実験の最初の7日間は1日当たり5mgのl−アンフェタミン、続いて実験の次の7日間は1日当たり15mg,実験の次の14日間は1日当たり30mgを受容した。プラセボを受容した被験体は、実験の持続の間に同一投与量のプラセボ丸剤を受容した。認知機能は、ベースライン(0日)に、および処理またはプラセボの1、8、15および28日に評価した。
結果
同等なキーボードおよび一般的認識技能を示すために、処理条件(処理=5mg、15mg、30mgにおけるl−アンフェタミン)を探求するANCOVA(共分散の分析)を、独立した変数としてのキーボード熟達2、および共変数としての年齢にて行った。予測されたように、l−アンフェタミンおよびプラセボ被験体は、いずれのテストの瞬間にもこの課題で性能に差はなく、これは、それらが大まか同等であることを示した(図27)。キーボード熟達におけるより高いスコアはより低い性能を示す。
l−アンフェタミンを受容する被験体が記憶機能を改善したか否かを判断するために、処理条件を探求する2つのANCOVASを、独立した変数としての学習および記憶、および共変数としての年齢にて行った。学習(図28および31)および記憶(図29および31)はl−アンフェタミンを受容する被験体で改善された。30mg用量(15日および29日)における学習および記憶の有意な改善(p.05)が、プラセボが受容した被験体と比較してl−アンフェタミンを受容する被験体で観察された。プラセボ処理被験体は、学習および記憶で改善を示さなかった。
l−アンフェタミンまたはプラセボでの処理に続いての遂行機能の改善は、応答指令1(低要求課題)および応答指令2(高要求課題)についての性能間の差を決定することによって評価した。維持された学習効率は、反復評価にわたる安定な差スコアに関連する。軽度認知障害を有する被験体で予測される減少した学習効率は反復評価にわたる増加した差に関連する。というのは、非効率的な被験体は高要求課題に対するよりも低要求課題に対する現実的な効果について大きな改善がなされ、他方、効率的な被験体は同様な率にて双方の課題で改善されるからである。
ANCOVAは、l−アンフェタミン(30mg,15日)およびプラセボで処理した被験体の間の有意な差を示した。反復評価にわたる低および高要求課題の間の差スコアの直線的コントラストはl−アンフェタミン群における参加者で有意ではなく(F=.20,p=.65)、プラセボ群の参加者で有意であった(F=2.98,p=.05,片側検定)。これは、l−アンフェタミン群における参加者が学習効率を維持し、プラセボ群における参加者が維持しなかったことを示す。プラセボ群の性能は低要求課題で改善されたが、高要求課題では改善されず、差を直線的に増加させた。対照的に、l−アンフェタミン群は低および高要求課題双方に対して同等に改良され、したがって、差は概略同一のままである。これらの差は図30および以下の表で示される。図30におけるより高いスコアは、より大きな非効率性を示す。l−アンフェタミン群においては、最終評価において−投薬がもはや活性でない場合に−学習効率の大きな減少が観察された。
結論
l−アンフェタミンでの処理に先立ち、軽度認知障害および初期アルツハイマー病被験体は認知障害を有した。プラセボでの被験体の処理は認知機能を改善しなかった。対照的に、l−アンフェタミンで処理した被験体は学習、記憶および遂行機能についてのテストで性能をある程度改善し(1標準偏差以上)、したがって、l−アンフェタミンで処理した被験体は学習、記憶および遂行機能を評価するテストにて正常な範囲内のスコアリングであった。l−アンフェタミン処理に続く学習、記憶および遂行機能における改善の大きさは、学習、記憶および遂行機能の評価の各々について臨床的に有意であって、効率的に統計学的に有意(p<0.05)と考えられる。
図31は、プラセボ被験体と比較した、1日当たり30mgのピーク用量のl−アンフェタミンで処理した被験体の性能を示す。0のZ−スコアは、健康な個体についての平均性能を表し、標準偏差は1に等しい。
(処理に先立つ)ベースラインにおいて、双方の群はほぼ同等であって、温和な認知損傷および初期アルツハイマー病と明瞭に合致した範囲のスコアであった。l−アンフェタミンの1日当たり30mgのピーク用量において、被験体のスコアは、正常な制限内に対してほぼ1標準偏差だけ改善された。被験体、プラセボ群において変化は観察されなかった。
l−アンフェタミンでの処理による記憶、学習および遂行機能における改善は、軽度認知障害、初期アルツハイマー病の臨床的徴候において、および投薬の管理から、食料品販売およびビヒクルの操作の範囲の毎日の課題の性能において、改善のかなりの示唆を有し得る。
実施例16
l−メタンフェタミンで処理したヒトにおける記憶の改善
2つの相I ランダム化二重盲検プラセボ制御臨床試験を、l−メタンフェタミン(SN522)を投与した健康な成人男性および女性被験体で行った。最初の臨床試験は、プラセボまたは1mg、4mg、16mgまたは32mgのl−メタンフェタミンを投与された、20〜60歳の年齢(n=8)および61〜80歳の年齢(n=8)の範囲の、記憶または認知障害を有さない16人の健康な被験体(本明細書中では「正常な被験体」ともいう。で行った。第二の相I臨床試験は、50〜64歳の年齢範囲の8人の正常な被験体で行った。第二の相I臨床試験では、8人の被験体が25mg、50mg,100mgのl−メタンフェタミンを受容し;これらの8人の被験体のうち、5人はプラセボ(0mgのl−メタンフェタミン)も受容し、3人の被験体は150mgのl−メタンフェタミンを受容した。
相I実験はl−メタンフェタミンの最大許容用量および用量制限副作用を同定し;例えば、California言語学習テスト(CVLTII)またはRAVLTによって、定量的記憶スコアに対するl−メタンフェタミンの効果を評価し;心血管系へのl−メタンフェタミンの投与に続いて認識されるCNS効果を評価し;l−メタンフェタミンの用量、許容性、安全性および薬理学的効果の間の関係を探求し;かつl−メタンフェタミンの薬物動態学を規定するように設計された。
第一の相I臨床テストでは6つの処理期間があった。第二の相I臨床試験では4つの処理期間があった。各処理期間は持続が1週間であって、l−メタンフェタミン(第一の相実験では1、4、16または32mg、および第二の相I実験では25、50または100mg)またはプラセボでの2連続日の処理、続いてのl−メタンフェタミンまたはプラセボなくしての5連続日よりなるものであった。各被験体にはl−メタンフェタミン用量のうちの1つの単一用量をランダムに投与し、または各処理期間の間にプラセボの用量をランダムに割り当てた。各引き続いての処理群は、患者がl−メタンフェタミン用量の各々、または単一のプラセボ処理を受容して、処理期間を完了するまで、いずれの用量のl−メタンフェタミンが以前に投与されたかにかかわらず含められるであろう。安全性データは、次の用量レベルへ進むのに先立って各用量後にレビューした。単語想起についてのRAVLT評価は上述したように行い、処理期間の各々の間には、l−メタンフェタミンまたはプラセボの投与に続いて2つの異なる時点で行った。初期RAVLT訓練は、l−メタンフェタミンまたはプラセボの投与からほぼ2時間半後に行った。30分の延期期間後に、被験体は15の名詞の第一の組を想起要求された。第二のRAVLT評価は、l−メタンフェタミンでの処理からほぼ24時間後に行った。
安全性および許容性評価はl−アンフェタミンでの相I臨床試験での処理について記載した通りであり、これは、重要な徴候、ECG、身体の調査およびいずれかの有害な事象の注記よりなるものであった。
L−メタンフェタミンは第一および第二の相I試験において一般によく許容された。第二の相I試験での少数の被験体において、150mg用量はよく許容されず、この用量は継続しなかった。
図34に示すように、第二の相I実験からのRAVLTデータは、全ての用量群が30分および24時間においてプラセボよりも大きな平均値を有することを示す。かくして、30分において観察されたl−メタンフェタミンの投与に続いての記憶を改善する利点は24時間において維持された。第一の相I実験での被験体では、記憶スコアの差は観察されなかった。
これらのデータは、l−メタンフェタミンの投与が、記憶または認知においていずれの既知の障害も有さない被検体において記憶を増強できることを示す。
実施例17
l−メタンフェタミン投与に続く認知プロセスにおける改善
記憶または認知プロセスにおいて障害に罹っていないヒト被験体(「正常な被検体」)におけるランダム化二重盲検プラセボ制御用量上昇試験を行って、l−メタンフェタミン(25mg,50mg,100mg,150mg)の投与に続いて、安全性、許容性および薬物動態学、ならびに記憶を含めた認知プロセスにおける改善を評価した。
8人の被験体は25mg、50mg,100mgのl−メタンフェタミンを受容し;これらの8人の被験体のうち、5人の被験体はプラセボも受容し、3人の被験体は150mgのl−メタンフェタミンを受容した。実験は、合衆国のCogntive Drug Research(CDR)によって開発された認識テストのバッテリーを使用して行った。
CDRコンピュ−タ化認識評価システムからの課題の選択を投与し、テストの平行形態を各テストセッションで示した。CDR課題は認識のよく確立された評価であり、当業者に知られている。全ての課題はコンピュ−タで制御され、情報は高分解能スクリーンに提示され、1つは「NO」とマークされ、他方は「YES」とマークされた2つのボタンを含む応答モジュールを介して応答を記録した。追跡課題は、加えて、ジョイスティックの使用を含んだ。テストバッテリーは実行するのに約20〜25分を要する。テストは以下の順番で与えた:
・絵提示:一連の20の絵を被験体が覚えるように3秒ごとに1つの率でスクリーン上に提示した。この課題からはデータは記録しなかった。
・単純反応時間:被験体は、単語「YES」がスクリーン上に提示されるごとに、できる限り素早く「YES」応答ボタンを押すように指令される。50の刺激が種々の刺激間間隔で提示された。
・アラビア数字警戒:標的アラビア数字をランダムに選択し、スクリーンの右側に一定に表示する。次いで、1分当たり150の率で一連のアラビア数字をスクリーンの中央に示し、被験体は、一連におけるアラビア数字が標的アラビア数字にマッチするごとに、できる限り素早く「YES」ボタンを押すように要求される。シリーズでは45の標的があった。課題は3分間継続した。
・選択反応時間:単語「NO」または単語「YES」いずれかがスクリーン上に示され、被験体はできる限り素早く対応するボタンを押すよう指令された。各刺激単語が等しい確率でランダムに選択される50のトライアルがあり、種々の刺激間間隔があった。
・迅速な視覚情報処理:一連のアラビア数字が1分当たり100の率でスクリーン上に示された。被験体は3つの奇数のアラビア数字または3つの偶数のアラビア数字いずれかの連続的配列よりなる標的を検出し、できる限り迅速に「YES」ボタンを押すことによってそれらを報告しなければならなかった。32の標的があった。課題は4分間継続した。
・追跡:被験体はジョイスティックを用いて、スクリーン上のランダムに移動する標的を1分間追跡した。1秒当たりの標的から外れた距離を記録した。
・空間作動記憶:家の絵をその9つの窓のうち4つに明かりを灯してスクリーン上に示した。被験体は、明かりのついた窓の位置を記憶しなければならなかった。家の36の引き続いての表示の各々につき、被験体は、明かりがついた1つの窓が元の表示においても明かりがついていたか否かを判断することを求められた。被験体は、適切には、できる限り迅速に「YES」または「NO」ボタンを押すことによって応答した。
・数字作動記録:一連の5つのアラビア数字を被験体が記憶に保持するように示された。これに続いて一連の30のプローブアラビア数字が示され、その各々につき、被験体は、それが元のシリーズ中にあったか否かを判断し、適切に、できる限り迅速に「YES」または「NO」ボタンを押さなければならなかった。2つの異なるシリーズおよびプローブを用いて、この手法をさらに2回反復した。
・絵認識:元の絵+20の混乱させる絵をランダムな順番で一度に1つ示した。各絵について、被験体は、適切には、できる限り迅速に「YES」または「NO」ボタンを押すことによって、それを元のシリーズからのものであることを被験体が認識するか否かを示さなければならなかった。
未調整スコアについてまとめの統計を計算し、ベースライン(プレ用量)データからの差を収集した。偏差の反復した測定分析(ANOVA)を、用量、時間、期間および用量−時間相互作用につきベースラインデータフィッティングの項目からの差について行った。被験体のランダムな効果をモデルにフィッティングさせた。
図35に示すように、l−メタンフェタミン(SN522)は応答のスピードに対して用量依存性効果を有した。この用量依存性パターンは、プラセボ処理でのポスト用量減少、および合わせた合計スピードスコアを用いて示された有効投与に関して応答スピードにおけるポスト用量改善の増加を示し、これは、追跡課題を除いて全てのCDR課題からの反応時間測定を合わせる。図35に示したデータは、l−メタンフェタミン処理後に得られたスコアをプレ用量スコアと比較する。プラセボを受容する被験体は、合計反応時間における用量反応低下に応答するのにより長い時間を要する。用量依存性パターンは、図35に示すように、ベースラインからのLS平均差において明らかであった。
用量依存性利点についてのパターンは、図35に示すように、反応時間測定のいくつかにつき明らかであった。合計スピード課題は認知機能を評価する。
図36に示すように、l−メタンフェタミン(25mg,150mg)の投与は記憶を評価する課題である絵認識−感受性指標を改善した。処理の有意な効果がANOVAから見られた(p=0.004)。LS平均比較は、プラセボよりも25mg(p=0.0177)および150mg(p=0.0254)についての有意な利点を示した。3人の被験体は150mg用量のl−メタンフェタミンを受容した。図36は、50mg,100mgおよび150mgのl−メタンフェタミンについての用量依存性改善のパターンを示す。25mg用量のフィットの欠如についての可能な説明は、25mgについてのプレ用量ベースラインは貧弱であり、ポスト用量改善に導かれたというものであった。かくして、用量群の相対的プレ用量の性能を考慮すべきである。
図37および38に示すように、用量の有意な効果はl−メタンフェタミンの投与に続いての認識の評価である検出された情報処理標的(p=0.0005)で観察された。LS平均比較は、プラセボよりも100mg(p=0.0002)および150mg(p=0.0001)についての有意な利点を示した(図37)。このパターンは100および150mg用量で改善され、やはり用量の有意な主要効果(p=0.0001)を示した偽警告における用量依存性増加についてのパターンとは対照的であった。LS平均比較は、50mg(p=0.0002)、100mg(p=0.0001)および150mg(p=0.0001)用量についてのプラセボに対する有意な増分を示した(図38)。
まとめると、これらのデータは、CDR課題測定での、反応時間(応答のスピード)に対するl−メタンフェタミンの用量依存性効果を示す。25mgおよび150mgのl−メタンフェタミンの用量は記憶の評価である絵認識−感受性指標(精度)を改善した。検出された情報処理標的(精度)についてのl−メタンフェタミンの用量依存性利点も観察され、これは認識の評価である。この利点は課題での増大した偽警告とも関連し、これは、精度に対する直接的利点よりはむしろ、応答戦略における変化(増大した応答)を示すであろう。しかしながら、偽警告測定を検出された標的(精度)測定の分析において共変数として用いると、l−メタンフェタミン投与後の利点はそのままであり、これは、l−メタンフェタミン投与に続いての精度に対する利点を示す。したがって、l−メタンフェタミンは記憶および情報処理精度につき、応答スピードおよび有利な効果に益する用量依存性効果を有する。正常な健康被験体で観察されたこれらの有益な効果は、認知障害を有する被験体における本発明のアンフェタミン化合物の使用についての有益な効果を裏付ける。
均等物
本発明をその好ましい態様を参照して特に示し、記載してきたが、添付の請求の範囲によって規定される発明の精神および範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変形をなすことができることが、当業者に理解されよう。
上述の全ての特許、出願および他の文献は、本明細書中に参照として援用される。
図1は、阻害回避課題における能力に対する種々の用量のS−(+)−アンフェタミンの有効性を示す。 図2は、阻害回避課題における能力に対する2mg/kgのS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図3は、投与および訓練開始の間の時間に依存するS−(+)−アンフェタミンの変化する効果を示す。 図4は、初期訓練から1週間後における記憶保持に対するS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図5は、正常および脳弓損傷動物に対するS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図6は、阻害回避における能力に対するS−(+)−アンフェタミン(2.0mg/kg)の効果を示す。 図7A、7B、7C、7D、7Eおよび7Fは、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図7A、7B、7C、7D、7Eおよび7Fは、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図7A、7B、7C、7D、7Eおよび7Fは、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図7A、7B、7C、7D、7Eおよび7Fは、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図7A、7B、7C、7D、7Eおよび7Fは、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図7A、7B、7C、7D、7Eおよび7Fは、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミンの効果を示す。 図8は、記憶保持に対する種々の用量のR−(−)−アンフェタミンの有効性を示す。 図9は、記憶保持に対するR−(−)−アンフェタミンの有効性を示す。 図10は、阻害回避課題における能力に対するR−(−)−アンフェタミン(0.5mg/kg)の効果を示す。 図11は、阻害回避課題における能力に対するR−(−)−アンフェタミン(0.5mg/kg)の訓練後投与の効果を示す。 図12は、脳弓損傷ラットにおける阻害回避能力に対するR−(−)−アンフェタミン(1.0mg/kg)の効果を示す。 図13A、13B、13Cおよび13Dは、正常および脳弓損傷ラットでの物体認識課題における能力に対するR−(−)−アンフェタミンの効果を示す。 図13A、13B、13Cおよび13Dは、正常および脳弓損傷ラットでの物体認識課題における能力に対するR−(−)−アンフェタミンの効果を示す。 図13A、13B、13Cおよび13Dは、正常および脳弓損傷ラットでの物体認識課題における能力に対するR−(−)−アンフェタミンの効果を示す。 図13A、13B、13Cおよび13Dは、正常および脳弓損傷ラットでの物体認識課題における能力に対するR−(−)−アンフェタミンの効果を示す。 図14A、14B、14C、14D、14Eおよび14Fは、活動レベルに対するR−(−)−アンフェタミン(0.5mg/kg)の効果を示す。 図14A、14B、14C、14D、14Eおよび14Fは、活動レベルに対するR−(−)−アンフェタミン(0.5mg/kg)の効果を示す。 図14A、14B、14C、14D、14Eおよび14Fは、活動レベルに対するR−(−)−アンフェタミン(0.5mg/kg)の効果を示す。 図14A、14B、14C、14D、14Eおよび14Fは、活動レベルに対するR−(−)−アンフェタミン(0.5mg/kg)の効果を示す。 図14A、14B、14C、14D、14Eおよび14Fは、活動レベルに対するR−(−)−アンフェタミン(0.5mg/kg)の効果を示す。 図14A、14B、14C、14D、14Eおよび14Fは、活動レベルに対するR−(−)−アンフェタミン(0.5mg/kg)の効果を示す。 図15A、15B、15C、15D、15Eおよび15F は、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミン(2mg/kg)の効果を示す。 図15A、15B、15C、15D、15Eおよび15F は、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミン(2mg/kg)の効果を示す。 図15A、15B、15C、15D、15Eおよび15F は、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミン(2mg/kg)の効果を示す。 図15A、15B、15C、15D、15Eおよび15F は、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミン(2mg/kg)の効果を示す。 図15A、15B、15C、15D、15Eおよび15F は、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミン(2mg/kg)の効果を示す。 図15A、15B、15C、15D、15Eおよび15F は、活動レベルに対するS−(+)−アンフェタミン(2mg/kg)の効果を示す。 図16は、テールフリック無痛覚に対するR−(−)−アンフェタミンの効果を示す。 図17は、例示的徐放デバイスを示す。 図18は、R−(−)−アンフェタミンの薬物動態学、ならびに記憶評価およびPKを示す。 図19は、R−(−)−アンフェタミンのヒト患者への投与が言語記憶を改善できることを示す。 図20は、対照/ビヒクル(veh)、d−アンフェタミン(d−amph)、l−アンフェタミン(C105)またはl−メタンフェタミン(SN522)で処理したラットについてのステップ−スルー待ち時間(秒)を示す。 図21は、対照(0)または変化させた用量のl−メタンフェタミン(SN522)で処理したラットについてのステップ−スルー待ち時間(秒)を示す。星印は対照からの有意な差を示す(p<0.05)。 図22は、生理食塩水対照またはl−メタンフェタミン(SN522)で処理したラットについての逃避待ち時間(秒)を示す。 図23は、l−メタンフェタミン(SN522)で処理したラットについての活動測定(対照からの%増加)を示す。 図24は、D−アンフェタミン(d−amph)で処理したラットについての活動測定(対照からの%増加)を示す。 図25は、l−アンフェタミン(C105)で処理したヒトについての30分(min)および24時間(hr)想起時間後における、Reyの聴覚性言語学習試験によって評価した記憶スコアを示す。星印は有意差を示す。 図26は、l−アンフェタミン(C105)での処理に続くそれらの最良スコアへのプラセボ処理後における、Reyの聴覚性言語学習試験(RAVLTスコア(0から15))によって評価された個々の被験体記憶スコアを比較する。 図27は、l−アンフェタミン(5mg,15mg,30mg)で処理した軽度認知障害と判断された被験体、およびプラセボを受容する軽度認知障害と判断された被験体についてのキーボード熟達を示す。 図28は、プラセボ対照と比較した、l−アンフェタミンでの処理に続く軽度認知障害と診断された被験体における学習の改善を示す。 図29は、プラセボ対照と比較した、l−アンフェタミンでの処理に続いて軽度認知障害と診断された被験体での記憶の改善を示す。 図30は、プラセボ対照と比較した、l−アンフェタミンでの処理に続いての、軽度認知障害と診断された被験体における遂行機能の改善を示す。 図31は、プラセボ対照と比較した、l−アンフェタミン(30 mg)での処理に続いての、軽度認知障害と診断された被験体における、Zスコアによって表した、記憶および学習における改善を示す。 図32は、生理食塩水対照で処理したラット(Sal);および種々の用量のl−メタンフェタミン(SN522)で処理したスコポラミンラット、またはl−メタンフェタミンで処理しないスコポラミンラット(0)についてのステップ−スルー待ち時間(秒)を示す。 図33は、生理食塩水単独で処理したラット(sal−sal);および種々の用量のl−アンフェタミン(C105)で処理したスコポラミンラットまたは生理食塩水で処理したスコポラミンラット(sal)についてのステップ−スルー待ち時間(秒)を示す。星印は群平均値の間の有意差を示す(p<0.05)。 図34は、l−メタンフェタミン(SN522)の投与に続いての、ヒトにおける記憶の改善を示す。 図35は、l−メタンフェタミンのヒトへの投与に続いての、ベースラインからの合計スピードスコアにおける改善を示す。 図36は、l−メタンフェタミンのヒトへの投与に続いての、絵認識/感受性指標における改善を示す。 図37は、l−メタンフェタミンのヒトへの投与に続いての、情報処理−検出された標的におけるl−メタンフェタミンの改善を示す。 図38は、l−メタンフェタミンのヒトへの投与に続いての、情報処理−偽警告における改善を示す。

Claims (40)

  1. l-アンフェタミン、l-メタンフェタミンまたは双方の組み合わせからなる群より選択される有効量のアンフェタミン組成物を、多発性硬化症に関連する、記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶の障害についてヒトを治療する方法。
  2. l-アンフェタミンが投与され、ここで該l-アンフェタミンは組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約80モルパーセントのl-アンフェタミンを含む組成物の成分として投与される、請求項1記載の方法。
  3. l-メタンフェタミンが投与され、ここで該l-メタンフェタミンは組成物の総メタンフェタミン含有量に対して少なくとも約80モルパーセントのl-メタンフェタミンを含む組成物の成分として投与される、請求項1記載の方法。
  4. ヒトにおける記憶の障害および向上がReyの聴覚性言語学習試験によって決定される、請求項1記載の方法。
  5. 短期記憶、作動記憶、長期記憶、記憶の固定、手続き記憶および陳述記憶からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーが、アンフェタミンの投与に続いてヒトにおいて改善される、請求項1記載の方法。
  6. l-アンフェタミンが、1日あたり約1 mg用量から約150 mg用量の間の用量で投与される、請求項1記載の方法。
  7. l-メタンフェタミンが、1日当たり約1 mg用量から約150 mg用量の間の用量で投与される、請求項1記載の方法。
  8. l-アンフェタミン、l-メタンフェタミンまたは双方の組み合わせからなる群より選択される有効量のアンフェタミン組成物を、多発性硬化症に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  9. l-アンフェタミンが投与され、ここで該l-アンフェタミンは組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約80モルパーセントのl-アンフェタミンを含む組成物の成分として投与される、請求項8記載の方法。
  10. l-メタンフェタミンが投与され、ここで該l-メタンフェタミンは組成物の総メタンフェタミン含有量に対して少なくとも約80モルパーセントのl-メタンフェタミンを含む組成物の成分として投与される、請求項8記載の方法。
  11. 注意、遂行機能、反応時間、学習、情報処理、概念化、問題解決および言語の流暢さからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーが、アンフェタミンの投与に続いて、ヒトにおいて改善される、請求項8記載の方法。
  12. l-アンフェタミンが、1日当たり約1 mg用量から約150 mg用量の間の用量で投与される、請求項8記載の方法。
  13. l-メタンフェタミンが、1日当たり約1 mg用量から約150 mg用量の間の用量で投与される、請求項8記載の方法。
  14. l-アンフェタミン、l-メタンフェタミンまたは双方の組み合わせからなる群より選択される有効量のアンフェタミン組成物を、脳動脈瘤に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該ヒトは記憶、注意および学習の障害を有さない、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  15. 脳動脈瘤が前交通動脈脳動脈瘤である、請求項14記載の方法。
  16. l-アンフェタミン、l-メタンフェタミンまたは双方の組み合わせからなる群より選択される有効量のアンフェタミン組成物を、精神遅滞に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで障害が記憶、注意および学習の障害でない、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  17. 注意、遂行機能、反応時間、学習、情報処理、概念化、問題解決および言語の流暢さからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーが、アンフェタミンの投与に続いて、ヒトにおいて改善される、請求項16記載の方法。
  18. 有効量のアンフェタミンをパーキンソン病に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここでアンフェタミンはアンフェタミン、および任意にメタンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、ここで組成物の総アンフェタミンおよびメタンフェタミン含有量の少なくとも約85モルパーセントはl−アンフェタミンであり、該ヒトは記憶、注意および学習の障害は有さない、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  19. 遂行機能、反応時間、情報処理、概念化、問題解決および言語の流暢さからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーが、アンフェタミンの投与に続いてヒトにおいて改善される、請求項18記載の方法。
  20. 有効量のメタンフェタミンをパーキンソン病に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここでメタンフェタミンはメタンフェタミン、および任意にアンフェタミンを含む組成物の成分として投与され、ここで組成物のアンフェタミン含有量における総メタンフェタミンの少なくとも約85モルパーセントはl−メタンフェタミンであって、ここで該ヒトは記憶、注意および学習の障害は有さない、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  21. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を慢性疲労症候群に関連する記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶障害についてヒトを治療する方法。
  22. 短期記憶、長期記憶、記憶の固定、作動記憶、手続き記憶および陳述記憶からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーが、アンフェタミンの投与に続いて改善される、請求項21記載の方法。
  23. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を慢性疲労症候群に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  24. 注意、遂行機能、反応時間、学習、情報処理、概念化、問題解決および言語の流暢さからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーが、アンフェタミンの投与に続いて改善される、請求項23記載の方法。
  25. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を線維筋痛症候群に関連する記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶障害についてヒトを治療する方法。
  26. 短期記憶、長期記憶、記憶の固定、作動記憶、手続き記憶および陳述記憶からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーが、アンフェタミンの投与に続いて改善される、請求項25記載の方法。
  27. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を線維筋痛症候群に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含む、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  28. 注意、遂行機能、反応時間、学習、情報処理、概念化、問題解決および言語の流暢さからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーが、アンフェタミンの投与に続いて改善される、請求項27記載の方法。
  29. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を化学療法処置に関連する記憶の障害を有するヒトに投与することを含む、記憶障害についてヒトを治療する方法。
  30. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を脳損傷に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該ヒトは記憶、注意および学習に障害を有さない、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  31. 脳損傷が外傷性脳損傷である、請求項30記載の方法。
  32. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミンまたは双方の組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を脳卒中に関連する認知機能の障害を有するヒトに投与することを含み、ここで該ヒトは記憶、注意および学習に障害を有さない、認知機能の障害についてヒトを治療する方法。
  33. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチン、モダフィニル、またはそれらの組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を、ヒトをムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露する前、曝露するのと同時または曝露した後からなる群より選択される1つ以上の時点でヒトに投与することを含み、それによってムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果として生じる記憶障害が少なくとも部分的に減弱される、記憶障害についてヒトを治療する方法。
  34. ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストが、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピンおよびトリヘキシルフェニジルからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項33記載の方法。
  35. ヒトが、l-アンフェタミンおよびl-メタンフェタミンからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを投与される、請求項33記載の方法。
  36. l-アンフェタミンが組成物の成分として投与され、ここで該l-アンフェタミンは該組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約80モルパーセントのl-アンフェタミンを含み、l-メタンフェタミンが組成物の成分として投与され、ここで該l-メタンフェタミンは該組成物の総メタンフェタミン含有量に対して少なくとも約80モルパーセントのl-メタンフェタミンを含む、請求項35記載の方法。
  37. l−アンフェタミン、l−メタンフェタミン、l-スレオ-メチルフェニデート、d-スレオ-メチルフェニデート、メチルフェニデート、アトモキセチン、モダフィニル、またはそれらの組み合わせよりなる群から選択される有効量のアンフェタミン組成物を、ヒトをムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへ曝露する前、曝露するのと同時または曝露した後からなる群より選択される1つ以上の時点でヒトに投与することを含み、それによってムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストへの曝露の結果として生じる認知障害が少なくとも部分的に減弱される、認知障害についてヒトを治療する方法。
  38. ムスカリン性コリン作動性受容体アンタゴニストが、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピンおよびトリヘキシフェニジルからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項37記載の方法。
  39. ヒトが、l-アンフェタミンおよびl-メタンフェタミンからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを投与される、請求項37記載の方法。
  40. l-アンフェタミンが組成物の成分として投与され、ここで該l-アンフェタミンは該組成物の総アンフェタミン含有量に対して少なくとも約80モルパーセントのl-アンフェタミンを含み、l-メタンフェタミンが組成物の成分として投与され、ここで該l-メタンフェタミンは該組成物の総メタンフェタミン含有量に対して少なくとも約80モルパーセントのl-メタンフェタミンを含む、請求項31記載の方法。
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