JP2007336637A - 電力変換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストとサイズの増大を招くことなくスイッチング素子に対する短時間過負荷耐量を向上させ、素子破壊を防止することで定格電流の大きな電力変換器を提供する。
【解決手段】電力用スイッチング素子100と、電力用スイッチング素子100の外囲器に接触して冷却する冷却部200とを備え、冷却部200は、スイッチング素子から生じる熱を伝導させる熱伝導部と、熱伝導部に接触し、熱伝導部により伝えられた熱を蓄積する熱蓄積媒体と、熱伝導部に接触し、熱蓄積媒体に蓄積された熱を放熱する放熱手段とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力用スイッチング素子を用いる電力変換器に関する。
電力用スイッチング素子を応用した電力変換器は、スイッチング素子の大容量化・高速化に伴い、その応用範囲を着実に広げている。このような電力用スイッチング素子において、特に、最近応用分野を伸ばしてきたのがMOSゲート型のスイッチング素子であるIGBTやMOSFETである。
スイッチング素子は半導体素子であるから、おのずから耐圧に厳しい制限があり、ごく短時間であっても規定された絶対最大定格を超えた電圧を印加すれば、スイッチング素子は破壊してしまう。一般に、電力変換器の負荷は誘導性の負荷であるために、電流を遮断する際にサージ電圧が発生する。スイッチング素子がターンオフする際のサージ電圧をスイッチング素子が耐えうる限界内に抑制する必要がある。そのために、これまで用いられてきたのがスナバ回路である(例えば、特許文献1参照)。
従来からあるスナバ回路として、例えば図6に示すようなものがある。図6において、スイッチング素子308aがターンオフする際のサージ電圧はスナバコンデンサ302a及びダイオード306a、さらにコンデンサ302b及びダイオード306bによって抑えられる。以下、図6を参照しながら、従来のスナバ回路がスイッチング素子のサージ電圧を抑える作用を説明する。
スイッチング素子308aがターンオフする際には、配線インダクタンス310を流れていた電流は、スイッチング素子308aからスナバコンデンサ302aおよびスナバダイオード306aからなる第1のスナバ回路に転流する。スナバコンデンサ302aの電圧は直線的に上昇し、やがて直流コンデンサ312の電圧と等しくなる。この時点からダイオード302bが導通し、配線インダクタンス310の電流はスナバコンデンサ302aとともに、スナバコンデンサ302bに流入し、この2つのコンデンサを充電する。これによって、配線インダクタンス310に蓄えられていたエネルギーは2つのコンデンサに移し変えられ、2つのコンデンサの容量とインダクタンスの値と主電流の大きさで決まる一定の値までコンデンサの電圧は上昇して、転流プロセスは完了する。
スナバコンデンサ302aに蓄えられたエネルギーはスイッチング素子308aがオンしている期間に抵抗304aによって消費されて、コンデンサ302aの電圧は、スイッチング素子308aが再びターンオフする前に0に戻る。また、コンデンサ302bの電圧のうち、直流コンデンサ312の電圧を上回る余剰分の電圧に相当するエネルギーは抵抗304bによってゆっくりと消費され、スイッチング素子308aが再びターンオフする前に、コンデンサ302bの電圧は直流コンデンサ312の電圧と相等しくなる。
このようにして、主回路中のインダクタンスに蓄積されるエネルギーをスナバ回路にいったん移し変えることで、スイッチング素子がターンオフする際のサージ電圧を抑制することができる。
またIGBTやMOSFETは、オン・オフ状態を自己継続しないノンラッチング型のスイッチング素子であり、サイリスタ等のラッチング型のスイッチング素子に比べて、ゲート駆動による高い制御性が可能な点が大きな利点である。このノンラッチング型のスイッチング素子は、ターンオン・ターンオフのスイッチング過渡期においても、ゲート制御によってサージ電圧やサージ電流を抑制したり、スイッチング過渡期の電流や電圧の傾きを自在に制御したりすることが可能になる。
こうしたノンラッチング型スイッチング素子の特徴を生かした応用例として、アクティブゲート駆動技術による多直列高圧変換器がある。多直列高圧変換器では、限られた耐圧の素子を多数個直列に接続することで、電力系統などの高電圧用途に用いることが可能な、高圧変換器を実現するものである。多直列変換器では、直列に接続された多数個の素子間における、わずかなスイッチングタイミングのずれによって、大きな電圧分担のばらつきが生じるという問題がある。これに対する対応策が、アクティブゲート駆動技術である(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載されたアクティブゲート駆動技術によるゲート駆動回路は、電力用スイッチング素子の主電極間に印加される電圧を複数の抵抗で分圧し、この分圧された電圧に応じて制御電流源より電力用スイッチング素子のゲート電極に電流を注入する。通常動作の状態では、電圧増幅器を介して印加されるゲート信号に従って電力用スイッチング素子がオン・オフ動作を行なうが、電力用スイッチング素子のターンオフ時にサージ電圧が発生した場合には、制御電流源よりの出力電流が増大する。制御電流源より電力用スイッチング素子のゲート端子に流入する電流によって電力用スイッチング素子のゲート電圧が上昇し、これによって電力用スイッチング素子のコレクタ電流は増大し、結果として、電力用スイッチング素子のコレクタ電圧が下降する。このような動作によって、スナバ回路によらずに電力用スイッチング素子のサージ電圧を抑制するものである。
特開平10−174424号公報 特開2005−86940号公報
特許文献1に記載の発明においては、スイッチング素子がターンオフする際のサージ電圧を抑制するために、主回路中のインダクタンスに含まれるエネルギーをスナバコンデンサに移し変えている。そのため、スイッチング素子が遮断する電流が大きいほど、サージ電圧も大きくなる。具体的には、サージ電圧のピーク値の、電源電圧に対する跳ね上がり量ΔVは、遮断する電流Icに対して、
Figure 2007336637
となる。ここで、Lsは主回路中のインダクタンス、Csはスナバコンデンサの容量である。
このような関係があるために、短時間過負荷などで、定常負荷に対して大きな電流を遮断する時には、通常状態に比べて、電流に比例して跳ね上がり量ΔVが増大してしまう。あるいは逆に、短時間過負荷などに対応するためには、スナバコンデンサの容量を大きくするほかない。しかも(1)式で分かるとおり、仮にIcの値が2倍の200%過負荷でもサージ電圧を同じに抑えるためにはCsの値は4倍にしなければならず、過負荷に対する耐量を維持するには、大きなスナバ回路が必要となる。スナバ回路は主回路の一部であり、スナバ回路の大型化は変換器のコストとサイズの増大を招く。
また特許文献2に記載の発明においては、スイッチング素子の主電圧Vceをゲート駆動回路においてフィードバック制御することで、サージ電圧の発生を抑制するものである。こうしたアクティブゲート駆動回路の方式を用いた場合、スイッチング素子以外にはなんらの主回路素子も要しないという点では、回路構成が簡素となる利点があるが、一方、スイッチング素子が損失のすべてを分担しなければならないために、素子損失が増大するという問題がある。
この問題を、以下図7を参照しながら、詳細に説明する。なお、図7及び図8では、スイッチング素子としてIGBTを用いるものとし、スイッチング素子に印加される電圧をコレクタ・エミッタ間電圧Vce、スイッチング素子を流れる主電流をコレクタ電流Icとする。
図7において、期間T1でコレクタ電流Icがわずかに下がり始める。コレクタ電圧はコレクタ電流の時間微分値に比例して上昇するので、期間T1において、コレクタ電圧は急速に上昇する。コレクタ電圧Vceがある一定の値に達すると、ピークサージ電圧を抑制する制御が動作を開始し、コレクタ電圧を一定の値に抑えるように制御が働く。この期間が期間T2である。コレクタ電圧が一定だから、コレクタ電流の時間微分値もまた一定の値となるので、コレクタ電流は直線状に降下する。コレクタ電流がほぼ0になったときに、期間T2は終了し、期間T3ではコレクタ電流はほぼ0で、コレクタ電圧は急激に電源電圧Vdcに収束する。
一方、図8には、従来のスナバ回路を用いた場合の、コレクタ電流およびコレクタ・エミッタ間電圧の波形を示す。図7の期間T2がなくなり、期間T1でコレクタ電流Icが下がるにつれて、コレクタ・エミッタ間電圧VceはIcの時間微分値に比例して上昇し、ピークを迎えた後に、コレクタ電流Icがほぼ0に達すると急速に下降して、電源電圧Vdcにほぼ等しい値となって、期間T3に移行する。
アクティブゲート駆動技術によってピークサージ電圧を抑制する場合には、スイッチング素子のターンオフ時にサージ電圧を抑制している期間について、余分の損失が発生する。図7における、期間T2がそれである。期間T2では、コレクタ電圧を一定の値にクランプするようにアクティブゲート駆動回路が作動している。ターンオフ時のコレクタ電圧は、コレクタ電流Icの時間微分値であるdIc/dtに比例するので、期間T2ではdIc/dt、すなわちコレクタ電流Icの傾きが一定の値となる。この期間T2におけるコレクタ・エミッタ間電圧をVcepとし、直流電源電圧をVdc、主回路の寄生インダクタンス成分をLsとすれば、
Figure 2007336637
という関係が成り立つのである。そのため、期間T2における素子の損失をE2とすれば、期間T2の時間幅をt2、コレクタ電流の最大値をIcp1として、テイル電流が十分小さいと仮定すれば、
Figure 2007336637
すなわち、期間T2における素子の損失は、コレクタ電流の最大値Icpの2乗に比例して増大するものである。
これより、たとえば連続定格に対して200%の短時間負荷を負った時のスイッチング素子のターンオフ損失は、定格電流に対して2倍ではなく、4倍となり、過負荷時に飛躍的に損失が増大するものである。
しかし、一方、短時間負荷は多くの電力変換器では数秒ていどの、比較的短い期間ですむことが多い。たとえば、電力系統に接続される変換器であれば、変圧器の投入による一時的な突入電流による過負荷は数サイクル(数十ミリ秒)で終わるし、自動車駆動用の電力変換器であれば、最大電流が要求されるのは、加速期間の数秒間ていどである。こうした短期間負荷に対しては、短期間の冷却能力が増強されていれば、スイッチング素子の過負荷損失による温度上昇を抑制するには十分である。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、コストとサイズの増大を招くことなくスイッチング素子に対する短時間過負荷耐量を向上させ、素子破壊を防止することで定格電流の大きな電力変換器を提供することを課題とする。
本発明に係る電力変換器は、上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、電力用スイッチング素子と、前記電力用スイッチング素子の外囲器に接触して冷却する冷却手段とを備え、前記冷却手段は、前記スイッチング素子から生じる熱を伝導させる熱伝導部と、前記熱伝導部に接触し、前記熱伝導部により伝えられた熱を蓄積する熱蓄積媒体と、前記熱伝導部に接触し、前記熱蓄積媒体に蓄積された熱を放熱する放熱手段とを有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記電力用スイッチング素子の主電極間に流れる電流を制御することで過電圧を抑制するアクティブゲート駆動回路を備えることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記放熱手段は、前記熱蓄積媒体に蓄積された熱を自然空冷または強制空冷により放熱させることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記放熱手段は、前記熱蓄積媒体に蓄積された熱を強制水冷により放熱させることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、前記熱蓄積媒体は、水であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、前記熱蓄積媒体は、相変化物質を利用して蓄熱を行う相変化型熱媒体であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項において、前記スイッチング素子の温度を計測する温度計測手段と、前記温度計測手段により計測された温度が所定の値を超えると警報を発する警報手段とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項1記載の発明によれば、スイッチング素子に接触して冷却する冷却手段を有するため、スイッチング素子の過負荷損失による温度上昇を抑制し、熱による素子破壊を防止することができる。したがって、最低限の構成で大きな電流量を扱うことが可能となる。
また冷却手段は熱伝導部、熱蓄積媒体、放熱手段を有する。熱伝導部は、熱抵抗の大きい熱蓄積媒体に対して効果的にスイッチング素子から生じた熱を伝えることができる。熱蓄積媒体は、熱伝導部により伝えられた熱を一時的に吸収し、蓄積することができる。放熱手段は、熱蓄積媒体に蓄えられた熱を熱伝導部を介して後に放熱することができる。
仮に熱蓄積媒体の熱容量を超える熱量が長時間に渡ってスイッチング素子から生じる場合にはこのような構成をとることはできないが、例えば自動車駆動用の電力変換器であれば、最大電流が要求されるのは、加速期間の数秒間程度である。したがって短時間に生じた熱であれば蓄えておくことのできる熱蓄積媒体を有する冷却手段の構成をとることにより、大掛かりな冷却装置や回路構成を必要とすることなく、スイッチング素子に対して効果的に冷却を行うことができる。
また熱蓄積媒体を有することにより、冷却手段のサイズやコストを抑えることができる。仮に熱蓄積媒体が無いとするならば、生じた熱を即座に放熱するためにサイズの大きな放熱手段や強制的に冷却させる装置等が必要となるからである。
本発明の請求項2記載の発明によれば、アクティブゲート駆動回路を備えるため、スイッチング素子の主電極間に印加される電圧を検出する検出手段と、検出された電圧に応じてスイッチング素子の制御電極に印加される電圧を制御する制御手段により、ターンオフ時におけるスイッチング素子の主電極間の電圧は一定以下に制御される。したがってスナバ回路は不要となり、過負荷に対する耐量を維持するためにスナバ回路を大型化することも不要となるため、変換器のコストとサイズの増大を抑えることができる。
本発明の請求項3記載の発明によれば、放熱手段として自然空冷または強制空冷を行うことにより、熱蓄積媒体に蓄えられた熱を放熱することができる。自然空冷とは、例えば冷却フィン等を備え自然の対流により冷却することである。また強制空冷とは、ファン等で風を送ることにより冷却することである。
本発明の請求項4記載の発明によれば、放熱手段として強制水冷を行うことにより、熱蓄積媒体に蓄えられた熱を放熱することができる。強制水冷とは、例えば熱伝導部に接触して循環する水路等を設けることにより冷却することである。
本発明の請求項5記載の発明によれば、熱蓄積媒体に水を用いることにより、スイッチング素子から生じた熱を蓄えることができる。水は比熱、すなわち熱容量が大きく、熱蓄積媒体に最適だからである。
本発明の請求項6記載の発明によれば、熱蓄積媒体に相変化型の熱媒体を用いることにより、スイッチング素子から生じた熱を蓄えることができる。相転移の際に融解熱や気化熱といった潜熱を必要とするため、比熱を利用して熱を蓄積するよりも、より大きな熱量を蓄積することができる。
本発明の請求項7記載の発明によれば、スイッチング素子の温度を計測する温度計測手段により計測された温度が所定の値を超えた場合に警報を発するため、熱蓄積媒体の熱容量を超える熱量が生じた場合にも、素子破壊に至る前に対応が可能となる。
以下、本発明の電力変換器の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1を示す図である。まず、本実施の形態の構成を説明すると、本実施の形態では、冷却部200は、本発明の冷却手段に対応し、スイッチング素子100の外囲器に接触してスイッチング素子100を冷却する。スイッチング素子100は、本発明の電力用スイッチング素子に対応し、電力変換器に必要な交流電圧・電流波形を供給する。アクティブゲート駆動回路112は、ゲート抵抗104と、電圧増幅器106と、電圧検出器108と、制御手段110とから構成されており、スイッチング素子100のゲート端子電圧を制御する。電圧増幅器106は、ゲート抵抗104を介してスイッチング素子100を駆動する。電圧検出器108は、スイッチング素子100に印加される電圧を検出する。制御手段110は、電圧検出器108により検出された電圧に応じて、ゲート端子の電圧を制御する。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。最初にアクティブゲート駆動回路112の動作を説明する。アクティブゲート駆動回路112は、スイッチング素子100の主電極間に流れる電流を制御することで、過電圧を抑制する。通常の運転状態では、スイッチング素子100のゲート端子電圧は、電圧増幅器106の出力電圧により制御される。代表的な電圧では、オン状態では15V、オフ状態では−15Vで、ターンオン・ターンオフの過渡期にはこの中間的な電圧となる。電圧検出器108は、スイッチング素子100に印加される電圧を検出する。ターンオフ時にサージ電圧が発生し、スイッチング素子100に印加される電圧が所定の値を超えると、制御手段110は、電圧検出器108により検出された電圧に応じて、スイッチング素子100のゲート電圧を上昇させる。スイッチング素子100の等価抵抗はターンオフ過渡期にはゲート電圧に応じて制御できるので、ゲート電圧の上昇によりスイッチング素子100の等価抵抗は減少し、ターンオフ動作によって減少しつつあった主電流の傾きがゆるやかになる。上述したように、サージ電圧は主回路のインダクタンス分によって発生するものであるため、主電流の時間微分値に依存する。したがって、ゲート電圧を上昇させることにより、スイッチング素子100に印加されるサージ電圧の上昇は抑制される。
すなわち、電圧検出器108と制御手段110とを用いることにより、スナバ回路を用いることなくサージ電圧を抑制することができる。なお図示はしていないが、制御手段110をスイッチング素子100のゲート電極ではなく、電圧増幅器106に接続してゲート端子電圧を制御する方法もある。この場合もアクティブゲート駆動回路112の動作は同様のものとなる。
図2は、一般的なインバータ(電力変換器)の出力電圧波形の1例である。実線は、スイッチング素子のオン・オフ波形を示し、破線は基本波成分であるインバータの出力電圧波形を示す。本発明の実施例1では、スイッチング素子100をオン・オフさせ、図2に示すように交流電圧・電流波形を作り出す。
前述したように、アクティブゲート駆動回路を用いたときの短時間負荷を負った時のスイッチング素子のターンオフ損失は、過負荷時に飛躍的に増大する。しかし、一方、短時間負荷は多くの電力変換器では数秒ていどの、比較的短い期間ですむことが多い。たとえば、電力系統に接続される変換器であれば、変圧器の投入による一時的な突入電流による過負荷は数サイクル(数十ミリ秒)で終わる。また、自動車駆動用の電力変換器であれば、最大電流が要求されるのは、加速期間の数秒間程度である。こうした短期間負荷に対しては、短期間の冷却能力が増強されていれば、スイッチング素子の過負荷損失による温度上昇を抑制するには十分である。
図3は、冷却部200における冷却構造を示す図である。図3において、スイッチング素子100は、冷却用のヒートシンクによって挟み込まれる圧接型の素子である。冷却部200であるヒートシンクは、スイッチング素子100に圧接される熱蓄積部202と、冷却フィン204とからなる。冷却フィン204は、本発明の放熱手段に対応し、熱蓄積部202に蓄積された熱を放熱する。こうした構成を取ることにより、通常運転時には、冷却フィン204に伝わった熱を自然空冷又は強制空冷によって冷却する一方、過負荷電流を流す際の大きな熱については、一時的に熱蓄積部202に蓄積してスイッチング素子100の温度上昇を緩和し、過負荷運転が終了した後に冷却フィン204によって冷却を行うことができる。ここでいう自然空冷とは、自然の対流により冷却することであり、強制空冷とは、ファン等を用いて風を送り強制的に冷却することである。
また図示されてはいないが、冷却フィン204の代わりに放熱手段として強制水冷を行うことにより、熱蓄積部202に蓄えられた熱を放熱することも考えられる。強制水冷とは、例えば熱蓄積部202に接触して循環する水路等を設けることにより冷却することである
図4は、冷却部200であるヒートシンクの断面図である。熱蓄積部202は、熱伝導部206と、熱蓄積媒体208とで構成されている。熱伝導部206は、スイッチング素子100から生じる熱を伝導させる。熱蓄積媒体208は、熱伝導部206に接触し、熱伝導部206により伝えられた熱を蓄積する。通常運転時の冷却は、熱伝導部206より冷却フィン204へと熱が伝導することによって行われる。一方、過負荷運転によって発生した過剰な熱については、熱蓄積媒体208に蓄えられるため、短期間であれば冷却フィン204の伝熱能力を超えた冷却が可能になるものである。熱蓄積媒体208としては、たとえば水などが考えられるが、これに限ったものではないことは言うまでもない。
熱蓄積媒体208は、比熱が大きいことが望ましい。ヒートシンクの素材として一般に用いられる銅やアルミなどの金属は熱伝導率は高いが、比熱は小さいので、たとえば水などの比熱が大きい物質を用いることができる。この場合、冷却フィン204への熱伝導経路である熱伝導部206は、銅などの金属によって形成されるとともに、熱伝導部206の内部に密封された熱蓄積媒体208は、水などの比熱の高い物質を有する構造が望ましい。
一方、比熱を利用して熱を蓄積するよりも、より大きな熱量を蓄積できる材料として、相変化型の熱媒体を熱蓄積媒体208に利用することが考えられる。半導体素子の許容温度は、パッケージ面において100℃程度となっているのが普通である。この程度の温度において、固相から液相に相転移(融解)する高分子剤などは、スイッチング素子が過負荷運転によって過熱した場合に、相転移を起こし、融解熱を受け入れるため、比熱によるよりも大きな熱容量を発揮する。したがって、過負荷運転時の過熱抑制について、大きな効果が期待できる。
あるいは、液相から気相への相転移(蒸発)を利用することもできる。この場合も、水などが考えられる。液相から気相への相転移は、圧力変化を伴うので注意を要するが、この点は従来から用いられているヒートパイプなどと同様の技術が適用できる。いずれにしても、通常のヒートパイプと異なり、短期間過負荷に対する熱容量の増加のみが目的であるので、簡素で低コストな構造で実現可能である。
上述のとおり、実施例1の形態に係る電力変換器によれば、スイッチング素子100に接触して冷却する冷却部200を有するため、スイッチング素子100の過負荷損失による温度上昇を抑制し、熱による素子破壊を防止することができる。したがって、最低限の構成で大きな電流量を扱うことが可能となる。
また冷却部200は、熱伝導部206、熱蓄積媒体208、冷却フィン204を有する。熱伝導部206は、熱抵抗の大きい熱蓄積媒体208に対して効果的にスイッチング素子100から生じた熱を伝えることができる。熱蓄積媒体208は、熱伝導部206により伝えられた熱を一時的に吸収し、蓄積することができる。冷却フィン204は、熱蓄積媒体208に蓄えられた熱を熱伝導部206を介して後に放熱することができる。
仮に熱蓄積媒体の熱容量を超える熱量が長時間に渡ってスイッチング素子から生じる場合にはこのような構成をとることはできないが、例えば自動車駆動用の電力変換器であれば、最大電流が要求されるのは、加速期間の数秒間程度である。したがって、短時間に生じた熱であれば蓄えておくことのできる熱蓄積媒体208を有する冷却部200の構成をとることにより、大掛かりな冷却装置や回路構成を必要とすることなく、スイッチング素子100に対して効果的に冷却を行うことができる。
また熱蓄積媒体208を有することにより、冷却部200のサイズやコストを抑えることができる。仮に熱蓄積媒体208が無いとするならば、生じた熱を即座に放熱するためにサイズの大きな放熱手段や強制的に冷却させる装置等が必要となるからである。
また、アクティブゲート駆動回路112を備えるため、スイッチング素子100の主電極間に印加される電圧を検出する電圧検出器108と、検出された電圧に応じてスイッチング素子100の制御電極に印加される電圧を制御する制御手段110により、ターンオフ時におけるスイッチング素子100の主電極間の電圧は一定以下に制御される。したがってスナバ回路は不要となり、過負荷に対する耐量を維持するためにスナバ回路を大型化することも不要となるため、変換器のコストとサイズの増大を抑えることができる。
また、放熱手段として冷却フィン204を用いて、自然空冷または強制空冷を行うことにより、熱蓄積媒体208に蓄えられた熱を放熱することができる。さらに、放熱手段として冷却フィン204を用いる代わりに強制水冷を行うことにより、熱蓄積媒体208に蓄えられた熱を放熱することもできる。
また、熱蓄積媒体208に水を用いることにより、スイッチング素子から生じた熱を蓄えることができる。水は比熱、すなわち熱容量が大きく、熱蓄積媒体に最適だからである。さらに、熱蓄積媒体208に相変化型の熱媒体を用いることも可能である。相変化型の熱媒体を用いることにより、相転移の際に融解熱や気化熱といった潜熱を必要とするため、比熱を利用して熱を蓄積するよりも、より大きな熱量を蓄積することができる。
以上述べてきた本発明の実施例において、スイッチング素子としてはIGBTを例にとっているが、IGBTに限らず電圧で制御されるノンラッチング型のスイッチング素子であれば、MOSFETなどにも同様に本発明が適用できることは言うまでもない。
図5は、本発明の実施例2を示す図である。まず、本実施の形態の構成を説明する。実施例2は、スイッチング素子100の温度を計測する温度計測部400と、警報器500を備えた点において、実施例1と異なる。温度計測部400は、本発明の温度計測手段に対応し、スイッチング素子に接触しているか又は近傍に設置されている。警報器500は、本発明の警報手段に対応し、温度計測部400に接続されていて、計測された温度が所定の値を超えると警報を発する。その他の構成は実施例1と同じであるため、重複した説明を省略する。
本実施の形態の作用を以下に説明する。実施例1にて説明したように、過負荷運転によって生じる過熱は、熱蓄積媒体208の熱蓄積機能によって抑制することとしている。しかしながら、運転状況によっては過負荷運転が想定した時間を越えて行われる場合も考えられる。こうした状況に対しては、スイッチング素子100の温度を監視し、温度が上限を超えたところで警報を発するなどの対応が求められる。そこで、温度計測部400は、スイッチング素子100の温度を計測する。警報器500は、計測された温度が所定の値を超えると、警報を発する。この警報手段は警報を発するに限らず、例えば表示部に警告を表示するような方法であってもよい。こうした状況においても、本発明の熱蓄積要素は過熱にいたる時間を延長する効果が期待できるために、過熱によってスイッチング素子を破損させる危険を減少させることが可能である。
上述のとおり、実施例2の形態に係る電力変換器によれば、スイッチング素子100の温度を計測する温度計測部400により計測された温度が所定の値を超えた場合に警報器500が警報を発するため、熱蓄積媒体の熱容量を超える熱量が生じた場合にも、素子破壊に至る前に対応が可能となる。
本発明に係る電力変換器は、電力系統に接続されるインバータや、自動車や電車の駆動に用いるインバータ等の比較的短時間に大きな電流を必要とする電力変換器に利用可能である。
本発明の実施例1の形態である電力変換器の構成図である。 インバータ出力電圧波形の1例を示す図である。 本発明の実施例1の形態の冷却部の構造図である。 本発明の実施例1の形態の冷却部の断面図である。 本発明の実施例2の形態である電力変換器の構成図である。 従来のスナバ回路を用いた電力変換装置の回路図である。 従来のゲート駆動回路での素子損失を説明する図である。 従来のゲート駆動回路におけるアクティブゲート駆動を適用しない場合の素子損失を説明する図である。
符号の説明
100 スイッチング素子
102 フライホイールダイオード
104 ゲート抵抗
106 電圧増幅器
108 電圧検出器
110 制御手段
112 アクティブゲート駆動回路
200 冷却部
202 熱蓄積部
204 冷却フィン
206 熱伝導部
208 熱蓄積媒体
302a,302b,302c,302d コンデンサ
304a,304b,304c,304d 抵抗
306a,306b,306c,306d ダイオード
308a,308b IGBT
310 配線インダクタンス
312 直流コンデンサ
400 温度計測部
500 警報器

Claims (7)

  1. 電力用スイッチング素子と、
    前記電力用スイッチング素子の外囲器に接触して冷却する冷却手段とを備え、
    前記冷却手段は、
    前記スイッチング素子から生じる熱を伝導させる熱伝導部と、
    前記熱伝導部に接触し、前記熱伝導部により伝えられた熱を蓄積する熱蓄積媒体と、
    前記熱伝導部に接触し、前記熱蓄積媒体に蓄積された熱を放熱する放熱手段と、
    を有することを特徴とする電力変換器。
  2. 前記電力用スイッチング素子の主電極間に流れる電流を制御することで過電圧を抑制するアクティブゲート駆動回路を備えることを特徴とする請求項1記載の電力変換器。
  3. 前記放熱手段は、前記熱蓄積媒体に蓄積された熱を自然空冷または強制空冷により放熱させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電力変換器。
  4. 前記放熱手段は、前記熱蓄積媒体に蓄積された熱を強制水冷により放熱させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電力変換器。
  5. 前記熱蓄積媒体は、水であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電力変換器。
  6. 前記熱蓄積媒体は、相変化物質を利用して蓄熱を行う相変化型熱媒体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電力変換器。
  7. 前記スイッチング素子の温度を計測する温度計測手段と、
    前記温度計測手段により計測された温度が所定の値を超えると警報を発する警報手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の電力変換器。
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US10958156B2 (en) 2018-03-21 2021-03-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Electronic circuit, power conversion device, driving device, vehicle, and elevator

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