JP2007332118A - 神経保護剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】柑橘類果実を有効利用した優れた神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤を提供すること。
【解決手段】柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、その水層を除去する工程を含む方法により得られる水不溶物を含有する、神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤、および神経保護またはアストロサイト活性化抑制用食品。
【選択図】図1

Description

本発明は、柑橘類果実より得られる神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤およびそれらの製造方法に関する。より詳細には、本発明は柑橘類果実を水処理して得られる水不溶物を含有する神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤および神経保護用またはアストロサイト活性化抑制用食品、ならびにそれらの製造方法に関するものである。
柑橘類は古来より生薬の原料として多岐にわたり用いられてきた。例えば、未熟な柑橘類果実に多く含有されるヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギンなどは抗アレルギー効果を有することが知られており、柑橘類果実からヘスペリジンを抽出する方法、およびヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギンなどを含有する抗アレルギー剤などがすでに報告されている(特許文献1〜3)。さらに柑橘類を利用した抗骨粗鬆症組成物、美白用皮膚外用剤、育毛剤、血糖値降下剤などが報告されている(特許文献4〜6)。しかしながら、柑橘類果実を用いた神経保護剤に関してはなんら報告されていない。
また、柑橘類の搾汁残渣を水で洗浄し、急速冷凍し、その後解凍して乾燥させ粉末にする、未熟柑橘類の粉末の製造方法も報告されているが(特許文献7)、水処理によって得られる柑橘類の水不溶性の成分が神経保護またはアストロサイト活性化抑制に有効であることについては、今まで知られていなかった。
特開平8−188593号公報 特開2005−132791号公報 特開2005−170804号公報 特開2006−104089号公報 特開2005−220090号公報 特開2003−199527号公報 特開2005−229836号公報
本発明の課題は、柑橘類果実を、有効利用した優れた神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤および神経保護またはアストロサイト活性化抑制用食品を提供することである。また、本発明のさらなる課題は、該剤または食品を製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み、柑橘類果実、特に温州ミカン(Citrus unshiu)およびシークワサー(Citrus depressa)の果実から得た水不溶物の生理活性に注目し、その神経保護またはアストロサイト活性化抑制効果について鋭意研究を重ね、本発明を完成させた。
即ち、本発明は下記の通りである。
(1)柑橘類果実の水不溶物を含有する神経保護剤。
(2)柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する神経保護剤。
(3)柑橘類果実の水不溶物を含有するアストロサイト活性化抑制剤。
(4)柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有するアストロサイト活性化抑制剤。
(5)水不溶物が、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の剤。
(6)該破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、(5)に記載の剤。
(7)水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である(5)または(6)記載の剤。
(8)アルコールで抽出する工程を含む(5)〜(7)のいずれか1項に記載の剤。
(9)アルコールがメタノールまたはエタノールである(8)記載の剤。
(10)柑橘類が、温州ミカン(Citrus unshiu)またはシークワサー(Citrus depressa)である、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の剤。
(11)柑橘類果実が、直径1〜4cmの柑橘類果実である、(10)に記載の剤。
(12)柑橘類果実の水不溶物を含有する神経保護剤の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
(13)柑橘類果実の水不溶物を含有するアストロサイト活性化抑制剤の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
(14)破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、(12)または(13)記載の製造方法。
(15)水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である、(12)〜(14)のいずれか1項に記載の製造方法。
(16)さらにアルコールで抽出する工程を含む(12)〜(15)のいずれか1項に記載の製造方法。
(17)アルコールがメタノールまたはエタノールである(16)記載の製造方法。
(18)柑橘類果実の水不溶物を含有する、神経保護作用を有するものであることを特徴とし、神経保護のために用いられる旨の表示を付した食品。
(19)柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する、神経保護作用を有するものであることを特徴とし、神経保護のために用いられる旨の表示を付した食品。
(20)柑橘類果実の水不溶物を含有する、アストロサイト活性化抑制作用を有するものであることを特徴とし、アストロサイト活性化抑制のために用いられる旨の表示を付した食品。
(21)柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する、アストロサイト活性化抑制作用を有するものであることを特徴とし、アストロサイト活性化抑制のために用いられる旨の表示を付した食品。
(22)水不溶物が、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである、(18)〜(21)のいずれか1項に記載の食品。
(23)破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、(22)に記載の食品。
(24)水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である、(22)または(23)記載の食品。
(25)アルコールで抽出する工程を含む(22)〜(24)のいずれか1項に記載の食品。
(26)アルコールがメタノールまたはエタノールである(25)記載の食品。
(27)柑橘類が、温州ミカン(Citrus unshiu)またはシークワサー(Citrus depressa)である、(18)〜(26)のいずれか1項に記載の食品。
(28)柑橘類果実が、直径1〜4cmの柑橘類果実である、(27)記載の食品。
(29)柑橘類果実の水不溶物を含有する神経保護用食品の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
(30)柑橘類果実の水不溶物を含有するアストロサイト活性化抑制用食品の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
本発明の、柑橘類果実の水不溶物を含む神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤は、柑橘類果実のアルコール抽出物を含むものよりはるかに優れた神経保護またはアストロサイト活性化抑制効果を有する。さらに、本発明の神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤は、柑橘類という天然物由来であるため副作用も少なく、従来の薬物療法などは適用できなかった患者にも安全に使用することができる。また、その製造方法も水を用いた水処理によるものであるため、煩雑な工程も経る必要がなく、環境的にもコスト的にも有意である。したがって、本発明の神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤、神経保護またはアストロサイト活性化抑制用食品およびそれらの製造方法は、神経細胞が傷害を受けることにより生じる疾患の予防・治療に極めて有益である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤は、柑橘類果実の水不溶物を有効成分とする。本発明における水不溶物とは、柑橘類果実の破砕物を水抽出した際の残渣で、乾燥重量の約75%を占めるものである。通常は、少なくとも破砕物の重量の3倍量の、4℃以上の水で、10分以上水に浸漬または振とうした場合に水に溶けないものをいう。
本発明の神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤は、柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を有効成分とする。アルコール可溶性とは、室温で、10倍量アルコールで最低1時間の振とうによる抽出を5回行った際抽出されるもので、乾燥重量の約50%を占めるものであり、アルコール可溶性の水不溶物とは、アルコール可溶性物をさらに水抽出した際の残渣または上記水不溶物をアルコール抽出したもので、アルコール可溶性物乾燥重量の約50%を占めるものである。
本発明における水不溶物は、柑橘類果実を水処理して、その水を除去した残渣を意味する。具体的には、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである。
本発明において、柑橘類果実を破砕する工程とは、柑橘類果実を採取後、外力を加えて、原料よりも小さな固体を大量に作り出す工程である。柑橘類果実は、0.1mm〜30mmに砕くのが抽出の効率が良くなる観点から好ましく、さらに好ましくは1mm〜10mmである。破砕する方法としては、特に限定されないが、例えば、フードプロセッサー、ミキサーなどの機器を用いて行う。
本発明において、該破砕物を水処理する工程とは、該破砕物から水可溶性成分を除去するために水を加えて水可溶性成分を水層に抽出する工程である。通常、上記破砕物を水に浸漬させ、好ましくは振とう下に放置することによって行われる。
水処理する工程において加える水の量は、高い神経保護活性またはアストロサイト活性化抑制活性が得られ、作業効率が優れている点で、通常該破砕物1重量部に対して水1〜10重量部であり、好ましくは2〜5重量部であり、さらに好ましくは3〜5重量部である。
水処理の温度は、高い神経保護活性またはアストロサイト活性化抑制活性が得られ、作業効率が優れている点で通常は0〜85℃であり、好ましくは0〜65℃であり、より好ましくは0〜30℃である。
水処理の時間は、高い神経保護活性またはアストロサイト活性化抑制活性が得られ作業効率が優れている点で通常5分〜48時間であり、好ましくは10分〜12時間であり、さらに好ましくは1〜3時間である。
本発明において水層を除去する工程とは、上記水処理した破砕物を含む混合物から、水層を分離して水可溶物を除去する工程である。水層は、水および水可溶性成分を含む。除去の方法としては、ろ過、遠心分離などが挙げられるが、これに限定されない。
除去は、数回行うのが好ましい。すなわち完全に水溶性成分を除去するためには、水処理の工程および除去の工程を2〜5回繰り返すことが好ましい。
本発明においては、上記の工程にアルコールで抽出する工程をさらに含んでいてもよい。アルコールで抽出する工程は、上述した柑橘類果実の破砕工程の後であればいずれで行ってもよい。
具体的には、柑橘類果実の破砕物1重量部に対して1〜20重量部のアルコールで抽出して濃縮乾固したものを水処理および水層を除去して水不溶物を得る、または上述の3工程で得られた水不溶物1重量部に対して1〜20重量部のアルコールで抽出して濃縮乾固させて水不溶物を得ることができる。
このようにアルコールで抽出する工程を加えることで有効成分の濃縮効果が得られる。
アルコールは、抽出効率、価格および安全性の点でメタノール、エタノールが好ましい。より好ましくは、メタノールが挙げられる。
本発明で用いる柑橘類は特に限定されないが、高い抗炎症効果が得られるという点で、温州ミカン(Citrus unshiu)、シークワサー(Citrus depressa)、じゃばら(Citrus jabara)、ゆず(Citrus junos)、はっさく(Citrus hassaku)、いよかん(Citrus iyo)、すだち(Citrus sudachi)、れもん(Citrus limon)が好ましく、温州ミカンおよびシークワサーがより好ましい。
本発明において、柑橘類は、未熟な柑橘類果実が好ましい。未熟な柑橘類果実とは、果実の生長過程において、果皮が黄変する前の段階の十分に熟していない果実のことであり、温州ミカンの場合は、直径1cm〜4cmのものが高い抗アレルギー活性が得られるという点で好ましい。より好ましくは2cm〜3cmである。柑橘類は、生のものでも冷凍したものでもよくこれに限定されない。
本発明における神経保護とは、神経系組織において主にアストロサイトから過剰に産生された一酸化窒素(NO:nitric oxide)等が、ラジカル反応により細胞膜やDNAの損傷を引き起こし神経細胞死を誘発することに対して、NO等の産生を抑制することにより細胞死を予防し神経を保護することを意味する。従って本発明の神経保護剤は、アストロサイトからのNO産生または放出を抑制するため神経保護剤として有効である。NOの過剰産生による神経細胞死は、脳疾患の発症、進展と密接に関連するため、本発明における神経保護剤は、脳血管障害、神経変性疾患の予防および/または治療にも有用である。脳血管障害、神経変性疾患としては、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、痴呆症等が挙げられる。
本発明におけるアストロサイト活性化抑制とは、アストロサイトの活性化を抑制するだけでなく、活性化されたアストロサイトを正常なアストロサイトに戻すことも意味する。アストロサイトは非神経系の支持細胞の1種で、神経細胞に栄養補給などを行っている。例えば脳梗塞が発症した無酸素状態では、逆に浮腫や一酸化窒素合成酵素(NOS:nitric oxide synthase )を活性化して神経細胞を壊死させる可能性がある。本発明におけるアストロサイト活性化抑制剤はアストロサイトの異常活性化を抑制し、脳梗塞発症後の梗塞領域の拡大を防ぐ作用を有する。また本発明におけるアストロサイト活性化抑制剤は、アストロサイトが、何らかの理由により、活性化され、それが放出する因子により神経細胞が傷害を受けることにより生じる疾患の治療に有効である。放出する因子としては、NO、活性酸素、サイトカイン等が挙げられる。すなわち本発明におけるアストロサイト活性化抑制剤は、NOの放出を抑制するので、該抑制剤として有用である。本発明の上記傷害を受けることにより生じる疾患としては、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、痴呆症等が挙げられ、本発明におけるアストロサイト活性化抑制剤はこれらの治療および予防に有用である。
本発明における神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤の投与対象としては、例えば、ヒトをはじめウシ、ウマ、イヌ、マウス、ラット等の哺乳動物などが挙げられる。
本発明における神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤は、上記のようにして得られた水不溶物またはアルコール可溶性水不溶物を、そのままで、もしくは乾燥させた粉末状で含有する。本発明の該剤の投与方法は、経口投与、または経直腸投与(坐薬)、注射投与(経静脈投与)等の非経口投与でも良く、特に限定しないが、有効成分が柑橘類果実由来であることから経口投与であることが好ましい。
本発明における神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤を経口投与する場合の有効成分である水不溶物の投与量は、投与する患者の性別、症状、年齢、投与方法によって異なるが、通常、成人(体重60kg)1日あたりの投与量が全量で、0.2g〜30gである。好ましくは成人1日あたりの投与量が全量で、1〜3gである。上記1日あたりの量を一度にもしくは数回に分けて投与することができる。食前、食後、食間を問わない。また投与期間は特に限定されない。なおアルコール抽出工程を含む方法で調製された水不溶物の場合、上記の投与量の2〜3分の1程度を投与することができる。
一方、注射投与(経静脈投与)、経直腸投与(坐薬)または点眼等、非経口投与することも可能であり、その場合の投与量については、前記経口投与についての好ましい投与量範囲の10〜20分の1程度を投与することができる。
本発明における神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤の経口投与剤としては、顆粒剤、細粒剤、錠剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤、液剤、懸濁剤など、また注射剤としては静脈直接注入用、点滴投与用などの医薬製剤一般の剤型を採用することができる。これらは、常法により製剤化することができ、製剤上の必要に応じて、例えば、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトール、でんぷん、結晶セルロース、炭酸カルシウム、カオリン、ゼラチン等の担体や、溶剤、溶解補助剤、等張化剤等の通常の添加剤を適宜配合することができる。
本発明における神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤の水不溶物の含有量は、通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜90重量%である。なおアルコール抽出工程を含む方法で調製された水不溶物の場合、通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜90重量%である。
本発明においては、神経保護剤またはアストロサイト活性化抑制剤の製造方法を提供する。該製造方法は、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、その水層を除去し水不溶物を得る工程を含む。詳細は上述した通りであり、同様にアルコールで抽出する工程を含んでもよい。
本発明においては、柑橘類果実の水不溶物を含有する、神経保護作用を有するものであることを特徴とし、神経保護のために用いられる旨の表示を付した食品、および柑橘類果実の水不溶物を含有する、アストロサイト活性化抑制作用を有するものであることを特徴とし、アストロサイト活性化抑制のために用いられる旨の表示を付した食品を提供する。
本発明における食品としては、本発明の水不溶物を含む一般的な食品形態であれば如何なるものでも良い。例えば、適当な風味を加えてドリンク剤、例えば清涼飲料、粉末飲料とすることもできる。具体的には、例えば、ジュース、牛乳、菓子、ゼリー等に混ぜて飲食することができる。また、このような食品を保健機能食品として提供することも可能であり、この保健機能食品には、神経保護またはアストロサイト活性化抑制などの本発明の用途に用いるものであるという表示を付した飲食品、特に保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品なども含まれる。
さらに本発明における食品を濃厚流動食や、食品補助剤として利用することも可能である。食品補助剤として使用する場合、例えば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、懸濁剤、チュアブル剤、シロップ剤等の形態に調製することができる。本発明における食品補助剤とは、食品として摂取されるもの以外に栄養を補助する目的で摂取されるものをいい、栄養補助剤、サプリメントなどもこれに含まれる。
本発明における食品を摂取する場合、成人(体重60kg)1日当たりの水不溶物の摂取量は、通常0.2g〜30g程度、好ましくは1g〜3g程度、より好ましくは2g〜3g程度である。なおアルコール抽出工程を含む方法で調製された水不溶物の場合、上記の投与量の2〜3分の1程度を摂取することができる。
本発明における食品中の水不溶物の含有量は、通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜90重量%である。なおアルコール抽出工程を含む方法で調製された水不溶物の場合、通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜90重量%である。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、実施例は本発明の説明のために記載するものであり、本発明を限定するものではない。
以下に説明するサンプルを次のとおり調製した。
凍結保存していた直径25 mm未満の未熟温州みかん2 kgを水で表面を洗浄し、フードプロセッサーで破砕後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥物をフードプロセッサーで粉砕し、粉末サンプルAを得た。
同量のみかんの表面を水で洗浄し、フードプロセッサーで破砕後、水を溜めた大型ビーカー内で懸濁した。その後、布巾で絞り、脱水後、残渣を凍結乾燥した。凍結乾燥物をフードプロセッサーで粉砕し、粉末サンプルBを得た。
飼料サンプルAおよびB 1gにメタノール20 mlを加え懸濁し、室温で一晩振とうすることにより抽出を行った。翌日、3,000 rpmで20分間遠心分離し、上清を別チューブに移した。
上清を採取した沈殿に再びメタノール20 mlを加え懸濁し、室温で1時間振とう後、3,000 rpmで20分間遠心分離し、上清を採取するという操作を4回繰り返し行った。計5回の抽出により得られた上清を合わせ、濃縮乾固した。得られた乾固物をジメチルスルホキシド(DMSO)で50 mg/mlになるように溶解し、メタノール抽出サンプルを得た。サンプルAのメタノール抽出物をメタノール抽出サンプルおよびBの同抽出物を水処理メタノール再抽出サンプルとした。
(試験例)アストロサイトの活性化抑制試験
アストロサイト活性化抑制作用を測定するにあたり、初代培養アストロサイトを用いて、炎症性サイトカインの刺激で誘発、発現される誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS:inducible nitric oxide synthase)によって産生されるNOをグリース法により亜硝酸の形で定量し、アストロサイト活性化抑制作用を評価した。
妊娠20日雌ラット子宮より取り出した胎児より大脳皮質を摘出し、トリプシン処理、ピペッティングにより細胞を分散しDMEM培地(10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含む)に懸濁した。シャーレに播種し37 ℃、5% CO2下で培養した。3日後に培地を交換し、7日後にトリプシンを使用して浮遊させ、別シャーレに播種し継代することによりアストロサイトを調製した。
さらに7日間37 ℃、5% CO2下で培養した細胞をトリプシンで処理し浮遊させ、96穴培養プレートに3×105細胞/mlの濃度で懸濁した。96穴培養プレートに0.1 mlずつ播種し、37 ℃、5% CO2下で一晩培養した。
翌日、培地を取り除き、終濃度500μg/mlになるように希釈したサンプル入りDMEM培地(1%ウシ胎児血清、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含む)を50μl加え、37℃、5% CO2下で30分間培養し、前処理を行った。なお、コントロールは、1% DMSOを含む培地に交換した。
30分後、サイトカイン(インターフェロン-γ 6ng/ml インターロイキン-1β 6ng/ml 腫瘍壊死因子-α 6ng/ml)を含むDMEM培地(1%ウシ胎児血清、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含む)を50μl加え、37 ℃、5% CO2下で30分間培養した。なお、陰性コントロールには培地のみを50μl加えた。
翌日、96穴培養プレートにサンプル別培養上清を各80μlずつ移した。
また、亜硝酸量を定量するための濃度既知スタンダードとして、100 mM亜硝酸を培地で希釈し、12.5μM、25μM、50μM溶液を調製し、同じように96穴培養プレートに各80μlずつ移した。
ここに1% スルファニルアミド、4.25% リン酸混合液を40μl/穴加えた。5分後、0.1% ナフチルエチレンジアミン水溶液を40μl/穴加えた。10分後、マイクロプレートリーダーで540 nmの吸光度を測定した。
コントロール(DMSOで前処理、サイトカイン刺激あり)測定値から陰性コントロール(DMSOで前処理、サイトカイン刺激なし)の測定値を引いた値を100%とし、各サンプルで処理した細胞の活性を調べた。
結果は図1に示した。水処理後メタノール抽出サンプルにおいては、炎症性サイトカインの刺激で誘発、発現される誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS:inducible nitric oxide synthase )によって産生されるNO量は、コントロールに対して有意な低下が認められた。一方、メタノール抽出サンプルにおいては、コントロールに比べて有意なNO量の低下は認められなかった。
図1は、メタノール抽出および水処理後メタノール抽出サンプルのアストロサイト活性化に対する効果を示す(終濃度500μg/ml)。縦軸は(%コントロール)を表わしている。

Claims (30)

  1. 柑橘類果実の水不溶物を含有する神経保護剤。
  2. 柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する神経保護剤。
  3. 柑橘類果実の水不溶物を含有するアストロサイト活性化抑制剤。
  4. 柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有するアストロサイト活性化抑制剤。
  5. 水不溶物が、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
  6. 該破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、請求項5に記載の剤。
  7. 水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である請求項5または6記載の剤。
  8. アルコールで抽出する工程を含む請求項5〜7のいずれか1項に記載の剤。
  9. アルコールがメタノールまたはエタノールである請求項8記載の剤。
  10. 柑橘類が、温州ミカン(Citrus unshiu)またはシークワサー(Citrus depressa)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の剤。
  11. 柑橘類果実が、直径1〜4cmの柑橘類果実である、請求項10に記載の剤。
  12. 柑橘類果実の水不溶物を含有する神経保護剤の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
  13. 柑橘類果実の水不溶物を含有するアストロサイト活性化抑制剤の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
  14. 破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、請求項12または13記載の製造方法。
  15. 水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. さらにアルコールで抽出する工程を含む請求項12〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. アルコールがメタノールまたはエタノールである請求項16記載の製造方法。
  18. 柑橘類果実の水不溶物を含有する、神経保護作用を有するものであることを特徴とし、神経保護のために用いられる旨の表示を付した食品。
  19. 柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する、神経保護作用を有するものであることを特徴とし、神経保護のために用いられる旨の表示を付した食品。
  20. 柑橘類果実の水不溶物を含有する、アストロサイト活性化抑制作用を有するものであることを特徴とし、アストロサイト活性化抑制のために用いられる旨の表示を付した食品。
  21. 柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する、アストロサイト活性化抑制作用を有するものであることを特徴とし、アストロサイト活性化抑制のために用いられる旨の表示を付した食品。
  22. 水不溶物が、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである、請求項18〜21のいずれか1項に記載の食品。
  23. 破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、請求項22に記載の食品。
  24. 水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である、請求項22または23記載の食品。
  25. アルコールで抽出する工程を含む請求項22〜24のいずれか1項に記載の食品。
  26. アルコールがメタノールまたはエタノールである請求項25記載の食品。
  27. 柑橘類が、温州ミカン(Citrus unshiu)またはシークワサー(Citrus depressa)である、請求項18〜26のいずれか1項に記載の食品。
  28. 柑橘類果実が、直径1〜4cmの柑橘類果実である、請求項27記載の食品。
  29. 柑橘類果実の水不溶物を含有する神経保護用食品の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
  30. 柑橘類果実の水不溶物を含有するアストロサイト活性化抑制用食品の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
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