JP2005278640A - ヘスペリジン高含有食品及びその製造方法 - Google Patents

ヘスペリジン高含有食品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 抗アレルギー、抗酸化作用を発揮するヘスペリジン高含有食品を、面倒な抽出操作等を行うことなく、簡易かつ高収率で製造できる方法、及び当該方法により製造されたヘスペリジン高含有食品を提供する。
【解決手段】 直径38mm以下の温州ミカンを丸ごと、乾燥した後、粉砕してなる粉末を主成分とする。未熟ミカンを丸ごと粉末にした食品は、ヘスペリジン含有率が1.5%以上であり、さらにポリフェノール類、抗炎症性成分等の有効成分の含有量も高い。
【選択図】 図2


Description

本発明は、抗アレルギー、抗酸化作用等の有用な効用を発揮できるヘスペリジンをはじめとする有効成分を高含有率で含有している美容健康食品、美容健康のために、食品に栄養強化用に添加される食品用添加剤等の食品及び当該食品の製造方法に関する。
ヘスペリジンは、ビタミンP類の一つで、近年、花粉症やアトピー等のアレルギーに対する抗アレルギー剤としての効用;紫外線吸収作用;糖質の吸収阻害;活性酸素除去による抗がん作用;肌の活性化などの種々の有益な作用を有することが報告されており、美容健康食品としての利用が高まっている。
ヘスペリジンは、レモン、ミカン等の柑橘類に含まれることが知られているが、その含有量は、柑橘類の種類により異なり、また同じ種類の柑橘類であっても果皮や実といった部位などによっても異なる。このため、ヘスペリジンを高濃度で含む食品の加工、製造方法が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、未熟ミカンを乾燥、粉砕し、水又はアルコールによる抽出物を主成分とする化粧品、医薬部外品の添加物が開示されている。文献1は、成熟ミカンの収穫に先立って摘果される未熟ミカン(成熟する1〜3ヶ月前の物)を有効利用、さらにはこの未熟ミカンが成熟ミカンの100〜1000倍のヘスペリジンを含有していることに着目して発明されたものである。
また特許文献2には、柑橘類果物から汁を搾った残分固形物である果皮の有効利用として、果皮のエタノール抽出物又は汁を搾った残分固形物を乾燥粉末化して得たものが、アシルCoA−コレステロール−o−アシルトランスフェラーゼの抑制活性を有するヘスペリジンやナリンジンが多く含まれることを見出し、これを食品類として使用することが提案されている。
また、特許文献3には、栄養価に優れた粉末食品として、レモン等の柑橘類の幼果を丸ごと刻んでチップ化し、熱風乾燥後、粉末化した食品が開示されている。ここでいう柑橘類としては、酵素作用が活発で品質がよいという観点から、柚子、カボス、レモン、からたち、ダイダイ、スダチを用いることが記載されており、特に柚子、カボス、レモンは薄皮の温州ミカンよりも品質が良いという理由で好ましいとされている。また、特許文献3にいう幼果とは、摘果期前1週間以内では果実の細胞膜が固くなって食味が低下すること、2週間以上前では果汁も酵素も不足して食味が低下することから、成熟果実の摘果期よりも1〜2週間前のものを使用することが開示されている。
柑橘類にヘスペリジンが含有されていると一般的にいわれているものの、その含有量、濃度は、柑橘類の種類によって異なり、さらには同種類の柑橘類であっても果皮、搾り粕、実など、部位によってヘスペリジン含有量は異なる。また、同じ部位であったとしても、成熟度によりヘスペリジンの含有量が変化していく。
上記文献1〜3は、いずれも、果汁搾り粕の有効利用、あるいは摘果された幼果の有効利用という点からの食品利用であるため、得られた食品について、ヘスペリジン本来の効果である抗アレルギー作用、抗酸化作用等を主目的とする健康食品として供給するには、まだ改善の余地があり、よりヘスペリジン含有率が高い食品を効率よく得られる方法が望まれている。
一方、温州ミカンを原料として、ヘスペリジン濃度が高い食品を得る方法としては、特許文献4に、柑橘類の搾汁粕にアルカリ土類金属化合物とpH調整剤とを添加してpHをアルカリに調整し、圧搾により、高濃度のヘスペリジン抽出液を得る方法が開示されている。このような方法により、高濃度ヘスペリジン抽出液を得ることができるものの、面倒なヘスペリジン抽出操作が必要となる。
特開平6−211624号 特表2001−521003号 特開平9−140347号 特開平8−188593号
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、健康食品として抗アレルギー作用、抗酸化作用といったヘスペリジン本来の効果を発揮できるようなヘスペリジン高含有食品を、面倒な抽出操作等を行うことなく、簡易かつ高収率で製造できる方法、及び当該方法により製造されたヘスペリジン高含有食品を提供することにある。
本発明者らは、原料とする温州ミカンとヘスペリジン含有率の関係を鋭意検討した結果、本発明を完成した。
すなわち、本発明のヘスペリジン高含有食品は、直径38mm以下の温州ミカンの粉末を主成分とする。前記粉末は、前記ミカンの丸ごとを粉末化したものであることが好ましく、ヘスペリジン含有率が1.5%以上であることが好ましい。さらにヘスペリジン以外の抗炎症性成分の含有量が高く、ポリフェノール類の含有量も高い。
本発明のヘスペリジン高含有食品は、粉末のままであってもよいが、粉末を錠剤に加圧成形されたものであってもよい。
本発明のヘスペリジン高含有食品の製造方法は、直径38mm以下の温州ミカンを、乾燥した後、粉砕して、温州ミカン粉末を得る工程を含む。前記温州ミカンを冷凍後、荒破砕したものを乾燥することが好ましい。
本発明のヘスペリジン高含有食品は、ヘスペリジン含有率が高い原料温州ミカンを、サイズ(直径)により判別しているので、簡易に選別することができる。そして、選別されたヘスペリジン高含有ミカンを使用することにより、丸ごと全部を原料として利用して、最終食品を製造できる。従って、本発明の方法によれば、簡易且つ無駄のない経済的な方法でヘスペリジン高含有食品、さらにはポリフェノール類の含有量も高く、抗炎症性成分及び神経保護作用成分も含み、脱顆粒抑制効果がある高機能食品を提供できる。
はじめに本発明のヘスペリジン高含有食品の製造方法について説明する。
本発明の製造方法で使用する原料は、直径38mm以下、具体的には開花後、充実した実が得られるのは直径10mm程度であるから、直径10〜38mm程度、好ましくは直径10〜35mmの温州ミカン、より好ましくは直径20〜30mmの温州ミカンである。温州ミカンには、産地和歌山県で、5月中旬に満開となって10月頃に食用に収穫される極早生、5月中旬に満開となって11月頃に食用に収穫される早生、中生、5月中旬に満開となって12月頃に食用に収穫される晩生があるが、いずれの温州ミカンであっても、直径が10〜38mmの範囲内の温州ミカンを使用する。
本発明者らが温州ミカンのヘスペリジン含有量について鋭意検討した結果、以下のことが明らかになった。温州ミカンのヘスペリジン含有率は、温州ミカンの成長に反比例し、38mmを超えると、果肉部分が成熟しはじめ、水分量が増してくるため、ミカン全体としては、水分が多くなりすぎて、乾燥に時間がかかりすぎる。特に果肉部分には、ヘスペリジンをはじめとする種々の有効成分があまり含まれていないため、丸ごと使用した場合には、ヘスペリジンの含有率が低くなって、美容・健康食品用途としては不十分である。
また、ヘスペリジン以外に、温州ミカンには、種々の有効成分が含まれている。これらの有効成分含量は、ミカンのサイズが大きくなるにつれて減少し、特に果肉部分が成熟し始める直径38mmを越えると激減する。尚、有効成分としては、ルチン、ナリルチン、ノビレチン等のポリフェノール類、抗炎症性成分、神経保護成分、脱顆粒反応抑制成分などが挙げられる。
ここで、直径10〜38mmの範囲にある温州ミカンとは、例えば、和歌山県有田郡金屋町で6月中旬から7月中旬に行なわれる摘果のものが挙げられる。和歌山県有田郡金屋町では、極早生、早生、中生、晩生は開花時期がほぼ同じで、いずれも摘果を6月中旬から7月中旬に摘果されたものは、直径10〜38mmに該当する。一般に、果実数を減らすために行う摘果は、自然落果が終り果実が2Sサイズ(50〜55mm)になるまで順次行なわれ、ミカンの種類により異なるが、主として7月中旬から8月下旬に行う。7月中旬から8月下旬に摘果されたミカンのサイズは40mm程度である。従って、本発明で使用する原料は、収穫果実数を調節するために行う摘果前に積極的に採取したものであることに特徴がある。
また、原料ミカンを時期で管理するのではなく、選択基準をサイズとすることにより、産地間の地域差、天候による時期のずれを気にすることなく、ヘスペリジン高含有のミカン加工食品を製造することが可能となる。
本発明の製造方法は、このようにサイズを基準に選別したミカンを、丸ごとのまま粉末化する方法である。果皮も含めて、丸ごとのまま使用することから、原料を全部使用できるので経済的であり、また廃棄物を生じないという点でも近年の環境に対する要求にマッチしている。さらに、果皮だけでなく丸ごと原料として使うことにより、ヘスペリジン以外の種々の有効成分による効果を得ることができる。例えば、カリウム濃度が低い環境に神経細胞が曝された場合、ヘスペリジン単独が供給されても変化はないが、丸ごとを原料とした有効成分存在下では神経細胞の死滅を防止することができる。
但し、丸ごとのまま使用することとの関係から、農薬等の薬剤散布が行われていない原料を用いることが好ましい。この点、開花後から未熟ミカン収穫までは、黒点病予防のために、ヒノキチオール等の天然の防虫、抗菌化合物を用いることにより、開花後、直径10〜38mmの果実となるまでの間の薬剤散布を抑制することが可能となる。
粉末化は、一度の破砕で行うよりも、荒破砕した後、微粉砕という2回に分けて行うことが好ましい。
また、荒破砕に際しては、採取後、直ちに冷凍し、冷凍状態で行うことが好ましい。荒破砕工程における自己分解を防止できるからである。
粉末化に際しては、乾燥する必要がある。原料のサイズにもよるが、水分が85〜75%程度含まれているからである。乾燥工程は、荒破砕後、微粉砕前に行うことが好ましい。丸ごとのままの乾燥では時間がかかりすぎる一方、水分除去をしておかないと、微粉砕ができないからである。
乾燥は、50〜70℃程度で行うことが好ましい。50℃未満では乾燥に時間がかかりすぎ、70℃を超えると、有効成分の変性、分解されるおそれがあるからである。
粉砕は、粒径300〜500メッシュ程度にまで粉末化することが好ましい。
本発明のヘスペリジン高含有食品は、上記本発明の方法により得られる。
上記特定のサイズの温州ミカン(未熟ミカン)を原料として用いることにより、濃縮操作等をしなくても、ヘスペリジンを1.5%以上、好ましくは1.7%以上含む粉末食品を得ることができる。
また、本発明の食品は、ヘスペリジンに限らず、ポリフェノール類、抗炎症性成分、神経保護成分、脱顆粒反応抑制成分といった他の有効成分で、その含有割合がミカンサイズに依存する物質も高含有率で含まれている。
本発明のヘスペリジン高含有食品は、粉末化したものをそのまま利用してもよいし、加圧成形して錠剤や粒形としてもよいし、デンプンや寒天、ゼラチン、アルギン酸等の食用担体と混合して、ヘスペリジン含有ゼリーやグミとしてもよい。形状は特に限定せず、要求される最終食品の状態、用途に応じて適宜選択される。例えば、健康食品としてそのまま食する場合には、錠剤や顆粒、ゼリーやグミに混合して食しやすいものとすることが好ましい。また、食品添加剤として使用する場合には、粉末状として提供することが好ましい。本発明の粉末状食品添加剤を種々の食品に添加することにより、ビタミンP類強化食品を提供することができる。
〔原料温州ミカン粉末からの測定用ミカン抽出液の調製〕
以下に説明する有効成分量の測定にあたり、原料ミカン粉末から、測定用ミカン抽出液を調製した。
原料ミカンを丸ごとフードプロセッサーですりつぶす。すりつぶしたミカンを1g秤量し、メタノール5ml加えて懸濁する。室温で60時間振とうした後、12000rpmで10分間遠心分離し、上清を別チューブに取った。
一方、上清を採取した残査を、室温で1時間振とうし、12000rpmで10分間遠心分離した後、上清採取する操作を4回繰り返して、残査からの再抽出を行った。4回目に再抽出した後の残査については、1晩放置した後、振とう、遠心分離により上清を採取して、5回目の再抽出を行った。
このようにして測定用のミカンのメタノール抽出液を調製した。
〔原料温州ミカンのサイズとヘスぺリジン含有率の関係〕
原料温州ミカンとして、表1に示すサイズ及び重量を有するミカンを用いて、上記方法により各グループのミカンについて、測定用メタノール抽出液を得た。
尚、測定に用いた温州ミカンは、和歌山県有田郡金屋町の6月中旬〜8月末までに採取したもの(極早生、早生、中生、晩生)50個を、20〜25mm(グループ1)、25〜28mm(グループ2)、28〜30mm(グループ3)、30〜33mm(グループ4)、33〜36mm(グループ5)、36〜40mm(グループ6)、40〜45mm(グループ7)に分類したものである。各グループに、6〜8個づつ分類された。
各グループNo.1〜7のミカンメタノール抽出液を、ジメチルホルムアミドで10倍希釈したもの10μlをHPLC測定に供した。関東化学社製のマイティシルRP18GPカラム(径4.6mm、長さ150mm)を用いて、0.1%酢酸(溶媒A)とアセトニトリルに酢酸1mlを加えて0.1%酢酸とした溶媒Bを用いて、35分間で溶媒A100%(溶媒B0%)から溶媒Bが100%となるような勾配(最初の5分間で17%、次の20分間で25%、次の5分間で50%、次の5分で100%)で溶出した。流速1ml/分とした。溶出液を、日本分光の紫外分光光度計検出器を用いて、280nmで検出定量した。結果を表1に示す。また、ミカン重量(平均値)とヘスペリジン収量の関係を図1に、原料ミカンサイズ(各グループ直径)とへスぺリジン濃度との関係を図2に示す。尚、ヘスペリジン濃度は、下記式に基づいて算出した。
ヘスペリジン濃度(%)=ヘスペリジン含有量/ミカン平均重量×100
Figure 2005278640
図1に示すように、原料ミカンが大きくなるほど、ヘスペリジン含有量は多くなる。しかしながら、表1及び図2からわかるように、原料ミカンのサイズが大きくなるにつれて、原料中のヘスペリジン濃度が低くなっていく。そして、ほぼ直径38mmを超えると、ミカンサイズが大きくなっても、ヘスペリジン収量はあまり増加しない。換言すると、ヘスペリジン含有率は低くなっていく。しかも、ミカンが大きくなるにつれて、水分率が高くなるため、乾燥に時間がかかりすぎる。従って、38mm超の原料ミカンを丸ごと利用して、ヘスぺリジン高含有食品を簡易に得ることは困難である。
〔原料温州ミカンのサイズと抗炎症性の関係〕
マウスマクロファージ様細胞RAW264.7を用いて、各サイズの原料温州ミカンの抗炎症性を調べた。マウスマクロファージ様細胞RAW264.7を、96穴プレートを用いて、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地で、炭酸ガスインキュベータ内(37℃、5%二酸化炭素)で培養した。90%コンフルエントの状態になったら培地を除去し、表2に示す添加成分0.2mlを加えて、37℃で30分間インキュベートした。次いで、大腸菌由来のリポ多糖(シグマ社L−3129)2.5μg/mlを含む培地を0.05ml加え、さらに37℃でインキュベートした。7時間後に培養液0.1mlを取り出して、別の96穴プレートに移し、0.1mlのグリース試薬(使用直前に、0.1%ナフチルエチレンジアミンと1%スルファニルアミド、4.25%リン酸を混合したもの)を加え、バイオラッドの96穴プレートリーダを用いて、540nmの吸光度を測定した。
Figure 2005278640
540nmの吸光度は、産生した亜硝酸の量に比例し、産生亜硝酸量が少ない程(吸光度が小さい程)、炎症反応が抑制されていることを示す。結果を図3に示す。
サンプルNo.1,2は、それぞれポジティブコントロール、ネガティブコントロールに該当し、No.4,5が本発明で原料に使用する未熟ミカン抽出液添加の場合、No.3が本発明の範囲外の未熟ミカン抽出液添加の場合、No.6〜8が市販のヘスペリジン(フナコシ社製)のみを添加した場合に該当する。
図3から、サンプルNo.3では、同等以下のヘスペリジンを含有するサンプルNo.6,7と比べて炎症反応が高かった。一方、サンプルNo.4,5では、これらよりもヘスペリジン含有量が高いNo.7,8よりも炎症反応が抑制されていた。本発明の直径38mm以下の原料ミカン粉末には、有効成分として、ヘスペリジンの他に、抗炎症反応成分または炎症反応阻害成分が有意の量で含まれていることがわかる。
〔温州みかんの神経保護作用〕
7日齢ラットより調製した小脳顆粒細胞で、37℃で13日間培養したものを用いた。この小脳顆粒細胞を、MEM培地0.4mlに、表3に示す添加成分を2μl添加した培地で、37℃で1時間培養した。培養液除去後、カリウム濃度を5mMに低減したMEM培地に表3に示す成分を1/200量だけ加えた培地0.4mlと交換して、37℃で24時間培養し、細胞死を誘導した。コントロールとして、カリウム濃度26mM及び1/200量のジメチルスルホキシド(ナカライ社)を加えた培地で培養した。なお、MEM培地としては、インビトロジェン社から販売されているものを用いた。ノビレチンはミカンに含有されている成分の1種で、本実験では、和光純薬の市販品を用いた。尚、表3中のミカンサイズは、直径を示す。
Figure 2005278640
培養後、MTTアッセイ法で細胞数を定量した。すなわち、PBSに溶解したMTT(3ー(4,5−ジメチル−2−チアゾリ)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド)のイソプロパノール溶液5mg/ml:Dojindo社製)を培養液の1/10量を添加混合した後、37℃で3時間インキュベートした。培養液と等量の反応停止液(イソプロパノールで溶解した0.04NのHCl)を添加することにより反応を停止させ、吸光度(570nm)を測定することにより生成ホルマザン量、すなわち生細胞数をしらべた。結果を図4に示す。
図4より、カリウム濃度が低い場合には細胞死が誘導され(サンプルNo.12)、ヘスペリジン(No.13)、ノビレチン(No.14)を含有していても細胞死を回避することはできなかったことがわかる。一方、未熟ミカン丸ごとの抽出液を含有する場合には(サンプルNo.15〜17)、細胞死が抑制され、その抑制効果はミカンサイズが小さい程、高いことがわかる。
〔ミカンの直径とポリフェノール含量の関係〕
サイズが異なるミカンのメタノール抽出液を上記方法にて調製し、これをジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、希釈して、ミカン抽出液50μg/mlのDMF溶液を調製した。
この溶液を、Mightysil RP18GP250−2カラムを用いて、HPLCで分析した。溶出液には、溶媒A(0.1%酢酸)と溶媒B(アセトニトリルに酢酸を添加した溶液(酢酸0.1%))の混合液を用いて、グラディエント溶出を行なった。
溶出液における溶媒Bの含有率0%の溶出液で平衡化してあるカラムに、サンプル10μlをインジェクションし、0〜5分間で溶媒Bの混合割合を10%まで高め、次いで40分までで溶媒Bの混合割合を20%にまで高め、その後、75分までで溶媒Bの混合割合を100%にまで高めた。溶媒を、流速0.2ml /minで、溶出した。
多波長検出器を用いて、各成分の溶出時間、吸収スペクトルを測定し、市販の各ポリフェノール標準物質と比較して同定した。ルチン、ナリルチン、ノビレチンについて、直径45mmのピーク面積を100%としたときの他のグループの面積率(%)を算出した。
ルチン、ナリルチン、ノビレチンのいずれもミカンサイズが大きくなるにしたがって含有量は減少し、特にルチンについては、直径38mm超で、急激に減少したことがわかる。
〔ミカン抽出液の脱顆粒反応抑制効果〕
上記方法で調製したミカンのメタノール抽出液の脱顆粒反応抑制効果について、ミカンサイズとの関係を調べるために、ラット好塩基性白血病細胞(RBL細胞)を用いて、下記方法にしたがってβ−ヘキソサミニダーゼを指標とする脱顆粒反応を測定した。
ラット好塩基性白血病細胞を培地(RPMI培地−1640に10%ウシ胎児血清添加)中に、1×10細胞/mlの割合で懸濁した。細胞刺激として、1/2000量のSigma社製2,4−ジニトロフェノール特異的モノクローナル免疫グロブリンE(終濃度0.6μg/ml)を加え、24穴培養プレートに、0.5ml/穴ずつ播種し、37℃、5%CO下で、一晩培養した。血球細胞はさまざまな刺激に応じて活性化され、脱顆粒反応により酵素を細胞外に放出する。β−ヘキソサミニダーゼは、放出される酵素の一つで、糖分解酵素である。
次いで、表4に示すミカンの抽出液を1/100量含有する培地No.1〜4と培地交換し、37℃、5%CO下で、30分間培養した。尚、培地No.1は、ミカン抽出液を含まないコントロールである。
Figure 2005278640
培地を取り除いた後、PIPES生理食塩水(25mM PIPES−NaOH、159mM NaCl、5mM KCl、0.4mM MgCl、1mM CaCl、5.6mMグルコース、0.1%ウシ血清アルブミン、pH7.2)0.5mlで、2回洗浄した後、PIPES生理食塩水を0.5ml/穴を加えた。
2,4−ジニトロフェノール結合ウシ血清アルブミン(100μg/ml)を10μl/穴を加え、37℃で30分間、インキュベートした。上清50μlを採取し、これに酵素基質液(5mM p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミド、0.2Mクエン酸−NaOH、pH4.5)50μlを加えて、37℃で酵素反応させた。1時間後、反応停止液として、1M炭酸バッファー(pH9.5)100μlを加え、酵素反応により生成したp−ニトロフェノールの発色(405nm)を比色法により測定することにより、β−へキソサミニダーゼ活性を測定した。
コントロール(培地No.1)でのβヘキソサミニダーゼ活性を100%とし、各サイズのミカン抽出液を含有する培地の活性を調べた。結果を図6に示す。脱顆粒反応が少ないと、放出されるβ−ヘキソサミニダーゼ量が少なくなるので、405nmの吸光度が低くなり、グラフ縦軸の%値は低くなる。
図6から、ミカン直径43mmでは43%に抑制され、直径29mmでは27%に抑制され、23mmでは17%に抑制された。従って、ミカンサイズが小さい程、顆粒反応抑制効果が大きいことがわかる。
〔未熟温州ミカンの直径と含水率及び粘度の関係〕
未熟温州ミカンの直径をノギスを用いて測定し、平均±1mm未満で、表5に示すような直径を有するグループNo.11〜20に分類した。各グループには、4個以上のミカンが分類されている。
Figure 2005278640
各グループのミカンをフードプロセッサーを用いて、均一な状態になるまで破砕し、得られたミカン破砕物を、重量既知の空の容積15mlのポリエチレンチューブに1gいれた。
遠心減圧濃縮機Centrifugal Concentrator CC−101(株式会社トミー精工製)を用いて完全に減圧乾燥し、乾燥後の重量を測定し、下記式に基づいて、含水率を求めた。ミカン直径と含水率の関係を、図7に示す。
含水率(%)=(乾燥前重量−乾燥後重量)÷乾燥前重量×100
また、上記で得られた各グループのミカン破砕物を15gづつ、15mlのポリエチレンチューブにいれ、スピンドルタイプ粘度計(VISCOMETER TV−20東機産業株式会社)を用いて、スピンドルNo.H7、回転数1rpmの条件で粘度を測定した。測定結果(粘度)と直径の関係を図8に示す。
図7及び図8からわかるように、グループ15とグループ16の間、換言すると、直径38mmを越えると、含水率が急激に上がるとともに、粘度が急激に下がっていた。このことから、ミカン全体を原料としてヘスペリジン及び他の有効成分の高含有率食品を得るためには、直径38mm以下の未熟ミカンを原料として使用することが必要であり、さらに生産上効率がよいことがわかる。すなわち、直径38mm以下のミカンでは含水率が低く粘度が高いので、短時間、低エネルギーで破砕、乾燥でき、作業効率が高まる。
本発明のヘスペリジン高含有の加工食品は、原料となるミカンの採集時期をサイズを指標として好適な採取時期を決めることができるので、天候による品質のバラツキを少なくすることができる。
また、収穫果実数を調節するために行なう一般的摘果前に積極的に回収したものを、丸ごと利用するので、ミカンの有効利用としても優れている。特に、原料サイズが特定範囲の幼果を使用することにより、ヘスペリジンをはじめとする有効成分が高含有で且つ含水率が低いミカンを原料とすることになるので、温風乾燥程度で、ヘスペリジンをはじめとする有効成分の高含有食品粉末を得ることができる。
原料ミカンの重量とヘスペリジン含有量との関係を表すグラフである。 原料ミカンのサイズとヘスペリジン濃度との関係を表すグラフである。 炎症反応試験の結果を示すグラフである。 神経細胞死抑制効果の実験結果を示すグラフである。 原料ミカンのサイズとポリフェノール含量の関係を示すグラフである。 原料ミカンのサイズとβ−ヘキソサミニダーゼ活性の関係を示すグラフである。 原料ミカンのサイズと含水率の関係を示すグラフである。 原料ミカンのサイズと粘度の関係を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 直径38mm以下の温州ミカンの粉末を主成分とするヘスペリジン高含有食品。
  2. 前記粉末は、前記ミカンの丸ごとを粉末化したものである請求項1に記載のヘスペリジン高含有食品。
  3. ヘスペリジン含有率が1.5%以上である請求項1又は2に記載のヘスペリジン高含有食品。
  4. さらに抗炎症性成分の含有量が高い請求項1〜3のいずれかに記載のヘスペリジン高含有食品。
  5. さらにポリフェノール類の含有量が高い請求項1〜4のいずれかに記載のヘスペリジン高含有食品。
  6. 錠剤に加圧成形されている請求項1〜5のいずれかに記載のヘスペリジン高含有食品。
  7. 直径38mm以下の温州ミカンを、乾燥した後、粉砕して、温州ミカン粉末を得る工程を含むヘスペリジン高含有食品の製造方法。
  8. 前記温州ミカンを冷凍後、荒破砕したものを乾燥する請求項7に記載の製造方法。

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