JP2007327494A - タービンエンジン部品および冷却用微細回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】製作が容易で、熱吸収を効率化する複数の冷却デバイスを備えた冷却用微細回路を提供する。
【解決手段】タービンブレードのようなタービンエンジン部品10が、エアフォイル部12、プラットフォーム14および根部16を備えている。エアフォイル部12は先端18を備えている。冷却用微細回路20が、エアフォイル部12内に内蔵されている。さらに、タービンエンジン部品10は、冷却流体が流れる複数の脚部26,28,36を備えた冷却回路と、脚部26,28,36の中の複数の冷却デバイス80と、を含んでいる。冷却デバイス80の各々は、1.8〜2.4の範囲の伝熱増加係数および1.9〜2.5の範囲に再付着長さを備えている。
【選択図】図5
【解決手段】タービンブレードのようなタービンエンジン部品10が、エアフォイル部12、プラットフォーム14および根部16を備えている。エアフォイル部12は先端18を備えている。冷却用微細回路20が、エアフォイル部12内に内蔵されている。さらに、タービンエンジン部品10は、冷却流体が流れる複数の脚部26,28,36を備えた冷却回路と、脚部26,28,36の中の複数の冷却デバイス80と、を含んでいる。冷却デバイス80の各々は、1.8〜2.4の範囲の伝熱増加係数および1.9〜2.5の範囲に再付着長さを備えている。
【選択図】図5
Description
本発明は、タービンブレードのようなタービンエンジン部品に関する。このタービンエンジン部品は、製作が容易で、熱吸収を効率化する複数の冷却デバイスを備えた冷却用微細回路を有する。
図1の2次元範囲に示されるような従来の冷却用微細回路のブレード設計構造に関して、ブレードの内部キャビティの各々は、エアフォイルの一方、即ち正圧側もしくは負圧側に位置する微細回路を供給している。
この設計では、微細回路の供給流れでの循環の影響と負圧の干渉により冷却の設計が抑制されることが望まれるが、これにより多くの微細回路のコアの組み合わせが複雑になる。
よって、タービンブレードのようなタービンエンジン部品に利用できる微細回路を改良する必要がある。
本発明によれば、タービンブレードのようなタービンエンジン部品が提供されており、組み合わせが複雑でない冷却用微細回路を備えている。さらに、本発明によれば、タービンエンジン部品は、冷却流体が流れる複数の脚部を備えた少なくとも1つの冷却回路と、上記脚部の少なくとも1つの中にある複数の冷却デバイスと、を広く含んでいる。冷却デバイスの各々は、1.8〜2.4の範囲の伝熱増加係数と、1.9〜2.5の範囲の再付着長さと、を備えている。
また、本発明では、タービンエンジン部品に利用される冷却用微細回路が提供されており、冷却流体を受ける第1の脚部と、第1の脚部からの冷却流体を受ける第2の脚部と、第2の脚部からの冷却流体を受ける第3の脚部と、を広く備えている。第1の脚部と第2の脚部の少なくとも一つが複数の冷却デバイスを含んでいる。冷却デバイスの各々は、1.8〜2.4の範囲の伝熱増加係数と、1.9〜2.5の範囲の再付着長さと、を備えている。
本発明のブレードの微細回路冷却の他の詳細および付随する他の目的と利点は、以下の詳細な記述および同じ指示番号が同じ部品を説明する付随する図で述べられている。
従来の技術分野において、組立上の困難を補償する一つの方法は、別々のコアを一緒に組み合わせることである。これに関連して、熱特性を損うことなく、組み合わされた微細回路の大きさを拡大することも望まれている。一般的に、熱の吸収を向上させる冷却デバイスとして、冷却用微細回路はペデスタルの列(bank)を備えている。冷却用微細回路内でこれらの冷却デバイスを使用する場合に、同じ熱吸収性能で冷却デバイスの数を最小化することも望ましい。
一般的に、ペデスタルと壁の接合点で、突出部と末端壁との相互作用により、伝熱に関わる流れのU字型渦が発生する。また、流れがこれらのペデスタルを通過するとき、はく離した剪断層は下流で再付着(reattach)する。これらの影響は、異なる断面領域のペデスタル、つまり、円筒形、立方形および菱形のペデスタルに共通している。ペデスタルの断面形状が変化すると、流れがより複雑になり得る。例えば、立方形近傍の流れは高い3次元で、かつ円筒形の周辺の渦よりもかなり複雑な数個の渦によって画定されている。図2〜4は、異なる形状のペデスタルの伝熱特性を示している。図2は、円筒形ペデスタルの伝熱特性を示している。図3は、立方形ペデスタルの伝熱特性を示している。図4は、菱形ペデスタルの伝熱特性を示している。
図2〜4より、円筒形ペデスタルの翼幅方向の影響領域が3つの形状全ての中で最も狭く、菱形が最も広いことがわかる。菱形ペデスタルの翼幅方向の影響領域は、円筒形ペデスタルより約32%広い。この影響領域に伴い、菱形ペデスタルにおける要素間の好ましい間隔は、円筒形ペデスタルの場合の2倍であり、伝熱性能がより向上する。結論として、所定の面の大きさに対し、伝熱を効果的に向上させるのに必要な要素数を、菱形の外形を使用することにより最小化できる。
菱形ペデスタルにおける伝熱増加係数は、下流側で回復し、x/dが2.5であるときに、約2.4倍の伝熱向上(平らなプレートの伝熱を基準として)という最大値に達する。尚、ここでxは再付着距離を表し、dは等価直径を表す。これは、障害物の下流で再付着による伝熱向上の箇所の最も遠い点であるだけでなく、伝熱増加係数の最大値である。この影響の主な要因は、菱形ペデスタルに関する特別な流れ特性である。菱形ペデスタルでは、一般に観察されるような再循環する泡とは対照的に、非常に乱れた三角翼状の渦によって支配される。これらの渦は、その渦の軌跡の下にある表面の熱伝熱を実質的に引き上げる。このような影響が、末端壁に再付着した剪断層としてさらに下流で持続することが期待されている。
本発明によると、1.9〜2.5の範囲の再付着長さと、平らなプレートの伝熱に対して1.8〜2.2、好ましくは2.2〜2.4の範囲の伝熱増加係数と、を備えた冷却デバイスを利用することが望ましい。
菱形ペデスタルは、再付着による伝熱向上が最も強く、かつ後流領域で最も広く得られる。さらに、再付着長さも最も長い。
図5を参照すると、本発明のタービンエンジン部品10の実施例が示されている。タービンブレードのようなタービンエンジン部品10は、エアフォイル部12、プラットフォーム14および根部16を備えている。エアフォイル部12は先端18を備えている。冷却用微細回路20が、エアフォイル部12内に内蔵されている。内蔵された冷却用微細回路20は、根部16内に形成された入口24から冷媒流を受ける。上記入口24は、根部16の前縁付近に位置することが望ましい。この入口24は、エンジンブリード空気のような冷却流体の適宜な流体源に接続される。自然なポンプ力を利用できるように、冷却用微細回路20の第1の脚部26を通して、冷媒流が半径方向上側に(プラットフォーム14から離れる方向に)流れることが可能である。図5に見られるように、冷却用微細回路20は蛇行した形状を備え得る。従って、エアフォイル部12の先端18の近傍に冷媒流が到達すると、湾曲し、第2の脚部28に向かう。第2の脚部28内で、冷媒は半径方向下側に(プラットフォーム14へ向かう方向に)流れる。この構成では、先端冷却用回路30,32を経由して先端18を冷却するように、冷媒流がバイパスして流れる。図5に示されるように、先端冷却用回路30は、複数の間隔の空いた流路70を含んでいる。各流路70の入口は、第1の脚部26と連通し、ここから冷媒を受けるとともに、脚部26と脚部28とを連結しているU字型の流れ反転部34から冷媒を受ける。
図5に見られるように、脚部26と脚部28の各々が複数の冷却デバイス80を備えている。冷却デバイス80は、いかなる望ましい形状であっても良い。冷却デバイスは、菱形であることが望ましいが、円筒形もしくは立方形であっても良い。菱形冷却デバイスが使用される場合、菱形形状の先端部86が、脚部24および脚部26の各々を通って流れる冷却流体の方向に整列することが望ましい。先端部86を構成している面の間の角度は重要であり、好ましくは、30〜60°の範囲にした方が良い。
上述したように、各冷却デバイス80は立方形状を備えることができる。立方形冷却デバイスを使用する場合、冷却デバイス80が位置する脚部内の冷却流体の流れ方向に対し、立方体の一つの側面が実質的に垂直に向けられる方が良い。
図5に見られるように、各脚部24,26内に複数の冷却デバイス80が位置し得る。各脚部内の冷却デバイス80は、互い違いに配置されることが望ましい。
冷却用微細回路20は、冷媒が半径方向上側に向かって流れる第3の脚部36を備え得る。先端冷却用回路32も複数の間隔の空いた流路72を含み得る。冷媒を受けるように、冷却用微細回路20の第3の脚部36に通じる入口を各流路72が備え得る。冷却用回路の流路70,72の各々は、エアフォイル部12の面に亘って冷却流体が流れることを可能とする流体流出口即ち出口33を備えている。エアフォイル部12の正圧側35上に冷媒を排出できるように出口33が構成されることが望ましい。この先端冷却用回路30,32からの先端冷却用出口33は、前縁44付近の点からエアフォイル部12の後縁50の点へと延びている。ここに述べられた冷却用微細回路を配置することで、3つの別々の回路が1つのユニットになり、これにより組立プロセスを容易にする。
根部入口追加脚部38が根部16内に形成され得る。根部入口追加脚部38は、第3の脚部36と連通しており、かつ第3の脚部36内に適切な冷却流を保証するように使用され得る。根部入口追加脚部38は、エンジンのブリード空気のような適宜な冷却流体源(図示せず)に接続される。
前述からわかるように、本体部と先端の微細回路を一体化した微細回路構造20が設けられている。タービンエンジン部品10は、このように対流冷却されている。
所望であれば、フィルムスロット42を形成している出口タブ40が、脚部26や脚部28内に設けられても良い。出口タブ40とフィルムスロット42によって、脚部26や脚部28からエアフォイル部の面へ冷媒が流れることが可能である。面は正圧面35もしくは負圧面37であって良い。スロット42から排出される流体は、1つあるいは複数のタービンエンジン部品10の外側面に亘って冷却フィルムの形成を補助している。このようなフィルムスロット42は、開放型冷却システムで有益である。
所望であれば、エアフォイル部12の前縁44は、冷媒のフィルムがエアフォイル部12の正圧側35と負圧側37の前縁部に亘って流れることを可能にする複数の流体流出口即ち出口46を備えても良い。流出口即ち出口46には、供給キャビティ48から冷媒が供給される。供給キャビティ48は、エンジンのブリード空気のような冷却流体源(図示せず)と直接接続されるか、もしくは代わりに、第1の脚部26と連通し得る。
本発明の冷却用微細回路は、外部の熱負荷が航空機エンジン用途のものほど高くない産業用ガスタービンエンジン用途のようなフィルム冷却がない閉ループシステムにも利用することができる。
本発明の冷却用微細回路の配列は、本技術分野のあらゆる適切な技術を用いて形成され得る。冷却用微細回路を形成する望ましい方法では、入口24、根部入口追加脚部38、脚部26,28,36、先端冷却用回路30,32、出口33、出口タブ40およびフィルムスロット42を含む冷却用微細回路構造20の形状に、耐火金属材料から成る1つあるいは複数のシートが形成される。耐火金属材料シートは、金型キャビティ内に配置される。その後、エアフォイル部12、プラットフォーム14および根部16を含んだタービンエンジン部品10が、ニッケル基超合金、チタン基超合金もしくは鉄基超合金のような本技術分野で知られる適切な金属で鋳造される。タービンエンジン部品が鋳造された後、本技術分野で知られる適切な手段を用いて、耐火金属材料シートが除去され、本発明の冷却用微細回路が残る。
10…タービンエンジン部品
12…エアフォイル部
14…プラットフォーム
16…根部
18…先端
20…冷却用微細回路
26,28,36…脚部
80…冷却デバイス
12…エアフォイル部
14…プラットフォーム
16…根部
18…先端
20…冷却用微細回路
26,28,36…脚部
80…冷却デバイス
Claims (18)
- 冷却流体が流れる複数の脚部を備えた少なくとも1つの冷却回路と、
前記脚部の少なくとも1つの中にある複数の冷却デバイスと、
を備え、
前記冷却デバイスの各々は1.8〜2.4の範囲の伝熱増加係数と、1.9〜2.5の範囲の再付着長さと、を有するタービンエンジン部品。 - 正圧側と負圧側を備えたエアフォイル部を有し、前記少なくとも1つの冷却回路は、前記正圧側と前記負圧側との間に内蔵されることを特徴とする請求項1記載のタービンエンジン部品。
- 前記タービンエンジン部品は、根部と、該根部内に配置された冷却流体用入口と、を備え、前記複数の脚部は、第1の脚部と、該第1の脚部と連通する第2の脚部と、該第2の脚部と連通する第3の脚部を含むことを特徴とする請求項1記載のタービンエンジン部品。
- 前記根部内に、前記冷却流体を前記第3の脚部に案内するように、追加入口をさらに備えることを特徴とする請求項3記載のタービンエンジン部品。
- 前記第1の脚部および前記第3の脚部に接続される複数の冷却流体出口をさらに備えることを特徴とする請求項3記載のタービンエンジン部品。
- 前記冷却デバイスは、2.2〜2.4の範囲の伝熱増加係数を備えることを特徴とする請求項1記載のタービンエンジン部品。
- 前記冷却デバイスの各々は、円筒形状を備えることを特徴とする請求項1記載のタービンエンジン部品。
- 前記冷却デバイスの各々は立方形状を備え、前記立方形冷却デバイスの各々は、前記冷却流体の流れ方向に実質的に垂直に向けられた1つの側壁を備えることを特徴とする請求項1記載のタービンエンジン部品。
- 前記冷却デバイスの各々は菱形形状を備え、前記菱形冷却デバイスの各々は先端を備え、該先端は前記冷却流体の流れ方向と整列することを特徴とする請求項1記載のタービンエンジン部品。
- 前記部品は、タービンブレードを含むことを特徴とする請求項1記載のタービンエンジン部品。
- 冷却流体を受ける第1の脚部と、
前記第1の脚部から前記冷却流体を受ける第2の脚部と、
前記第2の脚部から前記冷却流体を受ける第3の脚部と、
を備え、
前記第1の脚部と前記第2の脚部の少なくとも一方は複数の冷却デバイスを含み、
前記冷却デバイスの各々は1.8〜2.4の範囲の伝熱増加係数と、1.9〜2.5の範囲の再付着長さと、を備えるタービンエンジン部品に利用される冷却用微細回路。 - 前記冷却用微細回路は、蛇行した形状を備えることを特徴とする請求項11記載の冷却用微細回路。
- 前記冷却流体の第1の流れを前記第1の脚部へ案内する入口と、前記冷却流体の第2の流れを前記第3の脚部へ案内する追加入口と、をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の冷却用微細回路。
- 前記冷却用微細回路の前記第1の脚部と前記第3の脚部の少なくとも一方に接続される複数の出口をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の冷却用微細回路。
- 前記冷却デバイスの各々は、円筒形状を備えることを特徴とする請求項11記載の冷却用微細回路。
- 前記冷却デバイスの各々は、立方形状を備えることを特徴とする請求項11記載の冷却用微細回路。
- 前記冷却デバイスの各々は、菱形形状を備えることを特徴とする請求項11記載の冷却用微細回路。
- 前記複数の冷却デバイスは、互い違いの構造で配置されることを特徴とする請求項11記載の冷却用微細回路。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100209 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100706 |