JP2007327403A - 気体搬送ポンプ、検出センサ - Google Patents

気体搬送ポンプ、検出センサ Download PDF

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Abstract

【課題】気体を微量であっても高い精度で搬送することができ、しかも信頼性に優れる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】気体搬送ポンプは、チャンバー部12、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14、テーパ状の入口側ディフューザ部15、テーパ状の出口側ディフューザ部16からなる流路と、ヒータ20を備えるようにし、ヒータ20によってチャンバー部12内の気体を膨張・収縮させて体積変化を生じさせることで、入口側チャンネル13から出口側チャンネル14へと気体を確実に搬送するようにした。そして、チャンバー部12に設けたヒータ20は、直線部20aと折り返し部20bが交互に連続するジグザグ状とし、折り返し部20bの最大幅が直線部20aよりも広くなるようにした。
【選択図】図4

Description

本発明は、気体搬送ポンプ、および雰囲気中に存在する分子等を検出する検出センサに関する。
従来、各種の気体を搬送する場合、一般には、ファン等により気体に流れを生じさせる手法、ポンプ等により気体を圧送する手法、真空ポンプ等で圧力差を生じさせることで気体を吸引する手法等が用いられる。
しかし、このような手法では、微量の気体を搬送することや、気体の流量を高精度に制御するのは困難となっている。
一方、液体の搬送においては、ダイヤフラムを圧電素子や静電アクチュエータで駆動する方式のポンプがある。
また、液体の搬送においては、例えばインクジェット方式のプリンタ技術において、熱エネルギーをインク(液体)に与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出させる方式等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
これらの技術では、液体の流量を微量に制御して搬送することが可能となっている。
特公昭61−59911号公報
しかしながら、上記したようなダイヤフラムを用いたポンプや、熱エネルギーを用いて気泡を発生させる方式の技術は、液体を対象としたものであり、気体を対象として微量流量で搬送を行う技術は未だ提案されていない。
前記の技術は、いずれも液体に圧力変化を生じさせることで、液体の移動を生じさせるものである。このような技術を単純に気体に適用しても、気体の場合液体よりも密度が低いため、液体と同程度の圧力変化を生じさせたとしても、体積変化が生じるまでに至らず、単に密度が上昇するだけに留まり、その結果気体の移動を生じることが困難となるのである。気体に移動させるに足る圧力変化を生じさせようとすると、ダイヤフラム等の変化量を大きくしなければならず、間欠的動作ならともかく、連続的動作を実現するのは難しい。また、上記したような技術では、微量な流量での気体の搬送は、さらに困難である。
また、上記のような従来の手法では、熱エネルギーを用いて気泡を発生させる方式を除き、いずれも機械的な可動部分を備える構成となっている。このため、可動部分の故障等による信頼性の低下を免れることは困難となっている。この他にも、可動部分を備える場合、その作動音や作動による発熱等が問題になることもある。また、このような機構をセンサ等に適用しようとした場合、可動部分の作動音や振動、熱等が、センサの検出感度に悪影響を与えることも考えられる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、気体を微量であっても高い精度で搬送することができ、しかも信頼性に優れる技術を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明者らは、ポンプ内に形成されたチャンバー部と、チャンバー部とポンプの外部とを連通するよう形成された第一のチャンネルと、第一のチャンネルとは異なる位置にてチャンバー部とポンプの外部とを連通するよう形成された第二のチャンネルと、チャンバー部と第一のチャンネルの間に形成され、第一のチャンネル側からチャンバー部に向けて内径が漸次縮小する第一の縮径部と、チャンバー部と第二のチャンネルの間に形成され、チャンバー部側から第二のチャンネル側に向けて内径が漸次縮小する第二の縮径部と、チャンバー部内の温度を変化させる温度変化手段と、を備える構成の気体搬送ポンプを実現することにより、上記課題を解決できることを既に見出した。
このような気体搬送ポンプにおいては、温度変化手段でチャンバー部内の温度の上昇・下降を繰り返す。すると、チャンバー部内で気体が膨張・収縮し、体積変化を生じる。膨張時、気体は、チャンバー部に臨むように形成された第一の縮径部と第二の縮径部からチャンバーの外部に出ようとするが、第一の縮径部は第一のチャンネル側からチャンバー部に向けて内径が漸次縮小し、チャンバー部側においてその内径が小さくなっているのに対し、第二の縮径部は、チャンバー部側から第二のチャンネル側に向けて内径が漸次縮小し、チャンバー部側においてその内径が大きくなっている。この部分における圧力損失の違いにより、気体は第一の縮径部よりも第二の縮径部からの方が外部に流出しやすい。一方、気体が収縮すると、第一の縮径部と第二の縮径部からチャンバーの外部の気体をチャンバー内に引き込もうとする。このとき、気体は、第二の縮径部よりも第一の縮径部からの方が、外部の気体を引き込みやすい。
つまりこれにより、チャンバー部内の温度を上昇させるとチャンバー内の気体が第二のチャンネル側に流出し、チャンバー部温度を下降させると第一のチャンネルからチャンバー内に気体が流入する。チャンバー部内の温度の上昇・下降を繰り返すことで、第一のチャンネル側から第二のチャンネル側に気体を搬送することができるのである。このとき、ポンプ内で、気体は相変化せず、気体状態のまま搬送される。温度変化を用いることで、ダイヤフラム等を用いる場合に比較し、気体に圧力変化を容易に生じさせることができ、これにより、微量流量であっても、気体を確実に搬送することが可能となる。
温度変化手段としては、チャンバー部内に温度変化を生じさせるためのヒータと、ヒータの発熱温度を変化させるコントローラとからなるものを用いる。
このとき、ヒータは、チャンバー部に対応した部分に設けるのが好ましいが、微量流量の気体搬送ポンプにおいてはヒータのパターンも細かいものとなる。その発熱効率を高めるには、チャンバー部に対応した部分に、ヒータをジグザグ状にパターニングし、チャンバー部に対応する部分におけるヒータの面積(占積率)をなるべく高めるのが好ましい。
また、コントローラは、ヒータやチャンバー部が形成された基板と一体に設けても良いし、また基板とは別体にコントローラを設けるようにすることも可能である。
ところがこのようにすると、ヒータのパターンの幅が100μmを下回るような微細なパターンの場合、ヒータのパターンの折り返し部分を中心として、ヒータの破断が生じやすいことを本発明者らは見出した。
図14は、幅26μmのヒータ100のパターンに対し、100mAの電流を流したときに破断したヒータ100を示す写真である。観察によると、この図14(a)に示すように、ジグザグ状のヒータ100の折り返し部分101において、内周側と外周側を結ぶような方向に破断する場合と、図14(b)に示すように、互いに隣接するヒータ100の折り返し部分101どうしを結ぶような方向に破断する場合とがあった。
その原因を検討した結果、以下のような事象が破断の原因ではないか、と推察された。
ヒータ100の折り返し部分101においては、その外周側に対し、内周側の方が周長(周方向の長さ、すなわち電流が流れる経路長)が短いため、ヒータ100に電流を流したときの電流の流れる方向における抵抗が小さい。したがって、内周側に、より多くの電流が集中して流れ、その結果、ヒータ100の折り返し部分101の内周側の温度が、外周側に比較して高くなると考えられる。
この傾向は、金属と言えども膜厚が薄い場合は特に顕著になる。これは横方向(断面方向)に十分な熱の伝導が出来ないために、電流集中による局所発熱が放散されないことが原因となると思われる。
この内周側と外周側の温度の差により、ヒータ100に応力が作用し、これが過度になると図14(a)に示すようなヒータ100の破断が生じる。また、互いに隣接したヒータ100の折り返し部分101の内周側は、それぞれ温度が高まっているので、これらの折り返し部分101を最短距離で結ぶように温度が上昇し、これによってもヒータ100に応力が作用し、図14(b)に示すようなヒータ100の破断につながる、と考えられる。
このような推察を基にさらに検討を重ねた結果、本発明者らは、ヒータの折り返し部分の幅を広げることで、折り返し部分の内周側における温度上昇を抑えることができるのではないか、と考えるに至った。
すなわち、同じ強さの電流を流した場合、折り返し部分の幅が狭いほど発熱量が大きくなるのに対し、折り返し部分の幅が広いほど発熱量を抑えることができる。ヒータの抵抗は、ヒータの断面積が大きいほど小さくなる。断面積が異なる2本の配線を考えると、同じ電流を流した場合、断面積の大きい配線の方が電力は小さく、したがって温度上昇も小さい。1本の連続したヒータパターンにおいてもこれは同様で、ヒータパターンの断面積(厚さが一定の場合、幅によって断面積が決まる)は、ヒータパターンの断面積(幅)が大きいほど、温度上昇は小さくなる。
このようにして、ヒータの折り返し部分の幅を広げることで、折り返し部分における発熱量を抑えることができれば、たとえその内周側において温度が上昇しても、その温度上昇がヒータの破断につながるほど過度なものとなるのを回避できるのではないか、と考えたのである。
なお、折り返し部ではなく、直線部の場合、折り返し部より断面積(幅)が小さくても、破断は生じにくい。これは、折り返し部においては、前述したように、電流密度の違い等によって内径側と外径側とでは温度上昇速度が異なるためにラジアル方向の温度分布が存在する。この温度分布により、温度差が大きい(温度勾配が大きい)場所において、温度が局所的に高くなりやすく、これが破断の要因となる。これに対し、直線部においては、上記のような温度分布は生じにくく、電流を流したときの温度上昇は一様なものとなるため、温度が局所的に高くなることもなく、断面積が小さくとも破断は生じにくいのである。
そこでなされた本発明の気体搬送ポンプにおいては、ヒータは、チャンバー部に対応した領域に、直線状に延びる直線部と、直線部に連続し、折り返し部分を形成する折り返し部とが交互に連続することで形成され、直線部の幅W1よりも折り返し部の最大幅W2が大きく形成されていることを特徴とする。このとき、重要なのは、ヒータのパターン全体の幅を広げたのでは、ヒータ自体の発熱効率が低下してしまうため、破損の生じる折り返し部のみ、幅を広げることである。
このような構成は、ヒータのパターンの幅が100μmを下回るような微細なパターンの場合に特に有効であり、ヒータの破断を有効に防止することができる。
このとき、直線部の幅W1と折り返し部の最大幅W2は、
1<W2/W1<5
を満たすようにするのが好ましい。
W2/W1が5を超えると、折り返し部の幅が大きくなりすぎ、チャンバー部に対応した領域において、ヒータの直線部の長さが短くなってしまう。折り返し部の最大幅を広げることで、折り返し部における温度上昇が抑えられるので、ヒータにおいて、チャンバー部の加熱は主に直線部が担うことになる。したがって、チャンバー部に対応した領域に設けられたヒータにおける加熱効率を高めるには、幅の狭い直線部の長さをなるべく長く確保するのが好ましく、これには、折り返し部の幅を過度に大きくしないことが望まれる。そこで、W2/W1の好ましい範囲は、
1.2<W2/W1<1.5
である。
ところで、ヒータの直線部は、前記したように、その長さをなるべく長く確保するのが好ましいが、直線部の長さLは、チャンバー部の内径D以下とする必要がある。すなわち、直線部の長さLは、チャンバー部の内径D以下としつつ、直線部の幅W1よりも折り返し部の最大幅W2を大きくしたうえで、長さLをなるべく長く設定するのが好ましい。
このような本発明の気体搬送ポンプは、ポンプを通る気体の流量を検出する流量センサ部をさらに備えることもできる。その場合、流量センサ部は、第一のチャンネル、第一の縮径部、チャンバー部、第二の縮径部、第二のチャンネルからなる気体の流路の近傍に設け、流路内の温度変化を検出することで気体の流量を検出するのが良い。さらに言えば、この流量センサ部は、第一のチャンネルおよび/または第一の縮径部の近傍と、第二のチャンネルおよび/または第二の縮径部の近傍に、それぞれ備えるのが好ましい。そして、それぞれ備えられた流量センサ部の出力の差分を検出するのが、ノイズ除去等を図ることができるために好ましい。
このような気体搬送ポンプにおいて、第一のチャンネル、第一の縮径部、チャンバー部、第二の縮径部、第二のチャンネルは、シリコン基板にリソグラフィ法によって形成することができる。これにより、気体搬送ポンプを、非常に微小なものとすることができ、しかも安価に大量生産することも可能である。
シリコンは、熱伝導率が高いこと、加工が容易であること、安価であること等の優れた特徴を有しているが、シリコンに限らず、ガラス系材料や樹脂系材料、セラミックス系材料等を用いて、第一のチャンネル、第一の縮径部、チャンバー部、第二の縮径部、第二のチャンネルを形成しても良い。ガラス系材料や樹脂系材料の場合、パターン形成には、リソフラフィ法を用いても良いし、モールド法やインプリント法を用いても良い。
また、第一のチャンネルおよび第一の縮径部と、第二の縮径部および第二のチャンネルとは、それぞれ複数組形成しても良い。
さらに、気体搬送ポンプは、非常にシンプルな構造であり、可動部分も有さないため、故障等も生じにくく、高い耐久性・信頼性を得ることができ、また作動音等も生じない。
上記したような気体搬送ポンプは、様々な用途に用いることができる。例えば、特定の種類の物質を検出するための検出センサにおいて、検出対象の物質を含んだ気体を、物質を吸着する吸着材や分子(気体分子)認識材料等に送り込む用途がある。このように、物質を含んだ気体を吸着材に強制的に送り込むことで、特定の物質の検出感度を向上させたり、測定時間を短縮したりすることができる。これ以外にも、気体を搬送して気流を起こすことで、各種の機器を冷却する等、様々な用途への適用が可能であり、本発明の気体搬送ポンプは、その用途を特に限定する意図はない。いずれの場合においても、微量な流量で気体を搬送する場合、気体搬送ポンプの小型化、マイクロ化を図りたい場合に本発明は有効となる。
本発明は、気体中に含まれる質量を有した物質を検出する検出部と、検出部に気体を送り込むポンプ部とを備え、ポンプ部は、外部から検出部に気体を送り込むための流路が形成されたポンプ本体と、流路内で気体に体積変化を生じさせる体積変化発生部と、体積変化発生部により気体に体積変化が生じたとき、流路内で検出部から離れる方向に気体が移動するのを阻止する逆流防止部と、を備え、体積変化発生部は、ヒータと、ヒータの発熱温度を変化させるコントローラとからなり、ヒータは、体積変化発生部に対応した領域に、直線状に延びる直線部と、直線部に連続する折り返し部とが交互に連続することで形成され、直線部の幅W1よりも折り返し部の最大幅W2が大きく形成されていることを特徴とする検出センサとすることもできる。
体積変化発生部により気体に体積変化が生じたとき、逆流防止部により流路内で検出部から離れる方向に気体が移動するのを阻止することで、気体は流路内で検出部に向けて移動する。このようにして、ポンプ本体は、流路を通して、外部から検出部に気体を送り込むことが可能となる。
このとき、ポンプ本体はチャンバー部を有し、体積変化発生部はチャンバー部内で気体に体積変化を生じさせ、逆流防止部として、気体の移動方向に向けて流路の内径が漸次縮小する縮径部を、チャンバー部の前後にそれぞれ形成するのが好ましい。ところで、逆流防止部に微細な縮径部を用いると、気体に対する流路抵抗が大きくなる。このため、逆流防止部をそれぞれ備えた流路を複数、並列に備えることができる。この場合、流路をチャンバー部から放射状に設けても良いし、並行するように設けても良い。
本発明によれば、ヒータの折り返し部における破断を防止することが可能となり、ヒータの耐久性を高めることが可能となる。そして、このようなヒータを備えた気体搬送ポンプ、検出センサにおいては、気体を微量であっても高い精度で搬送することが可能となり、しかも非常に小さなサイズとすることができる。さらに、非常にシンプルな構造であり、可動部分も有さないため、故障等も生じにくく、高い耐久性・信頼性を得ることができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における気体搬送ポンプ(ポンプ部)10の機能的構成を説明するための図、図2は気体搬送ポンプ10の実際的な構成を示す図である。
この図1および図2に示すように、気体搬送ポンプ10は、本体11内に、所定の容積を有したチャンバー部12、このチャンバー部12に外部から気体を導入する入口側チャンネル(第一のチャンネル)13、チャンバー部12から気体を送り出す出口側チャンネル(第二のチャンネル)14、チャンバー部12と入口側チャンネル13の間に設けられた入口側ディフューザ部(第一の縮径部、逆流防止部)15、チャンバー部12と出口側チャンネル14の間に設けられた出口側ディフューザ部(第二の縮径部、逆流防止部)16が形成され、チャンバー部12に、ヒータ20が設けられた構成を有している。
図3に示すように、本体11は、例えば2枚のシリコン基板11a、11bを貼り合せることで形成されている。これらシリコン基板11a、11bのいずれか一方または双方の合わせ面に所定形状の凹部を形成することで、チャンバー部12、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16が形成されている。
チャンバー部12は、例えば円形状断面を有している。このチャンバー部12の一方の側には、入口側ディフューザ部15が形成され、他方の側に出口側ディフューザ部16が形成されている。
入口側チャンネル13は、一端が本体11の側面に開口し、他端が入口側ディフューザ部15に連通するよう形成されている。入口側ディフューザ部15は、入口側チャンネル13とチャンバー部12とを連通するように形成され、入口側チャンネル13側からチャンバー部12側に向けて、その断面積(内径)が漸次小さくなるテーパノズル状とされている。
出口側チャンネル14は、一端が本体11の側面に開口し、他端が出口側ディフューザ部16に連通するよう形成されている。出口側ディフューザ部16は、チャンバー部12と出口側チャンネル14とを連通し、入口側ディフューザ部15とは異なる位置でチャンバー部12に開口するように形成され、チャンバー部12側から出口側チャンネル14側に向けて、その断面積が漸次小さくなるテーパノズル状とされている。
このようにして、本体11には、入口側チャンネル13から、入口側ディフューザ部15、チャンバー部12、出口側ディフューザ部16を経て、出口側チャンネル14までが連通した気体流路が形成されている。
そして、図2および図3に示したように、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14にポート17、18が形成され、ここに配管等を接続することができるようになっている。
さて、図3に示したように、チャンバー部12に設けられたヒータ20は、シリコン基板11aまたは11bの一面側に形成された、例えばAu、Pt、Cu、Pd、Ir、Cr、Mo、Ti等の貴金属、高融点金属や、ITO、SnO、単結晶Si、アモルファスSi、有機半導体、Poly−Si等の金属酸化膜や半導体等からなる電熱線であり、本体11の外部に配置される電源(図示無し)に、接続部20jを介して電気的に接続される。もちろん、これらの材料を複数層に積層することでヒータ20を形成することも可能であり、最も好ましいのは、シリコン基板11aまたは11bの一面上に、Ti、Ta、Tg等からなるバインダ層22を形成し、そのバインダ層22上に、Pt等、耐酸化性、耐熱性を有した金属や合金からなる電極層23を形成する構成である。このとき、バインダ層22は、電極層23をシリコン基板11aまたは11bの全面に良好に形成するためのものであり、このバインダ層22がない場合、成膜時に、電極層23を形成する材料が、シリコン基板11aまたは11bと馴染まず、弾かれてしまうことがある。また、このようなバインダ層22の機能からして、バインダ層22は必要最小限の厚さがあればよい。一方、電極層23は、十分な電流を流せるだけの厚さを有する必要がある。
ヒータ20は、図4に示すように、チャンバー部12に対応した部分に、ジグザグ状に折り曲げられたようなパターン(形状)で設けられている。詳細に説明すると、ヒータ20は、直線状に延びた直線部20aと、互いに前後する直線部20a、20a間を接続する折り返し部20bとから形成され、これら直線部20a、折り返し部20bが交互に連続することで、全体としてジグザグ状をなしている。
このため、直線部20aは、例えば、幅W1が、W1=20〜30μm程度とされ、互いに隣接する直線部20a、20aどうしは互いに平行になるよう、例えば5〜15μm程度の間隔を隔てて配置されている。
また、折り返し部20bは、その最大の幅W2がW2>W1となるように設定するのが好ましい。より好ましくは1<(W2/W1)<5、さらに好ましくは1.2<(W2/W1)<1.5となるように折り返し部20bを形成するのが好ましい。
前述したように、折り返し部20bにおいては、その外周側20Oに対し、内周側20Iの方が周長が短いため、ヒータ20に電流を流したときの電流の流れる方向における抵抗が小さく、その結果、内周側20Iにより多くの電流が集中して流れると考えられる。そして、同じ強さの電流を流した場合、折り返し部20bの幅W2が狭いほど、発熱量が大きくなるのに対し、折り返し部20bの幅W2が広いほど発熱量を抑えることができる。これにより、折り返し部20bの幅W2を広げることで、折り返し部20bにおけるヒータ20の発熱量を抑えることができ、例え折り返し部20bの内周側20Iにおいて温度が上昇しても、その温度上昇がヒータ20の破断につながるほど過度なものとなるのを回避できる。
さらに、折り返し部20bにおいては、内周側20Iにおいてその温度が高くなる。折り返し部20bは、幅W2が大きくなるように形成されているので、この部分における内周側20Iから外周側20Oまでの長さも長く、その温度勾配を緩やかなものとすることができる。その結果、折り返し部20bの内周側20Iにおいて温度が上昇しても、最も温度の高い内周側20Iから外周側20Oに向けて破断するのを防ぐことができる。
また、内周部20Iにおける温度上昇自体を抑えることで、ヒータ20のパターンが微細である場合にも、直線部20aを挟んで互いに隣接する2つの折り返し部20b、20bどうしを結ぶ方向にヒータ20が破断するのも防止することができる。
ヒータ20の折り返し部20bのパターン構成を上記のようにしつつ、直線部20aにおいては、チャンバー部12に対応した領域内における長さLをなるべく大きくするのが好ましい。これは、ヒータ20における発熱量を高めるためである。
上記のようなヒータ20への、電源(図示無し)における電圧の印加は、図1に示したコントローラ21によって制御されるようになっている。
コントローラ21の制御により電源から電圧が印加されるとヒータ20が発熱し、これによってチャンバー部12内の温度が上昇して気体が膨張し、ヒータ20への電圧の印加を停止するとヒータ20の発熱が中止され、チャンバー部12内の温度が低下して気体が収縮する。気体搬送ポンプ10では、ヒータ20、コントローラ21が、温度変化手段、体積変化発生部として機能し、気体の膨張・収縮を利用することで、気体の送給を行うようになっている。以下、これについて詳述する。
気体搬送ポンプ10においては、外部の気体を入口側ディフューザ部15からチャンバー部12に導入し、出口側ディフューザ部16から吐出する。チャンバー部12に気体が導入された状態で、ヒータ20が発熱すると、チャンバー部12内の温度が上昇して気体が膨張する。すると、膨張した気体は、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16からチャンバー部12の外部に流出しようとする。
このとき、図1(b)に示すように、入口側ディフューザ部15は、入口側チャンネル13側からチャンバー部12側に向けて、また出口側ディフューザ部16は、チャンバー部12側から出口側チャンネル14側に向けて、その断面積が漸次小さくなるテーパノズル状とされている。このため、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16においては、その断面積が漸次小さくなる方向(以下、この方向を順方向と称する)に気体が流れる場合と、逆方向、つまり断面積が漸次大きくなる方向(出口側チャンネル14側から入口側チャンネル13側に向かう方向:以下、この方向を逆方向と称する)に気体が流れる場合とでは、圧力損失が異なる。すなわち、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16では、気体が順方向に流れるときの圧力損失よりも、気体が逆方向に流れるときの圧力損失の方が大きくなる。これは、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16のエッジ15a、16aの部分において、気体の粘性によって乱れ渦が生じ、これによって流体の運動エネルギーが損なわれ、その結果、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16における気体の流れが、順方向の方が逆方向よりもスムーズになるからである。
これにより、チャンバー部12内の気体が膨張し、外部に流出しようとした場合、気体は、より抵抗(圧力損失)の小さい出口側ディフューザ部16からチャンバー部12の外部に流出する。
この後、ヒータ20への電圧の印加を停止するとヒータ20の発熱が中止され、チャンバー部12内の温度が低下して気体が収縮する。すると、気体の収縮に伴い、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16からチャンバー部12内に気体を導入しようとする。
このとき、テーパノズル状の入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16において、前述したような、気体の流れる方向に応じて圧力損失が異なるため、チャンバー部12内の気体が収縮した場合、気体は、より抵抗(圧力損失)の小さい入口側ディフューザ部15からチャンバー部12の内部に導入される。
このようにして、ヒータ20の加熱時にはチャンバー部12内の気体が膨張して出口側ディフューザ部16から出口側チャンネル14に流出し、ヒータ20の停止時にはチャンバー部12内の気体が収縮して入口側チャンネル13から入口側ディフューザ部15を介してチャンバー部12内に気体が導入されるようになっている。
したがって、気体搬送ポンプ10では、このヒータ20の加熱・停止を繰り返すことで入口側チャンネル13から気体を吸い込み、出口側チャンネル14から気体を吐出することができ、ポンプとして機能することになる。
このため、コントローラ21では、所定のサイクルで、ヒータ20のON/OFFを交互に切り替えるようになっている。例えば、コントローラ21では、ヒータ20のON/OFFを100マイクロ秒〜1ミリ秒のサイクルで繰り返すように制御することができる。また、コントローラ21では、ヒータ20をON/OFFさせたときに、室温〜1000℃、好ましくは室温〜500℃の幅で温度変化が生じるように制御するのが好ましい。
このとき、ヒータ20のパワーを高めれば、ON/OFF時の温度差が大きくなり、気体搬送ポンプ10における流量が増大する。また、ON/OFFの切り替え周波数を高めれば流量が減少する。これらON/OFF時の温度差と切り替え周波数は、気体搬送ポンプ10の適用対象、用途等に応じて適宜設定すればよい。例えば、高温でガスが分解するような用途に用いる場合には、温度を下げて使うことが必要である。
さらに、気体搬送ポンプ10には、吐出する気体の流量を計測するための流量センサ部30を備えることもできる。流量センサ部30は、入口側ディフューザ部15および出口側ディフューザ部16の少なくとも一方の近傍に配置される。この流量センサ部30は、常時一定の電圧を印加し、所定の温度に維持されるようにしておく。
流路内を気体が流れると、入口側ディフューザ部15および出口側ディフューザ部16の温度が低下する。これに伴い、流量センサ部30の温度も低下するので、そのときの電気抵抗の変化をコントローラ21でモニタリングすることで、入口側ディフューザ部15および出口側ディフューザ部16の温度の低下を検出できる。これによって、予め、入口側ディフューザ部15および出口側ディフューザ部16の温度の低下量と、流量との関係を把握しておくことで、流量センサ部30では、気体搬送ポンプ10で吐出する気体の流量を検出することができるのである。
流量センサ部30の配置や、その出力信号の処理に関しては、感度を向上させるために様々な構成が考えられる。例えば、入口側ディフューザ部15側および出口側ディフューザ部16側のそれぞれに流量センサ部30を設け、その差分を取ることで、流量の絶対値を検出したり、ノイズ成分を除去することができる。また、応答特性を取ることで、ノイズ成分やドラフト成分を除去することも可能である。
このような気体搬送ポンプ10を形成するには、例えば、酸化層とフォトレジスト層とが積層されることで構成されたシリコン基板11aに、リソグラフィ法によりパターンを形成することで、チャンバー部12、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16等を形成する。
これにはまず、シリコン基板11aの酸化層に、リソグラフィ法により、チャンバー部12、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16のパターンを形成する。
続いて、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16をマスクした状態で、エッチングにより、チャンバー部12、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14を、所定の深さに形成する。
さらに、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16のマスクを外し、エッチングにより、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16を所定の深さに形成する。
他方のシリコン基板11bには、所定の材料を用いて順次バインダ層22、電極層23を形成するための膜を成膜し、これらの膜に、リソグラフィ法およびエッチングにより、ヒータ20、接続部20j、流量センサ部30に応じた所定のパターンを形成することで、バインダ層22、電極層23を形成する。
そして、これらシリコン基板11a、11bを貼り合わせることで、気体搬送ポンプ10を形成することができる。
なお、ヒータ20や流量センサ部30を設ける部材であるシリコン基板11bの材質や板厚等に関しては、注意深く設計する必要がある。例えば、熱伝達率の大きな材料を採用し、かつ板厚を薄くすれば、発熱や放熱の効率を高めることができ、これにより、ヒータ20のON/OFFの切り替え周波数を高めて気体搬送ポンプ10の流量を増大させることが可能となるからである。
このような気体搬送ポンプ10は、微量な気体を搬送する様々な用途に適用することができる。例えば、ガス等の気体検知用の検出センサにおいて、検出センサ部分に気体を供給するための流量制御、半導体プロセス工程や、ガス燃焼機器におけるガス濃度の微量な調整、例えばモバイル用機器におけるCPU冷却のため等における冷媒の供給等である。
例えば、ガス等の気体検知用の検出センサは、爆発危険性や有害性のあるガス等の存在、あるいはその定量的な濃度を検出するためのものとすることができる。この検出センサでは、ガスに含まれる特定の分子を吸着し、その吸着の有無、あるいは吸着量を検出することで、ガス等の存在の有無、あるいはその濃度を検出する。このような検出センサは、ガス等を取り扱う施設、設備、装置等に設置され、ガスの漏れやガス量のコントロールに用いられる。
また近年開発が盛んに行われている、燃料電池用の水素ステーションや、燃料電池を使用する車両や装置、機器等において、水素の漏れが無いか監視する用途にも、上記検出センサは適用できる。
これ以外にも、特定の分子、あるいは特定の特性または特徴を有する複数種の分子を吸着することで、その吸着の有無あるいは吸着量を検出する検出センサは、例えば食物の鮮度や成分分析、快適空間を提供・維持するための環境制御、さらには、人体等、生体の状態検知等に用いることが考えられる。また、人体から出る様々な物質、呼気や腸内フローラの代謝成分等を高感度に検出することで、健康状態のモニタリング、疾患の簡易なスクリーニング、生活習慣性疾患の診断、感染症のモニタリング等といったことを行うことが可能になると考えられる。
このような検出センサとしては、大きく分けて2種類の方式のものがある。
一つは、カンチレバー上に、特定の分子を吸着する分子吸着膜(感応膜)を設け、分子吸着膜に分子が吸着されたときのカンチレバーの状態変化から、分子の吸着を検出するものである。分子吸着膜に分子が吸着されると、分子吸着膜の質量が増加する。これにより、カンチレバーのたわみ量が変化するので、その変化量から、特定の分子の吸着を検出できる。また、分子の吸着により分子吸着膜の質量が増加すると、カンチレバーと分子吸着膜とからなる系の共振周波数が変化するので、その変化から特定の分子の吸着を検出することもできる。
もう一つの方式は、水晶振動子に分子吸着膜を設け、分子吸着膜に分子が吸着されたときの、水晶振動子の共振周波数変化から、特定の分子の吸着を検出するものである。
これ以外にも、適宜他の方式の検出センサを採用することは、もちろん可能である。
このような検出センサに、上記気体搬送ポンプ10を組み合わせることで、気体搬送ポンプ10で検出対象となるガスを採集し、これを検出センサの部分に供給することで、検出センサにおいて検出を高精度で行うことが可能となる。
上述したように、気体搬送ポンプ10は、気体の熱膨張を利用することで、確実に体積変化を生じさせ、微量な流量であっても気体を確実に搬送することができる。しかも、気体を搬送させるためには、チャンバー部12、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16からなる流路と、ヒータ20を備えるのみでよく、機械的な可動部分が不要であるため、高い信頼性を得ることができ、また可動部分を備える場合のように作動音や作動による発熱等が問題になるのも回避できる。
また、気体搬送ポンプ10は、その構成からして非常に小型のものとすることができる。これにより、この気体搬送ポンプ10を組み合わせて構成する検出センサ等についても小型化することが可能となる。
上記のような構成の気体搬送ポンプ10について、その動作をシミュレーションによって検証した。ここで、チャンバー部12の内径は100μm、入口側チャンネル13の幅は10μm、高さは20μm、出口側チャンネル14の幅は10μm、高さは20μm、入口側ディフューザ部15の長さは5μm、ディフューザ部分の幅は1〜4μm、高さは2〜5μm、出口側ディフューザ部16は入口側ディフューザ部15と同形状とした。
また、ヒータ20には、100mAの電流を100ms流し、100ms停止させるというサイクルを繰り返した。
チャンバー部12の部分においては、温度が室温〜500℃に周期的に変動し、出口側チャンネル14からは、気体がチャンバー部12の体積に対して1回の温度サイクル当たり3%の割合で吐出された。
ここで、ヒータ20を、図5に示すような2箇所の折り返し部20bを有するS字状の形状とし、Tiからなるバインダ層22上に、Ptからなる電極層23を形成し、また、ヒータ20のパターン各部は26μmの一定幅とした。このようなヒータ20に100mAの電流を流した状態について、数値解析によるシミュレーションを行った。
数値解析には、有限要素法(Matlab)、有限差分法(ANSYS)、の2通りを用いた。
有限要素法による解析結果を図6に示す。この図6に示すように、最も温度の高いエリアは、2箇所の折り返し部20bを繋ぐ領域に位置していることがわかった。また、電流の分布について検証すると、2箇所の折り返し部20bの間において、電流値が最大となる箇所があり、これは最も温度が高いエリアと一致し、この部分でヒータ20が破断しているものと認められる。
図7は、ヒータ20の破断に至るまでの温度の変化を示す。図6に示すように、破断した部分の温度は、ヒータ20の他の部分に比較し、数百度高い。そして、図7に示すように、この部分においては、電流を流すと温度は急上昇し、7.3μs後に破断に至っていることがわかる。
実際に、図14(b)に示した、損傷したヒータ20を顕微鏡写真で観察すると、図6の最も温度が高いエリアにおいて、実際の破断が生じており、シミュレーション結果と一致している。
有限差分法における解析結果を、図8に示す。解析結果から、ヒータ20の折り返し部20bの内周側で温度が高いことがわかった。また、温度が高い部分では、ヒータ20の内周側から外周側への温度勾配が急になっており、ヒータ20の損傷が生じる位置と一致することがわかった。
また、図9は、電流の密度分布を解析した結果を示すもので、ヒータ20の折り返し部20bの内周側において、電流が集中していることがわかる。そして、内周側の、曲率半径が小さく、急激に曲がっている箇所において、電流の密度が非常に高く、そのような箇所は、ヒータ20損傷箇所に一致していることがわかる。
そこで、図10に示すように、ヒータ20の折り返し部20bにおいて、外周側20Oの曲率中心O1に対し、内周側20Iの曲率中心O2を、オフセットさせて解析を行った。
このとき、2箇所の折り返し部20bのうち、一方においては、内周側20Iの曲率中心O2を、外周側20Oの曲率中心O1に対し、折り返し部20bの幅W2が直線部20aの幅W1よりも小さくなるようにオフセットさせ、他方においては、内周側20Iの曲率中心O2を、外周側20Oの曲率中心O1に対し、折り返し部20bの幅W2が直線部20aの幅W1よりも大きくなるようにオフセットさせた。
そして、100mAの電流を加えたときのヒータ20の温度分布について有限要素法により解析した。図11は、電流を加えて1ms後の状態を示している。図11においては、0℃から約157℃ごとに10段階に区分し、低温側から高温側に向けてT1〜T9として示した。
この図11に示すように、折り返し部20bの幅W2が直線部20aの幅W1よりも小さくなるように形成された折り返し部20bにおいては、内周側で温度が上昇しているのに対し、折り返し部20bの幅W2が直線部20aの幅W1よりも大きくなるように形成された折り返し部20bにおいては、内周側における温度上昇が低く抑えられていることが確認できる。
これにより、ヒータ20が折り返し部20bの内周側において過度に加熱されるのを防ぎ、ヒータ20の破断を防ぐことが可能となる。
また、図12(a)は、上記のような見地から図4に示したようなパターンでヒータ20を形成し、このヒータ20に100mAの電流を加えたときの100μs後におけるヒータ20およびその周囲の温度分布、図12(b)は50mAの電流を加えて1.5ms後におけるヒータ20およびその周囲の温度分布を示すものであり、いずれの場合も、ヒータ20およびその周囲は均一に温度が上昇していることがわかる。
これにより、上記のような本発明のヒータ20を用いることで、チャンバー部12を均一に加熱することができるのがわかる。
図13は、(a)100mA、(b)20mA、(c)10mAの電流を加えた場合の、ヒータ20の温度変化を示す図である。この図に示すように、100mAの電流を加えた場合には、100msで500℃に達しており、非常に早い加熱が可能となっている。もちろん、ヒータ20の耐久性を高めるには、より低い電流で、実用上問題とならない範囲内で、なるべく時間をかけて加熱を行うのが好ましい。
このように、本発明のヒータ20では、折り返し部20bにおいて破断が生じにくくなっているため、従来よりも高温とすることができ、また、加熱速度も高くできる。つまり、ヒータ20のON/OFFの温度差を大きくするとともに、ON/OFFの切替周期を短くすることが可能となる。したがって、気体搬送ポンプ10の効率を高めることが出来ることがわかる。
なお、上記実施の形態では、気体搬送ポンプ10の寸法例、材質例、製法等を示したが、同様の機能を有するものを実現できるのであれば、上記に示した範疇のものに限るものではない。また、気体搬送ポンプ10の用途についても、上記した以外とすることもできる。
また、気体搬送ポンプ10において、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14を一直線状に配置した構成としたが、これに限るものではなく、入口側チャンネル13と出口側チャンネル14を、互いに所定角度ずれた位置に配置したり、隣接して並ぶように配置する等、様々な配置とすることができる。
また、上記実施の形態において、気体搬送ポンプ10を形成するのにシリコンを基板材料として用いた。シリコンは、熱伝導率が高いこと、加工が容易であること、安価であること等の優れた特徴を持っている。しかし、気体搬送ポンプ10を形成するのに、ガラス系材料、プラスチック系材料、セラミックス系材料等を用いても良い。ガラス系材料やプラスチック系材料を用いる場合には、リソグラフィ技術のほか、モールド技術、インプリント技術等を用いて気体搬送ポンプ10を形成しても良い。
本実施の形態では、シリコン基板11aに、チャンバー部12、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16等を形成し、他方のシリコン基板11bに、ヒータ20と流量センサ部30の配線パターンを形成し、これらシリコン基板11a、11bを互いに接合する構成としたが、これに限るものではない。例えば、ヒータ20と流量センサ部30を、別体の部材としても良い。
さらに、チャンバー部12、入口側チャンネル13、出口側チャンネル14、入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16等の部材表面には、シリコン酸化層を設けて緻密化したり、SiNを積層したり、あるいは窒化処理を行ったりしてコーティング層を形成し、部材表面と気体との流路抵抗を小さくしても良い。さらには、扱う気体の種類によって、表面のコーディング層の材料を異ならせることもできる。
ところで、上記実施の形態における気体搬送ポンプ10においては、微細な入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16を用いているため、気体に対する流路抵抗が比較的大きい。このため、流量を増大させるために、入口側チャンネル13および入口側ディフューザ部15、出口側ディフューザ部16および出口側チャンネル14からなる流路を、入口側、出口側にそれぞれ複数組設け、トータルでの流路面積を拡大することも可能である。この場合、流路をチャンバー部12から放射状に設けても良いし、並行するように設けても良い。また、このような気体搬送ポンプ10を複数積層することで、トータルでの流路面積を拡大するようにしても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本実施の形態における気体搬送ポンプの概略的な構成を示す図であり、(a)は全体図、(b)は要部の拡大図である。 気体搬送ポンプの構成を示す図である。 気体搬送ポンプの断面図である。 本発明におけるヒータの構成を示す図である。 実施例においてシミュレーション解析を行うために用いた基本的なヒータのモデル図である。 有限要素法による温度分布の解析結果を示す図である。 有限要素法による温度変化の解析結果を示す図である。 有限差分法による温度分布の解析結果を示す図である。 有限差分法による電流の密度分布の解析結果を示す図である。 本発明におけるヒータの構成を実証するために用いたヒータのモデル図である。 有限差分法による温度分布の解析結果を示す図である。 ヒータに電流を流し、一定時間経過した時点での温度分布の解析結果を示す図である。 ヒータに異なる大きさの電流を流したときの温度変化の解析結果を示す図である。 破断したヒータの実例を示す顕微鏡写真像である。
符号の説明
10…気体搬送ポンプ(ポンプ部)、11…本体、12…チャンバー部、13…入口側チャンネル(第一のチャンネル)、14…出口側チャンネル(第二のチャンネル)、15…入口側ディフューザ部(第一の縮径部、逆流防止部)、16…出口側ディフューザ部(第二の縮径部、逆流防止部)、20…ヒータ、20a…直線部、20b…折り返し部、21…コントローラ、30…流量センサ部

Claims (5)

  1. 気体を搬送するポンプであって、
    前記ポンプ内に形成されたチャンバー部と、
    前記チャンバー部と前記ポンプの外部とを連通するよう形成された第一のチャンネルと、
    前記第一のチャンネルとは異なる位置にて前記チャンバー部と前記ポンプの外部とを連通するよう形成された第二のチャンネルと、
    前記チャンバー部と前記第一のチャンネルの間に形成され、前記第一のチャンネル側から前記チャンバー部に向けて内径が漸次縮小する第一の縮径部と、
    前記チャンバー部と前記第二のチャンネルの間に形成され、前記チャンバー部側から前記第二のチャンネル側に向けて内径が漸次縮小する第二の縮径部と、
    前記チャンバー部内の温度を変化させる温度変化手段と、
    を備え、
    前記温度変化手段は、ヒータと、前記ヒータの発熱温度を変化させるコントローラとからなり、
    前記ヒータは、前記チャンバー部に対応した領域に、直線状に延びる直線部と、前記直線部に連続する折り返し部とが交互に連続することで形成され、前記直線部の幅W1よりも前記折り返し部の最大幅W2が大きく形成されていることを特徴とする気体搬送ポンプ。
  2. 前記直線部の幅W1と前記折り返し部の最大幅W2が、
    1<W2/W1<5
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の気体搬送ポンプ。
  3. 前記直線部の幅W1と前記折り返し部の最大幅W2が、
    1.2<W2/W1<1.5
    を満たすことを特徴とする請求項2に記載の気体搬送ポンプ。
  4. 前記直線部の長さLが、前記チャンバー部の内径D以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の気体搬送ポンプ。
  5. 気体中に含まれる質量を有した物質を検出する検出部と、
    前記検出部に前記気体を送り込むポンプ部とを備え、
    前記ポンプ部は、外部から前記検出部に前記気体を送り込むための流路が形成されたポンプ本体と、
    前記流路内で前記気体に体積変化を生じさせる体積変化発生部と、
    前記体積変化発生部により前記気体に体積変化が生じたとき、前記流路内で前記検出部から離れる方向に前記気体が移動するのを阻止する逆流防止部と、
    を備え、
    前記体積変化発生部は、ヒータと、前記ヒータの発熱温度を変化させるコントローラとからなり、
    前記ヒータは、前記体積変化発生部に対応した領域に、直線状に延びる直線部と、前記直線部に連続する折り返し部とが交互に連続することで形成され、前記直線部の幅W1よりも前記折り返し部の最大幅W2が大きく形成されていることを特徴とする検出センサ。
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