JP2007322255A - 操舵角センサの異常判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両速度が遅い場合であれ、操舵角センサの異常の有無を高い精度で判定することができる操舵角センサの異常判定装置を提供する。
【解決手段】操舵角センサ21の異常の有無を判定する異常判定装置として、ナビゲーションシステム22の地理情報及び位置情報を参照しつつ車両がカーブ路走行中にあるカーブ路走行期間を検出するプログラムと、そのカーブ路走行期間内のセンサ出力の最大値を検出するプログラムと、その最大値について所定の閾値との対比を行うことにより該最大値が相当量に足りるかあるいは満たないかを判断するプログラムと、その判断により最大値が相当量に満たないと判断された場合に操舵角センサ21が異常である旨の判定をするプログラムと、を備える構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、操舵角センサの異常の有無を判定する異常判定装置に関し、詳しくは、例えばセンサ配線に断線や短絡などの異常が起きた場合に、これをなるべく早期に検出するために用いられる操舵角センサの異常判定装置に関する。
この種の装置としては、例えば特許文献1に記載される装置がある。この装置は、車両に備え付けられたヨーレートセンサを用いて操舵角センサの異常の有無を判定するものであり、同センサによる検出値(操舵角に相当)が、所定値未満の状態で所定時間以上継続している場合にあって且つ、上記ヨーレートセンサにより、車両の旋回方向の反転が規定回数以上である旨の検出がなされた場合に、対象とする操舵角センサは異常である旨の判定がなされる。
特許第3161303号公報
ところで、この特許文献1に記載の装置では、ヨーレートセンサにより車両の挙動(旋回状態)を検出して、その検出された挙動に基づき異常の判定を行うようにしている。したがって、その検出精度はヨーレートセンサの検出能力に概ね依存したものとなる。しかしながら、ヨーレートセンサは一般に車両(車体)が回転する速度(角速度)を検出するセンサであるため、車両速度が遅い場合には、同一の操舵角であっても車両速度が速い場合に比べて小さな検出値(出力値)しか得られないという特性がある。また場合によっては、本当にごく小さな角速度しか検出されずセンサとしての検出値が全く得られないことすらある。このため、上記特許文献1に記載の装置を用いた場合には、車両速度が十分に速いときには十分な検出精度が得られたとしても、車両速度が遅いときにおいては、操舵角センサの異常を検出し損なうおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みて発明されたものであり、車両速度が遅い場合であれ、操舵角センサの異常の有無を高い精度で判定することができる操舵角センサの異常判定装置を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するための手段、及び、その作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、車両の操舵角を検出する操舵角センサの異常の有無を判定する操舵角センサの異常判定装置において、ナビゲーションシステムの地理情報及び位置情報を参照しつつ前記車両がカーブ路を走行したことを検出するカーブ路走行検出手段と、前記カーブ路走行検出手段により車両がカーブ路を走行したことが検出されたにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に満たない場合に前記操舵角センサが異常である旨の判定をするカーブ路異常判定手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の装置において、前記カーブ路走行検出手段の検出対象となるカーブ路は予め指定された指定カーブ路である、ことを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明では、車両の操舵角を検出する操舵角センサの異常の有無を判定する操舵角センサの異常判定装置において、ナビゲーションシステムの位置情報を参照しつつ前記車両の走行軌跡がカーブを描いたことを検出するカーブ軌跡検出手段と、前記カーブ軌跡検出手段により車両の走行軌跡がカーブを描いたと検出されたにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に満たない場合に前記操舵角センサが異常である旨の判定をするカーブ軌跡判定手段と、を備えることを特徴とする。
ナビゲーションシステム(例えば車両に搭載されたカーナビゲーションや携帯型のナビゲーション等)には一般に、GPS(Global Positioning System)等を利用した測位機能、及び、例えば予め記憶(又は作成、又は通信により取得)された地理情報等が搭載されている。上記3つの発明では、この点に着眼し、それぞれナビゲーションシステムの位置情報や地理情報を利用することで、操舵角センサの異常の有無の判定(異常診断)を行う方式の装置を新規に発明した。これらの装置によれば、車両の旋回状態を検出する手段としてヨーレートセンサあるいはそれに準ずるセンサが車両に備え付けられていない場合であれ、また車両速度が遅い場合であれ、操舵角センサの異常診断を簡易に、しかも十分に高い精度で行うことができるようになる。
ここで、請求項1及び2に記載の発明は、いずれもナビゲーションシステムの地理情報及び位置情報を利用して車両がカーブ路を通過したか否かを検出し、カーブ路を通過したにもかかわらず操舵角センサに正常な反応(相当量の出力変化)がない場合にこのセンサは異常である旨の判定を行うものである。ナビゲーションシステムの地理情報及び位置情報、すなわち車両の走行環境情報によれば、現在の車両の状況だけでなく同車両に係る将来の情報(例えば近い将来車両が通過するであろう進路等の情報)も活用することができるようになる。この意味でも、これらの発明は、上記従来のヨーレートセンサによる異常判定装置よりも有益である。また、請求項2に記載の発明では、検出すべきカーブ路を予め指定されたカーブ路に限定している。こうすることで、異常検出の効率化が図られるようになる。また、検出すべきカーブ路として判定を行いやすい場所を指定すれば、その判定ごとの誤判定の可能性を低く抑えることも可能である。そして、このようなカーブ路の指定は、従来普及している一般的なカーナビゲーションの機能を利用することにより容易に実現することができる。一方、請求項11に記載の発明では、地理情報によらず、位置情報のみを利用しているため、容易さがいっそう増すようになる。しかもこの発明によれば、基本的には、ヨーレートセンサの場合に準ずる態様で、車両の挙動を検出することができるようになる。
請求項2に記載の装置において、前記カーブ路走行検出手段による指定カーブ路の指定の態様としては、操舵角センサの用途や仕様、あるいはユーザの好み等により、様々な態様を採用することができる。しかしながら実用上は、例えば請求項3に記載の発明のように、
・前記指定カーブ路が、前記ナビゲーションシステムのマップ上から、1乃至複数の任意のカーブ路がユーザに選択されることにより指定されるものである構成。
あるいは請求項4に記載の発明のように、
・前記指定カーブ路が、前記ナビゲーションシステムのマップ上に1乃至複数の任意のエリアがユーザに指定されることにより、このエリアに含まれるか否かに基づいて指定されるものである構成。
あるいは請求項5に記載の発明のように、
・前記指定カーブ路が、所定の条件(例えば道幅の大小)に基づいて自動的に指定されるものである構成。
といった構成が有益である。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置において、前記カーブ路走行検出手段が、ナビゲーションシステムの地理情報及び位置情報を参照しつつ、前記車両がカーブ路走行中にあるカーブ路走行期間を検出するものであり、前記カーブ路異常判定手段が、該カーブ路走行検出手段により検出されたカーブ路走行期間についてその期間内のセンサ出力の最大値又は積算値を検出するセンサ出力検出手段と、このセンサ出力検出手段により検出された最大値又は積算値について所定の閾値との対比を行うことにより該最大値又は積算値が相当量に足りるかあるいは満たないかを判断するセンサ出力判断手段と、このセンサ出力判断手段により前記最大値又は積算値が相当量に満たないと判断された場合に前記操舵角センサが異常である旨の判定をするセンサ出力異常判定手段と、によって構成されることを特徴とする。
一般に操舵角センサは、車両に搭載され、直進時と曲折(カーブ)時とで出力値を変化させることにより車両の操舵角を検出する。そして通常は、直進時のセンサ出力を一定値(例えば略「0」)に固定することにより曲折時のセンサ出力のみを見て操舵角を検出するようにしている。しかしながら、車両がカーブ路を通過する時に運転者がいつハンドル(ステアリングホイール)を切るかは運転者によって異なり、これを精度よく予測することは困難である。このため、操舵角センサが正常に反応しているか否かを判定する際、いつ操舵角センサの出力値をみればよいかという課題が生じた。この点、上記構成では、カーブ路走行期間(カーブ路走行中)のいかなるタイミングで運転者によりハンドルが切られようとも、操舵角センサの出力値(センサ出力の変化)は最大値又は積算値として残されるため、そのカーブ路走行期間後に操舵角センサが正常に反応したか否かを閾値に基づいて容易に判定することができる。すなわち、このような構成であれば、操舵角センサが正常に反応しているか否かを、高い精度で、しかも容易に検出することが可能になる。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の装置において、直進路とカーブ路との分岐点を前記車両が通過した際に該車両がその分岐点を直進したかあるいは直進せずにカーブ路を通過したかを判定する直進判定手段を備え、前記直進判定手段によりカーブ路を通過したと判定された場合には、前記センサ出力判断手段により前記判断を実行し、前記直進判定手段により直進したと判断された場合には、前記センサ出力判断手段により前記判断を実行しない、ことを特徴とする。
前記カーブ路走行検出手段によりカーブ路を検出する際にその検出対象たるカーブ路が直進路を含んだ分岐点(例えば十字路、三叉路、5進路以上の岐路、又は2手の別れ道等の分岐点)を経由して形成されるものである場合には、車両がその分岐点を通過するまで直進したかカーブ(曲折)したかが判然しない。そのため、分岐点を直進したにもかかわらずカーブした、あるいは逆にカーブしたにもかかわらず直進した、と誤って判断される懸念があった。この点、上記構成では、分岐点の通過後に前記直進判定手段によりその判定を行うことが可能になる。すなわちこれにより、カーブ路を通過したか否かの検出についてもこれを、より確実に行うことが可能になり、結果として、操舵角センサの異常診断についてもその誤判定の防止が図られるようになる。
請求項8に記載の発明では、請求項6又は7に記載の装置において、前記カーブ路走行検出手段が、前記車両の走行中の道路がカーブ路であるか否かを逐次判断することにより前記カーブ路走行期間を検出するものである、ことを特徴とする。
走行中の道路がカーブ路であるか否かを逐次判断していれば、直進路からカーブ路へ進入したタイミング、またその後、カーブ路から直進路へ抜けたタイミング、の両方を的確に検出することができる。したがって、こうした構成によれば、前記カーブ路走行期間を的確に検出することが可能になる。なお、走行中の道路がカーブ路であるか否かの判断は、例えばナビゲーションシステムの地理情報及び位置情報に基づき走行中の道路の曲率(曲がり度合)を検出することによって行うことができる。
請求項9に記載の発明では、請求項6〜8のいずれか一項に記載の装置において、前記カーブ路走行検出手段が、前記車両の進行方向にカーブ路を検出したことに基づいて前記カーブ路走行期間の開始タイミングを検出するものである、ことを特徴とする。こうした構成であれば、未走行の状態で進行方向にカーブ路が検出されることにより、同期間の開始タイミングが遅滞なく検出されるようになる。
請求項10に記載の発明では、請求項6〜9のいずれか一項に記載の装置において、前記センサ出力判断手段の対比に用いられる閾値を前記カーブ路走行期間の対象となるカーブ路の曲率(曲がり度合)の大小に応じて可変とする閾値可変手段を備える、ことを特徴とする。
通常、操舵角センサの出力値は、ステアリングの操舵量(操舵角)が大きくなるほど、すなわち運転者がハンドルを切れば切るほど大きくなる。そして、異常診断をより高い精度で行うためには、許容レベルを同一水準に保つべく、センサ出力(最大値又は積算値)の大小に基づきセンサの異常の有無を決める閾値も、その傾向に合わせて変えることが望ましい。この点、上記構成では、閾値可変手段によりカーブ路の曲率の大小に応じて閾値が可変とされることで、上記異常診断における許容レベルはカーブ路の曲率によらず適正に保たれるようになり、ひいては該異常診断をより高い精度で行うことが可能になる。
また、上記閾値と対比するセンサ出力としてカーブ路走行期間中の積算値を用いる場合には、カーブ路の長さの長短に応じて該閾値を可変とする手段を備える構成も有効である。
[第1の実施形態]
以下、本発明に係る操舵角センサの異常判定装置を具体化した第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、操舵角センサがエンジン制御に用いられる場合を例にとって、主に該操舵角センサの異常判定態様について説明する。
はじめに、図1を参照して、本実施形態に係る操舵角センサの異常判定装置が適用された車両制御システムの概略構成について説明する。
同図1に示されるように、このシステムにおいては、操舵角センサ21をはじめとする各種センサ、及びナビゲーションシステム22(いわゆるカーナビゲーション)からの信号が、エンジン制御用のECU(電子制御ユニット)10へ逐次入力されるようになっている。
ECU10は、基本的にはマイクロコンピュータを主体として構成されており、このマイクロコンピュータは、各種の演算を行うCPU(基本処理装置)11、メインメモリとしてのRAM12、電気的に書換可能な不揮発性メモリであるEEPROM13、及びROM(読み出し専用記憶装置)14等を備えている。そして、ROM14には、当該操舵角センサ21の異常判定プログラムを含めたエンジン制御に係る各種のプログラムが、またEEPROM13には、エンジンの設計データをはじめとする各種の制御データが、それぞれ予め格納されている。
また、このECU10は、外部と通信(信号の授受)を行うために入出力(I/O)ポートを、すなわち入力ポート回路15及び出力ポート回路16を備える。そして、入力ポート回路15には、車両に搭載される各種のセンサ及び装置からの信号、例えば操舵角センサ21、ナビゲーションシステム22、車輪速センサ23、及びエンジンの各種センサ24等からの信号が取り込まれるようになっている。一方、出力ポート回路16からは、同じく車両に搭載される、エンジンの各種アクチュエータ31、及び警報器32等へ信号が出力(送信)されるようになっている。
ここで、操舵角センサ21は、運転者により操作されるハンドル(ステアリングホイール)の操舵量(操舵角)を検出するものである。本実施形態では、等角度間隔のスリット及びセンタ検出用の切欠部の設けられた舵角センサディスクが、ステアリングホイールの回転軸にその中心を一致させるように取付けられ、このディスクと適宜の光センサ(例えばフォトカプラ)とが組み合わさることにより、操舵角センサ21が構成されている。
ナビゲーションシステム22は、測位計算や経路探索計算等の多様な情報処理、及び周辺装置との入出力(I/O)制御処理等の処理を実行するマイクロコンピュータを中心にして、操作入力装置、表示装置(ディスプレイ)、音声出力装置、地理情報の記憶された内部メモリ、GPS(Global Positioning System)受信機やVICS(Vehicle Information and Communication System)受信機等の受信装置、及び該受信装置に対応したアンテナ、等々を備えて構成されている。そして、上記GPSの測位機能による位置情報(車両の現在位置)、さらにはVICSや内部メモリによる地理情報及び交通情報等の諸情報が、図示しない出力ポート回路や表示装置を通じて、適宜にECU10やユーザ等へ出力されるようになっている。通常ユーザは、これらの情報に基づき車両の走行環境を的確に把握することが可能になり、こうしたナビゲーションシステム22の搭載された車両ではユーザが、同システム22の表示装置に表示されたマップを見て目的地への経路を探索したり、あるいは同システム22に経路を自動探索させたりすることにより、現在位置や経路を確認しつつ迷うことなく目的地へ到着することができるようになる。
車輪速センサ23は、車輪の回転速度を検出するものである。本実施形態では、こうした車輪速センサ23が車両の各車輪に設けられることにより、車輪1つ1つの回転速度が別々に検出されるようになっている。
エンジンの各種センサ24は、吸気圧センサ、吸気温センサ、排気温センサ、スロットルセンサ、冷却水温センサ、ノックセンサ、O2センサ(空燃比センサ)、クランク角度センサ等といったエンジン周りに配設されたセンサである。
また出力側の、エンジンの各種アクチュエータ31は、燃料噴射弁、点火装置、O2センサ用ヒータ、電子制御式スロットル弁等といったエンジン周りに配設されたアクチュエータである。警報器32は、例えば警告灯からなり、ECU10の指令に基づき、点灯、消灯、又は点滅する。
さらに、このECU10は、例えばCAN(Controller Area Network)によって構築された車内LANを介して、図示しないアンチロックブレーキシステム(ABS)制御装置や、自動変速機(AT)制御装置、トラクション(TRC)制御装置等と相互通信可能に接続され、これら電子制御装置との多重通信を用いた協調制御が可能とされている。例えば、このうちのABS制御装置は、CPUや適宜のメモリ等を備え、上記車輪速センサ23の出力値等に基づきブレーキ圧力を制御して制動時における車輪ロックの防止を図っている。
このシステムにおいては、ROM14に記憶された各種の制御プログラムがECU10により実行され、操舵角センサ21の出力値に基づいて操舵角の変化に起因した負荷変動を補償するようなエンジンの制御が行われる。具体的には、こうした負荷変動(エンジン運転状態の変化)に応じて、例えば燃料噴射弁の燃料噴射量や点火装置の点火時期等に関する周知の制御が実行されることになる。
また本実施形態では、操舵角センサ21のセンサ配線に断線や短絡等の異常が起きた場合にこれを早期に検出すべく、操舵角センサ21について異常の有無の判定を行うようにしている。具体的には、ナビゲーションシステム22の地理情報及び位置情報を参照しつつ車両のカーブ路走行期間を検出し、この期間内においてセンサ出力の最大値が閾値を超えない場合には、操舵角センサ21が異常である旨の判定をする。そしてこの判定も、基本的には、ECU10によりROM14に記憶されたプログラム(操舵角センサ異常判定プログラム)が実行されることによって行われる。以下、図2〜図6を併せ参照して、この操舵角センサ21の異常判定態様について詳述する。
図2は、本実施形態に係る操舵角センサ21の異常判定処理についてその処理手順を示すフローチャート、図3は、図2の処理中で実行されるカーブ路走行中判定の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、図2の一連の処理を逐次(例えば所定周期や所定クランク角ごとに)実行するようにする。また、これら各図の処理において用いられる各種パラメータの値は、例えばRAM12やEEPROM13等の記憶装置に随時記憶され、必要に応じて随時更新される。
同図2に示すように、この判定においては、まず、ステップS11で、図3のカーブ路走行中判定を実行する。
すなわち同図3に示すように、まずステップS21で、前回判定を実行した時にカーブ路走行中であったか否かを示すフラグFlag(カーブ路走行中)i-1を更新する。具体的には、図中に示すように、「Flag(カーブ路走行中)i-1=Flag(カーブ路走行中)i」の処理を実行する。なお、例えばバッテリ交換直後等における初の実行時においては前回実行時の値が存在しないため、同ステップS21ではフラグFlag(カーブ路走行中)i-1に対して初期値の設定等が行われることになる。
次に、ステップS22で、車両がカーブ路走行中であるか否かを、すなわち現在車両の走行している道路がカーブ路であるか否かを判定する。具体的には、ナビゲーションシステム22の位置情報及び地理情報、すなわち車両の走行環境情報に基づいて、走行中の道路の曲率半径を算出し、その算出された曲率半径が所定の判定値よりも小さい場合(走行中の道路の曲率半径<判定値)には、走行中の道路はカーブ路であると判定する。なお、図4にその一例を示すように、曲率半径は、曲線の曲がり度合を示すものであり、これが小さいほど曲線の曲がり度合は大きく、また大きいほど直線に近い。
そして、このステップS22で走行中の道路がカーブ路である旨の判定がなされた場合には、続くステップS221で、カーブ路走行中であるか否かを示すフラグFlag(カーブ路走行中)iに「1」を設定する。他方、ステップS22でカーブ路ではない旨の判定がなされた場合には、続くステップS222で、フラグFlag(カーブ路走行中)iに「0」を設定する。そして、いずれの判定がなされた場合にも、このフラグの設定処理をもって、図3の一連の処理は終了することになる。
次に、図2の処理に戻り、ステップS12で、「Flag(カーブ路走行中)i=1」の条件が満足されるか否かを判断する。そして、このステップS12で、同条件を満足しないと判断された場合には、車両は直進中であるとして、ステップS121に進み、同ステップS121で、「Flag(カーブ路走行中)i-1=1」の条件が満足されるか否かを判断する。このステップS121では、上記条件の成否に基づき、カーブ路から直進路に抜けたか、あるいはそれまでも直進していたか、が判断される。そして、車両がそれまでも直進していた場合には条件不成立となり、同図2の一連の処理が終了する。
他方、同ステップS12で上記条件が満足されると判断された場合には、車両はカーブ路走行中であるとして、ステップS13に進み、今度は「Flag(カーブ路走行中)i-1=0」の条件が満足されるか否かを判断する。そして、同ステップS13で上記条件が満足されると判断された場合には、車両が直進路からカーブ路へ進入したとして、すなわち今がカーブ路進入タイミングであるとして、ステップS14へ移行する。
ここからは、図5及び図6も併せ参照して説明する。なお、図5は、上記操舵角センサ21の異常判定についてその一態様(正常時(実線)及び異常時(一点鎖線)について各一態様)を示すタイミングチャートである。そして、同図5において、(a)は上記フラグFlag(カーブ路走行中)iを、(b)は操舵角センサ21の出力値(操舵角、単位はdeg)を、(c)はカーブ路走行期間における操舵角センサ21の出力の最大値(操舵角偏差、単位はdeg)を、それぞれ示している。また、図6は、図5中の各タイミングt1〜t5における車両の操舵角を視覚的に示す模式図である。
すなわち、カーブ路走行期間の開始タイミングt1(図5、図6)では、上記ステップS14(図2)の処理により、操舵角偏差がリセットされる(操舵角偏差=0)。そして、車両がカーブ路走行中にある期間(カーブ路走行期間)、すなわちタイミングt1〜t5の期間においては、図2のステップS11、さらにはステップS12を経て、先のステップS13で上記条件を満足しないと判断されることになる。したがってその後は、ステップS131において、この操舵角偏差に対し操舵角の最大値が設定(保持)され、車両がカーブ路を抜けるまで繰り返し同ステップS131で、操舵角偏差に対して操舵角の最大値が設定され続けることになる。
こうしてカーブ路走行期間に相当するタイミングt1からタイミングt5までの期間においては、図5中に実線で示されるように、操舵角の最大値が操舵角偏差に保持される。詳しくは、タイミングt2で操舵角が飽和して減少し始めても、それに伴い操舵角偏差が減少することはなく、操舵角偏差の値は最大値に維持される。そしてその後、タイミングt3で操舵角の値が先の飽和値を上回って増加し始めると、操舵角偏差も再び増加し出して、タイミングt4で操舵角が再度飽和すると、再び操舵角偏差の値は最大値に維持されることになる。
次いで、図5(及び図6)のタイミングt5で車両がカーブ路を抜けて、ステップS12で直進中と判断され、先のステップS121において上記条件を満足すると判断された場合には、ステップS15に進み、同ステップS15で、上記操舵角偏差、すなわちカーブ路走行期間におけるセンサ出力の最大値と、所定の判定値(閾値)と、を比較(対比)する。詳しくは、「操舵角偏差<判定値」の条件が満足されるか否かを判断し、同ステップS15で、この条件を満足する(操舵角偏差が判定値未満である)旨の判断がなされた場合には、車両がカーブ路を通過(走行)したにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に満たない(図5の一点鎖線参照)として、続くステップS151で、操舵角センサ21は異常である旨の判定をして、例えば警報器32を点灯する。
他方、同ステップS15で、上記条件を満たさない(操舵角偏差は判定値以上である)旨の判断がなされた場合には、車両がカーブ路を通過(走行)したことにより操舵角センサ21に正常な反応(相当量の出力変化)があった(図5の実線参照)として、続くステップS152で、同センサ21は正常である旨判定する。
上述のように、本実施形態では、図2の一連の処理が逐次(例えば所定周期や所定クランク角ごとに)行われることにより、車両がカーブ路へ進入したタイミングt1が検出されるとともに、その後カーブ路から直進路へ抜けたタイミングt5も検出され、ひいてはカーブ路走行期間(タイミングt1〜t5)が的確に検出されることになる。そして、この期間内におけるセンサ出力の最大値と判定値(閾値)との比較(対比)に基づいて操舵角センサ21の異常の有無が判定されることにより、操舵角センサ21の異常が早期に検出されることになる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)操舵角センサ21の異常の有無を判定する異常判定装置について、ナビゲーションシステム22の地理情報及び位置情報を参照しつつ車両がカーブ路走行中にあるカーブ路走行期間(図5のタイミングt1〜t5)を検出するカーブ路走行検出手段(ステップS11〜S13,S121の処理を実行するプログラム)と、該カーブ路走行期間内のセンサ出力の最大値を検出するセンサ出力検出手段(ステップS11〜S14,S131の処理を実行するプログラム)と、その最大値について所定の閾値との対比を行うことにより該最大値が相当量に足りるかあるいは満たないかを判断するセンサ出力判断手段(ステップS15の処理を実行するプログラム)と、その判断により上記最大値が相当量に満たないと判断された場合に操舵角センサ21が異常である旨の判定をするセンサ出力異常判定手段(ステップS151の処理を実行するプログラム)と、を搭載するようにした。これにより、ヨーレートセンサあるいはそれに準ずるセンサが車両に備え付けられていない車両構成でありながら、操舵角センサ21の異常の有無の判定(異常診断)は簡易に、しかも十分に高い精度で行われることになる。
(2)しかも、車両速度によらず高い精度で操舵角センサ21の異常の有無を判定することができる。
(3)カーブ路走行期間の最大値が閾値を超えない場合に操舵角センサ21は異常である旨の判定をするようにしたことで、カーブ路走行期間(カーブ路走行中)のいかなるタイミングで運転者によりハンドルが切られようとも、操舵角センサ21の出力値は最大値として保持され、カーブ路走行期間後に操舵角センサが正常に反応したか否かを閾値に基づいて容易に判定することができるようになる。
(4)カーブ路走行期間の検出を、車両の走行中の道路がカーブ路であるか否かを逐次判断することにより行うようにした。これにより、カーブ路走行期間を的確に検出することが可能になる。
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る操舵角センサの異常判定装置を具体化した第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に係る装置も、例えば先の図1に示したような車両制御システムに適用される。そして、そのシステムの構成は、本実施形態でも基本的には先の第1の実施形態で説明したものと同様のものになるため、ここではシステムの構成についての説明を割愛する。以下、本実施形態に係る操舵角センサの異常判定態様について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
すなわち本実施形態でも、ナビゲーションシステム22の地理情報及び位置情報を利用して車両のカーブ路走行期間を検出し、この期間内においてセンサ出力の最大値が閾値を超えない場合に操舵角センサ21が異常である旨の判定をすることは、第1の実施形態と同様である。ただし本実施形態では、図7に示すように、先の図2に示した一連の処理について、そのステップS121で条件不成立と判断された場合の処理として新たにステップS31〜S33,S331,S332の処理を設けることにより、車両の進行方向にカーブ路を検出したことに基づいて上記カーブ路走行期間の開始タイミングを検出するようにしている。さらに、ステップS15の処理(操舵角センサの異常診断)の前に、直進路とカーブ路との分岐点を車両が通過した際にナビゲーションシステム22の位置情報及び地理情報に基づいて車両がその分岐点を直進したかあるいは直進せずにカーブ路を通過したかを判定する処理(ステップS34)を設け、その判定結果に基づいて、車両がカーブ路を走行したことが検出されたにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に足りるか満たないかの判定(ステップS15)を行うか否かを決定するようにした。先の図1及び図2等と併せ図7〜図9を参照して、以下にこの異常判定態様をさらに詳しく説明する。
図7は、本実施形態に係る操舵角センサ21の異常判定処理について、第1の実施形態との相違点を主に示すフローチャート、図8は、図7の処理中で実行されるカーブ路進入判定の処理手順を示すフローチャートである。なお、この判定も、基本的には、ECU10によりROM14に記憶されたプログラム(操舵角センサ異常判定プログラム)が実行されることによって行われる。そして、この判定中に用いられる各種パラメータの値は、例えばRAM12やEEPROM13等の記憶装置に随時記憶され、必要に応じて随時更新される。
この判定においては、図2及び図7の一連の処理が逐次(例えば所定周期や所定クランク角ごとに)行われる。すなわち、直進中においては、ステップS121で「Flag(カーブ路走行中)i-1=1」の条件(フラグについては図3参照)を満足しないと判断され、図7に示すように、ステップS31で、図8のカーブ路進入判定を実行する。
すなわち同図8に示すように、まずステップS41で、前回判定を実行した時に車両の進行方向にカーブ路があったか否かを示すフラグFlag(カーブ路有)i-1を更新する。具体的には、図中に示すように、「Flag(カーブ路有)i-1=Flag(カーブ路有)i」の処理を実行する。なおこの場合も、例えばバッテリ交換直後等における初の実行時においては前回実行時の値が存在しないため、同ステップS41ではフラグFlag(カーブ路有)i-1に対して初期値の設定等が行われることになる。
次に、ステップS42で、車両の進行方向にカーブ路がある(存在する)か否かを判定する。具体的には、ナビゲーションシステム22の位置情報及び地理情報、すなわち車両の走行環境情報に基づいて、車両の進行方向にあって近い将来同車両が通過するであろう進路の曲率半径を算出する。そして、その算出された曲率半径が所定の判定値よりも小さい場合(進行方向の道路の曲率半径<判定値)には、その道路はカーブ路であると判断し、車両の進行方向にカーブ路がある(存在する)旨の判定をする。なお、複数路の分岐点(例えば十字路、三叉路、5進路以上の岐路、又は2手の別れ道等の交差点)においては、例えば図9に示すように、最も曲率半径の小さい進路についてカーブ路であるか否かの判断を行う。
そして、このステップS42で車両の進行方向にカーブ路がある旨の判定がなされた場合には、続くステップS421で、車両の進行方向にカーブ路があるか否かを示すフラグFlag(カーブ路有)iに「1」を設定する。他方、ステップS42で車両の進行方向にカーブ路がない旨の判定がなされた場合には、続くステップS422で、同フラグFlag(カーブ路有)iに「0」を設定する。そして、いずれの判定がなされた場合にも、このフラグの設定処理をもって、図8の一連の処理は終了することになる。
次に、図7の処理に戻り、ステップS32で、「Flag(カーブ路有)i=1」の条件が満足されるか否かを判断する。そして、このステップS32で、同条件を満足しないと判断された場合には、車両はまだ直進を続けるとして一連の処理を終了する。他方、同ステップS32で上記条件が満足されると判断された場合には、続くステップS33で、「Flag(カーブ路有)i-1=0」の条件が満足されるか否かを判断し、この条件を満足すると判断された場合には、近い将来車両はカーブ路に進入するとして、このタイミングをカーブ路走行期間の開始タイミングとみなし、続くステップS331で、操舵角偏差をリセットする(操舵角偏差=0)。すなわちこれにより、車両のカーブ路走行中にある期間(カーブ路走行期間)が開始する。
カーブ路走行期間においては、図7のステップS31,S32を経て、先のステップS33で上記条件を満足しないと判断されることになる。したがってその後は、ステップS332において、この操舵角偏差に対し操舵角の最大値が設定(保持)され、車両がカーブ路を抜けるまで繰り返し同ステップS332で、操舵角偏差に対して操舵角の最大値が設定され続けることになる。この保持の態様については、基本的には、先の第1の実施形態と同様である。
そして車両がカーブ路を抜けて、ステップS121において「Flag(カーブ路走行中)i-1=1」の条件を満足すると判断された場合には、ステップS34へ進み、同ステップS34で、車両が直進したか否かを判定する。詳しくは、例えば図10(a)に示されるように、ステップS42(図8)で検出されたカーブ路が直進路を含んだ分岐路(交差点)を経由して形成されるものである場合、その検出されたカーブ路を通過しても、車両自体は直進している可能性がある。このため、同ステップS34においては、ナビゲーションシステム22の位置情報及び地理情報(車両の走行環境情報)に基づき、例えば図10(b)に示すように車両が直進したのか、あるいは図10(c)に示すように直進せずにカーブ(曲折)したのかを判断する。なお、ステップS42(図8)で検出されたカーブ路が直進路を含んだ分岐路でない場合、このステップS34では、車両がカーブした(直進していない)旨判定する。そして、このステップS34で車両が直進した旨の判定がなされた場合には、異常診断を行わないまま一連の処理を終了する。他方、同ステップS34で車両がカーブした(直進していない)旨の判定がなされた場合には、第1の実施形態と同様に、ステップS15,S151,S152の処理を通じて、操舵角センサ21の異常の有無の判定(異常診断)を行う。
上述のように、本実施形態では、図2及び図7の一連の処理が逐次(例えば所定周期や所定クランク角ごとに)行われる。そして、車両の進行方向にカーブ路を検出することによりカーブ路走行期間の開始タイミング(カーブ路進入タイミング)が遅滞なく検出されることになる。また、この期間内におけるセンサ出力の最大値と判定値との比較(対比)に基づいて操舵角センサ21の異常の有無が判定されることにより操舵角センサ21の異常が早期に検出されることは、先の第1の実施形態と同様であり、各パラメータの推移も、基本的には、先の図5のタイミングチャートに準ずるものとなる。
以上詳述した本実施形態によれば、前記(1)〜(4)の効果と同様又は準ずる効果に加え、さらに以下の優れた効果が得られる。
(5)車両の進行方向にカーブ路を検出したことに基づいてカーブ路走行期間の開始タイミング(カーブ路進入時)を検出するようにした(ステップS31〜S33,S331,S332)。これにより、カーブ路走行期間の開始タイミングが遅滞なく的確に検出されるようになる。
(6)直進路とカーブ路との分岐点を車両が通過した際にナビゲーションシステム22の位置情報及び地理情報に基づいて車両がその分岐点を直進したかあるいは直進せずにカーブ路を通過したかを判定するプログラム(直進判定手段)を設け、その判定結果に基づいて、車両がカーブ路を走行したことが検出されたにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に足りるか満たないかの判定(ステップS15)を行うか否かを決定するようにした。このような構成によれば、カーブ路を通過したか否かの検出がより確実に行われるようになり、結果として、操舵角センサの異常診断についてもその誤判定の防止が図られるようになる。
[他の実施形態]
・上記第2の実施形態では、上記直進判定手段としてのプログラムにおいて、ナビゲーションシステム22の位置情報及び地理情報に基づいて車両がその分岐点を直進したかあるいは直進せずにカーブ路を通過したかを判定するようにした。しかしこれに限られず、例えば車両の速度等の運転状況に基づいてそれを判定するようにしてもよい。
・上記第2の実施形態では、車両の走行中の道路がカーブ路であるか否かを逐次判断することによりカーブ路走行期間を検出するにしたが、上記直進判定手段としてのプログラムを搭載した構成であれば、カーブ路走行期間の終了タイミング(カーブ路脱出時)の検出を、より簡易な処理で行うことも可能になる。例えばカーブ路走行中、ナビゲーションシステム22の位置情報及び地理情報を参照しつつ、車両の進行方向に直進路を検出したことに基づいて、カーブ路走行期間の終了タイミングを検出することもできる。
・上記各実施形態では、基本的に全てのカーブ路の走行時(通過時)において上記異常診断(ステップS15)を実行する装置を想定してその構成及び動作について言及したが、これに限られず、検出対象とするカーブ路を予め指定された指定カーブ路に限定することもできる。そしてこの場合は、例えば上記カーブ路の検出(例えば図8のステップS41)を、指定カーブ路の近隣エリア等だけで行うようにしてもよい。しかも、このようなカーブ路の指定は、従来普及している一般的なカーナビゲーションの機能を利用することにより容易に実現することができる。そして、こうした構成によれば、異常検出の効率化が図られるようになる。また、検出すべきカーブ路として判定を行いやすい場所を指定すれば、その判定ごとの誤判定の可能性を低く抑えることも可能である。さらに、例えば1本道からなるカーブ路のみを対象にして通過の監視を行う場合には、分岐点(交差点)等を考慮しなくて済むため、制御の簡素化を図ることも可能である。
カーブ路の指定の態様としては、操舵角センサ21の用途や仕様、あるいはユーザの好み等によって様々な方式を採用することができる。例えば図11(a)に示すように、ナビゲーションシステム22のマップ上から任意のカーブ路(例えば図中に破線で囲まれた3つのカーブ路)がユーザに選択されることにより指定カーブ路を指定するものが有効である。こうした方式であれば、ユーザは任意のカーブ路を自由に選択することができるようになる。あるいは図11(b)に示すように、ナビゲーションシステム22のマップ上に任意のエリア(例えば図中に一点鎖線で囲まれたエリアA)がユーザに指定されることにより、このエリアに含まれるか否かに基づいて指定カーブ路を指定するものも有効である。例えばこの図11(b)の場合は、エリアA内の破線で囲まれた5つのカーブ路が指定される。これにより、例えば近隣地域や通勤地域等のカーブ路を簡単に設定することができるようになる。また図11(c)に示すように、所定の条件(例えば道幅の大小)に基づいて自動的に指定カーブ路を指定するものも有効である。例えばこの図11(c)の場合は、所定の道幅以上のカーブ路(例えば図中に破線で囲まれた5つのカーブ路)が自動的に指定される。これにより、指定に係るユーザの手間が削減されることになる。
・曲率(曲がり度合)の大小は、半径だけでなく角度等を用いて表すこともできるため、曲率半径に代えてこうした角度等を用いるようにしてもよい。
・上記各実施の形態では、操舵角センサ21の異常診断に際し、カーブ路走行期間におけるセンサ出力の最大値(操舵角偏差)を判定値(閾値に相当)と比較するようにした。しかしこれに限らず、上記最大値に代えて、同カーブ路走行期間におけるセンサ出力の積算値(時間積分値)を用いるようにしてもよい。このような構成であっても、前記(3)の効果に準ずる効果は得ることができる。
また、最大値にも積算値にもよらず、カーブ路走行期間におけるセンサ出力の推移をグラフとして記録(保存)しておき、そのグラフの解析に基づいてセンサ出力に相当量の変化があったか否かを判定するようにしてもよい。要は、ナビゲーションシステムの地理情報及び位置情報を参照しつつ車両がカーブ路を走行したことを検出するプログラム(カーブ路走行検出手段)と、該プログラムにより車両がカーブ路を走行したことが検出されたにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に満たない場合に操舵角センサが異常である旨の判定をするプログラム(カーブ路異常判定手段)と、を備える構成であれば、前記(1)の効果に準ずる効果は得ることができる。
・異常診断に用いられる閾値(ステップS15)は、固定値である必要はない。例えば上記各実施の形態の装置について、該閾値をカーブ路走行期間の対象となるカーブ路の曲率の大小に応じて可変とするプログラム(閾値可変手段)を設けた構成も有益である。こうすることで、カーブ路の曲率によらず異常診断の許容レベルは適正に保たれるようになり、ひいては該異常診断がより高い精度で行われることになる。
また、該閾値をカーブ路の長さに応じて可変とすることもできる。該閾値と比較するセンサ出力としてカーブ路走行期間中の積算値を用いる場合は、カーブ路が長いほどカーブ路走行期間が長くなり、ひいてはセンサ出力(積算値)も大きくなるため、このような構成は積算値を用いる場合に適用して特に有効である。
・上記各実施の形態では、ナビゲーションシステムとしてカーナビゲーションを用いるようにしたが、これに代えて、例えば携帯型のナビゲーションや通信型のナビゲーション等も用いることができる。測位機能としてもGPS受信機に限らず、ビーコン受信機、移動体通信装置、放送受信機、等々を用いるようにしてもよい。また地理情報についてもこれは、別のコンピュータや適宜の記録媒体から随時ダウンロードしつつ用いることなども可能である。要は、車両の位置情報や車両周囲の地理情報を取得することができるものであれば、上記ナビゲーションシステムとして用いることができる。
・上記各実施の形態では、カーブ路走行の検出に際し、ナビゲーションシステム22の位置情報に加えて地図情報も利用する構成について言及したが、これに限られず、ナビゲーションシステム22の位置情報を参照しつつ車両の走行軌跡がカーブを描いたことを検出するプログラム(カーブ軌跡検出手段)と、このプログラムにより車両の走行軌跡がカーブを描いたと検出されたにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に満たない場合に操舵角センサ21が異常である旨の判定をするプログラム(カーブ軌跡判定手段)と、を搭載した構成であれば、地理情報によらず位置情報のみでも操舵角センサの異常診断は可能である。例えばヨーレートセンサの検出態様に準ずる態様でナビゲーションシステム22の位置情報を用いて、該位置情報から車両の挙動を逐次検出することにより、車両の走行軌跡がカーブを描いたか否かを監視し、この車両の挙動に基づいて、上記カーブ路走行期間に相当する期間を検出することができる。こうした構成では、地理情報によらず、位置情報のみを利用しているため、容易さがいっそう増すようになる。
・上記ナビゲーションシステムを用いた異常診断の各形態は、例えば上記特許文献1に記載されるようなヨーレートセンサによる異常診断とともに実施するようにしてもよい。このように、異なる態様の異常診断を行うようにすれば、判定精度を高めることが可能になる。またこの場合、前述したヨーレートセンサによる異常診断で誤判定が特に懸念される車両速度が遅いときだけに、上記ナビゲーションシステムによる各種の異常診断を行うことも有効である。
・異常診断の対象となる操舵角センサ21の構成は任意である。
・上記各実施の形態では、操舵角センサの用途の一例として、同センサをエンジン負荷の補正制御に利用した場合について説明したが、本発明に係る異常判定装置は、用途によらない多くの操舵角センサに対して同様に適用することができる。例えば操舵角センサがステアリング制御に用いられる場合であれ、基本的には、上記各実施の形態と同様の形態で適用することができる。
・上記各実施の形態では、当該操舵角センサの異常判定装置をエンジン制御用ECUに搭載するようにしたが、これはあくまで一例であって必須の条件ではない。例えばエンジン制御用ECUとは別にステリング制御用ECUを備える車両制御システムにおいては、当該装置をステリング制御用ECUに搭載するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、各種のソフトウェア(プログラム)を用いるようにしたが、専用回路等のハードウェアで同様の機能を実現するようにしてもよい。
・異常である旨の判定がなされた場合の処理(ステップS151)も任意であり、例えばセンサの故障に係るダイアグコードをEEPROM13等に記憶させる処理であってもよい。
本発明に係る操舵角センサの異常判定装置の、第1の実施形態について、該装置の搭載された電子制御装置(ECU)を中心に該装置の適用された車両制御システムの概略を示す構成図。 第1の実施形態に係る異常判定処理の処理手順を示すフローチャート。 図2中のカーブ路走行中判定の処理手順を示すフローチャート。 曲率半径の一例を示す模式図。 (a)〜(c)は、それぞれ上記第1の実施形態に係る異常判定の一態様を示すタイミングチャート。 図5中の各タイミングにおける車両の操舵角を示す模式図。 本発明に係る操舵角センサの異常判定装置の、第2の実施形態について、該装置による異常判定処理の処理手順を示すフローチャート。 図7中のカーブ路進入判定の処理手順を示すフローチャート。 交差点における曲率半径の算出態様の一例を示す模式図。 (a)〜(c)は、それぞれ上記第2の実施形態に係る異常判定態様を示す模式図。 本発明に係る操舵角センサの異常判定装置の、他の実施形態について、(a)〜(c)は、それぞれカーブ路の指定方式の一例を示す模式図。
符号の説明
10…ECU(電子制御ユニット)、11…CPU(基本処理装置)、12…RAM、13…EEPROM、14…ROM、21…操舵角センサ、22…ナビゲーションシステム、32…警報器。

Claims (11)

  1. 車両の操舵角を検出する操舵角センサの異常の有無を判定する操舵角センサの異常判定装置において、
    ナビゲーションシステムの地理情報及び位置情報を参照しつつ前記車両がカーブ路を走行したことを検出するカーブ路走行検出手段と、
    前記カーブ路走行検出手段により車両がカーブ路を走行したことが検出されたにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に満たない場合に前記操舵角センサが異常である旨の判定をするカーブ路異常判定手段と、
    を備えることを特徴とする操舵角センサの異常判定装置。
  2. 前記カーブ路走行検出手段の検出対象となるカーブ路は、予め指定された指定カーブ路である請求項1に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  3. 前記指定カーブ路は、前記ナビゲーションシステムのマップ上から、1乃至複数の任意のカーブ路がユーザに選択されることにより指定されるものである請求項2に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  4. 前記指定カーブ路は、前記ナビゲーションシステムのマップ上に1乃至複数の任意のエリアがユーザに指定されることにより、このエリアに含まれるか否かに基づいて指定されるものである請求項2に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  5. 前記指定カーブ路は、所定の条件に基づいて自動的に指定されるものである請求項2に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  6. 前記カーブ路走行検出手段は、ナビゲーションシステムの地理情報及び位置情報を参照しつつ、前記車両がカーブ路走行中にあるカーブ路走行期間を検出するものであり、
    前記カーブ路異常判定手段は、
    該カーブ路走行検出手段により検出されたカーブ路走行期間についてその期間内のセンサ出力の最大値又は積算値を検出するセンサ出力検出手段と、
    前記センサ出力検出手段により検出された最大値又は積算値について所定の閾値との対比を行うことにより該最大値又は積算値が相当量に足りるかあるいは満たないかを判断するセンサ出力判断手段と、
    前記センサ出力判断手段により前記最大値又は積算値が相当量に満たないと判断された場合に前記操舵角センサが異常である旨の判定をするセンサ出力異常判定手段と、
    によって構成される請求項1〜5のいずれか一項に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  7. 直進路とカーブ路との分岐点を前記車両が通過した際に該車両がその分岐点を直進したかあるいは直進せずにカーブ路を通過したかを判定する直進判定手段を備え、
    前記直進判定手段によりカーブ路を通過したと判定された場合には、前記センサ出力判断手段により前記判断を実行し、前記直進判定手段により直進したと判断された場合には、前記センサ出力判断手段により前記判断を実行しない請求項6に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  8. 前記カーブ路走行検出手段は、前記車両の走行中の道路がカーブ路であるか否かを逐次判断することにより前記カーブ路走行期間を検出するものである請求項6又は7に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  9. 前記カーブ路走行検出手段は、前記車両の進行方向にカーブ路を検出したことに基づいて前記カーブ路走行期間の開始タイミングを検出するものである請求項6〜8のいずれか一項に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  10. 前記センサ出力判断手段の対比に用いられる閾値を前記カーブ路走行期間の対象となるカーブ路の曲率の大小に応じて可変とする閾値可変手段を備える請求項6〜9のいずれか一項に記載の操舵角センサの異常判定装置。
  11. 車両の操舵角を検出する操舵角センサの異常の有無を判定する操舵角センサの異常判定装置において、
    ナビゲーションシステムの位置情報を参照しつつ前記車両の走行軌跡がカーブを描いたことを検出するカーブ軌跡検出手段と、
    前記カーブ軌跡検出手段により車両の走行軌跡がカーブを描いたと検出されたにもかかわらずセンサ出力の変化が相当量に満たない場合に前記操舵角センサが異常である旨の判定をするカーブ軌跡判定手段と、
    を備えることを特徴とする操舵角センサの異常判定装置。
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