JP2007321756A - タービンエンジンおよびその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、熱力学的にサイクル効率が改良されたパルスデトネーションエンジンを備えるターボファンエンジンを提供する。
【解決手段】本発明のターボファンエンジン20は、ファン32と、複数の圧縮機/タービンユニット38からなる周方向の列と、複数の燃焼器41からなる周方向の列と、タービンセクション42と、を備える。タービンセクション42は、燃焼器セクション40の前側かつタービンセクション42を通る前方への流れに沿って配置し、タービンセクション42のブレード段は、シャフト34のファンと共軸を有する。複数の燃焼器41の各々は、空気を受けて燃焼ガスを送るように、複数の圧縮機/タービンユニット38の各々に接続され、膨張した燃焼ガスの一部によって上記タービンを回転させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンに関し、特に、ハイブリッド型パルス燃焼タービンエンジンに関する。米国政府は、米国空軍による契約書F33615−95−C−2503の下、本発明の所定の権利を有する。
従来のガスタービンエンジンにおいては、継続的に、ほぼ定圧状態で、燃焼させる(ブレイトンサイクル)。今日のガスタービンエンジンの燃焼器も比較的効率的であるが、時間平均の圧力をより高くして燃焼させることによる、サイクル効率の熱力学的な利益によって、燃焼が改良されることとなる。
タービンエンジンの燃焼器に、ほぼ定量で燃焼されるパルスデトネーションエンジン(PDE,pulse detonation engine)のより効率的な燃焼器を用いることによって、熱力学的効率を改善することが提案されてきた。一般的なパルスデトネーションエンジンは、燃料および酸化剤(例えば、空気などの酸素含有気体)が、上流の入口端部から、通常、混合気として入口バルブを通り、細長の燃焼器チャンバに入る。このようにチャージされた後、バルブが閉じられ、イグナイタを用いてチャージされた混合気をデトネーション(爆発)させる(直接または、通常の燃焼(deflagration)からデトネーションへの移行現象を介する)。混合気が出口から実質的に放出される前に、デトネーション波が超音速で出口に向かって伝播され、燃料/空気混合気の実質的な燃焼が起こる。燃焼の結果、実質的なガスが慣性に従って出口から出る前に、チャンバ内の圧力が急上昇する。この慣性閉じ込め効果によって、ほぼ定量で燃焼が起こる。
例えば、特許文献1は、従来の燃焼器を備えたエンジンの推力補助装置として、PDE技術を利用した燃焼器を開示している。他のパルス式燃焼器は、特許文献2および特許文献3に記載されている。
米国特許第6,442,930号 米国特許第6,886,325号 米国特許第6,901,738号
本発明の1つの側面は、軸を有するケースを備えるタービンエンジンに関する。ファンが、軸に関して回転可能に取り付けられる。このファンを軸に関して回転させるように、タービンが、ファンに機械的に取り付けられる。複数の圧縮機/タービンユニットが、コア流路に沿ってファンの下流かつタービンの上流にある。複数の燃焼器は、タービンを駆動するために、空気を受けて燃焼ガスを送るように、複数の圧縮機/タービンユニットに接続される。
一実施例においては、圧縮機/タービンユニットは、タービンが結合シャフトによってインペラを同軸で駆動する、遠心圧縮機/ラジアルタービンユニットでも良い。複数の圧縮機/タービンユニットが周方向に列をなし、また複数の燃焼器が周方向に列をなしていても良い。圧縮機/タービンユニットの各々は、複数の燃焼器1つと個々に対応しており、逆に、複数の燃焼器の各々は、複数の圧縮機/タービンユニットの1つと個々に対応している。圧縮機/タービンユニットは、圧縮機/タービンユニットの圧縮機が対応する燃焼器に空気を送り、圧縮機/タービンユニットのタービンが上記対応する燃焼器より燃焼ガスを受けるように、圧縮機/タービンユニットを燃焼器に接続することができる。上記タービンは、圧縮機/タービンユニット全てから燃焼ガスを受ける軸流タービンでも良い。この軸流タービンは、ファンと共通のスプール(co−spooled)となっている。少なくとも8つの圧縮機/タービンユニットおよび少なくとも8つの燃焼器を備えることができる。燃焼器は、回転しなくても良い。
本発明の他の側面は、タービンエンジンの運転方法に関する。空気は、ファンから複数の圧縮機/タービンユニットへと送られる。この空気は、圧縮機/タービンユニットで圧縮される。この空気は、複数の燃焼器に送られる。この空気は、燃焼ガスを生成するように、燃焼器で燃料と燃焼される(燃焼ステップ)。圧縮機/タービンユニットにおける燃焼ガスから、圧縮機を駆動するように、仕事が抽出される。燃焼ガスは、圧縮機/タービンユニットからタービンへと送られる。ファンを回転するように、燃焼ガスから仕事が抽出される。
一実施例においては、タービンからの燃焼ガスは、ファンからのバイパス空気流と合流するように送られる。燃焼器に送られる空気流と、バイパス空気流と、の流量比は、1:1〜1:3の間とすることができる。上記燃焼ステップは、パルス式燃焼でもよい。上記燃焼ステップは、デトネーション(爆発)を含んでもよい。上記燃焼ステップは、燃焼器の1つを、他の燃焼器と互いに位相をずらして運転することができる。また、このような方法は、航空機用の推進に用いることができる。
図1は、中心の長手方向の軸500、ケース22およびコア24を備えるターボファンエンジン20を示す。このケース22は、上流入口28から下流出口30へと延在するダクトを画定する。入口空気流510は、ダクトに入り、ファン32は、ダクト中のバイパス流路に沿ってバイパス流512を、ならびにコア流路に沿ってコア流514を各々流す。例示的なファン32は、2つのブレード段と、その間に挿入された2つのベーン段を備える。ブレード段は、シャフト34で保持される。
下記で示されるように、例示的なエンジン20は、複数の圧縮機/タービンユニット38からなる周方向の列、燃焼器セクション40(例えば、複数の燃焼器41からなる周方向の列)、およびタービンセクション42を備える。他のコンポーネント(例えば、オーグメンタおよび排気ノズル)も示す。図2は、例示的な圧縮機/タービンユニット38および燃焼器41の例示的な詳細配置を示す。
コア空気流514は、ダクト44によって、圧縮機/タービンユニット38の各々の圧縮機セクション50(例えば、遠心圧縮機)に向かう分岐部へと分けられる。圧縮機セクション50のインペラの回転は、対応するユニット38のタービンセクション52(例えば、ラジアルタービン)のタービンによって、駆動力を得る。これらのユニット38は、流れ514を、燃焼器40に向かう圧縮流516に圧縮する。燃焼器セクション40においては、圧縮空気は、燃料流518と混合され、燃焼ガス520を形成するように燃焼される。この燃焼ガス520は、タービンセクション52のタービンに送られ、ここで、流れ514を圧縮する仕事が抽出するように、燃焼ガスは、部分的に膨張する。
部分的に膨張した燃焼ガス流522は、ユニット38からタービンセクション42に送られる。例えば、複数の圧縮機/タービンユニット38のタービンセクション52は、タービンセクション42の上流の入口端部に接続する共用の放出用マニホールド60に接続することができる。流れ522が、タービンセクション42を通過する際、さらに膨張し、流れ524として放出される。この例示的な流れ524は、バイパス流512と合流して混合流526を形成するように、マニホールドダクト62を介して送られる。この混合流は、出口30から完全に放出される。
図1の例示的なエンジンにおいて、タービンセクション42のブレード段は、シャフト34のファンと共通のスプールとなっている。タービンセクション42を、燃焼器セクション40の前側、かつこのタービンセクション42を通る概ね前方への流れに沿って配置することで、シャフト34の短縮化および長手方向にエンジンを小型化するのに役立つ。さらに、このような配置によって、出口から曝露するタービンセクション42の移動する高温の表面を、視野(line‐of‐sight)から隠すことができる。このことは、レーダー反射や赤外線信号などで発見されにくい特性(low observability properties)という点で有利である。
図1は、例示的な燃焼器セクション40のさらなる詳細を示す。図1は、外側部材82内にある内側部材80を示す。空気流516は、対応する管路84を通り、内側部材と外側部材との間にある容量つまり空間86に受けられる。内側部材80(燃焼器41の各々に1つずつある)は、周方向の列をなしていてもよい。一実施例においては、外側部材82は、内側部材の全てまたは2つ以上を含む単一の外側部材であってもよい(例えば、単一の環状の外側部材)。他の実施例においては、外側部材82の各々が、対応する1つの内側部材80を含むとともに、周方向に配列されていても良い。
例示的な内側部材80は、後側の端部90および前側の端部92を備える。この例示的な内側部材80は、後側の端部90から前側へと拡大する第1の切頭円錐形の壁部94を有する。この壁部94は、空気が流入できるように孔を有する。例示的な燃焼器においては、燃料噴射器100が、燃料流518を導入するように後側の端部に配置される。イグナイタ102(例えばスパークプラグ)が、燃料空気混合気に点火し燃焼が生じるように配置される。壁部94の拡大は、燃焼からデトネーションへの移行を促進する。
例示的な内側部材80は、壁部94の前側にある第2の壁部110を有する。この第2の壁部110の下流に、収束壁部112がある。出口管路114が、内側部材80を対応するタービンセクション52に接続する。燃焼器を、少なくともタービンセクション52と各々接続することによって、各燃焼器の放出端部同士の間での漏れ(crosstalk)を回避する。このことは、位相をずらして燃焼を行う際に、ある燃焼器から放出された燃焼ガスが他の燃焼器に吸い込まれないようにするために重要である。
入口を分離することは重要ではない。従って、共用の外側部材82が、共用の入口プレナムを形成してもよい。さらに、他の実施例においては、各燃焼器は、1つの圧縮機/タービンユニット38の圧縮機セクション50から空気を受けるように接続され、他のユニットのタービンセクション52にガスを放出できる。
図3は、タービンセクション42´をファンに結合させる長いシャフト34´の場合の代替の構成を示している。例示的なタービンセクション42´は、燃焼器セクションの後側にあり、圧縮機/タービンユニットの列から、燃焼ガスを燃焼器の概ね後側かつ半径方向内側に送るマニホールド150´を通して、燃焼ガスを受ける。放出された燃焼ガスは、バイパス空気と下流で混合される。
燃焼器の各々からのパルス状の圧力の影響は、互いに位相をずらす運転によって最小化される。例示的な点火周期は、約50〜300Hzであり、エンジンの規模/寸法によって相当に変動し、燃焼器セクションの形状および容量に影響を与えることとなる。振動を制限するように、向かい合った燃焼器同士の組み合わせで点火させるなど、種々の位相を組み合わせることが可能である。例示的なファンの回転速度は、2000〜20000回転/分(RPM)、より狭くは、6000〜12000RPMである。例示的な圧縮機/タービンユニット38の回転速度は、5000〜50000RPM、より狭くは、定常状態の条件下の約6000〜12000RPMのファン回転速度に対して、20000〜35000RPMである。
なお、多種の変形が可能である。例えば、燃焼器は、形状、位置、方向などの各種形態を取りうる。図4は、8つの燃焼器が2つの群に分けられ、エンジンの右側と左側にまとめて配置される例示的な構成例を示す。これによって、幅広だが高さの低い構造体となり、(例えば、戦闘機、無人の航空機またはミサイルなど)航空機の機体に積載する点で有利となる。
本発明の1つまたは複数の実施例を記載したが、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、種々の変形を成し得ることを理解されたい。例えば、特定の用途の詳細は、燃焼器の構成に影響を及ぼし得る。燃焼器の各種特徴部は、タービンまたは圧縮機の特徴部を全体的に、または部分的に組み込むことができる。従来のタービンエンジンを再設計して適用する場合は、従来のエンジンの細部を、本発明の細部として実施できる。回転する燃焼器は、タービンエンジンを超えて、適用することもできる。
ターボファンエンジンの長手方向の概略的断面図の一部。 図1のエンジンの切欠図。 他の実施例の長手方向の概略的断面図の一部。 第2の実施例の概略的正面図。
符号の説明
20…ターボファンエンジン
32…ファン
34…シャフト
38…圧縮機/タービンユニット
40…燃焼器セクション
41…燃焼器
42…タービン
50…ユニット38の圧縮機セクション
52…ユニット38のタービンセクション

Claims (21)

  1. 軸を有するケースと、
    この軸に関して回転可能に取り付けられたファンと、
    上記軸に関して上記ファンを回転駆動するように、上記ファンに機械的に取り付けられたタービンと、
    コア流路に沿って上記ファンの下流でかつ上記タービンの上流にある複数の圧縮機/タービンユニットと、
    上記タービンを駆動するために空気を受けて燃焼ガスを送るように、上記複数の圧縮機/タービンユニットに接続された複数の燃焼器と、
    を備えることを特徴とするタービンエンジン。
  2. 上記複数の圧縮機/タービンユニットの各々が、遠心圧縮機セクションと、この遠心圧縮機セクションと共軸のラジアルタービンセクションと、を有することを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン。
  3. 上記複数の圧縮機/タービンユニットの各々が、軸方向の入口および半径方向の出口を有する圧縮機セクションと、半径方向の入口および軸方向の出口を有する、上記圧縮セクションと共軸のタービンセクションを備えることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン。
  4. 上記複数の圧縮機/タービンユニットが、周方向の列をなし、
    上記複数の燃焼器が、周方向の列をなす
    ことを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン。
  5. 上記複数の圧縮機/タービンユニットの各々が、上記複数の燃焼器の1つと互いに個々に対応しており、
    上記圧縮機/タービンユニットの圧縮機が、対応する燃焼器に空気を送り、
    上記圧縮機/タービンユニットのタービンが、上記対応する燃焼器から上記燃焼ガスを受けるように、互いに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン。
  6. 上記タービンが軸流タービンであり、上記複数の圧縮機/タービンユニットの全てから上記燃焼ガスを受けることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン。
  7. 上記軸流タービンが、上記ファンと共通のスプールとなっていることを特徴とする請求項6に記載のタービンエンジン。
  8. 少なくとも8つの上記圧縮機/タービンユニットおよび少なくとも8つの上記燃焼器を備えることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン。
  9. 上記燃焼器が回転しないように構成された請求項1に記載のタービンエンジン。
  10. 上記複数の燃焼器の各々が、
    外側壁と、
    この外側壁内の内側壁と、
    上記圧縮機/タービンユニットの対応する少なくとも1つから空気を受けるように接続された、上記内側壁と上記外側壁との間の空間と、
    燃料を上記空気に導入するように配置された燃料噴射器と、
    上記圧縮機/タービンユニットの対応する少なくとも1つに、燃焼ガスを送るように接続された、上記内側壁内の空間と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン。
  11. 上記複数の圧縮機/タービンユニットへの上記燃焼ガスの流れが、上記ファンに向かって軸方向に流れることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン。
  12. ファンから、複数の圧縮機/タービンユニットへ空気を送るステップと、
    上記複数の圧縮機/タービンユニット内で上記空気を圧縮する圧縮ステップと、
    上記空気を複数の燃焼器に送るステップと、
    燃焼ガスを生成するように、上記燃焼器内で燃料と上記空気を燃焼する燃焼ステップと、
    上記圧縮ステップを駆動するように、上記圧縮機/タービンユニット内で上記燃焼ガスから仕事を抽出する第1の仕事抽出ステップと、
    上記圧縮機/タービンユニットからタービンへと上記燃焼ガスを送るステップと、
    上記ファンを回転させるように、上記タービン内で上記燃焼ガスから仕事を抽出する第2の仕事抽出ステップと、
    を備えることを特徴とするタービンエンジンの運転方法。
  13. 上記圧縮ステップが、遠心圧縮であり、
    上記第1の仕事抽出ステップが、上記圧縮機/タービンユニットの軸に対して半径方向内側に上記燃焼ガスを送ることを含む
    ことを特徴とする請求項12に記載のタービンエンジンの運転方法。
  14. 上記ファンからの空気のバイパス流と合流するように、上記タービンからの上記燃焼ガスを送ることを特徴とする請求項12に記載のタービンエンジンの運転方法。
  15. 上記燃焼器に送られる空気流とバイパス流との流量比が、1:1〜1:3であることを特徴とする請求項14に記載のタービンエンジンの運転方法。
  16. 上記燃焼ステップが、パルス式燃焼であることを特徴とする請求項12に記載のタービンエンジンの運転方法。
  17. 上記燃焼ステップが、デトネーションを含むことを特徴とする請求項16に記載のタービンエンジンの運転方法。
  18. 上記燃焼器の各々における上記パルス式燃焼が、50〜300Hzの周波数を有することを特徴とする請求項16に記載のタービンエンジンの運転方法。
  19. 上記燃焼ステップが、燃焼器の1つを他の燃焼器と互いに位相をずらして各々運転することを特徴とする請求項16に記載のタービンエンジンの運転方法。
  20. 航空機の推進に用いられることを特徴とする請求項12に記載のタービンエンジンの運転方法。
  21. 上記圧縮機/タービンユニットが、少なくとも20000RPMの速度で運転され、
    上記ファンが、6000〜12000RPMの速度で回転する
    ことを特徴とする請求項12に記載のタービンエンジンの運転方法。
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