JP2007319828A - 混合器及び反応装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】充分な生産速度を得ることができ、かつ反応を連続的に行って生産システムを自動化することができるような混合器を提供する。
【解決手段】この混合器は、連続処理を行う反応システムにおいて用いる混合器である。これは、ほぼ回転対称形状の混合空間14を形成する容器16と、混合空間に2種以上の異なる流体を供給する導入流路20と、混合空間14の軸線上に開口する導出流路22と、混合空間14において混合空間の回転対称軸まわりに回転する周方向外周部に凹凸を有する撹拌子18と、撹拌子18を駆動する駆動機構28とを有する。導出流路22の開口部とこれに対向する撹拌子18の表面の間に、未撹拌の流体が短絡的に流出するのを防止する狭隘部Gが形成されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、化学反応、特に有機化学合成を連続的に行うのに好適な混合器および反応装置に関する。
例えば、有機溶媒の溶解した原料と水溶性原料とを反応させて有機化学合成を行う場合、2つの原料が反応するのは2つの溶媒の界面である。従って、界面までの原料分子の移動が反応の律速段階となる、いわゆる拡散律速反応となる。このような反応を促進する手段として、界面間の距離を反応容器の寸法によって制約するのが、スタティックミキサあるいはマイクロチャンネルチップと呼ばれる反応装置である。このようなマイクロチャンネルチップは、温度制御も容易で、歩留まりは良いが、微量の処理をするので、量産手段としては適していない。
一方、ダイナミックミキサによって液を強制撹拌し、2つの液をエマルジョン化した状態を形成し、界面比の増大と拡散距離の低下によって反応を進行させる方法も、従来から知られている。例えば、容器に原料を投入し、攪拌翼によってこれを所定時間混合させるようにするバッチ式プロセスが有る。しかしながら、バッチ処理では所望の生成物を得るために比較的大きな容器を使用することになり、十分な撹拌混合を得られず、また詳細な温度条件の設定も難しいので、歩留まりが低下する。
そこで、連続して流体を流通させる比較的小型の容器中で撹拌子を回転させる連続式処理装置の採用が考えられる。特許文献1には、ブレードを有する撹拌子を用いる混合器が開示され、特許文献2には、棒状の撹拌子を用いる混合器が開示されている。しかしながら、特許文献1の混合器では、撹拌子が全体として円盤状であり、流体をダイナミックに対流させる作用が小さくて混合効果が不十分となる。一方、特許文献2では、棒状の撹拌子による一定の対流混合効果は得られるが、導入口から導出口へショートサーキットする流れが発生し、これが混合効果を低下させる可能性が有る。
特開平1−262936号公報 特開2001−9254号公報
この発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、所定の容積を持つ混合器内で、相互に混合しにくい液体を強制的な混合によってエマルジョン化して化学反応させ、充分な生産速度を得ることができるととも、反応効率を向上させて高い歩留まりを得ることができるような混合器及び反応装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の混合器は、連続処理を行う反応システムにおいて用いる混合器であって、ほぼ回転対称形状の混合空間を形成する容器と、前記混合空間に2種以上の異なる流体を供給する導入流路と、前記混合空間の軸線上に開口する導出流路と、前記混合空間において混合空間の回転対称軸まわりに回転する周方向外周部に凹凸を有する撹拌子と、該撹拌子を駆動する駆動機構とを有し、前記導出流路の開口部とこれに対向する前記撹拌子の表面の間に、未撹拌の流体が短絡的に流出するのを防止する狭隘部が形成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明においては、周方向外周部に凹凸を有する撹拌子が混合空間内で回転すると、撹拌子の凸部が混合空間の外周部近傍を出入りし、これによりこの部分の流体が強制対流させられ、強い撹拌混合作用を得られる。また、導出流路の開口部とこれに対向する撹拌子の表面の間に狭隘部が形成されているので、混合器内に準密閉空間が形成され、未撹拌の流体が短絡的に流出するのが防止される。撹拌子は、回転軸線に直交する方向に棒状又は放射状に延びる形状となる。
なお、狭隘部の寸法、すなわち、撹拌子の高さと混合空間の高さとの差は、2.0mm以下、より好ましくは、1.0mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下である。また、対流混合を効果的に行うためには、回転体体積/混合室容積の体積比10〜80%、より好ましくは40〜60%、さらに好ましくは70〜90%とする。
また、容器は、容器本体と蓋部とを有する構造とし、内部の洗浄やメンテナンスを容易とすることが望ましい。また、駆動機構は、撹拌子を遠隔的に駆動するものが良く、これにより、駆動系からの汚染物の進入が防止される。
請求項2に記載の混合器は、請求項1に記載の発明において、前記回転対称軸はほぼ垂直であり、前記導出流路は混合空間から上方に向かって導出していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、導出流路が混合空間から上方に向かって導出しているので、全体の流れが下から上に向かうため、2つの導入流体に比重差が有る場合でも、重力による偏りが起きにくい。
請求項3に記載の混合器は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発明において、前記導入流路は、前記混合空間の外周面に開口していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明においては、導入流路が混合空間の外周面に開口しているので、導入された流体が撹拌子の外周部によって剪断されて、迅速な撹拌作用を受ける。
請求項4に記載の混合器は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記撹拌子の前記表面には、前記導出流路の開口部に向けて突出する突起が形成され、これにより前記狭隘部が導出流路に向けて延長して形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の反応装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の混合器と、これに原料流体を供給する供給源と、前記混合器における反応生成物を回収する回収容器とを有することを特徴とする。
請求項1ないし請求項4に記載の混合器によれば、短絡的な流出を防止しつつ、撹拌子による強い対流撹拌作用により、充分な混合作用を得ることができる。
請求項5に記載の反応装置によれば、混合器の高い混合作用により、品質の良い反応生成物を生産性良く得ることができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態では、混合によって反応を起こさせて、生成物を得ることを目的とするので、混合器は同時に反応器であり、混合システムは反応システムである。
図1は、この発明の第1の実施の形態の混合器であって、ベース部(容器本体)10及びこれを覆うカバー部(蓋部)12によって内部に混合空間14が形成された混合容器16が構成されており、混合空間14内には撹拌子18が設けられている。混合空間14は垂直軸線回りに回転対称に形成され、この実施の形態ではやや扁平な筒状の空間である。ベース部10には、外周面側に軸線を挟んで対向する位置に開口する2つの導入流路20が設けられ、カバー部12にはほぼ中心軸線上に開口する導出流路22が設けられ、それぞれの外端部には継手24が設けられて、流体を供給または排出するチューブ26を取り付けることができるようになっている。カバー部12とベース部10は、処理に必要なシール構造を備えており、また、簡便な開閉機構によってメンテナンス等が簡単にできるようになっている。この混合器は、継手24とチューブ26で流体供給源や他の混合器その他と簡単に接続することができるので、処理システムの組立、保守、あるいは設計変更等が容易に行える。
混合空間14の大きさを小さくすれば、混合空間内の流体の容積に対する表面積の比率が大きくなるため、容器内流体の温度制御や流体混合が促進される効果が得られる。混合空間14の代表寸法(内径)Dは、200mm以下、より好ましくは100mm以下、さらに好ましくは10mm以下であることが望ましい。
撹拌子18は、この実施の形態では、混合空間14の軸線に直交する方向に延びる部材であり、混合容器16の下側に設置された駆動機構28によって、混合空間14の軸線回りに強制回転駆動される。この駆動機構28は、モータ30によって永久磁石32が搭載されている円盤34を回転させることにより、撹拌子18を遠隔的に回転させるもので、電源装置36とコントローラ38が設けられている。コントローラ38は、目的とする化学反応に対し、生成物を高収率で得るために最適となるようにモータ30の回転数の調整を行う。この実施の形態では、撹拌子18は中央部が膨らんだ柱状で、いわゆるカプセル状であるが、軸回りに完全な回転体である必要はなく、高さhと幅wが異なる扁平な形状であってもよい。なお、回転数を時間的に変動もしくは、正逆転させることにより、容器内の流体の混合を促進することもできる。
撹拌子18の材質は、磁性体もしくは金属にテトラフルオロエチレン重合体やセラミック、ガラスをはじめとする耐有機系流体の特性を有する材料をコーティングしたものを使用する。勿論、撹拌子18自身を耐有機系流体の特性を有する材料で形成してもよい。撹拌子18の形状や寸法は、混合空間14の形状、寸法に合わせて設定される。すなわち、撹拌子18と混合空間14の間に形成される隙間は、導入した被混合流体が通過する流路であり、かつ、撹拌子18が回転することによって形成される旋回流によって撹拌混合がなされる空間である。導入流路20から導出流路22に至る流路において流体が滞留したり、他の流体と混合する機会が無いまま導出したりすることが無いように設定される。
特に、撹拌子18と混合空間の天井壁の間の隙間は、導入流路20から導出流路22に至る間の流路において一番狭い部分である狭隘部Gを形成している。これは、導出流路22の開口部と、これに対向する撹拌子18の表面の間に形成される。厳密には、図2(c)に示すように、狭隘部Gは導出流路22の開口部の角と撹拌子18の表面の間に形成されるが、導出流路22の内径は小さいので、狭隘部Gの最小寸法は混合空間14の高さHと撹拌子18の高さhの差にほぼ等しい。なお、これは撹拌子18が静止している状態の場合であって、回転時には撹拌子は底面から浮いているので、これよりやや小さくなる。パラメータとしていずれを採用しても大差が無いが、ここでは静止時の寸法を採用する。
このように、周方向に不均一な形状の撹拌子18と導出流路22の開口部との間に狭隘部Gを設定することにより、混合空間が準密閉空間となり、撹拌子18により強い対流が起きても、導入流路20から導入された未混合の流体が短絡的に導出流路22へ流れてしまうような事態が回避され、結果として充分な撹拌混合を経た流体が流出する。このような効果を得るために、狭隘部Gは狭い程良いと思われるが、狭すぎると、流路抵抗が過大となって、ポンプや回転駆動装置に負荷が掛かったり、摩擦による品質不良等が起きる。これらを回避しつつ充分な撹拌効果を得るには、撹拌子の高さHと混合空間の高さhとの差は、2.0mm以下が良く、より好ましくは、0.2mm以下、さらに好ましくは0.05mm以下である。
また、対流混合を効果的に行うためには、回転体体積/混合室容積の体積比10〜80%、より好ましくは40〜60%、さらに好ましくは70〜90%とする。以上のように、混合空間14および撹拌子18の形状、寸法は、撹拌子18の回転速度や、混合される流体の粘性等の物理的性質、及び混合の結果起こる反応によって生成する物質の物理的性質等も考慮して決定される必要がある。
継手24は一般的な配管用のネジなどが形成されていれば、いずれの形状、規格でもよい。継手24に関して、要はこの発明による混合器もしくは反応器へ試薬を導入もしくは、混合後の生成物を導出するための配管、もしくはチューブ26と混合器を漏洩なしに接合(連結)できる構造であればいずれでもよい。
以下、上記のように構成された混合器を用いて2つの流体の混合を行う場合の作用を、図2を参照して説明する。2つの流体は、ポンプ等の作用によって、同図(a)のように、混合容器16の下部近傍において互いに対向する周方向位置に設けられた導入流路20から混合空間14の中心に向けて圧送され、上部の導出流路22から導出する。この過程において、混合空間14では、同図(b)のように、撹拌子18は空間内の流体を剪断するように回転しているので、流体は周方向に流れるとともに上下方向にランダムに流動する。従って、各流体は中心方向と周方向の速度成分を持って、同図(b)のように、まず層状の渦流れを形成し、撹拌子18に衝突する毎に上下に流動して撹拌され、全体として徐々に上方向に流れる。
この過程において、撹拌子18の回転により、混合空間14内に導入される各供給流体には、剪断力が作用し、各供給流体の流体層は微細化され、各供給流体は薄層を形成しながら混合される。これにより、混合・拡散し反応する両供給流体間の分子間距離が小さくなり、混合及び反応効率が向上する。
図3に示すように、混合容器16への導入流路20aは、混合空間14の中心へ向かう方向から周方向へ傾ければ、撹拌子18に対する流入流体の相対速度を速め、より強い剪断力を生じさせることができ、混合効率が一層向上する。撹拌子18の役割は、容器へ流入した流体に強い剪断力を与えることに有る。撹拌子18に限らず、混合容器16がこうした剪断力を流入流体に与える機構を有していれば、各供給流体の流体層は瞬時に微細化される。なお、供給流体は液体に限定されるものではなく、例えば流体の一方が気体である場合には、強い剪断力で引きちぎられた気泡はマイクロバブル化(微細気泡化)し、混合容器16内に均一に分散される。マイクロバブルでは、気体容積に対するバブル表面積が飛躍的に増大するため、反応効率が向上する。
この混合器では、混合空間14の直径Dと撹拌子18の長さdsの比(ds/D)が1に近いほど、撹拌子18の回転により、各混合供給流体の掻きとりが効果的(無駄がなく)になされ、それにより、混合空間14内での供給流体の薄層が効果的に形成される。これにより、供給流体同士の分子間距離も小さくなるので、分子拡散による混合が促進される。一方、この比が小さすぎると、撹拌子18の回転速度が小さくなって、あるいは、流体の流れが円滑でなくなって逆効果になるので注意を要する。
撹拌子18の回転速度について説明すると、この混合器では、供給流体の導入流速Vは、
V=(4・Q)/(π・di2) ・・・式1
で求められ(Qは供給流体の供給量QAまたはQB、diは導入流路20の内径)、撹拌子18の周速度Vcは、
Vc = π・ds・ω ・・・式2
で求められる(dsは撹拌子18の長さ)。ここで、流速と撹拌子18の周速度との差である、相対(周)速度が大きくなれば、すなわち、導入流速/撹拌子周速の比が小さくなれば、混合空間14内に導入された各供給流体の流体層は微細化され、各供給流体間の流体層は薄くなり、混合空間14内での供給流体の積層数が多くなる。それにより、供給流体同士の分子間距離も小さくなるので、分子拡散による混合が促進される。供給流体の導入速度/撹拌子の周速の比が1/3以下、より好ましくは1/5以下、さらに好ましくは1/8以下であることが望ましい。
図示する例では、撹拌子18を滑らかな曲面で形成することによって、寸法差を小さくしても円滑な回転や流れを確保することができる。同じ効果を得るために、混合空間14の容積と撹拌子18の体積の体積比(撹拌子体積/混合空間容積)を小さくしてもよいが、寸法差が大きくなるとよどみ領域ができてしまう。寸法差を小さくしてかつ体積比を小さくするには、撹拌子18の扁平比(=h/w)を1より大きくしてやればよいが、この実施の形態のような遠隔的に駆動される撹拌子18で、かつ単純な棒状では姿勢が不安定になるので難しい。後述するような3方向以上に延びる放射状の撹拌子18や、駆動軸で直接駆動される方式の場合には採用可能である。
また、混合空間14の容積と撹拌子18の体積の体積比は対象とする反応に対し、最適なものを選択することが必要である。例えば、析出系の反応では体積比(回転体体積/混合室容積)を小さくすれば、析出物の混合空間14への滞留による、撹拌子18の停止を抑制することが可能となる。体積比としては、5%〜80%、より好ましくは15%〜60%、さらに好ましくは20%〜40%が良いが、適時、対象とする化学反応により最適値を選択することは言うまでも無い。
混合状態を制御する上で重要となる他の因子としては、混合容器16における流体の全体としての通過時間が挙げられる。これは、流体の供給圧力や導入流路20、導出流路22での絞り度等によって調整することができる。従って、充分な混合あるいはそれに伴う反応時間を得ることができるように、導入流路20、導出流路22の内径di、deを設定しなければならない。
この通過時間をTとすると、混合空間14内の供給流体の層数は、撹拌子18の単位時間当たりの回転数ωと時間Tの積(ω・T)に関係する。またここで、一つの層の厚みは、混合空間14直径Dを前記層数で割った値の関数となる。これにより、この発明による混合器では、混合空間14直径Dが小さく、撹拌子18の回転数ωが大きいほど、混合空間14内の供給流体の流体層が微細化し、よりDが小さくなれば、混合空間14内の供給流体の滞留時間が減少して、短時間で効果的な混合が達成される作用が生じる。なお、カバー部12およびベース部10に形成する供給流体の導入用流路および混合(反応)生成物の導出流路22の内径は、φ8.0mm以下、より望ましくはφ1.0mm以下であることが望ましい。
上述したように、この発明による混合器における混合の作用は、複雑な因子の組合せによって支配される。これらの中には、流体の供給、排出速度、流体の粘性、供給流体の混合比、混合の結果起こる反応や生成物の種類等が挙げられる。特に、この実施の形態のような遠隔駆動の撹拌子18では、駆動機構28による流体の汚染を防止することができる利点があるが、撹拌子18の回転速度を完全に制御することも難しい。そこで、混合あるいは反応処理の態様毎に、装置の各部の形状、寸法、その他の条件を試行して、最適のものを採用することが望ましい。以下に、この装置の種々のバリエーションを説明する。
図4は、撹拌子18の形状の変形例であり、(a)は、両端が半球で中央が筒状のカプセルタイプ、(b)は円柱状、(c)は角柱状のものである。また、(d)はカプセルタイプを、(e)は円柱状を、(f)は角柱状をそれぞれを十字状にしたものである。これらは、いずれも回転軸線(混合空間14の軸線)に直交する方向に延びる軸線を持つ放射状部40を有している。このような放射状部40の断面形状は、上記例に限られるものではなく、任意の曲線的、直線的形状が採用可能である。例えば、曲線形状としては、円、楕円、あるいは適宜の2次、3次の閉曲線が挙げられ、直線形状としては、三角形をはじめとする任意の多角形が挙げられる。勿論、曲線形状と直線形状の混合形状でもよい。例えば、上述したように、縦に扁平な楕円は(a)や(b)のタイプでは倒れてしまうので採用しにくいが、(d)、(e)のタイプでは採用可能であろう。
また、放射状部40の数は、上で示した2、4の場合に限られず、適宜の数を採用することができる。放射状部40のそれぞれの形状、長さその他の寸法を同じにする必要は無い。例えば、(e)において交差する1つの方向を短くしてもよい。それによって姿勢の安定を確保する等の作用を得ることができるからである。また、(a)、(d)の放射状部40は、その軸線に沿って等断面ではないが、他は軸線に沿って等方的であり、いずれでもよいことは明らかである。角部は適宜に面取りする(丸める)ことが望ましい。
図5(a)は、混合空間14の天井部分の形状を撹拌子18の上面の形状に合わせたもので、それによって流体の流れの淀みを軽減させるようにしている。これにより、流体が、互いに相対移送する2つの部材によって形成された狭い流路を通過する時に、流体に大きな剪断力が作用し、強い撹拌作用を発揮するものと考えられる。図5(b)は、図4の(b)、(c)等を用いた図であり、やはり、流体の流れの淀みを軽減させるものであるが、下面側を曲線形状として撹拌子18の円滑な回転を促進している。
上記の各例において、混合器の混合空間14の容積と撹拌子18の体積もしくは、混合空間14直径と撹拌子18の長さ、もしくは混合空間14の高さと撹拌子18の直径(外周径)の寸法的な関係、あるいは各寸法自体は、既述のように混合結果に影響を与える因子であり、種々試行してそれぞれの処理の条件に好適なものを見つけることが必要である。なお、混合空間14の直径と撹拌子18の回転直径の直径比率(撹拌子回転直径/混合空間14直径)は、50%以上であることが望ましい。これは、混合空間14内の供給流体を撹拌子18の駆動により混合するに際して、撹拌子18の駆動により発生する回転流(旋回流)により混合を促進させる効果が作用する有効範囲である。
また、図5(c)に示すように、混合器における導入流路の高さ方向位置hiと撹拌子18の高さ方向中心位置hsとの間には最適な位置関係があり、容器内に流体が導入された瞬間に強い剪断力を加えるために、
hs−h/2 < hi < hs+h/2 ・・・・式3
の関係を満足していることが望ましい。
また、上記の例において、導入流路20を下に、導出流路22を上に設けたが、勿論、これに限られるものではない。また、導入流路20を外周面に、導出流路22を軸線上に設けたが、これに限られるものではない。混合器の運用上の利便性があれば、上記の例において設けた2つの導入流路20のいずれかを導出流路22として用いても良い。その場合、流体の流れによる混合作用は上述したものと異なるが、結果として充分な混合がなされれば良い。これは、後述する実施の形態についても同様である。以下、導入流路20と導出流路22の形成の仕方に関する他の実施の形態を、図6ないし図9により説明する。
図6は、ベース部10側の導入流路20または導出流路22(以下、導液流路と言う。)を示すもので、(a)、(b)は3つの導液流路を設けたもので、3つの流体を混合させるのに好適であるが、例えば、流量の異なる2流体を混合するのにも好適である。(a)は等角度配置のY字状であるが、(b)はT字状であり、他の角度配置でもよい。(c)は4導液流路、(d)は6導液流路の例であり、これらは2流体を分散して供給して混合するのにも好適である。これにより、流速と撹拌子18の相対(周)速度が大きくなるからである。導液流路の数については適宜に設定可能である。また、各導液流路にどの供給流体を導入するか、いずれかを導出流路22とするかも、対象とする化学反応により都度選択することができる。例えば、(d)における6導液流路の場合に、異なる2流体を各流路から交互に導入すれば、図2(b)に示した流体層はより微細に積層された構造となるので、混合を一層促進させることができる。
図7は、カバー部12側の導液流路の形成についての例を示す。(a)は、図1と同様である。(b)は、混合空間14の周辺部に開口する複数の導液流路22bを1つの流路22に合流させたもので、(c)は、混合空間14の径方向中間部に開口する複数の導液流路22cを1つの流路22に合流させたものである。(c)の例では、カバー部12の下面の導液流路の開口部に凹部42を形成して、混合空間14で生成した気体の排出を促進するようにしている。また、(d)は、カバー部12の下面に混合空間14に突出する突起部44を形成し、その突起部44の外周に複数の導液流路22dを形成したものである。この例も、混合空間14で生成した気体の排出を促進する効果を有する。
図8は、カバー部12の他の実施の形態を示すもので、導出流路22aの下流部分において流路断面積を狭くした構造を有するものである。混合容器16内で混合された流体が、狭い流路断面積部に導かれることにより、微細化した流体塊同士の距離が一層狭まり、分子拡散による急速混合を促進する効果が得られる。従来のバッチ式プロセスにおける攪拌では、攪拌混合による効果しか期待できず、また、マイクロチャネルチップを用いた混合器では拡散混合による効果しか期待できないのに対し、本発明では両者の混合作用の相乗効果が期待できるため高い混合効果が得られる。なお、図8では管路の一部を絞った形態を示しているが、流路断面積を少なくできる構造であれば、その形態によらず、拡散混合の効果が増大できる。
図9は、ベース部10に設けた導液流路の他の例を示すものである。(a)は、先に説明した混合空間14の外周に流路が開口するものであるが、(b)は、導液流路20bが混合空間14の外周ではなく、屈曲して径方向中間の底部に開口し、さらに、(c)では、導液流路20cはほぼ中央に開口する。また、(d)は、2つの導入流路20からの流路を混合空間14に導く前に、供給流体の流体混合による予備混合を行い、その後混合空間14に導くものである。なお、上述したベース部10とカバー部12はそれぞれ適宜に組み合わせて用いることができることは言うまでもない。これらの導液流路は、いずれも導入流路20としても導出流路22としても使用することができるのは、先に説明した通りである。
図10は、狭隘部Gの構造を工夫した他の実施の形態の混合器を示すものである。この実施の形態では、導出流路22の基部に、拡径部192を形成し、撹拌子18にこれに対応する形状の突起部190を形成した。これにより、狭隘部Gを的確に形成でき、かつ撹拌子の回転中心を維持する芯出し機能を持たせることができる。
図11は、撹拌子18の駆動機構28の他の実施の形態を示すものである。(a)は、混合容器16と駆動機構28をネジ止めもしくは接着をはじめとする適宜の手法により一体化したものである。(b)は、混合空間14内の撹拌子18を駆動機構28であるモータ30とシャフト46により機械的に一体化したものである。先の遠隔駆動式の撹拌子18は、汚染を防ぐのに好適であるが、撹拌子18の回転数と駆動機構28のモータ30の回転数は必ずしも一致せず、また制御の遅れも有る。このような不一致や遅れは、撹拌子18と混合空間14壁との摩擦や流体の粘性抵抗によるもので、目的とする化学反応によっては、厳密な速度制御が必要であり、このような不一致や遅れが問題となる場合がある。この実施の形態は、問題点に対処するためのものである。
この実施の形態では、モータ30の出力軸に撹拌子18がシャフト46により直結されているので、スラストおよびラジアル方向加重を受ける軸受48と、駆動機構28から混合空間14への汚染物の進入及び、混合空間14内の供給流体の駆動機構28への進入を回避するためのシャフトシール50が設けられている。シャフトシール50の材質は、テトラフルオロエチレン重合体をはじめとする、耐有機系薬品のものを使用する。
図12は撹拌子18の駆動機構28の他の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、混合容器16の下面側と上面側の両者に複数のコイルを用いた磁気駆動機構70を有している。混合容器16の上下面には同一円周上の等配位置にコイル72を複数設置し、各コイル72への電流はコイル励磁用コントローラ74より出力する。またここで、撹拌子18は磁性体もしくは磁性体に樹脂などをコーティングしたものを用いる。
本駆動形態では、上下面の同一円周上の等配設置したコイル72に、順次、励磁電流をコントローラ74より入力し、コイル72に順次極性(N,S)を持たせて磁化し、それにより撹拌子18Aを回転させるもので、いわゆるステッピングモータの原理を利用するものである。なお、上下面のコイル72には常に撹拌子18Aに対して同極になるように励磁すれば、撹拌子18Aの自動浮上駆動が期待できる。
また、この実施の形態では、励磁電流をコントロールすることで、意図的に撹拌子18Aを上面あるいは下面のいずれかに偏らせて回転することが可能になる。例えば上面の磁場をON、下面の磁場をOFFとすることにより撹拌子18Aを導出流路22の存在する上面に近接させ、撹拌子18Aと上面との間に幅の狭いマイクロ空間を構成するものである。このとき、壁面との微少距離を確保するための一手段として、図中の撹拌子18Aの形状例の如く、撹拌子18A上面には微少な突起(ノッチ)76を設ける。こうしたマイクロ空間を通過して導出流路22へ向かう間に、容器内で混合した各流体はマイクロ空間の特性により急速に分子拡散混合し、高い混合効率を実現することができる。
本実施の形態では、反応の状況に応じて磁場のON・OFF制御を行うことにより、最適な反応を実現することも可能である。
図13は、この発明の他の実施の形態の混合器である。(a)は、ベース部10にヒータ(加熱器)52、混合室の温度を検知する温度センサ53を設置して、混合した流体の温度調整を行うものである。これにより、各種の化学反応において最適な温度条件で混合及び反応を行わせることが可能となり、高収率にて生成物を得られる効果が得られる。
なお、この発明によるヒータ52は、混合空間14に併設もしくは混合空間14を形成する壁として設置されることが望ましいが、混合空間14内の温度を制御できる位置関係にあれば、隔壁されていても、上部、下部、外周などいずれの位置であっても、板状、棒状などの形状でもよい。また、ヒータ52および温度センサ53は、ベース部10もしくはカバー部12に形成される、供給流体の導入流路20中に設置してもよい。ヒータ52は、直流もしくは交流電源により駆動し、コントローラ38により可変に温度制御可能なものが望ましいが、一定温度出力のものでもよい。
図13(b)は、図11(b)で説明した直結駆動型の撹拌子18と、ヒータ52を組み合わせたものである。この実施の形態では、ヒータ52は、シャフトシール50と混合空間14の間に設置され、温度センサ53は、混合室内の温度を検出する位置に設置しているが、両者は、混合空間14もしくは供給流体の導入流路20の中、もしくは両方に設置してもよい。この実施の形態では、ヒータ52と温度センサ53による混合空間14の温度制御と、コントローラ38による撹拌子18の最適回転数制御により、目的とする化学反応において生成物を得るのに最適な温度条件、撹拌子18の回転数条件下で混合もしくは反応がなされ、高収率にて生成物を得られる効果が得られる。なお、コントローラ38はヒータ52、駆動機構28のおのおの別個に設けても、コンピュータもしくはシーケンサなどを用いて、両者を同時に制御してもよい。
図14は、この発明のさらに他の実施の形態である。これは、温度制御手段としてヒータ52の代わりにベース部10に加熱もしくは冷却用の媒体Mを流す熱媒体流路54を形成し、かつ温度センサ53を混合室の温度を検出する位置に設置したものである。図示していないが、加熱もしくは冷却媒体Mの流量を調節する流量調整弁が設けられ、混合空間14の温度を調整することが可能である。流量調整弁は電動式としてコントローラ38により自動制御してもよいが、手動式でもよい。このような熱媒体流路54を形成した伝熱プレートをベース部10の下側に設置してもよい。これによって、加熱もしくは冷却により目的とする化学反応に最適な温度制御を達成し、化学反応を高効率に行うことが可能となる。なお、熱媒体流路54は、混合空間14もしくは供給流体の導入流路20中もしくは両方に設置してもよいし、カバー部12に設置してもよい。このような熱媒体流路54を、図13(b)の撹拌子直結駆動式の混合器に用いても良い。
本発明では、供給流体を圧送するポンプにおけるライン圧力を増大することにより、温度に加え、容器全体の内圧を増大させることができる。各流路中、もしくは混合室内の圧力を検出可能な適切な位置に圧力センサを配置することにより、その信号に基づく圧力制御を施すことにより、対象とする反応プロセスに応じた最適な圧力条件を設定することができる。
図15は、この発明の他の実施の形態であり、図11(b)の混合器に分析装置56を設置したものである。分析装置56は、混合器の導出流路22に継手24を介して接続される導出配管58に設置される。なお、分析装置56は、混合器内の導出流路22に設置してもよい。分析装置56は、混合(反応)生成物の成分を分析する装置であり、クロマトグラフィ装置のように混合(反応)生成物の成分を分析する装置などである。
この実施の形態では、混合器による混合(反応)後の生成物の成分を逐次分析し、分析結果(収率など)をリアルタイムでコントローラ38に出力する。コントローラ38は、この分析結果に基づいて所定の判断基準により判断を行い、電動機回転数とヒータ52の温度の制御信号を電動機およびヒータ52に出力し、目的生成物の成分(収率)が最大値もしくは目標値となるようにこれらを制御する。この手法により、所要成分(収率)の目的生成物を効率的に得ることが可能となる。
なお、上述した実施の形態における混合器では、混合空間14をメンテナンスする場合、分解・取り外しを行うのは、カバー部12のみであり、簡便に混合空間14の洗浄などのメンテナンスが可能である。また、同様にメンテナンス後の組立も非常に簡便であり、カバー部12を設置するのみである。従って、混合器は、既存のマイクロリアクタと比較して、保守、管理が簡便である。
(実施例1)
図16(a)は、図11(a)の実施の形態の混合器により、化学反応を実施した構成である。供給流体の導入流路20は中心を挟んで対向する2つであり、導出流路22は上方に中心軸に沿って設けられている。反応に用いた混合器の混合空間14の寸法は、直径φ9mm、高さ3.5mmであり、撹拌子18の形状は、カプセル状で直径がφ3mm、長さが8mmのものである。従って、狭隘部Gの寸法(H−h=Δh)は、0.5mmである。また、導出流路22の開口部の内径は、0.5mmである。なお、撹拌子18の回転数は1000rpmとした。実施した化学反応は、同図(b)に示す、ジイソプロピルフェノールの反応(アセチル化)であり、混合器に、
A: 1M 2,6 Diisopropylphenol 1M 1,3 Dimethoxybenzene/Pyridine
B: neat Acetic Anhydride
の供給流体をシリンジ60により供給し、導出流路22に回収容器62を接続した。
図17(a)は、図16の装置による反応の結果の一例を示す時間−収率図である。比較例は、撹拌翼を備えたバッチ式のミキサである。これより、混合器は、従来のバッチ式ミキサと比較して、同一混合時間で高い収率で生成物を得られていることがわかる。
また、図17(b)は、生成物流量−収率図であり、同じ実施例について、一般的な従来のマイクロリアクタと混合器を比較した結果である。ここで比較例として用いた一般的な従来のマイクロリアクタは、Y型2液混合用である。この結果より、この発明の混合器は、一般的マイクロリアクタの一例と比較して、多くの生成物を高収率で得ることができていることがわかる。なお、混合器を用いたこれらの化学反応結果はあくまでも一例であるが、混合器のその他の実施の形態においても、同一の効果が得られると考えられる。
図18は、図16の実施の形態での化学反応の結果の一例を示しており、導入流体の流速と撹拌子18の周速度の比と収率の関係を示している。これより、供給流体の導入速度/撹拌子18の周速度の速度比が1/3において収率20%、速度比1/10において収率40%、速度比1/50において収率85%以上が得られることがわかる。
(実施例2)
図19は、本発明による混合器を直列に配置することにより、化学反応を実施した結果を示す例である。図19(a)では、第1の混合容器16の導出流路22から出た流れは、一つの導入流路を有する第2の混合容器(撹拌容器)16Aに導かれて、ここでさらに撹拌されて、導出される。また、図19(b)では、第2の混合容器16Aからの流れは、さらに一つの導入流路を有する第3の混合容器(撹拌容器)16Aに導かれる。なお、本配置例の他の形態としては、第1の混合容器16の導出流路から出た流れを、T字状の分岐管により二つの流路に2分割した後、第2の混合容器16の中心を挟んで対向する2つの導入流路に導く手法などもある。
ここで、混合空間14の寸法は、直径φ9mm、高さ3.5mmであり、撹拌子18の形状は、カプセル状で直径がφ3mm、長さが8mmのものである。なお、撹拌子18の回転数は1000rpmとした。実施した化学反応は、図16(b)に示した、ジイソプロピルフェノールの反応(アセチル化)であり、第1の混合容器16に、
A: 1M 2,6 Diisopropylphenol 1M 1,3 Dimethoxybenzene/ Pyridine
B: neat Acetic Anhydride
の供給流体をシリンジ60により供給した。
図20に実験結果を示す。これより、混合容器16と撹拌容器16Aを直列に配置した混合器は、図17に示す事例と比較して、同一混合時間でより高い収率で生成物を得られていることがわかる。なお、図19ではチューブ状の配管で混合容器16と撹拌容器16Aを接続した事例を示したが、これは混合容器16,16Aの直列配置の一形態に過ぎず、例えば、図21の様に混合容器16,16Aを積み重ねた積層構造により直列配置するなど、その実施の形態に関わらず良好な結果を得ることができる。なお、図21における第2の混合容器16A内の撹拌子18は、独立した駆動機構を内蔵する構造の場合や、あるいは第1の混合容器16内の撹拌子18と直結する構造の場合などがあり、第1と第2の混合容器16,16A内の撹拌子18の回転数はそれぞれの反応混合に最適な値とし、必ずしも同一である必要は無い。
上記では直列運用による混合・反応効率の向上の実施例を示したが、本発明による混合容器16を多数並列配置し、所定の生産量を確保するような運用も可能であることは言うまでも無い。その場合には、生成物の品質を確保するために、個々の混合容器16からの生成物を集合した集合容器において生成物の品質を分析し、並列システム全体を運用する形態と、個々の反応容器におけるセンサリング、制御機構を用いて最終生成物の品質を確保するように個別に制御する形態、さらにはこれらの組合せの運用形態がある。
以上の実施例では、化学反応における本発明の優位性を示したが、本発明は化学反応を伴わない流体混合の目的に使用することが可能であることは言うまでも無い。導入流路20から流入した流体は、撹拌子18による強い剪断力の作用で微細化され容器内の流体と混合されるため、エマルジョンの生成などにも適している。
(実施例3)
本実施例は、本発明による混合器を用いて、撹拌子形状をパラメータとし、相関移動アルキル化反応(化学式:図22(a)参照)を行ったものである。なお、混合器の構成は、前記図16(a)に記載のものと同一である。本反応に用いた撹拌子は、カプセル型(図4(a))および十字型(図4(e))であり、各々の撹拌子の混合空間に対する容積比および狭隘部Gの隙間(Δh)を、表1に示す。なお、混合器単体の性能を比較するため、混合器からの反応生成物は、導出後、塩化アンモニウム水溶液にてクエンチ(反応停止)した。
Figure 2007319828
実施結果を図22(b)に示す。この結果より、Δhが小さいほど、容積比が大きいほど、撹拌性能が向上していることが分かる。また、本反応においてはカプセル型よりも十字型撹拌子が最適であることがわかる。
図23は、この発明のさらに他の実施の形態の混合器を示すものである。この実施の形態では、混合容器150のベース部152側に混合空間154を構成する凹部が形成されており、導入流路156は、ベース部152の上面の継手158から下降する垂直流路160と、ベース部152とカバー部162の接合面に形成された溝によって構成される水平流路164とからなっている。同図(a)に示すように、導出流路166は、カバー部162の上に設置した押え部162aから横方向に導出されている。同図(b)に示すように、ベース部152の上面およびカバー部162の下面には、コイル168が同一円周上に等配置されており、励磁電流をコントローラ169より入力し、コイル168に順次極性を持たせて磁化し、それにより回転子170を回転させるようになっている。なお、上下面のコイル168を常に回転子170に対して同極となるように励磁すれば、回転子170を混合空間154内で自動浮上駆動させることが可能である。
また、ベース部152の下面には、温度調節手段171が設けられている。これにより、例えば、導入流路156に設けた温度センサ172と、これの出力に基づいていわゆるPID制御などの制御則に従って温度調節手段171の動作をフィードバック制御するコントローラ173により、ベース部152を介して導入流路156や混合空間154中の流体の温度を制御することができる。温度調節手段171としては、電気式プレート型ヒータやペルチェ素子または、加熱もしくは冷却媒体を通過させて被温度調節体の温度を調節する伝熱ブロック(板)など種々のものを利用する。なお、温度調節手段171は、該混合器もしくは反応器の他の箇所に設置しても良い。また、伝熱ブロックを利用する際には、加熱もしくは冷却媒体の流量を調節する電動バルブなどを伝熱ブロックの前段もしくは後段に設置し、該電動バルブの開度を調整する電気的信号(電流もしくは電圧)をコントローラ173より入力する。
図23(c)に示すように、導入流路156(水平流路164)は、垂直流路160下端からそれぞれ径方向に中心に向かって延びた後、2つに分岐して周方向に約80度ほど延び、さらに中心側に斜めに延び、混合空間154に径方向流路から90度のところで開口している。つまり試薬Aと試薬Bを供給する流路はそれぞれ近接する位置で、かつ噴出流が衝突するような角度で混合空間154に開口している。従って、試薬Aと試薬Bは混合空間154に入ってすぐに衝突し、さらに回転子170によって撹拌されるので、混合空間154内での濃度ムラの状態が無くなり、均一な混合比のもとでの反応が可能となる。また、この実施の形態では、中途半端な混合状態がほとんど無いため、いわゆる爆発性反応のような高速反応においても、爆発の危険性が極めて低くなる。
この実施の形態の混合器は、従来のバッチ手法では目的生成物を効率的に得ることが困難であった、いわゆる、拡散律速の反応に対して有用である。拡散律速の反応は、分子拡散速度が速い反応であり、例えば、
A+B→C+D (A,B:反応試薬 C:目的生成物 D:副生成物)
のような反応を例にすると、拡散律速の場合、目的生成物Cから副生成物Dへ分子拡散により連続的に高速で変化する。この際、従来のバッチ式ミキサでは、反応器内の反応容積が大きいため、滞留時間が長くなり、目的生成物Cの段階で反応を停止させることが困難であった。しかし、図23(c)のような流路構成を採ることにより、各試薬A,Bを予混合せずに微小反応容積の混合空間154に導き、微小反応容積内で、短時間に高速強制混合を行うことで、副生成物の発生を抑制し、目的生成物を高収率で得ることが可能になった。
図24は、図23の実施の形態をさらに発展させた実施の形態の混合器である。この実施の形態では、同図(a)に示すように、ベース部152aは、2枚のベース部174a、174bにより構成される。そして、下側のベース部174aの上面には、同図(b)に示すように第1の導入流路156aの環状流路176aが形成され、同図(c)に示すように、上側のベース板174bの下面には、第1の導入流路156aの環状流路176aとは重ならない位置に第2の導入流路156bの環状流路176bが形成されているとともに、第1の導入流路156aおよび第2の導入流路156bの環状流路176a,176b上に相当する位置に、周方向等配置された貫通孔178が形成されている。そして、カバー部162の下面には、同図(d)に示すように、第1の導入流路156aおよび第2の導入流路156bからの貫通孔178を隣接するどうし対にして、混合空間154の同じ位置に開口させるV字状の導液流路179が形成されている。なお、ベース板174a,174bどうし、およびこれとカバー部162はそれぞれ接着もしくはパッキンを介したネジ止めなどにより結合する。
このような構成により、図23では2ヶ所でのみ開口していた導入流路156を、より多くの箇所で開口させることができる。従って、図23の実施の形態の効果である混合空間154内での均一な混合と反応、および爆発を抑制する効果等をより顕著に得ることができる。
図25は、この発明のさらに他の実施の形態の混合器を示すもので、導入流路156aおよび第2の導入流路156bを、混合空間154に入る前に合流させて、予混合させるものである。図25(a)の例は、図23(c)のカバー部162の水平流路164の形状を変形したもので、それぞれ分岐した導入流路156a,156bは、周方向へ90度延びたところで合流し、それから径方向に混合空間154へ向けて延びる予混合流路180aとなる。すなわち、2つの試薬A,Bは、混合空間154へ入る前段の予混合流路180aで混合が開始される。これにより、混合空間154への導入時点では、確実に混合用試薬が均一化される。この実施の形態は、予混合による弊害が出ないような反応に用いるのが好適である。
図25(b)の例では、合流点の形状をT字路ではなく、Y字路としたもので、これにより、予混合流路180bを短く設定している。斜めの流路の角度を変えることにより、予混合流路180bの長さを変えることができる。長さの設定は、反応に応じて適宜に行えばよい。
また、図25(c)の例では、予混合流路180cに至る傾斜流路182を分岐させて、合流を多段で行うようにしたものである。これにより、混合空間154内に導入される試薬が多層化し、各流体層は薄くなる。従って、試薬同士の分子間距離も小さくなるので、分子拡散による混合効率向上の効果により混合が促進される。
さらに、図25(d)は、図24(d)のカバー部162の図面に対応する図であり、導液流路179の先にY字路状の予混合流路180dを設けて、予混合させる形式としたものである。これにより、予混合流路180dを有する導入流路156a,156bが混合空間154に多数が開口するようになっている。図25の各実施の形態の導入流路の形態は、反応の種類等に応じて適宜に選択すればよい。
なお、図25の各実施の形態では、各導入流路156の断面積は1mm以下、好ましくは0.25mm以下、より好ましくは0.01mm以下である。また、導入流路156,156a,156bの断面寸法は、図25(e),(f)に記載のとおり、幅をW、深さをHとした場合、W≦Hの条件であることが望ましい。また、導入流路156,156a,156bの断面形状は、矩形型や半円型など対象とする化学反応に応じて都度選択する。なお、図25では図示していないが、図23に示したような温度調節手段171、温度センサ172、温度コントローラ173を用いるのは、特に有効である。微細流路においては、温度の制御をより精密に行うことができるからである。
このように導入流路156,156a,156bを微小化することにより、混合空間156までの過程で分子拡散を利用した拡散混合を行い、混合効率を向上させることが可能となる。従って、導入流路156,156a,156bの微小化による分子拡散による混合促進と微小反応室内の攪拌による混合促進の両者を併用した相乗効果を利用して、高効率混合を達成することができる。なお、混合空間154からり導出口までの流路断面積を微小化することにより、混合試薬間の分子拡散が助長され、混合効率(収率)が向上することは言うまでもない。
従って、例えば、この実施の形態の混合器は、反応律速の化学反応において有用である。反応律速の反応は、通常、試薬を容器内に混入した状態では反応は進まず、従来、高収率で目的生成物を得るために、長時間の強制攪拌が必要であった。これに対し、図25の各実施の形態では、予混合流路180a〜180dの微小空間内での分子拡散による混合と微小反応室内での強制混合により短時間で高収率の目的生成物を得ることが可能となった。
この発明の実施の形態の混合器を示す、(a)外観斜視図、(b)断面図である。 図1の混合器の作用を示す概略図であり、(a)正面断面図、(b)平面断面図である。 図1の混合器の変形例を示す平面断面図である。 (a)ないし(f)は、撹拌子の各種変形例を示す図である。 (a)及び(b)は、図1の実施の形態の混合器の変形例を示す図である。 (a)ないし(d)は、ベース部152aの各種変形例を示す図である。 (a)ないし(d)は、カバー部162の各種変形例を示す図である。 カバー部162の他の変形例を示す図である。 (a)ないし(d)は、ベース部152aの各種変形例を示す図である。 狭隘部の構造を変えた他の実施の形態の混合器を示す図である。 (a)及び(b)は、他の実施の形態の混合器を示す図である。 (a)ないし(c)は、他の実施の形態の混合器を示す図である。 (a)及び(b)は、さらに他の実施の形態の混合器を示す図である。 さらに他の実施の形態の混合器を示す図である。 さらに他の実施の形態の混合器を示す図である。 (a)及び(b)は、この発明の実施の形態の混合器による第1の実施例を説明する図である。 図16で説明した実施例の結果を示すグラフであり、(a)は、反応の結果の一例を示す時間−収率図、(b)は、生成物流量−収率図である。 図16で説明した実施例において、導入流体の流速と撹拌子の周速度の比と収率の関係を示すグラフである。 (a)及び(b)は、この発明の実施の形態の混合器の他の実施の形態を説明する図である。 図19で説明した第2の実施例の結果を示すグラフである。 この発明の他の実施の形態の混合器を説明する図である。 この発明の第3の実施例を説明する図である。 さらに他の実施の形態の混合器を示す図であり、(a)は外観図、(b)は断面図、(c)は(b)のc矢視図である。 さらに他の実施の形態の混合器を示す図であり、(a)は断面図、(b)〜(d)は、(a)のb〜d矢視図である。 さらに他の実施の形態の混合器の導入流路を示す図である。
符号の説明
10,110,152 ベース部
12,112,162 カバー部
14,114,154 混合空間
16,116 混合器
18,118,170 撹拌子
20,120,156 導入流路
22,122,166 導出流路
28 駆動機構
38,169,173 コントローラ
40 放射状部
52 ヒータ
53 温度センサ
54 熱媒体流路
56 分析装置
171 温度調節手段
180a〜180d 予混合流路

Claims (5)

  1. 連続処理を行う反応システムにおいて用いる混合器であって、
    ほぼ回転対称形状の混合空間を形成する容器と、
    前記混合空間に2種以上の異なる流体を供給する導入流路と、
    前記混合空間の軸線上に開口する導出流路と、
    前記混合空間において混合空間の回転対称軸まわりに回転する周方向外周部に凹凸を有する撹拌子と、
    該撹拌子を駆動する駆動機構とを有し、
    前記導出流路の開口部とこれに対向する前記撹拌子の表面の間に、未撹拌の流体が短絡的に流出するのを防止する狭隘部が形成されていることを特徴とする混合器。
  2. 前記回転対称軸はほぼ垂直であり、前記導出流路は混合空間から上方に向かって導出していることを特徴とする請求項1に記載の混合器。
  3. 前記導入流路は、前記混合空間の外周面に開口していることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の混合器。
  4. 前記撹拌子の前記表面には、前記導出流路の開口部に向けて突出する突起が形成され、これにより前記狭隘部が導出流路に向けて延長して形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の混合器。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の混合器と、これに原料流体を供給する供給源と、前記混合器における反応生成物を回収する回収容器とを有することを特徴とする反応装置。
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