本発明による液晶表示装置の基本的な構成を説明する。
本発明による液晶表示装置は、一対の基板と、これらの基板間に設けられた液晶層とを備え、表示を行うための複数の絵素領域を有する。なお、本願明細書においては、表示の最小単位である「絵素」に対応する液晶表示装置の領域を「絵素領域」と呼ぶ。カラー液晶表示装置においては、R,G,Bの「絵素」が1つの「画素」に対応する。アクティブマトリクス型液晶表示装置においては、絵素電極と絵素電極に対向する対向電極とが絵素領域を規定する。また、単純マトリクス型液晶表示装置においては、ストライプ状に設けられる列電極と列電極に直交するように設けられる行電極とが互いに交差するそれぞれの領域が絵素領域を規定する。なお、ブラックマトリクスが設けられる構成においては、厳密には、表示すべき状態に応じて電圧が印加される領域のうち、ブラックマトリクスの開口部に対応する領域が絵素領域に対応することになる。
本発明の液晶表示装置が有する複数の絵素領域のそれぞれは、一方の基板(「第1基板」と称する。)側から入射する光を用いて透過モードで表示を行う透過領域と、他方の基板(「第2基板」と称する。)側から入射する光を用いて反射モードで表示を行う反射領域とを有する。
絵素領域ごとに透過領域と反射領域とを備える透過反射両用型の液晶表示装置は、透過領域を通過する表示光に対する光路長と、反射領域を通過する光に対する光路長とを整合させるために、反射領域の液晶層の厚さが透過領域の液晶層の厚さよりも薄い、いわゆるマルチギャップ構造を有していることが好ましい。
しかしながら、本願発明者が検討したところ、背面側(観察者とは反対側)に配置される第1基板の基板表面に段差を設けることによってマルチギャップ構造を実現すると、反射領域と透過領域との境界に表示に寄与しない領域(無効領域)が発生し、表示の明るさが低下することがわかった。なお、無効領域が発生する理由については、後述することとする。
これに対して、観察者側に配置される第2基板の基板表面にのみ段差が設けられる構成、すなわち、反射領域における第2基板の液晶層側の表面の高さが、透過領域における第2基板の液晶層側の表面の高さよりも高く、かつ、反射領域における第1基板の液晶層側の表面の高さと、透過領域における第1基板の液晶層側の表面の高さとが実質的に等しい構成を採用すると、透過領域と反射領域との境界に無効領域が発生しないので、明るい表示を実現することができる。
上述した、マルチギャップ構造の両用型液晶表示装置における表示の明るさを向上させる構成を「第1の構成」と称する。
観察者側に配置される第2基板は、典型的には、透明基板と、透明基板上に設けられたカラーフィルタ層とを有する。両用型の液晶表示装置においては、透過領域と反射領域とで表示光がカラーフィルタ層を通過する回数が異なる(透過領域では1回であるのに対して反射領域では2回)ので、透過領域および反射領域の両方で明るく、且つ、色純度が高い表示を行うことが難しいという問題がある。透過領域での色純度が最適となるようにカラーフィルタ層の光学濃度を比較的濃く設定すると、反射領域を通過する光はカラーフィルタ層によって過度に吸収されるので反射領域での表示が暗くなってしまうし、他方、反射領域での表示が明るくなるようにカラーフィルタ層の光学濃度を比較的薄く設定すると、透過領域での色純度が低くなってしまうからである。
反射領域のカラーフィルタ層の光学濃度を選択的に制御するための透明誘電体層(「第1の透明誘電体層」と称する。)を反射領域に形成すると、透過領域での色純度を最適に保ちつつ、反射領域における透過率の低下を抑制することができるので、透過領域および反射領域の両方で明るく、且つ、色純度が高い表示を行うことができる。
反射領域のカラーフィルタ層の光学濃度を制御する第1の透明誘電体層は、反射領域におけるカラーフィルタ層の厚さや存在比率などを透過領域よりも減少させるように形成される。
例えば、第1の透明誘電体層を透明基板とカラーフィルタ層との間に形成すると、第1の透明誘電体層を覆うようにカラーフィルタ層が設けられることになるので、第1の透明誘電体層上に位置するカラーフィルタ層の厚さは、カラーフィルタ層を形成する際の膜減りによって他の領域のカラーフィルタ層の厚さよりも薄くなる。従って、透過領域の色純度が最適となるように透過領域のカラーフィルタ層の厚さを設定しても、反射領域を通過する光の過度の吸収が抑制される。そのため、透過領域および反射領域の両方で明るく、且つ、色純度が高い表示を行うことができる。
あるいは、カラーフィルタ層が反射領域内の一部に開口部を有し、この開口部内に第1の透明誘電体層が形成された構成とすると、反射領域を通過する光の一部はカラーフィルタ層を通過せず、カラーフィルタ層によって囲まれた第1の透明誘電体層を通過するので、反射領域における透過率を向上することができる。そのため、透過領域および反射領域の両方で明るく、且つ、色純度が高い表示を行うことができる。
カラーフィルタ層が第2基板の液晶層側に設けられている場合には、上述した第1の透明誘電体層に加えて、反射領域における第2基板の表面の高さを制御するためのさらなる透明誘電体層(「第2の透明誘電体層」と称する。)を反射領域に形成してもよい。第2の透明誘電体層は、反射領域において第1の透明誘電体層およびカラーフィルタ層よりも液晶層側に形成され、そのことによって、反射領域における第2基板の液晶層側の表面の高さが、透過領域における第2基板の液晶層側の表面の高さよりも高くなる。このような構成を採用すると、反射領域のカラーフィルタ層の厚さや存在比率などの制御とは独立に、反射領域における第2基板の表面の高さを制御することができるので、反射領域に位置するカラーフィルタ層の光学濃度の制御と、液晶層の厚さの制御とを精度良く、容易に行うことができる。
上述した、反射領域のカラーフィルタ層の光学濃度を制御するための第1の透明誘電体層と、反射領域における第2基板の表面の高さを制御するための第2の透明誘電体層とを有する構成を、「第2の構成」と称する。なお、第1の透明誘電体層および第2の透明誘電体層は、典型的には無着色の層である。
上述の「第1の構成」および/または「第2の構成」を用いることによって、マルチギャップ構造を有する透過反射両用型液晶表示装置において良好な表示品位を得ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明による実施形態の液晶表示装置をより具体的に説明する。以下の実施形態の液晶表示装置は、「第1の構成」および「第2の構成」の少なくとも一方を備えた液晶表示装置である。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
図1(a)および(b)と図2とを参照しながら、本発明による実施形態1の液晶表示装置100の1つの絵素領域の構造を説明する。図1(a)および(b)は、液晶表示装置100を模式的に示す上面図であり、図2は、図1(a)および(b)中の2A−2A’線に沿った断面図である。なお、図1(a)は、液晶表示装置100を構成するアクティブマトリクス基板100aの上面図であり、図1(b)は、アクティブマトリクス基板100aと、これに対向する対向基板100bとが貼り合わされた状態の上面図である。また、以下の図面においては、液晶表示装置100の構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素を同じ参照符号で示し、その説明を省略する。
液晶表示装置100は、アクティブマトリクス基板(以下、「TFT基板」と呼ぶ。)100aと、対向基板(以下、「カラーフィルタ基板」と呼ぶ。)100bと、これらの間に設けられた液晶層50とを有している。
また、液晶表示装置100は、マトリクス状に配列された複数の絵素領域ごとに透過領域Tと反射領域Rとを有しており、透過モードおよび反射モードで表示を行うことができる。透過モードおよび反射モードのいずれか一方のモードで表示を行うことも可能で、両方のモードで表示を行うこともできる。透過領域Tは、TFT基板100aの領域のうち、液晶層50に電圧を印加するための電極としての機能と光を透過する機能とを備えた領域によって規定される。また、反射領域Rは、TFT基板100aの領域のうち、液晶層50に電圧を印加するための電極としての機能と光を反射する機能とを備えた領域によって規定される。
TFT基板100aは、絵素領域ごとに設けられた絵素電極20、絵素電極20に対応して設けられたスイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)30、TFT30に電気的に接続されたゲート配線(走査配線)11およびソース配線(信号配線)12、絵素領域を横切るように形成された補助容量配線13などを有する。以下、さらに詳しく説明する。
TFT基板100aは、ガラス基板などの透明絶縁性基板10を有し、この透明絶縁性基板10上に、ゲート配線11、ゲート電極30G、補助容量配線13などが形成されている。さらに、これらを覆うようにゲート絶縁膜14が形成されている。ゲート電極30G上に位置するゲート絶縁膜14上に、半導体層15、チャネル保護層(エッチングストッパー層)16、ソース電極30Sおよびドレイン電極30Dが形成されており、これらがTFT30を構成している。TFT30のゲート電極30Gはゲート配線11に、ソース電極30Sはソース配線12に、ドレイン電極30Dは接続電極17に、それぞれ電気的に接続されている。ゲート配線11およびソース配線12は、タンタル等の金属から形成される。また、補助容量配線13は、本実施形態では、ゲート配線11と同一の膜から同一工程で形成される。
TFT30が形成された透明絶縁性基板10の表面のほぼ全面を覆うように層間絶縁膜18が形成されている。この層間絶縁膜18の表面に、透明電極22が形成されており、透明電極22上に反射電極24が形成されている。透明電極22は、例えばITOなどの透明導電材料から形成され、反射電極24は、例えばアルミニウムや銀などの高反射率金属から形成される。透明電極22は、層間絶縁膜18に設けられたコンタクトホール18aにおいて接続電極17と電気的に接続され、接続電極17を介してドレイン電極30Dに電気的に接続されている。反射電極24は、透明電極22を介して、ドレイン電極30Dに電気的に接続されている。ドレイン電極30Dに電気的に接続された透明電極22および反射電極24が、絵素電極20として機能する。本実施形態では、絵素電極20は、その一部が層間絶縁膜18を介してゲート配線11およびソース配線12と重なっている。また、補助容量配線13は、カラーフィルタ基板100b上に設けられた対向電極46に電気的に接続されており、接続電極17およびゲート絶縁膜14とともに補助容量を形成している。
液晶表示装置100では、反射電極24が反射領域Rを規定し、透明電極22の、反射電極24が形成されていない部分が透過領域Tを規定する。
反射領域Rを規定する反射電極24は、補助容量配線13に重なる反射電極24aと、ゲート配線11に重なる反射電極24bと、ソース配線12に重なる反射電極24cとから構成される。補助容量配線13は、ソース配線12が延びる方向(図1(a)および(b)中の方向Y)に沿った幅が35μmとなるように形成されており、補助容量配線13に重なる反射電極24aも同じく幅が35μmとなるように形成されている。また、ゲート配線11に重なる反射電極24bは、ソース配線12が延びる方向に沿った幅が4μmとなるように形成されており、ソース配線12に重なる反射電極24cは、ゲート配線11が延びる方向(図1(a)および(b)中の方向X)に沿った幅が4μmとなるように形成されている。なお、反射電極24の厚さは、0.1μm以上0.15μm以下とすることが好ましい。反射電極24の厚さが0.1μm未満であると、反射特性が低下し、対向基板100b側からの光が透過してしまう可能性がある。一方、反射電極24の厚さが0.15μmを超えると、透明電極22と反射電極24との高さの差が反射領域Rと透過領域Tとでの光路長の制御に影響を及ぼすことがある。また、反射電極24の厚さが0.15μm程度あれば十分な反射特性が得られるので、厚さが0.15μmを超えるように反射電極24を形成することは工業的に無駄である。
反射電極24の表面は、平坦(いわゆる鏡面状)であってもよいし、凹凸状でってもよい。反射電極24の表面が凹凸状であると、反射領域Rに入射する光が拡散反射されてペーパーホワイトに近い白表示を行うことができる。例えば、層間絶縁膜18の一部(反射電極24の下方に位置する部分)の表面を凹凸状に形成することによって、反射電極24の表面を、層間絶縁膜18の表面形状を反映した凹凸状とすることができる。
本実施形態では、TFT基板100aは、反射領域RにおけるTFT基板100aの液晶層50側の表面の高さと、透過領域TにおけるTFT基板100aの液晶層50側の表面の高さとが実質的に等しくなるように構成されている。
液晶表示装置100のカラーフィルタ基板100bは、ガラス基板などの透明絶縁性基板40を有し、この透明絶縁性基板40の液晶層50側の表面にカラーフィルタ層42が形成されている。カラーフィルタ層42は、透過領域Tおよび反射領域Rの両方にわたって形成されている。典型的には、カラーフィルタ層42は、赤(R)、緑(G)および青(B)の色層を有している。
カラーフィルタ層42上の反射領域Rに対応する領域、すなわち、反射電極24に対向する領域に、透明誘電体層(以下、単に「透明層」とも称する。)44a、44bおよび44cが設けられている。透明層44aは、補助容量配線13に重なる反射電極24aに対向するように形成され、透明層44bは、ゲート配線11に重なる反射電極24bに対向するように形成され、透明層44cは、ソース配線12に重なる反射電極24cに対向するように形成されている。
透明層44a、44bおよび44cは、典型的には無色であり、例えば、アクリル樹脂を用いて形成される。本実施形態では透明層44a、44bおよび44cはいずれも厚さ2.5μmで形成されている。反射電極24aに対向する透明層44aは、反射電極24aと同じく35μmの幅で形成されている。また、反射電極24bおよび24cが幅4μmで形成されているのに対して、これらに対向する透明層44bおよび44cは、隣接する絵素領域の反射電極24bおよび24cにも対向するように、幅15μmで形成されている。なお、ここで透明層44a、44bおよび44cの幅は、透明層44a、44bおよび44cの底面(カラーフィルタ層42と接する面)の幅を示す。
カラーフィルタ層42および透明層44a、44bおよび44cを覆うように、例えばITOなどの透明導電材料からなる対向電極46が形成されている。
さらに、典型的には、TFT基板100aおよびカラーフィルタ基板100bの液晶層50側の表面に、例えばポリイミド等の高分子材料からなる配向層(不図示)が形成されており、これらの配向層にはラビング処理が施されている。TFT基板100aとカラーフィルタ基板100bとは、シール材(例えばエポキシ樹脂)を介して貼り合わされており、これらの基板間の間隙に、液晶層50となる液晶材料が封入されている。
本実施形態では、反射領域Rにおける液晶層50の厚さは、透過領域Tにおける液晶層50の厚さの1/2である。具体的には、液晶層50の厚さは、透過領域Tにおいて5.0μmであり、反射領域Rにおいて2.5μmである。カラーフィルタ基板100bの表面段差CFdと反射領域Rにおける液晶層50の厚さRdとがほぼ等しくなるように透明層44a、44bおよび44cを形成することによって、反射領域Rにおける液晶層50の厚さRdを、透過領域Tにおける液晶層50の厚さTdの1/2とすることができる。
また、液晶表示装置100は、一対の基板の両側に配置された一対の偏光板(例えば円偏光板)19および49と、TFT基板100a側に設けられた照明装置(バックライト)60とを有している。バックライト60は、集光フィルムや導光板、反射シートなどを適宜組み合わせて構成されるが、なるべく光の利用効率が高いものを用いることが好ましい。
本実施形態の液晶表示装置100においては、絵素領域における透過領域Tの面積比率は65%であり、通常の透過型液晶表示装置とほぼ同じである。また、絵素領域における反射領域Rの面積比率は16.5%である。液晶表示装置100は、絵素領域ごとに透過領域Tと反射領域Rとを有しているので、室内において透過型液晶表示装置と同様の高コントラスト比の表示を行うことができるだけでなく、非常に明るい使用環境(例えば真夏の炎天下)においても表示が見えなくなることがなく、視認性に優れた表示を行うことができる。
また、本実施形態の液晶表示装置100においては、図2などに示したように、反射領域Rのカラーフィルタ層42上に透明誘電体層44a、44bおよび44cが形成されており、そのことによって、反射領域Rにおけるカラーフィルタ基板100bの液晶層50側の表面の高さが、透過領域Tにおけるカラーフィルタ基板100bの液晶層50側の表面の高さよりも高くなっている。さらに、反射領域RにおけるTFT基板100aの液晶層50側の表面の高さと、透過領域TにおけるTFT基板100aの液晶層50側の表面の高さとが実質的に等しい。
つまり、液晶表示装置100においては、観察者側の基板(カラーフィルタ基板100b)の表面にのみ段差が設けられており、そのことによってマルチギャップ構造が実現されている。従って、絵素領域内での表示に寄与しない領域(無効領域)の割合を低くして表示に寄与する領域の割合を高くし、それによって明るさの向上を図ることができる。以下、この理由を説明する。
図3(a)および(b)に、アクティブマトリクス基板1000aの表面に段差を設けることによってマルチギャップ構造が実現されている従来の液晶表示装置1000を模式的に示す。図3(a)は、液晶表示装置1000の1つの絵素領域を模式的に示す上面図であり、図3(b)は、図3(a)中の3B−3B’線に沿った断面図である。
液晶表示装置1000においては、透明絶縁性基板1010上に形成された層間絶縁膜1018上に反射電極1024が形成されており、層間絶縁膜1018に形成された開口部1018a内に透明電極1022が形成されている。透明電極1022を露出させるために層間絶縁膜1018に設けられる開口部1018aはテーパ状であり、層間絶縁膜1018は開口部1018aを囲むように傾斜した側面1018sを有している。この傾斜側面1018sを覆うように反射電極1024が形成されている。
傾斜側面1018sを覆う反射電極1024が外光を観察者側に効率よく反射すれば、傾斜側面1018sが存在する領域は反射領域Rとして機能するが、実際には、傾斜側面1018sの平均的なテーパ角は45°程度であるので、傾斜側面1018sの反射電極1024によって反射された光は、内部反射を繰り返し、カラーフィルタ基板から観察者側にほとんど出射しない。そのため、傾斜側面1018sが存在する領域は、表示に寄与しない無効領域Uとなる。
本願発明者が検討したところ、例えば、ある仕様の透過反射両用型液晶表示装置において、反射領域Rと透過領域Tとの面積比が72:28であり、絵素領域内で反射領域Rと透過領域Tが占める割合(すなわち開口率)がそれぞれ58.0%、22.7%であるとき、上述の無効領域Uが占める割合(面積比率)は8%であった。
この無効領域Uの割合は、絵素領域内での透過領域Tの割合が大きくなるほど大きくなる。図4に、絵素領域内で透過領域Tの占める割合すなわち透過開口率(%)と、無効領域Uの面積比率(%)との関係を示す。
図4に示したように、透過開口率が約23%のときには無効領域Uの面積比率は約8%であるのに対して、透過開口率が約51%のときには無効領域Uの面積比率は約25%である。このように、透過開口率が高くなるほど、無効領域Uの面積比率が高くなり、光の利用効率が低下してしまう。
これに対して、本実施形態の液晶表示装置100においては、カラーフィルタ基板100bの表面に段差を設けることによってマルチギャップ構造を実現しているので、上述したような無効領域が存在しない。そのため、光の利用効率を向上させ、明るさの向上を図ることができる。
なお、実際には、反射領域RにおけるTFT基板100aの表面の高さと、透過領域TにおけるTFT基板100aの表面の高さとが若干異なることがある。例えば、反射電極24が凹凸状の表面を有している場合、反射電極24の凹凸状の表面の平均的な高さが、透明電極22の表面の高さよりも若干高くなることがある。本願明細書において、「反射領域Rにおける表面の高さと透過領域Tにおける表面の高さとが実質的に等しい」とは、無効領域がほとんど発生しない程度(例えば層間絶縁膜のテーパ部がほとんど存在しない程度)に、透過領域Tにおける表面の高さと反射領域Rにおける表面の高さとの差が小さく規定されることを指す。具体的には、反射領域Rにおける表面の高さと透過領域Tにおける表面の高さとの差が、0.3μm以下であるとき、反射領域Rにおける表面の高さと透過領域Tにおける表面の高さとが実質的に等しいという。なお、反射電極24が凹凸状の表面を有している場合、絵素電極20の表面の高さをできるだけ均一にして液晶層50の厚さの制御を容易に行うために、凹凸状の表面の平均的な高さと透明電極22との高さの差は0.5μm以下とすることが好ましい。
上述したように、アクティブマトリクス基板の表面には段差を設けず、カラーフィルタ基板の表面に段差を設ける「第1の構成」を採用することによって光の利用効率を向上することができるが、さらに、本実施形態のように反射電極24を絵素領域内の不透明な構成要素(例えば補助容量配線13など)上に形成することで、光の利用効率をさらに向上することができる。
図5(a)および(b)と図6とに、本発明による実施形態1の他の液晶表示装置100’を模式的に示す。
液晶表示装置100においては、ゲート配線11およびソース配線12に重なる反射電極24bおよび24cと、反射電極24bおよび24cに対向する透明層44bおよび44cが設けられているのに対して、液晶表示装置100’においては、ゲート配線11およびソース配線12に重なる反射電極や、ゲート配線11やソース配線12に対向する透明層が設けられていない。つまり、液晶表示装置100’は、液晶表示装置100の反射電極24bおよび24cと透明層44bおよび44cとを省略したものに相当する。
液晶表示装置100’においては、絵素領域における透過領域Tの面積比率は65%であり、反射領域Rの面積比率は13.5%である。液晶表示装置100’においては、液晶表示装置100に比べると、反射電極24の一部が省略されている分、反射領域の面積比率が小さいものの、液晶表示装置100と同様に、視認性に優れた表示を行うことができる。
また、液晶表示装置100’においても、液晶表示装置100と同様に、観察者側の基板(カラーフィルタ基板100b)の表面にのみ段差が設けられており、そのことによってマルチギャップ構造が実現されているので、絵素領域内での表示に寄与する領域の割合を高くし、明るさのさらなる向上を図ることができる。
(実施形態2)
図7に、本発明による実施形態2の液晶表示装置200を模式的に示す。液晶表示装置200は、カラーフィルタ層42が反射領域Rと透過領域Tとで異なる材料から形成されている点において、図6に示した液晶表示装置100’と異なっている。
透過領域Tに形成されたカラーフィルタ層42bは、透過モードでの表示に適するように、比較的色が濃い材料(色再現範囲が広い材料)を用いて形成されている。一方、反射領域Rに形成されたカラーフィルタ層42aは、反射モードでの表示に適するように、比較的色が薄く、光透過率が高い材料を用いて形成されている。本実施形態では、反射領域Rのカラーフィルタ層42aと透過領域Tのカラーフィルタ層42bとは、同じ厚さとなるように形成されている。
反射領域Rのカラーフィルタ層42a上に、透明誘電体層(透明層)44aが形成されている。ここでは、透明層44aの幅は、カラーフィルタ層42aの幅と同じであり、透明層44aの厚さは、2.5μmである。液晶層50の厚さは、透過領域Tにおいて5.0μmであり、反射領域Rにおいて2.5μmである。
本実施形態の液晶表示装置200においては、反射領域R内のカラーフィルタ層42aが、透過領域T内のカラーフィルタ層42bとは異なる材料から形成されているので、反射領域Rのカラーフィルタ層42aの光学濃度と透過領域Tのカラーフィルタ層42bの光学濃度とを、それぞれ反射モードおよび透過モードでの表示に適したものとすることが可能になる。そのため、透過領域Tにおいて色純度の高い高コントラスト比の表示を実現しつつ、反射領域Rにおいて明るく鮮明な表示を実現することができる。
(実施形態3)
図8に、本発明による実施形態3の液晶表示装置300を模式的に示す。液晶表示装置300は、カラーフィルタ層42上に設けられた透明誘電体層を有しておらず、反射領域R内のカラーフィルタ層42aの厚さが透過領域T内のカラーフィルタ層42bの厚さよりも厚く、そのことによってカラーフィルタ基板100bの表面に段差が設けられている点において、図7に示した液晶表示装置200と異なっている。
ここでは、透過領域Tのカラーフィルタ層42bが厚さ1μmで形成され、反射領域Rのカラーフィルタ層42aが厚さ3.5μmで形成されている。従って、反射領域Rにおける表面の高さが透過領域Tにおける表面の高さに比べて2.5μm高くなっており、透過領域Tにおける液晶層50の厚さが5.0μm、反射領域Rにおける液晶層50の厚さが2.5μmとなっている。
本実施形態の液晶表示装置300では、反射領域R内のカラーフィルタ層42aが、透過領域T内のカラーフィルタ層42bとは異なる材料から形成されているので、液晶表示装置200と同様に、透過領域Tにおいて色純度の高い高コントラスト比の表示を実現しつつ、反射領域Rにおいて明るく鮮明な表示を実現することができる。
さらに、本実施形態の液晶表示装置300では、カラーフィルタ層42上に透明誘電体層を形成する必要がない。そのため、透明誘電体層の位置合わせずれが発生することがなく、より精度よくカラーフィルタ基板100bを作製することができる。また、透明誘電体層を形成するプロセスが省略されるので、製造工程の簡略化を図ることができる。さらに、透明誘電体層に起因した透過率の低下や着色が発生することもないので、カラーフィルタ層42の設計(カラーフィルタ基板100bの設計)が容易となる利点もある。
(実施形態4)
図9(a)および(b)と図10とに、本発明による実施形態4の液晶表示装置400を模式的に示す。実施形態1、2および3の液晶表示装置100、200および300が「第1の構成」を備えているのに対して、本実施形態の液晶表示装置400は、「第1の構成」に加えて「第2の構成」を備えている。
本実施形態の液晶表示装置400は、カラーフィルタ層42が反射領域Rの一部に開口部42’を有している点において、図5(a)、(b)および図6に示した液晶表示装置100’と異なる。
図9(b)および図10に示したように、カラーフィルタ層42は、反射領域Rの一部に形成された開口部42’を有している。この開口部42’内には、第1の透明誘電体層(以下、単に「第1透明層」とも称する。)44a1が形成されている。さらに、反射領域R内のカラーフィルタ層42および第1透明層44a1上に、第2の透明誘電体層(以下、単に「第2透明層」とも称する。)44a2が形成されている。第2透明層44a2は、反射電極24aに対向するように厚さ2.5μmで形成されており、そのことによって、反射領域Rの液晶層50の厚さが透過領域Tの液晶層50の厚さ(5.0μm)の半分(2.5μm)となっている。
本実施形態では、カラーフィルタ層42が反射領域Rの一部に形成された開口部42’を有し、この開口部42’内に第1透明層44a1が形成されているので、反射領域Rを通過する表示光の一部は、カラーフィルタ層42によって囲まれた第1透明層44a1を通過する。従って、反射領域Rでは、カラーフィルタ層42を通過した光と、第1透明層44a1(開口部42’)を通過した光とが混ざり合うことによって表示が行われる。そのため、反射領域Rにおける透過率が向上し、透過領域Tの色純度が最適となるようにカラーフィルタ層42の厚さを設定しても、反射領域Rでの表示が暗くなることがない。その結果、透過領域Tおよび反射領域Rの両方で明るく、且つ、色純度が高い表示を行うことができる。
カラーフィルタ層42の開口部42’の面積(基板法線方向からみたときの面積)は、所望する明るさや色再現範囲に応じて適宜設定される。逆に言うと、開口部42’の面積を変化させることによって、反射領域Rの明るさや色再現範囲を任意に設定することができる。一例を挙げると、1つの絵素領域の大きさが80μm×240μm、反射領域Rの大きさが60μm×40μm、カラーフィルタ層42の厚さが1μmの場合、例えば、カラーフィルタ層42の開口部42’の大きさを25μm×12μmとすることによって、透過領域Tの光学濃度と反射領域Rの光学濃度(反射領域を往復する光に対する光学濃度)とをほぼ同じとすることができる。
なお、開口部42’の面積を各色層とも同じに(例えばR、G、Bの3色とも同じに)設定してもよいし、所望する反射領域Rの明るさや色再現範囲、ホワイトポイント(白の色度)などに応じて各色層ごとで異なるように設定してもよい。また、必要な色層にのみ開口部42’を形成してもよい。
本実施形態の液晶表示装置400が備えるカラーフィルタ層42、第1透明層44a1および第2透明層44a2の形成方法の一例を、図11(a)〜(g)を参照しながら説明する。なお、以下では、カラーフィルタ層42がR、G、Bに対応する赤色層42R、緑色層42Gおよび青色層42Bを有する場合について説明し、ブラックマトリクスBMを形成する工程についても併せて説明する。
まず、図11(a)に示すように、透明基板40上に、金属膜(または樹脂膜)41を形成し、その後、図11(b)に示すように、この金属膜(または樹脂膜)41を所定の形状にパターニングすることによってブラックマトリクスBMを形成する。
次に、ブラックマトリクスBMが形成された透明基板40上に赤色の感光性樹脂材料を塗布し、所定の形状にパターニングすることによって、図11(c)に示すように、赤色層42Rが形成される。このとき、反射領域Rとなる領域の一部に開口部42’が形成されるようにパターニングが施される。なお、感光性樹脂材料の塗布方法としては、例えばスピンコート法やドライフィルム法が用いられる。
同様にして、緑色の感光性樹脂材料を用いて図11(d)に示すように緑色層42Gが形成され、続いて、青色の感光性樹脂材料を用いて図11(e)に示すように青色層42Bが形成される。このようにして、赤色層42R、緑色層42Gおよび青色層42Bを有するカラーフィルタ層42が形成される。
続いて、カラーフィルタ層42が形成された透明基板40上に透明誘電体材料(例えば透明樹脂材料)を塗布し、その後、塗布された透明誘電体材料を反射領域Rに位置する部分が残るようにパターニングすることによって、図11(f)に示すように第1透明層44a1および第2透明層44a2を形成する。その後、図11(g)に示すように、カラーフィルタ層42および第2透明層44a2を覆うように透明導電材料を用いて対向電極46を形成する。
なお、上記の説明では、第1透明層44a1と第2透明層44a2とを一体に形成する場合について説明したが、これらを別々に形成してもよい。例えば、図11(a)〜(e)に示した工程の後、図12(a)に示すように、カラーフィルタ層42の開口部42’内に第1透明層44a1を形成し、その後、図12(b)に示すように、反射領域Rのカラーフィルタ層42および第1透明層44a1上に第2透明層44a2を形成してもよい。
第1透明層44a1と第2透明層44a2とを同時に形成する場合、開口部42’の大きさや形状、透明誘電体材料の種類などによっては、第2透明層44a2の表面に下地形状(開口部42’を有するカラーフィルタ層42の表面形状)を反映した起伏が発生することがある。図12(a)および(b)に示したように、第1透明層44a1と第2透明層44a2とを別々に形成すると、そのような起伏が発生することがなく、反射領域Rの液晶層50の厚さを一定とすることが容易になる。一方、図11(f)に示したように第1透明層44a1と第2透明層44a2とを一体に同時に形成すると、これらを別々に形成するよりもプロセスを簡略化することができるという利点がある。
本実施形態のように、カラーフィルタ層42に開口部42’を設ける構成は、実施形態2および3の液晶表示装置200および300のように、透過領域Tと反射領域Rとで異なる材料を用いて色層を形成する構成よりも、製造プロセスを簡略化することができる。また、カラーフィルタ層42を形成するための材料を各色層ごとに2種類用意する必要がないので、製造コストを削減することができる。従って、上記構成は工業上非常に有用である。
例えば、カラーフィルタ層が赤色層、緑色層および青色層を有する場合、本実施形態の液晶表示装置400では、カラーフィルタ層42の色層を形成する工程を3回(R、G、Bのそれぞれについて1回ずつ)行い、その後、第1透明層44a1および第2透明層44a2を形成すればよい。これに対して、実施形態2の液晶表示装置200では、カラーフィルタ層42の色層を形成する工程を6回(R、G、Bのそれぞれについて2回ずつ)行い、その後に透明層44aを形成する必要があるし、実施形態3の液晶表示装置300においても、カラーフィルタ層42の色層を形成する工程を6回(R、G、Bのそれぞれについて2回ずつ)行う必要がある。
本実施形態の液晶表示装置400は、TFT基板100aの表面には段差を設けず、カラーフィルタ基板100bの表面に段差を設ける、「第1の構成」を備えているので、実施形態1、2および3の液晶表示装置100、200および300などと同様に、光の利用効率を向上させることができる。
また、本実施形態の液晶表示装置400は、反射領域Rにおけるカラーフィルタ層42の存在比率を透過領域Tよりも減少させて反射領域Rの光学濃度を制御する第1の透明誘電体層44a1と、反射領域Rにおいて第1の透明誘電体層44a1およびカラーフィルタ層42よりも液晶層50側に形成され、カラーフィルタ基板100bの表面の高さを制御する第2の透明誘電体層44a2とを有する構成、すなわち、「第2の構成」を備えている。従って、反射領域Rにおけるカラーフィルタ層42の存在比率の制御とは独立に、反射領域Rにおけるカラーフィルタ基板100bの表面の高さを制御することができる。そのため、反射領域Rに位置するカラーフィルタ層42の光学濃度の制御と、液晶層50の厚さの制御とを精度良く、容易に行うことができる。
(実施形態5)
図13(a)および(b)と図14とに、本発明による実施形態5の液晶表示装置500を模式的に示す。本実施形態の液晶表示装置500は、カラーフィルタ層42が反射領域R内に複数の開口部42’を有している点において実施形態4の液晶表示装置400とは異なっている。また、液晶表示装置500は、補助容量配線13および反射電極24aが正方形に近い形状に形成されている点においても液晶表示装置400と異なっている。
本実施形態の液晶表示装置500においては、カラーフィルタ層42に開口部42’を形成することによって反射領域Rにおける透過率の向上を実現しているので、実施形態4の液晶表示装置400と同様に、製造プロセスの簡略化および製造コストの削減という利点が得られる。
また、液晶表示装置500においては、図13(b)および図14に示すように、反射領域R内のカラーフィルタ層42に複数の開口部42’が形成されているので、第1透明層44a1と第2透明層44a2とを同時に形成しても、第2透明層44a2の表面に下地形状を反映した起伏が発生しにくい。そのため、反射領域Rの液晶層50の厚さを一定に制御することが容易である。
さらに、液晶表示装置500では、反射電極24aが正方形に近い形状に形成されているので、反射電極24aの表面を凹凸状とする場合に、凸部(凹部)を効率よく配置することができる。そのため、反射電極24aの反射特性を向上することができる。
(実施形態6)
図15および図16に、本発明による実施形態6の液晶表示装置600Aおよび600Bを模式的に示す。図15に示した液晶表示装置600Aは、透明誘電体層44a’が光を拡散する機能を有する点において、図7に示した実施形態2の液晶表示装置200と異なっている。また、図16に示した液晶表示装置600Bは、第1の透明誘電体層44a1’および第2の透明誘電体層44a2’が光を拡散する機能を有する点において、図14に示した実施形態5の液晶表示装置500と異なっている。
液晶表示装置600Aにおいては、透明層44a’が光を拡散(散乱)する機能を有している。ここでは、透明層44a’は、屈折率が1.48のアクリル系の感光性透明樹脂に、屈折率が1.35のシリカ系の微粒子48を10体積%混入させた材料を用いて形成されており、透明層44a’の光拡散性を示すヘイズ率は55%である。なお、透明樹脂や微粒子48の屈折率や、微粒子48の混入量、あるいは、透明層44a’のヘイズ率はここで例示した値に限定されず、所望する表示特性等に応じて適宜設定され得る。
本実施形態の液晶表示装置600Aにおいては、反射領域Rを通過する光が透明層44a’によって拡散(散乱)されるので、実施形態2の液晶表示装置200に比べて、反射領域Rにおける光反射率が12%向上する。また、平行度の高い光(例えば太陽光)を発する光源下でも、規則的に配置された反射電極24や反射電極24の凹凸状表面によって発生する回折現象に起因した、虹状の着色現象が抑制される。そのため、さらに優れた表示品位が得られる。
なお、偏光板49とカラーフィルタ基板100bとを接着する粘着層に散乱材(シリカやアクリル樹脂からなる微粒子)を混入することによって光を拡散する機能を付与しても、反射率の向上や虹状の着色現象の抑制という効果は得られるが、その場合には透過領域Tを通過する光も拡散されてしまうので、コントラスト比や透過率の低下を招いてしまう。これに対して、液晶表示装置600Aでは、選択的に反射領域Rに設けられた透明層44a’が光を拡散する機能を有しているので、透過領域Tの表示特性に支障をきたすことなく反射領域Rの表示特性を向上できる。
なお、ここでは、光を拡散する機能を有する透明層44a’として、マトリクス材料と、マトリクス材料の屈折率と異なる屈折率を有する粒子とを含むものを例示したが、勿論これに限定されず、光拡散層として機能する層であればよい。
液晶表示装置600Aが有する透明層44a’と同様に、図16に示した液晶表示装置600Bが有する第1透明層44a1’および第2透明層44a2’は、光を拡散する機能を有している。ここでは、第1透明層44a1’および第2透明層44a2’は、液晶表示装置600Aの透明層44a’と同じ材料を用いて形成されている。
液晶表示装置600Bでは、第1透明層44a1’および第2透明層44a2’が光を拡散する機能を有しているので、液晶表示装置600Aと同様の効果が得られる。
なお、液晶表示装置600Bでは、第1透明層44a1’および第2透明層44a2’の両方が光を拡散する機能を有するが、勿論、一方のみが光を拡散する機能を有していてもよい。
図17に、本実施形態の他の液晶表示装置600Cを模式的に示す。液晶表示装置600Cは、第2透明層44a2’が光を拡散する機能を有している点以外は、図10に示した液晶表示装置400と同様の構成を有している。
液晶表示装置600Cにおいても、液晶表示装置600Aや液晶表示装置600Bと同様に、表示特性を向上する効果が得られる。
なお、本願明細書中の、「透明誘電体層」、「第1透明誘電体層」および「第2透明誘電体層」は、本実施形態の説明で述べたように、光を拡散する機能を有してもよく、厳密な意味での透明性は必要とされない。つまり、光を適度に通過させて表示を行うことができる程度に透明であればよい。
(実施形態7)
図18に、本発明による実施形態7の液晶表示装置700を模式的に示す。液晶表示装置700は、反射領域Rに形成されたカラーフィルタ層42a’が光を拡散する機能を有する点において、図8に示した実施形態3の液晶表示装置300と異なっている。
液晶表示装置700においては、反射領域Rに形成されたカラーフィルタ層42a’が光を拡散する機能を有する。ここでは、カラーフィルタ層42a’は、屈折率が1.47の色層材料に、屈折率が1.35のシリカ系の微粒子48を10体積%混入させた材料を用いて形成されており、カラーフィルタ層42a’のヘイズ率は58%である。
本実施形態の液晶表示装置700においては、反射領域Rを通過する光が反射領域Rに形成されたカラーフィルタ層42a’によって拡散(散乱)されるので、実施形態3の液晶表示装置300に比べて、反射領域Rにおける光反射率が14%向上する。また、実施形態6の液晶表示装置600A、600Bおよび600Cと同様に、虹状の着色現象が抑制された、優れた表示品位が得られる。また、選択的に反射領域Rに設けられたカラーフィルタ層42a’が光を拡散する機能を有しているので、透過領域Tの表示特性に支障をきたすことなく反射領域Rの表示特性を向上できる。
(実施形態8)
図19を参照しながら、本発明による実施形態8の液晶表示装置800の構造を説明する。
図19に示したように、液晶表示装置800は、背面基板800aと、背面基板800aに対向するカラーフィルタ基板(前面基板)800bと、これらの間に設けられた液晶層50とを有している。
透過反射両用型の液晶表示装置800は、図19に示したように、マトリクス状に配列された複数の絵素領域ごとに透過領域Tと反射領域Rとを有しており、透過モードおよび反射モードで表示を行うことができる。透過モードおよび反射モードのいずれか一方のモードで表示を行うことも可能で、両方のモードで表示を行うこともできる。透過領域Tは、背面基板800aの領域のうち、液晶層50に電圧を印加するための電極としての機能と光を透過する機能とを備えた領域によって規定され、反射領域Rは、背面基板800aの領域のうち、液晶層50に電圧を印加するための電極としての機能と光を反射する機能とを備えた領域によって規定される。
背面基板800aは、透明絶縁性基板(例えばガラス基板)10を有し、この透明絶縁性基板10上に形成された絶縁膜18と、絶縁膜18上に設けられたストライプ状の列電極25とを有する。
列電極25は、絶縁膜18上に形成された透明電極22と、透明電極22上の一部に形成された反射電極24とから構成される。液晶表示装置800では、反射電極24が反射領域Rを規定し、透明電極22の、反射電極24が形成されていない部分が透過領域Tを規定する。
透明電極22は、例えばITOなどの透明導電材料から形成され、反射電極24は、例えばアルミニウムなどの高反射率金属から形成される。本実施形態では、反射電極24の下方に位置する部分の絶縁膜18の表面が凹凸状に形成されており、反射電極24の表面は、絶縁膜18の表面形状を反映した凹凸状である。なお、本実施形態では、反射電極24はその全面で透明電極22に接触し、そのことによって透明電極22に電気的に接続されているが、透明電極22と反射電極24とを必ずしもこのように形成する必要はなく、反射電極24の一部のみが透明電極22に接触していてもよい。
さらに、列電極25を覆うように、配向膜71が形成されている。配向膜71は、ここでは、水平配向性を有している。
本実施形態では、反射領域Rにおける背面基板800aの液晶層50側の表面の高さと、透過領域Tにおける背面基板800aの液晶層50側の表面の高さとは実質的に等しい。なお、本実施形態では、反射電極24が凹凸状の表面を有しており、反射電極24の凹凸状の表面の平均的な高さは、厳密には透明電極22の表面の高さよりも若干高くなることがある。ただし、透過領域Tにおける基板表面の高さと反射領域Rにおける基板表面の高さとの差は、無効領域がほとんど発生しない程度に小さいので、反射領域Rにおける表面の高さと、透過領域Tにおける表面の高さとが実質的に等しいといえる。
背面基板800aに対向するカラーフィルタ基板800bは、図19に示したように、透明絶縁性基板(例えばガラス基板)40を有している。透明絶縁性基板40の液晶層50側の表面に、第1の透明誘電体層(第1透明層)47aが形成されている。第1透明層47aは、反射領域Rの少なくとも一部に形成されており、第1透明層47aを覆うようにカラーフィルタ層42が形成されている。つまり、第1透明層47aは、反射領域Rの少なくとも一部に形成され、透明絶縁性基板40とカラーフィルタ層42との間に介在している。さらに、反射領域Rのカラーフィルタ層42上に第2の透明誘電体層(第2透明層)47bが形成されている。つまり、第2透明層47bは、第1透明層47aおよびカラーフィルタ層42よりも液晶層50側に形成されている。
本実施形態では、カラーフィルタ層42は、反射領域Rの少なくとも一部におけるカラーフィルタ層42の厚さが、透過領域Tにおけるカラーフィルタ層42の厚さよりも薄く(小さく)なるように形成されている。具体的には、第1透明層47a上に位置するカラーフィルタ層42の厚さが、第1透明層47a上に位置していないカラーフィルタ層42の厚さよりも薄い。
また、カラーフィルタ基板800bは、液晶層50に電圧を印加するためのストライプ状の行電極45を有している。行電極45は、カラーフィルタ層42および第2の透明誘電体層47bを覆うように形成されている。さらに、行電極45を覆うように、配向膜72が形成されている。配向膜72は、ここでは、水平配向性を有している。
背面基板800aとカラーフィルタ基板800bとの間に設けられた液晶層50としては、公知の様々なモードの液晶層を用いることができる。本実施形態では、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードの液晶層50を用い、液晶層50の複屈折性を利用して入射光の通過/遮断を制御する。本実施形態では、反射領域Rにおける液晶層50の厚さは、透過領域Tにおける液晶層50の厚さよりも薄い。具体的には、反射領域Rにおける厚さが、透過領域Tにおける厚さの1/2となるように設定されている。背面基板800aの液晶層50側の表面の高さは、透過領域Tと反射領域Rとでほぼ等しいので、カラーフィルタ基板800bの表面段差CFdと反射領域Rにおける液晶層50の厚さRdとがほぼ等しくなるようにカラーフィルタ基板800bを作製することによって、反射領域Rにおける液晶層50の厚さRdを、透過領域Tにおける液晶層50の厚さTdの1/2とすることができる。
ここで、液晶表示装置800の製造方法を説明する。液晶表示装置800の背面基板800aは、公知の方法を用いて製造することができるので、ここでは、その説明を省略する。
まず、カラーフィルタ基板800bを以下のようにして製造する。
まず、図20(a)に示すように、透明絶縁性基板40上に、第1透明層47aを、反射領域R内に位置するように形成する。具体的には、例えば、アクリル系の感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィプロセスにより、第1透明層47aを形成する。勿論、エッチングによるパターニングや、印刷、あるいは転写などの方法を用いて第1透明層47aを形成してもよい。
次に、図20(b)に示すように、第1透明層47aが形成された透明絶縁性基板40上に、カラーフィルタ層42を形成する。具体的には、例えば、アクリル系の顔料分散型感光性樹脂を用いてカラーフィルタ層42の各色層を形成する。透明絶縁性基板40上に、各色層となる感光性樹脂を塗布すると、第1透明層47aが形成されて凹凸状になった表面に塗布される感光性樹脂の表面は、程度の差はあるものの平坦化される。そのため、図20(b)に示したように、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42(各色層)の厚さは、他の領域のカラーフィルタ層42の厚さよりも小さくなる。つまり、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42は、膜減りによってその厚さが薄くなる。
続いて、図20(c)に示すように、反射領域Rのカラーフィルタ層42上に第2の透明誘電体層47bを形成する。具体的には、例えば、アクリル系の感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィプロセスにより、第2の透明誘電体層47bを形成する。
その後、上述のようにして形成されたカラーフィルタ層42および第2の透明誘電体層47b上に、透明導電材料(例えばITO)を用いて行電極45を形成し、さらにその上に配向膜72を形成することによって、カラーフィルタ基板800bが完成する。
次に、上述のようにして得られたカラーフィルタ基板800bと、別途に用意した背面基板800aとを所定の間隔で貼り合わせる。なお、これらを貼り合わせる前に、両方の基板の液晶層50側となる表面に必要に応じて配向処理を施しておく。カラーフィルタ基板800bと背面基板800aとが貼り合わされた後、これらの間隙に液晶層50となる液晶材料が注入され、液晶表示装置800が完成する。
既に述べたように、透過反射両用型の液晶表示装置においては、透過領域と反射領域とで表示光がカラーフィルタ層を通過する回数が異なる(透過領域では1回であるのに対して反射領域では2回)ので、透過領域および反射領域の両方で明るく、且つ、色純度が高い表示を行うことが難しいという問題がある。透過領域での色純度が最適となるようにカラーフィルタ層の光学濃度を比較的濃く設定すると、反射領域を通過する光はカラーフィルタ層によって過度に吸収されるので反射領域での表示が暗くなってしまうし、他方、反射領域での表示が明るくなるようにカラーフィルタ層の光学濃度を比較的薄く設定すると、透過領域での色純度が低くなってしまうからである。
実施形態4および5の液晶表示装置400および500においては、図10や図14などに示したように、反射領域Rのカラーフィルタ層42に開口部42’を設けることによって、反射領域Rにおける透過率の低下を抑制し、それによって、透過領域Tと反射領域Rの両方で明るく、且つ、色純度が高い表示を実現している。
しかしながら、カラーフィルタ層42に開口部42’を設ける方式によると、反射領域Rでは、カラーフィルタ層42を通過した光と、カラーフィルタ層42ではなく開口部42’を通過した光とが混ざり合うことによって表示が行われるので、反射領域Rにおいて色純度(色再現範囲)が十分に高くならないことがある。
これに対して、本実施形態の液晶表示装置800においては、反射領域Rの少なくとも一部におけるカラーフィルタ層42の厚さが透過領域Tにおけるカラーフィルタ層42の厚さよりも薄く、そのことによって、反射領域Rにおける透過率の低下が低減される。従って、反射領域Rにおいて、カラーフィルタ層42を通過しない光を表示に利用する必要がなく、カラーフィルタ層42を通過した光のみを用いて表示を行うことができる。そのため、本発明による液晶表示装置800においては、反射領域Rにおいても十分に色純度が高い(色再現性が高い)表示が実現される。
本実施形態においては、反射領域Rの少なくとも一部に第1透明層47aを形成することにより、第1透明層47a上に位置するカラーフィルタ層42の厚さを薄くし、カラーフィルタ層42に上述のような厚さ分布を生じさせる。
第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さは、第1透明層47aの厚さ、面積、形状などに依存して変化するので、これらを適宜設定することによって、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さを任意の値に設定し、それによって、所望の明るさや色再現範囲を得ることができる。
一例を挙げると、1つの絵素領域の大きさが80μm×240μm、反射領域Rの大きさが60μm×40μm、カラーフィルタ層42の厚さが1μmの場合、例えば、第1透明層47aの大きさを反射領域Rとほぼ同じ60μm×40μm、厚さを2μmとすると、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さが0.5μm程度となり、透過領域Tの光学濃度と反射領域Rの光学濃度(反射領域Rを往復する光に対する光学濃度)とをほぼ同じとすることができる。なお、このとき、透過領域Tにおける液晶層50の厚さTdが5μmであるならば、第2透明層47bの厚さを1μmとすることによって、反射領域Rにおける液晶層50の厚さRdが2.5μmとなり、反射領域Rにおける液晶層50の厚さRdが透過領域Tにおける液晶層50の厚さTdの1/2となる。
本願発明者が検討したところ、第1透明層47aの形状および厚さと、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さとの関係について、おおよそ以下の(1)〜(3)の傾向があることがわかった。
(1)第1透明層47aの厚さが厚いほど、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さが薄くなる。
(2)反射領域R内での第1透明層47aの占有率が大きいほど、第1透明層47a上のカラ−フィルタ層42の厚さが薄くなる。
(3)反射領域R内での第1透明層47aの占有率(面積)を一定とすると、反射領域R1つに対して第1透明層47aが1つ配置されているよりも、より小さなサイズの第1透明層47aが複数配置されている方が、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さが薄くなる。すなわち、反射領域R内に第1透明層47aが離散的に形成されている方が、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さが薄くなる。また、第1透明層47aの占有率(面積)が一定ならば、第1透明層47aの数が多いほど、すなわち、第1透明層47aがより細かく多くの島状に形成されているほど、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さは薄くなる。
上述の(1)〜(3)の傾向を考慮し、第1透明層47aの形状や厚さを適宜設定することによって、第1透明層47a上に位置するカラーフィルタ層42の厚さを制御することができる。
上述したように、液晶表示装置800は、反射領域Rにおけるカラーフィルタ層42の厚さを透過領域Tよりも減少させて反射領域Rの光学濃度を制御する第1の透明誘電体層47aを有している。
本実施形態の液晶表示装置800は、さらに、反射領域Rにおいて第1の透明誘電体層47aおよびカラーフィルタ層42よりも液晶層50側に形成され、カラーフィルタ基板100bの表面の高さを制御する第2の透明誘電体層47bを有しているので、反射領域Rにおけるカラーフィルタ層42の厚さの制御とは独立に、反射領域Rにおけるカラーフィルタ基板100bの表面の高さを制御することができる。そのため、反射領域Rに位置するカラーフィルタ層42の光学濃度の制御と、液晶層50の厚さの制御とを精度良く、容易に行うことができる。
第1透明層47aを覆うようにカラーフィルタ層42を形成する際、膜減りによってカラーフィルタ層42の表面は平坦化されるが、必ずしも完全に平坦となるわけではなく、図20(b)に示したように凹凸状となる場合もある。そのため、第2透明層47bを設けずに、図21に示す液晶表示装置1100のように、この段差CFdを利用して液晶層50の厚さを制御することもできないわけではない。
しかしながら、第1透明層47aの厚さや形状などを制御することのみによって、その上に形成されるカラーフィルタ層42の厚さと、カラーフィルタ層42の段差との2つの値を同時に最適に制御することは実際には困難である。
例えば、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さは、第1透明層47aの厚さや形状だけではなく、透過領域Tにおけるカラーフィルタ層42の厚さにも依存して変化するが、透過領域Tにおけるカラーフィルタ層42の厚さは、透過領域Tに要求される色純度と用いる色層材料の光学濃度とに応じて自ずと決定されるものである。このような制約のもとで、第1透明層47aの厚さや形状を制御することのみによって、第1透明層47a上のカラーフィルタ層42の厚さを反射表示に最適なものとしつつ、反射領域Rにおける液晶層50の厚さを透過領域Tにおける液晶層50の厚さの1/2とするのは難しい。
これに対して、本実施形態の液晶表示装置800は、反射領域Rのカラーフィルタ層42の光学濃度を制御するための第1の透明誘電体層47aと、反射領域Rにおけるカラーフィルタ基板800bの表面の高さを制御するための第2の透明誘電体層47bとを有する、「第2の構成」を備えているので、反射領域Rのカラーフィルタ層42の光学濃度の制御と、液晶層50の厚さの制御とを精度良く、容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、単純マトリクス型の液晶表示装置について説明したが、勿論、図22に示す液晶表示装置800’のように、絵素領域ごとにスイッチング素子としてのTFT30を備えるアクティブマトリクス型の液晶表示装置においても、同様の構成を備えることによって同様の効果を得ることができる。
(実施形態9)
実施形態4、5、6、7および8では、「第1の構成」と「第2の構成」とを備える液晶表示装置について説明したが、「第1の構成」を備えていない液晶表示装置においても、「第2の構成」を用いることで、反射領域のカラーフィルタ層の光学濃度の制御と、液晶層の厚さの制御とを精度良く、容易に行うことができるという効果が得られる。
図23に、本発明による実施形態9の液晶表示装置900を模式的に示す。液晶表示装置900は、「第1の構成」を備えていない点において実施形態8の液晶表示装置800’と異なっている。
液晶表示装置900においては、背面基板900aの表面に段差が設けられている。反射領域Rにおける背面基板900aの表面の高さは、透過領域Tにおける背面基板900aの表面の高さよりも高い。
背面基板900aの表面段差Kdとカラーフィルタ基板900bの表面段差CFdとの和が、反射領域Rの液晶層50の厚さRdと等しくなるように、カラーフィルタ基板900b上の第2透明層47bの厚さを調整することによって、反射領域Rの液晶層50の厚さRdを透過領域Tの液晶層50の厚さの1/2とすることができる。
一例を挙げると、1つの絵素領域の大きさが80μm×240μm、反射領域Rの大きさが60μm×40μm、透過領域Tにおける液晶層50の厚さTdが5μm、背面基板900aの表面段差(反射領域Rと透過領域Tとでの高さの差)Kdが1μm、カラーフィルタ層42の厚さが1μmの場合、例えば、第1の透明誘電体層47aの大きさを反射領域Rとほぼ同じ60μm×40μm、厚さを1μmとすると、第1の透明誘電体層47a上のカラーフィルタ層42の厚さが0.7μm程度となり、透過領域Tの光学濃度よりも反射領域Rの光学濃度(反射領域を往復する光に対する光学濃度)を濃くすることができる。このとき、第2の透明誘電体層47bの厚さを0.8μmとすると、カラーフィルタ基板900bの表面段差CFdが1.5μmとなるので、反射領域Rにおける液晶層50の厚さを2.5μmとなり、反射領域Rにおける液晶層50の厚さが透過領域Tにおける液晶層50の厚さの1/2となる。
図24に、本発明による実施形態9の他の液晶表示装置900’を模式的に示す。液晶表示装置900’は、カラーフィルタ層42に開口部42’を形成することによって反射領域Rにおける透過率の低下を抑制している点において、液晶表示装置900と異なっているが、反射領域Rのカラーフィルタ層42の光学濃度を制御する第1の透明誘電体層41aと、液晶層50の厚さを制御する第2の透明誘電体層41bとを備えているので、液晶表示装置900と同様に、反射領域Rのカラーフィルタ層42の光学濃度の制御と、液晶層50の厚さの制御とを精度良く、容易に行うことができるという効果が得られる。