JP2007314862A - アルコール類化合物用の電気分解装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来メタノール等のアルコール類化合物を電気分解する場合に、電解電圧が高くなり、メタノール等のアルコール類化合物から、効率よく電気分解により水素ガスを製造することができなかった。
【解決手段】カソード側電極3aとして、シリコン等の所定の金属の粒子で構成される多孔質構造体を用いるとともに、アノードとカソードの間に固体高分子電解質膜2を挿入した電気分解装置1を用いることにより、メタノールを10V以下の電解電圧で電気分解することが可能になった。
【選択図】図1
【解決手段】カソード側電極3aとして、シリコン等の所定の金属の粒子で構成される多孔質構造体を用いるとともに、アノードとカソードの間に固体高分子電解質膜2を挿入した電気分解装置1を用いることにより、メタノールを10V以下の電解電圧で電気分解することが可能になった。
【選択図】図1
Description
本発明は、水素元素を有するアルコール類化合物を低エネルギで電気分解して水素ガスを製造する電気分解装置に関する。
将来必ずおきる化石燃料の枯渇の問題および温室効果ガスである二酸化炭素の排出の問題を解決するために、水素ガスをエネルギ輸送あるいはエネルギ貯蔵のキャリヤとして利用するエネルギシステムが検討されている。このような水素エネルギシステムを実現するには、効率的に水素ガスを製造する技術が必要である。
水素ガスを製造するには、水やメタノールを分解する方法が従来行われている。メタノールを分解して水素を製造する方法の場合、従来、メタノールを改質して水素ガスを得る方法が行われていた。この場合、メタノール改質には200℃以上の温度が必要とされ、また、反応時に生じる一酸化炭素や二酸化炭素を除去しなければならない。
一方、特許文献1において、本発明者による発明である、アルコール類化合物を電気分解して、有害な一酸化炭素を発生させることなく、二酸化炭素の発生も比較的少なくする水素ガスを製造する方法が開示されている。この発明においては、電極が、シリコン等の粒子の多孔質構造体からなることを特徴とするものであり、この方法によれば、高温での反応を経ることなくメタノールから水素ガスを製造可能である。
特開2005−82835号公報
しかしながら、従来のシリコン多孔質体電極による、炭化水素化合物の電気分解では電気分解に要する電解電圧が高く、たとえば、50V以上の電解電圧を印加しなければ水素ガス発生反応を進行させることができない。そのため、メタノールを電気分解して水素ガスを製造するために必要な入力電力が大きい。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、アルコール類化合物を低電解電圧で効率よく電気分解する装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、最外核軌道電子数が偶数であり、かつ酸素と反応し難い元素または弗化炭素からなる粒子から構成される板状の多孔質構造体であり、前記粒子間にエネルギ集中の場を有する孔が設けられているカソード側電極と、前記カソード側電極と導通された導電部と、前記カソードの導電部に導線を介して接続される電源と、を有するアルコール類化合物用の電気分解装置であって、前記カソードと前記カソードと向かい合う位置に配置されるアノードとの間に固体高分子電解質膜が挿入されたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、アノードとカソードに挿入された固体高分子電解質膜の作用およびカソード側の多孔質構造体電極の作用により、カソードでの水素イオンの還元が促進され、電気分解の電解電圧を低下させることができる。
前記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアルコール類化合物用の電気分解装置において、前記酸素と反応し難い元素からなる粒子が、珪素、チタン、ニッケル、サマリウムからなる群から選択された単一成分の元素からなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、所定の元素で構成されたカソード側電極を用いることにより、効率よく安定してアルコール類化合物の電気分解を行うことができる。
前記課題を解決するため、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のアルコール類化合物用の電気分解装置において、前記多孔質構造体が、粒子径が5μm以上かつ150μm以下の粒子から構成されていることを特徴とする、
請求項3に記載の発明によれば、粒子径が所定範囲の多孔質構造体のカソード側電極を用いることにより、カソード反応を促進してアルコール類化合物の電気分解を効率よくすることができる。
本発明によれば、アノードとカソードの間に挿入された固体高分子電解質膜の作用により、メタノール等のアルコール類化合物を従来よりも低い10V以下の電解電圧で電気分解を行い、従来よりも効率よく、水素ガスを製造することが可能になる。
本発明を実施するための最良の形態について説明する。まず、本発明を構成するアルコール類化合物の電気分解装置の構成について、図1および図2を適宜参照して説明する。図1は本発明の実施形態のアルコール類化合物の電気分解装置の構成を示す図である。図2は、本発明の実施形態のアルコール類化合物の電気分解装置のカソードの電極構造を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は部分拡大図である。
本発明を実施するための最良の形態であるアルコール類化合物の電気分解装置1では、図1に示すように、セル容器11、定電流電源7、アルコール類化合物槽10、カソード側発生気体捕集容器8およびアノード側発生気体捕集容器9より構成される。カソード側とアノード側の気体発生は完全に分離されている。セル容器11内には、多孔質構造体からなるカソード側電極3a、カーボンからなるアノード側電極4aが保持され、これらの電極は互いに向かい合う位置に配置されている。また、カソード側電極3aおよびアノード側電極4aとの間には、固体高分子電解質膜2が挿入されている。この固体高分子電解質膜2は、カソード側電極3aおよびアノード側電極4aによって挟持されている。
カソード側電極3aおよびアノード側電極4aのそれぞれには、給電板5が導通かつ結合されており、さらにそれぞれの給電板5には、導電棒6が導通かつ結合されている。給電板5、5は、ロウ付け等によりカソード側電極3aおよびアノード側電極4aにそれぞれ接合されている。導電棒6は、溶接等により給電板5に接合されている。アノード側の導電棒6には、定電流電源7の+極が導線で接続されている。カソード側の導電棒6には、定電流電源7の−極が導線で接続されている。アルコール類化合物槽10には、電気分解装置1が稼動中は常に所定のアルコール類化合物が保持され、固体高分子電解質膜2にアルコール類化合物を供給している。また、カソード側発生気体捕集容器8およびアノード側発生気体捕集容器9は、電気分解装置1が稼動中に対応するそれぞれの電極から発生する気体を捕集するものであり、アルミニウム製のバッグ等が用いられる。
本実施形態の電気分解装置1で被電気分解物質はアルコール類化合物である。ここで、アルコール類化合物とは、炭化水素の水素原子を水素原子で置換したものであり、一般式R−OHで表される化合物である。固体高分子電解質膜2は、膜母体に結合したカチオンの作用により、陽イオンの移動を促進する膜である。本実施形態においては、特に水素イオンを効率よく通過させる導電体の膜が好ましい。アノード側電極4aとして、電気分解装置1ではカーボン電極を用いているが、アノード側電極4aはカーボン電極に限られるものではない。貴金属電極または自らは電気分解により、酸化されないものならば代替可能である。また。カソード側電極と同じ、シリコン多孔質構造体を用いることもできる。給電体5および導電棒6は、特許請求の範囲に記載の導電部を構成するものである。これらは、導電性の金属等であればよい。本実施形態では電気分解装置1用の電源として、定電流電源7を用いているが、定電圧電源を用いることもできる。
本発明において、カソード側電極3aの多孔質構造体内で水素原子あるいは水素イオンがシリコン粒子に囲まれた空隙S(エネルギ集中の場)を通過または滞留する際に、空隙Sを取り囲む各シリコン粒子の振動により、水素原子あるいは水素イオンは高いエネルギを付与され、いわゆる励起された状態となるため、還元されやすくなるものである。
図2(a)および(b)を参照して、カソード3について詳細に説明する。カソード3は、図2(a)に示すように、多孔質構造体から構成されたカソード側電極3aと前記カソード側電極3aに導通かつ結合された給電板5からなる。カソード側電極3aは、図2(b)に示すように、粒子Pから構成されている。粒子Pは、シリコン、チタン、ニッケルおよびサマリウムからなる群から選択された元素からよりなるものである。シリコン、ニッケルおよびチタンについては、原子の最外核軌道(M、N)公転電子数が偶数である金属元素であり、かつ酸素と反応し難い元素であるから選択された。サマリウムについては、原子の最外核軌道(M、N)公転電子数が偶数(2)である希土類元素であり、かつ酸素と反応し難い元素であるから選択された。
粒子Pは、これらの元素の一つの単一元素からなるものであり、その純度は使用される元素の種類および電気分解しようとするアルコール類化合物の種類によって適宜選択される。たとえば、シリコンよりなる粒子Pでメタノール等の低級アルコールを電気分解する場合、シリコンの純度は90%以上、好ましくは95%以上である。粒子Pの純度は高いほうが望ましい。
電極板本体を構成する粒子Pは、特定元素を造粒して形成されるが、後記する所定の位置への配置の容易さから、特に真球形状であるのが好ましく、その際に粒径は、5μmから80μmであることが望ましい。5μm以下の粒径の粒子Pの場合、後記するエネルギ集中の場である粒子間に物質を通過させるのが困難となる。また、粒径が80μmを超えると、粒子Pを配置した際に、粒子間に十分なエネルギが発生しない。さらに、粒子Pの粒径が150μmを超えると電気分解が困難となる。
粒子Pは、その粒度分布が狭いものが望ましい。本発明者等の繰り返しの実験の結果、粒度分布が平均粒径の25%以内にはいる粒子Pを使用した場合、顕著な効果が得られることが判った。しかしながら、本実施形態のカソード電極3aを構成する粒子Pは、このような粒度分布に限定されるものでない。
前記した特定の元素を所定形状に造粒する方法は、特に限定されるものではなく、触媒
製造分野で一般に知られている造粒方法を適用することが可能である。製造の簡便さ、粒
子形状を比較的均質にすることが可能であるという観点からガスアトマイズ法等で作製された粉末を仮焼して、粉砕し造粒した後、分級したものが好ましい。しかしながら、本実施形態のカソード電極3aは、前記した粒子Pにより形成できれば、特にガスアトマイズ法等により作製された粉末に限定されるものではなく、例えばゾル−ゲル法、ジェット粉砕法等の従来公知の方法で作製された粉末を原料にして、粒子Pを製造してもよい。
製造分野で一般に知られている造粒方法を適用することが可能である。製造の簡便さ、粒
子形状を比較的均質にすることが可能であるという観点からガスアトマイズ法等で作製された粉末を仮焼して、粉砕し造粒した後、分級したものが好ましい。しかしながら、本実施形態のカソード電極3aは、前記した粒子Pにより形成できれば、特にガスアトマイズ法等により作製された粉末に限定されるものではなく、例えばゾル−ゲル法、ジェット粉砕法等の従来公知の方法で作製された粉末を原料にして、粒子Pを製造してもよい。
本実施形態において、カソード電極3aの効果を得るには、シリコン、チタン、ニッケル及びサマリウムから成る群から選択された元素から構成された粒子Pを、波動性エネルギを増幅させる位置に配置することが必要である。カソード側電極3aを構成するこれらの各元素は、例えばイオン化時には各々表1に示す通り、式:E=hν(式中、Eは各元素に固有のイオン化エネルギ(eV)、hはプランク定数、そしてνは周波数である)で表される固有の周波数を有しており、本実施形態の活性構造体を構成するこれらの元素は電気磁場的振動を発振している。そして、このような電気磁場的振動は、所定の揺らぎを有している。このことから、カソード側電極3aの粒子Pを構成するこれらの元素は常態においても固有の振動を持つものと推測され、図2(b)に示すように、これらの各元素に固有の振動を効果的に与える位置に粒子Pを配置することによって、粒子間に形成された空隙Sを通過または滞留する物質(すなわち、含水素化合物)に、振動エネルギを付与して、当該物質を励起させイオン化して、カソード側電極3a全体が良導体となるため、当該物質の電気分解を促進させるものと推測される。
また、どのような理由で同様の作用・効果を示すかは明確ではないが、本発明者がさら
に繰り返し実験を行ったところ、弗化炭素(FC)も前記金属元素を用いた場合と同様な
作用効果を示すことを見出した。
に繰り返し実験を行ったところ、弗化炭素(FC)も前記金属元素を用いた場合と同様な
作用効果を示すことを見出した。
カソード側電極3aを構成する各粒子Pを実質的に均一なサイズ(同一の粒径を有する真球)とした場合に、粒子Pを、図2(b)に示すように、三角形の頂点、好ましくは正三角形の頂点に粒子を配置することが可能になり、カソード側電極3aは高い活性を示す、活性構造体となることが見出されている。本発明において含水素化合物が、前記特定の元素から構成された粒子Pと粒子Pの間の空隙S(エネルギ集中の場)を通過または滞留する際に、カソード側電極3aを構成する粒子Pにおける各元素の固有の振動・揺らぎ等により、含水素化合物に高いエネルギが付与される。含水素化合物は、高いエネルギが付与されると、カソード側電極3aにおける粒子Pと粒子Pの間の空隙S(エネルギ集中の場)において励起し、そしてイオンを放出して、カソード側電極3aは良導体となると推測される。(なお、エネルギの付与とイオン化については、例えば(「活性酸素・フリーラジカルのすべて−健康から環境まで」、吉川敏一等著、丸善、2000年7月)を参照)。
カソード側電極3aの製造工程では、このような位置に所定の元素から構成された粒子Pを配置する。なお、実際には各粒子は、完全に球体となるとは限らず、また各粒子の粒径も一定ではないので、正確に正三角形の各頂点に配置するのは困難である。本発明の実施形態の説明において使用される用語「三角形の各頂点に配置する」とは、このような誤差範囲を含むことを意味する。
正三角形の頂点に粒子Pを配置させた場合、粒子Pと粒子Pの間の空隙Sに形成される
三角形、すなわち、粒子の接線の交点から形成される三角形の各頂点の角度は、90度以下であることが必要であり、好ましくは39〜70.5度であり、理想的には約60度である。
三角形、すなわち、粒子の接線の交点から形成される三角形の各頂点の角度は、90度以下であることが必要であり、好ましくは39〜70.5度であり、理想的には約60度である。
カソード側電極3aを構成する各粒子を正四面体の頂点に配置すると最も高い活性を示すことを見出した。すなわち、カソード側電極3aを形成するに当たって、前記の正三角形の粒子配置を基本として粒子Pを積層して多孔質構造体(カソード側電極3a)とするが、その際に、正四面体構造は、被電気分解物質が特定の元素から構成された粒子Pと粒子Pの間の空隙S(エネルギ集中の場)を通過または滞留する際に、本実施形態のカソード側電極3aを構成する各元素の固有の振動・揺らぎ等により、被電気分解物質に高いエネルギを付与する(正)三角形構造を四面配置した構造となり、より一層高いエネルギ集中の場が構成される。
また、本発明における波動性エネルギを増幅させる位置とは、前記の実施形態で説明し
た正四面体の頂点の位置に限らず、物質が特定の元素から構成された粒子Pと粒子Pの間
の空隙S(エネルギ集中の場)を通過または滞留する際に、各元素の固有の振動・揺らぎ
等により、当該物質に高いエネルギを付与することが可能な位置であれば、特に限定され
るものでない。ただし、不規則な形状の粒子をランダムに配置すると、各元素に固有の
振動が互いに打ち消し合って、各粒子間に存在する空隙Sに、高いエネルギの場を生じさせるのが困難となる
た正四面体の頂点の位置に限らず、物質が特定の元素から構成された粒子Pと粒子Pの間
の空隙S(エネルギ集中の場)を通過または滞留する際に、各元素の固有の振動・揺らぎ
等により、当該物質に高いエネルギを付与することが可能な位置であれば、特に限定され
るものでない。ただし、不規則な形状の粒子をランダムに配置すると、各元素に固有の
振動が互いに打ち消し合って、各粒子間に存在する空隙Sに、高いエネルギの場を生じさせるのが困難となる
本実施形態のカソード電極3aは、このような粒子Pを圧縮成形、焼結成形等の種々の成形方法により成形して構成することができる。すなわち、図2(b)に示す通り、前記のシリコン、チタン、ニッケル、サマリウムから成る群から選択された単一成分の元素または弗化炭素から構成された粒子Pを、各元素または弗化炭素に固有の波動性エネルギを増幅させる位置、空隙Sを、代表的には、正三角形の頂点、好ましくは正四面体の頂点に各粒子Pが配列するように配置する。そして、加熱下、例えば粒子の溶融温度以下の温度で加熱して、圧縮することによって、図2(a)に示すようなカソード側電極3aを得ることができる。
このカソード側電極3aは、図2(a)および(b)に示すように、粒子P間にエネルギ集中の場である空隙Sが多数形成されている。すなわち、板状に成形した際に、シリコン、チタン、ニッケルまたはサマリウム元素または弗化炭素から構成された粒子Pを、各元素または弗化炭素に固有の波動性エネルギを増幅させる位置に配置することによって、前記空隙Sに滞留又は通過する水素イオンを活性化(励起)して、水素イオンを還元されやすくしている。
なお、カソード側電極3aは、使用する目的に応じて種々の形状及び寸法とすることができるが、効率よく含水素化合物を前記エネルギ集中の場に導くため(滞留および通過)、粒子Pが5層以上15層以下に積層された状態であることが好ましい。また、さらにカソード側電極3aの厚さは、0.35mm以上1.5mm以下、好ましくは0.5mm以上1.0mm以下であることが好ましい。板厚が上記範囲より小さい場合には破損等の取扱いの点で注意を要することになり、逆に、板厚が上記範囲より大きい場合には、含水素化合物を充分にカソード側電極3aにおけるエネルギ集中の場に導けない場合がある。
また、カソード側電極3aは、構造体全体として、空隙率45〜60%の範囲であることが好ましく、特に約50%であることが好ましい。上記の範囲の空隙率を有するカソード側電極3aを用いたカソード3を使用すると、水素イオンを含む液体を比較的少ない流量(圧力)でカソード側電極3aにおけるエネルギ集中の場に導入して、水素イオンを励起させることが可能である。カソード側電極3aの空隙率が上記範囲よりも大きい場合には、水素イオンを励起させる際に、高い圧力等の何らかの外的作用が必要となり、カソード側電極3aの破損や、アルコール類化合物中の不純物によるエネルギ集中の場である空隙Sの目詰まりが生じることがある。逆に、カソード側電極3aの空隙率が上記範囲よりも小さい場合には被処理物であるアルコール類化合物がカソード側電極3aのエネルギ集中の場で充分に滞留・通過する時間が取れず、励起しにくい場合がある。なお、最も好ましいカソード側電極3aの空隙率は約50%である。
以下、本実施形態のカソード側電極3aの製造方法について説明する。
(粒子Pの製造:段階a)
まず、カソード側電極3aを構成するための基本単位となる所定元素または弗化炭素から構成された粒子Pを形成する。この粒子の形成方法は、前述の通りである。すなわち、例えばガスアトマイズ法等により製造した粉末を原料にした触媒粒子の製造分野で公知の方法により、球状、好ましくは真球状の粒子を造粒して形成する。
まず、カソード側電極3aを構成するための基本単位となる所定元素または弗化炭素から構成された粒子Pを形成する。この粒子の形成方法は、前述の通りである。すなわち、例えばガスアトマイズ法等により製造した粉末を原料にした触媒粒子の製造分野で公知の方法により、球状、好ましくは真球状の粒子を造粒して形成する。
(帯電防止処理:段階b)
次いで、各粒子間の配置を容易に行う目的で、段階(a)で形成された粒子の帯電防止
処理を行う。すなわち、形成された粒子は、粒子を配列する際に静電気により各粒子が付
着あるいは反発して所望の位置に配置できない場合がある。また、段階(a)において同
時に生成した1μm前後の微粒子や異物が粒子間の空隙に静電付着して、空隙を閉塞または変形させることがある。これらを防止するため、陰陽両イオンを粒子に施す帯電防止処理を行うことが好ましい。
次いで、各粒子間の配置を容易に行う目的で、段階(a)で形成された粒子の帯電防止
処理を行う。すなわち、形成された粒子は、粒子を配列する際に静電気により各粒子が付
着あるいは反発して所望の位置に配置できない場合がある。また、段階(a)において同
時に生成した1μm前後の微粒子や異物が粒子間の空隙に静電付着して、空隙を閉塞または変形させることがある。これらを防止するため、陰陽両イオンを粒子に施す帯電防止処理を行うことが好ましい。
(焼結処理:段階c)
このようにして帯電防止した所定の元素または弗化炭素から構成された粒子Pを図2(
b)に示すように配置し、そしてホットプレスにより焼結を行う。この際の焼結条件は、使用する粒子を構成する元素または弗化水素の融点以下の温度で、かつ焼結成形可能な温度(例えばシリコンを使用する場合には1200〜1300℃)であり、焼結時間は2.5〜3.5時間、焼結圧力は12〜25MPaである。(なお、弗化炭素の場合には焼結にはそぐわないので、例えばCIP(冷間静水圧プレス)により作製する)。このようにして焼結成形を行うと図2(b)に示すような配列をもった、図2(a)に示すような形状を有するカソード側電極3aが得られる。
このようにして帯電防止した所定の元素または弗化炭素から構成された粒子Pを図2(
b)に示すように配置し、そしてホットプレスにより焼結を行う。この際の焼結条件は、使用する粒子を構成する元素または弗化水素の融点以下の温度で、かつ焼結成形可能な温度(例えばシリコンを使用する場合には1200〜1300℃)であり、焼結時間は2.5〜3.5時間、焼結圧力は12〜25MPaである。(なお、弗化炭素の場合には焼結にはそぐわないので、例えばCIP(冷間静水圧プレス)により作製する)。このようにして焼結成形を行うと図2(b)に示すような配列をもった、図2(a)に示すような形状を有するカソード側電極3aが得られる。
本実施形態の電気分解装置1の作用および効果について説明する。
電気分解装置1の実施例により、メタノールの電気分解を実施した結果を表2に示す。本実施例においては、図1に示す固体高分子電解質膜2として厚さ0.2mmのナフィオン(登録商標)117を用いた。電気分解試験は3回実施し、各回の試験において、電解電流がモニタされ、カソード側発生気体捕集容器8およびアノード側発生気体捕集容器9のそれぞれの容器に捕集された気体がガスクロマトグラフィにより定量分析された。電極面積は、一定であり10cm2であった。理論発生水素量は、カソード3での反応をすべて水素ガスの発生としたときの通電電気量に対応する標準状態(0℃、1気圧)での水素ガスの体積である。理論比は、カソード3での発生水素ガス量の理論発生水素量に対する比である。
電気分解装置1の実施例により、メタノールの電気分解を実施した結果を表2に示す。本実施例においては、図1に示す固体高分子電解質膜2として厚さ0.2mmのナフィオン(登録商標)117を用いた。電気分解試験は3回実施し、各回の試験において、電解電流がモニタされ、カソード側発生気体捕集容器8およびアノード側発生気体捕集容器9のそれぞれの容器に捕集された気体がガスクロマトグラフィにより定量分析された。電極面積は、一定であり10cm2であった。理論発生水素量は、カソード3での反応をすべて水素ガスの発生としたときの通電電気量に対応する標準状態(0℃、1気圧)での水素ガスの体積である。理論比は、カソード3での発生水素ガス量の理論発生水素量に対する比である。
本実施例の電気分解において、アノード側電極4aでの主たる反応は、メタノール(CH3OH)が酸化されて、HCHO等になるとともに、CH3OHから分離したH原子が酸化されて水素イオンになるものである。一方、カソード側電極3aでの主たる反応は、水素イオンが還元されて水素ガスが発生するものである。したがって、カソード側発生気体は、約90%が水素ガスであった。またアノード側でも水素ガスの発生が認められた。カソード側発生気体の酸素ガスは、本実施形態で用いているシリコン多孔質構造体の効果で、CH3OHが分解して発生したものと思われる。アノード側およびカソード側での、COおよびCO2の発生は極めて少なかった。
表2の結果から、本実施例の電気分解装置1を用いれば、水素ガスに関して 理論比90%前後の電気分解効率で、水素ガスを製造可能である。電解電圧は7.3から8.5Vで、約500A/m2の電解電流密度になる。本実施例の構成で水の電気分解を実施したところ、約500A/m2の電解電流密度を得るのに同様に8V前後の電解電圧が必要であった。
一方、比較例1として電気分解装置1において、カソード側電極3aとアノード側電極4aの電極間距離を前記試験と同一の0.2mmに保ち、かつ固体高分子電解質膜2であるナフィオン(登録商標)の膜を除いて、電気分解試験を行った。7.7Vの電解電圧を印加したときの電解電流密度は、0.68A/m2であり、水素ガス等の気泡発生は認められなかった。
また、本実施例、前記比較例1および比較例1においてカソード側電極3aをシリコン多孔質構造体でなくシリコン板とした比較例2の各々について、メタノールの電気分解を行った場合の電解電流密度と電解電圧の関係を調べたところ、図3のようになった。図3からわかるように、固体高分子電解質膜2のない比較例1で、500A/m2の電解電流密度を得るには、電解電圧として50V程度必要である。また、比較例2では、ほとんどメタノールの電気分解が進行しない。
したがって、同量の水素ガスを電気分解で得るのに比較例1では、実施例の6倍以上の電力が必要になる。このことから、本実施形態の電気分解装置1を用いれば、従来と比べて格段に低い電解電圧でメタノールを電気分解して水素ガス製造が可能であることがわかる。
本発明の実施形態は、前記した実施例に限定されるものではない。本発明の電気分解装置1によれば、メタノールに限らず他のアルコール類化合物、たとえば、エタノールやイソプロピルアルコール等も比較的低い電解電圧で電気分解して、水素ガスを製造することが可能である。また、カソード側電極3aおよびアノード側電極4aは積層化して、電極面積を増やして、電解電流を上げることが可能である。
1 電気分解装置
2 固体高分子電解質膜
3 カソード
3a カソード側電極
4a アノード側電極
5 給電板
6 導電棒
7 定電流電源
8 カソード側発生気体捕集容器
9 アノード側発生気体捕集容器
10 アルコール類化合物槽
11 セル容器
2 固体高分子電解質膜
3 カソード
3a カソード側電極
4a アノード側電極
5 給電板
6 導電棒
7 定電流電源
8 カソード側発生気体捕集容器
9 アノード側発生気体捕集容器
10 アルコール類化合物槽
11 セル容器
Claims (3)
- 最外核軌道電子数が偶数であり、かつ酸素と反応し難い元素または弗化炭素からなる粒子からなる板状の多孔質構造体であり、前記粒子間にエネルギ集中の場を有する孔が設けられているカソード側電極と、
前記カソード側電極と導通された導電部と、
前記カソードの導電部に導線を介して接続される電源と、
を有するアルコール類化合物用の電気分解装置であって、
前記カソードと前記カソードと向かい合う位置に配置されるアノードとの間に固体高分子電解質膜が挿入されたこと、
を特徴とするアルコール類化合物用の電気分解装置。 - 請求項1に記載のアルコール類化合物用の電気分解装置において、
前記粒子が、珪素、チタン、ニッケル、サマリウムからなる群から選択された単一成分の元素であること、
を特徴とするアルコール類化合物用の電気分解装置。 - 前記多孔質構造体が、粒子径が5μm以上かつ150μm以下の粒子から構成されていることを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載のアルコール類化合物用の電気分解装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006148702A JP2007314862A (ja) | 2006-05-29 | 2006-05-29 | アルコール類化合物用の電気分解装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006148702A JP2007314862A (ja) | 2006-05-29 | 2006-05-29 | アルコール類化合物用の電気分解装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007314862A true JP2007314862A (ja) | 2007-12-06 |
Family
ID=38848993
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006148702A Pending JP2007314862A (ja) | 2006-05-29 | 2006-05-29 | アルコール類化合物用の電気分解装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007314862A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012112001A (ja) * | 2010-11-25 | 2012-06-14 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 電解セル、電解装置、炭化水素の生成方法 |
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2006
- 2006-05-29 JP JP2006148702A patent/JP2007314862A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012112001A (ja) * | 2010-11-25 | 2012-06-14 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 電解セル、電解装置、炭化水素の生成方法 |
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