JP2007312617A - Hiv複製阻害薬およびhiv複製阻害薬のスクリーニング方法 - Google Patents

Hiv複製阻害薬およびhiv複製阻害薬のスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、薬剤耐性を生じさせないHIV複製阻害剤をスクリーニングする方法を提供することを目的とする。
【解決手段】NF−IL6を発現するヒト免疫細胞を試験化合物の存在下にHIVでチャレンジし、ついで前記細胞のHIV複製能に対する試験化合物の阻害作用を検定することを特徴とするHIV複製阻害薬のスクリーニング方法。
【選択図】なし

Description

本発明はヒト免疫不全症ウイルス(HIV)複製阻害薬のスクリーニング方法に関し、さらに詳しくはNF−IL6を発現するヒト免疫細胞を用いるHIV複製阻害薬のスクリーニング方法に関する。
従来の抗HIV薬は、HIVに固有の酵素をターゲットとして、ウイルスのライフスタイルの異なる地点に作用するもので、その主なものは逆転写酵素阻害剤(例えば、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、ラミブジン、サニルブジン、アバカビルなど)とプロテアーゼ剤(例えば、インジナビル、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アンプレナビルなど)がある。
しかしながら、従来の抗HIV薬はHIVに起因する酵素に作用するものであるため、薬剤耐性が生じやすく、治療効果が十分得られないという難点があった。
このため、HIV側に起因しない宿主のHIV複製促進因子を同定し、この因子を抑制する物質を見出すことができれば、薬剤耐性の問題を生ずることなくHIVの複製を抑えることができるので、エイズ患者にとって大きな福音となるが、細胞因子を標的とした抗HIV薬はウイルス侵入時における細胞膜表面に存在するHIV−1コレセプターを標的とした薬剤のみが開発・実用化され、ウイルス複製メカニズムをベースに細胞内因子を標的にしてかかる薬剤をスクリーニングするための方法は知られていなかった。
一方、NF−IL6はC/EBPbとも表示され、転写因子の1つであり、ノックアウトマウスの解析からマクロファージにおける細胞内規制菌の感染の排除に必須の役割を果たしていることが明らかにされている。ヒトNF−1L6はアミノ酸345個からなる蛋白質であり、そのアミノ酸配列は既知である(非特許文献1)。
また、NF−IL6のドミナントネガティブとしてLIP[NF−IL6mRNAから第3インフレームATGを用いて翻訳されたもの]やNF−IL6(S288A)[NF−IL6の288番目セリンがアラニンに置き換わった部位特異的変異体]が知られている(非特許文献2、3)。
さらに、NF−IL6とHIVとの関連について、NF−IL6がマクロファージや単球においてHIV−1の転写活性を活性化するという報告はいくつか存在している(非特許文献4、5、6、7)が、NF−IL6がHIV複製にどの程度関与するかについては明らかにされていない。
The EMBO Journal,Vol.9,No.6,p1897−1906,1990 Cell,Vol.67,p569−579,November 1,1991 Proc.Natl.Acd.Sci.USA,Vol.90,p10193−10197,November 1993 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90,p7298−7302,August 1993 Juornal of Virology,Sept.1995,p5337−5344 Virology,299,p256−265,2002 J.Exp.Med.,Vol.198,No.3,August 4,2003,p443−453
本発明は、HIV側に起因しない細胞内因子を抑制することによりHIVの複製を抑える薬剤をスクリーニングする方法を提供することを目的とする。また、本発明は、薬剤耐性を生じないHIV複製阻害剤をスクリーニングする方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、NF−IL6がCD4T細胞中におけるHIV複製の初期段階で関与していることを見出すと共に、抗HIV薬の開発にとって重要なターゲットとなり得るとの知見を得た。この知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、NF−IL6を発現するヒト免疫細胞をHIVでチャレンジする際に、系内に試験化合物を存在させておき、チャレンジ後にHIV複製能を測定すれば、HIV複製能に対する試験化合物の阻害作用を検定できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] NF−IL6を発現するヒト免疫細胞を試験化合物の存在下にHIVでチャレンジし、ついで前記細胞のHIV複製能に対する試験化合物の阻害作用を検定することを特徴とするHIV複製阻害薬のスクリーニング方法、
[2] 試験化合物の阻害作用の検定を、試験化合物の非存在下にチャレンジしたときのHIV複製量と試験化合物の存在下にチャレンジしたときのHIV複製量を比較することにより行う前記[1]に記載のスクリーニング方法、
[3] NF−IL6を発現するヒト免疫細胞が、ヒト免疫細胞にNF−IL6の遺伝子を導入した細胞である前記[1]または[2]に記載のスクリーニング方法、
[4] ヒト免疫細胞が、ヒトCD4細胞である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のスクリーニング方法、
[5] ヒトCD4細胞がCD4陽性のヒトT細胞、ヒトマクロファージ、ヒト単球またはヒト樹状細胞である前記[4]記載のスクリーニング方法、
[6] NF−IL6を発現するヒト免疫細胞が、マイトジェンで刺激したプライマリーT細胞にNF−IL6の遺伝子を導入した細胞である前記[1]または[2]に記載のスクリーニング方法、
[7] マイトジェンがフィトヘマグルチニン(PHA)である前記[6]に記載のスクリーニング方法、
[8] HIVがHIV−1である前記[1]〜[7]のいずれかに記載のスクリーニング方法、
[9] HIV複製量をp24ELISA法により測定する前記[2]に記載のスクリーニング方法、
[10] 試験化合物が低分子化合物である前記[1]〜[9]のいずれかに記載のスクリーニング方法、
[11] 試験化合物が蛋白質またはペプチドであり、該蛋白質またはペプチドをNF−IL6を発現するヒト免疫細胞に強制発現させることにより存在させるか、または培養液に添加することにより存在させる前記[1]または[2]のいずれかに記載のスクリーニング方法、
[12] NF−IL6を発現するヒト免疫細胞がヒトCD4細胞である前記[11]に記載のスクリーニング方法、および
[13] 前記[1]〜[12]のいずれかに記載のスクリーニング方法により同定されたHIV複製阻害薬、
に関する。
本発明の方法によれば、薬剤耐性を生じないHIV複製阻害剤を簡便にスクリーニングすることができる。
本発明のHIV複製阻害薬のスクリーニング方法は、NF−IL6を発現するヒト免疫細胞を試験化合物の存在下にHIVでチャレンジし、ついで前記細胞のHIV複製能に対する試験化合物の阻害作用を検定することを特徴とする。
[NF−IL6がHIV複製阻害薬の標的分子となり得ることの確認]
まず、本発明者は、NF−IL6がHIV複製阻害薬の標的分子となり得ることを次の手法で確認した。すなわち、レトロウイルス・ジャーカットT細胞由来のcDNAライブラリーでCD4T細胞を感染させ、感染したCD4T細胞をHXB−CD5(HIV組換実験株HXB2のnef領域にマウスCD5を挿入したHIV−1構築物)でチャレンジしたのち、CD5陽性細胞(HIV−1複製が起こっている細胞)を集めた。ついで、該細胞から全DNAを調製し、プライマーを用いてDNAに対してPCRを行い、PCR断片をレトロウイルスベクターにサブクローニングし、プラスミッドDNAを調製した。このプラスミッドDNAをレトロウイルスパッケージング細胞(Phenix−Ampho細胞)にトランスフェクションし、組み換えレトロウイルスを調製した。この組み換えレトロウイルスをプライマリーCD4T細胞に形質導入し、クローン31がHIV−1複製を強く誘導することを認めた。このクローン31は、DNA配列決定により、NF−IL6であることを確認した。
NF−IL6の遺伝子をプライマリーCD4T細胞に形質導入し、NF−IL6を発現する細胞を選択した。この細胞とコントロールのCD4T細胞(すなわち、コントロールベクターを導入したCD4T細胞)をそれぞれHIV−1T−トロピック株NL4−3でそれぞれチャレンジし、HIV−1複製量をp24に対する抗体を用いてエライザ法により測定した。コントロールのCD4T細胞ではHIV複製は検出されなかったが、NF−IL6発現CD4T細胞ではHIV複製が顕著に誘導された(図1参照)。
つぎに、PHAで刺激したCD4T細胞、PHAで刺激していないCD4T細胞、ジャーカットT細胞およびSupT1細胞から核抽出物を調製し、NF−IL6の発現状態をウエスタンブロッティング法で調べた。その結果、刺激していないCD4T細胞ではNF−IL6の発現は認められなかったが、PHAで刺激したCD4T細胞、ジャーカットT細胞およびSupT1細胞では、NF−IL6の発現が認められた(図2参照)。
また、NF−IL6のドミナントネガティブであるLIPもしくはNF−IL6(S288A)を過剰発現するSupT1細胞、ベクターのみを導入したコントロールのSupT1細胞、ならびに野生型のSupT1細胞を用い、これらの細胞をHIVでチャレンジした後12日間にわたってHIV複製を調べた。その結果、LIPおよびNF−IL6(S288A)を過剰発現したSupT1細胞では、野生型SupT1細胞およびコントロールのSupT1細胞に較べて、HIV複製が顕著に抑制されていた(図4参照)。
また、本発明者は、別の試験で、NF−IL6がHIVライフサイクルのうち逆転写の初期段階で関与していることを確認した(図3参照)。
上記の試験結果から、NF−IL6がHIV複製阻害剤の標的分子となり得ることが確認できた。
[スクリーニング方法]
(ヒト免疫細胞の調製)
本発明の方法に使用されるヒト免疫細胞はヒトCD4細胞であるのが好ましい。かかるヒトCD4細胞としては、ヒト由来のCD4陽性のT細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞などが挙げられる。これらの細胞は常法によって調製することができる。たとえば、ヒトCD4T細胞を調製する場合は、健常人より末梢血を採取し、フィコール勾配法により末梢血単核球を分画する。この分画をプラスチックシャーレに入れ、単球を吸着させて除き、さらにバイオマグネットビーズを用いてCD8T細胞とCD19B細胞を除くことにより、ヒトCD3CD4T細胞の分画を取得することができる。このヒトCD3CD4T細胞の分画をヒトCD4T細胞として使用できる。
(NF−IL6を発現するヒト免疫細胞の調製)
ヒト免疫細胞からNF−IL6を発現する細胞を調製する方法は常法により行うことができる。たとえば、上記で得られたCD4T細胞を、PHA(2μg/ml)で刺激し、20units/mlのインターロイキン−2の存在下に、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で培養する。この細胞にNF−IL6の遺伝子をレトロウイルス遺伝子導入法で導入し、発現マーカーであるLyt2を指標にしてNF−IL6を発現する細胞をセルソーターで回収することによりNF−IL6を発現するヒト免疫細胞(CD4T細胞)を調製することができる。
(スクリーニング)
上記で調製されたNF−IL6を発現するヒト免疫細胞(CD4T細胞)を試験化合物の存在下にHIVでチャレンジする。これにより前記細胞はHIVに感染する。HIVとしては、HIV−1やHIV−2を挙げることができるが、HIV−1が好ましい。チャレンジするHIVの量は100〜1000TCID50/10cells程度であるのが好ましい。試験化合物は、HIVでチャレンジする前にスクリーニング系(培養液)に添加しておいてもよく、チャレンジした直後に添加してもよく、さらに、チャレンジの前後に添加してもよい。上記チャレンジは“NF−IL6を発現するヒト免疫細胞”が生育できる条件下で実施され、通常、適当な培地(例えば、牛胎児血清を含むRPMI1640培地)中で実施され、チャレンジ後ヒト免疫細胞は30〜40℃、好ましくは37℃で培養される。
なお、試験化合物は低分子化合物が好ましいが、蛋白質やペプチドなどでもよい。試験化合物が細胞膜を通過しない蛋白質やペプチドである場合は、NF−IL6を発現するヒト免疫細胞として、CD4細胞(たとえば、CD4T細胞のセルラインであるSupT1細胞)を用いるのが好ましく、該細胞に該蛋白質またはペプチドの遺伝子を導入し、該蛋白質またはペプチドを強制発現させることによって、系内に蛋白質またはペプチドを存在させることができる。
チャレンジ(感染)後、細胞のHIV複製能に対する試験化合物の阻害作用を検定する。この検定は、チャレンジしてから数日〜10日後に、試験化合物の非存在下にチャレンジしたときのHIV複製量と試験化合物の存在下にチャレンジしたときのHIV複製量を測定し、それを比較することにより実施される。HIV複製量の測定は、HIVのコア蛋白質(HIV−1:p24、HIV−2:p26)に対する抗体(抗p24抗体、抗p26抗体)を用い、エライザ(ELIZA)法により行うことができる。
試験化合物の存在下にチャレンジしたときのHIV複製量が、試験化合物の非存在下にチャレンジしたときのHIV複製量に較べて低下しておれば、当該試験化合物はHIV複製阻害作用を有していると評価することができる。
(実験例1)
レトロウイルス・ジャーカットT細胞由来のcDNAライブラリーでCD4T細胞を感染させ、感染したCD4T細胞をHXB−CD5(HIV組換実験株HXB2から誘導されるHIV−1構築物)でチャレンジし、CD5陽性細胞を集め、該細胞から全DNAを調製し、プライマーを用いてDNAに対してPCRを行った。
プライマー:
フォワード:
5’−acgtgaaggctgccga−3’ (配列番号1)
リバース:
5’−tagcttgccaaacctacaggt−3’(配列番号2)
PCR断片をレトロウイルスベクターpBMNにサブクローニングし、プラスミッドDNAを調製した。このプラスミドDNAをレトロウイルスパッケージング細胞であるPhenix−Ampho細胞にトランスフェクションして組み換えレトロウイルス上清を調製し、このレトロウイルス上清をプライマリーCD4T細胞に形質導入した。HIV−1複製に対して強い誘導を与えるクローンを選択し、クローン31と命名した。このクローン31は、DNA配列決定により、NF−IL6であることを確認した。
NF−IL6の遺伝子を、後記実施例1と同様にレトロウイルス遺伝子導入法によって、プライマリーCD4T細胞に導入し、NF−IL6を発現する細胞を選択した。この細胞とコントロールのCD4T細胞(すなわち、コントロールベクターを導入したCD4T細胞)をそれぞれHIV−1T−トロピック株NL4−3でチャレンジ(チャレンジ量:400TCID50/10cell)した。チャレンジ後3日毎に18日後まで、HIV−1複製量をp24に対する抗体を用いてエライザ法により測定した。結果は図1の通りである。
図1から分かるように、コントロールのCD4T細胞ではHIV複製は検出されなかったが、NF−IL6発現CD4T細胞ではHIV複製が顕著に誘導された。このことから、HIVの複製にNF−IL6が重要な働きをしていることが分かる。
(実験例2)
PHAで刺激したCD4T細胞、PHAで刺激していないCD4T細胞、ジャーカットT細胞およびSupT1細胞のそれぞれから核抽出物を常法により調製し、NF−IL6の発現状態をウエスタンブロッティング法で調べた。結果は図2の通りである。
図2から分かるように、HIV−1複製が起こらない無刺激CD4T細胞ではNF−IL6の発現は認められなかったが、HIV−1複製が誘導されるPHAで刺激したCD4T細胞、ジャーカットT細胞およびSupT1細胞では、NF−IL6の発現が認められた。このことから、NF−IL6の発現がHIV−1複製に必要であることが示唆され、また無刺激のプライマリーCD4T細胞にNF−IL6を発現させるためには、PHAなどでの刺激が必要であることが分かる。
(実験例3)
野生株SupT1細胞、コントロールのSupT1細胞(すなわち、コントロールベクターを導入したSupT1細胞)、LIPを発現するSupT1細胞、およびNF−IL6(S288A)を発現するSupT1細胞の各々に400TCID50/5×10cellでHIV−1Tトロピック株NL4−3を4時間感染させた。HIV−1感染後細胞を3回洗い、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で7日間培養し、3×10培養細胞からそれぞれの細胞DNAをQiAamp Blood Kit(QIAGEN)を使って調整した。プライマーペアーR/U5、U3/5NCおよびR/5NC(Cell,Vol.95,595−604,November 25,1998参照)を特異的プライマー(下記参照)として使い、35サイクルのPCRを行った(94℃ 30s;55℃ 30s;72℃ 60s)。得られたPCR産物をアガロースゲルによる電気泳動により調べた。その結果は、図3の通りである。
特異的プライマー
5NC:5’−ccgagtcctgcgtcgagagatc−3’
(配列番号3)
U3: 5’−cacacacaaggctacttccct−3’
(配列番号4)
R : 5’−ggctaactagggaacccactgctt−3’
(配列番号5)
U5: 5’−ctgctagagattttccacactgac−3’
(配列番号6)
図3から分かるように、野生株SupT1細胞、コントロールのSupT1細胞およびLIP発現するSupT1細胞では、R/U5による逆転写産物(最も初期の逆転写物)に対する強いバンドが認められたが、NF−IL6(S288A)を発現するSupT1細胞では特異的なPCRバンドは認められなかった。また、野生株SupT1細胞およびコントロールSupT1細胞では、完全長2本鎖ウイルスDNAのみを検出するU3/5NCおよびR/5NCのプライマーペアーによる強い逆転写産物のバンドが認められたが、NF−IL6(S288A)を発現するSupT1細胞では非常に弱いPCRバンドしか認められなかった。なお、LIPを発現するSupT1細胞でのバンドは野生株SupT1細胞およびコントロールSupT1細胞のそれに較べると弱かった。これらのことから、NF−IL6は、HIV−1逆転写段階における初期産物であるストロングストップDNAの産生に関与していることが分かる。
(実施例1)
HIV−1非感染健常人より末梢血を採血しフィコール勾配法により末梢血単核球を分画する。プラスティックシャーレへの吸着(37℃、4時間インキュベーション)によって単球を除き、さらにバイオマグネットビーズを使ってCD8T細胞とCD19B細胞を除きCD3CD4T細胞の分画を準備した(Cell−SK)。この細胞を2μg/mlのPHAで細胞を刺激し、20units/mlのインターロイキン−2存在下で10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で培養した。
この細胞にNF−IL6の遺伝子をレトロウイルス遺伝子導入法によって導入し、発現マーカーであるLyt2を指標にNF−IL6を発現する細胞をセルソーターで回収した。
すなわち、レトロウイルスパッケージング細胞であるPhoenix Ampho細胞にレトロウイルスベクター(pBMN−NF−IL6−IRES−Lyt2)をリン酸カルシウム法により導入し、24時間、37℃、5%COインキュベーターにて培養後に培養液を交換し、さらに48時間、32℃、5%COインキュベーターにて培養後にウイルス液を回収した。回収したウイルス液は、0.45μmlのフィルターで濾過し、5μg/mlのポリプレンを加え、PHA刺激2〜3日後のCD4T細胞にスピンインフェクション(2500rpm、32℃、90分)により感染させた。32℃、5%COインキュベーターで24時間培養後、細胞を洗い、20units/mlのインターロイキン−2存在下で10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地でさらに培養を続け、感染後4日目の細胞を発現マーカーであるLyt2を指標にNF−IL6を発現する細胞をセルソーターで回収した。
回収した細胞は20units/mlのインターロイキン−2存在下で10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地でさらに8日間培養を続け、HIV−1Tトロピック株NL4−3を400TCID50/10cellで4時間感染させる。試験化合物(HIV−1複製阻害剤の候補化合物)はHIV−1感染前または感染直後に添加して作用させる。HIV−1感染後細胞を3回洗い20units/mlのインターロイキン−2存在下で10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で7日間培養し、HIV−1複製能は培養上清中に放出されたウイルス量をp24エライザキットによって調べる(Cell,Vol.95,p595−604,November 25,1998参照)。
無刺激状態のプライマリーT細胞ではHIV−1複製は起こらないが、NF−IL6を細胞内に強制発現させることでプライマリーT細胞にHIV−1複製を誘導させることができるので、試験化合物の存在によりHIV−1複製能がどれだけ抑えられたかを調べることにより、当該試験化合物のHIV−1複製阻害活性を検定できる。
(実施例2)
NF−IL6を恒常的に発現するヒトCD4T細胞株SupT1細胞にNF−IL6のドミナントネガティブであるLIPとNF−IL6(S288A)をレトロウイルス遺伝子導入法によってSupT1細胞に強制発現させた。
レトロウイルス遺伝子導入法は前記と同様に行った。すなわち、レトロウイルスパッケージング細胞であるPhoenix Ampho細胞にレトロウイルスベクター(pBMN−Control−IRES−Lyt2、pBMN−LIP−IRES−Lyt2、またはpBMN−NF−IL6(S288A)−IRES−Lyt2)をリン酸カルシウム法により導入し、24時間、37℃、5%COインキュベーターにて培養後に培養液を交換し、さらに48時間、32℃、5%COインキュベーターにて培養後にウイルス液を回収した。回収したウイルス液は、0.45μmlのフィルターで濾過し、5μg/mlのポリプレンを加えSupT1細胞にスピンインフェクション(2500rpm、32℃、90分)によって感染させた。32℃、5%COインキュベーターで24時間培養後、細胞を洗い、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で培養し、感染後4日目の細胞を発現マーカーであるLyt2を指標に、コントロールの細胞(すなわち、コントロールベクターを導入した細胞)、LIPを発現する細胞、およびNF−IL6(S288A)を発現する細胞をそれぞれセルソーターで回収した。
野生株SupT1細胞、コントロールのSupT1細胞、LIPを発現するSupT1細胞、およびNF−IL6(S288A)を発現するSupT1細胞の各々に400TCID50/5×10cellでHIV−1Tトロピック株NL4−3を4時間感染させた。HIV−1感染後細胞を3回洗い、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で7日間培養した。培養上清中に放出されたウイルス量をp24エライザキットによって測定することによって、HIV−1複製能を調べた。その結果は図4の通りである。
図4から分かるように、2種類のNF−IL6のドミナントネガティブを発現させた細胞ではHIV−1複製が抑制された。特にNF−IL6(S288A)を発現させた細胞では、野生株SupT1細胞およびコントロールのSupT1細胞に比べて、1000倍以上HIV−1複製を阻害した。このように、細胞内に強制発現させた物質によりNF−IL6を阻害し、それによりHIV−1複製を阻害することが可能であった。
したがって、NF−IL6(S288A)やLIPの代わりに、これら以外の蛋白質やペプチド(試験化合物)を、NF−IL6を発現するヒト免疫細胞に強制発現させることによって、当該蛋白質やペプチドのスクリーニングを行うことが可能である。なお、試験化合物が細胞膜を貫通するペプチドや低分子化合物の場合は、実施例1に示したように、NF−IL6を発現するヒト免疫細胞を含む系に該試験化合物を添加することによって、スクリーニングすることが可能である。
本発明の方法によれば、薬剤耐性を起こさないHIV複製阻害薬をスクリーニングすることができるので、医療の分野や医薬の分野に利用することができる。
NF−IL6を発現するプライマリーCD4T細胞またはコントロールのCD4T細胞をHIV−1T−トロピック株NL4−3でそれぞれチャレンジしたときのHIV−1複製量を示す図である。 PHAで刺激したCD4T細胞、PHAで刺激していないCD4T細胞、ジャーカットT細胞およびSupT1細胞におけるNF−IL6の発現を示す図である。 LIPを過剰発現するSupT1細胞、NF−IL6(S288A)を過剰発現するSupT1細胞、ベクターのみを導入したコントロールのSupT1細胞、ならびに野生型のSupT1細胞をHIV感染させたのち、各細胞から得たDNAに対しPCRを行ったときの産物をアガロース電気泳動法で解析した図である。 LIPを過剰発現するSupT1細胞、NF−IL6(S288A)を過剰発現するSupT1細胞、ベクターのみを導入したコントロールのSupT1細胞、ならびに野生型のSupT1細胞を用い、HIVでチャレンジしたときのHIV複製量を示す図である。

Claims (13)

  1. NF−IL6を発現するヒト免疫細胞を試験化合物の存在下にヒト免疫不全症ウイルス(HIV)でチャレンジし、ついで前記細胞のHIV複製能に対する試験化合物の阻害作用を検定することを特徴とするHIV複製阻害薬のスクリーニング方法。
  2. 試験化合物の阻害作用の検定を、試験化合物の非存在下にチャレンジしたときのHIV複製量と試験化合物の存在下にチャレンジしたときのHIV複製量を比較することにより行う請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. NF−IL6を発現するヒト免疫細胞が、ヒト免疫細胞にNF−IL6の遺伝子を導入した細胞である請求項1または2に記載のスクリーニング方法。
  4. ヒト免疫細胞が、ヒトCD4細胞である請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  5. ヒトCD4細胞がCD4陽性のヒトT細胞、ヒトマクロファージ、ヒト単球またはヒト樹状細胞である請求項4記載のスクリーニング方法。
  6. NF−IL6を発現するヒト免疫細胞が、マイトジェンで刺激したプライマリーT細胞にNF−IL6の遺伝子を導入した細胞である請求項1または2に記載のスクリーニング方法。
  7. マイトジェンがフィトヘマグルチニン(PHA)である請求項6に記載のスクリーニング方法。
  8. HIVがHIV−1である請求項1〜7のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  9. HIV複製量をp24ELISA法により測定する請求項2に記載のスクリーニング方法。
  10. 試験化合物が低分子化合物である請求項1〜9のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  11. 試験化合物が蛋白質またはペプチドであり、該蛋白質またはペプチドをNF−IL6を発現するヒト免疫細胞に強制発現させることにより存在させるか、または培養液に添加することにより存在させる請求項1または2に記載のスクリーニング方法。
  12. NF−IL6を発現するヒト免疫細胞がヒトCD4細胞である請求項11に記載のスクリーニング方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のスクリーニング方法により同定されたHIV複製阻害薬。
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