JP2007312019A - 電磁変換器 - Google Patents

Abstract

【課題】自由に再生周波数帯域を変化させることができないという課題があった。
【解決手段】前面永久磁石板１１は音放射穴１１ａを有し帯状の多極着磁パターンが形成され、第一の支持部材３１は音放射穴３１ａを有し背面永久磁石板１１の外側に配置され、スライド式シャッター４１は音放射穴４１ａを有し第一の支持部材３１の外側に配置され、振動膜１３は背面永久磁石板１１に対向するように配置されていて、スライド式シャッター４１をスライドさせることにより振動膜１３の背面の空気スティフネスを可変させる。
【選択図】図１

Description

この発明は、例えばオーディオ信号を再生する電磁変換器に関するものである。

従来、永久磁石板と振動膜とを組み合わせた電磁変換器は、様々な技術が提案されている。特許文献１の電磁変換器は、背面永久磁石板および前面永久磁石板と、背面永久磁石板および前面永久磁石板に対向するように配置した振動膜と、これらを覆う支持部材を備えている。これらの永久磁石板は、帯状の異なる磁極が一定の間隔を置いて交互に形成されたものである。また振動膜は永久磁石板の異なる磁極同士の間隙部分のいわゆる着磁のニュートラルゾーンと称される部分に対向する位置に、蛇行形状の導体パターンからなるコイルが全面に形成されている。そして、振動膜のコイルに電流（オーディオ信号）が流れると、そのコイルと永久磁石板の多極着磁パターンが電磁的に結合し、フレミングの法則により振動膜にオーディオ振動を発生し、永久磁石板と支持部材に開けられた音放射穴を通り外部に放射される。

特開平９−３３１５９６号公報（段落００１３〜段落００２７）

電磁変換器の再生周波数帯域は、振動膜の背面側の背面永久磁石板や支持部材の音放射穴の大きさや数により振動膜の背面側の空気のスティフネス分が変化するため、これらの音放射穴の大きさや数に大きく影響を受ける。従来は、前面と同様の音放射穴を背面に設けた比較的低域まで再生できる電磁変換器や、背面に音放射穴を設けない高域のみ再生する電磁変換器があった。しかし、これらの電磁変換器では、音放射穴が固定されているので再生できる周波数帯域がそれぞれ決定され、自由に再生周波数帯域を変化できないという課題があった。

この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、振動膜の背面側に設けられた音放射穴の数や大きさを可変させ、自由に再生周波数帯域を変化させることができる電磁変換器を得ることを目的とする。

本願発明に係る電磁変換器は、帯状の多極着磁パターンが形成された音放射穴を有する背面永久磁石板と、背面永久磁石板の外側に配置された音放射穴を有する第一の支持部材と、第一の支持部材の外側に配置された音放射穴を有するスライド式シャッターと、背面永久磁石板に対向するように配置した振動膜とを備え、スライド式シャッターをスライドさせることにより上記振動膜の背面の空気スティフネスを可変させるものである。

この発明によれば、背面永久磁石板に設けられた音放射穴の大きさを可変させることにより自由に再生周波数帯域を変化させることができるという効果を奏する。

実施の形態１．
図１はこの発明の実施の形態１の電磁変換器の構成を示す分解斜視図であり、図２は実施の形態１の第一の支持部材の音放射穴の可変を説明する斜視図であり、図３は実施の形態１の第一の支持部材の音放射穴の可変を説明する断面図である。

図１に示すように、この電磁変換器１０は、音を外部に放射するための音放射穴１１ａが形成されている背面永久磁石板１１と、背面永久磁石板１１と対向するように配置した音を外部に放射するための音放射穴１４ａが形成されている前面永久磁石板１４と、背面永久磁石板１１および前面永久磁石板１４に対向するように配置した振動膜１３と、背面永久磁石板１１と振動膜１３との間および前面永久磁石板１４と振動膜１３との間に配置された緩衝部材１２と、これらを覆う音放射穴３１ａを有する第一の支持部材３１および音放射穴３２ａを有する第二の支持部材３２を備えている。振動膜１３は、図１に示すように、薄く柔軟な樹脂フィルム１３ａの全面に蛇行形成の導体パターンからなるコイル１３ｂが形成されている。また第一の支持部材３１と第二の支持部材３２を合わせたものがフレーム３０であり、フレーム３０の内側が構造体２０である。また第一の支持部材３１の外側に音を外部に放射するための音放射穴４１ａが形成されているスライド式シャッター４１がある。

ここで、背面永久磁石板１１および前面永久磁石板１４は、振動膜１３との対向面のほぼ全面に焼結フェライト磁石からなる帯状の多極着磁パターンＮ，Ｓが片面に形成されているものである。

振動膜１３は、図１に示すように背面永久磁石板１１および前面永久磁石板１４に対向するように配置し、薄く柔軟な樹脂フィルム１３ａの全面に蛇行形成の導体パターンからなるコイル１３ｂが形成されている。

スライド式シャッター４１は、図１，図２，図３で示すように、第一の支持部材３１の外側に配置し、第一の支持部材３１の音放射穴３１ａと同様の音放射穴４１ａを同様の位置に有している。また、スライド式シャッター４１をスライドして音放射穴４１ａの位置を変動させることで、音放射穴３１ａの開閉が可能になり、自由に再生周波数帯域を変化させることができる。また、スライド式シャッター４１の音放射穴４１ａの位置，大きさ，数は自由に設定できる。

緩衝部材１２は、通気性および音響エネルギーの透過性を有する不織布などから形成され、図１に示すように緩衝部材１２は背面永久磁石板１１と振動膜１３との間および前面永久磁石板１４と振動膜１３との間に配置され、その振動膜１３が振動時に背面永久磁石板１１および前面永久磁石板１４との衝突を防止するとともに、サスペンションとしての役割を担うものである。

第一の支持部材３１は永久磁石板１１の音放射穴１１ａに連通させる音放射穴３１ａを有し、第二の支持部材３２は永久磁石板１４の音放射穴１４ａに連通させる音放射穴３２ａを有している。また第一の支持部材３１および第二の支持部材３２は、例えば、鉄板やニッケル・鉄合金（パーマロイ）板などが適用される。

図４は実施の形態１の再生周波数帯域の可変を示す周波数特性図である。
図４の横軸は周波数を縦軸は音波の音圧レベルを表している。周波数曲線１ｆ，２ｆ，３ｆは図４において示された実施の形態１の周波数曲線である。図２および図３で示すように、音放射穴３１ａを全開にして使用した場合は周波数曲線１ｆを示し、比較的低域まで再生することが可能となる。一方、スライド式シャッター４１をスライドすることにより音放射穴３１ａを全閉した時は周波数曲線２ｆを示し、高域のみの再生周波数帯域が可能となる。また、スライド式シャッター４１をスライドすることにより音放射穴３１ａを半分開いた場合は、周波数曲線３ｆを示し、比較的中高域の再生周波数帯域が可能となる。

次に動作について説明する。
電流が振動膜１３の全面に蛇行形成の導体パターンからなるコイル１３ｂに流れると、コイル１３ｂと背面永久磁石板１１および前面永久磁石板１４の帯状の多極着磁パターンとが電磁的に結合するため、振動がフレミングの法則により振動膜１３に発生する。この振動が前面からは前面永久磁石板１４の音放射穴１４ａおよび第二の支持部材３２の音放射穴３２ａを通り、背面からは背面永久磁石板１１の音放射穴１１ａと第二の支持部材３１の音放射穴３１ａおよびスライド式シャッター４１の音放射穴４１ａを通り、音が外部に出力される。スライド式シャッター４１をスライドすることにより、音放射穴３１ａの大きさを変えて、希望する再生周波数帯域に合わせる。

また、背面側永久磁石板１１と第一の支持部材３１とスライド式シャッター４１の音放射穴１１ａ，３１ａ，４１ａの大きさ又は数は、必要とする再生周波数帯域に合わせ予め決定される。

また、スライド式シャッター４１をスライドさせ振動膜１３の背面の空気スティフネスを可変させることにより、図４で示すような周波数曲線１ｆ，２ｆ，３ｆの再生周波数帯域となる。

また、スライド式シャッター４１の代わりに空気透過率を変更する複数のフィルターを備え、この複数のフィルターの枚数を変えることで振動膜１３の背面の空気スティフネスを可変させることができる。

以上説明した実施の形態１によれば、帯状の多極着磁パターンが形成された音放射穴１１ａを有する前面永久磁石板１１と、背面永久磁石板１１の外側に配置した音放射穴３１ａを有する第一の支持部材３１と、第一の支持部材３１の外側に配置した音放射穴４１ａを有するスライド式シャッター４１と、背面永久磁石板１１に対向するように配置した振動膜１３とを備え、スライド式シャッター４１をスライドさせることにより振動膜１３の背面の空気スティフネスを可変させることにより、再生周波数帯域を自由に変えることができるという効果を奏する。

また実施の形態１によれば、背面側永久磁石板１１と第一の支持部材３１とスライド式シャッター４１の音放射穴１１ａ，３１ａ，４１ａの大きさ又は数は、必要とする再生周波数帯域に合わせ予め決定されることにより、自由に再生周波数帯域を得ることができるという効果を奏する。

また実施の形態１によれば、スライド式シャッター４１代わりに空気透過率を変更する複数のフィルターを備え、フィルターを増減させ、そのフィルターの枚数により振動膜背面の空気スティフネスを可変させることで、自由に再生周波数帯域を変化させることができるという効果を奏する。

実施の形態１の電磁変換器の構成を示す分解斜視図である。 実施の形態１の第一の支持部材の音放射穴の可変を説明する斜視図である。 実施の形態１の第一の支持部材の音放射穴の可変を説明する断面図である。 実施の形態１の再生周波数帯域の可変を示す周波数特性図である。

符号の説明

１ｆ，２ｆ，３ｆ 周波数曲線、１０ 電磁変換器、１１ 背面永久磁石板、１１ａ 音放射穴、１２ 緩衝部材、１３ 振動膜、１３ａ 樹脂フィルム、１３ｂ 蛇行形成の導体パターンからなるコイル、１４ 前面永久磁石板、１４ａ 音放射穴、２０ 構造体、３０ フレーム、３１ 第一の支持部材、３１ａ 音放射穴、３２ 第二の支持部材、３２ａ 音放射穴、４１ スライド式シャッター、４１ａ 音放射穴。

Claims (3)

1. 帯状の多極着磁パターンが形成された音放射穴を有する背面永久磁石板と、
   上記背面永久磁石板の外側に配置された音放射穴を有する第一の支持部材と、
   上記第一の支持部材の外側に配置された音放射穴を有するスライド式シャッターと、
   上記背面永久磁石板に対向するように配置した振動膜とを備え、
   上記スライド式シャッターをスライドさせることにより上記振動膜の背面の空気スティフネスを可変させることを特徴とする電磁変換器。
2. 上記背面側永久磁石板と上記第一の支持部材と上記スライド式シャッターの音放射穴の大きさ又は数は、必要とする再生周波数帯域に合わせて決定されることを特徴とする請求項１記載の電磁変換器。
3. 上記スライド式シャッターの代わりに空気透過率を変更する複数のフィルターを備え、上記複数のフィルターの枚数を変えることで上記振動膜の背面の空気スティフネスを可変させることを特徴とする請求項１記載の電磁変換器。

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