JP2007309858A - センサ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】伝送路を伝搬する電磁波と相互作用する領域と相互作用しない領域の間で検体を移動させる事によって、リファレンス信号と検体信号の測定を柔軟に様々な態様で行う事が出来るセンサ装置を提供することである。
【解決手段】センサ装置は、電磁波106を伝搬させる伝送路100、107、110と、電磁波106を発生して伝送路に供給する電磁波供給手段101、103、105と、伝送路を伝搬してきた電磁波106を検出する電磁波検出手段102、104と、検体収容・制御手段111、112、113、114を含む。検体収容・制御手段は、伝送路を伝搬する電磁波106と相互作用する領域にある第1検体保持部111と電磁波106と相互作用しない領域にある第2検体保持部113との間で移動可能に検体を収容する。
【選択図】図2

Description

本発明は、周波数30GHz乃至30THzの所謂ミリ波からテラヘルツ波と呼ばれる周波数領域の電磁波(本明細書では、テラヘルツ波とも呼ぶ)を用いて、検体の情報(物性、同定、濃度、存否など)を取得するためのセンサ装置に関する。
近年、テラヘルツ波を発生、検出する手段が開発されたのに伴い、テラヘルツ波を利用した技術が注目されている。例えば、テラヘルツ波の応用分野として、X線に替わる安全な透視センサ装置としてイメージングを行う技術、物質の吸収スペクトルや複素誘電率を調べて結合状態を調べる分光技術、生体分子の解析技術、通信技術などが研究、開発されている。
こうした技術状況において、テラヘルツ波を使用して検体を検知する方法として、テラヘルツ波発生部、伝送部、検出部などが集積化されたデバイスが提案されている(非特許文献1参照)。図9にその平面図を示す。これは、基板160上に形成され、テラヘルツ波の発生、伝送、検出の一体型のデバイスであり、高周波伝送路165、163の一部に、低温成長GaAs(LT-GaAs)で構成された光伝導素子の薄膜164を転写した構造になっている。LT-GaAs薄膜164にバイアス電圧を印加した状態で光パルスを金属ライン161、165のギャップに照射する事でテラヘルツ波が発生し、伝送路165、163を伝搬していく。伝送路にはフィルタ構造166が設けてあり、そこに検体167を置く時と置かない時で共振周波数の変化が起こり、その変化を検出する事によって、検体167の検知を行う。すなわち、検体167の誘電率によってフィルタ構造166の実効的なフィルタ長が変化して、それに伴いフィルタ構造166を通過する電磁波の周波数が変化し、その変化分をセンスしている。伝送路165、163には、金属で高周波絶縁材料を挟み込む構造をしたマイクロストリップ線路を使用し、EO結晶を使用して電気光学効果によって検出を部分162より行っている。
APPLIED OPTICS/Vol.41, No.10,2002,pp.2074
上述した様に、テラヘルツ波を用いて、その伝播状態の変化から物質の吸収係数や複素屈折率などの光学特性を求める事で、物質の分析・検出・同定などが出来る。この従来技術においては、伝送路型センサのフィルタ部166に検体167を塗布して、テラヘルツ波の伝搬特性(検体信号)を時間領域で測定する。その後、フィルタ部166に何も塗布していない時のテラヘルツ波の伝搬特性(リファレンス信号)と比較して、電磁波の伝搬特性の変化から検体167の特性を分析する。ところが、一度、検体167をフィルタ部166に塗布してしまうと、その検体167を完全に除去する事が難しい。このセンサにおける検体167の特性の分析には、1つのリファレンスデータと1回若しくは複数回の検体信号データから判断する事になる。
つまり、上記従来技術におけるセンサにおいては検体信号とリファレンス信号の逐次測定が出来ず、データの取得効率が悪くなりやすい。この場合の逐次測定とは、検体信号とリファレンス信号のパルス波形のデータを波形ごとに交互に取っていく事(オシロスコープで言うALT方式)を指す。テラヘルツ波発生において、テラヘルツ波はフェムト秒レーザやバイアス電圧の時間的なゆらぎによる変動を受ける可能性がある。そのため、リファレンス信号は検体信号の直前に測定するのが良い。このことからも、リファレンス信号と検体信号を交互に測定するのは有意義な事である。
上記課題に鑑み、検体の情報を取得するための本発明のセンサ装置は、電磁波を伝搬させる伝送路と、電磁波を発生して伝送路に供給する電磁波供給手段と、伝送路を伝搬してきた電磁波を検出する電磁波検出手段と、検体収容・制御手段を含む。前記検体収容・制御手段は、前記伝送路を伝搬する電磁波と相互作用する領域にある第1検体保持部と該電磁波と相互作用しない領域にある第2検体保持部との間で移動可能に検体を収容するためのものである。前記電磁波の周波数帯域は、典型的には、30GHz乃至30THzの領域内にある。
本発明によれば、上記の如き検体収容・制御手段を備えるので、伝送路を伝搬する電磁波と相互作用する領域と相互作用しない領域の間で検体を移動させる事によって、リファレンス信号と検体信号の測定を柔軟に様々な態様で行う事が出来る。
以下に、本発明によるセンサ装置の実施形態について説明する。図1は構成を概念的に示す。本実施形態では、電磁波発生手段1が上記電磁波供給手段の一部を構成する。検体保持部3と検体制御手段4が上記検体収容・制御手段を構成する。検体保持部3は、電磁波の伝搬する伝送路2の近傍で検体(サンプル)を保持する上記第1検体保持部と該電磁波と相互作用しない領域に検体(サンプル)を保持する第2検体保持部と両保持部を繋ぐ検体移動流路を含む。検体制御手段4は、伝送路2の近傍にあり、電磁波と相互作用する領域にある上記第1検体保持部と相互作用しない領域にある第2検体保持部の間での検体の移動を制御する。伝送路2を伝搬してきた電磁波は、電磁波検出手段5で検出される。
上記第1検体保持部は、伝送路2を伝搬する電磁波の電場分布が及んで電磁波と相互作用する範囲に形成される必要があるが、その範囲は、例えば、伝播電磁波の電場分布のピーク値の1/e以上の電場が存在する領域を含む部位として定義される。そうした部位に上記第1検体保持部を設置すれば、第1検体保持部内の検体と電磁波が有効に相互作用を起こし、伝送路2を伝搬する電磁波の伝播状態に有効に影響を与える事が出来る。第2検体保持部は、こうした領域の外に設けられて、第2検体保持部内の検体と伝播電磁波が相互作用しない様にする。
上記電磁波検出手段5は、典型的には、検体と相互作用して伝送路2を伝搬してきた電磁波の伝搬状態と検体と相互作用しないで伝送路2を伝搬してきた電磁波の伝搬状態との相違を検出して検体収容・制御手段に収容された検体の特性分析を行う。上記検体収容・制御手段の検体制御手段4は、収容した検体と接する物質(ガス、熱膨張物質など)からの圧力、または重力の作用を利用して、該検体を第1検体保持部と第2検体保持部の間で移動させる。例えば、上記検体収容・制御手段の一例は、電流が流されてジュール熱を発生するための少なくとも1つの導電体部(伝送路2の金属部など)を有する。そして、前記電流のオン・オフによる気泡の発生・消滅を利用して収容検体を上記第1検体保持部と上記第2検体保持部の間で移動させる。また、上記検体収容・制御手段の他の例は、熱膨張媒体を収容していて、熱膨張媒体の熱膨張または収縮を利用して収容検体を上記第1検体保持部と前記第2検体保持部の間で移動させる。熱膨張媒体に熱を与える方法としては、上記の如く電流が流されてジュール熱を発生するための導電体部を用いる方法、熱膨張媒体に光を当てて熱を付与する方法などがある。検体保持部内に気体などを吹き込んで発生する圧力作用でも、検体を上記第1検体保持部と前記第2検体保持部の間で移動させる事が出来る。
伝送路2としては、マイクロストリップライン、ストリップライン、コプレーナストリップライン、コプレーナウェーブガイド、マイクロコプレーナストリップライン、スラブライン、スロットラインなどを用いる事が出来る。また、上記検体収容・制御手段の導電体部としては、上述の如く伝送路2の金属部の一部分を用いる事が出来るが、別に形成したジュール熱発生用の導電性領域を用いる事も出来る。ただし、この場合は、伝送路2の伝搬特性については、この導電性領域も含んだ形で設計する事となる。
上記構成によれば、伝送路2を伝搬する電磁波と相互作用する領域と相互作用しない領域との間で検体を移動させる事によって、リファレンス信号と検体信号の逐次測定が可能になる。そのため、リファレンス信号を検体信号の直前に測定する事によってリファレンス信号の精度が向上し、データ蓄積によるデータ信頼性の向上が可能となる。また、全く同じ検体を複数回でも随時測定できるので、より精度の良い測定が期待できる。
これと比較して、上記従来技術では、一度検体をフィルタ部に塗布してしまうとその検体を完全に除去する事が難しく、検体信号とリファレンス信号の逐次測定が出来ず、データの取得効率が悪くなりやすい。また、上記従来技術では、塗布した検体の絶対量が分かりにくいといった事や、検体を塗布できる領域を充分制御できない事などの難点もある。
次に、本発明によるセンサ装置のより具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
図2に示す本発明による第1の実施例を説明する。(a)は斜視図であり、(b)は平面図であり、(c)は断面図である。
本実施例では、上記電磁波発生手段として、次の構成を用いている。この構成では、金属パッド101とグランド(GND)層100間に電圧を印加した状態でLT-GaAs103にフェムト秒レーザ105を照射する事で、テラヘルツ帯域の周波数成分を持った電磁波(テラヘルツ波)106が放射される。この電磁波は主に伝送路107に結合して伝送路107の伸長方向に沿って伝搬する。テラヘルツ波発生手段は、勿論、こうしたLT-GaAsを使用した光伝導素子に限るものではなく、パラメトリック発生器やBWO(後進行波管)や量子カスケードレーザを用いて、アンテナなどでデバイスの伝送路107に電磁波を入射させてもよい。
ここにおいて、伝送路とは、電磁波を或る場所から別の場所に移動させ、また自由伝搬の電磁波より特定の領域に電磁波を閉じ込める事が出来るものである。従って、伝送路近傍の検体と伝送路を伝搬する電磁波を相互作用させる事によって、伝送路を備えた装置をセンサとして動作させる事が出来る。本実施例では、伝送路107には、2つの金属層(グランド層100とその上の金属線)の間に誘電体110を挟みこんだ形態をしているマイクロストリップラインを用いている。マイクロストリップラインはこの様な形態をしており、低周波からテラヘルツ波までの伝搬損失や分散特性が優れており、また作製しやすいなどの特徴がある。その他にも、コプレーナストリップラインなどがあるが、これらに限るものではない。損失を少なく電磁波を伝送でき、S/N比を向上する為のフィルタなどの他機能要素を付加しやすい形態であればなお良い。
本実施例における検体収容・制御手段108としては、伝送路7の近くに、検体を保持する第1検体保持部111と検体導入孔114に通じた第2検体保持部113が検体移動流路112を挟んで設けられている。これら第1検体保持部111と第2検体保持部113と検体移動流路112と検体導入孔114は、図2に示す如く、誘電体110中に形成されている。上記検体収容・制御手段は、電磁波と相互作用する領域と相互作用しない領域の間で検体を移動・制御する検体制御手段も含み、これは、本実施例では、両保持部111、113の下部に夫々設けられた導電体部である。電流が流されてジュール熱を発生するこれらの導電体部は、グランド層100の一部が兼ねてもよい。
検体収容・制御手段108の領域を通過した電磁波106を検出する電磁波検出手段として、本実施例は次の様な構成を用いている。伝播電磁波の信号は検出部のLT-GaAs104によって受信されて出力され、金属パッド102に接続された電流計よって電流として測定される。電磁波(テラヘルツ波)検出手段においても、LT-GaAsを使用した光伝導素子に限るものではなく、EO結晶やボロメータや超伝導トンネル接合素子やショットキーダイオードなどを用いてもよい。
本実施例では、以上に説明した伝送路107、LT-GaAs103を含む電磁波供給手段、LT-GaAs104を含む電磁波検出手段、検体収容・制御手段108などは、同一基板109上に設けられている。
本実施例の検体センシング動作を説明する。検体の検体収容・制御手段108への導入は、検体導入孔114を通して行われる。検体がほぼ第2検体保持部113に収容された状態で、伝送路107に電磁波を伝搬させて伝播電磁波を電磁波検出手段により検出すれば、リファレンス信号を得る事が出来る。ここで、検体導入孔114を塞いだ状態で、第2検体保持部113の下の導電体部に電流を流してジュール熱を発生させて気泡を発生させれば、検体はその圧力作用で検体移動流路112を通って第1検体保持部111内へと移動する。こうして検体が第1検体保持部113に収容された状態で、伝送路107に電磁波を伝搬させて伝播電磁波を電磁波検出手段により検出すれば、検体信号を得る事が出来る。ここで、更にもう一度、リファレンス信号を得たければ、今度は第1検体保持部111の下の導電体部に電流を流してジュール熱を発生させて気泡を発生させ、検体をその圧力作用で検体移動流路112を通って第2検体保持部111内へと戻せばよい。この様な検体の移動・制御は、要求に応じて何度でも行う事が出来る。
この様に、テラヘルツ波106は検体収容・制御手段108近傍を通過する時に、検体が電磁波(テラヘルツ波)と相互作用できる領域にある第1検体保持部111にある時には、検体の影響を受け伝播特性が変化する。具体的には、検体が或る周波数領域で吸収スペクトルを持つときには、その周波数で検体によって吸収を受けて電磁波106の強度が落ちる。図8のグラフでその様子を示す。(1)は、検体が第2検体保持部113にある時に伝送路107を伝搬してきた電磁波106の透過スペクトルであり、(2)は、検体が第1検体保持部111にある時に伝送路107を伝搬してきた電磁波106の透過スペクトルである。
検体センシングの際、その検体の周波数毎の誘電率に従って分散の影響を受け、電磁波106のパルス幅が拡がるなどの現象が起こる。一方、検体がテラヘルツ波と相互作用しない第2検体保持部113にある時には検体の代わりに空気の影響を受ける。こうして得られる検体信号とリファレンス信号を用いてもよいが、検体収容・制御手段108内に、周囲の誘電体110と似た誘電率特性を持つ誘電率補償液(マッチング液)を導入しておくと更に良い。こうすれば、電磁波(テラヘルツ波)と相互作用できる領域にある第1検体保持部111に検体がある時と無い時で、電磁波106の伝搬状態が変化するが、この変化は空気の影響を含んでいないので、より精度の良い検体センシングが出来る事になる。ただし、この場合は、第1検体保持部111の向こう側に上記誘電率補償液を退避させる収容部を設けておいて、この下に、電流を流してジュール熱を発生させるための導電体部を設ける必要がある。こうすれば、第2検体保持部113の下の導電体部に電流を流す時に検体が第1検体保持部111に移動して誘電率補償液が収容部に退避し、収容部の下の導電体部に電流を流す時に検体が第1検体保持部111に退避して誘電率補償液が第1検体保持部111に移動する。
(実施例2)
本発明による第2の実施例を図3、図4を用いて説明する。図3に示す様に、ここでも、電磁波発生手段としては、LT-GaAs203を使用した光伝導スイッチを用いる。また、伝送線207としてマイクロストリップラインを用いる。実施例2は、検体収容・制御手段208の部分を除いて、その他の部分は上記実施例1とほぼ同じであり、符号200乃至207、209及び210で示す部分は実施例1の符号100乃至107、109及び110で示す部分に夫々対応している。
本実施例の検体収容・制御手段208の部分を以下に述べる。図3のA-B断面図である図4に示す様に、検体を保持する機構は、誘電体210の中にV字状の流路303を作りこむ事によって作製する。検体収容・制御手段208は、底部が上記第1検体保持部を成して上部が上記第2検体保持部を成すV字状の流路303を有する。そして、重力作用による検体309の自重効果と、グランド(GND)層200に電流を流す事によって発生するジュール熱を利用して、検体309の移動・制御を行なう。
流路303は、誘電体210内部に斜めに作りこまれる構成になっている。すなわち、積層した誘電体にフォトリソグラフィ工程とエッチング工程を施す事によって、流路303となる溝を形成する。この様な誘電体の積層と斜めのエッチングの工程を繰り返す事によって流路303を作りこむ事が出来る。この構成では、検体309が伝播電磁波206と相互作用しない領域(上記第2検体保持部)に移動でき、自重によって伝播電磁波206と相互作用できる領域(上記第1検体保持部)に戻って来られればよい。従って、流路は斜めに作りこんだ構成に限るものではなく、作りやすい階段状の流路や曲率をもった流路でもよい。
本実施例の検体収容・制御手段208は、伝送路207を伝搬する電磁波206と相互作用しない領域に検体309を移動させる方法として、ジュール熱を利用した気泡の発生による移動方法を採る。すなわち、グランド層200に設けた抵抗値の高いヒータ電極(これは、V字状の流路303の底部の下に形成する)に電流を与えると、ジュール熱を発生する。これは、金属が抵抗を有しているために生じる熱である。検体309はグランド層200と接触している領域から熱を受け、その熱によって気泡が発生する。流路309の大きさを、ジュール熱によって発生する気泡の典型的なオーダーより小さく設定しておけば、気泡によって検体309が押し出される。その結果、気泡によって検体309が図4(b)の如く上部に移動し、検体309の影響の無い状態での電磁波信号を測定する事が出来る。
検体309を図4(a)に示す元の下部の領域に戻す時は、グランド層200に印加した電流を止めて気泡を消滅させてやればよい。これにより、重力作用による自重効果で、検体309は、伝播電磁波206と相互作用できる領域(上記第1検体保持部)に戻って来る。図4において、307は伝播電磁波の電気力線の様子を示す。
ここで、本実施例の構成の作製工程の一例を述べる。
まず、Si基板209の上にグランド層200として金属層を積層する。その金属層の一部には、上記ヒータ電極となる様に抵抗値の高い領域を適当な部位に設ける。
次に、グランド層200の上に、約2μ厚のLT-GaAs薄膜203、204を転写する。エピタキシャル成長させたGaAsを、上記基板209上の金属層に転写する薄膜転写方法は以下の通りである。GaAs基板上にエッチングストップ層としてAlAs犠牲層を積層した後、摂氏250度の低温でLT-GaAsを成長させ、この上にスパッタや蒸着で金属層を積層する。ボンディング装置などを使用して、GaAsチップの金属層とグランド層200若しくは糊機能を担うチップ台座面を熱圧着や超音波圧着などで接合させる。そのあと、下地のGaAsとAlAs犠牲層をウエットエッチングで除去する事によって、LT-GaAs薄膜203、204を転写する事が出来る。
次に、誘電体210の材料を積層する。誘電体材料としては、BCB(ベンゾシクロブテン)やポリシラン、ポリイミド、テフロンなどがあるが、これらに限るものではない。ただし、高周波伝送路の特性上、伝送路における誘電損失を小さくするために、誘電正接が小さい材料を選ぶのが良い。
次に、再度フォトリソグラフィとドライエッチング工程を行い、LT-GaAs薄膜203、204の面を露出させる。これは、グランド層200の部分と伝送路207の部分を利用してバイアス電圧を垂直にLT-GaAs薄膜203、204に印加する事が出来る様に、伝送路207の金属層をLT-GaAs薄膜203、204の面と接触させるためである。
この工程の作製例を図7に示す。グランド層となる金属層601上に薄膜のLT-GaAs602を転写した状態の基板(図7(a))に、誘電体603を積層する(図7(b))。誘電体603はスピンコータなどを使用して塗布する。AZ4620などのフォトレジスト604を塗布して(図7(c))露光、現像し、誘電体層603の上にパターニングをする(図7(d))。レジスト604は、誘電体603をエッチングする際に用いるガスに対して耐性の強い選択比の良好なものを用いるのが良い。ドライエッチングの方法で誘電体603をエッチングした後(図7(e))、レジストを除去する(図7(f))。除去する方法としては、酸素プラズマを用いたアッシングや、アセトンなどの有機溶剤を使用して溶融させる方法などがある。
ここでは、積層した誘電体603に、フォトリソグラフィ工程とエッチング工程によって、流路303となる溝を形成する事も行う。この様な誘電体の積層とエッチングの工程を繰り返す事によって流路303を作りこむ。
続いて、LT-GaAs薄膜203、204の面を露出させた後、伝送路207と電極パッド201、202を形成する。方法は、フォトリソグラフィとリフトオフを用いて行う。伝送路207は露出したGaAs薄膜203、204の上を通過する様に形成する。伝送路207の金属部の幅は誘電体層210の誘電率と積層厚にも依存するが、例えば、BCBを5μm程度の厚みで積層した場合、伝搬する電磁波の周波数も考慮して、金属部の幅は約10μm程度になる。こうした装置の作製法は上記実施例1や後述の実施例の作製にも応用できる。
以上の様にして形成した素子を使って以下の様な系を構成する。
LT-GaAs203に電極パッド201とグランド層200を利用してバイアス電圧をかけておき、その状態でフェムト秒レーザ205をLT-GaAs203に照射すると、テラヘルツ波206が放射される。検体309は、図4に示すV字状の流路303の開いた検体導入孔から導入し、こののち、検体導入孔は塞いでおく。伝送路207を伝搬する電磁波206との相互作用が強い領域に流路303の一番位置の低い領域を合わせる事によって、通常状態では検体309は、伝送路207を伝搬する電磁波206との相互作用が一番強い領域に、自重によって存在する事になる。従って、この状態において、伝播電磁波を検出すれば、検体信号を得られる。
この状態から検体309を、伝送路207を伝搬する電磁波206と相互作用しない領域に移動させるためには、グランド層200に電流を流してジュール熱を発生させる事によって気泡を発生させ、その気泡の圧力作用で検体309を上方に移動させる。グランド層200に流す電流をデータ取得タイミングに同期させる事で、リファレンス信号と検体信号の波形を交互にGaAs薄膜204の検出手段で取得する事が出来、逐次測定が可能になる。
(実施例3)
本発明の第3の実施例を説明する。実施例3の構造は実施例2とほぼ同じであり、実施例3の作製手順も実施例2とほぼ同様の作製手順を踏む。
実施例3では、検体309を移動させる手段として、例えば、流路303内に導入した検体309の片側に、特性が既知で熱膨張する様な物質を挿入する。そして、その物質の熱膨張を利用して検体309を移動させる。この際、熱膨張係数が高く、周囲の誘電体210材料などの誘電率に誘電率が近く、検体309と混じらない熱膨張材料が望ましい。その例としては、シリコンオイルなどの油系の材料がある。また、検体309と混じらない様に検体309と上記熱膨張物質の間に隔壁(流動体などで形成する)を挿入してもよい。その他の点は、実施例2と同様である。
(実施例4)
本発明による第4の実施例を図5、図6を用いて説明する。実施例4も、上記実施例とほぼ同じ構成を有する。異なる所は、検体収容・制御手段の部分である。すなわち、実施例4は、検体収容・制御手段408の部分を除いて、その他の部分は上記実施例1とほぼ同じであり、符号400乃至407、409及び410で示す部分は実施例1の符号100乃至107、109及び110で示す要素に夫々対応している。
作製方法については、ここでも、高抵抗Si基板409の上にグランド層400として金属を積層する。そして、グランド層400の上にLT-GaAs薄膜403、404を転写する。薄膜の転写方法は上述したものを用いればよい。LT-GaAs薄膜403、404を転写した後に、誘電体410を積層する。誘電体材料としては、上述した様に、BCB(ベンゾシクロブテン)やポリシラン、ポリイミド、テフロンなどがある。伝送路407、電極パッド401、402などの形成方法も上述した通りである。
次に、図5のA-B断面図である図6に示す様な検体導入孔505と検体移動流路506と熱伝導部507が形成された検体収容・制御手段408を、デバイスの伝送路407上に載せる。検体移動流路506の下部は上記第1検体保持部となり、検体移動流路506の上部は上記第2検体保持部となっている。検体収容・制御手段408の材質は、電磁波406の伝播状態に影響を及ぼさない様なものであれば何れでもよく、例えば、シリコンオイルなどの油系の材料などがある。検体収容・制御手段408の高さは電磁波406の相互作用範囲長よりも十分大きればよい。また、検体の移動流路506に、液溜め部など、検体の保持を強化する様な構造を設けてもよい。
検体移動流路506の上下部に夫々ある第2検体保持部と第1検体保持部の間での検体の移動は次の様に行われる。まず、検体導入孔505から検体を検体移動流路506内に導入し、検体導入孔505を何らかの手段で塞いでおく。ここで、検体収容・制御手段408の導電体部を兼ねる伝送路407に大きな電流を流すと、E=RI2(電流をI、抵抗をR)いう式に従った熱に変わる損失エネルギーEであるジュール熱を伝送路407は発生させる。このジュール熱を利用して検体に熱を印加する事で、上記実施例の時と同じく、発生したジュール熱の影響で発生する気泡の圧力作用で検体を上方の第2検体保持部に移動させる事が出来る。検体を元に戻す時は、検体収容・制御手段408の上部に取り付けた熱伝導部507に熱を印加する事によって、同じく発生する気泡の圧力作用で検体は下方に押し出され伝送路407側に戻って来る。
発熱量を増大させる為に、第1検体保持部や第2検体保持部の近傍に、一部抵抗値の高い金属を設けてもよい(例えば、伝送路407の金属線の一部を抵抗値の高い金属とする)。その他の点は、上記実施例と同様である。
本発明のセンサ装置の実施形態の構成を概念的に説明するブロック図。 本発明のセンサ装置の実施例1を説明するための図。 本発明のセンサ装置の実施例2を示す斜視図。 本発明のセンサ装置の実施例2の動作を説明する断面図。 本発明のセンサ装置の実施例4を示す斜視図。 本発明のセンサ装置の実施例4の動作を説明する断面図。 GaAs薄膜の露出構造の作製例を説明する断面図。 検体がある時とない時の電磁波の透過強度例を示すグラフ図。 従来例を説明する図。
符号の説明
100,200,400,601:伝送路(グランド(GND)層、導電体部)
101,201,401:電磁波供給手段(パッド)
102,202,402:電磁波検出手段(パッド)
103,203,403:電磁波供給手段(LT-GaAs)
104,204,404:電磁波検出手段(LT-GaAs)
105,205,405:電磁波供給手段(フェムト秒レーザ)
106,206,406:電磁波(テラヘルツ波)
107,207,407:伝送路(導電体部)
108,208,408:検体収容・制御手段
109,209,409:基板
110,210,410,603:伝送路(誘電体)
111:第1検体保持部(検体信号取得時)
112,506:検体収容・制御手段(検体移動流路)
113:第2検体保持部(リファレンス信号取得時)
114,505:検体収容・制御手段(検体導入孔)
303:検体収容・制御手段(流路)
309:検体
507:検体収容・制御手段(熱伝導部)

Claims (9)

  1. 検体の情報を取得するためのセンサ装置であって、
    電磁波を伝搬させるための伝送路と、
    電磁波を発生して前記伝送路に供給するための電磁波供給手段と、
    前記伝送路を伝搬してきた電磁波を検出するための電磁波検出手段と、
    前記伝送路を伝搬する電磁波と相互作用する領域にある第1検体保持部と該電磁波と相互作用しない領域にある第2検体保持部との間で移動可能に検体を収容するための検体収容・制御手段と、
    を有することを特徴とするセンサ装置。
  2. 前記電磁波検出手段は、検体と相互作用して前記伝送路を伝搬してきた電磁波の伝搬状態と検体と相互作用しないで前記伝送路を伝搬してきた電磁波の伝搬状態との相違を検出して前記検体収容・制御手段に収容された検体の特性分析を行うことを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
  3. 前記検体収容・制御手段は、収容した検体と接する物質からの圧力、または重力の作用を利用して該検体を前記第1検体保持部と前記第2検体保持部との間で移動させることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ装置。
  4. 前記検体収容・制御手段は、電流が流されてジュール熱を発生するための少なくとも1つの導電体部を有し、前記電流のオン・オフによる気泡の発生・消滅を利用して前記収容した検体を前記第1検体保持部と前記第2検体保持部との間で移動させることを特徴とする請求項3に記載のセンサ装置。
  5. 前記検体収容・制御手段は、熱膨張媒体を収容していて、該熱膨張媒体の熱膨張または収縮を利用して前記収容した検体を前記第1検体保持部と前記第2検体保持部との間で移動させることを特徴とする請求項3に記載のセンサ装置。
  6. 前記検体収容・制御手段は、前記第1検体保持部と前記第2検体保持部と両保持部を繋ぐ検体移動流路を含む流路を形成していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のセンサ装置。
  7. 前記伝送路がマイクロストリップラインであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のセンサ装置。
  8. 前記伝送路と前記電磁波供給手段と前記電磁波検出手段と前記検体収容・制御手段は、同一基板上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のセンサ装置。
  9. 前記電磁波の周波数帯域が30GHz乃至30THzの領域内にあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のセンサ装置。
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