JP2007308762A - シアン生成及び分解細菌を用いた低環境負荷型金属回収方法 - Google Patents

シアン生成及び分解細菌を用いた低環境負荷型金属回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、上記の環境低負荷型金属回収方法において、時間を要していたシアンの分解・無毒化工程をより短時間で行うことにより、効率的に繰り返し実施が可能な改良された環境低負荷型金属回収方法を提供する。
【解決手段】シアン生成及び分解細菌を用いた金属含有材料から金属を回収する方法であって、(1)富栄養状態の培地でシアン生成及び分解細菌を培養してシアンを生成する工程、(2)上記工程(1)で生成したシアンを用いて金属含有材料から金属を溶解する工程、(3)該培地にグルタミン酸誘導体及び/又はセリン誘導体とグルコースとを添加して栄養枯渇状態の培地に変えて、該シアン生成及び分解細菌を培養して上記工程(2)で残留したシアンを分解する工程、及び(4)上記工程(2)又は(3)の金属の溶解液から金属を回収する工程、を含むことを特徴とする金属回収方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シアン生成及び分解細菌を用いた廃電気・電子機器からの低環境負荷型金属回収方法に関する。
廃電気・電子機器のプリント基板には、Au、Pd、Ni、Cu、Sn等の有価金属や、Pb等の有害金属が混在する。特に、貴金属類は枯渇性資源であるため有効に循環利用する方法が望まれている。その解決手段として、シアン(CN)を用いてプリント基板から貴金属類を溶解させて回収する方法が報告されている。
近年、メッキや薄膜化技術の進展により、プリント基板に含まれる貴金属類の使用量が減少してきている。そのため、従来のシアンを用いた貴金属類の回収ではコストがかさむため採算があわず、未回収のまま廃棄されたり埋め立てに用いられたりするケースが増えている。また、シアンは毒性が高いため、使用前の取り扱いの安全性に問題があり、使用後の分解処理が必要不可欠であるという問題がある。そのため、有害なシアンそのものを取り扱う方法に代わる代替技術の開発が望まれている。
ところで、ある種のバクテリア(例えば、Chromobacterium violaceum)がグリシン代謝によってシアンを生成し、その生成シアンをβシアノアラニンシンターゼによって自ら分解できることが報告されている(例えば、非特許文献1)。
上記の問題を解決するために、本発明者は、このバクテリア(シアン生成及び分解細菌)を用いてシアン溶液を生成させ、このシアン溶液に金属を溶解させて貴金属類を回収し、回収後の溶液に残留するシアンを該バクテリアで分解することにより無毒化する方法、即ち、バクテリアの生育環境を激変させることによりシアンの生成及び分解の両方を制御できる環境低負荷型金属回収方法を提案している(例えば、非特許文献2)。この方法は、処理槽内でシアンの生成及び分解が起きるだけで、処理前後では有害なシアンを取り扱う必要がない点で、安全性に優れ低環境負荷の金属の回収方法であるといえる。この方法の模式図を図1及び図2に示す。
しかし、この方法では、バクテリアを用いてシアンを分解する無毒化工程に時間がかかるというデメリットがあった。そのため、上記の金属の回収作業においてシアンの生成及び分解の操作を繰り返し行うことを考慮すると、必ずしも効率的な方法といえず、さらなる改良が必要であった。
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本発明の目的は、上記の環境低負荷型金属回収方法において、時間を要していたシアン(シアン化物イオン)の分解・無毒化工程をより短時間で行うことにより、効率的に繰り返し実施が可能な改良された環境低負荷型金属回収方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、バクテリア(シアン生成及び分解細菌)の生育環境を激変させることによりシアンの生成及び分解の両方を制御して金属の回収を行う環境低負荷型金属回収方法において、シアンの分解工程においてグルコースを添加することにより、極めて短時間でシアンの分解が進むことを見出した。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の環境低負荷型金属回収方法を提供する。
項1.シアン生成及び分解細菌を用いた金属含有材料から金属を回収する方法であって、
(1)富栄養状態の培地でシアン生成及び分解細菌を培養してシアンを生成する工程、
(2)上記工程(1)で生成したシアンを用いて金属含有材料から金属を溶解する工程、
(3)該培地にグルタミン酸誘導体及び/又はセリン誘導体とグルコースとを添加して栄養枯渇状態の培地に変えて、該シアン生成及び分解細菌を培養して上記工程(2)で残留したシアンを分解する工程、及び
(4)上記工程(2)又は(3)の金属の溶解液から金属を回収する工程、
を含むことを特徴とする金属回収方法。
項2.前記シアン生成及び分解細菌が、クロモバクテリア ビオラセウム(Chromobacterium violaceum、NBRC番号:12614)である項1に記載の金属回収方法。
項3.前記工程(1)における富栄養状態の培地が、YP培地又はグリシンを添加したYP複合培地である項1又は2に記載の金属回収方法。
項4.前記金属含有材料がプリント基板、接合材料、配線部品、又は組立部品である項1〜3のいずれかに記載の金属回収方法。
項5.前記金属がアルミニウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、オスミウム、イリジウム、白金、金、鉛、及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜4のいずれかに記載の金属回収方法。
項6.前記工程(3)の栄養枯渇状態の培地を富栄養状態の培地に変えて工程(1)に供し、工程(1)〜(4)の一連の工程を1回行うか又は2回以上繰り返す項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の環境低負荷型金属回収方法は、次の工程を含む。
(1)富栄養状態の培地でシアン生成及び分解細菌を培養してシアンを生成する工程、(2)上記工程(1)で生成したシアンを用いて金属含有材料から金属を溶解する工程、(3)該培地にグルタミン酸誘導体及び/又はセリン誘導体とグルコースとを添加して栄養枯渇状態の培地に変えて、該シアン生成及び分解細菌を培養して上記工程(2)で残留したシアンを分解する工程、及び(4)上記工程(2)又は(3)の金属の溶解液から金属を回収する工程。
この方法によれば、シアンの生成、金属の溶解、残留シアンの分解という一連の工程が反応系内において行われるため、毒性のあるシアンの取り扱いが簡便である。しかも、従来長時間を要していた残留シアンの分解工程(3)において、シアンの分解が短時間で進行するようになったため、本法の繰り返し操作による金属回収が極めて効率的に実施できるようになった。
工程(1):
工程(1)では、富栄養状態の培地でシアン生成及び分解細菌を培養してシアンを生成する。
富栄養状態の培地とは、シアン生成及び分解細菌が培養されて効率的にシアンを生成しうる培地であり、例えば、ポリペプトン(Polypepton)、イースト抽出物(Yeast extract)及び硫酸マグネシウム・7水和物(MgSO4/7H2O等)を含む水溶液であるYP培地が好適である。
ここで、ポリペプトンとは、微生物培養に用いられる試薬の1つであり、ペプトンの重合体を含有する。牛乳カゼインを酵素分解後、精製し、乾燥した灰黄色の粉末である。
具体的には、第13改正日本薬局方解説書1996の一般試験法、試薬・試液、B−736〜737に記載の「ペプトン、カゼイン製」に記載されたものを用いることができる。ポリペプトン成分は、全窒素量12.5%〜14.5%,アミノ窒素5.0%〜6.5%,強熱残留物4.0 %〜7.0 %,乾燥ロス3.5%〜5.5%のものが例示される。
YP培地の組成の具体例としては、蒸留水1Lに対し、ポリペプトンを5〜20g程度(好ましくは7〜15g程度)、イースト抽出物を1〜4g程度(好ましくは1.5〜3g程度)、硫酸マグネシウム・7水和物を0.5〜2g程度(好ましくは0.7〜1.5g程度)を含有していればよい。
さらに、シアンの生成量を増大させるために、上記YP培地にグリシンを添加してもよい。グリシンを含むYP複合培地の組成の具体例としては、蒸留水1Lに対し、ポリペプトンを5〜20g程度(好ましくは7〜15g程度)、イースト抽出物を1〜4g程度(好ましくは1.5〜3g程度)、硫酸マグネシウム・7水和物を0.5〜2g程度(好ましくは0.7〜1.5g程度)、グリシンを0.001〜0.1g程度(好ましくは0.01〜0.05g程度)を含有していればよい。これにより、培地におけるシアンの生成速度及び生成量を飛躍的に増大させることができ、短時間で金属溶解に必要なシアン濃度を得ることができる。
金属溶解に必要なシアン濃度としては、通常、0.1mmol/L(mM)以上、好ましくは1.0〜50.0mmol/L(mM)程度であればよい。
シアン生成及び分解細菌としては、富栄養状態の培地でグリシン代謝によりシアンを生成し、かつ、栄養枯渇状態の培地で生成シアンを自ら分解できる細菌を意味する。かかる細菌であれば特に限定はないが、例えば、ブルクホルデリア セプシアBurkholderia cepcia(B. cepcia、NBRC番号14595)、クロモバクテリウム ビオラセウムChromobacterium violaceum(C. violaceum、NBRC番号12614)、シュードモナス クロロラフィス Pseudomonas chlororaphis (P. chlororaphis)等が挙げられ、特に、C. violaceumが好適である。
シアン生成及び分解細菌は、上記の培地中でグリシン代謝にともなって金属を溶解するシアンを生成する。シアン生成の反応式は次のように示される。
NHCHCOOH→HCN+CO+4[H] (I)
シアン生成の反応条件としては、例えば、温度25〜35℃程度(好ましくは、30℃程度)である。反応漕は適宜撹拌してもよく、例えば、攪拌速度0〜150rpm程度であればよい。
工程(2):
工程(2)では、上記工程(1)で生成したシアンを用いて金属含有材料から金属を溶解する。
金属含有材料とは、回収すべき金属を含有する材料であればよく、例えば、プリント配線基板等の金属がメッキされた電子機器、接合材料、配線部品、組立部品等が挙げられる。金属は、シアン溶液に溶解する金属であれば特に限定はないが、回収が要望されている、稀少金属、貴金属などが対象とされる。例えば、アルミニウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム,ロジウム,パラジウム,銀、インジウム、スズ、アンチモン、オスミウム,イリジウム,白金、金、鉛、及びビスマス等が例示される。このうち、金、銀、ニッケル、銅等が好適である。
金属含有材料は、上記(1)で生成したシアン溶液中に浸漬されて金属が溶解される。金属がシアン溶液に溶解するとは、金属がイオン化してシアン化物イオン(CN)と錯体を形成して、水に可溶化することをいう。例えば、金属が金の場合、シアン溶液に浸漬すれば、次式のように金とシアンとが錯体を形成し水に可溶化する。
4Au+8HCN+O→4[Au(CN)+2HO+4H (II)
金属含有材料をシアン溶液で処理する条件としては、pHが中性もしくはアルカリ性が好ましく、具体的にはpH6〜14程度、好ましくはpH7〜14程度である。通常、溶液中のシアン濃度応じて金属の溶解量が決定される。処理温度は、通常、10〜35℃程度であればよい。
また、金属含有材料から金属を溶解するにあたり、シアン溶液に酸素を含有する気体(例えば、酸素、空気)を導入して溶存酸素を増大することが好ましい。酸素を含有する気体を溶液中に導入(例えば、バブリング)させることにより、シアン溶液に対する金属の溶解速度が飛躍的に増大するからである。
これは、上記式(2)のように、金属(例えば、金)のシアン溶解では酸素が必要であるが、通性嫌気性細菌であるシアン生成及び分解細菌(例えば、C. violaceum)は、好気環境下において呼吸によって著しく酸素を消費する。そのため、特に細菌の増殖期において溶存酸素濃度が低くなり、金属の溶解を阻害してしまう傾向にある。そのため、酸素をシアン溶液中に導入することにより溶存酸素濃度が高くなり、上記式(2)の反応が加速されるのである。酸素を導入しない場合に比して、金属の溶解速度は3〜10倍程度増加する。
シアン溶液中における、溶存酸素濃度は0.03〜1.6 mmol/L程度、好ましくは0.05〜1.3 mg/L程度であればよい。溶存酸素濃度は、金属(例えば、Au)溶解が行われる時点での濃度である。細菌が呼吸を行っている時に溶液中の溶存酸素濃度が減少するため,この時にエアレーション等によって溶存酸素濃度を高めると、金属溶解に効果的である。
なお、工程(1)と工程(2)は同時に行ってもよい。即ち、富栄養状態の培地でシアン生成及び分解細菌を培養してシアンを生成させながら、金属含有材料から金属を溶解することもできる。
工程(3):
工程(3)では、上記工程(2)で金属含有材料から金属の溶解が完了した後の富栄養状態の培地を、栄養枯渇状態の培地に変更する。具体的には、YP培地又はグリシンを添加したYP複合培地に、グルタミン酸誘導体及び/又はセリン誘導体とグルコースとを添加して栄養枯渇状態の培地とする。
グルタミン酸誘導体としては、D−及び/又はL−グルタミン酸、グルタミン酸エステル、グルタミン酸塩(ナトリウム塩等)が例示される。セリン誘導体としては、D−及び/又はL−セリン、セリンエステル、セリン塩等が例示される。
シアン生成及び分解細菌は、栄養枯渇状態の培地ではシアン分解能(β−シアノアラニンシンターゼによる無毒化)が亢進してシアンを分解する。この反応式は、次のように表すことができる。
セリン+HCN→β−シアノアラニン+HO (III-1)
グルタミン酸+HCN→β−シアノアラニン+CHCOOH (III-2)
O−アセチル−L−セリン+HCN→β−シアノアラニン+CHCOOH (III-3)
グルタミン酸誘導体及び/又はセリン誘導体の添加量は、例えば、溶液中の濃度が3〜20mmol/L程度、好ましくは5〜15mmol/L程度であればよい。具体的には、グルタミン酸の添加量は、溶液中の濃度が5〜15mmol/L程度、好ましくは7〜10mmol/L程度になるように,セリンの添加量は、溶液中の濃度が3〜10mmol/L程度、好ましくは5〜8mmol/L程度になるように添加すればよい。
さらに本発明では、さらにグルコースを添加することを特徴とする。これにより、シアンの分解速度が飛躍的に増大し、極めて短時間でシアンの分解が進行する。グルコースの添加量は、溶液中の濃度が10〜100mmol/L程度、好ましくは30〜60mmol/L程度になるように添加すればよい。
このように、工程(2)の培地に、グルタミン酸誘導体及び/又はセリン誘導体とグルコースとを添加して栄養枯渇状態の培地に変更すると、工程(3)に要する時間を大きく短縮することができ、一連の工程(1)〜(4)を繰り返すことにより効率的な金属回収が可能となる。
工程(4):
工程(4)では、上記工程(2)又は(3)の金属の溶解液から金属を回収する。この金属回収方法は、公知の方法を用いることができ、特に限定はない。例えば、金属が金の場合、溶液中のシアン化金が粉末状の亜鉛や銅によって還元されて、金として析出させて回収される。
2[Au(CN)+Zn→2Au+Zn(CN) 2− (IV)
本発明では、さらに、前記工程(3)の栄養枯渇状態の培地を、富栄養状態の培地に変えて工程(1)に供し、工程(1)〜(4)の一連の工程を1回行うか又は2回以上繰り返すこともできる。特に、残留するシアンの分解工程を速やかに進行させることができるため、処理の効率が飛躍的に向上する。
本発明の金属回収方法によれば、所定のシアン生成及び分解細菌の生育環境を激変させることによりシアンの生成及び分解の両方を制御して金属の回収を行うことができるようになった。特に、金属の溶解処理後に残留するシアンの分解工程において、アミノ酸とグルコースを添加して栄養枯渇状態にすることにより、極めて短時間でシアンの分解が可能となった。また、シアン溶液中の溶存酸素濃度を高くすると、金属の溶解速度が向上することが明らかとなった。
次に、実施例及び比較例を挙げ本発明の製造法を具体的に説明する。ただし、本発明の製造法は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(YP培地)
クロモバクテリウム ビオラセウムChromobacterium violaceum(C. violaceum、NBRC番号12614)を用いて、YP培地(Polypepton 10g、Yeast extract 2.0g及びMgSO4/7H2O 1.0g/L water)150mlで温度30℃、振とう速度110rpmの条件で培養を行い、シアン生成を行った。培養時間とシアン濃度の関係を図3の△印に示す。
培養開始から30時間後にシアン濃度は1.1mM以上になった。なお、シアン濃度の測定は、ピリジンバルビツル酸法を用い578nmで比色分析を行った。
金属含有材料として、携帯電話用プリント配線板(めっき厚:Au 0.07μm、Ni 4μm、Cu 35μm)を用いた。プリント配線板は、始めから培養液に入れた。
プリント配線板からの金属溶解は、まずC.violaceumのシアン生成直後からAuの溶解が起こり、その後露出したNi及びCuが溶解した。空気に接する界面付近では溶存酸素濃度が高くなるため金属の溶解が顕著で、300h程度でAu及びNiはほとんど溶解させることができた.具体的には、図5を参照。
シアン溶液にグルタミン酸を10mmol/L及びグルコースを1.0mmol/Lとなるように加えて培地を変更して、シアン分解を行った。
シアン分解は速やかに進行し、グルタミン酸及びグルコース添加後、約30時間後にシアンはほぼ完全に分解した。図3の□印を参照。
比較例1(YP培地)
実施例1と同様にしてシアン生成を行った。
得られたシアン溶液にグルタミン酸を10mmol/Lとなるように加えて培地を変更して、シアン分解を行った。この場合、シアン分解は進行するが、グルタミン酸添加後、約70時間後でもシアンは残存していた。シアンの分解速度が実施例1と比べてかなり遅いことが分かった。図3の○印を参照。
実施例2
金属溶解のステップにおいて、シアン溶液に酸素を導入(バブリング)させて溶液中の溶存残素濃度を24h以降において0.1 mmol/Lにしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
図6に溶存酸素と金濃度の経時変化を示す。酸素を導入した場合(●)は、酸素の導入のない場合(○)に比べ、約3倍の溶解速度で金が溶解することが確認された。これにより溶解時間の大幅な短縮が図られた。
実施例3(YP培地+グリシン)
クロモバクテリウム ビオラセウムChromobacterium violaceum(C. violaceum、NBRC番号12614)を用いて、YP培地(Polypepton 10g、Yeast extract 2.0g及びMgSO4/7H2O 1.0g/L water)150ml及びグリシン0.1 g/Lで温度30℃、振とう速度110rpmの条件で培養を行い、シアン生成を行った。培養時間とシアン濃度の関係を図4の▲印に示す。
培養開始から30時間後にシアン濃度は3.2mM以上になった。なお、シアン濃度の測定は、ピリジンバルビツル酸法を用い578nmで比色分析を行った。
金属含有材料として、Au粉末を用いた。
図7にシアン濃度と金濃度の経時変化を示す。グリシンを添加した場合(□)は、グリシンを添加しない場合(■)と比べ、約5倍の溶解速度で金が溶解することが確認された。これにより溶解時間の大幅な短縮が図られた。
上記のシアン溶液にグルタミン酸10mmol/L及びグルコース1.0mmol/Lとなるように加えて培地を変更して、シアン分解を行った。
シアン分解は速やかに進行し、グルタミン酸及びグルコース添加後、約30時間後にシアン濃度はほぼ1/3に減少した。図4の●印を参照。
比較例2(YP培地+グリシン)
実施例3と同様にしてシアン生成を行った。
得られたシアン溶液にグルタミン酸を10 mmol/Lとなるように加えて培地を変更して、シアン分解を行った。この場合、シアン分解はほとんど進行せず、グルタミン酸添加後、約70時間後でもシアン濃度はほとんど変化していなかった。シアンの分解速度が実施例3と比べて格段に遅いことが分かった。図4の■印を参照。
非特許文献2に記載の金属回収方法の模式図である。 非特許文献2に記載の金属回収方法における時間とシアン濃度の関係示すグラフである。 クロモバクテリウム ビオラセウム(C. violaceum)を用いて、YP培地で培養した場合の、反応時間とシアン濃度との関係を示すグラフである。 クロモバクテリウム ビオラセウム(C. violaceum)を用いて、グリシンを含むYP複合培地で培養した場合の、反応時間とシアン濃度との関係を示すグラフである。 クロモバクテリウム ビオラセウム(C. violaceum)を用いて、YP複合培地で培養した場合の、未実装プリント配電盤からのAu, Cu, Niの溶解挙動を示すグラフである。 クロモバクテリウム ビオラセウム(C. violaceum)を用いて、YP複合培地で培養した場合で、空気吹込みの有無によるAu粉末からのAu溶解挙動の差及び溶存酸素濃度の差を示すグラフである。 クロモバクテリウム ビオラセウム(C. violaceum)を用いて、YP培地及びグリシンを含むYP複合培地で培養した場合における、生成シアン濃度及びAu粉末からの溶解Au濃度を示すグラフである。

Claims (6)

  1. シアン生成及び分解細菌を用いた金属含有材料から金属を回収する方法であって、
    (1)富栄養状態の培地でシアン生成及び分解細菌を培養してシアンを生成する工程、
    (2)上記工程(1)で生成したシアンを用いて金属含有材料から金属を溶解する工程、
    (3)該培地にグルタミン酸誘導体及び/又はセリン誘導体とグルコースとを添加して栄養枯渇状態の培地に変えて、該シアン生成及び分解細菌を培養して上記工程(2)で残留したシアンを分解する工程、及び
    (4)上記工程(2)又は(3)の金属の溶解液から金属を回収する工程、
    を含むことを特徴とする金属回収方法。
  2. 前記シアン生成及び分解細菌が、クロモバクテリア ビオラセウム(Chromobacterium violaceum、NBRC番号:12614)である請求項1に記載の金属回収方法。
  3. 前記工程(1)における富栄養状態の培地が、YP培地又はグリシンを添加したYP複合培地である請求項1又は2に記載の金属回収方法。
  4. 前記金属含有材料がプリント基板、接合材料、配線部品、又は組立部品である請求項1〜3のいずれかに記載の金属回収方法。
  5. 前記金属がアルミニウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、オスミウム、イリジウム、白金、金、鉛、及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の金属回収方法。
  6. 前記工程(3)の栄養枯渇状態の培地を富栄養状態の培地に変えて工程(1)に供し、工程(1)〜(4)の一連の工程を1回行うか又は2回以上繰り返す請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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