JP2007308718A - 共重合体の製造方法およびそれを含有するブレンド組成物 - Google Patents

共重合体の製造方法およびそれを含有するブレンド組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ワックス、ゲルなどの如き不純物を実質的に全く含有しないばかりでなくまたコポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなり、かつ、コポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるエチレンコポリマーの提供。
【解決手段】エチレンと式H2C=CHR[式中、Rはアルキル基またはアリール基である]で表される化合物およびジエンから選択される少なくとも1種のコモノマーを支持体と遷移金属化合物とこの遷移金属化合物を触媒活性遷移金属錯体に変化させる能力を有する活性化剤を含む固体状触媒系の存在下で共重合させることでエチレン共重合体を製造する方法を開示する。
【選択図】なし

Description

共重合体の製造方法およびそれを含有するブレンド組成物 本出願は1996年5月17日付けで提出した出願平08−148392(代理人の処理番号C−42862)の優先権を請求するものである。
本発明は新規なエチレンコポリマーおよびそれの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、エチレンと式H2C=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC1−C20アルキル基またはC6−C20アリール基を表す]で表される化合物および線状、分枝または環状のC4−C20ジエンから成る群から選択される少なくとも1種のコモノマーから作られたコポリマーを含んでいて特定の密度および特定の分子量分布特徴を有するばかりでなくまた特定のコモノマー含有量分布特性を有する新規なエチレンコポリマーに関する。
本発明はまたブレンド組成物にも関し、ここでは、この組成物に、上記新規エチレンコポリマーと、a)異なる分子量または密度を有する本発明の2番目のエチレンコポリマー、またはb)狭い組成分布を示す均一エチレンインターポリマー、c)広い組成分布を示す不均一エチレンインターポリマー、またはd)ホモポリマー(本発明のエチレンコポリマーの製造で用いた触媒成分とは別の触媒成分を用いて生じさせた)、またはe)a)、b)、c)またはd)のいずれか2つ以上の組み合わせ、を含める。
本発明はまた本発明のエチレンコポリマーを含むブレンド組成物の新規な製造方法にも関する。
エチレンコポリマー類は多様な用途分野、例えばフィルム、ブロー成形品、パイプおよび送電ケーブル用被覆材の製造などで幅広く用いられている。上記用途のいずれに関しても、エチレンコポリマーにワックス、ゲルなどの如き不純物がほとんど入っていないばかりでなくまたこれが優れた特性を示すこと、例えば衝撃強度が高いこと、そして環境応力亀裂に対する耐性(本明細書の以下で頻繁に「ESCR特性」と呼ぶ)が高いことなどが要求される。ポリマーの分子構造を変えようとする試みでそのようなある種の特性は改良されたが、しかしながら、その結果としてしばしば別の特性が失われてしまう。例えば、ポリマーが高い堅さと耐熱性を示すようにしようとする場合には、そのポリマーに高い結晶度と低いコモノマー含有量を持たせる必要があるが、しかしながら、それによってじん性およびESCRが失われそして光学特性が低下しかつ熱シール性能が劣る可能性がある。ポリマーの加工性を向上させようとする[押出し加工のアンペアおよび背圧を低くしかつメルトフラクチャー(meltfracture)が起こらないようにする]場合には、同様に、低い分子量と幅広い分子量分布を示すポリマーを用いるのが望ましいが、そのようにすると、結果として長鎖分枝のレベルが有意になってしまう。しかしながら、分子量分布を広げると、特にポリマーの分子量が低い場合には、しばしば、ダイスへのワックスの蓄積が起こり、押出し加工機が煙りを発生し、かつ結果として得られる製造品に味および臭気の問題が生じる。
エチレンコポリマーが含有する低分子量画分のコモノマー含有量をできるだけ低いレベルに下げる一方でこのエチレンコポリマーが有する高分子量画分のコモノマー含有量をできるだけ高いレベルにまで上げることを通してエチレンコポリマーが示す耐衝撃性および耐環境応力亀裂性を向上させることができることは公知である。また、「結合分子(tiemolecules)」を樹脂内に存在させることでも大きな歪み特性、例えばじん性、引裂き、衝撃およびESCRなどを向上させることができることも実証されている[例えばZhou他、Polymer、24巻、2520頁(1993)]。高い分子量を有する分子が最大のコモノマー含有量(即ち最大の短鎖分枝度)を有することがそのような結合分子の大部分が結晶化後に生成することの一因になっている。
従って、コポリマーに特定のコモノマー含有量分布特性を持たせることができ、1つの面では、上記コポリマーが示す分子量分布において、コポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなり、そして他の面では、上記コポリマーのある画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるようにすることができれば、これは非常に望ましいことである。
しかしながら、通常のチーグラー−ナッタ(Ziegler−Natta)触媒を用いて製造されたエチレンコポリマー類の場合、コポリマー画分の分子量が低くなればなるほどコモノマー含有量が高くなり易い。このように、上記通常のエチレンコポリマー類は、上述した望まれるコモノマー含有量分布とは全く対照的なコモノマー含有量分布を示す。従って、上記通常のエチレンコポリマー類は望まし特性、例えば向上した衝撃強度およびESCRなどに関して欠点を有する。
エチレンコポリマー類のじん性、引張り応力、衝撃強度およびESCRを最大限にしようとする試みによって、異なる分子構造を有する2種以上のエチレンコポリマー成分からブレンド組成物を調製してそれを用いることがもたらされた。
選択した個々のポリマー成分を製造して単離した後、個別にブレンド(いわゆる「オフライン」ブレンド)することに加えて、また、エチレンとコモノマーの共重合を異なる共重合条件を与え得る複数の異なる重合反応槽を用いた多段階重合で行う方法を用いることでも、そのような組成物を調製することができる。それによって、低いコモノマー含有量を有する低分子量のコポリマー成分と高いコモノマー含有量を有する高分子量のコポリマー成分から成る混合物を含むエチレンコポリマー類がいわゆる「反応槽内(inreactor)」または「工程内(in process)」で生じる。
チーグラー触媒を用いて生じさせた生成物のみを含有するそのようなブレンド組成物は数多くの特許に記述されている。例えば、Nelson(米国特許第3,280,220号、PhillipsPetroleum)は、低い分子量を有するエチレンホモポリマー(溶液方法で生じさせた)と高い分子量を有するエチレン/ブテン−1コポリマー(粒子生成方法で生じさせた)のブレンド物は他のそのようなブレンド物に比べて高いESC)Rを示すことで容器およびパイプで用いるにより有利であることを教示している。
Hoblitt他[米国特許第3,660,530号、ダウケミカル社(the Dow Chemical Company)は、第一反応段階後に生じたホモポリマーの一部に1−ブテンを受けさせる方法を教示している。その後、まだ活性を示す触媒によってポリエチレンと重合したブテン−1のブロックコポリマーが生じる。次に、両成分を混合する。その結果として生じるブレンド物は向上したESCR特性を示す。
Fukushima他(米国特許第4,438,238号)は、0.910から0.940g/cm3の範囲の密度および幅広い分子量分布を示す成分と長鎖分枝を実質的に全く持たないポリマー類から成るブレンド物を開示しでいる。このようなブレンド物は高圧ポリエチレンの加工性に類似した加工性を示すことが確認された。
Bailey他(米国特許第4,547,551号)は、高分子量のエチレンポリマー、好適にはエチレン/α−オレフィンコポリマーと低分子量のエチレンポリマー、好適にはエチレンホモポリマー(好適には両方とも分子量分布が狭く長鎖分枝のレベルが低い)のエチレンポリマーブレンド物は匹敵する密度および流れを示すポリエチレンで期待されるよりも優れたフィルム特性を示しかつ良好な堅さと衝撃とESCRの均衡を示すことを教示している。
Morimoto他(米国特許第5,189,106号および5,260,384号)は、良好な加工性と優れた低温機械的特性を示す低分子量のホモポリマーと組み合わせた高分子量のコポリマーから成るブレンド物を開示している。
Boehm他(Advanced Materials4(1992)、no 3、237頁)は、コモノマーが同じ全体的密度の画分の所により多い量で存在するようにコモノマーをポリマーの高分子量画分の中に導入するカスケード(cascade)重合方法を開示している。その結果として、通常の一頂コポリマーに比較して向上した堅さ−寿命(破壊時間)を示すポリマー組成物がもたらされる。また、いくつかの特許に、明らかに、そのようなカスケード方法で上記材料を製造する方法が教示されており、そのような特許にはヨーロッパ特許第0022 376号(Morita他)が含まれる。
特開昭61−221245号および特開昭61−57638号には、コモノマー含有量が低い低分子量ポリマーとコモノマー含有量が高い高分子量ポリマーを個別に製造しそしてこれらをニーダーでブレンドする方法を用いるか或は多段階重合でエチレンとコモノマーの共重合を行うことでコモノマー含有量が低い低分子量ポリマー成分とコモノマー含有量が高い高分子量ポリマー成分の混合物で出来ているエチレンポリマーを製造する方法を用いて高分子量コポリマー画分のコモノマー含有量を高くする試みが開示されている。
最後に、Sakurai他(米国特許第4,230,831号)は、ポリマーダイス膨潤(polymerdie swell)または溶融張力(melt tension)を向上させるには低密度のポリエチレンをいろいろなブレンド用組成物と混合するのが有利であることを開示している。
単一成分のエチレンコポリマー類をチーグラー触媒を用いて製造することでも耐衝撃性およびESCR特性に関してはある程度の改良が達成される。しかしながら、そのようなエチレンコポリマー類は、本質的に、幅広い分子量分布を示すばかりでなくまた分子量分布の低分子量側および高分子量側両方に幅広い尾を示す。低分子量材料が存在していると結果として不利にワックスの生成がもたらされる。他方、高い分子量の材料が存在していると結果として不利にゲルの生成がもたらされ得る。
加うるに、チーグラー触媒を用いて製造されたそのようなエチレンコポリマー類の混合物であるブレンド組成物に、特性の点で互いに完全に異なる成分コポリマー類を含めることも可能である、即ちコモノマー含有量が低い低分子量ポリマー成分とコモノマー含有量が高い高分子量ポリマー成分を含めることも可能である。このようにすると、結果として、成分ポリマー類が相分離を起こす可能性があり、その結果として、上記成分ポリマーの分散が不均一になり、従ってそのエチレンコポリマーの特性が不均一になるばかりでなくまたゲル生成も起こり得る。
チーグラー−ナッタ触媒を用いる代替として、最近、メタロセン触媒の使用が提案(ドイツ特許第31271332号)されて商業化された。例えばテキサスのヒューストンで’93年の5月26−28日に開催されたWorldwide Metallocene Conference(Metcon)の171−172頁および235−244頁(1993)そしてテキサスのヒューストンで’95年の9月20−22日に開催された5th International Business Forumon Specialty Polyolefinsの会報341−352頁(1995)に開示されているように、上記メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーは、低分子量画分と高分子量画分の両方がほぼ同じコモノマー含有量を有しそしてこのコポリマーが示す分子量分布の全体に渡ってコモノマー含有量分布がほとんど均一であるような特徴を有する。即ち、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーはチーグラー−ナッタ触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーのそれよりも均一なコモノマー含有量分布を有する。しかしながら、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーは、他方ではそれでもまだ、上記コポリマー類から作られた製品に望まれる耐衝撃性およびESCR特性の改良に関しては満足されるものでない。
再び、チーグラー触媒を用いて作られた製品の場合と同様に、メタロセン触媒を用いで製造された製品のESCRおよび耐衝撃性の如き特性を向上させる試みには、それらにブレンド用組成物を含めることが含まれていた。そのようなブレンド物を調製する技術が数多く提案され、そのような技術には、異なるコモノマー含有量を有する2種以上の異なるエチレンコポリマー類を個別に製造してこれらをニーダーでブレンドする方法か或は異なるコモノマー含有量を有する2種以上の異なるエチレンコポリマー成分の混合物で出来ているエチレンコポリマーを多段階重合で製造する方法が含まれる(例えばヨーロッパ特許第0447 035号参照)。更にまた、異なるコモノマー含有量を有する異なる2種以上のエチレンコポリマー成分の混合物で出来ているエチレンコポリマーの製造で異なる2種以上のメタロセン触媒から成る混合物を用いる方法を使用することも提案された(例えば米国特許第4,937,299号および4,530,914号参照)。
しかしながら、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーは典型的に約2の非常に狭い分子量分布(Mw/Mn)を示す。従って、異なるメタロセン触媒を用いて異なる2種類のコポリマー類、即ち互いに分子量が極めて異なる低分子量コポリマーと高分子量コポリマーを製造すると、この異なる2種のコポリマー中に存在する共通した分子量を有するコポリマー鎖の個々の量が非常に少なくなり、その結果として、この2種の異なるコポリマー間の相溶性が非常に悪くなる。
上述した問題を解決する目的で、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーとチーグラー−ナッタ触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーをブレンドする方法が、例えばヨーロッパ特許第0439 964号およびヨーロッパ特許第0 435 514号などで提案された。更に、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーと高圧重合方法で製造されたエチレンコポリマーをブレンドする方法が、例えば特開平6−207059号および特開平6−329848号などで開示された。
しかしながら、ワックス、ゲルなどの如き不純物をほとんど含有していないばかりでなくまた優れた特性(これには高い衝撃強度および優れたESCRが含まれる)を示すエチレンコポリマーを製造することが求められているままである。
また、ワックス、ゲルなどの如き不純物を全く含有していないと同時に上述した望まれるコモノマー含有量分布を示す、即ち1つの観点でコポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなりそして別の観点でコポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるようなエチレンコポリマーを開発することが求められているままである。
また、上記エチレンコポリマー類を含んでいてまた優れた特性、例えば高い衝撃強度および優れたESCR特性なども示すブレンド組成物を製造することも求められているままである。最後に、また、2成分間の相溶性が良好で向上した均一性および特性の均衡を示す一方でワックス含有量が低くかつゲルを生成する傾向が低いブレンド組成物を製造することも求められでいるままである。
驚くべきことに、本発明のポリマー類および特定の重合およびブレンド方法を用いるとそのような求められているエチレンコポリマーおよびブレンド組成物を製造することができることを見い出した。
従って、本発明の1つの目的は、ワックス、ゲルなどの如き不純物を実質的に全く含有しないばかりでなくまた上記コポリマーのある画分が有する分子量が低くなればなるほどコモノマー含有量が低くなりかつ上記コポリマーのある画分が有する分子量が高くなればなるほどコモノマー含有量が高くなると言ったコモノマー含有量分布も示す新規なエチレンコポリマーを提供することにある。
本発明の1つの目的は、また、上記エチレンコポリマーを含んでいて優れた特性均衡ど均一性を示す、例えば高い衝撃強度および優れたESCRなどを示す一方でまたワックス含有量が低くかつゲルを生成する傾向も低い新規なブレンド組成物を提供することにある。
以下に示す詳細な記述および添付請求の範囲から本発明の上記および他の目的、特徴および利点が本分野の技術者に明らかになるであろう。
本発明のエチレンコポリマーは通常のエチレンコポリマー類が与えなかった大きな利点を有する、即ちこれはワックス、ゲルなどの如き不純物を含有していない。加うるに、また、本発明のエチレンコポリマーおよびそれのブレンド組成物は両方とも優れた特性を有し、例えば衝撃強度が高くそして環境応力亀裂に対して優れた耐性を示すと言った利点を有し、その結果としてこれは有利に積層フィルム、ブロー成形品、パイプ、送電ケーブル用被覆材の製造で用いることができる。
本明細書において、元素または金属が特定の族に属すると言及する場合これらは全部CRCPress,Inc.が出版しそして著作権を有する元素周期律表(1989)を指す。また、族または族類に対する如何なる言及も、族の番号付けでIUPACシステムを利用している上記元素周期律表に示される如き族または族類を指すものとする。
本明細書に示す如何なる数値も、任意の下方値と任意の上方値の間で少なくとも2つの単位が分離していることを条件として、1つの単位の増分において上記下方値から上方値までの値全部を包含する。一例として、工程変数の1成分または値、例えば、温度、圧力、時間などの量が例えば1から90、好適には20から80、より好適には30から70などであると記述する場合、15から85、22から68、43から51、30から32などの如き値は明らかにその内訳に入ることを意図する。値が1未満の場合の1単位は適宜0.0001、0.001、0.01または0.1であると見なす。これらは単に具体的に意図するものの例であり、最小値と最大値の間の数値の可能な組み合わせは全部同様な様式で明らかにその適用範囲内に入ると見なされるべきである。
本明細書で用いる如き言葉「ヒドロカルビル」は全ての脂肪族、環状脂肪族、芳香族基、アリール置換脂肪族、アリール置換環状脂肪族、脂肪族置換芳香族、または脂肪族置換環状脂肪族基およびそれらの任意組み合わせを意味する。
言葉「ヒドロカルビルオキシ」は、酸素結合(酸素とそれに結合している炭素原子の間の)を有するヒドロカルビル基を意味する。
言葉「シリル(silyl)」は、ケイ素結合(ケイ素とそれに結合している炭素原子の間の)を有する基を意味する。
言葉「ゲルミル(germyl)」は、ゲルマニウム結合(ゲルマニウムとそれに結合している炭素原子の間の)を有する基を意味する。
言葉「置換シクロペンタジエニル」にシクロペンタジエニル部分の環置換または多核誘導体を包含させることを意図し、ここで、この置換基はヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルアミノ、シアノ、ハロ、シリル、ゲルミル、シロキシまたはそれらの混合物であるか或は上記置換基2つがヒドロカルビレン基であり、そしてここで、この置換基(または2つの置換基が一緒に)は30個以下の非水素原子を有する。置換シクロペンタジエニルの具体例にはインデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニルおよびオクタヒドロフルオレニル基が含まれる。
言葉「ブレンステッド酸カチオン」は、プロトン供与体として働くカチオンを意味する。
本明細書では、共重合体が生じるように少なくとも2種類の異なるモノマー類を重合させた場合のポリマーを示す目的で言葉「インターポリマー」を用いる。これはコポリマー類、ターポリマー類などを包含する。
本発明で用いるポリマー組成物の密度をASTM D−792に従って測定した。
本発明で用いるポリマー組成物の分子量を、便利には、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kg(以前は「条件(E)」として知られておりそしてまたI2として知られる)に従うメルトインデックス測定値を用いて示し、これの測定を、それぞれI5、I10およびI21.6として知られる条件190℃/5kg、10kgおよび21.6kgと同様に行った。メルトインデックスはポリマーの分子量に反比例する。このように、メルトインデックスは分子量が高くなればなるほど低くなるが、この関係は直線的でない。メルトフロー比を上記値の任意対から取る。
本明細書に記述する新規なポリマー組成物に関して行った他の有用な物性測定には、ASTMD−1238、条件190℃/10kg(以前は「条件(N)」として知られていた)に従って「I10」を測定しそしてその得たI10をI2で割ることで決定されるメルトフロー比(MFR)が含まれる。上記2つのメルトインデックス項の比率がメルトフロー比であり、これをI10/I2と表示する。測定した他のメルトフロー比にはI21.6/I5およびI21.6/I2が含まれる。
本発明のポリマー類が有する分子量(Mw)および分布(Mw/Mn)の測定を、混合多孔度カラムが備わっているWaters150C高温クロマトグラフィー装置を140℃の装置温度で操作するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で行った。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンであり、これを用いてサンプルが0.3重量パーセント入っている溶液を注入用として調製する。流量を1.0ミリリットル/分にし、注入量を100ミクロリットルにした。
溶離用カラムと協力させて狭い分子量分布のポリスチレン標準(Polymer La.boratories製)を用いることで、分子量測定値を引き出す。下記の式:
Mポリエチレン=a*(Mポリスチレン)b
を引き出すに適切な、ポリエチレンとポリスチレンに関するMark−Houwink係数[WilliamsおよびWardが「Journalof Polymer Science」、PolymerLetters、6巻、(621)1968の中で記述している如き]を用いて、ポリエチレンの相当する分子量を測定した。上記式中、a=0.4316およびb=1.0である。下記の式:
i=(Σwi(Mi j))j
[式中、Wiは、GPCカラムから溶離して来る画分i中の分子量Miを有する分子の重量分率であり、Mwを計算する時j=1でありそしてMnを計算する時j=−1である]に従う通常様式で、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを計算した。
成形品の引張り特性をASTM D 638−76に従って測定した。フィルムの引張り強度、降伏、じん性および2%正割係数をASTM D−882に従って測定した。PPT引裂きをASTM D−2582に従って測定した。
材料の弾性係数をISO 527に従って測定した。
材料がデカリン中で示す粘度値をISO 1191に従って測定した。
ヘーズ(haze)をASTM D 1003に従って厚みが0.5mmの圧縮成形試験片に関して測定した。
材料のダブルVノッチド衝撃強度をDIN 53753(1Jペンドラム)に従って測定した。
衝撃特性をJIS−K7111に従って評価した。
臨界歪みエネルギー放出速度GcをE.PlatiおよびJ.G.WilliamsがPolymer Engineeringand Science[1975年6月、15巻、No 6、470から477頁]に記述した手順に従ってCharpyモードで測定した。各温度で少なくとも6サンプル用いた。サンプルの寸法は125mmx10mmx10mmである。圧縮成形した厚いシートから棒材を機械加工した。上記シートの成形で用いた手順は、M.J.CawoodおよびG.A.H.SmithがPolymerTesting 1(1980)、3−7の中の”A compression molding technique for thick sheets of thermoplastics”に概略を示した手順を修飾した手順であった。
このように、ポリマーの粒子または粉末を厚みが10mmの鋳型で圧縮成形した[横方向をTeflon(商標)で絶縁して]。それを160℃にまで加熱して6.7MPaに3分間保持した後、加圧(exertion)と解放の1分サイクルを3回行った。余分なフラッシュ(flash)を除去した。次に、この材料を180℃に加熱して6.7MPaに約5分間保持し、そしてまた各々1分から成る3サイクルで加圧と解放を行った。最後に、その溶融物を1.7MPaの圧力下で固化させ、加熱源を切って一晩かけてゆっくりと冷却した。
曲げESCR試験をJIS−K6760に従い界面活性剤が10重量%入っている溶液中で実施した。試験温度を50℃または80℃にした。
ペンシルバニアノッチ試験は亀裂をゆっくりと成長させる試験であり、これをX.Luand N.Brown,Polymer Testing11(1992),の309319頁に記述されている手順に従って実施した。この試験を2.4MPa下80℃で実施する。サンプルの寸法は50mmx25mmx10mmであり、これをGc用棒材で用いたのと同じシートから機械加工する。
粘度の測定を、Rheometrics機械スペクトロメーターを190℃で振動モードで用いて行った。
コモノマー含有量の測定を、Beckman IR2450分光測定装置を用いた赤外分光法を用いて行った。
固有引裂きの測定を、ASTM D−1922に記述されている如きElmendorf引裂き(タイプB)を用いて圧縮成形シートに関して行った。
歪み硬化の傾きの測定を、試験すべきポリマーからプラークを圧縮成形することを通して行う。典型的には、ほとんど無圧下でプラークを約177℃で4分間成形した後、約200psiの圧力下で3分間圧縮成形する。次に、このプラークをまだ200psiの圧力下に置きながら約8℃/分で冷却する。この成形したプラークの厚みは約0.005インチである。次に、鋼製ルールダイス(ruledie)を用いて上記プラークをドッグボーン形状の試験片に裁断する。
この試験片の幅は0.315インチで長さは1.063インチである。上記ドッグボーン形状の湾曲した部分の開始点はサンプルの各末端部から0.315インチの所で始まっで、穏やかに0.09インチの幅に湾曲している(即ち先が細くなっている)。この湾曲はこの湾曲が始まる所から0.118インチの地点で終了しており、その結果として、このドッグボーン試験片の内側部分の幅は0.09インチで長さは0.197インチである。
試験サンプルの引張り特性を、Instron引張り試験器を1インチ/分のクロスヘッド速度で用いて試験する。歪み硬化の傾きを、その結果として得られた引張り曲線から、結果として得られた応力/歪み曲線の歪み硬化領域に平行な線を引くことで計算する。この歪み硬化領域は、サンプルがぞれの初期負荷を引き出した後[(即ち応力)、この初期負荷中には、通常、伸びは全く起こらないか或はほとんど起こらない]およびサンプルが延伸段階を若干受けた後[通常は、負荷の上昇は全くないか或はほとんどないが、伸びの上昇(即ち歪み)を伴う]に存在する。歪み硬化領域では、サンプルの負荷と伸びの両方が増大し続ける。歪み硬化領域における負荷は、初期負荷領域中よりもずっと遅い速度で増大し、そして伸びもまた再び延伸領域中に受けたよりも遅い速度で増大する。次に、歪み硬化領域内の平行腺の傾きを決定する。
歪み硬化係数(SHC)の傾きを下記の式:
SHC=(歪み硬化の傾き)*(I20.25
[式中、I2=メルトインデックス(グラム/10分)]に従って計算する。
本発明の1つの面では、エチレンと式H2C=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC1−C20アルキル基またはC6−C20アリール基である]で表される化合物および線状、分枝または環状のC4−C20ジエンから成る群から選択される少なくとも1種のコモノマーから作られたコポリマーを含むエチレンコポリマーを提供し、ここでは、それの製造を、支持体と遷移金属化合物とこの遷移金属化合物を触媒活性遷移金属錯体に変化させる能力を有する活性化剤を含む固体状触媒系の存在下のスラリー重合で上記エチレンと上記コモノマーを共重合させる方法を用いて行い、そしてここで、上記エチレンコポリマーは下記の特性(1)から(5)を有する:(1)密度d(g/cm3)が0.870から0.980であり、(2)Mw/Mnが2.5から10であるが、ここで、MwおよびMnは、それぞれ、両方ともゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した時の重量平均分子量および数平均分子量であり、加うるに、このMw/Mnは、下記の不等式:
Figure 2007308718
を満足させ、(3)上記エチレンコポリマーの交差分別クロマトグラフィー(cross fractionation chromatography)(CFC)において、最大抽出量を示す第一温度と上記第一温度より10℃高い第二温度の間の範囲内に在る任意温度T(℃)における抽出に関して、上記任意温度T(℃)と、上記任意温度T(℃)で抽出されるコポリマー画分が示す分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって該コポリマー画分の上記分子量分布プロファイルが最大強度のピークを示す分子量で表される地点と、の間の関係を最小自乗方法で処理してほぼ真っすぐな線を得る時、このほぼ真っすぐな線が、式(I):
Figure 2007308718
[式中、T1およびT2は、上記第一温度と上記第二温度の間の範囲内に在る2つの異なる任意抽出温度T(℃)であり、そしてMp(T1)およびMp(T2)は、それぞれ、上記ほぼ真っすぐな線上のT1およびT2に相当する分子量である]
で定義される範囲内の傾きを有し、そして(4)上記エチレンコポリマーをCFCで測定した時、この上で定義した如き上記第一温度より少なくとも10℃低い温度で抽出されるコポリマー画分の個々の量の合計が、CFCにおける抽出温度の全範囲の温度で抽出されるコポリマー画分の全量[パージ(purge)を除く]を基準にして8重量%またはそれ以下であるような特性を示し、(5)式(II):
Figure 2007308718
[式中、Mtは、分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって、上記プロファイルが最大強度のピークを示す地点であり、そしてMcは、上記分子量分布プロファイル上の分子量で表される任意点であり、そして上記分子量分布プロファイルは、上記エチレンコポリマーにゲル浸透クロマトグラフィー/フーリエ変換赤外分光測定(GPC/FT−IR)を受けさせることでコモノマー含有量分布プロファイルと一緒に得られるプロファイルである]
で定義される、上記エチレンコポリマーの分子量で表される範囲内において、上記コモノマー含有量分布プロファイルから最小自乗方法で得られるほぼ真っすぐな線が、式(III):
Figure 2007308718
[式中、Mc1およびMc2は、式(II)を満足させる分子量で表される2つの異なる任意点(Mc)であり、そしてC(Mc1)およびC(Mc2)は、それぞれ、上記ほぼ真っすぐな線上のMc1およびMc2に相当するコモノマー含有量である]
で定義される範囲内の傾きを有する。
この上に定義した本発明のエチレンコポリマーは、ワックス、ゲルなどの如き不純物を実質的に全く含有していないばかりでなくまた優れた特性、例えば高い衝撃強度および優れた耐環境応力亀裂性なども示すと言った利点を有する新規なエチレンコポリマーである。
本発明の別の面では、エチレンと式H2C=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC1−C20アルキル基またはC6−C20アリール基である]で表される化合物および線状、分枝または環状のC4−C20ジエンから成る群から選択される少なくとも1種のコモノマーから作られたコポリマーを含むエチレンコポリマーを製造する方法を提供し、この方法に、支持体と遷移金属化合物とこの遷移金属化合物を触媒活性遷移金属錯体に変化させる能力を有する活性化剤を含む固体状触媒系の存在下のスラリー重合で上記エチレンと上記コモノマーを共重合させることを含め、ここでは、上記固体状触媒系に、1)(a)支持体材料、金属が元素周期律表の2−13族、ゲルマニウム、錫および鉛から選択される有機金属化合物、および(b)遷移金属化合物と反応して触媒活性遷移金属錯体を形成する能力を有するカチオン(b−1)と活性水素部分を含む置換基を少なくとも1つ有する非水素原子数が100以下の適合性(compatible)アニオン(b−2)を含む活性化剤(activator)化合物、を含む支持触媒成分、および2)遷移金属化合物、を含める。
本発明の更に別の面では、この上で定義したエチレンコポリマーを製造する方法を提供し、ここでは、上記遷移金属化合物に、環状もしくは非環状のπ結合を有する(π−bonded)アニオン性配位基を少なくとも1つ含める。
本発明のエチレンコポリマーは、エチレンと式H2C=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC1−C20アルキル基またはC6−C20アリール基である]で表される化合物および線状、分枝または環状のC4−C20ジエンから成る群から選択される少なくとも1種のコモノマーから作られたコポリマーである。
本発明のエチレンコポリマーの密度d(g/cm3)は0.870から0.980である。0.870g/cm3より低い密度dを有するエチレンコポリマー類をスラリー重合で非常に良好に製造するのは不可能である。他方、エチレンコポリマーに0.980より高い密度d(g/cm3)を持たせ。ようとすると、上記コポリマーのコモノマー含有量があまりにも低くなり、その結果として、そのようなコポリマーはエチレンのホモポリマーの特性と実質的に同じ特性を持つようになって、この上で定義した範囲内の密度d(g/cm3)を持たせたコポリマーが有するいろいろな優れた特性を持たなくる。本発明では、上記エチレンコポリマーに0.87から0.980、より好適には0.890から0.965、最も好適には0.915から0.955の密度d(g/cm3)を持たせるのが好適である。
本発明のエチレンコポリマーが示すMw/Mnは2.5から10であり、ここで、MwおよびMnは、それぞれ、両方ともゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した時の重量平均分子量および数平均分子量である。このMw/Mn比を分子量分布の判断基準として用いる。本発明において、エチレンコポリマーが示すMw/Mnが2.5より小さいと、そのようなコポリマーが示ず分子量分布はあまりにも狭くなり、その結果として、そのようなエチレンコポリマーに本発明で定義する特定のコモノマー含有量分布特性を持たせるのが困難になる。他方、エチレンコポリマーが示すMw/Mnが10より高くなると、そのようなコポリマーが示す耐衝撃性は不利に低くなる可能性がある。更に、本発明では、上記エチレンコポリマー類が2.8から8、より好適には3から7のMw/Mnを示すのが好適である。
本発明におけるエチレンコポリマーが示すメルトインデックス(I2)は0.0001から10000、好適には0.001から5000、より好適には0.01から3000g/10分である。
本発明のエチレンコポリマーが示すI21.6/I2比は15から65、好適には18から55、より好適には20から50であるか、或はそれが示すI10/I2比は5から30、好適には5から28、より好適には5.5から25である。
本発明のエチレンコポリマーに関して、本発明のエチレンコポリマーの交差分別クロマトグラフィー(CFC)において、最大抽出量を示す第一温度と上記第一温度より10℃高い温度か或は96℃のより低い温度である第二温度の間の範囲内に在る任意温度T(℃)における抽出に関して、上記任意温度T(℃)と、上記任意温度T(℃)で抽出されるコポリマー画分が示す分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって該コポリマー画分の上記分子量分布プロファイルが最大強度のピークを示す分子量で表される地点と、の間の関係を最小自乗方法で処理して、上記第一温度と上記第二温度の間の範囲内にほぼ真っすぐな線を得る時、もしCFCにおける抽出温度の全範囲の温度で抽出されたコポリマー画分の全体量(パージを除く)を基準にして1重量%未満の量のコポリマー画分が存在する場合にはこのコポリマー画分を該ほぼ真っすぐな線の計算から除くことができるとして、このほぼ真っすぐな線は、式(I):
Figure 2007308718
[式中、T1およびT2は、上記第一温度と上記第二温度の間の範囲内に在る2つの異なる任意抽出温度T(℃)であり、そしてMp(T1)およびMp(T2)は、それぞれ、上記ほぼ真っすぐな線上のT1およびT2に相当する分子量である]
で定義される範囲内の傾きを有する。
上記式(I)において、項
Figure 2007308718
は、上述したほぼ真っすぐな線の傾きを示す。
本発明では、CFC T−150A[三菱化学(MitsubishiKagaku Corp.(日本)が製造販売している)を用いて交差分別クロマトグラフィー(CFC)を実施する。このCFCによる測定を下記の如く実施する。温度が140℃のジクロロベンゼン20mlにサンプル20mgを溶解させることでサンプル溶液を得る。次に、この得た溶液5mlを、ガラスビードが充填されている昇温溶出分離(temperaturerising elution fractionation)(TREF)カラムに添加し、そしてその溶液を1℃/分の割合で0℃に冷却する。その後、その溶液の温度が1℃/分の割合で高くなるようにこの溶液を加熱することで、コポリマー画分を抽出する。
次に、その抽出されたコポリマー画分に、GPCカラムShodex AD806MS(昭和電工株式会社が製造販売している)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に続いて、NicoletManga−IR分光測定装置550(NicoletCo.,Ltd.、米国が製造販売)を用いたフーリエ変換赤外分光測定(FT−IR)を受けさせる。
CFCを実施する方法のさらなる詳細に関しては、上述したCFCT−150Aに添付されているカタログを参考にすることができる。
通常のチーグラー触媒を用いて製造された通常のエチレンコポリマー類の場合の傾き
Figure 2007308718
は一般にほとんど0であるか或は正の値である。最近実用化された通常のメタロセン触媒を用いて製造された通常のエチレンコポリマー類の場合の傾き
Figure 2007308718
はほとんど0である。
本発明の場合、既に上で述べたように、本発明のエチレンコポリマーの交差分別クロマトグラフィー(CFC)において最大抽出量を示す第一温度と上記第一温度より10℃高い温度か或は96℃のより低い温度である第二温度の間の範囲内に在る任意温度T(℃)における抽出に関して、該任意温度T(℃)と、該任意温度T(℃)で抽出されるコポリマー画分が示す分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって該コポリマー画分の該分子量分布プロファイルが最大強度のピークを示す分子量で表される地点と、の間の関係を最小自乗方法で処理してほぼ真っすぐな線を得る時、このほぼ真っすぐな線の傾き[即ち、
Figure 2007308718
]が負の値を有する。このことは、低い温度で抽出されるコポリマー画分の分子量の方が高温で抽出されるコポリマー画分の分子量より高い、即ち低密度のコポリマー画分が高いコモノマー含有量を有しそして高密度のコポリマー画分が低いコモノマー含有量を有することを意味する。
本発明のエチレンコポリマーが示す傾き
Figure 2007308718
はかなり大きな負の値(−0.005から−1の範囲内)である。このことは、本発明のエチレンコポリマーの場合、高いコモノマー含有量を有するコポリマー画分が高い分子量を有することを明らかに示しており、このことは、高いコモノマー含有量を有するコポリマー画分が典型的に低い分子量を有する通常のエチレンコポリマーとは対照的である。
更に、本発明のエチレンコポリマーは−0.005から−1の範囲内の負の値の傾き
Figure 2007308718
を示す。このことは、この上に記述した傾きの範囲内で幅広く多様なコモノマー含有量および幅広く多様な分子量を示すコポリマー画分を有するコポリマー類を得ることができることを示しており、上記コポリマー画分は、低いコモノマー含有量を有する低分子量のコポリマー画分、即ち低い分子量を有する高密度のコポリマー画分から、高いコモノマー含有量を有する高分子量のコポリマー画分、即ち高い分子量を有する低密度のコポリマー画分に及んで幅広く多様である。いろいろなコモノマー含有量を有する本発明のコポリマー類は、互いに、即ち1つづつ優れた混和性を示す。従って、本発明では、ゲルの生成を起こさせることなく望まれる特性を有するコポリマーを得るようにいろいろなコモノマー含有量を有するコポリマー類をブレンドすることができる。
しかしながら、傾き、
Figure 2007308718
があまりにも小さくなると、望まれる構造および特性を持たせるように設計したコポリマーを得るのが困難になる。従って、本発明では、上記傾きを−1またはそれ以上にすべきである。更に、本発明では、上記傾きを、好ましくは、式:
Figure 2007308718
好適には、
Figure 2007308718
より好適には、
Figure 2007308718
で定義される範囲内にし、ここで、T1、T2、Mp(T1)およびMp(T2)は式(I)で定義した通りである。
本発明のエチレンコポリマーをCFCで測定すると、このエチレンコポリマーは、この上で定義した如き第一温度より少なくとも10℃低い温度で抽出されるコポリマー画分の個々の量の合計がパージを除きCFCにおける抽出温度の全範囲の温度で抽出されるコポリマー画分の全量を基準にして8重量%またはそれ以下であるような特性を示す。本発明では、抽出されたコポリマー画分の量を抽出温度を基準にして示す積分曲線から、上述したコポリマー画分の個々の量の合計を得ることができる。
他方、チーグラー−ナッタ触媒を用いて製造された通常のエチレンコポリマー類をCFCで測定すると、比較実施例4から6で示されるように、そのエチレンコポリマーは、この上で定義した如き第一温度より少なくとも10℃低い温度でコポリマー画分が比較的多量に抽出されるような特性を示す。このことは、そのようなエチレンコポリマー類は幅広い組成分布を有していて低分子量のワックス状成分または極低密度のコポリマー画分を含有することを示している。
従来、最近実用化されたメタロセン触媒を用いて製造されたエチレンコポリマー類が示すコモノマー含有量の分布は狭いと考えられていた。しかしながら、そのようなエチレンコポリマー類のいくつかにCFC測定を受けさせると、この上で定義した如き第一温度より少なくとも10℃低い幅広い範囲の温度でコポリマー画分がかなり多量に抽出される。
本発明のエチレンコポリマーの場合、この上で定義した如き第一温度より少なくとも10℃低い温度で抽出されるそのようなコポリマー画分の量は極めて少量である。具体的には、本発明のエチレンコポリマーをCFCで測定すると、このエチレンコポリマーは、この上で定義した如き第一温度より少なくとも10℃低い温度で抽出されるコポリマー画分の個々の量の合計がパージを除きCFCにおける抽出温度の全範囲の温度で抽出されるコポリマー画分の全量を基準にして8重量%以下、好適には5重量%以下、より好適には3.5重量%以下であるような特性を示す。
このように、この上で定義した如き第一温度より少なくとも10℃低い温度で抽出されるコポリマー画分の量が極めて少量であることから、本発明のエチレンコポリマーは優れた特性を有し、例えばこのエチレンコポリマーの場合、ワックス状成分および低密度コポリマー画分が存在していることが原因となる悪影響がない。更に、本発明では、非常に低密度で非常に低い分子量を有するコポリマー類を製造することができる。有利には、このようなコポリマー類を混合することで幅広く多様な混合物を得ることができ、ここでは、この混合物各々にいろいろなコモノマー含有量を有する2種以上の異なるコポリマー成分を含めることができる。従って、非常に低い密度および非常に低い分子量を有する上記コポリマー類を用いると、望まれる特性を持たせるように種々の混合物を設計することが可能になる。これは商業的観点から非常に有利である。
本発明では、式(II):
Figure 2007308718
[式中、Mtは、分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって、該プロファイルが最大強度のピークを示す地点であり、そしてMcは、該分子量分布プロファイル上の分子量で表される任意点であり、ここで、該分子量分布プロファイルは、該エチレンコポリマーにゲル浸透クロマトグラフィー/フーリエ変換赤外分光測定(GPC/FT−IR)を受けさせることでコモノマー含有量分布プロファイルと一緒に得られるプロファイルである]
で定義される、該エチレンコポリマーの分子量で表される範囲内において、該コモノマー含有量分布プロファイルから最小自乗方法で得られるほぼ真っすぐな線が、式(III):
Figure 2007308718
[式中、Mc1およびMc2は、式(II)を満足させる分子量で表される2つの異なる任意点(Mc)であり、そしてC(Mc1)およびC(Mc2)は、それぞれ、該ほぼ真っすぐな線上のMc1およびMc2に相当するコモノマー含有量である]
で定義される範囲内の傾きを有する。
上述したように、エチレンコポリマーにゲル浸透クロマトグラフィー/フーリエ変換赤外分光測定(GPC/FT−IR)を受けさせることで、該分子量分布プロファイルおよびコモノマー含有量分布プロファイルを得ることができる。本発明では、150CALC/GPC(Waters Assoc. Co.,米国が製造販売している)を用いてGPCによる測定を実施するが、ここでは3本のカラム[1本はShodexAT−807S(昭和電工株式会社が製造販売している)で2本はTSK−ゲルGMH−H6(Tosoh Corp.(日本)が製造販売している)である]を直列に連結して使用し、そして温度が140℃のトリクロロベンゼン15mlにサンプルを20から30mg溶解させそしてその結果として生じる溶液の500から1,000μLをFT−IR装置[Pe−rkinElmer Cetus,Col.,Ltd(米国)が製造販売しているPERKIN−ELMER1760X]に入れることでFT−IRの測定を実施する。
本発明では、コポリマーに含まれるメチレン単位1,000個を基準にしたコモノマー単位数を1,000で割ることで得られる値としてコモノマー含有量を定義する。例えば、メチレン単位1,000個を基準にしてコモノマー単位が5個含まれている場合のコモノマー含有量は0.005である。メチレン単位に起因する吸収強度に対するコモノマー単位に起因する吸収強度の比率からコモノマー含有量の値を得ることができ、FT−IRでこの比率を得ることができる。例えば、線状のα−オレフィンをコモノマーとして用いる場合、FT−IRにより、メチレン基に起因する2,925cm-1の所の吸収強度に対するメチル基に起因する2,960cm-1の所の吸収強度の比率を得る。この得た比率からコモノマー含有量を得ることができる。
上述したコモノマー含有量分布プロファイルを、一般的には、コモノマー含有量を示す点を含む線として示す。このプロファイルの精度を向上させるには、同じサンプルを同じ条件下で用いてコモノマー含有量測定を繰り返し実施してコモノマー含有量を示す点を数多く得るのが望ましい。本発明では、エチレンコポリマーの分子量で表すこの上で定義した範囲内において、その得た点のコモノマー含有量分布プロファイルから最小自乗方法でほぼ真っすぐな線を得る。
本発明では、該コモノマー含有量分布プロファイルから得られるほぼ真っすぐな線の傾きを、下記の式:
Figure 2007308718
[式中、Mc1およびMc2は、式(II)を満足させる分子量で表される2つの異なる任意点(Mc)であり、そしてC(Mc1)およびC(Mc2)は、それぞれ、該ほぼ真っすぐな線上のMc1およびMc2に相当するコモノマー含有量である]
で定義する。
このコモノマー含有量分布プロファイルは、いろいろな分子量のコポリマー画分が有するコモノマー含有量を示し、そしてこのプロファイルから最小自乗方法で得られるほぼ真っすぐな線の傾きは、そのコポリマー画分の分子量変化を基準にしたコモノマー含有量の変化を示す。
通常のチーグラー触媒を用いて製造されたエチレンコポリマーの場合、上述したほぼ真っすぐな直線の傾きは負の値を有する。このことは、コポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなるようなコモノマー含有量分布を上記通常のエチレンコポリマーが有することを示している。
最近実用化された通常のメタロセン触媒を用いて製造されたエチレンコポリマー類の場合にも、そのコモノマー含有量分布プロファイルから最小自乗方法で得られるほぼ真っすぐな線の上記傾きはほとんど0である。測定誤差を考慮したとしても、その傾きは0.0001より小さい。
他方、本発明のエチレンコポリマーが示す上記傾き
Figure 2007308718
は、エチレンコポリマーの分子量で表されるこの上で定義した範囲内において、0.0005またはそれ以上である。
このことは、1つの観点でコポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなりそして別の観点でコポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるような特定のコモノマー含有量分布を本発明のエチレンコポリマーが有することを明らかに示している。本発明のエチレンコポリマーは、このような特定のコモノマー含有量分布を有することから種々の優れた特性を示し、例えば通常のエチレンコポリマー類に比較して高い衝撃強度および優れたESCR特性などを示す。
本発明では、エチレンコポリマーの分子量で表されるこの上で定義した範囲内において、上記傾きを式(IV):
Figure 2007308718
[式中、Mc1、Mc2、C(Mc1)およびC(Mc2)は式(III)で定義した通りである]
で定義される範囲内にするのが好適である。
本発明では、新規なエチレンコポリマーを得る方法を提供する。
具体的には、本方法に、エチレンと式H2C=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC1−C20アルキル基またはC6−C20アリール基である]で表される化合物および線状、分枝または環状のC4−C20ジエンから成る群から選択される少なくとも1種のコモノマーを、固体状触媒系の存在下、スラリー重合で共重合させることを含め、ここで、この固体状触媒に、支持体、遷移金属化合物、およびこの遷移金属化合物を触媒活性遷移金属錯体に変化させる能力を有する活性化剤を含める。
本発明の方法を用いると予想外で驚くべきコポリマー特性を得ることができる理由は下記の如くであると考えている。
既に上で述べたように、本発明のエチレンコポリマーは、1つの観点でコポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなりそして別の観点でコポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるような特定のコモノマー含有量分布を示す。
加うるに、本発明のエチレンコポリマーの製造では下記の要求を満足させる必要がある:(i)生じるポリマーが反応混合物内で溶融してはならず、固体状態を保持する必要があること、(ii)触媒の活性種の所の重合速度が満足されるほど高いこと、そして(iii)触媒の活性種が担体から遊離せずかつそれがその生じるポリマーの所から逃げ出さないように、触媒の活性種が担体に強力に結合していること。
更に、生じるポリマーの粒子サイズが大きくなればなるほど、本発明のエチレンコポリマーのコモノマー含有量分布特性を達成するのが容易になる、即ち1つの観点でコポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなりそして別の観点でコポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるような特定のコモノマー含有量分布を達成するのが容易になる。
エチレンコポリマーを製造する本発明の方法は上記要求を満足させ、その結果として、この重合反応は以下に説明するように進行し得る。
本発明の方法では、1番目として、生じるポリマーが重合反応中に溶融しないで固体状態を保持するようなスラリー重合で重合反応を実施する。従って、要求(i)を満たす。
2番目として、本発明で用いる好適な触媒系に遷移金属化合物、即ち周期律表の3−5族から選択した族の遷移金属の化合物を含有させ、ここで、この化合物に、π結合を有する環状のアニオン配位子を少なくとも1つ、好適には1つのみ含有させる。このようにπ結合を有する環状のアニオン配位子を1つのみ持たせた好適な遷移金属化合物が有する遷移金属の回りの空間は、π結合を有する環状もしくは非環状のアニオン配位子を2つ以上含有するメタロセン触媒の遷移金属の回りに存在する空間に比較して広い。従って、π結合を有する環状もしくは非環状のアニオン配位子を1つのみ持たせた遷移金属化合物では、その遷移金属にかさ高いコモノマーが近付くのが阻害されず、従って反応を滑らかに進行させることが可能になる。加うるに、本発明の方法で用いる好適な触媒系は、高い重合速度を達成するに役立つ固体成分を含有する。従って、本発明で用いる触媒系の場合、この触媒の活性種の所の重合速度は満足されるほど高い。それゆえ、本発明の方法は上記要求(ii)を満たす。
3番目として、本発明で用いる好適な触媒系の場合、この触媒の活性種は担体に強力に結合しており、その結果として、この触媒の活性種はその担体から遊離せずかつその生じるポリマーの所から逃げ出すこともない。
具体的に示すと、本発明の方法で用いる1つの好適な支持触媒成分の場合、活性化剤化合物の活性水素部分は有機金属化合物を通して支持体材料のヒドロキシル基に結合し得る。即ち、この活性化剤化合物はその支持体材料に強力に結合して担持される。本発明で用いる好適なさらなる支持触媒成分の場合、加熱および/または洗浄処理でアルモキサン(alumoxane)を支持体材料に固定させており、その結果として、このアルモキサンは苛酷な条件(90℃のトルエン)でも実質的に抽出されない。従って、上記要求(iii)に合致する。
本発明の方法により、この上に記述した触媒系を用いて本発明のエチレンコポリマーを有利に製造することができ、そしてこの触媒系は、特に、触媒に比較的大きな粒子サイズを持たせようとする時そしてコモノマーのかさ高さが比較的大きい時に有効である。
上述したように、本発明のエチレンコポリマーを製造することができるのは、上述した要求全部が同時に満たされる時のみである。本発明者らは本発明の優れたエチレンコポリマーの製造に関して上述した要求を予想外に初めて確認した。
本明細書の以下に本発明のエチレンコポリマーの製造方法をより詳しく説明する。
有利には、特定の固体状触媒を用いてエチレンとコモノマーを共重合させることで本発明のエチレンコポリマーを製造する。
本発明で用いるに適切な支持体材料には、多孔質の樹脂状材料、例えばポリエチレン類およびポリプロピレン類などの如きポリオレフィン類、またはスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマー類など、2、3、4、13または14族金属の酸化物を含む固体状無機酸化物、例えばシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化トリウム、並びにシリカの混合酸化物などが含まれる。シリカの適切な混合酸化物には、シリカと1種以上の2族もしくは13族金属酸化物との混合酸化物、例えばシリカ−マグネジアまたはシリカーアルミナの混合酸化物などが含まれる。シリカ、アルミナ、およびシリカと1種以上の2族もしくは13族金属酸化物との混合酸化物が好適な支持体材料である。上記混合酸化物の好適な例はシリカ−アルミナである。最も好適な支持体材料はシリカである。このシリカの粒子形状は決定的でなく、このシリカは粒状、球形、凝集形態、薫蒸(fumed)形態または他の形態であってもよい。適切なシリカには、GraceDavison(W.R.Grace & Co.のデビジョン)から商標SD3216.30、SP−9−10046、Davison Syloid(商標)245、Davison948およびDavison 952の下で入手可能なシリカ、Degussa AGから商標AerosilTM812の下で入手可能なシリカ、およびCrossfieldから商標ES 70Xの下で入手可能なシリカが含まれる。
本発明で用いるに適切な支持体材料の好適な表面積は、B.E.T.方法を用いた窒素ポロシメトリ−で測定した時、10から1000m2/g、好適には100から600m2/gである。この支持体の細孔容積は、窒素吸着で測定した時、典型的には5cm3/g以下、有利には0.1から3cm3/g、好適には0.2から2cm3/gである。平均粒状サイズは決定的でないが典型的には0.5から500μm、好適には1から200μm、より好適には100μmである。
この支持体材料に熱処理および/または化学処理を受けさせることでその支持体材料の水含有量またはヒドロキシル含有量を低くしてもよい。脱水を受けさせた支持体材料および水を少量含有する支持体材料の両方とも使用可能である。典型的な熱予備処理を不活性雰囲気中か或は減圧下30℃から1000℃の温度で10分から50時間実施する。典型的な支持体材料の表面ヒドロキシル含有量は、固体状支持体1グラム当たりのヒドロキシル基のモルで、0.1ミクロモルから、好適には5ミクロモルから、より好適には0.05ミリモルから、10ミリモル以下、好適には5ミリモル以下であり、より好適には1グラム当たり0.5から2ミリモルである。このヒドロキシル含有量は公知技術で測定可能であり、例えば赤外分光法およびアルキル金属または金属水酸化物を用いた滴定技術、例えば固体状支持体が入っているスラリーにジアルキルマグネシウムを過剰量で加えそしてその溶液中に残存するジアルキルマグネシウムの量を公知技術で測定することなどで測定可能である。この後者の方法は、S−OHH+MgR2→S−OMgR+RHの反応を基としており、ここで、Sは固体状支持体である。
無機固体表面上のヒドロキシル基量を測定する代替技術として下記の手順を含む方法を用いることができる。例示として記述すると、無機固体の乾燥を250℃の窒素ガス流中で10時間行った後、その乾燥させた無機固体の重量を測定し、そしてこれを「W1」(単位:g)で表される初期重量として採用する。この後、この乾燥させた無機固体を1,000℃に加熱し、そして次に、室温に冷却する。この冷却した無機固体の重量を測定し、そしてこの冷却した無機固体の重量と初期重量(W1)の間の差を測定し、これを「ΔW」(単位:g)で表される重量損失として採用する。ヒドロキシル基の量を下記の式で計算した:ヒドロキシル基の量=(1,000×ΔW/18.02)/W1ミリモル/g(V)。
本発明の方法で用いる無機固体がそれの表面にヒドロキシル基を有する場合、これに結晶水または吸着水の如き水を含有させないのが好適である。
この無機固体にいくらか含まれる水は、これを窒素雰囲気中か或は減圧下250℃以上で1時間以上加熱することで、それらから除去可能である。
本発明で用いるに適切な遷移金属化合物は、活性化剤化合物(b)で変換されて触媒活性遷移金属錯体を形成し得る化合物である。この遷移金属化合物は、ランタニド族を含む如何なる遷移金属の誘導体であってもよく、好適には3、4、5および6族、より好適には3もしくは4族またはランタニド族遷移金属の誘導体であり、この遷移金属は+2、+3または+4の形式的(formal)酸化状態にある。この遷移金属化合物に、好適には、π結合を有するアニオン配位基を少なくとも1個含め、この配位基は非局在化したπ結合を有する環状もしくは非環状のアニオン配位基であってもよい。そのようなπ結合を有するアニオン配位基の例は、環状もしくは非環状の共役もしくは非共役ジエニル基、アリル基、アリール基、並びに上記基の置換誘導体である。
上記置換されていて非局在化したπ結合を有する基の記述で言葉「誘導体」を用いる場合、これは、その非局在化したπ結合を有する基中の各原子が独立しでハロゲン、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビルおよびヒドロカルビル置換半金属基から成る群から選択される基で置換されていてもよいことを意味し、ここで、この半金属は元素周期律表の14族から選択される。言葉「ヒドロカルビル」が包含する基は、直鎖、分枝および環状のC1-20アルキル基、C6-20芳香族基、C7-20アルキル置換芳香族基、およびC7-20アリール置換アルキル基である。加うるに、上記基は2つ以上が一緒になって縮合環系またはハロゲン置換縮合環系を形成していてもよい。適切なヒドロカルビル置換有機半金属基には、一置換、二置換および三置換されている、14族元素の有機半金属基が含まれ、ここでこのヒドロカルビル基は各々炭素原子を1から20個有する。より詳細には、適切なヒドロカルビル置換有機半金属基には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、エチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、トリフェニルゲルミル、トリメチルゲルミルが含まれる。
好適な非局在化したπ結合を有するアニオン基にはシクロペンタジエニルおよび置換シクロペンタジエニル基が含まれる。特に好適なものはシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、テトラヒニドロフルオレニルおよびオクタヒドロフルオレニルである。好適なアニオン配位基の他の例は、ペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、ジヒニドロアントラセニル、ヘキサヒドロアントラセニルおよびデカヒドロアントラセニル基、並びにそれらのメチル置換誘導体である。
適切な遷移金属化合物(c)は、ランタニド族を含む遷移金属いずれか、好適には3族、4族またはランタニド族遷移金属のシクロペンタジエニルもしくは置換シクロペンタジエニル誘導体であり得る。本発明で用いるに適切な遷移金属化合物は、橋状(bridged)または橋状でなないモノ−、ビス−およびトリ−シクロペンタジエニルもしくは置換シクロペンタジエニル遷移金属化合物である。橋状でない適切なモノシクロペンタジエニルもしくはモノ(置換シクロペンタジエニル)遷移金属誘導体は、下記の式(VI):
CPMXn (VI)
[式中、Cpは、シクロペンタジエニルまたはそれの誘導体であり、Mは、形式的酸化状態が+2、+3または+4の3族、4族または5族遷移金属であり、Xは、各場合とも独立して、50個以下の非水素原子を有するヒドロカルビル、ピドロカルビレン(ヒドロカルバジエニルを含む)、ヒドロカルビルオキシ、水素化物、ハロ、シリル、ゲルミル、アミドおよびシロキシ基の群から選択されるアニオン配位基(π結合を有する環状芳香族のアニオン配位基以外)を表し、そしてnは、Mの形式的酸化状態より1小さい数に等しい数であって、1、2または3、好適には3である]
で表される。好適には、Xの少なくとも1つは、炭素原子を1から約20個有するヒドロカルビル基、炭素原子を1から約20個有する置換ヒドロカルビル基(ここでは、水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置換されている)、または14族元素を含む有機半金属基(ここでは、上記有機半金属の有機部分中に含まれるヒドロカルビル置換基は各々独立して炭素原子を1から約20個有する)である。
適切な橋状モノシクロペンタジエニルまたはモノ(置換シクロペンタジエニル)遷移金属化合物には、いわゆる拘束幾何(constrainedgeometry)錯体が含まれる。上記錯体の例およびそれらの製造方法は、1990年7月3日付けで提出した米国出願連番号545,403(ヨーロッパ特許出願公開第416,815号に相当)、1994年5月12日付けで提出した米国出願連続番号241,523(国際特許出願WO−95/00526に相当)、並びに米国特許第5,055,438、5,057,475、5,096,867、5,064,802、5,132,380、および5,374,696号(これらは全部引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に開示されている。
より詳細には、好適な橋状モノシクロペンタジエニルまたはモノ(置換シクロペンタジエニル)遷移金属化合物は下記の式(VII):
Figure 2007308718
[式中、Mは、3−5族の金属、特に4族の金属、特別にはチタンであり、Cp*は、Z’に結合しておりかつη5結合様式でMに結合している置換シクロペンタジエニル基であり、或は上記基は更にヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロ、ヒドロカルビルオキシ、アミンおよびこれらの混合物から成る群から選択される1から4個の置換基で置換されており、ここで、上記置換基は20個以下の非水素原子を有し、或は場合により、上記さらなる置換基の2つが一緒になってCp*に縮合環構造を持たせていてもよく、Z’は、π結合を有する環状もしくは非環状アニオン配位子以外の二価部分であり、ここで、上記Z’は、ホウ素または元素周期律表の14族の一員を含みそして場合により窒素、燐、硫黄または酸素を含んでいてもよく、そしてここで、上記部分は20個以下の非水素原子を有し、そして場合により、Cp*とZ’が一緒になって縮合環系を形成していてもよく、Xは、各場合とも独立して、50個以下の非水素原子を有するヒドロカルビル、ヒドロカルビレン(ヒドロカルバジエニルを含む)、ヒドロカルビルオキシ、水素化物、ハロ、シリル、ゲルミル、アミドおよびシロキシ基の群から選択されるアニオン配位基(π結合を有する環状の芳香族アニオン配位基以外)を表し、好適には、Xは、水素化物基、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、または有機半金属基の群から選択され、そしてnは、Mの原子価に応じて1または2である]
に相当する。
この上に示した説明に一致して、Mは好適には4族金属、特にチタンであり、nは1または2であり、そしてXは、30個以下の非水素原子を有する一価の配位基、より好適にはC1-20ヒドロカルビルである。
nが1でありそして3−5族の金属(好適には4族の金属)が+3の形成的酸化状態にある場合、Xは好適には安定化用配位子である。
この言葉「安定化用配位子」は、その配位基が該金属錯体を下記のいずれかで安定にすることを意味する:1)窒素、燐、酸素または硫黄のキレート結合、または2)非局在化したπ電子の共鳴構造を伴うη3結合。
グループ1)の安定化用配位子の例には、脂肪族または芳香族のエーテル、チオエーテル、アミンまたはホスフィン官能基の1つ以上で置換されているシリル、ヒドロカルビル、アミドまたはホスフィド配位子が含まれ、特に三置換されている上記アミンまたはホスフィン基が含まれ、ここで、上記安定化用配位子は非水素原子を3から30個有する。最も好適なグループ1)の安定化用配位子は、アルキル基の炭素数が1から4の2−ジアルギルアミノベンジルまたは2−(ジアルキルアミノメチル)フェニル基である。
グループ2)の安定化用配位子の例には、エチレン系不飽和を有するC3-10ヒドロカルビル基、例えばアリル、1−メチルアリル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリルまたは1,2,3−トリメチルアリル基などが含まれる。
更により好適には、上記金属配位錯体は、下記の式(VIII):
Figure 2007308718
[式中、R’は、各場合とも独立して、水素、20個以下の非水素原子を有するヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロおよびこれらの組み合わせから成る群から選択されるか、或は2つのR’基が一緒になってそれらの二価誘導体を形成しており、Xは、式(VI)で定義したのと同じ意味を有し、Yは、窒素、燐、酸素または硫黄を含んでいて20個以下の非水素原子を有する二価のアニオン配位基であり、ここで、上記Yは、上記窒素、燐、酸素または硫黄を通してZおよびMに結合しており、そして場合によりYとZは一緒になって縮合環系を形成していてもよく、Mは、4族金属、特にチタンであり、Zは、SiR* 2,CR* 2,SiR* 2,SiR* 2,CR* 2CR* 2,CR*=CR*,CR* 2SiR* 2,GeR* 2,BR*,又はBR* 2;であり、ここで、R*は、各場合とも独立して、水素、20個以下の非水素原子を有するヒドロカルビル、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール基およびこれらの混合物から成る群から選択されるか、或はZ由来の2つ以上のR*基か或はZ由来の1つのR*基がYと一緒になって縮合環系を形成しており、そしてnは、1または2である]
に相当する。
更により好適には、Yは、-O-,-S-,-NR*-,-PR*-である。非常に好適には、Yは、式−N(R’)−または−P(R')−[式中、R’はこの上に記述した通り、即ちアミドまたはホスフィド基である]に相当する窒素もしくは燐含有基である。
最も高度に好適な金属配位錯体は、下記の式(IX):
Figure 2007308718
[式中、Mは、チタンであり、R’は、各場合とも独立して、水素、10個以下の炭素またはケイ素原子を有するシリル、ヒドロカルビルおよびこれらの組み合わせから成る群から選択されるか、或は置換シクロペンタジエニル部分の2つのR’基が一緒に結合しており、Eは、ケイ素または炭素であり、Xは、各場合とも独立して、水素化物、炭素数が10以下のアルキルまたはアリールであり、mは、1または2であり、そしてnは、1または2である]
に相当する。
この上に示した最も高度に好適な金属配位化合物の例には、アミド基上のR’がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボルニル、ベンジル、フェニルおよびシクロドデシルであり、(ER’2)mがジメチルシランまたは1,2−エチレンであり、π結合を有する環状基上のR’が各場合とも独立して水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ノルボルニル、ベンジルおよびフェニルであるか或は2つのR’基が結合してインデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニルまたはオクタヒドロフルオレニル部分を形成しておりそしてXがメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ノルボルニル、ベンジルおよびフェニルであるところの化合物が含まれる。
遷移金属が+2の形式的酸化状態にある遷移金属化合物には、非局在化したπ結合を有する環状アニオン基を1つのみ含む錯体が含まれ、上記錯体は、下記の式(X):
Figure 2007308718
[式中、Mは、形式的酸化状態が+2のチタンまたはジルコニウムであり、Lは、環状でアニオン性の非局在化したπ系を含む基であり、この基は上記系を通してMに結合しており、そしてこの基はまたZにも結合しており、Zは、σ結合を通してMに結合している部分であり、これはホウ素または元素周期律表の14族の一員を含みそしてまた窒素、燐、硫黄または酸素を含み、そしてここで、上記部分は60個以下の非水素原子を有し、そしてX*は、場合により1個以上のヒドロカルビル基で置換されていてもよい共役もしくは非共役の中性ジエンであり、ここで、上記Xは40個以下の炭素原子を有しそしてMと一緒になってπ錯体を形成している]
に相当する。
式(X)で表される好適な遷移金属化合物には、Z、MおよびX*がこの上で定義した通りであり、そしてLが、Zに結合していておりかつη5結合様式でMに結合しているC54基であるか或はヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロ、シアノおよびこれらの組み合わせから独立して選択される1から4個の置換基で置換されている上記η5結合基であるところの化合物が含まれ、ここで、上記置換基は20個以下の非水素原子を有し、そして場合により、2つの上記置換基(シアノまたはハロを除く)が一緒になって縮合環構造を形成させていてもよい。
本発明に従う、より好適な遷移金属(+2)化合物は、下記の式(XI):
Figure 2007308718
[式中、R’は、各場合とも独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロ、シアノおよびこれらの組み合わせから選択され、ここで上記R’は20個以下の非水素原子を有し、そして場合により2つのR’基(R’が水素でもハロでもシアノでもない場合)が一緒になって、シクロペンタジエニル環の隣接位に連結して縮合環構造を形成するそれらの二価誘導体を形成していてもよく、X*は、Mと一緒になってπ錯体を形成していて30個以下の非水素原子を有する中性のη4結合ジエン基であり、Yは、-O-,-S-,-NR*-,-PR*-;であり、Mは、形式的酸化状態が+2のチタンまたはジルコニウムであり、Z*は、 SiR* 2,CR* 2,SiR* 2SiR* 2,CR* 2CR* 2,CR*=CR*,CR* 2SiR* 2,又はGeR* 2;であり、ここで、R*は、各場合とも独立して、水素であるか、或はヒドロカルビル、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール基およびこれらの組み合わせから選択される一員であり、ここで上記R*は10個以下の非水素原子を有し、そして場合により、Z*由来の2つのR*基(R*が水素でない場合)か或はZ*由来の1つのR*基とY由来の1つのR*基が一緒になって環系を形成していてもよい]
に相当する。
好適には、R’は、各場合とも独立して、水素、10個以下の非水素原子を有するヒドロカルビル、シリル、ハロおよびそれらの組み合わせであるか、或は2つのR’基(R’が水素でもハロでもない時)が一緒になってそれらの二価誘導体を形成しており、最も好適には、R’は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(適宜全異性体を包含)、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、ベンジルまたはフェニルであるか、或は2つのR’基(水素を除く)が一緒に結合していてC5R’4基全体が例えばインデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニルまたはオクタヒドロフルオレニル基であってもよい。
更に好適には、R’またはR*の少なくとも1つは電子供与部分である。この言葉「電子供与」は、その部分が水素より高い電子供与性を示すことを意味する。従って、高度に好適には、Yは、式−N(R”)−または−P(R”)−[式中、R”はC1-10ヒドロカルビルである]に相当する窒素もしくは燐含有基である。
適切なX*基の例には、s−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン、s−シス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエンおよびs−シス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンが含まれ、ここで、上記s−シスジエン基は本明細書に定義するように金属と一緒になってπ錯体を形成する。
最も高度に好適な遷移金属(+2)化合物は、−Z*−Y−が−(ER”’2m−N(R”)−であり、そしてR’が各場合とも独立して水素、シリル、ヒドロカルビルおよびこれらの組み合わせから選択され、ここで、上記R’が10個以下の炭素またはケイ素原子を有するか或は置換シクロペンタジエニル基上の2つの上記R’基(R’が水素でない場合)が一緒になってこのシクロペンタンジエニル環の隣接位に連結するそれらの二価誘導体を形成しており、R”がC1-10ヒドロカルビルであり、R”’が各場合とも独立して水素またはC1-10ヒドロカルビルであり、Eが各場合とも独立してケイ素または炭素であり、そしてmが1または2である、式(XI)で表されるアミドシラン−もしくはアミドアルカンジイル化合物である。
本発明に従う金属錯体の例には、R”がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(適宜上記の全異性体を包含)、シクロドデシル、ノルボルニル、ベンジルまたはフェニルであり、(ER”’2mがジメチルシランまたはエタンジイルでありそして非局在化したπ結合を有する環状基がシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニルまたはオクタヒドロフルオレニルであるところの化合物が含まれる。
適切な遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)誘導体には、チタン、ジルコニウムおよびハフニウム化合物の誘導体が含まれ、これらは下記の一般式(XII)から(XV)で表示可能である;
Figure 2007308718
ここで、Mは、4族の金属、即ちチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)であり、(A−Cp)は (Cp)(Cp*)又はCp-A'-Cp*のどちらか一方でありであり、そしてCpおよびCp*は、同一もしくは異なるシクロペンタジエニル基、並びにシクロペンタジエニル基の置換誘導体であり、そしてA’は、14族元素を含む共有橋渡し基(bridging group)であり、Lは、オレフィン、ジオレフィンまたはアリイン配位子であり、X1およびX2の少なくとも1つが水素化物基、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基または有機半金属基でありそしてX1およびX2のもう1つが水素化物基、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、有機半金属基またはヒドロカルビルオキシ基であり、好適にはX1およびX2の1つまたは両方が、1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基(ここで、水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置換されている)、14族元素を含む有機半金属基(ここでは、上記有機半金属の有機部分中に含まれるヒドロカルビル置換基は各々独立して炭素原子を1から20個有する)であり、X’1およびX’2は、一緒に金属原子と結合してメタラサイクル(metallacycle)(ここでは、金属とX’1とX’2が、3から20個の炭素原子を有する水素炭素環状環を形成している)を形成しており、そしてRは、1つのシクロペンタジエニル基上に存在する置換基、好適には炭素原子を1から20個有するヒドロカルビル置換基(これはまた金属原子にも結合している)である。
1とX2の両方が水素化物基でもヒドロカルビル基でも置換ヒドロカルビル基でも有機半金属基でもない場合、これらの1つは1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビルオキシ基であってもよい。ヒドロカルビルオキシ基の適切な例には、炭素原子を1から20個有するアルキルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシおよびアルカリールオキシ基が含まれ、より好適には1から6個の炭素原子を有するアルキル基および6から10個の炭素原子を有するアリール、アラルキルおよびアルカリール基、更により好適にはイソプロピルオキシ、n−ブチルオキシまたはt−ブチルオキシが含まれる。
上記遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)誘導体の例およびそれらの製造方法は、米国特許第5,384,299号(ヨーロッパ特許出願公開第277,004号に相当)および1990年1月2日付けで提出した米国特許出願連続番号459,921(国際特許出願WO−91/09882に相当)(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に開示されている。
適切なトリ−シクロペンタジエニルもしくは置換シクロペンタジエニル遷移金属化合物には、2つのシクロペンタジエニル基を連結させている橋渡し基を有する化合物および上記橋渡し基を持たない化合物が含まれる。
橋状でない適切なトリ−シクロペンタジエニル遷移金属誘導体は、下記の式(XVI):
Figure 2007308718
[式中、Cp、MおよびXは、式(VI)で定義した通りであり、そしてn”は、Mの形式的酸化状態より3小さく、0または1、好適には1である]
で表される。好適な配位基Xはヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、水素化物、ハロ、シリル、ゲルミル、アミドおよびシロキシである。
好適な1つの態様に従い、固体状(即ち支持)触媒に、(a)支持体材料、および金属が元素周期律表の2−13族、ゲルマニウム、錫および鉛から選択される有機金属化合物、および(b)(b−1)遷移金属化合物と反応して触媒活性遷移金属錯体を形成する能力を有するカチオンと(b−2)活性水素部分を含む置換基を少なくとも1つ有する非水素原子数が100以下の適合性アニオンを含む活性化剤化合物、を含む支持触媒成分、および遷移金属化合物、を含める。
典型的には、上記支持体材料を有機金属化合物で処理する。適切な有機金属化合物は、2−13族の金属、ゲルマニウム、錫および鉛と水素化物、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基およびトリヒドロカルビルゲルミル基から選択される置換基を少なくとも2つ含む有機金属化合物である。追加的置換基には、好適には、水素化物、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビル置換シリル基、トリヒドロカルビル置換ゲルミル基、およびヒドロカルビル置換、トリヒドロカルビルシリル置換またはトリヒドロカルビルゲルミル置換半金属基から選択される1つ以上の置換基が含まれる。
本明細書で用いる如き用語「半金属」は、半金属性を示す非金属、例えばホウ素、燐を包含する。
上記有機金属化合物の例には、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機ホウ素、有機アルミニウム、有機ゲルマニウム、有機錫および有機鉛化合物およびこれらの混合物が含まれる。適切なさらなる有機金属化合物はアルモキサン類である。好適な例は、アルモキサン類および下記の式:MgR1 2、ZnR1 2、BR1 x2 y、AlR1 x2 y[式中、R1は、各場合とも独立して、水素化物、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルミル基、またはトリヒドロカルビル置換、トリヒドロカルビルシリル置換またはトリヒドロカルビルゲルミル置換半金属基であり、R2は独立してR1と同じであり、xは2または3であり、yは0または1でありそしてXとyの合計は3である]で表される化合物およびこれらの混合物である。適切なヒドロカルビル部分の例は、ヒドロカルビル部分中に炭素原子を1から20個有するヒドロカルビル部分、例えばアルキル、アリール、アルカリールまたはアラルキルなどである。好適な基にはメチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、n−、s−もしくはt−ブチル、フェニルおよびベンジルが含まれる。好適には、アルミニウム成分を、アルモキサンおよび式AlR1 x[式中、R1は、各場合とも独立して、水素化物、または炭素原子を1から20個有するヒドロカルビル基であり、そしてxは3である]で表されるアルミニウム化合物から成る群から選択する。適切なトリヒドロカルビルアルミニウム化合物は、各アルキルもしくはアリール基が炭素原子を1から10個有するトリアルキルまたはトリアリールアルミニウム化合物またはそれらの混合物、好適にはトリアルキルアルミニウム化合物、例えばトリメチル、トリエチル、トリ−イソブチルアルミニウムなどである。
アルモキサン類(アルミノキサン類とも呼ぶ)は、アルミニウム原子と酸素原子を交互に有する鎖を含むオリゴマー状もしくはポリマー状アルミニウムオキシ化合物であり、それによって、このアルミニウムは置換基、好適にはアルキル基を有する。アルモキサンの構造は下記の一般式、即ち環状アルモキサンの場合(−Al(R)−O)mおよび線状化合物の場合R2Al−O(−Al(R)−O)m−AlR2で表されると考えられ、ここで、Rは、各場合とも独立して、C1−C10ヒドロカルビル、好適にはアルキル、またはハロゲン化物であり、そしてmは、1から50の範囲の整数、好適には少なくとも4である。アルモキサン類は、典型的には、水とアルミニウムアルキル(これはアルキル基に加えてハロゲン化物またはアルコキサイド基を含み得る)の反応生成物である。異なる数種のアルミニウムアルキル化合物、例えばトリメチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムなどと水を反応させると、いわゆる改質もしくは混合アルモキサン類が生じる。好適なアルモキサン類は、メチルアルモキサン、およびメチルアルモキサンに他の低級アルキル基、例えばイソブチルなどを少量用いて改質を受けさせたアルモキサンである。アルモキサン類は一般に出発アルミニウムアルキル化合物を少量から実質的量で含有する。
このアルモキサンを調製する方法は決定的でない。水とアルミニウムアルキルを反応させることで調製を行う場合、アルミニウムアルキルを種々の形態の水、例えば液状、蒸気または固体状の水、例えば結晶水の形態の水と化合させてもよい。結晶水を含有する無機塩にアルミニウムアルキル化合物を接触させることでアルモキサン型の化合物を調製する特別な技術が米国特許第4,542,199号に開示されている。特に好適な態様では、再生可能な水含有物質、例えば水和アルミナ、シリカまたは他の物質にアルミニウムアルキル化合物を接触させる。これはヨーロッパ特許出願公開第338,044号に開示されている。
この態様に従う支持触媒では、一般的にはこれに支持体材料を含めて、この支持体材料を該有機金属化合物と化合させるか或はそれで処理することで、有機金属化合物を支持体材料1g当たり少なくとも0.1ミクロモル、典型的には支持体材料1g当たり少なくとも5ミクロモル含有させ、有利には支持体材料1g当たりの金属原子グラムで表して金属、好適にはアルミニウムを少なくとも0.5重量%含有させる。この金属量を好適には少なくとも2重量%にし、そして一般的には40重量%以下、より好適には30重量%以下にする。この金属量をあまりにも高くすると、その支持触媒が高価になってしまう。その量があまりにも少ないと、触媒の効率が低下して満足されるレベル以下になってしまう。
この支持触媒に、好適には、(a)支持体材料とアルモキサンを含む処理支持体材料を含めるが、ここでは、トルエンを処理前の支持体材料1g当たり10μL用いて90℃のトルエンで1時間抽出した時に抽出され得るアルミニウムの量が該処理支持体材料中に存在するアルミニウムの約10パーセント以下になるようにする。より好適には、抽出され得るアルミニウムの量が上記支持触媒成分内に存在するアルミニウムの9パーセント以下、最も好適には8パーセント以下になるようにする。このようにすると、上記支持触媒を固定されなかったアルモキサンをその支持体材料から抽出する能力を有する希釈剤または溶媒が用いられる重合過程で用いる時に特に有利である。この抽出され得る量をこの上に示したレベルより低くすると、重合溶媒または希釈剤(もし用いる場合)の中に拡散する可能性のあるアルモキサン量が非常に低くなる結果として、支持体材料上で生じるポリマーに比較して希釈剤中で生じるポリマーが検出可能な量で存在しなくなることを見い出した。希釈剤中で生じるポリマーがあまりにも多いと、そのポリマーのかさ密度が許容されるレベル以下にまで低下し、かつ反応槽が汚れると言った問題が起こる可能性がある。
上記トルエン抽出試験を下記の如く実施する。10mLのトルエンにアルミニウム含有量が既知の支持触媒成分または支持触媒を約1g入れた後、この混合物を不活性雰囲気下で90℃に加熱する。この懸濁液を上記温度で1時間充分に撹拌する。次に、濾過段階の補助で減圧をかけて上記懸濁液を濾過する。この固体を固体1グラム当たり約3から5mLのトルエン(90℃)で2回洗浄する。次に、この固体を120℃で1時間乾燥させた後、この固体のアルミニウム含有量を測定する。初期アルミニウム含有量と抽出後のアルミニウム含有量の間の差を初期アルミニウム含有量で割った値に100%を掛けることにより、抽出され得るアルミニウム量を得る。
アルミニウム含有量は、10mLのヘキサンに支持触媒成分または支持触媒を約0.5g入れてスラリー状にすることを通して測定可能である。このスラリーを10から15mLの6N硫酸で処理した後、EDTAを既知過剰量で添加する。次に、過剰量のEDTAを塩化亜鉛で逆滴定する。
如何なる理論でも範囲が制限されることを望むものでないが、この態様に従う活性化剤化合物は活性水素含有置換基を通して有機金属化合物と反応すると考えている。有機金属化合物の基R1と活性化剤化合物の活性水素部分が化合して中性有機化合物、例えばアルカンまたは水素ガスなどを放出することでその金属原子と活性化剤化合物残基の化学的連成が起こると考えている。従って、上記支持体材料を上記有機金属化合物でか或は有機金属化合物と活性化剤化合物の付加体で処理するとその活性化剤が支持体材料に化学的に付着すると考えている。該遷移金属化合物を添加すると向上した特性を示す支持触媒が生じる。
本発明で用いるに有用な活性化剤化合物は、活性水素部分を含む置換基を少なくとも1つ有していて100個以下、好適には50個以下の非水素原子を有する適合性アニオンを含有するものである。活性水素部分を含む好適な置換基は、式(XVII):
q(T−H)r (XVII)
[式中、Gは、多価炭化水素基であり、TはO、S、NRまたはPRであり、ここで、Rはヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルミル基または水素であり、qは0または1、好適には1であり、そしてrは1から3の整数、好適には1である]
に相当する。多価炭化水素基Gの原子価はr+1であり、ここで、原子価1は、該適合性アニオン内に存在する元素周期律表の5−15族金属または半金属と一緒になり、そしてこのGの他の原子価または原子価類はr個の基T−Hと結び付く。Gの好適な例には二価の炭化水素基、例えば炭素原子を1から20個、より好適には炭素原子を2から12個有するアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはアルカリーレン基などが含まれる。適切なGの例にはフェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、フェニルメチレン(−C64−CH2−)などが含まれる。この多価ヒドロカルビル部分Gは、更に、該活性水素部分の連成機能を干渉しない基で置換されていてもよい。このような非干渉置換基の好適な例はアルキル、アリール、アルキル置換もしくはアリール置換シリルおよびゲルミル基、およびフルオロ置換基である。
このように、上記式中の基T−Hは、−OH、−SH、−NRH、または−PRH基であってもよく、ここで好適には、RはC1-18、好適にはC1-10ヒドロカルビル基または水素であり、そしてHは水素である。好適なR基は、炭素原子を1から18個、より好適には炭素原子を1から12個有するアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリールである。この−OH、−SH、−NRH、または−PRH基は、より大きな官能基、例えばC(O)−OH、C(S)−SH、C(O)−NRH、およびC(O)−PRHなどの一部であってもよい。最も好適には、この基T−Hはヒドロキシ基−OHまたはアミノ基−NRHである。
活性水素部分を含む非常に好適な置換基Gq(T−H)rには、ヒドロキシ置換およびアミノ置換アリール、アラルキル、アルカリールまたはアルキル基が含まれ、最も好適なものは、ヒドロキシフェニル類、特に3−および4−ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシトリル、ヒドロキシベンジル(ヒドロキシメチルフェニル)、ヒドロキシビフェニル、ヒドロキシナフチル、ヒドロキシシクロヘキシル、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシプロピル、並びにアミノで置換されている相当する基、特に−NRHで置換されている基であり、ここで、Rは、炭素原子を1から10個有するアルキルまたはアリール基、例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−、i−もしくはt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシル、フェニル、ベンジル、トリル、キシリル、ナフチルおよびビフェニルなどである。
活性水素部分を含む置換基を有する適合性アニオンは、更に、5−15族の元素を1つまたは5−15族の元素を複数含んでいてもよいが、好適には、電荷を持つ金属または半金属コアを含む単一の配位錯体であり、このアニオンはかさ高い。適合性アニオンは、具体的には、本発明の触媒系で電荷均衡アニオン(chargebalancing anion)としで機能した時にそれのアニオン置換基またはフラグメントが該遷移金属カチオンに転移することで中性の遷移金属化合物および中性の金属副生成物が生じることのないアニオンを指す。「適合性アニオン」は、最初に生じさせた錯体を分解させた時に劣化して中性にならずそしてその後に行う望まれる重合を干渉することのないアニオンである。
好適なアニオン類は、活性水素部分を含む置換基を有する電荷を持った金属または半金属コアを含む配位錯体を1個含有するアニオン類であり、このアニオンは比較的大きく(かさ高く)、該活性化剤化合物と遷移金属化合物が化合した時に生じる活性触媒種(遷移金属カチオン)を安定にする能力を有し、そして上記アニオンは、オレフィン系、ジオレフィン系およびアセチレン系不飽和化合物または他の中性ルイス塩基、例えばエーテル、ニトリルで置換されるに充分なほど不安定である。活性化剤化合物のアニオンに適切な金属には、これらに限定するものでないが、アルミニウム、金、白金が含まれる。適切な半金属には、これらに限定するものでないが、ホウ素、燐、ケイ素が含まれる。活性水素部分を含む置換基とホウ素原子を1個含有する配位錯体を含むアニオンを含有する活性化剤化合物が好適である。
活性水素部分を含む置換基を有する適合性アニオンは、好適には、下記の一般式(XVIII):
Figure 2007308718
[式中、M’は、元素周期律表の5−15族から選択される金属または半金属であり、Qは、各場合とも独立して、水素化物、ジヒドロカルビルアミド、好適にはジアルキルアミド、ハロゲン化物、ヒドロカルビルオキサイド、好適にはアルコキサイドおよびアリールオキサイド、ヒドロカルビル、およびハロ置換ヒドロカルビル基を含む置換ヒドロカルビル基、並びにヒドロカルビル置換およびハロヒドロカルビル置換有機半金属基から成る群から選択され、ここで、このヒドロカルビル部分の炭素数は1から20であるが、但しQがハロゲン化物であるのは1回以下であることを条件とし、Gは、M’とTに結合していてr+1の原子価を有する多価、好適には二価の炭化水素基であり、Tは、O、S、NRまたはPRであり、ここで、Rは炭化水素基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルミル基または水素であり、mは、1から7の整数、好適には3であり、nは、0から7の整数、好適には3であり、qは、0または1の整数、好適には1であり、rは、1から3の整数、好適には1であり、zは、1から8の整数、好適には1であり、dは、1から7の整数、好適には1であり、そしてn+z−m=dである]
で表示可能である。
本発明で用いるに特に有用で好適なホウ素含有アニオン類は、下記の一般式(XIX):
Figure 2007308718
[式中、Bは、原子価状態が3のホウ素であり、z’は、1−4の整数、好適には1であり、dは、1であり、そしてQ、G、T、H、qおよびrは、式(XVIII)で定義した通りである]
で表示可能である。好適には、z’は1であり、qは1であり、そしてrは1である。
本発明で用いる活性化剤化合物のアニオンの説明的非制限的例は、ホウ素含有アニオン類、例えばトリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−(3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレートである。非常に好適な活性化剤錯体はトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレートである。活性化剤化合物の他の好適なアニオン類は、ヒドロキシル官能性をアミノNHR官能性に置き換えた上記ボレート類であり、ここで、Rは好適にはメチル、エチルまたはt−ブチルである。
適合性アニオン(b−2)と一緒に用いる活性化剤化合物のカチオン部分(b−1)は、該遷移金属化合物と反応して触媒活性遷移金属錯体、特にカチオン遷移金属錯体を形成する能力を有する如何なるカチオンであってもよい。中性の活性化剤化合物を与えるような比率で上記カチオン類(b−1)とアニオン類(b−2)を用いる。このカチオンを好適にはブレンステッド酸カチオン類、カルボニウムカチオン類、シリリウムカチオン類およびカチオン酸化剤から成る群から選択する。
ブレンステッド酸カチオンは下記の一般式:
(L−H)+
[式中、Lは、中性のルイス塩基、好適には窒素、燐または硫黄を含有するルイス塩基であり、そして(L−H)+はブレンステッド酸である]
で表示可能である。このブレンステッド酸カチオンは、上記カチオンのプロトンが転移することを通して該遷移金属化合物と反応すると考えており、このプロトンは該遷移金属化合物上の配位子の1つと化合して中性化合物を放出する。
本発明で用いる活性化剤化合物のブレンステッド酸カチオンの説明的非制限的例は、トリアルキル置換アンモニウムカチオン、例えばトリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウムおよびトリ(n−オクチル)アンモニウムなどである。また適切なものは、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、例えばN,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウムなど、ジアルキルアンモニウムカチオン、例えばジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクヘキシルアンモニウムなど、およびトリアリールホスホニウムカチオン、例えばトリフェニルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスホニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウム、ジメチルスルホニウム、ジエチルスルホニウムおよびジフェニルスルホニウムなどである。
2番目の種類の適切なカチオン類は式:
Figure 2007308718
[式中、
Figure 2007308718
は、30個以下の非水素原子を有する安定なカルボニウムまたはシリリウムイオンである]に相当し、ここで、このカチオンは、該遷移金属化合物の置換基と反応してこれを触媒活性遷移金属錯体、特にカチオン遷移金属錯体に変化させる能力を有する。このカチオン類の適切な例にはトロピリウム(tropyllium)、トリフェニルメチリウム、ベンゼン(ジアゾニウム)が含まれる。シリリウム塩は以前にJ.Chem.Soc.Chem.Comm.、1993、383−384に加えてLambert,J.B.他、Organometallics、1994、13、2430−2443の中で一般的に記述された。好適なシリリウムカチオン類はトリエチルシリリウムおよびトリメチルシリリウム、並びにそれらのエーテル置換付加体である。
別の種類の適切なカチオンには、式:Oxe+で表されるカチオン酸化剤が含まれ、ここで、Oxe+は、電荷がe+のカチオン酸化剤であり、そしてeは1から3の整数である。
カチオン酸化剤の例にはフェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag+およびPb2+が含まれる。
この支持触媒成分および支持触媒内の活性化剤化合物量は決定的でなく、典型的には処理支持体材料1グラム当たり0.1、好適には1から2,000ミクロモルの活性化剤化合物から成る範囲である。好適には、この支持触媒もしくは成分に活性化剤化合物を処理支持体材料1グラム当たり10から1,000ミクロモル含有させる。
この支持触媒では、活性化剤化合物(b)のモルと化合物(c)中の遷移金属のグラム原子の比率を、一般に0.05:1から100:1、好適には0.5:1から20:1、最も好適には1:1から5:1の活性化剤化合物(モル)対遷移金属(遷移金属化合物内の)(グラム原子)にする。この比率があまりにも低いと、支持触媒があまり活性を示さなくなる一方、この比率があまりにも高いと、活性化剤化合物を多量に用いることに関連してコストが比較的高くなることが原因で、そのような触媒はあまり経済的でなくなる。
この態様に従う支持触媒は、該支持体材料と有機金属化合物と活性化剤化合物を一緒にすることで製造可能である。この添加順は決定でない。該有機金属化合物を最初に該支持体材料または活性化剤化合物と一緒にした後、該活性化剤化合物または支持体材料を添加してもよい。好適な1つの態様は、該支持体材料を最初に適切な溶媒、例えば炭化水素溶媒中で有機金属化合物と一緒にすることでこの支持体材料を該有機金属化合物で処理することを含む。この処理を行う温度、圧力および接触時間は決定的でなく、一般に多様であり、大気圧以下の圧力から10バール、より好適には大気圧下、−20℃から150℃で5分間から48時間である。通常、このスラリーを撹拌する。この処理を行った後典型的にはその固体を溶媒から分離する。その後、本技術分野で知られている技術を用いて、いくらか過剰量の有機金属化合物を除去してもよい。このような方法は、金属充填率が比較的低い支持体材料を得るに特に適切である。
好適な態様に従い、該支持体材料に最初に100℃から1000℃、好適には200℃から850℃の熱処理を受けさせる。この処理を典型的には10分から72時間、好適には0.5時間から24時間実施する。次に、この熱処理を受けさせた支持体材料と該有機金属化合物、好適にはAlR’3[ここで、R’は本明細書の上で定義した意味を有する]を適切な希釈剤または溶媒、好適には該有機金属化合物が溶解する希釈剤または溶媒の中で一緒にする。典型的な溶媒は、炭素原子を5から12個有する炭化水素溶媒、好適には芳香族溶媒、例えばトルエンおよびキシレン類など、或は炭素原子を6から10個有する脂肪族溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンおよびこれらの異性体など、炭素原子を6から12個有する環状脂肪族溶媒、例えばシクロヘキサンなどか、或は上記いずれかの混合物である。
該支持体材料と該有機金属化合物を−20℃から150℃、好適には20℃から100℃の温度で一緒にする。この接触時間は決定的でなく、5分から72時間に及んで多様であり得るが、好適には0.5時間から36時間である。好適には撹拌を行う。次に、このようにして処理した支持体材料を好適には該活性化剤化合物と接触させる。
この支持体材料に付着したアルモキサン充填物を得るに適切な代替支持体材料処理は、下記の段階AおよびBの一方または両方を伴う:A.アルモキサンを含有させた支持体材料をこのアルモキサンが支持体材料に固定されるに充分な温度で充分な時間不活性雰囲気下で加熱する;
B. アルモキサンを含有させた支持体材料に洗浄段階を1回以上受けさせることでこの支持体材料に固定されなかったアルモキサンを除去しそれによって、トルエンを支持触媒成分1g当たり約10mL用いて90℃のトルエンで1時間抽出した時に抽出され得るアルミニウムの量が処理支持体材料内に存在するアルミニウムの10パーセント以下の処理支持体材料が生じるように、加熱段階Aと洗浄段階Bの条件を選択する。最初に加熱段階Aを行った後任意に洗浄段階Bを用いることにより、アルモキサンが該支持体材料に多い量で付着したものが得られる。
この方法では、水を支持体材料と水の全重量を基準にしてゼロから20重量パーセント以下、好適には水をゼロから6重量パーセント以下の量で含有する支持体材料とアルモキサンを希釈剤中で一緒にすることを通して、アルモキサンで処理された支持体材料を得ることができる。このアルモキサンを望ましくは溶解形態で用いる。
別法として、水を支持体材料と水の全重量を基準にして0.5から50重量パーセント、好適には水を1から20重量パーセント含有する支持体材料と式R”n*AlX”3-n*[式中、R”は、各場合とも独立して、ヒドロカルビル基であり、X”は、ハロゲンまたはヒドロカルビルオキシであり、そしてn*は、1から3の整数である]で表される化合物を希釈剤中で一緒にすることを通して、アルモキサンで前処理された支持体材料を得ることができる。好適には、n*は3である。R”は、各場合とも独立して、好適にはアルキル基、有利には炭素原子を1から12個有するアルキル基である。好適なアルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびシクロヘキシルである。式R”n*AlX”3-n*で表される非常に好適な化合物はトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムおよびトリ−イソブチルアルミニウムである。この式R”n*AlX”3-n*で表される化合物と水を反応させてアルモキサンをインサイチューで生じさせる場合には、R”n*AlX”3-n*と水のモル比を典型的には10:1から1:1、好適には5:1から1:1にする。
好適には溶媒、最も好適には炭化水素溶媒に溶解させたアルモキサンまたは式R”n*AlX”3-n*で表される化合物に該支持体材料を加えるか、或はこのアルモキサンまたは式R”n*AlX”3-n*で表される化合物が入っている溶液を該支持体材料に加える。この支持体材料は乾燥形態でそのままか或は炭化水素希釈剤中のスラリーとして使用可能である。脂肪族および芳香族両方の炭化水素を用いることができる。適切な脂肪族炭化水素には、例えばペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよび上記希釈剤の2種以上から成る組み合わせが含まれる。芳香族希釈剤の好適な例はベンゼン、トルエン、キシレンおよび他のアルキルもしくはハロゲン置換芳香族化合物である。最も好適には、この希釈剤は芳香族炭化水素、特にトルエンである。この炭化水素媒体中の適切な固体状支持体濃度は、0.1から15、好適には0.5から10、より好適には1から7重量パーセントの範囲である。この接触時間および温度は決定的でない。この温度は、好適には0℃から60℃、より好適には10℃から40℃である。この接触時間は15分から40時間、好適には1から20時間である。
好適には、このアルモキサン処理支持体材料に上記加熱段階または洗浄段階を受けさせる前にその希釈剤または溶媒を除去することにより、自由流れする粉末を得る。これを、好適には、その液体のみが除去されて該アルミニウム化合物が該固体上に残る技術を適用することで行い、例えば熱をかけるか、減圧をかけるか、蒸発させるか或はこれらの組み合わせを用いて行う。望まれるならば、希釈剤の除去と加熱段階を組み合わせてもよいが、その希釈剤の除去が徐々に起こるようにする注意を払わなければならない。
上記加熱段階および/または洗浄段階を、該支持体材料上に残存するアルモキサンが非常に高い比率(約90重量パーセント以上)で固定されるような様式で実施する。好適には加熱段階を用いるが、より好適には加熱段階に続いて洗浄段階を用いる。この好適な組み合わせで両方の段階を用いる場合、この両者は、加熱段階でアルモキサンが支持体材料に固定される一方その固定されなかったアルモキサンが洗浄段階で実質的な度合で除去されるように協力して働く。この熱処理温度の上限を、好適には、該支持体材料が凝集して再分散するのが困難な塊が生じ始める温度より低くし、かつアルモキサンの分解温度より低くする。この熱処理を行う前に遷移金属化合物c)を添加する場合、この加熱温度は、その遷移金属化合物の分解温度より低くなければならない。この熱処理を好適には90℃から250℃の温度で15分から24時間実施する。この熱処理をより好適には160℃から200℃の温度で30分から4時間実施する。加熱を100℃で8時間行った時ばかりでなく加熱を175℃で2時間行った時に良好な結果を得た。本分野の技術者は予備実験を用いて所望結果が得られるであろう熱処理条件を限定することができるであろう。また、熱処理時間を長くすればするほど支持体材料に固定されるアルモキサンの量が高くなるであろうことを特記する。この熱処理を減圧下または不活性雰囲気、例えば窒素ガス下か或は両方で実施し、好適には減圧下で実施する。この熱処理段階における条件に応じて、洗浄段階をなくしてもよいような高い度合にまでアルモキサンが支持体材料に固定され得る。
洗浄段階では、固定されなかったアルモキサンが充分な量で除去されるような量で溶媒を用いた洗浄を充分な回数行う。洗浄条件は、固定されなかったアルモキサンが洗浄用溶媒に溶解するような条件でなければならない。アルモキサンを含有する支持体材料(好適には既に熱処理を受けさせた)に、好適には、0℃から110℃の温度の芳香族炭化水素溶媒を用いた洗浄段階を1から5回受けさせる。より好適には、この温度を20℃から100℃にする。芳香族溶媒の好適な例にはトルエン、ベンゼンおよびキシレン類が含まれる。より好適には、この芳香族炭化水素溶媒はトルエンである。この洗浄処理が終了した時点で、またその溶媒に溶解しているアルモキサンも除去する技術、例えば濾過またはデカンテーションなどでその溶媒を除去する。好適には、この洗浄用溶媒を除去することで、自由流れする粉末を得る。
次に、典型的には、この有機金属化合物で処理した支持体材料を適切な希釈剤の中に入れて再びスラリー状にした後、該活性化剤化合物と一緒にする。この活性化剤化合物を好適には希釈剤に入れて用いる。適切な希釈剤には炭化水素およびハロゲン置換炭化水素希釈剤が含まれる。触媒特性に否定的な影響を与えるような様式では触媒成分と反応しない如何なる種類の溶媒も希釈剤も使用可能である。好適な希釈剤は、芳香族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼンおよびキシレン類など、および脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサンなどである。好適なハロゲン置換炭化水素には塩化メチレンおよび四塩化炭素が含まれる。この温度は決定的でなく、一般に多様であり、−20℃から上記活性化剤の分解温度の範囲である。典型的な接触時間は多様であり、数分から数日間である。この反応混合物を撹拌するのが好適である。望まれるならば溶解の補助で有利には熱を用い、この活性化剤を溶解させる。この有機金属処理支持体材料と活性化剤化合物の接触を高温で実施するのが望ましい可能性がある。このような高温は、好適には45℃から120℃である。
最初に該支持体材料を有機金属化合物、好適にはアルミニウム成分で処理しそしてその後に活性化剤化合物を添加する代わりに、この有機金属化合物、好適にはアルミニウム成分と活性化剤化合物を適切な希釈剤中で一緒にした後にこの反応混合物を該支持体材料に添加するか或はそれと一緒にしてもよい。
如何なる理論でも範囲が制限されることを望むものでないが、活性化剤アニオン(b−2)に含まれる活性水素部分と有機金属化合物の有機基が反応して反応もしくは接触生成物(本明細書では以後「付加体」とも呼ぶ)が生じると考えている。例えば、この有機金属化合物がトリアルキルアルミニウムAlR3でありそして活性水素含有部分がG−OHで表される場合、その反応生成物はG−O−AlR2を含む一方更にアルカン副生成物RHが生じると考えている。この付加体G−O−AlR2を、ヒドロキシル基(シリカ支持体材料の場合Si−OH)を有する支持体材料と一緒にすると、副生成物としてアルカンRHが生じると共にSi−O−Al(R)−O−Gが生成すると考えている。このような支持触媒成分調製方法は非常に滑らかに進行しそして望ましい特性を有する触媒および触媒前駆体または成分が生じることを見い出した。この反応で用いる有機金属化合物(モル)と、活性化剤アニオン(b−2)に含まれる活性水素部分(モル当量)の典型的な比率は、1:1から20:1である。
この支持体材料と一緒にすべき、該活性化剤化合物と有機金属化合物を一緒にすることで生じさせた付加体の量は、決定的でない。この量を、好適には、該支持体材料に固定され得る量より高くしない。典型的には、これは支持体材料のヒドロキシル量で決定される。この用いる付加体の量を、好適には上記ヒドロキシル基の当量以下にする。好適には当量より低い量で用い、より好適には、表面の反応性基、例えばヒドロキシル(モル)に対する付加体(モル)の比率を0.01から1の範囲、更により好適には0.02から0.8の範囲にする。特に、表面の反応性基を基準にして付加体を当量未満の量で添加する場合には、該遷移金属化合物を添加する前に支持体材料と付加体の反応生成物に有機金属化合物を追加的量で添加することでいくらか残存する表面反応性基を除去するのが好適であり、もしそのようにしないとその反応性基が該遷移金属と反応する可能性かあり、従って、等しい触媒活性の達成で該遷移金属をより多い量で用いる必要があり得る。いくらか過剰量の付加体または有機金属化合物を除去することが望まれている場合、この支持触媒成分と遷移金属化合物を一緒にする前にこの支持触媒成分を洗浄してもよい。
好適には濾過または蒸発技術を用いてその液状媒体を除去することを通して支持体材料と有機金属化合物と活性化剤を含む支持触媒成分を単離することで、自由流れする粉末を得ることができる。
この活性化剤化合物またはそれの付加体と支持体材料を一緒にする前にこの遷移金属化合物と活性化剤化合物を一緒にするか或はこの遷移金属化合物の付加体と活性化剤化合物を一緒にしてもよいが、これを行うと、結果として触媒効率が低下する。好適には、該活性化剤化合物を添加する前に該有機金属成分で処理した支持体材料を最初に該遷移金属と一緒にするか、或はその処理した支持体材料と活性化剤を一緒にした後か或は活性化剤付加体と支持体材料を一緒にした後に該遷移金属化合物を添加する。最も好適には、該有機金属化合物と活性化剤化合物で処理した支持体材料の反応生成物に遷移金属化合物(c)を添加するか、或は該活性化剤の付加体と支持体材料を一緒にした後に遷移金属化合物(c)を添加する。
この遷移金属化合物を好適には適切な溶媒、例えば炭化水素溶媒、有利にはC5-10脂肪族もしくは環状脂肪族炭化水素またはC6-10芳香族炭化水素に溶解させて用いる。この接触時間は決定的でないが、但しこの温度が上記遷移金属または活性化剤の分解温度以下であることを条件とする。温度を0℃から100℃の範囲にすると良好な結果が得られる。本方法では、酸素または水分を存在させないで全段階を実施すべきである。
この遷移金属化合物と支持触媒成分を一緒にすると典型的にその上澄み液が無色になり、このことは、上記遷移金属化合物(これの溶液は典型的に着色している)と上記固体状支持触媒が実質的に一緒に残存することを示している。
好適な代替態様に従い、この固体状(または支持)触媒に、 支持体材料とアルモキサンを含む支持触媒成分であって、トルエンを支持触媒成分1g当たり10ml用いて90℃のトルエンで1時間抽出した時に抽出され得るアルミニウムの量が該支持触媒成分内に存在するアルミニウムの10パーセント以下である支持触媒成分、および遷移金属化合物、を含める。
この態様に従う上記固体状触媒は、活性化剤化合物(b)[これは、(b−1)遷移金属化合物と反応して触媒活性遷移金属錯体を形成する能力を有するカチオンと、(b−2)活性水素部分を含む置換基を少なくとも1つ有する非水素原子数が100以下の適合性アニオンを含む]の存在なしに使用可能である。
この代替態様に従い、この支持触媒中の遷移金属原子に対するアルミニウム原子(アルモキサン成分由来)のモル比を一般に1から5000、好適には25から1000、最も好適には50から500にする。
本発明の支持触媒中の遷移金属化合物の量は決定的でなく、典型的には支持体材料1グラム当たり0.1から1000ミクロモルの遷移金属化合物から成る範囲である。好適には、この支持触媒に遷移金属化合物を支持体材料1グラム当たり1から250ミクロモル含有させる。
この態様に従う支持触媒は、上で考察したように、アルモキサン含有支持体材料をこの支持体材料にアルモキサンを固定させるに充分な温度で充分な時間不活性雰囲気下で加熱および/または洗浄することで入手可能である。
本方法では、固体状触媒を触媒毒、例えば水、酸素および極性化合物などから保護する働きをする不純物捕捉剤と一緒にこの固体状触媒を用いるのが有利であり得る。この目的に好適な化合物には、下記の式:RnAlX3-n[式中、RはC1−C20ヒドロカルビル基であり、Xはハロゲン原子またはC1−C20ヒドロカルビルオキシ基であり、そしてnは1−3から選択される正の整数である]
で表される有機アルミニウム化合物か、或は下記の式:
Figure 2007308718
[式中、RはC1−C20ヒドロカルビル基であり、そしてnは5−50から選択される正の整数である]
で表される有機アルミニウムオキシ化合物が含まれる。
この有機アルミニウム化合物または有機アルミニウムオキシ化合物を用いた処理を行うと、上記固体状触媒系に存在する不純物、例えば水、酸素などに対してこの固体状触媒系が示す抵抗力が改良される可能性があり、この固体状触媒系を長期に渡って貯蔵することが可能になる。
上記処理では、上記有機アルミニウム化合物または有機アルミニウムオキシ化合物を、上記固体状触媒系に含まれる遷移金属化合物1モルに対して、アルミニウムに換算して好適には0.1から100モルの量、より好適には1から30モルの量で用いる。好適には、上記有機アルミニウムオキシ化合物を上記固体状触媒から上記遷移金属化合物が脱離する原因となり得るような量で用いるべきでないことを特記する。
本発明の方法で用いる固体状触媒系は、不活性な炭化水素溶媒に入れたスラリーの形態で貯蔵可能であるか、或はこれを乾燥させることで固体状形態で貯蔵可能である。
この固体状触媒系を用いて共重合反応を実施して本発明のエチレンコポリマーを製造する時、その生じるエチレンコポリマーの中に重合参与体(例えば水素、エチレンおよび少なくとも1種のコモノマー)の各々が独立して拡散することで反応速度が制限されるような条件下で共重合反応を実施することが重要である。
この目的で、この固体状触媒系の回りで生じるエチレンコポリマーが溶解することも反応系に溶解することもないような条件下で共重合反応を実施すべきである。
上述した重合反応条件を現実化する目的で、この共重合反応をスラリー重合で実施する。
反応条件を適切に調節する限り、上述した反応条件下でスラリー重合を実施すると、この固体状触媒系の回りで生じたエチレンコポリマーは重合反応の間溶融も溶解も起こさず、反応を行っている間、粉末形態のままであり(この粉末形態は、上述した特定の触媒系を用いることで達成される)、その結果として、重合反応が拡散律速で進行し得るようにする(生じたコポリマーは反応混合物内で溶融すべきでなく、固体状態のままである)と言った上記要求の1つが満たされ得る。
共重合反応をスラリー重合で実施する時、重合圧力を一般に1から100気圧、好適には3から30気圧にし、そして重合温度を一般に20から115℃、好適には50から105℃にする。しかしながら、この重合温度の上限は、生じるエチレンコポリマーが実質的に粉末の状態のままであり得るような温度の中で最大の温度である。このような最大温度は、生じさせるエチレンコポリマーの密度および使用する溶媒の種類に応じて変化する。
スラリー重合で用いる溶媒としては、上記固体状触媒系の製造に関連して上述した不活性溶媒を適切に用いることができる。特に、イソブタン、イソペンタン、ヘプタン、ヘキサンおよびオクタンが好適である。
上述したように、本発明では、生じるエチレンコポリマーが重合反応の間粉末状態に維持されなければならないことが重要である。従って、重合温度の上限が極めて重要である。
本発明の方法では、上述したように、エチレンを少なくとも1種のコモノマーと一緒に共重合させる。この重合で用いるに適した典型的な反応槽にはスラリー用ループ型反応槽またはオートクレーブが含まれ得る。
上述したように、本発明の方法で用いる少なくとも1種のコモノマーを、式H2C=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC1−C20アルキル基またはC6−C20アリール基である]で表される化合物および線状、分枝または環状のC4−C20ジエンを含む群から選択する。式H2C=CHRで表される化合物の説明的例には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキセンおよびスチレンが含まれる。線状、分枝および環状のC4−C20ジエン類の説明的例には、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエンおよびシクロヘキサジエンが含まれる。これらの中でプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンが特に好適である。
このエチレンコポリマーの製造では、ドイツ特許第3127133.2号に記述されているように、反応系に入れる水素含有量を変えるか或は重合温度を変えることで、生じるエチレンコポリマーの分子量を調節することができる。
本発明では、この固体状触媒系に、上述した成分に加えて、エチレンの共重合で用いるに有用であることが知られている種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明では、上記固体状触媒系に、上述した成分に加えて、エチレンの共重合で用いるに有用であることが知られているいろいろな添加剤を含めてもよい。
本発明はまたブレンド組成物にも関し、この組成物に、上記新規エチレンコポリマーと、a)異なる分子量または密度を有する本発明の2番目のエチレンコポリマー、またはb)狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマー、c)広い組成分布を示す不均一エチレン/α−オレフィンインターポリマー、またはd)ホモポリマー(本発明のエチレンコポリマーの製造で用いた触媒成分とは別の触媒成分を用いて生じさせた)、またはe)a)、b)、c)またはd)のいずれか2つ以上の組み合わせ、を含める。
第二成分(成分II)を伴う本発明の上記ブレンド組成物全部で本エチレンコポリマーを第一成分(成分I)として用いる時、このエチレンコポリマーに下記の特性を持たせる。
本発明のブレンド組成物に組み込む第一エチレンコポリマーの量は、成分IとIIを一緒にした重量を基準にして1から99、好適には10から90、より好適には25から75、最も好適には35から65重量パーセントである。
一般的には、本発明のブレンド組成物に組み込む第一エチレンコポリマーの密度は一般に0.870から0.980、好適には0.890から0.965、より好適には0.915から0.955g/cm3である。
本発明のブレンド組成物に組み込む第一エチレンコポリマーの場合のメルトインデックス(I2)は、一般に0.0001から10000、好適には0.001から5000、より好適には0.01から3000g/10分である。
本発明のブレンド組成物に組み込む第一エチレンコポリマーのI21.6/I2比は15から65、好適には18から55、より好適には20から50であるか、或はそれのI10/I2比は5から30、好適には5から28、より好適には5.5から25である。
本発明のブレンド組成物に組み込む第一エチレンコポリマーのMw/Mn比は、2.5から10、好適には2.8から8、より好適には3から7である。
本エチレンコポリマーを異なる分子量または密度を有する本発明の2番目のエチレンコポリマーと一緒に含めたブレンド組成物が本発明の別の面である。本発明の方法を本質的にエチレンコポリマーの製造に適用する限り、本方法を用いて各々が優れたESCR特性といろいろなコモノマー含有量を有する本発明の異なる1種以上のエチレンコポリマー類を個別に製造してそれらをニーダーでブレンドする方法(本明細書では以降しばしば「ブレンディングアンドニーディング方法」と呼ぶ)、そして異なるコモノマー含有量を有する2種以上の異なるエチレンコポリマー成分から成る混合物を含むエチレンコポリマーを多段階重合で製造するか或は本発明で用いるいろいろな種類の触媒を複数用いて製造する方法のいずれも非常に有利に利用可能である。更に、いろいろなコモノマー含有量を有する2種以上の異なるエチレンコポリマー成分から成る混合物で構成させたエチレンコポリマーも、本発明で用いるいろいろな種類の触媒を複数用いて製造することができ、そのようなエチレンコポリマーは更に向上した耐衝撃性およびESCR特性を示し得るばかりでなく、またいろいろな特性、例えば耐衝撃性と剛性とメルトフロー特性の顕著に向上した均衡を達成することも可能である。
本発明のブレンド組成物に組み込む本発明の第二エチレンコポリマーの量は、成分IとIIを一緒にした重量を基準にして1から99、好適には10から90、より好適には25から75、最も好適には35から65重量パーセントである。
一般的には、本発明のブレンド組成物に組み込む第二エチレンコポリマーの密度は一般に0.915から0.985、好適には0.935から0.983、より好適には0.955から0.980、最も好適には0.960から0.978g/cm3である。
本発明のブレンド組成物に組み込む第二エチレンコポリマーの場合のメルトインデックス(I2)は、一般に0.0001から10000、好適には0.001から5000、より好適には0.01から3000、最も好適には10から1000g/10分である。
本発明のブレンド組成物に組み込む第二エチレンコポリマーのI21.6/I2比は5から30、好適には5.3から28、より好適には5.5から25であるか、或は本発明のブレンド組成物に組み込む第二エチレンコポリマーのI21.6/I2比は15から55、好適には18から55、より好適には20から50、最も好適には22から35である。
本発明のブレンド組成物に組み込む第二エチレンコポリマーのMw/Mn比は、2.5から10、好適には2.8から8、より好適には3から7である。
本エチレンコポリマーを狭い組成の均一インターポリマー、最も好適には実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマー類と一緒に含めたブルンド組成物が本発明の別の面である。このブレンド組成物に含める均一インターポリマー成分を本明細書では米国特許第3,645,992号(Elston)(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)の定義と同様に定義する。従って、均一インターポリマー類は、コモノマーが所定インターポリマー分子内でランダムに分布していてインターポリマー分子の実質的に全部がそのインターポリマー内で同様なエチレン/コモノマー比を有するインターポリマー類である。そのようなインターポリマー類は、不均一インターポリマー類であると知られている典型的なチーグラー触媒使用インターポリマー類(このインターポリマーの分子は同様なエチレン/コモノマー比を持たない)とは異なる。均一ポリマー類は、また、フリーラジカル触媒を用いた高圧エチレン重合(結果として高度に分枝したポリエチレンが生じる)で製造されたLDPE(長鎖分枝を数多く有することが本分野の技術者に知られている)とも異なる。
本明細書で用いる用語「狭い組成分布」は、均一インターポリマー類のコモノマー分布を記述する用語であり、これは均一インターポリマー類を示差走査熱量測定(DSC)で測定した時に溶融ピークを1つのみ示すことを意味し、本質的に「線状」ポリマー画分を測定可能量で含まない。
狭い組成分布を示す均一インターポリマー類は、また、短鎖分枝分布指数(SCBDI)(ShortChain Branch DistributionIndex)または組成分布分枝指数(CDBI)(Composition DistributionBranch Index)でも特徴付け可能であり、これを、全コモノマーモル含有量中央値の50パーセント以内に入るコモノマー含有量を有するポリマー分子の重量パーセントとして定義する。ポリマーのCDBIは、本技術分野で知られる技術で得られるデータ、例えばWild他、Journalof Polymer Science,Poly.Phys.Ed.、20巻、441頁(1982)、米国特許第4,798,081号(Hazlitt他)などに記述されているか或は米国特許第5,008,204号(Stehling)(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)などに記述されている如き例えば昇温溶出分離法(temperaturerising elution fractionation)(本明細書では「TREF」と省略する)などで得られるデータから容易に計算される。CDBIを計算する技術は米国特許第5,322,728号(Davey他)および米国特許第5,246,783号(Spenadel他)または米国特許第5,089,321号(Chum他)(これらの開示は全部引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。本発用いる狭い組成の均一エチレン/α−オレフィンインターポリマー類の場合のSCBDIまたはCDBIは、好適には50パーセント以上、特に70パーセント以上、最も好適には90パーセント以上である。
本発明の狭い組成分布を示す均一インターポリマーブレンド成分は、TREF技術で測定した時、「高密度」(またはホモポリマー)画分を本質的に測定可能量で含まない。この均一インターポリマー類およびポリマー類に含まれる、炭素1000個当たりのメチル数が2に等しいか或はそれ以下の分枝度のものは、15パーセント(重量)またはそれ以下、好適には10パーセント(重量)未満、特に5パーセント(重量)未満である。
本発明のブレンド物に含める好適な成分は実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマー類である。この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマー類を本明細書ではLai他(米国特許第5,272,236号および5,278,272号)による米国特許第5,272,236号および5,278,272号(これらに含まれる教示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)と同様に定義する。
この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマー類はまた均一なインターポリマーでもある、と言うのは、コモノマーが所定インターポリマー分子内でランダムに分布していてインターポリマー分子の実質的に全部がそのインターポリマー内で同様なエチレン/コモノマー比を有するからである。
しかしながら、この用語「実質的に線状である」エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、このポリマーがまた長鎖分枝も含むことを意味する。その触媒が拘束幾何形態(constrainedgeometry)を持つ結果として、この実質的に線状であるエチレンインターポリマー類は長鎖分枝を持つ可能性があり、LDPEと同様に、ほぼ同じI2およびMw/Mnを有する他のポリマー類に比較して大きく加工性が向上し得る[プロセシングインデックス(processingindex)(PI)、またはメルトフラクチャーが起こり始める時、またはせん断低粘化能力で測定した時]。長鎖分枝を、本明細書では、コモノマーが有する炭素の全数よりも2少ない炭素数よりも少なくとも炭素1個分長い鎖長であるとして定義し、例えばエチレン/オクテンから作られた実質的に線状であるエチレンインターポリマーの長鎖分枝の長さは少なくとも炭素7個分である[即ち、炭素8個分から炭素2個分を引くと炭素6個分であり、これに炭素1個分を足すと、長鎖分枝の長さが炭素7個分であることに等しくなる]。この長鎖分枝の長さはポリマーのバックボーンの長さとほぼ長さである可能性がある。13C核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて長鎖分枝を測定し、そしてRandallの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29(2&3)、285−297頁)(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)を用いてそれを量化する。長鎖分枝は、勿論、コモノマーが単に組み込まれた結果として生じる短鎖分枝から区別されるべきであり、このように、例えば、エチレン/オクテンから作られた実質的に線状であるポリマーが有する短鎖分枝の長さは炭素6個分である一方、この同じポリマーの長鎖分枝の長さは少なくとも炭素7個分である。
より詳細には、実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマーのポリマーバックボーンは炭素1000個当たり0.01個の長鎖分枝から炭素1000個当たり3個の長鎖分枝、より好適には炭素1000個当たり0.01個の長鎖分枝から炭素1000個当たり1個の長鎖分枝、特に炭素1000個当たり0.05個の長鎖分枝から炭素1000個当たり1個の長鎖分枝で置換されている。
本発明で用いるに有用な実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、比較的狭い分子量分布を示すにも拘らず、驚くべきほど優れた加工性を示す。この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、式:
Figure 2007308718
で定義される分子量分布Mw/Mnを示す。
更に驚くべき点は、実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマーが示すメルトフロー比(I10/I2)を多分散指数[即ち分子量分布(Mw/Mn)]から本質的に独立させて変えることができることである。このことは、多分散指数が高くなるに伴ってまたI10/I2も高くなるような流動特性を示す通常の不均一分枝線状ポリエチレン樹脂とは対照的である。
本発明の組成物で用いる実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類の場合のI10/I2比は長鎖分枝度の指示である、即ちI10/I2比が高くなればなるほど上記ポリマーに存在する長鎖分枝の数が多くなる。
「流動学的プロセシング・インデックス」(PI)は、気体押し出しレオメーター(gasextrusion rheometer)(GER)で測定した時のポリマーの見掛け粘度(kポイズで表す)である。この気体押し出しレオメーターは、「PolymerEngineering Science」、17巻、No.11、770頁(1977)の中でM.Shida、R.N.ShroffおよびL.V.Cancioが記述していると共に、VanNostrand Reinhold Co.が出版しているJohnDealy著「Rheometers for MoltenPlastics」、(1982)の97から99頁(両方の出版物とも引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。全てのGER実験を、入り口角度が180°で直径が0.0296インチでL/Dが20:1のダイスを用いて5250から500psigの窒素圧力下190℃の温度で実施する。本明細書に記述する実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類の場合のPIは、GERを用いて2.15x106ダイン/cm2の見掛けせん断応力で測定した材料の見掛け粘度(kポイズで表す)である。本明細書に記述する実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類が示すPIは、好ましくは0.01kポイズから50kポイズの範囲、好適には15kポイズ以下である。本明細書に記述する実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類が示すPIは、ほぼ同じI2とMw/Mnを有するが長鎖分枝を含まない匹敵する線状エチレン/α−オレフィンポリマーが示すPIの70パーセントに等しいか或はそれ以下である。
メルトフラクチャー現象を識別する目的で、見掛けせん断速度に対する見掛けせん断応力のプロットを用いる。Ramamurthy「Journalof Rheology」、30(2)、337から357、1986に従い、特定の臨界流量以上で観察される押出し物の不規則さは、幅広い意味で2つの主要な型に分類分け可能である、即ち表面メルトフラクチャーとグロスメルトフラクチャーに分類分け可能である。
表面メルトフラクチャーは、明らかに安定した流れ条件下で起こり、そしてその詳細な範囲は、鏡面光沢損失から、よりひどい「鮫肌」形態に至る。
本開示では、表面メルトフラクチャーが起こり始める時(OSMF)を、押出された物の光沢が失われ始める時(押出された物の表面の粗さが40Xの倍率でのみ検出可能になる時)であるとして特徴付ける。上記実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマー類の場合の表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度は、ほぼ同じI2とMw/Mnを有するが長鎖分枝を含まない線状エチレン/α−オレフィンポリマーの表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度より、少なくとも50パーセント大きく、ここで、本明細書で用いる如き「ほぼ同じ」は、各値が比較線状エチレンポリマーが有する比較値の10パーセント以内にあることを意味する。
グロスメルトフラクチャーは、不安定な流れ条件下で起こり、そしてその詳細な範囲は、規則正しい歪み(粗い部分と滑らかな部分が交互に存在すること、螺旋状であることなど)から不規則な歪みに至る。商業的受け入れに関して(例えばブローンフィルム製品などで)、表面の欠陥は存在していたとしても最小限でなくてはならない。本明細書では、GERで押出された押出し物の表面粗さおよび構造の変化を基準にして、表面メルトフラクチャーが起こり始める時(OSMF)およびグロスメルトフラクチャーが起こり始める時(OGMF)の臨界せん断速度を用いることにする。
本ブレンド物に含める均一インターポリマー成分は、好適には、エチレンと式H2C=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC1−C18アルキル基またはC6−C20アリール基である]で表される化合物および線状、分枝または環状のC4−C20ジエンを含む群から選択される少なくとも1種のコモノマーから作られたインターポリマーである。式H2C=CHRで表される化合物の説明的例には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキセンおよびスチレンが含まれる。線状、分枝および環状のC4−C20ジエン類の説明的例には、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエンおよびシクロヘキサジエンが含まれる。これらの中でプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンが特に好適である。
本発明のブレンド組成物に組み込む上記狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーの量は、成分IとIIを一緒にした重量を基準にして1から99、好適には10から90、より好適には25から75、最も好適には35から65重量パーセントである。
一般的には、本発明のブレンド組成物に組み込む上記狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーの密度は、一般に0.915から0.985、好適には0.935から0.983、より好適には0.955から0.980g/cm3である。
本発明のブレンド組成物に組み込む上記狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーの場合のメルトインデックス(I2)は、一般に0.0001から10000、好適には0.001から5000、より好適には0.01から3000g/10分である。
本発明のブレンド組成物に組み込む上記狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーのI10/I2比は5から25、好適には5.3から25、より好適には5.5から20であるか、或は本発明のブレンド組成物に組み込む上記狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマーのI21.6/I2比は10か50、好適には12から45、より好適には15から40である。
本発明のブレンド組成物に組み込む上記狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマー(実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンインターポリマーを包含)のMw/Mn比は3未満である。
上記狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマー成分はこの上に記述した遷移金属錯体を用いて製造可能である。狭い組成分布を示す実質的に線状である均一エチレン/α−オレフィンポリマー類の製造では、この上に記述した遷移金属化合物と拘束幾何単一部位(singlesite)触媒を用いる必要がある。このような活性化用共触媒および活性化技術は下記の文献にいろいろな金属錯体に関して以前に教示された:ヨーロッパ特許出願公開第277,003号、米国特許第5,153,157号、米国特許第5,064,802号、ヨーロッパ特許出願公開第468,651号およびヨーロッパ特許出願公開第520,732号(1992年5月1日付けで提出した米国出願連続番号07/876,268に相当)および米国特許第5,350,723号(これらの教示は引用することによって本明細書に組み入れられる)。
上記単一部位触媒成分と組み合わせて用いるに有用で適切な活性化用共触媒は、上記触媒成分からX置換基を引き抜いて不活性で非干渉の対イオンを生じさせ得る化合物か或は上記触媒成分の双性イオン誘導体を形成する化合物である。本明細書で用いるに適切な活性化用共触媒には、完全フッ素置換トリ(アリール)ホウ素化合物、最も特別にはトリス(ペンタフルオロ−フェニル)ボラン;非ポリマー状で適合性で配位しないイオン形成化合物(このような化合物を酸化条件下で用いることを包含)、特に配位しない適合性アニオンのアンモニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩、カルボニウム塩、シリリウム塩またはスルホニウム塩、そして配位しない適合性アニオンのフェロセニウム塩の使用が含まれる。適切な活性化技術にはバルクエレクトロリシス(bulkelectrolysis)の使用が含まれる。上記活性化用共触媒と活性化技術の組み合わせも同様に使用可能である。
共触媒として用いるにより特に適切なイオン形成化合物は、プロトンを供与し得るブレンステッド酸であるカチオンと、配位しない適合性アニオンAを含むものである。本明細書で用いる如き用語「配位しない」は、4族の金属を含有する前駆体錯体およびそれから生じる触媒活性誘導体に配位しないか或は上記錯体に配位するとしても若干のみである(このことから、中性ルイス塩基によって追い出され得るほど不安定なままである)アニオンまたは物質を意味する。「適合性アニオン」は、最初に生じさせた錯体を分解させる時に分解して中性になることなくかつ次に行う所望の重合を邪魔することも上記錯体の他の使用を邪魔することもないアニオンである。
好適なアニオンは、電荷を持つ金属または半金属のコアを有する単一の配位錯体を含有するアニオンであり、このアニオンは、2つの成分を一緒にした時に生じ得る活性触媒種(金属カチオン)の電荷の均衡を保つ能力を有するものである。また、上記アニオンは、オレフィン系、ジオレフィン系およびアセチレン系不飽和化合物または他の中性ルイス塩基、例えばエーテル類またはニトリル類などによって追い出され得るほど不安定であるべきである。適切な金属には、これらに限定するものでないが、アルミニウム、金および白金が含まれる。適切な半金属には、これらに限定するものでないが、ホウ素、燐およびケイ素が含まれる。金属または半金属原子を1個有する配位錯体を含むアニオンを含有する化合物は勿論よく知られていて、特にアニオン部分の中にホウ素原子を1個有するそのような化合物は商業的に数多く入手可能である。
このような共触媒は、好適には、下記の一般式: (L*−H)+ d(A)d-[式中、L*は、中性ルイス塩基であり、(L*−H)+は、ブレンステッド酸であり、Ad-は、d−の電荷を有する配位しない適合性アニオンであり、そしてdは、1から3の整数である]
で描写可能である。
より好適には、Ad-は式: [M’Q4-[式中、M’は、形式的酸化状態が+3のホウ素またはアルミニウムであり、そしてQは、各場合とも独立して、水素化物、ジアルキルアミド、ハロゲン化物、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキサイド、ハロ置換ヒドロカルビル、ハロ置換ヒドロカルビルオキシ、およびハロ置換シリルヒドロカルビル基(完全ハロゲン置換ヒドロカルビル−、完全ハロゲン置換ヒドロカルビルオキシ−および完全ハロゲン置換シリルヒドロカルビル基を包含)から選択され、ここで、上記Qの炭素数は20以下であるが、但しQがハロゲン化物であるのは1回以内であることを条件とする]
に相当する。適切なヒドロカルビルオキサイドQ基の例が米国特許第5,296,433号(これの教示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。
より好適な例におけるdは1である、即ち上記対イオンは単一の負電荷を有していて、Aである。本発明の触媒調製で用いるに特に有用なホウ素含有活性化用共触媒は、下記の一般式:(L*−H)+(BQ4-[式中、L*は、この上で定義した通りであり、Bは、形式的酸化状態が3のホウ素であり、そしてQは、非水素原子数が20以下のヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、フッ素置換ヒドロカルビル、フッ素置換ヒドロカルビルオキシまたはフッ素置換シリルヒドロカルビル基であるが、但しQがヒドロカルビルであるのは1回以内であることを条件とする]
で描写可能である。
最も好適には、Qは各場合ともフッ素置換アリール基、特にペンタフルオロフェニル基である。
本発明で活性化用共触媒として使用可能なホウ素化合物の説明的非制限例は、三置換アンモニウム塩、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリプロピルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリ(s−ブチル)アンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチル−N−ドデシルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチル−N−オクタデシルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N−メチル−N,N−ジドデシルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N−メチル−N,N−ジオクタデシルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム、n−ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム、ベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム、テトラキス(4−(t−ブチルジメチルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム、テトラキス(4−(トリイソプロピルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム、ペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジエチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウム、テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸トリプロピルアンモニウム、テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸ジメチル(t−ブチル)アンモニウム、テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム、テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジエチルアニリニウム、およびテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムなど;
二置換アンモニウム塩、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジ−(i−プロピル)アンモニウム、およびテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジシクロヘキシルアンモニウムなど;
三置換ホスホニウム塩、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルホスホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリ(o−トリル)ホスホニウム、およびテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムなど;
二置換オキソニウム塩、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジフェニルオキソニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジ(o−トリル)オキソニウム、およびテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジ(2,6−ジメチルフェニル)
オキソニウムなど;
二置換スルホニウム塩、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジフェニルスルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジ(o−トリル)スルホニウム、およびテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウムなど。
好適な(L*−H)+カチオンはN,N−ジメチルアニリニウム、トリブチルアンモニウム、N−メチル−N,N−ジドデシルアンモニウム、N−メチル−N,N−ジオクタデシルアンモニウムおよびそれらの混合物である。
イオンを形成する別の適切な活性化用共触媒には、配位しない適合性アニオンとカチオン酸化剤の塩が含まれ、これは式:(Oxe+d(Ad-e[式中、OXe+、Ad-およびdはこの上で定義した通りである]
で表される。
カチオン酸化剤の例には、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag+またはPb+2が含まれる。Ad-の好適な態様は、ブレンステッド酸を含有する活性化用共触媒、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩に関してこの上で定義したアニオンである。
イオンを形成する別の適切な活性化用共触媒には、配位しない適合性アニオンとカルベニウムイオンの塩である化合物が含まれ、これは式:
Figure 2007308718
[式中、
Figure 2007308718
およびAは、この上で定義した通りである。]
で表される。好適なカルベニウムイオンはトリチルカチオン、即ちトリフェニルメチリウムである。
さらに別の適したイオン生成活性化共触媒は、式: R”3Si+-[式中: R”はC1-10ヒドロカルビルであり、A-は前に定義された通りである]により示されるジリリウムイオン及び非配位性適合性アニオンの塩である化合物を含む。
好ましいシリリウム塩活性化共触媒はトリメチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリエチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート及びそれらのエーテル置換付加物である。付加重合触媒のための活性化共触媒としての上記のシリリウム塩の利用は、1994年9月12日出願のUSSN08/304,314において特許請求されている。
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとのアルコール類、メルカプタン類、シラノール類及びオキシム類のある種の錯体も有効な触媒活性化剤であり、本発明のために用いることができる。そのような共触媒はUSP5,296,433に開示されており、その記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。
最も好ましい活性化共触媒はトリスペンタフルオロフェニルボラン及びN,N−ジオクタデシル−N−メチルアンモニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートである。後者の化合物はビス(水素化硬脂)メチルアンモニウム化合物から誘導される硼酸塩の混合物の主成分であるので、その混合物を本明細書における活性化共触媒として用いることができる。
用いられる金属錯体:活性化共触媒のモル比は好ましくは1:10〜2:1、より好ましくは1:5〜1.5:1、最も好ましくは1:5〜1:1の範囲である。
他の活性化剤には前に記載したアルミノキサン類が含まれる。好ましいアルミノキサン類にはメチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、それらの組み合わせが含まれる。いわゆる改質メチルアルミノキサン(MMAO)も共触媒として用いるために適している。そのような改質アルミノキサンの製造のための1つの方法が米国特許第4,960,878号(Crapoet al.)に開示されており、その開示は引用することにより本明細書の内容となる。米国特許第4,544,762(Kaminskyet al.);5,015,749(Schmidt et al.);5,041,583(Sangokoya);5,041,584(Crapoet al);及び5,041,585(Deavenport et al.)号に開示されている通りにアルミノキサン類を製造することもでき、そのすべでの開示は引用することにより本明細書の内容となる。活性化共触媒としてアルミノキサンが用いられる場合、遷移金属錯体:アルミニウムのモル比は好ましくは1:2,000〜2:1、より好ましくは1:1,000〜1.5:1、最も好ましくは1:500〜1:1の範囲である。
一般に重合はZiegler−Natta又はKaminsky−Sinn型重合反応に関して先行技術で周知の条件、すなわち0〜250℃、好ましくは30〜200℃の温度及び大気圧から30,000気圧か又はそれより高い圧力において行われることができる。懸濁液、溶液、スラリ、気相、固相粉末重合又は他のプロセス条件を必要なら用いることができる。固体成分(本発明のエチレンホモポリマーの製造に用いられる触媒の調製に用いられるもの以外)、特にシリカ、アルミナ又はポリマー(特にポリ(テトラフルオロエチレン)もしくはポリオレフィン)を使用することができ、それは望ましくは気相重合法において触媒が用いられる場合に使用される。担体は好ましくは、1:100,000〜1:10、より好ましくは1:50,000〜1:20そして最も好ましくは1:10,000〜1:30の触媒(金属に基づく):担体の重量比を与える量で用いられる。
ほとんどの重合反応の場合、用いられる触媒:重合可能な化合物のモル比は10-12:1〜10-1:1、より好ましくは10-9:1〜10-5:1である。
重合のための適した溶媒は不活性液体である。例には直鎖状及び分枝鎖状炭化水素、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びそれらの混合物;環式及び脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン及びそれらの混合物;過フッ化炭化水素、例えば過フッ化C4-10アルカンならびに芳香族及びアルキル−置換芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンが含まれる。適した溶媒に、エチレン、プロピレン、ブタジエン、シクロペンテン、1−ヘキセン、1−ヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1,4−ヘキサジエン、1−オクテン、1−デセン、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルベンゼン、ビニルトルエン(単独のか又は混合物としてのすベての異性体を含む)を包含するモノマー又はコモノマーとして作用することができる液体オレフィンも含まれる。前記の混合物も適している。
不均一な広い組成分布のエチレンインターポリマーと共にエチレンコポリマーを含むフルンド組成物は本発明の他の特徴である。本明細書で用いられる不均一なインターポリマーの定義に含まれるのは、Ziegler触媒を用いて製造されるもの及び又、通常Phillips−型触媒として既知のクロム−ベースシリカ−担持系により製造されるものである。
不均一という用語は、インターポリマー分子が同じエチレン/コモノマー比を有していない場合のインターポリマーを記載している。本明細書で用いられる「広い組成分布」という用語は不均一インターポリマーに関するコモノマー分布を記載しており、不均一インターポリマーが「線状」画分を有すること及び不均一インターポリマーがDSCにより複数の融解ピークを有する(すなわち少なくとも2つの別の融解ピークを示す)ことを意味する。不均一インターポリマー及びポリマーは10(重量)パーセント又はそれより多く、好ましくは15(重量)パーセントより多くそして特に20(重量)パーセントより多くにおいて、1000個の炭素当たり2個以下のメチルという分枝度を有する。不均一インターポリマーは25(重量)パーセント又はそれ未満、好ましくは15(重量)パーセント未満そして特に10(重量)パーセント未満において、1000個の炭素当たり25個以上のメチルという分枝度も有する。
ブレンドの不均一インターポリマー成分はエチレンホモポリマーであるか又は式H2C=CHRにより示され、ここでRがC1−C18直鎖状、分枝鎖状もしくは環状アルキル基又はC6−C20アリール基である化合物及びC4−C20直鎖状、分枝鎖状もしくは環状ジエンから成る群より選ばれる少なくとも1つのコモノマーとのエチレンのインターポリマーであることもできる。式H2C=CHRにより示される化合物の代表的例にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキセン及びスチレンが含まれる。C4−C20直鎖状、分枝鎖状及び環状ジエンの代表的例には1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン及びシクロヘキサジエンが含まれる。これらの中でプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及び1−エイコセンが特に好ましい。エチレンならびに1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンの不均一インターポリマーが最も好ましい。
本発明のブレンド組成物中に導入される不均一な広い組成分布のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの量は、成分I及びIIの一緒にされた重量に基づく重量により1〜99、好ましくは10〜90、より好ましくは25〜75そして最も好ましくは35〜65パーセントである。
本発明のブレンド組成物中に導入される不均一な広い組成分布のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの密度は一般に0.915〜0.985、好ましくは0.935〜0.983、より好ましくは0.955〜0.980g/cm3である。
本発明のブレンド組成物中に導入される不均一な広い組成分布のエチレン/α−オレフィンインターポリマーに関するメルトインデックス(I2)は一般に0.0001〜10000、好ましくは0.001〜5000、より好ましくは0.011〜3000g/10分である。
本発明のブレンド組成物中に導入される不均一な広い組成分布のエチレン/α−オレフィンインターポリマー又は該インターポリマーと同じ触媒及びプロセス条件により製造されるホモポリマーのI10/I2比は5〜40、好ましくは5.3〜35、より好ましくは5.5〜30であるかあるいは本発明のブレンド組成物中に導入される不均一な広い組成分布のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのI21.6/I2比が15〜80、好ましくは20〜70、より好ましくは25〜60である。
本発明のブレンド組成物中に導入される不均一な広い組成分布のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのMw/Mn比は一般に3〜12、好ましくは3.5〜10、より好ましくは4〜9である。
ポリマーブレンドの不均一成分の製造にZiegler−Natta触媒を用いることができる。好ましいZiegler−Natta触媒にはマグネシウムアルコキシドに基づく触媒、例えばUSP4,526,943、USP 4,426,316、4,661,465、USP 4,783,512及びUSP 4,544,647に記載されているようなものが含まれ、そのそれぞれの開示は引用することにより本明細書の内容となる。そのような触媒は、不均一ポリマー成分がスラリプロセス条件下で製造されるべき場合に特に有用である。
溶液法の高い重合温度下で製造されるべき不均一ポリマーブレンド成分の製造に特に有用なZiegler−型触媒の追加の例には有機マグネシウム化合物、ハロゲン化アルキルもしくはハロゲン化アルミニウムもしくは塩化水素及び遷移金属化合物から誘導される触媒が含まれる。そのような触媒の例は米国特許第4,314,912(Lowery,Jr.etal.)、4,547,475(Glass et al.)及び4,612,300(Coleman,III)号に記載されており、その記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。
特に適した有機マグネシウム化合物には、例えば炭化水素可溶性ジヒドロカルビルマグネシウム、例えばジアルキルマグネシウム及びジアリールマグネシウムが含まれる。代表的な適したジアルキルマグネシウムには特にn−ブチル−sec−ブチルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、イソプロピル−n−ブチル−マグネシウム、エチル−n−ヘキシルマグネシウム、エチル−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−オクチルマグネシウム及びアルキルが1〜20個の炭素原子を有する他のものが含まれる。代表的な適したジアリールマグネシウムにはジフェニルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム及びジトリルマグネシウムが含まれる。適した有機マグネシウム化合物にはアルキル及びアリールマグネシウムアルコキシド及びアリールオキシドならびにアリール及びアルキルマグネシウムハライドが含まれ、ハロゲン非含有有機マグネシウム化合物がより望ましい。
本明細書において用いられることができるハライド源の中には活性非−金属性ハロゲン化物、金属性ハロゲン化物及び塩化水素がある。
適した非−金属性ハロゲン化物は式R’Xにより示され、式中、R’は水素又は活性な1価の有機基であり、Xはハロゲンである。特に適した非−金属性ハロゲン化物には例えばハロゲン化水素及び活性有機ハロゲン化物、例えばハロゲン化t−アルキル、ハロゲン化アリル、ハロゲン化ベンジル及び他の活性なハロゲン化ヒドロカルビルが含まれ、ここでヒドロカルビルは前記で定義された通りである。活性有機ハロゲン化物により、少なくとも塩化sec−ブチルのハロゲン、好ましくは塩化t−ブチルと同じ位容易に活性である、すなわち容易に他の化合物に失われる不安定なハロゲンを含有するハロゲン化ヒドロカルビルを意味する。有機モノハロゲン化物の他に、本明細書前記で定義された通りに活性な有機ジハロゲン化物、トリハロゲン化物及び他のポリハロゲン化物も適切に用いられることができることが理解される。好ましい活性非−金属性ハロゲン化物の例には塩化水素、臭化水素、塩化t−ブチル、臭化t−アミル、塩化アリル、塩化ベンジル、塩化クロチル、塩化メチルビニルカルビニル、臭化a−フェニルエチル、塩化ジフェニルメチルが含まれる。最も好ましいのは塩化水素、塩化t−ブチル、塩化アリル及び塩化ベンジルである。
本明細書において用いられることができる適した金属性ハロゲン化物には式MRy-aaにより示されるものが含まれ、式中: Mはメンデレフの元素の周期表の第IIB、IIIA又はIVA族の金属であり、Rは1価の有機基であり、 Xはハロゲンであり、 YはMの原子価に対応する値を有し、aは1〜yの値を有する。
好ましい金属性ハロゲン化物は式AlR3-aaのハロゲン化アルミニウムであり、式中:各Rは独立して前記で定義されたヒドロカルビル、例えばアルキルであり、 Xはハロゲンであり;aは1〜3の数である。
最も好ましいのはハロゲン化アルキルアルミニウム、例えばエチルアルミニウムセスキクロリド、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム及び臭化ジエチルアルミニウムであり、二塩化エチルアルミニウムが特に好ましい。
別の場合、三塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属あるいは三塩化アルミニウムとハロゲン化アルキルアルミニウム又はトリアルキルアルミニウム化合物との組み合わせを好適に用いることができる。
前記の有機マグネシウムの有機部分、例えばR”及びハライド源の有機部分、例えばR及びR’は、それらが通常のZiegler触媒を損なう官能基を含有しなければ、他のいずれの有機基も適していることが理解される。
ハロゲン化マグネシウムは有機マグネシウム化合物及びハライド源から予備生成させることができるかあるいはその場で生成させることができ、その場合は適した溶媒又は反応媒体中で(1)有機マグネシウム成分及び(2)ハライド源を混合し、続いて他の触媒成分を混合することにより触媒が好適に製造される。
担持される触媒成分の製造における遷移金属成分として、通常のZiegler−Natta遷移金属化合物のいずれも有用に用いることができる。典型的に遷移金属成分はIVB、VB又はVIB族金属の化合物である。遷移金属成分は一般に式:TrX’4-q(OR1q、TrX’4-q2 q、VOX’3及びVO(OR13により示される。
TrはIVB、VB又はVIB族金属、好ましくはIVB又はVB族金属、好ましくはチタン、バナジウムもしくはジルコニウムであり、qは0又は4以下の数であり、 X’はハロゲンであり、 R1は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基又はシクロアルキル基であり、 R2はアルキル基、アリール基、アラルキル基、置換アラルキルである。
アリール、アラルキル及び置換アラルキルは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を含有する。遷移金属化合物がアルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル基であるヒドロカルビル基R2を含有する場合、ヒドロカルビル基は好ましくは金属炭素結合に対するベータ位にH原子を含有しない。アラルキル基の代表的であるが制限ではない例はメチル、ネオ−ペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,2−ジメチルヘキシル;ベンジルなどのアリール基;1−ノルボルニルなどのシクロアルキル基である。望ましい場合はこれらの遷移金属化合物の混合物を用いることができる。
遷移金属化合物の代表的例にはTiCl4、TiBr4、Ti(OC253Cl、Ti(OC25)Cl3、Ti(OC493Cl、Ti(OC372Cl2、Ti(OC6132Cl2、Ti(OC8172Br2及びTi(OC1225)Cl3、Ti(O−i−C374及びTi(O−n−C494が含まれる。
バナジウム化合物の代表的例にはVCl4、VOCl3、VO(OC253及びVO(OC493が含まれる。
ジルコニウム化合物の代表的例にはZrCl4、ZrCl3(OC25)、ZrCl2(OC252、ZrCl(OC253、Zr(OC254、ZrCl3(CO49)、ZrCl2(OC492及びZrCl(OC493が含まれる。
上記の通り、遷移金属化合物の混合物を有用に用いることができ、担体と結び付ける(contracted)ことができる遷移金属化合物の数に制限は課せられない。いずれのハロゲン化物及びアルコキシド遷移金属化合物又はその混合物も有用に用いることができる。前に名前を挙げた遷移金属化合物が特に好ましく、四塩化バナジウム、オキシ塩化バナジウム、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド及び四塩化チタンが最も好ましい。
適したZiegler触媒材料は不活性酸化物担体と遷移金属化合物から誘導されることもできる。溶液重合法で用いるために適したそのような組成物の例は米国特許第5,420,090号(Spenceret al.)に記載されており、その記載事項は引用することにより本明細書の内容となる。
本発明のブレンド組成物中に導入される本発明のエチレンコポリマーの製造に用いられる以外の触媒を用いて製造されるホモポリマーの量は、成分I及びIIの一緒にされた重量に基づく重量により1〜99、好ましくは10〜90、より好ましくは25〜75そして最も好ましくは35〜65パーセントである。
本発明のブレンド組成物中に導入される本発明のエチレンコポリマーの製造に用いられる以外の触媒及び方法を用いて製造されるホモポリマーに関するメルトインデックス(I2)は一般に0.0001〜10000、好ましくは0.001〜5000、より好ましくは0.01〜3000g/10分である。
本発明のブレンド組成物中に導入される本発明のエチレンコポリマーの製造に用いられる以外の触媒及び方法を用いて製造されるホモポリマーのI21.6/I2比は15〜80、好ましくは18〜70、より好ましくは20〜60であるかあるいはI10/I2が5〜40、好ましくは5.3〜35、より好ましくは5.5〜30である。
本発明のブレンド組成物中に導入される本発明のエチレンコポリマーの製造に用いられる以外の触媒及び方法を用いて製造されるホモポリマーのMw/Mn比は一般に2.5〜12、好ましくは2.8〜10、より好ましくは3〜9である。
本明細書に記載の本発明のエチレンコポリマーのさらに別のエチレンインターポリマーとのブレンドが必要な場合、それぞれの成分を異なる反応器中で別々に製造し、続いて一緒にブレンドすることができる。
少なくとも1つの反応器を用いる連続的(バッチ式又は半−バッチ式運転と反対に)制御重合法を介してブレンド組成物を製造することもできる。しかし好ましくはブレンド組成物の本発明のエチレンコポリマー及び追加のエチレンインターポリマー成分は、その記載事項が引用することにより本明細書の内容となるUSP3,914,342(Mitchell)及びWO 94/00500に開示されているもののような、平行にか又は直列に運転される複数の反応器の組み立てにおいて製造される。例えば直列に、すなわち1つづつ順に運転される少なくとも2つの反応器を用いることができる。別の場合、反応器を平行に運転することができ、すなわち重合段階A及びBを別々の反応器で行い、続いて溶融流を合わせて複合生成物ブレンドを得ることができる。複数の反応器の組み立ての場合、反応器の少なくとも1つがスラリプロセス条件下で本明細書に記載の担持メタロセン触媒を用いて本発明のエチレンコポリマーを製造し、反応器の少なくとも1つが所望の性質を有するポリマーの製造に必要な重合温度、圧力及び供給濃度において、必要な1つ又は複数の触媒を用いてブレンドの追加の成分を製造する。
かくして1つの実施態様の場合、段階Aにおいて第1反応器中で、本明細書に記載の担持メタロセン触媒を用い、本発明のエチレンコポリマーをスラリプロセス条件下で製造し、第1反応器の内容物を第2反応器に通過させ、そこで供給濃度及び温度を調整し、段階Bにおいてスラリプロセス条件下で、異なる分子量又は密度を有する本発明の第2のエチレンコポリマーを生成させる。
さらに別の実施態様の場合、段階Aにおいて第1反応器中で、本明細書に記載の担持メタロセン触媒を用い、本発明のエチレンコポリマーをスラリプロセス条件下で製造し、第1反応器の内容物を第2反応器に通過させ、そこで供給濃度及び温度を調整し、本明細書に記載の1種又はそれ以上のZiegler触媒を加え、段階Bにおいてスラリプロセス条件下で、所望の性質を有するポリマーブレンドの不均一エチレンインターポリマー又はホモポリマー成分を生成させる。
さらに別の実施態様の場合、段階Aにおいて第1反応器中で、本明細書に記載の担持メタロセン触媒を用い、本発明のエチレンコポリマーをスラリプロセス条件下で製造し、第1反応器の内容物を第2反応器に入れ、そこで供給濃度及び温度を調整し、本明細書に記載のメタロセン触媒の1つを加え、段階Bにおいて溶液プロセス条件下で、所望の性質を有するポリマーブレンドの均一エチレンインターポリマー又はホモポリマー成分を生成させる。
さらに別の実施態様の場合、段階Aにおいて第1反応器中で、本明細書に記載の担持メタロセン触媒を用い、本発明のエチレンコポリマーをスラリプロセス条件下で製造し、第1反応器の内容物を第2反応器に通過させ、そこで温度及び供給濃度を調整し、本明細書に記載の1種又はそれ以上のZiegler触媒を加え、段階Bにおいて溶液プロセス条件下で、所望の性質を有するポリマーブレンドの不均一エチレンインターポリマー又はホモポリマー成分を生成させる。
酸化防止剤(例えばヒンダードフェノール類(例えばIrganoxTM1010)、亜リン酸塩(例えばIrgafosTM168))、粘着添加剤(cling additives)(例えばPIB)、粘着防止剤、顔料、充填剤などの添加剤も、それらが出願人等により見いだされた向上した配合物の性質と抵触しない程度まで配合物中に含まれることができる。IrganoxTM及びIrgafosTMの両方はCiba Geigy Corporationの商標により製造されている。
IrgafosTM168は亜リン酸塩安定剤であり、IrganoxTM1010はヒンダードフェノール安定剤(例えばテトラキス[メチレン3−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]−メタン)である。
本発明の最終的ブレンド組成物の密度は一般に0.870〜0.980、好ましくは0.915〜0.975、より好ましくは0.935〜0.970そして最も好ましくは0.945〜0.968g/cm3である。
本発明の最終的ブレンド組成物のメルトインデックスI2は一般に0.0001〜10000、好ましくは0.001〜5000そしてより好ましくは0.01〜3000g/10分である。
本発明の最終的ブレンド組成物のI10/I2比は5〜100、好ましくは5〜90、より好ましくは5〜80であるかあるいは本発明の最終的ブレンド組成物のI21.6/I2比が20〜200、好ましくは30〜180、より好ましくは40〜150そして最も好ましくは50〜130である。
本発明の最終的ブレンド組成物のMw/Mn比は2.5〜50、好ましくは3〜45そしてより好ましくは5〜40である。
本発明のエチレンコポリマーは、エチレンコポリマーの分子量分布において、1つの観点でコポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなりそして別の観点でコポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるところの、特定のコモノマー含有量分布特徴を有する。このようなコモノマー含有量分布特徴を有することから、本発明のエチレンコポリマーは優れた特性を示し、例えば衝撃強度が高くかつ環境応力亀裂に対する耐性(ESCR)が優れる。更に、本発明のエチレンコポリマーは、低分子量側および高分子量側の両方に幅広いテーリングを示さず、その結果として、このエチレンコポリマーはワックス、ゲルなどの如き不純物を実質的に全く含有しない。更に、本発明の方法を本質的にエチレンコポリマーの製造に適用する限り、異なるコモノマー含有量を有する2種以上の異なるエチレンコポリマー類を個別に製造しそしてこれらをニーダーでブレンドする方法、および多段階重合を利用するか或は本発明で用いるいろいろな種類の触媒を複数用いて異なるコモノマー含有量を有する2種以上の異なるエチレンコポリマー成分から成る混合物を含むエチレンコポリマーを製造する方法のいずれも、本発明の方法の好適な様式で非常に有利に利用することができる。上述した本発明の好適な方法で製造したエチレンコポリマー類の混合物は、通常のエチレンコポリマー混合物のそれとは対照的に、コモノマーの含有量がコポリマーの分子量の上昇に一致して連続的に変化するコモノマー含有量分布を示し得る。従って、上述した本発明のスラリー方法に従うと、エチレンコポリマー類の混合物が示すコモノマー含有量分布に関して、従来技術を用いたのでは達成されなかった優れた特性を得ることができる。
本発明のエチレンコポリマーおよびブレンド組成物は上述した優れた特性および特徴を有することから、これらをブローンフィルム、キャストフィルム、積層フィルム、ブロー成形品、射出成形品、パイプ、伝送ケーブル用被覆材の製造で有利に用いることができる。
以下に示す実施例および比較実施例を参照してここに本発明を更に詳しく説明するが、これは本発明の範囲の制限として解釈されるべきでない。
実施例1
真空下250℃で2時間処理しておいたシリカSP−9−10046[Grace GmbH(ドイツ)が製造販売している]20gを250mlのトルエンに入れてスラリー状にした。この生じたスラリーに、100mlのトルエンにトリエチルアルミニウムが20ml(0.11モル)入っている溶液を加えた。その結果として生じた混合物を2時間撹拌し、濾過し、新鮮なトルエンを100mlづつ用いて2回洗浄した後、真空下で乾燥させた。その結果として生じる乾燥した混合物22gを300mlのトルエンに入れてスラリー状にした後、70℃に加熱することで、スラリーを得た。200mlのトルエンにトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウムを1.25g(1.77ミリモル)入れて70℃に加熱してこの温度で30分間保持しておいた溶液を上記スラリーに加えた。添加後、加熱を止め、そしてその結果として生じた混合物を3時間撹拌した。その後、この混合物に、ISOPAR(商標)E[ExxonChemical Co.(米国)が製造販売している]中0.0714Mのチタン(N−1,1−ジメチルエチル)ジメチル[1−(1,2,3,4,5−イータ)−2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル]シランアミナト[(2−)N]−(η4−1,3−ペンタジエン)溶液(暗紫色)を12.3mlの分量で加えた後、その結果として生じた混合物を2時間撹拌することにより、緑色をした固体状触媒系を得た。
ジャケット付きの10リットル連続撹拌タンク反応槽にイソペンタン、エチレン、1−ブテン、水素および上記固体状触媒系を連続的に仕込んだ。イソペンタン、エチレン、1−ブテンおよび水素の流量はそれぞれ2,500g/時、700g/時、20g/時および0.3リットル/時であった。生じたスラリー生成物をその反応槽から連続的に取り出した。この反応槽の全圧を15気圧にし、そしてこの反応槽の内部温度を70℃に保持した。この取り出したスラリーをフラッシュタンクに送り込んで希釈剤を除去することにより、自由流れする乾燥したエチレンコポリマー粉末を得た。
このようにして得たエチレンコポリマーは下記の特性を示した:即ちASTM D−792による密度は0.929g/cm3であり、ASTM D−1238により2.16kgの荷重下190℃で測定した時のメルトインデックスは0.50g/10分であり、Mwは152,000でMw/Mnは4.5であり(両方ともGPCで測定)、Mt(GPCで測定した時の分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって、このプロファイルが最大強度のピークを示す地点)は69,000であり、コモノマー含有量分布プロファイルから得られるほぼ真っすぐな線の傾きは式log(69,000)−log(Mc)≦0.5を満足させる分子量Mcで換算して22,000から220,000の範囲内において0.0013であり、CFCで測定した時の温度(最大抽出量を示す温度)は86℃であり、CFCにおいて86℃から96℃の範囲内に入る任意温度とこの任意温度で抽出されるコポリマー画分の分子量分布プロファイル上の点(この点は最大強度のピークを示す)との間の関係から得られるほぼ真っすぐな線の傾きは−0.053であり、そしてCFCにおいて76℃またはそれ以下の温度で抽出されたコポリマー画分の全量は3.1重量%であった。
実施例2および3
トルエン中10%のメチルアルモキサン溶液(Witco GmbH、ドイツが製造販売している)508gに連続撹拌しながら水含有量が3.5重量%のシリカSP−9−10046(Grace GmbH、ドイツが製造販売しでいる)を25g加えた。この混合物を更に2時間撹拌した後、溶媒を減圧下20℃で除去することにより、自由流れする粉末を得た。次に、この得た自由流れする粉末を真空下175℃で2時間加熱した。その結果として得た粉末を700mlのトルエンに入れて再びスラリー状にした後、この混合物を、新鮮な100℃のトルエンを用いて2回洗浄した。次に、この支持体を真空下120℃で1時間乾燥させた。アルミニウム含有量が26.4重量%の支持体を63.9g得た。
この支持体60gに、ISOPAR(商標)E[Exxon Chemical Co.(米国)が製造販売している]中0.0714Mのチタン(N−1,1−ジメチルエチル)ジメチル[1−(1,2,3,4,5−イータ)−2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル]シランアミナト[(2−)N]−(イータ4−1,3−ペンタジエン)溶液(暗紫色)を33.6mlの分量で加えた後、この混合物を数時間撹拌することにより、緑色をした支持触媒を得た。
イソペンタン、エチレン、1−ブテンおよび水素の流量を表1に示すように変化させる以外は実施例1と実質的に同じ重合手順を繰り返した。この反応の結果を表1に示す。
実施例4から6
いろいろなMAO処理シリカを用いる以外は実施例2および3と実質的に同じ手順を用いて支持触媒を製造し、ここでもまたMAOをシリカ上に固定させたが、ここではいろいろな方法を利用した。
重合温度およびイソペンタン、エチレン、1−ブテンおよび水素の流量を表1に示すように変える以外は実施例1と実質的に同じ重合手順を用いた。実施例4−6の場合の傾きおよびCFC1とCFC2のデータは、実施例1−3の結果から密度を基に推定したデータである。この反応の結果を表1に示す。
実施例7
4リットルのトルエンを90℃に加熱してその中にトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウムを6.2g(8.8ミリモル)溶解させてその温度に30分間維持した。この溶液にトルエン中1Mのトリヘキシルアルミニウムを40mlの分量で加えた。その結果として生じた混合物を90℃で1分間撹拌した。2番目の容器内で、窒素流下500℃で3時間処理しておいたシリカP−10[Fujisilysia(日本)が製造販売している]100gを1.7リットルのトルエンに入れてスラリー状にした。このシリカスラリーを90℃に加熱した。このシリカスラリーに、上記トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウムとトリヘキシルアルミニウムの混合物(90℃の)を加えた後、その結果として生じたスラリーを90℃で3時間撹拌した。トルエン中1Mのトリヘキシルアルミニウム溶液を206mlの分量で加えた。その結果として生じた混合物(約5.9リットルのトルエンに入っている)を90℃で1時間撹拌した。次に、90℃のトルエンを用いたデカンテーション方法を用いて、その結果として生じた混合物の上澄み液を除去することで、過剰量のトリヘキシルアルミニウムを除去した。このデカンテーションを5回繰り返した。その後、この混合物に、ISOPAR(商標)E[ExxonChemical Co.(米国)が製造販売している]中0.218Mのチタン(N−1,1−ジメチルエチル)ジメチル[1−(1,2,3,4,5−イータ)−2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル]シランアミナト[(2−)N]−(η4−1,3−ペンタジエン)溶液(暗紫色)を20mlの分量で加えた後、その結果として生じた混合物を3時間撹拌することにより、緑色をした固体状触媒系を得た。
連続撹拌タンク反応槽にヘキサン、エチレン、1−ブテン、水素および上記固体状触媒系を連続的に仕込んだ。ヘキサン、エチレン、および水素の流量をそれぞれ46.2kg/時、0.15kg/時、0.15kg/時にした。1−ブテンの流量を0.11kg/時(実施例7)にした。生じたスラリー生成物をその反応槽から連続的に取り出した。この反応槽の全圧を10気圧にし、そしてこの反応槽の内部温度を80℃に保持した。この取り出したスラリーをフラッシュタンクに送り込んで希釈剤を除去することにより、自由流れする乾燥したエチレンコポリマー粉末を得た。このようにして得たエチレンコポリマーの特性を表2に示す。
実施例8
窒素流下500℃で3時間処理しておいたシリカP−10[Fuji silysia(日本)が製造販売している]200gを5リットルのヘキサンに入れてスラリー状にした。その結果として生じたスラリーにヘキサン中1Mのトリエチルアルミニウム溶液を400mlの分量で加えた。その結果として生じた混合物を室温で0.5時間撹拌した。このスラリーに、296mlのトルエンに20.1g(17.6ミリモル)のトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ホウ酸ビス(水添獣脂アルキル)メチルアンモニウムが入っている溶液を加えた。その結果として生じた混合物を室温で0.5時間撹拌した。その後、この混合物に、ISOPAR(商標)E[ExxonChemical Co.(米国)が製造販売している]中0.218Mのチタン(N−1,1−ジメチルエチル)ジメチル[1−(1,2,3,4,5−イータ)−2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル]シランアミナト[(2−)N]−(η4−1,3−ペンタジエン)溶液(暗紫色)を60mlの分量で加えた後、その結果として生じた混合物を室温で3時間撹拌することにより、緑色をした固体状触媒系を得た。
1−ブテンの流量を表1に示すように変える以外は実質的に実施例7と同じ重合手順を繰り返した。
この反応の結果を表2に示す。
比較実施例1
1,000mlのフラスコに、トルエン中10%のメチルアルミノキサン溶液[WitcoGmbH(ドイツ)が製造販売している]を508g仕込んだ後、このフラスコに、連続撹拌しながら、水含有量が約3.5重量%のシリカSD3216.30シリカ[Grace GmbH(ドイツ)が製造販売している]を25g加えた。その結果として生じた混合物を更に2時間撹拌した後、溶媒を減圧下20℃で除去することにより、自由流れする粉末を得た。次に、この得た粉末を真空下175℃で2時間加熱した。この粉末を700mlのトルエンに入れて再びスラリー状にした。その結果として生じた混合物を還流下で1時間加熱した。この混合物を濾過し、新鮮な100℃のトルエンを用いて2回洗浄した後、真空下120℃で1時間乾燥させた。その結果として、アルミニウム含有量が23.8重量%の乾燥混合物を63.9g得た。
この上で得た乾燥混合物0.5gを20mlのISOPAR(商標)E[Exxon Chemical Co.(米国)が製造販売している]に入れてスラリー状にし、数分間撹拌することで、上記乾燥混合物を分散させた後、暗オレンジ色−褐色の[(t−ブチルアミド)(ジメチル)(テトラメチルーη5−シクロペンタジエニル)シランジメチルチタン溶液を0.142mlの分量で加えることを通して、固体状触媒系の調製を行った。その結果として生じた混合物を数分間撹拌することで黄色−オレンジ色の固体状触媒系を得た。
3リットルの撹拌反応槽にISOPAR(商標)E[Exxon Chemical Co.(米国)が製造販売している]を1,191ml、1−オクテンを309mlおよび水素を0.3リットル仕込んだ。この反応槽の内容物を80℃に加熱した後、この反応槽にエチレンを、この反応槽の全圧が約31気圧になるに充分な量で加えた。この反応槽に、チタンが1.5μモル入っている上記固体状触媒系を添加することで、重合反応を開始させた。必要に応じて上記反応槽にエチレンを連続供給した。21分後にエチレンのラインを遮断し、そして反応槽の内容物を取り出してサンプル容器の中に入れた。その結果として得たコポリマーを一晩乾燥させた。結果としてエチレンコポリマーを41g得た。
このようにして得たエチレンコポリマーは下記の特性を示した:即ち密度は0.883g/cm3であり、2.16kgの荷重下190℃で測定した時のMFRは0.35g/10分であり、Mwは130,000でMw/Mnは3.5であり(両方ともGPCで測定)、Mt(GPCで測定した時の分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって、このプロファイルが最大強度のピークを示す地点)は96,000であり、コモノマー含有量分布プロファイルから得られるほぼ真っすぐな線の傾きは式log(96,000)−log(Mc)≦0.5を満足させる分子量Mcで換算して30,000から304,000の範囲内において0.0030であり、CFCで測定した時の温度(最大抽出量を示す温度)は37℃であり、CFCにおいて37℃から47℃の範囲内に入る任意温度とこの任意温度で抽出されるコポリマー画分の分子量分布プロファイル上の点(この点は最大強度のピークを示す)との間の関係から得られるほぼ真っすぐな線の傾きは−0.010であり、そしてCFCにおいて27℃またはそれ以下の温度で抽出されたコポリマー画分の全量は18.5重量%であった。
比較実施例2
窒素ガスで充分にパージ洗浄した200mlのガラスフラスコにシリカ[Fuji Silysia Chemical Ltd.(日本)が製造販売している]を4.0gおよびトルエンを40ml仕込んだ。その結果として生じた混合物を撹拌することで懸濁液を得た。この得た懸濁液を−10℃に冷却した。この冷却した懸濁液に、この懸濁液の温度を−10℃に維持しながら、トルエン中のメチルアルミノキサン溶液(Al濃度:1モル/リットル)[AlbemarleCorporation(米国)が製造販売している]30mlを窒素雰囲気下で1時間かけて滴下した。その結果として生じた混合物を窒素雰囲気下で0℃に1時間保持した後、室温に1時間保持した。その後更にこの混合物の温度を110℃に高めることで、この混合物を窒素雰囲気下で3時間還流させた。一連の上記操作を行っている間、上記混合物からメタンガスが発生するのを観察した。次に、この混合物を20℃に冷却することで、メチルアルミノキサンを上に担持しているシリカが入っている懸濁液を得た。
窒素ガスで充分にパージ洗浄しておいた1.6リットルのステンレス鋼製オートクレーブにヘキサンを0.8リットル仕込んだ後、このオートクレーブに入っているヘキサンにトリイソブチルアルミニウムを0.2ミリモル加えた。その結果として生じた混合物に、この上で得たシリカ懸濁液をこのシリカ上に担持されているメチルアルミノキサンのアルミニウムに換算して0.3ミリモルの量で加えた。このオートクレーブにエチレンをこのオートクレーブの全圧が7kg/cm2−Gになるに充分な量で加えた。このオートクレーブの内部温度を65℃に調整した。
このオートクレーブにトルエン中のビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(これはメタロセンとして知られる)溶液をジルコニウムに換算して1.0μモルの量で加えた後、このオートクレーブの内部温度を70℃に上昇させることでエチレンの重合反応を開始させた。必要に応じてこのオートクレーブにエチレンを連続的に供給した。
このオートクレーブの全圧を7kg/cm2−Gに保持しそしてこのオートクレーブの内部温度を70℃に保持しながら重合反応を実施すると、エチレンの全消費量は1.5kg/cm2−Gになった。
この重合反応が完了した後、このオートクレーブの内容物を取り出してメタノールが入っているステンレス鋼製容器の中に入れた。その結果として生じた混合物を濾過することでポリマーを得た。この得たポリマーを50℃で一晩乾燥させた。結果としてエチレンコポリマーを得た。
上記オートクレーブを開けてその中を検査した。このオートクレーブの内壁に粘着しでいるポリマーの存在は全く観察されなかった。
このようにしで得たエチレンコポリマーは下記の特性を示した:即ち密度は0.926g/cm3であり、2.16kgの荷重下190℃で測定した時のMFRは2.1g/10分であり、Mwは88,000でMw/Mnは2.6であり(両方ともGPCで測定)、Mt(GPCで測定した時の分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって、このプロファイルが最大強度のピークを示す地点)は63,000であり、コモノマー含有量分布プロファイルから得られるほぼ真っすぐな線の傾きは式log(63,000)−log(Mc)≦0.5を満足させる分子量Mcで換算して20,000から199,000の範囲内において−0.00005であり、CFCで測定した時の温度(最大抽出量を示す温度)は85℃であり、CFCにおいて85℃から95℃の範囲内に入る任意温度とこの任意温度で抽出されるコポリマー画分の分子量分布プロファイル上の点(この点は最大強度のピークを示す)との間の関係から得られるほぼ真っすぐな線の傾きは−0.006であり、そしてCFCにおいて75℃またはそれ以下の温度で抽出されるコポリマー画分の全量は10.8重量%であった。
比較実施例3
3リットルの撹拌反応槽にISOPAR(商標)E[Exxon Chemical Co.(米国)が製造販売している]を1,388ml、1−オクテンを128mlおよび水素を0.3リットル仕込んだ。この反応槽の内容物を130℃に加熱した後、この反応槽にエチレンを、この反応槽の全圧が約31気圧になるに充分な量で加えた。
この反応槽に、実施例1と実質的に同じ様式で調製したチタンが0.625μモル入っている固体状触媒系を添加することで、重合反応を開始させた。必要に応じて上記反応槽にエチレンを連続供給した。10分後にエチレンのラインを遮断し、そして反応槽の内容物を排出させてサンプル容器の中に入れた。その結果として得たコポリマーを一晩乾燥させることでエチレンコポリマーを30g得た。
このようにして得たエチレンコポリマーは下記の特性を示した:即ち密度は0.912g/cm3であり、2.16kgの荷重下190℃で測定した時のMFRは4.5g/10分であり、Mwは130,000でMw/Mnは2.5であり(両方ともGPCで測定)、Mt(GPCで測定した時の分子量分布プロファイル上の分子量で表される1地点であって、このプロファイルが最大強度のピークを示す地点)は50,000であり、コモノマー含有量分布プロファイルから得られるほぼ真っすぐな線の傾きは式log(50,000)−log(Mc)≦0.5を満足させる分子量Mcで換算して16,000から158,000の範囲内において0.00003であり、CFCで測定した時の温度(最大抽出量を示す温度)は74℃であり、CFCにおいて74℃から84℃の範囲内に入る任意温度とこの任意温度で抽出されるコポリマー画分の分子量分布プロファイル上の点(この点は最大強度のピークを示す)との間の関係から得られるほぼ真っすぐな線の傾きは−0.033であり、そしてCFCにおいて64℃またはそれ以下の温度で抽出されるコポリマー画分の全量は13.4重量%であった。
比較実施例4
市販エチレンコポリマーであるEXACT(商標)3029[Exxon Chemical Co.(米国)が製造販売している]を分析した。この分析の結果を表2に示す。
比較実施例5
市販エチレンコポリマーであるSP 2040[三井石油化学工業株式会社(日本)が製造販売している]を分析した。この分析の結果を表2に示す。
比較実施例6
市販エチレンコポリマーであるPL 1880[ザ・ダウケミカル社(TheDow Chemical Co.(米国)が製造販売している)を分析した。この分析の結果を表2に示す。
表2に、実施例1で得た本発明のエチレンコポリマーの特性を比較実施例1から3で個々に得たエチレンコポリマーの特性および比較実施例4から6に示した市販エチレンコポリマー類の特性と一緒に示す。比較実施例1から6に示したエチレンコポリマー類はいずれも本発明のエチレンコポリマーの特性に合致する特性を示さないことは明らかである。
比較実施例7
支持体の表面にTiが約2重量%存在するように塩化マグネシウムに支持されているチーグラー・ナッタ触媒を重合で用いた。
実施例1に記述したのと実質的に同じ連続撹拌タンク反応槽にヘキサン、エチレン、1−ブテン、水素および上記固体状触媒系を連続的に送り込むことでコポリマー粉末を製造し、それの特性を表2に示す。
実施例9−12
成分1および2の調製で用いた遷移金属錯体が[(t−ブチルアミド)(ジメチル)(テトラメチルーη5−シクロペンタジエニル)シランジメチルチタンでありそしてイソペンタン、1−ブテンおよび水素の流量を変える以外は実質的に実施例1と同じ重合手順を用いて表3に要約する成分IおよびIIのポリマー特性を得た。Winkworth2Z−ブレードミキサーを用いてブレンド物の調製を行った。この内部ミキサーには異なるrpmで作動する混合用ブレードが2つ備わっており、前方のスクリューは52rpmで回転し、後方のスクリューは30rpmで回転する。実働容量は1.2リットルである。
上記粉末を、最初、Chiba Geigyから入手可能なIrganox(商標)B225(2000ppm)と一緒にドライブレンドした。次に、所望組成の混合物を350gの仕込み量で充填して190℃で10分間混合した。混合後、ポリマーを取り出してHeinrichDreher S20粉砕機で製粉した。この時点で、この粉砕したポリマーは圧縮成形の準備が出来ていた。いろいろなブレンド組成物の試験結果を表4に示す。
実施例13−16
ヘキサン、エチレン、1−ブテンおよび水素の流量に加えて重合温度を調整する以外は実質的に実施例7および8と同じ重合手順を繰り返すことで、成分IIとして用いるエチレンコポリマー類を製造した。実施例7および8で製造したエチレンコポリマー類を成分Iとして用いた。成分Iおよび成分IIのポリマー特性およびブレンド配合を表5に要約する。2軸押出し加工機[IKEGAI,Co.,Ltd(日本)が製造しているPCM−45]を用いてブレンド物の調製を行った。このスクリューは100−200rpmで回転する。スクリューのバレル温度を220℃にした。
上記粉末を、最初、Chiba Geigyから入手可能なIrganox(商標)−1076(2000ppm)、ステアリン酸カルシウム(600ppm)およびSandoから入手可能なP−EPQ(商標)(1000ppm)と一緒にドライブレンドした。いろいろなブレンド組成物の試験結果を表6に示す。
比較実施例8−10
実質的に比較実施例7と同じ重合手順を用いて成分IIで用いるエチレンホモポリマー類を製造した。また、比較実施例7で製造したエチレンコポリマーを成分Iとして用いた。成分Iおよび成分IIのポリマー特性およびブレンド配合を表5に要約する。実施例13−16と同じ手順を用いてブレンド物の調製を行った。いろいろなブレンド組成物の試験結果を表6に示す。
実施例9−16には、いろいろなブレンド組成物が優れた特性均衡、例えば低温における衝撃強度[0℃および−20℃のGで測定した時、そして−20℃のCharpy衝撃強度で測定した時]、加工性[100l/秒のVで測定した時、そしてI21.6で測定した時]、そしてESCR[PENTで測定した時、そして曲げESCR試験で測定した時]を示すこと、そしてそのような均衡はコモノマーが高分子量成分中に優先的に存在することで最も良好に達成されることを示している。更に、実施例13−16が示す特性は比較実施例8−10のそれに比較して優れていることも明らかである。
Figure 2007308718
*1 傾きは、コモノマー含有量分布プロファイルから得られるほぼ真っすぐな線の傾きを意味する。
*2 CFC1は、CFCにおいて任意温度(最大抽出量を示す第一温度とこの第一温度より10℃高い第二温度の間の範囲内に在る)とこの任意温度で抽出されるコポリマー画分の分子量分布プロファイル上の1地点(この地点で分子量分布プロファイルは最大強度のピークを示す)との間の関係から得られるほぼ真っすぐな線の傾きを意味する。
*3 CFC2は、CFCで測定した時のコポリマー画分全量に対する上述した第一温度より少なくとも10℃低い温度で抽出されるコポリマー画分個々の量の合計のパーセントを意味する。
Figure 2007308718
*1 傾きは、コモノマー含有量分布プロファイルから得られるほぼ真っすぐな線の傾きを意味する。
*2 CFC1は、CFCにおいて任意温度(最大抽出量を示す第一温度とこの第一温度より10℃高い第二温度の間の範囲内に在る)とこの任意温度で抽出されるコポリマー画分の分子量分布プロファイル上の1地点(この地点で分子量分布プロファイルは最大強度のピークを示す)との間の関係から得られるほぼ真っすぐな線の傾きを意味する。
*3 CFC2は、CFCで測定した時のコポリマー画分全量に対する上述した第一温度より少なくとも10℃低い温度で抽出されるコポリマー画分個々の量の合計のパーセントを意味する。
Figure 2007308718
Figure 2007308718
Figure 2007308718
Figure 2007308718
Figure 2007308718
本発明のエチレンコポリマーの特性(4)に関する説明図である。 本発明のエチレンコポリマーの特性(3)に関する説明図である。 本発明のエチレンコポリマーの特性(5)に関する説明図である。

Claims (13)

  1. エチレンと、式HC=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC−C20アルキル基またはC−C20アリール基である]で表される化合物および線状、分枝または環状のC−C20ジエンから成る群から選択される少なくとも1種のコモノマーとから作られたコポリマーを含むエチレンコポリマーであって、
    コポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなり、かつ、コポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるエチレンコポリマー。
  2. 0.870から0.980g/cmの密度を有する請求項1記載のエチレンコポリマー。
  3. 0.915から0.955g/cmの密度を有する請求項2記載のエチレンコポリマー。
  4. 2.5から10のMw/Mnを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレンコポリマー。
  5. 3から7のMw/Mnを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレンコポリマー。
  6. 0.01〜3000g/10分のメルトインデックス(I)を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレンコポリマー。
  7. 15から65のI21.6/I比または5から30のI10/I比を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のエチレンコポリマー。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のエチレンコポリマーを含む組成物。
  9. 酸化防止剤、粘着添加剤、粘着防止剤、顔料及び充填剤から群から選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項8記載の組成物。
  10. a)異なる分子量または密度を有する第二のエチレンコポリマー、
    b)狭い組成分布を示す均一エチレン/α−オレフィンインターポリマー、
    c)広い組成分布を示す不均一エチレン/α−オレフィンインターポリマー、
    d)本発明のエチレンコポリマーの製造で用いた触媒成分とは別の触媒成分を用いて生じさせたホモポリマー、または
    e)a)、b)、c)またはd)のいずれか二つ以上の組み合わせ、
    のいずれかをさらに含み、
    前記a)の第二のエチレンコポリマーが、エチレンと、式HC=CHR[式中、Rは線状、分枝または環状のC−C20アルキル基またはC−C20アリール基である]で表される化合物および線状、分枝または環状のC−C20ジエンから成る群から選択される少なくとも1種のコモノマーとから作られたコポリマーを含むエチレンコポリマーであって、
    コポリマー画分の分子量が低くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が低くなり、かつ、コポリマー画分の分子量が高くなればなるほどそのコポリマー画分のコモノマー含有量が高くなるエチレンコポリマーである、請求項8または9記載の組成物。
  11. 0.870から0.980g/cmの密度を有する請求項10記載の組成物。
  12. 2.5から50のMw/Mnを有する請求項10または11記載の組成物。
  13. 0.01〜3000g/10分のメルトインデックス(I)を有する請求項10〜12のいずれか1項に記載の組成物。
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